説明

点検口装置

【課題】天井板に十分な強度で取り付けることが可能で、しかも天井板の厚みの相違にも柔軟に対応することが可能な点検口装置を提供する。
【解決手段】点検口装置1は、天井板PBの孔Cの周縁部に固定される枠体2と、枠体2の点検口10を開閉可能な蓋材4と、枠体2を固定するための留め具3とを備える。枠体2は、上下方向に延びる筒状の周壁部11と、周壁部11の下端部から径方向外側に突出するフランジ部12とを有し、枠体2の周壁部11における複数の異なる高さ位置に取付孔15が設けられ、この中の任意の高さの取付孔に、周壁部11の径方向内側から留め具3が挿入可能である。留め具3は、挿入状態で周壁部11の径方向外側に突出しかつ天井板PBの上面部に弾性変形しつつ当接する押圧部32を有し、この押圧部32と枠体2のフランジ部12の上面との間に天井板PBが挟み込まれることにより、上記枠体2が天井板PBに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の天井板に形成された孔の周縁部に固定され、天井板の裏側に屋内からアクセスするための点検口を有する枠体と、上記点検口を開閉するために上記枠体に取り付けられる蓋材とを備えた点検口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家屋等の建物の屋内に設けられた天井板の裏側(天井裏)に存在する各種配線や配管等の不具合、または雨漏りの有無などを点検するために、天井板に孔を設けておき、その孔の周縁部に、天井裏にアクセスするための点検口を有した点検口装置を設けることが行われている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、天井板に形成された矩形の孔(開口部)の周縁に取り付けられる矩形枠状の枠体と、枠体に囲まれた点検口を開閉する蓋材とを備えた点検口装置が開示されている。点検時においては、蓋材を開いて点検口を開放し、当該点検口を通じて天井裏にアクセスし、必要な点検を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−291592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示された点検口装置では、天井板の裏面(上面)に配置される下地材としての野縁(天井板を取り付けるための木製や軽金属製の骨組み材)に、枠体をネジ止めすることで、点検口装置を固定するようにしている。
【0006】
しかしながら、枠体を野縁にネジ止めするという構成では、野縁の存在するところにしか点検口装置を取り付けることができず、そのサイズや形状も制限されるという問題がある。例えば、枠体を野縁にネジ止めするには、上記特許文献1にも示されているように、ある1つの野縁と、これと隣接する他の野縁との間隔(ピッチ)に略一致した寸法を有する矩形状の枠体を形成し、その一辺と他辺を隣接する各野縁にそれぞれネジ止めする必要がある。このように、枠体を野縁にネジ止めする構造では、そのサイズや形状が、野縁の間隔により制限されてしまう。
【0007】
そこで、野縁のような下地材ではなく、天井板に直接枠体を取り付けることができれば、サイズや形状等の自由度を拡大することができる。しかしながら、天井板への枠体の固定を、上記と同様の方法(ネジ止め)により行うことは、まず不可能である。すなわち、天井板は、一般に、石膏製の板材(プラスターボード)からなるが、このような材質の板材にネジやビスなどを螺着しようとしても、空回りしてしまい、十分な強度で枠体を固定することができない。したがって、天井板に対し直接ネジ止め等により枠体を固定することは困難であり、通常は、下地材が存在する場所にしか点検口装置を取り付けることができない。
【0008】
このような点から、ネジ止め以外の何らかの方法により、十分な強度で天井板に枠体を固定できる構造が求められる。しかも、天井板の厚みは、建物の仕様等により種々異なるため、このような厚みの相違にもかかわらず枠体の固定ができれば、なお望ましい。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、天井板に十分な強度で取り付けることが可能で、しかも天井板の厚みの相違にも柔軟に対応することが可能な点検口装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、屋内の天井板に形成された孔の周縁部に固定され、天井板の裏側に屋内からアクセスするための点検口を囲む枠体と、上記点検口を開閉するために上記枠体に取り付けられる蓋材と、上記枠体を固定するためにその内径側から装着可能な留め具とを備えた点検口装置であって、上記枠体は、上下方向に延びる筒状の周壁部と、周壁部の下端部から径方向外側に突出するフランジ部とを有し、上記枠体の周壁部における複数の異なる高さ位置に、周壁部を径方向に貫通する取付孔が設けられ、この中の任意の高さの取付孔に、上記留め具が径方向内側から挿入可能であり、上記留め具は、挿入状態で上記周壁部の径方向外側に突出しかつ上記天井板の上面部に対し少なくとも上下方向に弾性変形しつつ当接する押圧部を有し、この押圧部の弾発力に応じ当該押圧部と上記枠体のフランジ部の上面との間に上記天井板が挟み込まれることで、上記枠体が天井板に固定されることを特徴とするものである(請求項1)。
