説明

火災警報システム

【課題】取り付け構造に起因する種々の不具合を解消し、設置作業性や警報出力効率を高めた火災警報システムを提供する。
【解決手段】所定の設置面に固定される取り付けベースに対して、監視領域の異常を検出する警報器と所定警報を出力する警報出力器とをそれぞれ直接的に取り付け可能にすると共に、前記取り付けベースに取り付けた前記警報器又は前記警報出力器のいずれか一方に対して前記警報器又は前記警報出力器のいずれか他方を取り付け可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅火災から建物や人命を守るためには、火災発生を早期に検知して警報を発報する火災感知器の設置が有効である。このため、監視領域に設置した火災感知器によって火災を検出した場合には、この火災感知器から移報信号を出力して、警報ベルや警報スピーカを鳴動させることによって、火災発生を報知することが行われている。
【0003】
しかしながら、例えばホテルのような遮音性の高い建屋においては、通路に設置された警報ベルを鳴動させても、この警報音が居室内のユーザにとって聞き取り難い場合がある。このような不具合を解消するため、居室内の火災感知器に直接取り付けられ、この火災感知器からの出力に基づいて警報音を発する警報出力器(ベースサウンダー)が実用化されている。例えば、米国特許第6,362,726号には、火災警報システムに取り付け可能なベースサウンダーが開示されている。このようなベースサウンダーによれば、居室内の火災感知器と同じ位置において警報音出力を行うことができ、より確実に火災報知を行うことができる。
【0004】
このような従来のベースサウンダーの構造について説明する。図21は天井面に設置された従来のベースサウンダー等の縦断面図である。この図21に示すように従来のベースサウンダー100は、取り付けベース101を介して天井面102に取り付けられていた。そして、このベースサウンダー100の下方に火災感知器103が接続されていた。このベースサウンダー100の内部には、回路基板104や、音源であるピエゾ素子105等の電気的構成要素が収容されており、このピエゾ素子105から出力された警報音がベースサウンダー100の外側に放出される。このベースサウンダー100には貫通孔であるネジ孔106が形成されており、このネジ孔106に長尺のネジ107を挿通させて取り付けベース101にネジ込むことにより、ベースサウンダー100が取り付けベース101に固定されている。また、ベースサウンダー100の下端部に火災感知器103の上端部を係止させること等によって、火災感知器103がベースサウンダー100に固定されている。
【0005】
ここで、取り付けベース101及びベースサウンダー100の平面略中央位置(設置面である天井面102に略水平な平面内における中央付近の位置(以下同じ))には、それぞれ貫通孔である配線孔108、109が形成されている。そして、天井面102から引き出されたリード線110が、これら配線孔108、109を介して、ベースサウンダー100の下面に至るように引き出されている。このように引き出されたリード線110は、ベースサウンダー100の下面に設けられた接続端子111にネジ止めにて接続されている。この接続端子111は、回路基板104に接続されており、これによってベースサウンダー100の各電気的構成要素に電力が供給される。また、この接続端子111に火災感知器103の接続端子112を接続することにより、火災感知器103の各部に電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,362,726号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のベースサウンダーの如き警報出力器においては、取り付け構造に起因する種々の不具合が生じていた。
【0008】
例えば、従来のベースサウンダーの設置作業においては、まずベースサウンダー専用の取り付けベースを天井面等の設置面に固定し、この取り付けベースに対してベースサウンダーを固定していた。一方、ベースサウンダーを省略して火災感知器のみを設置する場合には、ベースサウンダー用のものとは異なる火災感知器専用の取り付けベースを設置面に固定し、この取り付けベースに火災感知器を固定していた。
【0009】
このように、従来は、ベースサウンダーを設置する場合と、火災感知器のみを設置する場合とで、設置面に固定する取り付けベースが異なるため、これに応じて具体的な設置作業も異なり、設置作業が煩雑になったり、作業ミスを生じさせる原因になっていた。また、このように設置構造が異なるため、火災感知器のみを設置している監視領域にさらにベースサウンダーを後付けしたい場合、取り付けベースを交換する必要があり、ベースサウンダーの後付けが面倒であった。さらには、ベースサウンダーを取り付けベースにネジ止めしていたので、ネジやネジ止め用工具が必要になる等、ベースサウンダーの取り付け作業が煩雑であった。
【0010】
また、従来のベースサウンダーは、電力供給のためのリード線をベースサウンダーに貫通させており、このために、ベースサウンダーの平面略中央に貫通孔を形成する必要があった。このため、ピエゾ素子のような音源をベースサウンダーの平面略中央位置に配置することができないので、ベースサウンダーを中心とする各方向に均一に音響出力を行うことが困難であり、警報出力効率を向上させることが困難であった。
【0011】
本発明は、このような従来の警報出力器の問題に鑑みてなされたもので、取り付け構造に起因する種々の不具合を解消し、設置作業性や警報出力効率を高めた火災警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の火災警報システムは、所定の設置面に固定される取り付けベースに対して、監視領域の異常を検出する警報器と所定警報を出力する警報出力器とをそれぞれ直接的に取り付け可能にすると共に、前記取り付けベースに取り付けた前記警報器又は前記警報出力器のいずれか一方に対して前記警報器又は前記警報出力器のいずれか他方を取り付け可能とした。
【0013】
請求項2に記載の火災警報システムは、所定の設置面に固定される取り付けベースに対して、監視領域の異常を検出する警報器と所定警報を出力する複数の警報出力器の各々とをそれぞれ直接的に取り付け可能とし、かつ、前記取り付けベースに取り付けた前記警報器に対して前記複数の警報出力器を重合状に取り付け可能とするか、あるいは、前記取り付けベースに重合状に取り付けた前記複数の警報出力器に対して前記警報器を取り付け可能とした。
【0014】
請求項3に記載の火災警報システムは、所定の設置面に固定される取り付けベースに対して、監視領域の異常を検出する警報器と所定警報を出力する一つ又は複数の警報出力器との中から、少なくとも2つ選択された前記警報器又は前記警報出力器を重合状に取り付け可能とした。
【0015】
