説明

炭化珪素精製方法及びシステム

【課題】 この発明は、珪砂とコークスから精製した炭化珪素を製造することを目的としたものである。
【解決手段】 この発明は、コークスと珪砂の混合物をゼットガス炉に送り込み、その上部からゼットガスバーナーでゼットガス炎を吹きつけて、800℃〜1200℃に加熱し、珪砂の酸素を分離して炭化珪素を精製することを特徴とした炭化珪素の精製方法により目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、珪砂と、コークスの混合物を連続的に加熱して炭化珪素を精製し、これを精製することを目的とした炭化珪素精製方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来炭化珪素を精製するには、熱気加熱炉内へ珪砂とコークスの混合物を挿入し、これを電熱加熱する炭化珪素の精製方法が一般に使用されていた。
【0003】
また金属珪素、酸素を含む酸化性ガス及び炭化水素を含む還元性ガスを反応させて得た粗炭化珪素粉末と、カーボンを含む気体と、酸素を含む酸性ガスとをサイクロン型容器を有する捕集装置内へ導入し、これを500℃〜800℃で加熱し、カーボンを燃焼除却し、精製炭化珪素粉末を得ると共に、これを捕集することを特徴とした炭化珪素粉末の捕集方法が提案されている。
【特許文献1】特開昭63−195106
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知技術中、電熱使用の方法は、効率が悪いのみならず、珪砂とコークスの混合が不十分の時には精製効率が悪い問題点があった。
【0005】
また前記特許文献1の発明は、まず粗炭化珪素を精製するので、二度の加工を必須要件としており、従って効率低下の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、水素と酸素の混合物よりなるゼットガスを使用して燃焼させると共に、水素によって還元できるので、効率よく精製することができて、前記従来の問題点を解決したのである。
【0007】
即ち方法の発明は、コークスと珪砂の混合物をゼットガス炉に送り込み、その上部からゼットガスバーナーでゼットガス炎を吹きつけて、800℃〜1200℃に加熱し、珪砂の酸素を分離して炭化珪素を精製することを特徴とした炭化珪素の精製方法であり、コークスと珪砂の混合物をゼットガス炉に送り込み、その上部からゼットガスバーナーでゼットガス炎を吹きつけて、800℃〜1200℃に加熱し、珪砂の酸素を分離して炭化珪素を精製し、排気から水素を分離し、残余の炭酸ガスを用いて炭酸カルシウムを精製した後、放出することを特徴とした炭化珪素の精製方法である。
【0008】
またシステムの発明は、珪砂及びコークスの混合手段と、ゼットガスバーナーを備えた炭化珪素のゼットガス炉と、排気処理手段とを組み合せたことを特徴とする炭化珪素精製システムであり、ゼットガスバーナーは、ゼットガスを吹き出し、ゼットガス炎を生成するものであり、混合手段は、粉粒体混合機としたものであり、排気処理手段は、熱交換器、サイクロン及び水素分離器としたものである。
【0009】
前記において使用するゼットガスは、送浸透膜を通して電気分解するので、雨水、工業用水又は水道水を使用することができる。前記水を電気分解して、水素ガスと酸素ガスを生成し、これを混合したものである。
【0010】
ゼットガスの燃焼は、気体から液体への相変化であるから、通常の爆発現象(Explosion)は発生せず、擬爆現象(Implosion)が起こる。Implosionでは、熱源の周囲に真空が発生するが、外部へエネルギーが拡散しない為安全である。
【0011】
また水素ガスと酸素ガスの混合気体の為、空気中へ漏出しても環境悪化のおそれがなく、かつ拡散すれば燃焼のおそれもない。また当然のこと乍ら燃焼によって水になるので、有害物質の排出は皆無である。
【0012】
ゼットガス炎を対照物に照射すると超高温(1000℃〜4000℃)となり、総ての物を溶解するけれども、他物に移るおそれはない。またゼットガス自体が酸素を保有しているので、空気のない場所でも燃焼を継続する。更に表1のような特性をもっている。
【表1】

