無人搬送車の制御装置
【目的】 無人搬送車をガイド手段に沿って誘導する進行方向制御の精度を高め得ること、ノイズの影響を排除すること、走行ルートの分岐点や交差部における精度低下を防止すること、等である。
【構成】 路面側の磁気テープ13を検出する第1センサ11の16個のホール素子に1〜16の重み付け指数を設定し、ONしているホール素子の重み付け指数の合計値を用いて、その中心位置Pcen を求め、磁気テープ13の車体1に対する偏差Δを求め、その偏差Δに応じて、左右駆動輪の一方の減速率を設定して減速し、進行方向を補正することで、自動走行するように制御する。
【構成】 路面側の磁気テープ13を検出する第1センサ11の16個のホール素子に1〜16の重み付け指数を設定し、ONしているホール素子の重み付け指数の合計値を用いて、その中心位置Pcen を求め、磁気テープ13の車体1に対する偏差Δを求め、その偏差Δに応じて、左右駆動輪の一方の減速率を設定して減速し、進行方向を補正することで、自動走行するように制御する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無人搬送車の制御装置に関し、特に、無人搬送車をガイド手段に沿って誘導する進行方向制御の精度を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、荷物を搬送する種々の自走式無人搬送車が実用化されており、この種の自走式無人搬送車を誘導するため、複数の走行ルートに沿って導電線や磁気テープや反射テープ等のガイド手段を連続的に設け、無人搬送車にガイド手段を検知する複数の検出素子からなるガイド検知手段を設け、そのガイド検知手段からの検出信号に基いて、無人搬送車の進行方向を制御するのが、一般的である。そして、複数の検出素子のうちの所定の小数の検出素子が常時ガイド手段を検出するように無人搬送車の進行方向を制御する。
【0003】ところで、前記複数の走行ルートは、独立に設定されるとは限らず、部分的に重複したり交差する走行ルートに設定され、走行ルートの分岐点には、番地を判別する為の番地板を設け、それら番地板をセンサ等で検出してその検出信号を、無人搬送車の制御ユニットに入力し、前記検出信号から番地を識別することで、無人搬送車が所定の走行ルートに沿って走行するように制御する。
【0004】例えば、特開昭63−228204号公報には、走行ルートに沿って路面側にガイド手段としての反射テープを配設し、無人搬送車に設けた2次元イメージセンサで反射テープを検出しながら、無人搬送車を誘導する走行制御技術であって、旋回走行時には、イメージセンサの視界の旋回方向側端縁から反射テープの旋回方向側端縁までの距離を一定に維持するように走行制御を行う走行制御技術が開示されている。特開昭64−26208号公報には、鉄製の路面上の走行ルートに沿って、非磁性体からなるガイド手段を配設し、そのガイド手段を磁気センサで検出し、その検出信号に基づいて、無人搬送車を誘導するようにした無人搬送車の誘導技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の無人搬送車を誘導する制御技術では、無人搬送車のガイド検知手段の複数の検出素子のうちの所定の小数の検出素子がガイド手段を検出するように制御するだけであるが、走行ルートがカーブ状に変化する地点や、無人搬送車がガイド手段に対して大きくズレたり、ノイズの影響による異常検出信号が検出された場合等における誘導制御の精度が低下し、進行方向修正の応答性が低下するという問題がある。また、従来の制御技術では、ノイズの影響を確実に排除できないため、ノイズの影響で精度低下が生じるし、また、走行ルートの分岐点や交差点においては、ガイド手段の幅が変動し、それに起因する精度低下も発生する。本発明の目的は、無人搬送車をガイド手段に沿って誘導する進行方向制御の精度を高め得ること、ノイズの影響を排除すること、走行ルートの分岐点や交差部における精度低下を防止すること、等である。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の無人搬送車の制御装置は、自走式の無人搬送車の走行ルートに沿ってガイド手段を配設し、無人搬送車にガイド手段を検知するガイド検知手段を設け、ガイド検知手段からの検出信号を用いて無人搬送車がガイド手段に沿って走行するように、無人搬送車の進行方向を制御する無人搬送車の制御装置において、前記ガイド検知手段は、無人搬送車の進行方向と直交する方向に配列され且つガイド手段の幅よりも広幅にわたる複数の検出素子で構成され、前記複数の検出素子の検出信号を受け、それら複数の検出素子のうちのガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を演算する中心演算手段を設け、前記中心演算手段で演算された中心位置から、無人搬送車のガイド手段に対する進行方向と直交する方向の偏差を求め、その偏差を用いて進行方向を補正する進行方向補正手段を設けたものである。
【0007】ここで、前記中心演算手段は、直進走行時には、ガイド検知手段を構成する複数の検出素子に付与した所定の重み付け指数のうち、ガイド手段に臨む複数の検出素子の重み付け指数を用いて、前記中心位置を演算するように構成してもよい(請求項1に従属の請求項2)。また、前記中心演算手段で演算された中心位置から、その中心位置の変化率を演算し、この中心位置変化率が所定値以上のときには、進行方向補正手段による進行方向の補正を制限する補正制限手段を設けてもよい(請求項2に従属の請求項3)。また、前記補正制限手段は、直進走行時には進行方向の補正を禁止するとともに、旋回走行時には進行方向の補正を許可するように構成してもよい(請求項3に従属の請求項4)。
【0008】また、前記中心演算手段は、旋回走行時には、最も旋回方向側に位置する検出素子の位置を求め、その検出素子の位置に所定数を加減算して、前記中心位置を演算するように構成してもよい(請求項1に従属の請求項5)。また、前記中心演算手段は、作動した検出素子の配列パターンからノイズで作動した検出素子を検知し、そのノイズで作動した検出素子を除外して、前記中心位置を演算するように構成してもよい(請求項1に従属の請求項6)。また、前記中心演算手段は、前記ガイド手段を検知して作動した検出素子の数が所定数以上のときには、中心位置の演算を中止するように構成してもよい(請求項2〜請求項4の何れか1項に従属の請求項7)。
【0009】
【発明の作用及び効果】請求項1の無人搬送車の制御装置においては、自走式の無人搬送車の走行ルートに沿って配設されたガイド手段をガイド検知手段で検知した検出信号を用いてガイド手段に沿って走行するように、無人搬送車の進行方向を制御する為に、ガイド検知手段は、無人搬送車の進行方向と直交する方向に配列され且つガイド手段の幅よりも広幅にわたる複数の検出素子で構成され、中心演算手段が、複数の検出素子の検出信号を受け、それら複数の検出素子のうちのガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を演算すると、進行方向補正手段は、前記中心位置から、無人搬送車のガイド手段に対する進行方向と直交する方向の偏差を求め、その偏差を用いて進行方向を補正する。
