説明

炭素質フィードストックの水添メタン化方法

本発明は、スチーム及び合成ガスの存在下で炭素質原料の接触水添メタン化によるガス状生成物、そして特にメタン及び/水素のような他の付加価値のあるガスの製造方法であって、水添メタン化反応器が、特定の組み合わせで合成ガス発生器と組み合わせられる前記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチーム、一酸化炭素、水素及び水添メタン化触媒の存在下で炭素質フィードストック(carbonaceous feedstocks)の水添メタン化(hydromethanation)による、ガス状生成物、そして特にメタン及び/又は水素のような他の付加価値のあるガス状生成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー価格の上昇や環境への懸念といったような多くの要因からみて、石油コークス、石炭及びバイオマスのような燃料価のより低い炭素質フィードストックから付加価値のあるガス状生成物の製造は、新たに注目されている。メタン及び他の付加価値のあるガスを製造するためのこのような物質の接触ガス化(catalytic gasification)は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33、特許文献34、特許文献35、特許文献36、特許文献37、特許文献38、特許文献39、特許文献40、特許文献41、特許文献42、特許文献43、特許文献44、特許文献45、特許文献46、特許文献47、特許文献48、特許文献49及び特許文献50に開示されている。
【0003】
一般に、石炭、バイオマス、アスファルテン、液体石油残留物及び/又は石油コークスのような炭素質材料(carbonaceous materials)は、高められた温度及び圧力において触媒源及びスチームの存在下で材料の反応によってメタンのような付加価値のあるガスを含む複数のガスに転換することができる。未反応の炭素質材料の微粒子は、粗ガス生成物(raw gas product)から除去され、そしてガスを冷却し、そして複数の過程で洗浄して水素及び一酸化炭素のような副生成物並びに二酸化炭素及び硫化水素を含む望ましくない汚染物質を除去してメタン生成物流を製造する。
【0004】
炭素源からメタンへの水添メタン化には、典型的に4つの独立した反応が含まれる:
スチーム炭素:C+H2O→CO+H2 (I)
水性ガスシフト:CO+H2O→H2+CO2 (II)
COメタン化:CO+3H2→CH4+H2O (III)
水素添加ガス化法:2H2+C→CH4 (IV)
【0005】
水添メタン化反応では、最初の3つの反応(I〜III)が優勢であり、以下の全体的反応を生じる:
2C+2H2O→CH4+CO2 (V)
【0006】
その結果が「直接的な」メタン富化粗生成物ガス流(methane-enriched raw product gas stream)であり、その後、これを精製して最終生成物を得ることができる。これは、炭素源の部分燃焼/酸化に基づくもののような「慣用の」炭素ガス化方法とは異なり、ここで、合成ガスは一次生成物であり(メタンが直接製造されることは、ほとんど又はまったくない)、次いで、これをさらに処理してメタン(接触メタン化(catalytic methanation)による、反応(III)参照)又は他のさまざまな高級炭化水素生成物を製造することができる。従って、メタンが所望の最終生成物である場合、水添メタン化反応は、従来のガス化方法よりも効率を高め、メタンコストを下げる可能性を提供する。
【0007】
反応全体は本質的に熱的に収支がとれている(thermally balanced)が;プロセス熱損失(process heat losses)及び他のエネルギー必要量(フィードストックを含む反応器に入った水分の蒸発に必要となるような)のため、いくらか熱を加えて熱収支を維持しなければならない。
【0008】
また、反応では、本質的に合成ガス(水素及び一酸化炭素)の収支が保たれており(合成ガスが製造され、そして消費される);従って、一酸化炭素及び水素が生成物ガスと共に回収されるので、不足を回避する必要に応じて、一酸化炭素及び水素を反応に加える必要がある。
【0009】
反応の正味熱量をできるだけ中性近く(ほんのわずかに発熱性又は吸熱性)に維持し、そして合成ガスの収支を保つため、しばしば、過熱スチームガス流、一酸化炭素及び水素を水添メタン化反応器に供給する。多くの場合、一酸化炭素流及び水素流は、生成物ガスから分離された及び/又はメタン生成物の一部を改質することによって得られた再循環流である。例えば、特許文献5、特許文献51及び特許文献24を参照のこと。
【0010】
ガス再循環ループには、一般に少なくとも再循環ガス流を接触ガス化装置中に導入するのに適した温度及び圧力にするための付加的な加熱要素(過熱器)及び加圧要素が必要である。さらに、例えば深冷蒸留及びメタン生成物の改質によってメタン生成物から再循環ガスを分離すると、工学技術が非常に複雑になり、メタン製造の総費用が大幅に増加し、そしてシステム全体の効率が低下する。
【0011】
スチーム発生は、システム全体の工学技術の複雑さを高めうる別の領域である。外だきボイラーの使用は、例えば、システム全体の効率を非常に低下させうる。
【0012】
従って、ガス再循環ループ及び過熱器を最小限にして及び/又は排除してメタン製造の複雑さ及び費用を下げる改善された水添メタン化方法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US3828474
【特許文献2】US3998607
【特許文献3】US4057512
【特許文献4】US4092125
【特許文献5】US4094650
【特許文献6】US4204843
【特許文献7】US4468231
【特許文献8】US4500323
【特許文献9】US4541841
【特許文献10】US4551155
【特許文献11】US4558027
【特許文献12】US4606105
【特許文献13】US4617027
【特許文献14】US4609456
【特許文献15】US5017282
【特許文献16】US5055181
【特許文献17】US6187465
【特許文献18】US6790430
【特許文献19】US6894183
【特許文献20】US6955695
【特許文献21】US2003/0167961A1
【特許文献22】US2006/0265953A1
【特許文献23】US2007/000177A1
【特許文献24】US2007/083072A1
【特許文献25】US2007/0277437A1
【特許文献26】US2009/0048476A1
【特許文献27】US2009/0090056A1
【特許文献28】US2009/0090055A1
【特許文献29】US2009/0165383A1
【特許文献30】US2009/0166588A1
【特許文献31】US2009/0165379A1
【特許文献32】US2009/0170968A1
【特許文献33】US2009/0165380A1
【特許文献34】US2009/0165381A1
【特許文献35】US2009/0165361A1
【特許文献36】US2009/0165382A1
【特許文献37】US2009/0169449A1
【特許文献38】US2009/0169448A1
【特許文献39】US2009/0165376A1
【特許文献40】US2009/0165384A1
【特許文献41】US2009/0217584A1
【特許文献42】US2009/0217585A1
【特許文献43】US2009/0217590A1
【特許文献44】US2009/0217586A1
【特許文献45】US2009/0217588A1
【特許文献46】US2009/0217589A1
【特許文献47】US2009/0217575A1
【特許文献48】US2009/0229182A1
【特許文献49】US2009/0217587A1
【特許文献50】GB1599932
【特許文献51】US6955595
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、1つ又はそれ以上の炭素質フィードストックからメタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流を生成する方法であって、次の工程を含んでなる方法
(a)第1の炭素質フィードストック、第1の酸素リッチガス流、並びに場合により水及びスチームの一方又は両方を含む水性流を、合成ガス発生器に供給する工程;
(b)合成ガス発生器中、酸素、及び場合により水性流の存在下で第1の炭素質フィードストックを反応させて、第1の温度及び第1の圧力で水素、一酸化炭素、熱エネルギー及び場合によりスチームを含む第1のガス流を生成させる工程;
(c)第1のガス流を、場合により水及びスチームの一方又は両方を含むクエンチ流(quench stream)と共に第1の熱交換器ユニット(heat exchanger unit)に導入して、熱エネルギーを取り出し、第2の温度及び第2の圧力で、水素、一酸化炭素及び場合によりスチームを含む冷却された第1のガス流を発生させる工程;
(d)冷却された第1のガス流を水添メタン化ガス供給流、及び一酸化炭素、水素及び場合によりスチームを含む合成ガス粗生成物流に分離する工程;
(e)場合により、発生した水添メタン化ガス供給流が第3の温度及び第3の圧力で水素、一酸化炭素及びスチームを含むように、スチーム及び熱エネルギーの一方又は両方を水添メタン化ガス供給流に加える工程;
(f)第2の炭素質フィードストック、水添メタン化触媒、水添メタン化ガス供給流及び場合により第2の酸素リッチガス流を、水添メタン化反応器に導入する工程;
(g)水添メタン化反応器中、一酸化炭素、水素、スチーム、水添メタン化触媒及び場合により酸素の存在下、第4の温度及び第4の圧力で、第2の炭素質フィードストックを反応させて、メタン、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、硫化水素及び熱エネルギーを含むメタン富化粗生成物流を生成させる工程;及び
(h)メタン富化生成物流を水添メタン化反応器から回収する工程、
を含み、
ここで:
工程(g)の反応は、合成ガス需要、スチーム需要及び熱需要を有し;水添メタン化ガス供給流(又は存在する場合、過熱された水添メタン化ガス供給流)中の一酸化炭素及び水素の量は、少なくとも工程(g)の反応の合成ガス需要を満たすために十分であり;
工程(d)からの水添メタン化ガス供給流中のスチームの量が、工程(g)の反応のスチーム需要を満たすには不十分である場合、工程(e)が存在し、そして少なくとも工程(g)の反応のスチーム需要を満たすために十分な量でスチームを水添メタン化ガス供給流に加え;
第2の温度が工程(g)の反応の熱需要を満たすには不十分である場合、工程(e)が存在し、そして少なくとも工程(g)の反応の熱需要を満たすために十分な量で熱エネルギーを水添メタン化ガス供給流に加える。
【0015】
本発明による方法は、例えば、さまざまな炭素質フィードストックからメタン及び/又は他の付加価値のあるガス(例えば水素)を製造するのに有用である。
第2の態様において、本発明は、1つ又はそれ以上の炭素質フィードストックからメタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流を生成させるためのガス化装置であって、ガス化装置が
(a)(1)第1の炭素質フィードストック、第1の酸素リッチガス流、並びに場合により水及びスチームの一方又は両方を含む水性流を受け;(2)酸素及び場合により水性流の存在下の第1の炭素質フィードストックの反応を含み、それにより第1の温度及び第1の圧力で、水素、一酸化炭素及び場合によりスチームを含む第1のガス流が生成し;そして(3)第1のガス流を排出する;ように構成される合成ガス発生器;
(b)(1)第1のガス流、並びに場合により、スチーム及び水の一方又は両方を含むクエンチ流を受け、そして(2)第2の温度及び第2の圧力で水素、一酸化炭素及び場合によりスチームを含む、冷却された第1のガス流を発生させる;ように構成される冷却領域;
(c)(1)冷却された第1のガス流を受け;そして(2)冷却された第1のガス流を水添メタン化ガス供給流、及び一酸化炭素、水素及び場合によりスチームを含む合成ガス粗生成物流に分離する;ように構成される分離領域;
(d)(1)分離領域から水添メタン化ガス供給流を受け;(2)場合により、スチーム供給流を受け;そして(3)第3の温度及び第3の圧力で一酸化炭素、水素及びスチームを含む、過熱された水添メタン化ガス供給流を発生させる;ように構成される任意選択の過熱器領域;及び
(e)(1)炭素含量を含む第2の炭素質フィードストック、水添メタン化触媒、水添メタン化ガス供給流、及び場合により、第2の酸素リッチガス流を受け;(2)一酸化炭素、水素、スチーム、水添メタン化触媒及び場合により酸素の存在下、第4の温度及び第4の圧力で第2の炭素質フィードストックの反応を含み、それによりメタン、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含むメタン富化粗生成物流が生成し;そして(3)メタン富化粗生成物流を排出する;ように構成される水添メタン化反応器
を含む、上記ガス化装置を提供する。
【0016】
第3の態様において、本発明は、1つ又はそれ以上の炭素質フィードストックからスイート化ガス流を生成する方法であって、スイート化ガス流(sweetened gas stream)が、実質的に二酸化炭素及び硫化水素を含まずに、メタン、水素及び場合により一酸化炭素を含み、以下の工程を含む前記方法を提供する:
【0017】
(A)(i)第1の温度及び圧力で一酸化炭素及び水素、並びに場合により二酸化炭素、硫化水素及びスチームを含む第1のガス流を生成させる合成ガス発生器;及び(ii)第1のガス流中に存在しうる実質的にすべての二酸化炭素及び硫化水素を除去するための酸性ガス除去装置を含むガス処理システム;を含む既存の設備を備える工程であって、ここで合成ガス発生器が、ガス処理システムに連通した第1のガス流用の排気ラインを含む工程;
(B)既存の設備を改良して以下の改変を含む改良された設備を製作する工程:
(1)排気ラインが第1のガス流を冷却して第2の温度及び第2の圧力で冷却された第1のガス流を生成させるための冷却領域を含まない場合、このような冷却領域をガス処理システムの前に排気ラインに挿入する改変;
(2)ガス流分離機構を冷却領域とガス処理システムの間に挿入する改変であって、ここでガス流分離機構が、冷却された第1のガス流を合成ガス粗生成物流及び水添メタン化ガス供給流に分離するように構成される、改変;
(3)場合によりガス流分離機構に連通した水添メタン化ガス供給流用の過熱器を挿入する改変であって、ここで過熱器が、第3の温度及び圧力で過熱された水添メタン化ガス供給流を生成させるように構成される、改変;
(4)ガス流分離機構(又は存在する場合、過熱器)に連通した水添メタン化反応器を挿入する改変であって、ここで、水添メタン化反応器が、(i)第2の炭素質フィードストック、水添メタン化触媒、水添メタン化ガス供給流及び場合により酸素リッチガス流
を受け;(ii)一酸化炭素、水素、スチーム、水添メタン化触媒及び場合により酸素の存在下、第4の温度及び第4の圧力で、第2の炭素質フィードストックの反応を含み、それによりメタン富化粗生成物流が生成し、メタン富化粗生成物流は、メタン、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、硫化水素及び熱エネルギーを含み;そして(iii)メタン富化粗生成物流を排出するように構成される、改変;及び
(5)メタン富化生成物流をガス処理システムに供給するラインを挿入する改変;
(C)改良された設備において本発明の第1の態様による方法を操作する工程;及び
(D)メタン富化生成物流及び場合により合成ガス粗生成物流の少なくとも一部を処理してスイート化ガス流を生成させる工程。
【0018】
これらの及び他の実施態様、本発明の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を読解することで当業者によってより容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】メタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流が製造される、本発明による水添メタン化方法の実施態様の図である。
【図2】メタン富化粗生成物流及び、場合により、合成ガス粗生成物流のさらなる処理方法の図である。
【0020】
本開示は、炭素質フィードストックを、少なくともメタンを含む複数のガス状生成物に転換する方法であって、とりわけ、炭素質フィードストック、合成ガス発生器からの合成ガス流(水素及び一酸化炭素)、水添メタン化触媒及びスチームを水添メタン化反応器に供給して水添メタン化触媒、一酸化炭素、水素及びスチームの存在下で炭素質フィードストックを複数のガス状生成物に転換することを含む前記方法に関する。
【0021】
本発明は、共同所有された(commonly-owned)US2007/0000177A1、US2007/0083072A1、US2007/0277437A1、US2009/0048476A1、US2009/0090056A1、US2009/0090055A1、US2009/0165383A1、US2009/0166588A1、US2009/0165379A1、US2009/0170968A1、US2009/0165380A1、US2009/0165381A1、US2009/0165361A1、US2009/0165382A1、US2009/0169449A1、US2009/0169448A1、US2009/0165376A1、US2009/0165384A1、US2009/0217582A1、US2009/0260287A1、US2009/0220406A1、US2009/0217590A1、US2009/0217586A1、US2009/0217588A1、US2009/0218424A1、US2009/0217589A1、US2009/0217575A1、US2009/0229182A1、US2009/0217587A1、US2009/0260287A1、US2009/0220406A1、US2009/0259080A1、US2009/0246120A1、US2009/0324458A1、US2009/0324459A1、US2009/0324460A1、US2009/0324461A1、US2009/0324462A1、US2010/0121125A1、US2010/0120926A1、US2010/0071262A1、US2010/0076235A1、US2010/0179232A1、US2010/0168495A1及びUS2010/0168494A1に開示された内容と併せて実施することができる。
【0022】
さらに、本発明は、共同所有された、それぞれ2010年5月12日に出願された米国特許出願第12/778,538号(Process for Hydromethanation of a Carbonaceous
Feedstockと題する代理人整理番号FN−0047 US NP1)、及び同第12/778,548号(Processes for Hydromethanation of a Carbonaceous Feedstockと題する代理人整理番号FN−0048 US NP1);
及び2010年8月6日に出願された同第12/851,864号(Processes for Hydromethanation of a Carbonaceous Feedstockと題する代理人整理番号FN−0050US NP1)に開示された内容と併せて実施することができる。
