説明

炭化水素流の液化方法及び装置

炭化水素流の液化方法及び装置。液化システムは少なくとも、NGL回収システム12、主冷媒回路42及び第一冷媒回路100、並びに減圧用デバイス52及びこれに続く気液分離器62を有する。主冷媒回路42は1つ以上の主冷媒圧縮器45、45a、45bを備え、第一冷媒回路100は1つ以上の第一冷媒圧縮器101を備える。炭化水素原料流10は、NGL回収システム12を通ってメタンに富む塔頂流20を生成し、次いで塔頂流20は第一及び第二冷媒回路により冷却、液化される。該液化流の圧力は低下され、得られた混合相流60は最終気液分離器62に通され、最終ガス流70及び液化炭化水素製品流80が得られる。前記液化流の温度を調節して最終ガス流の量を変化させると共に、再循環流90b中のメタンに富む塔頂流20に供給される最終ガス流の量を制御することにより、前記1つ以上の主冷媒圧縮器及び前記1つ以上の第一冷媒圧縮器の負荷動力はそれらの最大負荷まで最大化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭化水素流、例えば天然ガス流の液化方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは有用な燃料供給源であり、また各種炭化水素化合物の供給源でもある。多くの理由から、天然ガスは、天然ガス流の供給源又はその近くの液化天然ガス(LNG)プラントで液化するのが望ましいことが多い。一例として、液体はガスに比べて占有容積が小さい上、高圧で貯蔵する必要がないので、ガスの形態よりも液体としての方が長距離に亘って容易に貯蔵、輸送できる。
【0003】
主としてメタンを含む天然ガスは、通常、高圧でLNGプラントに入り、極低温で液化するのに好適な精製供給原料を作るため、予備処理される。精製ガスは、熱交換器を用いて複数の冷却段階で処理し、液化が達成するまで漸進的にその温度を低下させる。次いで液化天然ガスは更に、貯蔵及び輸送に好適な最終の大気圧まで冷却、膨張される。
【0004】
天然ガスは、メタンの他、若干の更に重質の炭化水素及び不純物として、限定されるものではないが、二酸化炭素、硫黄、硫化水素及びその他の硫黄化合物、窒素、ヘリウム、水、その他の炭化水素酸ガス、エタン、プロパン、ブタン、C+炭化水素及び芳香族炭化水素を含有する。これら及びその他、普通の又は既知の重質炭化水素及び不純物は、通常の既知のメタン液化法、特に最も効率的なメタン液化法を妨害又は邪魔する。炭化水素、特に天然ガスの液化法として最も知られているか、或いは提案されている方法は、液化法の前に重質炭化水素及び不純物の少なくとも大部分の量をできるだけ減らすことに基づいている。
【0005】
メタンより重質の炭化水素、通常、エタンは一般に天然ガス流から天然ガス液体(NGL)として凝縮、回収される。メタンは、通常、高圧スクラブ(scrub)塔においてNGLから分離され、次いで、このNGLは、製品流自体として、或いは液化用に例えば冷媒の成分として使用される有価の炭化水素製品を得るため、多数の専用の蒸留塔で精留される。
【0006】
一方、スクラブ塔からのメタンは、LNGを得るため、引続き液化される。液化後の‘最終フラッシュ(end flash)’のような減圧及び分離により、ガス状メタン再循環流が得られる。
米国特許第4,541,852号には、LNGを過冷却し、減圧し、更にフラッシング(flashing)(瞬間蒸発)してガス相天然ガスを回収することにより、閉鎖サイクル冷媒から圧縮力を再分配する天然ガスの液化、過冷却システムが記載されている。次いで、ガス相天然ガスは再圧縮され、システムの原料に再循環される。
【0007】
米国特許第4,541,852号のシステムは、LNGの減圧及びフラッシングによるガス相天然ガスを815psi(絶対圧)の原料流圧力まで再圧縮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
米国特許第4,541,852号のシステムはNGL抽出システムを含まない。したがって、原料流からNGLを除去することにより、LNG製品の規格を変更することはできない。液化中に固化する可能性がある原料中のいかなる炭化水素成分もシステム内で目詰まりを起こすかも知れない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の局面では本発明は、
(a)NGL回収システム、1つ以上の主冷媒圧縮器を備えた主冷媒回路、及び1つ以上の第一冷媒圧縮器を備えた第一冷媒回路、並びに減圧用デバイス及びこれに続く気液分離器を少なくとも有する液化システムを用意する工程、
(b)炭化水素原料流を前記NGL回収システムに通して該炭化水素原料流からメタンに富む塔頂流を生成する工程、
(c)前記メタンに富む塔頂流を第一圧縮器に通してメタン圧縮流を得る工程、
(d)前記メタン圧縮流を前記第一冷媒回路において第一冷媒で冷却し、引続き該メタン圧縮流を前記主冷媒回路において主冷媒で液化して、第一液化流を得る工程、
(e)前記第一液化流の圧力を低下させて、混合相流を得る工程、
(f)前記混合相流を最終気液分離器に通して最終ガス流及び液化炭化水素製品流を得る工程、
(g)前記最終ガス流の少なくとも一再循環画分を、前記第一冷媒回路における第一冷媒での前記冷却工程の少なくとも一部の上流の前記メタンに富む塔頂流又は前記メタン圧縮流に供給する工程、
(h)前記第一液化流の温度Tを調節して前記最終気液分離器からの最終ガス流の量を変化させると共に、工程(g)に供給される最終ガス流の再循環画分の量を制御することにより、前記1つ以上の主冷媒圧縮器及び前記1つ以上の第一冷媒圧縮器の負荷動力を最大負荷に最大化する工程、
を少なくとも含む炭化水素流の液化方法を提供する。
【0010】
第二の局面では本発明は、
炭化水素原料流からC+流を抽出して、少なくとも、メタンに富む塔頂流及びC+に富む塔底流を得るためのNGL回収システム;