【0010】このように、ガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を求め、その中心位置から無人搬送車のガイド手段に対する進行方向と直交する方向の偏差を求め、その偏差を用いて進行方向を補正するので、偏差に応じた補正を介して進行方向補正の精度を高め、応答性を高めることができる。尚、進行方向の補正は、左右の駆動輪速の少なくとも一方を加減速補正することで達成できるが、偏差の大きさに応じて補正量を設定することが望ましい。
【0011】請求項2の無人搬送車の制御装置においては、前記中心演算手段は、直進走行時には、ガイド検知手段を構成する複数の検出素子に付与した所定の重み付け指数のうち、ガイド手段に臨む複数の検出素子の重み付け指数を用いて、前記中心位置を演算するので、重み付け指数を適切に設定することで、ノイズの影響を非常に少なくして、進行方向補正の精度を高めることができる。請求項3の無人搬送車の制御装置においては、補正制限手段は、前記中心演算手段で演算された中心位置からその中心位置の変化率を演算し、この中心位置変化率が所定値以上のときには、進行方向補正手段による進行方向の補正を制限する。即ち、直進走行時には、ノイズの影響により、中心位置変化率が所定値以上になることもあるので、この場合進行方向の補正を制限することが望ましく、進行方向の補正を制限することで、進行方向補正の精度を高めることができる。
【0012】請求項4の無人搬送車の制御装置においては、前記補正制限手段は、直進走行時には進行方向の補正を禁止するとともに、旋回走行時には進行方向の補正を許可する。請求項3に記載のように、直進走行時には進行方向の補正を禁止することで、進行方向補正の精度を高めることができるが、旋回走行時には、ノイズの影響がなくても中心位置変化率が所定値以上になることも多いので、進行方向の補正を許可する必要がある。
【0013】請求項5の無人搬送車の制御装置においては、前記中心演算手段は、旋回走行時には、最も旋回方向側に位置する検出素子の位置を求め、その検出素子の位置に所定数を加減算して前記中心位置を演算する。走行ルートの分岐点や交差部において旋回走行する場合が多いが、この場合には、単に、ガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を求めるだけでは、進行方向を決めることができないことから、前記のように前記中心位置を演算することで、進行方向を適正に求めて補正することができる。
【0014】請求項6の無人搬送車の制御装置においては、前記中心演算手段は、作動した検出素子の配列パターンからノイズで作動した検出素子を検知し、そのノイズで作動した検出素子を除外して、前記中心位置を演算する。それ故、ノイズの影響を確実に排除できるから、進行方向補正の精度を高めることができる。
【0015】請求項7の無人搬送車の制御装置においては、前記中心演算手段は、前記ガイド手段を検知して作動した検出素子の数が所定数以上のときには、中心位置の演算を中止する。走行ルートの分岐点や交差部には、複数のガイド手段が配設される関係上、所定数以上の検出素子が作動することがあり、このような場合には、中心位置を求めても無駄であることから、中心位置の演算を中止し、進行方向の補正は、前回の中心位置及び偏差に基づいて行うことで、進行方向の補正の精度低下を防止できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1、図2に示すように、自走式の無人搬送車V(以下、単に搬送車という)は、工場内において機械部品等の自動搬送を行う為のものであり、工場内には、所定の複数の走行ルートが設定され、各走行ルートの床面には、その全長に亙って連続するガイド手段が敷設されるとともに、走行ルートの途中の複数の地点には、各地点を識別する為の番地板が敷設されている。
【0017】搬送車Vの車体1の上面には、荷物Mを積載する載荷部2が設けられ、車体1の内部には、駆動エネルギー源であるバッテリー3と制御ユニット4が収容され、車体1の前端部には、バンパー5が付設され、車体1の下面側の前部の中央部には、左右1対の駆動輪6a,6b及びこれら駆動輪6a,6bに夫々直結された電動モータ7a,7bとを有する駆動輪ユニット8が鉛直軸心回りに回動自在且つ車体前後方向向きの水平軸心回りに回動自在に装着され、車体1の下面側の後端部には、左右1対の従動輪9a,9bが設けられている。
【0018】更に、車体1の下面側には、駆動輪ユニット8の前側に位置する第1センサ11であってガイド手段を検出する第1センサ11と、前記番地板を検出する第2センサ12が設けられている。前記ガイド手段は、磁性を帯びた幅約5cmの磁気テープ13の表面を保護テープで被った構成であり、前記第1センサ11は、図3に示すように、16個のホール素子11aを車幅方向に配列した構成であり、16個のうちの5個のホール素子11aが磁気テープ12に臨むように構成してある。
【0019】前記番地板14は、図4に示すように、磁性を帯た磁気テープ片14aと、磁性を帯びない非磁性テープ片14bとを、種々のパターンで、搬送車Vの進行方向向きに10個配列し、その表面を保護テープで被った構成であり、各磁気テープ片14aと非磁性テープ片14bとは、夫々1個のホール素子に対応するように構成されている。前記第2センサ12は、図5に示すように、10個のホール素子12aを搬送車Vの進行方向向きに配列した構成であり、10個のホール素子12aのうちの前後両端部のホール素子12aで検出信号の読み取り開始と終了とが検出され、また、中央部の8個のホール素子12aの8ビットの検出信号から、番地が決定される。
【0020】次に、制御系について説明する。図6に示すように、制御ユニット4は、入出力インターフェイス20、CPU21とROM22とRAM23とを含むマイクロコンピュータ、左右の駆動輪6a,6bを夫々駆動するDCモータからなる電動モータ7a,7bの為の駆動回路24a,24b等が設けられ、第1センサ11からの検出信号Gi(i=1〜16)と第2センサ12からの検出信号Bj(j=1〜10)は、入出力インターフェイス20を介してマイクロコンピュータに入力され、また、操作盤25からの操作信号が入出力インターフェイス20を介してマイクロコンピュータに入力され、また、バッテリー3からの電力が駆動回路24a,24bに供給され、これら駆動回路24a,24bは、左駆動輪用電動モータ7a及び右駆動輪用電動モータ7bに夫々接続されている。
