説明

火災警報器

【課題】 天井面等の設置面にあっても押しボタンが押しやすい火災警報器を得る。
【解決手段】 円形状の筐体の中央に円筒状の検出部が形成される火災警報器であって、該検出部近傍から前記筐体外周近傍にかかる大きさの押しボタンを有するものである。このような大きさの押しボタンに形成したので、火災警報器が天井等の設置面にあっても、押しボタンが大きいので操作しやすく、目標を定める必要がない高齢者でも押しやすい押しボタンとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、火災に基づく煙や熱等を検出して警報音を鳴動する火災警報器が利用されており、とくに戸建の住宅に適している。このような火災警報器では、警報音が発せられて火災の有無が確認された後にその警報音を停止できるように、音響停止用の押しボタンが設けられている(特許文献1参照)。この押しボタンは、警報音が鳴動していない通常監視状態では試験用の押しボタンとして機能し、音響停止用と兼用されている。
【特許文献1】特開2004−145757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
火災警報器に設けられる押しボタンとしては、その表面に小さな円形の押しボタンが配置されるのが通常である。警報器が天井面等の高所に設けられると、従来の押しボタンでは、正確に押すには小さいことから、大きく押しやすくすることが要望される。
【0004】
したがって、この発明では、天井面等の設置面にあっても押しボタンが押しやすい火災警報器を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1に係る火災警報器は、円形状の筐体の中央に円筒状の検出部が形成される火災警報器であって、該検出部近傍から前記筐体外周近傍にかかる大きさの押しボタンを有することを特徴とするものである。
【0006】
また、この発明の請求項2に係る火災警報器は、押しボタンの形状が、検出部外周に沿う辺と本体外周に沿う辺とによる略四角形状から、前記検出部外周に沿う辺の両端角部を切り欠く略六角形状に形成されているものである。
【0007】
また、この発明の請求項3に係る火災警報器は、検出部外周に沿う辺の両端角部を切り欠いて形成された2辺に沿って、前記検出部から放射状にフィンが形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る火災警報器は、検出部から筐体外周にかかる大きさの押しボタンを有するので、設置面にあっても、押しボタンが大きいので操作しやすく、高齢者でも押しやすい押しボタンとすることができる。
【0009】
また、請求項2に係る火災警報器は、検出部外周に沿う辺の両端角部を切り欠く略六角形状に形成されているので、略四角形状にするときに筐体表面の検出部の配置や検出部から放射状に形成されるフィンの位置に影響を与えず、かつ、検出部を中心とした略扇型状にして裾部分を押すときのたわみによる不動作を防止して、どこを押しても確実に動作させることができる。
【0010】
また、請求項3に係る火災警報器は、押しボタンが配置される開口部分をフィンによって補強することができ、押しボタンを大きくしても、筐体の強度が低下することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1から図4は、この発明を利用する一実施形態としての火災警報器の外観を示す正面図、平面図、側面図および底面図である。
【0012】
図において、火災警報器の筐体は、基台2とカバー部材3とから構成され、その表面となるカバー部材3の中央部分に円筒状の検出部4が形成されているとともに、火災警報を発するための音響口5と、音響停止兼試験用スイッチとしての押しボタン6とが形成されている。
【0013】
基台2は、筐体としての設置機構が形成され、天井面等の設置面にねじ止め等によって固定されるベース部材21が、詳細に説明しないが、着脱自在に嵌合されている。
【0014】
カバー部材3は、筐体として火災を検出するための構造や操作部(さらには表示部)としての機構が形成され、基台2に装着されて、外周部分から中央に向けて盛り上がるように、テーパを有する表面に形成されている。
【0015】
検出部4は、その円筒状の外周部分に流入口41が形成され、図示しないが、その内部にラビリンス構造を備えた暗箱が配置され、発光素子および受光素子を利用して流入してくる煙を検出できるようにされている。
【0016】
