説明

灌液制御システムの制御方法および灌液制御システム

【課題】灌液量の損失を著しく減少させることができるとともに、日射量の増減による影響を考慮した上で含水率を制御して、植物を適切に発育させることができる灌液制御システムの制御方法および灌液制御システムを提供する。
【解決手段】内部に吸水布14及び植物を栽培する培地13が敷設された栽培容器10と、この培地に灌液する灌液器2と、栽培容器から流出した余剰液に浸かるように吸水布の一部が内在する貯留槽4とを有する栽培装置に備えられて、灌液器による上記培地への灌液を制御する灌液制御システムの制御方法として、非日照時間帯を除いて、貯留槽における上記余剰液量が減少したときに、灌液器を作動させて、灌液を行うとともに、午前の日照時間帯における植物に対する日射量が午前晴天基準値未満であった場合に、午後の日照時間帯における灌液器の作動を停止させる灌液制御システムの制御方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、人工培地で養液栽培している植物に対して、その蒸散量に見合った灌液を施すことにより、人工培地の含水率を調節する灌液制御システムの制御方法および灌液制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般に、上記灌液制御システムとして、日射量や人工培地の含水率に応じて灌水を施すものが知られており、前者の日射量に応じた灌液制御システムは、日射量と植物の蒸散量との間に相関関係があることを利用して、日射量が設定値に達すると、予め定めた時間或いは量の灌液を行うものである。
【0003】
また、後者の人工培地の含水率に応じて灌液を施す灌液制御システムは、例えば、人工培地が敷設されている栽培容器の下部に灌液の液溜まりを形成して、その液溜まり内の水位によって灌液するものである。換言すると、植物の蒸散によって人工培地が乾燥すると、人工培地に液溜まり内の養液が吸い上げられて水位が下がるため、水位が所定の灌液開始位置まで下がった段階で灌液を開始するとともに、所定の灌液停止位置まで上がった段階で灌液を停止するものである。
【0004】
これらの灌液制御システムによれば、上述のように灌液を施して、植物を栽培することにより、灌液量の損失を減少させることができる。
【0005】
しかしながら、前者の灌液制御システムは、人工培地の含水率を直接計測していないため、この日射量に基づいて、植物の種類や湿度条件、温度条件その他の設置条件など様々な条件を勘案して、植物の蒸散量を推定することにより、灌液量を調整する必要がある。
このため、この灌液制御システムを用いても、上述のように日射量のみによって蒸散量が定まるものでないことから、人工培地の含水率を調整することが困難であるだけでなく、蒸散量の推定による灌液量の調整を誤った場合には、灌液量が不足する、或いは過剰の灌液によって灌液量の損失が生じるといった欠点がある。その結果、灌液量の不足或いは過剰の灌液によって植物の根の発達が遅くなり、植物の発育に支障を来す場合もある。
【0006】
これに対して、後者の灌液制御システムは、人工培地の含水率を直接的に計測して、この含水率に応じて灌液を施すため、灌液量の損失が生じることを極力防止することができる。
しかしながら、そもそも灌液制御システムは、温度、湿度や日射量などによる影響を考慮した上で、人工培地の含水率を制御しなければ、特に、植物の育成を光合成によって活発にする日射量の増減による影響を考慮した上で、人工培地の含水率を制御しなければ、根の発達を促して、植物を適切に発育させることができないという問題がある。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献1がある。
【0007】
【特許文献1】特開昭63−24827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、灌液量の損失を著しく減少させることができるとともに、日射量の増減による影響を考慮した上で含水率を制御して、植物を適切に発育させることができる灌液制御システムの制御方法および灌液制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明に係る灌液制御システムの制御方法は、内部に吸水布が配設されるとともに、この吸水布の上部に植物を栽培する培地が敷設された栽培容器と、この培地に灌液する灌液器と、上記栽培容器に一体的に形成され、上記栽培容器から流出した余剰液が貯留されるとともに、この貯留された余剰液に浸かるように上記吸水布の一部を内在する貯留槽とを有する栽培装置に備えられて、上記灌液器による上記培地への灌液を制御する灌液制御システムの制御方法であって、夕方から夜間を経て日の出に至るまでの非日照時間帯を除いて、上記貯留槽における上記余剰液量が減少したときに、上記灌液器を作動させて、上記灌液を行うとともに、上記日の出後から正午までの午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午前晴天基準値未満であった場合に、上記正午から上記非日照時間帯前までの午後の日照時間帯における上記灌液器の作動を停止させることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の灌液制御システムの制御方法において、上記正午から日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する積算日射量が、晴天時の日射量に基づく基準値である午後晴天基準値未満であった場合に、上記日射量ピーク時刻以降の上記灌液器の作動を停止させることