説明

火災警報器

【課題】本発明は、点検時期又は交換時期となる日時を記憶して、その日時に達したときに点検又は交換を促す通知を行う火災警報器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の火災警報器1は、記憶部25において、異なる点検内容及び交換内容毎に指定された点検時期又は交換時期を示す日時による時間情報を、その点検内容又は交換内容を通知するための音声メッセージと関連づけて記憶する。そして、判断部26は、タイマ部24で計時する現在日時と一致する時間情報を記憶部25より検索し、その点検時期又は交換時期となった点検内容又は交換内容を確認する。このとき、判断部26が、点検時期又は交換時期となった点検内容又は交換内容を確認すると、その音声メッセージを記憶部25より読み出し、この音声メッセージを報知部22により出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙、熱、炎などの火災要因に基づいて火災検知を行い、警報を発報する火災警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋内環境の異常により火災を検知したときに警報を発報する火災警報器が、ビル、地下街、又は、一般家屋などにおいて広く普及されている。このような警報器の1つとして、屋内に発生した煙量を計測し、計測した煙量に基づいて火災の発生を感知し、警報の発報に対する判断を行う煙検知式の火災警報器がある。この煙検知式の火災警報器は、火災の発生を感知するための煙量の測定を行うために、筐体内に設けた発光部と受光部によって筐体内の煙量を測定する光電式の煙検知器や、イオン化式感知式の煙検知器などを備える。又、この煙検知式の火災警報器以外に、サーミスタなどの感温素子による室内温度の測定に基づいて火災の発生を感知する、熱検知式の火災警報器や、紫外線又は赤外線の測定に基づいて炎を検知して火災の発生を感知する、炎検知式の火災警報器などがある。
【0003】
このような火災警報器であって電池駆動のものについては、搭載されている電池の容量が小さくなり、電池交換が必要な時期となったときに、電池交換を促すよう、音響手段や表示手段などにより外部に通知するものが提案されている。又、使用開始からの使用期間を監視して、その使用期間が動作保証期間を経過した場合に、検煙部に附着堆積した埃や汚れを除去するメンテナンスを促すための通知を行う、火災警報器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−011829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1による火災警報器は、使用開始からの使用期間を監視することで、メンテナンスの必要となる時期を通知する構成であるため、防災器具の点検日とは異なる日時にメンテナンスを要求する通知を行う場合もある。ところで、防災器具の点検日などは、火災警報器が設置された建物の住人などに把握されているため、その点検日において点検を要する防災器具については点検がなされる。しかしながら、特許文献1の火災警報器では、メンテナンスを要求する通知を行う時期が点検日と異なる場合、点検日にメンテナンス要求の通知がないため、点検日に必要なメンテナンスなどがなされないことがある。更に、点検日と異なる日にメンテナンス要求を通知するとき、通知を行っている火災警報器の設置位置付近に住人がいない場合は、メンテナンス要求されていることが気づかれずに、点検忘れや交換忘れなどが発生する恐れがある。
【0006】
このような問題を鑑みて、本発明は、点検時期又は交換時期となる日時を記憶して、その日時に達したときに点検又は交換を促す通知を行う火災警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の火災警報器は、火災要因を検知する検知部と、外部への報知動作を行う報知部と、前記検知部で火災要因を検知した場合に前記報知部に火災発生を報知させる制御部と、を備える火災警報器において、現在日時を計時するタイマ部と、点検時期又は交換時期となる日時と、前記報知部より点検又は交換を要求する音声メッセージとを関連づけて記憶する記憶部と、前記タイマ部で計時した現在日時と、前記記憶部で記憶した日時とを比較して、点検又は交換の要否を判断する判断部と、を更に備え、前記判断部が、前記タイマ部で計時した現在日時と前記記憶部で記憶した日時との一致を確認したとき、前記制御部が、一致した日時に関連づけて前記記憶部に記憶された音声メッセージを前記記憶部より読み出して、前記報知部に音声出力させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、現在日時が記憶部に記憶した日時となったときに、その日時に関連づけて記憶された音声メッセージが音声出力されるため、例えば、その日時を定期点検日などに設定することで、確実に、点検又は交換を、点検作業員などに通知できる。これにより、必要となる点検項目又は交換項目それぞれについて、点検忘れや交換忘れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】は、本発明の火災警報器の内部構成を示すブロック図である。