【0011】
本発明では、枠体の周壁部に設けられた取付孔に径方向内側から挿入される留め具と、上記枠体のフランジ部とが、その間に天井板を挟んで配置され、さらにその状態で、上記留め具の押圧部が弾性変形し、当該押圧部と上記フランジ部の上面との間に上記天井板が弾性的に挟み込まれるため、ネジやビス等を留めることが困難な石膏等の材質からなる天井板であっても、その天井板に十分な強度で枠体を固定することができる。
【0012】
しかも、周壁部における複数の異なる高さ位置に上記取付孔が設けられており、その中から天井板の厚みに応じて、上記留め具が挿入される取付孔を選択できるため、天井板の厚みが建物の仕様等により異なる場合でも、留め具を問題なく取付孔に挿入して、その押圧部により適正な力で天井板を押圧し、枠体の固定を図ることができる。
【0013】
そして、天井板の裏側(天井裏)の点検を行う際には、上記蓋材を開いて点検口を開放した状態で、その点検口を通じて天井裏にアクセスすることにより、天井裏に存在する配線や配管等の不具合、または雨漏りの有無等を適正に点検することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記留め具は、上記周壁部の取付孔に挿入された状態で、上記周壁部の内周面に沿って配置されるベース部を有し、上記押圧部は、上記ベース部から上記取付孔を通じて上記周壁部の径方向外側まで突出する上面部と、上面部の先端から折り返されて斜め下方に延びる折り返し部とを有し、当該折り返し部の下端部が上記天井板に押し付けられる(請求項2)。
【0015】
この構成によれば、上記周壁部の取付孔に径方向内側から留め具を挿入する際に、留め具の押圧部が、その上面部と折り返し部との角度を狭めるように柔軟に弾性変形することで、容易に留め具を挿入できるとともに、挿入後は、上記押圧部の折り返し部が天井板の上面部に適正な力で押し付けられることで、上記枠体を天井板に対し十分な強度で固定することができる。
【0016】
上記構成において、より好ましくは、上記押圧部の上面部は、上記周壁部の径方向内側および外側に位置する部位に、上方に突設された第1係止部および第2係止部を有し、当該第1、第2係止部は、その間に上記取付孔の上縁を挟み込むことで、上記取付孔からの上記留め具の脱落を防止する機能を有する(請求項3)。
【0017】
この構成によれば、留め具の脱落が防止されることで、枠体をより安定的に天井板に固定することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、上記周壁部の複数の高さ位置に、それぞれ3個以上の取付孔が、周方向に間隔を空けて設けられる(請求項4)。
【0019】
このように、留め具とフランジ部とによる天井板の挟み込みを3箇所以上で行うようにした場合には、上記枠体の取付強度を十分に確保することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、上記点検口装置が、上記点検口と連続する孔を囲む筒状の延長部材をさらに備え、上記延長部材は、上記枠体からその上方に延長されるように当該枠体の上端部に取り付け可能とされる(請求項5)。
【0021】
この構成によれば、天井板の裏面に断熱材が施工された場合のように、天井のトータルの厚みがかなり大きくなるような場合でも、枠体に囲まれた点検口と、これと連続する上記延長部材の孔とを通じて、天井裏に容易にアクセスすることができる。
【0022】
上記構成において、より好ましくは、上記延長部材は、上記点検口に対し下から挿入可能なように上方に至るほど外径が小さくなるテーパ状の外周面を有し、上記点検口に挿入された上記延長部材の下端部の外周面が上記周壁部の上端部に密着することにより、上記延長部材が枠体に固定される(請求項6)。
【0023】
この構成によれば、延長部材のテーパ状の外周面を利用することで、ネジやビス等の部材を特に用いることなく、延長部材を簡単に枠体に固定することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、天井板に十分な強度で取り付けることが可能で、しかも天井板の厚みの相違にも柔軟に対応することが可能な点検口装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる点検口装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】上記点検口装置の枠体を単体で示す斜視図である。
【図3】上記枠体を単体で示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】上記点検口装置の蓋材を単体で示す斜視図である。
【図6】上記蓋材の断面図である。
【図7】上記点検口装置の留め具を単体で示す斜視図である。
【図8】上記点検口装置の取付手順を説明するための図であり、枠体を天井板に仮止めした状態を示す断面図である。
【図9】図8の後、枠体の取付孔に留め具を挿入するときの状態を示す図である。
【図10】図9の一部拡大図である。
【図11】図9の後、枠体に蓋材を装着するときの状態を示す図である。