【0021】前記マイクロコンピュータのROM22には、搬送車Vの進行方向を制御する為の、後述の駆動輪速制御の制御プログラムと、それに付随する番地テーブルやマップ等が予め入力設定され、また、RAM23には、種々のワークメモリが設けられている。番地テーブルについて説明すると、走行ルートのうちの、停止点、加速開始点、減速開始点、直進開始点、左旋回開始点、右旋回開始点等には、番地板14が、床面側に設けられ、それら各地点には、一連の番地番号が付与され、ROM22の番地テーブル26には、例えば、図7に示すように、各番地毎に、番地No.、加速開始、減速開始、停止、直進開始、左旋回開始、右旋回開始、旋回半径、等に関する必要なデータが予め設定されている。それ故、第2センサ12の検出信号Bj(j=1〜10)から番地が決定されると、その番地に対応する番地テーブル26のデータに基づいて、駆動輪速制御に必要な、加速開始、減速開始、停止、直進開始、左旋回開始、右旋回開始、旋回半径、等に関するデータが得られるように構成してある。
【0022】前記マイクロコンピュータは、PWM方式により駆動電流を制御するが、駆動回路24a,24bには、マイクロコンピュータからの制御信号に基づいて駆動電流を制御する増幅回路と、図8に示す回路(但し、モータ7a,7bを除く)とが設けられている。図8R>8の回路において、前進用スイッチ30a,30bがONで、後退用スイッチ31a,31bがOFFのとき、駆動電流Diが電動モータ7a,7bに供給されて電動モータ7a,7bが正転駆動されて駆動輪6a,6bが前進方向へ正転駆動され、また、後退用スイッチ31a,31bがONで前進用スイッチ30a,30bがOFFのとき、電動モータ7a,7bが逆転駆動されて駆動輪6a,6bが後退方向へ逆転駆動輪される。また、前進用スイッチ30a,30b及び後退用スイッチ31a,31bがOFFで、ブレーキ用スイッチ33がONのとき、負荷抵抗34を介して、電動モータ7a,7bがブレーキされた状態になる。
【0023】次に、駆動輪速制御の概要について説明する。図9は、ROM22に予め格納した駆動輪速基本値VoのマップM1を示すもので、旋回走行時には、旋回外輪の車輪速に対して、旋回内輪の車輪速を減速する必要があり、この場合の減速率は、旋回半径Rと、左右駆動輪6a,6b間の間隔とに基づいて、旋回半径Rが小さくなる程減速率が大きくなるように設定する必要がある。旋回半径Rに依らずに旋回外輪の車輪速を一定に制御する場合に、旋回外輪の車輪速と旋回内輪の車輪速は鎖線で図示のようになる。しかし、旋回半径Rが小さくなる程走行速度を低下させることが望ましいことから、本実施例では、旋回外輪の車輪速が、旋回半径が大きくなる程増大し、また、旋回半径が例えば7.5 m以上の状態及び直進状態では一定速となるように、旋回外輪の車輪速基本値V0が実線で示すように設定され、また、旋回内輪の車輪速基本値V0が、旋回半径Rと、左右駆動輪6a,6b間の間隔とに基づいて実線で示すように設定されている。
【0024】図10に示すように、搬送車Vが、磁気テープ13に対して左側にずれて、第1センサ11の5個のONのホール素子の中心位置Pcen が、車体中心線CL(第1センサ11の中心位置)に対してずれた偏差Δを求め、図10のように、偏差Δ>0のときには、中心位置Pcen を車体中心線CLに一致させるべく、右駆動輪6bを減速し、また、偏差Δ<0のときには、中心位置Pcen を車体中心線CLに一致させるべく、左駆動輪6aを減速する。
【0025】図11は、前記偏差Δに応じて駆動輪速を補正する補正係数αを予め設定したマップM2を示すものであり、偏差Δの絶対値が所定値δ以下では、不感帯として、補正係数α=1.0 に設定され、また、旋回半径Rが小さくなる程、補正係数αが小さくなるように、また、旋回半径R一定のときには、偏差Δの絶対値が大きくなる程、補正係数αが小さくなるように、設定してある。また、直進走行時には、走行速度が大きく補正係数αによる補正の影響が早く顕れることから、旋回走行時よりも、補正係数αが大きくなるように設定してある。
【0026】この駆動輪速制御においては、マップM1により駆動輪速基本値V0を演算し、また、偏差Δを求め、マップM2によりその偏差Δに応じた補正係数αを求めて左右駆動輪6a,6bの駆動輪速VL,VRを求め、その駆動輪速VL,VRに基づいて、左右駆動輪駆動用電動モータ7a,7bの回転速度(つまり、駆動トルク)を制御する。尚、マップM2の変更態様として、補正係数αをマップM3のように設定してもよい。このマップM3では、各特性線において、偏差Δの絶対値が小さいときの補正係数αの減少率が大きいことから、搬送車Vの磁気テープ追従の応答性に優れる。
【0027】次に、駆動輪速制御のルーチンについて、図13〜図16のフローチャートを参照しつつ説明する。尚、フローチャート中ま符号Si(i=1,2,3・・・は各ステップを示す。図13により、駆動輪速制御のメインルーチンであって、所定微小時間(例えば、8ms)おきに実行されるメインルーチンについて説明すると、第1センサ11の検出信号Gi(i=1〜16)及び第2センサ12の検出信号Bj(j=1〜10)が読み込まれ(S1)、番地板14のない地点を走行中には、検出信号Bjが全てOFFであることから、この時読み込んだ検出信号Bjは消去され(S2、S3)、有効な検出信号Gi,BiがRAM23のメモリに格納される(S4)。つまり、時々刻々読み込んだ検出信号Giはメモリに更新しつつ格納されるが、検出信号Bjについては、最新の番地板14(最後の番地板14)から読み込んだ有効な検出信号Bjだけがメモリに更新しつつ格納される。
【0028】次に、検出信号Bjに基づいて、番地テーブル26を検索することで、最新の番地No.が演算され(S5)、その番地No.に対応する番地テーブル26のデータから、現在、加速中か、減速中か、停止中か、直進中か、左旋回中か、右旋回中か等が判る。次に、偏差Δの演算処理が実行されるが(S6)、これについては後述する。次に、直進中であれば(S7:Yes )、マップM1の直進用の駆動輪速基本値V0から、左右の駆動輪速基本値V0が演算され(S8)、次に、偏差ΔをマップM2に適用して、偏差Δ>0のときには、右駆動輪用補正係数αが演算され、また、偏差Δ<0のときには、左駆動輪用補正係数αが演算される(S9)。次に、駆動輪速基本値V0と、補正係数αとに基づいて、左右の駆動輪速VL,VRが演算される(S10)。
【0029】例えば、駆動輪速基本値V0として、偏差Δ>0のときには、左駆動輪速VL=V0、右駆動輪速VR=V0×αになり、また、偏差Δ<0のときには、左駆動輪速VL=V0×α、右駆動輪速VR=V0になる。但し、加速区間や減速区間を走行中には、所定の加減速率で加減速するように、左右の駆動輪速VL,VRが加減速補正される。次に、左右の駆動輪速VL,VRに基づいて、左右の駆動輪6a,6bを夫々駆動する電動モータ7a,7bの駆動電流制御の為の制御信号が演算され、その制御信号が、駆動回路24a,24bに夫々出力され(S15)、その後リターンする。