前記メタンに富む塔頂流からメタン圧縮流を得るための少なくとも第一の圧縮器、
前記メタン圧縮流を冷却して冷却メタン圧縮流を得るための第一冷却段(stage)、及び引続き該冷却メタン圧縮流を液化して第一液化流を得るための主冷却段であって、該第一冷却段は1つ以上の第一冷媒圧縮器を備えた第一冷媒回路を有し、前記主冷却段階は1つ以上の主冷媒圧縮器を備えた主冷媒回路を有する、該第一及び主冷却段;
前記第一液化流の圧力を低下させて混合相流を得るための減圧用デバイス;
前記混合相流を最終ガス流及び液化炭化水素製品流に分離するための最終気液分離器;
前記最終ガス流の少なくとも一再循環画分を、前記メタンに富む塔頂流に供給するための再循環画分ライン;及び
前記第一液化流の温度Tを調節して前記最終気液分離器からの最終ガス流の量を変化させると共に、前記再循環画分ライン中の最終圧縮流の再循環画分の量を制御することにより、前記1つ以上の主冷媒圧縮器及び前記1つ以上の第一冷媒圧縮器の負荷動力を最大負荷で最大化するために配列された制御システム;
を少なくとも有する炭化水素流の液化装置を提供する。
本発明の実施態様及び実施例を単なる例示により添付の非限定的図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】炭化水素流を液化する方法の概略図である。
【図2】炭化水素流を液化する方法の更に詳細な概略図である。
【図3】他の一実施態様の更に詳細な概略図である。
【図4】制御器を示す一実施態様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
説明目的のため、単一符号はライン及びそのラインで運ばれる流れに指定される。明細書中、バールを使用した場合は絶対圧をいうものと理解される。
【0013】
したがって、ここでは炭化水素原料流の液化を制御する方法及び装置、及び/又は液化炭化水素流の生産量を最大化するための該方法及び装置について説明する。これら方法の実施態様は、前記第一液化流の温度Tを調節して前記最終気液分離器からの最終ガス流の量を変化させること、及び前記メタンに富む塔頂流に供給される最終圧縮流の再循環画分の量を制御することに基づいている。
【0014】
これにより第一及び第二冷媒回路間の圧縮動力をシフトし、両第一及び第二冷媒回路の圧縮動力を(好ましくは完全負荷まで)増大して、多量の液化製品流を製造することが可能となる。したがって、Tの調節及び再循環画分量の制御により、主冷媒圧縮器及び第一冷媒圧縮器の各々を、これら圧縮器の最大負荷で駆動することが可能かも知れない。
【0015】
圧縮動力を増大する代わりに、又は増大する他、本発明方法及び装置は、第一液化流の温度調節の結果として製造された液化炭化水素製品の、時には品質と言われる規格に対する管理を考慮して(allow for)、採用してよい。
【0016】
本発明の実施態様は、炭化水素流からのC+炭化水素の分離を改善すると共に、最終圧縮流を液化方法に戻す再循環用に更に効率的な場所を与えるため、NGL回収を用いた炭化水素流の液化方法を有利に提供する。
【0017】
図面を参照すると、図1は一実施態様に従って炭化水素流を液化するための装置を示す。この装置は下記:
炭化水素原料流10からC+流を抽出して、少なくとも、メタンに富む塔頂流20及びC+に富む塔底流30を得るためのNGL回収システム12;
【0018】
前記メタンに富む塔頂流20からメタン圧縮流40を得るための少なくとも第一の圧縮器24;
前記メタン圧縮流40を液化して第一液化流50を得るための主冷却段42;
前記第一液化流50の圧力を低下させて混合相流60を得るための減圧用デバイス52;
【0019】
前記混合相流60を最終ガス流70及び液化炭化水素製品流80に分離するための最終気液分離器62;
前記最終ガス流70を圧縮して最終圧縮流90を得るための1つ以上の最終圧縮器72;及び
前記最終圧縮塔頂流90の少なくとも一再循環画分を前記メタンに富む塔頂流20に供給するために、前記最終圧縮流90を前記メタンに富む塔頂流20と接続させる再循環画分ライン90b;
を有する。
【0020】
図1は、一実施態様による炭化水素の液化方法を説明するためにも使用できる。この方法は、以下:
炭化水素原料流10を用意する工程;
前記炭化水素原料流10をNGL回収システム12に通して炭化水素原料流10を少なくとも、メタンに富む塔頂流20及びC+に富む塔底流30に分離する工程;
【0021】
前記メタンに富む塔頂流20を少なくとも第一の圧縮器24に通してメタン圧縮流40を得る工程:
前記メタン圧縮流40を液化して第一液化流50を得る工程;
前記第一液化流50の圧力を低下させて、混合相流60を得る工程;
【0022】
記混合相流60を最終気液分離器62に通して最終ガス流70及び液化炭化水素製品流80を得る工程;
前記最終ガス流70を1つ以上の最終圧縮器72に通して最終圧縮流90を得る工程;及び
前記最終圧縮流72の少なくとも一再循環画分90bを、前記メタンに富む塔頂流20に供給する工程;
を含む。
【0023】
炭化水素流は、限定されるものではないが、冷却可能の炭化水素含有ガス流のような、いかなる好適の炭化水素流であってもよい。一例は、天然ガス又は石油層から得られる天然ガス流である。代替品として、フィッシャー・トロプシュ法のような合成供給源を含む他の供給源からも天然ガス流は得られる。
【0024】
このような炭化水素流は通常、実質的にメタンで構成される。このような炭化水素流は、メタンを好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上含有する。
【0025】
ここに開示した方法は種々の炭化水素流に利用可能であるが、液化すべき天然ガス流に特に好適である。当業者は炭化水素の液化方法を容易に理解しているので、ここでは詳細に説明しない。
