説明

演出照明システム

【課題】 データサイズを小さくでき、且つ長時間の演出や照明器具の台数が多い演出が可能な演出照明システムを提供する。
【解決手段】 光出力制御装置2は、基本パターンP1および繰り返し回数NおよびフェードインパターンPiおよびフェードアウトパターンPoおよびクロスフェードパターンPxを指示するストックデータを再生器3へ送信し、再生器3において、ストックデータはストックデータ格納部31に格納され、再生信号作成部32は、ストックデータに基づいて再生信号を作成し、送信部34は、Pi+(P1+Px)×N+PoとなるようにLED照明器具10の光出力を制御する再生信号を各LED照明器具10へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外のビルの壁面、橋、観覧車や、屋内のアミューズメント施設等で、演出を目的として照明器具の光出力を制御する演出照明システムがある。この演出照明システムは、複数の照明器具の点灯、消灯、調光、色見等を、予め設定した演出プログラムに基づいて制御することで、演出効果を得るものである。
【0003】
演出照明システムにおいても、コンピュータの発達に伴い、制御対象の照明器具を増やした複雑な演出が可能になってきた。また、赤、緑、青の3原色を発光可能なLED照明器具のように、制御可能な負荷の種類も増えており、必要とされる制御点数がさらに増えている。
【0004】
そして、照明器具の光出力を制御する演出データの作成には、高性能の汎用コンピュータの使用が経済的であり、予め演算済みの演出データを汎用コンピュータのハードディスクドライブにストックし、このストックしたデータを照明器具へ出力することで、照明器具の光出力による演出を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2004−534356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、演出照明システムに用いる汎用コンピュータのハードディスクドライブには、全演出時間のデータを作成してストックしており、制御点数の増大に伴ってデータのストックに必要な記憶容量が膨大になっていた。一般的な圧縮手法を用いてデータサイズを小さくすることは行われているが、長時間の演出や照明器具の台数が多い演出ではデータサイズが大きくなり、記憶媒体の容量を考慮すると、演出時間や照明器具の台数等の演出内容に制約を設けざるを得なかった。
【0006】
さらにハードディスクドライブは、駆動部を有するため故障しやすく、信頼性を維持するためには短期間での交換が必要となり、保守に手間がかかっていた。また、駆動部を持たない記憶媒体として、シリコンディスクやフラッシュメモリ等があるが、コストを考慮すると記憶容量が小さくなり、長時間に亘る演出や照明器具の台数が多い演出のデータをストックできなかった。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、データサイズを小さくでき、且つ長時間の演出や照明器具の台数が多い演出が可能な演出照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、1乃至複数の照明器具の光出力を制御する基本パターンを設定する基本パターン設定手段と、基本パターンの繰り返し回数を設定する繰り返し回数設定手段と、少なくとも基本パターンおよび繰り返し回数を指示するデータを作成するデータ作成手段と、当該データを出力するデータ送信手段とを備える光出力制御装置と、光出力制御装置から送信されたデータを受信するデータ受信手段と、受信したデータを格納するデータ格納手段と、格納したデータに基づいて、基本パターンを繰り返し回数、繰り返すように照明器具の光出力を制御する再生信号を作成する再生信号作成手段と、再生信号を照明器具へ出力する再生信号送信手段とを備える再生器と、で構成されることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、基本パターンの情報が入ったデータを作成して、基本パターンを繰り返し再生することで、全演出時間に相当するデータを作成する場合に比べてデータのサイズを小さくでき、長時間の演出や照明器具の台数が多い演出であっても、データ格納手段にデータを格納することができるので、長時間の演出や照明器具の台数が多い演出が可能になる。