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の灌液制御システムの制御方法において、上記午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が上記午前晴天基準値未満であって、上記午後の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が、晴天に天候回復した場合の日射量に基づく基準値である天候回復基準値を超えたときに、上記灌液器の作動停止を解除するとともに、上記灌液器を作動させることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の灌液制御システムの制御方法において、上記培地の含水率が上記植物のしおれる恐れのある最低含水率基準値以下となったときに、上記灌液器を作動させることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の発明に係る灌液制御システムは、内部に吸水布が配設されるとともに、この吸水布の上部に植物を栽培する培地が敷設された栽培容器と、この培地に灌液する灌液器と、上記栽培容器に一体的に形成され、上記栽培容器から流出した余剰液が貯留されるとともに、この貯留された余剰液に浸かるように上記吸水布の一部を内在する貯留槽とを有する栽培装置に備えられて、上記灌液器による上記培地への灌液を制御する灌液制御システムであって、上記貯留槽における上記余剰液の水位を検出する水位検出器と、この水位検出器から上記余剰液量の減少を検知したときに、上記灌液器を作動させる灌液作動装置とを有する灌液作動手段と、この灌液作動装置の夕方から夜間を経て日の出前までの非日照時間帯における作動を停止させる夜間灌液停止手段と、上記植物に対する日照量を計測する日射量計測器と、この日射量計測器によって計測された上記日の出後から正午までの午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午前晴天基準値未満であった場合に、上記正午から上記非日照時間帯前までの午後の日照時間帯における上記灌液作動装置の作動を停止させ、かつ上記正午から晴天時に日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午後晴天基準値未満であった場合に、上記日射量ピーク時刻以降の上記灌液作動装置の作動を停止させる灌液作動制御装置とを有する天候不順灌液停止手段とが備えられていることを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の灌液制御システムにおいて、上記日射量計測器が太陽電池であることを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の灌液制御システムにおいて、上記灌液作動装置には、上記午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が、上記午前晴天基準値未満であって、上記午後の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が、晴天に天候回復した場合の日射量に基づく基準値である天候回復基準値を超えたときに、上記天候不順灌液停止手段による灌液作動装置の作動停止を解除するとともに、上記灌液器を作動させる第1の安全機構が備えられていることを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし7のいずれか一項に記載の灌液制御システムにおいて、上記灌液作動装置には、水分センサーによって計測された上記培地の含水率が植物のしおれる恐れのある最低含水率基準値以下となったときに、上記灌液器を作動させる第2の安全機構が備えられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜8に記載の灌液制御システムの制御方法および灌液制御システムによれば、非日照時間帯を除いて、植物の蒸散により余剰液量が減少したときに、灌液器を作動させて、灌液を施すことによって、培地の含水率を直接的に計測して、この含水率に応じて灌液を施すこととなるため、灌液量の不足を防止するとともに、過剰の灌液による灌液量の損失を著しく減少させることができ、簡易的に含水率を調整することができる。さらに、非日照時間帯に含水率が低下しても灌液器が作動して、植物に灌液が施されることを防止でき、一日の日射量の変動サイクルに対応して、灌液の有無を制御することができる。
加えて、午前の日照時間帯における日射量が午前晴天基準値未満であった場合に、午後の日照時間帯における灌液器の作動を停止させることにより、曇天や雨天の日に午後の日照時間帯に含水率が低下しても灌液器が作動して、培地に灌液が施されることを防止でき、その日の日射量に応じた灌液を可能にすることができる。
【0018】
従って、一日のうちの日照時間帯のみ灌液器を作動させるとともに、その日の日射量に応じて、午後の日照時間帯における灌液器の作動を制御して、灌液の有無を調節することにより、灌液の損失も減少させることができ、植物の根の発達を促して、植物を適切に生育させることができる。
これにより、上述の余剰液量の減少による灌液器の作動による灌液と、非日照時間帯における灌液器の作動停止および午前の日照時間帯における積算日射量が午前晴天基準値未満であることによる午後の日照時間帯における灌液器の作動停止との相互作用によって、単に簡易的に植物の含水率を調節して、灌液の損失を著しく減少させることが可能になるだけでなく、日射量による影響を考慮した上で灌液することができ、その結果、適切に植物を生育させることができる。
【0019】
