濁水処理装置
【課題】 宅地分譲地等の整地現場等において発生した濁水を清水にする濁水処理装置において、現場の地形を利用することにより安価で、かつ作業を簡単にする。
【解決手段】 10は濁水を貯溜する濁水貯溜槽、20は濁水貯溜槽10に貯溜された濁水を搬送する濁水搬送部、30は濁水搬送部20より導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌する攪拌・混合槽、40は攪拌・混合槽の凝集剤が混合された凝集剤混合濁水を流す攪拌管、50は攪拌管40から導入された凝集剤混合濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽、60は凝集物沈殿槽50の凝集物が沈殿した濁水中の凝集物を漉すフィルター水路、70はフィルター水路60から導入された清水を貯溜する清水槽である。
【解決手段】 10は濁水を貯溜する濁水貯溜槽、20は濁水貯溜槽10に貯溜された濁水を搬送する濁水搬送部、30は濁水搬送部20より導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌する攪拌・混合槽、40は攪拌・混合槽の凝集剤が混合された凝集剤混合濁水を流す攪拌管、50は攪拌管40から導入された凝集剤混合濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽、60は凝集物沈殿槽50の凝集物が沈殿した濁水中の凝集物を漉すフィルター水路、70はフィルター水路60から導入された清水を貯溜する清水槽である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅地分譲地等の整地現場、土地造成、トンネル工事、土木工事,建築工事等において発生した濁水を清水にする濁水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、山の斜面等を切り開いて宅地を造成する際、雨水、湧水等により造成地現場に土、砂等の微細粒子が分散した濁水が発生するものであった。このような濁水は廃棄しなければならないが、そのまま廃棄すると河川を汚染して自然環境を破壊することとなるので、濁水を清水と、土、砂等の微細粒子の凝集物に分離し、凝集物を回収するとともに、清水を廃棄する作業が必要であった。
【0003】
従来、このような整地現場に発生した濁水を除去するには、一括処理方式としてのプラント型が用いられていた。すなわち、整地現場に攪拌凝集槽を設置し、この攪拌凝集槽に濁水を導入するとともに、凝集剤を混入することにより、濁水中の微細な泥土等を凝集、沈下させて、微細な泥土等からなる凝集物と、清水とに分離し、それぞれ廃棄していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−216305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のプラント型の濁水の処理方法においては、攪拌凝集槽等のプラント装置を製造しなければならず高価となり、また、現場にプラント装置を設置しなければならず、かつプラント装置に濁水を導入しなければならないので作業が煩雑なものであった。
【0006】
本発明は、以上の問題点を解決し、現場の地形を利用することにより安価で、かつ作業が簡単な濁水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の濁水処理装置は、地面に構築され濁水を貯溜する濁水貯溜槽と、該濁水貯溜槽から導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌して凝集剤混入濁水を生成する攪拌・混合槽と、該濁水貯溜槽から攪拌・混合槽へ濁水を送る濁水搬送部と、該攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽とを有することを特徴として構成されている。
【0008】
請求項2に記載の濁水処理装置は、地面に構築され濁水を貯溜する濁水貯溜槽と、該該濁水貯溜槽から導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌して凝集剤混入濁水を生成する攪拌・混合槽と、該攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽とを有し、前記攪拌・混合槽が地面に埋設して設けられ、前記濁水貯溜槽が攪拌・混合槽より高い位置に設けられるとともに、前記凝集物沈殿槽が攪拌・混合槽より低い位置に設けられ、濁水貯溜槽より濁水が自重により攪拌・混合槽に流入するとともに、攪拌混合槽より凝集剤混入濁水が自重により凝集物沈殿槽に流入することを特徴として構成されている。
【0009】
請求項3に記載の濁水処理装置は、請求項1又は2の濁水処理装置において、前記攪拌・混合槽と凝集物沈殿槽との間に、攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を攪拌する攪拌管が設けられたことを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の濁水処理装置においては、濁水貯溜槽に整地現場で発生した濁水を貯溜し、濁水中の砂等を沈下させる。次に、この砂等を沈下させた濁水を濁水搬送部で攪拌・混合槽に導入し、この濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌し、濁水と凝集剤とを略均一に混合する。この凝集剤が混入した凝集剤混合濁水は凝集物沈殿槽に導入され、凝集物沈殿槽において微細粒子が凝集、沈下し、清水を得ることができる。また、濁水貯溜槽、攪拌・混合槽及び凝集沈殿槽を分散して配置することができるので、従来困難とされていた地形(例えば、プラント装置を設置するスペースが無い地形)においても対応することができ、さらに、攪拌・混合槽のみ製造・設置するものであるので、安価で、作業が簡単なものである。さらにまた、地形の都合上、一箇所に集水できない場合であっても、攪拌・混合槽を複数設置することにより、あらゆる方向に流れる濁水を処理することができる。
【0011】