【0023】
上に引用されたものを含むがそれらに限定されるわけではない本明細書に記載されたすべての刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は、特に明記しない限り、完全に記載されたかのようにすべての目的についてそれらの全体として参照により本明細書に明確に組み込まれている。
【0024】
特に定義しない限り、本明細書に用いられるすべての技術及び科学用語は、本開示が属する当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合は、定義を含む本明細書を参照のこと。
【0025】
特に注釈のない場合を除き、登録商標は、大文字で示されている。
【0026】
本開示を実施又は試験する際、本明細書に記載されたものと類似の又は同等の方法及び物質を用いることができるが、適した方法及び物質は、本明細書に記載されている。
【0027】
特に明記しない限り、すべてのパーセンテージ、部、比率、などは質量による。
【0028】
量、濃度、又は他の値若しくはパラメーターが、範囲又は上方及び下方値のリストとして与えられている場合、これは、範囲が別々に記載されるかどうかにかかわらず、任意の上方及び下方レンジ限界の任意の対から構成されるすべての範囲を具体的に開示していると理解すべきである。数値の範囲が、本明細書において列挙されている場合、特に明記しない限り、範囲は、その終点、並びに範囲内のすべての整数及び分数を包含するものとする。本開示の範囲は、範囲を定義する場合、列挙された具体的な値に限定されるものではない。
【0029】
値又は範囲の終点を記載する際に「約」という用語が用いられる場合、開示は、記載された具体的な値又は終点を含むと理解しなければならない。
【0030】
本明細書に用いられるように、「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「有する」、「有している」という用語又はそれらのすべての他の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含む工程、方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されるわけではなく、明確に記載されてない又はこのような工程、方法、物品若しくは装置に固有の他の要素を包含することができる。さらに、明確に反対のことが記載されてなければ、「又は」は、包含的な又はに相当し、排他的又はのことではない。例えば、条件A又はBは、以下:Aは真であり(又は存在し)かつBは偽である(又は存在しない)、Aは偽であり(又は存在しない)かつBは偽である(又は存在する)、並びにA及びBは真である(又は存在する)のいずれか1つによって満たされる。
【0031】
本明細書におけるさまざまな要素及び成分を記載するための「単数形」の使用は、単に便宜上のものであって開示の一般的な意味を示しているに過ぎない。この記述は、1つ又は少なくとも1つを包含すると解釈すべきであり、そして別途、意味することが明らかでなければ単数形は複数形も包含する。
【0032】
本明細書に用いられる「実質的な部分」という用語は、本明細書において特に定義されなければ、約90%を超える該当物質(referenced material)、好ましくは95%を超える該当物質、そしてより好ましくは97%を超える該当物質を意味する。パーセントは、分子(例えばメタン、二酸化炭素、一酸化炭素及び硫化水素)について言及するときは、モル基準であり、そしてその他は、質量基準である(例えば、連行された(entrained)炭素質微粒子について)。
【0033】
本明細書に用いられる「炭素質材料」という用語は、例えば、本明細書に定義されたバイオマス及び非バイオマス材料であることができる。
【0034】
本明細書に用いられる「バイオマス」という用語は、植物ベースのバイオマス及び動物ベースのバイオマスを包含する、近来(例えば、過去100年以内)の生存生物から誘導された炭素質材料のことである。明確にするため、バイオマスは、石炭のような化石ベースの炭素質材料を包含しない。例えば、以前に組み込まれたUS2009/0217575A1、US2009/0229182A1及びUS2009/0217587A1を参照のこと。
【0035】
本明細書に用いられる「植物ベースのバイオマス」という用語は、限定されるわけではないが、サトウモロコシ、バガス、サトウキビ、タケ、雑種ポプラ、雑種ヤナギ、ネムノキ属の木、ユーカリ、アルファルファ、クローバー、アブラヤシ、スイッチグラス、スーダングラス、キビ、ヤトロファ、及び茅(例えばMiscanthus x giganteus)のような緑色植物、作物、藻類及び樹木から誘導された材料を意味する。さらにバイオマスには、トウモロコシの穂軸及び皮、トウモロコシの茎葉、わら、木の実の殻、植物油、カノーラ油、ナタネ油、バイオディーゼル、樹皮、木材チップ、おがくず、庭ごみのような農業栽培、処理及び/又は分解からの廃棄物が包含される。
【0036】
本明細書に用いられる「動物ベースのバイオマス」という用語は、動物の飼育及び/又は利用から生じた廃棄物を意味する。例えば、バイオマスには、家畜糞尿、グアノ、家禽厩肥、動物性脂肪、及び都市固形廃棄物(municipal solid wastes)(例えば、下水汚物)のような家畜の飼育及び処理からの老廃物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0037】
本明細書に用いられる「非バイオマス」という用語は、本明細書に定義された「バイオマス」という用語によって包含されないそれらの炭素質材料を意味する。例えば、非バイオマスには、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、亜炭、石油コークス、アスファルテン、液体石油残留物又はそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、以前に組み込まれたUS2009/0166588A1、US2009/0165379A1、US2009/0165380A1、US2009/0165361A1、US2009/0217590A1及びUS2009/0217586A1を参照のこと。
【0038】
本明細書に用いられる「石油コークス」及び「ペットコーク」という用語には、(i)石油精製で得られる高沸点炭化水素画分の固体熱分解産物(重質残渣−「残油ペットコーク」);及び(ii)タールサンド処理の固体熱分解産物(瀝青砂又はオイルサンド−「タールサンドペットコーク」)の両方が包含される。このような炭化生成物には、例えば、生ペットコーク(green petcoke)、か焼ペットコーク(calcined petcoke)、ニードルペットコーク(needle petcoke)及び流動床ペットコークが包含される。
【0039】
また、残油ペットコークは、例えば、重質残留原油を改質するために用いられるコーキングプロセスによって原油から誘導することができ、そのペットコークは、少量成分として、コークス質量に基づいて、典型的に1.0質量%又はそれ未満、そして典型的に0.5質量%又はそれ未満の灰分を含有する。典型的に、このような低灰分コークス中の灰分は、ニッケル及びバナジウムのような金属を含む。
【0040】
タールサンドペットコークは、例えば、オイルサンドを改質するために用いられるコーキングプロセスによってオイルサンドから誘導することができる。タールサンドペットコークは、少量成分として、タールサンドペットコークの全質量に基づいて、典型的に約2質量%〜約12質量%の範囲、そしてより典型的に約4質量%〜約12質量%の範囲の灰分を含む。典型的に、このような高灰分コークス中の灰分は、シリカ及び/又はアルミナのような物質を含む。
【0041】
石油コークスは、典型的に0.2〜約2質量%(全石油コークス質量に基づいて)の範囲の本質的に低い水分含量を有し;また、それは典型的に慣用の触媒含浸法を可能にするには非常に低い水浸漬容量(water soaking capacity)を有している。生成した微粒子組成物は、例えば、より低い平均水分含量を有し、これは慣用の乾燥操作に対して下流の乾燥操作の効率を高める。
【0042】
石油コークスは、全石油コークス質量に基づいて少なくとも約70質量%の炭素、少なくとも約80質量%の炭素、又は少なくとも約90質量%炭素を含むことができる。典型的に、石油コークスは、石油コークスの質量に基づいて約20質量%未満の無機化合物を含む。
【0043】
本明細書に用いられる「アスファルテン」という用語は、室温で芳香族炭素質固体であり、そして例えば、原油及び原油タールサンドの処理から誘導することができる。
【0044】
本明細書に用いられる「石炭」という用語は、泥炭、亜炭、亜瀝青炭、瀝青炭、無煙炭又はそれらの混合物を意味する。特定の実施態様において、石炭は、全石炭質量に基づいて約85%未満、又は約80%未満、又は約75%未満、又は約70%未満、又は約65%未満、又は約60%未満、又は約55%未満、又は約50質量%未満の炭素含量を有する。別の実施態様において、石炭は、全石炭質量に基づいて、約85%まで、又は約80%まで、又は約75質量%までの範囲の炭素含量を有する。有用な石炭の例としては、Illinois #6、Pittsburgh #8、Beulah (ND)、Utah Blind Canyon、及びPowder River Basin (PRB)石炭が含まれるが、それらに限定されるわけではない。無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭及び亜炭石炭は、それぞれ乾燥基準で石炭の全質量により約10質量%、約5〜約7質量%、約4〜約8質量%、そして約9〜約11質量%の灰分を含有してもよい。しかし、任意の特定の石炭供給源の灰分は、石炭の等級及び供給源に左右され、これは当業者によく知られている。例えば、“Coal Data: A Reference”, Energy Information Administration, Office of Coal, Nuclear, Electric and Alternate Fuels, U.S. Department of Energy, DOE/EIA-0064(93), February 1995を参照のこと。
【0045】
石炭の燃焼により生じる灰分は、当業者によく知られているように、典型的にフライアッシュ及びボトムアッシュの両方を含む。瀝青炭からのフライアッシュは、フライアッシュの全質量に基づいて約20〜約60質量%のシリカ及び約5〜約35質量%のアルミナを含むことがある。亜瀝青炭からフライアッシュは、フライアッシュの全質量に基づいて約40〜約60質量%のシリカ及び約20〜約30質量%のアルミナを含むことがある。亜炭からのフライアッシュは、フライアッシュの全質量に基づいて約15〜約45質量%のシリカ及び約20〜約25質量%のアルミナを含むことがある。例えば、Meyers, et al. “Fly Ash. A Highway Construction Material,”Federal Highway Administration, Report No. FHWA-IP-76-16, Washington, DC, 1976を参照のこと。
【0046】
瀝青炭からのボトムアッシュは、ボトムアッシュの全質量に基づいて約40〜約60質量%のシリカ及び約20〜約30質量%のアルミナを含むことがある。亜瀝青炭からのボトムアッシュは、ボトムアッシュの全質量に基づいて約40〜約50質量%のシリカ及び約15〜約25質量%のアルミナを含むことがある。亜炭からのボトムアッシュは、ボトムアッシュの全質量に基づいて約30〜約80質量%のシリカ及び約10〜約20質量%のアルミナを含むことがある。例えば、Moulton, Lyle K. “Bottom Ash and Boiler Slag,” Proceedings of the Third International Ash Utilization Symposium, U.S. Bureau of Mines, Information Circular No. 8640, Washington, DC, 1973を参照のこと。
【0047】
「ユニット(unit)」という用語は、単位操作のことである。1つより多い「ユニット」が存在すると記載された場合、それらのユニットは、パラレルやり方で運転される。しかしながら、1つの「ユニット」は、連続した1つを超えるユニットを含んでもよい。例えば、酸性ガス除去ユニットは、硫化水素除去ユニットの後に連続して二酸化炭素除去ユニットを含んでもよい。別の例として、微量汚染物質除去ユニットは、第1の微量汚染物質のための第1の除去ユニットの後に連続して第2の微量汚染物質のための第2の除去ユニットを含んでもよい。さらに別の例として、メタン圧縮器ユニットは、メタン生成物流を第1の圧力に圧縮するための第1のメタン圧縮器、その後、連続してさらにメタン生成物流を第2の(より高い)圧力に圧縮するための第2のメタン圧縮器を含んでもよい。
【0048】
「合成ガス需要(syngas demand)」という用語は、水添メタン化反応器における合成ガスの収支の維持のことである。上で議論しように、全体として望ましい定常状態水添メタン化反応(上記の式(I)、(II)及び(III)参照)において、水素及び一酸化炭素は、収支を保って生成及び消費される。水素及び一酸化炭素は、いずれもガス状生成物の一部として回収されるため、水添メタン化反応器に少なくともこの反応収支を維持するために必要な量の水素及び一酸化炭素を加えなければならない(及び/又は場合により別に、供給された酸素と共に燃焼/酸化反応によりその場で生成される)。本発明の目的では、水添メタン化反応器に加えなければならない水素及び一酸化炭素の量が「合成ガス需要」である(別にその場で合成ガス発生するのは除く)。
【0049】
「スチーム需要(steam demand)」という用語は、水添メタン化反応器に加えなければならないスチームの量のことである。スチームは水添メタン化反応中で消費され、そして水添メタン化反応器に加えなければならない。スチームの理論消費は、メタン1モル及び二酸化炭素1モルを製造するためのフィードストック中、炭素2モル毎に2モルである(式(V)参照)。実際に実施する場合、スチーム消費は完全に効率的なわけではなく、スチームは生成物ガスと共に回収され、そのため、理論量よりも多いスチームを水添メタン化反応器に加える必要があり、その量が「スチーム需要」である。スチームは、例えば、水添メタン化ガス供給流中のスチーム、第2の酸素リッチガス流(存在する場合)中のスチーム、炭素質フィードストックの任意の水分含量からその場で生成されたスチームを介して、及び別のスチーム流として加えることができる。加えるべきスチーム量(及び供給源)は、以下にさらに詳細に議論する。その場で生成される又は水添メタン化反応温度より低い温度で水添メタン化反応器中に供給されるすべてのスチームは、水添メタン化反応の「熱需要(heat demand)」に影響を及ぼすことに留意する必要がある。
【0050】
「熱需要」という用語は、熱収支において工程(g)の反応を保つため水添メタン化反応器に加えなければならない熱エネルギー量のことであり、これは先に議論されており、そして以下にさらに詳述する。
【0051】
本明細書における物質、方法、及び実施例は、具体例でしかなく、そして詳しく記載された場合を除いて、限定することを意図するわけではない。
具体的な実施態様の例
【0052】
方法の具体的な実施態様は、望ましくは「パイプライン品質の天然ガス」のメタン生成物流が製造されるものである。
【0053】
別の具体的な実施態様は、水素生成物流が製造されるものである。
【0054】
別の特異的な実施態様は、メタン富化粗生成物流及び、場合により、合成ガス粗生成物流の少なくとも一部(メタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流(又は一部)を一緒にして、しばしば「混合粗生成物流(combined raw product stream)」と称する)、をガス処理システムで処理し、スイート化ガス流を生成し、それをさらに処理してメタン生成物流及び/又は水素生成物流を製造することができるものである。このような処理は、例えば、以下の工程を含む:
(i)メタン富化粗生成物流(又は存在する場合、混合粗生成物流)を第2の熱交換器ユニットに導入し、熱エネルギーを回収し、そして冷却された粗生成物流(又は冷却された合わせた粗生成物流)を生成し;
(j)冷却された粗生成物流中の一酸化炭素の一部を場合によりサワーシフト(sour shifting)して熱エネルギー及び水素富化粗生成物流を生成し;
(k)場合により水素富化生成物流を第3の熱交換器ユニットに導入して熱エネルギーを回収し;
(l)場合により接触メタン化反応器中、耐硫黄メタン化触媒の存在下で、冷却された粗生成物流(又は存在する場合、水素富化粗生成物流)中の水素の一部及び一酸化炭素の少なくとも一部を反応させて熱エネルギー及びメタン富化処理された粗生成物流を生成し;(m)場合によりメタン富化処理された粗生成物流を第4の熱交換器ユニットに導入して熱エネルギーを回収し;
(n)冷却された粗生成物流(又は存在する場合、水素富化粗生成物流、又は存在する場合、メタン富化処理された粗生成物流)から二酸化炭素の実質的な部分及び硫化水素の実質的な部分を除去して冷却された粗生成物流(又は存在する場合、水素富化粗生成物流、若しくは、存在する場合、メタン富化処理された粗生成物流)から水素、一酸化炭素及びメタンの実質的な部分を含むスイート化ガス流を製造し;
(o)場合によりスイート化ガス流から水素の一部を分離して水素生成物流並びにメタン、場合により一酸化炭素及び場合により水素を含む、水素を除去された(hydrogen-depleted)スイート化生成物ガス流を生成し;
(p)場合により接触メタン化反応器中、メタン化触媒の存在下でスイート化生成物ガス流(又は、存在する場合、水素を除去されたスイート化生成物ガス流)中に存在する一酸化炭素及び水素を反応させて熱エネルギー及びメタン富化スイート化生成物ガス流を生成し;
(q)場合によりメタン富化スイート化生成物ガス流を第5の熱交換器ユニットに導入して熱エネルギーを回収し;そして
(r)場合によりメタン生成物流としてメタン富化スイート化生成物ガス流の少なくとも一部を回収する。
【0055】
別の実施態様において、第1の、第2の(存在する場合)、第3の(存在する場合)、第4の(存在する場合)及び第5の(存在する場合)熱交換器ユニットで除去された熱エネルギーは、1つ又はそれ以上のプロセススチーム流の生成により、及び/又は1つ又はそれ以上のプロセス流の加熱/過熱により回収される。例えば、第1の熱交換器ユニットで回収された熱エネルギーを用いて水添メタン化反応器に導入する前に水添メタン化ガス供給流を過熱することができ、及び/又は第1のプロセス蒸気流を生成することができ;第2の熱交換器ユニット(存在する場合)で回収された熱エネルギーを用いて第2のプロセススチーム流を生成することができ、及び/又は第2又は別のプロセススチーム流を過熱することができ;第3の熱交換器ユニット(存在する場合)に回収された熱エネルギーを用いて、例えば、第1、第2、4及び5熱交換器ユニットの1つ又はそれ以上におけるプロセススチームの発生に用いられるボイラー供給水を予熱することができ、及び/又は工程(j)に(サワーシフトユニットに)導入する前に、冷却された粗生成物流を過熱することができ;そして第4及び第5の熱交換器ユニット(存在する場合)で回収された熱エネルギーを用いて第3及び第4のプロセススチーム流を生成することができる。
【0056】