特に、請求項6に記載の発明によれば、上述の日射量を計測する日射量計測器として太陽電池を用いることによって、日射量の積算値を算出するのみでなく、この太陽電池を灌液制御システムの駆動力源として用いることができる。
【0020】
さらに、請求項2および5に記載の発明によれば、午後の日照時間帯における日射量ピーク時刻までの積算日射量が午後晴天基準値未満であった場合にも、日射量ピーク時刻以降の灌液器の作動を停止させることにより、午後から天候が悪化して曇天や雨天となったにも拘わらず、日射量ピーク時刻以降に含水率が低下した際に、灌液器が作動して、培地に灌液が施されることを防止でき、午後からの天候の悪化にも対応して日射量に応じた灌液を施すことができる。
【0021】
逆に、請求項3および7に記載の発明によれば、午前の日照時間帯における積算日射量が、例えば、曇天や雨天等であることにより、午前晴天基準値未満であって、午後の日照時間帯における積算日射量が急な天候の回復により天候回復基準値を超えたときに、灌液器の作動停止を解除するとともに、上記灌液器を作動させて、培地に灌液を施すことができ、午後からの天候の回復にも対応することができる。
従って、午後からの天候回復によって著しく日射量が増加した場合にも、培地の含水率の低下を防止できることから、一日のうちの急激な天候の変化にも対応でき、一日の天候の変化が激しい地域であっても、根の発達を促して、植物を適切かつ安定的に生育させることができる。
【0022】
さらに、請求項4および8に記載の発明によれば、培地の含水率が最低含水率基準値以下となったときに、灌液器を作動させるため、万が一、灌液制御システムの一部が故障した場合にも、植物がしおれてしまうことを阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る灌液制御手段を用いた栽培装置について、図1を用いて説明する。
【0024】
本実施形態の栽培装置は、内部に植物を栽培する培地が敷設された栽培装置本体1と、この栽培装置本体1内における培地に灌液する灌液器2と、この灌液器2による灌液を制御する灌液制御システム3とによって概略構成されている。
この栽培装置本体1は、上記培地としてロックウール製マット13が全面的に配設された平面視長方形状の栽培部(栽培容器)10と、この栽培部10の幅方向の一端部に長手方向に沿って一段低く形成され、ロックウール製マット13に灌液した余剰液が貯留される貯留部(貯留槽)4とが一体の容器状に形成されて構成されている。
【0025】
この栽培部10は、ロックウール製マット13に水分センサー66が埋設されるとともに、このロックウール製マット13と底板11との間に吸水布としての矩形状の不織布14が全面的に敷かれており、栽培部10の底板11には、灌液された余剰液を貯留部4に流出させる縦断面V字状の流出溝12が貯留部4側を下方に向けて傾斜させるようにして、長手方向に向けて複数本形成されている。他方、不織布14は、貯留部4側の一端部が全長に亘って余剰液に浸るようにして配設されている。
【0026】
一方、上記貯留部4は、底板11よりも一段低い細長状の水平の底部41と、その幅方向の両端部にそれぞれ一体に形成され、上方に向けて漸次互いに離間するように対向配置された2枚の細長状の傾斜板42とが備えられて、漸次、下方に向けて余剰液量の変動による水位の変動が大きくなるように形成されている。そして、貯留部4は、その内部に高低差を有して水位検出器5としての2本の電極51、52が配設されている。
【0027】
これらの電極51、52は、上方に位置する上方位置検出電極51の下端部が底板11よりも下方に位置するとともに、下方に位置する下方位置検出電極52の下端部が電極51よりも下方に位置することにより、上記高低差を有して配設されている。
加えて、下方位置検出電極52の下端部は、植物の蒸散によるロックウール製マット13の乾燥によって不織布14が貯留部4内の余剰液を吸い上げて、明らかに水位が低下した際に、余剰液から離間するように位置している。
【0028】
灌液器2としては、ドリップ灌水管が用いられており、このドリップ灌水管2は、植物を栽培するロックウール製マット13に養液を供給するようになっている。
【0029】
このドリップ灌水管2による養液の供給を制御する灌液制御システム3としては、下方位置検出電極52の下端部が余剰液から離間したときに、ドリップ灌水管2を作動させる灌液作動手段と、このドリップ灌水管2の非日照時間帯における作動を停止させる夜間灌液停止手段と、午前の日照時間帯における積算日射量が午前晴天基準値未満であった場合に午後の日照時間帯におけるドリップ灌水管2の作動を停止させる天候不順灌液停止手段とが備えられている。
【0030】
ここで、「非日照時間帯」とは、日射量の少ない夕方の設定時刻以降から夜間を経て日の出に至るまでの間を意味するものであり、「午前の日照時間帯」とは、日の出後から正午までを意味するとともに、「午後の日照時間帯」とは、正午から非日照時間帯前までを意味するものである。
また、「晴天基準値」とは、晴天時の全天日射量に基づく基準値を意味するものであり、「午前晴天基準値」とは、午前が晴天であった場合の全天日射量に基づく基準値を意味するものである。
【0031】
上記灌液作動手段は、上記水位検出器5と、この水位検出器5に接続された水位伝達ライン91と、この水位伝達ライン91によって、下方位置検出電極52の下端部が余剰液から離間したときに、灌液信号が伝達されることにより、ドリップ灌水管2を作動させる灌液作動装置とによって構成されている。この灌液作動装置は、水位伝達ライン91に直接接続された制御装置6と、この制御装置6とドリップ灌水管2とを接続する制御信号ライン95とによって構成されている。
