説明

炭化ホウ素セラミック繊維

改良された機械的特性および特徴を有する金属炭化物セラミック繊維と、金属炭化物セラミック繊維を製造するための改良された工程および化学的経路。金属炭化物セラミック繊維は、金属ベース材料(例えば、ホウ素)と、レーヨンなどの主要な媒体(a earner medium)の固有の炭素との反応結合を介して形成される。1つの実施形態は、高生産性の炭化ホウ素繊維を生成するために、ビスコース懸濁液の紡糸工程(Viscose Suspension Spinning Process)(VSSP)を用いて、金属炭化物セラミック繊維を作る方法を含む。改良された方法の実施形態は、高密度の炭化ホウ素繊維の大量生産を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2008年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/073,468号の優先権を主張するものであり、この開示内容は全体として参照されることによって本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本明細書に記載の主題は、一般的にはセラミック繊維に関し、特に、炭化ホウ素セラミック繊維を含む金属炭化物セラミック繊維と、このような繊維を作る改良方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
炭化ホウ素(BC)は、もっとも硬い材料として知られるものの1つで、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素に次いで第3位にランクする。炭化ホウ素は大量生産される材料(すなわち、トン数の量の材料)のなかでもっとも硬いものである。
【0004】
炭化ホウ素は、弾道への応用および研磨への応用利用を含む多種多様な応用例で利用可能である。例えば、炭化ホウ素は、防弾チョッキなどの弾道への応用について国防省が選択する材料である。同様に、炭化ホウ素材料は、即席の爆破装置の蔓延する脅威から身を守るために、戦闘地域で軍用および商業用車両に用いられることもある。炭化ホウ素材料は、未来の戦闘用車両および軍用機の生存性および移動性を改善することもある。しかしながら、炭化ホウ素材料には、従来の炭化ホウ素製造方法が幾つかの欠点を抱えているというアキレス腱がある。
【0005】
炭化ホウ素粉末の商業生産は、幾つかの方法を介して達成することができる。炭化ホウ素粉末は、炭素熱または気相反応によって、高温度の電気アーク炉で炭素を酸化ホウ素(B)と反応させることによって生産することができる。この工程は強吸熱性である。出発物質は、酸化ホウ素と石油コークスとの密接混合物であってもよい。炭化ホウ素粉末に加えて、大量の一酸化炭素が生じる。商業的に利用する目的で、炭化ホウ素(BC)粉末は、金属不純物を除去するために、一般的に破砕したり精製したりする必要がある。
【0006】
炭化ホウ素粉末の別の生産工程は、マグネシウムの存在下でのホウ素の還元である。この工程は高吸熱性であり、典型的には、1000℃−1200℃で起こる。
【0007】
従来の炭化ホウ素部分は、加熱プレス、焼結、および、焼結式熱間静水圧プレス(HIPing)によって加工される。工業的には、高密度化は、アルゴンなどの不活性雰囲気下で炭化ホウ素粉末を加熱プレス(例えば、2100−2200℃、30−40MPa)することによって行われる。この商業的な工程(例えば、加熱プレス)は、一方で高温まで加熱しながら、大型の型打ち機の間で炭化ホウ素粉末を一緒に圧搾し、98.1%の理論密度と同じくらいに高い相対密度の材料を産出する。使用可能な他の材料は、Al、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、BN、MgO、AIなどを含む。加熱プレスは、一般的には簡単な形状を製造するために用いられる。補助添加物を焼却することで混じりけのない微粉末が高密度化されて、改良特性が得られることもある。
【0008】
典型的な焼成工程は、2つの段階加熱サイクル、結合剤のバーンアウト処理(burnout)(または、バーンオフ処理(burnoff))と焼結とを有する。第1の加熱サイクルである結合剤のバーンアウト処理は、比較的低温(500−600℃)で発生するのが一般的であり、結合剤を除去するよう働く。このサイクルは、結合剤として作用するセルロースのバーンアウト処理または除去を含む。例えば、水素及び酸素が除去され、一酸化炭素が製造される。そのようなものとして、残っている遊離炭素はまったくないか、または、わずかしかない。第2の加熱工程は、非常に著しく高い加熱サイクル(約2200℃)で焼結する工程を備える。焼結は一般的に、すべての粒子を一緒に溶解することで、単一の固形部分を作る。
【0009】
改良された炭化ホウ素の形成工程も同様に存在する。例えば、常圧焼結工程である。この常圧焼結工程(例えば、2000−2200℃)は、炭化ホウ素の密度を改善し、したがって、炭化ホウ素の弾道性能を改善する。高密度までの常圧焼結は、添加物質(例えば、インサイツ炭素、アルミナ)とともに超微粉末を用いて行うことができる。常圧焼結工程は、92−97%の理論密度(Dth)をもたらす。
【0010】
さらに手のかかる用途に関しては、焼結後の熱間静水圧プレス(HIPing)を用いることで、制御された大気(たとえば、Ar、Heガス)下での高温及び高圧の静水圧圧搾作用を介して、相対的密度を99%(Dth)まで増加させる。
【0011】
従来の炭化ホウ素材料を形成するために用いられる炭化ホウ素粉末は、焼結中−粒子が融解することなく固まることで、固体の状態での粒子間の間隙を取り除く高温工程−の、性能が低いことで知られている。焼結が粗悪だと、容易に砕けやすい穴だらけの材料ができてしまう。高密度までの焼結が困難であるため、炭化ホウ素(BC)セラミックなどの金属炭化物セラミックを製造するのは非常に難しい。
【0012】
このような製造に伴う問題は、上記のような材料でできた繊維の製造では増加する。炭化ホウ素繊維の製造の試みで直面する典型的な問題は、紡糸加工および採用される繊維製造工程との材料適合性、繊維の炭化および化学反応の制御、炭化ホウ素の化学量論的生産および組成制御、高密度の炭化ホウ素繊維を生産するための焼結研究、拡大生産などを含む。
【0013】
代替的な実験手段も存在し、CVD、結晶成長等を含む。このような手法は一般的にコストが高く、少量生産で、スピードも遅い。
【0014】
必要とされているのは、炭素および金属ベース材料を含む繊維を形成可能な工程である。同様に必要とされるのは、改良された金属炭化物繊維の形成を容易にする改良型製造方法である。例えば、軽量の金属炭化物繊維は、炭化ホウ素粉末でできた現在利用可能な炭化ホウ素生成物よりも、硬度が増し、弾道および/または浸食性能が改良された。さらに、必要とされるのは、形成しやすく、廉価で大量生産できる金属炭化物繊維の改良型製造方法である。従来技術を上回る他の利益を提供するとともに、従来技術に現存する1以上のまたはすべての不利益を解消する、改良された炭化ホウ素繊維は、繊維合成物、および、炭化ホウ素繊維の製造方法が、当該技術分野における進化を表すものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記の不十分な点及び欠点を考慮して、金属炭化物セラミック繊維、合成物、前記繊維および/または前記合成物を取り込んでいる生成物、および、金属炭化物セラミック繊維の製造方法が提供される。この技術は、特に弾道および浸食耐性の用途によく適しているが、決してこれらに限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの実施形態は、セルロースマトリックスと、このマトリックス内部に分散した金属ベースの炭化物材料とを含む緑色繊維を対象にしている。別の実施形態は、レーヨンマトリックスと、このレーヨンマトリックス内に分散した炭化ホウ素材料とを含む緑色繊維を対象にしている。