供給源によっては炭化水素流は、HO、N、CO、Hg、HS及びその他の硫黄化合物等の1種以上の非炭化水素を含有してもよい。
【0026】
所望ならば、炭化水素流は、使用前に炭化水素の冷却プロセスの一部として、或いは別途に予備処理してよい。このような予備処理は、CO及びHSの換言及び/又は除去、或いは早期冷却及び予備加圧のような他の工程を含んでよい。これらの工程は当業者には周知なので、それらの機構については、ここでは更に説明しない。
【0027】
ここで使用する用語“炭化水素流”は、いずれの処理前の組成物も含む。このような処理としては、浄化、脱水及び/又はスクラビングが含まれ、また組成物については、限定されるものではないが、硫黄、硫黄化合物、二酸化炭素及び水を含む1種以上の化合物又は物質が部分的、実質的又は全体的に処理されたいかなる組成物であってもよい。
【0028】
ここで使用される炭化水素流は、引続き炭化水素の液化を行うのに必要な少なくとも最小限の予備処理を受けることが好ましい。このような天然ガスの液化要件は当該技術分野で知られている。
【0029】
炭化水素流は、普通、各種量の、エタン、プロパン、ブタン及びペンタンのようなメタンより重質の炭化水素や若干の芳香族炭化水素を含有する。この組成は、炭化水素流の種類及び場所により変化する。メタンより重質の炭化水素は、一般に幾つかの理由、例えばメタン液化プラントの部品を閉塞する可能性がある異なる凍結又は液化温度を有することから、液化すべき天然ガスから除去する必要がある。C2−4炭化水素は、天然ガス液体(NGL)及び/又は冷媒の供給源として使用できる。
【0030】
液化方法で使用される高圧で操作する(従来、40〜70バール圧で行われている)スクラブ塔は、炭化水素流からC+炭化水素を除去して、例えばC+炭化水素が0.1モル%未満のスクラブ流を得るのに使用できる。
【0031】
しかし、スクラブ塔のような高圧でのメタンとNGLとの分離は、低圧で分離プロセスを行うほど効率的ではないが、高圧に維持することは、主炭化水素流を膨張させ、次いで圧縮するのに必要なCAPEX及びOPEXを回避するために、従来、有用とされている。
【0032】
したがって、幾つかの状況下では、スクラブ塔は所望のLNG規格を提供できない。例えば米国で必要なLNG規格は、C+の含有量は1.35モル%以下、プロパンは3.25モル%以下、エタンは9.2モル%以下でなければならない。このような規格を提供する一方法は、NGLの分離を低圧、例えば15〜45バール、更に好ましくは20〜35バールの範囲で行うことである。例えば炭化水素流からのC+炭化水素の分離は好ましくは30〜35バールの範囲、更に好ましくは33バールの圧力で行われ、一方、C+炭化水素の分離は好ましくは20〜25バールの範囲、更に好ましくは23バールの低圧で行われる。このような圧力でNGLを抽出した後、次に炭化水素流は液化前に更に圧縮しなければならない。図1は、炭化水素流10をNGL回収システム12に通す、ここに開示した一実施態様による炭化水素流の液化方法を示す。
【0033】
炭化水素原料流10は前述のような炭化水素流から供給され、NGL回収システム12に入る前に、1つ以上の更なるプロセス又は処理を受けてよい。例えば炭化水素原料流10は後述するように、1つ以上の熱交換器により冷却してよい。
【0034】
炭化水素原料流10は、NGL回収システム12の一部としてのNGL回収塔(図2に示す)14に通すために準備した低圧混合相原料流として供給してよい。
或いは及び/又は更に、NGL回収システム12は、炭化水素原料を膨張させてNGL回収塔14用の混合相原料流16を得るための少なくとも第一の膨張器15(図2に示す)を備えてよい。
【0035】
NGL回収システム12は、当該技術分野で既知の方法で、メタンに富む塔頂流20及びC+に富む塔底流30を供給する。NGL回収システム12のNGL回収塔14は、低圧、例えば≦35バールで、例えば操作することにより、従来のスクラブ塔よりも更に効率的にメタンとC+炭化水素とを分離する。
【0036】
+に富む塔底流30は、1つ以上の蒸留塔又は精留塔のような1つ以上の分離器を有する任意の精留系列(train)(図示せず)に通して、ここに開示した炭化水素の液化方法の冷媒の1種以上として別途に使用するか、或いは少なくとも部分的に使用するための、エタン流、プロパン流、ブタン流、又はそれらの組合わせのような個別の炭化水素流を得ることができる。
【0037】
メタンに富む塔頂流20は、なお少量の(例えば<10モル%)C+炭化水素を含むかも知れないが、メタンを好ましくは>80モル%、更に好ましくは>90モル%及び窒素を含有する。
【0038】
メタンに富む塔頂流20は、第一圧縮器24に通され、メタン圧縮流40を供給する。第一圧縮器24は、当該技術分野で既知の方法に従って1つ以上の圧縮器、圧縮段(stage)及び/又は圧縮部(section)を有してよく、圧力が30〜80バール、好ましくは35又は40バール〜80バール、更に好ましくは45〜80バールの範囲のメタン圧縮流40を供給することを意図する。この圧力又は圧力範囲の下限は、NGL回収システムからメタンに富む塔頂流20が排出される際の圧力に従って選択できる。
【0039】
次いでメタン圧縮流40は液化されて第一液化流50を供給する。メタン圧縮流40の液化は、メタン圧縮流を、蒸発する冷媒と熱交換できる1つ以上の熱交換器を有する1つ以上の冷却段で行うことができる。一例として図1に、メタン圧縮流40を少なくとも−100℃に冷却できる‘主’冷却段42を示す。
【0040】
主冷却段42は1つ以上の主冷媒回路を備えてよい。主冷媒回路の少なくとも1つは、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン及びペンタンよりなる群のうちの2種以上を含む混合冷媒を含んでよい。この主冷却段42での液化前に、炭化水素原料流10及び/又はメタン圧縮流40は、1つ以上の第一冷媒回路圧縮器を備えた1つ以上の第一冷媒回路により冷却してよい。第一冷媒回路の冷媒は、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン及びペンタンよりなる群のうちの1種以上を必須成分として構成してよい。