これにより、灌液作動手段は、植物の蒸散に伴って乾燥した不織布14が貯留部4内の余剰液を吸液して、貯留部4における余剰液が減少することにより、下方位置検出電極52の下端部が余剰液から離間したときに、水位伝達ライン91から制御装置6に灌液信号が伝達されて、この制御装置6が制御信号ライン95を介してドリップ灌水管2を作動させることによって、ロックウール製マット13に養液を供給するようになっている。そして、灌液作動手段は、この養液の余剰液が流出溝12を通じて貯留部4に貯留されることにより貯留部4の水位が上方位置検出電極51の下端部より上方に位置するまで、上記供給が継続するようになっている。
【0032】
換言すると、灌液作動手段は、上方位置検出電極51の下端部が余剰液に浸ったときに、灌液停止信号が水位伝達ライン91から制御装置6に伝達されて、この制御装置6が制御信号ライン95を介してドリップ灌水管2の作動を停止させるようになっている。加えて、灌液作動手段は、上述のドリップ灌水管2の作動停止とともに、一定量の余剰液を貯留部4の排出口(図示を略す)から排出させるようになっている。
【0033】
ここで、制御装置6は、時計が内蔵されているコンピュータであって、灌液作動手段の作動を停止させる日射量の少なくなる夕方の作動停止時刻および灌液作動手段の作動停止を解除する日の出の時刻を設定可能、すなわち非日照時間帯を設定可能な装置である。換言すると、この制御装置6には、日射量の少ない夕刻の設定時刻以降から日の出前までの非日照時間帯に灌液作動装置の作動を停止させる上記夜間灌液停止手段が兼ね備えられている。
【0034】
また、上記天候不順灌液停止手段は、栽培装置本体1の外方に併設された植物の瞬間の照度を計測する照度計(日射量計測器)としてのパネル状の太陽電池30と、この太陽電池30によって計測された各瞬間の照度を連続的に伝達する日射量伝達ライン92と、この日射量伝達ライン92からデータを受信する制御装置(灌液作動制御装置)6とによって構成されている。
そして、制御装置6は、この日射量伝達ライン92によって伝達された午前の日照時間帯における各瞬間の照度を積算した全天日射量が予め設定した午前晴天基準値以上または未満であるか否かを判定し、午前晴天基準値未満であった場合に、灌液作動装置の作動を停止させるようになっている。すなわち、灌液作動装置によるドリップ灌水管2の作動を阻止するようになっている。
【0035】
さらに、この制御装置6は、この判定が午前晴天基準値未満であって、午後の日照時間帯における全天日射量が予め設定した天候回復基準値を超えたときに、灌液作動装置の作動の停止を解除するとともに、ドリップ灌水管2を作動させる信号を制御信号ライン95に伝達する第1の安全機構を有している。ここで、この天候回復基準値は、急激な天候の回復から一定時間経過した際に、灌液作動装置の作動の停止を解除して、ドリップ灌水管2を作動させるように午前晴天基準値よりも低く設定されている。
【0036】
また、制御装置6は、この日射量伝達ライン92によって伝達された正午から晴天時に日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する全天日射量が午後晴天基準値未満であるか否かを判定し、午後晴天基準値未満であった場合に、日射量ピーク時刻以降の灌液作動装置の作動を停止させるようになっている。
ここで、「日射量ピーク時刻」とは、晴天であった場合に瞬間の日射量が最も大きくなる時間帯における特定の設定時刻を意味するものであって、本実施形態において「日射量ピーク時刻」は、午後3時に設定されている。また、「午後晴天基準値」とは、午後が晴天であった場合の全天日射量に基づく基準値を意味するものであり、「正午から晴天時に日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する全天日射量が午後晴天基準値未満」とは、正午から瞬間の日射量が最も大きくなる時間帯における特定の設定時刻(本実施形態においては午後3時)までの日射量が晴天であった場合の全天日射量に基づく基準値未満であることを意味するものである。なお、「午後晴天基準値」は、午前晴天基準値よりも低く設定されるとともに、天候回復基準値よりも高く設定されている。
【0037】
加えて、この制御装置6は、植物のしおれる恐れがある最低含水率基準値を設定可能な装置であり、上記ロックウール製マット13に埋設された水分センサー66に接続されている含水率伝達ライン93の他端部が接続されている。そして、この制御装置6は、水分センサー66および含水率伝達ライン93とともに、最低含水率基準値以下となったときに、強制的に灌液信号を制御信号ライン95に伝達して、ドリップ灌水管2を作動させる第2の安全機構を構成している。
【0038】
また、制御装置6には、上記日射量伝達ライン92によって伝達された午前の日照時間帯における各瞬間の照度を積算した全天日射量が午前晴天基準値以上である場合または午後の日照時間帯における全天日射量が天候回復基準値を超えた場合に、すなわち、午後の日照時間帯に灌液作動装置が作動している場合に、最後の灌液から予め設定した含水率保証時間が経過したときに、強制的に灌液信号を制御信号ライン95に伝達する第3の安全機構が備えられている。ここで、含水率保証時間とは、例えば、夏期で2時間、冬期で4時間に設定されて、季節に応じて変動するものである。
【0039】
次いで、本発明に係る上記灌液制御システムを用いた灌液制御システムの制御方法について、説明する。
【0040】
本実施形態における灌液制御システムの制御方法は、植物の蒸散に伴って乾燥した不織布14が貯留部4内の余剰液を吸液して、貯留部4における余剰液が減少することにより、下方位置検出電極52の下端部が余剰液から離間したときに、灌液作動手段によって、灌液信号を水位伝達ライン91から制御装置6に伝達させて、この制御装置6が制御信号ライン95を介してドリップ灌水管2からロックウール製マット13に養液を供給する。