また、データ格納手段の容量を小さくできるので、データ格納手段には、駆動部を持たないシリコンディスクを用いることができ、システムの信頼性を向上させることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、前記光出力制御装置は、基本パターンの先頭にフェードインするフェードインパターン、基本パターンの最後からフェードアウトするフェードアウトパターン、基本パターンの最後から先頭に連続させるクロスフェードパターンを作成するパターン作成手段を備え、前記データ作成手段は、基本パターンおよび繰り返し回数およびフェードインパターンおよびフェードアウトパターンおよびクロスフェードパターンを指示するデータを作成し、前記再生器の再生信号作成手段は、フェードインパターンから基本パターンに移行した後、クロスフェードパターンを介して基本パターンを繰り返し、基本パターンを繰り返し回数、繰り返した後、フェードアウトパターンに移行するように照明器具の光出力を制御する再生信号を作成することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、演出の開始時にはフェードインパターンを介して消灯状態から連続的に光出力を変化させており、基本パターンの最後から先頭への移行時には、クロスフェードパターンを介して連続的に光出力を変化させており、演出の終了時にはフェードアウトパターンを介して消灯状態へ連続的に光出力を変化させており、したがって演出をスムーズに見せることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1において、前記再生信号作成手段は、時刻に連動して再生信号を作成することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、時刻に連動した演出を行うことができ、例えば複数の照明器具を用いてアナログ時計の動作をさせる演出を行うことができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、前記照明器具は、赤、緑、青の3原色を混色して発光可能なLED素子を光源とすることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、フルカラーでの演出を行うことができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4において、前記光出力制御装置は、前記LED素子の色バラツキを補正する手段を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、各照明器具の発光の色見を統一でき、演出に統一感が得られる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明では、データサイズを小さくでき、且つ長時間の演出や照明器具の台数が多い演出が可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
図1は演出照明システムの構成を示しており、本システムは、LED照明群1と光出力制御装置2と再生器3とを備えて、光出力制御装置2と再生器3との間をケーブル4で接続し、再生器3とLED照明群1との間をケーブル5で接続して構成される。
【0021】
LED照明群1は、複数のLED照明器具10,10,...で構成され、ケーブル5を介して送信される後述の再生信号あるいは制御信号によって、各LED照明器具10の点灯、消灯、調光、色見等を各々制御することで演出が行われる。
【0022】
LED照明器具10は、図2に示すように、1乃至複数の赤色LED素子11r、1乃至複数の緑色LED素子11g、1乃至複数の青色LED素子11bと、商用電源を入力として赤色LED素子11r、緑色LED素子11g、青色LED素子11bへ点灯電力を各々供給するLED点灯部12r,12g,12bと、LED点灯部12r,12g,12bの各出力を制御する点灯制御部13とで構成される。そして、点灯制御部13は、ケーブル3を介して送信される再生信号または制御信号に基づいて、LED点灯部12r,12g,12bが各LED素子11r,11g,11bに供給する点灯電力を各々制御し、LED照明器具10は赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を混色してフルカラーで発光可能となる。
【0023】
光出力制御装置2は、図3に示すように、モード切替部20と、演出プログラム作成部21と、ストックデータ作成部22と、色バラツキ補正部23と、制御信号作成部24と、送信部25とを備える。上記各部の機能は、光出力制御装置2をCPUやメモリ、ハードディスク、モニタ画面等を具備するコンピュータ装置で構成し、専用のソフトウェア(本演出照明システムのプログラム)を実行することで実現している。
【0024】
モード切替部20は、各LED照明器具10の光出力による演出を行うために設定された演出プログラムに基づいて再生器3へストックデータを送信するストックモードと、演出プログラムに基づく制御信号を再生器3を介して各LED照明器具10に直接送信する確認モードと、各LED照明器具10の色バラツキ補正のためにストックデータおよび制御信号を補正する補正モードとを切り替える機能を有する。
【0025】
