潜在セキュリティー用途のためのフレーク
【課題】抗偽造性の潜在図案で物体をマークすること。
【解決手段】1個以上の記号および/または選択された形状を有する潜在フレークは、組成物(例えば、インクまたはペンキ)中で使用され、潜在セキュリティー特徴を物体に提供する。この組成物は、ベース顔料を含有し、そしてこの潜在フレークは、ベース顔料の視覚的な特徴に適合する潜在顔料フレークである。透明な潜在フレークまたは不透明な潜在フレークは、キャリア中でベース顔料と混合される。透明な潜在フレークまたは不透明な潜在フレークは、ワニス顔料中で混合され、存在するセキュリティー特徴を覆ってまたはその他の場所に塗布され得る。この組成物は、上記物体(例えば、株券または銀行紙幣)上に視野を印刷する。この潜在フレークは、可視光のもとで表面的な観察によっては、容易に検出可能ではない。
【解決手段】1個以上の記号および/または選択された形状を有する潜在フレークは、組成物(例えば、インクまたはペンキ)中で使用され、潜在セキュリティー特徴を物体に提供する。この組成物は、ベース顔料を含有し、そしてこの潜在フレークは、ベース顔料の視覚的な特徴に適合する潜在顔料フレークである。透明な潜在フレークまたは不透明な潜在フレークは、キャリア中でベース顔料と混合される。透明な潜在フレークまたは不透明な潜在フレークは、ワニス顔料中で混合され、存在するセキュリティー特徴を覆ってまたはその他の場所に塗布され得る。この組成物は、上記物体(例えば、株券または銀行紙幣)上に視野を印刷する。この潜在フレークは、可視光のもとで表面的な観察によっては、容易に検出可能ではない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、顔料フレーク、より具体的には、コーティング組成物(例えば、インクまたはペンキ)に関し、上記コーティング組成物は、これが塗布される物体に潜在(covert)セキュリティーの特徴(例えば、抗偽造性の特徴)を与える。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
セキュリティー塗布(例えば、紙幣、高い価値のある品目の包装、容器に対する捺印(seal)に対して印刷された抗偽造性図案、および市販用の商品への直接的な用途に対してさえ印刷された抗偽造性図案)に使用するための特製顔料が開発されている。例えば、米国20ドル連邦準備銀行券は、光学的に変化可能なインクを現在使用する。紙幣の表面の右下のすみに印刷された数字「20」は、視角の変動と共に色を変化させる。これは、明白な、抗偽造性の図案である。このカラーシフト効果は、普通のカラー写真式複写機により複写可能ではなく、そして紙幣の受取人は、紙幣がカラーシフトセキュリティーの特徴を有するか否かを観察し、紙幣の信頼性を決定し得る。
【0003】
価値の高い他の書類および物体は、類似の手段を用いる。例えば、虹色の顔料または回折顔料が、物品(例えば、株券、パスポート、独創的な製品包装)に直接的に塗布されるか、物品に適用される捺印(seal)に塗布される、ペンキおよびインクにおいて使用される。偽造品がより洗練されるにつれて、より偽造しがたいセキュリティー特徴が望ましくなる。
【0004】
偽造に対抗する1つのアプローチは、多層カラーシフト顔料フレーク上の微細な記号を使用する。この記号は、光学特性(例えば、反射率)の局所的な変化により、多層カラーシフト顔料フレークの少なくとも1つの層の上に形成される。上記多層カラーシフト顔料フレークは、一般的に、スペーサー層(spacer layer)により反射層から分離された吸収層を有するFabry Perot型の構造を含む。この反射層は、代表的には、金属の層であり、この金属の層は、顔料フレークを本質的に不透明にする。これらの類型の顔料フレークの大部分が他の顔料と混合される場合、結果として生じる色は、上記顔料とは著しく異なり得、そして他の顔料と混合される顔料があまりにも少数である場合、これらは発見しにくい。
【0005】
ハログラフの情報を有する透明な顔料フレークもまた、抗偽造目的で使用される。単色の体積ホログラムが、可視領域赤外線(「IR」)または紫外線(「UV」)の参照レーザー光を用いて、ポリマー小板(polymeric platelet)において形成される。このポリマー小板には、金属反射層がなく、そしてこのポリマー小板は、他のコーティング(金属性コーティング(例えば、インクおよびペンキ)と混合され得、この混合において、このコーティングの主観的な色の外見が妨げられることはない。ポリマー小板はまた、ワニスコーティングにおいて組み込まれ得、このワニスコーティングは、その色を変化させることなく物品を覆って塗布され得る。このポリマー小板が参照レーザー光で照射された場合、このホログラムは、このホログラムが保持する情報を判読され得る。しかし、ポリマー物質は、太陽光で崩壊し得、そしてホログラムは、比較的に偽造し易い。なぜなら、元のホログラムは、複写(copying)を容易にする「指紋(fingerprint)」(テンプレート)を提供し得るからである。ホログラムは、かつてほど強力な抗偽造性の図案ではない。
【0006】
別の技術は、ポリエチレンテレフタラート(「PET」)のエポキシ−カプセル化形状のフレークである。反射層は、1巻きのPET上に堆積され、そしてこのPETは、断片に切断される。このフレークは、エポキシでコーティングされるかまたはカプセル化され、上記反射層の耐久性を改善する。これらのフレークは、種々の形状(例えば、正方形、長方形、六角形、および「アポストロフィー」)、ならびに反射金属(例えば、銀、シロメ、金および銅)性の色彩の選択において利用可能である。しかし、エポキシ層および比較的厚いPET基材(これは代表的に、最小約13ミクロン(0.5ミル)の厚さを有し、真空堆積プロセスにおいて使用する)は、比較的厚いフレーク(代表的には、14ミクロンよりも大きい)をもたらす。不幸なことに、このような厚さのフレークは、潜在用途における使用にとって望ましくなく、ここで、その厚さは、実質的にベース顔料よりも大きい。同様に、このような厚いフレークは、インク中で十分に流れず、そしてペンキ中でたまりを生じる。ペンキが、粗い表面をもたらす厚いフレークを含有する場合、比較的厚い透明なトップコートは、代表的には、粗い表面一面に塗布される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上で考察された技術の限界を克服した、抗偽造性の潜在図案で物体をマークすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(本発明の簡単な説明)
コーティング組成物は、無機誘電体物質の単一層で作製された、識別印のついた潜在フレークを含有する。識別印の例としては、選択されたフレークの形状および/または記号が挙げられる。この潜在フレークは、代表的には、キャリア(例えば、ワニスベース、ペンキビヒクルまたはインクビヒクル)中で分散され、コーティング組成物を形成する。この潜在フレークは、十分に希釈された濃度で分散され、その結果、この潜在フレークは、コーティング組成物において、軽く観察することによって、容易に検出可能ではなくなり、そして、上記潜在フレークは、澄明であるかまたは色づけされ得、ベース顔料の色と適合するか、または別個の光学的特徴(例えば、非常に反射性(「明るい」もしくは「銀色」)であること)を有する。
【0009】
特定の実施形態では、コーティング組成物は、識別印を有する、厚さ約10ミクロン未満の潜在不透明フレークを含有する。識別印の例としては、選択されたフレーク形状および/または組成物が挙げられる。無機誘電体物質の単一層の厚さが選択され、雲母ベースの真珠光沢ベース顔料に適合する、色付きの潜在フレークを提供する。
【0010】
特定の実施形態では、潜在セキュリティーフレークは、不可視照射で照射された場合に、蛍光を発する。本発明の実施形態では、蛍光潜在セキュリティーフレークは、組成物の1%未満を構成する。
【0011】
別の実施形態では、透明な潜在フレークは、ワニス組成物において、組成物の20%までを構成する。別の実施形態では、透明な潜在フレークは、光学的に変動し得るベース顔料フレークを有する組成物において全顔料重量の10重量%までを構成する。
【0012】
特定の実施形態において、潜在フレークは、無機誘電体物質(例えば、ZnS)の単一層である。無機誘電体物質の単一層の厚さは、色付きの潜在フレークまたは透明な潜在フレークを提供するように選択される。さらなる実施形態では、透明な潜在フレークは、加熱処理され、透明さ(すなわち、「白さ」)を改善する。
【0013】
別の実施形態では、コーティング組成物は、上記コーティング組成物内に、可視光下での観察によっては容易には検出可能でない、キャリア内で分散された透明な潜在フレークを有する。この透明な潜在顔料フレークは、UV光で照射された場合に蛍光を発し、そして50X−200Xの倍率で可視光下で判読可能な1以上の記号を有する。特定の実施形態では、上記キャリア内の透明なフレークは、可視領域内で70%より多くの透過率を有する。
【0014】
本発明の実施形態に従う組成物は、物体に塗布され、潜在セキュリティーの特徴を与える。顔料化組成物は、物体上に視野(field)(例えば、イメージ)を印刷するのに使用され得、そしてワニス組成物は、物体上に透明な視野を印刷されるか、または物体上に存在する像の上に刷り重ねるのに使用され得る。本発明の実施形態では、潜在フレークは、ベース顔料と混合され、潜在セキュリティーの特徴を、上記組成物で印刷されたイメージ(これは、ベース顔料で印刷されたイメージと実質的に類似して見える)に与える。本発明の1実施形態では、潜在フレークは、ベース顔料と混合され、潜在セキュリティー特徴を、この組成物で印刷されたイメージ(このイメージは、ベース顔料で印刷されたイメージと実質的に類似して見える)に与える。
【0015】
本発明の実施形態に従う方法では、潜在フレーク上の記号は、上記潜在セキュリティー特徴が不可視照射で照射された場合(すなわち、上記フレークが蛍光を発している場合)に、判読可能ではない。潜在フレークの位置は、不可視照射を用いて同定され、次いで、上記フレークは、可視光(代表的には、50X〜200Xの倍率)下で観察され、潜在フレーク上の記号を判読する。
【0016】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)
コーティング組成物であって、以下:
キャリア:および
該キャリア中に分散された複数の単層無機誘電潜在タグジェントフレーク
を含有する、コーティング組成物。
(項目2)
項目1に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在タグジェントフレークが、透明な潜在フレークである、コーティング組成物。
(項目3)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、選択された形状を有する、コーティング組成物。
(項目4)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、格子模様を含む、コーティング組成物。
(項目5)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、少なくとも1個の選択された記号を含む、コーティング組成物。
(項目6)
項目5に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、格子模様を有する、コーティング組成物。
(項目7)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記キャリアが、ワニスベースを含有する、コーティング組成物。
(項目8)
項目7に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、ZnSフレークであり、該ZnSフレークが、該コーティング組成物の10%以下を構成する、コーティング組成物。
(項目9)
項目7に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、熱処理されたZnSフレークであり、該ZnSフレークが、該コーティング組成物の20%以下を構成する、コーティング組成物。
(項目10)
項目2に記載のコーティング組成物であって、該コーティング組成物は、前記キャリア中に分散されたベース顔料をさらに含有し、該コーティング組成物中の透明な潜在フレークの量が選択され、その結果、該コーティング組成物の色が、該キャリア中に分散されたベース顔料を構成する第2のコーティング組成物と同一の色に見える、コーティング組成物。
(項目11)
項目10に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、光学的に変化可能な顔料フレークであり、そして前記透明な潜在フレークが、ZnSフレークであり、該ZnSフレークが、全フレーク重量の10重量%以下である、コーティング組成物。
(項目12)
項目10に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、不可視照射で照射された場合に、蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目13)
項目12のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、不可視照射で照射された場合に蛍光を発し、前記透明な潜在フレークが、該ベース顔料とは異なって蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目14)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、透明な潜在フレークが、前記キャリアにおいて、光の可視領域において、70%より多くの透過率を有する、コーティング組成物。
(項目15)
項目1に記載のコーティング組成物であって、該コーティング組成物は、色付のベース顔料をさらに含有し、ここで、前記潜在タグジェントフレークが、色付きの潜在顔料フレークである、コーティング組成物。
(項目16)
項目15に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、選択された形状を有する、コーティング組成物。
(項目17)
項目16に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、格子模様を有する、コーティング組成物。
(項目18)
項目15に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、少なくとも1個の選択された記号を含む、コーティング組成物。
(項目19)
項目18に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、格子模様を有する、コーティング組成物。
(項目20)
項目15に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、不可視照射で照射された場合、蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目21)
項目20に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、前記不可視照射で照射される場合に蛍光を発し、前記潜在顔料フレークが該ベース顔料とは異なって蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目22)
項目15に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、ZnS潜在顔料フレークである、コーティング組成物。
(項目23)
項目22に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、真珠層の鉱物−ベースのフレークを含有し、そして前記ZnS潜在顔料フレークが、該真珠層の鉱物−ベースのフレークと適合するように選択された厚さを有する、コーティング組成物。
(項目24)
項目23に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、不可視照射で照射された場合に蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目25)
項目24に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、全顔料重量の1重量%未満を含有する、コーティング組成物。
(項目26)
項目1に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在タグジェントフレークが、前記キャリア中において分散された、成形された不透明な潜在無機フレークであり、ここで、前記複数の成形された不透明な無機潜在タグジェントフレークの各々が、選択された形状および10ミクロン未満の厚さを有する、コーティング組成物。
(項目27)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、複数の薄型フィルム層を含む、コーティング組成物。
(項目28)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な無機潜在タグジェントフレークが、約0.5ミクロン〜約3ミクロンの間の厚さを有する、コーティング組成物。
(項目29)
項目26に記載のコーティング組成物であって、該コーティング組成物は、第2の選択された形状を有する、第2の複数の成形された不透明なフレークをさらに含有する、コーティング組成物。
(項目30)
項目29に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、明るいフレークを包含する、コーティング組成物。
(項目31)
項目29に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、格子模様を有し、前記選択された形状が、第1の倍率にて可視であり、該格子模様が、第1の倍率では可視でなく、ここで、該格子模様が、第2の倍率にて可視であり、該第2の倍率が第1の倍率よりも大きい、項目29に記載のコーティング組成物。
(項目32)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、格子模様を含む、コーティング組成物。
(項目33)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、元素インジケーターを含む、コーティング組成物。
(項目34)
項目33に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記不透明な潜在フレークにおける光学的に活性な層が、前記元素インジケーターを含む、コーティング組成物。
(項目35)
項目34に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記光学的に活性な層が、反射層、スペーサー層、および吸収層のうちの1つである、コーティング組成物。
(項目36)
項目33に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記元素インジケーターが、光学的に不活性な層に存在する、コーティング組成物。
(項目37)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、該コーティング組成物が、第1の元素組成物を有するベース顔料をさらに含有し、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、該第1の元素組成物において見出されない元素インジケーターを含有する第2の元素組成物を有する、コーティング組成物。
(項目38)
項目37に記載のコーティング組成物であって、ここで、ベース顔料と成形された不透明な潜在フレークとの比が、前記元素インジケーターの選択された量を提供するように選択される、コーティング組成物。
(項目39)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、該コーティング組成物は、第1の選択された色付きのベース顔料をさらに含有し、該ベース顔料が、前記成形された不透明な潜在フレークと混合され、顔料混合物を提供し、ここで、該成形された不透明な潜在フレークが、選択された形状を有する明るいフレークであり、かつ、該成形された不透明な潜在フレークが、該顔料混合物の5重量%未満を含有する、コーティング組成物。
(項目40)
項目39に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記明るいフレークが、前記顔料混合物の1%未満を構成する、コーティング組成物。
(項目41)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、明るいフレークを含有する、コーティング組成物。
(項目42)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、該コーティング組成物が、選択された色を有し、前記成形された不透明な潜在フレークが、該選択された色を有する、コーティング組成物。
(項目43)
項目42に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、雲母ベースの顔料を含有する、コーティング組成物。
(項目44)
項目42に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、カラーシフト顔料を含有する、コーティング組成物。
(項目45)
項目42に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記キャリアが、ワニスである、コーティング組成物。
(項目46)
顔料フレークを作製するための方法であって、該方法は、以下:
第1の模様部分および第2の模様部分を有する基材を提供する工程;
少なくとも1つの薄型フィルム層を、該基材上に堆積する工程;ならびに
該少なくとも1つの薄型フィルム層を、選択された量のタグジェントフレークを有するフレーク混合物へと加工する工程
を包含する、方法。
(項目47)
項目46に記載の方法であって、ここで、前記基材が、ロールフィルムであるか、またはポリマーフィルムである、方法。
(項目48)
項目21に記載の方法であって、ここで、前記第2部分が、第2の模様部分である、方法。
(項目49)
項目46に記載の方法であって、ここで、前記第1の模様部分が、枠を含み、前記タグジェントフレークが、選択された形状を有する、方法。
(項目50)
項目46に記載の方法であって、ここで、前記第1の模様部分が、格子模様を包含する、方法。
(項目51)
項目46に記載の方法であって、ここで、前記第1の模様部分が、記号を包含する、方法。
(項目52)
以下:
キャリア;および
該キャリアにおいて分散された透明な潜在フレーク
を含有するコーティング組成物であって、該透明な潜在フレークが、紫外線で照射された場合に蛍光を発し、該透明な潜在フレークが、50X〜200Xの倍率にて可視光下で判読可能な1以上の記号を有する、コーティング組成物。
