説明

焙煎茶の抽出方法

【課題】植物やキノコなどの茶の原料を高温の遠赤外線焙煎で焙煎したのち、圧力抽出茶器で一般栄養成分、抗酸化物質等の機能性成分を多量に抽出する焙煎茶の抽出方法を提供する。
【解決手段】
植物類及びキノコ類を180℃から350℃の遠赤外線焙煎熱で均一に焙煎して、遠赤外線焙煎茶とし、該遠赤外線焙煎茶を完全密封容器構造で1.5気圧から3気圧の範囲で110℃から130℃の範囲でポリフェノール及び多糖類の高分子構造の成分を飽和熱水で蒸留する茶器で抽出して、高分子構造を低分子化して抽出する焙煎茶の抽出方法であって、植物類及びキノコ類は、笹、ボタンボウフウ、レイシから選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物やキノコなどの茶の原料を高温の遠赤外線焙煎で焙煎したのち、圧力抽出茶器で一般栄養成分、抗酸化物質等の機能性成分を多量に抽出する焙煎茶の抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、中国でも日本でも伝統的に茶を煎じるためには、茶ふう、急須と呼ばれる茶器を用いてきた。急須の形状、構造は中国でも日本でも古来大きな変化はない。茶は風味やうま味を味わうことが主目的で、茶の成分抽出は二の次であった。
茶製品を急須に入れて熱い湯を注ぎ数十秒程度成分抽出してそのエキスを茶として飲むのであるが、栄養成分の抽出は原材料全体からみると、すこぶる少量しか抽出されておらず、効率がよくない。
また、漢方薬や野草茶を土鍋などで煎じる手法も一部使われてきた。
しかし、100℃(1気圧)限界の飽和熱水では、機能性の高い栄養分であるポリフェノールや多糖類などはあまり抽出できない。古来ツバキ科の「茶」と呼ばれている植物のほかに、「茶」と呼ばれている分野が世界中にある。玄米茶、はと麦茶、笹茶、ジャスミン茶、ハーブ茶などがそれにあたる。これらの茶の多くはその原材料の持つ機能性成分を健康維持のため活用することが多い。
しかし、植物の細胞壁は2気圧から3気圧に耐えられる構造になっているため、1気圧での従来の急須やなべなどでは、細胞内の大部分の栄養成分は細胞壁で保護されたままなので、十分な抽出が不可能であった。
したがって、地域特産の健康茶が販売されているが、それらの原料は良質であっても従来の抽出法ではポリフェノールや多糖類などの機能性成分を多量に抽出できないのが実態である。
なお、高品質のコーヒーを抽出するために高圧にするコーヒーメーカーは特許文献1として、100℃程度の遠赤外線で焙煎する装置自体は、特許文献2、特許文献3としてそれぞれ公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3111793号公報
【特許文献2】特開平6−205660号公報
【特許文献3】特開2005−6551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の茶器は、茶製品を急須に入れて熱い湯を注ぎ数十秒程度成分抽出して、そのエキスを茶として飲んできた。香りやうま味の抽出が主であり栄養成分の抽出は原材料全体からみるとすこぶる少量しか抽出されていない。また、漢方薬や野草茶を土鍋などで煎じる手法も一部使われてきた。
しかし、従来のように、100℃、1気圧限界の飽和熱水での焙煎茶の抽出方法では、機能性の高い栄養分である植物繊維やポリフェノールなどはあまり抽出できない。
本発明の解決しようとする問題点は、従来の急須や土鍋で煎じて抽出する成分をはるかに超える栄養成分を抽出でき、従来抽出できなかった機能性の高いポリフェノールや多糖類などの成分を多量に抽出することができる焙煎茶の抽出方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は、植物やキノコなどの強い細胞壁から機能性成分を多量に抽出するために、200℃から350℃の高温の遠赤外線で焙煎して細胞壁を砕いてから、1.5気圧以上3気圧で110℃から130℃の飽和熱水で抽出する焙煎茶の抽出方法である。この焙煎茶の抽出方法では、従来の急須や土鍋で煎じて抽出する成分を、はるかに超える栄養成分抽出力があり、従来抽出できなかった抗酸化物質等の機能性の高いポリフェノールや多糖類などの成分を多量に抽出することができる。