請求項4に記載の火災警報システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の火災警報システムにおいて、前記取り付けベースと前記警報器との固定構造、前記取り付けベースと前記警報出力器との固定構造、及び前記警報器と前記警報出力器との固定構造を、相互に同一とした。
【0016】
請求項5に記載の火災警報システムは、請求項2又は3に記載の火災警報システムにおいて、前記取り付けベースと前記警報器との固定構造、前記取り付けベースと前記警報出力器との固定構造、前記警報器と前記警報出力器との固定構造、及び複数の前記警報出力器の相互間の固定構造を、相互に同一とした。
【0017】
請求項6に記載の火災警報システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の火災警報システムにおいて、前記警報出力器は、警報音を出力するための音源を有するベースサウンダーである。
【0018】
請求項7に記載の火災警報システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の火災警報システムにおいて、前記警報出力器は、発光源を有するベースビーコンである。
【0019】
請求項8に記載の火災警報システムは、請求項2から5のいずれか一項に記載の火災警報システムにおいて、複数の前記警報出力器のうち、少なくとも一部は、警報音を出力するための音源を有するベースサウンダーであり、他の少なくとも一部は、発光源を有するベースビーコンである。
【0020】
請求項9に記載の火災警報システムは、請求項1から8のいずれか一項に記載の火災警報システムにおいて、前記取り付けベースに対して、前記警報器又は前記警報出力器に代えて、所定警報を出力するウォールサウンダーを取り付け可能とした。
【0021】
請求項10に記載の火災警報システムは、請求項9に記載の火災警報システムにおいて、前記取り付けベースと前記警報器との固定構造、前記取り付けベースと前記警報出力器との固定構造、前記警報器と前記警報出力器との固定構造、及び前記取り付けベースと前記ウォールサウンダーとの固定構造を、相互に同一とした。
【0022】
請求項11に記載の火災警報システムは、請求項1から10のいずれか一項に記載の火災警報システムにおいて、前記取り付けベースに取り付けた前記警報出力器に対して、前記警報器に代えて、カバーを取り付け可能とした。
【発明の効果】
【0023】
この火災警報システムによれば、各感知器を必要に応じて重合的に組み合わせることができ、複合機能を有する端末機器を構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るベースサウンダーを火災感知器等と共に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のベースサウンダー等の分解斜視図である。
【図3】図3は、下方から見た取り付けベースの拡大斜視図である。
【図4】図4は、上方から見た取り付けベースの拡大斜視図である。
【図5】図5は、下方から見たベースサウンダーの拡大斜視図である。
【図6】図6は、上方から見たベースサウンダーの拡大斜視図である。
【図7】図7は、ベースサウンダーの分解斜視図である。
【図8】図8は、上方から見たサウンダー本体の拡大斜視図である。
【図9】図9は、図8のサウンダー本体の分解斜視図である。
【図10】図10は、ベースサウンダーを取り付けベース及び火災感知器と共に示す縦断面図である。
【図11】図11は、ベースカバーを下方から見た平面図である。
【図12】図12は、火災感知器を上方から見た斜視図である。
【図13】図13は、接続前の接続端子の拡大斜視図である。
【図14】図14は、接続後の接続端子の拡大斜視図である。
【図15】図15は、本発明の実施例2に係るウォールサウンダー等の斜視図である。
【図16】図16は、図15のウォールサウンダー等の分解斜視図である。
【図17】図17は、内側から見たウォールサウンダーの斜視図である。
【図18】図18は、本発明の実施例3に係るベースビーコン等の斜視図である。
【図19】図19は、図18のベースビーコン等の分解斜視図である。
【図20】図20は、上方から見たベースビーコンの斜視図である。
【図21】図21は、天井面に設置された従来のベースサウンダー等の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施例について説明する。各実施例は、火災警報システムに関するものである。この火災警報システムにおける警報出力器は、監視領域の異常を検出する警報器に接続されるものであり、この警報器にて異常等が検出された場合に、この警報器から出力される信号の入力を受けて、各種の所定の警報出力を行う。
【0026】
この警報出力器に接続される警報器による監視領域や監視対象の具体的内容は任意であり、例えば、火災を検出する火災感知器、ガス漏れを検出するガス漏れ検出器、あるいは、火災及びガスの両方を検出する複合式の火災ガス漏れ検出器が該当する。
【0027】
また、警報出力器による警報の具体的形態は任意であり、例えば、警報音を出力したり、警報表示を行うことができる。さらに、警報音を出力する場合においても、その警報音の種類や具体的音源は任意であり、例えば、スピーカやピエゾ素子を用いてブザー音を出力し、あるいは、スピーカと音声合成ユニットとを用いて音声合成メッセージを出力することができる。また、警報表示を行う場合においても、その警報表示の種類や具体的光源は任意であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)やレーザ半導体を用いて点滅表示や点灯表示を行う。この警報出力器は任意の設置面に取り付けることができ、例えば、天井面や壁面に設置できる。
【0028】
ここで、各実施例に係る警報出力器は、その取り付け構造に主たる特徴の一部を有しており、これによって取り付け効率の向上が図られている。概略的には、取り付けベースと警報出力器、警報出力器と火災感知器、及び、取り付けベースと火災感知器、のぞれぞれの間の構造的及び電気的な接続構造を相互に共通化している。このため、取り付けベースに警報出力器を取り付けるのと同じ手順で、警報出力器に火災感知器を取り付けることができ、あるいは、同一の取り付けベースに対して火災感知器を直接取り付けることができる。この共通化により、取り付けベースに火災感知器のみを取り付ける場合と、取り付けベースに警報出力器及び火災感知器を順次取り付ける場合とで、取り付け手順の共通化を図ることができる。
【0029】
また、各実施例に係る警報出力器は、その取り付け構造の改善により、警報出力効率の向上が図られている。概略的には、警報出力器の平面略中央位置にリード線接続用の貫通孔を形成することを不要とし、これによってこの中央位置に音源や光源を配置することを可能とすること等により、警報効果を向上させている。以下、このような特徴の一部又は全部を有する各実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