【0041】
次いで第一液化流50の圧力は低下されて、混合相流60が生成する。液化流の圧力、低下は、当該技術分野で公知のいかなる好適な装置、ユニット又はデバイス、例えば1種以上のバルブ及び/又は1種以上の膨張器のような膨張デバイスによって行ってもよい。図1はバルブ52を用いた例を示す。
【0042】
次いで、混合相流60は、当該技術分野で公知の最終フラッシュ(end−flash)容器のような気液分離器62に通され、ここで液化炭化水素製品流80、及び最終フラッシュガス流のような最終ガス流70が得られる。液化炭化水素製品流80の圧力及び/又は最終ガス流70の圧力は大気圧付近、例えば1.5バール未満であってよい。
【0043】
次いで、液化炭化水素製品流80は1つ以上のポンプ(図示せず)により貯蔵及び/又は輸送施設に通すことができる。炭化水素原料流10は天然ガスであり、液化炭化水素製品流80はLNGである。
【0044】
次いで、最終気液分離器62からの最終フラッシュガスのような最終ガス流70は、1つ以上の最終圧縮器72に入り、最終圧縮流90が得られる。最終圧縮器72は当該技術分野で公知の1つ以上の段及び/又は部を有するいかなる好適な圧縮器であってもよく、圧力が>20バールを超える最終圧縮流90を得ることを意図する。
【0045】
最終圧縮流90は当該技術分野で公知の流れ分割器91により分割され、再循環画分90b及び燃料ガス画分90aが得られる。最終圧縮流90は、例えば1つ以上の熱交換器に冷却を付与する他の1つ以上の目的で使用してもよいし、また1つ以上の他の画分を再循環及び燃料流以外の用途に供給してもよい。最終圧縮流90の他の用途は当該技術分野で公知である。
【0046】
最終圧縮流90の流れ分割器91による分割は、下記再循環画分90bに対する要求を基準として、0〜100%の範囲のいずれでもよい。
再循環画分90bは、第一圧縮器24の上流にある配合器21によりメタンに富む塔頂流20に容易に供給できるように、メタンに富む塔頂流20と同じか同様の圧力であるのが都合良い。
【0047】
図2は、ここに開示した第二の実施態様による炭化水素流の液化方法を示す。
図2において、炭化水素原料流10は、NGL回収システム12に通す前に、第一熱交換器110、好ましくは低圧平釜(kettle)熱交換器である第二熱交換器112、及び第三熱交換器114に通される。この方法では、炭化水素原料流10は0℃未満に低下できる。圧力は40〜80バール、好ましくは45〜80バールの範囲のいずれでもよい。
【0048】
図2において、NGL回収システム12は、塔底液流18及び塔頂ガス流19を供給できる予備NGL分離器17を備える。塔底液流18は、バルブ13を通ってNGL回収塔14に入り、一方、塔頂ガス流19はNGL膨張器15に入って混合相原料流16を供給する。混合相原料流16は、塔底液流18を超える高さでNGL回収塔14に入る。
【0049】
NGL回収塔14は、C+に富む塔底流30及び塔頂流31を供給する。塔頂流31は第一及び第三熱交換器110、114を通って炭化水素原料流10を若干冷却する。その後、塔頂流31はターボ圧縮器32に通すことができる。ターボ圧縮器32は、当該技術分野で公知の方法に従ってNGL膨張器15により作られた仕事エネルギーを捕獲するように、好ましくはNGL膨張器15と機械的に連結し、該膨張器により駆動される。このターボ圧縮器は、NGL回収システム12から供給されるメタンに富む塔頂流20を供給する。
【0050】
前述のように、1つ以上の第一圧縮器24に原料流を供給するため、メタンに富む塔頂流20は配合器21により最終圧縮流90の再循環画分90bと配合できる。任意に、中間冷却器25は1つ以上の第一圧縮器24を備えてよい。得られたメタンに富む圧縮流40は第一冷却器26で冷却できる。中間冷却器25及び第一冷却器26は、当該技術分野で公知の水及び/又は空気冷却器であってよい。メタン圧縮流40は、好ましくは高圧平釜熱交換器116aである第四熱交換器又は熱交換システム116、中間圧熱交換器116b及び低圧熱交換器116cに通すことができる。メタン圧縮流40は、主冷却段42に入る前に、前記異なる相対圧水準で蒸発する冷媒と熱交換して、冷却メタン圧縮流40aを供給する。
【0051】
ここに開示した一実施態様では、第一冷媒圧縮器駆動器D2により駆動され、圧縮冷媒流108を供給する第一冷媒圧縮器101(1つ以上の圧縮器である)を備えた第一冷媒回路100が提供される。圧縮冷媒流108は、冷却膨張冷媒流冷媒流104を1つ以上の熱交換器に供給するため、1つ以上の冷却器102及びバルブ103に通される。例示に過ぎないが、図2は、2つの平行する第一高圧(HP)平釜熱交換器105a、105bへの冷媒の供給を分割した第一冷媒回路100を示す。次に、各第一高圧熱交換器105a、105bは、冷媒を膨張デバイス(図示せず)経由で中間圧(MP)平釜熱交換器106a、106bに通す。中間圧(MP)平釜熱交換器106aからの冷媒は、低圧(LP)平釜熱交換器107aに供給される。図2に示す実施態様では、中間圧平釜熱交換器106bからの冷媒は、2つの低圧熱交換器107b、107cに供給するため分割される。任意に、低圧熱交換器107cは、炭化水素原料流10を冷却するため、第二熱交換器112に一致できる。次いで、低圧熱交換器107a、107b、112からの冷媒は、第一冷媒圧縮器101で再圧縮される。
【0052】
更に任意に、HP熱交換器105a、105bの1つは、第一圧縮器24の後のメタン圧縮流40を冷却できる第四HP熱交換器116aに一致できる。同様にMP熱交換器106a、106bの1つは、第一圧縮器24の後のメタン圧縮流40を冷却できる第四HP熱交換器116bに一致でき、またLP熱交換器107a、107bの1つは第四LP熱交換器116cに一致できる。
