説明

漂遊磁場を減少させた同位体生成システム及びサイクロトロン

サイクロトロンが、加速室を包囲するヨーク本体を有する磁石ヨークと、磁石アセンブリとを含んでいる。磁石アセンブリは、荷電粒子を所望の経路に沿って導くように磁場を発生するように構成されている。磁石アセンブリは加速室に位置する。磁場は加速室を通って磁石ヨークの内部を伝播する。磁場の一部は漂遊磁場として磁石ヨークの外側へ漏れ出る。磁石ヨークは、漂遊磁場が外面境界から1メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の各実施形態は一般的には、サイクロトロンに関し、さらに具体的には、放射性同位体を生成するのに用いられるサイクロトロンに関する。
【背景技術】
【0002】
放射性同位体(放射性核種とも呼ぶ)は、医用の治療、撮像及び研究における幾つかの応用、並びに医学に関係しない他の応用を有する。放射性同位体を生成するシステムは典型的には、サイクロトロンのような粒子加速器を含んでおり、かかる粒子加速器は、加速室を包囲する磁石ヨークであって互いから隔設された対向磁極を含んでいる磁石ヨークを有する。サイクロトロンは電場及び磁場を用いて荷電粒子を加速し、磁極の間の渦状軌道に沿って粒子を誘導する。同位体を生成するために、サイクロトロンは荷電粒子のビームを形成して加速室から外へ導くと、ビームはターゲット物質に入射する。サイクロトロンの動作時には、磁石ヨークの内部に発生される磁場は極めて強力である。例えば、幾つかのサイクロトロンでは、磁極の間の磁場は少なくとも1テスラである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2007/171015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サイクロトロンによって発生される磁場は漂遊磁場を発生し得る。漂遊磁場は、サイクロトロンの磁石ヨークから、磁場が望まれないような領域へ漏れ出た磁場である。例えば、サイクロトロンの動作時に、磁石ヨークの数メートルの範囲内に強い漂遊磁場が発生され得る。これらの漂遊磁場は、サイクロトロンの設備又は近傍の他のシステム装置に悪影響を及ぼし得る。さらに、漂遊磁場は、サイクロトロンの周囲にいるペースメーカ又は他の何らかの生物医学的装置を装着した人々にとって危険な場合がある。
【0005】
漂遊磁場に加えて、サイクロトロンは当該サイクロトロンの何らかの距離の範囲内に望ましくないレベルの放射線を発生し得る。加速室内のイオンが内部の気体粒子と衝突して、加速室の内部の電場及び磁場には最早影響されないような中性粒子となる場合がある。これらの中性粒子は加速室の壁と衝突して二次γ線を発生し得る。
【0006】
幾つかの従来のサイクロトロン及び同位体生成システムでは、漂遊磁場及び放射線についてのこれらの問題は、サイクロトロンを包囲する大量の遮蔽を加えることにより、又は特に設計された部屋にサイクロトロンを載置することにより対処されている。しかしながら、付加的な遮蔽を設けると高価になる場合があり、またサイクロトロン向けの特定的な部屋を設計すると、特に本来放射性同位体生成向けではない既存の部屋について新たな問題が持ち上がる場合がある。
【0007】
従って、近傍の漂遊磁場を低減する改良型の方法、サイクロトロン、及び同位体生成システムが必要とされている。また、サイクロトロンによって放出される放射線のレベルを低減する改良型の方法、サイクロトロン、及び同位体生成システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
もう一つの実施形態によれば、加速室を包囲するヨーク本体を有する磁石ヨークと、磁石アセンブリとを含むサイクロトロンが提供される。磁石アセンブリは、荷電粒子を所望の経路に沿って導くように磁場を発生するように構成されている。磁石アセンブリは加速室に位置する。磁場は加速室を通って磁石ヨークの内部を伝播する。磁場の一部は漂遊磁場として磁石ヨークの外側へ漏れ出る。磁石ヨークは、漂遊磁場が外面境界から1メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する。
【0009】
もう一つの実施形態によれば、サイクロトロンを製造する方法が提供される。サイクロトロンは、荷電粒子を所望の経路に沿って導く磁場及び電場を発生するように構成されている。この方法は、加速室を包囲するヨーク本体を有する磁石ヨークを設けるステップを含んでいる。磁場は内部に発生されて荷電粒子を導く。磁石ヨークは、当該磁石ヨークから漏れ出る漂遊磁場が外面境界から予め決められた距離において予め決められた量を超えないようにする寸法を有する。この方法はまた、磁石アセンブリを加速室に配置するステップを含んでいる。磁石アセンブリは、磁場を発生するように構成されている。磁石アセンブリは、漂遊磁場が外面境界から1メートルの距離において5ガウスを超えないようにして動作するように構成されており、磁石ヨークは、同じく漂遊磁場が外面境界から1メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に従って形成される同位体生成システムのブロック図である。
【図2】一実施形態に従って形成される磁石ヨークの遠近図である。
【図3】一実施形態に従って形成されるサイクロトロンの側面図である。
【図4】図3に示すサイクロトロンの底部の側面図である。
【図5】図3のサイクロトロンの最上部の側面図であって、サイクロトロンの動作時の磁場線を示す図である。
【図6】図3のサイクロトロンの最上部の側面図であって、動作時にサイクロトロンから発散する放射線を示す図である。
【図7】もう一つの実施形態に従って形成される同位体生成システムの遠近図である。
【図8】もう一つの実施形態に従って形成されて、図6に示す同位体生成システムと共に用いられ得るサイクロトロンの側面図である。
【図9(A)】一実施形態に従って形成される磁石ヨークの一部の周囲での漂遊磁場分布を示す図である。
【図9(B)】図9(A)に示す磁石ヨークの部分の周囲について、磁石ヨークが当該部分を包囲する遮蔽を有しているときの漂遊磁場分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、一実施形態に従って形成される同位体生成システム100のブロック図である。システム100は、イオン生成源システム104、電場システム106、磁場システム108、及び真空システム110を含めた幾つかのサブシステムを有するサイクロトロン102を含んでいる。サイクロトロン102の利用時に、荷電粒子はイオン生成源システム104を通してサイクロトロン102の内部に配置され又は注入される。磁場システム108及び電場システム106はそれぞれの場を発生し、これらの場は互いに協働して荷電粒子の粒子ビーム112を発生する。荷電粒子はサイクロトロン102の内部で加速されて、予め決められた経路に沿って誘導される。システム100はまた、引き出しシステム115と、ターゲット物質116を含むターゲット・システム114とを有する。
【0012】
同位体を生成するために、粒子ビーム112はサイクロトロン102によって引き出しシステム115を通してビーム輸送路117に沿ってターゲット・システム114の内部まで導かれると、粒子ビーム112は対応するターゲット域120に位置するターゲット物質116に入射する。システム100は、別個のターゲット物質116A〜116Cが位置する多数のターゲット域120A〜120Cを有し得る。変移装置又はシステム(図示されていない)を用いて、粒子ビーム112が異なるターゲット物質116に入射するようにターゲット域120A〜120Cを粒子ビーム112に関して変移させることができる。変移過程でも真空が保たれ得る。代替的には、サイクロトロン102及び引き出しシステム115は、1本の経路のみに沿って粒子ビーム112を導くのではなく、各々の異なるターゲット域120A〜120C毎に一意の経路に沿って粒子ビーム112を導いてもよい。
