説明

炊飯器

【課題】攪拌体が蓋体の開放を阻害するのを防ぐことができる炊飯器を提供する。
【解決手段】回動アーム6は、内鍋2内に収容された被加熱物を攪拌可能な位置と、被加熱物から乖離した位置とに移動可能となっており、第1端部が回転体9に回動可能に取り付けられて、第1端部とは反対側に位置する第2端部が、回転体9から離れたり、回転体9に近づいたりすることが可能になっている。モータ11が回転体9を第1方向に回転させるための駆動力を発生することにより、回動アーム6の第2端部が回転体9から離れる一方、モータ11が回転体9を第1方向とは反対方向の第2方向に回転させるための駆動力を発生することにより、回動アーム6の第2端部が回転体9に近づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば家庭用および業務用などの炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器としては、特開2008−278924号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この炊飯器は、被加熱物の米を収容する内鍋と、この内鍋が収納される炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部に回動自在に取り付けられ、内鍋の開口を開閉する蓋体とを備えている。
【0003】
上記蓋体において閉鎖時に下面となる面(内鍋の内面に対向する面)には、断面形状がほぼ山の字形状の攪拌体の上端部を回転自在に取り付けている。この攪拌体は、蓋体の閉鎖時、内鍋の内部空間の上端から内鍋の内部空間の下端近傍にわたって位置する。
【0004】
上記蓋体内には回転駆動装置が設置されており、この回転駆動装置によって攪拌体を回転させて、内鍋内の御飯をほぐそうとしている。
【0005】
しかしながら、上記従来の炊飯器では、蓋体の閉鎖時、攪拌体が内鍋の内部空間の上端から内鍋の内部空間の下端近傍まで延び、攪拌体の上端部を蓋体の内面に取り付けているため、蓋体を開こうとしても、攪拌体の下端部が内鍋に引っ掛かって、蓋体を開くことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−278924号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、攪拌体が蓋体の開放を阻害するのを防ぐことができる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の炊飯器は、
被加熱物を収容する内鍋と、
上記内鍋が収納される炊飯器本体と、
上記炊飯器本体に取り付けられ、上記被加熱物を加熱するための加熱部と、
上記炊飯器本体の上部に開閉可能に取り付けられ、上記内鍋を覆うように閉じることが可能な蓋体と、
上記炊飯器本体と上記蓋体との間に回転可能に配置された回転体と、
上記回転体に取り付けられた攪拌体と、
駆動力を発生する1つの駆動部を有して、この駆動部の駆動力で上記回転体を回転させる駆動機構と
を備え、
上記攪拌体は、上記内鍋内に収容された上記被加熱物を攪拌可能な位置と、上記被加熱物から乖離した位置とに移動可能となっており、
上記攪拌体は、第1端部が上記回転体に回動可能に取り付けられて、上記第1端部とは反対側に位置する第2端部が、上記回転体から離れたり、上記回転体に近づいたりすることが可能になっていて、
上記駆動部が上記回転体を第1方向に回転させるための駆動力を発生することにより、上記攪拌体の上記第2端部が上記回転体から離れる一方、上記駆動部が上記回転体を上記第1方向とは反対方向の第2方向に回転させるための駆動力を発生することにより、上記攪拌体の上記第2端部が上記回転体に近づくことを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、上記攪拌体は、内鍋内に収容された被加熱物を攪拌可能な位置と、被加熱物から乖離した位置とに移動可能となっているので、蓋体の開放時、被加熱物から乖離した位置に攪拌体を移動させて、攪拌体の一部が内鍋に引っ掛からないようにすることができる。したがって、上記攪拌体が蓋体の開放を阻害するのを防ぐことができる。
【0010】
また、上記駆動部が回転体を第1方向に回転させるための駆動力を発生することにより、攪拌体の第2端部が回転体から離れる一方、駆動部が回転体を第1方向とは反対方向の第2方向に回転させるための駆動力を発生することにより、攪拌体の第2端部が回転体に近づくので、蓋体の開放時、攪拌体の第2端部を回転体に近づけて、攪拌体の第2端部が内鍋に引っ掛からないようにすることができる。したがって、上記攪拌体が蓋体の開放を阻害するのを防ぐことができる。
【0011】
さらに、上記駆動機構が駆動部の駆動力を回転体に与えることにより、攪拌体の第2端部が、回転体から離れたり、回転体に近づいたりするので、第2端部が回転体から離れた状態にした攪拌体と共に、回転体を回転させて、内鍋内の被加熱物を攪拌体で攪拌することができる。
【0012】
また、上記駆動機構の1つの駆動部の駆動力によって、第2端部が、回転体から離れたり、回転体に近づいたりする攪拌体の回動と、回転体の回転とを行えるので、炊飯器を小型化できる。
【0013】
仮に、上記第2端部が、回転体から離れたり、回転体に近づいたりする攪拌体の回動を行う駆動部を設けると共に、この駆動部とは別に回転体の回転を行う駆動部を設けたなら、2つの駆動部を配置するスペースが必要になって、炊飯器が大型化してしまう。
【0014】
また、上記回転体に攪拌体の第1端部を回動可能に取り付けているので、攪拌体の姿勢を大きく変更することができる。したがって、上記攪拌体に、蓋体の開放を阻害しない姿勢を確実に取らせることができる。
【0015】
本発明の炊飯器では、
被加熱物を収容する内鍋と、
上記内鍋が収納される炊飯器本体と、
上記炊飯器本体に取り付けられ、上記被加熱物を加熱するための加熱部と、
上記炊飯器本体の上部に開閉可能に取り付けられ、上記内鍋を覆うように閉じることが可能な蓋体と、
上記炊飯器本体と上記蓋体との間に回転可能に配置された回転体と、
上記回転体に取り付けられた攪拌体と、
駆動力を発生する1つの駆動部を有して、この駆動部の駆動力で上記回転体を回転させる駆動機構と
を備え、
上記攪拌体は、上記内鍋内に収容された上記被加熱物を攪拌可能な位置と、上記被加熱物から乖離した位置とに移動可能となっており、
上記回転体を一方向に回転駆動するための上記駆動機構の動作によって、上記回転体の回転面に対する上記攪拌体の姿勢が変わって、さらに、上記駆動機構の動作が継続することによって、上記攪拌体が上記回転体に係止して上記回転体と共に回転することが可能であることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、上記攪拌体は、内鍋内に収容された被加熱物を攪拌可能な位置と、被加熱物から乖離した位置とに移動可能となっているので、蓋体の開放時、被加熱物から乖離した位置に攪拌体を移動させて、攪拌体の一部が内鍋に引っ掛からないようにすることができる。したがって、上記攪拌体が蓋体の開放を阻害するのを防ぐことができる。
【0017】
また、上記回転体を一方向に回転駆動するための駆動機構の動作によって、回転体の回転面に対する攪拌体の姿勢が変わることが可能であるので、蓋体の開放を阻害しない姿勢を攪拌体に容易に取らせることができる。
【0018】
一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌体の少なくとも一部を上記回転体内に収容可能とした。
【0019】
上記実施形態によれば、上記攪拌体の少なくとも一部を回転体内に収容することにより、炊飯器本体に内鍋を収容するときなどにおいて、攪拌体が邪魔にならないようにすることができる。
【0020】
一実施形態の炊飯器では、
上記回転体は、上記蓋体の上記内鍋側に回転可能に取り付けられている。
【0021】
上記実施形態によれば、上記蓋体の内鍋側に回転体を回転可能に取り付けることにより、蓋体を開放すると、回転体が蓋体と共に移動する。したがって、上記蓋体を開放して、内鍋内から被加熱物を出したり、内鍋内に被加熱物を入れたりするとき、被加熱物が通過する領域に回転体を位置させないようにすることができる。したがって、上記回転体が被加熱物の出し入れに邪魔にならないようにすることができる。
【0022】
一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌体が、上記回転体の回転面に対して起立状態および倒伏状態を取ることが可能である。
【0023】
上記実施形態によれば、上記攪拌体が回転体の回転面に対して起立状態を取ることにより、被加熱物の一端部から他端部にわたって攪拌体を接触させることができる。したがって、上記被加熱物の一端部から他端部にわたって接触するようにした攪拌体を回転体と共に回転させて、被加熱物を高効率で攪拌できる。
【0024】
一方、上記攪拌体が回転体の回転面に対して倒伏状態を取ることにより、被加熱物に攪拌体を接触させないようにすることもできる。したがって、上記攪拌体が回転体と共に回転しても、被加熱物が攪拌体で攪拌されないようにすることができる。
【0025】
一実施形態の炊飯器では、
第1の上記攪拌体と、第2の上記攪拌体とを備える。
【0026】
上記実施形態によれば、上記第1,第2の攪拌体を備えるので、第1,第2の攪拌体で内鍋内の被加熱物を適度に動かすことができる。したがって、上記被加熱物の攪拌を低振動で十分に行うことができる。