【0053】
炭化水素流の液化法において第一冷媒回路を備えることは当該技術分野で公知であり、時には‘予備冷却冷媒回路’と言われている。第一冷媒回路は、主冷媒回路中の主冷媒のような該炭化水素液化法中の他の1つ以上の冷媒回路の冷媒を含む1つ以上の他の流れを若干冷却する。
【0054】
第一冷媒回路の第一冷媒は、プロパン又はプロピレン、好ましくはプロパンを必須成分とするような単一成分冷媒であっても、或いは窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン及びペンタンを含む群から選ばれた1種以上を含む冷媒であってもよい。
【0055】
第一圧縮器24は、専用の駆動器D1(例えば図1に示す)で駆動してよい。しかし、第一冷媒圧縮器101の第一冷媒圧縮器駆動器D2は、第一圧縮器24も駆動してよい。例えば図2に示す実施態様では、第一圧縮器24及び少なくとも1つの冷媒圧縮器101は、一般に共通のドライブシャフト27を使用して、機械的に連結され、共同に駆動される。このような共同駆動計画の利点は、第一冷媒回路からの余分な利用可能の動力が第一冷媒に、生産量の増大に望ましい多くの冷却能力(duty)を与えるのに使用できるばかりでなく、第一液化流の温度Tが高くなる結果、生成する追加の再循環ガスを再圧縮できることである。
【0056】
第四熱交換器システム116からの冷却メタン圧縮流40aは主冷却段42に入る。第四熱交換器システムは、多数の第四高圧平釜熱交換器116aのうちの1つと、1つ以上の第四中圧熱交換器116bと、1つ以上の第四低圧熱交換器116cとを有する。図2にはそれぞれ単独の第四HP、MP及びLP平釜熱交換器116a、116b、116cだけを示す。
【0057】
主冷却段42は、1つ以上の熱交換器及び1つ以上の冷媒回路を直列、並列又はその両方の列で備えてよい。図2は、第一液体流50を得るため、主冷媒との熱交換により冷却メタン圧縮流40aを冷却し、少なくとも部分的に液化できるスプール巻き熱交換器のような主極低温熱交換器(MCHE)54を有する主冷却段42を示す。
【0058】
図2は、いかなる冷媒でもよいが、好ましくは窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン及びペンタンを含む群のうちの2種以上の混合冷媒を使用できる主冷媒回路44を有する主冷却段42も示す。
【0059】
主冷媒回路44は、当該技術分野で公知の方法に従って1つ以上の冷媒流をMCHE54に供給するために、いかなる数の冷媒圧縮器、冷却器及び分離器を有してもよい。
【0060】
例示に過ぎないが、図2は、加圧冷媒流46を得るため、主冷媒圧縮器駆動器D3により共同で駆動される第一及び第二主冷媒圧縮器45a、45bを備えた冷媒回路44を示す。加圧冷媒流46は、1つ以上の水及び/又は空気冷却器のような1つ以上の冷却器47を通り、続いて第五熱交換器システム118に入る。第五熱交換器システム118は、1つ以上の第五HP平釜熱交換器118aと、1つ以上の第五MP平釜熱交換器118bと、1つ以上の第五LP平釜熱交換器118cとを備える。図2には単独の第五HP、MP及びLP平釜熱交換器118a、118b、118cだけを示す。第五HP、MP及びLP平釜熱交換器118a、118b、118cは、第一冷媒回路100中の第一HP、MP及びLP平釜熱交換器105a、105b、106a、106b、107a、107b、107cの1つ以上に一致してよい。こうして、冷却され、好ましくは部分的に液化された圧縮冷媒流48が得られ、冷媒分離器55に通される。冷媒分離器55は、更に冷却して過冷却凝縮冷媒流を得るため、MCHE54通り、当該技術分野で公知の方法で軽質冷媒流56及び重質冷媒流57が得られるように適合されている。これら冷媒流56、57は、MCHE54に再び入れる前に、1つ以上のバルブ及び/又は膨張器58a、58bにより膨張される。MCHE54は、第一及び第二主冷媒圧縮器45a、45bで再圧縮するための暖かい冷媒流59を供給する。第二主冷媒圧縮器45bは、1つ以上の水及び/又は空気冷却器のような1つ以上の中間冷却器43を設けてよい。
【0061】
前述のように、MCHE54からの第一液化流50は、バルブ52のような減圧用デバイスを通って、最終フラッシュ容器のような最終気液分離器62に入り、最終フラッシュガスのようなガス流70、及び液化製品流80が得られる。或いは減圧用デバイスは膨張器又はバルブと膨張器との組合わせであってよい。最終ガス流70は、最終圧縮器駆動器D4により駆動される図2に示す1つ以上の最終圧縮器72を通って、最終圧縮流90を供給する。最終圧縮流90の再循環画分90bは、分割器91により分割されて、メタンに富む流れ20に供給される。
【0062】
図3は第三実施態様による炭化水素流の液化方法の代りの配置を示す。図3は第一冷媒回路100により供給される冷却用の配置が異なる他は図2の実施態様と同じ配列を使用した。
【0063】
図3はNGL回収システム12を通ってメタンに富む塔頂流20を供給する炭化水素原料流10を示す。メタンに富む塔頂流20は少なくとも第一圧縮器24を通って、メタン圧縮流40を供給する。図3は、第一冷媒圧縮器駆動器D2により駆動される第一冷媒圧縮器101、並びにその後の1つ以上の、冷却器102及びバルブ103を示す。
【0064】
図3は第一冷媒回路100により液化方法の他の流れを冷却する概略図として熱交換器120を示す。熱交換システム120の破断四角形122は、平釜のような1つ以上の実際の熱交換器を表す。第一冷媒回路100の第一冷媒は、この熱交換器を通って、第一熱交換システム120を通る図示の他の流れを冷却できる。
【0065】