【0017】
緑色繊維は熱処理されることで金属炭化物セラミック繊維の密度を高くする。繊維中のセルロースを炭素源として用いることによって、繊維形状(例えば、炭化ホウ素繊維)の金属炭化物を生成する。繊維ビスコース中の炭素は、焼結助剤として用いられるとともに、ホウ素と反応させるために用いられる。
【0018】
本発明の1つの実施形態は、炭化ホウ素(BC)粉末から炭化ホウ素繊維を形成する方法を対象にしている。別の代表的な実施形態において、セルロース(C10)の炭化中に製造された炭素は、以下に示すごとく、炭化ホウ素繊維のための焼結助剤として使用可能である。
C+C→B
同様に、アルミナ(Al)、または、他の焼結助剤は、以下の式で示されるように繊維に加えられる。
C+C+Al→B
上記式の両方の最終生成物は、高密度の炭化ホウ素繊維である。
【0019】
炭化ホウ素繊維を形成するための別の代表的な化学的経路に従って、この炭素熱経路において、炭化物繊維(例えば、炭化ホウ素)は、その出発金属元素(例えば、ホウ素)から製造される。1つの実施形態において、ホウ素(B)粉末は、レーヨンファイバーなどのB負荷されたセルロースマトリックスを製造するために使用可能である。BCを形成するための化学反応は、
4B+C→B
と記載される。
熱処理後、セルロース(C10)の炭化からの炭素は、金属ホウ素と反応し、BCが形成される。
【0020】
別の代表的な化学的経路に従って、酸化ホウ素(B)から炭化ホウ素繊維を形成する炭素熱方法が開示されている。酸化ホウ素粉末は、B緑色繊維を製造するために使用可能である。この繊維は、セルロースマトリックス中にB粒子を含む合成物である。合成物は炭化され(黒鉛化され)、炭化ホウ素は以下に示すように、酸化ホウ素と炭素の化学反応の結果として製造される。
2B+7C→BC+6CO
反応温度を下げるためには、反応温度を下げる以下の式で示すように、マグネシウムが繊維に加えられる。
2B+6Mg+C→BC+6MgO
熱処理後、セルロース(C10の炭化中に製造された炭素は、酸化ホウ素と反応し、BCが形成される。
【0021】
さらに別の代表的な化学的経路において、スラリーが酸化ホウ素、水、または、アルコール、アセトンなどの他の液体から作られる。レーヨン繊維はスラリーを通過してもよく、レーヨン繊維は酸化ホウ素および液体を吸収する。乾燥後に得られる繊維は、レーヨン繊維中に均一に分散した酸化ホウ素粒子を有するようになる。熱処理後、セルロース(C10の炭化中に生成された炭素は、酸化ホウ素と反応し、BCが形成される。
(セルロース)−7C+2B→BC+6CO
【0022】
炭化ホウ素繊維は、紡糸工程によって形成されると(すなわち、緑色繊維)、紡がれた繊維は、繊維特性(例えば、密度、および、硬度)を改善するようにさらに処理される。例えば、炭化ホウ素は高温度で焼結される。好適な実施形態において、炭化ホウ素繊維は、約92乃至約97%の理論密度を達成するために、常圧焼結によって処理される。任意で、または、さらに、炭化ホウ素繊維は、繊維特性(例えば、約99%乃至約100%の理論密度までの密度)をさらに改善するために、例えば、熱間静水圧プレス(HIPing)によってさらに処理される。
【0023】
改良された炭化ホウ素形成工程および化学的経路によって、現在利用可能な炭化ホウ素生成物よりも高い相対密度を有する炭化ホウ素繊維−したがって、弾道及び浸食性能が優れている−が生成される。さらに好ましくは、完全密度の炭化ホウ素繊維が製造される。
【0024】
本発明の別の態様によって、炭化ホウ素セラミック繊維は、繊維形成のビスコース懸濁液の紡糸工程(Viscose Suspension Spinning Process)(VSSP)を用いて製造される。
【0025】
本発明の別の態様によって、炭素マトリックスは、レーヨン繊維、または、ピッチもしくはパンの製造技術を用いて作られる炭素ベースの繊維を含む。好適な実施形態において、レーヨン繊維は高純度レーヨン繊維である。
【0026】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面に関連する代表的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、添付の図面に関連して読むと、以下の詳細な説明から最も良く理解される。添付の図面には、本発明の様々な例示的実施形態および様々な特徴を示す以下の図が含まれる。
【0028】
【図1】ビスコース懸濁液の紡糸工程を介して形成される炭化ホウ素繊維を示す。
【図2A】緑色繊維の糸巻きを示す。
【図2B】緑色繊維の糸巻きを示す。
【図2C】緑色繊維の糸巻きを示す。
【図3】代表的なホウ素−炭素の状態図を示す。
【図4】フィラメント/繊維を形成するための代表的な工程を図示するブロック図である。
【図5】湿式紡糸技術を用いてフィラメント/繊維を形成する代表的な工程の概略図を示す。
【図6】ホウ素から炭化ホウ素繊維を生成するための代表的な工程を示すブロック図である。
【図7】炭化ホウ素から炭化ホウ素繊維を生成するための代表的な工程を示すブロック図である。
【図8】酸化ホウ素から炭化ホウ素繊維を生成するための代表的な工程を示すブロック図である。
【図9A】代表的な炭化ホウ素繊維を示す。
【図9B】図9Aの繊維に関する代表的なX線回折図形を示す。
【図10A】代表的な炭化ホウ素繊維を示す。
【図10B】図10Aの繊維に関する代表的なX線回折図形を示す。
【図11A】代表的な炭化ホウ素繊維を示す。
【図11B】図11Aの繊維に関する代表的なX線回折図形を示す。
【図12A】炭化ホウ素繊維が採用されるいくつかの代表的な利用例を示す。
【図12B】炭化ホウ素繊維が採用されるいくつかの代表的な利用例を示す。
【図12C】炭化ホウ素繊維が採用されるいくつかの代表的な利用例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、金属炭化物セラミック繊維、および、金属炭化物セラミック繊維を製造する改良方法を対象としている。本発明の好適な実施形態は、炭化ホウ素繊維、および、この炭化ホウ素繊維を製造する方法を対象としている。
【0030】
金属ベース材料(例えば、ホウ素)は、セルロースベースのビスコース中に分散してもよい。ビスコースはその後紡がれることによって、内部に金属ベース材料が分散した炭素(セルロース)を含む繊維を形成する。好ましくは、炭素繊維は高純度のレーヨン繊維を含む。1つの工程において、金属ベース材料および炭素の緑色繊維が形成される。
【0031】
