説明

炭化ケイ素粉体製造方法及びシステム

【課題】本発明は、炭化ケイ素粉体製造方法及びシステムを提供するためのものである。
【解決手段】本発明の炭化ケイ素粉体製造方法は、混合器でケイ素源と炭素源とから構成された混合物を生成するステップ、及び前記混合物を真空度0.03torr以上0.5torr以下、温度1300℃以上1900℃以下に加熱して炭化ケイ素(SiC)粉体を合成するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素粉体を製造する方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(silicon carbide;SiC)とホウ素(boron;B)は高い引張率を有する強化材料である。Al23が酸化物セラミックスの代表であれば、SiCは非酸化物セラミックスの代表格として広く使われている。SiC繊維は、セラミックと金属複合材料の強化材料として用途が活発に開拓されており、ボロン(boron)繊維は主に高性能のエポキシ強化材料として使われている。
【0003】
特に、物性に優れるSiCは他の強化材料より格段に高い価格であるという問題が解決できれば、多く使われる強化材料となるはずである。
【0004】
炭化ケイ素(SiC)は合成材料としてセラミックス分野で最も重要な炭化物である。
【0005】
炭化ケイ素は、立方晶(cubic)結晶構造を有するβ相と六方晶(hexagonal)結晶構造を有するα相が存在する。β相は1400−1800℃の温度範囲で安定であり、α相は2000℃以上で形成される。
【0006】
SiCの分子量は40.1であり、比重は3.21であり、2500℃以上で分解される。
【0007】
炭化ケイ素は1970年代に米国G.E.のプロチャズカ(Prochazka)によりホウ素(boron)及び炭素(carbon)の添加により常圧焼結が初めて成功して以来、SiCは高温強度が高く、耐摩耗性、耐酸化性、耐食性、クリップ抵抗性等の特性に優れて、高温構造材料として注目を受ける材料であり、現在、メカニカルシール、ベアリング、各種ノズル、高温切削工具、耐火板、錬磨材、製鋼時の還元材、避雷器などに広範囲に使われている高級なセラミック素材である。
【0008】
このようなSiC粉体を製造するための従来の技術には、エチソン(acheson)工法、直接炭化法(direct reaction)、液状高分子熱分解法、高温自己伝播(self-propagating)合成法などがある。
【0009】
上記の従来技術は、SiO2、Siなどの固相シリコンソースと炭素、グラファイト(graphite)種類の炭素ソースを混合して1350℃乃至2000℃で熱処理して炭化ケイ素を製造する。このような従来技術はSiC粉体回収率に問題が発生し、純度の限界及び相対的に高い合成温度を有する。
【0010】
さらに、炭化ケイ素の大量生産が困難であり、分級洗浄などの追加工程を必要とし、製造時間が長くかかるので、生産された炭化ケイ素粉体の値段が高いという短所があった。
【0011】
したがって、我が国のように全量を外国から輸入する構造では、より低価に炭化ケイ素粉体を生産できる製造方法、及びこれによって製造された高純度の均一な炭化ケイ素粉体が切実に必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、炭化ケイ素粉体を低廉で、かつ容易に生産できる高純度炭化ケイ素粉体を製造する方法及びシステムを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、炭化ケイ素生成に必要とされる反応エネルギーを減少させて熱処理温度を下げ、工程時間を短縮すると共に、高い回収率を得ることができる炭化ケイ素粉体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は炭化ケイ素粉体製造方法として、(a)混合器でケイ素源と炭素源から構成された混合物を生成するステップ、及び(b)上記混合物を真空度0.03torr以上0.5torr以下、温度1300℃以上1900℃以下に加熱して炭化ケイ素(SiC)粉体を合成するステップを含むことを特徴とする。
【0015】
また、上記(a)ステップのケイ素源と上記炭素源との質量比は1:1以上4:1以下であることを特徴とする。
【0016】
ここで、上記(a)ステップのケイ素源は乾式シリカ(Fumed Silica)、シリカゾル(silica sol)、シリカゲル(silica gel)、微細シリカ(silica)、及び石英粉末のうち、1つ以上が選択される。
【0017】
また、上記炭素源はカーボンブラック(Carbon Black)、カーボンナノチューブ、プラレン、フェノール(phenol)樹脂、フラン(franc)樹脂、キシレン(xylene)樹脂、ポリイミド(polyimide)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリアクリロニトリル (polyacrylonitrile)、ポリビニールアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリ酢酸ビニールを含むモノマー(monomer)、プレポリマー(prepolymer)、セルロース(cellulose)、製糖、ピッチ(pitch)、及びタール(tar)のうち、1つ以上選択されることを特徴とする。