また、検出部4の外周には、カバー部材3の開口の支柱であって、放射状に6個のフィン31が形成されていて、検出部4やカバー部材3に強度を持たせている。
【0017】
音響口5は、筐体内の該当する位置に図示しないスピーカが配置され、そのスピーカからの警報音等を外部に放出するための複数の線状の孔が組合されている。この音響口5の形状は、スピーカ等の音響部材の音が放出できれば良く、小さな円形や網状等その他の形状であっても良い。
【0018】
押しボタン6は、その背面に図示しないスイッチ素子が配置され、押しボタン6が押されるときにそのスイッチ素子がオンすることによって、図示しないマイコン等の制御部に入力の有無を認識させる操作部となっている。
【0019】
つぎに、この実施形態の火災警報器における押しボタン6について詳細に説明する。
【0020】
押しボタン6の形状は、図1に示されるように、検出部4の近傍から筐体を構成するカバー部材3の外周近傍にかかる大きさとして、検出部4の外周に沿った曲線状の辺61と、カバー部材3の外周に沿った曲線状の辺62と、略四角形状を形成するような図面上左右方向の辺63、64と、その略四角形状の図面上上側の両角(辺61の両端角部)を切り欠くように形成された辺65、66とによって略六角形状に形成されている。
【0021】
このように、筐体中央の検出部4からカバー部材3の外周にわたる大きさに形成されているので、1本の指の指先で押すという操作でなく、指の2、3本で押しても押せる大きさとすることができ、また、目標を詳細に定める必要がなく、高齢者のような指先が器用でない利用者にも操作しやすくなっている。
【0022】
この押しボタン6には、筐体に固定されて押しボタン6の支点S1、S2が設けられる固定部67が一体成形されていて、各支点S1、S2において固定されることによって、押しボタン6のどの位置を押圧しても図示しないスイッチ素子をオンさせることができるようになっている。
【0023】
すなわち、押しボタン6の辺65、66の検出部4側や辺63、64の外周側を押圧しても、押しボタン6全体が動くので、図示しないスイッチ素子をオンできる。もし、この押しボタン6の形状が、辺65、66を延長した略扇型状に形成されたとすると、その延長上の両端部分で押圧するときに、たわみによりスイッチ素子をオンし辛くなってしまうが、この押しボタン6の形状ではその不具合はない。
【0024】
また、押しボタン6の辺65、66に沿って、円筒状の検出部4からカバー部材3の表面に形成されたフィン31a、31bが配置されている。押しボタン6を利用するため、カバー部材3の該当位置には大きな開口が設けられることとなるが、このフィン31a、31bによってカバー部材3には十分な強度を持たせることができる。
【0025】
そして、押しボタン6の形状を、辺63、64を延長して、略四角形状に形成しようとすると、フィン31a、31bを省くあるいはずらす等の設計変更が必要となるとともに、ずらした位置のフィンでは、カバー部材3の開口を保護できなくなってしまう。その場合には、押しボタン6の押圧操作ミスでカバー部材3を押してしまって、開口部分の周囲を破損することが起こってしまう。
【0026】
また、押しボタン6には、基台2に連通する貫通孔71が形成されている。この貫通孔71は、押しボタン6の表面側から紐のような線状体を通し、基台2の背面側かつベース部材21の脇に引出すことができる。結び目等によって線状体の端部を押しボタン6の表面側に係止することによって、この図示しない線状体を引き、押しボタン6を押圧方向に移動させることができる。
【0027】
この図示しない線状体を引出しておくことによって、天井等の高所の設置面に設けられる火災警報器の筐体表面に設けられている押しボタン6を押し上げるように押圧操作しなくとも、その図示しない線状体を引き下げるように操作することができ、入力操作が容易となる。
【0028】
なお、この図示しない線状体は、外部から挿入できる貫通孔71に形成されているので、火災警報器の筐体を設置面から取り外さなくとも、図示しない線状体の交換作業が可能である。
【0029】
このように形成された火災警報器の動作について簡単に説明する。
【0030】
住宅の天井等に設置された火災警報器は、監視区域としての部屋で火災が発生すると、その火災に基づき煙が発生し、火災警報器の検出部4の流入口41にその煙が進入して火災警報器が火災の発生を検出する。
【0031】
火災発生を検出した火災警報器は、火災警報として、音響口5を介して図示しないスピーカから「ピンポン、ピンポン、火事です、火事です」のような音声による警報音を鳴動する。この警報音は火災警報器が火災発生を検出している間、鳴動する。