【図12】天井板が比較的厚い場合の取付例を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる点検口装置1の全体構成を示す断面図である。本図に示される点検口装置1は、天井板PBに形成された円形の孔Cに設けられるものである。点検口装置1は、上記孔Cの周縁部に固定される枠体2と、枠体2を固定するためにその内径側から装着可能な留め具3と、枠体2の下端部に着脱自在に取り付けられる蓋材4とを備えている。上記枠体2は、上下方向に延びる点検口10を囲む部材であり、点検口10は、上記蓋材4の着脱によって開放または閉止される。なお、上記蓋材4と枠体2との係合が外れたときの蓋材4の脱落を防止するために、上記枠体2と蓋材4とがチェーン5によって連結されている。
【0027】
上記天井板PBは、家屋等の建物の天井部に設けられる板材であり、その下面が屋内の天井面(化粧面)を形成している。天井板PBの材質としては、石膏が多く用いられる。上記点検口装置1は、天井板PBの裏側(上側)に形成される空間である天井裏Sの点検のために使用される。具体的に、当実施形態では、上記点検口10を通じて、ファイバースコープ等の小型の撮影機器を天井裏Sまで挿入し、このファイバースコープ等から取得される画像に基づいて所定の点検を行う。
【0028】
図2〜図4は、上記枠体2を単体で示す図であり、図2が斜視図、図3が平面図、図4が断面図である。これら図2〜図4(および図1)に示すように、枠体2は、上下方向に延びる筒状の周壁部11と、周壁部11の下端部から径方向外側に突出する円形リング状のフランジ部12とを有している。枠体2の寸法の具体例を挙げると、全高さが約50mm、フランジ部12の外径が約φ110mm、周壁部11の内周面に囲まれた上記点検口10の直径(後述する円弧部11aの内径)が約φ90mmとされる。また、枠体2の材質としては、例えばABS等の合成樹脂が好適である。なお、上記周壁部11には、金型を用いて枠体2を成形する際に必要な抜き勾配が設定されている。このため、点検口10の直径は、下端部の径が最も大きく(約φ90mm)、上端部の径はそれよりやや小さい値(例えば約φ88mm)に設定されている。
【0029】
上記周壁部11には、これを径方向に貫通する取付孔15a,15b,15cが、それぞれ異なる高さ位置に設けられている。上記枠体2が天井板PBに固定される際には、図1(または後述する図9等)に示すように、上記天井板PBの孔Cに周壁部11が挿入された状態で、上記取付孔15a,15b,15cのいずれか(図1の例では最も下側の取付孔15a)に、留め具3が径方向内側から挿入される。
【0030】
上記周壁部11は、円弧状に形成された複数の円弧部11aと、平板状に形成された複数の平板部11bとからなり、これら円弧部11aおよび平板部11bが周方向に交互に連続して並ぶことで、円筒状に近い形状の周壁部11が形成されている。なお、図例では、6つの円弧部11aと6つの平板部11bとが設けられている。このうち、平板部11bには、上記取付孔15a,15b,15cが形成されている。
【0031】
具体的には、最も低い位置にある取付孔15aと、それより1段上に位置する取付孔15bとが、3つの平板部11bに形成され、最も高い位置にある取付孔15cが、それ以外の3つの平板部11bに形成されている。すなわち、各取付孔15a,15b,15cは、異なる高さ位置において、それぞれ周方向に間隔を空けて3つずつ設けられている。なお、以下では、各取付孔15a,15b,15cを総称して指す場合に、単に取付孔15という場合がある。
【0032】
上記周壁部11のうち、最も高い取付孔15cが設けられる3つの平板部11bには、それぞれ、取付孔15cよりも低い高さ位置に、比較的小さい径の嵌合孔16が設けられている。この嵌合孔16は、後述するように、上記蓋材4を固定するための孔として機能するものである。
【0033】
図5および図6は、上記蓋材4を単体で示す図であり、図5が斜視図、図6が断面図である。これら図5,6(および図1)に示すように、蓋材4は、上記枠体2のフランジ部12よりも若干大きい外径を有した円板状の蓋本体21と、この蓋本体21の上面から突設された比較的短い高さの挿入部22とを有している。蓋材4の材質としては、上記枠体2と同様、例えばABS等の合成樹脂が好適である。
【0034】
上記蓋本体21の形状は、当実施形態においては円板状であるが、点検口10の形状等に応じて自由に設定可能である。また、上記挿入部22の高さは、点検口10に対する蓋材4の相対的な位置決めができる程度であればよく、例えば10mm程度で十分である。
【0035】
上記蓋材4の挿入部22は、上記枠体2の周壁部11に近似して平面視で概ね円筒状(つまり周壁部11と同様、円弧部と平板部とが交互に連続したような形状)に形成されており、その外形は上記周壁部11よりも一回り小さく設定されている。この挿入部22は、蓋材4を枠体2に装着した図1の状態で、周壁部11に囲まれた点検口10に下から挿入される。
【0036】
上記挿入部22のうち、周方向の3箇所には、上下方向の切欠きにより周囲から分離された分離部23が形成され、各分離部23の上端部には、周方向外側に突出する突片23aが設けられている。そして、図1に示すように、上記蓋材4が枠体2に装着された状態では、枠体2の周壁部11に形成された3箇所の嵌合孔16に上記挿入部22の突片23aが嵌入されることにより、蓋材4が枠体2に固定される。