演出プログラム作成部21は、演出プログラムを作成する機能を有し、演出対象器具指定部21aと、演出タイプ指定部21bと、演出時間指定部21cとで構成される。演出プログラム作成時には、演出対象器具指定部21aで演出の1パターンに使用するLED照明器具10を選択し、演出タイプ指定部21bで色見、調光度合等の演出の種類(例えば、指定した開始色から指定した順番で色替えするレインボーや、指定した周期毎にランダムに色替えするランダム等)を選択し、さらには演出時間指定部21cで演出の1パターンの時間を設定することで、演出の1つのパターンが作成される。そして、このようなパターンを複数作成し、これら複数のパターンを組み合わせることで1つの演出プログラムとなるが、一般的に、同じパターンを繰り返すことで一つの演出プログラムを構成することが多く、本実施形態では、同じパターン(以後、基本パターンP1と称す)を繰り返し行う演出について、以下説明する。
【0026】
まず、モード切替部20をストックモードに切り替え、演出プログラム作成部21で、演出の基本パターンP1を設定する(基本パターン設定手段)。ストックデータ作成部22は、ストック条件指定部22aと、ストックデータ生成部22bとで構成され、ストック条件指定部22aでは、データ圧縮条件に加えて、基本パターンP1の繰り返し回数Nを入力する(繰り返し回数設定手段)。この繰り返し回数Nは無限回数の入力も可能である。
【0027】
次に、ストックデータ生成部22bは、消灯状態から基本パターンP1の先頭にフェードインするフェードインパターンPi、基本パターンP1の最後から消灯状態にフェードアウトするフェードアウトパターンPo、基本パターンP1の最後から先頭に連続させるクロスフェードパターンPxを自動で生成し(パターン作成手段)、基本パターンP1および繰り返し回数NおよびフェードインパターンPiおよびフェードアウトパターンPoおよびクロスフェードパターンPxを指示するストックデータを一つのファイルとして作成する(データ作成手段)。ストックデータは、ストックモードにおいて送信部25からケーブル4を介して再生器3へ送信される(データ送信手段)。
【0028】
ここで、ストックデータ内の各パターンは、各LED照明器具10の赤色LED素子11r、緑色LED素子11g、青色LED素子11bの各出力レベルを指示するデータで構成されている。
【0029】
再生器3は、図1に示すように、受信部30と、ストックデータ格納部31と、再生信号作成部32と、再生タイミング判断部33と、送信部34とを備える。上記各部の機能は図4に示すように、再生器3を、CPU(演算処理部)3aと、RAM(高速読み書き可能メモリ)3bと、BIOSROM(BIOSプログラム格納部)3cと、シリコンディスク(アプリケーションプログラムおよびストックデータ格納部)3dと、LANコントローラ3e,3fと、外部信号入力部3gと、時計部3hとで構成することにより実現している。例えば、受信部30はLANコントローラ3eで構成され、ストックデータ格納部31はシリコンディスク3dで構成され、再生信号作成部32はCPU3aがアプリケーションプログラムを実行することで構成され、再生タイミング判断部33は外部信号入力部3gを介して入力される無電圧接点信号やRS232Cのシリアル信号をトリガ信号としてCPU3aが動作する、または時計部3hの時刻を参照してCPU3aが動作することで構成され、送信部34はLANコントローラ3fで構成される。
【0030】
そして、光出力制御装置2から受信部30を介して受信したストックデータは(データ受信手段)、ストックデータ格納部31に格納される(データ格納手段)。そして、再生タイミング判断部33は、外部からのトリガ信号を受信したとき、または所定時刻になったときに再生信号作成部32に演出処理の開始を指示する。演出処理を開始した再生信号作成部32は、ストックデータ格納部31からストックデータを読み出し、ストックデータに基づいて再生信号を作成して(再生信号作成手段)、送信部34からケーブル5を介して各LED照明器具10へ再生信号を送信する(再生信号送信手段)。
【0031】
この再生信号は、Pi+(P1+Px)×N+PoとなるようにLED照明器具10の光出力を制御する信号であり、LED照明器具10は、フェードインパターンPiから基本パターンP1に移行した後、クロスフェードパターンPxを介して基本パターンP1を繰り返し、基本パターンP1を繰り返し回数N、繰り返した後、フェードアウトパターンPoに移行して、演出を終了する。ここで、再生信号は、各LED照明器具10の赤色LED素子11r、緑色LED素子11g、青色LED素子11bの各出力レベルを指示するデータで構成されている。
【0032】
