説明

漏電遮断器のテストボタン用保護カバー

【課題】漏電遮断器のテストボタン4が漏電遮断器3表面から突起しているため、盤の保守や改修作業時などで人の手や工具などが誤って接触することにより漏電遮断器3が不要動作して、電気を供給している回路の遮断もしくは停電に至ることを阻止する。
【解決手段】漏電遮断器のテストボタン4は漏電遮断器本体3から突起しており、漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1を漏電遮断器のテストボタン4より突出した構造とすることで、人の手や工具などによる誤接触を防護でき、漏電遮断器3の性能試験として漏電遮断機能の正常動作の確認の操作を行うために、漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1の上部を開放することで漏電遮断器のテストボタン4の操作を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気回路に地気が生じた場合に、電気回路を遮断し人体の安全を確保するために使用される漏電遮断器3においては、性能試験として漏電遮断機能の正常動作の確認のために設けられているテストボタン4がある。本発明は、その漏電遮断器のテストボタン4に人の手や工具などが誤って接触することを防止する、漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1(以降、保護カバーと称す)であり、保護カバー1の取り付けおよび構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
電気設備改修工事においては、既存回路の調査は必須事項であり、回路および機器確認のため、事前に分電盤や動力盤などの既存回路の調査を、充電状態で行う必要があった。また、分電盤や動力盤などは充電部に人や物が触れないように、外扉と多くの場合は内扉が設けてあり、内扉には配線用遮断器や漏電遮断器3などの機器の入切操作が可能なように、機器に合わせて開口が施してあり、既存回路の調査や改修作業などでは、分電盤や動力盤の外扉や内扉を開放もしくは取り外すことがあった。
【0003】
既存回路の調査や改修作業などでは多くの場合、当該分電盤や動力盤などの外扉や内扉を開放もしくは取り外した後に行っているが、漏電遮断器のテストボタン4は漏電遮断器3の表面から突起しており、外扉および内扉を取り外す際や保守などで盤の外扉や内扉を開閉する場合には、人の手や工具および扉自体などが誤って漏電遮断器のテストボタン4に接触し、漏電遮断器3が不要動作する事故が発生することがあった。
【0004】
中でも漏電遮断器3はテストボタン4を備えており、年に1回から2回程度、漏電遮断器のテストボタン4を押して、漏電遮断器3の性能試験として漏電遮断機能の正常動作を確認している。
【0005】
漏電遮断器のテストボタン4に誤って触れ漏電遮断器3が不要動作すると、その漏電遮断器3が電気を供給している回路は停電し、回路に接続されている電気機器を停止させてしまうことになり、営業中の業務へ重大な影響または損害を引き起こす恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−171763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景技術のような状況下において、人の手や工具など誤って漏電遮断器のテストボタン4に接触することを防護し、営業中の業務への影響および損害を阻止する保護カバー1を提供すること。
【0008】
分電盤や動力盤などには多くの漏電遮断器3が使用されており、保護カバー1の脱着作業負担が大きいと、漏電遮断器3の数に比例して作業量や作業時間が増加し、充電部の近接作業時間も増加するため、保護カバー1は作業性や安全性を考慮した脱着時の作業負担の少ない構造とする必要がある。
【0009】
また、保護カバー1を脱着の際に漏電遮断器のテストボタン4へ最も人の手が近接するため、脱着時に漏電遮断器のテストボタン4へ接触することなく容易に脱着可能な構造を有する必要がある。
【0010】
保護カバー1を脱着の際は、充電部に近接して作業を行うため、誤って保護カバー1を落下させ保護カバー1が充電部に接触して、地絡および線間短絡事故に繋がる恐れがあり、接触しても安全なよう絶縁性能を有する必要がある。
【0011】
保護カバー1を装着時でも、保守や点検作業などにおいて漏電遮断器3の漏電遮断における動作確認を行えるよう、漏電遮断器のテストボタン4を操作できる機能を有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載した発明によれば、漏電遮断器のテストボタン4へ人の手や工具などが、誤って接触することによる漏電遮断器3の不要動作を阻止するため、漏電遮断器のテストボタン4より突出した構造とする。
【0013】
請求項2に記載した発明によれば、保護カバー1を簡単に取り付けるための粘着テープ2を備える。
【0014】
請求項3に記載した発明によれば、漏電遮断器のテストボタン4の上下左右からスライドして保護カバー1の脱着が可能であり、目視により漏電遮断器3正面から保護カバー1を脱着できるため、漏電遮断器のテストボタン4への接触を防止する。また、材質に軽くて衝撃にも強いプラスチック素材を使用することで、持ち運びを容易とし、誤って保護カバー1を盤内に落下させることがあっても、盤内での地絡や線間短絡事故などを起こすことなく、本質的に安全な絶縁機能を有する。
【0015】