請求項2に記載の濁水処理装置においては、濁水貯溜槽に整地現場で発生した濁水を貯溜する。濁水貯溜槽が攪拌・混合槽より高い位置に設けられているので、濁水貯溜槽に導入された濁水は、その自重により攪拌・混合槽に流入し、また、凝集物沈殿槽が攪拌・混合槽より低い位置に設けられているので、攪拌・混合槽の凝集剤混合濁水は、その自重により凝集沈殿槽に流入する。したがって、ポンプ等の装置を設けることなく、自然の地形を利用することにより、濁水を濁水貯溜槽から凝集物沈殿槽へ流し込むことができる。また、濁水貯溜槽、攪拌・混合槽及び凝集沈殿槽を分散して配置することができるので、従来困難とされていた地形(例えば、プラント装置を設置するスペースが無い地形)においても対応することができ、さらに、攪拌・混合槽のみ製造・設置するものであるので、安価で、作業が簡単なものである。さらにまた、地形の都合上、一箇所に集水できない場合であっても、攪拌・混合槽を複数設置することにより、あらゆる方向に流れる濁水を処理することができる。
【0012】
請求項3記載の濁水処理装置においては、攪拌・混合槽と凝集物沈殿槽との間に設けた攪拌管において凝集剤混合濁水を攪拌するので、より均一に混合し凝集反応を促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による濁水処理装置は、濁水貯溜槽と、攪拌・混合槽と、凝集物沈殿槽とを有しており、濁水貯溜槽及び凝集物沈殿槽は現場において最適な個所に構築することができ、その形状、容量等は適宜最適なものを選択する。攪拌・混合槽は、予め製造したものを現場の最適な個所に設置する。また、攪拌・混合槽に用いる凝集剤は、特に限定されること無く、従来用いられるものを使用することができる。
【0014】
本発明(請求項1)による濁水処理装置の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は濁水処理装置の概略平面図、図2は濁水処理装置の概略側面図である。
【0016】
図1及び図2において、10は濁水を貯溜する濁水貯溜槽、20は濁水貯溜槽10に貯溜された濁水を搬送する濁水搬送部、30は濁水搬送部20より導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌する攪拌・混合槽、40は攪拌・混合槽の凝集剤が混合された凝集剤混合濁水を流す攪拌管、50は攪拌管40から導入された凝集剤混合濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽、60は凝集物沈殿槽50の凝集物が沈殿した濁水中の凝集物を漉すフィルター水路、70はフィルター水路60から導入された清水を貯溜する清水槽である。なお、濁水貯溜槽10と攪拌・混合槽30とは近接した状態で示してあるが、現場の地形に応じて良好な位置に配置するものである。
【0017】
濁水貯溜槽10は整地現場の地面1に構築されており、その側面に下方から第1フロースイッチ11、第2フロースイッチ12及び第3フロースイッチ13が設けられている。第1フロースイッチ11は濁水の水面が当該位置になった時ポンプを停止させるものであり、第2フロースイッチ12は濁水の水面が当該位置になった時ポンプを駆動させるものであり、第3フロースイッチ13は濁水の水面が当該位置になった時装置全体を停止させるものであり、これら第1フロースイッチ11、第2フロースイッチ12及び第3フロースイッチ13は、制御盤(図示せず)に接続され、制御盤によりポンプ等を制御している。
【0018】
また、濁水貯溜槽10の一端の上部には濁水流入水路14が設けられており、この濁水流入水路14より整地現場に発生した濁水を濁水貯溜槽10に導入している。なお、15は濁水貯溜槽10からオーバーフローした濁水を凝集沈殿槽50に直接流し込むためのオーバーフロー水路である。
【0019】
濁水搬送部20は、搬送管21が濁水貯溜槽10と攪拌・混合槽30との間に設けられている。この搬送管21の濁水貯溜槽10側の端部には濁水を攪拌・混合槽30へ送り込む水中ポンプ22が連結され、また中間部には濁水の流量を検出する電磁流量計23及び濁水の流量を調整するバルブ24が設けられている。
【0020】
攪拌・混合槽30は、濁水の流れ方向に4つの攪拌・混合部31a、31b、31c、31dに区分され、最も上流側の攪拌・混合部31aの上面に凝集剤供給部32が設けられている。
【0021】
攪拌・混合部31は区分板33a、33b、33cにより区分されており、区分板33aは先端が底手前に位置して攪拌・混合部31aと攪拌・混合部31bとが下方において連通した状態となり、区分板33bは先端が天面手前に位置して攪拌・混合部31bと攪拌・混合部31cとが上方において連通した状態となり、区分板33cは先端が底手前に位置して攪拌・混合部31cと攪拌・混合部31dとが下方において連通した状態となっている。したがって、濁水は攪拌・混合槽30において上下動を繰り返して搬送されるようになっている。
【0022】
また、各攪拌・混合部31には、巻上翼34及び攪拌翼35が設けられ、これら巻上翼34及び攪拌翼35は回転軸36を介してモータ37に連結され、回転自在となっている。
【0023】
攪拌管40は、最下流側の攪拌・混合部31dに連通する導入管41を介して設けられている。この導入管40の内部には、濁水の流れ方向と直角方向において、左右交互に攪拌板42が複数設けられ、攪拌管40の内部を通過する凝集剤混合濁水が左右方向に蛇行しながら流れるようになっている。
【0024】
凝集物沈殿槽50は攪拌管40の先端に位置し、地面1に構築されたものである。この凝集物沈殿槽50の略上面に位置して前記フィルター水路60が設けられており、このフィルター水路60には凝集物を漉すための複数のフィルター61が設けられている。そして、フィルター水路60の他端部に前記清水槽70が設けられ、この清水槽70も地面1に構築されたものである。
【0025】
以上のような濁水処理装置で濁水を処理するには、濁水流入水路14を介して濁水が濁水貯溜槽10に流入する。濁水が流入し水面が上昇し第2フロースイッチ12に達しオンすると、水中ポンプ22が駆動して濁水を攪拌・混合槽30へ送り込むとともに、凝集剤供給部32が駆動して凝集剤を攪拌・混合部31aへ供給し、さらにモータ36を駆動させて巻上翼34及び攪拌翼35を回転させる。この時、濁水の流量を電磁流量計23で検出し、この流量に対応して凝集剤供給部32による凝集剤の供給量を制御する。さらに、所定の流量となるようにバルブ24で調整する。
【0026】
また、何らかの原因で濁水流入水路14からの濁水の流量が減少し、その水面が第1フロースイッチ11まで降下すると、第1フロースイッチ11がオンし水中ポンプ22等の駆動を停止させ、さらに、濁水の流量が増加し、その水面が第3フロースイッチ13まで上昇すると、第3フロースイッチ13がオンし水中ポンプ22等の駆動を停止させる。
