説明

潤滑剤塗布装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置

【課題】前記潤滑剤成形物の偏摩耗を抑制して経時的に安定した該潤滑剤成形物の削れ量を高効率に得ることができる潤滑剤塗布装置を提供する。
【解決手段】上方に開口部を有する潤滑剤カートリッジフレーム6eと、前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内部に開口を下にするように配置された断面コの字状の潤滑剤成形物保持部材6bと、前記潤滑剤成形物保持部材6bの外側に固着された潤滑剤成形物6aと、前記潤滑剤成形物6aから微粉末を削り取りその微粉末を像担持体1の表面に供給するように設けられたブラシローラ6hと、前記潤滑剤成形物6aを前記ブラシローラ6hに加圧するように前記潤滑剤成形物保持部材6bの内側に設けられた加圧部材6cと、を少なくとも有する潤滑剤塗布装置6において、前記潤滑剤成形物保持部材6bと前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との間に、転がり摺動する球状の摺動部材(摺動ボール)6dが設けられているものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方に開口部を有する潤滑剤カートリッジフレームと、前記潤滑剤カートリッジフレームの内部に開口を下にするように配置された断面コの字状の潤滑剤成形物保持部材と、前記潤滑剤成形物保持部材の外側に固着された潤滑剤成形物と、前記潤滑剤成形物から微粉末を削り取りその微粉末を像担持体の表面に供給するように設けられたブラシローラと、前記潤滑剤成形物を前記ブラシローラに加圧するように前記潤滑剤成形物保持部材の内側に設けられた加圧部材と、を有する潤滑剤塗布装置、前記潤滑剤塗布装置を有するプロセスカートリッジ、及び、前記プロセスカートリッジを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真プロセスを用いる画像形成装置は、像担持体として回転駆動する感光体を備えている。この感光体の表面には、帯電部材の放電によって電荷が与えられ、その電荷の与えられた感光体の表面を露光されて、静電潜像が形成される。この静電潜像にトナーを供給して可視像化し、その可視像化した可視像を中間転写体に順次多重転写して中間転写体に多色画像を形成した後、記録紙等の記録媒体に静電的に一括再転写し、画像ズレのない多色画像を形成する。また、前記トナー像の転写後に像担持体の表面に付着する転写残トナーを除去し、像担持体の表面を清掃するクリーニング部材として、ゴム等の弾性体からなるクリーニングブレードを用いることがクリーニング性能の安定性やコスト面で広く普及している。このような画像形成装置においては、像担持体やクリーニング部材の寿命を上げるために、像担持体の表面に接触しながら回転駆動させて像担持体の表面に潤滑剤を供給するブラシローラ、供給された潤滑剤を均し塗布するための塗布部材である塗布ブレード及びクリーニングブレードからなる潤滑剤塗布装置を組み込んだ画像形成装置が提案されている。このような画像形成装置においては、潤滑剤成分の改良が進み像担持体やクリーニング部材の寿命が飛躍的に延びてきている。
【0003】
そして、前記潤滑剤塗布装置を改良した潤滑剤塗布装置として、前記潤滑剤(固形潤滑剤)を像担持体(中間転写ベルト)の表面に塗布する塗布部材(ブラシローラ)と、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部材と、潤滑剤保持部材ごと潤滑剤を塗布部材に加圧する加圧機構と、を備えた潤滑剤塗布装置において、前記加圧機構に、加圧力を発生させる加圧力発生手段と、加圧方向がずれないように潤滑剤保持部材を塗布部材方向へ案内するガイド部材(ガイドレール)と、が設けられ、かつ、前記潤滑剤保持部材と前記ガイド部材との間に回動部材(コロ)が介在されて前記潤滑剤が塗布部材方向に加圧されるようにされた潤滑剤塗布装置(例えば、特許文献1を参照)が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置においては、潤滑剤成形物がブラシローラにより削り取られる際に、潤滑剤成形物保持部材の軸方向の回転及び長手方向の回転に起因する該ブラシローラへの圧接力が不均一になって、前記潤滑剤成形物保持部材と潤滑剤カートリッジフレームの内壁面との摺動力に偏差が生じ、そのために、前記潤滑剤成形物がその長手方向に対して偏った削れ方をして偏摩耗状態になり、よって、経時的に安定した潤滑剤成形物の削れ量を高効率に得ることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0006】
即ち、本発明は、前記潤滑剤成形物の偏摩耗を抑制して経時的に安定した該潤滑剤成形物の削れ量を高効率に得ることができる潤滑剤塗布装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、上方に開口部を有する潤滑剤カートリッジフレームと、前記潤滑剤カートリッジフレームの内部に開口を下にするように配置された断面コの字状の潤滑剤成形物保持部材と、前記潤滑剤成形物保持部材の外側に固着された潤滑剤成形物と、前記潤滑剤成形物から微粉末を削り取りその微粉末を像担持体の表面に供給するように設けられたブラシローラと、前記潤滑剤成形物を前記ブラシローラに加圧するように前記潤滑剤成形物保持部材の内側に設けられた加圧部材と、を少なくとも有する潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤成形物保持部材と前記潤滑剤カートリッジフレームの内壁面との間に、転がり摺動する球状の摺動部材をが設けられていることを特徴とする潤滑剤塗布装置である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記球状の摺動部材が、前記潤滑剤成形物保持部材の軸方向における両端部に支持されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記球状の摺動部材が、前記潤滑剤成形物保持部材の軸方向における両端部に2個以上支持されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項2又は3に記載された発明において、前記球状の摺動部材が、前記潤滑剤成形物保持部材の軸方向における中央底部に支持されることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記球状の摺動部材と前記潤滑剤カートリッジフレームの内壁面との接点となる該潤滑剤カートリッジフレームの内壁面に、前記前記球状の摺動部材を案内する前記球状の摺動部材の径よりも大きな断面径の案内溝が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記球状の摺動部材と前記潤滑剤カートリッジフレームの内壁面との接点となる該潤滑剤カートリッジフレームの内壁面に、前記前記球状の摺動部材を案内する前記球状の摺動部材の径よりも大きな断面径の案内溝を形成した案内溝保持部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に記載された発明は、プロセスカートリッジフレームと、前記プロセスカートリッジフレームの内部に装着された潤滑剤塗布装置と、前記潤滑剤塗布装置におけるブラシローラに接するように設けられた像担持体と、を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に記載された発明は、潜像を担持し回転駆動する像担持体と、前記像担持体を均一に帯電させる帯電装置と、前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して可視像を形成する現像装置と、前記可視像を中間転写ベルトに転写する転写装置と、前記中間転写ベルトから転写された記録媒体上のトナー像を該記録媒体に半永久的に定着させる定着装置と、前記像担持体に当接し前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニングブレードを備えたクリーニング装置と、を少なくとも有画像形成装置において、前記転写装置よりも前記像担持体の移動方向の下流側位置であって、かつ、前記露光装置よりも前記像担持体の移動方向の上流側位置に、前記プロセスカートリッジとして、請求項7に記載のプロセスカートリッジが着脱自在に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上方に開口部を有する潤滑剤カートリッジフレームと、前記潤滑剤カートリッジフレームの内部に開口を下にするように配置された断面コの字状の潤滑剤成形物保持部材と、前記潤滑剤成形物保持部材の外側に固着された潤滑剤成形物と、前記潤滑剤成形物から微粉末を削り取りその微粉末を像担持体の表面に供給するように設けられたブラシローラと、前記潤滑剤成形物を前記ブラシローラに加圧するように前記潤滑剤成形物保持部材の内側に設けられた加圧部材と、を少なくとも有する潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤成形物保持部材と前記潤滑剤カートリッジフレームの内壁面との間に、転がり摺動する球状の摺動部材が設けられているので、前記潤滑剤成形物の偏摩耗を抑制して経時的に安定した該潤滑剤成形物の削れ量を高効率に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態を示す潤滑剤塗布装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す潤滑剤塗布装置の平面図である。
【図3】本発明の他の一実施の形態を示す潤滑剤塗布装置の平面図である。
【図4】本発明の他の一実施の形態を示す潤滑剤塗布装置の平面図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジの概略説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す画像形成装置における作像ユニットの拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜6に示されているように、本発明の潤滑剤塗布装置6は、上方に開口部を有する潤滑剤カートリッジフレーム6eと、前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内部に開口を下にするように配置された断面コの字状の潤滑剤成形物保持部材6bと、前記潤滑剤成形物保持部材6bの外側に固着された潤滑剤成形物6aと、前記潤滑剤成形物6aから微粉末を削り取りその微粉末を像担持体1の表面に供給するように設けられたブラシローラ6hと、前記潤滑剤成形物6aを前記ブラシローラ6hに加圧するように前記潤滑剤成形物保持部材6bの内側に設けられた加圧部材6cと、を少なくとも有している。そして、前記潤滑剤塗布装置6は、前記潤滑剤成形物保持部材6bと前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との間に、転がり摺動する球状の摺動部材(摺動ボール)6dが設けられている。
【0018】
このように、上方に開口部を有する潤滑剤カートリッジフレーム6eと、前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内部に開口を下にするように配置された断面コの字状の潤滑剤成形物保持部材6bと、前記潤滑剤成形物保持部材6bの外側に固着された潤滑剤成形物6aと、前記潤滑剤成形物6aから微粉末を削り取りその微粉末を像担持体1の表面に供給するように設けられたブラシローラ6hと、前記潤滑剤成形物6aを前記ブラシローラ6hに加圧するように前記潤滑剤成形物保持部材6bの内側に設けられた加圧部材6cと、を少なくとも有する潤滑剤塗布装置6において、前記潤滑剤成形物保持部材6bと前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との間に、転がり摺動する球状の摺動部材(摺動ボール)6dが設けられていると、前記潤滑剤成形物6aに回転当接している前記ブラシローラ6hからの軸方向及び幅方向の研削力が生じる際に、前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面と前記潤滑剤成形物保持部材6bに設置した前記球状の摺動部材6dとが全方向に対して転がり駆動されて前記ブラシローラ6hの研削力が分散され、そのために、前記加圧部材6cからの加圧力を損なうことなく前記潤滑剤成形物6aをブラシローラ6hに均一に加圧することができ、よって、前記潤滑剤成形物の偏摩耗を抑制して経時的に安定した該潤滑剤成形物の削れ量を高効率に得ることができる。
【0019】
前記潤滑剤成形物6aは、前記潤滑剤成形物保持部材6bに市販の両面テープ等により接着することで保持されている。前記潤滑剤成形物6a及び潤滑剤成形物保持部材6bは、それらを囲うように形成された潤滑剤成形物カートリッジフレーム6eの内壁の中に収容されている。
【0020】
本発明においては、前記潤滑剤成形物保持部材6bと前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との間に転がり駆動する球状の摺動部材(摺動ボール)6dが設けられている。前記摺動ボール6dは、前記潤滑剤成形物6aの端部に対して外側になるように、前記潤滑剤成形物保持部材6bに支持されている。具体的には、前記摺動ボール6dは、前記潤滑剤成形物保持部材6bの軸方向における両端部に支持されている。このように、前記摺動ボール6dが前記潤滑剤成形物保持部材6bの軸方向における両端部に支持されていると、該摺動ボール6dが前記潤滑剤成形物6aよりも先に前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面と摺動を始め、そのために、前記潤滑剤成形物6aが前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面に干渉することなく前記ブラシローラ6hに当接することができる。