【0037】
図7は、上記留め具3を単体で示す斜視図である。本図に示すように、留め具3は、上下方向に延びるベース部31と、ベース部31の上端部から外向きに突出する押圧部32とを有している。押圧部32は、上記枠体2の取付孔15に挿入された挿入状態(図9等参照)において、天井板PBの上面部を押圧可能な形状を有する。当実施形態では、折り曲げ加工等がなされた一枚の金属板によって留め具3が形成されており、この留め具3の押圧部32が上下方向に弾性変形しつつ天井板PBに当接することで、上記天井板PBが下方に押圧されるようになっている。
【0038】
具体的に、上記押圧部32は、ベース部31と略直交する方向に延びる上面部33と、上面部33の先端から折り返されて斜め下方に延びる折り返し部34とを有している。上面部33の基端部(ベース部31寄りの部位)には、第1係止部33aおよび第2係止部33bが形成されている。第1係止部33aは、上面部33の一部を上方に切り起こしたもので、ベース部31と同一平面をなすように垂直に立設されている。第2係止部33bは、第1係止部33aの直近部分をわずかに上方に切り起こしたもので、第1係止部33aと対向するように斜め上方に立設されている。
【0039】
上記枠体2が天井板PBに固定される際には、図9に示すように、上記周壁部11の取付孔15(取付孔15a,15b,15cのいずれか)に、周壁部11の径方向内側から留め具3が挿入される。挿入後の状態では、図10に示すように、留め具3の押圧部32が周壁部11の径方向外側まで突出する一方、ベース部31は周壁部11の径方向内側に残り、周壁部11の内周面に沿って配置される。この状態において、押圧部32は、その上面部33と折り返し部34との角度が初期状態よりも狭まっており、上下方向に弾性変形している。そして、これに伴い生じる押圧部32の弾発力により、折り返し部34の下端部が天井板PBの上面部(孔Cの周縁部)に押し付けられ、天井板PBが下方に押圧される。以上により、枠体2のフランジ部12の上面と上記押圧部32との間に天井板PBが弾性的に挟み込まれ、枠体2が上下方向に動かないように固定される。
【0040】
また、上記留め具3を取付孔15に挿入した状態では、上記押圧部32の上面部33に設けられた第1係止部33aが周壁部11の径方向内側に配置されるとともに、第2係止部33bが周壁部11の径方向外側に配置され、これら第1、第2係止部33a,33bの間に上記取付孔15の上縁が挟み込まれることで、留め具3が径方向に動かないように固定される。
【0041】
次に、以上のように構成された点検口装置1を天井板PBに取り付ける手順について図8〜図11等を用いて説明する。なお、点検口装置1の取り付けを行う前提として、天井板PBには、所定の直径(枠体2の周壁部11よりもわずかに大きい径)の孔Cがあらかじめ形成されているものとする。
【0042】
点検口装置1を取り付けるには、まず、上記孔Cの下方に、フランジ部12が下になる姿勢で枠体2を配置し、図8に示すように、フランジ部12が天井板PBの下面(孔Cの周縁部)に当接するまで、枠体2の周壁部11を上記孔Cに挿入する。なお、枠体2には、チェーン5を介して蓋材4(図11)が連結されており、図8の時点では、チェーン5の先に蓋材4がぶら下がったような状態となるが、図8では、ぶら下がっている蓋材4の図示を省略している(図9でも同様)。
【0043】
次いで、フランジ部12を下から手で押さえる等により、枠体2を孔Cに挿入された状態に保持しつつ、図9に示すように、周壁部11に形成された取付孔15に、径方向内側から留め具3を挿入する。取付孔15としては、高さの低い順に孔15a,15b,15cが存在するが、図例では、最も高さの低い取付孔15aに留め具3が挿入される。
【0044】
上記留め具3を挿入する際には、その押圧部32から先に取付孔15aに挿入する。このとき、押圧部32は、その角度(図10に示す上面部33と押し返し部34との角度)を狭めるように上下方向に弾性変形しながら徐々に径方向外側に押し出されていく。そして、最終的にベース部31(および第1係止部33a)が周壁部11の内周面に当接するまで押し出されることで、図10に示すように、折り返し部34が取付孔15aから抜け出て周壁部11の径方向外側まで移動し、この押し返し部34の下端部が天井板PBの上面部に押し付けられる。
【0045】
また、このとき、押圧部32の上面部に設けられた第2係止部33bが周壁部11よりもわずかに径方向外側に位置し、この第2係止部33bと、周壁部11の内側に位置する上記第1係止部33aとの間に、上記取付孔15aの上縁が挟み込まれる。なお、取付孔15aは周壁部11の周方向3箇所に存在するので、留め具3は合計で3個用意され、それぞれが上記3箇所の取付孔15aに挿入される(図9)。
【0046】
上記のようにして留め具3が挿入されると、この留め具3の押圧部32の弾発力により天井板PBが下方に押圧され、上記押圧部32とフランジ部12の上面との間に天井板PBが挟み込まれることで、枠体2が天井板PBに対し上下方向に動かないように固定される。また、このとき、押圧部32の第1、第2係止部33a,33bの間に上記取付孔15の上縁が挟み込まれ(図10)、留め具3が径方向に動かないように固定されることで、取付孔15aからの留め具3の脱落が防止される。
