説明

点字プリンター及びプリンター装置

【課題】 駆動エネルギのピーク値を下げ、駆動エネルギそのものを低減することができる点字プリンターを提供する。
【解決手段】 刻印すべき紙(21)の送り方向と実質的に直交する方向へ配列される複数の刻印ピン(13)と、刻印すべき紙を通過させる空間をはさんで刻印ピンに対向して配置され、刻印ピンに対応する凹部を有する凹部型(15)と、各刻印ピンを刻印可能な状態にし、かつ、刻印可能な状態を解除する作動機構(17)と、凹部型を移動させて刻印ピンに押付力を加える凹部型駆動機構(19)を備える。凹部型駆動機構は、押付の初期に凹部型(15)の長さ方向で異なる大きさの押付力が刻印ピン(13)に加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が刻印ピン(13)に加わるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は刻印すべき紙に点字を構成する凸部を刻印し、凸部の組み合わせによって全体として点字を印字する点字プリンターと、点字に加え、普通字を印刷するプリンター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在一般的に使用されている点字は、縦方向に3点の凸部位置を設けて1行を形成すると共に、この1行と平行に縦方向に3点の凸部位置を設けた別の行を並べ、いわゆる3点2行の配列で1つの文字を構成している。この点字を刻印ピンによって紙に印字するには、3点2行のうち所定の凸部位置を押し出して凸部を刻印し、これら凸部を組み合わせる必要がある。従って、例えば点字プリンターによって横書き32点字を印字しようとする場合、刻印ピンを刻印すべき紙の送り方向に直交するように64個配列する。
【0003】
64個の刻印ピンは刻印すべき紙をはさんで位置する凹部型と共同して、均等高さの凸部を紙に刻印する。均等高さの凸部を紙に刻印する最も一般的な方法は、例えば凹部型をその全長にわたって同時的に刻印ピンに押し付けることである。しかしこのようにすると、最大で64個の刻印ピンを同時的に刻印するのに要する瞬間的に大きな駆動エネルギが不可欠となる。そこで、特許文献1に記載された点字プリンターでは、刻印ピンに対向して配置される凹部型の下方に配置したカム軸の両端に、凹部型の下面に当接するカムを取り付けている。両端にあるカムの輪郭は、一方のカムが凹部型の下面に当接して所定の角度回転する間、当該カムに対応する凹部型の部分が刻印ピンに向けて一定の押付力を及ぼし、他方のカムが前記所定の角度回転する間、当該他方のカムに対応する凹部型の部分が刻印ピンに向けて、前記一定の押付力となるまで連続的に増大する押付力を及ぼすように形成されている。
【0004】
ところで、特許文献2には、同一紙の表裏それぞれに点字印刷をするための点字プリンターが記載されている。
【0005】
【特許文献1】実公平7―37874号公報
【特許文献2】特公平7―80323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示された点字プリンターは、2つのカムを使用して、全体の刻印ピンに及ぼされる押付力が連続的に増大するように定め、瞬間的に要する大きな駆動エネルギのピーク値を下げ、併せて駆動エネルギそのものの低減を図っている。ところが、2つのカムのカム面を製作するのが比較的煩雑である。
【0007】
一方、例えば普通字の読解ができる人の間では、点字を修得しようとする潜在的な要請がある。ところが、特許文献2に開示された点字プリンターでは、上記要請に応えることができない。この要請に応えるためには、点字用プリンターの他に、普通字用プリンターを用意する必要があった。この場合、各々のプリンターの間で紙を移さなければならず、たいへん煩雑であった。
【0008】
発明者らは、刻印ピンと凹部型との間に働く押付力が段階的に変わる場合でも、駆動エネルギのピーク値を下げ、駆動エネルギそのものを低減することができるとの観点から種種検討を行い、この発明を開発した。また、この発明は、点字を印字した紙を別の印刷装置に移すことなく、又は普通字を印刷した紙を別の点字プリンターに移すことなく、点字を印字すると共に任意的に普通字を印刷できるプリンター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するためにこの発明は、次の構成を備え、作用効果を奏する。なお、何れかの請求項記載の発明の構成等を説明するに当って行う用語の定義等は、その性質状可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用があるものとする。
【0010】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の点字プリンターは、複数の刻印ピンと、当該刻印ピンに対応する凹部を有する凹部型と、前記各刻印ピンを刻印可能な状態にし、かつ、刻印可能な状態を解除する作動機構と、凹部型駆動機構とを備える。前記複数の刻印ピンは、刻印すべき紙の送り方向と実質的に直交する方向へ配列され、各刻印ピンが刻印先端及び押付端を有する。前記凹部型は、刻印すべき紙を通過させる空間をはさんで前記刻印ピンに対向して配置され、前記刻印ピンに向けて、また前記刻印ピンから離れるように移動可能である。前記作動機構は、進出退出可能であり、進出位置にあるとき前記各刻印ピンの前記押付端に接触する膨大部を有するスライダと、当該スライダが進出位置にあるとき前記押付端とは反対側で前記スライダの膨大部に接触する反力受け部材と、前記スライダを進出位置に向けて進出させるセット手段と、前記スライダを退出位置に向けて退出させるリセット手段とを有する。前記凹部型駆動機構は、前記凹部型から間隔をおいて固定的に配置される案内部材と、当該案内部材に案内されて往復動きする移動部材であって前記案内部材及び前記凹部型に接触する複数の転がり手段を有し、当該転がり手段を介して前記凹部型に前記刻印ピンに向く押付力を加える移動部材と、当該移動部材を往復動きさせる駆動手段とを有し、前記転がり手段と前記案内部材は、押付の初期に凹部型の長さ方向で異なる大きさの押付力が前記刻印ピンに加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が前記刻印ピンに加わるように形成されている。