【0021】
前記摺動ボール6dは、反発弾性及び耐摩耗性の高い天然ゴムやブタジエンゴムで構成されている。前記摺動ボール6dは、例えば、低摩擦性樹脂であるポリアセタール、ポリアミド、ポリテロラフルオロエチレン等の樹脂で構成されている。前記摺動ボール6dは、摺動ボール支持部材(図示せず)を介して、前記潤滑剤成形物保持部材6bに組付けた状態となる。前記潤滑剤成形物保持部材6bは、一般的な鉄鋼(SECC等)を用いて所望の形状に加工し、前記潤滑剤成形物6a、前記摺動ボール6d、及び、前記摺動ボール支持部材を一体に保持している。
【0022】
このような構成にすると、前記潤滑剤成形物6aに回転当接している前記ブラシローラ6hからの軸方向及び幅方向の研削力が生じた際に、前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面と前記潤滑剤成形物保持部材6bに設置した前記球状の摺動ボール6dとが全方向に対して転がり駆動されて前記ブラシローラ6hの研削力が分散され、そのために、前記加圧部材6cからの加圧力を損なうことなく前記潤滑剤成形物6aをブラシローラ6hに均一に加圧して潤滑剤成形物の偏摩耗を抑制することができ、よって、前記潤滑剤成形物の偏摩耗を抑制して経時的に安定した該潤滑剤成形物6aの削れ量を高効率に得ることができる。
【0023】
また、前記摺動ボール6dは、前記潤滑剤成形物6aの端部に対して外側になるように前記潤滑剤成形物保持部材6bに支持されているので、前記潤滑剤成形物6aよりも先に前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面と摺動を始め、そのために、前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面に干渉することなく前記ブラシローラ6hに当接することができる。それ故、本発明によれば、前記潤滑剤成形物6aの偏摩耗を抑制し、高効率で経時的に安定した潤滑剤成形物6aの削れ量を確保することができる。
【0024】
図2、3に示すように前記球状の摺動部材(摺動ボール)6dは、好ましくは、前記潤滑剤保持部材6bの両端部に2個以上支持されている。図2では摺動ボール6dを前記潤滑剤保持部材6bの両端に1個ずつ合計2個支持され、図3では摺動ボール6dを前記潤滑剤保持部材6bの両端に1個ずつ及び幅方向における中央底部に1個ずつ合計3支持された代表的な例を図示しているが、本発明においては、これらの例に限定されるわけではない。図3に示すように前記潤滑剤保持部材6bの中央に摺動ボール6dを配置すると、前記潤滑剤成形物6aの軸方向偏差のみならず幅方向偏差が抑制される。
【0025】
本発明の潤滑剤塗布装置6は、図2で示すように、画像形成装置におけるプロセスカートリッジ10内の配置により、ブラシローラ6hの下方から潤滑剤成形物6aを加圧させたり、図示しないがブラシローラ6hの上方から潤滑剤成形物6aを加圧させたりすることもできる。つまり、ブラシローラ6hに対して、自由なレイアウトで潤滑剤成形物6aを配置し、所定の画像形成プロセスを維持することが可能である。また、図2では加圧部材6cとして加圧スプリングを、直接、潤滑剤成形物保持部材6bに対して圧縮方向で用いているが、図示しない、潤滑剤保持部材に加圧スプリングの引っ張り方向の力をブラシローラに対して圧縮力に変換する部材を具備させて加圧したり、錘による加圧をしたりすることも可能である。
【0026】
本発明においては、前記球状の摺動部材(摺動ボール)6dと前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との接点となる該潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面に、前記摺動ボール6dを案内する該球状の摺動部材の径よりも大きな断面径の案内溝(図示せず)が設けられている。
【0027】
また、本発明においては、図4に示されているように、前記球状の摺動部材(摺動ボール)6dと前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との接点となる該潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面に、前記摺動ボール6dを案内する前記摺動ボール6dの径よりも大きな断面径の案内溝6gを形成した案内溝保持部材6fが設けられている。
【0028】
前記案内溝保持部材6fは、好ましくは、低摩擦性樹脂であるポリアセタール、ポリアミド、ポリテロラフルオロエチレン等の低摩擦性樹脂で構成される。このような構成とすると、前記摺動ボール6dと前記案内溝6gとが点接触で摺動しながら加圧方向に対して直動して、前記潤滑剤成形物6aが加圧方向に対してスムーズに加圧されることとなり、そのために、前記潤滑剤成形物6aの偏摩耗を抑制し、高効率で経時的に安定した前記潤滑剤成形物6aの削れ量を確保することができる。
【0029】
前記潤滑剤成形物6aの主成分である潤滑性物質には、一般的に使用される公知の潤滑性物質に対して適用できるが、好ましくは、窒化ホウ素、ポリテトラフッ化エチレン、及び、メラミンシアヌレート、膜形成に優れる脂肪酸金属塩のステアリン酸亜鉛等の潤滑性に優れる固体潤滑剤を単独もしくは任意の処方比で混合して使用することが可能である。また、前記潤滑剤成形物6a中に前記像担持体1への潤滑性物質の滞留を防ぐために、研磨剤としてアルミナ等を添加する場合もある。
【0030】
前記潤滑剤成形物6aは、前記潤滑性物質の粉末を汎用のプレス機により所定のプレス圧で圧縮成形することにより製造される。また、前記潤滑性物質のうち融点が比較的低温な物質(例えばステアリン酸亜鉛)の場合には、潤滑性物質の溶融したものを型に流すことでも成形可能である。また、熱処理をしない冷間圧縮は環境負荷が小さく低コストで作製することができる。この潤滑剤成形物6aの形状は任意であるが、製造が容易である直方体の棒状にするのが好ましい。また、前述の加圧手段による潤滑剤供給量の調整と共に、ブラシローラ6hが当接する面を凹凸形状やR形状にし、初期の潤滑剤形成物6aの削れ量を意図的に上下させたり、圧縮成形の場合では、圧縮成形前の潤滑性物質の平均粒径や嵩密度を変化させることでブラシローラ6hの加圧方向に勾配をつけ、ブラシローラ6hの経時的なへたりによる潤滑剤供給量の低下を抑え、一定した潤滑剤供給量を確保することも可能である。
【0031】