繊維はその後熱処理されることによって(例えば、常圧焼結)、濃厚金属炭化物セラミック繊維を生成する。繊維中のセルロースは、繊維形状(例えば、炭化ホウ素繊維)の金属炭化物を生成するための炭素源として使用されることもある。高温の化学反応の間、前駆体中の炭素は、この炭素内に分散した金属ベース材料と反応することによって、金属炭化物を形成する。金属炭化物を生成する改良工程は、繊維ビスコース中の炭素を焼結助剤として用いるとともに、ホウ素と反応させるために用いる。繊維セルロース中の炭素を焼結助剤として用いることは、通常行われるように炭素をバーンオフ処理するよりも、焼結工程を改善するとともに、焼結温度を下げるために役立つ。
【0032】
改良された炭化ホウ素形成工程および化学的経路によって、現在利用可能な炭化ホウ素生成物よりも高い相対密度を有する炭化ホウ素繊維−したがって、弾道及び浸食性能が優れている−が生成される。さらにより好ましくは、完全密度の炭化ホウ素繊維が生成される。この改良された工程および化学的経路によって、従来の方法と比較して、高生産性の炭化ホウ素が産出される。
【0033】
本発明の実施形態は、様々な方法および経路を含む。1つの実施形態において、直接的な方法が用いられる。直接的な方法は、金属ベース材料として炭化ホウ素を用いる。別の実施形態において、金属ベース材料がホウ素を含む炭素熱方法を用いる。さらに別の実施形態において、酸化物前駆体が金属ベース材料として用いられる、炭素熱方法を用いる。代替的な実施形態において、金属酸化物を吸収した炭素ベースの繊維が用いられる、炭素熱方法を用いる。
【0034】
以下の記載は、ホウ素ベースの材料と炭化ホウ素繊維の生成に焦点をあてたものだが、任意の金属炭化物は開示された方法および経路を用いて生成可能であると考えられている。
【0035】
炭化ホウ素(BC)は最も軽量な産業用セラミック材料(例えば、2.5g/cm)であるとともに、最も硬質な材料の1つである。完全密度の炭化ホウ素は、軽量、高硬質(世界で3番目に硬い材料)、浸食耐性、高弾性、中性子吸収体として特徴づけられる。
【0036】
表1は、装甲応用例用の他の高強度セラミックと比較した、炭化ホウ素の物理的および機械的特徴を示す。
【0037】
【表1】

【0038】
この材料は、高い硬度と弾性係数を有し、より重要なことに、軽量である。炭化ホウ素は、その単位細胞中の角に対角に配された12のホウ素原子及び3の炭素原子を備えた菱面体構造を有する。炭素原子は容易に飽和可能である(例えば、ホウ素、または、様々な組成物をもたらすまたは他の原子でさえも)。ホウ素が豊富な組成物は、78.26重量%ホウ素(BC、追加的なホウ素置換はない)から85.4重量%ホウ素(B6.5C)まで様々であってよい。しかしながら、炭素が豊富な面において、炭素当たり4未満のホウ素を有する組成物は観察されなかった。このことは、炭素が豊富な面に、炭化ホウ素と共存するグラファイトがあることを意味している。商業用の炭化ホウ素は、第2位相としての、炭化ホウ素とグラファイトとの合成物であり、これは潜在的な機械的特性および化学的耐性を低下させる。すべての3つの経路において、ホウ素ベースの緑色繊維が作られ、この緑色繊維は図1に示すように、レーヨンマトリックス中に均一に分散した、本来はホウ素ベースの粒子である。その化学反応に必要な前駆体は、繊維形状である。図1に示すように、合成物は炭化され、その後、炭化ホウ素(BC)は、ホウ素ベースの材料と炭素の化学反応の結果として生じる。
【0039】
図2A乃至図2Cは、緑色繊維の糸巻きを示す。図2Aは、B+Cの緑色繊維の糸巻きであり、図2Bは、BC+5重量%のAlであり、図2Cは、混じりけのないBCの糸巻きである。
【0040】
図3は、代表的なホウ素−炭素の位相図を示すとともに、B−C反応の基本的な理解を図示している。
【0041】
本発明の実施形態は、高密度の炭化ホウ素繊維を生成するために、新規な化学的経路を用いている。本発明の実施形態は、例えば、軍事的な装甲の必要性を満たすために、炭化ホウ素繊維の高生産性も支援する。
【0042】
1つの実施形態において、ビスコース懸濁液の紡糸工程(VSSP)を用いて繊維を形成し、新規な化学的経路を用いて金属炭化物繊維を形成する。図4および5に示す代表的なVSSP工程において、セルロースは、水スラリー中に分散した出発セラミック/金属ベース材料(例えば、ホウ素、酸化ホウ素、炭化ホウ素、他の金属炭化物など)で混合した粘稠液(ビスコース)の形状で、水酸化ナトリウム水溶液中で消化される。セラミック/金属ベース材料は、粉末、溶液の形状で、スラリー等の一部として、加えられてもよい。この混合物は、その後、スピナレットの無数の穴を通って、高塩濃度の温かな弱硫酸の溶液槽に注ぎ込まれる。酸塩基反応によって、セルロースは、その内部に高容量パーセントのセラミック/金属ベース材料が分散したレーヨン繊維へと凝固する。
【0043】
本発明の実施形態は、図1に示すように、セルロース(C10から炭化物を形成するこのような反応に必要な炭素(C)を獲得する。セルロースから獲得した炭素の量は、炭化工程中のその炭素の産出に依存するが、セルロースの量は、例えば、VSSP工程で調製することができる。本発明の実施形態は、繊維形状の化学論量的な炭化ホウ素を形成するために、金属ベース材料(または、他の金属炭化物)との反応結合に、ビスコース中の炭素を使用する。
【0044】
VSSP工程の間、ホウ素ベースの材料のセラミック粒子が、紡糸工程の前にビスコースに加えられてもよい。ホウ素ベースの材料は、粉末、溶液などの形状であってもよい。ホウ素ベースの材料は、ビスコース中に均等に分散するように、均等におよび徹底的に混合する。この段階で、ビスコースはスラリー形状であり、蜂蜜のような外観であってもよい。スラリーはその後、紡糸浴を経て、紡がれることで、ホウ素ベースの材料+セルロース(C10(例えば、図1の上部繊維を参照)を含む繊維を形成する。したがって、1つの工程において、2つの目的が適えられる。第1に、繊維が形成され、第2に、ホウ素ベースの材料を有する炭素マトリックスも形成される。工程のこの時点で、粒子は互いに付着しておらず、むしろ、マトリックス−例えば、炭素、金属およびセラミックベースの材料、結合剤などを含むレーヨン繊維−中の別の粒子となっており、緑色レーヨン繊維の強度は、マトリックスの強度に由来する。ホウ素ベースの材料を有する炭素マトリックスを含む繊維を同時に形成するこの工程は、同時に2つの工程を行うものである。
【0045】
図1に示すように、ホウ素(または、任意の他の金属)炭化物繊維は、反応剤として、担体溶媒(すなわち、レーヨン繊維)にもともと備わっている炭素を、繊維形成工程中に繊維に吸収された金属ホウ素と混合させることによって(例えば、反応結合)、形成されてもよい。この工程は、その中の混じりけのないホウ素と、炭化ホウ素繊維とを作るためにホウ素を炭素と反応させる工程を、炭素繊維の製造方法に与える。
【0046】
工程は、炭化(例えば、図1の真ん中の繊維を参照)も同様に含む。炭化は、窒素またはヘリウムなどの制御された大気中での加熱を含む。加熱は、炭素炉などの炉で行われる。加熱工程の間、水素と酸素は、炭素と炭素ベースの材料を残して除去されることで、繊維形状の炭化ホウ素を形成する。
【0047】
炭化ホウ素繊維を製造する工程は、炭素熱還元反応(例えば、高温の化学反応)(例えば、図1の下の繊維を参照)をさらに含む。任意で、後処理は、密度をさらに上げるために加圧焼結を含んでもよい。
【0048】
炭化ホウ素繊維は、合成物としても形成されてもよい。合成物は、一般的に、改良された破壊靱性を有する。炭化ホウ素繊維は、金属マトリックスを強化するために使用することができる。例えば、炭化ホウ素繊維によるアルミニウムマトリックスの強化がある。繊維は、短くても、長くても、2次元に織られても、または、3次元に織られてもかまわない。