【0047】
ここで、高さの異なる上記取付孔15a,15b,15cのうちのどの孔に挿入するかについては、天井板PBの厚みに応じて決定される。図9の例は、天井板PBとして、家屋等で広く用いられる厚さ約12.5mmの石膏板(プラスターボード)が1枚施工された場合を想定しており、このような場合には、最も高さの低い取付孔15aに留め具3を挿入することで、留め具3の押圧部32が天井板PBの上面部に適正な力で押し付けられる状態となり、枠体2が十分な強度で天井板PBに固定される。
【0048】
一方、図12に示すように、天井板PBとして、図11と同じ厚さの石膏板が2枚施工されるケースもある。本図の例では、天井板PBの厚みが、トータルで約25mmになる。このような場合には、上記取付孔15aよりも一段高い取付孔15bに留め具3を挿入するとよい。これにより、トータルで2倍の厚みの天井板PBであっても、留め具3を問題なく取付孔15bに挿入して固定することができ、押圧部32により適正な力で天井板PBを押圧して、枠体2の固定を図ることができる。
【0049】
さらに、図示は省略するが、例えば寒冷地等のように、高い断熱性が求められる地域では、トータルで30mm弱の厚みの天井板PBが施工されるケースもある。このような場合でも、上記取付孔15bよりさらに高い位置の取付孔15cに留め具3を挿入すれば、留め具3を適正に(押圧部32により適正な力で天井板PBが押圧されるように)取り付けることができる。
【0050】
以上のようにして枠体2の天井板PBに対する固定が完了すると、図11に示すように、枠体2の下端部に蓋材4を装着する。具体的には、枠体2の下方に、挿入部22が上になる姿勢で蓋材4を配置し、この蓋材4の挿入部22を点検口10に挿入する。このとき、挿入部22の周方向3箇所に設けられた突片23aが、周壁部11の周方向3箇所に設けられた嵌合孔16に対応する位置にくるように、蓋材4を枠体2に対し位置合わせしておく。これにより、枠体2のフランジ部12に蓋本体21の外周部が当接するまで蓋材4が挿入された状態で、上記突片23aが嵌合孔16に嵌入し(図1)、枠体2に蓋材4が固定される。
【0051】
以上の手順により、点検口装置1の天井板PBへの取り付けが完了する(図1参照)。なお、図示を省略しているが、枠体2のフランジ部12と天井板PBの間、および、フランジ部12と蓋材4の蓋本体21との間に、それぞれシール用のパッキンを設けてもよい。
【0052】
天井板PBの裏側(天井裏S)を点検する際には、蓋材4を下方に引っ張って枠体2から取り外し、枠体2の点検口10を開放する。そして、天井板PBの下側(屋内側)から、上記開放された点検口10を通じて、ファイバースコープ等の小型の撮影機器を天井裏Sまで挿入し、このファイバースコープ等から取得される画像に基づいて、所定の点検、例えば、天井裏Sに存在する配線や配管等の不具合、または雨漏りの有無などを調べる点検を行う。上記点検口10の直径として先に例示した値(約φ90mm)は、上記ファイバースコープ等の挿入作業を行うのに好適な値として設定されている。
【0053】
以上説明したように、上記第1実施形態にかかる点検口装置1は、屋内の天井板PBに形成された孔Cの周縁部に固定され、天井板PBの裏側(天井裏S)に屋内からアクセスするための点検口10を囲む枠体2と、点検口10を開閉するために上記枠体2に取り付けられる蓋材4と、枠体2を固定するためにその内径側から装着可能な留め具3とを備えている。上記枠体2は、上下方向に延びる筒状の周壁部11と、周壁部11の下端部から径方向外側に突出するフランジ部12とを有し、上記枠体2の周壁部11における複数の異なる高さ位置には、周壁部11を径方向に貫通する取付孔15が設けられ、この中の任意の高さの取付孔に、上記留め具3が径方向内側から挿入可能である。上記留め具3は、挿入状態で周壁部11の径方向外側に突出しかつ天井板PBの上面部に対し上下方向に弾性変形しつつ当接する押圧部32を有し、この押圧部32の弾発力に応じ当該押圧部32と上記枠体2のフランジ部12の上面との間に天井板PBが挟み込まれることにより、上記枠体2が天井板PBに固定される。このような構成によれば、天井板PBに枠体2を十分な強度で取り付けることができ、しかも天井板PBの厚みの相違にも柔軟に対応することができる。
【0054】
すなわち、上記第1実施形態では、枠体2の周壁部11に設けられた取付孔15に径方向内側から挿入される留め具3と、上記枠体2のフランジ部12とが、その間に天井板PBを挟んで配置され、さらにその状態で、上記留め具3の押圧部32が弾性変形し、この押圧部32と上記フランジ部12の上面との間に天井板PBが弾性的に挟み込まれるため、ネジやビス等を留めることが困難な石膏等の材質からなる天井板PBであっても、その天井板PBに十分な強度で枠体2を固定することができる。
【0055】
