説明

炭素/セラミックス複合材とその製造方法

【課題】高圧成形することなく常圧で高密度に製造できる炭素/セラミックス複合材の製造技術の提供。
【解決手段】ピッチ、セラミックス粉末、及びノボラック型フェノール樹脂粉末とを所定量の割合で配合する。配合された混合物を湿式、即ち、界面活性剤、消泡剤、及び粘結合剤のそれぞれを5%以下含む水で粉砕混合しスラリー化する。このスラリー化した混合物を加圧することなく型枠その他により成形し、乾燥させる。この乾燥させた混合物を高温に保持して焼成し複合材を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金やガラス製造等で使用される耐熱、耐酸化性、耐湯溶金属性を有する複合材料とその製造技術に関する。更に詳しくは、ピッチと熱硬化性樹脂及びセラミックス粉末を使用して製造された高密度の炭素/セラミックス複合材とその製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関わる炭素/セラミックス複合材は、燃えやすい炭素材料に比べて10倍程度の寿命があり、特に冶金等の溶融金属を扱う部材やガラス瓶製造の部材などの分野において、耐熱性等を有する材料として幅広く使用されている。しかしながら、炭素/セラミックス複合材は一般炭素材に比べると機械加工がしにくく、このため、最終製品の形状まで加工するのに加工費が高コストである点が問題になっている。そこで、最初から最終製品の形状に成形しておけば、その後の機械加工が少なくてすむが、現在の製造法では、高密度の複合材を得るため、焼成前の生成形体を作成する際に150MPa以上の高い圧力をもって型込め、或いはラバープレスで加圧して成形されている。これは炭素原料として軟化・溶融しない生コークス類を用いているため、焼成時の成形体の焼結・緻密化が小さく、焼成前の生成形体の密度を予め高くしておく必要があることによる。
【0003】
他方、生コークスとセラミックスとの混合粉末を800℃で予め焼成し、しかる後スラリーにして無加圧で成形し、これを焼成して炭素/セラミックス複合材を製造する技術も知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この特許文献1に記載されている成形方法では、混合粉末の炭素原料がスラリー化する前にすでに炭素化されており焼結の駆動力とはなりえず、セラミックス成分が焼結の駆動力となる。これは焼結中の連続相がセラミックスであり、炭素成分は孤立して存在する傾向となる。従って、電気特性等、物性的に本複合材と異なるものである。
【0004】
このように、炭素原料として用いられる生コークス類が軟化・溶融しないことに問題があるのであるが、一方、有機物の炭素化過程において、生コークスになる以前のピッチ類は 150〜300℃程度の温度で軟化する。しかし、これをそのまま炭素の前駆体として用いれば、焼成中のピッチの軟化による形の崩れや多量の揮発分発生によって発泡などが発生する。炭素/炭素繊維複合材等のように繊維状物質を主体とする複合材においては、ピッチの軟化や発泡によっても形を保つことが可能であるためピッチを炭素原料とすることが多い。この製品は、多孔質となり、このためピッチ含浸―焼成を繰り返し炭素材の高密度化を図っている。
【0005】
また、熱硬化性樹脂とピッチを一部に用いた炭素繊維強化の炭素複合材も見られるが、10MPa以下の成形圧を用い、かつ強化材として短炭素繊維を用いているにもかかわらず、その曲げ強度は50MPa以下であり、本発明による複合材の1/3以下となっている。しかしながら、炭素/セラミックス複合材の製造においては、成形体の形の崩れや発泡等の理由により、ピッチをそのまま炭素原料の主体とすることはなされていない。
【0006】
以上のように、ピッチを炭素/セラミックス複合材の炭素原料の主成分としてそのまま使用するのが困難であったため、ピッチをさらに熱処理されて得られる生コークス類が炭素原料とされており、150MPaという非常に高い成形圧が必須となっている。また最近、例えば、特許文献2にみられるように、ピッチを不融化処理して炭素原料とすることも提案されいる。しかしこの方法では、ピッチの不融化処理という複雑な工程を要し、また成形する際も50MPa前後の加圧が必要であり、かつ緻密な複合材は得られておらず、スラリー状での自由な成形も不可能である。
【0007】
更に、炭素/セラミックス複合材の製造において、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を炭素原料とすることも考えられる。熱硬化性樹脂は熱処理による炭素収率が比較的高く、しかも軟化・溶融せずにそのままの形状で炭素材になり得る。しかしながら熱硬化性樹脂は、熱処理時の寸法収縮が極めて大きく、クラックの発生が避けられない。特に肉厚の成形体ではこれが著しく、せいぜい数ミリメートルのものしか得られない。したがって、熱硬化性樹脂をそのまま炭素/セラミックス複合材の炭素原料として用いることはなされていない。