【0049】
この応用例は炭化ホウ素繊維に基づくが、繊維を製造するこの方法は、すべての金属炭化物繊維を生成するために使用することができる。例えば、同じ方法を用いて、炭化ケイ素(SiC)、炭化タングステン(WC)、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)、炭化アルミニウム(Al)などを生成することができる。このような応用においては、炭化ホウ素は、一例として用いられた。
【0050】
炭化ホウ素繊維を製造する代表的な化学的経路は、以下のように説明される。
【0051】
経路1:ホウ素(B)からの炭化ホウ素(BC)繊維
図6は、ホウ素から炭化ホウ素繊維を形成する代表的な化学的経路を示す。この炭素熱経路において、炭化物繊維(例えば、炭化ホウ素)は、その出発する金属元素(例えば、ホウ素)から生成される。1つの実施形態において、ホウ素(B)粉末は、レーヨン繊維などのB負荷セルロースマトリックスを製造するために用いることができる。BCを形成する化学反応は、
4B+C→BC (1)
と表される。
ホウ素粒子は、好ましくは、レーヨンマトリックス中に均一に分散する。熱処理後、セルロース(C10の炭化中に生成された炭素は、ホウ素金属と反応して、BCが形成される。熱処理は、約2300℃までの温度で、制御された大気(N、He、Arなど)中で行われる。
【0052】
経路2:BC粉末からの炭化ホウ素(BC)
図7は、炭化ホウ素(BC)粉末から、炭化ホウ素繊維を形成する代表的な直接的方法を示す。炭素とアルミナの両方は、BC用の共通した焼結助剤であり、炭化ホウ素をその完全密度近くになるまで焼結するのに役立つ。炭化ホウ素繊維は、常圧焼結用の焼結助剤を用いてまたは用いずに作ることができる。別の代表的な実施形態において、セルロース(C10の炭化中に生成された炭素は、以下の式(2)で示すように、炭化ホウ素繊維用の焼結助剤として用いてもよい。同様に、アルミナ(Al)、または、他の焼結助剤は、式(3)で示すように、繊維に加えられてもよい。混じりけのないBCおよびアルミナ粒子は、レーヨン繊維中に分散してもよい。式(2)および式(3)の両方の最終生成物は、高密度の炭化ホウ素繊維である。
C+C→BC (2)
C+C+Al→BC (3)
【0053】
経路3:酸化ホウ素(B)からの炭化ホウ素(BC)繊維
図8は、酸化ホウ素(B)粉末から、炭化ホウ素繊維を形成する代表的な炭素熱方法を示す。酸化ホウ素粉末は、例えば、VSSP繊維紡糸技術を用いて、B緑色繊維を製造するために、使用することができる。この繊維は、セルロースマトリックス中にB粒子を含む合成物である。この合成物は炭化され(黒鉛化され)、その後、炭化ホウ素が、式(4)で示すように、酸化ホウ素と炭化ホウ素との化学反応の結果として生成される。反応温度を下げるために、反応温度を下げる式(5)で示すように、マグネシウムが繊維に加えられる。熱処理後、セルロース(C10の炭化中に生成された炭素は、酸化ホウ素と反応して、BCが形成される。
2B+7C→BC+6CO (4)
2B+6Mg+C→BC+6MgO (5)
【0054】
経路4:酸化物を吸収したレーヨン繊維からの炭化ホウ素(BC)繊維
この経路において、スラリーは、酸化ホウ素、水、または、アルコール、アセトンなどの他の液体で作られる。スラリー中の固形の酸化ホウ素の量は、2−80重量パーセントと様々であってもよい。レーヨン繊維はスラリーを通過してもよく、レーヨン繊維は酸化ホウ素および液体を吸収する。乾燥後、結果として得られる繊維は、レーヨン繊維中に均一に分散した酸化ホウ素粒子を有する。熱処理後、セルロース(C10の炭化中に生成された炭素は、酸化ホウ素と反応し、BCが形成される。
(セルロース)−7C+2B→BC+6CO (6)
炭化ホウ素繊維が紡糸工程によって形成される(すなわち、緑色繊維)とすぐに、紡がれた繊維は繊維特性(例えば、密度、つまりは、硬度)を改善するようにさらに処理される。例えば、炭化ホウ素繊維は高温度で焼結される。好適な実施形態において、炭化ホウ素繊維は、約92乃至約97%の理論密度を達成するために、常圧焼結によって処理される。任意で、または、さらに、炭化ホウ素繊維は、繊維特性(例えば、約99%乃至約100%の理論密度までの密度)をさらに改善するために、例えば、熱間静水圧プレス(Post−HIPing)によってさらに処理される。
【0055】
図9A乃至図11Bは、3つの異なる炭化ホウ素(BC)繊維の例を示す。図9Aおよび9Bは、炭化した炭化ホウ素粉末から生成されたBC+Cの繊維を示し、図10Aおよび10Bは、アルミナ酸化物(例えば、約5%アルミナ)が焼結助剤として加えられた、BC+C+Alの繊維を示し、図11Aおよび11Bは、ホウ素と反応する炭素である、B+Cから生成された繊維を示す。図9A乃至図11Bの代表的な繊維は、グラファイト炉で生成された。燃焼条件は、2CFMのヘリウム(He)という制御された大気下で、1時間、約2200℃であった。図9Aおよび9Bの繊維は、式(2)、経路2を介して生成された。図10Aおよび10Bの繊維は、式(3)、経路2を介して生成され、図11Aおよび11Bの繊維は、以下のように、式(1)、経路1を介して生成された。各々の場合において、高純度および高密度の炭化ホウ素繊維が生成される。
【0056】
図9B、10B、および、11Bは、炭化ホウ素のピークと炭素のピークとを示すX線回折を図示している。ピークの高さは、特定の材料が繊維中にどれだけ存在するのかを示す。炭素のピークは、繊維中に存在する遊離炭素の量を示す。図11Aおよび11Bは、炭素ピークが非常に低い様子を示しており(すなわち、非常に清浄な繊維)、これは、出発炭化ホウ素が存在せず、前駆体材料(すなわち、レーヨン繊維のセルロース)中の炭素の大部分がホウ素と反応して、繊維形状の炭化ホウ素を形成したためである。
【0057】
図1で図示された炭化ホウ素繊維に関して、炭素マトリックス前駆体(例えば、レーヨン繊維)のセルロース中の炭素は、常圧焼結を用いて炭化ホウ素を生成するための焼結助剤として用いられる。これは、焼結前に炭素をバーンオフ処理する従来の方法から逸脱するものである。繊維を形成する工程で結合剤として用いられるセルロース中の炭素は、焼結工程の間の焼結助剤としても用いられる。炭素は、炭化ホウ素を生成するためのもっとも優れた焼結助剤の1つである。前駆体材料中の炭素は、繊維中に分散しているホウ素粒子と反応するとともに、炭化ホウ素が低い焼結温度で高圧を用いることなく完全密度まで焼結するのを促進する。
【0058】
図示及び記載されているように、繊維は様々な直径を有していてもよい。様々な直径の繊維は、例えば、スピナレット中の穴の大きさを変えたり、異なる大きさの粒子を用いたりするなどして、生成される。粒子と繊維の大きさは、ナノサイズから数百ミクロンのサイズまで変動することもある。例えば、押し出し、または、繊維を形成する他の技術によって、粒子の大きさおよび繊維の直径を大きくすることができる。特定の実施形態、例えば、VSSPを用いる繊維の紡糸において、粒子の大きさは、好ましくは、約1μm−約7μmである。好ましい繊維の大きさは、直径または断面積で、約5μm−約5mmまで変動する。他の実施形態は、微粒子の直径繊維を含むこともある。微粒子の直径繊維は、約5μm−約15μmの直径を有してもよい。
【0059】
繊維形成工程