例えば、演出プログラム作成部21で、レインボーの演出をフェード時間3秒、周期30秒で作成し、ストックデータ作成部22のストック条件指定部22aで、繰り返し回数N=20回に設定した場合、基本パターンP1はレインボーの演出で、時間が27秒(周期30秒−フェード時間3秒)となり、フェードインパターンPi,フェードアウトパターンPo,クロスフェードパターンPxの各時間が3秒となる。そして、Pi+(P1+Px)×N+PoとなるようにLED照明器具10の光出力を制御すると、全演出時間は606秒(=3秒+(27秒+3秒)×20回+3秒)となり、長時間の演出が可能となる。
【0033】
すなわち、基本パターンP1の情報が入ったストックデータを作成して、基本パターンP1を繰り返し再生することで、全演出時間に相当するストックデータを作成する場合に比べて、ストックデータのサイズを小さくでき、長時間の演出や照明器具の台数が多い演出であっても、ストックデータ格納部31にストックデータを格納することができるので、長時間の演出や照明器具の台数が多い演出が可能になる。
【0034】
また、ストックデータ格納部31の容量を小さくできるので、ストックデータ格納部31には、駆動部を持たないシリコンディスクを用いることができ、システムの信頼性を向上させることができる。
【0035】
また、単純に基本パターンP1を繰り返して再生すると、演出の開始時、基本パターンP1の最後から先頭への移行時、演出の終了時に、LED照明器具10の光出力が急激に変化して不連続になり、演出がスムーズに見えないが、本実施形態では、演出の開始時にはフェードインパターンPiを介して消灯状態から連続的に光出力を変化させており、基本パターンP1の最後から先頭への移行時には、クロスフェードパターンPxを介して連続的に光出力を変化させており、演出の終了時にはフェードアウトパターンPoを介して消灯状態へ連続的に光出力を変化させており、演出がスムーズに見える。
【0036】
なお、再生器3にストックデータを格納した後は、光出力制御装置2と再生器3との接続を解除し、再生器3単体でLED照明器具10へ再生信号を送信して演出を行うことができる。
【0037】
次に、上記ストックモードでは光出力制御装置2で作成したストックデータを再生器3に格納し、演出時に再生信号をLED照明器具10へ送信して演出を行っているが、モード切替部20を確認モードに切り替えることで、光出力制御装置2で作成した制御信号を再生器3を介してLED照明器具10へ直接送信することで、演出の設定時等に実際の発光状態等の確認を行うことができる。以下、確認モード時の動作について説明する。
【0038】
まず、確認モードにおいて、光出力制御装置2の演出プログラム作成部21で、確認したいパターンの演出プログラムを作成し、制御信号作成部24は、この演出プログラムに基づいて制御信号を作成し、制御信号送信部25からケーブル4を介して制御信号を送信する。再生器3は、受信部30で受信した制御信号を、そのまま送信部34からケーブル5を介して各LED照明器具10に送信する。なお、制御信号は、実質、再生信号と同一フォーマットの信号であるが、説明の便宜上、区別するために互いに異なる名称を付しておく。
【0039】
そして、各LED照明器具10は、制御信号に基づく光出力に制御され、ユーザは実際の光出力を見て演出の確認等を行うことができる。ここで、制御信号は、各LED照明器具10の赤色LED素子11r、緑色LED素子11g、青色LED素子11bの各出力レベルを指示するデータで構成されている。
【0040】
上記ストックモードおよび確認モードにおいて、同じ再生信号または同じ制御信号に基づいて複数のLED照明器具10の光出力を制御したとしても、LED照明器具10毎にLED素子の色バラツキがある場合、LED照明器具10によって色見が異なってしまう。そこで、本実施形態の光出力制御装置2は、補正モードにおいて、ストックデータおよび制御信号に色バラツキ補正を施しており、以下、この色バラツキ補正について説明する。
【0041】
光出力制御装置2の色バラツキ補正部23は、補正対象器具指定部23aと、補正レベル調整部23dとで構成され、さらに補正対象器具指定部23aは、補正対象グループ指定部23b、グループ内器具追加削除部23cで構成される。そして、モード切替部20を補正モードに切り替えると、光出力制御装置2(コンピュータ装置)のモニタ画面上には、図5に示すような上記各部を操作する画面が表示される。
【0042】
まず、補正対象グループ指定部23bは、同じ色バラツキ補正を行うグループ(補正対象グループ)毎の補正状況が表示され、選択した補正対象グループが反転表示される。
【0043】
グループ内器具追加削除部23cには、LED照明群1の全てのLED照明器具10が、その配置にしたがって表示されており、補正対象グループ指定部23bで選択した補正対象グループに属するLED照明器具10が反転表示される。そして、同じ色バラツキを示すLED照明器具10が同一グループとなるように、当該補正対象グループに属するLED照明器具10の追加、削除を行う。
【0044】