しかも、周壁部11における複数の異なる高さ位置に上記取付孔15(15a,15b,15c)が設けられており、その中から天井板PBの厚みに応じて、上記留め具3が挿入される取付孔を選択できるため、天井板PBの厚みが建物の仕様等により異なる場合でも、留め具3を問題なく取付孔15bに挿入して、その押圧部32により適正な力で天井板PBを押圧し、枠体2の固定を図ることができる。
【0056】
もちろん、留め具3が弾性体からなるため、施工される天井板PBの厚みの相違がそれ程大きくなければ、仮に複数の高さ位置に取付孔15が設けられていなくても、留め具3の押圧部32による弾発力を天井板PBに対し問題なく作用させることができ、天井板PBに枠体2を適正に固定することが可能である。ただし、建物の仕様等によっては、例えば図12に示したように、天井板PBが2枚重ねで施工されるなど、天井板PBの厚みが大きく異なる場合がある。このような場合に、取付孔15の高さが1種類だけであれば、留め具3を適正に取り付けることができなくなる。
【0057】
このような問題に対し、上記第1実施形態では、複数の異なる高さ位置に取付孔15(15a,15b,15c)を設け、その中から留め具3が挿入される取付孔15を適宜選択できるようになっているため、天井板PBの厚みのバリエーションがかなり幅広い場合であっても、取付孔15に留め具3を適正に挿入して枠体2を固定することができる。
【0058】
そして、上記のような構成の点検口装置1を利用して天井裏Sを点検する際には、上記蓋材4を枠体2から取り外し、点検口10を開放した状態で、その点検口10を通じてファイバースコープ等の撮影機器を天井裏Sに挿入することにより、天井裏Sに容易にアクセスして必要な点検(例えば天井裏Sに存在する配線や配管等の不具合、または雨漏りの有無などを調べる点検)を行うことができる。
【0059】
また、上記第1実施形態では、ベース部31と押圧部32とを有する留め具3が用意され、上記取付孔15に留め具3が挿入されると、周壁部11の内周面に沿ってベース部31が配置されるとともに、上記取付孔15を通じて周壁部11の径方向外側まで押圧部32が突出するようになっている。さらに、上記押圧部32は、上記ベース部31と略直交する方向に延びる上面部33と、上面部33の先端から折り返されて斜め下方に延びる折り返し部34とを有し、当該折り返し部34の下端部が天井板PBに押し付けられるようになっている。このような構成によれば、留め具3を取付孔15に容易に挿入できるとともに、その状態で枠体2を適正に天井板PBに固定できるという利点がある。
【0060】
すなわち、上記のような形状の留め具3であれば、上記周壁部11の取付孔15に径方向内側から留め具3を挿入する際に、上面部33と折り返し部34との角度を狭めるように留め具3が柔軟に弾性変形することで、周壁部11の径方向外側に押圧部32が突出するまで(折り返し部34が取付孔15を抜け出るまで)容易に留め具3を挿入することができる。そして、挿入後は、上記上面部33と折り返し部34との角度が再び拡大し、折り返し部34が天井板PBの上面部に適正な力で押し付けられることで、上記枠体2を天井板PBに対し十分な強度で固定することができる。
【0061】
さらに、上記第1実施形態では、留め具3の上面部33のうち、挿入時に周壁部11の径方向内側および外側に位置する部位に、第1係止部33aおよび第2係止部33bがそれぞれ突設され、これら両係止部33a,33bの間に取付孔15の上縁が挟み込まれるようになっている。このような構成によれば、留め具3が径方向に動かないように固定され、取付孔15aからの留め具3の脱落が防止されるため、上記枠体2をより安定的に天井板PBに固定することができる。
【0062】
また、上記第1実施形態では、周壁部11の複数の高さ位置に、それぞれ取付孔15a,15b,15cが、周方向に間隔を空けて3個ずつ設けられており、留め具3とフランジ部12とによる天井板PBの挟み込みが3箇所で行われるため、上記枠体2の取付強度を十分に確保することができる。
【0063】
なお、上記第1実施形態では、点検口10の直径をφ90mm程度に設定し、天井裏Sを点検する際には、上記点検口10を通じてファイバースコープ等の小型の撮影機器を天井裏Sに挿入するものとしたが、点検口10の直径を人が出入りできる程度の大きさ(例えば500mm程度)まで拡大すれば、点検口10を通じて作業者が天井裏Sまで侵入し、作業者の目視等によって点検を行うことも可能である。本発明の構成は、このような方法による点検を目的とした点検口装置(つまり点検口10の直径を人の出入りが可能な程度としたもの)にも、好適に適用することができる。
【0064】
ただし、例えば天井裏Sのスペースがかなり狭いといったケースでは、作業者が天井裏Sまで侵入して点検を行うことは不可能である。上記第1実施形態にかかる点検口装置1のように、ファイバースコープ等の小型の撮影機器を点検口10から天井裏Sに挿入することを前提としたもの(点検口10の直径が比較的小さいもの)は、上記のように作業者が侵入して点検することが不可能な場合に、好適である。
【0065】
また、上記第1実施形態では、円弧部11aと平板部11bとが交互に連続した円筒状に近い周壁部11を形成し、この周壁部11により囲まれた円形に近い点検口10を形成したが、点検口10の形状はこれに限られず、例えば真円でもよいし、矩形でもよい。
【0066】