【0027】
濁水貯溜槽10から攪拌・混合槽30に送られた濁水は、まず攪拌・混合部31aに導入され、凝集剤が混入される。そして、上下に蛇行しながら攪拌・混合部31b、31c、31dを通過するとともに、その際、巻上翼34で上方へ巻上られ、さらに攪拌翼35で攪拌されるので、急速に凝集剤が濁水中に均一に混合され、凝集反応が促進される。
【0028】
こうして凝集剤が均一に混合された凝集剤混合濁水は攪拌・混合槽30から攪拌管40に送られる。凝集剤混合濁水は攪拌管40において攪拌板42に遮られて左右に蛇行して流れるので、さらに攪拌・混合されるとともに、凝集反応が促進される。
【0029】
攪拌管40から凝集剤混合濁水が凝集物沈殿槽50に送られ、この凝集物沈殿槽50において凝集物を沈殿させ、その上澄みの部分をフィルター水路60を介して清水槽70に送る。この時、上澄み部分の凝集物(一時的に大量の濁水を処理した場合等)はフィルター61で除去されるので、清水のみが清水槽70に送られる。
【0030】
こうして濁水処理作業を続け、凝集沈殿槽50が凝集物により一杯になった場合は、攪拌管40を清水槽70に配置し、一時的に清水槽70を凝集沈殿槽として使用し、その間に凝集沈殿槽50の凝集物をユンボ、バキューム等で排出する。
【0031】
本発明(請求項2)による濁水処理装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
図3濁水処理装置の概略平面図、図4は濁水処理装置の概略側面図である。
【0033】
図3及び図4において、110は濁水を貯溜する濁水貯溜槽、120は濁水貯溜槽110に貯溜された濁水を流す濁水搬送路、130は濁水搬送路120より導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌する攪拌・混合槽、140は攪拌・混合槽の凝集剤が混合された凝集剤混合濁水を流す攪拌管、150は攪拌管140から導入された凝集剤混合濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽、160は凝集物沈殿槽150の凝集物が沈殿した濁水中の凝集物を漉すフィルター水路、170はフィルター水路160から導入された清水を貯溜する清水槽である。
【0034】
前記濁水貯溜槽110、濁水搬送路120、凝集沈殿槽150及び清水槽170は整地現場の地面1に構築されており、また、攪拌・混合槽130及び攪拌管140は地面に埋設された状態で設置されている。そして、攪拌・混合槽130より濁水貯溜槽110及び濁水搬送路120が高い位置に設けられるとともに、凝集沈殿槽150が攪拌・混合槽130より低い位置に設けられている。すなわち、濁水貯溜槽110、濁水搬送路120、攪拌・混合槽130、攪拌管140及び凝集沈殿槽150の順に少しの勾配(1/100)をもって配置され、濁水貯溜槽110から凝集沈殿槽150へ濁水が自重により流れるようになっている。なお、濁水貯溜槽110と攪拌・混合槽130とは近接した状態で示してあるが、現場の地形に応じて良好な位置に配置するものである。
【0035】
濁水貯溜槽110は、一端の上部には濁水流入水路111が設けられており、この濁水流入水路111より整地現場に発生した濁水を濁水貯溜槽110に導入している。なお、112は濁水貯溜槽10からオーバーフローした濁水を凝集沈殿槽50に直接流し込むためのオーバーフロー管である。
【0036】
濁水搬送路120は、その中間において開水路流量計121が設けられ、濁水の流量を検出できるようになっている。また、開水路流量計121は制御盤122に接続され、制御盤122により検出した流量に応じて凝集剤の投入量を制御するようになっている。
【0037】
攪拌・混合槽130は、濁水の流れ方向に4つの攪拌・混合部131a、131b、131c、131dに区分され、最も上流側の攪拌・混合部131aの上面に凝集剤供給部132が設けられている。
【0038】
攪拌・混合部131は区分板133a、133b、133cにより区分されており、区分板133aは先端が底手前に位置して攪拌・混合部131aと攪拌・混合部131bとが下方において連通した状態となり、区分板133bは先端が天面手前に位置して攪拌・混合部131bと攪拌・混合部131cとが上方において連通した状態となり、区分板133cは先端が底手前に位置して攪拌・混合部131cと攪拌・混合部131dとが下方において連通した状態となっている。したがって、濁水は攪拌・混合槽130において上下動を繰り返して搬送されるようになっている。
【0039】
また、各攪拌・混合部131には、巻上翼134及び攪拌翼135が設けられ、これら巻上翼134及び1攪拌翼35は回転軸136を介してモータ137に連結され、回転自在となっている。
【0040】
攪拌管140は、最下流側の攪拌・混合部131dに連結されており、この導入管140の内部には、濁水の流れ方向と直角方向において、左右交互に攪拌板141が複数設けられ、攪拌管140の内部を通過する凝集剤混合濁水が左右方向に蛇行しながら流れるようになっている。
【0041】
凝集物沈殿槽150は攪拌管140の先端に位置し、地面1に構築されたものである。この凝集物沈殿槽150の略上面に位置して前記フィルター水路160が設けられており、このフィルター水路160には凝集物を漉すための複数のフィルター161が設けられている。そして、フィルター水路160の他端部に前記清水槽170が設けられ、この清水槽170も地面1に構築されたものである。
【0042】
以上のような濁水処理装置で濁水を処理するには、濁水流入水路111を介して濁水が濁水貯溜槽110に流入する。流入した濁水が貯溜されて行き、その水面が濁水搬送路120より上昇すると、濁水搬送路120は水面より低い位置となるので、濁水は濁水搬送路120に流入して行く。この時、濁水の流量を開水路流量計121で検出し、この流量に対応して凝集剤供給部132による凝集剤の供給量を制御する。
【0043】
濁水搬送路120から攪拌・混合槽130に送られた濁水は、まず攪拌・混合部131aに導入され、凝集剤が混入される。そして、上下に蛇行しながら攪拌・混合部131b、131c、131dを通過するとともに、その際、巻上翼134で上方へ巻上られ、さらに攪拌翼135で攪拌されるので、急速に凝集剤が濁水中に均一に混合され、凝集反応が促進される。
【0044】