(項目53)
物体に潜在セキュリティー特徴を提供する方法であって、該方法は、以下の工程:
項目1に記載の組成物を該物体に塗布し、前記潜在セキュリティー特徴を提供する工程を包含する、方法。
(項目54)
項目53に記載の方法であって、ここで、前記物体が、現存するセキュリティー特徴を有し、前記潜在フレークが、透明な潜在フレークであり、そして前記組成物がワニスであり、該塗布する工程が、該ワニスを該存在するセキュリティー特徴の上に塗布する工程を包含する、方法。
(項目55)
物体に塗布された潜在セキュリティー特徴を観察する方法であって、該方法は、以下の工程:
該潜在セキュリティー特徴を不可視照射で照射し、該潜在セキュリティー特徴において1つ以上の記号を有するフレークが蛍光を発するようにする工程;
該潜在セキュリティー特徴における該フレークの位置を同定する工程;ならびに
該フレークを可視光のもとで観察し、1つ以上の記号を判読する工程
を包含する。
(項目56)
組成物であって、以下:
化学薬品;および
印を有する複数の無機誘電体タグジェントフレークを含有し、ここで、該複数の無機誘電体タグジェントフレークが、該化学薬品と混合され、該組成物を形成する、
組成物。
(項目57)
項目56に記載の組成物であって、ここで、前記化学薬品は、爆発性の化合物であるか、または爆発性の前駆体である、組成物。
(項目58)
項目56に記載の組成物であって、ここで、前記無機誘電体タグジェントフレークが、本質的に透明であり、前記印が、記号を含む、組成物。
(項目59)
項目56に記載の組成物であって、ここで、前記無機誘電体タグジェントフレークが、不可視照射に曝された場合に、蛍光を発する、組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
(I.イントロダクション)
潜在セキュリティー塗布のためのフレークは、軽く観察することによっては、代表的には気付かれない。いくつかの種類の検査技術(例えば、顕微鏡下での検査または特定の類型の光の照明)が、上記フレークを見出し、そして/または判読するために使用される。本発明の実施形態に従うフレークは、着色され得るか(「顔料フレーク」)、または本質的に透明であり得る。
【0018】
1つの実施形態では、印(例えば、記号または特定の形状)を含むフレークは、これらが混合されるバルク顔料または他の物質の視覚的特徴に実質的に適合する。特定の実施形態において、選択された形状または記号を有する単一層の無機フレークが、真珠光沢雲母ベースのフレークまたは他のベース顔料と混合される。別の実施形態では、印を有する透明なフレークが、バルク顔料と混合され、この際、生じた混合物の視覚的な特徴が乱されることはない。なお別の実施形態では、印を有する透明なフレークが、ワニス中で混合され、そして物体の一面に塗布され、基底色が実質的に変化せずに、潜在セキュリティー特徴を提供する。本明細書中で用いられる場合、ワニスは一般的に、実質的に透明な組成物である。
【0019】
1つの実施形態では、印(例えば、特定の形状)を含む不透明なフレークは、これらが混合されるバルク顔料または他の物質の視覚的特徴に実質的に適合する。特定の実施形態では、選択された形状を有する単一層無機不透明フレークは、真珠光沢雲母ベースのフレークまたは他のベース顔料と混合される。この考察の目的のために、無機材料の「単一層」は、互いの上に形成された同一の無機物質の複数層を含む。
【0020】
無機潜在フレークは、熱、溶媒、日光、または他の因子が有機物フレークを崩壊し得る用途において、特に望ましい。例えば、爆発物において使用される無機潜在フレークは、高温および/または高圧に曝された後においてさえ検出可能であり、そして環境において分解されない。本発明の実施形態に従うフレークはまた、従来の成形されたフレークよりも実質的に薄く、代表的には、約10ミクロン未満であり、透明なトップコートを使う必要もなく、フレークのインク中での使用を可能にし、そしてペンキにおいて平坦な表面仕上がりをもたらす。本発明の実施形態に従う、薄い、無機フレークはまた、類似の技術を用いて作製されるベース顔料フレークの密度により近い密度を有する。有機物基材を組み込んでいる厚いフレークは、しばしば薄型フィルムベース顔料フレークとは別個の密度を有し、そして塗布前または塗布中のいずれかに、このキャリアが流体である場合に、分離し得る。フレークの分離は、望ましくない。なぜなら、フレークの分離は、組成物中での潜在フレークとベースフレークとの比率にむらを生じるからであり、そして、フレークの分離は、分離が潜在フレークの不当に高い濃度をもたらす場合に、潜在フレークの潜在性質を崩壊し得るからである。
【0021】
特定の実施形態において、ZnSの単一層から作製されたフレークは、熱処理され、このフレークの外見を白化または「ブリーチ」し、そして生じた組成物の透明さを改善する(すなわち、黄色の性質を減少させる)。この考察の目的のために、無機材料の「単一層」は、お互いの上に形成された同一の無機物質の複数層を含む。
【0022】
なお別の実施形態では、潜在フレークは、化学薬品(例えば、爆発物、爆発物前駆体、食物、薬物、または制御された物質)と混合される。この潜在フレークとしては、製造業者を同定するかまたは他の特定の情報を提供する印(例えば、記号および/もしくは他の模様(例えば、溝))が挙げられる。無機フレークは、熱、溶媒、日光、または他の因子が有機物フレークを崩壊し得る用途において特に望ましい。例えば、爆発物に使用される無機潜在フレークは、高温および/または高圧に曝された後でさえ検出可能であり、そして環境において分解されない。
【0023】
(II.例示的な潜在フレーク)
図1は、本発明の実施形態に従うセキュリティー特徴12を有する書類10の一部の平面図である。セキュリティー特徴12の少なくとも一部14は、バルク顔料(例えば、バルク顔料フレーク)と混合された、印を有する、透明なフレーク、色付フレークもしくは不透明なフレーク(これ以後、「潜在フレーク」)を含有する、インクまたはペンキを用いて印刷される。1つの実施形態では、上記潜在フレークは、特定の形状(例えば、正方形、長方形、台形、「ダイアモンド」形状、または丸型)を有する。別の実施形態では、この潜在フレークは、記号および/または格子模様を含み、これらの記号および/または格子模様は、選択された形状を有しても、または有さなくともよい。特定の実施形態では、この格子模様は、スペクトルの可視範囲において光学的に活性ではない格子間隔を有する。つまり、これらの格子模様は、可視回折格子を形成しない。潜在フレークはまた、時として「タグジェント(taggent)」フレークと呼ばれることがある(もっとも、全てのタグジェントフレークが、潜在フレークである必要はない)。
【0024】
一般的に、バルク顔料粒子(バルク顔料フレークを含む)は、不規則な形状を有する。1つの実施形態では、上記潜在フレークは、形状からはバルク顔料フレークとは識別不可能である。あるいは、バルク顔料フレークは、第1の選択された形状を有し、そして上記潜在フレークは、第2の選択された形状を有する。成形された顔料フレークの産生は、種々の技術(例えば、模様づけされた基材を用いて、上記フレーク物質を基材上に堆積し、次いで、この基材からフレークを分離し、模様を取得する工程、またはレーザーもしくは他の手段を用いて、1枚のフレーク物質から模様づけされたフレークを切り出す工程)を用いて達成される。この潜在フレークの選択された形状は、例えば、製造設備、製造年月日、または書類10の他の面、またはこの書類を作製する際に使用されたインクに関連し得る。
【0025】
ロールコーターは、本発明の実施形態に従う潜在フレークを製造するために使用され得る装置の1つの類型である。1巻きの1枚のポリマー基材物質(「ウェブ」としてもまた公知である)は、堆積帯域を通して通過し、そして1種以上の薄型フィルム層でコーティングされ得る。ポリマー基材のロールが堆積帯域を前後に複数回通過され得る。次いで、この薄型フィルム層は、ポリマー基材から分離され得、そしてフレークへと加工される。他の装置および技術が使用され得る。
【0026】
1巻きのポリマーフィルム基材から堆積され(そして除去され)る薄型フィルム層の全厚さを、約10ミクロン未満に制限することが、一般的に望ましい。PETは、ロールコーターに使用されるポリマーフィルム基材の1つの類型であり、そしてPETフィルム基材は、通常は少なくとも厚さ約13ミクロンである。より薄いPETフィルムは、真空堆積プロセス中に、熱的に変質する傾向がある。ポリマー基材が堆積帯域を通過する際、堆積帯域における熱および上記堆積された薄型フィルム層の重合熱の両方が、上記ポリマー基材の温度を上昇させる。従って、PETフィルムから切り取られ、そしてPETを取り込んでいるフレークの最小限の厚さは、約13ミクロンである。
【0027】
選択された形状を有することとは代替的に、またはこれに加えて、上記潜在フレークは、格子模様を含み得る。この格子模様は、フレークへと加工される薄型フィルム層を堆積する前にロールコーターにおいて使用される基材上に浮き彫り模様にされるか、またはそうでなければ形成される。さらなる実施形態では、上記薄型フィルム層が上記堆積基材から剥され、そしてフレークへと加工された場合、堆積基材表面領域の選択された量(百分率)は、格子模様または成形模様で浮き彫り模様にされ、選択量の潜在フレークを得る。この技術は、潜在フレークにベースフレークと同一の光学的図案(薄型フィルム層組成物および厚さ)を提供する。例えば、堆積基材表面領域の10%を、格子模様および/または成形模様で浮き彫りにすることで、約10%の潜在フレークを有する顔料混合物を生じる。堆積基材の種々のロールが、種々の量の潜在フレークを有する顔料混合物を得るために種々の百分率の浮き彫り表面領域と共に生産されるか、または種々の形状および/もしくは格子模様を獲得するために種々の模様で浮き彫りにされる。
【0028】
図2Aは、浮き彫り模様にされた部分13および浮き彫り模様にされていない部分15を有する堆積基材11の一部の簡略図である。この浮き彫り模様にされた部分は、枠(この枠は、図示の目的のために強調されている)を有し、あるいはまたは必要に応じて、例えば、格子もしくは記号を有し、そして浮き彫り模様にされていない部分は、本質的に平坦である。あるいは、浮き彫り模様にされていない部分は、異なる枠、格子、または記号で浮き彫り模様にされる。浮き彫り模様にされた部分13の表面積と浮き彫り模様にされていない部分15との表面積の比は、上記ベースフレーク(これは、浮き彫り模様にされていない部分から生産される)と同一の薄型フィルム構造を有する選択量のタグジェントフレーク(これは、浮き彫り模様にされた部分から生産される)を生み出す。上記堆積基材11は、ロールコーター中の堆積帯域(図示せず)を通って、1つのロール17から別のロール19へと移動するが、代替の実施形態は、種々の類型の基材および堆積系を使用する。図2Bは、浮き彫り模様にされた部分13’および浮き彫り模様にされていない部分15’を有する別の堆積基材11’の一部の簡略図である。
【0029】
選択された形状を有することとは代替的に、またはこれに加えて、上記潜在フレークは、1個以上の記号を含み得る。この記号は、文字、数字、または他の印(marking)であり得る。記号は、例えば、上記潜在フレークの製造業者、上記潜在フレークの使用者、または日付コードを示し得る。この記号は、フレークへと加工される薄型フィルム層を堆積する前に、ロールコーターにおいて使用される基材上に浮き彫りにされ得るか、または、堆積後(例えば、レーザーアブレーション、浮き彫りにすること、またはエッチングにより)薄型フィルム層上に形成される。
【0030】
選択された形状または記号を有する顔料フレークは、たとえ選択された形状または記号が容易に観察可能であっても、セキュリティー特徴を提供する;しかし、選択された形状または記号を有する顔料フレークが、容易に観察可能でない場合、偽造者は、潜在フレークが存在することに気付きさえし得ない。本発明の1つの実施形態は、上記ベース顔料と同一の光学的特徴を有する潜在顔料フレークを使用する。潜在顔料フレークの百分率は、十分に小さいので、その結果、この潜在顔料フレークは、顕微鏡検査のもとでも、容易に見出されない。例えば、インク組成物が顔料の全重量(すなわち、ベース顔料プラス潜在顔料)の1%未満を構成する場合、この潜在顔料フレークは、見つけるのが難しい。
【0031】
上記潜在顔料フレークは、肉眼では見えないが、約50X〜300Xの倍率のもとでは目に見える。本質的に同一の視覚的特徴を有する潜在顔料フレークは、上記組成物の色に著しい影響を与えずに、広汎な範囲の比率でベース顔料と混合され得る。いくつかの実施形態において、潜在顔料フレークは、5〜10重量%の潜在顔料フレークならびに95〜90重量%のベース顔料フレークを有する、類似の外観(例えば、色および/または色移動)の組成物中で、容易に同定可能である。しばしば、成形された不透明な潜在フレークは、携帯顕微鏡(例えば、「シャツ−ポケット」顕微鏡)を用いた視野(field)において容易に同定可能であり、そして、記号を有する同様の大きさのフレークを同定するよりも小さい倍率を必要とする。
【0032】
別のアプローチは、選択された形状または記号を有する透明な無機潜在フレークを使用することである。1つの実施形態では、透明な無機潜在フレークは、キャリア(例えば、インクビヒクルまたはペンキビヒクル)中でベース顔料フレークと混合され、組成物(例えば、インクまたはペンキ)を形成する。別の実施形態では、透明な無機潜在フレークは、透明なキャリア中で混合され、ワニスを形成する。上記キャリアの屈折の指標は、上記透明な潜在フレークの屈折率と十分に類似しており、その結果上記潜在フレークは、上記キャリア中で「消失する」。キャリアの例としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリ(エトキシエチレン)、ポリ(メトキシエチレン)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(無水マレイン酸)、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ(サッカライド)(例えば、アラビアゴムおよびペクチン)、ポリ(アセタール)(例えば、ポリビニルブチラール)、ポリ(ビニルハライド)(例えば、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニレン)、ポリジエン(例えば、ポリブタジエン)、ポリ(アルケン)(例えば、ポリエチレン)、ポリ(アクリル酸)(例えば、ポリメチルアクリレート)、ポリ(メタクリレート)(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリ(カーボネート)(例えば、ポリ(オキシカルボニルオキシヘキサメチレン)、ポリ(エステル)(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)、ポリ(スルフィド)(suphide)、ポリ(スルホン)、ポリ(ビニルニトリル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(スチレン)、ポリ(フェニレン)(例えば、ポリ(2,5−ジヒドロキシ−1,4−フェニレンエチレン)、ポリ(アミド)、天然ゴム、ホルムアルデヒド樹脂、ならびに他のポリマーが挙げられる。
【0033】
上記透明な潜在フレークは、代表的には、キャリア中で全く不可視になるわけではなく、空気中でより見えにくくなる。観察者が、どこを見るべきかを知っている場合、上記透明なフレークは、代表的には、曖昧な外観を有し、これは上記透明なフレーク中またはフレーク上に形成された記号と同様である。しかし、この透明なフレークを探す場所およびその探し方を知らない場合、通常は、検出されないままである。
【0034】
特定の実施形態では、上記透明な潜在フレークは、空気中で約30%の可視の範囲で反射性を有し、そしてキャリア中で30%未満の反射率を有する。従って、この透明な潜在フレークは、上記キャリア中で分散された場合、代表的には、70%より多くの透過度を有し、このキャリアは、この透明な潜在フレークが一緒に混合されるベース顔料またはこの透明な潜在フレークを含有するワニスのもとになるベース顔料の可視的な特徴を維持する。
【0035】
透明な、無機潜在フレークは、組成物またはワニスの全顔料重量の1%よりも多くを構成する場合でさえ、検出しにくい。1つの実施形態では、上記透明な潜在フレークは、UV光のもとで蛍光を発するZnS熱処理された単一層である。ZnS潜在フレークの位置は、UV光で照射され、その位置を同定し、次いで、ZnS潜在フレークは、代表的には、約20X〜200Xにて顕微鏡下で、上記潜在フレークの印を観察するために、可視光を用いて観察される。
【0036】
別のアプローチは、上記ベースフレークとは異なった色の選択された形状を有する不透明な潜在フレークを使用することである。1つの実施形態では、この不透明な潜在フレークは、誘電体物質(例えば、MgF2)の層間に、アルミニウムまたは他の反射材の薄型フィルム層を有する明るい金属(「銀」)フレークである。明るいフレークは、一般的に、可視波長の広汎な範囲にわたって、非常に反射性であり、そしてしばしば、特徴的な色を有さない。例えば、金および銅で作製された明るいフレークは、黄色っぽくそして赤っぽく見え得る。色付けされたベース顔料中の約0.25重量%〜約5重量%の成形された(例えば、「ダイアモンド」成形された)明るいフレークが、色の顕著な変化を生じることなく添加されたが、約50Xの倍率(すなわち、50倍の倍率)で照射されたもとでは、なお容易に同定可能である。照射された倍率では、形状およびこのフレークの非常な明るさの両方が、上記ベースフレークからこのフレークを区別する。約0.25%未満の成形された明るいフレークが使用される場合、上記潜在フレークは、検出するのが難しくなる。なぜなら、上記ベースフレークを用いた希釈のために、視野内に成形される明るいフレークが少なくなるからである。
【0037】
明るいフレークの量が、約5%を超える場合、特定の類型のフレークの色(例えば、色相)、特に暗く色付けされたフレークが、変化する。これらの例では、あまりにも多くの明るいフレークが、上記ベース顔料の色を本質的に「希釈化」する。しかし、成形された明るいフレークを、カラーシフト顔料を有する組成物中に使用することは、非常に望ましい。なぜなら、単一の類型の成形された明るいフレークが、多くの異なる類型(色および/またはカラートラベル)の顔料フレークに少量で添加され、比較的に少量の成形された明るいフレークは、潜在セキュリティー特徴を提供する。同様に、色の希釈は、顔料および明るいフレークを含有する組成物が、顔料100%フレークを含有する組成物と置き換えられるかまたはこれと識別不能であることが意図されない場合、塗布において決定的ではない。
【0038】
図3Aは、本発明の実施形態に従い、かつ、図1に図示されているセキュリティー特徴14の部分14Aの簡略平面図である。セキュリティー特徴14の部分14Aは、フレークの形状を見るために、代表的には20X〜200Xの倍率で見られ、このフレークは、代表的には直径約5ミクロン〜100ミクロン、より代表的には、直径約20ミクロン〜40ミクロンである。上記セキュリティー特徴は、ベース顔料粒子16および選択された形状の潜在顔料フレーク18(この場合、「ダイアモンド」形状)を含有するインクで印刷される。このベース顔料粒子は、不規則に成形されたフレークであると図示される。あるいは、このベース顔料粒子は、形状が選択されたフレークである。この潜在顔料フレークの光学的特徴および濃度は、上記ベース顔料粒子で作製された組成物の視覚的な外見を乱さないように選択される。
【0039】
上記潜在顔料フレークが、不可視照射(例えば、UV光もしくはIR光または電子ビーム)で照射される場合、この潜在顔料フレークは発光する。特定の実施形態において、この潜在顔料フレークは、UV光のもとで蛍光を発する。この潜在顔料フレークを不可視照射で照射することにより、観察者は、たとえ、潜在顔料フレークが非常に少量で存在するにしても、セキュリティー特徴における潜在顔料フレークが位置する場所を同定し得る。次いで、この観察者は、可視光のもとでこの潜在顔料フレークを調べ、この潜在顔料フレークの選択された形状を見るか、またはこの潜在フレーク上の記号を見る。
【0040】
上記ベース顔料粒子16は、不規則に成形されたフレークとして示される。あるいは、上記ベース顔料フレークは、選択された(すなわち、規則的な)形状を有する。同様に、上記潜在顔料フレーク18は、格子を有し得る。格子の付加により、偽造の困難性はさらに増大する。いくつかの実施形態では、この潜在顔料フレーク18は一般的に、上記ベース顔料粒子と同一の光学的特徴を有する。あるいは、この潜在顔料フレーク18は、上記ベース顔料粒子とは異なる光学的特徴を有するが、上記ベース顔料粒子で作製された組成物の視覚的外見を乱さないように十分に少量で存在する。
【0041】
特定の実施形態では、上記「ダイアモンド成形された」潜在フレークは、直径約25ミクロン〜35ミクロンの明るいフレークであった。この成形されたフレークは、ダイアモンド模様をPET堆積基材物質のロールへと浮き彫りにし、次いで、標準薄型フィルム図案を明るいフレーク(例えば、厚さ各約400nmのMgF2の層間の約100〜60nmのAl)に対して堆積することにより、作製される。この明るいフレークの厚さは、約900nmであり、これは、約1ミクロンである。この浮き彫りにされた模様はまた、(フレーク中またはフレーク上の模様を生み出すことが意図される格子に対抗するものとして)「枠」としてもまた公知であり、そしてある実施形態では陽性であり、そしてある実施形態では、陰性である。
【0042】
金属層と1種以上の誘電体層の組み合わせは、上記フレークの上記堆積基材からの除去を促進する。誘電体層しか有さない薄型積層物は、もろく(brittle)であり、そしてしばしばこの堆積プロセスからの残留応力(residual stress)を有する。このような薄型フィルムの積層物は、よりランダムに壊れる傾向があり、成形されるフレークはより少なくなる。全て金属の積層物または単一層は、上記堆積基材の枠に従う模様化されたフレークへと加工しにくい。なぜなら、上記金属は、比較的延性があるからである。特定の実施形態では、全体で約0.5ミクロン〜約3ミクロンの厚さを有する、金属−誘電体フレークおよび誘電体−金属−誘電体フレークは、延性ともろい特徴との絶妙の組み合わせを提供し、この組み合わせは、上記金属−誘電体フレークおよび誘電体−金属−誘電体フレークが上記基材から除去され、そして加工された場合に、フレークの魅力的な模様をもたらす。特定の実施形態では、もろい誘電体層間に全体で厚さ約1ミクロンの延性金属層を有する、成形された明るいフレークは、浮き彫りにされた堆積基材から、約90%のダイアモンド成形されたフレークを生じた。
【0043】