【0011】
複数の刻印ピンは、横書き32点字の印字には64個必要であるが、それ以外の、例えば横書き25点字や40点字の印字にはそれぞれ50個及び80個必要となる。また、縦書き点字の印字が必要な場合、縦書きでは3点2行で構成される点字の刻印に当って、各行を横に並べて刻印する、いわゆる横打ち縦書きとするのが刻印すべき紙の送り方向との兼合いから便宜である。従って、縦書き点字では、20点字の場合60個の刻印ピンが必要であり、30点字の場合90個の刻印ピンが必要である。そこで、予想される最大の点字数と、横書き又は縦書きを考慮して全体の刻印ピン数を定めることができる。
【0012】
前記刻印ピンと前記凹部型とは、刻印すべき紙をはさんで上方に刻印ピンを、下方に凹部型を配置することができ、さらに上方に凹部型を、下方に刻印ピンを配置することができる。何れの態様であっても、凹部型が刻印ピンに向けて移動する態様とすることによって、相当数の刻印ピンを凹部型に向けて移動する態様よりも構造の簡単化を図りうる。前記スライダの膨大部は刻印ピンの押付端に接触するとき、反力受け部材と相俟って刻印ピンが刻印可能な状態にするが、スライダの膨大部以外の部分が刻印ピンに対向位置していても、刻印ピンは刻印することができない。このように、スライダと刻印ピンには自由度をもたせることができる。前記反力受け部材は、刻印ピンと凹部型の配置に応じて刻印ピンの上方か、又は下方に配置すればよいが、反力受け部材そのものは上下方向の位置調節可能とし、刻印ピンによる紙への凸部高さを調節することが好ましい。前記凹部型駆動機構の駆動手段はカムを利用した構造やクランク構造とすることができる。
【0013】
請求項1記載の点字プリンターによれば、凹部型駆動機構の転がり手段と案内部材は、押付の初期に凹部型の長さ方向で異なる大きさの押付力が刻印ピンに加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が刻印ピンに加わるように形成されている。従って、終期に加わる押付力によって所定の刻印がなされるようにその押付力を設定しておけば、刻印ピンによる均一な凸部の形成が可能である。また、押付の初期には凹部型の長さ方向で異なる押付力が加わることから、例えば凹部型の右側部と左側部とでは押付力の大きさが異なり、押付力が段階的に変わって終期の押付力となる。これによって、全ての刻印ピンに同時的に押付力を加える場合と比べて駆動エネルギのピーク値を下げることができ、駆動エネルギそのものを低減するも可能である。
【0014】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の点字プリンターは、請求項1記載の点字プリンターの特徴に加えて、前記刻印ピンは、刻印すべき紙の上方に位置し、前記凹部型は刻印すべき紙の下方に位置する特徴を有する。
【0015】
刻印ピンが刻印すべき紙の上方に位置する場合、反力受け部材は、刻印ピンの押付端とは反対側でスライダの膨大部と接触することから、刻印ピンの上方に位置する。刻印ピンは自由な状態でピン支え板によって保持することができる。一方、凹部型は重力で移動部材及び転がり手段に載り、移動部材は重力で案内部材に載る。凹部型は左右の振れを防ぐため、拘束した状態で移動つまり昇降させることが好ましい。
【0016】
請求項2記載の点字プリンターによれば、自由な状態にある刻印ピンは重力で下方へ動き、刻印ピンがピン支え板と係合するとき静止位置をとる。その結果、刻印ピンの押付端と反力受け部材との間にスライダのためのすき間を作り易く、スライダの円滑な進出を図ることができる。また、凹部型駆動機構の移動部材が重力で案内部材に載り、凹部型が重力で移動部材に載る形態となるため、移動部材及び凹部型の支持が簡単であり、凹部型を刻印ピンから確実に引き離すことができる。
【0017】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の点字プリンターは、請求項2記載の点字プリンターの特徴に加えて、前記案内部材は、前記転がり手段が係合する平坦な面と、当該平坦な面から凹んだ前記転がり手段と同数の、転がり手段が嵌まる凹部とを備え、当該複数の凹部は、前記移動部材の移動方向に向けて上向きとなる傾斜面であって少なくとも2つの凹部にある傾斜面の傾斜角度が異なるように形成された傾斜面を有する特徴を備える。
【0018】
案内部材の転がり手段が係合する平坦な面は、転がり手段がこの面に載ったとき、凹部型に加わり、刻印ピンに及ぼされるべき所定の押付力を与える。凹部の傾斜面は、往復動きする移動部材の往動きのとき転がり手段が載りあげる態様することができ、また移動部材の復動きのとき転がり手段が載りあげる態様とすることができる。何れの態様でも転がり手段が傾斜面に載り上げると、凹部型から刻印ピンに押付力が及ぼされるように寸法を定める。凹部は2つ以上設けるが、少なくとも2つの凹部にある傾斜面の傾斜角度は互いに異なるように形成する。残る凹部の傾斜面の傾斜角度は前記少なくとも2つの凹部の傾斜面の傾斜角度と同じであっても、異なっていてもよい。異なる場合には残る凹部の傾斜面の傾斜角度は、前記少なくとも2つの傾斜面の傾斜角度範囲内に収まるようにする。