第一冷媒回路100は、メタン圧縮流40を冷却し、図2の第四熱交換システム116の方法に従って、冷却メタン圧縮流40aを供給すると共に、図2に示す第五熱交換システム118の方法に従って、主冷媒回路44の主冷媒を冷却する(主冷媒圧縮器駆動器D3で駆動される1つ以上の主圧縮器45、及び1つ以上の冷却器を通過後、冷却加圧冷媒流48を供給する)。熱交換システム120において冷却加圧冷媒流48を冷却すると、更に冷却された加圧冷媒流49が得られる。この冷媒流49はバルブ41及び次いで主冷却段42に通される。
【0066】
ライン124は、別の冷却流124aを得るため、熱交換システム120により冷却可能な別の流れを表す。このような冷却は、例えば図2に示す第二熱交換器112に関連する方法に従ってライン126及び126a経由で炭化水素原料流10に供給できる。
【0067】
図3は冷却メタン圧縮流40aが主冷却段42を通過後、温度Tの第一液化流50が得られることを示す。
【0068】
ここに開示した実施態様では、圧縮流90の圧力はNGL回収後、メタンに富む塔頂流20の圧力と同じか同様であるから、最終圧縮流90の少なくとも一画分の直接再循環は液化方法に戻ることができる。
【0069】
ここに開示した実施態様は、
(i)前述のように炭化水素原料流10を液化する工程、
(ii)図3に示す第一液化流50の温度Tを調節して最終気液分離器62からの最終ガス流70の量を変化させる工程、及び
(iii)再循環画分としてメタンに富む流れ20に供給される最終圧縮流90の再循環画分90bの量を制御する工程、
を含む炭化水素原料流10の液化方法も提供する。
【0070】
第一液化流50の温度Tを調節すると、液化方法に使用される圧縮器の1つ以上の駆動器に対する動力要求を有利に調節及び/又はシフトすることができる。
【0071】
例えば第一液化流50の温度Tを数℃上げると、例えば−144.5℃から−140℃又は−130℃に上げると、最終気液分離器62において用意される最終ガス流70の量を増大させる(increase the provision)ので、増大した最終ガス流70を圧縮するために、最終圧縮器駆動器D4から多くの動力が必要となり、その結果、同じ再循環画分90b容量に対し、第一圧縮器駆動器D1及び第一冷媒圧縮器駆動器D2により、多くの動力が必要となる。しかし、(主冷却段42での液化温度は高いので、)主冷媒圧縮器駆動器D3からは少ない動力で済む。
【0072】
逆に、温度Tを低下させると、用意される最終ガス流70の量は減少し、圧縮器駆動器D4、D1及びD2の動力負荷(同じ再循環画分90b容量に対する)も減少するが、(液化温度を低下させるために)主冷媒圧縮器駆動器D3の動力負荷は増大する。
【0073】
図2及び3に示す圧縮器駆動器D1〜D4の動力負荷は、再循環画分90b及び燃料画分90aの量を制御すれば更に変化できる。一人以上の燃料ユーザーにより、燃料画分90aの需要が変化する可能性があるが、この変化は再循環画分90bの量を決めるものである。
【0074】
図3は4つの圧縮器駆動器D1〜D4と、これら駆動器間の変化を理解させる最終流れ分割器91との相互関係を示す。
この方法ではユーザーは、ここに供給される炭化水素原料流10の液化を制御する方法に従って、所定の炭化水素原料流のためにこれら圧縮器駆動器間の動力負荷をシフトすることにより、液化方法を制御できる。
【0075】
例えば1つ以上の圧縮器駆動器が抑制されている、即ち、既に完全に負荷されていて、通過流を更に圧縮することができない場合、1つ以上の他の圧縮器駆動器の変化は適応可能であり、必要ならば最終液化流50のTを変化させ、再循環画分90bの量を制御して、抑制された駆動器を救済する。
通常、抑制される駆動器は液化方法において大型駆動器である第一冷媒圧縮器駆動器D2又は主冷媒圧縮器駆動器D3である。
【0076】
ここに開示した実施態様は、
主冷媒回路44、1つ以上の主冷媒圧縮器45、第一冷媒回路100及び1つ以上の第一冷媒圧縮器101を含む、前述のような炭化水素原料流10の液化を制御する工程、及び
1つ以上の主冷媒圧縮器45及び第一冷媒圧縮器101を最大負荷で駆動する工程、
を少なくとも含む、液化炭化水素製品流80の生産量を最大化する方法も提供する。
【0077】
この方法では、前記駆動器のうち1つ以上の駆動器は完全負荷させる必要がなくてよい場合、全ての冷媒駆動器D1〜D4を完全負荷して、液化炭化水素流の生産量を増大することが可能である。
【0078】
例えば駆動器D1〜D4の1つ以上、特に第一冷媒圧縮器駆動器D2及び主冷媒圧縮器駆動器D3は予備能力を持ってよいが、他の圧縮器駆動器と比較して、液化炭化水素製品をなお予測量又は‘標準(normal)’量、供給可能である。
液化炭化水素流は液化天然ガス流であってよい。
【0079】
ここに開示した実施態様では、第一液化流50の温度Tの制御及び最終圧縮流90の再循環画分90b量の制御により、少なくとも第一冷媒圧縮器駆動器D2及び主冷媒圧縮器駆動器D3を完全動力で最大化して、液化炭化水素製品流80を増大できる。
【実施例】
【0080】
下記表1に、ここに開示した方法の一例、例えば図2及び図3に示す方法の種々の部分での駆動器及び特定の流れについての動力使用(duty)、その他のデータを、最終圧縮流の再循環を含まない、即ち、再循環画分90bのない方法と比較して示す。
【0081】
【表1】

【0082】
表1から、最終ガス流90bの再循環画分を用いると共に、他の圧縮器駆動器D1及びD4で得られる動力を完全に用いると、第一冷媒圧縮器駆動器D2及び主冷媒圧縮器駆動器D3で供給された同様な動力により、流れ80(例えばLNG)の生産量が約7%増大できることが確認される。
【0083】
表1は、第一冷媒圧縮器駆動器D2及び主冷媒圧縮器駆動器D3を、設定された動力出力に対応する完全負荷で操作した場合の実施例及び比較例(即ち、再循環あり及び再循環なし)を示す。再循環のない比較例では、第一圧縮器駆動器D1及び最終圧縮器駆動器D4は消費動力が、対応する設定動力よりも低い水準で操作する。再循環を行った実施例でのみ、駆動器D1及びD4は設定動力に近似した消費動力の水準で操作できる。