上記薄型フィルム層は、上記堆積基材から剥離され、そして従来技術を用いてフレークへと加工された。浮き彫りにされたダイアモンド模様は、線を提供し、この線に沿って、薄型フィルム層が、選択されたダイアモンド形状を有するフレークへと破壊された。別の実施形態では、このダイアモンド成形されたフレークは、約12ミクロン×16ミクロンであり、そしてこれは、上記フレークの主要表面上の格子を含んでいた。この格子は、1mmあたり名目上2000本の線であり、そしてタグジェントとして使用された場合に、組成物中で顕著な回折効果をもたらさなかった。12×16ミクロンのフレークの形状は、100Xの倍率にて容易に見られた;しかし、上記格子は、この倍率では容易に見えなかった。この格子は、400Xの倍率にて容易に明らかになった。他の実施形態では、格子は、粗く、タグジェントフレークの形状を識別するために使用され、同一の倍率(例えば、50X〜100X)にて容易に見られる。従って、セキュリティー特徴をタグジェントフレークに提供するのに使用される格子は、スペクトルの可視部分において光学的に活性である必要はない。
【0044】
図3Bは、本発明の別の実施形態に従うセキュリティー特徴14の一部の簡略平面図である。このセキュリティー特徴は、ベース顔料粒子16および潜在顔料フレーク18Bを含有するインクで印刷され、上記潜在顔料フレーク18Bは、不規則な形状を有し、そして記号17(この場合、様式化された「F」)を含む。いくつかの異なる記号および記号の組み合わせが、使用され得る。セキュリティー特徴部分14Bは、代表的には、約100X〜200Xの倍率で、記号を見るために、潜在顔料フレーク18B上に観察され、この記号は、代表的には、高さ約0.5ミクロン〜20ミクロンである。
【0045】
上記潜在顔料フレーク18Bは、1種以上の薄型フィルム層を、基材(例えば、プラスチックフィルム)に堆積し、基材からこの薄型フィルム層から分離し、そして上記分離された薄型フィルム層を加工(例えば、所望のフレークへとひくこと(milling)およびふるいにかけること(sieving)して、作製された。この潜在顔料フレークは、代表的には、直径約5ミクロン〜100ミクロンであり、そしてより代表的には、直径約20ミクロン〜100ミクロンである。上記記号17は、代表的には、高さ約0.5ミクロン〜20ミクロンである。特定の実施形態では、この記号17は、高さ約700ナノメーターであり、別の実施形態では、この記号は、高さ約15ミクロンである。十分に近い記号を有し、その結果、ほとんどのフレークが、少なくとも1つの、記号の同定可能な部分を有することが一般的に望ましい。1つの実施形態では、高さ8ミクロンの記号は、約2ミクロンの間隔が空けられ、この結果、1フレーク当たり、平均約6個の記号を有する潜在フレークを生じた。左右対称の対称性を有する記号は、透明なフレークの頂部から観察されても底部から観察されても、同一であるように見えるが、このような対象性は必要とされない。別の実施形態では、高さ約15ミクロンである記号は、間隔が約4ミクロン空けられた。
【0046】
上記記号は、代表的には、基材上に浮き彫りにされ、そして上記薄型フィルム層は、浮き彫りにされた基材を覆って堆積される。この基材の表面、すなわち記号は、少なくとも第1の薄型フィルム層において繰り返され(replicate)、この第1の薄型フィルム層は、上記基材上に堆積され、これは、陽性または陰性のいずれかのレリーフ(relief)である。従って、この薄型フィルム層が、浮き彫りにされた基材から分離され、そして顔料へと加工される場合、少なくともいくつかのフレークは、この記号を含む。フレーク上の浮き彫りにされた記号の間隔は、本質的に全ての上記の特定の大きさのフレークが、少なくとも1個の記号を含むように選択され得る。
【0047】
上記ベース顔料粒子は、不規則に成形されたフレークとして図示される。あるいは、このベース顔料粒子は、選択された形状を有する。同様に、上記潜在顔料フレーク18Bは、上記記号17に加えて、選択された形状を有し得、そして重ねられた格子(例えば、回折格子)は、全フレークまたはフレークの選択された部分のいずれかの方々に含まれ得るが、記号の方々に含まれるわけではない。あるいは、格子の1つの類型は、フレークの場(field)において形成され、そして格子の別の類型(例えば、別個のピッチを有するもの)が、上記記号領域に形成される。格子の付加は、偽造をさらに困難にする。上記潜在顔料フレークは、一般的に、ベース顔料粒子と同一の光学的特徴を有するか、または、上記ベース顔料粒子で作製された組成物の視覚的外観を乱さないように十分に少量で存在する。
【0048】
特定の実施形態では、上記ベース顔料粒子は、TiO2または他の誘電体物質の層で被覆された雲母のフレークである。上記コーティング物質は、代表的には、比較的高い屈折率を有する。雲母は、比較的に廉価で容易にフレーク基材へと加工される天然に生じる鉱物である。雲母フレーク基材が、厚さの選択された高屈折率材料の層でコーティングされる場合、真珠光沢顔料フレークが得られる。雲母フレーク基材は、種々のプロセスを用いて、いくつかの代替物質でコーティングされ得る。このような顔料は、一般に「雲母ベース」顔料として公知である。このような真珠光沢顔料フレークを用いて印刷したイメージの写真複写は、原物のようには見えず、従って、雲母ベースの顔料フレークは、明白なセキュリティー特徴を提供する使用が望ましい。しかし、雲母フレーク基材を成形することまたは雲母フレーク基材上の記号を提供することは、実際的ではない。本発明の実施形態に従う潜在顔料フレークは、雲母ベース顔料と混合され、潜在セキュリティー特徴が、雲母ベースの顔料フレークで印刷されるイメージ中に含まれることが望ましい。無機誘電体物質(例えば、TiO2またはZnS)の単一層でできた潜在顔料フレークは、可視スペクトルにおける選択された波長にて、上記潜在顔料フレークが4分の1の波の光学的厚さ(quarter−wave optical thickness(「QWOT」)の約5倍の厚さを有する場合、雲母ベース顔料と類似の外観を有し得る。代表的には、雲母ベース顔料の外観に適合するように意図されたZnSの単一層潜在顔料フレークは、約60nm〜約600nmの厚さを有する。
【0049】
浮き彫りにされたダイアモンド成形模様の堆積基材から、すべて誘電体のフレークを加工する工程は、対照金属−誘電体フレークよりも少ない収量を有する傾向がある。
【0050】
図3Cは、本発明のなお別の実施形態に従うセキュリティー特徴14Cの一部の簡略平面図である。このセキュリティー特徴は、ベース顔料粒子16および透明な潜在フレーク19を含有するインクで印刷され、この透明な潜在フレーク19は、不規則な形状を有し、そして記号17’(この場合、様式化された「F」)を含む。いくつかの異なる記号および記号の組み合わせは、代替的に使用される。あるいは、透明なフレークは、選択された形状を有し、これには記号を有するものまたは記号を有さないものがある。
【0051】
上記透明な潜在フレークは、堆積された(すなわち、合成的な)無機薄型フィルム層から形成され、そして特定の実施形態において、この透明な潜在フレークは、厚さ約700nmのZnSの単一層である。さらなる実施形態では、上記ZnSのフレークは、蛍光を増強するように処理される。あるいは、UV光に曝された場合、可視光を発する他の物質(例えば、少し例を挙げれば、ケイ酸亜鉛、酸化カルシウム−タングステン(calcium−tungsten oxide)、リン酸バナジウムイットリウム(yttrium phosphate vanadium)、ドープ化された酸化イットリウム(例えば、ユーロビウム)、および希土類アルミン酸塩をドープ化されたアルカリ性土類アルミン酸塩)が、他の実施形態において使用される。あるいは、低UV照射(約250nm)で励起される場合、長いUVの範囲(300nm〜400nm)において蛍光を発する他の物質が使用される。蛍光は、本発明の全ての実施形態に対して必要とされるわけではない。
【0052】
1つの実施形態では、上記透明な潜在フレーク物質は、この透明な潜在フレーク物質が一緒に混合される意図されたキャリアに従って選択され、このキャリアにおけるフレークの屈折率が適合するかまたは適合しないかを選択する。例えば、低屈折率物質から作製された透明なフレークが低−指標キャリア中で混合される場合、上記透明なフレークは、非常に見にくい。上記屈折率の透明なフレークが、高屈折率キャリア中で混合される場合、この透明なフレークは見やすいが、一般的には、簡単な観察により検出されるわけではない。
【0053】
約10個よりも多くのQWOTの厚さの無機物質でできた単一層フレークは、透明である傾向があり、染色されたり真珠光沢性ではない。しかし、透明なフレークでさえ、黄色っぽい色合いを組成物(例えば、ワニス)に与え得る。いくつかの透明な無機フレークの熱処理は、フレークの「白さ」を改善し、潜在セキュリティー用途における使用が優れたワニスをもたらす。特定の実施形態において、厚さ約700nmのZnSの単一層から作製された透明な顔料フレークは、空気中で550℃に、約600分にわたって加熱され、UV光のもとで蛍光を増強した。この熱処理はまた、上記ZnSフレークの白さを改善した。
【0054】
ロールコーティングプロセスから残存する微量元素が、蛍光の増強に寄与したと考えられている。特に、NaClは、このロールコーティングプロセスに使用されたポリマー基材上の放出層(release layer)として使用された。ZnSの単一層は、NaCl放出層の方々に堆積され、次いでこのNaCl放出層は、水中に溶解し、このポリマー基材からのZnSの除去を促進した。放出層からのナトリウムが、ZnSまたは他の活性化されたドーパントにドープ処理し、蛍光を増強したと考えられる。
【0055】
図4Aは、本発明の実施形態に従う明るい顔料フレーク20の簡略断面である。反射層22は、2個の誘電体薄型フィルム層24、26の間にある。誘電体薄型フィルム層24、26のために、上記明るい顔料フレーク20が硬化し、そして上記ロールコーター基材からの顔料フレークの除去を促進する。上記明るい顔料フレークの厚さを、10ミクロン未満に維持し、平坦な表面へと乾燥または硬化する組成物を提供することが望ましい。特定の実施形態において、フレークの厚さは、約1ミクロン〜約3ミクロンである。より薄いフレークは、より加工しにくく、そして扱いにくい。その理由は、上記より薄いフレークは、重量がほとんどなく、そしてより強度であるからであり、枠模様に沿って壊れにくい。
【0056】
上記反射層22は、代表的には、非常に反射性の金属(例えば、アルミニウム、プラチナ、金、銀、もしくは銅)、または中程度に反射性の金属(例えば、鉄もしくはクロム)の薄型フィルム層である。この反射層22は、スペクトルの可視部分において、不透明(反射性)であるには十分に厚いが、この薄型フィルム層が上記基材から分離し、次いでフレークへと加工されるのを妨害するほど厚くはない。換言すれば、厚すぎる金属反射層は、比較的もろい誘電体層24、26の間に、延性のある層を提供し、そしてこの堆積された層のフレークへの加工を妨害する傾向にある。上記誘電体層の適切な金属としては、とりわけ、ZnS、MgF2、SiO2、Al2O3、TiO2、Nb2O5およびTa2O5が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記誘電体薄型フィルム層24、26はまた、反射層22に対して環境の保護を提供する。
【0057】
上記明るいフレーク20は、選択された形状を有し、そして必要に応じてかまたは代替的に、他の印(例えば、表面(格子)模様または元素の指紋(elemental fingerprint))を有する。十分に低い濃度では、この明るいフレーク20が、色付き顔料および色付き組成物(例えば、インクおよびペンキ)に添加される。成形された明るいフレークは、ベース(すなわち、ランダムに成形されたかまたはあるいは代替的に成形された)明るいフレークに、潜在セキュリティー特徴として添加され得る。
【0058】
図4Bは、元素インジケーター層28を有する明るいフレーク20’の簡略断面図である。この明るい層20’は、誘電体層24’、26’の間の反射性の層22’、22’’、および元素インジケーターを提供する層28を有する。この元素インジケーター層28は、この明るいフレークが一緒に使用されるベース顔料において見出されない物質の層であり、そしてこれは、元素分析技術(例えば、第2イオン質量分光分析(「SIMS」、エネルギー発散性X線(「EDX」)およびAuger分析)を用いて容易に検出可能である。さらに、この元素インジケーターは、上記潜在フレークに存在するが、上記ベースフレークには存在せず、そしてマイクロ−SIMS分析、マイクロ−EDX分析、またはマイクローAuger分析は、容易にこの差異を検出する。上記顔料混合物に指示元素(indicating element)を添加(例えば、指示元素を含有する少量の化合物をキャリアに添加)するだけなら、このセキュリティー特徴に打ち勝つことは出来ない。
【0059】
上記元素インジケーター層28は、光学活性ではない。なぜなら、この元素インジケーター層28は、2つの半透明な反射層22’、22’’の間にあるからである。この反射層22’、22’’は、上記ベースフレークにおいて使用される同一の物質(例えば、アルミニウム)であるように選択される。元素インジケーターとして適切な物質としては、とりわけ、プラチナ、イリジウム、オスミウム、バナジウム、コバルト、およびタングステンが挙げられる。当業者は、選択された元素インジケーター物質が、一緒に使用される同一のベース顔料に依存することを理解する。代替の実施形態において、明るい顔料の上記反射層は、元素インジケーター物質に属する(図3B、参考文献22を参照のこと)。例えば、プラチナを反射層として用いた明るい潜在顔料フレークまたは色付き顔料フレークは、アルミニウムを反射層として用いた明るいベースフレークまたは色付き顔料フレークと混合される。さらなる実施形態では、顔料混合物または組成物へと組み込まれる元素インジケーターを有するフレークの量が選択され、顔料混合物における選択された元素比率(例えば、アルミニウム対プラチナ)を提供する。代替の実施形態またはさらなる実施形態では、上記誘電体薄型フィルム層24’、26’の物質(図4A、参考文献番号24、26)が選択され、元素インジケーターを提供する。
【0060】
図4Cは、本発明の別の実施形態に従う、カラーシフト顔料フレーク30の簡略断面図である。このカラーシフト顔料フレーク30は、一般的に対称性の5層Fabry−Perot干渉フレークとして公知である。薄型フィルムの積層物32は、反射性金属層34、2層のスペーサー層36A、36B、および2層の吸収層38A、38Bを含む。上記吸収層は、代表的には、クロム、炭素または他の物質の、非常に薄く、やや不透明な層である。上記反射層、スペーサー層、および吸収層は、全て光学的に活性であり、つまり、これらの反射層、スペーサー層、および吸収層は、上記カラーシフト顔料フレークの光学的性能に寄与する。上記フレークの各面は、入射光に対して類似のFabry−Perot干渉構造を提供し、それゆえこのフレークは、光学的に対称性である。あるいは、このカラーシフト顔料フレークは、全て誘電体の顔料フレークである。
【0061】
上記カラーシフト顔料フレークの、色およびカラートラベルは、光学的に変化し得る顔料の技術において周知であるように、このフレークの光学的図案、すなわち薄型フィルム積層物32の層の物質および厚さにより決定される。カラーシフト顔料フレーク30の光学的図案は、代表的には、カラーシフト顔料フレーク30が一緒に混合される上記ベース顔料フレークの光学的特性に適合するように選択される。このカラーシフト顔料フレーク30が成形され(図3A、参考文献18を参照のこと)、そして必要に応じてかまたは代替的に、他の印(例えば、表面格子模様および/または元素インジケーター)を含む。
【0062】
例えば、上記反射層は、元素インジケーターを含み、上記ベース顔料フレークとは異なる反射性金属またはさらなる元素インジケーター層を含み、これは、光学的に活性であっても光学的に活性でなくてもよい(図3C、参考文献28を参照のこと)。あるいはまたはさらに、上記スペーサー層36A、36Bおよび/または吸収層38A、38Bは、元素インジケーターを含む。例えば、このベース顔料フレークが、MgF2、SiO2、またはAl2O3をスペーサー層物質として使用する場合、上記潜在顔料フレーク30は、種々のスペーサー層物質(例えば、TiO2またはZnS)を使用する。スペーサーおよび/または吸収のインジケーターの物質は、元素分析を使用して容易に検出される元素を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、別個のスペーサー物質および/または反射器物質は、上記ベースフレークとは異なる光学特性を有する潜在顔料フレーク30をもたらす。例えば、たとえ上記潜在フレークおよびベースフレークが直角入射で類似の色を有する場合でも、カラートラベルは、異なり得る。一般的に、低屈折率スペーサー物質(例えば、MgF2およびSiO2)は、高屈折率スペーサー物質(例えば、ZnSおよびTiO2)よりも多くのカラートラベル(「迅速シフト」顔料)を提供する。しかし、上記カラートラベルがこのベースフレークのカラートラベルとは正確に適合しない場合であっても、このような潜在フレークは、上記ベース顔料フレークに比較的高濃度で添加され得る。なぜなら、ほとんどの不用意な観察者は、本発明の実施形態に従う混合物と100%ベース顔料との差異を検出し得ないからである。
【0064】
図5は、本発明の実施形態に従うキャリア44中に分散された潜在フレーク42を有するワニス40の横断面である。このキャリアは、透明であるかまたは色付けされており、そして上記潜在フレーク42は、軽い視覚の検出を回避するように選択された濃度にある。選択的な色のコーティングまたは明るい(例えば、「クロム化」)コーティング46は、上記ワニス40の下に、物体48に塗布されている。上記ワニス40は、その外見を乱すことなく、この物体に潜在セキュリティー特徴を提供する。特定の実施形態では、必要に応じたカラーコート46は、明白なセキュリティー特徴をこの物体に提供するための真珠光沢顔料またはカラーシフト顔料で印刷されたイメージである。この物体は、例えば、書類、製品、包装、または捺印(seal)である。このワニス40は、この物体の外見を著しく変化させることなく、すでに潜在セキュリティー特徴を有する物体に、潜在セキュリティー特徴を提供する。例えば、株券が明白なセキュリティー特徴で印刷されており、そしてこの株券に潜在セキュリティー特徴を提供することが望ましくなった場合、上記明白なセキュリティー特徴は、ワニス40または類似のインク組成物(すなわち、潜在フレークを含有する本質的に透明なインク組成物)で重ね刷りされる。別の実施形態では、さらなる潜在セキュリティー特徴が、1個以上の潜在セキュリティー特徴をすでに有する物体に提供される。特定の実施形態では、この潜在フレークは、上記ワニスの2%以下を構成する。ワニスに関するさらなる考察が、実験的結果に関する項に以下に提供される。
【0065】
図6は、本発明の別の実施形態に従う、結合剤またはキャリア52において分散された、ベース顔料フレーク16および潜在フレーク18を含有する組成物50(例えば、インクまたはペンキ)の断面である。この潜在フレーク18は、選択された形状または他の印(例えば、図3C、参考文献20’)(例えば、元素インジケーターまたは表面−格子模様)を有する。あるいは、この組成物50は、選択的に成形された透明なフレーク(このフレークは、記号を有していても有さなくてもよい)、ならびに/または、成形された潜在顔料フレークおよび/もしくは記号(例えば、図3A、参考文献18、および図3B、参考文献18B、20)を含む潜在顔料フレークを含む。1つの実施形態では、組成物中の潜在フレーク18の量は、上記ベース顔料フレーク16および潜在フレーク182の全重量(「全顔料重量」)の1%未満であり、これは、上記ベース顔料フレークにおいて透明な潜在フレークを十分に分散させ、上記潜在フレークの表面的な検出を困難にする。代替の実施形態では、組成物中の透明な潜在フレークの量は、1%よりも多い。上記組成物50は、物体48(例えば、ラベル、製品の包装、銀行紙幣、または消費者の商品)に塗布される。
【0066】
潜在フレークを、存在するインク組成物またはペンキ組成物に添加することで、潜在セキュリティー特徴が、インクまたはペンキから作製されたイメージに備わる。例えば、カラーシフト顔料を有するインクが使用され、カラーシフトイメージを、銀行紙幣または他の物体上の明白なセキュリティー特徴として提供する。本発明の実施形態に従う潜在フレークが、このインクに添加され、そしてこの生じた混合物が、上記インクで印刷されたイメージと実質的に類似して見えるイメージを印刷するために使用される。従って、上記潜在セキュリティー特徴が添加された後、上記銀行紙幣の表面的な観察者は、上記明白なセキュリティー特徴(すなわち、カラーシフトイメージ)の外見の変化に気付かない。上記潜在フレークの印は、製造年月日、印刷の場所、および/またはインクの供給源(製造者)を示す。
【0067】
(III.潜在フレークの同定)
図7Aは、UV照射を用いた顕微鏡下で見られた場合の、本発明の実施形態に従う、透明な無機潜在フレーク122で印刷されたセキュリティー特徴114の一部の簡略平面図である。このフレークは、図示を簡単にするために、単一層にて示される(図4と比較のこと)。この透明な潜在フレーク122は、蛍光を発し(明るく見え)、そしてベース顔料フレーク116と容易に区別され、このベース顔料フレーク116は、暗く見え、そして図示の目的で点線で示される。代表的には、視界のより大きな視野(field)(すなわち、より低い倍率、代表的には、20X〜50X)が観察される。視界の減少した視野(field)は、図示の簡便性のために示される。一度この蛍光潜在フレークの位置が同定されると、この観察者(viewer)は、潜在フレーク上で「ズームイン」し得る。
【0068】
図7Bは、照射のための可視光を用いた顕微鏡下で見られる場合、図7Aのセキュリティー特徴114の一部の簡略平面図である。上記透明な潜在フレーク上の記号は、UV光の下で判読しにくいことが発見された。なぜなら、上記蛍光は、バルク現象であり、記号を不明瞭にするからであった。上記UV光がスイッチオフされた場合、そして透明な潜在フレーク122が、可視光を用いて顕微鏡下で観察された場合、記号120のかすかな輪郭(およびこのフレーク)が、観察可能であった。蛍光潜在フレークは、フレークの濃度が低い場合、特に望ましい。この透明な潜在フレーク122および記号120は、この視界において点線として示され、これらが可視光のもとでかすかな輪郭として出現することを示す。このベース顔料フレーク116は、実線として示される。なぜなら、これらは、代表的には、可視光のもとで顕著になるからである。特定の実施形態では、この透明な潜在フレークは、艶だしワニス中のZnS(これは、約2.2の屈折率を有する)であり、これは、UV光のもとで最初に観察され、次いで、フレーク上の記号は、100Xの倍率にて可視光を用いて判読された。
【0069】
UV光または他の不可視照射のもとで蛍光を発する潜在顔料フレークに関して、類似の結果が予想される。上記潜在顔料フレークが十分に希釈された場合、例えば、ベース顔料フレーク中で分散された潜在顔料フレークは、類似の視覚的特徴を有し、検出しにくい。1つの実施形態では、この潜在顔料フレークは、UV光のもとで観察可能な選択された形状を有する。別の実施形態では、この潜在顔料フレークは、UV光の下では容易に観察可能ではないが、可視光の下では観察可能である。この記号を有する潜在顔料フレークの位置は、UV光を用いて同定され、次いで、UV光がスイッチオフにされ、そしてこの記号は、可視光を用いて判読される。