【0030】旋回走行時には(S7: No )、最新の番地No.の番地テーブル26のデータに基づいて、旋回方向と旋回半径Rが演算され(S11)、次に、その旋回方向と旋回半径RをマップM1に適用して、左右の駆動輪速基本値V0が演算される(S12)。次に、偏差ΔをマップM2に適用して、偏差Δ>0のときには、右駆動輪用補正係数αが演算され、また、偏差Δ<0のときには、左駆動輪用補正係数αが演算される(S13)。次に、左右駆動輪速基本値V0と、補正係数αとに基づいて、左右の駆動輪速VL,VRが演算される(S14)。次に、左右の駆動輪速VL,VRに基づいて、左右駆動輪6a,6bを夫々駆動する電動モータ7a,7bの駆動電流制御の制御信号が演算され、その制御信号が、駆動回路24a,24bに夫々出力され(S15)、その後リターンする。
【0031】次に、S6の偏差Δ演算処理のサブルーチンについて、図14〜図16のフローチャートを参照して説明する。図10に示すように、第1センサ11の16個のホール素子11aには、それらホール素子の位置を特定し且つ重み付けする為に、左側から順に1〜16の重み付け指数が付与してあり、図14のサブルーチンにおいて、最初に、この重み付け指数に対応するカウンタiが1に設定され(S20)、次に検出信号GiがONか否か判定し(S21)、その判定が No のときには(S21: No )、カウンタiをインクリメントして(S22)、S21を繰り返し、検出信号GiがONのときには(S21:Yes )、左端素子番号Lnoに、iの値が付与され(S23)、こうして、第1センサ11のONしているホール素子11aのうちの最も左側のホール素子11aの重み付け指数である左端素子番号Lnoが求められるが、図10に図示の例では、左端素子番号Lno=8である。
【0032】前記と同様に、右端側から順に検索することで、右端素子番号Rnoが、次のようにして求められる。カウンタiが16に設定され(S24)、次に、検出信号GiがONか否か判定し(S25)、その判定が No のときにはカウンタiをデクリメントして(S26)、S25を繰り返し、検出信号GiがONのときには、右端素子番号Rnoに、カウンタiの値が付与され(S27)、こうして、第1センサ11のONしているホール素子11aのうちの最も右側のホール素子の重み付け指数であるである右端素子番号Rnoが求められるが、図10に図示の例では、左端素子番号Rno=12である。次に、左端素子番号Lnoから左端素子番号Rnoまでの幅Wが、W=(Rno−Lno)として演算されてメモリに格納される(S28)。
【0033】次のS29からS33は、ONしているホール素子11aの総数を求める演算処理であり、カウンタiを1に、ONのホール素子11aの数をカウントするカウンタNtを0に設定してから(S29)、検出信号GiがONか否か判定し(S30)、その判定がYes のときには、カウンタNtが(Nt+1)に更新され(S31)、次にi=16か否か判定し(S32)、i<16のときには、カウンタiをインクリメントして(S33)、S30以降を繰り返し、また、S30の判定が No のときにはS31をスキップしてS32を実行し、こうして、i=1からi=16まで、繰り返していくと、ONしているホール素子11aの総数がNtとして演算され、i=16までの処理を完了後、S34へ移行する。
【0034】次に、最新の番地No.に対応する番地テーブル26のデータに基づいて、左旋回中か、右旋回中か、直進中か否か判定し(S34〜S36)、直進中のときには、S37へ移行し、左旋回中のときにはS45へ移行し、右旋回中のときにはS48へ移行する。直進中の場合には、S37〜S44の演算処理により、第1センサ11のうちのONしている複数のホール素子11aの重心位置ともいうべき中心位置Pcenが演算されるが、これについて説明すると、最初、左端素子番号Lnoから左端素子番号Rnoまでの幅Wが、所定の可変定数である直進用しきい値Wsno より大きいか否か判定し(S37)、その判定がYes のときには、路面に落ちている鉄片等のノイズの影響や、磁気テープ13が交差している地点で、誤検出している可能性が高いので、S37からメインルーチンのS1へリターンする。
【0035】S37の判定が No であるときには、ONしているホール素子11aの総数がNtが、所定の可変定数である分岐交差部判別用しきい値Wtno よりも大きいか否か判定し(S38)、その判定がYes のときには、磁気テープ13の分岐点や交差部である可能性が高いので、S37からメインルーチンのS1へリターンする。即ち、走行ルートの分岐点においては、図17に示すように、磁気テープ13が分岐しているため、ONとなるホール素子11aの数が異常に大きくなるが、この場合、検出信号Giを駆動輪速制御に適用するのを排除する為である。S37の判定が No で、かつS38の判定が No のときには、誤検出している可能性や分岐点や交差部である可能性が低いので、S39〜S43において、ONしているホール素子11aの重み付け指数の合計値Smが演算される。
【0036】即ち、カウンタiが1に、また、合計値Smが0に設定され(S39)、検出信号GiがONのときには(S40:Yes )、合計値Smが(Sm+i)に更新され(S41)、i<16のときには(S42: No )、カウンタiがインクリメントされて(S43)、S40以降が繰り返し実行され、こうして、i=1からi=16にわたる合計値Smが演算され、次に、S44において、中心位置Pcen が、Pcen =Sm/Ntとして演算され、S51へ移行する。
【0037】左旋回中の場合には、ONしているホール素子11aの総数がNtが、前記分岐交差部判別用しきい値Wtno よりも大きいか否か判定し(S45)、その判定がYes のときには、前記同様に、S45からメインルーチンのS1へリターンする。S45の判定が No のときには、分岐点や交差部である可能性が低いので、中心位置Pcen が、Pcen =(Lno+3)として演算され(S46)、次に、メモリに格納している検出信号Bjから番地No.を演算し、その番地No.に対応する番地テーブル26のデータに基づいて旋回半径が演算され(S47)、その後S51へ移行する。
【0038】同様に、右旋回中の場合には、ONしているホール素子11aの総数がNtが、前記分岐交差部判別用しきい値Wtno よりも大きいか否か判定し(S48)、その判定がYes のときには、前記同様に、S48からメインルーチンのS1へリターンする。S48の判定が No のときには、分岐点や交差部である可能性が低いので、中心位置Pcen が、Pcen =(Rno−3)として演算され(S49)、次に、メモリに格納している検出信号Bjから番地No.を演算し、その番地No.に対応する番地テーブル26のデータに基づいて旋回半径が演算され(S50)、その後S51へ移行する。