【0041】
これにより、この養液の余剰液が栽培部10における流出溝12を通じて貯留部4に貯留されて、貯留部4の水位が上昇することにより、上方位置検出電極51の下端部が余剰液に浸ったときに、灌液作動手段によって、灌液停止信号を水位伝達ライン91から制御装置6に伝達させて、この制御装置6による制御信号ライン95を介してのドリップ灌水管2の作動を停止させる。
【0042】
また、夜間灌液停止手段によって、図2に示すように、日射量の少ない夕方の設定時刻以降から日の出前までの間の非日照時間帯における灌液作動装置の作動を停止させるとともに、天候不順灌液停止手段によって、午前の日照時間帯における全天日射量が午前晴天基準値未満であった場合に、午後の日照時間帯における灌液作動装置の作動を停止させ、かつ午後の日照時間帯における日照量ピーク時刻までの全天日射量が午後晴天基準値未満であった場合に、日射量ピーク時刻以降の灌液作動装置の作動を停止させる。
【0043】
換言すると、制御装置6によって、作動停止時刻に灌液作動装置の作動を停止させるとともに、日の出時刻に灌液作動装置の作動停止を解除する。
また、天候不順灌液停止手段によって、太陽電池30から日射量伝達ライン92を介して制御装置6が受信した午前の日照時間帯における全天日射量が午前晴天基準値未満であった場合に、午後の日照時間帯における灌液作動装置の作動を停止させ、かつ午後の日照時間帯における日照量ピーク時刻までの全天日射量が午後晴天基準値未満であった場合に、日射量ピーク時刻以降の灌液作動装置の作動を停止させる。
【0044】
加えて、第1の安全機構によって、午前の日照時間帯における全天日射量が午前晴天基準値未満であって、午後の日照時間帯における全天日射量が天候回復基準値を超えたときに、灌液作動装置の作動の停止を解除し、かつ制御装置6が制御信号ライン95を介して強制的にドリップ灌水管2から養液をロックウール製マット13に供給する。
また、第2の安全機構によって、水分センサー66から含水率伝達ライン93を介して制御装置6が受信した含水率が最低含水率基準値以下となったときに、制御装置6が制御信号ライン95を介して強制的にドリップ灌水管2から養液をロックウール製マット13に供給する。
さらに、第3の安全機構によって、午後の日照時間帯に灌液作動装置が作動している場合に、最後の灌液から予め設定した含水率保証時間が経過したときに、制御装置6が制御信号ライン95を介して強制的にドリップ灌水管2から養液をロックウール製マット13に供給する。
【0045】
次いで、本発明に係る上記灌液制御システムおよび灌液制御システムの制御方法の作動パターンを、午前および午後ともに晴天である場合と、午前が晴天であって午後が雨天または曇天である場合と、午前および午後ともに雨天または曇天の場合と、午前が雨天または曇天であって午後に天候が回復した場合と分けてそれぞれ説明する。
なお、図3〜図10は、いずれも天候不順灌液停止手段の太陽電池30によって計測された各瞬間の照度と、これらの各瞬間の照度を制御装置6において積算した全天日射量と、この日射量に基づく天候不順灌液停止手段の制御及び制御装置6に兼ね備えられた夜間灌液停止手段の制御による灌液作動装置の作動状況と、第2の安全機構の水分センサー66によって計測された含水率と、灌液作動手段によって水位伝達ライン91を介して制御装置6に伝達された信号と、ドリップ灌水管2による灌液状況とが時間の経過とともに示されたチャートである。
【0046】
まず、午前および午後ともに晴天である場合における第1〜第3の作動パターンについて、図3〜図5を用いて説明する。
図3は、灌液制御システム(同システムの制御方法)の基本的な作動パターンである第1の作動パターンを示すチャートであり、図4は、第2の安全機構が作動した灌液制御システム(同システムの制御方法)の第2の作動パターンを示すチャートであり、図5は、第3の安全機構が作動した灌液制御システム(同システムの制御方法)の第3の作動パターンを示すチャートである。
【0047】
第1の作動パターンないし第3の作動パターンは、午前および午後ともに晴天の場合における作動パターンであるため、瞬間の照度が日の出から日射量ピーク時刻である午後3時に向けて山形に上昇するとともに、午後3時から夕方の作動停止時刻に向けて山形に下降している。このため、午前の日照時間帯における積算日射量が午前晴天基準値以上であって、かつ午後の日照時間帯における正午から日射量ピーク時刻までの積算日射量が午後晴天基準値以上であるため、天候不順灌液停止手段が作動しないようになっている。
【0048】
従って、日照時間帯においては、常に灌液作動装置が作動しており、この灌液作動装置を具備する灌液作動手段によって、植物の蒸散に伴う貯留部4内の余剰液の減少による下方位置検出電極52の余剰液からの離間により、灌液信号が水位伝達ライン91から制御装置6に伝達されて、ドリップ灌水管2から養液を供給させるとともに、養液の余剰液により貯留部4の水位が上昇して、上方位置検出電極51の下端部が余剰液に浸ることにより、灌液停止信号が水位伝達ライン91から制御装置6に伝達されて、ドリップ灌水管2の作動を停止させている。
【0049】
また、非日照時間帯においては、夜間灌液停止手段によって、灌液作動装置の作動を停止させている。これにより、水位伝達ライン91から制御装置6に灌液信号が伝達されても、制御装置6がドリップ灌水管2を作動させないようにしている。
【0050】
