説明

点灯制御システム

【課題】 屋外の大気温度と色温度の関係を利用して、室内の人が快適と感じたり、好んだりする調色を可能とした放電管組込ユニットを用いた点灯制御システムを提供する。
【解決手段】 放電管を調光・調色する制御点灯回路を備える放電管組込ユニットを制御する点灯制御システムであって、屋外の大気温度を検出するセンサーを備え、色温度可変手段は、温度センサーが低温度であることを検出した場合には、色温度が低くなるように出力制御し、高温度であることを検出した場合には、色温度が高くなるように出力制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電管組込ユニット及びその点灯制御システムに関するものであり、大気温度を検出し、屋内照明の色温度を変化させる技術に関し、詳細には、気温等計測データを信号に変え「色調分布」に対応させるシステムで、視覚を通じて色変化によって、気温を温冷感によって体感させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー、地球温暖化防止の観点から、エネルギーの有効利用や、過度な照明や空調機に依存する快適さの追及など、種々の問題に対し議論がなされている。このような状況の中、人間の視覚と体感については温冷感と反応についての研究がなされている。
【0003】
その一例として、一般的な照度空間において、人は、その空間内の気温が高い場合には、光源が高い色温度(例えば涼しく感じられる寒色系の色)を示すとき快適に感じ、気温が低い場合には、低い色温度(例えばに温かく感じられる暖色系の色)を示すとき快適に感じる、という報告がある。
【0004】
ところで、広範囲の色温度を演出する照明装置が提案されている(特許文献1)ものの実用レベルで使用できる照明装置はほとんどない。近年、開発がめざましい赤、緑、青の3色で構成されるLED(発光ダイオード)であっても色温度の調整は十分ではない。従って、室内空間の広範囲に亘って色温度を自由に制御できる照明装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−260391公報
【特許文献2】特開2007−87920公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者等は、このような広範囲に色温度を制御できる照明装置およびその制御システムの開発について、種々検討した結果、光源(照明装置)として「放電菅組込ユニット」(特許文献2参照)を採用し、本発明を完成した。この「放電菅組込ユニット」は、互いに異なる色を生じる放電管を複数本組み合わせて、一つの照明ユニットとして構成し、各々の放電管の光の強さを制御することで、より細かな色を作り出すことができることが知られている。
【0007】
本発明は、大気の気温に応じて人が快適と感じる照明色を演出できる照明装置及びその点灯制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明の点灯制御システムでは、
放電管と、入力した電源を昇圧し、その昇圧された電力を当該放電管に供給するトランスと、当該トランスと前記放電管との間に設けられ当該トランスからの前記電力を供給するための二次側配線とを、箱状になす本体ケース内に組み込んだ放電管組込ユニットを用いた点灯制御システムであって、
前記放電管から照射される光を調光・調色する制御部と、
前記制御部に接続され、大気温度を検出するセンサーと、を備え、
前記制御部には、前記センサーが高温度を検出した場合には光の色温度を高くし、前記センサーが低温度を検出した場合には光の色温度を低くする色温度可変手段を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の点灯制御システムでは、
前記センサーは、屋外に設置され屋外の大気温度を検出する、
ことを特徴とする。
これらの構成によれば、大気の温度に応じて人の体感温度を調節できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大気の気温に応じて人が快適と感じる照明色を演出できる照明装置及びその点灯制御システムを提供することができる。従って、空調の設定温度を緩いほうに変えることができ、省エネルギー、ひいては地球温暖化防止に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の点灯制御システムに用いる光源としての放電管組込ユニットを示す図である。
【図2】第1実施形態の点灯制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態における屋外の大気温度による色温度の決定の手順を示すフローチャートである。