【0039】次に、S51では、前回の中心位置Pcen(k-1)と、今回の中心位置Pcen(k)とから中心位置Pcen の変化率DPが演算され、次に、その変化率DPが所定値K0以上か否か判定され(S52)、その判定がYes のときには、直進か否か判定する(S53)。直進中のときには(S53:Yes )、路面の鉄片等のノイズの影響で、変化率DPが大きくなった可能性が高いため、今回の検出信号Gi(i=1〜16)を用いて駆動輪速制御を行うことは好ましくないことから、今回の検出信号Giによる駆動速制御を中止して、メインルーチンのS1へリターンする。旋回中には、変化率DPが大きくなることも多く、今回の検出信号Gi(i=1〜16)を用いて駆動輪速制御を行なうことが望ましいので、S54へ移行する。尚、S52の判定が No の場合には、S53をスキップしてS54へ移行する。S54では、搬送車Vの車体中心線CLに対する、前記中心位置Pcenの偏差Δが、Δ=(Pcen −8.5 )として演算される。
【0040】次に、以上説明した無人搬送車の駆動輪速制御の作用について説明する。ONしているホール素子11aの中心位置Pcen を求める演算処理に関して、直進走行時には、重み付け指数の合計値Smを総数Ntで除算して、中心位置Pcen を演算するようにしたので、中心位置Pcen を求める精度を高め、駆動輪速制御の精度を高めることができる。特に、例えば、前記重み付け指数として、16のホール素子11aに、左側から順に、例えば、1,1,2,2,4,4,6,8,10,8,6,4,4,2,2,1のように設定すれば、中心側の5個のホール素子11aについての合計値Smが大きくなるので、ノイズの影響を排除し易くなる。また、旋回走行時には、S46やS49のように、中心位置Pcen を求めるので、走行ルートの分岐点や交差部の影響を排除して、中心位置Pcen を精度良く求めることができる。そして、このように、高精度に求めた中心位置Pcen に基づいて偏差Δを精度良く求めることができる。
【0041】一方、マップM1のように、旋回半径Rと、左右の駆動輪6a,6b間の間隔とに基づいて、旋回半径Rが大きくなる程駆動輪速基本値V0が大きくなるように、旋回外輪と旋回内輪の駆動輪速基本値V0を高精度に設定してあるので、走行速度を極力高く維持しつつ、旋回時の旋回性能と走行安定性を確保でき、駆動輪速制御の精度を高めることができる。しかも、マップM2に示すように、補正係数αの特性として、旋回半径Rが小さくなる程走行速度が低速になることに鑑み、旋回半径Rが小さくなる程、補正係数αが小さくなるように設定したので、走行速度を極力高く維持しつつ、旋回時の旋回性能と走行安定性を確保し、進行方向を正確に制御することができる。そして、同一旋回半径Rの場合には、偏差Δが大きくなる程、補正係数αが小さくなるように設定したので、進行方向補正の応答性を高める、つまり、磁気テープ13に対する追従性を高め、走行安定性を高めることができる。旋回走行時よりも走行速度が大きくなる直進走行時における補正係数αを、旋回走行時の補正係数αよりも大きく設定したので、ハンチングの発生を防止し、磁気テープ13に対する追従性を高め、走行安定性を高めることができる。
【0042】S37とS38のステップを設けたことで、走行ルートの分岐点や交差部における異常な検出信号に基づく制御を排除し、精度低下を防止できる。このことは、S45やS48のステップに関しても同様である。更に、S52、S53のステップを設け、中心位置Pcen の変化率DPが所定値K0以上のとき、直進走行時には、偏差Δの演算を中止し、その検出信号Giに基づく駆動輪速制御を行わないので、ノイズの影響等により、駆動輪速制御の精度が低下するのを防止できる。但し、旋回走行時には、変化率DPが所定値K0以上になることもあることに鑑み、偏差Δの演算と、その後の補正係数αの演算を実行し、進行方向の補正を実行するので、進行方向の補正の精度低下を防止できる。
【0043】次に、前記偏差Δの演算処理のサブルーチンを変更した変更態様について説明する(図18〜図20R>0参照)。図18に示すように、路面に落ちている鉄片等のノイズの影響で、例えば2個のホール素子11aがONした場合には、前記中心位置Pcen を正確に求めることができなくなることに鑑み、この変更態様においては、図示のように、ONしているホール素子11aのうち、隣接して連続的に並んでいる1又は複数のホール素子11aを1つのブロックとして、第1ブロックと第2ブロックのように複数ブロックにグループ分けし、最も広幅のブロックの複数の検出信号Giに基づいて、偏差Δを演算するようにしてある。
【0044】図19、図20において、最初に、前記ホール素子11aの重み付け指数に対応するカウンタi(i=1〜16)が1に設定され、ブロックカウンタkが0に設定され(S60)、次に、検出信号GiがONで、その1つ左側のホール素子11aの検出信号G(i-1) がOFFのときに(S61:Yes 、S62:Yes )、ブロックが検出されたとして、ブロックカウンタkがインクリメントされ(S63)、そのブロックの左端素子番号Lno(k) が、Lno(k) =iとして演算され(S64)、次に、i=16か否か判定され(S65)、その判定が No のときには、カウンタiがインクリメントされて(S66)、S61以降が繰り返され、こうして順々に、第1ブロックの左端素子番号Lno(1) 、第2ブロックの左端素子番号Lno(2) ・・が演算され、i=16になると(S65:Yes )、ブロック数Bnoが、Bno=最終のブロックカウンタkの値として設定される(S67)。
【0045】次に、S68〜S74において、i=16〜1に対して、前記と同様の演算を実行して、例えばブロック数Bno=2の場合には、各ブロックの右端素子番号Rno(2) ,Rno(1) が順に演算される。即ち、最初に、カウンタiが16に、また、カウンタkが0に設定され(S68)、次に検出信号GiがONで、その1つ右側のホール素子11aの検出信号G(i+1) がOFFのときに(S69:Yes 、S70:Yes )、最も右側のブロックの右端素子番号Rno(Bno−k)が、Rno(Bno−k)=iとして演算され(S71)、次に、カウンタkがインクリメントされ(S72)、次にi=1か否か判定され(S73)、その判定が No のときにはカウンタiがデクリメントされて(S74)、S69以降が繰り返され、i=1になるとS75へ移行する。
【0046】次に、S75からS78において、各ブロックにおける、左端素子番号Lno(k) から右端素子番号Rno(k) までの幅W(k) が演算される。即ち、最初、ブロックカウンタkが、k=1に設定され(S75)、次に、左端素子番号Lno(k) から右端素子番号Rno(k) までの幅W(k) が、W(k) =Rno(k) −Lno(k) 、として演算され(S76)、次に、カウンタk<ブロック数Bnoのときは(S77: No )、カウンタkがインクリメントされて(S78)、S76以降が繰り返され、カウンタk=ブロック数Bnoになると(S77:Yes)、S79へ移行する。
