説明

潜水管理システム

【課題】潜水士の潜水深度及び潜水時間を潜水士船上で常に把握して、潜水士を適正な浮上計画に沿って安全に浮上させることのできる潜水管理システムを提供する。
【解決手段】本潜水管理システム1は、潜水士が保持する水圧センサー2と、潜水士が保持する水中警告灯3と、潜水士船上に備えられ、水圧センサー2からの潜水深度及び潜水時間と予め入力された潜水計画の浮上計画とに基いて水中警告灯3を作動させる管理手段5とを備え、該管理手段5は、潜水士の実際の水中作業時間が水中作業計画と相違した場合、前記浮上計画を再計算し、その結果に基いて水中警告灯3を作動させるので、潜水士を適正な浮上計画に沿って浮上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底等での捨て石均し工事などの潜水士による水中作業、特に、作業終了後の潜水士の浮上を管理するための潜水管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜水士は海底での水中作業終了後、減圧症の予防のために高気圧作業安全衛生規則に基づき、所定水深で所定時間停止しながら浮上することが義務付けられている。
しかしながら、従来では、潜水士の潜水深度と潜水時間の管理は、潜水士船上の連絡員との音声連絡により行われていたため、即時的、客観的に行われていなかった。すなわち、潜水士が一時的に予定の水深よりも深い場所に移動したときなど、潜水士からの連絡が無い限り、潜水士船上で即時にその行動を把握することができない。また、浮上管理(減圧管理)においても潜水士の自己判断に委ねられ、水中作業の記録も作業終了後にしか把握できないため、特に、実際の水中作業時間が予め計画された水中作業計画と異なった場合、即時に作業実態に伴った浮上計画に沿って潜水士を浮上させることができない、という問題が発生していた。
【0003】
また、特許文献1には、潜水士船上に周辺から視認可能に設置された標示灯が備えられ、該標示灯は、潜水士の浮上停止深度に合せて縦列配置で複数設けられている浮上深度表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−120203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の浮上深度表示装置に係る発明では、潜水士船の周囲より潜水士の浮上状況がリアルタイムで確認することができるが、潜水士の潜水深度及び潜水時間を潜水士船上で常に把握することはできず、特に、潜水士を適正な浮上計画に沿って浮上させようとするものではない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、潜水士の潜水深度及び潜水時間を潜水士船上で常に把握して、潜水士を適正な浮上計画に沿って安全に浮上させることのできる潜水管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、潜水士の潜水開始から水中作業を経て浮上するまでの潜水計画を管理する潜水管理システムであって、潜水士が保持する深度計測手段と、潜水士が保持して、潜水士に潜水士船上からの指示を認識させる警告手段と、潜水士船上に備えられ、前記深度計測手段からの潜水深度及び潜水時間と予め入力された浮上計画とに基いて前記警告手段を作動させる管理手段とを備え、該管理手段は、潜水士の実際の水中作業時間が水中作業計画と相違した場合、前記浮上計画を再計算し、その結果に基いて前記警告手段を作動させることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、深度計測手段からの計測結果に基いて、潜水船上に備えられている管理手段により潜水士の潜水深度及び潜水時間を常に把握し、また、管理手段にて取得した潜水士の潜水深度及び潜水時間と、予め入力されてある浮上計画とに基いて警告手段を作動させ、潜水士はそれを認識することで適正な浮上計画に沿って浮上することができる。
また、管理手段では、実際の水中作業時間が水中作業計画と相違した場合、潜水士が浮上する際の浮上計画を再計算して、実際の水中作業に即した浮上計画に基いて警告手段を作動させ、潜水士はそれを認識することで適正な浮上計画に沿って浮上することができる。
しかも、請求項2の発明では、適正な浮上計画を潜水士船上の連絡員から潜水士へ水中通信手段を介して口頭で指示すると同時に、適正な浮上計画を潜水士が保持している警告手段を作動させることで潜水士に指示できるので、信頼性が大幅に向上する。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記警告手段は水中警告灯で構成され、該水中警告灯には、標示色の異なる複数の標示灯が並んで設けられ、前記管理手段からの信号により前記水中警告灯の各標示灯を点滅又は点灯させて潜水士へ浮上計画を指示することを特徴とするものである。