【0013】
上述のサブシステムの1又は複数を有する同位体生成システム及び/又はサイクロトロンの例は、米国特許第6,392,246号、同第6,417,634号、同第6,433,495号及び同第7,122,966号、並びに米国特許出願第2005/0283199号に記載されており、これらの特許及び出願の全てを参照によりその全体として本出願に援用する。また、さらに他の例が米国特許第5,521,469号、同第6,057,655号、並びに米国特許出願第2008/0067413号及び同第2008/0258653号にも記載されており、これらの特許及び出願の全てを参照によりその全体として本出願に援用する。
【0014】
システム100は、医用の撮像、研究及び治療に用いられ得る放射性同位体(放射性核種とも呼ぶ)を生成するように構成されているが、科学研究又は解析のような医学に関係しない他の応用にも用いられ得る。核医学(NM)撮像又は陽電子放出断層写真法(PET)撮像のような医用の目的に用いられるときには、放射性同位体をトレーサとも呼ぶ。例として述べると、システム100は、18-同位体を液体形態として製造し、11C同位体をCO2として製造し、13N同位体をNH3として製造するようなプロトンを生成し得る。これらの同位体を製造するのに用いられるターゲット物質116は、濃縮18O水、天然142ガス、及び16O水であってよい。システム100はまた、15Oガス(酸素、二酸化炭素、及び一酸化炭素)並びに15Oで標識された水を生成するために重陽子を生成することができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、システム100は1-技術を用いて、ビーム電流を近似的に10μA〜30μAとして荷電粒子を低エネルギ(例えば約7.8MeV)にする。かかる実施形態では、水素の陰イオンは加速されてサイクロトロン102を通して引き出しシステム115まで誘導される。次いで、水素の陰イオンは引き出しシステム115のストリッピング・フォイル(図示されていない)に衝突し、これにより一対の電子を除去して粒子を陽イオン化しすなわち1+にすることができる。但し、代替的な実施形態では、荷電粒子は1+2+、及び3He+のような陽イオンであってもよい。かかる代替的な実施形態では、引き出しシステム115は粒子ビームをターゲット物質116へ向けて誘導する電場を生成する静電デフレクタを含み得る。
【0016】
システム100は、異なるシステムの様々な構成要素によって発生される熱を吸収するために冷却流体又は作動流体をそれぞれの構成要素に輸送する冷却システム122を含み得る。システム100はまた、技術者によって様々なシステム及び構成要素の動作を制御するのに用いられ得る制御システム118を含み得る。制御システム118は、サイクロトロン102及びターゲット・システム114に近接して又は遠隔して位置する1又は複数のユーザ・インタフェイスを含み得る。図1には示していないが、システム100はまた、サイクロトロン102及びターゲット・システム114のための1又は複数の放射線遮蔽及び/又は磁場遮蔽を含み得る。
【0017】
システム100は、医用の撮像又は治療に用いられる個々の線量のような予め決められた量又はバッチで同位体を生成し得る。上に列挙した同位体形態例についてシステム100の生成容量は、18-の場合には20μAにおいて約10分間未満に50mCi、11CO2の場合には30μAにおいて約30分間に300mCi、13NH3の場合には20μAにおいて約10分間未満に100mCiであり得る。
【0018】
また、システム100は、当該システム100が限られた空間内に保持されることを可能にする寸法、形状、及び重量を有するように公知の同位体生成システムに関して縮小した空間量を利用し得る。例えば、システム100は、病院環境又は臨床環境のように粒子加速器のために本来構築されていない既存の室内に収まる。このようなものとして、サイクロトロン102、引き出しシステム115、ターゲット・システム114、及び冷却システム122の1又は複数の構成要素は、限られた空間に収まる寸法及び形状を有する共通の筐体124の内部に保持され得る。一例として、筐体124によって用いられる合計容積は2m3であってよい。筐体124の可能な寸法は、2.2mの最大幅、1.7mの最大高さ、及び1.2mの最大奥行きを含み得る。筐体及び内部のシステムの合計重量は、近似的に10000kgであってよい。筐体124はポリエチレン(PE)及び鉛から作製されることができ、サイクロトロン102からの中性子線束及びγ線を減弱するように構成された厚みを有し得る。例えば、筐体124は、中性子線束を減弱する筐体124の予め決められた部分に沿った厚み(サイクロトロン102を包囲する内面と筐体124の外面との間で測定される)が少なくとも約100mmであってよい。
【0019】
システム100は、荷電粒子を予め決められたエネルギ・レベルまで加速するように構成され得る。例えば、本書に記載される幾つかの実施形態は、近似的に18MeV以下のエネルギまで荷電粒子を加速する。他の実施形態では、システム100は近似的に16.5MeV以下のエネルギまで荷電粒子を加速する。特定的な実施形態では、システム100は近似的に9.6MeV以下のエネルギまで荷電粒子を加速する。さらに特定的な実施形態では、システム100は近似的に7.8MeV以下のエネルギまで荷電粒子を加速する。
【0020】
図2は、一実施形態に従って形成される磁石ヨーク202の遠近図である。磁石ヨーク202はX軸、Y軸、及びZ軸に関して配向される。幾つかの実施形態では、磁石ヨーク202は重力Fgに関して鉛直に配向される。磁石ヨーク202は、中心軸236の周りで実質的に円形であり得るヨーク本体204を有し、この中心軸236はヨーク本体204の中心を通りZ軸に平行に延在する。ヨーク本体204は、鉄及び/又は他の強磁性材料で製造されることができ、所望の磁場を発生するような寸法及び形状を有し得る。
【0021】
ヨーク本体204は、中心軸236の周りで円周方向に彎曲している半径方向部分222を有する。半径方向部分222は、幅W1にわたり延在する半径方向外面223を有する。半径方向表面223の幅W1は中心軸236に沿って軸方向に延在し得る。ヨーク本体204が鉛直に配向されるときに、半径方向部分222は上端及び下端212及び214を有することができ、ヨーク本体204の径DYが間に延在する。ヨーク本体204はまた、ヨーク本体204の厚みT1によって離隔される対向面208及び210を有し得る。各々の面208及び210が、対応する側面209及び211をそれぞれ有する(側面209は図3に示す)。側面209及び211は、互いに対して実質的に平行に延在することができ、また実質的に平坦(すなわちX軸及びY軸によって形成される平面に沿って)であってよい。半径方向部分222は、隅部表面217及び219をそれぞれ有する隅部又は移行領域216及び218を通して面208及び210に接続されている。(移行領域218及び隅部表面219は図3に示す。)隅部表面217及び219は、半径方向表面223から互いに離隔して中心軸236へ向けて対応する側面211及び209まで延在している。半径方向表面223、側面209及び211、並びに隅部表面217及び219は、ヨーク本体204の外面205(図3)を集合的に形成している。
【0022】