望ましくは、合成ガス発生器及び水添メタン化反応に供給される、並びにクエンチ流として用いられるすべてのスチームは、実質的にプロセス熱回収から生成した1つ又はそれ以上のプロセススチーム流の少なくとも一部で構成される。
【0057】
別の具体的な実施態様は、第1、第2(存在する場合)、第4(存在する場合)及び第5(存在する場合)の熱交換器ユニットからのプロセススチーム流が水添メタン化反応器中の圧力よりも高い圧力で生成するものである。プロセススチーム流の圧力は、さらに圧縮する必要がないように水添メタン化反応器中の圧力よりも十分に高くしなければならない。
【0058】
別の具体的な実施態様は、工程(a)、(b)、(c)、(d)、(g)及び(h)、並びに存在する場合、(e)及び(i〜r)が連続的なやり方で運転される、方法が連続方法であるものである。
【0059】
別の具体的な実施態様は、第2の酸素リッチガス流が水添メタン化反応器に定期的に又は連続的に供給され、そして供給される酸素の量は、プロセス制御として変化し、例えば、水添メタン化反応器中の温度制御を補助するものである。酸素が水添メタン化反応器に供給されると、フィードストックからの(例えば副生物チャー中の)炭素は、部分酸化/燃焼されて熱エネルギー(並びに典型的に若干量の一酸化炭素及び水素)を生成する。水添メタン化反応器に供給される酸素量を増加又は減少させて、消費される炭素量を増やし、そして結果的に、水添メタン化反応器中、その場で生成される熱エネルギーの量を増やすことができる。このような場合、その場で生成するこの熱エネルギーは、工程(g)の反応の熱需要を減らし、そしてそれにより水添メタン化供給ガス流に供給される熱エネルギー量が減る。
【0060】
別の具体的な実施態様は、第2の酸素リッチガス流が、定期的に又は連続的に水添メタン化反応器に供給され、第2の酸素リッチガス流が、スチームを含み、そして第2の酸素リッチガス流中のスチームが、1つ又はそれ以上のプロセススチーム流の少なくとも一部で実質的に構成されているものである。
【0061】
別の具体的な実施態様は、水添メタン化ガス供給流は、1つ又はそれ以上のプロセス熱回収段階を通して所望の供給温度及び圧力に過熱してもよいため、燃焼型過熱器(fired superheaters)(例えば、炭素燃料だき過熱器(carbon fuel fired superheaters))を方法から排除することが望ましいものである。
【0062】
別の具体的な実施態様は、チャー副生物が工程(g)で生成され、ここにおいて、チャー副生物は、水添メタン化反応器から定期的に又は連続的に回収され、そして回収された副生物チャーの少なくとも一部は、触媒回収操作に供給される
ものである。次いで、回収された触媒を再利用し、そして補給触媒(makeup catalyst)と合わせて水添メタン化反応の需要を満たす。
【0063】
別の具体的な実施態様は、チャー副生物が工程(g)で生成され、水添メタン化反応器がチャー副生物を捕集する捕集領域を含み、第2の酸素リッチガス流が水添メタン化反応器に供給され、そして第2の酸素リッチガス流が、水添メタン化反応器のチャー副生物捕集領域に導入されるものである。副生物チャーは、炭素質フィードストックからの炭素含量(carbon content)を含むため、チャー炭素は、優先的に消費され、熱エネルギー(並びに典型的に若干量の一酸化炭素及び水素)を生成することが望ましい。
【0064】
第1の態様の別の具体的な実施態様において、合成ガス粗生成物流の少なくとも一部は、メタン富化粗生成物スチームと共に共処理(co-process)される。メタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流は、例えば、工程(i)の前、工程(i)の部分として、又は工程(i)の後、そして工程(j)の前に混合することができる。
【0065】
第1の態様の別の具体的な実施態様は、メタン富化粗生成物流又は合成ガス粗生成物流からの一酸化炭素又は水素の再利用がないワンススルー法(once-through process)であるものである。換言すれば、水添メタン化反応の合成ガス(一酸化炭素及び水素)の必要量は、合成ガス発生器によって完全に満たされる。
【0066】
別の具体的な実施態様において、第1の炭素質フィードストックは、灰分(ash content)を含み、第1のガス流は、灰分からの残留物を含み、そして灰分からの残留物は、水添メタン化ガス供給流を水添メタン化反応器に導入する前に実質的に除去される。
【0067】
第2の態様の具体的な実施態様において、装置は、さらに、メタン富化粗生成物流及び、場合により、合成ガス粗生成物流の少なくとも一部を受け取り、そして実質的に二酸化炭素又は硫化水素を含まず、メタン、水素及び場合により一酸化炭素を含むスイート化ガス流を排出するように配置されたガス処理システムを含む。
【0068】
第2の態様の別の具体的な実施態様において、ガス処理システムは、以下を含む。
(1)メタン富化粗生成物流からプロセス熱エネルギーを回収し、そして冷却されたメタン富化粗生成物流を生成するように配置された第2の熱回収ユニット;
(2)アンモニアを除去された粗生成物流を生成するための、第1の熱回収ユニットの後の任意選択のアンモニア回収ユニット;
(3)メタン富化粗生成物流中の一酸化炭素の少なくとも一部をサワーシフトして熱エネルギー及び水素富化粗生成物流を生成するための、第1の熱回収ユニットの後の任意選択のサワーシフト反応器;
(4)サワーシフト反応器が存在する場合、サワーシフト反応器、水素富化粗生成物流又は両方から熱エネルギーを回収するためにサワーシフト反応器に連通した第3の熱回収ユニット;
(5)メタン富化粗生成物流(又は存在する場合、水素富化粗生成物流)中に存在する一酸化炭素の少なくとも一部及び水素の少なくとも一部を反応させて熱エネルギー及びメタン富化処理された粗生成物流を生成するための、第1の熱回収ユニット(そして、存在する場合、サワーシフト反応器)の後の、任意選択の耐硫黄接触メタン化反応器;
(6)メタン富化粗生成物流(又は、存在する場合、水素富化又は第2のメタン富化粗生成物流)から二酸化炭素の少なくとも実質的な部分及び硫化水素の少なくとも実質的な部分を除去し、そしてスイート化ガス流を生成するための第1の熱回収ユニット(並びに、存在する場合、サワーシフト反応器及び耐硫黄接触メタン化反応器)の後の酸性ガス除去ユニット;
(7)スイート化ガス流から水素の少なくとも一部を除去し、そして水素生成物流及び水素を除去されたスイート化ガス流を生成するための水素分離ユニット;
(8)一酸化炭素の実質的な部分及びスイート化生成物流からの水素の少なくとも一部を反応させ、そしてプロセス熱エネルギー及びメタン富化スイート化生成物流を生成するための酸性ガス除去ユニットの後の任意選択の接触メタン化反応器;
(9)接触メタン化反応器が存在する場合、接触メタン化反応器、メタン富化スイート化生成物流又は両方からプロセス熱エネルギーを回収し、そしてスチームを生成するための第3の熱回収ユニット;及び
(10)スイート化生成物流(又は、存在する場合、メタン富化スイート化生成物流)からメタンを分離して回収するためのメタン分離ユニット。
【0069】
上記の「粗生成物流」という表現は、メタン富化粗生成物流、又は合成ガス粗生成物流のすべて若しくは一部と合わせたもの(混合粗生成物流)であることができる。
【0070】
第3の態様の具体的な実施態様において、処理工程(D)は、第1の態様に説明された通りである。
【0071】
第2の及び第3の態様の別の具体的な実施態様において、水添メタン化反応器は、第2の酸素リッチガス流を受け取るようにさらに配置されている。
【0072】
実施態様のこれらの具体例、並びに本明細書における他の物質、方法及び例は、具体例でしかなく、そして特に明記された場合を除いて、本発明のより幅広い態様において限定することを意図するわけではない。
【0073】
一般的な方法の情報
本発明の一実施態様において、メタン富化粗生成物流(50)及び合成ガス粗生成物流(51)は、図1に説明されたように炭素質フィードストックから生成することができる。
【0074】
第1の炭素質フィードストック(12)(これは、以下で議論するようにメタンリッチガス流(14)であることができる)、第1の酸素リッチガス流(15)(例えば、精製された酸素)及び場合によりスチーム流(18)を合成ガス発生器(100)に供給する。
【0075】
合成ガス発生器(100)は、典型的に、第1の炭素質フィードストック(12)を、適した温度及び圧力下でガス化して(例えば、少なくとも部分酸化/燃焼する)一酸化炭素及び水素を含む第1のガス流(20)を生成することができる部分酸化/燃焼ガス化反応器(例えば酸素吹きガス化装置)である。また、スチーム流(18)が供給される場合、及び/又は第1の炭素質フィードストック(12)が水性スラリー形態におけるような水分含量を有する場合、第1のガス流(20)は過熱スチームも含む。一般に上に記載され、そしてより詳しくは以下に記載するように、第1のガス流(20)の一部は、水添メタン化方法に投入するものとして用いられる。
【0076】
第2の炭素質フィードストック(32)、水添メタン化触媒(31)、場合により第2の酸素リッチガス流(22)及び水添メタン化供給流(30)(第1のガス流(20)の一部から誘導された一酸化炭素、水素及びスチームを含む)を、合成ガス発生器(100)に連通した水添メタン化反応器(200)に供給する。第2の炭素質フィードストック(32)、一酸化炭素、水素、スチーム及び場合により酸素を水添メタン化反応器(200)中、水添メタン化触媒(31)の存在下、そして適した圧力及び温度条件下で反応させて、メタン富化粗生成物流(50)を形成し、それは、メタン並びに典型的に水素及び一酸化炭素の他に二酸化炭素、硫化水素を包含する複数の他のガス状生成物並びに主に用いた特定のフィードストックに応じたある種の他の汚染物質を含む。
【0077】
第1及び第2の炭素質フィードストック(12、32)は、1つ又はそれ以上の炭素質材料(10)から誘導され、これは以下に議論するようにフィードストック調合区画(90)で処理される。第2の炭素質フィードストック(32)は、第1の炭素質フィードストック(12)と同じ又は異なる炭素質材料からであることができる。また、第1の炭素質フィードストックは、以下に議論するようにメタンリッチ流(14)例えば、スイート化ガス流(80、図2)のすべて若しくは一部、水素を除去されたスイート化ガス流(82、図2)、メタン富化スイート化ガス流(97、図2)、又はメタン生成物流(99、図2)であることもできる。
【0078】
水添メタン化触媒(31)は、以下に議論するように、1つ又はそれ以上の触媒種を含むことができる。
【0079】
第2の炭素質フィードストック(32)及び水添メタン化触媒(31)は、水添メタン化反応器(200)に供給する前に完全に混合することができる(すなわち、触媒入りの(catalyzed)第2の炭素質フィードストック(31+32)を供給する)。
【0080】
本方法の反応器(すなわち、水添メタン化反応器及び合成ガス発生器)は、典型的に必要な温度、圧力及びフィードストックの流速を維持しながら適当な炭素質フィードストックを反応器の反応室に導入するのに必要な高い又は適度に高い圧力及び温度で運転される(合成ガス発生器は、典型的に水添メタン化反応器より高い圧力及び温度で運転される)。当業者は、スターフィーダー、スクリューフィーダー、ロータリーピストン及びロックホッパーを包含する高い圧力及び/又は温度環境を有する反応室に炭素質フィードストックを供給する供給口に精通している。供給口は、交互に用いられるロックホッパーのような2つ又はそれ以上の圧力バランス型要素を包含することができることを理解すべきである。いくつかの場合、炭素質フィードストックは、反応器の運転圧力より上の圧力条件で調合することができ、そのため、微粒子組成物を、さらに加圧することなく反応器中に直接送ることができる。
【0081】
水添メタン化反応器又は合成ガス発生器には、いくつかのタイプのガス化反応器のいずれかを用いることができる。適したガス化反応器としては、向流固定床、並流固定床、流動床、又は噴流若しくは移動床反応室である反応室を有するものが包含される。水添メタン化反応器(200)は、典型的に流動床反応器である。メタンリッチガス供給物(14)を用いる場合、合成ガス発生器(100)は、非接触反応器(non-catalytic reactor)(例えばガスPOx反応器)又は接触反応器(catalytic reactor)(例えば自己熱改質器)であることができる。
【0082】
ガス化−合成ガス発生器(100)
合成ガス発生器(100)では、第1の炭素質フィードストックを適した温度及び圧力条件下で(12)反応させて(部分的に酸化又は燃焼させて)第1のガス流(20)を生成する。
【0083】
第1の炭素質フィードストック(12)がガスでない(固体、半固体又は液体)場合、合成ガス発生器(100)中のガス化は、典型的に酸素リッチ流及びスチーム流(15+18)の上昇流によって流動化された炭素質フィードストックの流動床中で起こる。
【0084】
典型的に、合成ガス発生器(100)中のガス化は、非接触法であるため、第1の炭素質フィードストック(12)又は合成ガス発生器(100)にガス化触媒を添加する必要はないが;例えば、自己熱改質器中のように合成ガス形成を促進する触媒を用いてもよい。
【0085】
一般に、第1の炭素質フィードストック(12)が灰分を含む場合、合成ガス発生器(100)を非スラグ化条件下で運転して灰分副生物及び他の汚染物質が水添メタン化反応器(200)中に入るのを最小限にすることができる。従って、非スラグ化レジメにおける運転温度(すなわち、第1の温度)は、第1の炭素質フィードストック(12)中の灰分の灰分溶融点より下であり、それは関連分野の当業者によって容易に決定することができる。典型的に、非スラグ化運転レジメにおいて、合成ガス発生器(100)は、このような灰分溶融点より下、少なくとも約100°F(少なくとも約56℃)、又は少なくとも約150°F(少なくとも約83℃)、又は少なくとも約200°F(少なくとも約111℃)で運転される。例えば、約1800°F(約982℃)の灰分溶融点を有するフィードストックでは、合成ガス発生器(100)が約1700°F(約927℃)又はそれより下で運転さることはない。
【0086】
しかしながら、特定の実施態様において、例えば、非スラグ化レジメによって提供できるよりも高い温度及び圧力が必要な場合、スラグ化条件下で合成ガス発生器(100)を運転してもよい。スラグ化条件下では、合成ガス発生器(100)は、第1の炭素質フィードストック(12)中の灰分の灰分溶融点よりも上の温度で運転され、それは関連分野の当業者によって容易に決定することができる。典型的に、スラグ化レジメにおいて、合成ガス発生器(100)は、このような灰分溶融点より上の、少なくとも約100°F(少なくとも約56℃)、又は少なくとも約150°F(少なくとも約83℃)、又は少なくとも約200°F(少なくとも約111℃)で運転される。例えば、約1800°F(約982℃)の灰分溶融点を有するフィードストックでは、ガス化領域は、1900°F(約1038℃)又はそれ以上で運転される。
【0087】
合成ガス発生器(100)は、典型的に水添メタン化反応器(200)より高い、少なくとも約250°F(少なくとも約139℃)、又は少なくとも約350°F(少なくとも約194℃)、又は少なくとも約450°F(少なくとも約250℃)、又は少なくとも約500°F(少なくとも約278℃)、の温度(すなわち、第1の温度)で運転される。すなわち、第1の温度は、第3の温度より高い、少なくとも約250°F(少なくとも約139℃)、又は少なくとも約350°F(少なくとも約194℃)、又は少なくとも約450°F(少なくとも約250℃)、又は少なくとも約500°F(少なくとも約278℃)である。
【0088】
また、合成ガス発生器(100)は、水添メタン化供給流(30)を生成し、そして中間処理であってもさらに加圧することなく水添メタン化反応器(200)に供給することができるように、典型的に水添メタン化反応器(200)より高い圧力で運転される。典型的に、合成ガス発生器(100)中の圧力は、水添メタン化反応器(200)中の圧力より高く、少なくとも約50psi(約345kPa)、又は少なくとも約100psi(約690kPa)、又は少なくとも約200psi(約1379kPa)である。すなわち、第1の圧力は、第4の圧力より高く、少なくとも約50psi(約345kPa)、又は少なくとも約100psi(約690kPa)、又は少なくとも約200psi(約1379kPa)である。
【0089】
合成ガス発生器(100)中の温度は、例えば、合成ガス発生器(100)に供給される酸素の量だけでなくスチーム又は水の量及び温度を制御することによって、及び/又は第1の炭素質フィードストック(12)の水分含量によって制御することができる。
【0090】
第1の酸素リッチガス流(15)は、反応器底面への精製酸素、酸素−空気混合物、酸素−スチーム混合物又は酸素−不活性ガス混合物の直接注入のようななんらかの適した方法によって合成ガス発生器(100)に供給することができる。例えば、US4315753及びChiaramonte et al., Hydrocarbon Processing, Sept. 1982, pp. 255- 257を参照のこと。第1の酸素リッチガス流(15)は、典型的に空気分離ユニット(150)によって表される標準空気分離技術により生成され、そして典型的に高純度酸素流(約95%又はそれ以上の容積パーセントの酸素)として供給される。
【0091】
スチーム流(18)及び第1の酸素リッチガス流(15)は、単一の流れ又は別々の流れにより供給してもよく、そして一般に約400°F(約204℃)から、又は約450°F(約232℃)から、又は約500°F(約260℃)から、約750°F(約399℃)まで、又は約700°F(約371℃)まで、又は約650°F(約343℃)までの温度、そして合成ガス発生器(100)中に存在するよりも少なくともわずかに高い圧力で供給される。一般に、炭素質フィードストック粒子の加圧、流動化及び部分燃焼を助け、そしてホットスポットの形成を回避するため、第1の酸素リッチガス流(15)は、スチーム流(18)との混合物として反応領域に導入することができる。
【0092】
第1のガス流(20)は、合成ガス粗生成物流(51)と最終的に水添メタン化反応器(200)に供給される冷却された合成ガス流(24)とに分離されるが;しかし、合成ガス発生器(100)から出る第1のガス流(20)の温度は、慣用のガスバルブ調節/分離機器で信頼できる操作をするには高すぎるため、第1のガス流(20)は、第1の熱交換器ユニット(170)のような冷却機器に供給され、熱エネルギーを除去し、その温度を下げられる。第1の熱交換器ユニット(170)は、典型的に第1のガス流(20)の温度を700°F若しくはそれ未満(約371℃若しくはそれ未満)、又は約600°F若しくはそれ未満(約316℃若しくはそれ未満)、又は約500°F若しくはそれ未満(約260℃若しくはそれ未満)の第2の温度に下げるために用いられる。
【0093】
典型的に、第1の熱交換器ユニット(170)は、第1のガス流(20)から熱エネルギーを回収してスチーム(28)を生成するために用いられ、これは、(例えば、流れ(24)と混合することにより)水添メタン化反応器(200)に供給することができ、及び/又は別途、再循環スチームとして用いることができる。
【0094】
一実施態様において、第1の熱交換器ユニット(170)は、水及び/又はスチームを含む水性クエンチ流(25)を第1のガス流(20)と接触させて第1のガス流(20)を水添メタン化反応に必要な適した温度、スチーム含量及び他の条件に調整してクエンチされたガス流(24)を生じるクエンチ領域である。また、このクエンチングは、以下により詳細に議論するように微粒子/汚染物質の制御を助けることがある。