【0070】
あるいは、より長い波長の光で照射される場合、より短い波長にて蛍光を発する物質が、潜在フレークまたは潜在顔料フレークを製造するために使用される。この種の蛍光は、偽造者によりそれほど容易には気付かれないと考えられており、この種の蛍光が潜在セキュリティー用途において使用されるのを促進する。1つの実施形態では、近赤外線または赤外線は、潜在フレークまたは潜在顔料フレークを照射するために使用され、可視の範囲で蛍光を発する。
【0071】
(IV.実験結果)
透明な潜在フレークまたは単一層潜在顔料を開発する前に、種々の代替物が評価された。赤紫〜緑の光学的に変化可能な彫り込み(「OVI」)100%顔料フレークを、生産し、そして測定した。全てのタグジェントサンプルは、2000線/mmの格子模様を有した。この格子模様は、上記タグジェントフレークを、上記ベースフレークから区別しやすくし(すなわち、位置決めし)、そしてより偽造しにくくする。この格子模様は、回折特性を、試験組成物に印刷されたイメージに誘導しなかった。タグジェントフレークの底部と、観察者に十分に方向付けされないことことの組み合わせは、回折特性が生じるのを回避したと考えられている。本発明の特定の実施形態では、格子模様は、記号を有するタグジェントフレーク上に含まれた。これらの記号は、最初の倍率で顕微鏡下で同定可能であるが、この格子模様は、この最初の倍率にて容易には見られなかった。この格子模様は、より高い倍率で見られた。このような格子模様を包含することは、上記タグジェントフレークの潜在の性質をさらに強化する。なぜなら、偽造者は、顕微鏡試験のもとでこの記号を見得るが、格子模様を見得ず、その結果、これを偽造物品に含まないからである。
【0072】
第1の試験サンプル(「サンプル1」)は、赤紫〜緑のOVI顔料フレーク(記号を含む)(「タグジェントフレーク」)の10%と混合された従来の赤紫〜緑の顔料フレークの90%(重量)を含有した。このタグジェントフレークは、日常的な顕微鏡検査により検出しやすく、そしてこの混合物の色の性能は、試験標準と同一であった。なぜなら、上記タグジェントフレークの色は、十分にこのベースフレークの色に適合したからである。しかし、類似の色の適合は、上記タグジェントフレークの生産を注意深くモニタリングすることを必要とする。同様に、タグジェントフレークの各々の色に対する新規の光学的な図案は、ベースフレークの各々の色に適合するように使用される。従って、このアプローチは、種々の色付ベース顔料と混合され得る包括的なタグジェントフレークを提供しない。
【0073】
より単純なアプローチは、標準的なタグジェントフレーク図案の多くの異なる色と共に使用され得る。単一層MgF2タグジェントフレークは、赤紫〜緑のOVIベース顔料と共に混合され、このタグジェントフレークは、全顔料重量(「サンプル2」)の10%を構成した。色の適合したOVIに関して、色の性能は、100%ベースOVI顔料フレークと共に生産されたサンプルと本質的に同一である。しかし、このMgF2フレークは、日常的な顕微鏡試験のもとでは、10%の濃度でも、検出しにくかった。
【0074】
「銀」(アルミニウム)タグジェントフレークもまた、評価された。銀フレークの偽造は、比較的単純であり、そしてこれらのフレークは、5%の濃度では、非常に検出しやすい。銀タグジェントフレークが、多くの色のベース顔料と混合され得ることが望まれた。しかし、赤紫〜緑OVIベース顔料(「サンプル3」)と混合された銀タグジェントフレークを5%だけ含有する彫り込みブレンド(intaglio blend)の色の性能は乏しかった。従って、銀タグジェントフレークは、特定の組成物において有用であり得るが、少なくともいくつかのベース顔料の色の性能を崩壊させるようである。
【0075】
別のアプローチは、ベースフレークの多くの異なる色と共に使用され得る標準タグジェントフレーク図案を使用することである。アルミニウム反射層を使用する(このフレークに「銀」の外見を与える)明るいタグジェントフレークもまた、評価された。色付きベース顔料フレークと共に混合される場合、明るいフレークの製造は、比較的単純であり、そしてこれらのフレークは、5%の濃度では、非常に検出しやすい。明るいタグジェントフレークが多くの色のベース顔料と共に使用され、潜在(covet)セキュリティー特徴を提供する。組成物における明るいタグジェントフレークの量は、所望の結果に依存する。例えば、上記赤紫〜緑のOVIベースと混合された5%の明るいタグジェントフレークを含有する彫りこみブレンドの色の性能は、並行比較(side−by−side comarison)にて、赤紫〜緑OVIフレーク100%の組成物から識別可能である。赤紫〜緑OVIフレーク100%から本質的に識別不能な組成物は、5%未満の明るいフレーク(例えば、赤紫〜緑OVIフレーク中の約0.25重量%〜3重量%の濃度を有する明るいタグジェントフレーク)を使用する。5%よりも大きい濃度の明るいフレークが、顔料フレークに添加され、この組成物の外見を顕著に変化させることなく、より明るい飽和色またはより少ない飽和色を提供すると考えられる。明るいタグジェントフレークは、1%未満の濃度でも、選択された形状を有することと色が異なること(例えば、赤紫の代わりに「銀」)の組み合わせのために、穏当な倍率下で検出しやすい。
【0076】
最後に、透明なタグジェントフレークは、ZnSの単一層から作製された。このフレークの生産は、比較的容易である。そして、濃度10%での検出可能性は、容易であった。これは、上記OVIタグジェントフレークを検出することよりも困難であるが、上記MgF2タグジェントフレークを検出するよりもずっと容易であると言うことである。10%のZnSフレークおよび90%の赤紫〜緑OVIフレーク(「サンプル4」)との彫りこみブレンドが、試験標準に対して比較された。この色の性能は、クロムにおけるわずか(約3%)の減少とほとんど等しかった。この主観的な比較に関与した人は、光学的に変化可能な顔料の色の性能を評価する際に非常に経験を積んでおり、そして標準に対して、並行比較を使用した。存在するインク組成物またはペンキ組成物に添加されたこのフレークの10%が、この色の性能を十分に保存し、その結果、平均的な観察者なら変化に気付かないであろうと考えられている。このZnSの透明タグジェントフレークは、多くの色付き顔料(上記色付き顔料で製造された組成物の外観を注意可能に変化させることなく、光学的に変化し得る顔料)に加えられ、そしてその結果、包括的なタグジェントフレークを可能にし得ると考えられている。
【0077】
上に記載されたサンプルの測定された光学的性能は、表1:
【0078】
【表1】
に記載される。
【0079】
タグジェントまたは潜在タグジェントとして使用する透明なZnSフレークはまた、ワニス組成物中で評価された。いくつかの例において、このワニス組成物の認識された外見においてほとんど全く変化なしに、ほぼ1/3のワニス組成物が透明であり得ることが考えられる。艶だしワニスベースが、このワニス組成物を製造するために使用され得、そしてこのワニス組成物が、インクおよびペンキの色の評価に対して普通に使用される類型の白色カード株券に対して塗布された。全てのワニス組成物は、透明なフレークなしに、ワニスベースの試験標準に対して比較された。
【0080】
第1のワニス組成物に対して、3%の堆積したままの(as−deposit)(すなわち、透明さのために加熱処理されない)単一層のZnSは、試験標準と本質的に同一に見えた。5%の単一層を有する堆積したままの(as−deposit)ZnSフレークを有する第2のワニス組成物は、試験標準と比べられた場合、わずかに顕著に異なっていたが、不用意な観察者なら、黄変のわずかな量に気付かないであろうと考えられている。10%の単一層の堆積したままのZnSフレークを有する第3のワニスサンプルは、試験標準に対して比較された場合、外見の顕著な変化を示し、そして幾人の不用意な観察者なら、非常に明るいバックグラウンドでこの組成物を用いて印刷された視野(field)に気付くであろうと考えられている。しかし、この組成物は、非白色基材に対する印刷に対して有用であり得る(例えば、銀行紙幣または灰色がかった株券)が、ここで、上記わずかな黄変が気付かれる可能性がより低下する。あるいは、潜在セキュリティー特徴として使用される場合、非光沢性のワニスベースが使用され、検出の可能性をさらに低減する。15%の単一層の堆積したままの(as−deposit)ZnSを有する第4のワニスサンプルは、上記試験標準との並行比較をしない場合でさえ、顕著な黄変を示した。
【0081】
単一層ZnSフレークを熱処理し、このフレークを透明化(「ブリーチ」)した。このフレークは、空気中で2時間、200℃で加熱された。蛍光を強化するための熱処理ZnSフレーク(空気中で550℃で10時間)はまた、上記フレークをブリーチするが、ブリーチすることは、より短い熱処理で達成され得る。20%の単一層ブリーチ化ZnSを使用するワニス組成物は、色の変化がほぼ認識不可能であることを示した。従って、少なくとも10%のブリーチされていない単一層ZnSフレークおよび少なくとも20%のブリーチされた単一層ZnSフレークは、潜在タグジェントとして艶だしワニスベースに添加され得ると考えられる。
【0082】
ZnSは、タグジェントフレークとしてさらに望ましい。なぜなら、金属(例えば、アルミニウム)層を含むいくつかのフレークと違って、ZnSは、水、酸、塩基、およびブリーチの存在のもとで耐久性があるからである。いくつかの有機フレークとは異なり、ZnSはまた、有機溶媒および日光の存在下で耐久性がある。
【0083】
図8は、インクで調製された試験サンプル、および本発明の実施形態に従う潜在顔料フレークと組み合わせたインクで調製された試験サンプルに対するカラートラベルを示す。このカラープロットは、CIELa*b*の慣習に従う。照射および観察の角度は、反射角から10°離れており、透明なコーティングサンプルに関連した強度の蛍光成分を回避した。このサンプルは、15°/5°〜65°/55°まで5°ずつ増加する11の照射角度/観察角度を用いて特徴付けられた。この曲線の第1の点(すなわち、上方の左側の点)は、15°/5°のデータに対応し、そして最終点(すなわち、11番目の点)は、65°/55°のデータに対応している。
【0084】
第1の曲線600は、青〜緑の光学的に変化可能な顔料フレークを用いて調製された試験サンプルに対する、測定されたカラートラベルを示す。第2の曲線602は、95重量%の青〜緑の光学的に変化可能な顔料フレークおよび厚さ約700nmで平均粒子サイズ約20ミクロンの5重量%の単一層ZnSフレークに対する測定されたカラートラベルを示す。このフレーク上の記号は、約8×6ミクロンであり、視野(field)の約2ミクロンずつ分離されていた。重量%は、インク組成物を調製するために使用されるフレークの全重量の、サンプルに対する百分率である。第3の曲線604は、90重量%の青−緑の光学的に変化可能な顔料フレークおよび第2の曲線と関連するサンプルにおいて使用される10重量%の同一のZnSフレークで調製されたサンプルに対する測定されたカラートラベルを示す。これらの曲線は、非常に類似した光学的性能が、10重量%までの潜在フレークを有するインク組成物に関して獲得可能であることを例証している。特に、このカラートラベルは、全ての3つのサンプルに対してほとんど同一であり、そしてクロムは、10%の透明な潜在フレークで作製されたサンプルよりもわずかに少ないだけである。従って、本発明の実施形態に従う潜在フレークは、存在する光学的に変化可能なインクに添加され、組成物を形成し、この組成物で印刷されたイメージの外見を著しく変更することなく潜在セキュリティー特徴を提供する。
【0085】
(V.例示的方法)
図9は、方法700の簡略化されたフローチャートであり、この方法は、本発明の実施形態に従う潜在フレークを物体に提供する。不可視照射のもとで蛍光を発する潜在フレークは、キャリア中で混合され(工程702)、組成物(例えば、インクまたはペンキ)を提供し、上記潜在フレークは、可視光のもとで観察することによっては容易に検出可能ではない。1つの実施形態では、上記潜在フレークは、記号および/または選択された形状を有する透明な潜在フレークである。さらなる実施形態では、この組成物は、ベース顔料フレークまたは粒子を含有する。別の実施形態では、上記潜在フレークは、記号および/または選択された形状を有する潜在顔料フレークである。この組成物は、物体に塗布され(工程704)、潜在セキュリティー特徴を提供する。1つの実施形態では、この組成物は、印刷工程(例えば、グラビア印刷工程、フレキソ印刷工程、オフセット印刷工程、活版印刷工程、凹板印刷工程、またはスクリーン印刷工程工程)を用いて塗布される。別の実施形態では、この組成物は、塗装工程(例えば、ローリング工程、デッピング(dipping)工程、ブラシング(brushing)工程、スプレー塗装工程)を使用して塗布される。
【0086】
この潜在セキュリティー特徴を提供した後、この潜在セキュリティー特徴は、この物体を不可視照射で照射すること(工程706)により観察され、この潜在フレークが蛍光を発するようにし、そして潜在フレークが同定される(工程708)。この組成物が、蛍光を発しもするベース顔料フレークまたは粒子を有する場合、上記潜在フレークは、著しく多くもしくは著しく少なく蛍光を発するか、または上記ベース顔料フレークもしくは粒子とは異なる色にて蛍光を発し、その結果、上記潜在フレークが組成物中で目立ち、そして容易に同定されることが理解される。この同定された潜在フレークは、セキュリティーマーキングに対して観察される(工程710)。1つの実施形態では、この潜在フレークは、選択された形状を有し、そしてこの物体が不可視照射で照射されながら観察される。別の実施形態では、上記潜在フレークは、記号を含み、そしてこの潜在フレークは、この潜在フレークを不可視照射を用いて同定する工程の後、可視光を用いて観察される。特定の実施形態では、上記潜在フレーク上の1個以上の記号を観察する工程が、50X〜200Xの倍率下で行われる。
【0087】
(IV.例示的な方法)
図10は、方法600のフローチャートであり、この方法は、本発明の実施形態に従う顔料フレークを作製する。浮き彫りにされていない(「平坦な」)部分を有するロール基材およびこのロール基材の堆積表面積の選択された比率の浮き彫りにされた部分が提供される(工程602)。1つの実施形態では、この浮き彫りにされた部分は、選択された形状を有するフレークを生産するための枠で浮き彫りにされている。代替の実施形態では、この浮き彫りにされた部分は、格子模様または記号で浮き彫りにされている。代替の実施形態では、この基材は、浮き彫り工程以外のプロセス(例えば、レーザーアブレーション)を用いて模様づけされている。少なくとも1層の薄型フィルム層は、ロール基材上に堆積され(工程604)、そしてこの堆積された薄型フィルム層は、フレークへと加工され(工程606)、選択された量のタグジェントフレークを有するフレーク混合物を生じる。タグジェントフレークの収量は、因子(例えば、加工される薄型フィルム層の類型、枠、格子模様または記号の性質、および加工パラメーター)に依存する。
【0088】
例えば、図2Aおよび図2Bを参照すれば、上記ロール基材の表面の10%が、格子もしくは記号で浮き彫りにされた場合、格子模様を有する約10%のタグジェントフレークの収量が予想される。成形されたフレークへの薄型フィルム堆積の模様化された部分の加工の10%の収量の損失のせいで、ロール基材の表面の10%がダイアモンド成形された枠で浮き彫りにされた場合、約9%の収量が誘電体−金属−誘電体フレークに対して予想される。同様に、成形されたフレークへの薄型フィルム堆積の模様化された部分の加工の50%の収量の損失のせいで、成形された全誘電体フレークについては、約5%の収量が、予想される。
【0089】
本発明は、種々の特定の実施形態の観点から上に記載されている。本発明は、本発明の精神から逸脱することなく他の特定の形態で具体化され得る。従って、上に記載された実施形態は、本発明を例示するが、以下の特許請求の範囲に示される本発明を限定するものではない。特許請求の範囲の意義および範囲内で生じる全ての変更および等価物は、本発明の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本発明の実施形態に従うセキュリティー特徴を有する書類の一部の平面図である。
【図2A】図2Aは、浮き彫りにされた部分および浮き彫りにされていない部分を有する堆積基材の一部の簡略図である。
【図2B】図2Bは、浮き彫りにされた部分13’および浮き彫りにされていない部分15’を有する別の堆積基材11’の一部の簡略図である。
【図3A】図3Aは、本発明の1つの実施形態に従うセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図3B】図3Bは、本発明の別の実施形態に従うセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図3C】図3Cは、本発明のなお別の実施形態に従うセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態に従う明るい顔料フレーク20の簡略断面図である。
【図4B】図4Bは、元素の指紋を提供する明るいフレーク20’の簡略断面図である。
【図4C】図4Cは、本発明の別の実施形態に従うカラーシフト顔料フレーク30の簡略断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従うキャリア中に分散された、透明なシフト潜在フレークまたは不透明な潜在フレークを有するワニスの断面図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態に従う結合剤において分散された、ベースフレークおよび潜在フレークの断面図である。
【図7A】図7Aは、UV照射を用いて顕微鏡下で見られる場合に、本発明の実施形態に従う、透明な無機潜在フレークで印刷されたセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図7B】図7Bは、照射のために可視光を用いて顕微鏡下で見られた場合に、図7Aのセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図8】図8は、インクで調製された試験サンプル、および本発明の1つの実施形態に従う潜在顔料フレークと組み合わせたインクで調製された試験サンプルについてのカラートラベルを示す。
【図9】図9は、本発明の1つの実施形態に従う潜在フレークを観察する方法のチャートを示す。
【図10】図10は、本発明の1つの実施形態に潜在フレークを作製する方法のフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、顔料フレーク、より具体的には、コーティング組成物(例えば、インクまたはペンキ)に関し、上記コーティング組成物は、これが塗布される物体に潜在(covert)セキュリティーの特徴(例えば、抗偽造性の特徴)を与える。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
セキュリティー塗布(例えば、紙幣、高い価値のある品目の包装、容器に対する捺印(seal)に対して印刷された抗偽造性図案、および市販用の商品への直接的な用途に対してさえ印刷された抗偽造性図案)に使用するための特製顔料が開発されている。例えば、米国20ドル連邦準備銀行券は、光学的に変化可能なインクを現在使用する。紙幣の表面の右下のすみに印刷された数字「20」は、視角の変動と共に色を変化させる。これは、明白な、抗偽造性の図案である。このカラーシフト効果は、普通のカラー写真式複写機により複写可能ではなく、そして紙幣の受取人は、紙幣がカラーシフトセキュリティーの特徴を有するか否かを観察し、紙幣の信頼性を決定し得る。
【0003】
価値の高い他の書類および物体は、類似の手段を用いる。例えば、虹色の顔料または回折顔料が、物品(例えば、株券、パスポート、独創的な製品包装)に直接的に塗布されるか、物品に適用される捺印(seal)に塗布される、ペンキおよびインクにおいて使用される。偽造品がより洗練されるにつれて、より偽造しがたいセキュリティー特徴が望ましくなる。
【0004】
偽造に対抗する1つのアプローチは、多層カラーシフト顔料フレーク上の微細な記号を使用する。この記号は、光学特性(例えば、反射率)の局所的な変化により、多層カラーシフト顔料フレークの少なくとも1つの層の上に形成される。上記多層カラーシフト顔料フレークは、一般的に、スペーサー層(spacer layer)により反射層から分離された吸収層を有するFabry Perot型の構造を含む。この反射層は、代表的には、金属の層であり、この金属の層は、顔料フレークを本質的に不透明にする。これらの類型の顔料フレークの大部分が他の顔料と混合される場合、結果として生じる色は、上記顔料とは著しく異なり得、そして他の顔料と混合される顔料があまりにも少数である場合、これらは発見しにくい。
【0005】
ハログラフの情報を有する透明な顔料フレークもまた、抗偽造目的で使用される。単色の体積ホログラムが、可視領域赤外線(「IR」)または紫外線(「UV」)の参照レーザー光を用いて、ポリマー小板(polymeric platelet)において形成される。このポリマー小板には、金属反射層がなく、そしてこのポリマー小板は、他のコーティング(金属性コーティング(例えば、インクおよびペンキ)と混合され得、この混合において、このコーティングの主観的な色の外見が妨げられることはない。ポリマー小板はまた、ワニスコーティングにおいて組み込まれ得、このワニスコーティングは、その色を変化させることなく物品を覆って塗布され得る。このポリマー小板が参照レーザー光で照射された場合、このホログラムは、このホログラムが保持する情報を判読され得る。しかし、ポリマー物質は、太陽光で崩壊し得、そしてホログラムは、比較的に偽造し易い。なぜなら、元のホログラムは、複写(copying)を容易にする「指紋(fingerprint)」(テンプレート)を提供し得るからである。ホログラムは、かつてほど強力な抗偽造性の図案ではない。
【0006】
別の技術は、ポリエチレンテレフタラート(「PET」)のエポキシ−カプセル化形状のフレークである。反射層は、1巻きのPET上に堆積され、そしてこのPETは、断片に切断される。このフレークは、エポキシでコーティングされるかまたはカプセル化され、上記反射層の耐久性を改善する。これらのフレークは、種々の形状(例えば、正方形、長方形、六角形、および「アポストロフィー」)、ならびに反射金属(例えば、銀、シロメ、金および銅)性の色彩の選択において利用可能である。しかし、エポキシ層および比較的厚いPET基材(これは代表的に、最小約13ミクロン(0.5ミル)の厚さを有し、真空堆積プロセスにおいて使用する)は、比較的厚いフレーク(代表的には、14ミクロンよりも大きい)をもたらす。不幸なことに、このような厚さのフレークは、潜在用途における使用にとって望ましくなく、ここで、その厚さは、実質的にベース顔料よりも大きい。同様に、このような厚いフレークは、インク中で十分に流れず、そしてペンキ中でたまりを生じる。ペンキが、粗い表面をもたらす厚いフレークを含有する場合、比較的厚い透明なトップコートは、代表的には、粗い表面一面に塗布される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上で考察された技術の限界を克服した、抗偽造性の潜在図案で物体をマークすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(本発明の簡単な説明)