【0019】
請求項3記載の点字プリンターによれば、移動部材の移動につれて転がり手段が凹部の傾斜面に載りあげるところ、少なくとも2つの凹部では傾斜面の傾斜角度が異なるため、一つの転がり手段に対応する凹部型の部分から刻印ピンに加わる押付力は、別の転がり手段に対応する凹部型の部分から刻印ピンに加わる押付力とは異なる。この場合、傾斜角度の小さい傾斜面に載りあげた転がり手段から及ぼされる押付力は、傾斜角度の大きい傾斜面に載り上げた転がり手段から及ぼされる押付力よりも小さい。このようにして、転がり手段が案内部材の平坦な面に載りあげるまでに、刻印ピンには段階的な押付力が及ぼされる。
【0020】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の点字プリンターは、請求項3記載の点字プリンターの特徴に加えて、前記各転がり手段は、前記移動部材に転がり可能に支持され、上下に配列された偶数のベアリング、ローラ又は球体等の回転体からなる特徴を備える。
【0021】
各転がり手段は上下に配列され、互いに接する偶数のベアリング、偶数のローラ又は偶数の球体のような偶数の回転体によって形成しうる。偶数の回転体の一部は移動部材の上面から上方へ、また下面から下方へわずかに突出するように移動部材に支持される。各転がり手段の回転体は、例えば2個であることが好ましい。
【0022】
請求項4記載の点字プリンターによれば、各転がり手段が偶数の回転体からなるため、移動部材の移動につれて回転体と案内部材、回転体と凹部型の接触により回転体が回転するところ、その回転向きが摩擦を生じない向きとなり、滑らかな作動が確保される。
【0023】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の点字プリンターは、請求項3又は4記載の点字プリンターの特徴に加えて、前記スライダは、刻印すべき紙の送り方向と実質的に同じ方向へ進退する特徴を備える。
【0024】
前記スライダは、紙の送り方向に進出し、かつ退出する。この場合、紙の送りと同じ向きに進出し、逆向きに退出するか、又は紙の送りとは逆向きに進出し、同じ向きに退出する態様とすることができる。
【0025】
請求項5記載の点字プリンターによれば、スライダの進退方向が刻印すべき紙の送り方向と同じであるため、紙送りのための案内部と実質的に平行にスライダの案内部を設けることができる。これによって、点字プリンターが占める空間を小さくし、点字プリンターの小型化を図ることができる。
【0026】
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の点字プリンターは、請求項5記載の点字プリンターの特徴に加えて、前記スライダは前記膨大部から間隔をおいた鉄心を有し、前記セット手段は前記鉄心と、当該鉄心を取り囲むソレノイドとを備える特徴を有する。
【0027】
スライダはプラスチック、アルミのような非磁性材で形成する他、鋼のような磁性材で形成することができる。スライダを非磁性材で形成する場合、磁性材からなる鉄心をスライダに固着する。
【0028】
請求項6記載の点字プリンターによれば、スライダが鉄心を有し、この鉄心をソレノイドで取り囲んでセット手段が形成されているため、セット手段を簡単な構造とすることができる。点字プリンターでは刻印ピンに相当する数のスライダと各スライダのセット手段が必要であることから、セット手段が簡単な構造であれば、点字プリンター全体を簡単な構造とすることが容易である。
【0029】
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の点字プリンターは、請求項6の点字プリンターの特徴に加えて、 前記リセット手段は、前記複数のスライダ先端に突き当たり、スライダを退出させる揺動可能なリセット板と、当該リセット板を揺動させるカムとを備える特徴を有する。
【0030】
カムの動きは前記移動部材の往復動きと同期させることが好ましい。この場合、移動部材の1回の往復動きのうち、往動きのとき刻印ピンによる刻印を達成し、復動きのときカムによるリセット板の揺動を行わせ、スライダを退出させる。
【0031】
請求項7記載の点字プリンターによれば、全スライダを単一のリセット板によって同時に退出させることができるため、効率よい退出が可能である。セット手段を鉄心とソレノイドで形成する場合、鉄心が非励磁となったときコイルばねその他のばねによって鉄心を当初の位置、つまり退出位置に戻すことが考えられる。ところが、点字プリンターではセット手段が刻印ピンに相当する数だけあるため、各セット手段にばねを配置すると、点字プリンターの小型化の障害となる。請求項7記載の点字プリンターによれば、ばねを設ける必要がないことから、点字プリンターの小型化、軽量化を図ることが容易である。
【0032】
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の点字プリンターは、請求項3記載の点字プリンターの特徴に加えて、前記駆動手段は、カム面及びカム面とは反対側の平坦面を有し、前記カム面を前記移動部材に対面させて固定部材に回転可能に支持される円板カムと、当該円板カムを回転する駆動源と、前記移動部材に回転可能に支持され、当該円板カムの前記カム面に接触する可動ベアリングと、固定部材に回転可能に支持され、前記円板カムの前記平坦面に接触する固定ベアリングと、前記移動部材を前記円板カムに向けて偏倚するばねとを備える特徴を有する。
【0033】