【0084】
図4は、制御システム200を前述のような炭化水素の液化方法に取込む方法の一例を示す。符号は、前述のようにNGL回収システム12、第一圧縮器24及びその駆動器D1、第一冷媒回路100、主冷媒回路42、減圧用デバイス52、最終気液分離器62、最終圧縮器72及び再循環画分ライン90bを示す。本例の減圧用デバイス52は、膨張器51及びこれに続いて、膨張器51の下流のライン60内に配置された流れ制御バルブ53の形態で具体的に表現されている。制御システム200は、第一液化流50の温度Tを調節して最終気液分離器62からの最終ガス流70の量を変化させると共に、再循環画分ライン90b中の量を制御することにより、主冷媒回路42内の1つ以上の主冷媒圧縮器及び第一冷媒回路100内の1つ以上の第一冷媒圧縮器の負荷動力を最大負荷で最大化するように配列された制御器Cを有する。温度Tは、流れ制御バルブ53を操作して温度Tを設定温度T’にできるだけ近接し維持するために、新しい設定温度T’を計算し挿入し、制御システムを配列すれば調節できる。再循環画分90bの量は、流れFを用い、設定点にも従って、流れ制御される。この流れ設定点は制御器Cにより再循環バルブ201の設定に翻訳される。こうして、第一及び主冷媒圧縮器の動力負荷は、制御変数として制御システム200中で実行できる。また流れ制御バルブ52及び再循環制御バルブ201の制御バルブ設定は、操作変数とみなすことができる。
【0085】
当業者ならば、本発明が付属の特許請求の範囲を逸脱することなく、多くの各種方法で実施できることは理解されよう。
【符号の説明】
【0086】
10 炭化水素原料流
12 NGL回収システム
13 バルブ
14 NGL回収塔
15 第一膨張器又はNGL膨張器
16 混合相原料流
17 予備NGL分離器
18 塔底液流
19 塔頂ガス流
20 メタンに富む塔頂流
21 配合器
24 第一圧縮器
25 中間冷却器
26 第一冷却器
27 ドライブシャフト
30 C+に富む塔底流
30 C+に富む塔底流
31 塔頂流
32 ターボ圧縮器
40 メタン圧縮流
40a 冷却メタン圧縮流
41 バルブ
42 主冷却段又は主冷媒回路
43 中間冷却器
44 主冷媒回路
45 主圧縮器
45a 第一主冷媒圧縮器
45b 第二主冷媒圧縮器
46 加圧冷媒流
47 冷却器
48 圧縮冷媒流又は冷却加圧冷媒流
49 更に冷却された加圧冷媒流
50 第一液化流
51 膨張器
52 減圧用デバイス又はバルブ
53 流れ制御バルブ
54 主極低温熱交換器(MCHE)
55 冷媒分離器
56 軽質冷媒流
57 重質冷媒流
58a バルブ又は膨張器
58b バルブ及び/又は膨張器
60 混合相流
62 最終フラッシュ容器又は最終気液分離器
70 最終フラッシュガス又は最終ガス流
72 最終圧縮器
80 液化炭化水素製品流
90 最終圧縮(塔頂)流
90a 燃料画分
90b 最終圧縮流の再循環画分(ライン)
91 最終流れ分割器
92b 最終圧縮流の再循環画分
90b 再循環画分(ライン)
100 第一冷媒回路
101 第一冷媒圧縮器
102 冷却器
103 バルブ
104 冷却膨張冷媒流冷媒流
105a 第一高圧(HP)平釜熱交換器
105b 第一高圧(HP)平釜熱交換器
106a 中間圧(MP)平釜熱交換器
106b 中間圧(MP)平釜熱交換器
107a 低圧(LP)平釜熱交換器
107c 低圧(LP)平釜熱交換器
108 圧縮冷媒流
110 第一熱交換器
112 第二熱交換器又は低圧平釜熱交換器
114 第三熱交換器
116 第四熱交換器又は第四熱交換システム
116a 第四高圧(HP)(平釜)熱交換器
116b 第四中間圧(MP)熱交換器
116c 第四低圧(LP)熱交換器
118 第五熱交換器システム
118a 第五高圧(HP)平釜熱交換器
118b 第五高圧(HP)平釜熱交換器
118c 第五低圧(LP)平釜熱交換器
120 第一熱交換器又は第一熱交換システム
122 第一熱交換システムの破断四角形
124a 別の冷却流
200 制御システム
201 再循環バルブ
D1 第一圧縮器駆動器
D2 第一冷媒圧縮器駆動器
D3 主冷媒圧縮器駆動器
D4 最終圧縮器駆動器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】米国特許第4,541,852号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)NGL回収システム、1つ以上の主冷媒圧縮器を備えた主冷媒回路、及び1つ以上の第一冷媒圧縮器を備えた第一冷媒回路、並びに減圧用デバイス及びこれに続く気液分離器を少なくとも有する液化システムを用意する工程、
(b)炭化水素原料流を前記NGL回収システムに通して該炭化水素原料流からメタンに富む塔頂流を生成する工程、
(c)前記メタンに富む塔頂流を第一圧縮器に通してメタン圧縮流を得る工程、
(d)前記メタン圧縮流を前記第一冷媒回路において第一冷媒で冷却し、引続き該メタン圧縮流を前記主冷媒回路において主冷媒で液化して、第一液化流を得る工程、
(e)前記第一液化流の圧力を低下させて、混合相流を得る工程、
(f)前記混合相流を最終気液分離器に通して最終ガス流及び液化炭化水素製品流を得る工程、
(g)前記最終ガス流の少なくとも一再循環画分を、前記第一冷媒回路における第一冷媒での前記冷却工程の少なくとも一部の上流の前記メタンに富む塔頂流又は前記メタン圧縮流に供給する工程、
(h)前記第一液化流の温度Tを調節して前記最終気液分離器からの最終ガス流の量を変化させると共に、工程(g)に供給される最終ガス流の再循環画分の量を制御することにより、前記1つ以上の主冷媒圧縮器及び前記1つ以上の第一冷媒圧縮器の負荷動力を最大負荷に最大化する工程、
