説明

潤滑剤

【課題】摺動構造体の摺動面間で生じる滑り摩擦抵抗を低減する潤滑剤の潤滑性能を向上させる。
【解決手段】金属材料より成るポール11及びガイド12が互いに滑りを伴って相対運動を行うリクライナ装置10に供給され、リクライナ装置10の摺動面11a,12a間に生じる滑り摩擦抵抗を低減する潤滑剤Aである。潤滑剤Aは、リクライナ装置10のポール11及びガイド12とモース硬度が同じであるか或いは1低い白色固体潤滑剤である軽質炭酸カルシウムを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤に関する。詳しくは、金属材料より成る少なくとも2つの部材が互いに滑りを伴って相対運動を行う摺動構造体に供給され、この摺動構造体の摺動面間に生じる滑り摩擦抵抗を低減する潤滑剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属材料より成る部材同士が互いに滑りを伴って相対運動を行う構成の摺動構造体においては、摺動面間に生じる滑り摩擦抵抗を低減するために、この摺動面間に潤滑剤が供給されている。しかしながら、例えば車両用シートのリクライニング機構を構成するリクライナ装置のように、摺動面間に大きな面圧の作用する摺動構造体においては、かかる面圧の作用によって油膜切れが起こり易く、これにより摺動面同士が滑り摩擦により係止するなどして、いわゆるスティックスリップ音等の異音を発生させることが問題とされている。
そこで、上記のように摺動面間に大きな面圧の作用する摺動構造体においては、例えば特許文献1に開示されているような潤滑性能を向上させて油膜切れを起こし難くした潤滑剤が採用されている。ここで、特許文献1には、ボールねじの転がり摩擦や滑り摩擦を伴う部位に潤滑剤が供給された技術が開示されている。この開示では、潤滑剤として、基本組成である基油に加え、二硫化モリブデンや有機モリブデン化合物等の固体潤滑剤が含まれているものが採用されている。また、同潤滑剤には、硫黄、リン及び亜鉛等の有機金属系の極圧剤が含まれている。この潤滑剤によれば、例えば固体潤滑剤として含まれる二硫化モリブデンは、滑り運動によって容易に薄層状にせん断されて、金属同士の接触を妨げるように作用する。また、極圧剤は、上記転がり摩擦や滑り摩擦を伴う部位に介在し、同部位の油膜切れを起こし難くする。これにより、ボールねじの転がり摩擦抵抗や滑り摩擦抵抗を低減することができ、金属部材の焼き付きや磨耗を起こし難くすることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−49278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の潤滑剤によれば、摺動面間に生じる滑り摩擦抵抗を好適に低減することができる。しかしながら、このような潤滑剤の潤滑性能が、例えば前述したリクライナ装置のように摺動面間のクリアランスが比較的小さい構成や、摺動面間に比較的高い面圧が繰り返して作用するような構成においても持続して好適に発揮されるように、潤滑性能の一層の向上が望まれている。
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、摺動構造体の摺動面間で生じる滑り摩擦抵抗を低減する潤滑剤の潤滑性能を更に向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明者らは潤滑剤の摺動面間に影響する事象について各種実験を重ね鋭意研究した結果、摺動面を構成する摺動構造体とのモース硬度の相対関係が影響することを見出し、次のような手段をとることにより課題を達成できるに至った。
先ず、第1の発明は、金属材料より成る少なくとも2つの部材が互いに滑りを伴って相対運動を行う摺動構造体に供給され、摺動構造体の摺動面間に生じる滑り摩擦抵抗を低減する潤滑剤であって、摺動構造体の少なくとも2つの部材とモース硬度が同じであるか或いは1低い白色固体潤滑剤を含有するものである。
ここで、白色固体潤滑剤としては、軽質炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム等の耐荷重能や潤滑性能が良好に発揮される固体潤滑剤が挙げられる。