【0027】
一実施形態の炊飯器では、
上記第1,第2の攪拌体は、上記第1の攪拌体と上記第2の攪拌体との間隔が上記回転体から離れるにしたがって狭くなる状態で、上記回転体に係止して上記回転体と共に回転する。
【0028】
上記実施形態によれば、上記第1の攪拌体と第2の攪拌体との間隔が回転体から離れるにしたがって狭くなる状態であると、被加熱部の中心部および周縁部に第1,第2の攪拌体を接触させることできる。したがって、上記第1,第2の攪拌体が、第1の攪拌体と第2の攪拌体との間隔が回転体から離れるにしたがって狭くなる状態で、回転体に係止して回転体と共に回転するので、被加熱物をより均一に攪拌することができる。
【0029】
一実施形態の炊飯器では、
上記第1,第2の攪拌体が上記回転体に係止して上記回転体と共に回転するとき、上記回転体の回転面に対して上記第1の攪拌体が成す角度が、上記回転体の回転面に対して上記第2の攪拌体が成す角度と異なる。
【0030】
ここで、「回転体の回転面」とは、回転体の回転軸に対して垂直な面を指す。
【0031】
上記実施形態によれば、上記第1,第2の攪拌体が回転体に係止して回転体と共に回転するとき、回転体の回転面に対して第1の攪拌体が成す角度が、回転体の回転面に対して第2の攪拌体が成す角度と異なるので、被加熱物において第1,第2の攪拌体が接触する部分を増やすことができる。したがって、上記被加熱物の攪拌の均一性を高めることができる。
【0032】
一実施形態の炊飯器では、
上記回転体は、上記第1,第2の攪拌体を回動させるための複数の歯車を有し、
上記回転体の回転面に対して垂直な方向から上記回転体を見たとき、上記第1,第2の攪拌体は上記複数の歯車の側方に位置する。
【0033】
上記実施形態によれば、上記回転体の回転面に対して垂直な方向から回転体を見たとき、第1,第2の攪拌体は複数の歯車の側方に位置するので、回転体の回転軸方向において第1,第2の攪拌体が複数の歯車と重なっているときに比べて、回転体および第1,第2の攪拌体を有する構造体の厚さを薄くすることができる。
【0034】
一実施形態の炊飯器では、
上記回転体の回転面に対して垂直な方向から上記回転体を見たとき、上記第1の攪拌体と上記第2の攪拌体との間に上記複数の歯車が位置するように、上記第1,第2の攪拌体が設けられている。
【0035】
上記実施形態によれば、上記回転体の回転面に対して垂直な方向から回転体を見たとき、第1の攪拌体と第2の攪拌体との間に複数の歯車が位置するように、第1,第2の攪拌体を設けることにより、回転体の回転を安定させることができる。したがって、上記回転体の回転時、回転体の振動を低減できる。
【0036】
上記課題を解決するため、本発明の炊飯器は、
被加熱物を収容する内鍋と、
上記内鍋が収納される炊飯器本体と、
上記炊飯器本体内に配置され、上記被加熱物を加熱するための加熱部と、
上記炊飯器本体の上部に開閉自在に取り付けられ、上記内鍋を覆うように閉じることが可能な蓋体と、
上記炊飯器本体と上記蓋体との間に回転自在に配置された回転体と、
上記内鍋内の上記被加熱物を攪拌する攪拌体と、
上記回転体の回転駆動を行う駆動機構と
を備え、
上記回転体を一方向に回転駆動するための上記駆動機構の動作によって、上記回転体の回転面に対する上記攪拌体の姿勢が変わって、さらに、上記駆動機構の動作が継続することによって、上記攪拌体が上記回転体に係止して上記回転体と共に回転することが可能であることを特徴としている。
【0037】
上記構成によれば、上記回転体を一方向に回転駆動するための駆動機構の動作によって、回転体の回転面に対する攪拌体の姿勢が変わることが可能であるので、蓋体の開放を阻害しない姿勢を攪拌体に取らせることができる。したがって、上記攪拌体の一部が内鍋に引っ掛かって、蓋体を開くことができないという事態を回避できる。すなわち、上記攪拌体が蓋体の開放を阻害するのを防ぐことができる。
【0038】
さらに、上記駆動機構の動作が継続することによって、攪拌体が回転体に係止して回転体と共に回転することが可能であるので、攪拌体を回転体と共に回転させて、内鍋内の被加熱物を攪拌体で攪拌することができる。
【0039】
また、上記駆動機構が、攪拌体の姿勢を変更するための駆動機構と、被加熱物を攪拌するための駆動機構とを兼ねるので、炊飯器を小型化できる。
【0040】
仮に、上記攪拌体の姿勢を変更するための駆動機構と、被加熱物を攪拌するための駆動機構とを別々に設けたなら、2つの駆動機構を配置するスペースが必要になって、炊飯器が大型化してしまう。
【0041】
一実施形態の炊飯器では、
上記回転体は、上記蓋体の上記内鍋側に回転自在に取り付けられ、
上記攪拌体は、一端部が上記回転体に回動自在に取り付けられている。
【0042】
上記実施形態によれば、上記蓋体の内鍋側に回転体を回転自在に取り付けることにより、蓋体を開放すると、回転体が蓋体と共に移動する。したがって、上記蓋体を開放して、内鍋内から被加熱物を出したり、内鍋内に被加熱物を入れたりするとき、被加熱物が通過する領域に回転体を位置させないようにすることができる。したがって、上記回転体が被加熱物の出し入れに邪魔にならないようにすることができる。
【0043】
また、上記回転体に攪拌体の一端部を回動自在に取り付けることにより、攪拌体の姿勢を大きく変更することができる。したがって、上記攪拌体に、蓋体の開放を阻害しない姿勢を確実に取らせることができる。
【0044】
一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌体が、上記回転体の回転面に対して起立状態および倒伏状態を取ることが可能である。
【0045】
上記実施形態によれば、上記攪拌体が回転体の回転面に対して起立状態を取ることにより、被加熱物の一端部から他端部にわたって攪拌体を接触させることができる。したがって、上記被加熱物の一端部から他端部にわたって接触するようにした攪拌体を回転体と共に回転させて、被加熱物を高効率で攪拌できる。
【0046】
一方、上記攪拌体が回転体の回転面に対して倒伏状態を取ることにより、被加熱物に攪拌体を接触させないようにすることもできる。したがって、上記攪拌体が回転体と共に回転しても、被加熱物が攪拌体で攪拌されないようにすることができる。
【0047】
一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌体の上記倒伏状態の時、上記攪拌体の少なくとも一部が上記回転体から突出する。
【0048】
上記実施形態によれば、上記攪拌体の倒伏状態の時、攪拌体の少なくとも一部が回転体から突出するので、倒伏状態の攪拌体が回転体と共に回転すれば、攪拌体の少なくとも一部で御粘の泡を物理的に破壊できる。その結果、上記加熱部の出力を低減することなく上記御粘の噴きこぼれを抑制でき、御飯の温度を高温に保つことができるため御飯のアルファ化を確実に促進させることができる。
【0049】
一実施形態の炊飯器では、
上記駆動機構は、
駆動力を発生する駆動部と、
上記駆動部が発生した駆動力を受けて回転する第1カサ歯車と、
上記第1カサ歯車と歯合する第2カサ歯車と、
上記第2カサ歯車に対して上記第1カサ歯車とは反対側に配置され、上記第2カサ歯車の回転に伴って回転する第3カサ歯車と、
上記攪拌体の末端側に設けられ、上記第3カサ歯車に歯合する第4カサ歯車と
を有する。
【0050】
上記実施形態によれば、上記駆動機構が、駆動部、第1カサ歯車、第2カサ歯車、第3カサ歯車および第4カサ歯車を有するので、駆動機構の複雑化および大型化を防ぐことができる。
【0051】
一実施形態の炊飯器では、
上記回転体の上記内鍋側の表面は凹状の末広がり面を含む。
【0052】
上記実施形態によれば、炊飯時、上記内鍋から御粘が噴きこぼれようとして、回転体の内鍋側の表面に付着する。このとき、上記回転体を回転させると、回転体の内鍋側の表面が凹状の末広がり面を含むので、図8に示すように、回転体の内鍋側の表面に付着した御粘は凹状の末広がり面に沿って下降して内鍋内に落ちる。
【0053】
このように、上記内鍋外に出ようとする御粘を遠心力で強制的に内鍋内に戻すことができるので、米のアルファ化が促進して、旨み成分が多い美味なる御飯が得られる。
【0054】
なお、上記末広がり面は、図8に示すような円錐面の一部であってもよいし、あるいは、図9に示すような円錐面の一部であってもよいし、あるいは、図10に示すよう断面円弧形状の面であってもよい。
【0055】
一実施形態の炊飯器では、
上記回転体の上記内鍋側の表面には少なくとも1つの段部が設けられている。
【0056】
上記実施形態によれば、上記回転体を炊飯時に回転させた場合、回転体の内鍋側の表面には少なくとも1つの段部が設けられているので、この段部で御粘の泡を物理的に破壊できる。その結果、上記御粘の噴きこぼれを抑制でき、御飯のアルファ化を確実に促進させることができる。
【0057】
また、上記回転体の内鍋側の表面には少なくとも1つの段部が設けられているので、その段部から内鍋内に御粘を戻すことができる。したがって、上記御粘が内鍋内の一箇所に集中して戻るのを防いで、米のアルファ化が促進する領域を広げることができる。
【0058】
一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌体は、一端部が上記回転体に軸支された回動アームであり、
上記回転体は、上記回動アームの上記一端部が係止される第1被係止部と、上記回動アームの他端部が係止される第2被係止部とを有する。