前記ブラシローラ6hは、潤滑剤塗布装置6内において回転自在に設けられているので、像担持体(感光体)1と同一又は単独で駆動部から駆動力を受けて回転する。また、回転方向は特に規定しないが、例えば潤滑性物質を多く感光体1上に供給したい場合は、感光体1の回転方向に対して、ブラシローラ6hの回転方向は逆回転にするなど適宜選択することが可能である。また、ブラシローラ6hは、その図示しないブラシ繊維を感光体1に対して、0.5〜1.0mm食い込むように接触させる。前記ブラシローラ6hは、化学繊維を生布(基布)に植え込んで作ったパイルを導電性の芯金に螺旋状に巻きつけて作る方法や、前記化学繊維を接着剤で表面を覆われた芯金に直接植え込む方法によって製造される。前記化学繊維は、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエステル、PET、ポリアミド、アクリル等の熱可塑性樹脂、さらに好ましくは、感光体1を傷つけることなく該感光体1の表面に前記潤滑性物質を供給することができるポリエステル樹脂、又は、ポリアミド樹脂である。また、本発明においては、前記ブラシ繊維にカーボン等の導電性フィラーを添加して、導電性ブラシ繊維とすることができる。
【0032】
本発明の潤滑剤塗布装置6は、前述のように、感光体ドラムの周辺に取り付けて感光体ドラムの表面に潤滑剤を塗布するものとして好適であるが、中間転写ベルト等の他の像担持体に取り付けても同様の効果を奏する。
【0033】
図5,6に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ10は、プロセスカートリッジフレーム11と、前記プロセスカートリッジフレーム11の内部に装着された潤滑剤塗布装置6と、前記潤滑剤塗布装置6におけるブラシローラ6hに接するように設けられた像担持体1と、を有している。そして、前記プロセスカートリッジ10においては、前記潤滑剤塗布装置6として、請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置6が設けられている。
【0034】
このように、プロセスカートリッジフレーム10と、前記プロセスカートリッジフレーム11の内部に装着された潤滑剤塗布装置6と、前記潤滑剤塗布装置6におけるブラシローラ6bに接するように設けられた像担持体1と、を有するプロセスカートリッジ10において、請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置6が設けられていると、潤滑剤成形物6a1を交換する際に、廃潤滑剤や廃トナーが周囲に飛散したり、作業性が悪くて交換に時間が掛かったりすることなく、前記潤滑剤成形物6aの交換をツールフリーで短時間に行うことができ、しかも、経時的に安定した潤滑剤成形物の削れ量を確保することができるプロセスカートリッジ10を提供することができる。
【0035】
次に、前記プロセスカートリッジ10について詳しく説明する。
【0036】
図6は、図5に示す本発明の画像形成装置内の4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kのうちの1つの作像ユニットを拡大した概略構成を示す図で、4色とも同一構成のため1つの作像ユニット(プロセスカートリッジ)10について図示している。作像ユニット10は、各感光体ドラム1の周りに、感光体ドラム1表面に電荷を与える帯電装置2、感光体ドラム1表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置4、感光体ドラム1表面に潤滑剤を供給し塗布する潤滑剤塗布装置(ブラシローラ)6、トナー像転写後の感体光ドラム1表面のクリーニングをするクリーニング装置7がそれぞれ配置されて感光体ドラム1と一体に取り付けられ、部品の交換、保守、点検の際に、このユニット10を画像形成装置本体から引き出し可能なプロセスカートリッジを構成している。
【0037】
図6に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ10を画像形成装置内に着脱自在に固定すると、プロセスカートリッジ10内の部品メンテナンスやプロセスカートリッジ10の交換が容易となり、経時的に安定した潤滑剤成形物6aの削れ量を確保することが可能なプロセスカートリッジ10を提供することができる。
【0038】
図6に示されているように、前記プロセスカートリッジ10に回転可能に支持された像担持体(感光体)1は、その一部が転写装置5の中間転写ベルト5bに接している。図6において、5aは転写ローラである。前記像担持体1は、直径が30から100mm程度の導電性支持体表面に光導電性物質である感光層を設けたものである。前記導電性支持体は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の導電性金属で構成されている。なお、図6では、ドラム状の像担持体1を用いているが、ベルト状の像担持体を用いてもかまわない。前記像担持体1における感光層には、電荷発生材と電荷輸送材との機能が一体的に構成された単層型のものと、電荷発生層と電荷輸送層との2層構成となった機能分離型のものと、が採用可能である。一般的な機能分離型の像担持体1には、導電性支持体上に直接、又は、下引き層(中間層)を介して電荷発生層が設けられ、そして、この電荷発生層上に電荷輸送物質を含有する樹脂層(電荷輸送層)が設けられている。特に、機能分離型の積層像担持体を用いると感度設計の自由度が広がるので、像担持体1には機能分離型の積層像担持体が好ましく、本実施例では積層像担持体を採用した。
【0039】
図6に示されているように、導電性の芯金の周りに中抵抗の弾性層や樹脂層を被覆した帯電ローラ2aや帯電ローラ2aを像担持体1に当接させるために、スプリング等の押圧部材(図示せず)が備えられている。前記帯電ローラ2aには、電源部(図示せず)が接続されていて、該帯電ローラ2aに所定の直流電圧及び交流電圧が印加されるようになっている。この帯電ローラ2aの両端部にスペーサー部材を設けると、このスペーサーが像担持体1と当接することとなるので、前記帯電ローラ2aと像担持体1とを一定のギャップを持った非接触で配置することも可能となる。本発明においては、帯電装置2を長寿命化したものとするために、前記帯電ローラ2aと像担持体1とが非接触とされる。また、この帯電ローラ2aと像担持体1とが接している帯電ローラ2aの周囲には、帯電ローラ2aの表面に付着した異物を清掃する帯電クリーニングローラ2bが設けられている。これにより、帯電ローラ2aを更に長寿命化することができる。
【0040】
図6に示されている露光装置3は、公知のレーザー方式によって、カラー画像形成に対応した光情報を一様に帯電された像担持体1の表面に潜像として照射する。LEDアレイと結像手段からなる露光装置3も採用することができる。前記露光装置3によれば、通常の画像形成終了後、制御部から信号を受け取った際に、像担持体1の全面にレーザーを照射して、像担持体1上の残留電荷を取り除くことができる。
【0041】