【図4】実施例1における大気温度と調光色との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明を屋内の間接照明に具体化した放電管組込ユニットを利用した点灯制御システムの第1実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0013】
図1(a)は、放電管組込ユニット100を示す斜視図であり、図1(b)は、放電管組込ユニット100の内部を示す斜視図である。図1(a)及び(b)に示すように、放電管組込ユニット100は、カバー70aと本体ケース70とが嵌合して一体化するよう放電管組込ユニット100が構成されており、上方には、放電管40からの光を透過する透明なカバー70aを設け、内部には、放電管40やトランス(図示せず)を組み込んだ内部ユニット100aが設けられ、下方には、その内部ユニット100aを収納するための本体ケース70が、アルミニウムの金属によって上方を開口した箱形状に形成されている。
【0014】
すなわち、放電管組込ユニット100は、3本の放電管40と、入力した電源を昇圧し、その昇圧された電力を当該放電管40に供給するトランスと、当該トランス20と放電管40との間に設けられ当該トランスからの前記電力を供給するための二次側配線(図示せず)とを、箱状になす本体ケース70内に組み込んだものを基本構成としている。
【0015】
図2は、本実施形態の点灯制御システムの全体構成を示すブロック図である。色温度制御は、屋外に設置された外気温を測定するための温度センサー301からの情報を切替装置201(シーケンサ)及びコンバータ202を介して室内に設置されたコントローラ203にて受信し、そこから放電灯組込ユニット100の制御回路基板20に対し、色温度を決める出力信号を発信し、制御回路基板20がこの信号をもとに発光部(放電管)の色温度を可変する。なお、切替装置201、コンバータ202及びコントローラ203が本発明の制御部200を構成する。コントローラ203において、色温度を決め、その出力信号を発信する手段が本発明の色温度可変手段を構成する。
【0016】
パーソナルコンピュータ302には、温度センサー301によって検知される温度に対する色温度を決めるためのデータを設定するソフトウエアが格納されている。即ち、後述の基準値A,Bや、高色温度、中色温度、低色温度の3種類の光色モードを区別できる信号を作り出すためのデータを作成できる。そして、このデータをコンバータ202に注入する。したがって、基準値の調整や、微妙な色温度の調整を行うことができる。
【0017】
図3は、屋外の大気温度による色温度の決定の手順を示すフローチャートである。ステップS1では、温度センサー301によって屋外の温度を測定する。温度センサー301の測定値は、切替装置201及びコンバータ202を介してデジタル化されてコントローラ203に取り込まれる。ステップS2では、温度の測定値:Tと複数の基準値:A,B(A>B)と比較する。T>Aであれば“高い”と判定し、ステップS3へ移行して、色温度を高く設定する。A≧T>Bであれば“普通”と判定し、ステップS4へ移行して、色温度は中程度に設定する。B≧Tであれば“暗い”と判定し、ステップS5へ移行して、色温度を低く設定する。その後、ステップS6では、コントローラ203からの出力信号を決定し、ステップS7では、コントローラ203から放電管組込ユニット100へ信号を発信する。発信される信号の形式については特に限定しないが、例えば、高色温度、中色温度、低色温度の3種類の光色モードを区別できる信号であれば良い。
【0018】
ステップS8、S9は放電管組込ユニット100側の動作であり、制御回路基板20によりコントローラ203からの信号を受信し、R/G/Bの各放電管の出力比として光色モードを決定し、光色モードに応じて各放電管を発光させる。例えば、高色温度の光色モードでは青みがかった発光色、低色温度の光色モードでは赤みがかった発光色、中色温度の光色モードでは白っぽい発光色となるように切り替える。
【0019】
(第1実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)色温度を変えることができるので、大気の気温に応じて人が快適と感じる照明色を演出できる。その結果、空調の設定温度を緩いほうに変えることができ、省エネルギー、ひいては地球温暖化防止に貢献することができる。
(2)温度センサーによって屋外の温度を測定することとしたので、屋外の温度状態を照明状態を人間の体感機能を通じて把握することができるため、空調の過度な温度設定を抑えることが可能になる。