【図2】は、図1に示す火災警報器の外観構成を示す概略斜視図である。
【図3】は、図1に示す火災警報器による、点検項目又は交換項目の外部への通知動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の火災警報器の内部構成を示すブロック図であり、図2は、本実施形態の火災警報器の構成を示す外観斜視図である。尚、本実施形態では、煙量を検出する煙検知式の火災警報器による例を挙げて説明するが、この煙検知式の火災警報器に限らず、熱検知式又は炎検知式の火災警報器であっても構わない。
【0011】
本実施形態の火災警報器1は、図1に示すように、発光素子を発光させて煙による散乱光を受光素子で受光することで煙を検知する光電式の煙検知センサなどで構成される検知部13と、検知部13からの検知結果を受けて火災発生の有無を判断する制御部21と、スピーカ部14及び表示部15それぞれによる報知動作を制御する報知部22と、釦部16などへの操作を受け付けて制御部21又は判断部26に通知する操作部23と、現在日時を計時するタイマ部24と、点検時期又は交換時期を示す日時による時間情報や各種の音声メッセージを記憶する記憶部25と、タイマ部24で計時された現在日時と記憶部25に記憶した時間情報とを比較して点検又は交換の要否を判断する判断部26と、を備える。尚、検知部13については、光電式の煙検知センサ以外に、イオン化式の煙検知センサであってもよい。又、火災要因を熱とする場合は、サーミスタなどの感音素子が検知部13に設けられ、更に、火災要因を炎とする場合は、赤外線又は紫外線を検出する炎検知センサが検知部13に設けられる。
【0012】
このような内部構成を有する火災警報器1は、記憶部25において、火災発生時の警報メッセージとなる音声メッセージと、点検内容又は交換内容を通知するための音声メッセージとを記憶する。この記憶部25は、異なる点検内容及び交換内容毎に指定された点検時期又は交換時期を示す日時による時間情報を、その点検内容又は交換内容を通知するための音声メッセージと関連づけて記憶する。即ち、記憶部24は、例えば、「検知部を点検してください」という音声メッセージに対して、検知部13の点検時期を示す日時による時間情報を関連づけて記憶し、「表示部の照明用LEDを交換してください」という音声メッセージに対して、表示部15の構成部品の交換時期を示す日時による時間情報を関連づけて記憶するなどのように、それぞれの点検内容及び交換内容毎に、その音声メッセージと時間情報とを関連づけて記憶している。尚、本実施形態では、n種類の点検内容又は交換内容それぞれに対して、n個の時間情報とn個の音声メッセージとを関連づけて、記憶部24に記憶しているものとする。
【0013】
そして、各音声メッセージに関連づけて記憶される時間情報については、火災警報器1の製造時に入力されて記憶されるものであってもよいし、火災警報器1の設置時に入力されて記憶されるものであってもよい。製造時に時間情報が入力されて記憶される場合は、例えば、点検項目又は交換項目それぞれの対象となる部品の寿命に基づいて、製造時から寿命近くとなる防災の日などを時間情報として記憶させるものとすることができる。これにより、寿命に近づいた部品の点検又は交換に関する音声メッセージを、防災の日などの点検日に確実に通知でき、作業員は、その点検日に、火災警報器1に対して必要な点検項目又は交換項目を認知して実行できる。
【0014】
更に、設置時に時間情報が入力されて記憶される場合は、点検項目又は交換項目それぞれの対象となる部品の寿命に基づいて、その寿命の1年前などの所定時間前から、点検日などをその時間情報として入力して記憶させるものとすることができる。このように記憶させることで、製造時に記憶させる場合と異なり、設置する各建物それぞれに対して設定された点検日に、火災警報器1に対して必要な点検項目又は交換項目を通知できるように、柔軟な設定が可能となる。
【0015】
