説明

点灯回路及びそれを備えた照明装置

【課題】発光素子をPWM調光信号により調光する点灯回路において、深調光を安定して行なえるようにし、構成を簡単化する。
【解決手段】点灯回路は、PWM調光信号のオン期間に、発光素子への供給電圧(P6)を第1振幅値Vとし、PWM調光信号のオフ期間に、その電圧供給を停止する。指定される発光レベルが閾レベル以上であるとき、点灯回路は、発光レベルに応じてPWM調光信号のオン期間を延長又は短縮する。発光レベルが閾レベル未満であるとき、点灯回路は、オン期間を、閾レベル時の期間に維持し、発光素子への供給電圧を第2振幅値Vに切り替える期間を設け、その切替え期間を発光レベルに応じて延長又は短縮する。従って、オン期間に最短限度が設けられ、深調光時でもPWM調光信号を安定して生成できる。また、簡単な構成で深調光できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を調光する点灯回路及びにそれを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外部から指定される調光比に応じたPWM調光信号を生成し、そのPWM調光信号を用いて発光素子を調光する点灯回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。この点灯回路においては、指定される調光比の低下に従って、PWM調光信号のデューティ比が下がるように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−60703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の点灯回路においては、調光比の低下に伴って、PWM調光信号のデューティ比が下がり過ぎると、回路特性に起因して、PWM調光信号の安定した生成が難しくなることがある。そのため、深調光時(調光比が低い時)の発光素子の点灯状態が不安定になることがある。
【0005】
そこで、上記点灯回路において、PWM調光信号のオン期間に最短限度を設けることが考えられる。そして、オン期間が最短限度に達するまでは調光比に応じてオン期間を延長又は短縮し、オン期間が最短限度に達すると、調光比に関係なく、オン期間を最短限度に維持し、調光比に応じてPWM調光信号の振幅値を連続的に増減させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、PWM調光信号を構成する方形波の振幅値を連続的に増減するには、振幅値を連続的に増減する複雑なアナログ回路が必要になる。
【0007】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、深調光を安定して行うことができ、構成を簡単なものにすることができる点灯回路及びそれを備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の点灯回路は、発光レベルを指定する調光信号が入力され、その調光信号に基づいて発光素子を調光する点灯回路において、前記調光信号により指定される発光レベルに応じたデューティ比のPWM調光信号を生成する調光信号変換部と、前記調光信号変換部により生成されたPWM調光信号のオン期間に、前記発光素子に第1の振幅値の電流又は電圧を供給し、該PWM調光信号のオフ期間に、その供給を停止する給電制御部と、を備え、前記発光レベルが予め設定された閾レベル以上であるとき、前記調光信号変換部は、前記発光レベルに応じて、前記オン期間を延長又は短縮し、前記発光レベルが前記閾レベル未満であるとき、前記調光信号変換部は、前記オン期間を、前記発光レベルが前記閾レベルであるときの期間に維持し、前記給電制御部は、前記発光素子への供給電流又は供給電圧を、前記第1の振幅値から、該第1の振幅値よりも低い第2の振幅値に切り替える期間を設け、その切替え期間を前記発光レベルに応じて延長又は短縮することを特徴とする。
【0009】
この発明において、前記給電制御部は、前記発光レベルと前記切替え期間とを対応付けたルックアップテーブルを記憶した記憶部を有し、前記ルックアップテーブルを参照して、前記発光レベルに対応付けられた前記切替え期間だけ、前記発光素子への供給電流又は供給電圧を前記第2の振幅値に切り替え、前記ルックアップテーブルにおいて、前記切替え期間は、その切替え期間うちの前記オフ期間を除いた前記オン期間の合計時間が前記発光レベルに比例するように設定されていることが好ましい。