コーティング組成物は、無機誘電体物質の単一層で作製された、識別印のついた潜在フレークを含有する。識別印の例としては、選択されたフレークの形状および/または記号が挙げられる。この潜在フレークは、代表的には、キャリア(例えば、ワニスベース、ペンキビヒクルまたはインクビヒクル)中で分散され、コーティング組成物を形成する。この潜在フレークは、十分に希釈された濃度で分散され、その結果、この潜在フレークは、コーティング組成物において、軽く観察することによって、容易に検出可能ではなくなり、そして、上記潜在フレークは、澄明であるかまたは色づけされ得、ベース顔料の色と適合するか、または別個の光学的特徴(例えば、非常に反射性(「明るい」もしくは「銀色」)であること)を有する。
【0009】
特定の実施形態では、コーティング組成物は、識別印を有する、厚さ約10ミクロン未満の潜在不透明フレークを含有する。識別印の例としては、選択されたフレーク形状および/または組成物が挙げられる。無機誘電体物質の単一層の厚さが選択され、雲母ベースの真珠光沢ベース顔料に適合する、色付きの潜在フレークを提供する。
【0010】
特定の実施形態では、潜在セキュリティーフレークは、不可視照射で照射された場合に、蛍光を発する。本発明の実施形態では、蛍光潜在セキュリティーフレークは、組成物の1%未満を構成する。
【0011】
別の実施形態では、透明な潜在フレークは、ワニス組成物において、組成物の20%までを構成する。別の実施形態では、透明な潜在フレークは、光学的に変動し得るベース顔料フレークを有する組成物において全顔料重量の10重量%までを構成する。
【0012】
特定の実施形態において、潜在フレークは、無機誘電体物質(例えば、ZnS)の単一層である。無機誘電体物質の単一層の厚さは、色付きの潜在フレークまたは透明な潜在フレークを提供するように選択される。さらなる実施形態では、透明な潜在フレークは、加熱処理され、透明さ(すなわち、「白さ」)を改善する。
【0013】
別の実施形態では、コーティング組成物は、上記コーティング組成物内に、可視光下での観察によっては容易には検出可能でない、キャリア内で分散された透明な潜在フレークを有する。この透明な潜在顔料フレークは、UV光で照射された場合に蛍光を発し、そして50X−200Xの倍率で可視光下で判読可能な1以上の記号を有する。特定の実施形態では、上記キャリア内の透明なフレークは、可視領域内で70%より多くの透過率を有する。
【0014】
本発明の実施形態に従う組成物は、物体に塗布され、潜在セキュリティーの特徴を与える。顔料化組成物は、物体上に視野(field)(例えば、イメージ)を印刷するのに使用され得、そしてワニス組成物は、物体上に透明な視野を印刷されるか、または物体上に存在する像の上に刷り重ねるのに使用され得る。本発明の実施形態では、潜在フレークは、ベース顔料と混合され、潜在セキュリティーの特徴を、上記組成物で印刷されたイメージ(これは、ベース顔料で印刷されたイメージと実質的に類似して見える)に与える。本発明の1実施形態では、潜在フレークは、ベース顔料と混合され、潜在セキュリティー特徴を、この組成物で印刷されたイメージ(このイメージは、ベース顔料で印刷されたイメージと実質的に類似して見える)に与える。
【0015】
本発明の実施形態に従う方法では、潜在フレーク上の記号は、上記潜在セキュリティー特徴が不可視照射で照射された場合(すなわち、上記フレークが蛍光を発している場合)に、判読可能ではない。潜在フレークの位置は、不可視照射を用いて同定され、次いで、上記フレークは、可視光(代表的には、50X〜200Xの倍率)下で観察され、潜在フレーク上の記号を判読する。
【0016】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)
コーティング組成物であって、以下:
キャリア:および
該キャリア中に分散された複数の単層無機誘電潜在タグジェントフレーク
を含有する、コーティング組成物。
(項目2)
項目1に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在タグジェントフレークが、透明な潜在フレークである、コーティング組成物。
(項目3)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、選択された形状を有する、コーティング組成物。
(項目4)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、格子模様を含む、コーティング組成物。
(項目5)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、少なくとも1個の選択された記号を含む、コーティング組成物。
(項目6)
項目5に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、格子模様を有する、コーティング組成物。
(項目7)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記キャリアが、ワニスベースを含有する、コーティング組成物。
(項目8)
項目7に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、ZnSフレークであり、該ZnSフレークが、該コーティング組成物の10%以下を構成する、コーティング組成物。
(項目9)
項目7に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、熱処理されたZnSフレークであり、該ZnSフレークが、該コーティング組成物の20%以下を構成する、コーティング組成物。
(項目10)
項目2に記載のコーティング組成物であって、該コーティング組成物は、前記キャリア中に分散されたベース顔料をさらに含有し、該コーティング組成物中の透明な潜在フレークの量が選択され、その結果、該コーティング組成物の色が、該キャリア中に分散されたベース顔料を構成する第2のコーティング組成物と同一の色に見える、コーティング組成物。
(項目11)
項目10に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、光学的に変化可能な顔料フレークであり、そして前記透明な潜在フレークが、ZnSフレークであり、該ZnSフレークが、全フレーク重量の10重量%以下である、コーティング組成物。
(項目12)
項目10に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記透明な潜在フレークが、不可視照射で照射された場合に、蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目13)
項目12のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、不可視照射で照射された場合に蛍光を発し、前記透明な潜在フレークが、該ベース顔料とは異なって蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目14)
項目2に記載のコーティング組成物であって、ここで、透明な潜在フレークが、前記キャリアにおいて、光の可視領域において、70%より多くの透過率を有する、コーティング組成物。
(項目15)
項目1に記載のコーティング組成物であって、該コーティング組成物は、色付のベース顔料をさらに含有し、ここで、前記潜在タグジェントフレークが、色付きの潜在顔料フレークである、コーティング組成物。
(項目16)
項目15に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、選択された形状を有する、コーティング組成物。
(項目17)
項目16に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、格子模様を有する、コーティング組成物。
(項目18)
項目15に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、少なくとも1個の選択された記号を含む、コーティング組成物。
(項目19)
項目18に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、格子模様を有する、コーティング組成物。
(項目20)
項目15に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、不可視照射で照射された場合、蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目21)
項目20に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、前記不可視照射で照射される場合に蛍光を発し、前記潜在顔料フレークが該ベース顔料とは異なって蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目22)
項目15に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、ZnS潜在顔料フレークである、コーティング組成物。
(項目23)
項目22に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、真珠層の鉱物−ベースのフレークを含有し、そして前記ZnS潜在顔料フレークが、該真珠層の鉱物−ベースのフレークと適合するように選択された厚さを有する、コーティング組成物。
(項目24)
項目23に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、不可視照射で照射された場合に蛍光を発する、コーティング組成物。
(項目25)
項目24に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在顔料フレークが、全顔料重量の1重量%未満を含有する、コーティング組成物。
(項目26)
項目1に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記潜在タグジェントフレークが、前記キャリア中において分散された、成形された不透明な潜在無機フレークであり、ここで、前記複数の成形された不透明な無機潜在タグジェントフレークの各々が、選択された形状および10ミクロン未満の厚さを有する、コーティング組成物。
(項目27)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、複数の薄型フィルム層を含む、コーティング組成物。
(項目28)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な無機潜在タグジェントフレークが、約0.5ミクロン〜約3ミクロンの間の厚さを有する、コーティング組成物。
(項目29)
項目26に記載のコーティング組成物であって、該コーティング組成物は、第2の選択された形状を有する、第2の複数の成形された不透明なフレークをさらに含有する、コーティング組成物。
(項目30)
項目29に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、明るいフレークを包含する、コーティング組成物。
(項目31)
項目29に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、格子模様を有し、前記選択された形状が、第1の倍率にて可視であり、該格子模様が、第1の倍率では可視でなく、ここで、該格子模様が、第2の倍率にて可視であり、該第2の倍率が第1の倍率よりも大きい、項目29に記載のコーティング組成物。
(項目32)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、格子模様を含む、コーティング組成物。
(項目33)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、元素インジケーターを含む、コーティング組成物。
(項目34)
項目33に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記不透明な潜在フレークにおける光学的に活性な層が、前記元素インジケーターを含む、コーティング組成物。
(項目35)
項目34に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記光学的に活性な層が、反射層、スペーサー層、および吸収層のうちの1つである、コーティング組成物。
(項目36)
項目33に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記元素インジケーターが、光学的に不活性な層に存在する、コーティング組成物。
(項目37)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、該コーティング組成物が、第1の元素組成物を有するベース顔料をさらに含有し、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、該第1の元素組成物において見出されない元素インジケーターを含有する第2の元素組成物を有する、コーティング組成物。
(項目38)
項目37に記載のコーティング組成物であって、ここで、ベース顔料と成形された不透明な潜在フレークとの比が、前記元素インジケーターの選択された量を提供するように選択される、コーティング組成物。
(項目39)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、該コーティング組成物は、第1の選択された色付きのベース顔料をさらに含有し、該ベース顔料が、前記成形された不透明な潜在フレークと混合され、顔料混合物を提供し、ここで、該成形された不透明な潜在フレークが、選択された形状を有する明るいフレークであり、かつ、該成形された不透明な潜在フレークが、該顔料混合物の5重量%未満を含有する、コーティング組成物。
(項目40)
項目39に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記明るいフレークが、前記顔料混合物の1%未満を構成する、コーティング組成物。
(項目41)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記成形された不透明な潜在フレークが、明るいフレークを含有する、コーティング組成物。
(項目42)
項目26に記載のコーティング組成物であって、ここで、該コーティング組成物が、選択された色を有し、前記成形された不透明な潜在フレークが、該選択された色を有する、コーティング組成物。
(項目43)
項目42に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、雲母ベースの顔料を含有する、コーティング組成物。
(項目44)
項目42に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記ベース顔料が、カラーシフト顔料を含有する、コーティング組成物。
(項目45)
項目42に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記キャリアが、ワニスである、コーティング組成物。
(項目46)
顔料フレークを作製するための方法であって、該方法は、以下:
第1の模様部分および第2の模様部分を有する基材を提供する工程;
少なくとも1つの薄型フィルム層を、該基材上に堆積する工程;ならびに
該少なくとも1つの薄型フィルム層を、選択された量のタグジェントフレークを有するフレーク混合物へと加工する工程
を包含する、方法。
(項目47)
項目46に記載の方法であって、ここで、前記基材が、ロールフィルムであるか、またはポリマーフィルムである、方法。
(項目48)
項目21に記載の方法であって、ここで、前記第2部分が、第2の模様部分である、方法。
(項目49)
項目46に記載の方法であって、ここで、前記第1の模様部分が、枠を含み、前記タグジェントフレークが、選択された形状を有する、方法。
(項目50)
項目46に記載の方法であって、ここで、前記第1の模様部分が、格子模様を包含する、方法。
(項目51)
項目46に記載の方法であって、ここで、前記第1の模様部分が、記号を包含する、方法。
(項目52)
以下:
キャリア;および
該キャリアにおいて分散された透明な潜在フレーク
を含有するコーティング組成物であって、該透明な潜在フレークが、紫外線で照射された場合に蛍光を発し、該透明な潜在フレークが、50X〜200Xの倍率にて可視光下で判読可能な1以上の記号を有する、コーティング組成物。
(項目53)
物体に潜在セキュリティー特徴を提供する方法であって、該方法は、以下の工程:
項目1に記載の組成物を該物体に塗布し、前記潜在セキュリティー特徴を提供する工程を包含する、方法。
(項目54)
項目53に記載の方法であって、ここで、前記物体が、現存するセキュリティー特徴を有し、前記潜在フレークが、透明な潜在フレークであり、そして前記組成物がワニスであり、該塗布する工程が、該ワニスを該存在するセキュリティー特徴の上に塗布する工程を包含する、方法。
(項目55)
物体に塗布された潜在セキュリティー特徴を観察する方法であって、該方法は、以下の工程:
該潜在セキュリティー特徴を不可視照射で照射し、該潜在セキュリティー特徴において1つ以上の記号を有するフレークが蛍光を発するようにする工程;
該潜在セキュリティー特徴における該フレークの位置を同定する工程;ならびに
該フレークを可視光のもとで観察し、1つ以上の記号を判読する工程
を包含する。
(項目56)
組成物であって、以下:
化学薬品;および
印を有する複数の無機誘電体タグジェントフレークを含有し、ここで、該複数の無機誘電体タグジェントフレークが、該化学薬品と混合され、該組成物を形成する、
組成物。
(項目57)
項目56に記載の組成物であって、ここで、前記化学薬品は、爆発性の化合物であるか、または爆発性の前駆体である、組成物。
(項目58)
項目56に記載の組成物であって、ここで、前記無機誘電体タグジェントフレークが、本質的に透明であり、前記印が、記号を含む、組成物。
(項目59)
項目56に記載の組成物であって、ここで、前記無機誘電体タグジェントフレークが、不可視照射に曝された場合に、蛍光を発する、組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
(I.イントロダクション)
潜在セキュリティー塗布のためのフレークは、軽く観察することによっては、代表的には気付かれない。いくつかの種類の検査技術(例えば、顕微鏡下での検査または特定の類型の光の照明)が、上記フレークを見出し、そして/または判読するために使用される。本発明の実施形態に従うフレークは、着色され得るか(「顔料フレーク」)、または本質的に透明であり得る。
【0018】
1つの実施形態では、印(例えば、記号または特定の形状)を含むフレークは、これらが混合されるバルク顔料または他の物質の視覚的特徴に実質的に適合する。特定の実施形態において、選択された形状または記号を有する単一層の無機フレークが、真珠光沢雲母ベースのフレークまたは他のベース顔料と混合される。別の実施形態では、印を有する透明なフレークが、バルク顔料と混合され、この際、生じた混合物の視覚的な特徴が乱されることはない。なお別の実施形態では、印を有する透明なフレークが、ワニス中で混合され、そして物体の一面に塗布され、基底色が実質的に変化せずに、潜在セキュリティー特徴を提供する。本明細書中で用いられる場合、ワニスは一般的に、実質的に透明な組成物である。
【0019】
1つの実施形態では、印(例えば、特定の形状)を含む不透明なフレークは、これらが混合されるバルク顔料または他の物質の視覚的特徴に実質的に適合する。特定の実施形態では、選択された形状を有する単一層無機不透明フレークは、真珠光沢雲母ベースのフレークまたは他のベース顔料と混合される。この考察の目的のために、無機材料の「単一層」は、互いの上に形成された同一の無機物質の複数層を含む。
【0020】
無機潜在フレークは、熱、溶媒、日光、または他の因子が有機物フレークを崩壊し得る用途において、特に望ましい。例えば、爆発物において使用される無機潜在フレークは、高温および/または高圧に曝された後においてさえ検出可能であり、そして環境において分解されない。本発明の実施形態に従うフレークはまた、従来の成形されたフレークよりも実質的に薄く、代表的には、約10ミクロン未満であり、透明なトップコートを使う必要もなく、フレークのインク中での使用を可能にし、そしてペンキにおいて平坦な表面仕上がりをもたらす。本発明の実施形態に従う、薄い、無機フレークはまた、類似の技術を用いて作製されるベース顔料フレークの密度により近い密度を有する。有機物基材を組み込んでいる厚いフレークは、しばしば薄型フィルムベース顔料フレークとは別個の密度を有し、そして塗布前または塗布中のいずれかに、このキャリアが流体である場合に、分離し得る。フレークの分離は、望ましくない。なぜなら、フレークの分離は、組成物中での潜在フレークとベースフレークとの比率にむらを生じるからであり、そして、フレークの分離は、分離が潜在フレークの不当に高い濃度をもたらす場合に、潜在フレークの潜在性質を崩壊し得るからである。
【0021】
特定の実施形態において、ZnSの単一層から作製されたフレークは、熱処理され、このフレークの外見を白化または「ブリーチ」し、そして生じた組成物の透明さを改善する(すなわち、黄色の性質を減少させる)。この考察の目的のために、無機材料の「単一層」は、お互いの上に形成された同一の無機物質の複数層を含む。
【0022】
なお別の実施形態では、潜在フレークは、化学薬品(例えば、爆発物、爆発物前駆体、食物、薬物、または制御された物質)と混合される。この潜在フレークとしては、製造業者を同定するかまたは他の特定の情報を提供する印(例えば、記号および/もしくは他の模様(例えば、溝))が挙げられる。無機フレークは、熱、溶媒、日光、または他の因子が有機物フレークを崩壊し得る用途において特に望ましい。例えば、爆発物に使用される無機潜在フレークは、高温および/または高圧に曝された後でさえ検出可能であり、そして環境において分解されない。
【0023】
(II.例示的な潜在フレーク)
図1は、本発明の実施形態に従うセキュリティー特徴12を有する書類10の一部の平面図である。セキュリティー特徴12の少なくとも一部14は、バルク顔料(例えば、バルク顔料フレーク)と混合された、印を有する、透明なフレーク、色付フレークもしくは不透明なフレーク(これ以後、「潜在フレーク」)を含有する、インクまたはペンキを用いて印刷される。1つの実施形態では、上記潜在フレークは、特定の形状(例えば、正方形、長方形、台形、「ダイアモンド」形状、または丸型)を有する。別の実施形態では、この潜在フレークは、記号および/または格子模様を含み、これらの記号および/または格子模様は、選択された形状を有しても、または有さなくともよい。特定の実施形態では、この格子模様は、スペクトルの可視範囲において光学的に活性ではない格子間隔を有する。つまり、これらの格子模様は、可視回折格子を形成しない。潜在フレークはまた、時として「タグジェント(taggent)」フレークと呼ばれることがある(もっとも、全てのタグジェントフレークが、潜在フレークである必要はない)。