【0059】
上記実施形態によれば、上記回転体は、回動アームの一端部が係止される第1被係止部と、回動アームの他端部が係止される第2被係止部とを有するので、倒伏状態および起立状態の回動アームを攪拌体と共に確実に回転させることができる。
【0060】
一実施形態の炊飯器では、
上記回動アームは1本である。
【0061】
上記実施形態によれば、上記被加熱物に接触する1本の回動アームを回転体と共に回転させることにより、被加熱物の移動量を増やすことができる。したがって、上記回動アームが1本であることにより、被加熱部を十分に攪拌できる。
【0062】
例えば2本の回動アームで被加熱物を攪拌した場合は、1本の回動アームで被加熱物を攪拌した場合に比べて、被加熱物の移動量が少なくなる。
【発明の効果】
【0063】
本発明の炊飯器によれば、攪拌体は、内鍋内に収容された被加熱物を攪拌可能な位置と、被加熱物から乖離した位置とに移動可能となっていることによって、蓋体の開放時、被加熱物から乖離した位置に攪拌体を移動させて、攪拌体の一部が内鍋に引っ掛からないようにすることができるので、攪拌体が蓋体の開放を阻害するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の炊飯器の概略断面図である。
【図2】図2は上記炊飯器の第1,第2の伝達軸および回動アームの概略斜視図である。
【図3】図3は上記回動アームの倒伏状態を説明するための概略斜視図である。
【図4】図4は上記回動アームの倒立状態を説明するための概略斜視図である。
【図5】図5は上記回動アームおよび内蓋,回転体の概略斜視図である。
【図6】図6は上記回動アームおよび内蓋,回転体の他の概略斜視図である
【図7】図7は上記回転体の模式断面図である。
【図8】図8は本発明の一実施形態の回転体の模式断面図である。
【図9】図9は本発明の他の実施形態の回転体の模式断面図である。
【図10】図10は本発明の他の実施形態の回転体の模式断面図である。
【図11】図11は本発明の第2実施形態の炊飯器の模式断面図である。
【図12】図12は上記炊飯器の回転体を軸方向から見た概略図である。
【図13】図13は図12のXIII−XIII線矢視の模式断面図である。
【図14】図14は上記回転体を軸方向から見た他の概略図である。
【図15】図15は上記回転体の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明の炊飯器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0066】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態の炊飯器を鉛直面で切った断面の概略図である。
【0067】
上記炊飯器は、炊飯器本体1と、この炊飯器本体1内に収納される内鍋2と、炊飯器本体1の上部に開閉自在つまり開閉可能に取り付けられ、内鍋2を覆うように閉じることが可能な蓋体3と、炊飯器本体1内の下側に配置され、内鍋2を誘導加熱するための誘導コイル4と、内鍋2の温度を検知する温度センサ5と、1本のほぼ棒形状の回動アーム6とを備えている。なお、誘導コイル4は本発明の加熱部の一例であり、回動アーム6は本発明の攪拌体の一例である。
【0068】
上記炊飯器本体1は、外ケース10と、この外ケース10内に配置された内ケース(図示せず)とを有する。また、炊飯器本体1内に内鍋2を収納すると、内ケースが内鍋2を保持するようになっている。この内ケースは、耐熱性および電気絶縁性を有する材料で形成されている。
【0069】
上記内鍋2は磁性材を含むクラッド材で成型されており、例えば米や水を内鍋2内に入れる。また、内鍋2の上端の開口の縁には環状のフランジ部2aを設けている。なお、上記米や水は本発明の被加熱物の一例である。
【0070】
上記蓋体3は、炊飯器本体1に回動自在つまり回動可能に支持された外蓋7と、その外蓋7の内鍋2側に着脱自在つまり着脱可能に取り付けられた内蓋8とを備えている。また、内蓋8の内鍋2側にはほぼ円板形状の回転体9を回転自在つまり着脱可能に取り付けている。
【0071】
上記外蓋7内には、モータ11、小プーリ12、ベルト13および大プーリ14を配置している。モータ11は回転軸11aを有し、この回転軸11aに小プーリ12を固定している。また、ベルト13は、小プーリ12の外周の一部と、大プーリ14の外周の一部とに巻回されている。この大プーリ14は、ほぼカップ形状の駆動側カップリング15に連結されている。これにより、モータ11が発生する回転駆動力は、小プーリ12、ベルト13および大プーリ14を介して駆動側カップリング15に伝達できるようになっている。また、小プーリ12、ベルト13および大プーリ14による回転駆動力の伝達により、モータ11の回転軸11aの回転速度に比べて、駆動側カップリング15の回転速度は遅くなる。なお、モータ11の回転軸11aの回転速度に対する駆動側カップリング15の回転速度の比は、小プーリ12および大プーリ14の大きさを変更することで調整可能である。また、モータ11、小プーリ12、ベルト13、大プーリ14および駆動側カップリング15は本発明の駆動機構の一部の一例である。また、モータ11は本発明の駆動部の一例である。
【0072】
上記駆動側カップリング15は外蓋7の内鍋2側に設けられた凹部3a内に回転自在に収容されている。また、駆動側カップリング15内には被駆動側カップリング23を着脱可能に嵌入している。この駆動側カップリング15内への被駆動側カップリング23の嵌入によって、内蓋8および回転体9が保持されるようになっている。また、駆動側カップリング15の内面には凹凸を設けている。なお、被駆動側カップリング23は本発明の駆動機構の一部の一例である。
【0073】
上記内蓋8は断面ほぼコ字形状の外周縁部8aを有し、この外周縁部8aが、蓋体3の閉鎖時、内鍋2の上部に設けられたフランジ部2aの上面に密着する。これにより、内蓋8の外周縁部8aと内鍋2のフランジ部2aとの間がシールされて、その間から御粘などが流出するのを防ぐことができるようになっている。また、内蓋8には蒸気穴(図示せず)を設けている。内鍋2内の蒸気は上記蒸気穴を介して炊飯器外に排出されるようになっている。なお、内蓋8の外周縁部8aは内蓋8の他の部分とは異なる材料(例えば耐熱性弾性材)で形成してもよい。
【0074】
上記回転体9は第1,第2の枠体16,17を有し、第1の伝達軸18が第1の枠体16を貫通している。また、第1の枠体16と第2の枠体17との間には、第1の伝達軸18とほぼ直交するように第2の伝達軸19を配置している。また、第2の枠体17には、回動アーム6の一端部(末端部)を収容する第1の収容部20と、この第1の収容部20のほぼ180°反対側に位置し、回動アーム6の他端部(先端部)を収容する第2の収容部21とを設けている。ここで、回動アーム6の一端部は第2の枠体17に軸支されている。これにより、回動アーム6は、回転体9の回転軸にほぼ平行な起立状態と、回転体9の回転軸にほぼ垂直な倒伏状態とに成り得る。別の言い方をすれば、回動アーム6は、回転体9の回転面に対して起立状態および倒伏状態を取り得る。上記起立状態では、回動アーム6の一端部が、第1の収容部20の一部である倒立ストッパ20aに当接する一方、回動アーム6の他端部が、内鍋2の底部近傍に位置する。一方、上記倒伏状態では、回動アーム6の一端部は、倒立ストッパ20aとの間に隙間を有して、倒立ストッパ20aに当接していないが、回動アーム6の他端部は、第2の収容部21の一部である倒伏ストッパ21aに当接する。なお、倒立ストッパ20aおよび倒伏ストッパ21aは例えば耐熱性弾性材で形成してもよい。また、第1,第2の伝達軸18,19は本発明の駆動機構の一部の一例である。
【0075】
また、上記外ケース10と内ケースとの間の空間には、誘導コイル4による誘導加熱や、モータ11による回転駆動力などを制御する制御部22を配置している。
【0076】
図2は、上記第1,第2の伝達軸18,19および回動アーム6を斜め上方から見た概略図である。
【0077】
上記第1の伝達軸18は第1,第2の枠体16,17に対して回転自在になっている。また、第1の伝達軸18の一端部には被駆動側カップリング23を一体に設けている。そして、第1の伝達軸18の中央部には第1のマイタ歯車24を一体に設けている。なお、第1のマイタ歯車24は本発明の駆動機構の一部の一例である。また、第1のマイタ歯車24は本発明の第1カサ歯車の一例である。
【0078】
上記被駆動側カップリング23は駆動軸側カップリング15内に嵌入可能な形状を有する。また、被駆動側カップリング23の上面(外蓋7側の面)には、駆動軸側カップリング15の内面の凹凸に噛み合う凹凸を設けている。
【0079】
上記第2の伝達軸19の一端部には、第1のマイタ歯車24に歯合する第2のマイタ歯車25を一体に設けている。一方、第2の伝達軸19の他端部には、第4のマイタ歯車27に歯合する第3のマイタ歯車26を一体に設けている。また、上記第4のマイタ歯車27は回動軸28の一端部に固定されている。なお、第2〜第4のマイタ歯車25〜27および回動軸28は本発明の駆動機構の一部の一例である。また、第2〜第4のマイタ歯車25〜27は本発明の第2〜第4カサ歯車の一例である。
【0080】
上記回動軸28の中央部は、回動アーム6の一端部に設けられた切り欠き部6a内に着脱可能に嵌入されている。これにより、回動軸28の回転すると、回動アーム6が回動軸28を中心に回動する。すなわち、回転軸28の回転に伴い、回動アーム6が回動するようになっている。