(3)パーソナルコンピュータに格納されたソフトウエアにより、大気温度と色温度との関係を容易に設定できるので、室内の状況等に応じて、容易に設定データの微妙な変更が可能となる。
【0020】
(別例等)
・ 第1実施形態においては、三段階に色温度を切り替える構成を例示したが、温度センサーによる温度検出値に応じてさらに多段階または連続的に色温度を変化させるように制御してもよい。また、今回の提案は、赤、緑、青の3色を利用したが、黄、紫、ピンクと色の組み合わせを変え、より快適に感じられる色温度を変化させても良い。室内には、日光の照射を受けやすい場所とほぼ、室内照明にて照らされている場所と存在するため、取り付ける位置によって色構成を代え、室内全域において、快適さを作り出すことができる。
【0021】
・ 第1実施形態においては、パーソナルコンピュータに格納されたソフトウエアに使用して、事前に色温度を決定するためのデータを予め格納していたが、状況に応じてこのデータを変更しても良い。例えば、四季に応じて、色変化の具合データを書き換え、より細かな色温度変化の運用が出来るようにしてもよい。また、近年、室外温度の上昇により熱中症患者の急増が発生している。過度な温度上昇を検出した場合、白点滅(ゆらぎのような動き)にて警戒警報のサインとして活用しても良い。
【0022】
・ 第1実施形態においては、光源として放電管を用いている。放電管の種類はネオン管であってもよいし、冷陰極菅等の他の放電管であってもよい。また、補助光源としてLEDや有機EL等を用いても良い。
【0023】
・ 第1実施形態においては、屋外の大気温度を測定したが、これに限定されず、屋内の大気温度を測定するようにしてもよいし、屋外大気温度と屋内大気温度との差をデータとして取り入れ採用しても良い。
【実施例】
【0024】
図4は、温度センサーの検出温度と、各放電管の明るさ(輝度)との関係を設定した表である。本実施例では、3本(赤色、緑色、青色)の放電管を搭載した放電管組込ユニットを使用している。温度センサーによって検出される温度は、1℃単位で検出値として取り入れ、5〜36℃までをおよそ3degの幅で分割して12の段階に分かれるようにその基準置(5,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36℃)を決定している。また、この各段階に応じて、各々の放電管の出力(パーセントで記載)を決定し、これらの混合色からの照射光を間接光として色温度を変化させる。この時の、色温度は、室外温度が低い場合には、暖色系の赤味の強い色となるように、室外温度が高い場合には、寒色系の青白い色となるように設定してある。また、色の順は、光のスペクトルに合わせ、波長の変化が徐々に変化するように設定してある。設定輝度は、放電管の輝度具合に応じて、視認性よく調整してある。温度センサーで計測を行い、コントローラにて、放電管の輝度を調節し、色温度を変化させる。
【符号の説明】
【0025】
20…制御回路基板(トランス)、40…発光部(R/G/B放電管)、100…放電管組込ユニット、200…制御部、201…切替装置、202…コンバータ、203…コントローラ、301…温度センサー、302…パーソナルコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電管と、入力した電源を昇圧し、その昇圧された電力を当該放電管に供給するトランスと、当該トランスと前記放電管との間に設けられ当該トランスからの前記電力を供給するための二次側配線とを、箱状になす本体ケース内に組み込んだ放電管組込ユニットを用いた点灯制御システムであって、
前記放電管から照射される光を調光・調色する制御部と、
前記制御部に接続され、大気温度を検出するセンサーと、を備え、
前記制御部には、前記センサーが高温度を検出した場合には光の色温度を高くし、前記センサーが低温度を検出した場合には光の色温度を低くする色温度可変手段を備える、
ことを特徴とする点灯制御システム。
【請求項2】
前記センサーは、屋外に設置され屋外の大気温度を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の点灯制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−79653(P2012−79653A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226448(P2010−226448)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(510266985)
【出願人】(000144544)レシップホールディングス株式会社 (179)
【Fターム(参考)】