【0024】
一般的に、バルク顔料粒子(バルク顔料フレークを含む)は、不規則な形状を有する。1つの実施形態では、上記潜在フレークは、形状からはバルク顔料フレークとは識別不可能である。あるいは、バルク顔料フレークは、第1の選択された形状を有し、そして上記潜在フレークは、第2の選択された形状を有する。成形された顔料フレークの産生は、種々の技術(例えば、模様づけされた基材を用いて、上記フレーク物質を基材上に堆積し、次いで、この基材からフレークを分離し、模様を取得する工程、またはレーザーもしくは他の手段を用いて、1枚のフレーク物質から模様づけされたフレークを切り出す工程)を用いて達成される。この潜在フレークの選択された形状は、例えば、製造設備、製造年月日、または書類10の他の面、またはこの書類を作製する際に使用されたインクに関連し得る。
【0025】
ロールコーターは、本発明の実施形態に従う潜在フレークを製造するために使用され得る装置の1つの類型である。1巻きの1枚のポリマー基材物質(「ウェブ」としてもまた公知である)は、堆積帯域を通して通過し、そして1種以上の薄型フィルム層でコーティングされ得る。ポリマー基材のロールが堆積帯域を前後に複数回通過され得る。次いで、この薄型フィルム層は、ポリマー基材から分離され得、そしてフレークへと加工される。他の装置および技術が使用され得る。
【0026】
1巻きのポリマーフィルム基材から堆積され(そして除去され)る薄型フィルム層の全厚さを、約10ミクロン未満に制限することが、一般的に望ましい。PETは、ロールコーターに使用されるポリマーフィルム基材の1つの類型であり、そしてPETフィルム基材は、通常は少なくとも厚さ約13ミクロンである。より薄いPETフィルムは、真空堆積プロセス中に、熱的に変質する傾向がある。ポリマー基材が堆積帯域を通過する際、堆積帯域における熱および上記堆積された薄型フィルム層の重合熱の両方が、上記ポリマー基材の温度を上昇させる。従って、PETフィルムから切り取られ、そしてPETを取り込んでいるフレークの最小限の厚さは、約13ミクロンである。
【0027】
選択された形状を有することとは代替的に、またはこれに加えて、上記潜在フレークは、格子模様を含み得る。この格子模様は、フレークへと加工される薄型フィルム層を堆積する前にロールコーターにおいて使用される基材上に浮き彫り模様にされるか、またはそうでなければ形成される。さらなる実施形態では、上記薄型フィルム層が上記堆積基材から剥され、そしてフレークへと加工された場合、堆積基材表面領域の選択された量(百分率)は、格子模様または成形模様で浮き彫り模様にされ、選択量の潜在フレークを得る。この技術は、潜在フレークにベースフレークと同一の光学的図案(薄型フィルム層組成物および厚さ)を提供する。例えば、堆積基材表面領域の10%を、格子模様および/または成形模様で浮き彫りにすることで、約10%の潜在フレークを有する顔料混合物を生じる。堆積基材の種々のロールが、種々の量の潜在フレークを有する顔料混合物を得るために種々の百分率の浮き彫り表面領域と共に生産されるか、または種々の形状および/もしくは格子模様を獲得するために種々の模様で浮き彫りにされる。
【0028】
図2Aは、浮き彫り模様にされた部分13および浮き彫り模様にされていない部分15を有する堆積基材11の一部の簡略図である。この浮き彫り模様にされた部分は、枠(この枠は、図示の目的のために強調されている)を有し、あるいはまたは必要に応じて、例えば、格子もしくは記号を有し、そして浮き彫り模様にされていない部分は、本質的に平坦である。あるいは、浮き彫り模様にされていない部分は、異なる枠、格子、または記号で浮き彫り模様にされる。浮き彫り模様にされた部分13の表面積と浮き彫り模様にされていない部分15との表面積の比は、上記ベースフレーク(これは、浮き彫り模様にされていない部分から生産される)と同一の薄型フィルム構造を有する選択量のタグジェントフレーク(これは、浮き彫り模様にされた部分から生産される)を生み出す。上記堆積基材11は、ロールコーター中の堆積帯域(図示せず)を通って、1つのロール17から別のロール19へと移動するが、代替の実施形態は、種々の類型の基材および堆積系を使用する。図2Bは、浮き彫り模様にされた部分13’および浮き彫り模様にされていない部分15’を有する別の堆積基材11’の一部の簡略図である。
【0029】
選択された形状を有することとは代替的に、またはこれに加えて、上記潜在フレークは、1個以上の記号を含み得る。この記号は、文字、数字、または他の印(marking)であり得る。記号は、例えば、上記潜在フレークの製造業者、上記潜在フレークの使用者、または日付コードを示し得る。この記号は、フレークへと加工される薄型フィルム層を堆積する前に、ロールコーターにおいて使用される基材上に浮き彫りにされ得るか、または、堆積後(例えば、レーザーアブレーション、浮き彫りにすること、またはエッチングにより)薄型フィルム層上に形成される。
【0030】
選択された形状または記号を有する顔料フレークは、たとえ選択された形状または記号が容易に観察可能であっても、セキュリティー特徴を提供する;しかし、選択された形状または記号を有する顔料フレークが、容易に観察可能でない場合、偽造者は、潜在フレークが存在することに気付きさえし得ない。本発明の1つの実施形態は、上記ベース顔料と同一の光学的特徴を有する潜在顔料フレークを使用する。潜在顔料フレークの百分率は、十分に小さいので、その結果、この潜在顔料フレークは、顕微鏡検査のもとでも、容易に見出されない。例えば、インク組成物が顔料の全重量(すなわち、ベース顔料プラス潜在顔料)の1%未満を構成する場合、この潜在顔料フレークは、見つけるのが難しい。
【0031】
上記潜在顔料フレークは、肉眼では見えないが、約50X〜300Xの倍率のもとでは目に見える。本質的に同一の視覚的特徴を有する潜在顔料フレークは、上記組成物の色に著しい影響を与えずに、広汎な範囲の比率でベース顔料と混合され得る。いくつかの実施形態において、潜在顔料フレークは、5〜10重量%の潜在顔料フレークならびに95〜90重量%のベース顔料フレークを有する、類似の外観(例えば、色および/または色移動)の組成物中で、容易に同定可能である。しばしば、成形された不透明な潜在フレークは、携帯顕微鏡(例えば、「シャツ−ポケット」顕微鏡)を用いた視野(field)において容易に同定可能であり、そして、記号を有する同様の大きさのフレークを同定するよりも小さい倍率を必要とする。
【0032】
別のアプローチは、選択された形状または記号を有する透明な無機潜在フレークを使用することである。1つの実施形態では、透明な無機潜在フレークは、キャリア(例えば、インクビヒクルまたはペンキビヒクル)中でベース顔料フレークと混合され、組成物(例えば、インクまたはペンキ)を形成する。別の実施形態では、透明な無機潜在フレークは、透明なキャリア中で混合され、ワニスを形成する。上記キャリアの屈折の指標は、上記透明な潜在フレークの屈折率と十分に類似しており、その結果上記潜在フレークは、上記キャリア中で「消失する」。キャリアの例としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリ(エトキシエチレン)、ポリ(メトキシエチレン)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(無水マレイン酸)、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ(サッカライド)(例えば、アラビアゴムおよびペクチン)、ポリ(アセタール)(例えば、ポリビニルブチラール)、ポリ(ビニルハライド)(例えば、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニレン)、ポリジエン(例えば、ポリブタジエン)、ポリ(アルケン)(例えば、ポリエチレン)、ポリ(アクリル酸)(例えば、ポリメチルアクリレート)、ポリ(メタクリレート)(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリ(カーボネート)(例えば、ポリ(オキシカルボニルオキシヘキサメチレン)、ポリ(エステル)(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)、ポリ(スルフィド)(suphide)、ポリ(スルホン)、ポリ(ビニルニトリル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(スチレン)、ポリ(フェニレン)(例えば、ポリ(2,5−ジヒドロキシ−1,4−フェニレンエチレン)、ポリ(アミド)、天然ゴム、ホルムアルデヒド樹脂、ならびに他のポリマーが挙げられる。
【0033】
上記透明な潜在フレークは、代表的には、キャリア中で全く不可視になるわけではなく、空気中でより見えにくくなる。観察者が、どこを見るべきかを知っている場合、上記透明なフレークは、代表的には、曖昧な外観を有し、これは上記透明なフレーク中またはフレーク上に形成された記号と同様である。しかし、この透明なフレークを探す場所およびその探し方を知らない場合、通常は、検出されないままである。
【0034】
特定の実施形態では、上記透明な潜在フレークは、空気中で約30%の可視の範囲で反射性を有し、そしてキャリア中で30%未満の反射率を有する。従って、この透明な潜在フレークは、上記キャリア中で分散された場合、代表的には、70%より多くの透過度を有し、このキャリアは、この透明な潜在フレークが一緒に混合されるベース顔料またはこの透明な潜在フレークを含有するワニスのもとになるベース顔料の可視的な特徴を維持する。
【0035】
透明な、無機潜在フレークは、組成物またはワニスの全顔料重量の1%よりも多くを構成する場合でさえ、検出しにくい。1つの実施形態では、上記透明な潜在フレークは、UV光のもとで蛍光を発するZnS熱処理された単一層である。ZnS潜在フレークの位置は、UV光で照射され、その位置を同定し、次いで、ZnS潜在フレークは、代表的には、約20X〜200Xにて顕微鏡下で、上記潜在フレークの印を観察するために、可視光を用いて観察される。
【0036】
別のアプローチは、上記ベースフレークとは異なった色の選択された形状を有する不透明な潜在フレークを使用することである。1つの実施形態では、この不透明な潜在フレークは、誘電体物質(例えば、MgF2)の層間に、アルミニウムまたは他の反射材の薄型フィルム層を有する明るい金属(「銀」)フレークである。明るいフレークは、一般的に、可視波長の広汎な範囲にわたって、非常に反射性であり、そしてしばしば、特徴的な色を有さない。例えば、金および銅で作製された明るいフレークは、黄色っぽくそして赤っぽく見え得る。色付けされたベース顔料中の約0.25重量%〜約5重量%の成形された(例えば、「ダイアモンド」成形された)明るいフレークが、色の顕著な変化を生じることなく添加されたが、約50Xの倍率(すなわち、50倍の倍率)で照射されたもとでは、なお容易に同定可能である。照射された倍率では、形状およびこのフレークの非常な明るさの両方が、上記ベースフレークからこのフレークを区別する。約0.25%未満の成形された明るいフレークが使用される場合、上記潜在フレークは、検出するのが難しくなる。なぜなら、上記ベースフレークを用いた希釈のために、視野内に成形される明るいフレークが少なくなるからである。
【0037】
明るいフレークの量が、約5%を超える場合、特定の類型のフレークの色(例えば、色相)、特に暗く色付けされたフレークが、変化する。これらの例では、あまりにも多くの明るいフレークが、上記ベース顔料の色を本質的に「希釈化」する。しかし、成形された明るいフレークを、カラーシフト顔料を有する組成物中に使用することは、非常に望ましい。なぜなら、単一の類型の成形された明るいフレークが、多くの異なる類型(色および/またはカラートラベル)の顔料フレークに少量で添加され、比較的に少量の成形された明るいフレークは、潜在セキュリティー特徴を提供する。同様に、色の希釈は、顔料および明るいフレークを含有する組成物が、顔料100%フレークを含有する組成物と置き換えられるかまたはこれと識別不能であることが意図されない場合、塗布において決定的ではない。
【0038】
図3Aは、本発明の実施形態に従い、かつ、図1に図示されているセキュリティー特徴14の部分14Aの簡略平面図である。セキュリティー特徴14の部分14Aは、フレークの形状を見るために、代表的には20X〜200Xの倍率で見られ、このフレークは、代表的には直径約5ミクロン〜100ミクロン、より代表的には、直径約20ミクロン〜40ミクロンである。上記セキュリティー特徴は、ベース顔料粒子16および選択された形状の潜在顔料フレーク18(この場合、「ダイアモンド」形状)を含有するインクで印刷される。このベース顔料粒子は、不規則に成形されたフレークであると図示される。あるいは、このベース顔料粒子は、形状が選択されたフレークである。この潜在顔料フレークの光学的特徴および濃度は、上記ベース顔料粒子で作製された組成物の視覚的な外見を乱さないように選択される。
【0039】
上記潜在顔料フレークが、不可視照射(例えば、UV光もしくはIR光または電子ビーム)で照射される場合、この潜在顔料フレークは発光する。特定の実施形態において、この潜在顔料フレークは、UV光のもとで蛍光を発する。この潜在顔料フレークを不可視照射で照射することにより、観察者は、たとえ、潜在顔料フレークが非常に少量で存在するにしても、セキュリティー特徴における潜在顔料フレークが位置する場所を同定し得る。次いで、この観察者は、可視光のもとでこの潜在顔料フレークを調べ、この潜在顔料フレークの選択された形状を見るか、またはこの潜在フレーク上の記号を見る。
【0040】
上記ベース顔料粒子16は、不規則に成形されたフレークとして示される。あるいは、上記ベース顔料フレークは、選択された(すなわち、規則的な)形状を有する。同様に、上記潜在顔料フレーク18は、格子を有し得る。格子の付加により、偽造の困難性はさらに増大する。いくつかの実施形態では、この潜在顔料フレーク18は一般的に、上記ベース顔料粒子と同一の光学的特徴を有する。あるいは、この潜在顔料フレーク18は、上記ベース顔料粒子とは異なる光学的特徴を有するが、上記ベース顔料粒子で作製された組成物の視覚的外見を乱さないように十分に少量で存在する。
【0041】
特定の実施形態では、上記「ダイアモンド成形された」潜在フレークは、直径約25ミクロン〜35ミクロンの明るいフレークであった。この成形されたフレークは、ダイアモンド模様をPET堆積基材物質のロールへと浮き彫りにし、次いで、標準薄型フィルム図案を明るいフレーク(例えば、厚さ各約400nmのMgF2の層間の約100〜60nmのAl)に対して堆積することにより、作製される。この明るいフレークの厚さは、約900nmであり、これは、約1ミクロンである。この浮き彫りにされた模様はまた、(フレーク中またはフレーク上の模様を生み出すことが意図される格子に対抗するものとして)「枠」としてもまた公知であり、そしてある実施形態では陽性であり、そしてある実施形態では、陰性である。
【0042】
金属層と1種以上の誘電体層の組み合わせは、上記フレークの上記堆積基材からの除去を促進する。誘電体層しか有さない薄型積層物は、もろく(brittle)であり、そしてしばしばこの堆積プロセスからの残留応力(residual stress)を有する。このような薄型フィルムの積層物は、よりランダムに壊れる傾向があり、成形されるフレークはより少なくなる。全て金属の積層物または単一層は、上記堆積基材の枠に従う模様化されたフレークへと加工しにくい。なぜなら、上記金属は、比較的延性があるからである。特定の実施形態では、全体で約0.5ミクロン〜約3ミクロンの厚さを有する、金属−誘電体フレークおよび誘電体−金属−誘電体フレークは、延性ともろい特徴との絶妙の組み合わせを提供し、この組み合わせは、上記金属−誘電体フレークおよび誘電体−金属−誘電体フレークが上記基材から除去され、そして加工された場合に、フレークの魅力的な模様をもたらす。特定の実施形態では、もろい誘電体層間に全体で厚さ約1ミクロンの延性金属層を有する、成形された明るいフレークは、浮き彫りにされた堆積基材から、約90%のダイアモンド成形されたフレークを生じた。
【0043】
上記薄型フィルム層は、上記堆積基材から剥離され、そして従来技術を用いてフレークへと加工された。浮き彫りにされたダイアモンド模様は、線を提供し、この線に沿って、薄型フィルム層が、選択されたダイアモンド形状を有するフレークへと破壊された。別の実施形態では、このダイアモンド成形されたフレークは、約12ミクロン×16ミクロンであり、そしてこれは、上記フレークの主要表面上の格子を含んでいた。この格子は、1mmあたり名目上2000本の線であり、そしてタグジェントとして使用された場合に、組成物中で顕著な回折効果をもたらさなかった。12×16ミクロンのフレークの形状は、100Xの倍率にて容易に見られた;しかし、上記格子は、この倍率では容易に見えなかった。この格子は、400Xの倍率にて容易に明らかになった。他の実施形態では、格子は、粗く、タグジェントフレークの形状を識別するために使用され、同一の倍率(例えば、50X〜100X)にて容易に見られる。従って、セキュリティー特徴をタグジェントフレークに提供するのに使用される格子は、スペクトルの可視部分において光学的に活性である必要はない。
【0044】
図3Bは、本発明の別の実施形態に従うセキュリティー特徴14の一部の簡略平面図である。このセキュリティー特徴は、ベース顔料粒子16および潜在顔料フレーク18Bを含有するインクで印刷され、上記潜在顔料フレーク18Bは、不規則な形状を有し、そして記号17(この場合、様式化された「F」)を含む。いくつかの異なる記号および記号の組み合わせが、使用され得る。セキュリティー特徴部分14Bは、代表的には、約100X〜200Xの倍率で、記号を見るために、潜在顔料フレーク18B上に観察され、この記号は、代表的には、高さ約0.5ミクロン〜20ミクロンである。
【0045】
上記潜在顔料フレーク18Bは、1種以上の薄型フィルム層を、基材(例えば、プラスチックフィルム)に堆積し、基材からこの薄型フィルム層から分離し、そして上記分離された薄型フィルム層を加工(例えば、所望のフレークへとひくこと(milling)およびふるいにかけること(sieving)して、作製された。この潜在顔料フレークは、代表的には、直径約5ミクロン〜100ミクロンであり、そしてより代表的には、直径約20ミクロン〜100ミクロンである。上記記号17は、代表的には、高さ約0.5ミクロン〜20ミクロンである。特定の実施形態では、この記号17は、高さ約700ナノメーターであり、別の実施形態では、この記号は、高さ約15ミクロンである。十分に近い記号を有し、その結果、ほとんどのフレークが、少なくとも1つの、記号の同定可能な部分を有することが一般的に望ましい。1つの実施形態では、高さ8ミクロンの記号は、約2ミクロンの間隔が空けられ、この結果、1フレーク当たり、平均約6個の記号を有する潜在フレークを生じた。左右対称の対称性を有する記号は、透明なフレークの頂部から観察されても底部から観察されても、同一であるように見えるが、このような対象性は必要とされない。別の実施形態では、高さ約15ミクロンである記号は、間隔が約4ミクロン空けられた。
【0046】
上記記号は、代表的には、基材上に浮き彫りにされ、そして上記薄型フィルム層は、浮き彫りにされた基材を覆って堆積される。この基材の表面、すなわち記号は、少なくとも第1の薄型フィルム層において繰り返され(replicate)、この第1の薄型フィルム層は、上記基材上に堆積され、これは、陽性または陰性のいずれかのレリーフ(relief)である。従って、この薄型フィルム層が、浮き彫りにされた基材から分離され、そして顔料へと加工される場合、少なくともいくつかのフレークは、この記号を含む。フレーク上の浮き彫りにされた記号の間隔は、本質的に全ての上記の特定の大きさのフレークが、少なくとも1個の記号を含むように選択され得る。
【0047】
上記ベース顔料粒子は、不規則に成形されたフレークとして図示される。あるいは、このベース顔料粒子は、選択された形状を有する。同様に、上記潜在顔料フレーク18Bは、上記記号17に加えて、選択された形状を有し得、そして重ねられた格子(例えば、回折格子)は、全フレークまたはフレークの選択された部分のいずれかの方々に含まれ得るが、記号の方々に含まれるわけではない。あるいは、格子の1つの類型は、フレークの場(field)において形成され、そして格子の別の類型(例えば、別個のピッチを有するもの)が、上記記号領域に形成される。格子の付加は、偽造をさらに困難にする。上記潜在顔料フレークは、一般的に、ベース顔料粒子と同一の光学的特徴を有するか、または、上記ベース顔料粒子で作製された組成物の視覚的外観を乱さないように十分に少量で存在する。
【0048】
特定の実施形態では、上記ベース顔料粒子は、TiO2または他の誘電体物質の層で被覆された雲母のフレークである。上記コーティング物質は、代表的には、比較的高い屈折率を有する。雲母は、比較的に廉価で容易にフレーク基材へと加工される天然に生じる鉱物である。雲母フレーク基材が、厚さの選択された高屈折率材料の層でコーティングされる場合、真珠光沢顔料フレークが得られる。雲母フレーク基材は、種々のプロセスを用いて、いくつかの代替物質でコーティングされ得る。このような顔料は、一般に「雲母ベース」顔料として公知である。このような真珠光沢顔料フレークを用いて印刷したイメージの写真複写は、原物のようには見えず、従って、雲母ベースの顔料フレークは、明白なセキュリティー特徴を提供する使用が望ましい。しかし、雲母フレーク基材を成形することまたは雲母フレーク基材上の記号を提供することは、実際的ではない。本発明の実施形態に従う潜在顔料フレークは、雲母ベース顔料と混合され、潜在セキュリティー特徴が、雲母ベースの顔料フレークで印刷されるイメージ中に含まれることが望ましい。無機誘電体物質(例えば、TiO2またはZnS)の単一層でできた潜在顔料フレークは、可視スペクトルにおける選択された波長にて、上記潜在顔料フレークが4分の1の波の光学的厚さ(quarter−wave optical thickness(「QWOT」)の約5倍の厚さを有する場合、雲母ベース顔料と類似の外観を有し得る。代表的には、雲母ベース顔料の外観に適合するように意図されたZnSの単一層潜在顔料フレークは、約60nm〜約600nmの厚さを有する。
【0049】
浮き彫りにされたダイアモンド成形模様の堆積基材から、すべて誘電体のフレークを加工する工程は、対照金属−誘電体フレークよりも少ない収量を有する傾向がある。
【0050】
図3Cは、本発明のなお別の実施形態に従うセキュリティー特徴14Cの一部の簡略平面図である。このセキュリティー特徴は、ベース顔料粒子16および透明な潜在フレーク19を含有するインクで印刷され、この透明な潜在フレーク19は、不規則な形状を有し、そして記号17’(この場合、様式化された「F」)を含む。いくつかの異なる記号および記号の組み合わせは、代替的に使用される。あるいは、透明なフレークは、選択された形状を有し、これには記号を有するものまたは記号を有さないものがある。