【0008】
例えば、特許文献3に見られるように、炭素系の複合材においてスラリー状として無加圧成形する方法も開示されているが、これはマトリックスが金属であり、従って格段に耐熱性が劣り、炭素/セラミックス複合材の範疇には入らない。
【0009】
【特許文献1】特公平2−7907号公報
【特許文献2】特開2005−8476号公報
【特許文献3】特開2002−69548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
炭素/セラミックス複合材は前述のようにそれなりの利点があり、有効に使用されている。しかしながら、この炭素/セラミックス複合材は、通常は高圧成形により製造されるものであり、従って、自由な形状の物が作りにくく、しかも高硬度のセラミックスを含むため機械加工がし難い難点がある。このため、最終製品の形状まで加工するためには、高コストになってしまうのが現状である。
【0011】
従って、鋳込みやスリップキャスティング等のように任意の形状のものを成形するには多くの制約があり、しかもコストの高い製品となっていた。更に、前述のように、常圧下で複合材を製造する技術も開示されている。しかし、構造体の一部を構成する複合材を製造する材料においては、金属をマトリックスとするもので、複合材の耐熱性において不十分であった。又、樹脂を使用する製造技術においては、特殊用途に開発されており、非金属性の物質として構造物を形成する複合材とはなっていない。構造体の一部を構成するものは耐熱性や高剛性を要求されるので、高密度のある材料であらねばならない。
【0012】
このためどうしても確実にこれらの性質を有する複合材を製造するには高圧を利用するのが一般的である。しかし、このことは前述のとおり、どうしてもそれなりの設備を要することになり高コストになってしまう。本発明の炭素/セラミックス複合材は、硬質炭素を与える熱硬化性樹脂を用いて製造されるため、従来の軟質の炭素/セラミックス複合材に比べて硬質炭素成分を多く含むものである。従って、本発明で製造されたものは硬質の炭素/セラミックス複合材といえるものであり、従来と異なる複合材である。
【0013】
本発明は、前述した技術背景のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。本発明の目的は、生成形体を作成する際に加圧することを必要とせず、しかも均一で高密度の炭素/セラミックス複合材とその製造技術の提供にある。本発明の他の目的は、低コストで製造できる炭素/セラミックス複合材とその製造技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。本発明は、ピッチを不融化処理などの処理をせずともそのまま、特定の配合比の範囲でもってフェノール樹脂、及びセラミックス粉末と同時に混合・粉砕処理して用いれば、緻密な炭素/セラミックス複合材が製造できることを見出したものである。この方法によれば、生成形体を作成する際に高圧を用いず、スラリーのまま鋳型に流し込み、これを乾燥して生成形体として用いることが可能となる。高圧を用いないため生成形体はポーラスであるが、焼成中に大きな焼結・緻密化が起きるため、焼成後、緻密な炭素/セラミックス複合材が得られる。しかも焼成時の形の崩れや発泡も生じない。
【0015】
本発明1の炭素/セラミックス複合材は、ピッチ、熱硬化性樹脂粉末、及びセラミックス粉末を所定量の割合で混合した第1混合物を配合し、この第1混合物に攪拌液を加えて所定時間粉砕・混合した第2混合物をスラリー化し、前記第2混合物を成形し、乾燥して所定温度の高温に保持して焼成して得られたものである。
【0016】
本発明2の炭素/セラミックス複合材は、本発明1の炭素/セラミックス複合材において、前記ピッチは炭素収率80%以上であり、前記熱硬化性樹脂粉末はノボラック型フェノール樹脂粉末であることを特徴とする。
【0017】
本発明3の炭素/セラミックス複合材は、本発明2の炭素/セラミックス複合材において、前記ピッチと前記ノボラック型フェノール樹脂粉末の重量比率が、60:40ないし45:55の範囲であることを特徴とする。このピッチ分を60以上にすると、焼成中に成形体の脹らみが起きる傾向が生じる。これは、ピッチ分からの揮発分が発生するためと推定される。また、ピッチ分が45以下になると、軟化・溶融成分であるピッチが少ないために、焼成による緻密化が進まない。