請求項4に記載した発明によれば、漏電遮断器3から保護カバー1を取り外すため、保護カバー1に適度な力を加え漏電遮断器3より剥がすことができる粘着テープ2を備え、また装着したままでも漏電遮断器3の性能試験として、漏電遮断器のテストボタン4を操作し漏電遮断機能の正常動作の確認するため、保護カバー1の上部を開放する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の保護カバー1を漏電遮断器のテストボタン4に脱着の際の作業負担が小さく、人の手や工具および扉などが誤って漏電遮断器のテストボタン4に接触することを防護し、漏電遮断器3で保護された電気回路を保守や改修作業時などにおいて、漏電遮断器のテストボタン4に誤って接触することで生じる、不要動作による停電事故を大きく減少させ、保守や改修時などの作業における信頼性の向上が可能である。
【0017】
従来、盤の保守や改修作業時などでは、漏電遮断器のテストボタン4に誤って触れぬように細心の注意が必要であり、盤の保守や改修作業中は作業者へのストレスが大きく、盤の保守や改修作業における作業効率が低下していた。本発明の保護カバー1により、保守や改修作業時などの漏電遮断器3に対するストレスは軽減され、作業効率の向上が可能である。
【0018】
本発明を取付けの際、誤って充電部へ接触した場合でも、保護カバー1は絶縁性能を有するため作業者の感電や地絡および線間短絡事故を未然に防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】本発明の平面図である。
【図3】本発明の正面図である。
【図4】本発明の断面図である。
【図5】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構造を図1から図4に、実施するための形態の一実施例を図5から図7に示し、図に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
図5から図7は、本発明の一実施例である。本発明は保護カバー本体1を漏電遮断器本体3正面から目視確認を行い、漏電遮遮断器のテストボタン4の周囲へスライドしながら装着し、粘着テープ2にて漏電遮断器本体3へ直接取り付けるものである。
【0022】
盤の保守や改修作業終了などの後は、漏電遮断器本体3へ取付けてある保護カバー本体1へ力を加え、粘着テープ2を剥がすことにより漏電遮断器本体3から保護カバー本体1を取り外すことができる。
【0023】
なお、保護カバー本体1を装着したまま改修作業を終了するようなことがあっても、漏電遮断器のテストボタン4を操作できるため、漏電遮断器3の動作確認を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
ビルや工場などの電気使用場所において分電盤や動力盤などの保守や改修工事などの作業に際して、盤内部の漏電遮断器のテストボタン4に人の手や工具などが誤って接触することにより、当該漏電遮断器3が不要動作して、その漏電遮断器3が電気を供給している電気回路の不要停電がおこり、その結果、電気回路に接続される電気機器の停止につながる。そのため、保護カバー1を漏電遮断器本体3に装着することにより、漏電遮断器3の不要動作を阻止し電気機器の停止を防止できるため、営業中の業務への重大な影響または損害を回避でき、分電盤や動力盤などの保守や改修工事などの用途において適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 保護カバー本体
2 粘着テープ
3 漏電遮断器本体
4 漏電遮断器のテストボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路に地気が生じた場合に、電気回路を遮断し人体の安全を確保するために使用される漏電遮断器3においては、性能試験として漏電遮断機能の正常動作の確認のために設けられているテストボタン4があるが、漏電遮断器のテストボタン4が、漏電遮断器3表面から突起しているため、盤の保守や改修作業時などに人の手や工具などが誤って触れ、漏電遮断器3が電気を供給する回路を遮断もしくは停電させることを阻止するため、漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1を漏電遮断器のテストボタン4より突出した構造とすることにより、漏電遮断器のテストボタン4を保護する、漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1。
【請求項2】
漏電遮断器本体3へ簡単に取り付けることを可能とするように、裏面に粘着テープ2を備えた構造を有することを特徴とした、請求項1に記載の漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1。
【請求項3】
漏電遮断器のテストボタン4を目視しながら安全確実な脱着が行えるように、辺の一辺を開放して脱着の際に漏電遮断器のテストボタン4への接触を防ぐ構造を有することを特徴とし、
誤って落下させた場合であっても、充電部と接触して地絡や線間短絡事故などを発生することのない、絶縁材を使用することを特徴とした、請求項1に記載の漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1。
【請求項4】
保守や改修作業の終了後には、そのまま取り付けておいても良いが、不要であれば適度な力で取り外し可能な機能を有することを特徴とし、
漏電遮断器の保護カバー1を装着したままでも保守および点検時などには、漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1の上部を開放しているため、漏電遮断器のテストボタン4を操作できることを特徴とした、請求項1に記載の漏電遮断器のテストボタン用保護カバー1。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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