【0095】
特に合成ガス発生器(100)がスラグ化条件下で運転される場合、水素、一酸化炭素及び場合によりスチームに加えて、第1のガス流(20)は、連行された微粒子又は溶融スラグを包含することがある。これらの微粒子(灰分、チャー、炭素質の微粒子、などを包含する)及びスラグ(溶融した灰分及び金属成分を包含する)は、通常、合成ガス発生器(100)中の第1の炭素質フィードストック(12)の部分燃焼中に生成される。微粒子及び溶融スラグは、水添メタン化方法及び下流の装置に支障を来すことがあり;従って、本発明のいくつかの実施態様において、合成ガス発生器(100)と熱交換器(170)及び/又は水添メタン化反応器(200)との間に高温フィルター機器のような捕捉機器(図示せず)を設けて水添メタン化反応器(200)中に導入する前に第1のガス流(20)の一部又はすべてに存在する微粒子及びスラグの実質的な部分又はすべてを除去する。適した除去機器としては、当分野で知られている高温耐熱スクリーンメッシュ材、及び例えばセラミック及び高温耐熱金属フィルター、移動床式粒状フィルターを包含するフィルター、並びにマルチクロン機器が包含されるが、それらに限定されるわけではない。
【0096】
上に示すように、水性クエンチ流(25)による第1のガス流(20)のクエンチングは、例えば、温度及び/又はガス速度の低下により、第1のガス流(20)から望ましくない微粒子及び/又は溶融スラグを洗浄するのを助けることができる。
【0097】
また、水素、一酸化炭素及び過熱スチームに加えて、第1のガス流は、二酸化炭素のような、合成ガス発生器(100)中の反応及び/又は流動化条件から生じる他のガスを含有してもよい。合成ガス発生器(100)中のガス化では、典型的に、直接メタンを生成することは僅かであるか又は全くないため、第1のガス流(20)は、僅かしか又は全くメタンを含有せず(実質的にメタンなし)、例えば、第1のガス流(20)中のメタン、二酸化炭素、一酸化炭素及び水素のモルに基づいて約5mol%未満、又は約2モル%未満、又は約1mol%未満のメタンしか含有しない。
【0098】
一般に、第1のガス流(20)は、水添メタン化反応に必要な過剰量で一酸化炭素及び水素を含有する。特定の実施態様において、第1のガス流(20)は、水添メタン化反応の一酸化炭素及び水素の両需要の少なくとも25mol%過剰、又は少なくとも100mol%過剰を含有する。
【0099】
スチームは、当業者に知られているスチームボイラーのいずれかによって合成ガス発生器(100)及び熱交換器(170)に供給してもよい。このようなボイラーは、例えば、粉炭、バイオマスなど、及びフィードストック調合操作から排除された炭素質材料(例えば、微粒子、前出)を含むが、それらに限定されないようなあらゆる炭素質材料を用いることにより駆動することができる。また、スチームは、反応器からの排ガスを水源と熱交換してスチームを生成する(例えば、廃熱回収ボイラー中)燃焼タービンに結合されたさらなるガス化装置から供給することもできる。
【0100】
都合のよいことに、スチームは、再循環によって供給され、及び/又はプロセス熱捕捉器により別のプロセス操作から生成され(例えば、廃熱ボイラー中で生成され、一般に「再循環スチーム」と称する)、そして、いくつかの実施態様では、単に合成ガス発生器(100)への再循環スチームとして供給され、そして単に水性クエンチ流(25)として用いられる。例えば、炭素質フィードストック(12,32)の調合について以下に議論するように、炭素質材料が、流動床スラリー乾燥器で乾燥される場合、蒸発により生成されるスチームは、合成ガス発生器(100)及び/又は第1の熱交換器ユニット(170)に供給することができる。さらに、熱交換器ユニット又は廃熱ボイラーによって生成されるスチーム(例えば図1中の170並びに図2中の400、402及び/又は403のような)は、合成ガス発生器(100)に供給することができる及び/又はクエンチ流(25)として第1の熱交換器ユニット(170)に戻すことができる。
【0101】
特定の実施態様において、メタン富化粗生成物流(50)及び合成ガス粗生成物流(51)を生成するための本明細書に記載された全体の方法は、その中の異なる段階でプロセス熱との熱交換によりスチーム需要(圧力及び量)を満たすことができるようなニュートラルな(neutral)スチーム、又は過剰のスチームを生成し、そして例えば、発電に用いることができるようなポジティブな(positive)スチームである。
【0102】
第1の炭素質フィードストック(12)が灰分を含む場合、合成ガス発生器(100)中の反応は、灰分副生物(60)も生じ、それは合成ガス発生器(100)から、定期的に又は連続的に除去されうる。典型的に、灰分副生物(60)は、約5質量%若しくはそれ未満、又は約3質量%若しくはそれ未満、又は約2質量%若しくはそれ未満、又は約1質量%若しくはそれ未満(全質量)の残留炭素含量を有する。合成ガス発生器(100)が非スラグ化条件下で運転される場合、灰分は、典型的に固体として除去される。合成ガス発生器(100)がスラグ化条件下で運転される場合、灰分は、典型的に液体(溶融灰分)又は液体/固体混合物として除去される。
【0103】
本発明に関連した使用に適する可能性のある合成ガス発生器は、一般的に関連分野の当業者に知られており、そして、例えば、Royal Dutch Shell plc, ConocoPhillips Company, Siemens AG, Lurgi AG (Sasol), General Electric Company及びその他から入手可能な技術に基づいたものが包含される。他の適する可能性のある合成ガス発生器は、例えば、US2009/0018222A1、US2007/0205092A1及びUS6863878に開示されている。
【0104】
また、ガス部分酸化(POx)合成ガス発生器及び自己熱改質器は、本発明に関連した使用に適する可能性があり、そして一般的に関連分野の当業者に知られている。それには、例えば、Royal Dutch Shell plc, Siemens AG, General Electric Company, Lurgi AG, Haldor Topsoe A/S, Uhde AG, KBR Inc.及びその他から入手可能な技術に基づくものが包含される。接触及び非接触反応器は、本発明における使用に適している。一実施態様において、合成ガス発生器は、非接触(サーマル)POx反応器である。別の実施態様において、合成ガス発生器は、接触自己熱改質器である。
【0105】
ガスPOx反応器を用いる場合、炭素質フィードストック(14)は、例えば、スイート化ガス流(80)、水素を除去されたスイート化ガス流(82)、メタン富化スイート化ガス流(97)又はメタン生成物流(99)のようなメタンリッチ流であり、これらの流れは、以下に、より詳細に議論するようにメタン富化粗生成物流(50)の下流ガス処理の異なる部分から生じる。
【0106】
水添メタン化−水添メタン化反応器(200)
上記のように、第2の炭素質フィードストック(32)、一酸化炭素、水素、スチーム及び場合により酸素を水添メタン化反応器(200)中、水添メタン化触媒(31)の存在下、そして適した圧力及び温度条件の下で反応させてメタン富化粗生成物流(50)を形成する。
【0107】
水添メタン化反応器(200)は、典型的に流動床反応器である。水添メタン化反応器(200)は、例えば、「下に流れる(flow down)」向流配置であることができ、ここ
では、粒子が流動床の下のチャー副生物捕集領域に流れるように炭素質フィードストック(32)がより高地点で導入され、そしてガスは上方向に流れ、そして流動床より上の地点で除去される。別法として、水添メタン化反応器(200)は、「上に流れる(flow up)」並流配置であることができ、ここでは、粒子がガスと共に流動床の上のチャー副生物捕集領域に流れるように、炭素質フィードストック(32)がより低い地点で供給される。また、典型的に、「上に流れる」配置では、反応器の底に流動化されないより大きな粒子(チャーを包含する)のための捕集領域がある。
【0108】
工程(g)は、水添メタン化反応器(200)中で起こる。
【0109】
また、第2の酸素リッチガス流(22)が水添メタン化反応器(200)に供給された場合、炭素質フィードストックからの炭素含量の一部は、酸化/燃焼反応で消費され、熱エネルギーの他に一酸化炭素及び水素を生成することもできる。水添メタン化及び酸化/燃焼反応は、同時に起きてもよい。水添メタン化反応器(200)の配置に応じて、以下に議論するように、2つの工程は、反応器中の同じ領域内で起こってもよく、又は1つの領域中が優先的でありうる。例えば、第2の酸素リッチガス流(22)が、活性水添メタン化流動床領域より下のようなチャー副生物が集まる水添メタン化反応器(200)の領域へ供給される場合、水添メタン化反応は、水添メタン化流動床領域において優勢であり、そして部分酸化/燃焼反応は、チャー副生物捕集領域において優勢である。
【0110】
水添メタン化反応器(200)は、典型的に少なくとも約700°F(約371℃)の、又は少なくとも約800°F(約427℃)の、又は少なくとも約900°F(約482℃)の、約1500°F(約816℃)までの、又は約1400°F(約760℃)までの、又は約1300°F(704℃)までの穏やかな温度(すなわち、第3の温度)で;そして約250psig(約1825kPa,絶対)、又は約400psig(約2860kPa)、又は約450psig(約3204kPa)、又は約500psig(約3549kPa)、約800psig(約5617kPa)まで、又は約700psig(約4928kPa)まで、又は約600psig(約4238kPa)までの圧力(すなわち、第4の圧力)で運転される。
【0111】
水添メタン化反応器(200)中の典型的なガス流速は、約0.5ft/秒(約0.15m/秒)から、又は約1ft/秒(約0.3m/秒)から、約2.0ft/秒(約0.6m/秒)まで、又は約1.5ft/秒(約0.45m/秒)までである。
【0112】
また、水添メタン化反応は、熱需要、スチーム需要及び合成ガス需要を有する。組み合わせにおけるこれらの条件は、方法の残りの操作条件を決定する際に重要な要因である。
【0113】
例えば、水添メタン化反応のスチーム需要では、フィードストック中の炭素に対するスチームのモル比は、少なくとも約1を必要とする。しかしながら、典型的に、モル比は、約1を超える、又は約2若しくはそれ以上、約6まで(又はそれ未満)、又は約5まで(又はそれ未満)、又は約4まで(又はそれ未満)、又は約3まで(又はそれ未満)である。
【0114】
また、上記のように、水添メタン化反応は、本質的に熱収支が保たれているが、プロセス熱損失及び他のエネルギー必要量(例えば、フィードストックにおける水分の蒸発)のため、水添メタン化反応にいくらか熱を加えて熱収支を維持しなければならない。水添メタン化反応器(200)の操作温度より上の温度での水添メタン化供給流(30)の添加は、この余分な熱を供給するための1つの機構となりうる。
【0115】
しかし、熱交換器(170)から出る冷却された合成ガス流(24)は、一般に水添メタン化反応(200)の操作温度よりも低い。しかし、冷却された合成ガス流(24)は、機構の1つ又は組み合わせにより過熱される。
【0116】
例えば、流れ(24)は、熱交換器(170)の上流にある熱交換器(172)に連通した任意選択の過熱器(171)を通過させることができる。
【0117】
別の例として、過熱スチーム(26)は、過熱器(171)中の流れ(24)と交換された又は混合された熱であることができる。都合よくは、過熱スチーム(26)は、プロセススチームであることができる。
【0118】
また、過熱器(171)は、例えば、合成ガス粗生成物流の一部(51)が熱エネルギー用に燃焼される炉であることもできる。
【0119】
過熱/温度制御のための別の機構は、水添メタン化反応器(200)に導入される第2の酸素リッチガスの存在下での炭素(炭素質フィードストックから)の部分燃焼/酸化によって生成される熱エネルギーの捕捉である。第2の酸素リッチガス流(22)は、反応器底面への精製酸素、酸素−空気混合物又は酸素−不活性ガス混合物の直接注入のようなあらゆる適した手段によって水添メタン化反応器(200)に供給することができる。一般に、第2の酸素リッチガス流(22)は、流動床の流動化を補助するため、反応器中のホットスポットの形成を回避するため、そしてガス状生成物の燃焼を回避するため、典型的に流動床水添メタン化領域より下の地点で過熱スチームとの混合物として(例えば、水添メタン化供給流(30)と組み合わせて)導入することができる。また、第2の酸素リッチガス流(22)は、より活性な水添メタン化領域中の炭素とは対照的に副生物チャー中の炭素が消費されるように、副生物チャーが捕集される水添メタン化反応器(200)の領域、典型的に反応器の底面に都合よく導入することができる。
【0120】
当業者は、実質的に熱収支を維持するために水添メタン化反応器(200)に加えるのに必要な熱量を決定することができる。その場での炭素燃焼/酸化を、水添メタン化供給流(30)の流速、組成、温度及び圧力と併せて、関連分野の当業者に知られている他のプロセス要因と共に考慮する場合、これにより、次に、水添メタン化反応器(200)に入るときの水添メタン化供給スチーム(30)の温度及び圧力、そして次に合成ガス発生器(100)の操作温度及び圧力、並びに必要となりうる第1のガス流(20)のすべてのクエンチングが定まる。
【0121】
第2の炭素質フィードストック(32)の加圧及び反応のために水添メタン化反応器(200)に用いられるガスは、場合により第2の酸素リッチガス流(22)と組み合わせた水添メタン化供給流(30)、及び、場合により、さらなるスチーム、窒素、空気又は不活性ガス、例えばアルゴンを含み、これは、当業者に知られている方法に従って水添メタン化反応器(200)に供給することができる。結果として、水添メタン化供給流(30)は、それが水添メタン化反応器(200)に入ることができるより高い圧力で供給しなければならない。
【0122】
酸素の量並びに注入速度及び圧力は、使用する際、第2の炭素質フィードストック、部分燃焼された第2の炭素質フィードストック及び/又はチャー残留物中の炭素の部分燃焼ができるように制御される。従って、上記のように、第2の酸素リッチガス流の存在下で第2の炭素質フィードストックからの炭素の部分燃焼により水添メタン化供給流(30)と共に、水添メタン化方法の熱及び合成ガスの収支の維持を助けるのに必要な熱並びに一酸化炭素及び水素が生成し、都合の良いことに、方法において再循環一酸化炭素及び水素ガスループ、及び外だき過熱器(external fired superheaters)の必要が排除される。
【0123】
これに関して、水添メタン化反応器(200)に供給される酸素量の変動は、有益なプロセス制御を提供する。酸素量を増やすと燃焼を高めるため、その場での熱発生が増大する。酸素量を減らすと、その場での熱発生は反対に低下する。
【0124】
都合の良いことに、水添メタン化反応のためのスチームは、プロセス熱捕捉により他のプロセス操作から生成され(例えば、廃熱ボイラー中で生成され、一般に、「プロセススチーム」又は「プロセス生成スチーム」と称する)、そして、いくつかの実施態様において、単にプロセス生成スチームとして供給される。例えば、熱交換器ユニット又は廃熱ボイラー(例えば、(170)、(400)、(402)及び(403)など)によって生成されるプロセススチーム流(例えば(28)、(40)、(42)及び(43))は、水添メタン化反応器(200)に供給することができる。
【0125】
特定の実施態様において、本明細書に記載された全体の方法は、水添メタン化反応のスチーム需要(圧力及び量)をその中の異なる段階でのプロセス熱との熱交換により満たすことができるような実質的にニュートラルなスチーム、又は過剰のスチームが生成され、そして、例えば発電に用いることができるようなポジティブなスチームである。望ましくは、プロセス生成スチームは、水添メタン化反応のスチーム需要の約95質量%を超える、又は約97質量%を超える、又は99質量%を超える、又は約100質量%若しくはそれ以上を占める。
【0126】
水添メタン化反応の結果は、典型的に、水添メタン化に用いた炭素質材料の性質に応じてCH4、CO2、H2、CO、H2S、未反応のスチーム、連行された微粒子及び、場合により、他の汚染物質、例えばNH3、COS、HCN及び/又は元素状水銀スチームを含むメタン富化粗生成物流(50)である。
【0127】
メタン富化粗生成物流(50)は、水添メタン化反応器(200)から出ると、典型的にメタン富化粗生成物流(50)中、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素及び水素のモルに基づいて少なくとも約20mol%のメタンを含む。さらに、メタン富化粗生成物流(50)は、典型的にメタン富化粗生成物流(50)中、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素及び水素のモルに基づいて少なくとも約50mol%のメタン+二酸化炭素を含む。
【0128】
水添メタン化供給ガス流(30)が、合成ガス需要より上の、そしてそれを超える過剰の一酸化炭素及び/又は水素を含有する場合、メタン富化粗生成物流中、メタン及び二酸化炭素のモルパーセントにおいていくらかの希釈効果があってもよい。
【0129】
さらなるガス処理
微粒子除去
水添メタン化反応器(200)の反応室から出る熱ガス排出物は、水添メタン化反応器(200)に組み込まれた及び/又はその外部の微粒子除去ユニット(図示せず)に通過させることができ、それは排出領域としての役割を果たす。水添メタン化反応器(200)を出るガスによって連行されるには重過ぎる粒子(すなわち、微粒子)は、反応室(例えば、流動床)に戻る。
【0130】
残りの連行された微粒子は、必要に応じて、内部及び/又は外部サイクロン分離器のようなあらゆる適した機器、場合により、続いてベンチュリスクラバーによって実質的に除去されうる。回収された微粒子は、処理してアルカリ金属触媒を回収することができ、又は以前に組み込まれたUS2009/0217589A1に記載されたようにフィードストック調合に戻して直接再利用することができる。
【0131】
微粒子の「実質的な部分」の除去は、下流処理に悪影響を及ぼさないように、生成したガス流から除去される微粒子の量を意味し;従って、少なくとも、微粒子の実質的な部分が除去されなければならない。生成したガス流中には、若干微量レベルの超微細の物質が下流処理に有意に悪影響を及ぼさない程度まで残っていてもよい。典型的に、20μmを超える、又は10μmを超える、又は5μmを超える粒径の微粒子の少なくとも約90質量%、又は少なくとも約95質量%、又は少なくとも約98質量%が除去される。
合成ガス粗生成物流との混合
【0132】
典型的に、水添メタン化反応器(200)及び第1の熱交換器ユニット(170)のいくつかの下流地点で、メタン富化粗生成物流(50)及び合成ガス粗生成物流(51)の少なくとも一部を、さらなる処理のために混合して(combined)最終的に生成物流を生成する。混合(combination)は、ガス処理ループに沿ったさまざまな地点で行うことができる。
【0133】
典型的な混合領域としては、第2の熱交換器ユニット(400)の前、その中又はその後、微量汚染物質除去ユニット(500)の前、及び/又はアンモニア除去及び回収操作(600)の後、そして存在する場合、サワーシフトユニット(700)の前、又はその他に酸性ガス除去ユニット(800)の前が包含される。