この第1の発明によれば、潤滑剤に含まれる白色固体潤滑剤は、摺動構造体の滑り摩擦を伴う摺動面間に介在する。この白色固体潤滑剤は、上記滑り摩擦を伴う部材とモース硬度が同じであるか或いは1低いものであり、両摺動面から受ける負荷に対して耐荷重能を有する。したがって、白色固体潤滑剤が摺動面に接触して負荷を与えても、摺動面が傷つき難く、摺動面間の油膜切れも起こり難くなる。
【0007】
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、摺動構造体の少なくとも2つの部材は鉄鋼材料より成るものである。
ここで、鉄鋼材料のモース硬度は4である。
この第2の発明によれば、一般構造用に多用される鉄鋼材料より成る摺動構造体において、潤滑剤の潤滑性能が好適に発揮される。
【0008】
次に、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、白色固体潤滑剤は軽質炭酸カルシウムとされているものである。
ここで、軽質炭酸カルシウムのモース硬度は3である。
この第3の発明によれば、軽質炭酸カルシウムは、白色固体潤滑剤の中では比較的水と反応し難い性質を有する。
【0009】
次に、第4の発明は、上述した第1から第3のいずれかの発明において、摺動構造体は、車両用シートのリクライニング機構を構成するリクライナ装置であり、潤滑剤によって、リクライナ装置のリクライニング回動を許容した解除状態と規制した噛合ロック状態とに切り換えるべく進退動するポールと、ポールを進退動可能に保持するガイドと、の摺動面間に生じる滑り摩擦抵抗が低減されるものである。
この第4の発明によれば、リクライナ装置のように摺動面間(ポールとガイドとの間)のクリアランスが比較的小さく、かつ、摺動面間に比較的高い面圧が繰り返して作用する構成においても、潤滑剤によって、油膜切れが起こり難くなる。また、リクライナ装置のように摺動運動が比較的頻繁に行われるような構成においても、潤滑剤による潤滑性能が持続して好適に発揮される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、摺動構造体の滑り摩擦を伴う部材間のクリアランスが比較的小さい構成や、摺動面間に比較的高い面圧が繰り返して作用するような構成においても、潤滑剤による潤滑性能を持続して好適に発揮させることができる。
更に、第2の発明によれば、摺動構造体が一般構造用に多用されている鉄鋼材料として具体的に実現される。
更に、第3の発明によれば、第1又は第2の発明の潤滑剤の潤滑性能をより好適に発揮させることができる。
更に、第4の発明によれば、リクライナ装置の摺動面同士が油膜切れにより係止するなどして発生するスティックスリップ音等の異音の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
始めに、実施例1としての潤滑剤Aについて、図1〜図8を用いて説明する。図1はリクライナ装置10の内部構造を表した正面図、図2は潤滑剤A,Bの含有する成分を表した図表、図3は各潤滑剤A,Bに含まれる固体潤滑剤の性質を表した図表、図4は一般特性試験の測定結果を表した図表、図5は潤滑性能試験の試験機20の概略構成を表した正面図、図6は潤滑性能試験の測定結果を表した図表、図7は回転サイクル数と滑り摩擦抵抗の静摩擦係数との関係を表したグラフ、図8は潤滑剤A,Bの評価結果をまとめた図表である。
【0013】
本実施例の潤滑剤Aは、図1に良く示されるように、車両用シートのリクライニング機構を構成するリクライナ装置10の内部(摺動面11a,12a間)に塗布されている。
このリクライナ装置10は、シートのリクライニング回動を許容した解除状態と規制した噛合ロック状態とに切り換えるべく進退動するポール11と、このポール11を進退動可能に保持するガイド12と、を有する。これらポール11及びガイド12は、鉄鋼材料より成り、シートを構成するシートバック等の重量物や着座した乗員の背もたれ荷重を支持可能な強度及び剛性を有して構成されている。そして、このポール11とガイド12との嵌め合いは、摺動面11a,12a間のクリアランスが比較的小さく設定されており、ポール11のガイド12に対する進退動がガタツキなく精度良く行えるように構成されている。