まず本発明に係る実施例1について説明する。この実施例1は、警報器である火災感知器に接続され、この火災感知器からの出力に基づいて警報音を出力する警報出力器(以下、ベースサウンダーと称する)に関するものである。
【0031】
最初に、各部の構成について説明する。図1は、実施例1に係るベースサウンダーを火災感知器等と共に示す斜視図、図2は、図1のベースサウンダー等の分解斜視図である。これら各図に示すように、設置面である天井面1には、取り付けベース10が固定され、この取り付けベース10の下方には、ベースサウンダー20が取り付けられている。そして、このベースサウンダー20のさらに下方には、火災感知器30が接続されている。換言すれば、ベースサウンダー20は、取り付けベース10と火災感知器30との間に挟持されるように配置されている。なお、この実施例1では、説明の便宜上、必要に応じて、ベースサウンダー20を中心として、天井面1に近づく方向を「上」、天井面1から遠ざかる方向を「下」と称するが、天井以外を設置面とする場合には、「上」を設置面に近づく方向、「下」を設置面から遠ざかる方向と読み替えることができる。
【0032】
図3には、下方から見た取り付けベースの拡大斜視図、図4には、上方から見た取り付けベースの拡大斜視図(ネジやリード線等の一部を省略する)を示す。この取り付けベース10は、全体として略平板状に形成されており、一対のネジ孔11、配線孔12、及び、複数のベース側接続端子13を備えている。各ネジ孔11は、取り付けベース10を天井面1に固定するための貫通孔で、このネジ孔11にネジ11aを挿通させて天井面1にネジ込むことにより、取り付けベース10を天井面1に固定することができる。このネジ孔11は長孔状に形成されており、その長手方向に沿って、取り付けベース10の天井面1に対する取り付け位置を容易に調整可能である。また、配線孔12は、取り付けベース10の平面略中央位置に設けられており、天井面1から引き出されたリード線2を、この配線孔12に挿通させて、ベース側接続端子13に向けて引き込むことができる。このように引き込まれたリード線2の芯線の端部は、ベース側接続端子13に電気的に連通するネジ13fによって取り付けベース10に固定されている。
【0033】
また、ベース側接続端子13は、リード線2からの電力の受電と、ベースサウンダー20又は火災感知器30との間における信号の入出力を行う電気的な接続手段である。さらに、ベース側接続端子13は、取り付けベース10と、ベースサウンダー20又は火災感知器30との構造的な接続を行うための接続手段としても機能する。具体的には、ベース側接続端子13は、設置面である天井面1に略平行に配置された(ベースサウンダー20の着脱方向に対して略直交するように配置された)2枚の金属製のプレート13a、13bを上下に重合させて構成されており、取り付けベース10の下面にネジ13cにて固定されている。
【0034】
そして、この2枚のプレート13a、13bの間に、ベースサウンダー20の後述する出力器側接続端子23のプレート23aを挟持させることで、取り付けベース10にベースサウンダー20を構造的及び電気的に固定することができる。あるいは、この2枚のプレート13a、13bの間に、火災感知器30の後述する警報器側接続端子32のプレート32aを挟持させることで、取り付けベース10に火災感知器30を構造的及び電気的に固定することができる。特に、プレート13aの非固定側の端部13dは、下方に若干屈曲されており、プレート13a、13bの間に他のプレート23a、32aをスムーズに受け入れることができる。また、プレート13bの非固定側の端部13eは、これらプレート13a、13bの間に入り込むように若干屈曲されており、その弾性的反発力によって端部13eがプレート13aに向けて付勢されることから、プレート13a、13bと他のプレート23a、32aとの接触が確実に維持される。この接続の具体的手順については後述する。
【0035】
次に、ベースサウンダー20について説明する。図5は、下方から見たベースサウンダーの拡大斜視図、図6は、上方から見たベースサウンダーの拡大斜視図、図7は、ベースサウンダーの分解斜視図である。これら各図に示すように、ベースサウンダー20は、概略的に、ベースカバー21と、サウンダー本体22とを備えて構成されている。
【0036】
このうち、ベースカバー21は、取り付けベース10の全体を略覆うことにより、この取り付けベース10を外部から非露出状としてその意匠性や防塵性及び音響特性の向上を図るものである。具体的には、ベースカバー21は、図6に示すように、取り付けベース10より若干大きな径の中空椀状に形成されており、その内部に取り付けベース10を収容可能である。
【0037】
このベースカバー21の上面には、出力器側接続端子23が設けられている。この出力器側接続端子23は、取り付けベース10からの電力の受電と、取り付けベース10との間における信号の入出力を行う電気的な接続手段である。また、出力器側接続端子23は、当該ベースカバー20を取り付けベース10に対して構造的に接続するための接続手段として機能する。具体的には、この出力器側接続端子23は、天井面1に略平行に配置された1枚の金属製のプレート23aから形成されている。このプレート23aは、ベースカバー21の上面よりも若干上方に距離を隔てて配置されており、その端部においてネジ24にてベースカバー21に固定されている。そして、このプレート23aを、図3のベース側接続端子13の2枚のプレート13a、13bの間に挟持させることで、取り付けベース10にベースサウンダー20を構造的及び電気的に固定することができる。この接続の具体的手順については後述する。
【0038】
次に、サウンダー本体22について説明する。図8は、上方から見たサウンダー本体の拡大斜視図、図9は、図8の分解斜視図、図10は、ベースサウンダーを取り付けベース及び火災感知器と共に示す縦断面図である。このサウンダー本体22は、ベースサウンダー20の主要な電気的構成要素を収容するもので、特許請求の範囲における出力器本体に対応する。具体的には、サウンダー本体22は、上部筐体25aと下部筐体25bとを組み合わせることによって、図1の火災感知器30と略同径の中空円盤状に形成され、その内部には回路基板26が収容されている。この回路基板26には、ベースサウンダー20の電気的構成要素、例えば、図示しない中央制御部や電源制御部が配置されている。また、サウンダー本体22の平面略中央における上方寄りの位置には、警報音の音源であるピエゾ素子27が配置されている。このピエゾ素子27は、回路基板26に電気的に接続されており、電圧を印加されることで伸縮して警報音を発する。
【0039】