【0047】S79〜S84は、最大幅のブロックを検知する演算処理であり、最初、ブロックカウンタkが1に設定され、また、最大幅Wmが0に設定され(S79)、次に、第kブロックの幅W(k) が最大幅Wmよりも大きいか否か判定され(S80)、その判定がYes のときは、最大幅Wmに第kブロックの幅W(k) が付与され(S81)、次に、最大幅ブロック番号Mnoにカウンタkの値が付与される(S82)。但し、S80の判定が No のときはS81とS82をスキップしてS83へ移行する。
【0048】S83では、ブロックカウンタk=ブロック数Bnoか否か判定し、その判定がNo のときは、ブロックカウンタkがインクリメントされて(S84)、S80以降が繰り返され、ブロックカウンタk=ブロック数Bnoになると(S83:Yes )、S85において前記求めた最大幅のブロックについて、中心位置Pcen が、Pcen =〔Rno(Mno)−Lno(Mno)〕/2として演算される。例えば、図18に示すように、第1ブロックが最大幅のブロックの場合には、Pcen =〔Rno(1)−Lno(1)〕/2として演算されることになる。次に、S86において、偏差Δが、Δ=(Pcen −8.5 )として演算される。こうして求めた偏差Δを、マップM2に適用して、前記補正係数αが演算されることになる。この変更態様においては、ONしたホール素子11aの配列パターンから、鉄片等のノイズで作動したホール素子11aを検知し、そのノイズで作動したホール素子11aを除外して、中心位置Pcen を演算し、偏差Δを演算していることに相当する。
【0049】以上の偏差演算処理で求めた偏差Δを用いる駆動輪側制御においては、複数のブロックのうちの最大幅のブロックに属する複数のホール素子11aの中心位置Pcen を求め、その中心位置Pcen から偏差Δを演算するので、鉄片等のノイズの影響を確実に排除して、偏差Δを高精度に求めることができるから、駆動輪速制御、つまり、進行方向制御の精度を十分に高めることができる。
【0050】前記実施例を部分的に変更した変更態様について説明する。
1〕 前記ガイド手段としては、磁気テープ以外の種々のガイド手段を適用可能であり、その場合、ガイド手段を検出できるガイド検出手段を適用する。
2〕 前記変更態様に係る偏差演算処理において、各ブロックの1又は複数のホール素子11aの重み付け指数の合計値を求め、その合計値の最大のものだけを対象として、中心位置Pcen を演算するように構成してもよい。但し、この場合の重み付け指数としては、前記のように、16のホール素子11aに、左側から順に、例えば、1,1,2,2,4,4,6,8,10,8,6,4,4,2,2,1のように、中央側のホール素子11aの重みに比較して、両端側のホール素子11aの重みが小さくように、設定するものとする。
【0051】3〕 前記実施例においては、駆動用電動モータ7a,7bに対するブレーキ制御については説明を省略したが、マップM2により補正係数αが0になるような場合には、それに対応する駆動用モータについて、図8の前進用スイッチ30a,30b及び後退用スイッチ31a,31bをOFFとし、ブレーキ用スイッチ33をONに切換えることでブレーキ作用を発揮させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る無人搬送車の横断平面図である。
【図2】図1の無人搬送車の側面図である。
【図3】第1センサの構成説明図である。
【図4】番地板の構成説明図である。
【図5】第2センサの構成説明図である。
【図6】制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】番地テーブルの内容説明用の図表である。
【図8】駆動回路に含まれる電気回路の回路である。
【図9】駆動輪速基本値V0を設定したマップM1の線図である。
【図10】第1センサと磁気テープと偏差Δ等を説明した説明図である。
【図11】補正係数αを設定したマップM2の線図である。
【図12】マップM2を変更したマップM3の線図である。
【図13】駆動輪速制御のルーチンのフローチャートである。
【図14】偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの一部である。
【図15】偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの一部である。
【図16】偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの残部である。
【図17】走行ルートの分岐部における第1センサの作動状態を例示した説明図である。
【図18】ノイズ等の影響が顕れた第1センサの作動状態を例示した説明図である。
【図19】変更態様に係る偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの一部である。
【図20】同変更態様に係る偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの残部である。
【符号の説明】
V 無人搬送車
1 車体
4 制御ユニット
6a,6b 左右の駆動輪
7a,7b 駆動用電動モータ
11 第1センサ(ガイド検知手段)
12 第2センサ
13 磁気テープ(ガイド手段)
14 番地板
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無人搬送車の制御装置に関し、特に、無人搬送車をガイド手段に沿って誘導する進行方向制御の精度を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、荷物を搬送する種々の自走式無人搬送車が実用化されており、この種の自走式無人搬送車を誘導するため、複数の走行ルートに沿って導電線や磁気テープや反射テープ等のガイド手段を連続的に設け、無人搬送車にガイド手段を検知する複数の検出素子からなるガイド検知手段を設け、そのガイド検知手段からの検出信号に基いて、無人搬送車の進行方向を制御するのが、一般的である。そして、複数の検出素子のうちの所定の小数の検出素子が常時ガイド手段を検出するように無人搬送車の進行方向を制御する。
【0003】ところで、前記複数の走行ルートは、独立に設定されるとは限らず、部分的に重複したり交差する走行ルートに設定され、走行ルートの分岐点には、番地を判別する為の番地板を設け、それら番地板をセンサ等で検出してその検出信号を、無人搬送車の制御ユニットに入力し、前記検出信号から番地を識別することで、無人搬送車が所定の走行ルートに沿って走行するように制御する。