【0010】
この発明において、前記PWM調光信号のオフ期間に、前記発光素子が発光する閾電圧以上であって、前記調光信号により指定される下限の発光レベル以下で該発光素子を発光させることが可能な電圧を該発光素子に印加するための微小電流を流す微小電流発生部をさらに備えることが好ましい。
【0011】
本発明の照明装置は、前記点灯回路と、前記点灯回路により調光制御される発光素子と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光レベルが閾レベル未満になって調光が深くなるとき、PWM調光信号のオン期間は、閾レベル時のオン期間よりも短くはならず、一定になる。そして、発光素子への供給電流又は供給電圧が第1の振幅値から第2の振幅値に切り替わる期間が設けられ、その切替え期間が延長又は短縮されて、調光が行われる。従って、オン期間に最短限度が設けられることから、PWM調光信号の安定した生成が可能になり、調光を安定して行うことができる。また、深調光は、振幅値の2値間の切替え制御とその切替え期間の制御とだけで行えることから、その構成をデジタル回路で実現でき、供給電流又は供給電圧の振幅値を発光レベルに応じて連続的に増減する複雑なアナログ回路は不要になり、構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る照明装置の斜視図、(b)はその断面図。
【図2】上記照明装置に備えられた点灯回路の回路図。
【図3】上記照明装置の発光素子の電圧−電流特性図。
【図4】上記照明装置の各部の信号と発光素子への印加電圧のタイミングチャート。
【図5】上記発光素子の調光比に対するPWM制御信号及び振幅制御信号の各々のデューティ比を示すグラフ。
【図6】上記調光比の減少に伴う振幅制御信号の波形変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る照明装置について図1乃至図6を参照して説明する。図1(a)(b)は、本実施形態の照明装置の構成を示す。照明装置1は、3つの発光パネル2、3、4と、それらの発光パネル2、3、4を収容する筐体5とを備え、天井、壁、床、スタンド等に固定して使用される。発光パネル2、3、4は、筐体5の一面に形成された3つの開口から、それぞれ、発光面が露出するように設けられている。
【0015】
発光パネル2、3、4は、互いに同じ構成であり、以下、発光パネル2を例にとって説明する。発光パネル2は、発光素子21と、その発光素子21を調光する点灯回路22とを備える。発光素子21は、有機EL素子により構成される。点灯回路22は、電源線に接続され、その電源線を介して商用電源から50Hz又は60Hzの交流電圧が供給される。また、点灯回路22は、信号線にも接続されており、その信号線を介して制御装置から調光信号が入力され、その入力された調光信号を基に、発光素子21を調光する。この調光信号は、複数段のいずれかの調光比(発光レベル)を指定する信号である。電源線及び信号線の代わりとして、信号の重畳された電力を供給する信号・電源重畳線が用いられてもよい。
【0016】
図2は、点灯回路22の構成を示す。点灯回路22は、外部入力の調光信号により指定される調光比(以下、単に調光比という)に応じたデューティ比のPWM調光信号を生成する調光信号変換回路23(調光信号変換部)を有する。また、点灯回路22は、商用電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換するAC−DC回路24を有する。また、点灯回路22は、調光信号変換回路23により生成されたPWM調光信号(以下、単にPWM調光信号という)に基づいて、AC−DC回路24による出力電圧を発光素子21に供給する給電制御回路25(給電制御部)を有する。給電制御回路25は、PWM調光信号のオン期間に、AC−DC回路24による出力電圧を第1振幅値の電圧に変換して発光素子21に供給し、PWM調光信号のオフ期間に、その供給を停止するものである。調光比が予め設定された閾値(閾レベル)以上であるとき、調光信号変換回路23は、調光比に応じて、PWM調光信号のオン期間を延長又は短縮し、例えば、調光比の増加に伴って、オン期間を延長する。調光比が閾値未満であるとき、調光信号変換回路23は、PWM調光信号のオン期間を、調光比が閾値であるときの期間に維持する。また、給電制御回路25は、発光素子21への供給電圧を第1振幅値としながら、その供給電圧を第1振幅値から、その第1振幅値よりも低い第2振幅値に切り替える期間を周期的に設け、その切替え期間を調光比に応じて延長又は短縮する。