円板カムのカム面は、円板カムの1回転で移動部材に1回の往復動きをさせることができる凸面を有する。固定部材は前記案内部材と共に、基盤上に固定的に設ける。駆動源は円板カムを回転すると共に、前記リセット手段を駆動する駆動源を兼ねることができる。
【0034】
請求項8記載の点字プリンターによれば、円板カムの回転によって移動部材を往復動きさせるため、比較的簡単な構造にすることができる。転がり手段が案内部材の凹部に嵌まり、傾斜面に載り上げることから、移動部材は案内部材に対して斜めの状態で移動するが、可動ベアリング及び固定ベアリングで移動部材を支えつつ、円板カムで移動部材を駆動することにより、移動部材が斜めになっても駆動に支障は及ぼされない。
【0035】
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載のプリンター装置は、刻印すべき紙の送り方向と実質的に直交する方向へ配列される複数の刻印ピンと、刻印すべき紙を通過させる空間をはさんで前記刻印ピンに対向して配置され、前記刻印ピンに対応する凹部を有する凹部型と、前記各刻印ピンを刻印可能な状態にし、かつ、刻印可能な状態を解除する作動機構と、前記凹部型を移動させて前記刻印ピンに押付力を加える凹部型駆動機構であって、押付の初期に凹部型の長さ方向で異なる大きさの押付力が前記刻印ピンに加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が前記刻印ピンに加わるように形成された凹部型駆動機構と、を備える点字プリンターと、当該点字プリンターの入口側に配置され、刻印すべき紙に普通字を印刷する普通字プリンターと、を備える。
【0036】
普通字プリンターは紙の送り方向で点字プリンターの上流側、すなわち入口側に配置する。これは、普通字プリンターによる普通字の印刷の後に点字プリンターによる点字の印字を行えば、印字が全く支障なく行われるところ、逆にすると、印字した点字が普通字プリンターを通す間に潰れてしまうからである。普通字プリンターは市販されているものでよく、インクジェット方式であるかインクリボン方式であるか、さらに、これら以外の方式であるかを問わず使用できる。普通字プリンターは点字が印字された面と同じ面に普通字を印刷するように配置する他、点字が印字された面とは逆の面に普通字を印刷するように配置することができる。
【0037】
請求項9記載のプリンター装置によれば、刻印すべき紙を移し代えることなく、点字に加えて普通字を点字と同一の紙に印刷できる。これによって、点字を修得しようとする人や、普通字を見て点字で書かれた資料を整理しようとする人などに寄与できる。また、点字プリンターと普通字プリンターを併用しているため、紙の1回の送り操作で点字の印字と普通字の印刷が可能であり、普通字を印刷した後、印刷した紙を点字プリンターに通して点字を印字するような煩雑な操作が不要である。
【0038】
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載のプリンター装置では、前記刻印ピンは刻印先端及び押付端を有し、前記凹部型は前記刻印ピンに向けて、また前記刻印ピンから離れるように移動可能であり、前記作動機構は、進出退出可能であり、進出位置にあるとき前記各刻印ピンの前記押付端に接触する膨大部を有するスライダと、当該スライダが進出位置にあるとき前記押付端とは反対側で前記スライダの膨大部に接触する反力受け部材と、前記スライダを進出位置に向けて進出させるセット手段と、前記スライダを退出位置に向けて退出させるリセット手段とを有し、前記凹部型駆動機構は、前記凹部型から間隔をおいて固定的に配置される案内部材と、当該案内部材に案内されて往復動きする移動部材であって前記案内部材及び前記凹部型に接触する複数の転がり手段を有し、当該転がり手段を介して前記凹部型に前記刻印ピンに向く押付力を加える移動部材と、当該移動部材を往復動きさせる駆動手段とを有し、前記転がり手段と前記案内部材は、押付の初期に凹部型の長さ方向で異なる大きさの押付力が前記刻印ピンに加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が前記刻印ピンに加わるように形成されている。
【0039】
請求項10記載のプリンター装置によれば、駆動エネルギのピーク値を下げ、駆動エネルギを低減できる点字プリンターを使用して、点字すべき紙に普通字を何らの煩わしさなしに印刷できる。
【発明の効果】
【0040】
この発明によれば、駆動エネルギのピーク値を下げ、ひいては駆動エネルギを低減できる点字プリンターをうることができる。また、点字すべき紙に普通字を印刷できるプリンター装置をうることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、図面を参照して発明を詳細に説明する。図中、図1は点字プリンターの左側面図、図2は点字プリンターの正面図、図3は点字プリンターの平面図、図4は点字プリンターを省略して示すプリンター装置を示す図である。
【0042】
(点字プリンターの概略構造)
点字プリンター11は複数の刻印ピン13と、刻印ピン13に対応する凹部を有する凹部型15と、各刻印ピン13を刻印可能な状態にし、かつ、刻印可能な状態を解除する作動機構17と、凹部型駆動機構19とを備える。刻印すべき紙21は矢印Aのように送られ、刻印ピン13と凹部型15の共同によって3点2行の凸部位置のうち、コンピュータからの点字制御信号に基づく凸部位置に凸部を刻印する。この制御自体は公知である。刻印ピン13は刻印すべき紙21をはさんで上方に、凹部型15は刻印すべき紙21をはさんで下方に配置されている。
【0043】
(刻印ピンの構造)
複数の刻印ピン13は、刻印すべき紙21の送り方向Aと実質的に直交する方向Bへ配列され、各刻印13ピンが刻印先端14a及び押付端14bを有する。