このリクライナ装置10は、前述したような比較的大きな荷重が入力され得る状況下でポール11のガイド12に対する進退動(摺動)が行われるため、ポール11とガイド12との摺動面11a,12a間には比較的高い面圧が作用する。したがって、このように摺動面11a,12a間に高い面圧の作用する構成においては、かかる面圧の作用によって油膜切れが起こり易くなり、摺動面11a,12a同士が滑り摩擦抵抗により係止するなどして、いわゆるスティックスリップ音等の異音が発生し易い。しかしながら、本実施例では、リクライナ装置10に潤滑剤Aを適用することにより、上記摺動面11a,12a間の油膜切れを起こし難くすることができ、スティックスリップ音等の異音の発生を良好に抑えることができる。
以下、潤滑剤Aについて詳細に説明する。
【0014】
本実施例の潤滑剤Aは、図2に良く示されるように、固体潤滑剤として軽質炭酸カルシウム(白色固体潤滑剤)を含有している。なお、潤滑剤Aは、その他にも、基油としての合成油、Li石鹸、防錆剤、オイル増粘剤及び酸化安定剤等の成分を含有しているが、これらは潤滑剤として一般的な含有成分であるため、詳細な説明は省略する。
ここで、本実施例の潤滑剤Aの潤滑性能を評価するために、図2に示される公知の潤滑剤Bとの性能比較を行った。この潤滑剤Bは、同図に示されるように、固体潤滑剤として水酸化カルシウム、第3リン酸カルシウム、酸化亜鉛及び有機モリブデン化合物を含有している。なお、潤滑剤Bも、その他の成分として、基油としての合成油及びLi石鹸等の成分を含有している。
次いで、これら潤滑剤A及び潤滑剤Bに含まれている固体潤滑剤の粒径及び硬度を、図3に比較して示した。ここで、同図に示す硬度は、モース硬度である。同図から分かるように、潤滑剤Aに含まれる軽質炭酸カルシウムの硬度は3である。一方、潤滑剤Bに含まれる水酸化カルシウムの硬度は1〜2であり、第3リン酸カルシウムの硬度は4〜5であり、酸化亜鉛の硬度は5であり、有機モリブデン化合物の硬度は1〜2である。
【0015】
先ず、各潤滑剤A,Bの一般特性の比較評価試験を行った。本試験により得られた測定結果を図4に示す。同図において、高速四球摩擦試験(硬球・軟球)により得られた最終非焼付荷重(LNSL)及び融着荷重(WL)の数値により、潤滑剤A,Bは共に、良好な耐荷重能(潤滑剤A,Bが摩擦面の焼き付き損傷を防止する能力)を備えていることが分かる。
また、潤滑剤A,Bは共に、混和稠度、混和安定度、蒸発量及び酸化安定度についても良好な使用性能を備えていることが分かる。
【0016】
次に、各潤滑剤A,Bの潤滑性能を比較するために、図5に示される試験機20を用いて測定を行った。この試験機20は、鉄鋼材料(SAE 4620 STEEL)より成るリング21の外周面(摺動面21a)に対し、鉄鋼材料(SAE 01 STEEL)より成るブロック22を押し当てた状態でリング21を繰り返し摺動回転させることにより、摺動面21a,22a間に発生する滑り摩擦抵抗により摺動音(異音)を発生させるものである。本試験では、この摺動面21a,22a間に潤滑剤A,Bを塗布した際の異音の発生状況を測定し、潤滑剤A,Bの潤滑性能を比較した。具体的には、摺動面21a,22aから異音が発生するまでのリング21の回転サイクル数を測定し、潤滑剤A,Bの異音抑制の持続効果を比較した。なお、試験条件は、次の通りである。すなわち、ブロック22をリング21に押し当てる押付荷重は340Lbf(面圧にして25.8kg/mm2相当)とし、雰囲気はドライ、ブロック22の押付角度は90度としている。また、1回の試験のリング21の最大回転サイクル数は、200,000(回)までとし、摺動面21a,22aに異音が発生するまでの回転サイクル数を測定する。