【0017】
また、点灯回路22は、AC−DC回路24から発光素子21への通電経路中に挿入された電流検出用の抵抗器R1を用いて、発光素子21に流れる電流を検出する電流検出回路26を有する。電流検出回路26は、抵抗器R1の両端電圧を検出する。その両端電圧は抵抗器R1に流れる電流に比例することから、電流検出回路26は、電圧の検出信号を、電流の値を示す信号として、誤差アンプ等により増幅して出力する。後述するが、この検出信号は、発光素子21への供給電圧の振幅値の切替えに用いられる。
【0018】
AC−DC回路24は、整流ダイオード又は力率改善機能を有した昇圧チョッパ回路等を用いて、交流電圧を直流電圧に変換する。給電制御回路25は、AC−DC回路24による出力電圧を、発光素子21の駆動に適した電圧に降下させる電力変換回路27と、電力変換回路27を制御する制御回路28とを有する。
【0019】
電力変換回路27は、AC−DC回路24から発光素子21への通電経路中に設けられたスイッチング素子27aと、ダイオードD1と、チョークコイルL1と、コンデンサC1とを有した降圧チョッパ回路である。この降圧チョッパ回路は、汎用の構成を有し、詳細な説明は省略する。上記降圧チョッパ回路は、スイッチング素子27aの入切り動作により発光素子21への通電をオンオフして、チョークコイルL1により脈流電圧を生成し、その生成された脈流電圧をコンデンサC1により平滑化して発光素子21に供給する。スイッチング素子27aは、高速のスイッチングが可能なNチャネルのMOSFET等により構成される。スイッチング素子27aは、電流が流れる方向の発光素子21よりも下流側に配置されている。抵抗器R1は、電流がAC−DC回路24へ戻る方向のスイッチング素子27aよりも下流側に配置され、スイッチング素子27aと直列に接続されている。
【0020】
制御回路28は、調光比が閾値未満であるときだけ、調光比に応じたデューティ比の振幅制御信号を出力する振幅制御回路28aと、調光比とデューティ比とを対応付けたルックアップテーブルを記憶したメモリ28b(記憶部)とを有する。振幅制御信号は、発光素子21への供給電圧を第1振幅値から第2振幅値に切り替えるべき期間にHighになるPWM信号であり、その切替え期間が調光比に応じて変更され、そのようにして、デューティ比が調光比に応じて増減される。振幅制御信号のデューティ比は、調光比が低下するほど、高くなるように設定されている。振幅制御回路28aは、メモリ28b内のルックアップテーブルを参照し、調光比に対応付けられたデューティ比で、振幅制御信号のHigh期間に発光素子21への供給電圧を第2振幅値に切り替える。このようにして、振幅制御回路28aは、調光比に対応付けられた切替え期間だけ、発光素子21への供給電圧を第2振幅値に切り替える。
【0021】
また、制御回路28は、振幅制御回路28aによる出力信号に基づき、電流検出回路26による検出信号と比較する対象の参照電圧Vrefを切り替える基準切替回路28cと、参照電圧Vrefと上記検出信号とを比較する比較器28dとを有する。基準切替回路28cは、抵抗器R2、R3、R4により電源電圧Vccを分圧する抵抗分圧回路と、抵抗器R4に並列接続され、振幅制御回路28aの出力信号を基に、電流を抵抗器R4に流すか又はバイパスするかを切り替えるスイッチング素子Tr1とを有する。抵抗R3、R4の両端電圧が参照電圧Vrefに設定されている。スイッチング素子Tr1は、振幅制御回路28aの出力信号がLowであるときに切状態になって、電流を抵抗器R4に流し、上記出力信号がHighであるときに入状態になって、電流をスイッチング素子Tr1に引き込み、抵抗器R4からバイパスさせる。この電流経路の切替えにより、スイッチング素子Tr1は、抵抗R3、R4の両端電圧、すなわち、参照電圧Vrefを、HighとLowの2値の間で切り替える。振幅制御回路28aの出力信号がLowのときに参照電圧VrefがHighになり、上記出力信号がHighのときに参照電圧VrefがLowになるように、抵抗器R2〜R4は、各抵抗値が予め設定されている。スイッチング素子Tr1は、NチャネルのMOSFET等により構成される。
【0022】
また、制御回路28は、比較器28dによる出力信号と調光信号変換回路23から出力されるPWM調光信号とを乗算する乗算器28eを有し、その乗算された信号を用いてスイッチング素子27aを入切りする。