いずれにせよ、留め具3とフランジ部12との間に天井板PBを挟み込むことで枠体2を固定する上記構成によれば、野縁のような下地材(天井板PBを取り付けるためにその裏面に配置される骨組み材)がないところに自由に点検口装置を取り付けられるため、サイズや形状等の自由度が高く、様々なタイプの点検口装置への応用が期待される。
【0067】
また、上記第1実施形態では、枠体2の周壁部11における3つの高さ位置に、それぞれ取付孔15(15a,15b,15c)を設け、この中のいずれかの高さの取付孔に留め具3を挿入するようにしたが、取付孔15を設ける高さは、3箇所に限られず、2箇所あるいは4箇所以上であってもよい。
【0068】
さらに、上記第1実施形態では、高さの異なる各取付孔15a,15b,15cを、それぞれ周方向に3個ずつ設けることで、留め具3とフランジ部12とによる天井板PBの挟み込みを3箇所で行うようにしたが、上記各取付孔15a,15b,15cの数は3つに限られず、例えばその数を3よりも増やし、周方向の3箇所を超える位置に留め具3を挿入する構成としてもよい。このようにすれば、より強固に枠体2を固定することができる。逆に、取付強度に特に問題なければ、各取付孔15a,15b,15cの周方向の設置箇所を2つに減らしてもよい。
【0069】
<実施形態2>
建物に要求される断熱性が特に高いような場合は、天井板PBの裏面(上面)に、さらに断熱材が施工される場合がある。具体例としては、発泡ウレタン等からなる断熱材を液体の状態で天井板PBの裏面に吹き付け、自己発泡によって膨張させるという施工例(吹き付け工法)がある。以下では、このような方法により断熱材を施工する場合に好適な点検口装置の構成を、本発明の第2実施形態として説明する。
【0070】
図13は、第2実施形態にかかる点検口装置1’を示す断面図である。本図において、先の第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその具体的な説明を省略する。図13に示すように、当実施形態の点検口装置1’が上記第1実施形態と異なる点は、点検口装置1’の枠体2の上端部に、筒状の延長部材50が取り付けられている点である。
【0071】
上記延長部材50は、例えば発泡ポリスチレン等からなり、上下方向に延びる比較的長尺な円筒体に形成されている。寸法の具体例を挙げると、枠体2の高さが約50mmである場合、上記延長部材50の高さは例えば約340mmとされる。
【0072】
上記延長部材50は、上方に至るほど外径が小さくなるテーパ状の外周面を有している。具体的に、延長部材50は、その大径側(下側)の端部のみが、枠体2に囲まれた点検口10よりもわずかに大きい外径とされており、そこから上方に至るほど、延長部材50の外径が徐々に小さくなっている。ここで、点検口10を囲む上記枠体2の周壁部11は、上述したように、抜き勾配によって若干上窄まり状に形成されているため、点検口10の広さ(図3に示した相対向する2つの平板部11bの間の距離)は、その上端部が最も狭い。これに対し、上記延長部材50は、その下端部のみが、上記点検口10の上端部よりもわずかに大きい外径(かつ点検口10の下端部よりは小さい外径)に形成される一方、上記下端部を除く延長部材50の大部分については、上記点検口10の上端部よりも小さい外径に形成されている。これにより、延長部材50を点検口10に対し下から挿入したときに、この延長部材50の下端部の外周面が周壁部11の上端部に密着し、その密着力(摩擦力)によって延長部材50が枠体2に固定されるようになっている。
【0073】
上記天井板PBの裏面には、上述した吹き付け工法により施工された断熱材HSの層が形成されており、この断熱材HSの厚みは、その上面が上記延長部材50の上端よりも低くなるような値に設定されている。つまり、延長部材50は、断熱材HSを上下方向に貫通するように設けられている。
【0074】
上記延長部材50の内部には、上下方向に貫通する孔52が形成されており、この孔52と、上記枠体2の点検口10とが上下方向に連続している。そして、例えばファイバースコープ等を用いて天井裏S(天井板PBおよび断熱材HSの裏側)を点検する際には、上記点検口10および孔52を通じて天井裏Sにアクセスできるようになっている。
【0075】
次に、上記延長部材50付きの点検口装置1’を天井板PBに取り付ける手順について説明する。なお、取り付けを行う前の時点では、天井板PBの裏面に断熱材HSは未だ施工されていないものとする。
【0076】
まず、延長部材50を除く点検口装置1’を、先の第1実施形態で説明したのと同様の方法で天井板PBに取り付ける。このとき、蓋材4は枠体2から取り外しておき、点検口10を開放しておく。そして、この状態で、延長部材50の取り付けを行う。具体的には、枠体2に対し、小径側が上になる姿勢で延長部材50を下から近づけることにより、延長部材50を点検口10に挿入する。これにより、点検口10を通じて延長部材50のほとんどを枠体2の上方側まで押し出す一方、延長部材50の下端部を周壁部11の上端部に嵌着させ、延長部材50を枠体2に固定する。
【0077】