【0018】
本発明4の炭素/セラミックス複合材は、本発明2の炭素/セラミックス複合材において、前記ピッチ、及び前記ノボラック型フェノール樹脂粉末の第3混合物と、前記セラミックス粉末との体積混合比が、100:0ないし50:50の範囲にあることを特徴とする。このセラミックス粉末の混合量は、セラミックス粉末の混合量が多すぎると緻密化が進まない。
【0019】
本発明5の炭素/セラミックス複合材は、本発明4の炭素/セラミックス複合材において、前記攪拌液は、界面活性剤、消泡剤、及び粘結合剤のそれぞれを5重量%以下含む水であることを特徴とする。
【0020】
本発明6の炭素/セラミックス複合材は、本発明4の炭素/セラミックス複合材において、前記攪拌液は、アルコール類を20重量%以下を含む水であることを特徴とする。
【0021】
本発明7の炭素/セラミックス複合材の製造方法は、ピッチ、熱硬化性樹脂粉末、及びセラミックス粉末を所定量の割合で配合した第1混合物を混合する混合工程と、前記第1混合物に攪拌液を加えて所定時間粉砕・混合した第2混合液をスラリー化するスラリー工程と、前記第2混合物を成形し、乾燥して成形する成形工程と、前記成形し、乾燥した第2混合物を所定温度と時間高温に保持して焼成する工程とからなる。
【0022】
本発明8の炭素/セラミックス複合材の製造方法は、本発明7の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、前記ピッチは炭素収率80%以上のピッチであり、前記熱硬化性樹脂粉末はノボラック型フェノール樹脂粉末であることを特徴とする。
【0023】
本発明9の炭素/セラミックス複合材の製造方法は、本発明8の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、前記ピッチと前記ノボラック型フェノール樹脂粉末との重量比率が、60:40ないし45:55の範囲であることを特徴とする。このピッチ分を60以上にすると、焼成中に成形体の脹らみが起きる傾向が生じる。これは、ピッチ分からの揮発分が発生するためと推定される。また、ピッチ分が45以下になると、軟化・溶融成分であるピッチが少ないために、焼成による緻密化が進まない。
【0024】
本発明10の炭素/セラミックス複合材の製造方法は、本発明8の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、前記ピッチ、及び前記ノボラック型フェノール樹脂粉末の第3混合物、及び前記セラミックス粉末との体積混合比が、100:0ないし50:50の範囲にあることを特徴とする。このセラミックス粉末の混合量は、セラミックス粉末の混合量が多すぎると緻密化が進まない。
【0025】
本発明11の炭素/セラミックス複合材の製造方法は、本発明10の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、前記攪拌液は、界面活性剤、消泡剤、及び粘結合剤のそれぞれを5重量%以下含む水であることを特徴とする。
【0026】
本発明12の炭素/セラミックス複合材の製造方法は、本発明10の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、前記攪拌液は、アルコール類20重量%以下を含む水であることを特徴とする。
【0027】
本発明は、基本的には焼結前の生成形体の作成を常圧下において可能とする複合材の製造技術である。本発明によれば高圧を必要としないので鋳型法や射出成形等により生成形体が作成可能なため、量産が可能である。原料粉末の混合・粉砕過程において、ピッチとセラミックス粒子からなる複合粒子が生成されこれが熱硬化性樹脂と混合されることにより、複合粒子が熱硬化性樹脂で被覆される状態となりスラリー化される。この粒子を主成分として複合材生成の処理がなされる。
【0028】
[ピッチ]
ピッチはどのような種類であってもよいが、紡糸用ピッチ等、炭素収率が通常のものより高いものを使用するのが好ましい。ピッチ類は150〜300℃の範囲で様々な軟化温度を示すが、本発明ではピッチの軟化温度の問題よりも炭素収率が重要であり、できるだけ炭素収率の高いピッチを用いるのが望ましい。
【0029】
[熱硬化性樹脂]
また、熱硬化性樹脂はどのようなものであってもよいが、混合・粉砕処理の媒体として水を用いればコストや取り扱いの面で有利であり、このため熱硬化性樹脂としてはノボラック型フェノール樹脂など粉末状が好ましい。次に、混合・粉砕により生成したスラリーは、鋳型法や射出成形等で金型で成形し、乾燥させる。乾燥後、非酸化雰囲気(不活性ガス等の雰囲気中)で、60〜70℃程度の温度で24時間程度放置すれば成形体中の熱硬化性樹脂が熱硬化を起こし成形体の機械的強度が増すために、その後の取り扱いに有利であるが、この処理は必ずしも必要というわけではない。