【0023】
ところで、発光素子21は、有機EL素子により構成されることから、図3に示すダイオード特性を有する。この特性により、発光素子21は、印加電圧が閾電圧Vth以上になると、発光し始める。ただし、閾電圧Vthは、製造誤差に起因して個体間でばらつきがある。そのため、照明装置に、発光素子21が複数、設けられている場合、次の問題が。すなわち、各発光素子21の調光に、同じPWM調光信号が用いられたとしても、PWM調光信号がオフ期間からオン期間に切り替わるときの各発光素子21の発光タイミングに差が生じてしまう。
【0024】
そこで、点灯回路22は、PWM調光信号のオフ期間に、発光素子21に、所定電圧を印加するための微小電流を流す微小電流発生回路29をさらに有する。上記の所定電圧は、発光素子21が発光する閾電圧Vth以上であって、調光信号により指定される下限の発光レベル以下で発光素子21を発光させることが可能な電圧である。微小電流発生回路29は、高インピーダンスのインピーダンス要素29aにより構成される。インピーダンス要素29aは、一端が発光素子21の陰極に接続され、他端が接地されており、電流の流れる方向の発光素子21よりも下流側に在り、電流が発光素子21から電力変換回路27に戻る経路から分岐した経路に挿入されている。この配置により、PWM調光信号がオフであってスイッチング素子27aが切状態である期間においても、微小電流がAC−DC回路24から発光素子21及びインピーダンス要素29aを経由してグランドへと流れる。インピーダンス要素29aは、抵抗器、順方向に接続されたダイオード、又は寄生ダイオード等により構成でき、その抵抗値は、例えば数kΩ〜数十kΩである。微小電流は、上記条件を満たす範囲内において、定格電流(例えば100mA)に対して電流比で1%以下の値(例えば1mA以下)に設定されるのが好ましい。
【0025】
次に、点灯回路22の各部の動作について、図2に加え、図4を参照して説明する。図4は、図2に示される照明装置1内の点P1〜P5、P7の各点における信号と発光素子21への印加電圧P6とを示す。ここで、調光比は閾値未満であるとする。調光信号変換回路23は、調光比が閾値と等しいときのデューティ比に固定されたPWM調光信号(点P1の信号)を出力する。PWM調光信号の周期は、例えば0.5ms〜10ms(周波数f=0.1kHz〜2kHz)である。振幅制御回路28aは、調光比に応じたデューティ比の振幅制御信号(点P2の信号)を出力する。この出力信号がLowであるとき、参照電圧VrefはHighになり、出力信号がHighであるとき、参照電圧VrefはLowになる(点P3の信号参照)。
【0026】
スイッチング素子27aが入状態になると、抵抗器R1に流れる電流が、チョークコイルL1及びコンデンサC1の時定数に応じて増加し、電流検出回路26による検出信号(点P3の信号)の値が増える。比較器28dは、この検出信号の値が参照電圧Vrefに達すると、出力(点P4の信号)をLowにする。これにより、スイッチング素子27aが切状態になり、チョークコイルL1からのエネルギが放出されて、抵抗器R1に電流が流れるが、その電流は、上記時定数に応じて、徐々に減少し、電流検出回路26による検出信号は減少する。そして、検出信号の値がゼロになるとき、比較器28dは出力をHighとし、スイッチング素子27aが入状態になる。比較器28dは、このような出力動作により、PWM調光信号よりも高周波でパルス状の信号を出力する。その出力信号の周期は、電流検出回路26による検出信号と略等しく、例えば1μs〜10μs(周波数f=100kHz〜1MHz)である。
【0027】
ところで、参照電圧VrefがHighからLowに切り替わったとしても、抵抗器R1の電流は、チョークコイルL1及びコンデンサC1の時定数に応じて、参照電圧VrefがHighであるときと同等の傾きで増減する。そのため、参照電圧VrefがLowに切り替わると、参照電圧VrefがHighのときと比べ、電流検出回路26による検出信号が参照電圧Vrefに達するまでの時間と、その後に検出信号がゼロに戻るまでの時間とが短くなり、検出信号の周波数が高くなる。従って、比較器28dの出力信号の周波数も高くなる。その出力信号において、参照電圧VrefがHighであるときのデューティ比を第1デューティ比とすると、参照電圧VrefがLowに切り替わった後には、デューティ比が、第1デューティ比よりも低い第2デューティ比に切り替わる。
【0028】