すなわち、請求項1の発明は、植物類及びキノコ類を180℃から350℃の遠赤外線焙煎熱で均一に焙煎して、遠赤外線焙煎茶とし、該遠赤外線焙煎茶を完全密封容器構造で1.5気圧から3気圧の範囲で110℃から130℃の範囲でポリフェノール及び多糖類の高分子構造の成分を飽和熱水で蒸留する茶器で抽出して高分子構造を低分子化して抽出する焙煎茶の抽出方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の焙煎茶の抽出方法において、植物類及びキノコ類は、笹、ボタンボウフウ、レイシから選択されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高温の遠赤外線で焙煎した後、加圧抽出するので、(1)より多種類の栄養成分を効率よく抽出できるため、健康に大きく寄与できる。また、(2)遠赤外線焙煎と圧力抽出で相互効果を高め合い、今までにない成分比率の独特の焙煎茶の抽出が可能となる。特に、(3)従来の茶器や鍋などでは抽出できなかった抗酸化力の強いポリフェノールや植物繊維が多量に抽出できる。更に、(4)今までにない、地域特産の多種類の茶の有効利用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の焙煎に使用する遠赤外線焙煎装置の稼働前の全体の断面図、
【図2】図1の平面図、
【図3】図1の遠赤外線焙煎装置の稼働中の全体の断面図、
【図4】図1の遠赤外線焙煎装置の焙煎終了を説明する断面図、
【図5】本発明の焙煎茶の抽出に使用する抽出器(茶器)の一例の断面図、
【図6】図5の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、強い細胞壁からなる植物やキノコなどを、高温の遠赤外線で焙煎して細胞壁を破壊し、この焙煎茶を高圧高温の飽和熱水が生成する茶器で抽出して、抗酸化物質等の機能性の高いポリフェノールや多糖類などの成分を多量に抽出することを実現した。
【実施例1】
【0009】
本発明は、乾燥した原材料を茶として利用できる程度にカットしてから、200℃から350℃の高温の遠赤外線で焙煎して細胞壁を砕いて焙煎茶とする第1工程と、第1工程で仕上がった焙煎茶を、1.5気圧から3気圧の範囲で110℃から130℃の範囲の高圧高温の飽和熱水を生成する茶器で抽出して、抗酸化物質等の機能性の高いポリフェノールや多糖類などの成分を多量に抽出する第2工程から構成される。
【0010】
[遠赤外線焙煎装置(第1工程)]
本発明の本実施例1は、乾燥した原材料を茶として利用できる程度にカットしてから細胞壁を破砕し高分子成分を低分子で抽出するために遠赤外線をベースに220℃の熱源で5分から15分均一に焙煎した遠赤外線焙煎茶とする。
ここで、実施例1の遠赤外線焙煎茶を製造する遠赤外線焙煎装置1を説明する。
遠赤外線焙煎装置1は、図1、図2に示すように、大きくは、各装置を配置する架台11と、蓋部13(ヒータ付カバー)の天井部の内壁に設けた遠赤外線ヒーター部12と、原料をかき混ぜる撹拌槽14と、移動可能な移送容器19とからなる。
前記蓋部13の天井内壁には、ヒータ表面温度が400〜500℃の遠赤外線ヒーター部12が昇降機構121によって上下に移動可能に設けられ、この昇降機構121は枠体124の適所(両側)に設けたスライド棒122を蓋部13に設けたスライド孔123に貫通させた構成で、この一対の枠体124には雌ネジ部125が設けられ、雌ネジ部125はハンドル127によって回転する雄ネジが施されたネジ棒126に嵌合している。そして、スライド棒122の下端に遠赤外線ヒーター部12が取り付けられている。
したがって、蓋部13の上面両側に設けた昇降機構121の一対のハンドル127(図2参照)を正逆回転させることにより、枠体124とともに遠赤外線ヒーター部12の上下方向の位置を調整できる。そして、この蓋部13の全体は、図3に示すように、架台11の後背部に設けた一対のスライド台111(図2参照)を使用者が把持部131を持ってスライドさせ、撹拌槽14の上部を覆うように移動する。
【0011】
撹拌槽14の内部には、図2に示すように、回転する3本のパドル15が横方向に平行に配置され、この3本のパドル15の回転軸の表面には若干斜行した撹拌羽根151が配置され、パドル15の端部にはそれぞれスプロケット152が設けられ、位置が調整可能な張力調整スプロケット153と含めてチェーン154を掛け渡すことにより、図3の矢印方向を示すように、両側のパドル15が同方向に、中央のパドル15が反対方向に同期回転するようにしてある。このパドル15の内、1本(図1で右端)の端部には被駆動プーリ155が設けられ、図2に示すように、駆動モータ16の駆動プーリ161と被駆動プーリ155とにベルト162を掛け渡して回転させる。
