説明

火災警報システム

【課題】種々の機能を一体的に作動させることにより、火災による人的被害と物的被害とを効果的に防止し得る火災警報システムを提供する。
【解決手段】建物における各部屋内には、火災による煙を感知する煙感知器1と、火災による熱を感知する熱感知器3と、部屋内に散水する散水器5と、光による警告を与える警告灯7と、音による警告を与える警報器9とを配設し、建物における管理室内には、火元表示板21と、光による警告を与える警告灯23と、音による警告を与える警報器25とを配設し、一部屋の煙感知器が火災による煙を感知したときには、各部屋及び管理室の警告灯と警報器をと作動させると共に管理室の火元表示板に火元となっている部屋を表示させ、一部屋の熱感知器が火災による熱を感知したときには、当該部屋の散水器に散水させるようにしたことを特徴とする火災警報システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災警報システム(火災警報装置)に関するものである。本発明による火災警報システムは、ホテル、旅館、寮、アパート、マンション、レストラン、ビル、事務所、学校、工場、店舗、病院、住宅等の種々の建物に使用される。
【背景技術】
【0002】
火災が発生したときにこれを感知して警報音を発するようにした火災警報システム(以下「従来の火災警報システム」という。)は、例えば特開平5−233981号公報等において既に開示されている。また、建物内に配設される散水器も知られている。
【特許文献1】特開平5−233981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の火災警報システムは、火災発生時に火災発生の事実を建物内の居住者に知らせるという点においては、好ましいものである。
【0004】
しかしながら、上記従来の火災警報システムにおいては、単に、火災発生時に火災発生の事実を建物内の居住者に知らせるのみでは、火災による人的被害と物的被害とを防止するという意味では必ずしも十分ではないという問題がある。また、上記従来の火災警報システムと散水器とが併設されているとしても、これらの機能が相互にばらばらに作動していたのでは、火災による人的被害と物的被害とを十分に防止することができない。
【0005】
このような状況に鑑み、本発明は、上記従来の火災警報システムにおける上述の問題を解決し、種々の機能を一体的に作動させることにより、火災による人的被害と物的被害とを効果的に防止し得る火災警報システムを提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、下記の火災警報システムを提供するものである。
【0007】
建物における各部屋内には、火災による煙を感知する煙感知器と、火災による熱を感知する熱感知器と、部屋内に散水する散水器と、光による警告を与える警告灯と、音による警告を与える警報器とを配設し、
建物における管理室内には、火元表示板と、光による警告を与える警告灯と、音による警告を与える警報器とを配設し、
一部屋の煙感知器が火災による煙を感知したときには、各部屋及び管理室の警告灯と警報器をと作動させると共に管理室の火元表示板に火元となっている部屋を表示させ、
一部屋の熱感知器が火災による熱を感知したときには、当該部屋の散水器に散水させるようにしたことを特徴とする火災警報システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、火災発生時には、各部屋と管理室とに光と音とによる警告を与えて火災の発生を知らせると共に管理室には火元表示板により火元となっている部屋を知らせる。したがって、各部屋内にいる人と管理室内の担当者は、火災の発生を直ちに知ることができる。管理室内の担当者は、建物内の放送等の手段により、各部屋内の人に火災の発生とその火元を知らせると共に避難を促し、更に消防機関に火災の発生と火元の位置を通報することにより消防機関の出動を依頼することができる。
【0009】
また、部屋の熱感知器が火災による熱を感知したときには、当該部屋のみの散水器に散水させるようにしたため、初期消火の点で大きな効果が発揮される。
【0010】
したがって、本発明によれば、種々の機能を一体的に作動させることにより、火災による人的被害と物的被害とが効果的に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
建物における各部屋内には、火災による煙を感知する煙感知器1と、火災による熱を感知する熱感知器3と、部屋内に散水する散水器(スプリンクラー)5と、光による警告を与える警告灯7と、音による警告を与える警報器9とを配設する。
【0012】
煙感知器1と、熱感知器3と、散水器5と、警告灯7と、警報器9とは、好ましくは、部屋の天井下面にまとめて配設する。
【0013】
煙感知器1は、火災による煙を感知したときに作動し、タバコの煙の如き少量の煙では作動しないようになす。
【0014】
熱感知器3は、一例として65℃以上の熱を感知したときに作動するようになす。
【0015】
散水器5は、一例として環状パイプ5aに多数の散水孔5bを備えさせてなるものである。散水器5は、当該部屋内に散水することにより、当該部屋の火災を初期段階で消火するものである。
【0016】
符号11に示すものは、散水器5に水を供給する給水管である。給水管11には、熱感知器3が発する信号により作動する自動開閉弁13が設けられている。符号15に示すものは自動開閉弁13用のバッテリーである。符号17に示すものは訓練用コック、符号19に示すものは手動コックである。
【0017】
警告灯7は、一例として赤色点滅灯とし、火災の発生を光で知らせるのみならず、夜間においても避難すべき方向が分かるようにするものである。
【0018】
警報器9は、火災の発生を音で知らせるものであり、例えばベル、ブザー、スピーカー等とする。
【0019】
一方、建物における管理室内には、火元表示板21と、光による警告を与える警告灯23と、音による警告を与える警報器25とを配設する。
【0020】
火元表示板21は、火元となっている部屋を表示するものである。例えば、図1に示す事例においては、火元表示板21は5階の7号室(507号室)を示す部分が点灯しており、5階の7号室(507号室)が火元であることを表示している。
【0021】
管理室内の警告灯23は、火災の発生を光で知らせるものであり、一例として赤色点滅灯とする。
【0022】
管理室内の警報器25は、火災の発生を音で知らせるものであり、例えばベル、ブザー等とする。
【0023】
符号27に示すものは、各部屋の警報器9により放送すべき音声を録音したテープ、ディスク等の録音手段である。
【0024】
一部屋の煙感知器1が火災による煙を感知したときには、該煙感知器1は、信号を送ることにより、各部屋及び管理室の警告灯7、23と警報器9、25とを作動させると共に管理室の火元表示板21に火元となっている部屋を表示させる。
【0025】
一部屋の熱感知器3が火災による熱を感知したとき、すなわち一定温度以上の熱を感知したときには、熱感知器3は、信号を送ることにより、当該部屋の散水器5に散水させる。なお、熱感知器3が感知する温度が一定の値を下回ったときには、散水器5を停止させるようになす。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による火災警報システムの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 煙感知器
3 熱感知器
5 散水器
5a 環状パイプ
5b 散水孔
7 警告灯
9 警報器
11 給水管
13 自動開閉弁
15 バッテリー
17 訓練用コック
19 手動コック
21 火元表示板
23 警告灯
25 警報器
17 録音手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物における各部屋内には、火災による煙を感知する煙感知器と、火災による熱を感知する熱感知器と、部屋内に散水する散水器と、光による警告を与える警告灯と、音による警告を与える警報器とを配設し、
建物における管理室内には、火元表示板と、光による警告を与える警告灯と、音による警告を与える警報器とを配設し、
一部屋の煙感知器が火災による煙を感知したときには、各部屋及び管理室の警告灯と警報器をと作動させると共に管理室の火元表示板に火元となっている部屋を表示させ、
一部屋の熱感知器が火災による熱を感知したときには、当該部屋の散水器に散水させるようにしたことを特徴とする火災警報システム。

【図1】
image rotate