刻印ピン13は全体として円筒状の径大部と径小部からなる。刻印先端14aは径小部の先端にあり、径大部の端が押付端14bとなっている。所定数、例えば64個の刻印ピン13の径小部をピン支え板23に設けた孔に差し込む。そうすると、刻印ピン13は重力で下方へ動き、刻印ピン13の径大部の肩がピン支え板23と係合するとき静止位置をとる。ピン支え板23は図2において左右の側部で適宜固定材に支持されている。この発明では、後述するように、凹部型15が移動可能であるため、ピン支え板23は固定的に配置する。ピン支え板23は複数の刻印ピン13を支持すると共に、刻印すべき紙21を案内する機能を果たすもので、入口24aが上方に向けて開いている。
【0044】
(凹部型の構造)
凹部型15は、刻印すべき紙21を通過させる空間25をはさんで刻印ピン13に対向して配置され、刻印ピン13に向けて、また刻印ピン13から離れるように移動可能である。凹部型15は複数の刻印ピン13に対応する、刻印ピン13と同数の凹部16aを刻印ピン13に対面する上面16bに有する。各刻印ピン13が刻印すべき紙21を介在して各凹部16aに嵌まり、紙21に凸部を押し出す。凹部型15は反力受け部材27から垂下した左右一対のロッド28(図2では左のものを示す)で上下方向へ移動可能に支持され、凹部型15が前後左右に傾くのが防止されている。
【0045】
(作動機構の構造)
作動機構17は、進出退出可能であり、進出位置にあるとき各刻印ピン13の押付端14bに接触する膨大部30aを有するスライダ29と、スライダ29が進出位置にあるとき刻印ピン13の押付端14bとは反対側でスライダの膨大部30aに接触する反力受け部材27と、スライダ29を進出位置に向けて進出させるセット手段31と、スライダ29を退出位置に向けて退出させるリセット手段33とを有する。
【0046】
スライダ29は、膨大部30aが刻印ピン13の押付端14bに接触するとき、膨大部30aが同時に接触する反力受け部材27と相俟って刻印ピン13が刻印するが、スライダ29の膨大部30a以外の部分30bが図1のように刻印ピン13に対向位置していても、刻印ピン13が刻印することができないように形成されている。換言すると、スライダ29が退出位置にあるとき、凹部型15が後述するように上向きに押し上げられ、それによって刻印ピン13が上向きに移動しても、刻印ピン13の押付端14bとスライダ29の部分30bとの間にはすき間が存在することから、そのすき間が埋まるまでは刻印ピン13には実質的に押付力が加わらない。そして、すき間が埋まり、刻印ピン13の押付端14bがスライダ29の部分30bに実質的に接触するとき、又は接触する寸前に凹部型15の上向き移動が上限に達するように各部の寸法を定めておく。このようにして、スライダ29と刻印ピン13に自由度をもたせることができる。スライダ29は刻印ピン13と同数が図3に示すように、刻印すべき紙21の送り方向Aと直交する方向Bに配列され、紙21の送り方向と同じ方向へ進出退出する。各スライダ29の膨大部30aが滑り可能であるが、横ぶれが生じない大きさの適当長さの孔をスライダ29と同数持つケース(図示を省略)を別途用意してもよい。ケースを設けたなら、そのケースは反力受け部材27に固定するのが便利であり、固定したケースに前記孔にスライダの膨大部30aを差し込んでスライダ29を支持させるようにするとよい。
【0047】
刻印ピン13の上方に配置してある反力受け部材27は、スライダ29の膨大部30aと接触する当接部27aを下面に有する。当接部27aはスライダ29の進入を容易、かつ、確実にするためその入口に上向きの面取りを有する。反力受け部材27は全ての刻印ピン13の上方に位置するように、図2のB方向へ配置する。図2に示す実施例では、反力受け部材27の両側部(図2には左側部を示す)には断面正方形の摺動部27bを設けてあり、この摺動部27bは支持部材35に設けた長孔35aから突出させてある。摺動部27bは長孔35aに上下に摺動可能、かつ、回転不可能に支持されている。ケーシング35bに配置したコイルばね35cを摺動部27bの下側に配置してケーシング35bを支持部材35に固定し、摺動部27bを上向きに偏倚する。支持部材35は適宜基盤36に固定する。一方、調節機構37を支持部材35に取り付ける。調節機構37は円筒材38aと、円筒材38aに偏心的に固定した回転軸38bとからなり、カム機構を形成している。回転軸38bが一部を支持部材35から突出して支持部材35に回転可能に取り付けられている。回転軸38bの工具係合部38cにスパナのような工具を係合して回転軸38bを回転すると、反力受け部材27がコイルばね35cのばね力に抗して下方へ動き、当接部27aとスライダ29との間の距離が変わり、刻印ピン13による紙への凸部高さを調節することができる。反力受け部材27は硬質樹脂などによって中空体に形成することができる。
【0048】
セット手段31は、スライダ29の膨大部30aから間隔をおいた鉄心32aと、鉄心32aを取り囲むソレノイド32bとを備える。図示の実施例では、スライダ29の本体はプラスチックで形成してあり、鋼製の鉄心32aをスライダ29の本体に固着している。ソレノイド32bは図示しないコードによって電源に接続される。セット手段31は、前述の鉄心32aとソレノイド32bとの組合せによる電磁作動タイプとする他、スライダ29の本体端部を円形断面に形成すると共に、この本体端部をシリンダ内に摺動可能に配置してプランジャとし、空気圧によってスライダ29を進出位置に移動させる、流体作動タイプとすることもできる。後者の場合、スライダ29の退出位置への復帰は、シリンダに設ける逃し孔を経て空気を排出させるようにして行う。
【0049】