請求項2の発明では、潜水士を適正な浮上計画に基いて浮上させるには、まず、管理手段からの信号により潜水士が保持している水中警告灯の各標示灯のうち例えば赤色灯が点滅を始める。潜水士は赤色灯の点滅状態を視認して浮上を開始する。その浮上途中は、赤色灯は点滅した状態が維持され、潜水士が第1の浮上位置に到達すると赤色灯が点滅状態から点灯状態に切り替わるため、潜水士は赤色灯の点灯状態を視認して浮上を停止する。その後、第1の浮上位置にて所定時間経過すると、赤色灯が消灯して、該赤色灯の隣に位置する例えば黄色灯が点滅を始める。潜水士は黄色灯の点滅状態を視認して第1の浮上位置から浮上を開始する。その浮上途中は、黄色灯は点滅した状態が維持され、潜水士が第2の浮上位置に到達すると黄色灯が点滅状態から点灯状態に切り替わり黄色灯だけが点灯した状態となるため、潜水士は黄色灯の点灯状態を視認して浮上を停止して第2の浮上位置で所定時間待機する。その後、次の浮上位置があれば上述した動作が繰り返される。
このように、潜水士は適正な浮上計画に沿って作動する水中警告灯を視認することで安全に浮上することができる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した発明において、潜水士船上には船上警告灯が備えられ、該船上警告灯は前記水中警告灯と同じ構成であることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、潜水士船上の連絡員にも潜水士と同様の情報が与えられる。
【0010】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれかに記載した発明において、前記管理手段にはモニターが備えられ、該モニターには、予め入力された潜水計画が表示されると共に、前記深度計測手段により計測した潜水士の実際の潜水軌跡がリアルタイムに表示されることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、潜水士船上の連絡員が詳細に潜水士の潜水深度及び潜水時間を把握することが可能になり、モニター上で潜水計画と実際の潜水軌跡とを比較することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の潜水管理システムに係る発明によれば、潜水士の潜水深度及び潜水時間を潜水士船上で常に把握して、潜水士を適正な浮上計画に沿って安全に浮上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る潜水管理システムの模式図である。
【図2】図2は、水中警告灯の他の実施形態を示す図である。
【図3】図3は、モニターに表示される潜水計画(実線)と実際の潜水軌跡(点線)とを示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る潜水管理システムのフロー図である。
【図5】図5は、図4のステップS5の具体的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図5に基いて詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る潜水管理システム1は、図1に示すように、潜水士が保持する水圧センサー2(深度計測手段)と、潜水士が保持して、潜水士に潜水士船上からの指示を認識させる水中警告灯3(警告手段)と、潜水士船上に備えられる船上警告灯4と、潜水士船上に備えられ、水圧センサー2からの潜水深度及び潜水時間と予め入力された潜水士が浮上する際の浮上計画とに基いて水中警告灯3及び船上警告灯4を作動させる管理手段5とを備えている。
なお、潜水士は潜水士船上の連絡員との間で水中通信手段により口頭で連絡を取り合えるようになっている。また、潜水士船上には適時に警告音が鳴るように構成される。詳細は後で述べる。
水圧センサー2は管理手段5と接続されており、潜水士の潜水深度に伴ってそのデータを管理手段5に送信する。
【0014】
水中警告灯3は、管理手段5と接続され、図1に示すように、潜水士が腰に巻くベルトの表面に標示色の異なる標示灯3a、3b、3cが複数一列に並べられて構成される。例えば、標示灯3a、3b、3cは3つ備えられ、図中左側から赤色灯3a、黄色灯3b、緑色灯3cにより構成される。