こうして凝集剤が均一に混合された凝集剤混合濁水は攪拌・混合槽30から攪拌管140に流入する。凝集剤混合濁水は攪拌管140において攪拌板142に遮られて左右に蛇行して流れるので、さらに攪拌・混合されるとともに、凝集反応が促進される。
【0045】
攪拌管140から凝集剤混合濁水が凝集物沈殿槽150に流入し、この凝集物沈殿槽150において凝集物を沈殿させ、その上澄みの部分をフィルター水路160を介して清水槽170に送る。この時、上澄み部分の水が含んでいる凝集物(一時的に大量の濁水を処理した場合等)はフィルター161で除去されるので、清水のみが清水槽170に送られる。
【0046】
こうして濁水処理作業を続け、凝集沈殿槽150が凝集物により一杯になった場合は、攪拌管140を清水槽170に配置し、一時的に清水槽170を凝集沈殿槽150をして使用し、その間に凝集沈殿槽150の凝集物をユンボ、バキューム等で排出する。
【0047】
本発明(請求項1)による濁水処理装置の第3の実施形態を図5及び図6を参照して説明する。この実施形態は、凝集物沈殿槽を地面に構築したものではなく、タンクを用いたものである。
【0048】
図5は濁水処理装置の概略平面図、図6は濁水処理装置の概略側面図である。
【0049】
図5及び図6において、200は凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽としての凝集物沈殿タンク、210は清水槽としての清水タンクであり、これらのタンクは現場において製作するか、または製作したものを設置するものである。この第2の実施形態は、第1の実施形態のように地面に構築する必要がないので、地面に凝集物沈殿槽を構築できないような現場においても実施することができる。
【0050】
なお、濁水貯溜槽10、濁水搬送部20、攪拌・混合槽30は、第1の実施形態と同様に構成されており、濁水貯溜槽10には、第1フロースイッチ11、第2フロースイッチ12及び第3フロースイッチ、濁水流入水路14が設けられており、濁水搬送部20には、搬送管21、水中ポンプ22、電磁流量計23、バルブ24が設けられており、攪拌・混合槽30には、攪拌・混合部31、凝集剤供給部32、区分板33、巻上翼34、攪拌翼35、回転軸36、モータ37が設けられており、また凝集沈殿タンク200に濁水を供給できるように架台38に載置されている。
【0051】
また、220は攪拌・混合槽30の凝集剤が混合された凝集剤混合濁水を凝集物沈殿タンク200に導入する導入管、230は、凝集物沈殿タンク200の清水を清水タンク210に導入する清水導入管である。
【0052】
本発明(請求項1)による濁水処理装置の第4の実施形態を図7及び図8を参照して説明する。この第4の実施形態は、第3の実施形態において、濁水搬送部20に予備タンクを設けたものであり、濁水を安定的に供給できるようにしたものである。
【0053】
図7及び図8において、250は濁水搬送部で、この濁水搬送部250には予備タンク251が設けられている。予備タンク251内部には、第1フロースイッチ252、第2フロースイッチ253及び第3フロースイッチ254が設けられるとともに水中ポンプ255が設けられ、第1の実施形態と同様に、制御盤(図示せず)に接続され、制御盤により水中ポンプ255等を制御している。この濁水搬送部250において、256は搬送管、257は水中ポンプ、258は電磁流量計、259はバルブである。
【0054】
なお、濁水処理槽10は、第1の実施形態においてフロースイッチを設けていない他は同様に構成されており、凝集物沈殿タンク200、清水タンク210、導入管220、清水導入管230は、第2の実施形態と同様に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による濁水処理装置の一実施形態の概略平面図
【図2】本発明による濁水処理装置の一実施形態の概略側面図
【図3】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略平面図
【図4】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略側面図
【図5】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略平面図
【図6】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略側面図
【図7】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略平面図
【図8】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略側面図
【符号の説明】
【0056】
10、110…濁水貯溜槽
20…濁水搬送部
30、130…攪拌・混合槽
40、140…攪拌管
50、150、200…凝集沈殿槽
60、160…フィルター水路
70、170、210…清水槽
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅地分譲地等の整地現場、土地造成、トンネル工事、土木工事,建築工事等において発生した濁水を清水にする濁水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、山の斜面等を切り開いて宅地を造成する際、雨水、湧水等により造成地現場に土、砂等の微細粒子が分散した濁水が発生するものであった。このような濁水は廃棄しなければならないが、そのまま廃棄すると河川を汚染して自然環境を破壊することとなるので、濁水を清水と、土、砂等の微細粒子の凝集物に分離し、凝集物を回収するとともに、清水を廃棄する作業が必要であった。
【0003】
従来、このような整地現場に発生した濁水を除去するには、一括処理方式としてのプラント型が用いられていた。すなわち、整地現場に攪拌凝集槽を設置し、この攪拌凝集槽に濁水を導入するとともに、凝集剤を混入することにより、濁水中の微細な泥土等を凝集、沈下させて、微細な泥土等からなる凝集物と、清水とに分離し、それぞれ廃棄していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−216305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のプラント型の濁水の処理方法においては、攪拌凝集槽等のプラント装置を製造しなければならず高価となり、また、現場にプラント装置を設置しなければならず、かつプラント装置に濁水を導入しなければならないので作業が煩雑なものであった。