このように近接し互いに逆回転する3本のパドル15と、短い幅で若干斜めの撹拌羽根151により、焙煎すべき原材料が上方へ掻き上げと落下を繰り返すことにより、循環して遠赤外線ヒーター部12に近づき、均一に加熱させ撹拌も促進され、均一に焙煎される。
【0012】
この撹拌槽13内に焙煎対象となる植物やキノコの原料Aを選定して、原料Aを細かく砕いて投入し、遠赤外線ヒーター部12と移動機構121でその位置を調整して、所定温度で、所定時間焙煎して焙煎茶Bとする。
本実施例1の遠赤外線焙煎での焙煎温度は、220℃としたが200℃から350℃の範囲がよく、200℃以下では細胞壁を砕く率が少ないと想定され、抽出実験での栄養成分等の抽出量が少なく、350℃以上であると炭化が進行して逆に抽出実験での栄養成分等の抽出量が低下してしまう。好ましくは、210℃から300℃の範囲がよい。焙煎時間も対象物の焙煎具合をみて炭化しない程度に設定すればよく、通常、5分から15分の範囲で均一に焙煎すればよく、余り時間をかけても、抽出効果は向上しない。
【0013】
このように、所定時間が経過して、焙煎茶Bが焙煎し終わると、撹拌槽13を反転機構17によって反転させて、焙煎茶Bを移送容器19に移すことになる。
図4に示すように、反転機構17は、中央のパドル15aと同軸の回動軸171を中心に回動するようになっており、ハンドル172を回転させることにより、ウォームギアや減速機構173を介して、回動軸を180度反転させ、撹拌槽13内の焙煎茶Bを移送容器19に落下させて収納する。
反転の際に、焙煎茶Bが外部にこぼれ落ちないように、撹拌槽14の上部を覆うように弧状のシュート18が設けられいる。また、移送容器19は高温の焙煎茶Bを早急に冷却するように、容器壁面は外部の空気が進入しやすいように金網191で構成されている。移送容器19は、図4に示すように、移動可能なキャスター192付きの移送容器19であるので、回収された焙煎茶Bは移送容器19ごと次の工程に運ばれる。
【0014】
以上の作動手順を説明すると、以下のようになる。
(1)把持部131を持って蓋部13を後方に後退させ、原料Aを撹拌槽14に投入する。
(2)把持部131を持って蓋部13を手前に引き寄せ、撹拌槽14の上部にセットする。
(3)昇降機構121のハンドル127を回転させ、原料Aとの加熱距離を所定の距離に設定する。
(4)遠赤外線焙煎装置1の操作盤(図示せず)で焙煎温度と、焙煎時間を所定の数値にセットする。
(5)操作盤(図示せず)の遠赤外線ヒーター部12の電源スイッチを入れ(ON)、パドルの運転の稼働スイッチを入れる(ON)。
(6)所定時間焙煎後に遠赤外線ヒーター部12の電源が切れる(OFF)。運転の稼働も停止する。
(7)蓋部13を後方に後退させ、撹拌槽14を装置の手前方向に180度反転させる。この時点でも焙煎茶Bの掻き出しを助長するためにパドル15の運転は継続させている。
(8)シュート18を介して、焙煎茶Bを下部の移送容器19に落下させ回収する。
(9)パドル15の稼働を停止し、反転機構17のハンドル172を逆転させて撹拌槽を上向きの通常の位置に戻す。
以下は、上記の(1)から(9)の作動を繰り返せば、焙煎茶Bを製造することができ、特に、昇降機構121により適切に、遠赤外線焙煎での焙煎温度を220℃、及び、200℃から350℃の範囲に設定することができる。
【0015】
[抽出器(茶器)(第2工程)]
上記の遠赤外線焙煎装置1で焙煎した焙煎茶Bを抽出器2を用いてその成分を抽出するが、この抽出器2は、1.5気圧以上3気圧で110℃から130℃の飽和熱水で抽出する所謂圧力ナベであればよい。この1.5気圧以上3気圧の範囲は、1.5気圧以下では抽出効果が出にくく、3気圧以上では3気圧以下と比べて効果の向上がみられず、装置も大がかりになり経済的にも不利であるからである。また、110℃から130℃の飽和熱水で抽出するが、110℃以下では通常の100℃での抽出効果と大差なく、110℃以上で効果が顕著になり、130℃以上では130℃以下と比べて効果の向上がみられず、装置も大がかりになり経済的にも不利であるからである。
本実施例では、業務用の圧力ガマを使用し、2気圧で120℃の飽和熱水を確保して、その中で遠赤外線焙煎茶の成分を抽出した。
【0016】
本発明では、業務用の圧力ガマは、一般家庭では使用が不便であるので、簡易には次に示すような茶器2でよく、業務用圧力ガマと同等の結果が得られるので、これを、図3、4に示して説明する。