また、図2に示すように、水中警告灯3の他の実施形態として、円柱状に形成され、図中左側に赤色灯3aが周方向に間隔を置いて複数設けられ、中間に黄色灯3bが周方向に間隔を置いて複数設けられ、右側に緑色灯3cが周方向に間隔を置いて複数設けられて構成される。そして、潜水士は、図2の水中警告灯3を視認しやすい位置に保持するようにする。
なお、水中警告灯3の各標示灯3a、3b、3cは管理手段5からの信号に基づき適時点滅又は点灯するが、その内容は後で詳述する。
【0015】
船上警告灯4は、管理手段5と接続され、図1に示すように、標示色の異なる標示灯4a、4b、4cが複数縦列されて構成される。例えば、標示灯4a、4b、4cは3つ備えられ、上側から赤色灯4a、黄色灯4b、緑色灯4cで構成される。
なお、船上警告灯4の各標示灯4a、4b、4cは管理手段5からの信号に基づき、水中警告灯3の各標示灯3a、3b、3cと同様に適時点滅又は点灯するが、その内容は後で詳述する。
【0016】
管理手段5は、例えばパソコン等で構成され、潜水士が保持する水圧センサー2からの信号により潜水士の潜水深度及び潜水時間を算出する。管理手段5のパソコンのモニター(図示略)には、潜水士の潜水深度が時間の経過に伴って表示される。管理手段5には、予め、潜水士の潜水開始から水中作業を経て浮上するまでの潜水計画が入力され、モニターには、予め、図3の実線に示すような前記潜水計画が表示されており、それに重なるように実際の潜水軌跡が線種を変えて例えば点線等でリアルタイムに表示される。なお、潜水計画の浮上計画は、管理手段5に記録された、潜水士当日の水中作業毎の最大深度及びその経過時間を高気圧作業安全衛生規則に照らし合せて、当該の水中作業時の浮上計画を更新算出するようにしている。
そして、管理手段5では、潜水士が保持した水圧センサー2からの潜水深度及び潜水時間と、予め入力された浮上計画とに基いて水中警告灯3を作動させて、潜水士が水中警告灯3の各標示灯3a、3b、3cの作動(適時点滅又は点灯)を視認することで浮上するようになる(後で詳述する)。なお、船上警告灯4も水中警告灯3と同様に作動して、船上の連絡員にも、潜水士に与えられた情報と同様の情報が与えられる。
さらに、管理手段5は、潜水士が潜水中、潜水士の実際の水中作業時間と水中作業計画とが相違した場合、最初に入力された浮上計画を再計算して、その結果に基いて水中警告灯3及び船上警告灯4を作動させて、潜水士を適正な浮上計画に沿って浮上させる。
【0017】
次に、本発明の実施形態に係る潜水管理システム1の作用を図4及び図5に基いて図1、図3も参照しながら説明する。
図4に示すように、まず、ステップS1にて、管理手段5に、図3に示すような、潜水士の潜水開始から水中作業を経て浮上するまでの潜水計画が入力され、モニターにその潜水計画が例えば実線で表示される。
次に、ステップS2にて、潜水士の潜水が開始される。
次に、ステップS3では、水圧センサー2からの計測結果に基いて管理手段5により潜水深度が算出され、水深(潜水深度)が3mに到達した時点で経過時間の計測が開始される。
次に、ステップS4では、管理手段5において、経過時間に伴う潜水深度が順次記録され、モニターにその潜水軌跡がリアルタイムに表示される(図3の点線)。
【0018】
次に、ステップS5では、潜水士により水中作業が終了したか否かが判定される。その結果、水中作業が終了したと判定された場合にはステップS6に進み、水中作業が終了していないと判定された場合にはステップS7に進む。
なお、ステップS5における水中作業終了の判定は、図5に示すように、ステップS5−1にて、潜水士が作業を終了して浮上した位置の潜水深度(現在の潜水深度)D、水中作業時の深度H及び浮上計画による第1の浮上停止位置(深度)Zとして、L=(H+Z)/2−Dを演算する。続いて、ステップS5−2では、L>0を満足するか否かが判定され、L>0を満足したならば図4のステップS6に進む。一方、L>0を満足しないならば図4のステップS7に進む。
【0019】
次に、ステップS7では、予定作業時間が超過しているか否かが判定され、予定作業時間が超過していない場合には、所定時間経過後再びステップS5に戻り水中作業終了の判定が行われる。一方、ステップS7において、予定作業時間が超過していると判定された場合にはステップS8に進み、ステップS8では、水中警告灯3及び船上警告灯4の各標示灯のうち赤色灯3a、4aがそれぞれ点滅し、潜水士船上では警告音が発せられる。これにより、潜水士に水中作業が予定時間を越えていることを伝達する。その後、所定時間経過後再びステップS5に戻り水中作業終了の判定が行われる。