【0006】
本発明は、以上の問題点を解決し、現場の地形を利用することにより安価で、かつ作業が簡単な濁水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の濁水処理装置は、地面に構築され濁水を貯溜する濁水貯溜槽と、該濁水貯溜槽から導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌して凝集剤混入濁水を生成する攪拌・混合槽と、該濁水貯溜槽から攪拌・混合槽へ濁水を送る濁水搬送部と、該攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽とを有することを特徴として構成されている。
【0008】
請求項2に記載の濁水処理装置は、地面に構築され濁水を貯溜する濁水貯溜槽と、該該濁水貯溜槽から導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌して凝集剤混入濁水を生成する攪拌・混合槽と、該攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽とを有し、前記攪拌・混合槽が地面に埋設して設けられ、前記濁水貯溜槽が攪拌・混合槽より高い位置に設けられるとともに、前記凝集物沈殿槽が攪拌・混合槽より低い位置に設けられ、濁水貯溜槽より濁水が自重により攪拌・混合槽に流入するとともに、攪拌混合槽より凝集剤混入濁水が自重により凝集物沈殿槽に流入することを特徴として構成されている。
【0009】
請求項3に記載の濁水処理装置は、請求項1又は2の濁水処理装置において、前記攪拌・混合槽と凝集物沈殿槽との間に、攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を攪拌する攪拌管が設けられたことを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の濁水処理装置においては、濁水貯溜槽に整地現場で発生した濁水を貯溜し、濁水中の砂等を沈下させる。次に、この砂等を沈下させた濁水を濁水搬送部で攪拌・混合槽に導入し、この濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌し、濁水と凝集剤とを略均一に混合する。この凝集剤が混入した凝集剤混合濁水は凝集物沈殿槽に導入され、凝集物沈殿槽において微細粒子が凝集、沈下し、清水を得ることができる。また、濁水貯溜槽、攪拌・混合槽及び凝集沈殿槽を分散して配置することができるので、従来困難とされていた地形(例えば、プラント装置を設置するスペースが無い地形)においても対応することができ、さらに、攪拌・混合槽のみ製造・設置するものであるので、安価で、作業が簡単なものである。さらにまた、地形の都合上、一箇所に集水できない場合であっても、攪拌・混合槽を複数設置することにより、あらゆる方向に流れる濁水を処理することができる。
【0011】
請求項2に記載の濁水処理装置においては、濁水貯溜槽に整地現場で発生した濁水を貯溜する。濁水貯溜槽が攪拌・混合槽より高い位置に設けられているので、濁水貯溜槽に導入された濁水は、その自重により攪拌・混合槽に流入し、また、凝集物沈殿槽が攪拌・混合槽より低い位置に設けられているので、攪拌・混合槽の凝集剤混合濁水は、その自重により凝集沈殿槽に流入する。したがって、ポンプ等の装置を設けることなく、自然の地形を利用することにより、濁水を濁水貯溜槽から凝集物沈殿槽へ流し込むことができる。また、濁水貯溜槽、攪拌・混合槽及び凝集沈殿槽を分散して配置することができるので、従来困難とされていた地形(例えば、プラント装置を設置するスペースが無い地形)においても対応することができ、さらに、攪拌・混合槽のみ製造・設置するものであるので、安価で、作業が簡単なものである。さらにまた、地形の都合上、一箇所に集水できない場合であっても、攪拌・混合槽を複数設置することにより、あらゆる方向に流れる濁水を処理することができる。
【0012】
請求項3記載の濁水処理装置においては、攪拌・混合槽と凝集物沈殿槽との間に設けた攪拌管において凝集剤混合濁水を攪拌するので、より均一に混合し凝集反応を促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による濁水処理装置は、濁水貯溜槽と、攪拌・混合槽と、凝集物沈殿槽とを有しており、濁水貯溜槽及び凝集物沈殿槽は現場において最適な個所に構築することができ、その形状、容量等は適宜最適なものを選択する。攪拌・混合槽は、予め製造したものを現場の最適な個所に設置する。また、攪拌・混合槽に用いる凝集剤は、特に限定されること無く、従来用いられるものを使用することができる。
【0014】
本発明(請求項1)による濁水処理装置の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は濁水処理装置の概略平面図、図2は濁水処理装置の概略側面図である。
【0016】
図1及び図2において、10は濁水を貯溜する濁水貯溜槽、20は濁水貯溜槽10に貯溜された濁水を搬送する濁水搬送部、30は濁水搬送部20より導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌する攪拌・混合槽、40は攪拌・混合槽の凝集剤が混合された凝集剤混合濁水を流す攪拌管、50は攪拌管40から導入された凝集剤混合濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽、60は凝集物沈殿槽50の凝集物が沈殿した濁水中の凝集物を漉すフィルター水路、70はフィルター水路60から導入された清水を貯溜する清水槽である。なお、濁水貯溜槽10と攪拌・混合槽30とは近接した状態で示してあるが、現場の地形に応じて良好な位置に配置するものである。
【0017】
濁水貯溜槽10は整地現場の地面1に構築されており、その側面に下方から第1フロースイッチ11、第2フロースイッチ12及び第3フロースイッチ13が設けられている。第1フロースイッチ11は濁水の水面が当該位置になった時ポンプを停止させるものであり、第2フロースイッチ12は濁水の水面が当該位置になった時ポンプを駆動させるものであり、第3フロースイッチ13は濁水の水面が当該位置になった時装置全体を停止させるものであり、これら第1フロースイッチ11、第2フロースイッチ12及び第3フロースイッチ13は、制御盤(図示せず)に接続され、制御盤によりポンプ等を制御している。