乗算器28eは、比較器28dによる出力信号(点P4の信号)と、PWM調光信号(点P1の信号)とを乗算する。この乗算により得られるスイッチング制御信号(点P5の信号)は、PWM調光信号のオン期間Tonには、信号値がHighとLowとの間で繰り返し切り替わり、PWM調光信号のオフ期間Toffには、Lowのままである。オン期間Tonにおいて、振幅制御信号(点P2の信号)がLowである期間、スイッチング制御信号の値は第1デューティ比で切り替わり、振幅制御信号がHighである期間、信号値は第2デューティ比で切り替わる。
【0029】
乗算器28eは、このようなスイッチング制御信号でもってスイッチング素子27aを入切りする。その結果、スイッチング素子27aが第1デューティ比で入切りされているときには、発光素子21への供給電圧P6は、第1振幅値Vとなる。また、スイッチング素子27aが第2デューティ比で入切りされているときには、第2デューティ比が第1デューティ比よりも低い分だけ、発光素子21への供給電圧P6が低下し、供給電圧は、第2振幅値Vとなる。このようにして、第1振幅値Vと第2振幅値Vとを組み合わせて、各振幅値の期間の割合を変更することによりハイブリットタイプの調光が行われる。
【0030】
発光素子21に供給される電流(点P7の信号)は、発光素子21への供給電圧に応じて増減する。PWM調光信号のオン期間Ton、供給電流の振幅値は、供給電圧の振幅値の切り替わりに従って、2値の間で切り替わる。PWM調光信号のオフ期間Toff、発光素子21には、微小電流発生回路29から閾電圧Vthを僅かに超える電圧が印加され、それにより、微小電流Iminが流れる。
【0031】
次に、PWM調光信号及び振幅制御信号の各々のデューティ比制御について、図2に加えて、図5を参照して説明する。図5は、調光比に対する各信号のデューティ比を示す。
【0032】
PWM調光信号のデューティ比は、図中のラインL2で示す対調光比の関係に従って制御される。調光比が100%から閾値までの範囲では、調光比の低下に比例して、デューティ比が減少する。そして、調光比が閾値未満の範囲では、調光比に関係なく、デューティ比が、調光比が閾値であるときのデューティ比、例えば10%に維持される。
【0033】
振幅制御信号のデューティ比は、図中のラインL3で示す対調光比の関係に従って制御される。この関係は、メモリ28bに格納されたルックアップテーブルをグラフ化したものである。調光比が100%から閾値までの範囲では、デューティ比はゼロである。そして、調光比が閾値未満の範囲では、調光比が所定値になるまで、調光比の低下に比例してデューティ比が増加する。そして、調光比が所定値になると、デューティ比が例えば5%から50%へと飛越し設定される。調光比が所定値よりもさらに下がるときには、デューティ比が、その飛越し後の値を起点として、調光比の低減に比例して増加し、調光比が0%のとき、デューティ比は例えば55%になる。
【0034】
上述した飛越し設定の理由について図6を参照して説明する。ここで、振幅制御信号がHighである期間(振幅の切替え期間)をThとする。この期間ThがPWM調光信号(P1)のオン期間Tonとしか重ならない場合には、調光信号に応じて振幅制御信号(P2)のデューティ比を増減すると、発光素子21への供給電圧(P6)が第1振幅値Vである期間がリニアに増減する。一方、調光比が減少して期間Thがさらに延び、PWM調光信号のオフ期間Toffと重なるとする。その場合、調光信号に応じて振幅制御信号のデューティ比を増減したとしても、オフ期間Toffには、電力変換回路27から発光素子21への通電が遮断されていることから、供給電圧は実質的に変化しない。従って、指定される調光比に従って実際の調光比を下げるためには、期間Thを延ばして、期間Thが期間Toffを超してPWM制御信号の次のオン期間Tonと重なるようにする必要がある。そこで、指定される調光比に応じて発光素子21の実際の調光比を線形的に増減できるようにするため、期間Thは、その期間Thのうちのオフ期間Toffを除いたオン期間Tonの合計時間が調光比に比例するように設定されている。
【0035】