【0134】
ユニット及び他のガス処理操作を、さらに詳細に以下に議論する。これらの議論に関して、メタン富化粗生成物流(又はメタン富化粗生成物流の下流の流れ)という表現には、場合により合成ガス粗生成物流の一部又はすべてとの混合(混合粗生成物流)が包含される。
【0135】
第2の熱交換器ユニット(400)
水添メタン化条件に応じて、約800°F(約427℃)から約1500°F(約816℃)まで、そしてより典型的には約1100°F(約593℃)から約1400°F(約760℃)までの範囲の温度、約50psig(約446kPa)から約800psig(約5617kPa)まで、より典型的には約400psig(約2860kPa)から約600psig(約4238kPa)までの圧力、そして約0.5ft/秒(約0.15m/秒)から約2.0ft/秒(約0.61m/秒)、より典型的には約1.0ft/秒(0.3m/秒)から約1.5ft/秒(約0.46m/秒)までの速度を有する、水添メタン化反応器(200)から出るメタン富化粗生成物流(50)を生成することができる。
【0136】
メタン富化粗生成物流(50)は、例えば、熱回収ユニット、例えば、図2に示す第2の熱交換器ユニット(400)に供給することができる。熱交換器(400)は、メタン富化粗生成物流(50)から熱エネルギーの少なくとも一部を除去し、そしてメタン富化粗生成物流(50)の温度を下げてメタン富化粗生成物流(50)より低い温度を有する冷却されたメタン富化粗生成物流(70)を生成する。熱交換器(400)により回収された熱エネルギーは、第2のプロセススチーム流(40)の生成に用いることができ、そのうちの少なくとも一部は、例えば、合成ガス発生器(100)に再循環され、水性クエンチ流(25)として用いられ、スチーム流(26)又は上記のいくつかの混合物として用いられる。
【0137】
一実施態様において、第2の熱交換器ユニット(400)は、過熱区画の後にスチームボイラー区画の両方を有する。ボイラー供給水の流れをスチームボイラー区画に通過させてプロセススチーム流を生成することができ、次いで、これを過熱区画に通過させて水添メタン化反応器(200)に導入するのに適した温度及び圧力の過熱プロセススチーム流を生成する。
【0138】
生成した冷却されたメタン富化粗生成物流(70)は、典型的には、約450°F(約232℃)から約1100°F(約593℃)まで、より典型的には約550°F(約288℃)から約950°F(約510℃)までの範囲の温度、50psig(約446kPa)から約800psig(約5617kPa)まで、より典型的には約400psig(約2860kPa)から約600psig(約4238kPa)までの圧力、そして約0.5ft/秒(約0.15m/秒)から約2.0ft/秒(約0.61m/秒)まで、より典型的には約1.0ft/秒(0.30m/秒)から約1.5ft/秒(約0.46m/秒)までの速度で第2の熱交換器ユニット(400)から出る。
【0139】
ガス精製
生成物の精製は、例えば、場合により微量汚染物質除去(500)、場合によりアンモニア除去及び回収(600)、並びに場合によりサワーシフトシフトプロセス(700)、続いて酸性ガス除去(800)を含んでもよい。メタン化(900及び950)は、酸性ガス除去(800)の前及び/又は後に実施することができる。酸性ガス除去(800)は、第2の熱交換器ユニット(400)から直接送られた冷却されたメタン富化粗生成物流(70)又は場合により(i)1つ又はそれ以上の微量汚染物質除去ユニット(500);(ii)1つ又はそれ以上のアンモニア回収ユニット(600);(iii)1つ又はそれ以上のサワーシフトユニット(700);及び(iv)1つ又はそれ以上の耐硫黄触媒メタン化ユニット(900)のいずれか1つ若しくはそれ以上を通過した冷却されたメタン富化粗生成物流(70)において実施してもよい。
【0140】
微量汚染物質除去(500)
当業者によく知られているように、ガス流、例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)の汚染レベルは、炭素質フィードストックの調合に用いられる炭素質材料の性質に左右される。例えば、Illinois #6のような特定の石炭は、より高いCOS汚染に至る高い硫黄含量を有することがあり;そしてIllinois #6及びPowder River Basin石炭のような他の石炭は、合成ガス発生器及び/又は水添メタン化反応器中で揮発することがある有意レベルの水銀を含有することがある。
【0141】
COSは、COS加水分解(US3966875、US4011066、US4100256、US4482529、及びUS4524050参照)、粒状石灰石(US4173465参照)、酸性緩衝化されたCuSO4溶液(US4298584参照)、テトラメチレンスルホン(スルホラン、US3989811参照)を含有するメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン又はジイソプロパノールアミンのようなアルカノールアミン吸収剤を通してガス流を通過させる;又は冷凍液体CO2による冷却された第2のガス流の向流洗浄(US4270937及びUS4609388参照)によってガス流、例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)から除去することができる。
【0142】
HCNは、硫化アンモニウム若しくはポリスルフィドとの反応によるCO2、H2S及びNH3の生成(US4497784、US4505881及びUS4508693参照)、又はホルムアルデヒド、続いて多硫化アンモニウム若しくはナトリウムを用いた二段階洗浄(US4572826参照)、水による吸収(US4189307参照)、及び/又はMoO3、TiO2及び/又はZrO2のようなアルミナ担持された加水分解触媒を通過させることによる分解(US4810475、US5660807及びUS 5968465参照)によってガス流、例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)から除去することができる。
【0143】
元素水銀は、例えば、硫酸で活性化された炭素による吸収(US3876393参照)、硫黄で含浸された炭素による吸収(US4491609参照)、H2S含有アミン溶媒による吸収(US4044098参照)、銀又は金を含浸させたゼオライトによる吸収(US4892567参照)、過酸化水素及びメタノールを用いたHgOへの酸化(US5670122参照)、SO2の存在下で臭素又はヨウ素含有化合物を用いた酸化(US6878358参照)、H、Cl及びO含有プラズマを用いた酸化(US6969494参照)、及び/又は塩素含有酸化ガスによる酸化(例えば、ClO、US7118720参照)によってガス流、例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)から除去することができる。
【0144】
COS、HCN及び/又はHgのいずれか又はすべてを除去するために水溶液を用いる場合、微量汚染物質除去ユニット中で生成した排水は、排水処理ユニット(図示せず)に送ることができる。
【0145】
特定の微量汚染物質の微量汚染物質除去が存在する場合、このように処理されたガス流(例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70))から、その微量汚染物質の少なくとも実質的な部分(又は実質的にすべて)を、典型的に所望の生成物流の規定限界又はそれより低いレベルまで除去しなければならない。典型的に、微量汚染物質除去では、冷却された第1のガス流からCOS、HCN及び/又は水銀の少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%を除去しなければならない。
アンモニア除去及び回収(600)
【0146】
当業者によく知られているように、バイオマス、特定の石炭の及び/又は接触ガス化装置の酸素源として空気を用いるガス化は、生成物流中に有意量のアンモニアを生成することがある。場合により、ガス流、例えば冷却されたメタン富化粗生成物流(70)を、1つ又はそれ以上のアンモニア除去及び回収ユニット(600)中で水により洗浄してアンモニアを除去及び回収することができる。アンモニア回収処理は、例えば冷却されたメタン富化粗生成物流(70)において、第2の熱交換器ユニット(400)から直接又は場合により(i)1つ若しくはそれ以上の微量汚染物質除去ユニット(500)、及び(ii)1つ若しくはそれ以上のサワーシフトユニット(700)の一方若しくは両方で処理した後、実施してもよい。
【0147】
洗浄後、ガス流、例えば冷却されたメタン富化粗生成物流(70)は、典型的に少なくともH2S、CO2、CO、H2及びCH4を含む。冷却されたメタン富化粗生成物流(70)がサワーシフトユニット(700)を予め通過した場合、洗浄後、ガス流は、典型的に少なくともH2S、CO2、H2及びCH4を含む。
【0148】
アンモニアは、当業者に知られている方法に従って洗浄水から回収することができ、典型的に水溶液(61)(例えば、20質量%)として回収することができる。洗浄排水は、排水処理ユニット(図示せず)に送ることができる。
【0149】
アンモニア除去プロセスが存在する場合、洗浄された流れ、例えば冷却されたメタン富化粗生成物流(70)からアンモニアの少なくとも実質的な部分(そして、実質的にすべて)を除去しなければならない。アンモニア除去に関する「実質的な」除去は、所望の最終生成物を生成することができるように十分に高いパーセンテージの成分を除去することを意味する。典型的に、アンモニア除去プロセスでは、洗浄された第1のガス流のアンモニア含量の少なくとも約95%又は少なくとも約97%が除去される。
サワーシフト(700)
【0150】
水素富化粗生成物流(72)を生成するために、メタン富化粗生成物流(例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70))の一部又はすべてを、場合によりサワーシフト反応器(700)に供給して水性媒体(例えばスチーム)の存在下でサワーシフト反応(別名水性ガスシフト反応)を実施してCOの一部をCO2に転換し、そしてH2の画分を増やすことができる。特定の例において、水素含量の増加は、以下の議論するようにスイート化ガス流(80)から分離することができる水素生成物ガス流(85)の形成に用いることができる。特定の他の例において、サワーシフトプロセスは、その後のメタン化反応器に供給するためのガス流、例えば冷却されたメタン富化粗生成物流(70)中の水素:一酸化炭素の比率の調整に用いてもよく、それは、このようなモル比が約3:1未満である場合、特に有用である。水性ガスシフト処理は、第2の熱交換器ユニット(400)から直接送られた冷却されたメタン富化粗生成物流(70)において、又は場合により微量汚染物質除去ユニット(500)及び/又はアンモニア除去ユニット(600)を通過した冷却されたメタン富化粗生成物流(70)において実施してもよい。
【0151】
サワーシフトプロセスは、例えば、US7074373に詳細に記載されている。方法は、水を加え、又はガス中に含有される水を用い、そして生成した水−ガス混合物をスチーム改質触媒上で断熱的に反応させることを含む。典型的なスチーム改質触媒としては、耐熱支持体上の1つ又はそれ以上のVIII族金属が包含される。
【0152】
CO含有ガス流においてサワーガスシフト反応を実施するための方法及び反応器は、当業者によく知られている。適した反応条件及び適した反応器は、ガス流から除去しなければならないCOの量に応じて変えることができる。いくつかの実施態様において、サワーガスシフトは、約100℃から、又は約150℃から、又は約200℃から、約250℃まで、又は約300℃まで、又は約350℃までの温度範囲内で、一段階で実施することができる。これらの実施態様において、シフト反応は、当業者に知られているあらゆる適した触媒によって触媒作用を及ぼすことができる。このような触媒としては、Fe23ベースの触媒、例えばFe23−Cr23触媒及び他の遷移金属ベースの及び遷移金属酸化物ベースの触媒が含まれるが、それらに限定されるわけではない。別の実施態様において、サワーガスシフトは、多段階で実施することができる。特定の一実施態様において、サワーガスシフトは、2段階で実施される。この2段法では、高温配列(sequence)の後に低温配列を用いる。高温シフト反応のガス温度は、約350℃から約1050℃までの範囲である。典型的な高温触媒には、場合によりより少ない量の酸化クロムと合わせた酸化鉄が含まれるが、それらに限定されるわけではない。低温シフトのガス温度は、約150℃から約300℃まで、又は約200℃から約250℃までの範囲である。低温シフト触媒には、酸化亜鉛又はアルミナ上に担持されうる酸化銅が含まれるが、それらに限定されるわけではない。サワーシフトプロセスに適した方法は、以前に組み込まれたUS2009/0246120A1に記載されている。
【0153】
いくつかの実施態様において、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)からCOの実質的な部分を除去し、従ってCOの実質的な部分を転換することが望ましい。これに関する「実質的な」転換は、所望の最終生成物を生成することができるような十分に高いパーセンテージの成分の転換を意味する。典型的に、COの実質的な部分が転換されたシフト反応器から出る流れは、約250ppm又はそれより少ないCO、そしてより典型的には100ppm又はそれより少ないCOの一酸化炭素含量を有する。
【0154】
別の実施態様において、その後のメタン化、例えば、典型的に約3若しくはそれを超える、又は約3を超える、又は約3.2若しくはそれを超えるH2/COモル比が必要であるトリムメタン化(trim methanation)のためにH2画分が増加するようにCOの一部のみを転換することが望ましい。
【0155】
サワーガスシフトプロセスの後、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)は、一般にCH4、CO2、H2、H2S及びスチーム、並びに典型的には同様にいくらかのCO(下流メタン化のため)を含有する。
【0156】
サワーシフト反応は発熱性であるため、多くの場合、第3の熱交換器ユニット(401)のような熱交換器で実施して熱エネルギーの効率的使用を可能にする。これらの特徴を用いるシフト反応器は、当業者によく知られている。適したシフト反応器の例は、以前に組み込まれたUS7074373に説明されているが、当業者に知られている他の設計も有効である。
【0157】
第3の熱交換器ユニット(401)は独立したユニットとして示されているが、それは、このように存在することができるし、及び/又はサワーシフト反応器(700)に組み込むことができ、従って、サワーシフト反応器(700)を冷却し、そして存在する場合、水素富化粗生成物流(72)から熱エネルギーの少なくとも一部を除去して、存在する場合、水素富化粗生成物流(72)の温度を下げて冷却された水素富化粗生成物流を生成することができる。回収された熱エネルギーの少なくとも一部は、水/スチーム源からプロセススチーム流を生成するために用いることができる。
【0158】
別の実施態様において、水素富化粗生成物流(72)は、サワーシフト反応器(700)から出ると、過熱器、続いてボイラー供給水予熱器に導入される。過熱器は、例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)の一部であることができる流れを過熱し、過熱された流れを生成し、次いで、これを冷却されたメタン富化粗生成物流(70)に再び混合するために用いることができる。別法として、冷却されたメタン富化生成物流のすべては、過熱器中で予熱することができ、そして、その後、過熱された流れとしてサワーシフト反応器(700)に供給される。
【0159】
一実施態様において、第3の熱交換器ユニット(401)は、例えば、1つ又はそれ以上の第1の熱交換器ユニット(170)、第2の熱交換器ユニット(400)、第4の熱交換器ユニット(402)及び第5の熱交換器ユニット(403)並びに他のスチーム発生操作のためにボイラー供給水(39)を予熱し、そして予熱されたボイラー供給水性流(41)を生成するために用いることができるボイラー供給水予熱器を含む。
【0160】
メタン富化粗生成物流(50)の一酸化炭素含量のいくらかを保持することが望ましい場合、第1の熱回収ユニット(400)と連通したガスバイパスループ(70a)を設け、第1の熱回収ユニット(400)から出る冷却されたメタン富化粗生成物流(70)のいくらか又はすべてについて、要するにサワーシフト反応器(700)及び第2の熱回収ユニット(例えば、熱交換器(401))を迂回させてそして酸ガス除去ユニット(800)に入れることができる。これは、保持された一酸化炭素を、以下に議論するように後でメタン化することができるので、別々のメタン生成物流を回収することが望ましいときは、特に有用である。
【0161】
酸性ガス除去(800)
その後の酸ガス除去ユニット(800)を用いてメタン富化粗生成物流、例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)からH2S及びCO2の実質的な部分を除去し、そしてスイート化ガス流(80)を生成することができる。
【0162】
酸ガス除去プロセスは、典型的に、ガス流を溶媒、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、ジグリコールアミン、アミノ酸のナトリウム塩の溶液、メタノール、熱炭酸カリウム又は同様のものと接触させてCO2及び/又はH2Sを含んだ吸収剤を生成することを含む。1つの方法として、2つのトレイン(train)を有するSelexol(登録商標)(UOP LLC, Des Plaines, IL USA)、又はRectisol(登録商標)(Lurgi AG, Frankfurt am Main, Germany)溶媒の使用を含むことができ;各トレインはH2S吸収剤及び炭酸ガス吸収剤を含有している。
【0163】
酸ガスを除去する1つの方法は、以前に組み込まれたUS2009/0220406A1に記載されている。
【0164】
CO2及び/又はH2S(そして、他の残っている微量汚染物質)の少なくともの実質的な部分(例えば、実質的にすべて)を、酸性ガス除去プロセスで除去しなければならない。酸性ガス除去に関して「実質的な」除去は、所望の最終生成物を生成することができるような十分に高いパーセンテージの成分の除去を意味する。従って、実際の除去量は、成分によって異なる。「パイプライン品質の天然ガス」では、(多くとも)微量のH2Sしか存在することができないが、より多量のCO2は、許容されうる。
【0165】
典型的には、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)からCO2の少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約92%、そしてH2Sの少なくとも約95%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99.5%、を除去しなければならない。
【0166】
スイート化ガス流(80)が、第2のガス流(例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70))からのメタンの少なくとも実質的な部分(そして、実質的にすべて)を含むように、酸性ガス除去工程における所望の生成物(メタン)の損失は、最小限にしなければならない。典型的に、このような損失は、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)からメタンの約2mol%若しくはそれ未満、又は約1.5mol%若しくはそれ未満、又は約1mol%若しくはそれ未満でなければならない。