【0018】
また、濁水貯溜槽10の一端の上部には濁水流入水路14が設けられており、この濁水流入水路14より整地現場に発生した濁水を濁水貯溜槽10に導入している。なお、15は濁水貯溜槽10からオーバーフローした濁水を凝集沈殿槽50に直接流し込むためのオーバーフロー水路である。
【0019】
濁水搬送部20は、搬送管21が濁水貯溜槽10と攪拌・混合槽30との間に設けられている。この搬送管21の濁水貯溜槽10側の端部には濁水を攪拌・混合槽30へ送り込む水中ポンプ22が連結され、また中間部には濁水の流量を検出する電磁流量計23及び濁水の流量を調整するバルブ24が設けられている。
【0020】
攪拌・混合槽30は、濁水の流れ方向に4つの攪拌・混合部31a、31b、31c、31dに区分され、最も上流側の攪拌・混合部31aの上面に凝集剤供給部32が設けられている。
【0021】
攪拌・混合部31は区分板33a、33b、33cにより区分されており、区分板33aは先端が底手前に位置して攪拌・混合部31aと攪拌・混合部31bとが下方において連通した状態となり、区分板33bは先端が天面手前に位置して攪拌・混合部31bと攪拌・混合部31cとが上方において連通した状態となり、区分板33cは先端が底手前に位置して攪拌・混合部31cと攪拌・混合部31dとが下方において連通した状態となっている。したがって、濁水は攪拌・混合槽30において上下動を繰り返して搬送されるようになっている。
【0022】
また、各攪拌・混合部31には、巻上翼34及び攪拌翼35が設けられ、これら巻上翼34及び攪拌翼35は回転軸36を介してモータ37に連結され、回転自在となっている。
【0023】
攪拌管40は、最下流側の攪拌・混合部31dに連通する導入管41を介して設けられている。この導入管40の内部には、濁水の流れ方向と直角方向において、左右交互に攪拌板42が複数設けられ、攪拌管40の内部を通過する凝集剤混合濁水が左右方向に蛇行しながら流れるようになっている。
【0024】
凝集物沈殿槽50は攪拌管40の先端に位置し、地面1に構築されたものである。この凝集物沈殿槽50の略上面に位置して前記フィルター水路60が設けられており、このフィルター水路60には凝集物を漉すための複数のフィルター61が設けられている。そして、フィルター水路60の他端部に前記清水槽70が設けられ、この清水槽70も地面1に構築されたものである。
【0025】
以上のような濁水処理装置で濁水を処理するには、濁水流入水路14を介して濁水が濁水貯溜槽10に流入する。濁水が流入し水面が上昇し第2フロースイッチ12に達しオンすると、水中ポンプ22が駆動して濁水を攪拌・混合槽30へ送り込むとともに、凝集剤供給部32が駆動して凝集剤を攪拌・混合部31aへ供給し、さらにモータ36を駆動させて巻上翼34及び攪拌翼35を回転させる。この時、濁水の流量を電磁流量計23で検出し、この流量に対応して凝集剤供給部32による凝集剤の供給量を制御する。さらに、所定の流量となるようにバルブ24で調整する。
【0026】
また、何らかの原因で濁水流入水路14からの濁水の流量が減少し、その水面が第1フロースイッチ11まで降下すると、第1フロースイッチ11がオンし水中ポンプ22等の駆動を停止させ、さらに、濁水の流量が増加し、その水面が第3フロースイッチ13まで上昇すると、第3フロースイッチ13がオンし水中ポンプ22等の駆動を停止させる。
【0027】
濁水貯溜槽10から攪拌・混合槽30に送られた濁水は、まず攪拌・混合部31aに導入され、凝集剤が混入される。そして、上下に蛇行しながら攪拌・混合部31b、31c、31dを通過するとともに、その際、巻上翼34で上方へ巻上られ、さらに攪拌翼35で攪拌されるので、急速に凝集剤が濁水中に均一に混合され、凝集反応が促進される。
【0028】
こうして凝集剤が均一に混合された凝集剤混合濁水は攪拌・混合槽30から攪拌管40に送られる。凝集剤混合濁水は攪拌管40において攪拌板42に遮られて左右に蛇行して流れるので、さらに攪拌・混合されるとともに、凝集反応が促進される。
【0029】
攪拌管40から凝集剤混合濁水が凝集物沈殿槽50に送られ、この凝集物沈殿槽50において凝集物を沈殿させ、その上澄みの部分をフィルター水路60を介して清水槽70に送る。この時、上澄み部分の凝集物(一時的に大量の濁水を処理した場合等)はフィルター61で除去されるので、清水のみが清水槽70に送られる。
【0030】
こうして濁水処理作業を続け、凝集沈殿槽50が凝集物により一杯になった場合は、攪拌管40を清水槽70に配置し、一時的に清水槽70を凝集沈殿槽として使用し、その間に凝集沈殿槽50の凝集物をユンボ、バキューム等で排出する。
【0031】
本発明(請求項2)による濁水処理装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
図3濁水処理装置の概略平面図、図4は濁水処理装置の概略側面図である。
【0033】
図3及び図4において、110は濁水を貯溜する濁水貯溜槽、120は濁水貯溜槽110に貯溜された濁水を流す濁水搬送路、130は濁水搬送路120より導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌する攪拌・混合槽、140は攪拌・混合槽の凝集剤が混合された凝集剤混合濁水を流す攪拌管、150は攪拌管140から導入された凝集剤混合濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽、160は凝集物沈殿槽150の凝集物が沈殿した濁水中の凝集物を漉すフィルター水路、170はフィルター水路160から導入された清水を貯溜する清水槽である。
【0034】
前記濁水貯溜槽110、濁水搬送路120、凝集沈殿槽150及び清水槽170は整地現場の地面1に構築されており、また、攪拌・混合槽130及び攪拌管140は地面に埋設された状態で設置されている。そして、攪拌・混合槽130より濁水貯溜槽110及び濁水搬送路120が高い位置に設けられるとともに、凝集沈殿槽150が攪拌・混合槽130より低い位置に設けられている。すなわち、濁水貯溜槽110、濁水搬送路120、攪拌・混合槽130、攪拌管140及び凝集沈殿槽150の順に少しの勾配(1/100)をもって配置され、濁水貯溜槽110から凝集沈殿槽150へ濁水が自重により流れるようになっている。なお、濁水貯溜槽110と攪拌・混合槽130とは近接した状態で示してあるが、現場の地形に応じて良好な位置に配置するものである。
【0035】