【0004】例えば、特開昭63−228204号公報には、走行ルートに沿って路面側にガイド手段としての反射テープを配設し、無人搬送車に設けた2次元イメージセンサで反射テープを検出しながら、無人搬送車を誘導する走行制御技術であって、旋回走行時には、イメージセンサの視界の旋回方向側端縁から反射テープの旋回方向側端縁までの距離を一定に維持するように走行制御を行う走行制御技術が開示されている。特開昭64−26208号公報には、鉄製の路面上の走行ルートに沿って、非磁性体からなるガイド手段を配設し、そのガイド手段を磁気センサで検出し、その検出信号に基づいて、無人搬送車を誘導するようにした無人搬送車の誘導技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の無人搬送車を誘導する制御技術では、無人搬送車のガイド検知手段の複数の検出素子のうちの所定の小数の検出素子がガイド手段を検出するように制御するだけであるが、走行ルートがカーブ状に変化する地点や、無人搬送車がガイド手段に対して大きくズレたり、ノイズの影響による異常検出信号が検出された場合等における誘導制御の精度が低下し、進行方向修正の応答性が低下するという問題がある。また、従来の制御技術では、ノイズの影響を確実に排除できないため、ノイズの影響で精度低下が生じるし、また、走行ルートの分岐点や交差点においては、ガイド手段の幅が変動し、それに起因する精度低下も発生する。本発明の目的は、無人搬送車をガイド手段に沿って誘導する進行方向制御の精度を高め得ること、ノイズの影響を排除すること、走行ルートの分岐点や交差部における精度低下を防止すること、等である。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の無人搬送車の制御装置は、自走式の無人搬送車の走行ルートに沿ってガイド手段を配設し、無人搬送車にガイド手段を検知するガイド検知手段を設け、ガイド検知手段からの検出信号を用いて無人搬送車がガイド手段に沿って走行するように、無人搬送車の進行方向を制御する無人搬送車の制御装置において、前記ガイド検知手段は、無人搬送車の進行方向と直交する方向に配列され且つガイド手段の幅よりも広幅にわたる複数の検出素子で構成され、前記複数の検出素子の検出信号を受け、それら複数の検出素子のうちのガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を演算する中心演算手段を設け、前記中心演算手段で演算された中心位置から、無人搬送車のガイド手段に対する進行方向と直交する方向の偏差を求め、その偏差を用いて進行方向を補正する進行方向補正手段を設けたものである。
【0007】ここで、前記中心演算手段は、直進走行時には、ガイド検知手段を構成する複数の検出素子に付与した所定の重み付け指数のうち、ガイド手段に臨む複数の検出素子の重み付け指数を用いて、前記中心位置を演算するように構成してもよい(請求項1に従属の請求項2)。また、前記中心演算手段で演算された中心位置から、その中心位置の変化率を演算し、この中心位置変化率が所定値以上のときには、進行方向補正手段による進行方向の補正を制限する補正制限手段を設けてもよい(請求項2に従属の請求項3)。また、前記補正制限手段は、直進走行時には進行方向の補正を禁止するとともに、旋回走行時には進行方向の補正を許可するように構成してもよい(請求項3に従属の請求項4)。
【0008】また、前記中心演算手段は、旋回走行時には、最も旋回方向側に位置する検出素子の位置を求め、その検出素子の位置に所定数を加減算して、前記中心位置を演算するように構成してもよい(請求項1に従属の請求項5)。また、前記中心演算手段は、作動した検出素子の配列パターンからノイズで作動した検出素子を検知し、そのノイズで作動した検出素子を除外して、前記中心位置を演算するように構成してもよい(請求項1に従属の請求項6)。また、前記中心演算手段は、前記ガイド手段を検知して作動した検出素子の数が所定数以上のときには、中心位置の演算を中止するように構成してもよい(請求項2〜請求項4の何れか1項に従属の請求項7)。
【0009】
【発明の作用及び効果】請求項1の無人搬送車の制御装置においては、自走式の無人搬送車の走行ルートに沿って配設されたガイド手段をガイド検知手段で検知した検出信号を用いてガイド手段に沿って走行するように、無人搬送車の進行方向を制御する為に、ガイド検知手段は、無人搬送車の進行方向と直交する方向に配列され且つガイド手段の幅よりも広幅にわたる複数の検出素子で構成され、中心演算手段が、複数の検出素子の検出信号を受け、それら複数の検出素子のうちのガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を演算すると、進行方向補正手段は、前記中心位置から、無人搬送車のガイド手段に対する進行方向と直交する方向の偏差を求め、その偏差を用いて進行方向を補正する。
【0010】このように、ガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を求め、その中心位置から無人搬送車のガイド手段に対する進行方向と直交する方向の偏差を求め、その偏差を用いて進行方向を補正するので、偏差に応じた補正を介して進行方向補正の精度を高め、応答性を高めることができる。尚、進行方向の補正は、左右の駆動輪速の少なくとも一方を加減速補正することで達成できるが、偏差の大きさに応じて補正量を設定することが望ましい。
【0011】請求項2の無人搬送車の制御装置においては、前記中心演算手段は、直進走行時には、ガイド検知手段を構成する複数の検出素子に付与した所定の重み付け指数のうち、ガイド手段に臨む複数の検出素子の重み付け指数を用いて、前記中心位置を演算するので、重み付け指数を適切に設定することで、ノイズの影響を非常に少なくして、進行方向補正の精度を高めることができる。請求項3の無人搬送車の制御装置においては、補正制限手段は、前記中心演算手段で演算された中心位置からその中心位置の変化率を演算し、この中心位置変化率が所定値以上のときには、進行方向補正手段による進行方向の補正を制限する。即ち、直進走行時には、ノイズの影響により、中心位置変化率が所定値以上になることもあるので、この場合進行方向の補正を制限することが望ましく、進行方向の補正を制限することで、進行方向補正の精度を高めることができる。
【0012】請求項4の無人搬送車の制御装置においては、前記補正制限手段は、直進走行時には進行方向の補正を禁止するとともに、旋回走行時には進行方向の補正を許可する。請求項3に記載のように、直進走行時には進行方向の補正を禁止することで、進行方向補正の精度を高めることができるが、旋回走行時には、ノイズの影響がなくても中心位置変化率が所定値以上になることも多いので、進行方向の補正を許可する必要がある。
【0013】請求項5の無人搬送車の制御装置においては、前記中心演算手段は、旋回走行時には、最も旋回方向側に位置する検出素子の位置を求め、その検出素子の位置に所定数を加減算して前記中心位置を演算する。走行ルートの分岐点や交差部において旋回走行する場合が多いが、この場合には、単に、ガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を求めるだけでは、進行方向を決めることができないことから、前記のように前記中心位置を演算することで、進行方向を適正に求めて補正することができる。