【0018】
また、上記(b)ステップの加熱温度は1600℃以上1900℃以下であることを特徴とする。
【0019】
また、上記(b)ステップの加熱時間は3時間であることを特徴とする。
【0020】
特に、上記炭化ケイ素粉体製造方法は、上記(a)ステップと上記(b)ステップとの間に、上記混合物を加熱して上記混合物に含まれた炭素源を炭化(carbonization)させるステップをさらに含むことを特徴とする。
【0021】
ここで、上記炭化させるステップは、温度700℃以上1200℃以下で炭化させることを特徴とする。
【0022】
また、上記炭化させるステップは温度900℃以上1100℃以下で炭化させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の炭化ケイ素粉体製造システムは、ケイ素源と炭素源から構成された混合物を生成する混合器、及び上記混合物を真空度0.03torr超過0.5torr以下、温度1300℃以上1900℃以下に加熱して炭化ケイ素(SiC)を合成する密閉された坩堝を含むことを特徴とする。
【0024】
また、上記ケイ素源と上記炭素源との質量比は1:1以上4:1以下であることを特徴とする。
【0025】
また、上記ケイ素源は乾式シリカ(Fumed Silica)であり、炭素源はカーボンブラックであることを特徴とする。
【0026】
また、上記坩堝の加熱温度は1600℃以上1900℃以下であることを特徴とする。
【0027】
また、上記加熱時間は30分〜5時間であることを特徴とする。
【0028】
特に、上記炭化ケイ素粉体製造システムは、上記混合物を加熱して上記混合物に含まれた炭素源を炭化(carbonization)させる炭化器をさらに含むことを特徴とする。
【0029】
また、上記炭化器は、温度700℃以上1200℃以下で炭化させることを特徴とする。
【0030】
また、上記炭化器は、温度900℃以上1100℃以下で炭化させることを特徴とする。
【0031】
併せて、本発明は炭化ケイ素粉体製造方法として、(a)混合器でSiO粉末と炭素源とを混合して炭化ケイ素原料混合物を生成するステップ、及び(b)坩堝で上記混合物を1400℃以上1700℃以下の温度で30分以上7時間以下の間熱処理して炭化ケイ素粉体を獲得するステップを含む。
【0032】
また、上記(a)ステップの炭素源はカーボンブラック(carbon black)であることを特徴とする。
【0033】
また、上記(a)ステップで、炭素対ケイ素の混合比は1.3以上1.8以下であることを特徴とする。
【0034】
また、上記(a)ステップは、混合器としてボールミル(ball mill)を使用し、SiO、炭素源、及びボールミル用ボール(ball)を混合して炭化ケイ素混合物を生成するステップであることを特徴とする。
【0035】
特に、上記(a)ステップと(b)ステップとの間に、(1)シーブ(Sieve)を用いて上記ボールミル用ボールを濾過し、炭化ケイ素混合物を回収するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0036】
また、上記(1)ステップと(b)ステップとの間に、(2)上記回収された混合物を黒鉛坩堝(Graphite Crucible)で計量するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0037】
また、上記(b)ステップの坩堝の材料は黒鉛であり、内部空間に真空または不活性ガスを充填したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、既存の炭化ケイ素粉体製造方法より低い圧力と低い温度で製造が可能であるので、工程費用を低減し、高純度の炭化ケイ素粉体を容易に得ることができる。
【0039】
そして、本発明は、炭化ケイ素粉体合成時、熱処理工程の温度を下げ、時間を短縮させることができ、一般的なケイ素化合物を使用した工程に比べて炭化ケイ素粉体の回収率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に従う炭化ケイ素粉体製造方法のブロック図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に従う炭化ケイ素粉体製造システムの構成ブロック図である。
【図3】本発明の好ましい他の実施形態に従う炭化ケイ素粉体製造方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付した図面を参照して好ましい一実施形態に従う炭化ケイ素粉体製造方法及びシステムについて詳細に説明する。但し、実施形態を説明するに当たって、関連した公知機能あるいは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合、それに対する詳細な説明は省略する。
【0042】
図1は、本発明の好ましい一実施形態に従う炭化ケイ素粉体製造方法のブロック図である。
【0043】