本試験により得られた測定結果を図6に示す。また、リング21の回転サイクル数(回)と摺動面21a,22a間に発生する滑り摩擦抵抗の静摩擦係数(μs)との関係を図7に示す。図6において、「N」は試験回数を表す数値であり、「Ave」は測定結果の平均回転サイクル数(回)を表している。また、リング21の回転サイクル数が最大回転サイクル数に到達しても異音が発生しなかった場合には、「200,000」の数値に加えて「STOP」が表記されている。図6に示される測定結果より、潤滑剤Aを使用した場合では、いずれの試験においても、リング21の回転サイクル数が200,000(回)に達しても異音が発生していないことが分かる。一方、潤滑剤Bを使用した場合では、リング21の回転サイクル数が平均で10,700(回)のときに異音が発生していることが分かる。また、図7に示されるグラフより、潤滑剤Aを使用した場合には、リング21の回転サイクル数が増大しても、摺動面21a,22a間に発生する滑り摩擦抵抗の静摩擦係数は、ほぼ一定の数値を維持していることが分かる。一方、潤滑剤Bを使用した場合には、リング21の回転サイクル数が比較的少ない領域(図6に示された異音発生の回転サイクル数)のうちに、静摩擦係数が立ち上がり状に増大していることが分かる。このように、潤滑剤Aを使用した試験では、摺動面21a,22a間に油膜切れを起こすことなく、異音抑制の効果を持続的に発揮させることができ、高い潤滑性能を備えていると認められる。
【0017】
すなわち、本試験の測定結果から考察されることとして、以下のことが挙げられる。
先ず、図5に良く示されるように、試験機20の摺動面21a,22aを構成するリング21やブロック22は、鉄鋼材料より成るため、その硬度(モース硬度)は4である。そして、この摺動面21a,22a間に塗布される潤滑剤Aの含有する固体潤滑剤(軽質炭酸カルシウム)の硬度は3である。したがって、摺動面21a,22aを構成するリング21やブロック22よりも硬度が1低い固体潤滑剤を含有した潤滑剤Aを使用することにより、固体潤滑剤が摺動面21a,22a間に介在して摺動面21a,22aから受ける負荷に対して一定の耐荷重能を発揮するため、摺動面21a,22a間に油膜切れが起こり難くなる。また、潤滑剤Aの含有する固体潤滑剤は、摺動面21a,22aを構成するリング21やブロック22よりも硬度が低いため、摺動面21a,22aに接触して負荷を与えても、この摺動面21a,22aを傷つけない。したがって、摺動面21a,22aに磨耗が起こり難くなる。
一方、潤滑剤Bの含有する固体潤滑剤には、硬度が1〜2のものや5のものが含まれている。したがって、リング21やブロック22よりも硬度の高い固体潤滑剤の成分が摺動面21a,22a間に介在することにより、この固体潤滑剤の成分が摺動面21a,22aから受ける負荷に対して一定の耐荷重能を発揮するものの、摺動面21a,22aに接触して負荷を与えた際に、この摺動面21a,22aを傷つけてしまうことが考えられる。そして、これにより、摺動面21a,22aが磨耗して表面平滑性が損なわれるなどして、摺動面21a,22a間に油膜切れが起こり易くなると考えられる。
【0018】
上記の結果をまとめると、図8のようになる。
ここで、同図に示されている基油は、固体潤滑剤を含有しない潤滑剤である。この基油を用いて前述した一般特性試験や潤滑性能試験を行った結果、耐荷重能も潤滑性能も劣悪な結果となった。したがって、基油を使用した場合には、摺動面21a,22aの磨耗も油膜切れも起こり易くなる(×)。
また、潤滑剤Bを使用した場合には、耐荷重能については良好な結果が得られ、潤滑性能については一定の回転サイクル数までは良好な結果が得られた。したがって、摺動面21a,22aの磨耗も油膜切れも比較的起こり難くなる(○)。
また、潤滑剤Aを使用した場合には、耐荷重能については良好な結果が得られ、潤滑性能については優れた結果が得られた。したがって、摺動面21a,22aの磨耗は比較的起こり難くなる(○)。そして、油膜切れについては、起こり難くなる(◎)。
【0019】
したがって、このような耐荷重能及び潤滑性能を備えた潤滑剤Aをリクライナ装置10(図1参照)のように摺動面11a,12a間のクリアランスが比較的小さく、かつ、摺動面11a,12a間に比較的高い面圧が繰り返して作用するような構成に採用することにより、油膜切れが起こり難くなり、スティックスリップ音等の異音の発生を持続的に抑制することができる。なお、本実施例の使用方法については、上記リクライナ装置10の摺動面11a,12a間に潤滑剤Aを塗布することとして説明される。
【0020】
このように、本実施例の潤滑剤Aによれば、リクライナ装置10のように摺動構造体の滑り摩擦を伴う部材(ポール11及びガイド12)間のクリアランスが比較的小さく、かつ、摺動運動が頻繁に繰り返されるような構成においても、潤滑剤Aによる潤滑性能を持続して好適に発揮させることができる。これにより、リクライナ装置10の摺動面11a,12a同士が油膜切れにより係止するなどして発生するスティックスリップ音等の異音の発生を抑えることができる。