図6に示されている現像装置4は、像担持体1と対向する位置に、内部に磁界発生手段を備える現像スリーブ4aが配置されている。前記現像スリーブ4aの下方には図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブ4aへ汲み上げるための2つのスクリュー4bが備えられている。現像スリーブ4aによって汲み上げられるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、ドクターブレード4cによって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブ4aに担持される。現像スリーブ4aは、像担持体1との対向位置において矢印の方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを像担持体1の潜像面に供給する。
【0042】
図6に示されているクリーニング装置7は、クリーニング部材としてクリーニングブレード7a、前記クリーニングブレード7aを保持するためのブレード支持部材7b、及び、クリーニングされて余剰になったトナーや紙粉等を搬送しつつ回収するトナー回収コイル7cを備えている。前記クリーニングブレード7aは、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー等の弾性部材で構成されるが、それらの中でも、ウレタンエラストマーは、耐磨耗性、高機械強度等の点から優れている。前記クリーニングブレード7aは、一般的には、遠心成形により弾性部材をシート状に成形した後、これをブレード形状にカットして得る。また、クリーニングブレード7aは、ブレード支持部材7bに貼着されて支持されている。前記ブレード支持部材7bは、好ましくは、金属、プラスチック及びセラミックから選ばれる材料で構成されるが、それらに限定されるものではない。機械強度の高いSUS等の鋼板、アルミニウム板、又は、リン青銅等の銅板を用いることもできる。このような材料で構成されるクリーニングブレード7aは、ブレード支持部材7bをスプリングにより加圧したり、クリーニング装置7のケースに固定したりすることで、弾性部材を撓ませることにより、所定の当接圧、当接角で像担持体1の表面に当接する。また、同様の構成のクリーニング装置を前述の転写装置5の特に中間転写ベルト5bに対しても配備することで、転写後の中間転写ベルト5b上に残存するトナーによる不具合を解消することができる。
【0043】
図6に示されているように、前記潤滑剤塗布装置6は、前記潤滑剤成形物6から削り取って粉末状の潤滑剤とし、この粉末状の潤滑剤を前記感光体1の表面に供給する潤滑剤供給部材(ブラシローラ)6h、前記潤滑剤成形物6aをブラシローラ6hに押圧するための6c、前記潤滑剤成形物保持部材6bと前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との間に、転がり摺動する球状の摺動部材(摺動ボール)6d、及び、前記塗布ブレード6i、を有していて、前記像担持体1の表面に潤滑剤を塗布するものとなっている。
【0044】
前記塗布ブレード6iは、塗布ブレード支持部材6jに貼着されて像担持体1に当接するように支持している。前記塗布ブレード6iは、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー等の弾性部材で構成されるが、それらの中でも、ウレタンエラストマーは、耐磨耗性、高機械強度等の点から優れている。前記塗布ブレード6hは、一般的には、遠心成形により弾性部材をシート状に成形した後、これをブレード形状にカットして得る。前記塗布ブレード支持部6jは、好ましくは、金属、プラスチック及びセラミックから選ばれる材料で構成されるが、それらに限定されるものではない。機械強度の高いSUS等の鋼板、アルミニウム板、又は、リン青銅等の銅板を用いることもできる。このような材料で構成される塗布ブレード6iは、塗布ブレード支持部6jをスプリングにより加圧したり、プロセスカートリッジフレーム11に固定して、前記塗布ブレード6iを撓ませることにより、所定の当接圧、当接角で像担持体1の表面に当接される。
【0045】
図5,6に示されているように、本発明の画像形成装置100は、潜像を担持し回転駆動する像担持体1と、前記像担持体1を均一に帯電させる帯電装置2と、前記像担持体1の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置25(図6では3を参照)と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して可視像を形成する現像装置4と、前記可視像を中間転写ベルト5bに転写する転写装置5と、前記中間転写ベルト5bから転写された記録媒体P(図6では図示せず)上のトナー像を該記録媒体Pに半永久的に定着させる定着装置40と、前記像担持体1に当接し前記像担持体1の表面をクリーニングするクリーニングブレード7aを備えたクリーニング装置7と、を少なくとも有している。そして、前記画像形成装置100においては、前記転写装置5よりも前記像担持体1の移動方向の下流側位置であって、かつ、前記露光装置3よりも前記像担持体1の移動方向の上流側位置に、前記プロセスカートリッジ10として、請求項7に記載のプロセスカートリッジ10が着脱自在に設けられている。
【0046】
このように、潜像を担持し回転駆動する像担持体1と、前記像担持体1を均一に帯電させる帯電装置2と、前記像担持体1の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置25(図6では3を参照)と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して可視像を形成する現像装置4と、前記可視像を中間転写ベルト5bに転写する転写装置5と、前記中間転写ベルト5bから転写された記録媒体P(図6では図示せず)上のトナー像を該記録媒体Pに半永久的に定着させる定着装置40と、前記像担持体1に当接し前記像担持体1の表面をクリーニングするクリーニングブレード7aを備えたクリーニング装置7と、を少なくとも有する画像形成装置100において、前記転写装置5よりも前記像担持体1の移動方向の下流側位置であって、かつ、前記露光装置3よりも前記像担持体1の移動方向の上流側位置に、前記プロセスカートリッジ10として、請求項7に記載のプロセスカートリッジ10が着脱自在に設けられていると、前記潤滑剤成形物6aに回転当接している前記ブラシローラ6hからの軸方向及び幅方向の研削力が生じる際に、前記潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面と前記潤滑剤成形物保持部材6bに設置した前記球状の摺動部材6dとが全方向に対して転がり駆動されて前記ブラシローラ6hの研削力が分散され、そのために、前記加圧部材6cからの加圧力を損なうことなく前記潤滑剤成形物6aをブラシローラ6hに均一に加圧することができ、よって、前記潤滑剤成形物の偏摩耗を抑制して経時的に安定した該潤滑剤成形物の削れ量を高効率に得ることができる。しかも、画像形成装置100内のプロセスカートリッジ10の交換が容易となり、かつ交換前後で画像形成プロセスに変化なく安定動作することができる画像形成装置100を提供することができる。