また、図5、7に戻り、サウンダー本体22の下面には、第2の出力器側接続端子28が設けられている。この第2の出力器側接続端子28は、図1の火災感知器30に対する電力の供給と、火災感知器30との間における信号の入出力を行う電気的な接続手段である。また、第2の出力器側接続端子28は、火災感知器30との構造的な接続を行うための接続手段として機能する。ここで、サウンダー本体22における第2の出力器側接続端子28の位置及び形状は、取り付けベース10におけるベース側接続端子13の位置及び形状と略同一とされている。すなわち、第2の出力器側接続端子28は、図示しない天井面1に略平行に配置された2枚の金属製のプレート28a、28bを上下に重合させて構成されており、サウンダー本体22の下面にネジ28cにて固定されている。そして、この2枚のプレート28a、28bの間に、火災感知器30の後述する感知器側接続端子32のプレート32aを挟持させることで、ベースサウンダー20に火災感知器30を構造的及び電気的に固定することができる。特に、プレート28aの非固定側の端部28dは、下方に若干屈曲されており、プレート28a、28bの間にプレート32aをスムーズに受け入れる。また、プレート28bの非固定側の端部28eは、これらプレート28a、28bの間に入り込むように若干屈曲されており、その弾性的反発力によって端部28eがプレート28aに向けて付勢されることから、プレート28a、28bとプレート32aとの接触が確実に維持される。この接続の具体的手順については後述する。
【0040】
次に、このように構成されたベースカバー21とサウンダー本体22との相互の連結構造について説明する。図11は、ベースカバーを下方から見た平面図である。これら図7から11に示すように、ベースカバー21の両側面のうち、サウンダー本体22に対向する側面(下面)には、このサウンダー本体22に向けて延出する中空筒状の複数の連結柱21a、21bが一体に設けられている。これら複数の連結柱21a、21bのうち、一部の連結柱21aは、製造上の位置合わせを容易にすることと、ベースカバーに天井裏からの水滴が溜まった際の水抜き孔、および取り付けベースのロック機構解除ピンを警報器側から挿入する孔を兼ねている。
【0041】
また、他の連結柱21bは、図6の出力器側接続端子23及び図7の第2の出力器側接続端子28の平面位置に略対応する位置に形成されている。一方、図8から11に示すように、サウンダー本体22には、回路基板26から電気的に接続されたネジ22aが設けられており、このネジ22aが上部筐体25aを貫通して上方に突出している。このネジ22aは、図7の連結柱21bの内部に挿通され、その一端が出力器側接続端子23に電気的に接続される。また、ネジ28cは、第2の出力器側接続端子28を回路基板26から伸びる金具26aに電気的に接続する。このような構造によって、出力器側接続端子23、ネジ22a、及び、第2の出力器側接続端子28が電気的に接続される。そして、このように連結柱21b及びネジ22aを介して電気的接続を行うことで、図2、3に示したリード線2をベースサウンダー20に挿通させる必要がなくなり、ベースサウンダー20にリード線2の引き込み用の貫通孔を形成する必要がなくなるので、図9のピエゾ素子27やその他の構成要素の配置の自由度を高めることができる。
【0042】
次に、ベースサウンダー20の音響構造について説明する。図10に示すように、サウンダー本体22の内部には共鳴空間部27aが形成されており、この共鳴空間部27aの内部にピエゾ素子27が配置されている。この共鳴空間部27aは、ピエゾ素子27から発生した警報音を共鳴効果によって増幅する。また、共鳴空間部27aは放音開口部25cに連通している。この放音開口部25cは、ピエゾ素子27から出力され共鳴空間部27aにて増幅された警報音を、ベースカバー21とサウンダー本体22との間の増幅空間部27bに向けて放音するための放音口である。このように放音された警報音は、増幅空間部27bによってさらに増幅される。すなわち、増幅空間部27bの断面は、平面中心位置から平面外側方向(図10における左右に至る方向)に至るにつれて徐々に大きくなるように形成されており、ホーン効果によって警報音を増幅させる。そして、このように増幅された警報音が、空間部27bから、ベースサウンダー20の外部に出力される。
【0043】
ここで、ベースカバー21の外縁部21dは、天井面1に至るにつれて徐々に大径になるように構成されると共に、天井面1に至る滑らかな斜面を形成している。この外縁部21dの天井面1に対する角度は、この外縁部21dに沿って天井面1に導音された警報音が、この天井面1から高効率で反射するように決定されている。従って、警報音は、ベースカバー21の外側面に沿って外縁部21dに至り、この外縁部21dに沿って天井面1に滑らかに導かれ、この天井面1から高効率で監視領域に向けて反射される。
【0044】
また、上記の構造においては、ベースサウンダー20にリード線2の引き込み用の貫通孔を形成する必要がないため、これら共鳴空間部27a、ピエゾ素子27、及び、放音開口部25cは、ベースサウンダー20の平面略中央位置に配置されている。また、増幅空間部27bは、ベースサウンダー20の平面略中央位置を中心として側方に略均一に広がるように形成されている。従って、警報音の増幅や拡散が平面的にバランスよく行われ、この警報音がベースサウンダー20の周囲に略均等に出力されるので、音響効率を向上させることができる。
【0045】
次いで、火災感知器30について説明する。ただし、この火災感知器30は、特記する部分を除いて従来の火災感知器と略同様に構成することができ、従来の火災感知器と略同様の構成についてはその説明を省略する。図1に示すように、この火災感知器30の筐体31の上方部は、ベースサウンダー20のサウンダー本体22と略同径の中空椀状に形成され、当該火災感知器30をベースサウンダー20に固定した状態においては、火災感知器30の側面とベースサウンダー20の側面とが相互に略面一になり、意匠上の一体感を生み出す。
【0046】
図12は、火災感知器を上方から見た斜視図である。この図12に示すように、火災感知器30の上方の面には、警報器側接続端子32が設けられている。この警報器側接続端子32は、火災感知器30に対する電力の供給と、ベースサウンダー20又は取り付けベース10との間における信号の入出力を行う電気的な接続手段である。また、警報器側接続端子32は、ベースサウンダー20又は取り付けベース10との構造的な接続を行うための接続手段として機能する。このため、火災感知器30における警報器側接続端子32の位置及び形状は、図6のベースカバー21における出力器側接続端子23の位置及び形状と略同一に形成されている。具体的には、警報器側接続端子32は、図示しない天井面1に略平行に配置された1枚の金属製のプレート32aから形成されている。このプレート32aは、火災感知器30の上面から若干距離を隔てて配置されており、その端部においてネジ32bにて火災感知器30に固定されている。そして、このプレート32aを、図7のベースサウンダー20第2の出力器側接続端子28の2枚のプレート28a、28bの間に挟持させることで、ベースサウンダー20に火災感知器30を構造的及び電気的に固定することができる。あるいは、このプレート32aを、図3の取り付けベース10のベース側接続端子13の2枚のプレート13a、13bの間に挟持させることで、取り付けベース10に火災感知器30を構造的及び電気的に固定することができる。この接続の具体的手順については後述する。