濁水貯溜槽110は、一端の上部には濁水流入水路111が設けられており、この濁水流入水路111より整地現場に発生した濁水を濁水貯溜槽110に導入している。なお、112は濁水貯溜槽10からオーバーフローした濁水を凝集沈殿槽50に直接流し込むためのオーバーフロー管である。
【0036】
濁水搬送路120は、その中間において開水路流量計121が設けられ、濁水の流量を検出できるようになっている。また、開水路流量計121は制御盤122に接続され、制御盤122により検出した流量に応じて凝集剤の投入量を制御するようになっている。
【0037】
攪拌・混合槽130は、濁水の流れ方向に4つの攪拌・混合部131a、131b、131c、131dに区分され、最も上流側の攪拌・混合部131aの上面に凝集剤供給部132が設けられている。
【0038】
攪拌・混合部131は区分板133a、133b、133cにより区分されており、区分板133aは先端が底手前に位置して攪拌・混合部131aと攪拌・混合部131bとが下方において連通した状態となり、区分板133bは先端が天面手前に位置して攪拌・混合部131bと攪拌・混合部131cとが上方において連通した状態となり、区分板133cは先端が底手前に位置して攪拌・混合部131cと攪拌・混合部131dとが下方において連通した状態となっている。したがって、濁水は攪拌・混合槽130において上下動を繰り返して搬送されるようになっている。
【0039】
また、各攪拌・混合部131には、巻上翼134及び攪拌翼135が設けられ、これら巻上翼134及び1攪拌翼35は回転軸136を介してモータ137に連結され、回転自在となっている。
【0040】
攪拌管140は、最下流側の攪拌・混合部131dに連結されており、この導入管140の内部には、濁水の流れ方向と直角方向において、左右交互に攪拌板141が複数設けられ、攪拌管140の内部を通過する凝集剤混合濁水が左右方向に蛇行しながら流れるようになっている。
【0041】
凝集物沈殿槽150は攪拌管140の先端に位置し、地面1に構築されたものである。この凝集物沈殿槽150の略上面に位置して前記フィルター水路160が設けられており、このフィルター水路160には凝集物を漉すための複数のフィルター161が設けられている。そして、フィルター水路160の他端部に前記清水槽170が設けられ、この清水槽170も地面1に構築されたものである。
【0042】
以上のような濁水処理装置で濁水を処理するには、濁水流入水路111を介して濁水が濁水貯溜槽110に流入する。流入した濁水が貯溜されて行き、その水面が濁水搬送路120より上昇すると、濁水搬送路120は水面より低い位置となるので、濁水は濁水搬送路120に流入して行く。この時、濁水の流量を開水路流量計121で検出し、この流量に対応して凝集剤供給部132による凝集剤の供給量を制御する。
【0043】
濁水搬送路120から攪拌・混合槽130に送られた濁水は、まず攪拌・混合部131aに導入され、凝集剤が混入される。そして、上下に蛇行しながら攪拌・混合部131b、131c、131dを通過するとともに、その際、巻上翼134で上方へ巻上られ、さらに攪拌翼135で攪拌されるので、急速に凝集剤が濁水中に均一に混合され、凝集反応が促進される。
【0044】
こうして凝集剤が均一に混合された凝集剤混合濁水は攪拌・混合槽30から攪拌管140に流入する。凝集剤混合濁水は攪拌管140において攪拌板142に遮られて左右に蛇行して流れるので、さらに攪拌・混合されるとともに、凝集反応が促進される。
【0045】
攪拌管140から凝集剤混合濁水が凝集物沈殿槽150に流入し、この凝集物沈殿槽150において凝集物を沈殿させ、その上澄みの部分をフィルター水路160を介して清水槽170に送る。この時、上澄み部分の水が含んでいる凝集物(一時的に大量の濁水を処理した場合等)はフィルター161で除去されるので、清水のみが清水槽170に送られる。
【0046】
こうして濁水処理作業を続け、凝集沈殿槽150が凝集物により一杯になった場合は、攪拌管140を清水槽170に配置し、一時的に清水槽170を凝集沈殿槽150をして使用し、その間に凝集沈殿槽150の凝集物をユンボ、バキューム等で排出する。
【0047】
本発明(請求項1)による濁水処理装置の第3の実施形態を図5及び図6を参照して説明する。この実施形態は、凝集物沈殿槽を地面に構築したものではなく、タンクを用いたものである。
【0048】
図5は濁水処理装置の概略平面図、図6は濁水処理装置の概略側面図である。
【0049】
図5及び図6において、200は凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽としての凝集物沈殿タンク、210は清水槽としての清水タンクであり、これらのタンクは現場において製作するか、または製作したものを設置するものである。この第2の実施形態は、第1の実施形態のように地面に構築する必要がないので、地面に凝集物沈殿槽を構築できないような現場においても実施することができる。
【0050】
なお、濁水貯溜槽10、濁水搬送部20、攪拌・混合槽30は、第1の実施形態と同様に構成されており、濁水貯溜槽10には、第1フロースイッチ11、第2フロースイッチ12及び第3フロースイッチ、濁水流入水路14が設けられており、濁水搬送部20には、搬送管21、水中ポンプ22、電磁流量計23、バルブ24が設けられており、攪拌・混合槽30には、攪拌・混合部31、凝集剤供給部32、区分板33、巻上翼34、攪拌翼35、回転軸36、モータ37が設けられており、また凝集沈殿タンク200に濁水を供給できるように架台38に載置されている。
【0051】
また、220は攪拌・混合槽30の凝集剤が混合された凝集剤混合濁水を凝集物沈殿タンク200に導入する導入管、230は、凝集物沈殿タンク200の清水を清水タンク210に導入する清水導入管である。
【0052】
本発明(請求項1)による濁水処理装置の第4の実施形態を図7及び図8を参照して説明する。この第4の実施形態は、第3の実施形態において、濁水搬送部20に予備タンクを設けたものであり、濁水を安定的に供給できるようにしたものである。
【0053】
図7及び図8において、250は濁水搬送部で、この濁水搬送部250には予備タンク251が設けられている。予備タンク251内部には、第1フロースイッチ252、第2フロースイッチ253及び第3フロースイッチ254が設けられるとともに水中ポンプ255が設けられ、第1の実施形態と同様に、制御盤(図示せず)に接続され、制御盤により水中ポンプ255等を制御している。この濁水搬送部250において、256は搬送管、257は水中ポンプ、258は電磁流量計、259はバルブである。