【0047】
次に、前記画像形成装置100について詳しく説明する。
【0048】
図5に示されているように、前記画像形成装置100は、イエロー(以下Y)、シアン(以下C)、マゼンタ(以下M)、ブラック(以下K)の4色トナーから一画像を形成するタンデム型の画像形成装置である。この画像形成装置100は、それぞれ前記4色のトナー像を形成する像担持体として4つの感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kを備えており、後述するように、これらの感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kを中心として、その外周表面に、帯電装置2、現像装置4、潤滑剤塗布装置6、クリーニング装置7を備えた作像ユニット10Y、10C、10M、10Kが、それぞれ図の左から順に配列されている。これらの作像ユニット10Y、10C、10M、10K上には、4つのローラ52、53、54、55に掛け回されて支持された無端状の中間転写ベルト31が各に感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kに接触しながら図中Aの方向に駆動移動されている。
【0049】
前記4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの下方には、帯電した各感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kの表面に各色の画像データに基づいて照射されるレーザー光Lによって潜像を形成する露光装置25が備えられている。また、中間転写ベルト31を挟んで、各感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kと対向する位置には、感光体ドラム1Y、1C、1M、1K上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に一次転写する一次転写ローラ32がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ32には、図示しない電源部に接続されていて、所定の電圧が印加される。
【0050】
中間転写ベルト31のローラ52で支持された部分の外側には、二次転写ローラ34が圧接されている。二次転写ローラ34は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。二次転写ローラ34と中間転写ベルト31との接触部が二次転写部であり、中間転写ベルト31上のトナー像が転写紙に転写される。中間転写ベルト31のローラ55で支持された部分の外側には、二次転写後の中間転写ベルト31の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置33が設けられている。
【0051】
前記二次転写部の上方には、転写紙上のトナー像を転写紙に半永久的に定着させる定着装置40が備えられている。この定着装置40は、内部にハロゲンヒータを有する加熱ローラ42及び定着ローラ44に巻き掛けられた無端の定着ベルト43と、定着ベルト43を介して定着ローラ44に対向、圧接して配置される加圧ローラ45と、から構成されている。前記画像形成装置100の下部には、転写紙を載置して二次転写部に向けて転写紙を送り出す給紙装置20が備えられている。
【0052】
図6は、図1に示される画像形成装置100における作像ユニット10Y、10C、10M、10Kのうちの1つの作像ユニット(プロセスカートリッジ)10の拡大説明図である。作像ユニット10は、各感光体ドラム1の周りに、感光体ドラム1表面に電荷を与える帯電装置2、感光体ドラム1表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置4、感光体ドラム1の表面に潤滑剤を供給・塗布する潤滑剤塗布装置6、トナー像転写後の感体光ドラム1の表面のクリーニングをするクリーニング装置7がそれぞれ配置されて、感光体ドラム1と一体に取り付けられ、部品の交換、保守、点検の際に、この作像ユニット10を画像形成装置100の本体から引き出し可能なプロセスカートリッジを構成している。
【0053】
図6に示されているように、感光体1上に潤滑剤を供給・塗布するための潤滑剤塗布装置6は、前記感光体1に対して着脱可能に位置決めされている。このように配置されることで潤滑剤塗布装置6のメンテナンスや交換が容易となり、かつ交換前後で画像形成プロセスに変化なく安定動作させることができる。前記潤滑剤塗布装置6には、前記感光体1の表面に潤滑剤成形物6aから削り取った粉末状の潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材(ブラシローラ)6bが回転駆動するように備えられ、前記潤滑剤成形物6aを格納した潤滑剤成形物カートリッジフレーム6eが前記ブラシローラ6hに泰対して着脱可能に位置決めされて配置され、そして、塗布ブレード6iによって前記感光体1上の潤滑剤が塗布されるようになっている。
【0054】
図6に示されているように、像担持体(感光体)1は、前述のプロセスカートリッジ10に回転可能に支持されていて、その像担持体1は、一部が転写装置5の中間転写ベルト5bに接している。5aは転写ローラである。前記像担持体1は、直径が30から100mm程度の導電性支持体表面に光導電性物質である感光層を設けたものである。導電性支持体にはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の導電性金属が可能である。なお、図6ではドラム状の像担持体1を用いているが、ベルト状の像担持体も採用可能である。像担持体1は電荷発生材と電荷輸送材との機能が一体的に構成された単層型のものと、電荷発生層と電荷輸送層との2層構成となった機能分離型のものが採用可能である。一般的な機能分離型の像担持体1には、導電性支持体上に直接、又は、下引き層(中間層)を介して電荷発生層が設けられ、そして、この電荷発生層上に電荷輸送物質を含有する樹脂層(電荷輸送層)が設けられている。特に、機能分離型の積層像担持体を用いると感度設計の自由度が広がるので、像担持体1には機能分離型の積層像担持体が好ましく、本実施例では積層像担持体を採用した。
【0055】
図6において帯電装置2は、導電性芯金の周りに中抵抗の弾性層や樹脂層を被覆して構成される帯電ローラ2aや帯電ローラ2aを像担持体1に当接させるための図示しないスプリング等を備えている。帯電ローラ2aは図示しない電源部に接続されており、所定の直流電圧および交流電圧が印加される。また、この帯電ローラ2aは、両端部にスペーサー部材を設けると、このスペーサーが像担持体1と当接し、像担持体1と一定のギャップを持った非接触で配置することも可能となる。本実施例では、帯電部材の長寿命化のため前述の非接触での帯電方式を採用した。また、この帯電ローラ2aと像担持体1とが接している帯電ローラ2aの周囲には、帯電ローラ2aの表面に付着した異物を清掃する帯電クリーニングローラ2bが設けられている。これにより、帯電ローラ2aを更に長寿命化することが可能となる。