【0013】
前記のように、ゼットガスは、化石燃料又は化石ガスに比し特性を有するので、目的物を目的温度に加熱し、しかも公害物を排出しないので、炭化珪素の精製の熱源として最適である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、珪砂とコークスの混合物をゼットガス炎で加熱するので、珪砂の還元と、炭素との化合が瞬時に行われると共に、他物の混入する条件がないので、高純度の炭化珪素ができる効果がある。この発明の炭化珪素は0.999・・・である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明は、図1のように粒度0.1mm〜10mmの珪砂粉と、同粒度のコークス粉とを1:1の割合(容量)で混合機に投入し、十分混入したならば(例えば5分〜10分)、これを、水素雰囲気のゼットガス炉に投入すると共に、上方からゼットガス炎を吹きつけて、800℃〜1000℃で加熱すると、燃焼して、CO、Hを排出する。そこでHを分離膜で回収し、COを処理する。
【0016】
COの処理は、適当な触媒を通過させて、例えばCaCOを形成し、又はCとOに分離して、気体を放出する。この点は従来技術を使用する。
【実施例1】
【0017】
この発明は、粉粒化した珪砂30と、コークス31の給送装置1、1により、混合機2へ適量の珪砂と、コークスを給送し、混合機2で均一に混合した後、この混合物をゼットガス炉3に送り込む。
【0018】
前記ゼットガス炉3には、上部に複数のゼットガスバーナー4、4を有し、このバーナーからゼットガス炎5、5を吹き出して、前記混合物を800℃〜1000℃に加熱し、炭化珪素を生成する。前記ゼットガス炉3は、予め水素雰囲気を保つように、水素が供給されている。
【0019】
前記ゼットガス炎5は、水素と酸素の燃焼により生じるので、燃して水蒸気を生成し、この水蒸気と、炭酸ガスと水素とが排出される。
【0020】
そこで排気を熱交換器9で冷却した後、分離膜を有する分離筒6で水素を回収してゼットガス炉へ供給し、水蒸気と炭酸ガスから炭素を分離し、水蒸気と酸素とを外界に放出する。従って外界への影響はきわめて軽微となる(炭酸ガスの一部が出る程度)。
【0021】
この発明において使用するゼットガスは、ゼットガス発生器7で水を電気分解して生成し、これを分配器8により必要箇所へ分配して使用する。
【0022】
前記ゼットガスは、水素ガスと酸素ガスの混合ガスよりなり、前記表1のような特性を有するので、この炭化珪素の製造に対しても十分の効力を発揮し、製造と精製を一度の処理で行うことができる。
【0023】
この発明のゼットガス生成の為の電気分解装置を図3について説明すると、電解槽10内に、多数の電極板11、11を縦に並列設置して、各電極板11、11は導板12、12aにより夫々プラス極、及びマイナス極を形成している。
【0024】
前記電解槽10の下部には、送水パイプ13の一端が連結され、送水パイプ13にはポンプ18を介装して、その他端は電解水槽14に連結してある。
【0025】
また電解槽10の上部は排水パイプ15の基端が連結され、排水パイプ15の他端は、前記電解水槽14の上部内側の分離匣16に連結されている。前記電解水槽14の上部には混合ガスの排出パイプ17が連結されている。図中24は水位計測室、25は給排気パイプ、26は水位計、27は電磁バルブ、28は給水パイプ、29は連通孔、32はセンサーである。
【0026】
そこで各電極板11、11に通電すると共に、送水パイプ13のポンプ18を始動すると、電解水槽14内の電解水は、矢示20、21、22のように流動し、電気分解され、生成した水素ガスと酸素ガスと水とを、排水パイプ15から矢示19のように取り出し、分離匣16でガスと水と分離して、排出パイプ17から矢示23のように分配器8に送り(図2)、分配器8から必要個所に分配することになる。
【0027】
前記実施例は一例であって、他の電気分解装置を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の実施例のブロック図。
【図2】同じく模式図。
【図3】(a)同じく電気分解装置の一部を断面した説明図、(b)同じく電極板の連結を示す一部拡大斜視図。
【符号の説明】
【0029】
1 給送装置
2 混合機
3 ゼットガス炉
4 ゼットガスバーナー
5 ゼットガス炎
6 分離筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークスと珪砂の混合物をゼットガス炉に送り込み、その上部からゼットガスバーナーでゼットガス炎を吹きつけて、800℃〜1200℃に加熱し、珪砂の酸素を分離して炭化珪素を精製することを特徴とした炭化珪素の精製方法。
【請求項2】
コークスと珪砂の混合物をゼットガス炉に送り込み、その上部からゼットガスバーナーでゼットガス炎を吹きつけて、800℃〜1200℃に加熱し、珪砂の酸素を分離して炭化珪素を精製し、排気から水素を分離し、残余の炭酸ガスを用いて炭酸カルシウムを精製した後、放出することを特徴とした炭化珪素の精製方法。
【請求項3】
珪砂及びコークスの混合手段と、ゼットガスバーナーを備えた炭化珪素のゼットガス炉と、排気処理手段とを組み合せたことを特徴とする炭化珪素精製システム。
【請求項4】
ゼットガスバーナーは、ゼットガスを吹き出し、ゼットガス炎を生成することを特徴とした請求項3記載の炭化珪素精製システム。
【請求項5】
混合手段は、粉粒体混合機としたことを特徴とする請求項3記載の炭化珪素精製システム。
【請求項6】
排気処理手段は、熱交換器、サイクロン及び水素分離器としたことを特徴とする炭化珪素精製システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−169067(P2006−169067A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366290(P2004−366290)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(305022129)株式会社ジパングエナジー (13)
【Fターム(参考)】