又、火災警報器1は、図2に示すように、天井又は壁などによる下地の設置面に取り付けられる略円盤状の基台部11と、基台部11に係止する本体部12と、本体部12の基台部11と逆側に設けられた開口部より突出するように設けられた検知部13と、発音体から警報を出力するスピーカ部14と、警報や異常に応じて表示を行う表示部15と、外部からの操作を受け付ける釦16とを備える。又、基台部11は、その裏面が設置面に当接されて固定されることで、設置面へ取り付けられ、本体部12は、基台部11の外周縁から立設するリング状の側壁と、この側壁から検知部13に向かって覆う略円盤状の主部で構成される。そして、スピーカ部14、表示部15、及び釦部16が、検知部13を中心とする周方向に沿って、本体部12の主部に設置される。
【0016】
このように構成される火災警報器1は、設置面に対して基台部11が設置固定された後、この基台部11に設けられた係止用の接続部に、検知部13が設けられた本体部12の接続部を嵌合させるなどにより、本体部12が基台部11に係止される。このとき、図1に示すように、外観上、基台部11の外周縁と本体部12の側壁とが接続された状態となり、基台部11と本体部12とによって略円筒状の筐体が構成される。尚、スピーカ部14、表示部15、及び釦部16の設置位置については、図1に示す設置位置に限られるものではなく、例えば、スピーカ部14を、検知部13の先端に設置されるなどのように、他の設置位置に設置されるものとしてもよい。
【0017】
この火災警報器1における、火災発生時の警報の発報動作について、以下に簡単に説明する。火災警報器1において、検知部13が火災要因を検知すると、その検知結果となる信号を検知部13が制御部21へ与え、その結果、制御部21は、検知部13で火災要因が検知されたことを確認し、火災が発生したことを判断する。そして、制御部21は、火災の発生を認知すると、火災発生時に通知する音声メッセージ(例えば、「ビュー、ビュー、火事です。」といった音声メッセージ)を記憶部25より読み出して、報知部22へ与える。よって、報知部22は、スピーカ部14を動作させて、上述の火災発生を示す音声メッセージによる警報を発報させる。このようにしてスピーカ部14から警報を発報させているときに、報知部22は、表示部15を動作させて、例えば、赤色に点滅するなどして、表示部15による表示によっても、火災発生を報知するものとしてもよい。
【0018】
このような火災警報器1による、点検項目又は交換項目の外部への通知動作について、図3のフローチャートを参照して、以下に説明する。図3は、本実施形態における火災警報器1の判断部26における動作を示すフローチャートである。現在日時を計時しているタイマ部24が、所定時間毎に、計時した現在日時を判断部26に通知する(STEP1)。このタイマ部24からの現在日時の通知により、判断部26は、記憶部25に記憶した時間情報を順次読み出して、タイマ部24から通知される現在日時と一致する日時による時間情報を検索する(STEP2)。
【0019】
このとき、記憶部25において、既に過去の日時と一致したことが確認された時間情報については、過去の検索動作により一致が確認されたことを示すフラグを立てて記憶することで、まだ一致が確認されていない時間情報のみが検索されるようにしてもよい。これにより、現在日時よりも過去の日時を示す時間情報を検索の対象とせず、現在日時以降の時間情報のみを検索することができ、STEP2における検索にかかる時間を短縮できる。又、記憶部25に記憶される時間情報それぞれのアドレス領域について、時間情報が示す日時が時系列に並ぶように、そのアドレス番号を決定するものとしてもよい。このように時間情報を記憶することで、その日時が古いものから順番に時間情報が検索される。よって、現在日時よりも後で且つ直近となる日時を示す時間情報を検索すると、STEP2による検索動作を停止して、次のSTEP3の動作へ移行できるので、STEP2における検索動作に要する時間を短縮できる。
【0020】
このように、現在日時と一致する日時を示す時間情報の検索動作を終了すると、判断部26は、現在日時と一致する日時を示す時間情報を検索したか否かを確認する(STEP3)。このとき、現在日時と一致する日時を示す時間情報を検索した場合(STEP3でYes)、判断部26は、その時間情報に関連づけられた音声メッセージを記憶部25より読み出す。そして、判断部26が、読み出した音声メッセージを制御部21に通知することで(STEP5)、制御部21が、判断部26より与えられた音声メッセージを報知部22に送出することで、報知部22が、スピーカ部14を駆動して、その点検内容又は交換内容を示す音声メッセージを再生出力させる。このとき、制御部21は、報知部22に対して、表示部15による報知動作を制御させるものとして、上述のスピーカ部14による音声メッセージの再生出力と同時に、表示部15により、点検内容又は交換内容を示す表示がなされるものとしてもよい。