【0081】
図3の状態において、上記第1のマイタ歯車24が矢印R方向に回転すると、第2のマイタ歯車25、第3のマイタ歯車26および第4のマイタ歯車27も第2の枠体17に対して回転し、回動アーム6の他端部が第2の枠体17から離れる方向に回動アーム6が回動する。この回動アーム6の回動中は、回転体9が内蓋8に対して静止した状態となる。その後、図4に示すように、回動アーム6の一端部が倒立ストッパ20aに当接することによって、回動アーム6の回動が停止し、第2のマイタ歯車25、第3のマイタ歯車26および第4のマイタ歯車27が第2の枠体17に対して回転不可能となる。この状態で、第1の伝達軸18が矢印R方向に回転すると、回転体9が内蓋8に対して矢印R方向に回転する。このとき、回動アーム6は倒立状態のまま回転体9と一体に回転する。
【0082】
図4の状態において、上記第1のマイタ歯車24が矢印L方向に回転すると、第2のマイタ歯車25、第3のマイタ歯車26および第4のマイタ歯車27も第2の枠体17に対して回転し、回動アーム6の他端部が第2の枠体17に近づく方向に回動アーム6が回動する。この回動アーム6の回動中は、回転体9が内蓋8に対して静止した状態となる。その後、図3に示すように、回動アーム6の他端部が倒伏ストッパ21aに当接することによって、回動アーム6の回動が停止し、第2のマイタ歯車25、第3のマイタ歯車26および第4のマイタ歯車27が第2の枠体17に対して回転不可能となる。この状態で、第1の伝達軸18が矢印L方向に回転すると、回転体9が内蓋8に対して矢印L方向に回転する。このとき、回動アーム6は倒伏状態のまま回転体9と一体に回転する。
【0083】
図5は、上記外蓋7から取り外した内蓋8および回転体9を斜め下方から見た概略図である。なお、図5において、上記蒸気穴の図示は省略している。
【0084】
上記回転体9は、基本的にOリングなどのシール材で水が内部に入らない構造を有し、洗浄がし易くなるように内蓋8から分離可能になっている。また、洗浄性を高めるため、回転体9の外側の表面に非粘着性処理(例えばフッソコート処理)を施している。そして、回転体9の内側の表面にも、回転体9の外側の表面と同様の非粘着性処理を施している。これにより、回転体9の内部の洗浄性も高くなっている。
【0085】
また、上記回転体9の内鍋2側の表面からは、倒伏状態の回動アーム6の一部が突出している。
【0086】
なお、図5の8bは挿通孔である。この挿通孔8bには被駆動側カップリング23が挿通される。
【0087】
図6は、図5の状態から回動アーム6を取り外した状態を斜め上方から見た概略図である。なお、図6において、上記蒸気穴の図示は省略している。
【0088】
上記回動アーム6は、切り欠き部6a内に回動軸28の中央部を嵌入することで回動軸28と連結しているので、倒伏状態の時、回転体9の回転軸に平行な方向、かつ、回転体9から離れる方向に移動させれば、回転体9から容易に取り外し可能である。これにより、回動アーム6の洗浄性も容易に行えるようになっている。また、回動アーム6の材料には耐熱樹脂(例えばPOM(ポリアセタール)やフッソ系樹脂)が使用されている。
【0089】
図7は、上記回転体9を回転軸を含む面で切った断面の模式図である。
【0090】
上記回転体9の内鍋2側の表面は複数の傘状テーパ面を含んでいる。より詳しくは、回転体9の内鍋2側の表面には、凹状の円錐面に相当する環状の第1の傾斜面29と、この第1の傾斜面29よりも径方向外側に位置し、凹状の円錐面の一部に相当する第2の傾斜面30と、この第2の傾斜面30よりも径方向外側に位置し、凹状の円錐面の一部に相当する環状の第3の傾斜面31とを形成している。また、第1の傾斜面29、第2の傾斜面30および第3の傾斜面31は、互いにほぼ同じ傾斜角を有している。
【0091】
また、上記回転体9の内鍋2側の表面には、環状の第1,第2の段部32,33を回転体9の外周縁とほぼ同心円状に形成している。この第1の段部32は、第2の段部33よりも径方向内側に位置する。
【0092】
上記構成の炊飯器によれば、図4の状態において、モータ11の回転動力によって第1のマイタ歯車24を矢印L方向に回転させることによって、回動アーム6を回動させて図3に示すような倒伏状態にすると、蓋体3を開くとき、回動アーム6が引っ掛からないので、蓋体3を容易に開くことができる。したがって、回動アーム6が蓋体3の開放を阻害するのを防ぐことができる。
【0093】
また、図3の状態において、モータ11の回転動力によって第1のマイタ歯車24を矢印R方向に回転させることによって、回動アーム6を回動させて図4に示すような倒立状態にすることができる。そして、さらに、モータ11の回転動力によって第1のマイタ歯車24を矢印R方向に回転させることによって、倒立状態の回動アーム6を回転体9と一体に回転させることができるので、この回転する倒立状態の回動アーム6で内鍋2内の例えば米および水を攪拌して、十分な洗米を行える。
【0094】
また、上記モータ11が1つであるが、この1つのモータ11によって回動アーム6の回動と回動アーム6,回転体9の回転とを行える。したがって、回動アーム6の回動用モータと、回動アーム6,回転体9の回転用モータとを別々に設けるよりも、蓋体3を小さくすることができる。その結果、上記炊飯器の高さを低減することができる。
【0095】
また、上記回動アーム6によって、例えば炊飯時の予熱工程(内鍋2内の温度を約60℃前後にする運転)において内鍋2内の例えば米および水を攪拌することにより、内鍋2内の温度を均一にできる。その結果、上記米の給水ムラを防止でき、また、内鍋2内において糖化酵素が活発に作用する温度帯(約60℃前後)が増えるので、全糖増加効果が得られる。
【0096】
また、上記予熱工程の次に行われる立ち上げ工程においては、でんぷんの糊化が開始し、攪拌は炊飯液の粘度を過度に上昇させたり、内鍋2内の熱伝達を悪化させるなど、良好な炊飯の逆効果になる。このため、上記立ち上げ工程に入る前に、モータ11の回転動力によって第1のマイタ歯車24を矢印L方向に回転させることによって、回動アーム6を回動させて倒伏状態にする。
【0097】
そして、上記回動アーム6が倒伏状態になれば、モータ11を停止させてもよいが、さらに美味なる米飯を得るための手段として、モータ11の駆動を継続して、倒伏状態の回動アーム6を回転体9と一体に回転させる。そうすると、上記第1の傾斜面29、第2の傾斜面30および第3の傾斜面31に付着した御粘が遠心力を受けて下降して内鍋2内に戻る。その結果、上記内鍋2内の米のアルファ化が促進して、旨み成分が多い美味なる御飯が得られる。
【0098】
また、上記御粘は第1,第2の段部32,33下にも落ちるので、内鍋2内の一箇所に御粘が集中して戻るのを防いで、米のアルファ化が促進する領域を広げることができる。
【0099】
また、上記炊飯液の沸騰時、倒伏状態の回動アーム6を回転体9と一体に回転させることにより、回転体9の内鍋2側の表面から突出した回動アーム6の一部で御粘の泡を物理的に破壊できる。その結果、上記御粘の噴きこぼれを抑制でき、米のアルファ化を確実に促進させることができる。
【0100】
また、上記第1,第2の段部32,33でも御粘の泡を物理的に破壊できるので、御粘の噴きこぼれの抑制効果が高くなっている。
【0101】
また、上記御粘の噴きこぼれを抑制できるので、高火力での炊飯を行って、炊飯時間を短くできる。
【0102】
また、上記回動アーム6は1本であるので、1本の回動アーム6の回転による米などの移動が大きく、米などを十分に攪拌することができる。
【0103】
また、上記回動アーム6は回転体9から取り外し可能であるので、内鍋2内の被加熱物に応じた形状の回動アームに付け換えることができる。
【0104】
上記第1実施形態において、洗米時、倒立状態の回動アーム6が回転体9と一体に連続的に回転するようにしてもよいし、あるいは、洗米時、倒立状態の回動アーム6が回転体9と一体に間欠的に回転するようにしてもよい。すなわち、洗米時の攪拌は連続的および間欠的のどちらであってもよい。
【0105】
上記第1実施形態では、第1のマイタ歯車24〜第4のマイタ歯車27などによって、回動アーム6が回動したり、回転体9が回転したりしていたが、上記実施形態と同様の動作を回動アーム6および回転体9にさせることができるのであれば、第1のマイタ歯車24〜第4のマイタ歯車27以外の歯車や、他の動力伝達機構によって、回動アーム6が回動したり、回転体9が回転したりするようにしてもよい。
【0106】
上記第1実施形態では、回転体9の内鍋2側の表面から、倒伏状態の回動アーム6の一部を突出させていたが、回転体9の内鍋2側の表面から、倒伏状態の回動アーム6の全部を突出させるようにしてもよい。
【0107】
上記第1実施形態では、回転体9の内鍋2側の表面に、3個の傘状テーパ面を形成していたが、1個、2個または4個以上の傘状テーパ面を形成してもよい。すなわち、本発明の一実施形態では、回転体9の内鍋2側の表面に、凹状の末広がり面を少なくとも一つ形成すればよい。
【0108】
上記第1実施形態では、回転体9の内鍋2側の表面に、2個の環状の第1,第2の段部32,33を形成していたが、1個または3個以上の環状の段部を形成してもよい。
【0109】
上記第1実施形態では、ほぼ棒形状の回動アーム6を用いていたが、ほぼ棒形状以外の形状(例えば側方視がほぼL字形状)の回動アームを用いてもよい。
【0110】
上記第1実施形態において、ほぼ棒形状の回動アーム6の換わりに、ほぼ羽根形状の攪拌体を用いてもよい。