繊維(すなわち、フィラメントまたは麻屑(tow))を準備する1つの好適な方法は、ビスコース懸濁液の紡糸工程(Viscose Suspension Spinning Process)(VSSP)を含む。VSSPは、耐火/金属ベース材料を含む繊維を生成する水性工程である。1つの実施形態において、耐火/金属ベース材料の粒子の分散液を最初に準備する。その分散液を、その後、セルロースキサントゲン酸の塩の担体溶液と混合することによって、紡糸混合物が形成される。一般的な湿式紡糸技術を用いて、再生したセルロースのフィラメントが紡糸混合物から形成される。そのフィラメントは内部に分散した粒子を有する。この点で、フィラメントは、セルロースと耐火/金属ベース材料との混合物として利用することができるか(すなわち、緑色繊維)、または、熱処理することができる(すなわち、セラミック繊維)。このフィラメントが加熱されると、十分な温度になるまで、および、十分な期間にわたって上昇することによって、実質的にすべての再発生したセルロースを除去するとともに耐火材料の粒子を焼結し、フィラメントが形成される。本発明の実施形態は、焼結助剤として、セルロース中の炭素を用いる。本発明の実施形態は、内部に分散した金属ベース材料と反応(すなわち、結合)させるために、セルロース中の炭素を用いる。
【0060】
図4は、紡いだフィラメントまたは繊維を生成するための一般的な工程を示す。ブロック(201)は、耐火材料の粒子の分散液を準備する第1工程を描いている。分散媒および耐火材料は別にして、分散液は分散剤と他の成分も含む。ブロック(202)において、分散液を、セルロースキサントゲン酸の塩の担体溶液または分散液と混合することによって、紡糸混合物が形成される。湿式紡糸技術を用いて、再発生したセルロースのフィラメントが、ブロック(203)に示されるように、紡糸混合物から形成される。このセルロースフィラメントは、その内部に分散した粒子を有する。この点で、フィラメントは、耐火/金属ベース材料とセルロースとの混合物として用いることができるか、または、熱処理することができる。ブロック(204)は、任意の熱処理工程を描いており、フィラメントは焼成炉を経て、担体を熱分解させるとともに残りの耐火材料粒子を焼結することによって、セラミック繊維を形成する。ブロック(206)において、次の処理工程は、例えば、アニーリング、金属含浸、および、コーティングを含むよう描かれている。
【0061】
図5は、高温の金属ベースのセラミックフィラメントを製造する際に用いる、代表的なVSSPの概略図である。塩基で飽和したセルロースを、リアクタ(1)中の二硫化炭素と反応させることによって、セルロースキサントゲン酸ナトリウムが形成される。セルロースキサントゲン酸誘導体を、その後、水酸化ナトリウム水溶液または別の塩基水溶液中で溶解させることで、一般的にビスコースと呼ばれる粘性溶液または粘性分散液が形成される。耐火/金属ベース材料粒子の分散液は、ビスコースと混合させてもよい。
【0062】
この混合物は、定量ポンプ(2)によって、毎分約1乃至50メートル以上の速度で、スピナレット(3)を通って、酸浴槽または紡糸浴槽などとしても知られている紡糸浴槽(5)まで直接注ぎ込まれる。スピナレット(3)は、所望の直径をした複数の穴部を有するノズルを備える。スピナレット内の穴部の数、大きさ、形状、および、分布と、スピナレットの数、大きさ、および、形状は、特定の実施形態および所望の最終生成物に依存して、大きく異なる。示されているように、牽引用のゴデットロール(a draw godet roll)(6)が、フィラメントを引っ張ることで、紡糸浴槽を通って、紡がれた繊維を牽引する。平行なフィラメント(4)の束は、あらかじめ決められた間、紡糸浴槽(5)内に留まり、その後、一般的に約90℃の第2の高温水溶性酸浴槽を通過して、完全に再生する。フィラメントは、その後、必要に応じて(7)、継続的にまたはバッチ処理のいずれかによって、水または他の化学物質で精製し、乾燥させる。さらなる処理または他の化学物質のために、フィラメントに潤滑性を与える仕上げは、フィラメントが次の処理のために包装体(10)に巻きつけられるよりも前に、フィラメントに適用される。水を蒸発させる乾燥器(8)を経た後、乾燥したレーヨンセルロースセラミック金属剛性物フィラメント(4)は、牽引要素(9)上に送り込まれ、巻き取りリール(10)に巻きつけられて、次の処理を待つ。
【0063】
フィラメントが巻きつけられた巻き取りリール(10)は運ばれ、結合剤のバーンアウト処理(BBO)と、焼結工程、または、焼結前の以下のウィービング、ブレイディング、タフティング、または、ワインディングのための送りリール(11)として使用される。示されるように、フィラメント(14)は、牽引要素(12)が焼成炉(13)まで達すると、送りリール(11)から解放される。図示された実施形態において、繊維の高密度化およびセラミック粒子の焼結は、耐火粉末/金属ベース粒子のタイプに依存して、約1800℃乃至約2300℃の高温で、炉(13)において、発生する。より好ましくは、焼結は、約2000℃乃至約2200℃で発生する。焼成後、フィラメント(14)は、第2の巻き取りリール(15)に巻き付けられ、さらなる工程を待つ。
【0064】
繊維形成工程は、様々な断面形状を生成する。例えば、この断面形状には、腎臓、皺、管などを含む。代表的なVSSP繊維形成の実施形態において、繊維は、単一のスピナレットを用いて、毎日約5m/分の速度で、約10kg生成される。
【0065】
VSSPの更なる詳細は、米国特許番号第5,827,797号で見つけることができ、この文献は全体として参照することにより、本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態は、完全密度を確保するために、焼結助剤として、セルロース中の炭素を用いる。結合剤(すなわち、炭素)をバーンオフ処理する他の物質とともに用いられる従来の方法とは違って、セルロースからの炭素はバーンオフ処理されず、むしろ、炭素をホウ素と結合させるための焼結助剤として用いられる。これは、繊維を形成するために必要な工程の数を減らすとともに材料の量を減らすことによって工程を改善し、同時に、焼結助剤として炭素の優れた特性によって炭化ホウ素繊維の完全密度を確保することで工程を改善する。
【0066】
加えて、酸化アルミニウムなどのアルミナは、スラリーと混合させ、緑色繊維中に分散させることで、焼結助剤として作用する。
【0067】
先に議論した炭素マトリックスまたは炭素繊維は、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、または、ピッチ技術に基づいて生成された炭素繊維を含んでもよい。炭素繊維は、強度、軽量、および、高弾性の優れた組み合わせを提供する。
【0068】
本発明の好適な実施形態は、炭化ホウ素繊維を生成する工程において、前駆体として、高純度の(または、極めて高純度の)炭素繊維を用いる。本明細書で使用される高純度とは、繊維がFe、Ca、Na、または、その他の元素などのいずれの不純物も含まず、例えば、航空宇宙級の炭素繊維または食品等級の炭素繊維を含むことを意味する。高純度、または、極めて高純度の炭素繊維は、工程の最後に、高純度、または、極めて高純度の炭化物をもたらす。炭素繊維の純度が高ければ高いほど、ますます高純度の炭化物が生成される。純度水準はX線または化学分析を介して決定することができる。
【0069】