ヨーク本体204は、当該ヨーク本体204に通じる幾つかの切除部、凹部、又は通路を有し得る。例えば、ヨーク本体204は、ターゲット・アセンブリ(図示されていない)のための放射線遮蔽を収容するような寸法及び形状を有する遮蔽凹部262を有し得る。図示のように、遮蔽凹部262は、中心軸236に沿って延在する幅W2を有する。遮蔽凹部262は、厚みT1を通して中心軸236へ向けて内向きに彎曲している。このようなものとして、幅W1は幅W2よりも小さい。また、遮蔽凹部262は、外面205の外側に位置する中心(点Cとして示す)を有する曲率半径を有し得る。点Cはターゲットの近似的な位置を表わし得る。代替的には、遮蔽凹部262は他の寸法を有していてもよい。また図示のように、ヨーク本体204は、真空ポンプ(図示されていない)を収容するような寸法及び形状を有するポンプ収容(PA)窩282を形成し得る。
【0023】
図3は、一実施形態に従って形成されるサイクロトロン200の側面図である。サイクロトロン200は磁石ヨーク202を含んでいる。図示のように、ヨーク本体204は、間に加速室206を画定する相対向するヨーク区画228及び230に分割され得る。ヨーク区画228及び230は、磁石ヨーク202の中央面232に沿って互いに隣接して配置されるように構成されている。サイクロトロン200は、当該サイクロトロン200の重量を支持するように構成されており例えば部屋の床又はセメント板であってよい水平のプラットフォーム220の上に載置され得る。中心軸236は、ヨーク区画228及び230(並びにそれぞれ対応する面210及び208)の間を通って延在する。中心軸236は、ヨーク本体204の中心を通って中央面232に垂直に延在する。加速室206は、中央面232と中心軸236との交差部に位置する中心領域238を有する。幾つかの実施形態では、中心領域238は加速室206の幾何学的中心に位置する。また図示のように、磁石ヨーク202は、中心軸236から上方に延在する上部231と、中心軸236から下方に延在する下部233とを含んでいる。
【0024】
ヨーク区画228及び230は、加速室206の内部で中央面232を挟んで互いに対向する磁極248及び250をそれぞれ含んでいる。磁極248及び250は、磁極間隙Gによって互いから分離され得る。磁極間隙Gは、サイクロトロン200が動作しているときに所望の磁場を発生するような寸法及び形状を有する。さらに、磁極間隙Gは、加速室の内部の粒子を除去するために望ましいコンダクタンス(流通性)に基づく寸法及び形状を有し得る。一例として、幾つかの実施形態では、磁極間隙Gは3cmであってよい。
【0025】
磁極248は磁極頂252を含んでおり、磁極250は磁極頂252に対面する磁極頂254を含んでいる。図示の実施形態では、サイクロトロン200は、磁極頂252及び254が各々山及び谷を成す扇形構成(図示されていない)を形成している等時型サイクロトロンである。山及び谷は互いに相互作用して、荷電粒子の経路を集束させる磁場を生成する。ヨーク区画228又は230の一方はまた無線周波数(RF)電極(図示されていない)を含んでいてよく、これらの電極は対応する谷の内部に位置する中空のD字形部材を含む。各RF電極は互いに協働して、予め決められた周波数(例えば100MHz)に同調された誘導素子と容量素子とを含む共振系を形成する。RF電極システムは、1又は複数の増幅器と連絡した周波数発振器を含み得る高周波電力発生器(図示されていない)を有し得る。RF電極システムは、各RF電極の間に交流電位を生成する。
【0026】
サイクロトロン200はまた、加速室206の内部に又は加速室206に近接して位置する磁石アセンブリ260を含んでいる。磁石アセンブリ260は、荷電粒子を所望の経路に沿って導くように磁極248及び250によって磁場を発生するのを容易にするように構成されている。磁石アセンブリ260は、中央面232を挟んで距離D1において互いから隔設されている相対向する一対の磁石コイル264及び266を含んでいる。磁石コイル264及び266は、例えば銅合金抵抗コイルであってよい。代替的には、磁石コイル264及び266はアルミニウム合金であってよい。磁石コイルは実質的に円形であって、中心軸236の周りに延在し得る。ヨーク区画228及び230は、対応する磁石コイル264及び266をそれぞれ収容するような寸法及び形状を有する磁石コイル窩268及び270をそれぞれ形成し得る。また図3に示すように、サイクロトロン200は、磁石コイル264及び266を加速室206から分離して所定位置に保持することを容易にする室壁272及び274を含み得る。
【0027】
加速室206は、中心軸236の周りを渦状態様で巻回しつつ中央面232に実質的に沿って留まる予め決められた彎曲経路に沿って、1-イオンのような荷電粒子を内部で加速することを可能にするように構成されている。荷電粒子は最初は中心領域238に近接して配置される。サイクロトロン200が起動されると、荷電粒子の経路は中心軸236の周りに軌道を描くことができる。図示の実施形態では、サイクロトロン200は等時型サイクロトロンであり、このようなものとして、荷電粒子の軌道は中心軸236の周りで彎曲している部分と相対的に線形の部分とを有する。但し、本書に記載される実施形態は等時型サイクロトロンに限定されず、他の形式のサイクロトロン及び粒子加速器も含む。図3に示すように、荷電粒子が中心軸236の周りに軌道を描くときに、荷電粒子は加速室206の上部231において紙面から突出し、加速室206の下部233において紙面の奥へ延在し得る。荷電粒子が中心軸236の周りに軌道を描くにつれて、荷電粒子の軌道と中心領域238との間に延在する半径Rが増大する。荷電粒子が軌道に沿って予め決められた位置に到達すると、荷電粒子は引き出しシステム(図示されていない)に入り又は引き出しシステムを通過してサイクロトロン200を出るように導かれる。
【0028】
加速室206は、粒子ビーム112の形成の前及び最中に排気された状態にあってよい。例えば、粒子ビームが生成される前には、加速室206の圧力は近似的に1×10-7ミリバールであってよい。粒子ビームが活性化されてH2ガスが中心領域238に位置するイオン生成源(図示されていない)を通って流れると、加速室206の圧力は近似的に2×10-5ミリバールとなり得る。このようなものとして、サイクロトロン200は、中央面232に近接して位置し得る真空ポンプ276を含み得る。真空ポンプ276は、ヨーク本体204の端部214から半径方向外向きに突出する部分を含み得る。後にあらためて詳述するように、真空ポンプ276は、加速室206を排気するように構成されているポンプを含み得る。
【0029】
幾つかの実施形態では、ヨーク区画228及び230は、加速室206に接近し易い(例えば修理又は保守のために)ように互いへ向けて互いから分離するように移動自在であり得る。例えば、ヨーク区画228及び230は、当該ヨーク区画228及び230の側辺に沿って延在するヒンジ(図示されていない)によって接合され得る。ヨーク区画228及び230の何れか又は両方を、ヒンジの軸を中心として対応するヨーク区画(1又は複数)を回動させることにより開くことができる。もう一つの例として、ヨーク区画228及び230は、ヨーク区画の一方を他方から線形に遠ざけるように横方向に移動させることにより互いから分離され得る。但し、代替的な実施形態では、ヨーク区画228及び230は、一体成形されていてもよいし、加速室206に接近する(例えば加速室206の内部に通じる磁石ヨーク202の孔又は開口を通して)ときにも共に密着されたままであってもよい。代替的な実施形態では、ヨーク本体204は、等分割されていない区画を有していてもよいし且つ/又は2よりも多い区画を含んでいてもよい。例えば、ヨーク本体は、磁石ヨーク504に関して図8に示すように三つの区画を有し得る。