【0111】
上記第1実施形態において、回動アーム6と同様の回動アームを複数用いるようにしてもよい。
【0112】
上記第1実施形態では、内鍋2を誘導加熱していたが、内鍋2を例えば抵抗加熱するようにしてもよい。この場合、上記誘導コイル4の換わりに、抵抗加熱ヒータを本発明の加熱部の一例として使用すればよい。
【0113】
〔第2実施形態〕
図11は、本発明の第2実施形態の炊飯器の構造を説明するための模式断面図である。
【0114】
上記炊飯器は、炊飯器本体101と、この炊飯器本体101内に収納される内鍋102と、炊飯器本体101の上部に開閉可能に取り付けられ、内鍋102を覆うように閉じることが可能な蓋体103と、炊飯器本体101と蓋体103との間に回転可能に配置された回転体104と、回転体104に姿勢変更可能に取り付けられた2本のほぼ棒形状の第1,第2の攪拌部材105,106とを備えている。なお、第1,第2の攪拌部材105,106は本発明の攪拌体の一例である。また、第1の攪拌部材105は本発明の第1の攪拌体の一例であり、第2の攪拌部材106は本発明の第2の攪拌体の一例である。
【0115】
上記炊飯器本体101は、外ケース107と、この外ケース107内に配置された内ケース108とを有する。また、炊飯器本体101内に内鍋102を収納したときに、内ケース108が内鍋102を保持するようになっている。この内ケース108は、耐熱性および電気絶縁性を有する材料で形成されている。また、内ケース108の底部には、誘導コイルを有するIH(誘導加熱)ヒータ109と、内鍋102の温度を検知する温度センサ110とを取り付けている。なお、IHヒータ109は本発明の加熱部の一例である。
【0116】
上記内鍋102は磁性材を含むクラッド材で成型されており、例えば米150や水151が内鍋102内に入る。また、内鍋102の上端の開口の縁には環状のフランジ部102aを設けている。なお、米150や水151は本発明の被加熱物の一例である。
【0117】
上記蓋体103は、後端部が回動機構111によって炊飯器本体101の後部に回動可能に取り付けられた外蓋112と、その外蓋112の内鍋102側に着脱可能に取り付けられた内蓋113とを有している。また、内蓋113には回転体104を回転可能に取り付けている。
【0118】
上記外蓋112には、回動機構111近傍に位置するように1つの回転攪拌用DC(直流)ブラシレスモータ115を取り付けている。より詳しくは、外蓋112内に回転攪拌用DCブラシレスモータ115およびタイミングベルト116を収容している。このタイミングベルト116は、回転攪拌用DCブラシレスモータ115の駆動軸115aに取り付けられた小プーリ117の外周の一部と、入力軸119に取り付けられた大プーリ118の外周の一部とに巻回されている。これにより、回転攪拌用DCブラシレスモータ115の駆動力はタイミングベルト116を介して回転体104の入力軸119に伝わる。なお、回転攪拌用DCブラシレスモータ115、小プーリ117、タイミングベルト116および大プーリ118は本発明の駆動機構の一部の一例である。また、回転攪拌用DCブラシレスモータ115は本発明の駆動部の一例である。
【0119】
上記第1,第2の攪拌部材105,106は耐熱樹脂(例えばPOM(ポリアセタール)やフッソ系樹脂)を材料とし、互いに別体に形成されている。また、第1,第2の攪拌部材105,106は、第1端部105a,106aと、この第1端部105a,106aとは反対側に位置する第2端部105b,106bとを有している。また、回転体104に第1,第2の攪拌部材105,106の第1端部105a,106aを回動可能に取り付けている。また、回転攪拌用DCブラシレスモータ115が回転体104を第1方向(図15の矢印R方向に相当する方向)に回転させるための駆動力を発生することにより、第1,第2の攪拌部材105,106は、第2端部105b,106bが回転体104から離れて回転体104の回転面に対して起立状態になる。一方、回転攪拌用DCブラシレスモータ115が回転体104を第2方向(図15の矢印L方向に相当する方向)に回転させるための駆動力を発生することにより、第1,第2の攪拌部材105,106は、第2端部105b,106bが回転体104に近づいて回転体104の回転面に対して倒伏状態になる。すなわち、回転攪拌用DCブラシレスモータ115が回転体104を第1方向,第2方向に回転させるための駆動力を発生することにより、第1,第2の攪拌部材105,106が、矢印D方向,矢印U方向に回動する。
【0120】
また、上記外ケース107と内ケース108との間の空間には、ヒータ109や回転攪拌用DCブラシレスモータ115などを制御する制御装置(図示せず)などを設置している。
【0121】
図12は、上記回転体104の内鍋102側(内蓋113側とは反対側)を回転体104の回転面に対して垂直な方向から見た概略図である。また、図13は、図12のXIII−XIII線から見た模式断面図である。なお、図13では、回転体104の構成部の一部の図示を省略している。
【0122】
上記回転体104は、図12に示すように、器形状の回転体本体120を有している。この回転体本体120の内鍋102側の表面の中央部には、内鍋102側に向かって膨出する形状の第1のマイタ歯車搭載部121を設けている。第1のマイタ歯車搭載部121は、第1のマイタ歯車搭載部121とギアカバー124(図14参照)との間に進入した水を内鍋102内に戻すための水抜き孔125を複数有している。この水抜き孔125は、内鍋102側から見た形状がほぼ矩形状であり、第1のマイタ歯車搭載部121の内鍋102側の表面から半径方向外側の表面に渡って延びている。これにより、水抜き孔125は、ほぼ半分が内鍋102側に向かって開口し、残りが半径方向外側に向かって開口している。
【0123】
また、上記回転体本体120の内鍋102側の表面の周縁部には、第1のマイタ歯車搭載部121の一側方にあって内鍋102側に向かって膨出する形状の第2のマイタ歯車搭載部122と、第1のマイタ歯車搭載部121の他側方にあって内鍋102側に向かって膨出する形状の第3のマイタ歯車搭載部123とを設けている。この第2,第3のマイタ歯車搭載部122,123の半径方向外側の非湾曲表面には、第2,第3のマイタ歯車搭載部122,123とギアカバー124との間に進入した水を内鍋102内に戻すための水抜き孔126を設けている。また、第2,第3のマイタ歯車搭載部122,123の半径方向外側の湾曲表面にも、第2,第3のマイタ歯車搭載部122,123とギアカバー124との間に進入した水を内鍋102内に戻すための水抜き孔127を設けている。これにより、水抜き孔127のほぼ全部が半径方向外側に向かって開口している。なお、水抜き孔127を内鍋102側から見た形状はほぼ矩形状である。
【0124】
また、上記回転体本体120には、第1,第2の攪拌部材105,106を収容する第1,第2の収容孔128,129を設けている。第1の収容孔128は、第1のマイタ歯車搭載部121、第2のマイタ歯車搭載部122および第3のマイタ歯車搭載部123の一方の側方に位置する一方、第2の収容孔129は、第1のマイタ歯車搭載部121、第2のマイタ歯車搭載部122および第3のマイタ歯車搭載部123の他方の側方に位置する。内鍋102内の米150や水151を第1,第2の攪拌部材105,106で攪拌しないとき、第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容する。また、第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容すると、第1,第2の攪拌部材105,106が第1,第2の収容孔128,129を塞ぎ、第1,第2の攪拌部材105,106の一部の表面である第1の表面191,194が内鍋102側に露出する。このとき、第1の表面191,194は回転体104の回転面に対してほぼ平行になっている。
【0125】
上記第1,第2の攪拌部材105,106は、図13に示すように、ほぼ三角形状の断面を有し、図中下方から図中上方に向かって幅が狭くなっている。より詳しくは、第1,第2の攪拌部材105,106は、第1の表面191,194、第2の表面192,195および第3の表面193,196を有する。そして、第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容している状態において、第1の表面191,194は回転体104の回転面に対してほぼ平行であり、第2の表面192,195は回転体104の回転面に対してほぼ垂直であり、第3の表面193,196は回転体104の回転面に対して傾斜する。別の言い方をすれば、第1,第2の攪拌部材105,106が内鍋102内の米150や水151を攪拌しないとき、第1の表面191,194は回転体104の回転軸に対してほぼ垂直になり、第2の表面192,195は回転体104の回転軸に対してほぼ平行になり、第3の表面193,196は回転体104の回転軸に対して傾斜する。
【0126】
また、上記回転体本体120を内鍋102側の表面には、図12,図13に示すように、複数の傘状テーパ面を含んでいる。より詳しくは、回転体104の内鍋102側の表面には、複数の第1の傾斜面134と、この第1の傾斜面134よりも半径方向外側に位置する第2の傾斜面135とを形成している。第1,第2の傾斜面134,135は、蓋体103を閉じたときに、半径方向外側の縁部が半径方向内側の縁部より低くなるように形成された面である。この第1の傾斜面134の半径方向外側の縁部は、第2の傾斜面135の半径方向外側の縁部に段部136を介して接続されている。また、第1,第2の傾斜面134,135の半径方向外側の縁部には、内鍋102側から見た形状がほぼ円弧形状である水抜き孔137を複数設けている。これにより、内蓋113と回転体本体120との間に進入した水を内鍋102内に戻すことができるようになっている。