次に、ステップS6では、実際の水中作業時間が、管理手段5に予め入力された水中作業計画に対して所定の許容時間内で行われたか否かが判定され、実際の水中作業時間が水中作業計画に対して所定の許容時間内で行われた際には、当初の浮上計画に基いて潜水士を浮上させるべくステップS11に進む。一方、実際の水中作業時間が水中作業計画時間に対する許容時間から外れ大幅に短縮されたかまたは大幅に超過した場合には、ステップS10に進み、実際の水中作業時間に基づいて浮上計画が再計算される。その後、再計算された浮上計画に基いて潜水士を浮上させるべくステップS11に進む。
【0020】
次に、ステップS11〜ステップS16は潜水士を適正な浮上計画に基づいて安全に浮上させるためのフローである。
すなわち、ステップS11では、管理手段5からの信号により水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの赤色灯3a、4aが点滅を始め、潜水士船上では警告音が発せられる。すると、潜水士は水中警告灯3の赤色灯3aの点滅状態を視認して現在の位置から浮上を開始する。なお、その浮上途中は、水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの赤色灯3a、4aは点滅した状態が維持され、警告音も維持される。続いて、ステップS12において、潜水士が第1の浮上位置に到達すると水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの赤色灯3a、4aが点滅状態から点灯状態に切り替わるため、潜水士は水中警告灯3の赤色灯3aの点灯状態を視認することで浮上を停止し第1の浮上位置で待機する。この時、潜水士船上では警告音が停止される。続いて、ステップS13において、第1の浮上位置での待機時間が計測されその待機時間が終了すると、ステップS14に進む。ステップS14では次の浮上停止位置の有無が判定される。その結果、次の浮上停止位置が無いと判定された場合にはステップS16に進み、該ステップS16では、水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの標示灯全て(本実施の形態では赤色灯3a、4a,黄色灯3b、4b及び緑色灯3c、4c)が5秒間点滅状態となり、且つ潜水士船上では警告音が鳴り、潜水士に水面に浮上するように指示する。
【0021】
一方、ステップS14にて次の浮上停止位置が有ると判定された場合にはステップ15に進み、ステップS15にて水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの赤色灯3a、4aが消灯して、ステップS11にて水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの黄色灯3b、4bが点滅を始め、潜水士船上では警告音が発せられる。すると、潜水士は水中警告灯3の黄色灯3bの点滅状態を視認して第1の浮上位置から浮上を開始して、その浮上途中は、水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの黄色灯3b、4bは点滅した状態が維持され、警告音も維持される。続いて、ステップS12にて、潜水士が第2の浮上位置に到達すると水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの黄色灯3b、4bが点滅状態から点灯状態に切り替わるため、潜水士は水中警告灯3の黄色灯3bの点灯状態を視認して浮上を停止して第2の浮上位置で待機する。この時、潜水士船上では警告音が停止される。続いて、ステップS13にて、第2の浮上位置での待機時間が計測されその待機時間が終了すると、ステップS14に進む。該ステップS14では次の浮上停止位置の有無が判定される。
【0022】
また、ステップS14にて次の浮上停止位置が有ると判定された場合には再びステップ15に進み、ステップS15にて水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの黄色灯3b、4bが消灯して、ステップS11にて水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの緑色灯3c、4cが点滅を始め、潜水士船上では警告音が発せられる。すると、潜水士は水中警告灯3の緑色灯3cの点滅状態を視認して第2の浮上位置から浮上を開始して、その浮上途中は、水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの緑色灯3c、4cは点滅した状態が維持され、警告音も維持される。続いて、ステップS12にて、潜水士が第3の浮上位置に到達すると水中警告灯3及び船上警告灯4それぞれの緑色灯3c、4cが点滅状態から点灯状態に切り替わるため、潜水士は水中警告灯3の緑色灯3cの点灯状態を視認して浮上を停止して第3の浮上位置で待機する。この時、潜水士船上では警告音が停止される。続いて、ステップS13にて、第3の浮上位置での待機時間が計測されその待機時間が終了すると、ステップS14に進む。該ステップS14では次の浮上停止位置の有無が判定され、その結果に基いてステップS15又はステップS16に進む。