【0030】
加速室206は、中央面232に沿って延在して中央面232に関して実質的に対称である形状を有し得る。例えば、加速室206は、加速室206が実質的に円板形を有するように中心軸236の周りに延在する半径方向内面又は内壁面225によって包囲され得る。加速室206は、内空間領域及び外空間領域241及び243を含み得る。内空間領域241は磁極頂252及び254の間に画定され、外空間領域243は室壁272及び274の間に画定され得る。空間領域243は、空間領域241を包囲して中心軸236の周りに延在する。サイクロトロン200の動作時の荷電粒子の軌道は空間領域241の内部に位置し得る。このようなものとして、加速室206は、磁極頂252及び254並びに室壁272及び274によって幅に関して少なくとも部分的に画定される。加速室の外周辺が半径方向表面225によって画定され得る。加速室206はまた、真空ポンプ276へ向けて通じる通路P1(図4に示す)のように空間領域243から半径方向外向きに離隔して通じる通路を含み得る。
【0031】
外面205は、ヨーク本体204の外被207を画定する。外被207は、小窩部、切除部、又は凹部を含めない外面205によって画定されるヨーク本体204の全体的な形状に略同等の形状を有する。(説明のみの目的で、外被207はヨーク本体204よりも大きいものとして図3に示されている。)図3に示すように、外被207の断面は、半径方向表面223、側面209及び211、及び隅部表面217及び219によって画定される八面の多角形である。ヨーク本体204は、構成要素又は装置が外被207に貫入することを許す通路、切除部、凹部、及び窩部等を形成し得る。遮蔽凹部262及びPA窩282は、対応する構成要素が外被207に貫入することを許すかかる凹部及び窩部の例である。
【0032】
図4は、サイクロトロン200、さらに明確に述べると下部233の拡大側断面である。ヨーク本体204は、加速室206、さらに明確に述べると空間領域243へ向けて直接開いている真空口278を画定し得る。真空ポンプ276は、真空口278においてヨーク本体204に直接結合され得る。真空口278は、真空ポンプ276への入口又は開口を提供しており、望ましくない気体粒子が真空口278を通過して流れるようにしている。真空口278は、当該真空口278を通る気体粒子の所望のコンダクタンスを提供するように成形され得る(他の因子、及びサイクロトロン200の寸法と共に)。例えば、真空口278は、円形、方形状、又は他の幾何学的形状を有し得る。
【0033】
真空ポンプ276は、ヨーク本体204によって形成されるポンプ収容(PA)窩282の内部に配置される。PA窩282は加速室206に流体結合されて加速室206の空間領域243へ向けて開き、通路P1を含み得る。PA窩282の内部に配置されると、真空ポンプ276の少なくとも一部がヨーク本体204(図2)の外被207の内部に入る。真空ポンプ276は、中央面232に沿って中心領域238又は中心軸236から半径方向外向きに離隔して突出し得る。真空ポンプ276は、ヨーク本体204の外被207を越えて突出していてもいなくてもよい。例として述べると、真空ポンプ276は、加速室206とプラットフォーム220との間に位置し得る(すなわち真空ポンプ276は加速室206の直下に位置する)。他の実施形態では、真空ポンプ276はまた、他の位置において中央面232に沿って中心領域238から半径方向外向きに離隔して突出していてもよい。例えば、真空ポンプ276は、図3において加速室206の上方に又は後方に位置し得る。代替的な実施形態では、真空ポンプ276は、中心軸236に平行な方向に面208又は210の一方から離隔して突出し得る。また、一つのみの真空ポンプ276を図4に示しているが、代替的な実施形態は多数の真空ポンプを含み得る。さらに、ヨーク本体204は追加のPA窩を有し得る。
【0034】
真空ポンプ276は、槽壁280及び内部に保持された真空又はポンプ・アセンブリ283を含んでいる。槽壁280は、PA窩282の内部に収まってポンプ・アセンブリ283を内部に保持するような寸法及び形状を有する。例えば、槽壁280は、当該槽壁280がサイクロトロン200からプラットフォーム220まで延在するときに実質的に円形断面を有し得る。代替的には、槽壁280は他の断面形状を有していてもよい。槽壁280は、ポンプ・アセンブリ283が実効的に動作するのに十分な空間を内部に提供し得る。半径方向表面225は開口356を画定することができ、ヨーク区画228及び230は真空口278に近接して位置する対応する辺縁部286及び288を形成し得る。辺縁部286及び288は、開口356から真空口278まで延在する通路P1を画定し得る。真空口278は通路P1及び加速室206へ向けて開いており、径D2を有する。開口356は径D10を有する。径D2及びD10は、サイクロトロン200が放射性同位体の生成時に所望の効率で動作するように構成され得る。例えば、径D2及びD10は、磁極間隙Gを含めた加速室206の寸法及び形状、並びにポンプ・アセンブリ283の動作コンダクタンスに基づき得る。特定的な例として、径D2は約250mm〜約300mmであってよい。
【0035】
ポンプ・アセンブリ283は、サイクロトロン200が放射線同位体の生成時に所望の動作効率を有するように加速室206を実効的に排気する1又は複数の吸排気装置284を含み得る。ポンプ・アセンブリ283は、1又は複数の運動量輸送型ポンプ、容積移送型ポンプ、及び/又は他の形式のポンプを含み得る。例えば、ポンプ・アセンブリ283は、拡散ポンプ、イオン・ポンプ、クライオポンプ、ロータリー・ポンプ若しくは粗引きポンプ、及び/又はターボ分子ポンプを含み得る。ポンプ・アセンブリ283はまた、複数の同一形式のポンプ、又は異なる形式を用いた複数ポンプの組み合わせを含み得る。ポンプ・アセンブリ283はまた、上述のポンプの異なる特徴又はサブシステムを用いた混成型ポンプを有し得る。図4に示すように、ポンプ・アセンブリ283はまた、空気を周囲雰囲気に放出し得るロータリー・ポンプ又は粗引きポンプ285と直列に流体結合されていてもよい。
【0036】
さらに、ポンプ・アセンブリ283は、付加的なポンプ、槽又はチェンバ、コンジット、ライナ、換気弁を含めた弁、計器、シール、油、及び排気管のように気体粒子を除去する他の構成要素を含み得る。加えて、ポンプ・アセンブリ283は、冷却システムを含み又は冷却システムに接続され得る。また、ポンプ・アセンブリ283全体は、PA窩282の内部(すなわち外被207の内部)に収まっていてもよいし、代替的には、構成要素の一つのみ又は複数がPA窩282の内部に位置していてもよい。この実施形態の例では、ポンプ・アセンブリ283は、PA窩282の内部に少なくとも部分的に位置する少なくとも一つの運動量輸送型真空ポンプ(例えば拡散ポンプ又はターボ分子ポンプ)を含んでいる。
【0037】
また図示のように、真空ポンプ276は、加速室206の内部で圧力センサ312に結合されて連絡し得る。加速室206が予め決められた圧力に達すると、吸排気装置284が自動的に起動され又は自動的に停止され得る。図示していないが、加速室206又はPA窩282の内部に付加的なセンサが存在していてもよい。
【0038】