図1を参照すると、まずケイ素源及び炭素源を用意し、特にケイ素源に乾式シリカ(fumed silica)、及び炭素源にカーボンブラック(carbon black)を用意することが好ましい(S1)。しかしながら、ケイ素源及び炭素源はこれに限定されるものでなく、ケイ素源として、シリカゾル(silica sol)、二酸化硅素(シリカゲル(silica gel)、微細シリカ(silica)、石英粉末)を使用することもできる。また、炭素源には、カーボンナノチューブ、プラレンなどの固体の炭素または残炭率の高い有機化合物、例えば、フェノール(penol)樹脂、フラン(franc)樹脂、キシレン(xylene)樹脂、ポリイミド(polyimide)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニールアルコール(polyvinylalcohol)、ポリ酢酸ビニールなどの樹脂のモノマー(monomer)やプレポリマー(prepolymer)、セルロース(cellulose)、製糖、ピッチ(pitch)、タール(tar)、及びこれらの混合物を使用することもできる。
【0044】
次に、このようなケイ素源と炭素源とを混合する。特に、ケイ素源として乾式シリカ40gと炭素源としてカーボンブラック18gを混合する(S2)。ここで、固体の炭素源が使われる場合、ケイ素源と炭素源との質量比は1:1以上4:1以下が好ましい。また、有機物の炭素源が使われる場合には、固体の炭素源の場合より約2倍の質量の炭素源が要求されるが、液状の炭素源は、以後、炭化(carbonization)過程で生成される炭素生成量によって多少の差が存在することもある。次に、ケイ素源と炭素源とが混合された混合物を加熱して上記混合物に含まれた炭素源を炭化させる(S3)。
【0045】
このような炭化工程は、温度が700℃以上1200℃以下のものが好ましい。また、炭化工程の温度を900℃以上1100℃以下に維持することがより好ましく、炭素源が有機炭素材料でない場合、炭化工程は省略できる。
【0046】
以後、密閉された坩堝で上記混合物を真空度0.03torr以上0.5torr以下、温度1300℃以上1900℃以下に加熱して炭化ケイ素(SiC)粉体を合成する(S4)。
【0047】
ここで、加熱時間は30分〜5時間であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0048】
また、加熱温度は1600℃以上1900℃以下のものがより好ましい。また、合成工程条件は真空度が1torr以下のものが好ましく、0.1torr以下の真空雰囲気で熱処理することがより好ましい。しかしながら、真空度が0.03torr以下の場合には、量産装備で機械的負荷が多くかかり、追加の装備を必要として装備のメインテナンスが困難であり、費用が多くかかるので好ましくない。
【0049】
本発明のこのような工程を利用することによって、高純度の炭化ケイ素粉体を低費用で製造することができる。このような効果を既存の方法を用いる場合と比較して以下の<表1>に表す。
【0050】
【表1】

【0051】
<表1>を参照すると、比較例は既存の方式により炭化ケイ素粉体を生成する場合を表す。そして、実施形態1及び実施形態2は、本発明に従う製造方法を使用して炭化ケイ素粉体を生成した場合である。ここで、全ての場合において共通的な条件は、ケイ素源に平均粒径40nmの乾式シリカ40gを選択し、炭素源に平均粒径20nmのカーボンブラック18gを選択して混合工程を遂行し、炭化工程は省略したことである。
【0052】
また、差異点として、比較例は坩堝でアルゴン(Ar)ガス雰囲気下で、温度1700℃で3時間を合成したものである。一方、実施形態1は坩堝で真空度0.1torr以上0.5torr以下、温度1700℃で3時間を合成したものであり、実施形態2は坩堝で真空度0.1torr以上0.5torr以下、温度1600℃で3時間を合成したものである。
【0053】
実験の結果から分かるように、不純物含有量は実施形態1及び2が比較例に比べて格段に少ない。したがって、本発明を用いる場合、アルゴンガスを利用せず、真空状態を利用することによって、製造費用を低減し、不純物が格段に少ない高純度の炭化ケイ素粉体を獲得することができる。
【0054】
図2は、本発明の好ましい一実施形態に従う炭化ケイ素粉体製造システムの構成ブロック図である。
【0055】
炭化ケイ素粉体製造システム100は、混合器110、坩堝120、及び炭化器130を含む。混合器は、ケイ素源と炭素源とを混合してケイ素源と炭素源とから構成された混合物を生成する。ここで、ケイ素源及び炭素源は、図1で説明したような多様な種類のうちから選択することができる。特に、ケイ素源と炭素源との質量比は1:1以上4:1以下のものが好ましい。また、炭化器130は混合器110及び坩堝120にカップリングされ、混合物に含まれた炭素源を炭化させる。また、炭化器130で炭化させる温度は、好ましくは700℃以上1200℃以下であり、より好ましくは900℃以上1100℃以下で炭化させる。特に、炭化器130は混合物の炭素源が有機炭素材料でない場合、省略が可能であり、この場合、混合器110で直接坩堝120に混合物が移動する。
【0056】
また、坩堝120は、混合物を真空度0.03torr以上0.5torr以下、温度1300℃以上1900℃以下に加熱して炭化ケイ素(SiC)粉体を合成する。特に、坩堝の加熱温度は1600℃以上1900℃以下のものがより好ましい。また、坩堝130での加熱時間は3時間であることが好ましい。