リセット手段33は、複数のスライダ29の先端30cに突き当たり、スライダ29を退出させる揺動可能なリセット板34aと、リセット板34aを揺動させるカム34bとを備える。リセット板34aは揺動軸34cに固着され、揺動軸34cは支持部材35に揺動可能に支持される。カム34bは円筒材と円筒材に偏心的に固着された回転軸34dとからなる。回転軸34dは支持部材35に回転可能に支持されている。リセット板34aはコイルばね34eによってカム34bに向けて偏倚されている。リセット板34aは回転軸34dの1回転で揺動して1回往復する。図示の実施例では、カム34bは後述する移動部材の往復動きと同期して動かされる。
【0050】
(凹部型駆動機構の構造)
凹部型駆動機構19は、凹部型15から間隔をおいて固定的に配置される案内部材39と、案内部材39に案内されて往復動きする移動部材41と、移動部材41を往復動きさせる駆動手段43とを備える。
【0051】
案内部材39は基盤36上に固定され、凹部型15と平行に配置されている。案内部材39は上面に平坦な面40aと、平坦な面40aから凹んだ複数の凹部とを備える。複数の凹部は、移動部材41の移動方向Bに向けて上向きとなる傾斜面を有する。図2に示した実施例では、3つの凹部40b1,40b2,40b3を有し、各凹部は平坦な底面から斜めに立ちあがっている傾斜面40c1,40c2,40c3をそれぞれ有する。凹部40b1は1つの傾斜面40c1を有するが、別の凹部40b2,40b3はそれぞれ2つの傾斜面40c2,40c3を有する。傾斜面は、少なくとも2つの凹部にある傾斜面の傾斜角度が異なるように形成される必要がある。図示の実施例では、3つの傾斜面40c1,40c2,40c3の傾斜角度は異なり、40c1<40c2<40c3の関係にある。
【0052】
移動部材41は凹部と同数、したがって、図示の実施例では3つの転がり手段42aを備え、各転がり手段42aは2つのベアリング42bを有する。これら2つのベアリング42bは、互いに外接し、かつ、ベアリングの一部が上方のベアリング42bでは上方へ、下方のベアリング42bでは下方へ突出するように移動部材41に回転可能に支持されている。上方へ突出するベアリング42bは凹部型15の下面に接触し、下方へ突出するベアリング42bは、移動部材41が復動きしたときその終点で案内部材39の凹部40b1,40b2,40b3に嵌まる。
【0053】
案内部材39と転がり手段42aは、押付の初期に凹部型15の長さ方向で異なる大きさの押付力が刻印ピン13に加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が前記刻印ピンに加わるように形成されている。具体的には、案内部材39の凹部40b1,40b2,40b3と移動部材41の転がり手段42aは次のように機能する。すなわち、移動部材41が図2の位置から右方へ移動を開始したとき、各転がり手段42aのベアリング42bが傾斜面40c1,40c2,40c3に載り上げる。この載り上げにより、転がり手段42aを介して凹部型15に刻印ピン13に向く押付力が加わる。そして、各凹部にある転がり手段42aが案内部材39の平坦な面40aに載り上げたとき、刻印ピン13に向く押付力が刻印ピン13の刻印に必要な押付力となる。このような設定と、傾斜面の傾斜角度が異なる構成によって、例えば、傾斜角度が小さい傾斜面40c1に転がり手段42aが載り上げた移動部材41の部位に対応する刻印ピン13への押付力は、傾斜角度が大きい傾斜面40c3に転がり手段42aが載り上げた移動部材41の部位に対応する刻印ピン13への押付力よりも小さい。この場合、中間の傾斜面40c2に転がり手段42aが載り上げた移動部材41の部位に対応する刻印ピン13への押付力は前記2つの押付力の実質的に中間となる。
【0054】
駆動手段43は凹部型15を刻印ピン13に向けて移動するものであり、円板カム45と、円板カム45を回転する駆動源47と、移動部材41に回転可能に支持され、移動部材41と共に移動する可動ベアリング49と、固定部材53に回転可能に支持される固定ベアリング55と、ばね57とを備える。円板カム45はカム面46a及びカム面46aとは反対側の平坦面46bを有し、カム面46aを移動部材41に対面させて固定部材53に回転可能に支持されている。固定部材53は支持部材35に固定されている。
【0055】
駆動源47は電動機48aと、プーリ48b,48c及びベルト48dとからなり、プーリ48bを電動機48aの出力軸に回転不可能に連結した第1段の減速機構と、プーリ48e,48f及びベルト48gからなり、プーリ48e,48cを軸48hに回転不可能に連結した第2段の減速機構とを備える。軸48hは支持部材35に回転可能に支持されている。プーリ48fが回転軸46cに回転不可能に連結され、円板カム45が回転軸46cに回転不可能に連結されている。回転軸46cは固定部材53と支持部材35に回転可能に支持されている。その結果、円板カム45は電動機48aによって回転される。
【0056】
可動ベアリング49及び固定ベアリング55は図3に示すように、移動部材41の中央延長上で円板カム45の周縁と接触する。円板カム45のカム面46aは半回転でストロークS(図2)に相当する距離だけ移動部材41を移動させる。ストロークSはカム面46aを図2に示すように傾斜面にすることによって得られる。カム面46aの傾斜面は、円板の直径上にある2点のうち一方を下死点とし、他方を上死点として下死点から上死点まで円板の周縁に沿ってストロークSに相当する距離次第に高くし、次いで上死点から下死点まで次第に低くする面を作ることによって得られる。ストロークSによって移動部材41にある転がり手段42aが案内部材39の凹部40b1,40b2,40b3から傾斜面40c1,40c2,40c3に載り上げ、さらに平坦な面40aに載り上げる。その後の半回転では、転がり手段42aは平坦な面40aから傾斜面40c1,40c2,40c3に載り、凹部40b1,40b2,40b3に戻る。ばね57が移動部材41と支持部材35との間に張り渡され、移動部材41を円板カム45に向けて偏倚している。その結果、可動ベアリング49は常に円板カム45のカム面46aと接触する。固定ベアリング55は円板カム45の平坦面46bに接触し、円板カム45の振れを防止する。