先ず、抽出器(茶器)2の本体21の素材は、2気圧に耐え得ること、加工しやすいことを理由にステンレスとした。また、抽出器2の本体21の上部には蓋部22を設け、この蓋部22の外周近傍には抽出器2内を気密にするためパッキン221が設けられ、3カ所の蓋止め部材211で蓋部22が圧力で外れないように蓋部22を本体21に強固に固着し、この蓋止め部材211は焙煎茶Bの高圧高温の飽和熱水での抽出後には簡単に蓋22が外れるような構造である。なお、本体21の適所には把持部212が設けられている。
抽出器2の本体21の蓋22の適所には、内気圧調整の蒸気弁23と設定圧力を超えた時に蒸気が開放される安全弁24を設置しており、所定の圧力を維持するようになっている。また、抽出器(煎じ器)2の蓋22の内側には茶葉などが蒸気弁23や安全弁24をふさがないように蓋部22から3cm以上の間隔を保って防網25を底部に配設して空間部を構成している。
抽出器2の本体21の外側底部には厚いセラミック等をコーティングした熱板213が施され、ヒーター等の熱源3に直接置くことが可能である。本体21の内側底部には多数の遠赤外線セラミックボール26が網板27を隔て載置されている。
使用に際しては、本体21内に焙煎茶Bと水とを投入し、蓋部22を蓋止め部材211で気密に固着して、熱源3に熱板213を載せて、所定時間加熱する。
【0017】
[実施例1での抽出方法]
(1)実施例1での前処理
[原材料]:笹(禾本科)、レイシ(きのこ)、ボタンボウフウ(セリ科)
上記原材料を、それぞれ乾燥しカットして、前述した遠赤外線焙煎装置1に投入し、下記の条件において遠赤外線焙煎をした。
[遠赤外線焙煎時間]5分から15分
[遠赤外線焙煎機による温℃]摂氏220℃
(2)実施例1での抽出器での抽出方法
遠赤外線焙煎茶Bを、抽出器2に相当する圧力ナベに1500mlの水を入れて、それぞれの焙煎茶15gを投入する。その後、蓋をして機密性を保持したのち、電気やガスを熱源として中火程度で水を沸かす。
約20分後飽和熱水温度120℃、2気圧になると蒸気弁から水蒸気が漏れ出した時に熱源を切ってそのまま15分程度置いた抽出水が80℃になる頃、蓋を開封して、エキスを圧力ナベから取り出す。
開放ナベは1500mlの水を入れて、それぞれの未焙煎茶15gを投入する。蓋をして電気やガスを熱源として中火程度で水を沸かし沸騰した後、熱源を止めて抽出水が80℃になるころ開放ナベから取り出す。
【0018】
[比較例1での抽出方法]
(1)比較例1での前処理
[原材料]:笹(禾本科)、レイシ(きのこ)、ボタンボウフウ(セリ科)
上記原材料を、それぞれ乾燥してカットしているが、未焙煎である。
(2)比較例1での抽出器による抽出方法
開放ナベは1500mlの水を入れて、それぞれの未焙煎茶15gを投入した。蓋をして電気やガスを熱源として中火程度で水を沸かし沸騰した後、熱源を止めて抽出水が80℃になるころ開放ナベから取り出す。
【0019】
[実施例1と比較例1での抽出成分の比較検討]
(1)[表1]は、実施例1と比較例1でのレイシ(きのこ)抽出主要成分量の測定値である。
【表1】

【0020】
この[表1]から、レイシはきのこの中ではとても堅牢な形状であるが、比較例1の開放ナベと比較して、本発明の実施例1の遠赤外線焙煎と2気圧ナベの組み合わせによる抽出方法では、植物繊維440%、ポリフェノール360%もの割合で抽出量が増加しており、本発明の焙煎茶の抽出方法が非常に有効であるかが判る。
【0021】
(2)[表2]は、実施例1と比較例1での笹(禾本科)の抽出主要成分量の測定値である。
【表2】

【0022】
この[表2]から、乾燥笹(禾本科)もレイシ同様植物繊維の強い植物だが、比較例1の開放ナベ抽出方法と比較して、本発明の実施例1の遠赤外線焙煎と2気圧ナベの組み合わせによる抽出方法は、植物繊維260%、ポリフェノール220%もの割合で抽出量が増加しており、本発明の焙煎茶の抽出方法が非常に有効であるかが判る。
【0023】
(3)[表3]は、実施例1と比較例1でのボタンボウフウの抽出主要成分量を測定値である。
【表3】

【0024】
ボタンボウフウ(長命草)は沖縄中心の浜の岩場に自生している植物だが、この[表3]から、比較例1の開放ナベ抽出方法と比較して、本発明の実施例1の遠赤外線焙煎と2気圧ナベの組み合わせによる抽出方法は、植物繊維810%、ポリフェノール530%もの割合で抽出量が増加しており、本発明の焙煎茶の抽出方法が非常に有効であるかが判る。
【0025】