図5は、上部231の側面図であって、サイクロトロン200(図3)の動作時の磁場線を示す。磁石コイル264及び266が起動されると、サイクロトロン200は磁極頂252及び254の間に強い磁場を発生する。例えば、磁極頂252及び254の間の平均磁場強度は少なくとも1テスラ又は少なくとも1.5テスラであり得る。磁束の大部分はヨーク本体204を通過する。上部231に関して示すように、場の磁束は、磁極250からX軸及びY軸(図2)によって形成される平面に沿った方向に移行領域218を通過し、次いで中心軸236に沿った方向に半径方向部分222を通過する。次いで、磁束は移行領域216及び磁極248を通って戻る。
【0039】
サイクロトロン200が動作しているときに、磁場の一部がヨーク本体204から漏れ出て、磁場が求められないような領域に入る(すなわち漂遊磁場)。漂遊磁場は、ヨーク本体204の内部の材料(例えば鉄)の量が磁束を収容するのに不十分であるようなヨーク本体204の領域に近接して発生され得る。換言すると、漂遊磁場は、磁場の方向に対して横断方向(垂直)のヨーク本体204の断面積が、電磁流量(B)を収容するのに不十分な寸法を有する箇所に発生される。図5に示すように、通過する電磁流量(B)に影響を与え得るヨーク本体204の断面積は、移行領域216及び218、半径方向部分222、並びに中心軸236に沿って対応する面208又は210まで延在しているヨーク本体204の部分又は領域の内部で求められ得る。
【0040】
移行領域216及び218、半径方向部分222、及びコイル窩と対応する面との間の部分又は領域の各々が、当該領域の内部に磁束を収容するヨーク本体204の能力に影響する最小限の断面積を有し得る。この最小断面積は、ヨーク本体204の外面205と内面との間の最小厚みの位置を求めることにより決定され得る。例えば、ヨーク本体204の最小断面積は、面208に近接した厚みT6がコイル窩270の窩部表面271の一つの点から側面209に沿った最近接点まで延在するような箇所で求められ得る。図5はヨーク本体204の一つの断面のみを示しているが、厚みT6に関連する最小断面積は、ヨーク本体204が中心軸236を包囲するときに実質的に一様であり得る。さらに、移行領域218の最小断面積は、移行領域218の厚みT5が測定される箇所で求められ得る。例えば、厚みT5は、コイル窩270の窩部表面271のもう一つの点から隅部表面219の最近接部分までで測定され得る。同様に、厚みT5に関連する最小断面積は、ヨーク本体204が中心軸236を包囲するときに実質的に一様であり得る。半径方向部分222の最小断面積は、半径方向部分222の厚みT4が測定される箇所で求められ得る。厚みT4は、加速室206の半径方向内面225に沿った点から半径方向外面223の最近接点までで測定され得る。幾つかの実施形態では、厚みT4に関連する最小断面積は、ヨーク本体204の全体にわたり実質的に一様であり得る。
【0041】
しかしながら、他の実施形態では、半径方向部分222は、当該半径方向部分222の断面積に影響を与える窩部、通路、及び/又は凹部を含み得る。例えば、半径方向部分222は、当該半径方向部分222の断面積が影響を受けるようなPA窩282(図2)及び遮蔽凹部262(図2)を含んでいる。PA窩282及び遮蔽凹部262は、ヨーク本体204から除去された材料がヨーク本体204の電磁流量(B)に著しい影響を及ぼしたりさらなる漂遊磁場を発生したりしないようにする寸法及び形状を有し得る。PA窩282及び遮蔽凹部262はまた、電子設備又は生物医学的装置が近傍に位置しないような半径方向部分222の内部に位置し得る。例えば、PA窩282は、加速室とプラットフォーム220(図3)との間のヨーク本体204の底部に位置し得る。遮蔽凹部262は、ターゲット・アセンブリのための遮蔽(図示されていない)に隣接して位置し得る。
【0042】
厚みT4、T5、及びT6に関連する最小断面積は、ヨーク本体204の外面205に近接した漂遊磁場の量又は強度に著しい影響を与え得る。このようなものとして、半径方向部分222、移行領域218、及び窩部表面271と面208との間に延在しているヨーク本体204の部分は全て、漂遊磁場が外面205から予め決められた距離において予め決められた量を超えないようにする寸法を有し得る。距離D4、D5、及びD6は、対応する最小断面積について予め決められた距離を表わす。これらの距離D4、D5、及びD6は、対応する表面223、219、及び209から離隔するように測定され得る(すなわちヨーク本体の外部の一つの点から離隔して対応する表面までの最短距離)。例えば、Group3社によって製造されているディジタル式ホール効果テスラメータ(ガウスメータ)を用いることができる。但し、漂遊磁場を測定する他の装置又は方法を用いてもよい。半径方向表面223に関して、漂遊磁場は半径方向表面223から外面に接する線に沿って半径方向外向きに測定され得る。
【0043】
例として述べると、厚みT4、T5、及びT6に関連する最小断面積は、漂遊磁場が外面205から1メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有し得る。さらに明確に述べると、厚みT4、T5、及びT6に関連する最小断面積は、漂遊磁場が外面205から0.2メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有し得る。上の例では、磁極頂252及び254の間の平均磁場強度は少なくとも1テスラ又は少なくとも1.5テスラであり得る。幾つかの実施形態では、D4、D5、及びD6は近似的に等しい。さらに、幾つかの実施形態では、距離D4、D5、及びD6の最大距離は0.2メートル未満であってよい。
【0044】
図6は、上部231の側面図であって、サイクロトロン200(図3)の動作時に放出される放射線を示す。サイクロトロン200は、加速室206(図3)から放出される放射線を減弱するように別個に構成され得る。但し、サイクロトロン200はまた、放射線を減弱させると共に漂遊磁場の強度を減少させるように構成されていてもよい。粒子が内部の物質と衝突するときに、サイクロトロン200の利用者が関心を持ち得る二つの形式の放射線が加速室206の内部で発生される。第一の形式の放射線は中性子線束からのものである。特定の一実施形態では、サイクロトロン200は、中性子線束からの放射線がヨーク本体の外側で予め決められた量を超えないような低エネルギにおいて運転される。例えば、サイクロトロンは、近似的に9.6MeV以下のエネルギ・レベルまで粒子を加速するように運転され得る。さらに明確に述べると、サイクロトロンは、近似的に7.8MeV以下のエネルギ・レベルまで粒子を加速するように運転され得る。
【0045】
第二の形式の放射線であるγ線は、中性子がヨーク本体204と衝突したときに発生される。図6は、サイクロトロン200が動作しているときに粒子がヨーク本体204と一般に衝突する幾つかの点XRを示す。γ線は対応する点XRから等方的な態様で(すなわち対応する点XRから球面態様で遠ざかりながら)発散する。ヨーク本体204の寸法は、γ線の放射線を減弱させるような寸法を有し得る。このようなものとして、ヨーク本体204は、如何なる付加的な遮蔽を用いても公知のサイクロトロン用遮蔽システムよりも実質的に少ない材料によって製造され得るようにして、γ線からの放射線を減弱させるように製造され得る。
【0046】
例えば、図6は、半径方向部分222、移行領域218、及びコイル窩270から面208まで延在するヨーク本体204の部分をそれぞれ通って延在する厚みT4、T5、及びT6を示す。厚みT4、T5、及びT6は、外面205から所望の距離の範囲内での(又は外面205での)線量率が予め決められた量未満となるようにする寸法を有し得る。距離D7〜D9は、持続放射線が所望の線量率未満となるような外面205から遠ざかる予め決められた距離を表わす。外面205からの各々の距離D7〜D9は、ヨーク本体204の外側の点から外面507までの最短距離であってよい。