を少なくとも含む炭化水素流の液化方法。
【請求項2】
工程(b)における前記メタンに富む塔頂流の生成工程が、前記炭化水素原料流からC+流を抽出すると共に、C+に富む塔底流を得る工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NGL回収システムが、膨張器;NGL回収塔;及び該膨張器により駆動するため、該膨張器と機械的に連結した1つ以上のターボ圧縮器;を備えると共に、工程(b)が、前記炭化水素原料流の少なくとも1つの画分を前記膨張器に通して混合相原料流を得る工程、該混合相原料流を前記NGL回収塔に通して塔頂流を製造する工程、及び該塔頂流を前記ターボ圧縮器に通して前記メタンに富む塔頂流を精製する工程、を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記NGL回収塔での圧力が、40バール未満、更に好ましくは≦35バールである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記NGL回収塔での圧力が、15〜45バール、好ましくは20〜35バールの範囲である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第一冷媒回路が、前記炭化水素原料流を冷却するための1つ以上の熱交換器及び前記メタン圧縮流を冷却するための1つ以上の熱交換器を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(g)の前に、前記最終ガス流を1つ以上の最終圧縮器に通して最終圧縮流を得る工程であって、該最終圧縮流から該最終圧縮流の再循環画分が引抜かれる該工程を更に含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記最終圧縮流の再循環画分の圧力が15〜45バールの範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第一圧縮器が、第一冷媒圧縮器の少なくとも1つで共同に駆動される請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記炭化水素原料流が天然ガス流であり、前記液化炭化水素製品流が液化天然ガス流である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程(h)における前記第一液化流の温度Tの調節工程、及び工程(g)に供給される最終ガス流の再循環画分の量の制御工程により、前記液化炭化水素製品流の生産量が増大する、好ましくは最大化する請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(h)における前記負荷動力の最大化工程が、前記第一冷媒圧縮器と前記主冷媒圧縮器との間の動力負荷をシフトする工程を含む
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
炭化水素原料流からC+流を抽出して、少なくとも、メタンに富む塔頂流及びC+に富む塔底流を得るためのNGL回収システム;
前記メタンに富む塔頂流からメタン圧縮流を得るための少なくとも第一の圧縮器、
前記メタン圧縮流を冷却して冷却メタン圧縮流を得るための第一冷却段、及び引続き該冷却メタン圧縮流を液化して第一液化流を得るための主冷却段であって、該第一冷却段は1つ以上の第一冷媒圧縮器を備えた第一冷媒回路を有し、前記主冷却段階は1つ以上の主冷媒圧縮器を備えた主冷媒回路を有する、該第一及び主冷却段;
前記第一液化流の圧力を低下させて混合相流を得るための減圧用デバイス;
前記混合相流を最終ガス流及び液化炭化水素製品流に分離するための最終気液分離器;
前記最終ガス流の少なくとも一再循環画分を、前記メタンに富む塔頂流に供給するための再循環画分ライン;及び
前記第一液化流の温度Tを調節して前記最終気液分離器からの最終ガス流の量を変化させると共に、前記再循環画分ライン中の最終圧縮流の再循環画分の量を制御することにより、前記1つ以上の主冷媒圧縮器及び前記1つ以上の第一冷媒圧縮器の負荷動力を最大負荷で最大化するために配列された制御システム;
を少なくとも有する炭化水素流の液化装置。
【請求項14】
前記NGL回収システムが、
前記炭化水素原料の少なくとも1つの画分を膨張させて混合相原料流を得るために配列された膨張器:
前記混合相原料流を受取ると共に、塔頂流を製造するためのNGL回収;及び
前記膨張器により駆動されて、前記塔頂流を受取る共に、前記メタンに富む塔頂流を生成するための、該膨張器と機械的に連結した1つ以上のターボ圧縮器;
を有する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記最終ガス流を圧縮して最終圧縮流を得るための1つ以上の最終圧縮器であって、前記再循環画分ラインにより前記最終圧縮流が前記メタンに富む塔頂流と接続する該最終圧縮器を更に備える請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ以上の第一圧縮器のうちの少なくとも1つ及び前記第一圧縮器が機械的に連結され、共同に駆動される請求項13〜15のいずれか1項に記載の装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528424(P2011−528424A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503419(P2011−503419)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054125
【国際公開番号】WO2009/124925
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】