【0167】
生成したスイート化ガス流(80)は、一般にCH4及びH2、典型的にいくらかのCO(特に下流でメタン化を実施する場合)を含み、そして典型的に汚染物質量を超えるCO2及びH2Oは含まない。
【0168】
酸性ガス除去(及びサワー水ストリッピングのような他の方法)から回収されたすべてのH2S(78)は、クラウス法を包含する当業者に知られているなんらかの方法によって元素硫黄に転換することができる。硫黄は、溶融液として回収することができる。
【0169】
酸性ガス除去から回収されたすべてのCO2(79)は、CO2パイプラインでの輸送、工業的用途、及び/又は貯蔵若しくは石油増進回収(enhanced oil recovery)のような他のプロセス用に隔離(sequestration)するために圧縮することができる。
【0170】
酸性ガス除去ユニット(800)の前に、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)をノックアウトドラム又は類似の水分離機器(450)により処理して水分含量を下げることができる。生成したサワー排水流(47)は、さらなる処理のため排水処理ユニット(図示せず)に送ることができる。
【0171】
水素分離(850)
水素は、場合により深冷蒸留(cryogenic distillation)、モレキュラーシーブの使用、ガス分離(例えば、セラミック及び/又はポリマー)膜、及び/又は圧力スイング吸着(PSA)技術のような当業者に知られている方法に従ってスイート化生成物ガス流(80)から分離してもよい。例えば、以前に組み込まれたUS2009/0259080A1を参照のこと。
【0172】
一実施態様において、水素分離にはPSA機器が用いられる。メタン(及び場合により一酸化炭素)を含有するガス混合物からの水素分離のためのPSA技術は、例えばUS6379645(及びその中に参照された他の引用文献)に開示されたように一般に関連分野の当業者によく知られている。PSA機器は、例えば、Air Products and Chemicals Inc.(Allentown, PA)、UOP LLC(Des Plaines, IL)及びその他から入手可能な技術に基づいて一般に商業的に入手可能である。
【0173】
別の実施態様において、水素膜分離器は、PSA機器の後に用いることができる。
【0174】
このような分離により、高純度の水素生成物流(85)及び水素を除去されたスイート化ガス流(82)が供給される。
【0175】
回収された水素生成物流(85)は、好ましくは少なくとも約99モル%、又は少なくとも99.5モル%、又は少なくとも約99.9モル%の純度を有する。
【0176】
水素生成物流(85)は、例えば、エネルギー源として及び/又は反応体として用いることができる。例えば、水素は、水素ベースの燃料電池のエネルギー源として電力及び/又はスチーム発生のため(図2中の980、982及び984参照)、及び/又はその後の水添メタン化プロセスのために用いることができる。また、水素は、化学及び石油精製産業で見られるようなさまざまな水素化プロセスにおける反応体として用いることができる。
【0177】
水素を除去されたスイート化ガス流(82)は、実質的にメタン並びに場合により少量の一酸化炭素(主にサワーシフト反応の程度及びバイパスに左右される)、二酸化炭素(主に酸性ガス除去プロセスの有効性に左右される)及び水素(主に水素分離技術の程度及び有効性に左右される)を含む。
【0178】
メタン化(900及び950)
本明細書に記載されたガス化方法は、少なくとも1つのメタン化工程を用いて酸性ガス除去ユニット(800)の前に(例えば、冷却されたメタン富化粗生成物流(70))及び/又は後に(例えば、スイート化ガス流(80))1つ又はそれ以上のガス流中に存在する一酸化炭素及び水素からメタンを生成することができる。
【0179】
メタン化反応は、なんらかの適した反応器、例えば、一段式メタン化反応器、一連の一段式メタン化反応器又は多段式反応器において実施することができる。メタン化反応器としては、固定床、移動床又は流動床反応器が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、US3958957、US4252771、US3996014及びUS4235044を参照のこと。メタン化に用いられる触媒及びメタン化条件は、引き込むガス流の温度、圧力及び組成に左右される。
【0180】
例えば、本発明の一実施態様において、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)中に存在する一酸化炭素の少なくとも一部及び水素の少なくとも一部を第1の接触メタン化反応器(900)中、耐硫黄メタン化触媒の存在下で反応させてメタン富化第1のガス流(92)を生成し、次いで、それを前記の酸性ガス除去にかけることができる。この段階で、冷却されたメタン富化粗生成物流(70)は、当業者によく知られているように、典型的に特定のメタン化触媒を不活性化することができる有意量の硫化水素を含有する。従って、このような実施態様において、接触メタン化反応器(900)は、硫化モリブデン及び/又はタングステンのような耐硫黄メタン化触媒を含む。耐硫黄メタン化触媒のさらなる例としては、US4243554、US4243553、US4006177、US3958957、US3928000及びUS2490488;Mills and Steffgen, in Catalyst Rev. 8, 159 (1973));及びSchultz et al, U.S. Bureau of Mines, Rep. Invest. No. 6974 (1967)に記載された触媒が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0181】
特定の一例において、耐硫黄メタン化触媒は、以前に組み込まれたUS2010/0121125A1に記載されたように、水添メタン化反応器(200)から定期的に除去して第1の接触メタン化反応器(900)に移すことができる、水添メタン化反応器(200)によって生成されたチャー副生物(54)の一部である。チャーを用いるメタン化反応器の操作条件は、以前に組み込まれたUS3958957に記載されたものと同様であることができる。耐硫黄メタン化触媒として少なくともチャー生成物の一部を用いる複合ガス化プロセス(integrated gasification process)において1つ又はそれ以上のメタン化工程が包含される場合、メタン化温度は、一般に約450℃から、又は約475℃から、又は約500℃から、約650℃まで、又は約625℃まで、又は約600℃までの範囲、そして約400〜約750psigの圧力である。
【0182】
本発明の別の実施態様において、スイート化ガス流(80)が水素及び100ppmを超える一酸化炭素を含む場合、スイート化ガス流(80)中に存在する一酸化炭素及び水素は、第2の接触メタン化反応器(950)中、メタン化触媒の存在下で反応させてメタン富化ガス流(97)を生成することができる。
【0183】
本発明の特定の実施態様において、これらのメタン化工程の両方が、実施される。
【0184】
メタン化反応は発熱性であるため、さまざまな実施態様において、メタン富化ガス流(92)及び(97)を、例えば、熱回収ユニット、例えば、第4及び第5の熱交換器ユニット(402)及び(403)にさらに供給してもよい。熱交換器ユニット(402)及び(403)は、別々のユニットとして示されているが、それらはこのように存在することができるし、及び/又はメタン化反応器(900)及び(950)に組み込むことができ、従ってメタン化反応器ユニットを冷却し、そしてメタン富化ガス流から少なくとも熱エネルギーの一部を除去してメタン富化ガス流の温度を下げることが可能である。回収された熱エネルギーを用いて水及び/又はスチーム源(41b及び41c)からプロセススチーム流(42)及び(43)を生成することができる。
【0185】
メタン分離(970)
さまざまな実施態様において、スイート化ガス流(80)、又は水素を除去されたガス流(82)、又はメタン富化ガス流(97)は、メタン生成物流(99)である。さまざまな他の実施態様において、これらの流れをさらに精製して(970)メタン生成物流を生成することができる。
【0186】
必要に応じて、深冷蒸留及びモレキュラーシーブ又はガス分離(例えば、セラミック及び/又はポリマー)膜の使用を含むが、それらに限定されるわけではない当業者に知られているあらゆる適したガス分離法によってガス流を処理してCH4を分離及び回収することができる。例えば、サワーシフトプロセスが存在する場合、第2のガス流は、メタン及び水素を含有することがあり、深冷蒸留のような当業者によく知られた方法に従って分離することができる。
【0187】
ガス精製方法には、例えば、以前に組み込まれたUS2009/0260287A1、US2009/0259080A1及びUS2009/0246120A1に記載されたように、メタン水和物の生成が包含される。
【0188】
以前に示したように、合成ガス発生器(100)がガスベースのPOx又は自己熱改質反応器である場合、所望の最終生成物及び全体の方法/システムの配置に応じてスイート化ガス流(80)、水素を除去されたガス流(82)、メタン富化ガス流(97)又はメタン生成物流(99)のすべて又は一部をガス第1の炭素質フィードストック(14)として用いることができる。
【0189】
パイプライン品質の天然ガス
本発明は、特定の実施態様において、炭素質材料の水添メタン化から「パイプライン品質の天然ガス」を生成することができる方法及びシステムを提供する。「パイプライン品質の天然ガス」は、典型的に、(1)純粋なメタンの発熱量の±5%以内(その発熱量が標準大気条件下で1010btu/ft3である)、(2)実質的に水を含まない(典型的に約−40℃又はそれより低い露点)、そして(3)実質的に毒性又は腐食性汚染物質を含まない、天然ガスのことである。本発明のいくつかの実施態様において、上記の方法に記載されたメタン生成物流(99)は、このような条件を満たす。
【0190】
排水処理
微量汚染物質除去、サワーシフト、アンモニア除去、酸性ガス除去及び/又は触媒回収プロセスのいずれか1つ又はそれ以上から生じる排水中の残留汚染物質は、当業者に知られているなんらかの方法に従って排水処理ユニット中で除去してプラント内での回収された水の再循環及び/又はプラントプロセスからの水の廃棄が可能である。フィードストック及び反応条件に応じて、このような残留汚染物質は、例えば、フェノール、CO、CO2、H2S、COS、HCN、アンモニア及び水銀を含むことがある。例えば、H2S及びHCNは、排水をpH約3に酸性化し、ストリッピングカラム中で不活性ガスにより酸性排水を処理し、そしてpHを約10に高めそして不活性ガスにより2回目の排水処理をしてアンモニアを除去することによって除去することができる(US5236557参照)。H2Sは、残留コークス粒子の存在下で酸化剤で排水を処理してH2Sを、浮選又は濾過によって除去されうる不溶性硫酸塩に転換することによって除去することができる(US4478425参照)。フェノールは、排水を、一価及び二価の塩基性無機化合物を含有する炭素質チャー(例えば、固体チャー生成物又は触媒回収後の除去済チャー(depleted char)、前出)に接触させ、そしてpHを調整することによって除去することができる(US4113615参照)。また、フェノールは、有機溶媒により抽出し、続いてストリッピングカラム中で排水を処理することによって除去することができる(US3972693、US4025423及びUS4162902参照)。
【0191】
プロセススチーム
スチーム供給ループは、熱エネルギー回収から生成されたさまざまなプロセススチーム流(例えば、28、40、42及び43)を供給するために設けることができる。
【0192】
プロセススチーム流は、熱交換器(170)、(400)、(402)及び(403)のような1つ又はそれ以上の熱回収ユニットを用いて水/スチーム源(例えば、(25)、(41a)、(41b)及び(41c))をさまざまなプロセス操作から回収された熱エネルギーと接触させることによって生成することができる。また、例えば、触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)の調合について以下に議論するように、スラリー化された炭素質材料を流動床スラリー乾燥器で乾燥する場合、蒸発により生成されたスチームは、プロセススチームとして用いることができる。
【0193】
当分野で知られたすべての適した熱回収ユニットを、使用することができる。例えば、回収された熱エネルギーを用いてスチームを生成することができるスチームボイラー又は他のすべての適したスチーム発生器(例えばシェル/チューブ熱交換器)を使用することができる。また、1つ又はそれ以上のプロセス段階による熱回収を用いてスチームを所望の温度及び圧力に過熱することができ、従って独立した燃焼過熱器の必要がなくなるように、熱交換器は、スチーム流のための過熱器として機能してもよい。
【0194】
スチームを生成するにはあらゆる水源を用いることができるが、知られているボイラーシステムに一般に用いられる水は、腐食プロセスが遅くなるように精製及び脱イオンされている(約0.3〜1.0μS/cm)。
【0195】
本方法に関して、水添メタン化反応は、スチーム需要(温度、圧力及び容積)を有し、そしてプロセススチーム及びプロセス熱の回収量は、この全スチーム需要の少なくとも約85質量%、又は少なくとも約90質量%、又は少なくとも約94質量%、又は少なくとも約97質量%、又は少なくとも約98質量%、又は少なくとも約99質量%を供給するのに十分でありうる。残りの約15質量%若しくはそれ未満、又は約10質量%若しくはそれ未満、又は約6質量%若しくはそれ未満、又は約3質量%若しくはそれ未満、又は約2質量%若しくはそれ未満、又は約1質量%若しくはそれ未満は、補給スチーム流(make-up steam stream)によって供給することができ、それは、スチーム流(25)として(又はその一部として)システムに供給することができる。
【0196】
適したスチームボイラー又はスチーム発生器は、あらゆる必要な補給スチーム(make-up steam)を供給するために用いることができる。このようなボイラーは、例えば、粉炭、バイオマスなど、及びフィードストック調合操作から排除された炭素質材料(例えば、微粒子、前出)を含むが、それらに限定されないようなあらゆる炭素質材料を用いることにより駆動することができる。また、スチームは、反応器からの排ガスが水源に対して熱交換されてスチームを生成する燃焼タービンに結合された接触ガス化装置から供給することができる。別法として、以前に組み込まれたUS2009/0165376A1、US2009/0217584A1及びUS2009/0217585A1に記載されたように、接触ガス化装置のためにスチームを生成してもよい。
【0197】
別の実施態様において、1つ又は複数のプロセススチーム流は、水添メタン化反応のための全スチーム需要の実質的にすべてを供給し、その際、補給スチーム流は実質的にない。
【0198】
別の実施態様において、過剰のプロセススチームが生成される。過剰のスチームは、以下に議論するように、例えば、スチームタービンによる発電、及び/又は流動床乾燥器中で炭素質フィードストックを所望の低下された水分含量に乾燥させるために用いることができる。
【0199】
発電
スイート化ガス流(80)、水素を除去されたガス流(82)、メタン富化ガス流(97)又はメタン生成物流(99)のすべて又は一部は、回収された水素(85)のすべて又は一部が可能であるように、燃焼(980)及びスチーム発生(982)のために用いることができる。スチーム発生器(982)によって生成されたスチームは、前記プロセス内で用いてもよいし又は1つ若しくはそれ以上の発電機(984)、例えば燃焼若しくはスチームタービンに供給して電気を生み出し、それをプラント内で用いてもよいし、若しくは送電網に販売することができる。
【0200】
炭素質フィードストックの調合
炭素質材料の処理(90)
バイオマス及び非バイオマス(前出)のような炭素質材料は、衝撃粉砕(impact crushing)及び湿式又は乾式研削(wet or dry grinding)のような当分野で知られているなんらかの方法に従って別々に又は一緒に粉砕及び/又は研削して1つ又はそれ以上の炭素質微粒子を得ることにより調合することができる。炭素質材料源の粉砕及び/又は研削に用いる方法に応じて、生成した炭素質微粒子を分粒(すなわち、大きさにより分離する)して合成ガス発生器(100)に使用するための、及び/又は触媒装填プロセス(350)に使用するための第1の炭素質フィードストック(12)を得、水添メタン化反応器(200)のための触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を形成する。
【0201】
微粒子の分粒には当業者に知られているあらゆる方法を用いることができる。例えば、分粒は、スクリーニング又は微粒子をスクリーン若しくは多くのスクリーンに通過させることによって実施することができる。スクリーニング装置には、グリズリー、バースクリーン及び網篩が包含されうる。スクリーンは、静的機構又はスクリーンを振盪若しくは振動させる一体化機構(incorporate mechanisms)であることができる。別法として、分級を用いて炭素質微粒子を分離することができる。分級装置としては、鉱石選別機、ガスサイクロン、液体サイクロン、レーキ分級器、回転式トロンメル又は流動型分級器が包含されうる。
【0202】
また、炭素質材料は、研削及び/又は粉砕前に分粒又は分級することもできる。炭素質微粒子は、約25ミクロンから、又は約45ミクロンから、約2500ミクロンまで、又は約500ミクロンまでの平均粒径を有する細かい微粒子として供給することができる。当業者は、炭素質微粒子に適した粒径を容易に決定することができる。例えば、流動床反応器を用いる場合、このような炭素質微粒子は、流動床反応器中に用いるガス速度で炭素質物質の流動化開始を可能にする平均粒径を有することができる。粒径プロファイルは、合成ガス発生器(100)及び水添メタン化反応器(200)によって異なってもよい。
【0203】
さらに、特定の炭素質材料、例えば、トウモロコシ茎葉及びスイッチグラス、並びに産業廃棄物、例えば鋸屑は、いずれも粉砕若しくは研削操作にかけられないこともあり、又は例えば極めて微細な粒径のためこのような使用に適していないこともありうる。このような材料は、粉砕又は例えば流動床反応器中の直接使用に適したサイズのペレット又はブリケットの形にしてもよい。一般に、ペレットは、1つ又はそれ以上の炭素質材料の圧縮によって製造することができる;例えば、以前に組み込まれたUS2009/0218424A1を参照のこと。別の例では、バイオマス材料及び石炭は、US4249471、US4152119及びUS4225457に記載されたようにブリケットの形にすることができる。このようなペレット又はブリケットは、以下の議論において、前記の炭素質微粒子と同じ意味で用いることができる。
【0204】