【0051】
上記透明な潜在フレークは、堆積された(すなわち、合成的な)無機薄型フィルム層から形成され、そして特定の実施形態において、この透明な潜在フレークは、厚さ約700nmのZnSの単一層である。さらなる実施形態では、上記ZnSのフレークは、蛍光を増強するように処理される。あるいは、UV光に曝された場合、可視光を発する他の物質(例えば、少し例を挙げれば、ケイ酸亜鉛、酸化カルシウム−タングステン(calcium−tungsten oxide)、リン酸バナジウムイットリウム(yttrium phosphate vanadium)、ドープ化された酸化イットリウム(例えば、ユーロビウム)、および希土類アルミン酸塩をドープ化されたアルカリ性土類アルミン酸塩)が、他の実施形態において使用される。あるいは、低UV照射(約250nm)で励起される場合、長いUVの範囲(300nm〜400nm)において蛍光を発する他の物質が使用される。蛍光は、本発明の全ての実施形態に対して必要とされるわけではない。
【0052】
1つの実施形態では、上記透明な潜在フレーク物質は、この透明な潜在フレーク物質が一緒に混合される意図されたキャリアに従って選択され、このキャリアにおけるフレークの屈折率が適合するかまたは適合しないかを選択する。例えば、低屈折率物質から作製された透明なフレークが低−指標キャリア中で混合される場合、上記透明なフレークは、非常に見にくい。上記屈折率の透明なフレークが、高屈折率キャリア中で混合される場合、この透明なフレークは見やすいが、一般的には、簡単な観察により検出されるわけではない。
【0053】
約10個よりも多くのQWOTの厚さの無機物質でできた単一層フレークは、透明である傾向があり、染色されたり真珠光沢性ではない。しかし、透明なフレークでさえ、黄色っぽい色合いを組成物(例えば、ワニス)に与え得る。いくつかの透明な無機フレークの熱処理は、フレークの「白さ」を改善し、潜在セキュリティー用途における使用が優れたワニスをもたらす。特定の実施形態において、厚さ約700nmのZnSの単一層から作製された透明な顔料フレークは、空気中で550℃に、約600分にわたって加熱され、UV光のもとで蛍光を増強した。この熱処理はまた、上記ZnSフレークの白さを改善した。
【0054】
ロールコーティングプロセスから残存する微量元素が、蛍光の増強に寄与したと考えられている。特に、NaClは、このロールコーティングプロセスに使用されたポリマー基材上の放出層(release layer)として使用された。ZnSの単一層は、NaCl放出層の方々に堆積され、次いでこのNaCl放出層は、水中に溶解し、このポリマー基材からのZnSの除去を促進した。放出層からのナトリウムが、ZnSまたは他の活性化されたドーパントにドープ処理し、蛍光を増強したと考えられる。
【0055】
図4Aは、本発明の実施形態に従う明るい顔料フレーク20の簡略断面である。反射層22は、2個の誘電体薄型フィルム層24、26の間にある。誘電体薄型フィルム層24、26のために、上記明るい顔料フレーク20が硬化し、そして上記ロールコーター基材からの顔料フレークの除去を促進する。上記明るい顔料フレークの厚さを、10ミクロン未満に維持し、平坦な表面へと乾燥または硬化する組成物を提供することが望ましい。特定の実施形態において、フレークの厚さは、約1ミクロン〜約3ミクロンである。より薄いフレークは、より加工しにくく、そして扱いにくい。その理由は、上記より薄いフレークは、重量がほとんどなく、そしてより強度であるからであり、枠模様に沿って壊れにくい。
【0056】
上記反射層22は、代表的には、非常に反射性の金属(例えば、アルミニウム、プラチナ、金、銀、もしくは銅)、または中程度に反射性の金属(例えば、鉄もしくはクロム)の薄型フィルム層である。この反射層22は、スペクトルの可視部分において、不透明(反射性)であるには十分に厚いが、この薄型フィルム層が上記基材から分離し、次いでフレークへと加工されるのを妨害するほど厚くはない。換言すれば、厚すぎる金属反射層は、比較的もろい誘電体層24、26の間に、延性のある層を提供し、そしてこの堆積された層のフレークへの加工を妨害する傾向にある。上記誘電体層の適切な金属としては、とりわけ、ZnS、MgF2、SiO2、Al2O3、TiO2、Nb2O5およびTa2O5が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記誘電体薄型フィルム層24、26はまた、反射層22に対して環境の保護を提供する。
【0057】
上記明るいフレーク20は、選択された形状を有し、そして必要に応じてかまたは代替的に、他の印(例えば、表面(格子)模様または元素の指紋(elemental fingerprint))を有する。十分に低い濃度では、この明るいフレーク20が、色付き顔料および色付き組成物(例えば、インクおよびペンキ)に添加される。成形された明るいフレークは、ベース(すなわち、ランダムに成形されたかまたはあるいは代替的に成形された)明るいフレークに、潜在セキュリティー特徴として添加され得る。
【0058】
図4Bは、元素インジケーター層28を有する明るいフレーク20’の簡略断面図である。この明るい層20’は、誘電体層24’、26’の間の反射性の層22’、22’’、および元素インジケーターを提供する層28を有する。この元素インジケーター層28は、この明るいフレークが一緒に使用されるベース顔料において見出されない物質の層であり、そしてこれは、元素分析技術(例えば、第2イオン質量分光分析(「SIMS」、エネルギー発散性X線(「EDX」)およびAuger分析)を用いて容易に検出可能である。さらに、この元素インジケーターは、上記潜在フレークに存在するが、上記ベースフレークには存在せず、そしてマイクロ−SIMS分析、マイクロ−EDX分析、またはマイクローAuger分析は、容易にこの差異を検出する。上記顔料混合物に指示元素(indicating element)を添加(例えば、指示元素を含有する少量の化合物をキャリアに添加)するだけなら、このセキュリティー特徴に打ち勝つことは出来ない。
【0059】
上記元素インジケーター層28は、光学活性ではない。なぜなら、この元素インジケーター層28は、2つの半透明な反射層22’、22’’の間にあるからである。この反射層22’、22’’は、上記ベースフレークにおいて使用される同一の物質(例えば、アルミニウム)であるように選択される。元素インジケーターとして適切な物質としては、とりわけ、プラチナ、イリジウム、オスミウム、バナジウム、コバルト、およびタングステンが挙げられる。当業者は、選択された元素インジケーター物質が、一緒に使用される同一のベース顔料に依存することを理解する。代替の実施形態において、明るい顔料の上記反射層は、元素インジケーター物質に属する(図3B、参考文献22を参照のこと)。例えば、プラチナを反射層として用いた明るい潜在顔料フレークまたは色付き顔料フレークは、アルミニウムを反射層として用いた明るいベースフレークまたは色付き顔料フレークと混合される。さらなる実施形態では、顔料混合物または組成物へと組み込まれる元素インジケーターを有するフレークの量が選択され、顔料混合物における選択された元素比率(例えば、アルミニウム対プラチナ)を提供する。代替の実施形態またはさらなる実施形態では、上記誘電体薄型フィルム層24’、26’の物質(図4A、参考文献番号24、26)が選択され、元素インジケーターを提供する。
【0060】
図4Cは、本発明の別の実施形態に従う、カラーシフト顔料フレーク30の簡略断面図である。このカラーシフト顔料フレーク30は、一般的に対称性の5層Fabry−Perot干渉フレークとして公知である。薄型フィルムの積層物32は、反射性金属層34、2層のスペーサー層36A、36B、および2層の吸収層38A、38Bを含む。上記吸収層は、代表的には、クロム、炭素または他の物質の、非常に薄く、やや不透明な層である。上記反射層、スペーサー層、および吸収層は、全て光学的に活性であり、つまり、これらの反射層、スペーサー層、および吸収層は、上記カラーシフト顔料フレークの光学的性能に寄与する。上記フレークの各面は、入射光に対して類似のFabry−Perot干渉構造を提供し、それゆえこのフレークは、光学的に対称性である。あるいは、このカラーシフト顔料フレークは、全て誘電体の顔料フレークである。
【0061】
上記カラーシフト顔料フレークの、色およびカラートラベルは、光学的に変化し得る顔料の技術において周知であるように、このフレークの光学的図案、すなわち薄型フィルム積層物32の層の物質および厚さにより決定される。カラーシフト顔料フレーク30の光学的図案は、代表的には、カラーシフト顔料フレーク30が一緒に混合される上記ベース顔料フレークの光学的特性に適合するように選択される。このカラーシフト顔料フレーク30が成形され(図3A、参考文献18を参照のこと)、そして必要に応じてかまたは代替的に、他の印(例えば、表面格子模様および/または元素インジケーター)を含む。
【0062】
例えば、上記反射層は、元素インジケーターを含み、上記ベース顔料フレークとは異なる反射性金属またはさらなる元素インジケーター層を含み、これは、光学的に活性であっても光学的に活性でなくてもよい(図3C、参考文献28を参照のこと)。あるいはまたはさらに、上記スペーサー層36A、36Bおよび/または吸収層38A、38Bは、元素インジケーターを含む。例えば、このベース顔料フレークが、MgF2、SiO2、またはAl2O3をスペーサー層物質として使用する場合、上記潜在顔料フレーク30は、種々のスペーサー層物質(例えば、TiO2またはZnS)を使用する。スペーサーおよび/または吸収のインジケーターの物質は、元素分析を使用して容易に検出される元素を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、別個のスペーサー物質および/または反射器物質は、上記ベースフレークとは異なる光学特性を有する潜在顔料フレーク30をもたらす。例えば、たとえ上記潜在フレークおよびベースフレークが直角入射で類似の色を有する場合でも、カラートラベルは、異なり得る。一般的に、低屈折率スペーサー物質(例えば、MgF2およびSiO2)は、高屈折率スペーサー物質(例えば、ZnSおよびTiO2)よりも多くのカラートラベル(「迅速シフト」顔料)を提供する。しかし、上記カラートラベルがこのベースフレークのカラートラベルとは正確に適合しない場合であっても、このような潜在フレークは、上記ベース顔料フレークに比較的高濃度で添加され得る。なぜなら、ほとんどの不用意な観察者は、本発明の実施形態に従う混合物と100%ベース顔料との差異を検出し得ないからである。
【0064】
図5は、本発明の実施形態に従うキャリア44中に分散された潜在フレーク42を有するワニス40の横断面である。このキャリアは、透明であるかまたは色付けされており、そして上記潜在フレーク42は、軽い視覚の検出を回避するように選択された濃度にある。選択的な色のコーティングまたは明るい(例えば、「クロム化」)コーティング46は、上記ワニス40の下に、物体48に塗布されている。上記ワニス40は、その外見を乱すことなく、この物体に潜在セキュリティー特徴を提供する。特定の実施形態では、必要に応じたカラーコート46は、明白なセキュリティー特徴をこの物体に提供するための真珠光沢顔料またはカラーシフト顔料で印刷されたイメージである。この物体は、例えば、書類、製品、包装、または捺印(seal)である。このワニス40は、この物体の外見を著しく変化させることなく、すでに潜在セキュリティー特徴を有する物体に、潜在セキュリティー特徴を提供する。例えば、株券が明白なセキュリティー特徴で印刷されており、そしてこの株券に潜在セキュリティー特徴を提供することが望ましくなった場合、上記明白なセキュリティー特徴は、ワニス40または類似のインク組成物(すなわち、潜在フレークを含有する本質的に透明なインク組成物)で重ね刷りされる。別の実施形態では、さらなる潜在セキュリティー特徴が、1個以上の潜在セキュリティー特徴をすでに有する物体に提供される。特定の実施形態では、この潜在フレークは、上記ワニスの2%以下を構成する。ワニスに関するさらなる考察が、実験的結果に関する項に以下に提供される。
【0065】
図6は、本発明の別の実施形態に従う、結合剤またはキャリア52において分散された、ベース顔料フレーク16および潜在フレーク18を含有する組成物50(例えば、インクまたはペンキ)の断面である。この潜在フレーク18は、選択された形状または他の印(例えば、図3C、参考文献20’)(例えば、元素インジケーターまたは表面−格子模様)を有する。あるいは、この組成物50は、選択的に成形された透明なフレーク(このフレークは、記号を有していても有さなくてもよい)、ならびに/または、成形された潜在顔料フレークおよび/もしくは記号(例えば、図3A、参考文献18、および図3B、参考文献18B、20)を含む潜在顔料フレークを含む。1つの実施形態では、組成物中の潜在フレーク18の量は、上記ベース顔料フレーク16および潜在フレーク182の全重量(「全顔料重量」)の1%未満であり、これは、上記ベース顔料フレークにおいて透明な潜在フレークを十分に分散させ、上記潜在フレークの表面的な検出を困難にする。代替の実施形態では、組成物中の透明な潜在フレークの量は、1%よりも多い。上記組成物50は、物体48(例えば、ラベル、製品の包装、銀行紙幣、または消費者の商品)に塗布される。
【0066】
潜在フレークを、存在するインク組成物またはペンキ組成物に添加することで、潜在セキュリティー特徴が、インクまたはペンキから作製されたイメージに備わる。例えば、カラーシフト顔料を有するインクが使用され、カラーシフトイメージを、銀行紙幣または他の物体上の明白なセキュリティー特徴として提供する。本発明の実施形態に従う潜在フレークが、このインクに添加され、そしてこの生じた混合物が、上記インクで印刷されたイメージと実質的に類似して見えるイメージを印刷するために使用される。従って、上記潜在セキュリティー特徴が添加された後、上記銀行紙幣の表面的な観察者は、上記明白なセキュリティー特徴(すなわち、カラーシフトイメージ)の外見の変化に気付かない。上記潜在フレークの印は、製造年月日、印刷の場所、および/またはインクの供給源(製造者)を示す。
【0067】
(III.潜在フレークの同定)
図7Aは、UV照射を用いた顕微鏡下で見られた場合の、本発明の実施形態に従う、透明な無機潜在フレーク122で印刷されたセキュリティー特徴114の一部の簡略平面図である。このフレークは、図示を簡単にするために、単一層にて示される(図4と比較のこと)。この透明な潜在フレーク122は、蛍光を発し(明るく見え)、そしてベース顔料フレーク116と容易に区別され、このベース顔料フレーク116は、暗く見え、そして図示の目的で点線で示される。代表的には、視界のより大きな視野(field)(すなわち、より低い倍率、代表的には、20X〜50X)が観察される。視界の減少した視野(field)は、図示の簡便性のために示される。一度この蛍光潜在フレークの位置が同定されると、この観察者(viewer)は、潜在フレーク上で「ズームイン」し得る。
【0068】
図7Bは、照射のための可視光を用いた顕微鏡下で見られる場合、図7Aのセキュリティー特徴114の一部の簡略平面図である。上記透明な潜在フレーク上の記号は、UV光の下で判読しにくいことが発見された。なぜなら、上記蛍光は、バルク現象であり、記号を不明瞭にするからであった。上記UV光がスイッチオフされた場合、そして透明な潜在フレーク122が、可視光を用いて顕微鏡下で観察された場合、記号120のかすかな輪郭(およびこのフレーク)が、観察可能であった。蛍光潜在フレークは、フレークの濃度が低い場合、特に望ましい。この透明な潜在フレーク122および記号120は、この視界において点線として示され、これらが可視光のもとでかすかな輪郭として出現することを示す。このベース顔料フレーク116は、実線として示される。なぜなら、これらは、代表的には、可視光のもとで顕著になるからである。特定の実施形態では、この透明な潜在フレークは、艶だしワニス中のZnS(これは、約2.2の屈折率を有する)であり、これは、UV光のもとで最初に観察され、次いで、フレーク上の記号は、100Xの倍率にて可視光を用いて判読された。
【0069】
UV光または他の不可視照射のもとで蛍光を発する潜在顔料フレークに関して、類似の結果が予想される。上記潜在顔料フレークが十分に希釈された場合、例えば、ベース顔料フレーク中で分散された潜在顔料フレークは、類似の視覚的特徴を有し、検出しにくい。1つの実施形態では、この潜在顔料フレークは、UV光のもとで観察可能な選択された形状を有する。別の実施形態では、この潜在顔料フレークは、UV光の下では容易に観察可能ではないが、可視光の下では観察可能である。この記号を有する潜在顔料フレークの位置は、UV光を用いて同定され、次いで、UV光がスイッチオフにされ、そしてこの記号は、可視光を用いて判読される。
【0070】
あるいは、より長い波長の光で照射される場合、より短い波長にて蛍光を発する物質が、潜在フレークまたは潜在顔料フレークを製造するために使用される。この種の蛍光は、偽造者によりそれほど容易には気付かれないと考えられており、この種の蛍光が潜在セキュリティー用途において使用されるのを促進する。1つの実施形態では、近赤外線または赤外線は、潜在フレークまたは潜在顔料フレークを照射するために使用され、可視の範囲で蛍光を発する。
【0071】
(IV.実験結果)
透明な潜在フレークまたは単一層潜在顔料を開発する前に、種々の代替物が評価された。赤紫〜緑の光学的に変化可能な彫り込み(「OVI」)100%顔料フレークを、生産し、そして測定した。全てのタグジェントサンプルは、2000線/mmの格子模様を有した。この格子模様は、上記タグジェントフレークを、上記ベースフレークから区別しやすくし(すなわち、位置決めし)、そしてより偽造しにくくする。この格子模様は、回折特性を、試験組成物に印刷されたイメージに誘導しなかった。タグジェントフレークの底部と、観察者に十分に方向付けされないことことの組み合わせは、回折特性が生じるのを回避したと考えられている。本発明の特定の実施形態では、格子模様は、記号を有するタグジェントフレーク上に含まれた。これらの記号は、最初の倍率で顕微鏡下で同定可能であるが、この格子模様は、この最初の倍率にて容易には見られなかった。この格子模様は、より高い倍率で見られた。このような格子模様を包含することは、上記タグジェントフレークの潜在の性質をさらに強化する。なぜなら、偽造者は、顕微鏡試験のもとでこの記号を見得るが、格子模様を見得ず、その結果、これを偽造物品に含まないからである。
【0072】
第1の試験サンプル(「サンプル1」)は、赤紫〜緑のOVI顔料フレーク(記号を含む)(「タグジェントフレーク」)の10%と混合された従来の赤紫〜緑の顔料フレークの90%(重量)を含有した。このタグジェントフレークは、日常的な顕微鏡検査により検出しやすく、そしてこの混合物の色の性能は、試験標準と同一であった。なぜなら、上記タグジェントフレークの色は、十分にこのベースフレークの色に適合したからである。しかし、類似の色の適合は、上記タグジェントフレークの生産を注意深くモニタリングすることを必要とする。同様に、タグジェントフレークの各々の色に対する新規の光学的な図案は、ベースフレークの各々の色に適合するように使用される。従って、このアプローチは、種々の色付ベース顔料と混合され得る包括的なタグジェントフレークを提供しない。
【0073】
より単純なアプローチは、標準的なタグジェントフレーク図案の多くの異なる色と共に使用され得る。単一層MgF2タグジェントフレークは、赤紫〜緑のOVIベース顔料と共に混合され、このタグジェントフレークは、全顔料重量(「サンプル2」)の10%を構成した。色の適合したOVIに関して、色の性能は、100%ベースOVI顔料フレークと共に生産されたサンプルと本質的に同一である。しかし、このMgF2フレークは、日常的な顕微鏡試験のもとでは、10%の濃度でも、検出しにくかった。
【0074】
「銀」(アルミニウム)タグジェントフレークもまた、評価された。銀フレークの偽造は、比較的単純であり、そしてこれらのフレークは、5%の濃度では、非常に検出しやすい。銀タグジェントフレークが、多くの色のベース顔料と混合され得ることが望まれた。しかし、赤紫〜緑OVIベース顔料(「サンプル3」)と混合された銀タグジェントフレークを5%だけ含有する彫り込みブレンド(intaglio blend)の色の性能は乏しかった。従って、銀タグジェントフレークは、特定の組成物において有用であり得るが、少なくともいくつかのベース顔料の色の性能を崩壊させるようである。
【0075】
別のアプローチは、ベースフレークの多くの異なる色と共に使用され得る標準タグジェントフレーク図案を使用することである。アルミニウム反射層を使用する(このフレークに「銀」の外見を与える)明るいタグジェントフレークもまた、評価された。色付きベース顔料フレークと共に混合される場合、明るいフレークの製造は、比較的単純であり、そしてこれらのフレークは、5%の濃度では、非常に検出しやすい。明るいタグジェントフレークが多くの色のベース顔料と共に使用され、潜在(covet)セキュリティー特徴を提供する。組成物における明るいタグジェントフレークの量は、所望の結果に依存する。例えば、上記赤紫〜緑のOVIベースと混合された5%の明るいタグジェントフレークを含有する彫りこみブレンドの色の性能は、並行比較(side−by−side comarison)にて、赤紫〜緑OVIフレーク100%の組成物から識別可能である。赤紫〜緑OVIフレーク100%から本質的に識別不能な組成物は、5%未満の明るいフレーク(例えば、赤紫〜緑OVIフレーク中の約0.25重量%〜3重量%の濃度を有する明るいタグジェントフレーク)を使用する。5%よりも大きい濃度の明るいフレークが、顔料フレークに添加され、この組成物の外見を顕著に変化させることなく、より明るい飽和色またはより少ない飽和色を提供すると考えられる。明るいタグジェントフレークは、1%未満の濃度でも、選択された形状を有することと色が異なること(例えば、赤紫の代わりに「銀」)の組み合わせのために、穏当な倍率下で検出しやすい。
【0076】
最後に、透明なタグジェントフレークは、ZnSの単一層から作製された。このフレークの生産は、比較的容易である。そして、濃度10%での検出可能性は、容易であった。これは、上記OVIタグジェントフレークを検出することよりも困難であるが、上記MgF2タグジェントフレークを検出するよりもずっと容易であると言うことである。10%のZnSフレークおよび90%の赤紫〜緑OVIフレーク(「サンプル4」)との彫りこみブレンドが、試験標準に対して比較された。この色の性能は、クロムにおけるわずか(約3%)の減少とほとんど等しかった。この主観的な比較に関与した人は、光学的に変化可能な顔料の色の性能を評価する際に非常に経験を積んでおり、そして標準に対して、並行比較を使用した。存在するインク組成物またはペンキ組成物に添加されたこのフレークの10%が、この色の性能を十分に保存し、その結果、平均的な観察者なら変化に気付かないであろうと考えられている。このZnSの透明タグジェントフレークは、多くの色付き顔料(上記色付き顔料で製造された組成物の外観を注意可能に変化させることなく、光学的に変化し得る顔料)に加えられ、そしてその結果、包括的なタグジェントフレークを可能にし得ると考えられている。