【0127】
図14は、上記回転体104の内蓋113側を回転体104の回転面に対して垂直な方向から見た概略図である。また、図15は、入力軸119、ギアカバー124および軸受部138(図11,図14参照)を取り外した回転体104の内蓋113側を回転体104の回転面に対して傾斜した方向から見た概略図である。
【0128】
上記回転体104は、図14,図15に示すように、回転体本体120の他に、入力軸119、ギアカバー124、軸受部138、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、第3のマイタ歯車141、第4のマイタ歯車142、第5のマイタ歯車143、第6のマイタ歯車144、第7のマイタ歯車145、第1の伝達軸146、第1の回動軸147、第2の伝達軸148および第2の回動軸149を有している。この第3のマイタ歯車141、第1の伝達軸146、第2のマイタ歯車140、第1のマイタ歯車139、第5のマイタ歯車143、第2の伝達軸148および第2のマイタ歯車140は、回転体本体120上で半径方向に沿ってほぼ一直線に並んでいる。また、第1の伝達軸146、入力軸119および第2の伝達軸148のそれぞれの中心軸を含む面に関して、第1の攪拌部材105と第2の攪拌部材106とをほぼ面対称に配置している。また、第1の回動軸147が第1の攪拌部材105に連結している位置を、入力軸119の回りに180°回転させると、第2の回動軸149が第2の攪拌部材106に連結している位置とほぼ一致する。別の言い方をすると、第1の攪拌部材105の回動中心を、回転体104の回転軸の回りに180°回転させると、第2の攪拌部材106の回動中心にほぼ重なる。なお、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、第3のマイタ歯車141、第4のマイタ歯車142、第5のマイタ歯車143、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145は本発明の複数の歯車の一例である。
【0129】
上記入力軸119は回転体本体120および軸受部138に対して回転可能に設けられている。この入力軸119の回転体本体120側の端部には第1のマイタ歯車139を固定している。また、軸受部138は、内蓋113に設けられた貫通孔(図示せず)に着脱可能に嵌合している。この貫通孔に軸受部138を嵌合させたときに、入力軸119の回転体本体120側とは反対側の端部が外蓋112と内蓋113との間に入って小プーリ117に連結するようになっている。
【0130】
上記第1のマイタ歯車139は第2のマイタ歯車140に歯合している。また、第1の伝達軸146の半径方向内側の端部には第2のマイタ歯車140を固定する一方、第1の伝達軸146の半径方向外側の端部には第3のマイタ歯車141を固定して、第2のマイタ歯車140、第1の伝達軸146および第3のマイタ歯車141が一体に回転するようにしている。また、第3のマイタ歯車141は第4のマイタ歯車142に歯合している。この第4のマイタ歯車142と第1の攪拌部材105の第1端部105aとを第1の回動軸147で連結し、第4のマイタ歯車142、第1の攪拌部材105および第1の回動軸147を一体化している。このような状態で、第1のマイタ歯車139が回転すると、第1の攪拌部材105が一定の範囲内において第1の回動軸147を中心に回動するようになっている。
【0131】
また、上記第1のマイタ歯車139は第5のマイタ歯車143にも歯合している。また、第2の伝達軸148の半径方向内側の端部には第5のマイタ歯車143を固定する一方、第2の伝達軸148の半径方向外側の端部には第6のマイタ歯車144を固定して、第5のマイタ歯車143、第1の伝達軸146および第6のマイタ歯車144が一体に回転するようにしている。また、第6のマイタ歯車144は第7のマイタ歯車145に歯合している。この第7のマイタ歯車145と第2の攪拌部材106の第1端部106aとを第2の回動軸149で連結し、第7のマイタ歯車145、第2の攪拌部材106および第2の回動軸149を一体化している。このような状態で、第1のマイタ歯車139が回転すると、第2の攪拌部材106が一定の範囲内において第1の回動軸147を中心に回動するようになっている。
【0132】
上記第2,第5のマイタ歯車140,143は、第1のマイタ歯車搭載部121に形成された第1,第2の凹部152,153に回転可能に搭載されている。この第1,第2の凹部152,153内の空間は、蓋体103の閉鎖時、水抜き孔125を介して内鍋102内の空間と連通する。
【0133】
上記第3,第4のマイタ歯車141,142は、第2のマイタ歯車搭載部122に設けられた第3の凹部154に回転可能に搭載されている。この第3の凹部154内の空間は、蓋体103の閉鎖時、水抜き孔126,127を介して内鍋102内の空間と連通する。
【0134】
上記第6,第7のマイタ歯車144,145は、第3のマイタ歯車搭載部123に設けられた第4の凹部155に回転可能に搭載されている。この第4の凹部155内の空間は、蓋体103の閉鎖時、水抜き孔126,127を介して内鍋102内の空間と連通する。
【0135】
上記ギアカバー124は、第1,第2の攪拌部材105,106に当接して第1,第2の攪拌部材105,106の矢印U方向の回動を制限する第1,第2のストッパ156,157を有している。この第1,第2のストッパ156,157の先端部の下面(第1,第2の攪拌部材105,106側の表面)には第1,第2の磁石158,159を取り付けている。そして、第1,第2の磁石158,159の磁極とは反対の磁極を有する第3,第4の磁石160,161を、第1,第2の攪拌部材105,106において第1,第2の磁石158,159に接触可能な箇所に取り付けている。これにより、回転攪拌用DCブラシレスモータ115の非駆動時であっても、第1,第2の磁石158,159と第3,第4の磁石160,161との吸引力により、第1,第2の攪拌部材105,106の図14,図15に示すような状態つまり倒伏状態を維持できるようになっている。また、ギアカバー124は回転体本体120に着脱可能となっている。回転体本体120にギアカバー124を取り付けることにより、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、第3のマイタ歯車141、第4のマイタ歯車142、第5のマイタ歯車143、第6のマイタ歯車144、第7のマイタ歯車145、第1の伝達軸146および第2の伝達軸148をギアカバー124で覆うことができるようになっている。なお、ギアカバー124の着脱構造として例えばスナップフィット構造を用いるのが好ましい。
【0136】
一方、上記第1,第2の攪拌部材105,106の矢印D方向の回動は、第1,第2の収容孔128,129の周縁部の一部で制限する。より詳しくは、第1,第2の収容孔128,129に収容している第1,第2の攪拌部材105,106を矢印D方向に回動させると、第1,第2の攪拌部材105,106の第1端部105a,106aが、第1,第2の収容孔128,129の周縁部において第1の回動軸147,第2の回動軸149近傍に位置する部分(以下、「第1,第2の収容孔128,129の周縁部の一部」と言う。)に当接して、この当接以降の回動が制限される。この第1,第2の収容孔128,129の周縁部の一部に、第1,第2の攪拌部材105,106の第1端部105a,106aが当接したとき、回転体104の回転面に対して第1,第2の攪拌部材105,106が成す角度は80°となっている。このような状態で、第1,第2の攪拌部材105,106を矢印D方向に回動させるための駆動力を入力軸119に与えると、第1,第2の収容孔128,129の周縁部の一部に、第1,第2の攪拌部材105,106の第1端部105a,106aが係止して、第1,第2の攪拌部材105,106が回転体104と共に回転する。すなわち、第1,第2の攪拌部材105,106は、第1の攪拌部材105と第2の攪拌部材106との間隔が回転体104から離れるにしたがって狭くなる状態で、回転体104に係止して回転体104と共に回転することができるようになっている。
【0137】
また、上記回転体104の回転面に対して垂直な方向から回転体104を見たとき、第1の攪拌部材105は、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、第3のマイタ歯車141、第4のマイタ歯車142、第5のマイタ歯車143、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145の一方の側方に位置し、かつ、第2の攪拌部材106は、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、第3のマイタ歯車141、第4のマイタ歯車142、第5のマイタ歯車143、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145の他方の側方に位置している。すなわち、回転体104の回転面に対して垂直な方向から回転体104を見たとき、第1の攪拌部材105と第2の攪拌部材106との間に、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、第3のマイタ歯車141、第4のマイタ歯車142、第5のマイタ歯車143、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145を配置している。また、上記第1の攪拌部材105は第2の攪拌部材106とほぼ平行になっている。