【0047】
次に、各部の接続手順について詳細に説明する。まず、図3において、取り付けベース10を天井面1に下方から押し付け、そのネジ孔11にネジ11aを挿通させて天井面1にネジ込むことで、取り付けベース10を天井面1に固定する。また、天井面1から引き出したリード線2を、配線孔12を通して下方に引き出し、ネジ13fによって取り付けベース10に固定する。
【0048】
次に、ベースサウンダー20を取り付ける場合には、図2において、製品としては予めベースカバー21とサウンダー本体22とが相互に組み付けられており、この組み付けられたベースサウンダー20を、下方から取り付けベース10に押し当てる。この時、図13の接続前の接続端子の拡大斜視図に示すように、取り付けベース10のベース側接続端子13のプレート13a、13bと、ベースカバー21の出力器側接続端子23のプレート23aとは、それぞれ天井面1に略平行な状態、すなわち、相互に略平行な状態にある。従って、ベースサウンダー20を、設置面である天井面1に沿って所定角度だけ回転させることにより、図14の接続後の接続端子の拡大斜視図に示すように、この回転に伴って回転されたプレート23aが、プレート13a、13bの間に挿入され挟持される。この挟持状態においては、出力器側接続端子23がベース側接続端子13に係止されるので、出力器側接続端子23がベース側接続端子13と接触することで両者が導通可能になり、取り付けベース10にベースサウンダー20を電気的に接続することができる。また同時に、これらプレート13a、13bとプレート23aとが天井面1に略平行な方向(略水平方向)に沿って配置されていることで、鉛直方向に加わるベースサウンダー20の自重がベース側接続端子13にて支持されるので、ネジ止め等の他の固定手段を用いることなく、取り付けベース10にベースサウンダー20を構造的に支持させることができる。なお、ベースサウンダー20を、取り付け時とは逆方向に回転させることで、取り付けベース10から容易に取り外すことができる。
【0049】
その後、図2において、火災感知器30をベースサウンダー20に取り付ける場合には、ベースサウンダー20を取り付けベース10に取り付けた時と略同じ作業を行えばよい。すなわち、火災感知器30を、下方からベースサウンダー20に押し当て、設置面である天井面1に沿って所定角度だけ回転させる。すると、この回転に伴って回転された図12の警報器側接続端子32のプレート32aが、図7のサウンダー本体22の第2の出力器側接続端子28のプレート28a、28bの間に挿入され挟持される。この挟持状態においては、警報器側接続端子32が第2の出力器側接続端子28に係止されるので、警報器側接続端子32が第2の出力器側接続端子28と接触することで両者が導通可能になり、ベースサウンダー20に火災感知器30を電気的に接続することができる。また同時に、これらプレート28a、28bとプレート32aとが天井面1に略平行な方向(略水平方向)に沿って配置されていることで、鉛直方向に加わる火災感知器30の自重が第2の出力器側接続端子28にて支持されるので、ネジ止め等の他の固定手段を用いることなく、ベースサウンダー20に火災感知器30を構造的に支持させることができる。なお、火災感知器30を、取り付け時とは逆方向に回転させることで、ベースサウンダー20から容易に取り外すことができる。
【0050】
一方、ベースサウンダー20を省略し、火災感知器30のみを取り付けベース10に直接取り付ける場合においても、火災感知器30をベースサウンダー20に取り付けるのと略同じ作業を行えばよい。すなわち、取り付けベース10を天井面1に取り付けた後、火災感知器30を、下方から取り付けベース10に押し当て、天井面1に沿って所定角度だけ回転させる。この状態において、取り付けベース10のベース側接続端子13のプレート13a、13bと、火災感知器30の警報器側接続端子32のプレート32aとは、相互に平行な状態にあるため、火災感知器30の回転に伴って回転されたプレート32aが、2枚のプレート13a、13bの間に挿入され挟持される。この挟持状態においては、警報器側接続端子32がベース側接続端子13に係止されるので、警報器側接続端子32がベース側接続端子13と接触することで両者が導通可能になり、取り付けベース10に火災感知器30を電気的に接続することができる。また同時に、これらプレート13a、13bとプレート32aとが天井面1に略平行な方向(略水平方向)に沿って配置されていることで、鉛直方向に加わる火災感知器30の自重がベース側接続端子13にて支持されるので、ネジ止め等の他の固定手段を用いることなく、取り付けベース10に火災感知器30を構造的に支持させることができる。なお、火災感知器30を、取り付け時とは逆方向に回転させることで、取り付けベース10から容易に取り外すことができる。
【0051】
なお、最初に火災感知器30をベースサウンダー20に取り付けた後、これらをまとめて取り付けベース10に取り付けてもよい。また、取り付けベース10にベースサウンダー20のみを取り付けて、火災感知器30を省略することもできる。このように火災感知器30を省略する場合には、取り付けベース10にベースサウンダー20を取り付けた後、このベースサウンダー20に図示しないカバーを被せることで、その第2の出力器側接続端子28等を覆って、安全性と意匠性を確保することもできる。また、高所の取り付けベース10に火災感知器30のみが既設されているような場合においては、火災感知器30やベースサウンダー20を保持可能な取り外し器を長尺の竿の先に固定し、この取り外し器を用いて、火災感知器30を取外した後、ベースサウンダー20及び火災感知器30を順次取り付けることができる。このように各部の回転のみによって着脱作業を行うことができるので、高所作業も容易に行うことができる。
【0052】
このように実施例1によれば、各部の取り付けを略同様の手順で行うことができるので、取り付け作業の共通化を図ることができる。また、ベースサウンダー20の有無に関わらず、同一の取り付けベース10を用いることができ、取り付け作業が容易になる。さらには、ベースサウンダー20や火災感知器30の取り付けにはネジ止めを必要としないので、ネジや作業工具が不要になり、取り付け作業が一層容易になる。
【実施例2】
【0053】
次に、実施例2について説明する。この実施例2は、壁面に固定され、別の位置に取り付けられた火災感知器からの出力を受けた受信機の制御に基づいて警報音を出力する警報出力器(以下、ウォールサウンダーと称する)に関するものである。ただし、特に説明なき構成については、実施例1と同様であり、実施例1と略同一の構成については、必要に応じて、実施例1の説明中に使用した符号と同一の名称又は符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図15は、実施例2に係るウォールサウンダー等の斜視図、図16は、図15のウォールサウンダー等の分解斜視図である。これら各図に示すように、設置面である壁面3には、取り付けベース10が固定され、この取り付けベース10にウォールサウンダー40が取り付けられている。なお、この実施例2では、説明の便宜上、必要に応じて、ウォールサウンダー40を中心として、壁面3に近づく方向を「内」、壁面3から遠ざかる方向を「外」と称するが、壁面3以外を設置面とする場合には、「内」を設置面に近づく方向、「外」を設置面から遠ざかる方向と読み替えることができる。