【0056】
図6において露光装置3は、公知のレーザー方式によって、カラー画像形成に対応した光情報を一様に帯電された像担持体1の表面に潜像として照射する。LEDアレイと結像手段から成る露光装置も採用可能である。本発明では、露光装置3は通常の画像形成終了後、制御部から信号を受け取った際に像担持体全面にレーザーを照射することで、像担持体1上の残留電荷を取り除く働きも受け持つ。
【0057】
図6において現像装置4は、像担持体1と対向する位置に、内部に磁界発生手段を備える現像スリーブ4aが配置されている。現像スリーブ4aの下方には図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブ4aへ汲み上げるための2つのスクリュー4bが備えられている。現像スリーブ4aによって汲み上げられるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、ドクターブレード4cによって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブ4aに担持される。現像スリーブ4aは、像担持体1との対向位置において矢印の方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを像担持体1の潜像面に供給する。
【0058】
図6においてクリーニング装置7は、クリーニング部材としてクリーニングブレード7a、前記クリーニングブレード7aを保持するためのブレード保持部材7b、及び、クリーニングされて余剰になったトナーや紙粉等を搬送しつつ回収するトナー回収コイル7cを備えている。ここで、クリーニングブレード7aは、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー等の弾性部材で構成されるが、それらの中でも、ウレタンエラストマーは、耐磨耗性、高機械強度等の点から優れている。クリーニングブレード7aは、一般的には、遠心成形により弾性部材をシート状に成形した後、これをブレード形状にカットする。また、クリーニングブレード7aは、ブレード支持部材7bに貼着されて支持されている。前記ブレード支持部材7bは、好ましくは、金属、プラスチック及びセラミックから選ばれる材料で構成されるが、それらに限定されるものではない。機械強度の高いSUS等の鋼板、アルミニウム板、又は、リン青銅等の銅板を用いることもできる。このような材料で構成されるクリーニングブレード7aは、ブレード支持部材7bをスプリングにより加圧したり、クリーニング装置7のケースに固定したりすることで、弾性部材を撓ませることにより、所定の当接圧、当接角で像担持体1の表面に当接する。また、同様の構成のクリーニング装置を前述の転写装置5の特に中間転写ベルト5bに対しても配備することで、転写後の中間転写ベルト5b上に残存するトナーによる不具合を解消することができる。
【0059】
(実施例1)
デジタル複写機(imagio MP C5001 、リコー社製)におけるプロセスカートリッジ10に、図2に示されているように、
(1)ブタジエンゴムで構成される直径9mmの摺動ボール6dを潤滑剤成形物保持部材6bの長手方向における両端部に設置し、
(2)前記潤滑剤成形物保持部材6bの外側にステアリン酸亜鉛の粉末(平均粒径:32μm、白色)と平均粒径:0.5μmの窒化ホウ素の粉末とを4:1の割合で配合した粉体を直方体の棒状に圧縮成形して得た長さ:322mm、幅:10mm、高さ:21mm、及び、成形密度:1.16g/cm3 の潤滑剤成形物6aを両面接着剤で固定し、
(3)毛足長さ:3mm、繊度:6D、繊維密度:50kF/inch2 の黒色のポリアミド繊維で構成される基布(体積抵抗率:106 Ω・cm)を芯金に巻き付けて形成したブラシローラ6hを前記潤滑剤成形物6aの上面に設置し、そして、
(4)前記潤滑剤成形物保持部材6bの内側に加圧部材(圧縮ばね)6cにより1.2Nで加圧して、
潤滑剤塗布装置6を設置した。
【0060】
(実施例2)
デジタル複写機(imagio MP C5001 、リコー社製)におけるプロセスカートリッジ10に、図3に示されているように、
実施例1における 前記(1)の行程を、『(1)ブタジエンゴムで構成される直径9mmの摺動ボール6dを潤滑剤成形物保持部材6bの長手方向における両端部に設置すると共に、前記潤滑剤成形物保持部材6bの長手方向における中央部に直径14mmのブタジエンゴムで構成される製摺動ボールを設置する』とした以外は、実施例1と同様にして潤滑剤塗布装置6を設けた。
【0061】
(実施例3)
デジタル複写機(imagio MP C5001 、リコー社製)におけるプロセスカートリッジ10に、図4に示されているように、
(1)ブタジエンゴムで構成される直径9mmの摺動ボール6dを潤滑剤成形物保持部材6bの長手方向における両端部に設置し、
(2)前記摺動ボール6dと潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との接点となる該潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面に、該摺動ボール6dを案内する直径11mmの円弧状の案内溝6gを形成したポリアセタールで構成される案内溝保持部材6fを設置した後、前記摺動ボール6dを前記案内溝保持部材6fにはめ込み、
(3)前記潤滑剤成形物保持部材6bの外側にステアリン酸亜鉛の粉末(平均粒径:32μm、白色)と平均粒径:0.5μmの窒化ホウ素の粉末とを4:1の割合で配合した粉体を直方体の棒状に圧縮成形して得た長さ:322mm、幅:10mm、高さ:21mm、及び、成形密度:1.16g/cm3 の潤滑剤成形物6aを両面接着剤で固定し、
(4)毛足長さ:3mm、繊度:6D、繊維密度:50kF/inch2 の黒色のポリアミド繊維で構成される基布(体積抵抗率:106 Ω・cm)を芯金に巻き付けて形成したブラシローラ6hを前記潤滑剤成形物6aの上面に設置し、そして、
(5)前記潤滑剤成形物保持部材6bの内側に加圧部材(圧縮ばね)6cにより1.2Nで加圧して、
潤滑剤塗布装置6を設けた。
【0062】
(実施例4)
デジタル複写機(imagio MP C5001 、リコー社製)におけるプロセスカートリッジ10に、図4に示されているように、
前記(2)の行程を、『(2)前記摺動ボール6dと潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面との接点となる該潤滑剤カートリッジフレーム6eの内壁面に、該摺動ボール6dを案内する直径11mmの円弧状の案内溝6gを形成したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成される案内溝保持部材6fを設置した後、摺動ボール6dを案内溝保持部材6fにはめ込み、』とした以外は、実施例3と同様にして潤滑剤塗布装置6を設けた。