【0057】
このような炭化ケイ素粉体製造システムにより、低廉で、かつ純度の高い炭化ケイ素粉体を製造することができる。
【0058】
図3は、本発明の好ましい他の実施形態に従う炭化ケイ素粉体製造方法の流れ図である。
【0059】
図3を参照すると、SiO粉末とカーボンブラック(carbon black)とを用意する(S1)。
【0060】
SiOは、SiO2とCの中間生成物である。ここでは、炭素源としてカーボンブラックを使用したが、必ずしもこれに限定するものではない。例えば、カーボンナノチューブ、プラレンなどの固体の炭素または残炭率の高い有機化合物、例として、フェノール(penol)樹脂、フラン(franc)樹脂、キシレン(xylene)樹脂、ポリイミド(polyimide)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニールアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリ酢酸ビニールなどの樹脂のモノマー(monomer)やプレポリマー(prepolymer)、セルロース(cellulose)、製糖、ピッチ(pitch)、タール(tar)、及びこれらの混合物を使用することもできる。
【0061】
このように用意したSiO粉末とカーボンブラック粉末とを混合器、即ち、ボールミル(ball mill)で混合する(S2)。ここで、SiOとCとの混合比率は、理論上はC:Siの比が2:1のものが最も理想的である。しかしながら、実質的にはSiOがガス化しながら揮発されるため、C:Siの比は1.3:1以上1.8:1以下にすることが好ましい。また、ボールミルで混合時、炭化ケイ素混合物の凝固を防止するために、ボールミル用ボール(ball)を共に混合する。このようなボールミル用ボールは、ナイロンボール、ウレタンボール、テフロンボールなどを使用することができる。
【0062】
その後、ボールミルで混合した炭化ケイ素源料粉末をシーブ(Sieve)を使用して回収する(S3)。ここで、シーブはメタルシーブ(metal Sieve)またはポリシーブ(polyisieve)を使用することができる。このようなシーブを使用してボールミル用ボールを濾過し、炭化ケイ素混合物のみを回収することができる。
【0063】
次に、黒鉛坩堝(Graphite Crucible)で、S3で濾過した炭化ケイ素原料混合物を計量する(S4)。計量する理由は、加熱炉に入る最終的な炭化ケイ素原料混合物の量を測定して製造効率を把握するためである。
【0064】
次に、黒鉛合成炉(Graphite furnace)で30分以上7時間以下の間、温度1400℃以上1700℃以下で加熱して炭化ケイ素粉体を合成する(S5)。
【0065】
このような黒鉛合成炉の内で発生する炭化ケイ素粉体の合成過程は、以下の<反応式1>の通りである。
【0066】
〔反応式1〕
SiO+C→Si+CO
Si+C→SiC
----------------------------------
SiO+2C→SiC+CO
【0067】
この場合、黒鉛坩堝の内部は真空または不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)、水素(H)等)で満たすことができる。その後、最終的に炭化ケイ素粉体を回収する(S6)。
【0068】
このような本発明により改善された点を下の<表1>に表す。
【0069】
【表2】

【0070】
<表2>を参照すると、比較例は従来技術として、ケイ素化合物にSiO2を利用し、炭素化合物にカーボンブラックを使用する。これらの混合はボールミルで既存SiO2とCを理論上の混合比である3:1より小さい2.5:1の割合で構成される。また、坩堝で1650℃で5時間熱処理後、X線回折(XRD)(X-ray diffraction)でSiC結晶ピーク(peak)を確認したものである。
【0071】
また、実施形態は本発明による製造工程によりケイ素化合物にSiOを使用し、炭素化合物にカーボンブラックを使用する。これらのC:Siの混合はボールミルでC:Siが1.8:1の割合で混合されたものである。また、坩堝で1400℃で3時間熱処理後、XRDでSiC結晶ピークを確認したものである。
【0072】
結果から分かるように、本発明により加熱温度が1650℃から1400℃に、200℃以上低くなり、時間は2時間短縮された。また、炭化ケイ素粉体の回収率が30%から53%に高くなり、粒度(D50)も1.4μmから1.3μmに、より微細な粉体を獲得することができる。
【0073】
したがって、より効率的な工程により高い回収率と微細な炭化ケイ素粉体を得ることができる。
【0074】
前述したような本発明の詳細な説明では具体的な実施形態に関して説明した。しかしながら、本発明の範疇から逸脱しない限度内で多様な変形が可能である。本発明の技術的事象は本発明の前述した実施形態に限定して定まってはおらず、特許請求範囲だけでなく、該特許請求範囲の均等物により定まるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は低い圧力と低い温度で製造が可能であり、工程費用を低減できる炭化ケイ素粉体の製造方法及びシステムを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)混合器でケイ素源と炭素源から構成された混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物を真空度0.03torr以上0.5torr以下、温度1300℃以上1900℃以下に加熱して炭化ケイ素粉体を合成するステップと、