その結果、第1の作動パターンでは、図3に示すように、水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された4回の灌液信号のうち、日照時間帯に伝達された3回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液が施されている。
【0051】
また、第2の作動パターンにおいては、水分センサー66から含水率伝達ライン93によって制御装置6に伝達された含水率が最低含水率基準値以下となったときに、第2の安全機構によって、強制的に灌液信号を制御信号ライン95に伝達して、ドリップ灌水管2を作動させている。
これにより、第2の作動パターンでは、図4に示すように、水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された2回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施すとともに、1回の強制的な灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施している。
【0052】
さらに、第3の作動パターンにおいては、水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された3回目の灌液信号の後に、含水率保証時間が経過したときに、第3の安全機構によって、強制的に灌液信号を制御信号ライン95に伝達して、ドリップ灌水管2を作動させている。
これにより、第3の作動パターンでは、図5に示すように、水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された3回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施すとともに、一回の強制的な灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施している。
【0053】
次いで、午前が晴天であって午後が雨天または曇天である場合における第4の作動パターンについて、図6を用いて説明する。
【0054】
第4の作動パターンにおいては、午前の日照時間帯における積算日射量が午前晴天基準値以上であるものの、正午から日射量ピーク時刻である午後3時までの積算日射量が午後晴天基準値以下であるため、天候不順灌液停止手段によって、午後3時以降の灌液作動装置の作動を停止させている。また、夜間灌液停止手段によって非日照時間帯における灌液作動装置の作動を停止させている。
このため、水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された4回の灌液信号のうち午前から午後3時までの2回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施している。
【0055】
次いで、午前および午後ともに雨天または曇天の場合における第5〜第7の作動パターンについて、図7〜図9を用いて説明する。
【0056】
第5〜第7の作動パターンにおいては、午前および午後ともに雨天又は曇天の場合における作動パターンであるため、午前の日照時間帯における積算日射量が午前晴天基準値未満であって、天候不順灌液停止手段が作動していることから、午前の日照時間帯のみ灌液作動装置が作動している。
【0057】
そして、第5の作動パターンにおいては、図7に示すように、午前の日照時間帯に水位伝達ライン91から制御装置6に伝達された灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施しているものの、第6の作動パターンにおいては、図8に示すように、この午前の日照時間帯に水位伝達ライン91から制御装置6に灌液信号が伝達されていないため、一日中灌液が施されていない。
【0058】
また、第7の作動パターンにおいては、灌液作動装置が作動していない午後の日照時間帯において、水分センサー66から含水率伝達ライン93によって制御装置6に伝達された含水率が最低含水率基準値以下となったときに、第2の安全機構によって、強制的に灌液信号を制御信号ライン95に伝達して、ドリップ灌水管2を作動させている。これにより、第7の作動パターンでは、図9に示すように、第5の作動パターンと同様に午前に一度灌液が施されるとともに、午後に一度灌液が施されている。
【0059】
次に、午前が雨天または曇天であって午後に天候が回復した場合における第8の作動パターンについて、図10を用いて説明する。
【0060】
第8の作動パターンにおいては、午前の日照時間における積算日射量が午前晴天基準値未満であるため、天候不順灌液停止手段によって、午後の日照時間帯における灌液作動装置の作動を停止させている。また、午後の日照時間帯における正午から日射量ピーク時刻である午後3時までの積算日射量が天候回復基準値を超えているため、第1の安全機構によって、天候回復基準値を超えた時刻以降の灌液作動装置の作動停止を解除するとともに、天候回復基準値を超えたときに、制御装置6が制御信号ライン95を介して強制的にドリップ灌水管2から養液をロックウール製マット13に供給している。
従って、第8の作動パターンでは、図10に示すように、水位伝達ライン91から制御装置6に正午から午後3時までを除く日照時間帯に伝達された2回の灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施すとともに、一回の強制的な灌液信号に従ってドリップ灌水管2から灌液を施している。
【0061】