【0055】
ここで、取り付けベース10は、実施例1と同様に構成されており、その外面にはベース側接続端子13が設けられている。そして、このベース側接続端子13には、壁面3から引き出されたリード線2が接続されている。
【0056】
また、ウォールサウンダー40は、取り付けベース10を略覆う外径の筐体41に、音源である図示しないピエゾ素子を収容して構成されている。この筐体41の外側部42は外側に至るにつれて広幅になる拡声器類似の形状に形成され、ピエゾ素子から出力された警報音が図示しない開口部を介してこの外側部42に導音され、この外側部42にて増幅されて外部に出力される。
【0057】
図17は、内側から見たウォールサウンダーの斜視図である。ウォールサウンダー40の内側の面には、実施例1のベースサウンダー20の出力器側接続端子23と同様の位置及び形状に形成された出力器側接続端子43が設けられている。この出力器側接続端子43は、図17の状態において、設置面である壁面3に略平行に配置されたプレート43aを有して構成されている。従って、ウォールサウンダー40を取り付けベース10に押し当て、壁面3に沿って所定角度だけ回転させると、この回転に伴って回転されたプレート43aが、ベース側接続端子13のプレート13a、13bの間に挿入され挟持され、ウォールサウンダー40を取り付けベース10に固定することができる。なお、ウォールサウンダー40を、取り付け時とは逆方向に回転させることで、取り付けベース10から容易に取り外すことができる。
【0058】
ここで、従来は、ウォールサウンダー40に専用の図示しない取り付けベースを壁面3に固定し、この専用の取り付けベースにウォールサウンダー40を固定していた。具体的には、壁面3から引き出したリード線2を、この専用の取り付けベースを貫通させて引き込み、ウォールサウンダー40の内側の面に設けた接続端子に接続していた。その後、長尺状のネジを、ウォールサウンダー40の外側から差し入れ、このウォールサウンダー40を貫通させて取り付けベースにネジ込むことで、ウォールサウンダー40を固定していた。これに対して、上述した実施例2によれば、取り付けベース10には、実施例1のベースサウンダー20や火災感知器30を取り付けることができ、またこの取り付けと同様の手順にて、ウォールサウンダー40を取り付けることができる。従って、ウォールサウンダー40の取り付けをベースサウンダー20や火災感知器30の取り付けと共通化できる。また、これらウォールサウンダー40と、ベースサウンダー20や火災感知器30とを相互に容易に交換できる。さらに、ウォールサウンダー40の取り付けにはネジ止めを必要としないので、ネジや作業工具が不要になり、取り付け作業が一層容易になる。
【実施例3】
【0059】
次に、実施例3について説明する。この実施例3は、天井面に固定されたベースサウンダーに対してさらに重合的に固定されるもので、火災感知器からの出力に基づいて警報表示を行う警報出力器(以下、ベースビーコンと称する)に関するものである。ただし、特に説明なき構成については、実施例1と同様であり、実施例1と略同一の構成については、必要に応じて、実施例1の説明中に使用した符号と同一の名称又は符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図18は、実施例3に係るベースビーコン等の斜視図、図19は、図18のベースビーコン等の分解斜視図である。これら図18、19に示すように、設置面である天井面1には、取り付けベース10が固定され、この取り付けベース10の下方にはベースサウンダー20が取り付けられている。そして、このベースサウンダー20の下方にはベースビーコン50が取り付けられ、このベースビーコン50の下方にさらに火災感知器30が取り付けられている。なお、これら取り付けベース10、ベースサウンダー20、及び、火災感知器30は、実施例1と略同様に構成できるのでその説明は省略する。
【0061】
ここで、ベースビーコン50は、ベースサウンダー20と略同様の外径を有する円筒状の筐体51に、発光源である図示しないLEDを内蔵して構成されている。この筐体51の側部の全周にはクリアレンズ52が嵌め込まれており、LEDから発光された光がこのクリアレンズ52を介して外部に放出される。
【0062】
図20は、上方から見たベースビーコンの斜視図である。この図20に示すように、ベースビーコン50の上面には、実施例1のベースサウンダー20の出力器側接続端子23と同様の位置及び形状にて、出力器側接続端子53が設けられている。この出力器側接続端子53はプレート53aを有して構成されており、このプレート53aは、ベースビーコン50を図19のように配置した状態において、設置面である天井面1に略平行に配置される。従って、ベースビーコン50を、ベースサウンダー20に下方から押し当て、天井面1に沿って所定角度だけ回転させると、この回転に伴って回転された出力器側接続端子53のプレート53aが、プレート53aの第2の出力器側接続端子28のプレート28a、28bの間に挿入され挟持され、ベースビーコン50をベースサウンダー20に固定できる。また、この取り付けと同様の手順にて、実施例1の火災感知器30の場合と同様に、ベースサウンダー20を省略して、このベースビーコン50を取り付けベース10に直接取り付けることもできる。なお、ベースビーコン50を、取り付け時とは逆方向に回転させることで、ベースサウンダー20から容易に取り外すことができる。
【0063】
また、図19に示すように、ベースビーコン50の下面には、実施例1ベースサウンダー20の第2の出力器側接続端子28と同様の位置及び形状にて、第2の出力器側接続端子54が設けられている。この第2の出力器側接続端子54は2枚のプレート54a、54bを重合して構成されており、これらプレート54a、54bは、ベースビーコン50を図19のように配置した状態において、設置面である天井面1に略平行に配置される。従って、火災感知器30を、ベースビーコン20に下方から押し当て、天井面1に沿って所定角度だけ回転させると、この回転に伴って回転された火災感知器30の図示しない警報器側接続端子32のプレート32aが、第2の出力器側接続端子54のプレート54a、54bの間に挿入され挟持されるので、火災感知器30をベースビーコン50に電気的及び構造的に固定することができる。なお、火災感知器30を、取り付け時とは逆方向に回転させることで、ベースビーコン50から容易に取り外すことができる。