【0077】
上に記載されたサンプルの測定された光学的性能は、表1:
【0078】
【表1】
に記載される。
【0079】
タグジェントまたは潜在タグジェントとして使用する透明なZnSフレークはまた、ワニス組成物中で評価された。いくつかの例において、このワニス組成物の認識された外見においてほとんど全く変化なしに、ほぼ1/3のワニス組成物が透明であり得ることが考えられる。艶だしワニスベースが、このワニス組成物を製造するために使用され得、そしてこのワニス組成物が、インクおよびペンキの色の評価に対して普通に使用される類型の白色カード株券に対して塗布された。全てのワニス組成物は、透明なフレークなしに、ワニスベースの試験標準に対して比較された。
【0080】
第1のワニス組成物に対して、3%の堆積したままの(as−deposit)(すなわち、透明さのために加熱処理されない)単一層のZnSは、試験標準と本質的に同一に見えた。5%の単一層を有する堆積したままの(as−deposit)ZnSフレークを有する第2のワニス組成物は、試験標準と比べられた場合、わずかに顕著に異なっていたが、不用意な観察者なら、黄変のわずかな量に気付かないであろうと考えられている。10%の単一層の堆積したままのZnSフレークを有する第3のワニスサンプルは、試験標準に対して比較された場合、外見の顕著な変化を示し、そして幾人の不用意な観察者なら、非常に明るいバックグラウンドでこの組成物を用いて印刷された視野(field)に気付くであろうと考えられている。しかし、この組成物は、非白色基材に対する印刷に対して有用であり得る(例えば、銀行紙幣または灰色がかった株券)が、ここで、上記わずかな黄変が気付かれる可能性がより低下する。あるいは、潜在セキュリティー特徴として使用される場合、非光沢性のワニスベースが使用され、検出の可能性をさらに低減する。15%の単一層の堆積したままの(as−deposit)ZnSを有する第4のワニスサンプルは、上記試験標準との並行比較をしない場合でさえ、顕著な黄変を示した。
【0081】
単一層ZnSフレークを熱処理し、このフレークを透明化(「ブリーチ」)した。このフレークは、空気中で2時間、200℃で加熱された。蛍光を強化するための熱処理ZnSフレーク(空気中で550℃で10時間)はまた、上記フレークをブリーチするが、ブリーチすることは、より短い熱処理で達成され得る。20%の単一層ブリーチ化ZnSを使用するワニス組成物は、色の変化がほぼ認識不可能であることを示した。従って、少なくとも10%のブリーチされていない単一層ZnSフレークおよび少なくとも20%のブリーチされた単一層ZnSフレークは、潜在タグジェントとして艶だしワニスベースに添加され得ると考えられる。
【0082】
ZnSは、タグジェントフレークとしてさらに望ましい。なぜなら、金属(例えば、アルミニウム)層を含むいくつかのフレークと違って、ZnSは、水、酸、塩基、およびブリーチの存在のもとで耐久性があるからである。いくつかの有機フレークとは異なり、ZnSはまた、有機溶媒および日光の存在下で耐久性がある。
【0083】
図8は、インクで調製された試験サンプル、および本発明の実施形態に従う潜在顔料フレークと組み合わせたインクで調製された試験サンプルに対するカラートラベルを示す。このカラープロットは、CIELa*b*の慣習に従う。照射および観察の角度は、反射角から10°離れており、透明なコーティングサンプルに関連した強度の蛍光成分を回避した。このサンプルは、15°/5°〜65°/55°まで5°ずつ増加する11の照射角度/観察角度を用いて特徴付けられた。この曲線の第1の点(すなわち、上方の左側の点)は、15°/5°のデータに対応し、そして最終点(すなわち、11番目の点)は、65°/55°のデータに対応している。
【0084】
第1の曲線600は、青〜緑の光学的に変化可能な顔料フレークを用いて調製された試験サンプルに対する、測定されたカラートラベルを示す。第2の曲線602は、95重量%の青〜緑の光学的に変化可能な顔料フレークおよび厚さ約700nmで平均粒子サイズ約20ミクロンの5重量%の単一層ZnSフレークに対する測定されたカラートラベルを示す。このフレーク上の記号は、約8×6ミクロンであり、視野(field)の約2ミクロンずつ分離されていた。重量%は、インク組成物を調製するために使用されるフレークの全重量の、サンプルに対する百分率である。第3の曲線604は、90重量%の青−緑の光学的に変化可能な顔料フレークおよび第2の曲線と関連するサンプルにおいて使用される10重量%の同一のZnSフレークで調製されたサンプルに対する測定されたカラートラベルを示す。これらの曲線は、非常に類似した光学的性能が、10重量%までの潜在フレークを有するインク組成物に関して獲得可能であることを例証している。特に、このカラートラベルは、全ての3つのサンプルに対してほとんど同一であり、そしてクロムは、10%の透明な潜在フレークで作製されたサンプルよりもわずかに少ないだけである。従って、本発明の実施形態に従う潜在フレークは、存在する光学的に変化可能なインクに添加され、組成物を形成し、この組成物で印刷されたイメージの外見を著しく変更することなく潜在セキュリティー特徴を提供する。
【0085】
(V.例示的方法)
図9は、方法700の簡略化されたフローチャートであり、この方法は、本発明の実施形態に従う潜在フレークを物体に提供する。不可視照射のもとで蛍光を発する潜在フレークは、キャリア中で混合され(工程702)、組成物(例えば、インクまたはペンキ)を提供し、上記潜在フレークは、可視光のもとで観察することによっては容易に検出可能ではない。1つの実施形態では、上記潜在フレークは、記号および/または選択された形状を有する透明な潜在フレークである。さらなる実施形態では、この組成物は、ベース顔料フレークまたは粒子を含有する。別の実施形態では、上記潜在フレークは、記号および/または選択された形状を有する潜在顔料フレークである。この組成物は、物体に塗布され(工程704)、潜在セキュリティー特徴を提供する。1つの実施形態では、この組成物は、印刷工程(例えば、グラビア印刷工程、フレキソ印刷工程、オフセット印刷工程、活版印刷工程、凹板印刷工程、またはスクリーン印刷工程工程)を用いて塗布される。別の実施形態では、この組成物は、塗装工程(例えば、ローリング工程、デッピング(dipping)工程、ブラシング(brushing)工程、スプレー塗装工程)を使用して塗布される。
【0086】
この潜在セキュリティー特徴を提供した後、この潜在セキュリティー特徴は、この物体を不可視照射で照射すること(工程706)により観察され、この潜在フレークが蛍光を発するようにし、そして潜在フレークが同定される(工程708)。この組成物が、蛍光を発しもするベース顔料フレークまたは粒子を有する場合、上記潜在フレークは、著しく多くもしくは著しく少なく蛍光を発するか、または上記ベース顔料フレークもしくは粒子とは異なる色にて蛍光を発し、その結果、上記潜在フレークが組成物中で目立ち、そして容易に同定されることが理解される。この同定された潜在フレークは、セキュリティーマーキングに対して観察される(工程710)。1つの実施形態では、この潜在フレークは、選択された形状を有し、そしてこの物体が不可視照射で照射されながら観察される。別の実施形態では、上記潜在フレークは、記号を含み、そしてこの潜在フレークは、この潜在フレークを不可視照射を用いて同定する工程の後、可視光を用いて観察される。特定の実施形態では、上記潜在フレーク上の1個以上の記号を観察する工程が、50X〜200Xの倍率下で行われる。
【0087】
(IV.例示的な方法)
図10は、方法600のフローチャートであり、この方法は、本発明の実施形態に従う顔料フレークを作製する。浮き彫りにされていない(「平坦な」)部分を有するロール基材およびこのロール基材の堆積表面積の選択された比率の浮き彫りにされた部分が提供される(工程602)。1つの実施形態では、この浮き彫りにされた部分は、選択された形状を有するフレークを生産するための枠で浮き彫りにされている。代替の実施形態では、この浮き彫りにされた部分は、格子模様または記号で浮き彫りにされている。代替の実施形態では、この基材は、浮き彫り工程以外のプロセス(例えば、レーザーアブレーション)を用いて模様づけされている。少なくとも1層の薄型フィルム層は、ロール基材上に堆積され(工程604)、そしてこの堆積された薄型フィルム層は、フレークへと加工され(工程606)、選択された量のタグジェントフレークを有するフレーク混合物を生じる。タグジェントフレークの収量は、因子(例えば、加工される薄型フィルム層の類型、枠、格子模様または記号の性質、および加工パラメーター)に依存する。
【0088】
例えば、図2Aおよび図2Bを参照すれば、上記ロール基材の表面の10%が、格子もしくは記号で浮き彫りにされた場合、格子模様を有する約10%のタグジェントフレークの収量が予想される。成形されたフレークへの薄型フィルム堆積の模様化された部分の加工の10%の収量の損失のせいで、ロール基材の表面の10%がダイアモンド成形された枠で浮き彫りにされた場合、約9%の収量が誘電体−金属−誘電体フレークに対して予想される。同様に、成形されたフレークへの薄型フィルム堆積の模様化された部分の加工の50%の収量の損失のせいで、成形された全誘電体フレークについては、約5%の収量が、予想される。
【0089】
本発明は、種々の特定の実施形態の観点から上に記載されている。本発明は、本発明の精神から逸脱することなく他の特定の形態で具体化され得る。従って、上に記載された実施形態は、本発明を例示するが、以下の特許請求の範囲に示される本発明を限定するものではない。特許請求の範囲の意義および範囲内で生じる全ての変更および等価物は、本発明の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本発明の実施形態に従うセキュリティー特徴を有する書類の一部の平面図である。
【図2A】図2Aは、浮き彫りにされた部分および浮き彫りにされていない部分を有する堆積基材の一部の簡略図である。
【図2B】図2Bは、浮き彫りにされた部分13’および浮き彫りにされていない部分15’を有する別の堆積基材11’の一部の簡略図である。
【図3A】図3Aは、本発明の1つの実施形態に従うセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図3B】図3Bは、本発明の別の実施形態に従うセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図3C】図3Cは、本発明のなお別の実施形態に従うセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態に従う明るい顔料フレーク20の簡略断面図である。
【図4B】図4Bは、元素の指紋を提供する明るいフレーク20’の簡略断面図である。
【図4C】図4Cは、本発明の別の実施形態に従うカラーシフト顔料フレーク30の簡略断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従うキャリア中に分散された、透明なシフト潜在フレークまたは不透明な潜在フレークを有するワニスの断面図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態に従う結合剤において分散された、ベースフレークおよび潜在フレークの断面図である。
【図7A】図7Aは、UV照射を用いて顕微鏡下で見られる場合に、本発明の実施形態に従う、透明な無機潜在フレークで印刷されたセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図7B】図7Bは、照射のために可視光を用いて顕微鏡下で見られた場合に、図7Aのセキュリティー特徴の一部の簡略平面図である。
【図8】図8は、インクで調製された試験サンプル、および本発明の1つの実施形態に従う潜在顔料フレークと組み合わせたインクで調製された試験サンプルについてのカラートラベルを示す。
【図9】図9は、本発明の1つの実施形態に従う潜在フレークを観察する方法のチャートを示す。
【図10】図10は、本発明の1つの実施形態に潜在フレークを作製する方法のフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成形された不透明な潜在フレークであって、該複数の成形された不透明な無機潜在タグジェントフレークのそれぞれが、同じ選択された形状を有し、10ミクロン未満の厚さを有し、第1の複数の該成形された不透明な無機タグジェントフレークが、同じ所定の形状を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項2】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、該フレークの少なくともいくらかが、その周囲に枠を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項3】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記同じ所定の形状を有するフレークが、その周囲に枠を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項4】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記同じ形状を有するフレークの少なくともいくらかが、枠を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項5】
請求項4に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記同じ形状および枠を有するフレークの少なくともいくらかが、該枠内のその上に浮き彫りを有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項6】
請求項5に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記枠内の浮き彫りが、回折格子である、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項7】
請求項5に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記枠内の浮き彫りが、記号またはロゴを形成する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項8】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、該フレークが、コーティング材料を形成するために、キャリア中に分散されている、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項9】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記成形されたタグジェントフレークが、明るいフレークである、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項10】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、第2の複数の成形されたフレークが、第1のグループのフレークの形状とは異なる、同じ所定の形状を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項11】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、第2の複数の成形されたフレークが、第1のグループのフレークの形状とは異なる形状を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項12】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、異なる形状を有するフレークをさらに備え、複数の混合フレークを形成する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項13】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、該フレークが、正方形、長方形、台形、丸型、またはダイアモンド形状を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項14】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、第2の複数の成形されたフレークが、前記第1のグループのフレークの記号またはロゴとは異なる記号またはロゴを有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項15】
請求項14に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記第2の複数のフレークの形状あるいは記号またはロゴが、前記第1の複数の成形されたフレークのものとは異なる、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項1】
複数の成形された不透明な潜在フレークであって、該複数の成形された不透明な無機潜在タグジェントフレークのそれぞれが、同じ選択された形状を有し、10ミクロン未満の厚さを有し、第1の複数の該成形された不透明な無機タグジェントフレークが、同じ所定の形状を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項2】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、該フレークの少なくともいくらかが、その周囲に枠を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項3】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記同じ所定の形状を有するフレークが、その周囲に枠を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項4】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記同じ形状を有するフレークの少なくともいくらかが、枠を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項5】
請求項4に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記同じ形状および枠を有するフレークの少なくともいくらかが、該枠内のその上に浮き彫りを有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項6】
請求項5に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記枠内の浮き彫りが、回折格子である、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項7】
請求項5に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記枠内の浮き彫りが、記号またはロゴを形成する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項8】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、該フレークが、コーティング材料を形成するために、キャリア中に分散されている、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項9】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記成形されたタグジェントフレークが、明るいフレークである、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項10】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、第2の複数の成形されたフレークが、第1のグループのフレークの形状とは異なる、同じ所定の形状を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項11】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、第2の複数の成形されたフレークが、第1のグループのフレークの形状とは異なる形状を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項12】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、異なる形状を有するフレークをさらに備え、複数の混合フレークを形成する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項13】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、該フレークが、正方形、長方形、台形、丸型、またはダイアモンド形状を有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項14】
請求項1に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、第2の複数の成形されたフレークが、前記第1のグループのフレークの記号またはロゴとは異なる記号またはロゴを有する、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【請求項15】
請求項14に記載の複数の成形された不透明な潜在フレークであって、前記第2の複数のフレークの形状あるいは記号またはロゴが、前記第1の複数の成形されたフレークのものとは異なる、複数の成形された不透明な潜在フレーク。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−81744(P2008−81744A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287794(P2007−287794)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【分割の表示】特願2006−523075(P2006−523075)の分割
【原出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【分割の表示】特願2006−523075(P2006−523075)の分割
【原出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】
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