本実施形態における灌液制御システムおよび同システムの制御方法によれば、灌液作動手段によって、植物の蒸散により余剰液量が減少して、余剰液の界面が下方位置検出電極52から離間したときに、灌液信号を水位伝達ライン91から制御装置6に伝達して、制御信号ライン95を介してドリップ灌水管2を作動させる。これにより、貯留部4の余剰液の界面が上昇して、上方位置検出電極51の下端部が余剰液に浸ったときに、灌液停止信号を水位伝達ライン91から制御装置6に伝達して、ドリップ灌水管2による灌液を停止させる。
このため、電極51、52による余剰液の水位の計測によって、ロックウール製マット13の含水率を直接的に計測して、この含水率に応じて灌液を施すこととなるため、灌液量の不足を防止するとともに、過剰の灌液による灌液量の損失を著しく減少させることができ、簡易的に含水率を調整することができる。
【0062】
さらに、制御装置6に兼ね備えられている夜間灌液停止手段によって、非日照時間帯における灌液作動装置の作動を停止することにより、非日照時間帯に含水率が低下してもドリップ灌水管2が作動して、植物に灌液が施されることを防止でき、一日の日射量の変動サイクルに対応して、灌液の有無を制御することができる。
【0063】
加えて、天候不順灌液停止手段によって、太陽電池30から日射量伝達ライン92を介して制御装置6が受信した午前の日照時間帯における全天日射量が午前晴天基準値未満であった場合に、制御装置6が午後の日照時間帯における灌液作動装置の作動を停止させ、かつ午後の日照時間帯における日射量ピーク時刻である午後3時までの全天日射量が午後晴天基準値未満であった場合に、制御装置6が日射量ピーク時刻以降の灌液作動装置の作動を停止させる。このため、曇天や雨天の日に午後の日照時間帯に含水率が低下してもドリップ灌水管2が作動して、ロックウール製マット13に灌液が施されることを防止できるとともに、午後から天候が悪化して曇天や雨天となったにも拘わらず、日射量ピーク時刻以降に含水率が低下したときにも、ドリップ灌水管2が作動して、ロックウール製マット13に灌液が施されることを防止できる。その結果、その日の日射量に応じた灌液を可能にすることができ、植物の根の発達を促して、植物を適切に生育させることができる。
【0064】
他方、太陽電池30から日射量伝達ライン92を介して制御装置6が受信した午前の日照時間帯における全天日射量が、例えば、曇天や雨天等であることにより、午前晴天基準値未満であって、午後の日照時間帯における積算日射量が急な天候の回復により天候回復基準値を超えたときに、第1の安全機構によって、灌液作動装置の作動の停止を解除するとともに、ドリップ灌水管2を作動させてロックウール製マット13に灌液を施すことにより、午後からの天候の回復にも対応することができる。このため、午後からの天候回復によって著しく日射量が増加した場合にも、ロックウール製マット13の含水率の低下を防止できる。
従って、一日のうちの急激な天候の変化にも対応でき、その結果、一日の天候の変化が激しい地域であっても、根の発達を促して、植物を適切かつ安定的に生育させることができる。
また、この太陽電池30は、日射量計としてだけでなく、制御装置6等の灌液制御システムの駆動力源として用いることができる。
【0065】
第2の安全機構によって、水分センサー66から含水率伝達ライン93を介して制御装置6が受信した含水率が最低含水率基準値以下となったときに、制御装置6が制御信号ライン95を介して強制的にドリップ灌水管2から養液をロックウール製マット13に供給するとともに、第3の安全機構によって、灌液作動装置が作動している場合に、最後の灌液から含水率保証時間が経過したときに、制御装置6が制御信号ライン95を介して強制的にドリップ灌水管2から養液をロックウール製マット13に供給させるため、万が一、水位伝達ライン91等が故障した場合にも、植物がしおれてしまうことを阻止することができる。
【0066】
以上の灌液作動手段と夜間灌液停止手段および天候不順灌液停止手段との相互作用によって、単に簡易的に植物の含水率を調節して、灌液の損失を著しく減少させることが可能になるだけでなく、日射量の影響を考慮した上で灌液することができ、その結果、適切に植物を生育させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態における灌液制御システムを備えた栽培装置の斜視図である。
【図2】本実施形態における灌液制御システムの制御方法を示したフローチャートである。
【図3】午前及び午後ともに晴天の場合における灌液制御システム(同システムの制御方法)の基本的な作動パターンである第1の作動パターンを示すチャートである。
【図4】午前及び午後ともに晴天の場合における灌液制御システム(同システムの制御方法)の第2の安全機構が作動した第2の作動パターンを示すチャートである。
【図5】午前及び午後ともに晴天の場合における灌液制御システム(同システムの制御方法)の第3の安全機構が作動した第3の作動パターンを示すチャートである。
【図6】午前が晴天であって午後が雨天または曇天である場合における灌液制御システム(同システムの制御方法)の第4の作動パターンを示すチャートである。
【図7】午前および午後ともに雨天または曇天の場合における灌液制御システム(同システムの制御方法)の第5の作動パターンを示すチャートである。
【図8】午前および午後ともに雨天または曇天の場合における灌液制御システム(同システムの制御方法)の第6の作動パターンを示すチャートである。
【図9】午前および午後ともに雨天または曇天の場合における灌液制御システム(同システムの制御方法)の第7の作動パターンを示すチャートである。
【図10】午前が雨天または曇天であって午後に天候が回復した場合における灌液制御システム(同システムの制御方法)の第8の作動パターンを示すチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 栽培装置本体