【0138】
上記構成の炊飯器によれば、内鍋102内に、所望量の米150と、この米150の量に応じた水量の水151とを入れた後、炊飯器本体101内に内鍋102を収納して、内鍋102を覆うように蓋体103を閉じる。このとき、第1,第2の攪拌部材105,106は、図15に示すように、第1,第2の収容孔128,129に収容されて倒伏状態となっている。そして、回転攪拌用DCブラシレスモータ115の駆動力を回転体104の入力軸119に伝えて、第1のマイタ歯車139を矢印R方向に回転させる。これにより、回転体104が回転しない状態で、第1,第2の攪拌部材105,106が、図11に示すように、矢印D方向に回動する。この第1,第2の攪拌部材105,106の矢印D方向の回動は、第1,第2の攪拌部材105,106の第1端部105a,106aが第1,第2の収容孔128,129の周縁部の一部に当接して停止する。さらに、回転攪拌用DCブラシレスモータ115の駆動力を回転体104の入力軸119に伝えて、第1のマイタ歯車139を矢印R方向に回転させると、第1,第2の攪拌部材105,106が回転体104と共に回転する。その結果、内鍋102内の米150および水151を第1,第2の攪拌部材105,106で攪拌することができる。
【0139】
また、上記蓋体103を開ける場合、回転攪拌用DCブラシレスモータ115の駆動力を回転体104の入力軸119に伝えて、第1のマイタ歯車139を矢印L方向(図15参照)に回転させる。これにより、回転体104が回転しない状態で、第1,第2の攪拌部材105,106が、矢印U方向に回動し、第1,第2の収容孔128,129に収容される。このとき、第1,第2のストッパ156,157が第1,第2の攪拌部材105,106に当接することにより、第1,第2の攪拌部材105,106の矢印U方向の回動が停止する。その結果、第1,第2の攪拌部材105,106の第2端部105b,106bが内鍋102に確実に引っ掛からないようし、蓋体103を容易に開くことができる。
【0140】
また、上記第1,第2の攪拌部材105,106の矢印D方向,矢印U方向の回動と、回転体104の回転とは、1つの回転攪拌用DCブラシレスモータ115の駆動力で行っている。したがって、上記第1,第2の攪拌部材105,106を矢印D方向,矢印U方向に回動させるためのモータと、回転体104の回転させるためのモータとを別々に設ける場合に比べて、炊飯器を小型化できる。
【0141】
また、上記第1,第2の攪拌部材105,106を第1,第2の収容孔128,129に収容することにより、炊飯器本体101に内鍋102を出し入れするときなどにおいて、第1,第2の攪拌部材105,106が邪魔にならないようにすることができる。
【0142】
また、上記内蓋113に回転体104を取り付けているので、蓋体103を開くと、回転体104が蓋体103と共に移動する。したがって、上記炊飯器本体101に内鍋102を出し入れするとき、回転体104が内鍋102の出し入れに邪魔にならないようにすることができる。
【0143】
また、上記第1,第2の攪拌部材105,106を回転体104の回転面に対して起立状態にしたとき、第1,第2の攪拌部材105,106が、回転体104側の米150や水151だけでなく、内鍋102の底部側の米150や水151にも接触する。したがって、第1,第2の攪拌部材105,106を、回転体104の回転面に対して起立状態にしたまま、回転体104と共に回転させることにより、回転体104側の米150や水151を十分に攪拌することできると共に、内鍋102の底部近くの米150や水151も十分に攪拌することができる。
【0144】
一方、上記第1,第2の攪拌部材105,106を回転体104の回転面に対して倒伏状態にしたとき、第1,第2の攪拌部材105,106が内鍋102内の米150や水151に接触しない。したがって、第1,第2の攪拌部材105,106を、回転体104の回転面に対して倒伏状態したまま、回転体104と共に回転させても、内鍋102内の米150や水151が第1,第2の攪拌部材105,106で攪拌されないようにすることができる。
【0145】
また、上記内鍋102内の米150や水151を2本の第1,第2の攪拌部材105,106で攪拌することにより、内鍋102内の米150や水151を適度に動かすことができる。したがって、上記米150や水151の攪拌を低振動で十分に行うことができる。
【0146】
また、上記第1,第2の攪拌部材105,106を回転体104の回転面に対して起立状態にしたとき、第1の攪拌部材105と第2の攪拌部材106との間隔が回転体104から離れるにしたがって狭くなっていると、第1,第2の攪拌部材105,106が、内鍋102内の中央部近傍の米150や水151だけでなく、内鍋102内の周縁部近傍の米150や水151にも接触する。したがって、第1,第2の攪拌部材105,106を、回転体104の回転面に対して起立状態にし、かつ、第1の攪拌部材105と第2の攪拌部材106との間隔が回転体104から離れるにしたがって狭くなる状態にしたまま、回転体104と共に回転させることにより、内鍋102内の中央部近傍の米150や水151を十分に攪拌することができると共に、内鍋102内の周縁部近傍の米150や水151も十分に攪拌することができる。
【0147】
また、上記第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容している状態の回転体104を回転体104の回転面に対して垂直な方向からを見たとき、第1,第2の攪拌部材105,106は、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、第3のマイタ歯車141、第4のマイタ歯車142、第5のマイタ歯車143、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145の側方にあるので、これらの歯車と重ならない。したがって、上記状態において第1,第2の攪拌部材105,106および回転体104からなる構造体の厚さを薄くすることができる。
【0148】
また、上記第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容している状態の回転体104を回転体104の回転面に対して垂直な方向からを見たとき、第1の攪拌部材105と第2の攪拌部材106との間に、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、第3のマイタ歯車141、第4のマイタ歯車142、第5のマイタ歯車143、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145を位置させているので、その状態で回転体104を回転させても、回転体104の回転を安定させることができる。したがって、上記状態の回転体104の回転時、回転体104の振動を低減できる。
【0149】
また、上記第1の攪拌部材105の回動中心は、回転体104の回転軸の回りに180°回転させると、第2の攪拌部材106の回動中心にほぼ重なるようにしているので、回転体104の回転面に対して第1,第2の攪拌部材105,106が成す角度が80°になっている状態で回転体104を回転させても、回転体104の回転を安定させることができる。
【0150】
また、本第2実施形態の炊飯器は、上記第1実施形態の炊飯器に比べて、米150や水151の攪拌時の水流が安定し、振動や水はねを大きく低減できる。
【0151】
また、本第2実施形態の炊飯器では、第1実施形態の炊飯器において回転体104の回転数を約200rpmにしたときに得られる攪拌効果を、回転体104の回転数を約150rpmで得られる。したがって、本第2実施形態の炊飯器は回転数低減効果を奏する。
【0152】
上記第2実施形態では、回転体104は蓋体103に着脱可能であったが、蓋体103に着脱不可能にしてもよい。
【0153】
上記第2実施形態では、第1,第2の攪拌部材105,106が回転体104に係止して回転体104と共に回転するとき、回転体104の回転面に対して第1,第2の攪拌部材105,106が成す角度を80°としていたが、例えば75°や85°などであってもよい。
【0154】
上記第2実施形態では、第1,第2の攪拌部材105,106が回転体104に係止して回転体104と共に回転するとき、回転体104の回転面に対して第1の攪拌部材105が成す角度が、回転体104の回転面に対して第2の攪拌部材106が成す角度と同じであったが、回転体104の回転面に対して第1の攪拌部材105が成す角度が、回転体104の回転面に対して第2の攪拌部材106が成す角度と異なるようにしてもよい。このようにした場合、米150や水151において第1,第2の攪拌部材105,106が接触する部分を増やすことができる。
【0155】