【0032】
この警報音を聞いた居住者等の利用者は、現場を確認して火災が発生している場合には、必要な初期消火活動や避難等を行い、誤報や消火活動により鎮火した場合には、警報音を停止させるため、押しボタン6を押圧操作する。
【0033】
この押しボタン6の押圧操作を図示しないスイッチ素子によって認識すると、火災警報器は、図示しないスピーカからの警報音を停止する。なお、この押しボタン6の操作があっても、火災警報器が火災発生を検出している間は火災警報を行う必要があり、そのため、警報音の停止操作から所定時間、例えば5分間は警報音を停止するが、その経過後にも火災検出が継続している場合、再び火災警報が発せられる。
【0034】
また、火災警報器の通常監視状態、すなわち火災警報を行っていない状態で、押しボタン6の押圧操作を行うと、火災警報器は上記のような音声による警報音を図示しないスピーカから発生して、火災警報器が正常に監視していることを表す。これによって、火災警報器が正常監視していることを確認でき、無音の場合は故障であり、試験動作となる。
【0035】
なお、このときに、詳細に示さない機能確認動作に基づいて機能異常を生じている場合には、「警報器を交換して下さい」のような異常の音声を発声させることによって、故障を表すことができる。機能確認動作は種々ある中から選択することができ、必要に応じて設定されれば良い。
【0036】
以上のように、この実施形態における火災警報器は、基台2およびカバー部材3による円形状の筐体の中央に円筒状の検出部4が形成され、検出部4近傍から筐体外周近傍にかかる大きさの押しボタン6を有するものである。そのため、設置面にあっても、押しボタン6が大きいので操作しやすく、高齢者でも押しやすい押しボタン6となっている。
【0037】
また、この火災警報器は、押しボタン6の形状が、検出部4外周に沿う辺61と本体外周に沿う辺62とによる略四角形状から、検出部4外周に沿う辺61の両端角部を切り欠く略六角形状に形成されている。この形状によって、略四角形状にするときに筐体表面の検出部4の配置や検出部4から放射状に形成されるフィン31の位置に影響を与えず、かつ、検出部4を中心とした略扇型状にして裾部分を押すときにたわみによる不動作を防止して、どこを押しても確実に動作させることができる。
【0038】
また、この火災警報器は、検出部4外周に沿う辺61の両端角部を切り欠いて形成された辺65、66に沿って、検出部4から放射状にフィン31a、31bが形成されている。このフィン31a、31bによって、押しボタンが配置される開口部分を補強することができ、押しボタン6を大きくしても、筐体の強度が低下することがない。
【0039】
この実施形態において、煙を検出して火災警報を発生する火災警報器として説明したが、サーミスタ等を利用して、火災に基づく現象として熱を検出する火災警報器であっても良く、その他、赤外線等による炎、COや焦げ臭等の燃焼生成物などを検出するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の一実施形態を示す火災警報器の正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1の平面図。
【図4】図1の底面図。
【符号の説明】
【0041】
2 基台
3 カバー部材
4 検出部
6 押しボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状の筐体の中央に円筒状の検出部が形成される火災警報器であって、該検出部近傍から前記筐体外周近傍にかかる大きさの押しボタンを有することを特徴とする火災警報器。
【請求項2】
押しボタンの形状が、検出部外周に沿う辺と本体外周に沿う辺とによる略四角形状から、前記検出部外周に沿う辺の両端角部を切り欠く略六角形状に形成されている請求項1の火災警報器。
【請求項3】
検出部外周に沿う辺の両端角部を切り欠いて形成された2辺に沿って、前記検出部から放射状にフィンが形成されている請求項2の火災警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−48449(P2006−48449A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229922(P2004−229922)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】