【0047】
従って、厚みT4、T5、及びT6は、目標電流が予め決められた電流において動作しているときにヨーク本体204の外側の線量率が所望の距離の範囲内で所望の量を超えないようにする寸法を有し得る。例として述べると、厚みT4、T5、及びT6は、約20μA〜約30μAの目標電流において対応する表面から約1メートル未満の距離において線量率が2μSv/hを超えないようにする寸法を有し得る。さらにまた、厚みT4、T5、及びT6は、約20μA〜約30μAの目標電流において対応する表面に沿った点において(すなわちD4、D5、及びD6が近似的にゼロに等しい)線量率が2μSv/hを超えないようにする寸法を有し得る。但し、線量率は目標電流に正比例していてもよい。例えば、線量率は、目標電流が10μA〜15μAであるときに対応する表面に沿った点において1μSv/hであってよい。
【0048】
線量率は、公知の方法又は装置を用いることにより決定され得る。例えば、イオン・チェンバ又はガイガー・ミュラー(GM)管方式のγ線サーベイ・メータを用いてγ線を検出すればよい。中性子は、イオン・チェンバ又はGM管の周囲で適当な材料(例えばプラスチック)と相互作用した中性子に由来する検出可能なγ線に通常基づく専用の中性子モニタを用いて検出され得る。
【0049】
一実施形態によれば、ヨーク本体204の寸法は、当該ヨーク本体204の周りでの漂遊磁場を制限する又は減少させると共にサイクロトロン200から放出される放射線を減少させるように構成される。ヨーク本体204を通る磁場に関してサイクロトロン200によって達成され得る最大電磁流量(B)は、厚みT5に沿って求められるヨーク本体204の最小断面積に基づき得る(又はこの最小断面積によって有意味に決定され得る)。このようなものとして、厚みT4及びT6に関連する断面積のようなヨーク本体204の内部の他の断面積の寸法は、移行領域218による断面積に基づいて決定され得る。例えば、磁石ヨークの重量を減少させるために、従来のサイクロトロンは典型的には、さらに少しでも減少させたとするとサイクロトロンの最大電磁流量(B)に実質的に影響を与えるような限界まで断面積T4及びT6を減少させている。
【0050】
しかしながら、厚みT4、T5、及びT6は、ヨーク本体204を通る所望の電磁流量(B)に基づくばかりでなく所望の放射線減弱にも基づき得る。このようなものとして、ヨーク本体204の幾つかの部分は、ヨーク本体204を通る所望の平均電磁流量(B)を達成するのに必要な量の材料に関して余分の材料を有し得る。例えば、厚みT6に関連するヨーク本体204の断面積は、余分の材料厚みを有し得る(ΔT1として示す)。また、厚みT4に関連するヨーク本体204の断面積は、余分の材料厚みを有し得る(ΔT2として示す)。従って、本書に記載される各実施形態は、厚みT5のように電磁流量(B)を上限未満に保つように画定された厚み、及び厚みT6及びT4のように加速室の内部から放出されるγ線を減弱させるように画定されたもう一つの厚みを有し得る。
【0051】
さらに、ヨーク本体204の寸法は、加速室の内部で用いられる粒子の形式、及びこれらの粒子が衝突する加速室206の内部の材料の形式に基づき得る。さらにまた、ヨーク本体204の寸法は、ヨーク本体を構成する材料に基づき得る。また、代替的な実施形態では、外部遮蔽をヨーク本体204の寸法と共に用いて、漂遊磁場及びヨーク本体204の内部から発散する放射線の両方を減弱させることができる。
【0052】
図7は、一実施形態に従って形成される同位体生成システムの遠近図である。システム500は、病院設定又は臨床設定の範囲内で用いられるように構成されており、システム100(図1)及びサイクロトロン200(図2〜図6)と共に用いられる類似の構成要素及びシステムを含み得る。システム500は、サイクロトロン502と、患者と共に用いられる放射性同位体を発生するターゲット・システム514とを含み得る。サイクロトロン502は、当該サイクロトロン502が起動されたときに荷電粒子が予め決められた経路に沿って移動する加速室533を画定している。利用時には、サイクロトロン502は予め決められた又は所望のビーム経路536に沿って荷電粒子を加速して、粒子をターゲット・システム514のターゲット・アレイ532に導く。ビーム経路536は加速室533からターゲット・システム514の内部まで延在しており、破線として示されている。
【0053】
図8は、サイクロトロン502の断面である。図示のように、サイクロトロン502は、サイクロトロン200(図3)と類似の特徴及び構成要素を有する。但し、サイクロトロン502は、共に介設されている三つの区画528〜530を含み得る磁石ヨーク504を含んでいる。さらに明確に述べると、サイクロトロン502は、ヨーク区画528及び530の間に位置する環区画529を含んでいる。環区画及びヨーク区画528〜530は図示のように共に積層されており、ヨーク区画528及び530は中央面534を挟んで互いに対面して内部に磁石ヨーク504の加速室506を画定している。図示のように、環区画529は、真空ポンプ576の口578に通じる通路P3を画定し得る。真空ポンプ576は真空ポンプ276(図3)と類似の特徴及び構成要素を有することができ、ターボ分子ポンプ376(図4)のようなターボ分子ポンプであってよい。
【0054】
また図示のように、サイクロトロンは、当該サイクロトロン502を包囲するシュラウド又は遮蔽524を含み得る。遮蔽524は、厚みTS及び外側面525を有し得る。遮蔽524は、ポリエチレン(PE)及び鉛から作製されることができ、厚みTSはサイクロトロン102からの中性子線束を減弱させるように構成され得る。外面205及び外側面525の両方が、サイクロトロン200の外面境界を別個に表わし得る。本書で用いられる「外面境界」とは、ヨーク本体204の外面205、遮蔽524の外側面525、及びサイクロトロン200が完全に形成されて閉鎖位にあり動作しているときに利用者によって接近され得るサイクロトロン200の区域の一つを含む。このように、磁石ヨーク202(図2)の他の寸法に加えて、遮蔽524は、所望の放射線減弱及び所望の漂遊磁場低減を達成するような寸法及び形状を有し得る。例えば、ヨーク本体204の寸法及び遮蔽524の寸法(例えば厚みTS)は、外側面525から約1メートル未満の距離、さらに明確に述べると0メートルの距離において線量率が2μSv/hを超えないように構成され得る。また、ヨーク本体204及び遮蔽524の寸法は、外側面525から1メートルの距離、又はさらに明確に述べると0.2メートルの距離において漂遊磁場が5ガウスを超えないようにする寸法を及び形状を有し得る。
【0055】
図7に戻り、システム500の遮蔽524は、開いて互いに対面する可動式隔壁552及び554を含み得る。図7に示すように、隔壁552及び554は両方とも開放位にある。閉じたときには、隔壁554はターゲット・システム514のターゲット・アレイ532及びユーザ・インタフェイス558を覆うことができる。隔壁552は、閉じたときにサイクロトロン502を覆うことができる。
【0056】
また図示のように、サイクロトロン502のヨーク区画528は、開放位と閉鎖位との間で移動自在であり得る。(図7は開放位を示し、図8は閉鎖位を示す。)ヨーク区画528は、当該ヨーク区画528が扉又は蓋のように回動して開いて加速室533への接近を提供することを可能にするヒンジ(図示されていない)に取り付けられ得る。ヨーク区画530(図9)もまた、開放位と閉鎖位との間で移動自在であってもよいし、環区画529(図9)と密着され又は一体形成されていてもよい。
【0057】