(4)[表4]は、実施例1と比較例1でのボタンボウフウの水溶性植物繊維、鉄、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB2等の機能性成分抽出量の測定値である。
【表4】

【0026】
この[表4]から、ボタンボウフウ(長命草)の水溶性植物繊維とミネラル、ビタミン等が、従来の比較例1の開放ナベ抽出方法と比較して、本発明の実施例1の遠赤外線焙煎と2気圧ナベの組み合わせによる抽出方法では、各機能性成分が飛躍的に抽出されていることが判る。
【0027】
(5)[表5]は、実施例1と比較例1でのボタンボウフウのパーオキシラジカル消去能(抗酸化力)の測定値である。
【表5】

【0028】
この表5から、比較例1の従来の開放ナベ抽出方法と比較して、本発明の遠赤外線焙煎と2気圧ナベの組み合わせによる抽出方法は、植物繊維、ポリフェノールの抽出量の増加に比例して、抗酸化力の指標である比活性、全活性、アスコルビン酸、trolox、キャノロールの数値が格段に向上していることが判る。
【0029】
(6)[表6]は、抽出器として、(1)従来の急須、(2)比較例1の従来の開放ナベ、(3)実施例1の遠赤外線焙煎と2気圧ナベの組み合わせの抽出器を用いた場合のボタンボウフウの抽出固形分量比較の測定値である。
【表6】

【0030】
この[表6]から、(1)従来の急須による抽出方法や、(2)従来の比較例1の開放ナベ抽出方法に比較して、本発明の(3)実施例1の遠赤外線焙煎と2気圧ナベの組み合わせによるボタンボウフウの抽出固形分量は、極めて多いことが判る。
【0031】
以上のように、本発明の実施例によれば、(1)種々のオリジナル茶を高温の遠赤外線焙煎した後、加圧抽出することにより多種類の栄養成分を効率よく抽出できるため、健康に大きく寄与できる。(2)遠赤外線焙煎と圧力抽出で相互効果を高め合いオリジナル茶の抽出効率が格段に向上する。(3)従来の急須等の茶器や鍋などでは抽出できなかった抗酸化力の強いポリフェノールや植物繊維が多量に抽出できる。(4)地域特産の多種類のオリジナル茶の有効利用が可能になり、特産茶の消費拡大が望める等の利点がある。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1・・遠赤外線焙煎装置、11・・架台、111・・スライド台、
12・・遠赤外線ヒーター部、121・・昇降機構、122・・スライド棒
123・・スライド孔、124・・枠体、
125・・雌ネジ部、126・・ネジ棒、127・・ハンドル、
13・・蓋部、131・・把持部、
14・・撹拌槽、
15・・パドル、15a・・中央のパドル、151・・撹拌羽根、
152・・スプロケット、153・・張力調整スプロケット、
154・・チェーン、155・・被駆動プーリ、
16・・駆動モータ、161・・駆動プーリ、162・・ベル、
17・・反転機構、171・・回動軸、172・・ハンドル、173・・減速機構、
18・・シュート、
19・・移送容器、191・・金網、192・・キャスター
2・・抽出器(茶器)、21・・本体、211・・蓋止め部材、212・・把持部
213・・熱板、
22・・蓋部、221・・パッキン、
23・・蒸気弁、24・・安全弁、25・・防網、
26・・遠赤外線セラミックボール、27・・網板、
3・・熱源(ヒーター、ガス等)
A・・植物やキノコの原料、B・・焙煎茶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物類及びキノコ類を180℃から350℃の遠赤外線焙煎熱で均一に焙煎して、遠赤外線焙煎茶とし、該遠赤外線焙煎茶を完全密封容器構造で1.5気圧から3気圧の範囲で110℃から130℃の範囲でポリフェノール及び多糖類の高分子構造の成分を飽和熱水で蒸留する茶器で抽出して高分子構造を低分子化して抽出する焙煎茶の抽出方法。
【請求項2】
植物類及びキノコ類は、笹、ボタンボウフウ、レイシから選択されることを特徴とする請求項1に記載の焙煎茶の抽出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−182730(P2011−182730A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52877(P2010−52877)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(500097692)株式会社コスモバイオス (7)
【Fターム(参考)】