【0063】
(比較例1)
デジタル複写機(imagio MP C5001 、リコー社製)におけるプロセスカートリッジに、
(1)前記潤滑剤成形物保持部材6bの外側にステアリン酸亜鉛の粉末(平均粒径:32μm、白色)と平均粒径:0.5μmの窒化ホウ素の粉末とを4:1の割合で配合した粉体を直方体の棒状に圧縮成形して得た長さ:322mm、幅:10mm、高さ:21mm、及び、成形密度:1.16g/cm3 の潤滑剤成形物を両面接着剤で固定し、
(2)毛足長さ:3mm、繊度:6D、繊維密度:50kF/inch2 の黒色のポリアミド繊維で構成される基布(体積抵抗率:106 Ω・cm)を芯金に巻き付けて形成したブラシローラを前記潤滑剤成形物6aの上面に設置し、そして、
(3)前記潤滑剤成形物保持部材6bの内側に加圧部材(圧縮ばね)により1.2Nで加圧して、
潤滑剤塗布装置(図6を参照)を設けた。
【0064】
以上、実施例1〜4及び比較例1で得た画像形成装置を次に示す評価方法で評価した。
【0065】
(評価方法)
画像面積率が50%になるような画像濃度パターンをA4サイズ紙で横目方向に連続して200枚通紙した後、潤滑剤成形物の削れ量(高さ)を測定して、前記潤滑剤成形物の削れ量(高さ)の左右偏差の比を計測して判定した。
【0066】
(判定結果)
判定結果は、次の表1に示される。判定基準は、
○:潤滑剤成形物の左右偏差比が1±0.1以下のもの、及び、
×:潤滑剤成形物の左右偏差比が1±0.1以上のもの、
とした。
【0067】
【表1】

【0068】
表1から次のことがわかる。即ち、実施例1〜4では、摺動ボール個数や案内溝部材有無の違いに関わらず、比較例1に比べて、潤滑剤削れ量の左右偏差比が改善されており、許容できるレベルとなっていることがわかる。
【符号の説明】
【0069】
1 像担持体(感光体、感光体ドラム)
2 帯電手段(帯電装置)
2a 帯電ローラ
2b 帯電クリーニングローラ
3 露光手段(露光装置)
4 現像手段(現像装置)
4a 現像スリ−ブ
4b スクリュー
4c ドクターブレード
5 転写手段(転写装置)
5a 転写ローラ
5b 中間転写ベルト
6 潤滑剤塗布装置
6a 潤滑剤成形物
6b 潤滑剤成形物保持部材
6c 加圧部材
6d 摺動部材(摺動ボール)
6e 潤滑剤成形物カートリッジフレーム
6f 案内溝保持部材
6g 案内溝
6h 潤滑剤供給部材(ブラシローラ)
6i 塗布ブレード
6j 塗布ブレード支持部
7 クリーニング手段(クリーニング装置)
7a クリーニングブレード
7b ブレード支持部材
7c 廃トナー回収コイル
10 プロセスカートリッジ(作像ユニット)
11 プロセスカートリッジフレーム
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2009−265586号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口部を有する潤滑剤カートリッジフレームと、前記潤滑剤カートリッジフレームの内部に開口を下にするように配置された断面コの字状の潤滑剤成形物保持部材と、前記潤滑剤成形物保持部材の外側に固着された潤滑剤成形物と、前記潤滑剤成形物から微粉末を削り取りその微粉末を像担持体の表面に供給するように設けられたブラシローラと、前記潤滑剤成形物を前記ブラシローラに加圧するように前記潤滑剤成形物保持部材の内側に設けられた加圧部材と、を少なくとも有する潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤成形物保持部材と前記潤滑剤カートリッジフレームの内壁面との間に、転がり摺動する球状の摺動部材をが設けられていることを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
前記球状の摺動部材が、前記潤滑剤成形物保持部材の軸方向における両端部に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
前記球状の摺動部材が、前記潤滑剤成形物保持部材の軸方向における両端部に2個以上支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
前記球状の摺動部材が、前記潤滑剤成形物保持部材の軸方向における中央底部に支持されることを特徴とする請求項2又は3に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項5】
前記球状の摺動部材と前記潤滑剤カートリッジフレームの内壁面との接点となる該潤滑剤カートリッジフレームの内壁面に、前記前記球状の摺動部材を案内する前記球状の摺動部材の径よりも大きな断面径の案内溝が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項6】
前記球状の摺動部材と前記潤滑剤カートリッジフレームの内壁面との接点となる該潤滑剤カートリッジフレームの内壁面に、前記前記球状の摺動部材を案内する前記球状の摺動部材の径よりも大きな断面径の案内溝を形成した案内溝保持部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項7】
プロセスカートリッジフレームと、前記プロセスカートリッジフレームの内部に装着された潤滑剤塗布装置と、前記潤滑剤塗布装置におけるブラシローラに接するように設けられた像担持体と、を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置が設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
潜像を担持し回転駆動する像担持体と、前記像担持体を均一に帯電させる帯電装置と、前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して可視像を形成する現像装置と、前記可視像を中間転写ベルトに転写する転写装置と、前記中間転写ベルトから転写された記録媒体上のトナー像を該記録媒体に半永久的に定着させる定着装置と、前記像担持体に当接し前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニングブレードを備えたクリーニング装置と、を少なくとも有画像形成装置において、前記転写装置よりも前記像担持体の移動方向の下流側位置であって、かつ、前記露光装置よりも前記像担持体の移動方向の上流側位置に、前記プロセスカートリッジとして、請求項7に記載のプロセスカートリッジが着脱自在に設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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