【0057】
(移動部材とリセット手段の同期構造)
図示の実施例では駆動源47は円板カム45を回転して移動部材41を移動させる共に、リセット手段33を駆動する駆動源を兼ねている。タイミングプーリ34fが円板カム45の回転軸46cに、タイミングプーリ34gがカム34bの回転軸34dにそれぞれ回転不可能に連結され、タイミングベルト34hで相互に連結されている。タイミングプーリ34f,34gは同径であり、回転軸46c,34dは同期して回転する。この場合、移動部材41の1往復でカム34bが1回転することから、移動部材41の復動きのとき、カム34bがリセット板34aを押し出すように位置決めする。
【0058】
(プリンター装置の構造)
図4に示すプリンター装置61は点字プリンター11と、普通字プリンター63とを備える。点字プリンター11は既に説明したので、ここでは普通字プリンター63について説明する。普通字プリンター63は紙21の送り方向Aに関して点字プリンター11の上流側、つまり入口側に配置する。普通字プリンター63は熱転写タイプであり、転写リボン64を巻き込んだボビン65と,転写済みのリボンを巻き込むボビン66と、印刷ヘッド67と、押付ローラ68とを備える。リボン送り電動機69の出力軸に固定されたプーリ69aと中間プーリ70にベルト71を張り渡し、一方中間プーリ70と一体の減速段側のプーリ70aとボビン66に固定したプーリ66aにベルト72を張り渡し、電動機69によってボビン66を回転すると、転写リボン64が引き出され、印刷ヘッド67と押付ローラ68との共同により普通字が紙21に印刷される。印刷ヘッド67はヘッド支え73に取り付けられ、ヘッド支え73は枢軸73aの回りを回転する。正逆回転するヘッド上下電動機74の出力軸に固定した歯車74aと上下ロッド75の枢軸75aに固定した歯車75bをかみ合せ、ヘッド上下電動機74を正回転すると、上下ロッド75が上方へ回転し、ヘッド支え73を上方に回転させる。この状態では印刷ヘッド67が押付ローラ68から離れて印刷が不可能になる。この状態からヘッド上下電動機74を逆回転すると、上下ロッド75が下方へ回転し、ヘッド支え73を下方に回転させて印刷ヘッド67を押付ローラ68に対向させ、これによって、印刷が可能になる。
【0059】
普通字を印刷するか否かはプリンター装置のコンソール76に設けるスイッチ77によって指令を出す。普通字を印刷する場合、点字の印字から何センチ離れて印刷を開始するかを距離設定器78で設定する。コンピュータ79は普通字の印刷有無を判断し、印刷有りの場合、点字プリンター11のセット手段によるスライダのセット状態を確認する。セット手段によって全てのスライダが非セットの状態、つまりリセット状態に保たれたとき、点字プリンター11による印字が終わったと判断する。一方、距離設定器78で設定した距離を、普通字プリンター63の印刷ヘッド67から所定の位置に配置したセンサ80を紙の先端が通過してからの時間と紙の送り速度から演算し、所定距離に達したとき、印刷ヘッド67を下げて押圧ローラ68と対向させ、普通字を印刷する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】点字プリンターの左側面図である。
【図2】点字プリンターの正面図である。
【図3】点字プリンターの平面図である。
【図4】点字プリンターを省略して示すプリンター装置を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
11 点字プリンター
13 刻印ピン
14a 刻印先端
14b 押付端
15 凹部型
16a 凹部
16b 上面
17 作動機構
19 凹部型駆動機構
21 紙
23 ピン支え板
24a 入口
25 空間
27 反力受け部材
27a 当接部
27b 摺動部
28 ロッド
29 スライダ
30a 膨大部
30b スライダの部分
30c 先端
31 セット手段
32a 鉄心
32b ソレノイド
33 リセット手段
34a リセット板
34b カム
34c 揺動軸
34d 回転軸
34e コイルばね
34f タイミングプーリ
34g タイミングプーリ
34h タイミングベルト
35 支持部材
35a 長孔
35b ケーシング
35c コイルばね
36 基盤
37 調節機構
38a 円筒材
38b 回転軸
38c 工具係合部
39 案内部材
40 平坦な面
40b1,40b2,40b3 凹部
40c1,40c2,40c3 傾斜面
41 移動部材
42a 転がり手段
42b ベアリング
43 駆動手段
45 円板カム
46a カム面
46b 平坦面
46c 回転軸
47 駆動源
48a 電動機
48b,48c,48e,48f プーリ
48d,48g ベルト
48h 軸
49 可動ベアリング
53 固定部材
55 固定ベアリング
57 ばね
61 プリンター装置
63 普通字プリンター
64 転写リボン
65,66 ボビン
66a プーリ
67 印刷ヘッド
68 押付ローラ
69 リボン送り電動機
70 中間プーリ
70a プーリ
71,72 ベルト
73 ヘッド支え
73a 枢軸
74 ヘッド上下電動機
74a 歯車
75 上下ロッド
75a 枢軸