本実施形態の点灯回路22においては、調光比が閾値未満になって調光が深くなるとき、PWM調光信号のオン期間Tonは、調光比が閾値である時のオン期間よりも短くはならず、一定になる。そして、発光素子21への供給電圧が第1振幅値Vから第2振幅値Vに切り替わる期間が設けられ、その切替え期間が延長又は短縮されて、調光が行われる。従って、オン期間に最短限度が設けられることから、PWM調光信号の安定した生成が可能になり、調光を安定して行うことができる。また、深調光は、振幅値の2値間の切替え制御とその切替え期間の制御とだけで行えることから、その構成をデジタル回路で実現でき、供給電圧の振幅値を発光レベルに応じて連続的に増減する複雑なアナログ回路は不要になり、構成が簡単になる。
【0036】
また、指定される調光比が閾値未満であるとき、メモリ28b内のルックアップテーブルが参照され、PWM調光信号のデューティ比を、その調光比に対応付けられたデューティ比に設定するだけで、発光素子21の調光比を線形的に増減することができる。従って、調光比を線形的に増減するための構成を簡単にすることができる。
【0037】
また、PWM調光信号のオフ期間Toff中であっても、発光素子12には、閾電圧Vthを僅かに超える電圧が印加され、指定される最低の調光比以下で僅かに発光する。そのため、PWM調光信号がオフ期間Toffからオン期間Tonに切り替わるときに、発光素子21への印加電圧が閾電圧Vthを超えるまでに要する期間が無くなる。従って、閾電圧Vthは、製品誤差に起因にして発光素子間で個体差があるが、複数の発光素子を点灯対象とした場合であっても、各発光素子間の点灯タイミングをそろえることができる。
【0038】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、発光素子21は、有機EL素子に限定されず、ダイオード特性を有するものであればよく、例えばLEDであっても構わない。
【符号の説明】
【0039】
1 照明装置
21 発光素子
22 点灯回路
23 調光信号変換回路(調光信号変換部)
25 給電制御回路(給電制御部)
27 電力変換回路
28 制御回路
29 微小電流発生回路(微小電流発生部)
Ton PWM調光信号のオン期間
Toff PWM調光信号のオフ期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光レベルを指定する調光信号が入力され、その調光信号に基づいて発光素子を調光する点灯回路において、
前記調光信号により指定される発光レベルに応じたデューティ比のPWM調光信号を生成する調光信号変換部と、
前記調光信号変換部により生成されたPWM調光信号のオン期間に、前記発光素子に第1の振幅値の電流又は電圧を供給し、該PWM調光信号のオフ期間に、その供給を停止する給電制御部と、を備え、
前記発光レベルが予め設定された閾レベル以上であるとき、前記調光信号変換部は、前記発光レベルに応じて、前記オン期間を延長又は短縮し、
前記発光レベルが前記閾レベル未満であるとき、前記調光信号変換部は、前記オン期間を、前記発光レベルが前記閾レベルであるときの期間に維持し、前記給電制御部は、前記発光素子への供給電流又は供給電圧を、前記第1の振幅値から、該第1の振幅値よりも低い第2の振幅値に切り替える期間を設け、その切替え期間を前記発光レベルに応じて延長又は短縮することを特徴とする点灯回路。
【請求項2】
前記給電制御部は、前記発光レベルと前記切替え期間とを対応付けたルックアップテーブルを記憶した記憶部を有し、前記ルックアップテーブルを参照して、前記発光レベルに対応付けられた前記切替え期間だけ、前記発光素子への供給電流又は供給電圧を前記第2の振幅値に切り替え、
前記ルックアップテーブルにおいて、前記切替え期間は、その切替え期間うちの前記オフ期間を除いた前記オン期間の合計時間が前記発光レベルに比例するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の点灯回路。
【請求項3】
前記PWM調光信号のオフ期間に、前記発光素子が発光する閾電圧以上であって、前記調光信号により指定される下限の発光レベル以下で該発光素子を発光させることが可能な電圧を該発光素子に印加するための微小電流を流す微小電流発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の点灯回路。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の点灯回路と、
前記点灯回路により調光制御される発光素子と、を備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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