繊維の大きさは特定の応用例に依存して変化する。繊維の大きさは、スピナレットおよびスピナレットの穴、粉末粒子の大きさなどを含む多くの方法で決められる。特定の実施形態において、繊維は直径が約5μm乃至約5mmであってもよい。ナノ粉末を用いることで、約1μmまで小さくなった繊維を生産することが可能となる。
【0070】
応用例:
炭化ホウ素繊維と繊維合成物は、弾道への応用に実用性を発揮する。この応用例において、高硬度、軽量、および、高弾性率の組み合わせは、例外的に高い特異的な阻止能を材料に与える。この応用領域は、現在のセラミックおよび金属合成物の防備具を強化および/または取り替えるために、防弾チョッキから戦闘用車両および軍用機まで広範に広がっている。軍事利用以外に、炭化ホウ素繊維および繊維合成物は、高硬度、軽量、高弾性率、および、改良型の耐摩耗性を提供する耐浸食性といった特徴を有するため、耐浸食性の応用例を含む一般市場でもその実用性を発揮する。炭化ホウ素は、同様に、他の材料と併せて用いることによっても、所望の材料特性及び特徴を提供する。このような代表的な応用例は以下を含む。
【0071】
個人保護システム:
炭化ホウ素繊維および繊維合成物は、図12Aなどで示すように、保護用の耐久性のある軽量の防弾チョッキのための弾道性材料の製造中に用いられる。炭化ホウ素セラミック繊維−軽量、高硬度、耐摩耗性および耐腐食性を有する−から作られた高度な炭化ホウ素材料の顕著な特徴は、プラスチックや金属などの従来の材料に勝る利点を提供する。
【0072】
炭化ホウ素セラミック繊維が、大量に製造されるとともに様々な形状と大きさに形成されることによって、オーダーメードの成形で、費用効率に優れた防弾チョッキの生産を大量に行うことが可能となる。
【0073】
車両用装甲システム:
炭化ホウ素セラミック繊維および繊維合成物を含む、耐久性のある軽量の装甲板は、図12Bおよび12Cなどに示されるように、装甲システムおよびタンクローリーを含む戦闘用車両に組み込まれる。このシステムは、局所的な脅威条件に可撓性および応答性の代替手段を提供することで、防御手段の保護レベルに対して迅速かつ効果的に調整することができ、生存率を改善する。
【0074】
航空機装甲システム:
耐久性のある軽量な炭化ホウ素セラミック繊維および繊維合成物は、固定翼および回転式航空機のための航空機保護システムに組み込まれる。代表的な応用例は、炭化ホウ素セラミック繊維を含むパネル、タイル、要素などが挙げられる。航空機装甲システムは、隊員および貨物領域、極めて重要な装備、制御装置などを保護するために用いられる。
【0075】
自動車産業:
炭化ホウ素繊維および繊維合成物は、車体の装甲板、エンジンブロックの建設など、自動車製造において用いられる。例えば、1つの実施形態において、エンジンブロックは、炭化ホウ素繊維とアルミニウム金属とを含む繊維合成物を備える。
【0076】
耐浸食性システム:
炭化ホウ素繊維で強化した合成物は、ブレーキパッドの摩耗を減らすとともに、自動車、オートバイ、航空機などにおけるブレーキパッドの停止電力を増加させるために用いられる。高速車両のブレーキパッドは非常に早く摩耗する。ブレーキパッドに炭化ホウ素などの高弾性セラミック繊維を用いることによって、ブレーキパッドの寿命を著しく長く伸ばすことが可能である。炭化ホウ素繊維は、パッドマトリックス中に長短の繊維を均一に分散させ、それによってブレーキパッドを強化することによって、任意のタイプのブレーキパッドで用いることができる。
【0077】
定義:
炭化とは、熱分解または分解蒸留を介して、有機物質を炭素または炭素含有残留物へと変化させる用語である。炭化とは、元素炭素の含有量が増加した固体残留物が、一般的に不活性雰囲気下の熱分解によって有機物質から形成される工程のことである。すべての熱分解反応と同様に、炭化とは、多くの反応、例えば、脱水素、凝縮、水素転移、および、異性化が、同時に行われる、複合的な工程のことである。適用される最終的な熱分解温度は、炭化の程度と異質な要素の残留物含有量を制御する。一般的に、温度が高ければ高いほど、残留物中の炭素含有量の質量分率(重量パーセント)も高くなる。
【0078】
熱分解とは、場合によっては蒸気を除く酸素または他の試薬の不在下で、加熱によって有機物質を化学分解することである。残留物として炭素のみしか残さない極端な熱分解が、炭化と呼ばれる。熱分解は、加熱分解の特異的なケースである。熱分解は、典型的には、圧力下で、および、430℃以上の操作温度で発生する。
【0079】
炭素熱還元:炭素−金属酸化物混合物内の化学反応のことで、この反応において、生成物は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックスを形成する。
【0080】
焼結:粒子が互いに付着する(すなわち、セラミック粒子を互いに融合させる)まで、材料を加熱することによって(一般的には、高温で行うが、融点以下のこともある−固体段階の焼結)、粉末からセラミック物を作る方法のこと。
【0081】
常圧焼結は、圧力を加えない焼結のことである。この焼結方法は、より従来的な加熱プレス法で典型的に発生する最終要素中の密度変化を避ける/減らすのに役立つ。
【0082】
「粉末(powder)」という用語は、「粒子(particles)」と「耐火材料粒子(refractory material particles)」と交互に用いられる。さらに、「分散(dispersion)」という用語は、広義を有するよう意図されたものであり、任意の手法で液体またはビスコース中に分散、懸濁、または溶解した耐火材料の粒子を記載するために用いられる。
【0083】
「セラミック(ceramic)」という用語は、金属または半金属の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、および、ケイ化物、および、これらの組み合わせのことを言う。
【0084】
相対密度とは、材料が、細孔を全く持っていないことを暗に意味するその理論密度にどれだけ近接しているかを示すパーセンテージである。
【0085】
高密度は、好ましくは、約90%以上、または、より好ましくは、約95%以上の理論密度を意味する。好ましくは、開示された工程および経路を用いて生成された炭化ホウ素繊維は、高密度である。
【0086】
完全密度とは完全な理論密度を意味する。理論密度は、基本的には、結晶構造中の原子の位置に基づいて計算される。原子は一般的に球体であるため、原子間には常に距離があり、いかなる間隙も埋めることはできない。したがって、原子の重さと、原子が結晶中で占める空間に基づいて、密度が分かる(すなわち、理論密度)。従来のセラミック技術を用いると、密度を理論密度未満に下げてしまうという欠点が一般的に存在する。したがって、特定の好適な実施形態において、生成された炭化ホウ素繊維は、完全密度に匹敵するか、または、完全密度に到達する。例えば、約99%乃至約100%の完全密度である。
【0087】
実施例:
以下は、VSSP技術を介した、微細な直径の炭化ホウ素(BC)繊維の製造を図示する実施例である。緑色繊維を作り、炭化ホウ素繊維の常圧焼結と炭素熱還元法を調べた。次に、緑色繊維を焼結試験にかけた。セラミック繊維中のBCと他の位相の存在を研究するために、この繊維をXRDで評価した。
【0088】