さらに、真空ポンプ576は環区画529及び筐体524のポンプ室562の内部に位置し得る。ポンプ室562は、隔壁552及びヨーク区画528が開放位にあるときに接近され得る。図示のように、真空ポンプ576は、水平の支持体520から口578の中心を通って延在する鉛直軸が中心領域538と交差するように加速室533の中心領域538の下方に位置する。また図示のように、ヨーク区画528及び環区画529は、遮蔽凹部560を有し得る。ビーム経路536は遮蔽凹部560を通って延在している。
【0058】
図9(A)及び図9(B)は、シュラウド又は遮蔽610(図9(B))が、本書に記載される各実施形態に従って形成されるサイクロトロンから発散する漂遊磁場に対して有し得る効果を示す。図9(A)及び図9(B)は、磁石ヨーク604の一部の幾何学的中心(点(0,0)によって示す)からの漂遊磁場分布を示す。図9(A)及び図9(B)では、軸690は、磁石ヨーク604の中心面から離隔する距離(mm)を示し、軸692は中心面に沿って中心から離隔する距離(mm)を示す。図9(A)は、遮蔽を有しない漂遊磁場分布を示し、図9(B)は、磁石ヨーク604の面状側面612に隣接して遮蔽610を設けたときの漂遊磁場分布を示す。磁石ヨーク604は、厚みT7が約200mmである。磁石コイル606及び磁極608の一部の断面も示されている。
【0059】
図9(A)に関し、磁石ヨーク604の直ちに外側の(すなわち磁石ヨーク604の面状側面612に沿った)点PF1での漂遊磁場は完全励起時に約40G(ガウス)であり、半径方向表面614又は円周の直ちに外側の点PF2での漂遊磁場は10Gである。面状側面612から約500mm離隔し、半径方向表面614から約200mm離隔したときの漂遊磁場は約5Gである。
【0060】
図9(B)は、遮蔽610が磁石ヨーク604の少なくとも一部を包囲している磁石ヨーク604による漂遊磁場分布を示す。遮蔽610は、10mmの非磁性物質によって磁石ヨーク604から隔設された5mm厚みの鉄を含んでいる。遮蔽610は、表面612及び614に直接取り付けられていてもよいし、磁石ヨーク604から僅かに離して隔設されていてもよい。図9(B)に示すように、遮蔽610は、漂遊磁場が中心面から離隔して延在する距離(すなわち軸690に沿った)を減少させる。さらに明確に述べると、5G限界が、面状表面612からの500mmの離隔から約200mmの離隔まで縮小される。さらに、図9(A)及び図9(B)を比較することにより示されるように、漂遊磁場の6G以上の等値線の間の間隔は著しく縮小され(すなわち詰まり合っている)4G以下の等値線の間の間隔は拡大されている(すなわちさらに離隔している)。従って、遮蔽610は、漂遊磁場が予め決められた距離(例えば200mm以下)において予め決められたレベルまで低下し得るように、面状表面612から離隔した漂遊磁場分布に影響を与えている。
【0061】
本書に記載される実施形態は、医療用途のための放射性同位体を生成することに限定されるものではなく、他の同位体を生成し、他のターゲット物質を用いてもよい。さらに、図示の実施形態では、サイクロトロン200は鉛直配向の等時型サイクロトロンである。しかしながら、代替的な実施形態は、他種のサイクロトロン及び他の配向(例えば水平)を含み得る。
【0062】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は材料を発明の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。本書に記載されている材料の寸法及び形式は、本発明の各パラメータを定義するためのものであるが、限定するものではなく例示する実施形態である。以上の記載を吟味すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する等価物の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準英語の同義語として用いられている。また、特許請求の範囲では、「第一」、「第二」及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件を課すものではない。さらに、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」形式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に続けて他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されるべきではない。
【0063】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0064】
100:同位体生成システム
102:サイクロトロン
104:イオン生成源システム
106:電場システム
108:磁場システム
110:真空システム
112:荷電粒子ビーム
114:ターゲット・システム
115:引き出しシステム
116:ターゲット物質
117:ビーム輸送路
118:制御システム
120:ターゲット域
122:冷却システム
124:筐体
200:サイクロトロン
202:磁石ヨーク
204:ヨーク本体
205:外面
206:加速室
207:外被
208、210:面
209、211:側面
212:上端
214:下端
216、218:移行領域
217、219:隅部表面
220:プラットフォーム
222:半径方向部分
223:半径方向外面
225:半径方向内面
228、230:ヨーク区画
231:上部
232:中央面
233:下部
236:中心軸
238:中心領域
241:内空間領域
243:外空間領域
248、250:磁極
252、254:磁極頂
260:磁石アセンブリ
262:遮蔽凹部
264、266:磁石コイル
268、270:磁石コイル窩
271:窩部表面
272、274:室壁
276:真空ポンプ
278:真空口
280:槽壁
282:ポンプ収容窩
283:ポンプ・アセンブリ
284:吸排気装置
285:粗引きポンプ
286、288:辺縁部
312:圧力センサ
356:開口
500:同位体生成システム
502:サイクロトロン
504:磁石ヨーク
506:加速室
514:ターゲット・システム
520:支持体
524:遮蔽
525:外側面
528、530:ヨーク区画
529:環区画
532:ターゲット・アレイ
533:加速室
534:中央面
536:ビーム経路
538:中心領域
552、554:可動式隔壁
558:ユーザ・インタフェイス
560:遮蔽凹部
562:ポンプ室
576:真空ポンプ
578:真空ポンプの口
604:磁石ヨーク
606:磁石コイル
608:磁極
610:遮蔽
612:面状側面
614:半径方向表面
690:磁石ヨーク604の中心面から離隔する距離(mm)
692:中心面に沿った中心から離隔する距離(mm)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速室を包囲するヨーク本体を有する磁石ヨークと、
荷電粒子を所望の経路に沿って導くように磁場を発生するように構成されている磁石アセンブリと
を備えたサイクロトロンであって、前記磁石アセンブリは前記加速室に位置しており、前記磁場は前記加速室を通って前記磁石ヨークの内部を伝播し、前記磁場の一部は漂遊磁場として前記磁石ヨークの外側へ漏れ出し、前記磁石ヨークは、前記漂遊磁場が外面境界から1メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する、サイクロトロン。
【請求項2】