【0054】
なお、濁水処理槽10は、第1の実施形態においてフロースイッチを設けていない他は同様に構成されており、凝集物沈殿タンク200、清水タンク210、導入管220、清水導入管230は、第2の実施形態と同様に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による濁水処理装置の一実施形態の概略平面図
【図2】本発明による濁水処理装置の一実施形態の概略側面図
【図3】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略平面図
【図4】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略側面図
【図5】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略平面図
【図6】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略側面図
【図7】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略平面図
【図8】本発明による濁水処理装置の他の実施形態の概略側面図
【符号の説明】
【0056】
10、110…濁水貯溜槽
20…濁水搬送部
30、130…攪拌・混合槽
40、140…攪拌管
50、150、200…凝集沈殿槽
60、160…フィルター水路
70、170、210…清水槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に構築され濁水を貯溜する濁水貯溜槽と、該濁水貯溜槽から導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌して凝集剤混入濁水を生成する攪拌・混合槽と、該濁水貯溜槽から攪拌・混合槽へ濁水を送る濁水搬送部と、該攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽とを有することを特徴とする濁水処理装置。
【請求項2】
地面に構築され濁水を貯溜する濁水貯溜槽と、該濁水貯溜槽から導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌して凝集剤混入濁水を生成する攪拌・混合槽と、該攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽とを有し、前記攪拌・混合槽が地面に埋設して設けられ、前記濁水貯溜槽が攪拌・混合槽より高い位置に設けられるとともに、前記凝集物沈殿槽が攪拌・混合槽より低い位置に設けられ、濁水貯溜槽より濁水が自重により攪拌・混合槽に流入するとともに、攪拌混合槽より凝集剤混入濁水が自重により凝集物沈殿槽に流入することを特徴とする濁水処理装置。
【請求項3】
前記攪拌・混合槽と凝集物沈殿槽との間に、攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を攪拌する攪拌管が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の濁水処理装置。
【請求項1】
地面に構築され濁水を貯溜する濁水貯溜槽と、該濁水貯溜槽から導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌して凝集剤混入濁水を生成する攪拌・混合槽と、該濁水貯溜槽から攪拌・混合槽へ濁水を送る濁水搬送部と、該攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽とを有することを特徴とする濁水処理装置。
【請求項2】
地面に構築され濁水を貯溜する濁水貯溜槽と、該濁水貯溜槽から導入された濁水に凝集剤を混入するとともに攪拌して凝集剤混入濁水を生成する攪拌・混合槽と、該攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を貯溜し凝集物を沈殿させる凝集物沈殿槽とを有し、前記攪拌・混合槽が地面に埋設して設けられ、前記濁水貯溜槽が攪拌・混合槽より高い位置に設けられるとともに、前記凝集物沈殿槽が攪拌・混合槽より低い位置に設けられ、濁水貯溜槽より濁水が自重により攪拌・混合槽に流入するとともに、攪拌混合槽より凝集剤混入濁水が自重により凝集物沈殿槽に流入することを特徴とする濁水処理装置。
【請求項3】
前記攪拌・混合槽と凝集物沈殿槽との間に、攪拌・混合槽から導入された凝集剤混入濁水を攪拌する攪拌管が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の濁水処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−150297(P2006−150297A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347830(P2004−347830)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(504442193)有限会社 ネイティブ (2)
【出願人】(504442207)有限会社 ブレインシンフォニー (1)
【出願人】(504442218)株式会社 宮内電機 (1)
【出願人】(504442229)有限会社 中村環境工産 (1)
【出願人】(300051722)株式会社オオタ (1)
【出願人】(504442230)株式会社 伸和ベテック (1)
【出願人】(504442241)有限会社 伸浩技研 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(504442193)有限会社 ネイティブ (2)
【出願人】(504442207)有限会社 ブレインシンフォニー (1)
【出願人】(504442218)株式会社 宮内電機 (1)
【出願人】(504442229)有限会社 中村環境工産 (1)
【出願人】(300051722)株式会社オオタ (1)
【出願人】(504442230)株式会社 伸和ベテック (1)
【出願人】(504442241)有限会社 伸浩技研 (1)
【Fターム(参考)】
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