【0021】
以上、本発明の実施形態を1つの実施例により説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施ができるものである。
例えば、潤滑剤の含有する固体潤滑剤(白色固体潤滑剤)として、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム等の耐荷重能や潤滑性能が良好に発揮される他の固体潤滑剤を採用してもよい。
また、摺動構造体としてリクライナ装置10を示したが、その他にも、車両用シートのシートスライド装置(アッパーレールとロアレールとが摺動する摺動構造体)や、特開2005−96530号公報に開示されているような車両フロア上に設置されたストライカに係合ロックするインターロック機構としてシートに設けられたロック装置(ロック部材の回動によって、ロック部材とこのロック部材に当接してロック状態を切換え操作する係止部材とが摺動する摺動構造体)等のように、摺動面間に比較的高い面圧が繰り返して作用するような構造体に対しても適用可能である。また、3つ以上の部材が互いに滑りを伴って相対運動(摺動)を行う摺動構造体を適用してもよい。
また、摺動構造体を構成する部材は非鉄金属材料より成るものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】リクライナ装置の内部構造を表した正面図である。
【図2】潤滑剤の含有する成分を表した図表である。
【図3】各潤滑剤に含まれる固体潤滑剤の性質を表した図表である。
【図4】一般特性試験の測定結果を表した図表である。
【図5】潤滑性能試験の試験機の概略構成を表した正面図である。
【図6】潤滑性能試験の測定結果を表した図表である。
【図7】リングの回転サイクル数と摺動面間に発生する滑り摩擦抵抗の静摩擦係数との関係を表したグラフである。
【図8】潤滑剤の評価結果をまとめた図表である。
【符号の説明】
【0023】
10 リクライナ装置
11 ポール
11a 摺動面
12 ガイド
12a 摺動面
20 試験機
21 リング
21a 摺動面
22 ブロック
22a 摺動面
A 潤滑剤
B 潤滑剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料より成る少なくとも2つの部材が互いに滑りを伴って相対運動を行う摺動構造体に供給され、該摺動構造体の摺動面間に生じる滑り摩擦抵抗を低減する潤滑剤であって、
前記摺動構造体の少なくとも2つの部材とモース硬度が同じであるか或いは1低い白色固体潤滑剤を含有することを特徴とする潤滑剤。
【請求項2】
請求項1に記載の潤滑剤であって、
前記摺動構造体の少なくとも2つの部材は鉄鋼材料より成ることを特徴とする潤滑剤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の潤滑剤であって、
前記白色固体潤滑剤は軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする潤滑剤。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の潤滑剤であって、
前記摺動構造体は、車両用シートのリクライニング機構を構成するリクライナ装置であり、
前記潤滑剤によって、前記リクライナ装置のリクライニング回動を許容した解除状態と規制した噛合ロック状態とに切り換えるべく進退動するポールと、該ポールを進退動可能に保持するガイドと、の摺動面間に生じる滑り摩擦抵抗が低減されることを特徴とする潤滑剤。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−39555(P2007−39555A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225355(P2005−225355)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(592065058)エスティーティー株式会社 (14)
【Fターム(参考)】