【0030】
[焼成]
一次焼成は、成形体中のピッチ及び樹脂を炭素化させるために行うものであるが、この一次焼成過程は、ピッチ及び樹脂からの揮発分が発生するため、緩やかな昇温が必要である。これは10,000℃、好ましくは1,200℃まで昇温するのが良く、この焼成でピッチ及び樹脂からの揮発分はほぼ出尽くし、ピッチ及び樹脂は炭素のみとなる。次に高温焼成であるが、これは複合するセラミックスの種類にもよる。複合材の耐酸化性向上に点でもっとも多く用いられるSiCとBCとの同時複合の場合は、2,100℃前後である。
【0031】
本発明は、以上説明したように高圧成形でなくても常圧で鋳込み等の方法により、複雑形状の部品を製造できる材料である。このため、従来施していた機械加工を少なくすることができ、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上詳記したように、本発明の複合材の製造技術は、ピッチと熱硬化性樹脂及びセラミックス粉末を混合させスラリーを作成する。この混合粉末スラリーを加圧することなく成形し、乾燥、一次焼成、二次焼成を行って高密度の炭素/セラミック数複合材とすることができる。また、製造コストが安価になり、更に量産化の可能な複合材となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を次に示す実施例に代えて説明する。
【実施例1】
【0034】
紡糸用ピッチ(炭素収率86%)、及びノボラック型フェノール樹脂粉末を、55:45の重量比で配合し、この両混合粉末に、更にSiCとBCのモル比1:1の混合粉末を全体に対して体積比40%になるように加えた。これをボールミルにより水中で72時間粉砕・混合した。その際、市販の界面活性剤1%以下、エチレングリコール5%、及びバインダーとしてポリビニルアルコール2%(いずれも重量比)を添加した。得られたスラリーを80×40×20mmの型枠に入れ、2日間放置して乾燥させた。乾燥後、酸化を防ぐためポリ袋にいれて密封し、60℃で1昼夜放置して成形体中のフェノール樹脂を熱効果させた。
【0035】
しかるのち、アルゴン雰囲気中で、昇温速度1℃/minで1,200℃まで昇温し1時間保持した。一次焼成した成形体はさらに黒鉛化炉にて2,100℃で30分焼成した。昇温速度は10℃/minとした。密閉容器に入れ、75℃で24時間放置したところ、ゲル状の生成物が見られた。これを解して濾過し、乾燥器により乾燥させて粉末を得た。得られた炭素/セラミックス複合材は嵩密度1.8g/cmであった。この1.8g/cmという数字は十分高密度であるが、本実験例では、スラリー作成技術が十分でなくスラリー中に泡がみられた。このため、泡を含まない十分なスラリー作成を行えばさらに高密度の複合材が製造可能であると予測できる。
【実施例2】
【0036】
紡糸用ピッチ(炭素収率86%)、及びノボラック型フェノール樹脂粉末を、55:45の重量比で配合し、この混合粉末に更に、SiCとBCのモル比74:26の混合粉末を全体に対して体積比44%になるように加えた。これをボールミルによりエタノールを5〜20重量%を含む水中で96時間粉砕・混合した。得られたスラリーを80×40×20mmの型枠に入れ、乾燥、型抜き後、60℃で6日間放置し、完全に乾燥させた。表1は、原料混合時の水中のエタノール含有量と2,200℃焼結体の気孔率の関係を示したものである。
【0037】
【表1】

【0038】
エタノール含有率が増加するとともに焼成体の気孔率は減少している。しかし、焼成体の嵩密度はエタノール含有量にかかわらずほぼ一定である。このことは、粉砕時にエタノールを含有させることにより、焼成体中の気孔が開気孔から閉気孔になること、言い換えると、焼成体中の粒子間の結合をより強固にし焼成体の機械的強度も増大させることができることを推察させる。エタノール含有量が20重量%では、混合時に試料粉末がボール及びミル壁面に固着し、うまく混合できなかった。
【実施例3】
【0039】
原料は実施例1及び2と同じものを用いた。配合比は、ピッチと樹脂の熱処理に伴う減量を考慮して、熱処理後の最終試料におけるセラミックス成分の割合が表2に示すようになるように計算した。かく配合した混合粉末にエタノールを15重量%含む水を加え、実施例2で用いたボールミルにより72時間粉砕した。得られたスラリーを80×40mmの型枠に流し込み、型抜きと乾燥を行ったのち、1,200℃まで仮焼し、しかる後、タンマン炉ににて2,200℃で一時間熱処理した。
【0040】