C繊維を作る2つの異なる経路を介して、炭化ホウ素繊維の製造が行われた。これらは、BC粉末から直接繊維を製造することを含み、低温度でこの課題を達成するには、高焼結温度または化学的経路の使用を必要とする。両方の経路は、大気が制御された炉での熱処理を必要とする。混じりけのない炭化ホウ素は2450℃で融解し、共役結合しているために完全密度まで焼結されることはほとんどない。したがって、加圧支援法は密度を増加させるために用いられ、高コスト生産で製造工程中に追加の工程を必要とする。焼結助剤は、焼結温度を下げると同時に、高密度を達成するために用いられる。炭素は、BCのための共通した焼結助剤である。VSSPに固有の炭素は、セルロース(C10から獲得される。セルロースから獲得される炭素の量は、炭化工程中の炭素産出に依存するが、そのセルロースの量は、VSSP工程で調製することができる。研究者たちは、3−30重量パーセントの炭素添加物を使用しているが、高炭素パーセンテージ(30%)では、低温度の共晶組成物がB−Cシステムで形成される。Al、SiC、TiB、Mgなどの他の焼結助剤が、BCセラミックを焼結するために用いられてきた。この実施例は、完全密度の炭化ホウ素繊維を生成するために、以下の繊維を用いている。
【0089】
ホウ素(B)繊維:
ホウ素粉末(イリノイ州のSB Boron Corpで製造される)を用いて、B負荷レーヨン繊維を製造した。フィッシャー・サブ−シーブ・サイザー(Fisher sub−sieve seizer)(FSSS)で測定した粉末粒子の大きさは、0.7μmと評価された。このことは、粒子の最大の大きさが0.7μmだったことを意味する。この粉末は非晶質粉末であったため、粒子の大きさはX線では測定することができなかった。この粉末は、0.7μmよりも微細な粒子に由来するスラリー凝集のために、20μmの繊維には形成することができなかった。しかしながら、直径135μmの緑色繊維は首尾よく作ることができた(図2B)。熱処理後のおよびBCに変化するこの繊維の直径は、約120μmになると予想される。BCを形成する化学反応は、以下のように記載される。
4B+C→B
【0090】
ホウ素粒子はレーヨンマトリックス中に均一に分散する。熱処理後、セルロース(C10の炭化中に生成される炭素は、ホウ素金属と反応し、BCが形成される。この繊維は、その後、Ar大気下で1時間、例えば、2200℃の炭素炉で、熱処理にさらされる。
【0091】
炭化ホウ素(BC)繊維:
C+CおよびBC+C+Alを含む常圧焼結用の2つのタイプの焼結助剤を用いて、炭化ホウ素(BC)繊維を製造した。混じりけのないBC粒子を、レーヨン繊維中に分散させた。炭素とアルミナは両方ともBC用の共通した焼結助剤である。炭素は炭化したセルロース由来のもので、5重量パーセントのアルミナは繊維製造中に加えられた。このような繊維は、その後、ArまたはHe大気下で1時間、例えば、2200℃の炭素炉で、熱処理にさらされる。
【0092】
酸化ホウ素(B)繊維:
産業界では、酸化ホウ素を広範に用いて、アーク炉での炭素熱還元を介して、大量の炭化ホウ素を生成している。
2B→BC+6CO
【0093】
しかしながら、Bは水生成のホウ酸に極度に反応し、これは、VSSPなどの水性の技術を介しても解決は難しい。
+3HO→2BO
【0094】
ホウ酸はビスコースマトリックスをゲルに早まって変えてしまい、この早すぎるゲル化は、酸化ホウ素繊維の形成を妨げることが分かった。そのようなものとして、酸化ホウ素粒子は、上記反応を避けるためにコーティングされるが、コーティング材料は、いかなる不純物を取り込むことなく、次の熱処理工程で早々に除去されるべきものとなるようなものでなければならない。
【0095】
システムと方法が特定の実施形態に関連して記載および詳説されているが、当業者は、先に記載されるとともに以下の特許請求の範囲で説明されている原則を逸脱することなく、修正および変更がなされ得ることを理解されるであろう。したがって、開示された実施形態の範囲に記載されているように、参照は以下の特許請求の範囲についてなされなければならない。
【図2A−2C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ホウ素セラミック繊維を製造する方法であって、
前記方法は、
ビスコースを形成するために水溶液中でセルロースを消化させる工程と、
ホウ素負荷したスラリーを形成するために、セルロースベースのビスコース中に、ホウ素(B)を含む金属ベース材料を分散させる工程と、
内部に分散した前記ホウ素を備えるセルロースのマトリックスを含む緑色繊維を形成するために、前記ホウ素負荷したスラリーを紡ぐ工程とを備え、
1つの工程において、前記緑色繊維と前記セルロースマトリックスが形成され、前記セルロースは前記繊維に形成工程で結合剤として作用し、
前記方法は、
前記セルロースから炭素を生成するために、前記緑色繊維の前記ホウ素負荷したセルロースマトリックスを低温度まで熱処理する工程を備え、
前記生成された炭素は、温度が高温に上昇するにつれて前記ホウ素と反応することによって、炭化ホウ素セラミック繊維を形成し、前記化学反応は、BC+C→BCで定義される前記炭化ホウ素(BC)セラミック繊維を形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
炭化ホウ素から炭化ホウ素セラミック繊維を製造する直接的な方法であって、
前記方法は、
ビスコースを形成するために水溶液中でセルロースを消化させる工程と、
ホウ素負荷したスラリーを形成するために、セルロースベースのビスコース中に、ホウ素(B)を含む金属ベース材料を分散させる工程と、
内部に分散した前記ホウ素を備えるセルロースのマトリックスを含む緑色繊維を形成するために、前記ホウ素負荷したスラリーを紡ぐ工程とを備え、
1つの工程において、前記緑色繊維と前記セルロースマトリックスが形成され、前記セルロースは前記繊維に形成工程で結合剤として作用し、
前記方法は、
前記セルロースをバーンオフ処理するために、前記緑色繊維の前記ホウ素負荷したセルロースマトリックスを低温度まで熱処理する工程を備え、
前記生成された炭素は、温度が高温に上昇するにつれて前記ホウ素と反応することによって、炭化ホウ素セラミック繊維を形成し、前記化学反応は、BC+C→BCで定義される前記炭化ホウ素(BC)セラミック繊維を形成することを特徴とする方法。
【請求項3】
炭化ホウ素およびアルミナ負荷したスラリーを形成するために、前記セルロースベースのビスコース中にアルミナ(Al)を分散させる工程と、
ホウ素負荷したスラリーを形成するために、セルロースベースのビスコース中に、ホウ素(B)を含む金属ベース材料を分散させる工程と、
内部に分散した前記ホウ素とアルミナとを備えるセルロースマトリックスを含む緑色繊維を形成するために、前記炭化ホウ素とアルミナを紡ぐ工程とを備え、
1つの工程において、前記緑色繊維と前記セルロースマトリックスが形成され、
前記方法はさらに、
前記炭化ホウ素セラミック繊維を形成するために、前記緑色繊維の熱処理中に前記アルミナを焼結助剤として用いる工程を備え、
炭化ホウ素(BC)セラミック繊維を形成する反応が、BC+C+Al→BCで定義されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記セルロースをバーンオフ処理する工程が、前記セルロースの少なくとも約90%をバーンオフ処理する工程をさらに備え、
前記セルロースから炭素を生成するために、前記緑色繊維の前記セルロースマトリックスを熱処理する工程と、