【0064】
ここで、従来は、ベースビーコン50は火災感知器30と同様な形状で、火災感知器30と共通の取り付けベース10に取り付けられていた。従って、火災感知器30と同軸に設置することが出来なかったが、この実施例3においては、実施例1のベースサウンダー20と同様な接続構造を採用することで、ベースビーコン50の下面に火災感知器30を接続することも可能になる。上述した実施例3によれば、取り付けベース10には、実施例1のベースサウンダー20や火災感知器30を取り付けることができ、またこの取り付けと同様の手順にて、ベースビーコン50を取り付けベース10やベースサウンダー20に取り付けることができる。従って、ベースビーコン50の取り付けをベースサウンダー20や火災感知器30の取り付けと共通化できる。また、これらベースビーコン50と、ベースサウンダー20や火災感知器30とを相互に容易に交換できる。さらに、ベースビーコン50の取り付けにはネジ止めを必要としないので、ネジや作業工具が不要になり、取り付け作業が一層容易になる。
【0065】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明の具体的な構成及び方法は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0066】
まず、各実施例の構成は、他の実施例に適用することもできる。例えば、実施例1、3においては、火災感知器30を最下方に配置してその火災感知能力の増大化を図っているが、警報出力効果を最大化したい場合には、火災感知器30を取り付けベース10に固定し、この火災感知器30の下方にベースサウンダー20やベースビーコン50を固定してもよい。この場合には、火災感知器30の下面に第2の出力器側接続端子28を設ければよい。このように様々な種類の感知器、例えば熱やガスを検出する機能を持たせた感知器の上面と下面に、各実施例に示した接続端子を設けることで、これら各感知器を必要に応じて重合的に組み合わせることができ、複合機能を有する端末機器を構成することが可能になる。
【0067】
また、接続端子の位置及び形状については、各実施例に示した以外にも様々な態様を取り得る。例えば、相互に接続される接続端子の一方を、家庭用電気機器のプラグ接続に用いられるようなオス型端子とし、接続端子の他方を、当該オス型端子を着脱自在に受け入れるメス型端子としてもよい。また、各実施例においては、接続端子によって各部を構造的及び電気的に接続可能としているが、構造的接続については従来と同様のネジ固定にて行い、電気的接続のみを上述した本願構成による接続構造にて行ってもよい。
【0068】
また、本発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、上記に記載されていない課題を解決したり、上記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、各部の接続構造を完全に共通化できていない場合においても、従来よりわずかでも接続効率が向上している限りにおいて、本発明の課題は達成されている。
【0069】
この他、上記文書中や図面中で示した構造例、各部の寸法関係や位置関係、肉厚等については、あくまで例示であり、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0070】
(付記1)
付記1に記載の警報出力器は、監視領域の異常を報知するための所定警報を出力する警報出力器であって、所定の設置面に対向する面に、この設置面に固定される所定の取り付けベースに設けたベース側接続端子に対して、当該警報出力器を構造的及び電気的に接続するための出力器側接続端子を設けたことを特徴とする。
【0071】
(付記2)
また、付記2に記載の警報出力器は、付記1に記載の警報出力器において、さらに、前記監視領域の異常を検出する警報器に接続可能な警報出力器であって、前記警報器に対向する面に、この警報器に設けた警報器側接続端子に対して、当該警報出力器を構造的及び電気的に接続するための第2の出力器側接続端子を設け、これら出力器側接続端子と第2の出力器側接続端子とを電気的に接続したことを特徴とする。
【0072】
(付記3)
また、付記3に記載の警報出力器は、監視領域の異常を検出する警報器に接続可能なものであって、この警報器からの出力に基づいて警報音を出力する警報出力器において、当該警報出力器の設置面に取り付けられる取り付けベースに対して、固定可能なベースカバーと、前記ベースカバーに対して空間部を隔てて固定されるもので、前記警報音を出力する音源部を収容する出力器本体とを備え、前記ベースカバーの前記取り付けベースに対向する面に、当該取り付けベースに設けたベース側接続端子に対して、当該警報出力器を構造的及び電気的に接続するための出力器側接続端子を設け、前記出力器本体の前記警報器に対向する面に、当該警報器に設けた警報器側接続端子に対して、当該警報出力器を構造的及び電気的に接続するための第2の出力器側接続端子を設けたことを特徴とする。
【0073】
(付記4)
また、付記4に記載の警報出力器は、付記1から3のいずれか一項に記載の警報出力器において、前記ベース側接続端子と前記出力器側接続端子のいずれか一方を、前記設置面に略平行に配置される複数のプレートを用いて構成し、いずれか他方を、前記複数のプレートによって挟持されるプレートを用いて構成したことを特徴とする。
【0074】
(付記5)
また、付記5に記載の警報出力器は、付記2から4のいずれか一項に記載の警報出力器において、前記警報器側接続端子と前記第2の出力器側接続端子のいずれか一方を、前記設置面に略平行に配置される複数のプレートを用いて構成し、いずれか他方を、前記複数のプレートによって挟持されるプレートを用いて構成したことを特徴とする。
【0075】
(付記6)
また、付記6に記載の警報出力器は、付記2から5のいずれか一項に記載の警報出力器において、当該警報出力器における前記出力器側接続端子の位置及び形状を、前記取り付けベースにおける前記ベース側接続端子の位置及び形状と略同一にすると共に、当該警報出力器における前記第2の出力器側接続端子の位置及び形状を、前記警報器における前記警報器側接続端子の位置及び形状と略同一にしたことを特徴とする。
【0076】
(付記7)
また、付記7に記載の警報出力器は、付記2から6のいずれか一項に記載の警報出力器において、監視領域の異常を検出する警報器に接続可能なものであって、この警報器からの出力に基づいて警報を出力する警報出力器において、当該警報出力器の設置面に取り付けられる取り付けベースに対して、固定可能なベースカバーと、前記ベースカバーに対して空間部を隔てて固定されるもので、前記警報音を出力する音源部を収容する出力器本体と、前記ベースカバーと前記出力器本体とを相互に連結する連結柱とを備え、前記ベースカバーの前記取り付けベースに対向する面に、前記出力器側接続端子を設け、前記出力器本体の前記警報器に対向する面に、前記第2の出力器側接続端子を設け、前記出力器側接続端子と前記第2の出力器側接続端子との電気的な接続を、前記連結柱を介して行ったことを特徴とする。