表2に、嵩密度、開孔率、反発硬度(ショアー硬度)、曲げ強度を示す。尚、曲げ強度は同一試料から(30×5×1.5mm)の5個の試験片を切り出し、それらの測定値の平均を示した。開孔率の測定は水含浸法によった。原料配合時に、ピッチ分が多いと熱処理時に試料のフクレが見られる。これはセラミックス量が少ない試料において顕著であるが、セラミックス量が多い試料ではピッチ量が多くてもフクレは見られなくなる。またピッチ量が多いほど試料の緻密化は大きい傾向がある。カタログにより市販の炭素/セラミックス複合材と比べると、市販の嵩密度2.1〜2.3g/cmと比べて本発明の嵩密度は小さく開孔率が大きい。しかし、曲げ強度は、市販の物が100〜200Mpaに比べて200Mpaを超えるものもあり、遜色がない。
【0041】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッチ、熱硬化性樹脂粉末、及びセラミックス粉末を所定量の割合で混合した第1混合物を配合し、この第1混合物に攪拌液を加えて所定時間粉砕・混合した第2混合物をスラリー化し、前記第2混合物を成形し、乾燥して所定温度の高温に保持して焼成して得られた炭素/セラミックス複合材。
【請求項2】
請求項1に記載の炭素/セラミックス複合材において、
前記ピッチは炭素収率80%以上であり、前記熱硬化性樹脂粉末はノボラック型フェノール樹脂粉末であることを特徴とする炭素/セラミックス複合材。
【請求項3】
請求項2に記載の炭素/セラミックス複合材において、
前記ピッチと前記ノボラック型フェノール樹脂粉末の重量比率が、60:40ないし45:55の範囲であることを特徴とする炭素/セラミックス複合材。
【請求項4】
請求項2に記載の炭素/セラミックス複合材において、
前記ピッチ、及び前記ノボラック型フェノール樹脂粉末を混合した第3混合物と、前記セラミックス粉末との体積混合比が、100:0ないし50:50の範囲にあることを特徴とする炭素/セラミックス複合材。
【請求項5】
請求項4に記載の炭素/セラミックス複合材において、
前記攪拌液は、界面活性剤、消泡剤、及び粘結合剤のそれぞれを5重量%以下含む水であることを特徴とする炭素/セラミックス複合材。
【請求項6】
請求項4に記載の炭素/セラミックス複合材において、
前記攪拌液は、アルコール類を20重量%以下を含む水であることを特徴とする炭素/セラミックス複合材。
【請求項7】
ピッチ、熱硬化性樹脂粉末、及びセラミックス粉末を所定量の割合で配合した第1混合物を混合する混合工程と、前記第1混合物に攪拌液を加えて所定時間粉砕・混合した第2混合液をスラリー化するスラリー工程と、スラリー化した前記第2混合物を成形し、乾燥して成形する成形工程と、前記成形し、乾燥した第2混合物を所定温度と時間高温に保持して焼成する工程とからなる炭素/セラミックス複合材の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、
前記ピッチは炭素収率80%以上のピッチであり、前記熱硬化性樹脂粉末はノボラック型フェノール樹脂粉末であることを特徴とする炭素/セラミックス複合材の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、
前記ピッチと前記ノボラック型フェノール樹脂粉末との重量比率が、60:40ないし45:55の範囲であることを特徴とする炭素/セラミックス複合材の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、
前記ピッチ、及び前記ノボラック型フェノール樹脂粉末との混合物である第3混合物、及び前記セラミックス粉末との体積混合比が、100:0ないし50:50の範囲にあることを特徴とする炭素/セラミックス複合材の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、
前記攪拌液は、界面活性剤、消泡剤、及び粘結合剤のそれぞれを5重量%以下含む水であることを特徴とする炭素/セラミックス複合材の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の炭素/セラミックス複合材の製造方法において、
前記攪拌液は、アルコール類20重量%以下を含む水であることを特徴とする炭素/セラミックス複合材の製造方法。

【公開番号】特開2006−306714(P2006−306714A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91068(P2006−91068)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】