2 ドリップ灌水管(灌液器)
3 灌液制御システム
4 貯留部(貯留槽)
10 栽培部(栽培容器)
13 ロックウール製マット(培地)
14 不織布(吸水布)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に吸水布が配設されるとともに、この吸水布の上部に植物を栽培する培地が敷設された栽培容器と、この培地に灌液する灌液器と、上記栽培容器に一体的に形成され、上記栽培容器から流出した余剰液が貯留されるとともに、この貯留された余剰液に浸かるように上記吸水布の一部を内在する貯留槽とを有する栽培装置に備えられて、上記灌液器による上記培地への灌液を制御する灌液制御システムの制御方法であって、
夕方から夜間を経て日の出に至るまでの非日照時間帯を除いて、上記貯留槽における上記余剰液量が減少したときに、上記灌液器を作動させて、上記灌液を行うとともに、
上記日の出後から正午までの午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午前晴天基準値未満であった場合に、上記正午から上記非日照時間帯前までの午後の日照時間帯における上記灌液器の作動を停止させることを特徴とする灌液制御システムの制御方法。
【請求項2】
上記正午から日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する積算日射量が、晴天時の日射量に基づく基準値である午後晴天基準値未満であった場合に、上記日射量ピーク時刻以降の上記灌液器の作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の灌液制御システムの制御方法。
【請求項3】
上記午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が上記午前晴天基準値未満であって、上記午後の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が、晴天に天候回復した場合の日射量に基づく基準値である天候回復基準値を超えたときに、上記灌液器の作動停止を解除するとともに、上記灌液器を作動させることを特徴とする請求項1または2に記載の灌液制御システムの制御方法。
【請求項4】
上記培地の含水率が上記植物のしおれる恐れのある最低含水率基準値以下となったときに、上記灌液器を作動させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の灌液制御システムの制御方法。
【請求項5】
内部に吸水布が配設されるとともに、この吸水布の上部に植物を栽培する培地が敷設された栽培容器と、この培地に灌液する灌液器と、上記栽培容器に一体的に形成され、上記栽培容器から流出した余剰液が貯留されるとともに、この貯留された余剰液に浸かるように上記吸水布の一部を内在する貯留槽とを有する栽培装置に備えられて、上記灌液器による上記培地への灌液を制御する灌液制御システムであって、
上記貯留槽における上記余剰液の水位を検出する水位検出器と、この水位検出器から上記余剰液量の減少を検知したときに、上記灌液器を作動させる灌液作動装置とを有する灌液作動手段と、
この灌液作動装置の夕方から夜間を経て日の出前までの非日照時間帯における作動を停止させる夜間灌液停止手段と、
上記植物に対する日照量を計測する日射量計測器と、この日射量計測器によって計測された上記日の出後から正午までの午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午前晴天基準値未満であった場合に、上記正午から上記非日照時間帯前までの午後の日照時間帯における上記灌液作動装置の作動を停止させ、かつ上記正午から晴天時に日射量が大きくなる日射量ピーク時刻までの上記植物に対する積算日射量が晴天時の日射量に基づく基準値である午後晴天基準値未満であった場合に、上記日射量ピーク時刻以降の上記灌液作動装置の作動を停止させる灌液作動制御装置とを有する天候不順灌液停止手段とが備えられていることを特徴とする灌液制御システム。
【請求項6】
上記日射量計測器は、太陽電池であることを特徴とする請求項5に記載の灌液制御システム。
【請求項7】
上記灌液作動装置には、上記午前の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が上記午前晴天基準値未満であって、上記午後の日照時間帯における上記植物に対する積算日射量が、晴天に天候回復した場合の日射量に基づく基準値である天候回復基準値を超えたときに、上記天候不順灌液停止手段による灌液作動装置の作動停止を解除するとともに、上記灌液器を作動させる第1の安全機構が備えられていることを特徴とする請求項5または6に記載の灌液制御システム。
【請求項8】
上記灌液作動装置には、水分センサーによって計測された上記培地の含水率が植物のしおれる恐れのある最低含水率基準値以下となったときに、上記灌液器を作動させる第2の安全機構が備えられていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の灌液制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−17792(P2009−17792A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180889(P2007−180889)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000204099)太洋興業株式会社 (30)