75b 歯車
76 コンソール
77 スイッチ
78 距離設定器
79 コンピュータ
80 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刻印すべき紙の送り方向と実質的に直交する方向へ配列される、刻印先端及び押付端を有する複数の刻印ピンと、
刻印すべき紙を通過させる空間をはさんで前記刻印ピンに対向して配置される凹部型であって、前記刻印ピンに対応する凹部を有し、前記刻印ピンに向けて、また前記刻印ピンから離れるように移動可能な凹部型と、
前記各刻印ピンを刻印可能な状態にし、かつ、刻印可能な状態を解除する作動機構であって、進出退出可能であり、進出位置にあるとき前記各刻印ピンの前記押付端に接触する膨大部を有するスライダと、当該スライダが進出位置にあるとき前記押付端とは反対側で前記スライダの膨大部に接触する反力受け部材と、前記スライダを進出位置に向けて進出させるセット手段と、前記スライダを退出位置に向けて退出させるリセット手段とを有する作動機構と、
前記凹部型を移動させる凹部型駆動機構であって、前記凹部型から間隔をおいて固定的に配置される案内部材と、当該案内部材に案内されて往復動きする移動部材であって前記案内部材及び前記凹部型に接触する複数の転がり手段を有し、当該転がり手段を介して前記凹部型に前記刻印ピンに向く押付力を加える移動部材と、当該移動部材を往復動きさせる駆動手段とを有し、前記転がり手段と前記案内部材は、押付の初期に凹部型の長さ方向で異なる大きさの押付力が前記刻印ピンに加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が前記刻印ピンに加わるように形成された凹部型駆動機構と、
を備える点字プリンター。
【請求項2】
前記刻印ピンは、刻印すべき紙の上方に位置し、前記凹部型は刻印すべき紙の下方に位置する、請求項1記載の点字プリンター。
【請求項3】
前記案内部材は、前記転がり手段が係合する平坦な面と、当該平坦な面から凹んだ前記転がり手段と同数の、転がり手段が嵌まる凹部とを備え、当該複数の凹部は、前記移動部材の移動方向に向けて上向きとなる傾斜面であって少なくとも2つの凹部にある傾斜面の傾斜角度が異なるように形成された傾斜面を有する、請求項2記載の点字プリンター。
【請求項4】
前記各転がり手段は、前記移動部材に転がり可能に支持され、上下に配列された偶数のベアリング、ローラ又は球体からなる、請求項3記載の点字プリンター。
【請求項5】
前記スライダは、刻印すべき紙の送り方向と実質的に同じ方向へ進退する、請求項3又は4記載の点字プリンター。
【請求項6】
前記スライダは前記膨大部から間隔をおいた鉄心を有し、前記セット手段は前記鉄心と、鉄心を取り囲むソレノイドとを備える、請求項5記載の点字プリンター。
【請求項7】
前記リセット手段は、前記複数のスライダ先端に突き当たり、スライダを退出させる揺動可能なリセット板と、当該リセット板を揺動させるカムとを備える、請求項6記載の点字プリンター。
【請求項8】
前記駆動手段は、カム面及びカム面とは反対側の平坦面を有し、前記カム面を前記移動部材に対面させて固定部材に回転可能に支持される円板カムと、当該円板カムを回転する駆動源と、前記移動部材に回転可能に支持され、当該円板カムの前記カム面に接触する可動ベアリングと、固定部材に回転可能に支持され、前記円板カムの前記平坦面に接触する固定ベアリングと、前記移動部材を前記円板カムに向けて偏倚するばねとを備える、請求項3記載の点字プリンター。
【請求項9】
刻印すべき紙の送り方向と実質的に直交する方向へ配列される複数の刻印ピンと、
刻印すべき紙を通過させる空間をはさんで前記刻印ピンに対向して配置され、前記刻印ピンに対応する凹部を有する凹部型と、
前記各刻印ピンを刻印可能な状態にし、かつ、刻印可能な状態を解除する作動機構と、
前記凹部型を移動させて前記刻印ピンに押付力を加える凹部型駆動機構であって、押付の初期に凹部型の長さ方向で異なる大きさの押付力が前記刻印ピンに加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が前記刻印ピンに加わるように形成された凹部型駆動機構と、を備える点字プリンターと、
当該点字プリンターの入口側に配置され、刻印すべき紙に普通字を印刷する普通字プリンターと、
を備えるプリンター装置。
【請求項10】
前記刻印ピンは刻印先端及び押付端を有し、
前記凹部型は前記刻印ピンに向けて、また前記刻印ピンから離れるように移動可能であり、
前記作動機構は、進出退出可能であり、進出位置にあるとき前記各刻印ピンの前記押付端に接触する膨大部を有するスライダと、当該スライダが進出位置にあるとき前記押付端とは反対側で前記スライダの膨大部に接触する反力受け部材と、前記スライダを進出位置に向けて進出させるセット手段と、前記スライダを退出位置に向けて退出させるリセット手段とを有し、
前記凹部型駆動機構は、前記凹部型から間隔をおいて固定的に配置される案内部材と、当該案内部材に案内されて往復動きする移動部材であって前記案内部材及び前記凹部型に接触する複数の転がり手段を有し、当該転がり手段を介して前記凹部型に前記刻印ピンに向く押付力を加える移動部材と、当該移動部材を往復動きさせる駆動手段とを有し、前記転がり手段と前記案内部材は、押付の初期に凹部型の長さ方向で異なる大きさの押付力が前記刻印ピンに加わり、押付の終期に実質的に同じ大きさの押付力が前記刻印ピンに加わるように形成された、
請求項10記載のプリンター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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