次に、補正レベル調整部23dは、補正モードにおける赤、緑、青の各出力レベルLr2,Lg2,Lb2を連続的に変化させる赤レベル調整部Fr、緑レベル調整部Fg、青レベル調整部Fbを備えており、補正モード時の制御信号作成部24は、現在選択している補正対象グループに属するLED照明器具10に対して、赤色LED素子11r、緑色LED素子11g、青色LED素子11bの各出力レベルが、補正レベル調整部22dで調整した赤、緑、青の各出力レベルLr2,Lg2,Lb2となるように制御信号を作成する。なお、初期状態では、各出力レベルLr2,Lg2,Lb2は100%(すなわち、白色)に設定されている。上記制御信号は、送信部25から再生器3を介して補正対象のLED照明器具10へ送信され、ユーザは、実際に点灯している補正対象のLED照明器具10の色見を確認しながら、所定の色(ここでは白色とする)が所望の色見となるように、赤レベル調整部Fr、緑レベル調整部Fg、青レベル調整部Fbで赤、緑、青の各出力レベルLr2,Lg2,Lb2を調整する。上記処理を補正対象グループ毎に行えば、全てのLED照明器具10において白色の色見が同一となる出力レベルLr2,Lg2,Lb2が補正対象グループ毎に設定される。
【0045】
そして、モード切替部20をストックモードに切り替えると、ストックデータ作成部22のストックデータ生成部22bは、演出プログラムに基づく赤、緑、青の各出力レベルLr1,Lg1,Lb1に、補正レベル調整部23dで設定した赤、緑、青の各出力レベルLr2,Lg2,Lb2を乗じた出力レベルLr3[=Lr1×Lr2],Lg3[=Lg1×Lg2],Lb3[=Lb1×Lb2]を、補正対象グループ毎に算出し、該算出した出力レベルLr3,Lg3,Lb3を指示するストックデータを、補正対象グループ毎に作成する。このストックデータは、演出プログラムに基づく3原色の各出力レベルに、補正レベル調整部23dで調整した3原色の各出力レベルの比率を乗じたストックデータであり、各補正対象グループに属するLED照明器具10の色バラツキを補正するデータとなる。そして、上記作成されたストックデータは、再生器3のストックデータ格納部31に格納され、再生器3から送信される再生信号も色バラツキを補正した信号となるので、各LED照明器具10は、自己宛の再生信号に基づいて、赤、緑、青の各出力レベルがLr3,Lg3,Lb3となるように点灯制御され、色バラツキが補正される。
【0046】
また、モード切替部20を確認モードに切り替えた場合も同様に、制御信号作成部23は、演出プログラムに基づく赤、緑、青の各出力レベルLr1,Lg1,Lb1に、補正レベル調整部23dで設定した赤、緑、青の各出力レベルLr2,Lg2,Lb2を乗じた出力レベルLr3[=Lr1×Lr2],Lg3[=Lg1×Lg2],Lb3[=Lb1×Lb2]を、補正対象グループ毎に算出し、該算出した出力レベルLr3,Lg3,Lb3を指示する制御信号を、補正対象グループ毎に作成する。この制御信号は、演出プログラムに基づく3原色の各出力レベルに、補正レベル調整部23dで調整した3原色の各出力レベルの比率を乗じた制御信号であり、各補正対象グループに属するLED照明器具10の色バラツキを補正する信号となる。そして、各LED照明器具10は、自己宛の制御信号に基づいて、赤、緑、青の各出力レベルがLr3,Lg3,Lb3となるように点灯制御され、色バラツキが補正される。
【0047】
上記実施形態では、白色が所望の色見となるように補正を行うことで、全てのLED照明器具10について白色の色見が統一される。しかし、ある企業のコーポレートカラーがオレンジ色であり、このオレンジ色の色見にはこだわるが、他の色の色見については厳密さが要求されない演出の場合、ユーザは、実際に点灯しているLED照明器具10の発するオレンジ色が所望の色見となるように、補正レベル調整部23dで赤、緑、青の各出力レベルLr2,Lg2,Lb3を調整すればよい。他の色についても同様である。なお、補正モードにおける各出力レベルLr2,Lg2,Lb2の初期値を任意に設定することで、補正モードにおける初期値の色を任意に設定できる。
【0048】
上記のように補正モードで色バラツキを補正すれば、ストックモードおよび確認モード時に送信される全てのストックデータおよび制御信号に対して補正がなされるので、パターン数が多い演出や、制御するLED照明器具10が多い演出であっても、色バラツキを簡単に補正できる。さらに、高所や危険箇所等に設置されたLED照明器具10に対しても、LED照明器具10と分離して設けた光出力制御装置2によって色バラツキを補正することは容易となる。
【0049】
さらには、従来に比べて色バラツキの補正作業が軽減されるので、演出プログラムの設定作業にかかる費用、時間を低減できる。したがって、色バラツキの補正作業にかけていた作業時間を純粋な演出作成にまわすことができ、例えば、よりエンターテイメント性の高い演出を実現できるようになる。
【0050】