炭素質材料源の品質に応じてさらなるフィードストック処理工程が必要となることがありうる。緑色植物や草のようなバイオマスは、高い水分含量を有することがあり、粉砕前に乾燥を必要とすることがある。都市廃棄物及び汚水は、高い水分含量を有することがあり、これは、例えば、圧搾器又はロールミルの使用によって下げてもよい(例えば、US4436028)。同様に、高水分の石炭のような非バイオマスは、粉砕前に乾燥を必要とすることがある。いくつかの粘結炭は、操作を簡略化するための部分酸化を必要とすることがありうる。無煙炭又は石油コークスのようなイオン交換部位に欠陥がある非バイオマスフィードストックは、前処理してさらなるイオン交換部位を作り、触媒装填及び/又は結合を促進することができる。このような前処理は、イオン交換可能な部位を作る及び/又はフィードストックの多孔度を高める当分野に知られたあらゆる方法によって実施することができる(例えば、以前に組み込まれたUS4468231及びGB1599932を参照のこと)。酸化的前処理は、当分野に知られたあらゆる酸化剤を用いて実施することができる。
【0205】
炭素質微粒子中の炭素質物質の比率及びタイプは、非バイオマス及びバイオマス源の技術的問題点、処理の経済的側面、入手可能性及び近接性に基づいて選ぶことができる。炭素質材料源の入手可能性及び近接性は、供給物の価格、そしてさらに接触ガス化方法の製造コスト全体に影響を与えることがありうる。例えば、バイオマス及び非バイオマス材料は、処理条件に応じて湿潤又は乾燥基準で質量により、約5:95、約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、約40:60、約45:55、約50:50、約55:45、約60:40、約65:35、約70:20、約75:25、約80:20、約85:15、約90:10又は約95:5で配合することができる。
【0206】
重要なことに、炭素質材料源並びに炭素質微粒子、例えばバイオマス微粒子及び非バイオマス微粒子の個々の成分の比率を用いて炭素質微粒子の他の材料特性を制御することができる。石炭のような非バイオマス材料、及びもみ殻のような特定のバイオマス材料には、典型的に、接触ガス化装置中で無機酸化物(すなわち、灰分)を形成するカルシウム、アルミナ及びシリカを含む有意量の無機物質が包含される。約500℃〜約600℃より上の温度で、カリウム及び他のアルカリ金属は、灰分中のアルミナ及びシリカと反応して不溶性のアルカリアルミノシリケートを形成することがある。この形態では、アルカリ金属は、実質的に水不溶性かつ触媒として不活性である。水添メタン化反応器(200)中の残留物の蓄積を防止するため、灰分、未反応の炭素質材料、及びさまざまな他の化合物(例えばアルカリ金属化合物、水溶性及び水不溶性の両方)を含むチャー(52)の固体パージ(solid purge)を日常的に回収することができる。
【0207】
炭素質微粒子の製造において、特に水添メタン化反応を考慮する場合、さまざまな炭素質材料の灰分は、例えば、さまざまな炭素質材料及び/又はさまざまな炭素質材料中の出発灰分の比率に応じて選択して例えば、約20質量%若しくはそれ未満、又は約15質量%若しくはそれ未満、又は約10質量%若しくはそれ未満、又は約5質量%若しくはそれ未満であることができる。別の実施態様において、生成した炭素質微粒子は、炭素質微粒子の質量に基づいて約5質量%から、又は約10質量%から、約20質量%まで、又は約15質量%までの範囲の灰分を含むことができる。別の実施態様において、炭素質微粒子の灰分は、灰分質量に基づいて約20質量%未満、又は約15質量%未満、又は約10質量%未満、又は約8質量%未満、又は約6質量%未満のアルミナを含むことができる。特定の実施態様において、炭素質微粒子は、処理されたフィードストックの質量に基づいて約20質量%未満の灰分を含むことができ、ここで、炭素質微粒子の灰分は、灰分質量に基づいて約20質量%未満のアルミナ、又は約15質量%未満のアルミナを含む。
【0208】
炭素質微粒子中のこのような低いアルミナ値により、最終的に、方法の水添メタン化部分における触媒、そして特にアルカリ金属触媒の損失を低下させることができる。上に示したように、アルミナは、アルカリ源と反応して、例えばアルカリアルミン酸塩又はアルミノシリケートを含む不溶性のチャーを生成することがある。このような不溶性のチャーは、触媒回収の低下(すなわち、触媒損失の増加)に至ることがあり、従って、方法全体では補給触媒の追加費用が必要となる。
【0209】
さらに、生成した炭素質微粒子は、有意により高い%炭素、そしてさらにbtu/lb値及び炭素質微粒子の単位質量当たりのメタン生成物を有することができる。特定の実施態様において、生成した炭素質微粒子は、非バイオマス及びバイオマスを合わせた質量に基づいて約75質量%から、又は約80質量%から、又は約85質量%から、又は約90質量%から、約95質量%までの範囲の炭素含量を有することができる。
【0210】
一実施例において、非バイオマス及び/又はバイオマスを湿式研削し、そして分粒し(例えば、25〜約2500μmの粒径分布)、次いで、その遊離水を排出して(すなわち、脱水して)湿潤ケーク粘稠度にする。湿式研削、分粒及び脱水に適した方法の例は、当業者に知られている;例えば、以前に組み込まれたUS2009/0048476A1を参照のこと。本開示の1つ実施態様に従って湿式研削により形成された非バイオマス及び/又はバイオマス微粒子の濾過ケークは、約40%から約60%まで、又は約40%から約55%まで、又は50%より低い範囲の水分含量を有することができる。脱水して湿式研削された炭素質材料の水分含量が、炭素質材料の特定のタイプ、粒径分布及び使用する特定の脱水装置に左右されることは、当業者に明らかである。このような濾過ケークは、本明細書に記載されたように熱処理して1つ又はそれ以上の水分の低下された炭素質微粒子を製造することができる。
【0211】
1つ又はそれ以上の炭素質微粒子のそれぞれは、上記のように、独特の組成を有することができる。例えば、2つの炭素質微粒子を用いることができ、ここで第1の炭素質微粒子は、1つ又はそれ以上のバイオマス材料を含み、そして第2の炭素質微粒子は、1つ又はそれ以上の非バイオマス材料を含む。別法として、1つ又はそれ以上の炭素質材料を含む単一の炭素質微粒子が用いられる。
【0212】
水性スラリーが第1の炭素質フィードストック(12)として用いられる場合、(例えば、以前に組み込まれたUS2009/0169448A1に開示されたように)スラリーは、質量により炭素質材料対水の比率を含有することができ、これは約5:95から約60:40までの範囲であり;例えば、比率は、約5:95、又は約10:90、又は約15:85又は約20:80又は約25:75、又は約30:70、又は約35:65、又は約40:60、又は約50:50、又は約60:40、又は他のすべての中間の値であることができる。すべての炭素質材料は、単独で又は組み合わせて用いることができ、そして(必要に応じて)水でスラリー化して所定の炭素及び水分含量を有する水性スラリーを製造することができる。
【0213】
水性スラリーを製造するための水性媒体は、きれいな水の供給(例えば、都市上水道)及び/又は再循環プロセスのいずれかから製造することができる。例えば、サワー水のストリッピング操作及び/又は触媒フィードストック乾燥操作からの再生水を水性スラリーの製造に導くことができる。一実施態様において、水はきれいでないが、その代わりに、農業、石炭採掘、都市廃棄物処理設備又は同様の供給源からの未処理の排水のような有機物質を含有する。排水中の有機物質は、以下に示すように炭素質材料の一部になる。
【0214】
典型的に、水添メタン化反応器(200)、次いで合成ガス発生器(100)は、フィードストック調合に対してより敏感である。水添メタン化反応器(200)の望ましい粒径範囲は、流動化条件に応じてゲルダートA及びゲルダートBの範囲(2つの間の重複部分を包含する)にあり、典型的に、限定された量の細かい(約25ミクロンより下)及び粗い(約250ミクロンより大きい)材料を有する。望ましくは、合成ガス発生器(100)は、水添メタン化反応器(200)に用いられないそれらのフィードストック部分を処理することができなければならない。
【0215】
水添メタン化(350)のための触媒装填
水添メタン化触媒は、少なくとも上記の反応(I)、(II)及び(III)の触媒化に対して潜在的に活性である。このような触媒は、関連分野の当業者に一般によく知られており、そして例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属並びにそれらの化合物及び複合体が包含されうる。典型的に、水添メタン化触媒は、以前に組み込まれた参照文献の多くに開示されたようなアルカリ金属である。
【0216】
水添メタン化反応では、1つ又はそれ以上の炭素質微粒子を、典型的にさらに処理して典型的に少なくとも1つのアルカリ金属源を含む少なくとも1つの水添メタン化触媒と会合させ(associate)、触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を生成する。
【0217】
触媒装填のために供給された第2の炭素質微粒子(32)を処理して触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を形成し、それを水添メタン化反応器(200)に送ることができ、又は1つ若しくはそれ以上の処理流に分けて、処理流の少なくとも1つを水添メタン化触媒と会合させて少なくとも1つの触媒処理されたフィードストック流を形成することができる。残っている処理流を、例えば、処理してそれと第2の成分を会合させることができる。さらに、触媒処理されたフィードストック流に2回目の処理をしてそれと第2の成分を会合させることができる。第2の成分は、例えば、第2の水添メタン化触媒、共触媒又は他の添加剤であることができる。
【0218】
一例において、一次水添メタン化触媒を単一の炭素質微粒子(例えば、カリウム及び/又はナトリウム源)に供給し、続いて別々に処理して1つ又はそれ以上の共触媒及び添加剤(例えば、カルシウム源)を同じ単一の炭素質微粒子に供給して触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を得ることができる。例えば、以前に組み込まれたUS2009/0217590A1及びUS2009/0217586A1を参照のこと。また、水添メタン化触媒及び第2の成分を混合物として1回の処理で単一の炭素質微粒子に供給して触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を得ることもできる。
【0219】
1つ又はそれ以上の炭素質微粒子を触媒装填に供給する場合、炭素質微粒子の少なくとも1つを水添メタン化触媒と会合させて少なくとも1つの触媒処理されたフィードストック流を形成する。さらに、炭素質微粒子のいずれかを、それと第2の又はさらなる成分と会合させるために上に詳述された1つ又はそれ以上の処理流に分けることができる。少なくとも1つの触媒処理されたフィードストック流を用いて触媒入りのフィードストック流を形成する場合、生成した流れをいずれかの組み合わせで配合して触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を得ることができる。
【0220】
一実施態様において、少なくとも1つの炭素質微粒子を水添メタン化触媒及び場合により第2の成分と会合させる。別の実施態様において、各炭素質微粒子を、水添メタン化触媒及び場合により第2の成分と会合させる。
【0221】
当業者に知られているあらゆる方法を用いて、1つ又はそれ以上の水添メタン化触媒を炭素質微粒子及び/又は処理流のいずれかと会合させることができる。このような方法には、固体触媒源との混合及び処理された炭素質材料上への触媒の含浸が含まれるが、それらに限定されるわけではない。当業者に知られているいくつかの含浸方法を用いて水添メタン化触媒を組み込むことができる。これらの方法としては、初期浸潤含浸(incipient wetness impregnation)、蒸発含浸、真空含浸、浸漬含浸、イオン交換、並びにこれらの方法の組み合わせが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0222】
一実施態様において、装填タンク中で触媒の溶液(例えば、水性)を用いたスラリー化によってアルカリ金属水添メタン化触媒を1つ又はそれ以上の炭素質微粒子及び/又は処理流中に含浸することができる。触媒及び/又は共触媒の溶液を用いてスラリー化する場合、生成したスラリーを脱水して再び典型的に、湿潤ケークとして触媒処理されたフィードストック流を得ることができる。触媒液は、新たな又は補給触媒及び再利用された触媒又は触媒液を包含する本方法におけるあらゆる触媒源から製造することができる。スラリーを脱水して触媒処理されたフィードストック流の湿潤ケークを得る方法としては、濾過(重力又は真空)、遠心分離及び液体圧搾(fluid press)が包含される。
【0223】
別の実施態様では、以前に組み込まれたUS2010/0168495A1に開示されたように、炭素質微粒子を水性触媒液と合わせて実質的に脱水されてない湿潤ケークを生成し、次いで高められた温度条件下で混合し、そして最後に適当な水分レベルに乾燥する。
【0224】
石炭微粒子及び/又は石炭を含む処理流を水添メタン化触媒と合わせて触媒処理されたフィードストック流を得るために適した1つの特定の方法は、以前に組み込まれたUS2009/0048476A1及びUS2010/0168494A1に記載されたようなイオン交換によるものである。イオン交換機構による触媒装填は、組み込まれた参照文献中に議論されたように、特に石炭用に開発された吸着等温線に基づいて最大にすることができる。このような装填により、湿潤ケークとして触媒処理されたフィードストック流を得る。全体触媒目標値が制御されたやり方で得ることができるように孔の内部を包含する、イオン交換された粒状湿潤ケーク上に保持されたさらなる触媒を制御することができる。装填された触媒の総量は、上記の組み込まれた参照文献中に開示されたように、そして、別途、出発石炭の特徴に基づいて関連分野の当業者によって容易に決定されるように、溶液中の触媒成分の濃度、並びに接触時間、温度及び方法を制御することによって制御することができる。
【0225】
別の例では、炭素質微粒子及び/又は処理流の1つを水添メタン化触媒で処理することができ、そして第2の処理流を第2の成分で処理することができる(以前に組み込まれたUS2007/0000177A1を参照のこと)。
【0226】
少なくとも1つの触媒処理されたフィードストック流を用いて触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を形成する場合、炭素質微粒子、処理流、及び/又は上記から生じた触媒処理されたフィードストック流を任意の組み合わせで配合して触媒入りの第2の炭素質フィードストックを供給することができる。最終的に、触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を水添メタン化反応器(200)に送る。
【0227】
一般に、各触媒装填ユニットは、1つ又はそれ以上の炭素質微粒子及び/又は処理流を少なくとも1つの水添メタン化触媒を含む溶液と接触させて1つ又はそれ以上の触媒処理されたフィードストック流を形成するための少なくとも1つの装填タンクを含む。別法として、触媒成分を固体微粒子として1つ又はそれ以上の炭素質微粒子及び/又は処理流中に配合して1つ又はそれ以上の触媒処理されたフィードストック流を形成してもよい。
【0228】
典型的に、水添メタン化触媒がアルカリ金属である場合、それは、微粒子組成物中の炭素原子に対するアルカリ金属原子の比率を約0.01から、又は約0.02から、又は約0.03から、又は約0.04から、約0.10まで、又は約0.08まで、又は約0.07まで、又は約0.06までの範囲で供給するのに十分な量で触媒入りの第2の炭素質フィードストック中に存在する。
【0229】
いくつかのフィードストックでは、アルカリ金属成分を、触媒入りの第2の炭素質フィードストック内に供給して触媒入りの第2の炭素質フィードストック中の炭素質材料の合わせた灰分よりも質量基準において約3〜約10倍のアルカリ金属含量を達成してもよい。
【0230】
適したアルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びそれらの混合物である。特に有用なのは、カリウム源である。適したアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、アミド、水酸化物、酢酸塩又は同様の化合物が包含される。例えば、触媒は、1つ又はそれ以上の炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム又は水酸化セシウム、そして特に炭酸カリウム及び/又は水酸化カリウムを含むことができる。
【0231】
以前に組み込まれた参照文献に開示されたもののような共触媒又は他の触媒添加剤を場合により用いてもよい。
【0232】
触媒入りの第2の炭素質フィードストックを形成するため混合された1つ又はそれ以上の触媒処理されたフィードストック流は、典型的に、約50%を超える、約70%を超える、又は約85%を超える、又は約90%を超える、触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)と会合された装填触媒の総量を含む。さまざまな触媒処理されたフィードストック流と会合された全装填触媒のパーセンテージは、当業者に知られた方法に従って決定することができる。
【0233】
以前に議論したように、個々の炭素質微粒子、触媒処理されたフィードストック流及び処理流を適当に配合して例えば、触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)の全触媒装填又は他の品質を制御することができる。合わせたさまざまな流れの適当な比率は、それぞれを含む炭素質材料の品質の他に触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)の所望の性質に左右される。以前に議論したように、例えば、バイオマス微粒子流及び触媒入りの非バイオマス微粒子流をこのような比率で合わせて所定の灰分を有する触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を得ることができる。
【0234】
前記触媒処理されたフィードストック流、処理流及び処理されたフィードストック流はいずれも、1つ又はそれ以上の乾燥微粒子及び/又は1つ又はそれ以上の湿潤ケークとして、混練、及び立形又は横形ミキサー、例えば、1軸若しくは2軸、リボン、又はドラムミキサーを含むが、それらに限定されるわけではない当業者に知られたあらゆる方法によって混合することができる。生成した触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)は、将来使用するために保存するか又は水添メタン化反応器に導入するため1つ若しくはそれ以上の供給操作に移すことができる。触媒入りの第2の炭素質フィードストックは、当業者に知られているあらゆる方法、例えばスクリューコンベヤー又は気流輸送に従って貯蔵又は供給操作へ送ることができる。
【0235】
さらに、触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)から過剰の水分を除去することができる。例えば、触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)を流動床スラリー乾燥器(すなわち、過熱スチームで処理して液体を気化する)又は真空下で若しくは不活性ガスの流れ下で熱的に蒸発された若しくは除去された溶液で乾燥して、例えば、約10質量%若しくはそれ未満、又は約8質量%若しくはそれ未満、又は約6質量%若しくはそれ未満、又は約5質量%若しくはそれ未満、又は約4質量%若しくはそれ未満の残留水分含量を有する触媒入りの第2の炭素質フィードストックを得ることができる。