を含むことを特徴とする、炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項2】
前記(a)ステップのケイ素源と前記炭素源の質量比は1:1以上4:1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項3】
前記(a)ステップのケイ素源は乾式シリカ、シリカゾル、シリカゲル、微細シリカ、及び石英粉末のうち、1つ以上が選択され、
前記炭素源はカーボンブラック、カーボンナノチューブ、プラレン、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニールアルコール、ポリ酢酸ビニールを含むモノマー、プレポリマー、セルロース、製糖、ピッチ、及びタールのうち、1つ以上が選択されることを特徴とする、請求項2に記載の炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項4】
前記(a)ステップと前記(b)ステップとの間に、前記混合物を加熱して前記混合物に含まれた炭素源を炭化させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項5】
前記炭化させるステップは、温度700℃以上1200℃以下で炭化させることを特徴とする、請求項4に記載の炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項6】
(a)混合器でSiO粉末と炭素源とを混合して炭化ケイ素混合物を生成するステップと、
(b)合成炉で前記混合物を1300℃以上1400℃以下の温度で30分以上7時間以下の間加熱して炭化ケイ素粉体を獲得するステップと、
を含むことを特徴とする、炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項7】
前記(a)ステップの炭素源はカーボンブラックであることを特徴とする、請求項6に記載の炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項8】
前記(a)ステップで、
炭素(C)対ケイ素(Si)の混合比は、1.3以上1.8以下であることを特徴とする、請求項7に記載の炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項9】
前記高効率炭化ケイ素粉体製造方法は、
前記(a)ステップと(b)ステップとの間に、
(1)シーブを用いて前記ボールミル用ボールを濾過し、炭化ケイ素混合物を回収するステップと、
(2)前記回収された混合物を黒鉛坩堝で計量するステップとをさらに含み、かつ、
前記(a)ステップは、
混合器としてボールミルを使用し、SiO、炭素源、及びボールミル用ボールを混合して炭化ケイ素混合物を生成するステップであることを特徴とする、請求項1に記載の炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項10】
前記(b)ステップの加熱炉の材料は黒鉛であり、内部空間に真空または不活性ガスを充填したことを特徴とする、請求項9に記載の炭化ケイ素粉体製造方法。
【請求項11】
ケイ素源と炭素源とから構成された混合物を生成する混合器と、
前記混合物を真空度0.03torr以上0.5torr以下、温度1300℃以上1900℃以下に加熱して炭化ケイ素を合成する密閉された坩堝を含むことを特徴とする、炭化ケイ素粉体製造システム。
【請求項12】
前記ケイ素源と前記炭素源との質量比は1:1以上4:1以下であることを特徴とする、請求項11に記載の炭化ケイ素粉体製造システム。
【請求項13】
前記ケイ素源は乾式シリカ、シリカゾル、シリカゲル、微細シリカ、及び石英粉末のうちの1つ以上が選択され、前記炭素源はカーボンブラック、カーボンナノチューブ、プラレン、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニールアルコール、ポリ酢酸ビニールを含むモノマー、プレポリマー、セルロース、製糖、ピッチ、及びタールのうち、1つ以上が選択されることを特徴とする、請求項11に記載の炭化ケイ素粉体製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−503099(P2013−503099A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526659(P2012−526659)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005753
【国際公開番号】WO2011/025285
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】