【0077】
本発明の警報出力器は、出力器側接続端子を取り付けベースのベース側接続端子に接続することで、警報出力器を取り付けベースに構造的及び電気的に接続することができるので、警報出力器の取り付けに際してネジやネジ止め用の作業工具が不要になり、警報出力器の取り付け作業が容易になる。
【0078】
また、本発明の警報出力器は、第2の出力器側接続端子を警報器の警報器側接続端子に接続することで、警報器を警報出力器に構造的及び電気的に接続することができるので、警報器の取り付けに際してネジやネジ止め用の作業工具が不要になり、警報器の取り付け作業が容易になる。
【0079】
また、本発明の警報出力器は、設置面に略平行に配置される複数のプレートに、他のプレートを挟持させることによって端子間接続を行っているので、警報出力器や警報器の自重が設置面に対して直交する方向に加わった場合においても、これをプレートにて支持でき、警報出力器や警報器の構造的及び電気的な接続が可能になる。
【0080】
また、本発明の警報出力器は、警報出力器における出力器側接続端子の位置及び形状を、取り付けベースにおけるベース側接続端子の位置及び形状と略同一にすると共に、警報出力器における第2の出力器側接続端子の位置及び形状を、警報器における警報器側接続端子の位置及び形状と略同一にしたので、取り付けベースに対する警報出力器の接続構造、取り付けベースに対する警報器の接続構造、及び、警報出力器に対する警報器の接続構造を、相互に共通化できる。従って、同一の取り付けベースに対して、警報出力器と警報器のいずれを取り付けることもでき、取り付け作業が容易になる。例えば、警報器のみが既設されている場合にさらに警報出力器を取り付けるような場合にも、取り付けベースを交換する必要がなくなり、取り付け作業が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明に係る火災警報システムは、設置面への警報出力器の取り付けの作業性や、警報出力器による警報の出力効率を向上させることに有用である。
【符号の説明】
【0082】
1、102 天井面
2 リード線
3 壁面
10、101 取り付けベース
11、106 ネジ孔
11a、13c、21c、22a、28c、32b、107 ネジ
12、108、109 配線孔
13 ベース側接続端子
13a、13b、23a、28a、28b、32a、43a、53a、54a、54b プレート
20、100 ベースサウンダー
21 ベースカバー
21a、21b 連結柱
21d 外縁部
22 サウンダー本体
23、43、53 出力器側接続端子
25a 上部筐体
25b 下部筐体
25c 放音開口部
26、104 回路基板
26a 金具
27、105 ピエゾ素子
27a 共鳴空間部
27b 増幅空間部
28、54 第2の出力器側接続端子
30、103 火災感知器
31、41、51 筐体
32 警報器側接続端子
40 ウォールサウンダー
42 外側部
50 ベースビーコン
52 クリアレンズ
111 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の設置面に固定される取り付けベースに対して、監視領域の異常を検出する警報器と所定警報を出力する警報出力器とをそれぞれ直接的に取り付け可能にすると共に、前記取り付けベースに取り付けた前記警報器又は前記警報出力器のいずれか一方に対して前記警報器又は前記警報出力器のいずれか他方を取り付け可能とした、
火災警報システム。
【請求項2】
所定の設置面に固定される取り付けベースに対して、監視領域の異常を検出する警報器と所定警報を出力する複数の警報出力器の各々とをそれぞれ直接的に取り付け可能とし、かつ、
前記取り付けベースに取り付けた前記警報器に対して前記複数の警報出力器を重合状に取り付け可能とするか、あるいは、前記取り付けベースに重合状に取り付けた前記複数の警報出力器に対して前記警報器を取り付け可能とした、
火災警報システム。
【請求項3】
所定の設置面に固定される取り付けベースに対して、監視領域の異常を検出する警報器と所定警報を出力する一つ又は複数の警報出力器との中から、少なくとも2つ選択された前記警報器又は前記警報出力器を重合状に取り付け可能とした、
火災警報システム。
【請求項4】
前記取り付けベースと前記警報器との固定構造、前記取り付けベースと前記警報出力器との固定構造、及び前記警報器と前記警報出力器との固定構造を、相互に同一とした、
請求項1から3のいずれか一項に記載の火災警報システム。
【請求項5】
前記取り付けベースと前記警報器との固定構造、前記取り付けベースと前記警報出力器との固定構造、前記警報器と前記警報出力器との固定構造、及び複数の前記警報出力器の相互間の固定構造を、相互に同一とした、
請求項2又は3に記載の火災警報システム。
【請求項6】
前記警報出力器は、警報音を出力するための音源を有するベースサウンダーである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の火災警報システム。
【請求項7】
前記警報出力器は、発光源を有するベースビーコンである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の火災警報システム。
【請求項8】
複数の前記警報出力器のうち、少なくとも一部は、警報音を出力するための音源を有するベースサウンダーであり、他の少なくとも一部は、発光源を有するベースビーコンである、
請求項2から5のいずれか一項に記載の火災警報システム。
【請求項9】
前記取り付けベースに対して、前記警報器又は前記警報出力器に代えて、所定警報を出力するウォールサウンダーを取り付け可能とした、
請求項1から8のいずれか一項に記載の火災警報システム。
【請求項10】
前記取り付けベースと前記警報器との固定構造、前記取り付けベースと前記警報出力器との固定構造、前記警報器と前記警報出力器との固定構造、及び前記取り付けベースと前記ウォールサウンダーとの固定構造を、相互に同一とした、
請求項9に記載の火災警報システム。
【請求項11】
前記取り付けベースに取り付けた前記警報出力器に対して、前記警報器に代えて、カバーを取り付け可能とした、
請求項1から10のいずれか一項に記載の火災警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−259261(P2009−259261A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149037(P2009−149037)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【分割の表示】特願2007−526723(P2007−526723)の分割
【原出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】