以上のようにして延長部材50を枠体2に取り付けた後、天井板PBの裏面に断熱材HSを施工する。具体的には、断熱材HSの材料となる液体(例えば発泡ウレタンの液)を天井板PBの裏面に所定量吹き付け、自己発泡によって膨張させることにより、図13に示すような厚み(延長部材50の上端を越えない程度の厚み)の断熱材HSの層を形成する。このとき、断熱材HSが膨張する過程で、延長部材50が断熱材HSにくわえ込まれることにより、延長部材50がより安定的に定位置に固定される。
【0078】
以上説明したような第2実施形態では、枠体2の上端部に、枠体2を上方に延長するように延びる延長部材50が取り付けられるため、天井板PBの裏面に断熱材HSが施工された場合のように、天井のトータルの厚み(天井板PBと断熱材HSとの厚み)がかなり大きくなるような場合でも、枠体2の点検口10と、これと連続する上記延長部材50の孔52とを通じて、天井裏Sに容易にアクセスすることができる。
【0079】
また、延長部材50を点検口10に対し下から挿入したときに、延長部材50の下端部の外周面が上記周壁部11の上端部に密着するように、延長部材50の外周面がテーパ状に形成されているため、ネジやビス等の部材を特に用いることなく、延長部材50を簡単に枠体2に固定することができる。
【0080】
なお、上述した第2実施形態において、延長部材50の内側に、図13に想像線で示す断熱性の内蓋54を取り付けてもよい。内蓋54は、例えばグラスウールを内封した袋状体からなり、延長部材50の内部に圧入されることで固定される。このような内蓋54を延長部材50に取り付けることで、天井板PBの断熱性をより高めることができる。天井裏Sを点検する際には、最初に蓋材4を取り外し、その後で上記内蓋54を延長部材50から抜き取ればよい。
【符号の説明】
【0081】
1 点検口装置
2 枠体
3 留め具
4 蓋材
10 点検口
11 周壁部
12 フランジ部
15(15a,15b,15c) 取付孔
31 ベース部
32 押圧部
33 上面部
33a 第1係止部
33b 第2係止部
34 折り返し部
50 延長部材
52 (延長部材の)孔
PB 天井板
C (天井板の)孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内の天井板に形成された孔の周縁部に固定され、天井板の裏側に屋内からアクセスするための点検口を囲む枠体と、上記点検口を開閉するために上記枠体に取り付けられる蓋材と、上記枠体を固定するためにその内径側から装着可能な留め具とを備えた点検口装置であって、
上記枠体は、上下方向に延びる筒状の周壁部と、周壁部の下端部から径方向外側に突出するフランジ部とを有し、
上記枠体の周壁部における複数の異なる高さ位置に、周壁部を径方向に貫通する取付孔が設けられ、この中の任意の高さの取付孔に、上記留め具が径方向内側から挿入可能であり、
上記留め具は、挿入状態で上記周壁部の径方向外側に突出しかつ上記天井板の上面部に対し少なくとも上下方向に弾性変形しつつ当接する押圧部を有し、この押圧部の弾発力に応じ当該押圧部と上記枠体のフランジ部の上面との間に上記天井板が挟み込まれることで、上記枠体が天井板に固定されることを特徴とする点検口装置。
【請求項2】
請求項1記載の点検口装置において、
上記留め具は、上記押圧部が上記周壁部の取付孔に挿入された状態で上記周壁部の内周面に沿って配置されるベース部を有し、
上記押圧部は、上記ベース部から上記取付孔を通じて上記周壁部の径方向外側まで突出する上面部と、上面部の先端から折り返されて斜め下方に延びる折り返し部とを有し、当該折り返し部の下端部が上記天井板に押し付けられることを特徴とする点検口装置。
【請求項3】
請求項2記載の点検口装置において、
上記押圧部の上面部は、上記周壁部の径方向内側および外側に位置する部位に、上方に突設された第1係止部および第2係止部を有し、当該第1、第2係止部は、その間に上記取付孔の上縁を挟み込むことで、上記取付孔からの上記留め具の脱落を防止する機能を有することを特徴とする点検口装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の点検口装置において、
上記周壁部の複数の高さ位置に、それぞれ3個以上の取付孔が、周方向に間隔を空けて設けられたことを特徴とする点検口装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の点検口装置において、
上記点検口と連続する孔を囲む筒状の延長部材をさらに備え、
上記延長部材は、上記枠体からその上方に延長されるように当該枠体の上端部に取り付け可能とされたことを特徴とする点検口装置。
【請求項6】
請求項5記載の点検口装置において、
上記延長部材は、上記点検口に対し下から挿入可能なように上方に至るほど外径が小さくなるテーパ状の外周面を有し、上記点検口に挿入された上記延長部材の下端部の外周面が上記周壁部の上端部に密着することにより、上記延長部材が枠体に固定されることを特徴とする点検口装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−7423(P2012−7423A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145748(P2010−145748)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)