焼結工程を改善するとともに焼結温度を下げるために、前記炭化ホウ素の高温融解中に前記生成された炭素を焼結助剤として用いる工程をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記熱処理する工程が、制御された大気下において、炉での単一の工程で生じ、
前記温度が約500℃の低温から約1800℃乃至約2300℃の高温まで上昇することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記紡がれた繊維の前記セルロースマトリックスに前記金属ベース材料を均一に確実に分散させるための紡糸工程の前、および、前記熱処理中にあらかじめ決められた反応物からなる前記繊維の本体内部で均一に確実に反応させるための紡糸工程の前に、前記ビスコース全体にわたって前記金属ベース材料を均一に分散させるために、前記金属ベース材料を均等におよび徹底的に混合させる工程をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記紡糸工程が、スピナレット中の複数の穴を介して、前記スラリーを高塩濃度の温かな弱硫酸の溶液槽に注ぐ工程をさらに備え、
前記セルロースを、内部に均一に分散した高用量%の前記金属ベース材料を備えるレーヨン緑色繊維へと凝固させる酸性反応/塩基反応をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理する工程が、前記セルロースを炭化して炭素を生成するために、および、前記緑色繊維内部に分散した前記ホウ素と前記生成した炭素とを化学的に反応させて前記炭化ホウ素セラミック繊維を形成するために、十分な温度で十分な期間にわたって前記緑色繊維を熱処理する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記熱処理する工程が、前記セルロースをバーンオフ処理するために、および、前記緑色繊維内部に分散した前記炭化ホウ素を焼結して前記炭化ホウ素セラミック繊維を形成するために、十分な温度で十分な期間にわたって前記緑色繊維を熱処理する工程をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項10】
前記金属炭化物セラミック繊維の密度をさらに高くするとともにさらに硬化するために、前記炭化ホウ素セラミック繊維を常圧焼結する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
高密度、すなわち、約95%以上の密度を有する炭化ホウ素セラミック繊維を生成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属炭化物繊維の密度および硬度をさらに改善するために、前記炭化ホウ素セラミック繊維を加熱プレス(Post−HIPing)する工程をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
実質的な完全密度の炭化ホウ素セラミック繊維をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
高生産量の炭化ホウ素セラミック繊維を産出する工程をさらに備え、
高生産量は、単一のスピナレットを用いて、少なくとも5m/分の速度で、炭化ホウ素セラミック繊維の生成をもたらすことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
約5μm乃至約5mmの断面積を有する繊維を生成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
約1μmの断面積を有する繊維を生成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
前記炭化ホウ素セラミック繊維を取り込む合成物を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
前記合成物が2次元に織られた合成物をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記合成物が3次元に織られた合成物をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
炭化ホウ素セラミック繊維であって、
前記炭化ホウ素セラミック繊維は、
様々な長さを有する糸巻き上で生成することが可能な連続的な繊維本体と、
前記繊維本体全体にわたって均一に分布するホウ素粒子とを含み、
前記炭化ホウ素セラミック繊維は、前記繊維形成工程で結合剤として用いられた前記繊維本体内のセルロースからの炭化中に生成された炭素から形成され、
前記炭化ホウ素セラミック繊維はさらに、
前記繊維本体の均一な形状および断面積と、
高密度の炭化ホウ素繊維とを含むことを特徴とする炭化ホウ素セラミック繊維。
【請求項21】
炭化ホウ素セラミック繊維であって、
前記炭化ホウ素セラミック繊維は、
様々な長さを有する糸巻き上で生成することが可能な連続的な繊維本体と、
前記繊維本体全体にわたって均一に分布するホウ素粒子とを含み、
前記炭化ホウ素セラミック繊維は、前記繊維形成工程で結合剤として用いられた前記繊維本体内のセルロースのバーンオフ処理から形成され、前記均一な分布によって、前記繊維本体内部に均一に分散した前記炭化ホウ素粒子を一緒に融解し、均一な反応速度によって、前記繊維本体内部で均一な繊維の機械的な性質が生成され、
前記炭化ホウ素セラミック繊維はさらに、
前記繊維本体の均一な形状および断面積と、
高密度の炭化ホウ素繊維とを含むことを特徴とする炭化ホウ素セラミック繊維。
【請求項22】
前記炭化ホウ素セラミック繊維は、実質的な完全密度の炭化ホウ素セラミック繊維をさらに含むことを特徴とする請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記炭化ホウ素セラミック繊維は、高純度の炭化ホウ素セラミック繊維をさらに含むことを特徴とする請求項20または21に記載の方法。

【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図10A】
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【図11A】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図9B】
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【図10B】
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【図11B】
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【公表番号】特表2012−502191(P2012−502191A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514797(P2011−514797)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/047737
【国際公開番号】WO2009/155393
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510331995)アドバンスド セラメトリックス,インク. (1)
【Fターム(参考)】