【0023】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る潜水管理システム1は、潜水士が保持する水圧センサー2(深度計測手段)と、潜水士が保持して、潜水士に潜水士船上からの指示を認識させる水中警告灯3(警告手段)と、潜水士船上に備えられ、水圧センサー2からの潜水深度及び潜水時間と予め入力された浮上計画とに基いて潜水士が保持する水中警告灯3を作動させる管理手段5とを備え、該管理手段5は、潜水士の実際の水中作業時間が水中作業計画と相違した場合、前記浮上計画を再計算し、その結果に基いて水中警告灯3を作動させる。
これにより、潜水士の潜水深度及び潜水時間を潜水士船上で常に把握でき、また、管理手段5にて取得した潜水士の潜水深度及び潜水時間と、予め入力されてある浮上計画とに基いて水中警告灯3を作動(適時点滅又は点灯)させ、潜水士はそれを認識することで適正な浮上計画に沿って浮上することができる。さらに、潜水士の実際の水中作業時間が水中作業計画と相違した場合でも、即時に当初の浮上計画を再計算して適正な浮上計画を得ることができ、該適正な浮上計画に沿って潜水士を安全に浮上させることができる。
【0024】
また、本発明の実施の形態に係る潜水管理システム1では、潜水士は水中警告灯3を保持しており、適正な浮上計画を潜水士船上の連絡員から潜水士へ水中通信手段を介して口頭で指示すると同時に、適正な浮上計画を、水中警告灯3を適時点滅又は点灯させることで潜水士に指示できるので、信頼性が大幅に向上する。
【0025】
なお、本発明の実施形態に係る潜水管理システム1では、警告手段として、標示色の異なる複数の標示灯を有する水中警告灯3を採用したが、潜水士が腰に巻くベルトに、異なる振動形態を発振可能なバイブレータ機能を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 潜水管理システム,2 水圧センサー(深度計測手段),3 水中警告灯(警告手段),4 船上警告灯,5 管理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜水士の潜水開始から水中作業を経て浮上するまでの潜水計画を管理する潜水管理システムであって、
潜水士が保持する深度計測手段と、
潜水士が保持して、潜水士に潜水士船上からの指示を認識させる警告手段と、
潜水士船上に備えられ、前記深度計測手段からの潜水深度及び潜水時間と予め入力された浮上計画とに基いて前記警告手段を作動させる管理手段とを備え、
該管理手段は、潜水士の実際の水中作業時間が水中作業計画と相違した場合、前記浮上計画を再計算し、その結果に基いて前記警告手段を作動させることを特徴とする潜水管理システム。
【請求項2】
前記警告手段は水中警告灯で構成され、該水中警告灯には、標示色の異なる複数の標示灯が並んで設けられ、前記管理手段からの信号により前記水中警告灯の各標示灯を点滅又は点灯させて潜水士へ浮上計画を指示することを特徴とする請求項1に記載の潜水管理システム。
【請求項3】
潜水士船上には船上警告灯が備えられ、該船上警告灯は前記水中警告灯と同じ構成であることを特徴とする請求項2に記載の潜水管理システム。
【請求項4】
前記管理手段にはモニターが備えられ、該モニターには、予め入力された潜水計画が表示されると共に、前記深度計測手段により計測した潜水士の実際の潜水軌跡がリアルタイムに表示されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の潜水管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−161940(P2011−161940A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23051(P2010−23051)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000222668)東洋建設株式会社 (131)