【0236】
触媒回収(300)
記載された条件下での触媒入りの第2の炭素質フィードストック(31+32)の反応により、一般に、水添メタン化反応器(200)からメタン富化粗生成物流(50)及び固体チャー副生物(52)が得られる。固体チャー副生物(52)は、典型的に、未反応の炭素質材料及び連行された触媒の量を含む。固体チャー副生物(52)は、チャー排出口を通してサンプリング、パージ及び/又は触媒回収のため水添メタン化反応器(200)から除去することができる。
【0237】
本明細書に用いられる「連行された触媒」という用語は、アルカリ金属成分のような水添メタン化触媒の触媒活性部分を含む化学化合物を意味する。例えば、「連行された触媒」には、可溶性のアルカリ金属化合物(例えばアルカリ炭酸塩、アルカリ水酸化物及びアルカリ酸化物)及び/又は不溶性のアルカリ化合物(例えばアルカリアルミノシリケート)が含まれうるが、それらに限定されるわけではない。接触ガス化装置から抽出されたチャーと会合した触媒成分の性質及びその回収方法は、以前に組み込まれたUS2007/0277437A1、US2009/0165383A1、US2009/0165382A1、US2009/0169449A1及びUS2009/0169448A1に詳細に議論されている。
【0238】
固体チャー副生物(52)は、ロックホッパーシステムであるチャー排出口を通して水添メタン化反応器(200)から定期的に回収することができるが、別の方法は当業者に知られている。固体チャー生成物の除去方法は、当業者によく知られている。例えば、EP−A−0102828によって教示された一つのこのような方法を用いることができる。
【0239】
水添メタン化反応器(200)からのチャー副生物(52)は、下記のように、触媒回収ユニット(300)に送ってもよい。このようなチャー副生物(52)は、複数の流れに分けてもよく、そのうちの一つを触媒回収ユニット(300)に送ってもよく、そして、別の流れ(54)を、例えばメタン化触媒(前記の)として用いて、触媒回収のため処理しなくてもよい。
【0240】
特定の実施態様において、水添メタン化触媒がアルカリ金属である場合、固体チャー副生物(52)中のアルカリ金属を回収して触媒再循環流(56)を生成することができ、そしてすべての未回収触媒は、触媒補給流(58)によって補うことができる。フィードストック中にアルミナ及びシリカが多いほど、より高いアルカリ金属回収率を得るためにより費用がかかる。
【0241】
一実施態様において、水添メタン化反応器(200)からの固体チャー副生物(52)を再循環ガス及び水でクエンチして連行された触媒の一部を抽出することができる。回収された触媒(56)は、アルカリ金属触媒の再利用のため触媒装填ユニット(350)に送ることができる。劣化したチャー(59)は、例えば、触媒入りフィードストックの調合における再循環用の劣化したチャー(59a)として再利用するため、いずれか1つ若しくはそれ以上のフィードストック調合操作(90)に誘導することができ、1つ若しくはそれ以上のスチーム発生器を駆動するために燃焼される(以前に組み込まれたUS2009/0165376A1及びUS2009/0217585A1中に開示されたように)、又はさまざまな用途において、例えば吸収剤としてこのように用いられる(以前に組み込まれたUS2009/0217582A1中に開示されたように)。
【0242】
他の特に有用な回収及び再循環方法は、US4459138、並びに以前に組み込まれたUS2007/0277437A1、US2009/0165383A1、US2009/0165382A1、US2009/0169449A1及びUS2009/0169448A1に記載されている。さらなる方法の詳細についてはそれらの文献を参照することができる。
【0243】
触媒の再循環は、触媒装填プロセスの1つ又は組み合わせであることができる。例えば、再循環された触媒のすべては、1つの触媒装填プロセスに供給することができるが、別のプロセスでは補給触媒しか用いない。また、再循環触媒対補給触媒のレベルは、触媒装填プロセスにおける個々の基準において制御することもできる。
【0244】
マルチトレイン法
本発明の方法において、各方法は、1つ又はそれ以上の処理ユニットで実施してもよい。例えば、1つ又はそれ以上の水添メタン化反応器には、1つ又はそれ以上の触媒装填及び/又はフィードストック調合単位操作からの炭素質フィードストックを供給してもよい。同様に、例えば、以前に組み込まれたUS2009/0324458A1、US2009/0324459A1、US2009/0324460A1、US2009/0324461A1及びUS2009/0324462A1において議論されたように、1つ又はそれ以上の水添メタン化反応器によって生成したメタン富化粗生成物流は、別々に又は特定のシステム配置に応じて熱交換器、耐硫黄接触メタン化反応器、酸性ガス除去ユニット、トリムメタン化反応器、及び/又はメタン除去ユニットにおいてそれらを組み合わせて処理又は精製してもよい。
【0245】
特定の実施態様において、方法は、2つ又はそれ以上の水添メタン化反応器(例えば、2〜4個の水添メタン化反応器)を用いる。このような実施態様において、方法は、最終的に触媒入りの第2の炭素質フィードストックを複数の水添メタン化反応器及び/又は収束的処理ユニット(すなわち、水添メタン化反応器の総数より少ない)に、続いて複数の水添メタン化反応器によって生成された複数のメタン富化粗生成物流を処理するための接触ガス化装置に供給するために、水添メタン化反応器の前に分岐した処理ユニット(すなわち、水添メタン化反応器の総数より少ない)を含んでもよい。
【0246】
例えば、方法は、(i)触媒入りの第2の炭素質フィードストックを水添メタン化反応器に供給するための分岐した触媒装填ユニット;(ii)触媒装填ユニットに炭素質微粒子を供給するための分岐した炭素質材料処理ユニット;(iii)水添メタン化反応器から複数のメタン富化粗生成物流を受け入れるための収束的熱交換器;(iv)熱交換器からの複数の冷却されたメタン富化粗生成物流を受け入れるための収束的耐硫黄メタン化反応器;(v)熱交換器からの複数の冷却されたメタン富化粗生成物ガス流又は存在する場合、耐硫黄メタン化反応器からのメタン富化ガス流を受け入れるための収束的酸性ガス除去ユニット;又は(vi)酸性ガス除去ユニットからの複数のスイート化ガス流を受け入れる収束的接触メタン化反応器又はトリムメタン化反応器を用いてもよい。
【0247】
システムが収束的処理ユニットを含む場合、収束的処理ユニットのそれぞれは、全ガス流を供給する収束的処理ユニットの1/nを超える部分を受け入れる容量を有するように選ぶことができ、ここで、nは収束的処理ユニットの数である。例えば、4つの水添メタン化反応器及び水添メタン化反応器からの4本のメタン富化粗生成物流を受け入れる2つの熱交換器を用いる方法では、熱交換は、4本のガス流の全ガス量の1/2を超えて(例えば、1/2〜3/4)受け入れる容量を有するように選ぶことができ、そして2つ又はそれ以上の水添メタン化反応器と連結されており、処理システム全体をシャットダウンする必要なしに1つ又はそれ以上の熱交換器の日常保守を可能する。
【0248】
同様に、システムが分岐した処理ユニットを含む場合、分岐した処理ユニットのそれぞれは、収束的処理ユニットに供給する全供給流の1/mを超える部分を受け入れる容量を有するように選ぶことができ、ここで、mは分岐した処理ユニットの数である。例えば、2つの触媒装填ユニット及び触媒装填ユニットに炭素質微粒子を供給するための1つの炭素質材料処理ユニットを用いる方法では、炭素質材料処理ユニットにそれぞれ連通した触媒装填ユニットは、1つの炭素質材料処理ユニットからの炭素質微粒子の全量の1/2〜すべてを受け入れる容量を有するように選ぶことができ、処理システム全体をシャットダウンする必要なしに触媒装填ユニットの1つの日常保守を可能にする。
【0249】
既存の合成ガス設備の改良
本発明の第3の態様は、既存の合成ガス製造設備、特に生成物としてメタン及び/又は水素を製造するためにすでに構成されたものに水添メタン化反応器を加えることを含むメタン生成物流の生成方法に関する。固形物及びアンモニアを除去すると、水添メタン化反応器からのメタン富化粗生成物流は、慣用のガス化設備においてガス処理設備と十分に適合しなければならない。
【0250】
その結果、有益な能力として既存の合成ガス設備に容量(capacity)が加えられ、そのさらなる容量は、メタン製造にとってより効率的であり、そして他の生成物に利用できる合成ガス製造を有意に損なわない。
【0251】
改良された設備はメタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流の両方を製造するため、水添メタン化反応器は、合成ガス発生器の合成ガス容量のすべてを用いるわけではない。従って、水添メタン化反応は、合成ガス発生器が有する生成能力よりも少ない一酸化炭素及び水素の需要を有する。
【0252】
水添メタン化反応器が、第2の酸素リッチ流を受けるようにさらに配置される場合、合成ガス発生器及び水添メタン化反応器の両方に供給する空気分離ユニットをより有効に運転することができるというさらなる方法の利点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれ以上の炭素フィードストックからメタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流を生成する方法であって、
(a)第1の炭素フィードストック、第1の酸素リッチガス流、並びに場合により水及びスチームの一方又は両方を含む水性流を、合成ガス発生器に供給する工程;
(b)合成ガス発生器中、酸素、及び場合により水性流の存在下で第1の炭素フィードストックを反応させて、第1の温度及び第1の圧力で水素、一酸化炭素、熱エネルギー及び場合によりスチームを含む第1のガス流を生成させる工程;
(c)第1のガス流を、場合により水及びスチームの一方又は両方を含むクエンチ流と共に第1の熱交換器ユニットに導入して、熱エネルギーを取り出し、第2の温度及び第2の圧力で、水素、一酸化炭素及び場合によりスチームを含む冷却された第1のガス流を発生させる工程;
(d)冷却された第1のガス流を水添メタン化ガス供給流、及び一酸化炭素、水素及び場合によりスチームを含む合成ガス粗生成物流に分離する工程;
(e)場合により、発生した水添メタン化ガス供給流が第3の温度及び第3の圧力で水素、一酸化炭素及びスチームを含むように、スチーム及び熱エネルギーの一方又は両方を水添メタン化ガス供給流に加える工程;
(f)第2の炭素フィードストック、水添メタン化触媒、水添メタン化ガス供給流及び場合により第2の酸素リッチガス流を、水添メタン化反応器に導入する工程;
(g)水添メタン化反応器中、一酸化炭素、水素、スチーム、水添メタン化触媒及び場合により酸素の存在下、第4の温度及び第4の圧力で、第2の炭素フィードストックを反応させて、メタン、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、硫化水素及び熱エネルギーを含むメタン富化粗生成物流を生成させる工程;及び
(h)メタン富化生成物流を水添メタン化反応器から回収する工程、
を含み、
ここで:
工程(g)の反応は、合成ガス需要、スチーム需要及び熱需要を有し;
水添メタン化ガス供給流(又は存在する場合、過熱された水添メタン化ガス供給流)中の一酸化炭素及び水素の量は、少なくとも工程(g)の反応の合成ガス需要を満たすために十分であり;
工程(d)からの水添メタン化ガス供給流中のスチームの量が、工程(g)の反応のスチーム需要を満たすには不十分である場合、工程(e)が存在し、そして少なくとも工程(g)の反応のスチーム需要を満たすために十分な量でスチームを水添メタン化ガス供給流に加え;
第2の温度が工程(g)の反応の熱需要を満たすには不十分である場合、工程(e)が存在し、そして少なくとも工程(g)の反応の熱需要を満たすために十分な量で熱エネルギーを水添メタン化ガス供給流に加える;
上記方法。
【請求項2】
メタン富化粗生成物流が少なくとも約20mol%メタン(メタン富化粗生成物流中のメタン、二酸化炭素、一酸化炭素及び水素のモルに基づいて)を含み、そしてメタン富化粗生成物流が少なくとも50mol%メタン+二酸化炭素(メタン富化粗生成物流中のメタン、二酸化炭素、一酸化炭素及び水素のモルに基づいて)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スチームが合成ガス発生器に供給され、そして第1のガス流がさらにスチームを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
チャー副生物が工程(g)で発生し、水添メタン化反応器から連続的に又は定期的に回収され;水添メタン化触媒がアルカリ金属を含み;チャー副生物が水添メタン化触媒からのアルカリ金属含量を含み;チャー副生物の少なくとも一部を処理してアルカリ金属含量の少なくとも一部を回収し、そして回収されたアルカリ金属含量の少なくとも一部を水添メタン化触媒として使用するため再循環させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)、(b)、(c)、(d)、(g)及び(h)、並びに存在する場合、工程(e)を、連続的なやり方で行なわれる連続方法である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
メタン富化粗生成物流を処理してパイプライン品質の天然ガス生成物を発生させる工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
メタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流の少なくとも一部をガス処理システムで処理してスイート化ガス流を生成させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第1の炭素フィードストックが灰分を含み、第1のガス流が灰分からの残留物を含み、そして水添メタン化ガス供給流を水添メタン化反応器に導入する前に灰分からの残留物が実質的に除去される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
1つ又はそれ以上の炭素フィードストックからメタン富化粗生成物流及び合成ガス粗生成物流を生成させるためのガス化装置であって:
(a)(1)第1の炭素フィードストック、第1の酸素リッチガス流、並びに場合により水及びスチームの一方又は両方を含む水性流を受け;(2)酸素及び場合により水性流の存在下の第1の炭素フィードストックの反応を含み、それにより第1の温度及び第1の圧力で、水素、一酸化炭素及び場合によりスチームを含む第1のガス流が生成し;そして(3)第1のガス流を排出する;ように構成される合成ガス発生器;
(b)(1)第1のガス流、並びに場合により、スチーム及び水の一方又は両方を含むクエンチ流を受け、そして(2)第2の温度及び第2の圧力で水素、一酸化炭素及び場合によりスチームを含む、冷却された第1のガス流を発生させる;ように構成される冷却領域;
(c)(1)冷却された第1のガス流を受け;そして(2)冷却された第1のガス流を水添メタン化ガス供給流、及び一酸化炭素、水素及び場合によりスチームを含む合成ガス粗生成物流に分離する;ように構成される分離領域;
(d)(1)分離領域から水添メタン化ガス供給流を受け;(2)場合により、スチーム供給流を受け;そして(3)第3の温度及び第3の圧力で一酸化炭素、水素及びスチームを含む、過熱された水添メタン化ガス供給流を発生させる;ように構成される任意選択の過熱器領域;及び
(e)(1)炭素含量を含む第2の炭素フィードストック、水添メタン化触媒、水添メタン化ガス供給流、及び場合により、第2の酸素リッチガス流を受け;(2)一酸化炭素、水素、スチーム、水添メタン化触媒及び場合により酸素の存在下、第4の温度及び第4の圧力で第2の炭素フィードストックの反応を含み、それによりメタン、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含むメタン富化粗生成物流が生成し;そして(3)メタン富化粗生成物流を排出する;ように構成される水添メタン化反応器;
を含む、上記ガス化装置。
【請求項10】
1つ又はそれ以上の炭素フィードストックから、実質的に二酸化炭素及び硫化水素を含まずに、メタン、水素及び場合により一酸化炭素を含む、スイート化ガス流を発生させる方法であって:
(A)(i)第1の温度及び圧力で一酸化炭素及び水素、並びに場合により二酸化炭素、硫化水素及びスチームを含む第1のガス流を生成させる合成ガス発生器;及び(ii)第1のガス流中に存在しうる実質的にすべての二酸化炭素及び硫化水素を除去するための酸性ガス除去装置を含むガス処理システム;を含む既存の設備を備える工程であって、ここで合成ガス発生器が、ガス処理システムに連結された第1のガス流用の排気ラインを含む、工程;
(B)既存の設備を改良して以下:
(1)排気ラインが第1のガス流を冷却して第2の温度及び第2の圧力で冷却された第1のガス流を生成させるための冷却領域を含まない場合、このような冷却領域をガス処理システムの前に排気ラインに挿入する改変;
(2)ガス流分離機構を冷却領域とガス処理システムの間に挿入する改変であって、ここでガス流分離機構が、冷却された第1のガス流を合成ガス粗生成物流及び水添メタン化ガス供給流に分離するように構成される、改変;
(3)場合によりガス流分離機構に連通した水添メタン化ガス供給流用の過熱器を挿入する改変であって、ここで過熱器が、第3の温度及び圧力で過熱された水添メタン化ガス供給流を生成させるように構成される、改変;
(4)ガス流分離機構(又は存在する場合、過熱器)に連通した水添メタン化反応器を挿入する改変であって、ここで、水添メタン化反応器が、(i)第2の炭素フィードストック、水添メタン化触媒、水添メタン化ガス供給流及び場合により酸素リッチガス流を受け;(ii)一酸化炭素、水素、スチーム、水添メタン化触媒及び場合により酸素の存在下、第4の温度及び第4の圧力で、第2の炭素フィードストックの反応を含み、それによりメタン富化粗生成物流が生成し、メタン富化粗生成物流は、メタン、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、硫化水素及び熱エネルギーを含み;そして(iii)メタン富化粗生成物流を排出するように構成される、改変;及び
(5)メタン富化生成物流をガス処理システムに供給するラインを挿入する改変;
を含む改良された設備を製作する工程;
(C)改良された設備において請求項1〜8のいずれかに記載の方法を操作する工程;及び
(D)メタン富化生成物流及び場合により合成ガス粗生成物流の少なくとも一部を処理してスイート化ガス流を生成させる工程;
を含む、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−505335(P2013−505335A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529866(P2012−529866)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048880
【国際公開番号】WO2011/034888
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(508002586)グレイトポイント・エナジー・インコーポレイテッド (7)