上記第2実施形態では、回転体104の回転面に対して垂直な方向から回転体104を見たとき、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、…、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145の一方の側方に、第1の攪拌部材105を配置し、かつ、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、…、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145の他方の側方に、第2の攪拌部材106を配置していたが、第1のマイタ歯車139、第2のマイタ歯車140、…、第6のマイタ歯車144および第7のマイタ歯車145の一方の側方に、第1,第2の攪拌部材105,106を配置してもよい。
【0156】
上記第2実施形態では、第1,第2の攪拌部材105,106は、ほぼ三角形状の断面を有していたが、ほぼ台形状の断面を有するようにしてもよい。このようにする場合も、第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容している状態で、第1,第2の攪拌部材105,106の幅を内鍋102側から離れるにしたがって狭くなるようにするのが好ましい。
【0157】
上記第2実施形態では、ギアカバー124に、第1,第2のストッパ156,157を設けていたが、先端部に切り欠きを有する第1,第2のストッパを設けてもよい。このようにする場合、第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容したときに、上記切り欠きに嵌合して係止する例えば半球状の突起を、第1,第2の攪拌部材105,106に設けてもよい。
【0158】
上記第2実施形態では、ギアカバー124に、第1,第2のストッパ156,157を設けていたが、先端部に例えば半球状の突起を有する第1,第2のストッパを設けてもよい。このようにする場合、第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容したときに、上記突起が嵌合して係止する切り欠きを、第1,第2の攪拌部材105,106に設けてもよい。
【0159】
上記第2実施形態において、回転体104およびギアカバー124は金属で形成されたものであってもよいし、第1,第2の攪拌部材105,106と同様に耐熱樹脂で形成されたものであってもよい。
【0160】
上記第2実施形態では、第1,第2の収容孔128,129に第1,第2の攪拌部材105,106を収容したとき、第1,第2の攪拌部材105,106が回転体104から突出しないようにしていたが、第1,第2の攪拌部材105,106の一部が回転体104から突出するようにしてもよい。すなわち、上記第2実施形態において、回転体104内に少なくとも一部を収容可能な攪拌体を用いてもよい。
【0161】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、本発明の攪拌体は、内鍋内に収容された被加熱物を攪拌可能な位置と、上記被加熱物から乖離した位置とに移動可能であれば、どのような構成であってもよい。また、上記第1実施形態またはその変形例に上記第2実施形態またはその変形例を適宜組み合わせたものを本発明の一実施形態としてもよい。
【0162】
1,101…炊飯器本体
2,102…内鍋
3,103…蓋体
4…誘導コイル
6…回動アーム
7,112…外蓋
8,113…内蓋
9,104…回転体
11…モータ
12,117…小プーリ
13…ベルト
14,118…大プーリ
15…駆動側カップリング
18,146…第1の伝達軸
19,148…第2の伝達軸
20…第1の収容部
20a…倒立ストッパ
21…第2の収容部
21a…倒伏ストッパ
23…被駆動側カップリング
24,139…第1のマイタ歯車
25,140…第2のマイタ歯車
26,141…第3のマイタ歯車
27,142…第4のマイタ歯車
28…回動軸
29,134…第1の傾斜面
30,135…第2の傾斜面
31…第3の傾斜面
32…第1の段部
33…第2の段部
105…第1の攪拌部材
106…第2の攪拌部材
109…IHヒータ
115…回転攪拌用DCブラシレスモータ
116…タイミングベルト
124…ギアカバー
128…第1の収容孔
129…第2の収容孔
136…段部
147…第1の回動軸
149…第2の回動軸
156…第1のストッパ
157…第2のストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する内鍋と、
上記内鍋が収納される炊飯器本体と、
上記炊飯器本体に取り付けられ、上記被加熱物を加熱するための加熱部と、
上記炊飯器本体の上部に開閉可能に取り付けられ、上記内鍋を覆うように閉じることが可能な蓋体と、
上記炊飯器本体と上記蓋体との間に回転可能に配置された回転体と、
上記回転体に取り付けられた攪拌体と、
駆動力を発生する1つの駆動部を有して、この駆動部の駆動力で上記回転体を回転させる駆動機構と
を備え、
上記攪拌体は、上記内鍋内に収容された上記被加熱物を攪拌可能な位置と、上記被加熱物から乖離した位置とに移動可能となっており、
上記攪拌体は、第1端部が上記回転体に回動可能に取り付けられて、上記第1端部とは反対側に位置する第2端部が、上記回転体から離れたり、上記回転体に近づいたりすることが可能になっていて、
上記駆動部が上記回転体を第1方向に回転させるための駆動力を発生することにより、上記攪拌体の上記第2端部が上記回転体から離れる一方、上記駆動部が上記回転体を上記第1方向とは反対方向の第2方向に回転させるための駆動力を発生することにより、上記攪拌体の上記第2端部が上記回転体に近づくことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
被加熱物を収容する内鍋と、
上記内鍋が収納される炊飯器本体と、
上記炊飯器本体に取り付けられ、上記被加熱物を加熱するための加熱部と、
上記炊飯器本体の上部に開閉可能に取り付けられ、上記内鍋を覆うように閉じることが可能な蓋体と、
上記炊飯器本体と上記蓋体との間に回転可能に配置された回転体と、
上記回転体に取り付けられた攪拌体と、
駆動力を発生する1つの駆動部を有して、この駆動部の駆動力で上記回転体を回転させる駆動機構と
を備え、
上記攪拌体は、上記内鍋内に収容された上記被加熱物を攪拌可能な位置と、上記被加熱物から乖離した位置とに移動可能となっており、
上記回転体を一方向に回転駆動するための上記駆動機構の動作によって、上記回転体の回転面に対する上記攪拌体の姿勢が変わって、さらに、上記駆動機構の動作が継続することによって、上記攪拌体が上記回転体に係止して上記回転体と共に回転することが可能であることを特徴とする炊飯器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の炊飯器において、
上記攪拌体の少なくとも一部を上記回転体内に収容可能としたことを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の炊飯器において、
上記回転体は、上記蓋体の上記内鍋側に回転可能に取り付けられていることを特徴とする炊飯器。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の炊飯器において、
上記攪拌体が、上記回転体の回転面に対して起立状態および倒伏状態を取ることが可能であることを特徴とする炊飯器。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の炊飯器において、
第1の上記攪拌体と、第2の上記攪拌体とを備えることを特徴とする炊飯器。
【請求項7】
請求項6に記載の炊飯器において、
上記第1,第2の攪拌体は、上記第1の攪拌体と上記第2の攪拌体との間隔が上記回転体から離れるにしたがって狭くなる状態で、上記回転体に係止して上記回転体と共に回転することを特徴とする炊飯器。
【請求項8】
請求項6または7に記載の炊飯器において、
上記第1,第2の攪拌体が上記回転体に係止して上記回転体と共に回転するとき、上記回転体の回転面に対して上記第1の攪拌体が成す角度が、上記回転体の回転面に対して上記第2の攪拌体が成す角度と異なることを特徴とする炊飯器。
【請求項9】
請求項6から8までのいずれか一項に記載の炊飯器において、
上記回転体は、上記第1,第2の攪拌体を回動させるための複数の歯車を有し、
上記回転体の回転面に対して垂直な方向から上記回転体を見たとき、上記第1,第2の攪拌体は上記複数の歯車の側方に位置することを特徴とする炊飯器。
【請求項10】
請求項9に記載の炊飯器において、
上記回転体の回転面に対して垂直な方向から上記回転体を見たとき、上記第1の攪拌体と上記第2の攪拌体との間に上記複数の歯車が位置するように、上記第1,第2の攪拌体が設けられていることを特徴とする炊飯器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−179478(P2012−179478A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145837(P2012−145837)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2011−184769(P2011−184769)の分割
【原出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】