前記ヨーク本体は、前記荷電粒子が前記所望の経路に沿って導かれる空間を間に有する相対向する磁極頂を含んでおり、該磁極頂の間の平均磁場強度は少なくとも1テスラである、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項3】
前記磁石ヨークは、前記漂遊磁場が前記外面境界から0.2メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する、請求項2に記載のサイクロトロン。
【請求項4】
前記外面境界は前記磁石ヨークの外面を含んでおり、前記磁石ヨークは、前記漂遊磁場が当該磁石ヨークの前記外面から測定した場合に0.2メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項5】
前記磁石ヨークを包囲するサイクロトロン遮蔽をさらに含んでおり、前記外面境界は前記サイクロトロン遮蔽の外面を含んでおり、前記磁石ヨークは、前記漂遊磁場が前記サイクロトロン遮蔽の前記外面から測定した場合に0.2メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項6】
前記ヨーク本体は、長手方向に隔設された両端部及び横方向に隔設された両側面を含んでおり、前記ヨーク本体は、磁石コイルを収容する内部磁石コイル窩を有し、前記ヨーク本体は、前記側面と前記端部との間に移行領域を有し、該移行領域は、前記磁石コイル窩の底面から前記ヨーク本体の最近接外面までで測定される厚みを有し、該移行厚みは、前記加速室の内部の粒子のγ減弱特性に基づいて決定される、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項7】
前記ヨーク本体は、サイクロトロン中央面に沿って配向された中空の円板形により形成され、前記ヨーク本体は、前記円板形の周囲に延在する円形外面を有し、前記漂遊磁場は、前記外面に接する線に沿って前記外面から半径方向外向きに測定される、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項8】
前記ヨーク本体は内面及び外面を含んでおり、前記ヨーク本体は、前記内外面を離隔する多数の半径方向厚みを有し、前記ヨーク本体の第一の区画が、電磁流量(B)を上限未満に保つように画定された第一の半径方向厚みを含んでおり、前記ヨーク本体の第二の区画が、前記γ減弱を予め決められたγ減弱限度までに限定するように画定された第二の半径方向厚みを含んでいる、請求項1に記載のサイクロトロン。
【請求項9】
前記磁石アセンブリは、前記磁石ヨークの中央面を挟んで互いから隔設されている一対の相対向する磁石コイルを含んでおり、該磁石コイルは、前記ヨーク本体の内部の対応するコイル窩の内部に位置し、前記第一の半径方向厚みは、対応するコイル窩から前記磁石ヨークの外面に沿った最近接点まで延在している、請求項8に記載のサイクロトロン。
【請求項10】
荷電粒子を所望の経路に沿って導く磁場及び電場を発生するように構成されているサイクロトロンを製造する方法であって、
加速室を包囲するヨーク本体を有する磁石ヨークを設けるステップであって、前記磁場は前記荷電粒子を導くために前記磁石ヨークの内部に発生され、前記磁石ヨークは、当該磁石ヨークから漏れ出る漂遊磁場が外面境界から予め決められた距離において予め決められた量を超えないようにする寸法を有する、設けるステップと、
前記磁場を発生するように構成されている磁石アセンブリを前記加速室に配置するステップであって、前記磁石アセンブリは、前記漂遊磁場が前記外面境界から1メートルの距離において5ガウスを超えないようにして動作するように構成されており、前記磁石ヨークは、同じく前記漂遊磁場が前記外面境界から1メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する、配置するステップと
を備えた方法。
【請求項11】
前記ヨーク本体は、前記荷電粒子が前記所望の経路に沿って導かれる空間を間に有する相対向する磁極頂を含んでおり、該磁極頂の間の平均磁場強度は少なくとも1テスラである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記磁石ヨークは、前記漂遊磁場が前記外面境界から0.2メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記外面境界は前記磁石ヨークの外面を含んでおり、前記磁石ヨークは、前記漂遊磁場が当該磁石ヨークの前記外面から測定した場合に0.2メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記磁石ヨークを包囲するサイクロトロン遮蔽をさらに含んでおり、前記外面境界は前記サイクロトロン遮蔽の外面を含んでおり、前記磁石ヨークは、前記漂遊磁場が前記サイクロトロン遮蔽の前記外面から測定した場合に0.2メートルの距離において5ガウスを超えないようにする寸法を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ヨーク本体は、長手方向に隔設された両端部及び横方向に隔設された両側面を含んでおり、前記ヨーク本体は、磁石コイルを収容する内部磁石コイル窩を有し、前記ヨーク本体は、前記側面と前記端部との間に移行領域を有し、該移行領域は、前記磁石コイル窩の底面から前記ヨーク本体の最近接外面までで測定される厚みを有し、該移行厚みは前記加速室の内部の粒子のγ減弱特性に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ヨーク本体は、サイクロトロン中央面に沿って配向された中空の円板形により形成され、前記ヨーク本体は、前記円板形の周囲に延在する円形外面を有し、前記漂遊磁場は、前記外面に接する線に沿って前記外面から半径方向外向きに測定される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ヨーク本体は内面及び外面を含んでおり、前記ヨーク本体は、前記内外面を離隔する多数の半径方向厚みを有し、前記ヨーク本体の第一の区画が、電磁流量(B)を上限未満に保つように画定された第一の半径方向厚みを含んでおり、前記ヨーク本体の第二の区画が、前記γ減弱を予め決められたγ減弱限度までに限定するように画定された第二の半径方向厚みを含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記磁石アセンブリは、前記磁石ヨークの中央面を挟んで互いから隔設されている一対の相対向する磁石コイルを含んでおり、該磁石コイルは、前記ヨーク本体の内部の対応するコイル窩の内部に位置し、前記第一の半径方向厚みは、対応するコイル窩から前記磁石ヨークの外面に沿った最近接点まで延在している、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(A)】
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【図9(B)】
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【公表番号】特表2012−526357(P2012−526357A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509818(P2012−509818)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028573
【国際公開番号】WO2010/129103
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】