なお、上記演出の再生には光が連続的に見える目安である30フレーム/秒のリアルタイム性が必要となる。しかし、再生器3に汎用コンピュータを使用した場合、経済的ではあるが30フレーム/秒のリアルタイム性が保証されないことから、再生器3には、産業用コンピュータを用いることが望ましい。
【0051】
(実施形態2)
本実施形態では、図1〜図5に示す演出照明システムにおいて、複数のLED照明器具10を用いてアナログ時計の時間針および分針を演出した構成(例えば、観覧車の固定部等に設置される)について、以下説明する。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0052】
まず、光出力制御装置2において、モード切替部20をストックモードに切り替え、演出プログラム作成部21で、12時間で1周する時間針の動きをプログラムした基本パターンである時間針パターンPhと、60分で1周する分針の動きをプログラムした基本パターンである分針パターンPmとを各々作成するのであるが(基本パターン設定手段)、データのサイズを小さくするために、本実施形態では以下のように各パターンを作成している。時間針パターンPhおよび分針パターンPmは、各LED照明器具10を30フレーム/秒で制御するとともに、時間針パターンPhは、時間針が12分間で1周するように作成され、分針パターンPmは、分針が1分間で1周するように作成されている。すなわち時間針パターンPhは、21600フレーム(=30フレーム×60秒×12分)で構成され、分針パターンPmは、1800フレーム(=30フレーム×60秒×1分)で構成される。なお、時間針パターンPhの先頭は0時を指し、分針パターンPmの先頭は0分を指すように作成されている。
【0053】
そして、ストック条件指定部22aで、時間針パターンPhおよび分針パターンPmの各繰り返し回数Nh,Nmを無限回数に設定し(繰り返し回数設定手段)、さらに時間針パターンPhは連動時間として「12時間」を設定し、分針パターンPmは連動時間として「60分」を設定する。次に、ストックデータ生成部22bは、時間針パターンPhおよび繰り返し回数Nhおよび時間針パターンPhの連動時間を指示するストックデータ(以後、時間針ストックデータと称す)を一つのファイルとして作成し、さらに分針パターンPmおよび繰り返し回数Nmおよび分針パターンPmの連動時間を指示するストックデータ(以後、分針ストックデータと称す)をもう一つのファイルとして作成する(データ作成手段)。各ストックデータは、ストックモードにおいて送信部25からケーブル4を介して再生器3へ送信される(データ送信手段)。
【0054】
そして、再生器3において、光出力制御装置2から受信部30を介して受信した時間針ストックデータおよび分針ストックデータは(データ受信手段)、ストックデータ格納部31に格納される(データ格納手段)。そして、再生タイミング判断部33は、外部からのトリガ信号等に基づいて再生信号作成部32に演出処理の開始を指示する。演出処理を開始した再生信号作成部32は、ストックデータ格納部31から時間針ストックデータおよび分針ストックデータを読み出し、各ストックデータを時計部3h(図4参照)で計時している現在時刻に連動させることで再生信号を作成して(再生信号作成手段)、送信部34からケーブル5を介して各LED照明器具10へ再生信号を送信する(再生信号送信手段)。
【0055】
まず、時間針ストックデータに基づく再生信号は、以下のように作成される。時間針ストックデータによって指示される時間針パターンPhは、上記のように12分間分のデータ、すなわち21600フレーム(フレームNo.1〜No.21600とする)で構成されており、この全21600フレームのデータで時間針が1周する動きが再現されている。したがって、再生信号作成部32が読み出した現在時刻に基づいて作成する再生信号は、現在時刻をTh(=現在時間×60分×60秒+現在分×60秒+現在秒)とすると、現在時刻Thの最大値は、上記時間針パターンPhの連動時間「12時間」から43200秒となるので、
再生するフレームNo.={全フレーム数21600×(Th/43200秒)}
となる。なお、計算結果のフレームNo.が小数となった場合は、切り上げまたは切り下げでファイルNo.を決定する。
【0056】
また、分針ストックデータによって指示される分針パターンPmは、上記のように1分間分のデータ、すなわち1800フレーム(フレームNo.1〜No.1800とする)で構成されており、この全1800フレームのデータで分針が1周する動きが再現されている。したがって、再生信号作成部32が読み出した現在時刻に基づいて作成する再生信号は、現在時刻(分、秒のみ)をTm(現在分×60秒+現在秒)とすると、現在時刻(分、秒のみ)Tmの最大値は、上記分針パターンPmの連動時間「60分」から3600秒となるので、
再生するフレームNo.={全フレーム数1800×(Tm/3600秒)}
となる。なお、計算結果のフレームNo.が小数となった場合は、切り上げまたは切り下げでファイルNo.を決定する。