【0021】
このようにして、STEP2で現在日時と一致した日時を示す時間情報に対応する、点検内容又は交換内容を示す音声メッセージを通知すると、判断部26は、操作部23における釦部16への操作の有無を確認する(STEP6)。そして、判断部26は、釦部16への操作があったことを判断部26が確認すると(STEP6でYes)、制御部21に対して、音声メッセージの再生出力の停止が指示されたことを通知する(STEP7)。これにより、制御部21は、報知部22に対して、スピーカ部14による音声メッセージの再生出力を停止させる。このとき、表示部15の表示による報知動作を同時に行っている場合は、報知部22が、この表示部15による表示も同時に停止する。この釦部16への操作により、外部への点検内容又は交換内容の通知動作が停止されると、再び、STEP1におけるタイマ部24による現在日時の通知があるまで、待機状態となる。
【0022】
又、点検内容又は交換内容を示す音声メッセージを通知した後、STEP6で釦部16への操作が確認されない場合は(STEP6でNo)、釦部16への操作が確認されるまで、音声メッセージの再生出力が継続される。このとき、タイマ部24において、STEP5で音声メッセージによる通知を開始してからの時間を計時し、所定時間の経過を確認した場合に、STEP7に移行して、音声メッセージの再生出力を停止させるようにしてもよい。更に、現在日時と一致する日時を示す時間情報を検索しなかった場合は(STEP3でNo)、再び、STEP1におけるタイマ部24による現在日時の通知があるまで、待機状態となる。
【0023】
図3のフローチャートに従って動作することにより、火災警報器1は、その点検時期又は交換時期に到達した点検内容又は交換内容を、予め記憶した点検日に合わせて、音声メッセージにより外部に通知できる。そのため、点検日に点検作業を行う作業員などに対して、火災警報器1において必要となる点検内容又は交換内容を、確実に通知することができるため、点検漏れ又は交換漏れを防ぐことができる。
【0024】
更に、火災警報器1を電池駆動型とした場合、内蔵する電池の電圧値の変化により交換が必要となったことを制御部21で判断したときに、直近となる点検日を時間情報として記憶部25に制御部21が記憶させるようにしてもよい。又、その他の電子部品などについても同様に、その寿命に近づいたことを判断したときに、直近となる点検日を時間情報として記憶部25に制御部21が記憶させるようにしてもよい。このようにすることで、交換が必要な部品について、その寿命を判断するとともに、その直近となる点検日に交換を必要とする音声メッセージを出力することで、点検日に点検作業を行う作業員に、寿命となった部品を通知できるため、交換漏れを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、音声によって外部に火災警報を報知する各種の火災警報器に適用でき、煙、熱、炎などの火災要因に基づいて火災の発生を検知する火災警報器に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 火災警報器
11 基台部
12 本体部
13 検知部
14 スピーカ部
15 表示部
16 釦部
21 制御部
22 報知部
23 操作部
24 タイマ部
25 記憶部
26 判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災要因を検知する検知部と、外部への報知動作を行う報知部と、前記検知部で火災要因を検知した場合に前記報知部に火災発生を報知させる制御部と、を備える火災警報器において、
現在日時を計時するタイマ部と、
点検時期又は交換時期となる日時と、前記報知部より点検又は交換を要求する音声メッセージとを関連づけて記憶する記憶部と、
前記タイマ部で計時した現在日時と、前記記憶部で記憶した日時とを比較して、点検又は交換の要否を判断する判断部と、
を更に備え、
前記判断部が、前記タイマ部で計時した現在日時と前記記憶部で記憶した日時との一致を確認したとき、前記制御部が、一致した日時に関連づけて前記記憶部に記憶された音声メッセージを前記記憶部より読み出して、前記報知部に音声出力させることを特徴とする火災警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−34400(P2011−34400A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180744(P2009−180744)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】