【0057】
例えば、分針ストックデータにおいて、現在時刻20分15秒に再生されるフレームNo.は、
再生するフレームNo.=[全フレーム数1800×{(20分×60秒+15秒)/3600秒)}]=フレームNo.607
となる。
【0058】
このように、現在時刻に連動して、時間針ストックデータを12時間毎に繰り返し用い、分針ストックデータを60分毎に繰り返し用いることで、12時間に亘って時間針と分針とを互いに連動させた演出プログラムを作成する場合に比べて、ストックデータのサイズを小さくでき、長時間の演出や照明器具の台数が多い演出であっても、ストックデータ格納部31にストックデータを格納することができる。
【0059】
また、ストックデータ格納部31の容量を小さくできるので、ストックデータ格納部31には、駆動部を持たないシリコンディスクを用いることができ、システムの信頼性を向上させることができる。
【0060】
さらに、本実施形態では、時間針パターンPhを12分間分のデータで作成し、分針パターンPmを1分間分のデータで作成することで、ストックデータのサイズをさらに小さくしており、ストックデータ格納部31の容量をさらに小さくできる。
【0061】
再生器3にストックデータを格納した後は、光出力制御装置2と再生器3との接続を解除し、再生器3単体でLED照明器具10へ再生信号を送信してアナログ時計の演出を行うことができる。
【0062】
なお、確認モード、補正モードでの動作は実施形態1と同様であり、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態の演出照明システムを示す構成図である。
【図2】同上のLED照明器具を示す構成図である。
【図3】同上の光出力制御装置を示す構成図である。
【図4】同上の再生器を示す具体的な構成図である。
【図5】同上の補正モード時の画面を示す平面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 LED照明群
10 LED照明器具
2 光出力制御装置
21 演出プログラム作成部
22 ストックデータ作成部
25 送信部
3 再生器
30 受信部
31 ストックデータ格納部
32 再生信号作成部
34 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1乃至複数の照明器具の光出力を制御する基本パターンを設定する基本パターン設定手段と、基本パターンの繰り返し回数を設定する繰り返し回数設定手段と、少なくとも基本パターンおよび繰り返し回数を指示するデータを作成するデータ作成手段と、当該データを出力するデータ送信手段とを備える光出力制御装置と、
光出力制御装置から送信されたデータを受信するデータ受信手段と、受信したデータを格納するデータ格納手段と、格納したデータに基づいて、基本パターンを繰り返し回数、繰り返すように照明器具の光出力を制御する再生信号を作成する再生信号作成手段と、再生信号を照明器具へ出力する再生信号送信手段とを備える再生器と、
で構成されることを特徴とする演出照明システム。
【請求項2】
前記光出力制御装置は、基本パターンの先頭にフェードインするフェードインパターン、基本パターンの最後からフェードアウトするフェードアウトパターン、基本パターンの最後から先頭に連続させるクロスフェードパターンを作成するパターン作成手段を備え、前記データ作成手段は、基本パターンおよび繰り返し回数およびフェードインパターンおよびフェードアウトパターンおよびクロスフェードパターンを指示するデータを作成し、
前記再生器の再生信号作成手段は、フェードインパターンから基本パターンに移行した後、クロスフェードパターンを介して基本パターンを繰り返し、基本パターンを繰り返し回数、繰り返した後、フェードアウトパターンに移行するように照明器具の光出力を制御する再生信号を作成する
ことを特徴とする請求項1記載の演出照明システム。
【請求項3】
前記再生信号作成手段は、時刻に連動して再生信号を作成することを特徴とする請求項1記載の演出照明システム。
【請求項4】
前記照明器具は、赤、緑、青の3原色を混色して発光可能なLED素子を光源とすることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の演出照明システム。
【請求項5】
前記光出力制御装置は、前記LED素子の色バラツキを補正する手段を備えることを特徴とする請求項4記載の演出照明システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−294260(P2007−294260A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121320(P2006−121320)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】