【0014】請求項6の無人搬送車の制御装置においては、前記中心演算手段は、作動した検出素子の配列パターンからノイズで作動した検出素子を検知し、そのノイズで作動した検出素子を除外して、前記中心位置を演算する。それ故、ノイズの影響を確実に排除できるから、進行方向補正の精度を高めることができる。
【0015】請求項7の無人搬送車の制御装置においては、前記中心演算手段は、前記ガイド手段を検知して作動した検出素子の数が所定数以上のときには、中心位置の演算を中止する。走行ルートの分岐点や交差部には、複数のガイド手段が配設される関係上、所定数以上の検出素子が作動することがあり、このような場合には、中心位置を求めても無駄であることから、中心位置の演算を中止し、進行方向の補正は、前回の中心位置及び偏差に基づいて行うことで、進行方向の補正の精度低下を防止できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1、図2に示すように、自走式の無人搬送車V(以下、単に搬送車という)は、工場内において機械部品等の自動搬送を行う為のものであり、工場内には、所定の複数の走行ルートが設定され、各走行ルートの床面には、その全長に亙って連続するガイド手段が敷設されるとともに、走行ルートの途中の複数の地点には、各地点を識別する為の番地板が敷設されている。
【0017】搬送車Vの車体1の上面には、荷物Mを積載する載荷部2が設けられ、車体1の内部には、駆動エネルギー源であるバッテリー3と制御ユニット4が収容され、車体1の前端部には、バンパー5が付設され、車体1の下面側の前部の中央部には、左右1対の駆動輪6a,6b及びこれら駆動輪6a,6bに夫々直結された電動モータ7a,7bとを有する駆動輪ユニット8が鉛直軸心回りに回動自在且つ車体前後方向向きの水平軸心回りに回動自在に装着され、車体1の下面側の後端部には、左右1対の従動輪9a,9bが設けられている。
【0018】更に、車体1の下面側には、駆動輪ユニット8の前側に位置する第1センサ11であってガイド手段を検出する第1センサ11と、前記番地板を検出する第2センサ12が設けられている。前記ガイド手段は、磁性を帯びた幅約5cmの磁気テープ13の表面を保護テープで被った構成であり、前記第1センサ11は、図3に示すように、16個のホール素子11aを車幅方向に配列した構成であり、16個のうちの5個のホール素子11aが磁気テープ12に臨むように構成してある。
【0019】前記番地板14は、図4に示すように、磁性を帯た磁気テープ片14aと、磁性を帯びない非磁性テープ片14bとを、種々のパターンで、搬送車Vの進行方向向きに10個配列し、その表面を保護テープで被った構成であり、各磁気テープ片14aと非磁性テープ片14bとは、夫々1個のホール素子に対応するように構成されている。前記第2センサ12は、図5に示すように、10個のホール素子12aを搬送車Vの進行方向向きに配列した構成であり、10個のホール素子12aのうちの前後両端部のホール素子12aで検出信号の読み取り開始と終了とが検出され、また、中央部の8個のホール素子12aの8ビットの検出信号から、番地が決定される。
【0020】次に、制御系について説明する。図6に示すように、制御ユニット4は、入出力インターフェイス20、CPU21とROM22とRAM23とを含むマイクロコンピュータ、左右の駆動輪6a,6bを夫々駆動するDCモータからなる電動モータ7a,7bの為の駆動回路24a,24b等が設けられ、第1センサ11からの検出信号Gi(i=1〜16)と第2センサ12からの検出信号Bj(j=1〜10)は、入出力インターフェイス20を介してマイクロコンピュータに入力され、また、操作盤25からの操作信号が入出力インターフェイス20を介してマイクロコンピュータに入力され、また、バッテリー3からの電力が駆動回路24a,24bに供給され、これら駆動回路24a,24bは、左駆動輪用電動モータ7a及び右駆動輪用電動モータ7bに夫々接続されている。
【0021】前記マイクロコンピュータのROM22には、搬送車Vの進行方向を制御する為の、後述の駆動輪速制御の制御プログラムと、それに付随する番地テーブルやマップ等が予め入力設定され、また、RAM23には、種々のワークメモリが設けられている。番地テーブルについて説明すると、走行ルートのうちの、停止点、加速開始点、減速開始点、直進開始点、左旋回開始点、右旋回開始点等には、番地板14が、床面側に設けられ、それら各地点には、一連の番地番号が付与され、ROM22の番地テーブル26には、例えば、図7に示すように、各番地毎に、番地No.、加速開始、減速開始、停止、直進開始、左旋回開始、右旋回開始、旋回半径、等に関する必要なデータが予め設定されている。それ故、第2センサ12の検出信号Bj(j=1〜10)から番地が決定されると、その番地に対応する番地テーブル26のデータに基づいて、駆動輪速制御に必要な、加速開始、減速開始、停止、直進開始、左旋回開始、右旋回開始、旋回半径、等に関するデータが得られるように構成してある。
【0022】前記マイクロコンピュータは、PWM方式により駆動電流を制御するが、駆動回路24a,24bには、マイクロコンピュータからの制御信号に基づいて駆動電流を制御する増幅回路と、図8に示す回路(但し、モータ7a,7bを除く)とが設けられている。図8R>8の回路において、前進用スイッチ30a,30bがONで、後退用スイッチ31a,31bがOFFのとき、駆動電流Diが電動モータ7a,7bに供給されて電動モータ7a,7bが正転駆動されて駆動輪6a,6bが前進方向へ正転駆動され、また、後退用スイッチ31a,31bがONで前進用スイッチ30a,30bがOFFのとき、電動モータ7a,7bが逆転駆動されて駆動輪6a,6bが後退方向へ逆転駆動輪される。また、前進用スイッチ30a,30b及び後退用スイッチ31a,31bがOFFで、ブレーキ用スイッチ33がONのとき、負荷抵抗34を介して、電動モータ7a,7bがブレーキされた状態になる。
【0023】次に、駆動輪速制御の概要について説明する。図9は、ROM22に予め格納した駆動輪速基本値VoのマップM1を示すもので、旋回走行時には、旋回外輪の車輪速に対して、旋回内輪の車輪速を減速する必要があり、この場合の減速率は、旋回半径Rと、左右駆動輪6a,6b間の間隔とに基づいて、旋回半径Rが小さくなる程減速率が大きくなるように設定する必要がある。旋回半径Rに依らずに旋回外輪の車輪速を一定に制御する場合に、旋回外輪の車輪速と旋回内輪の車輪速は鎖線で図示のようになる。しかし、旋回半径Rが小さくなる程走行速度を低下させることが望ましいことから、本実施例では、旋回外輪の車輪速が、旋回半径が大きくなる程増大し、また、旋回半径が例えば7.5 m以上の状態及び直進状態では一定速となるように、旋回外輪の車輪速基本値V0が実線で示すように設定され、また、旋回内輪の車輪速基本値V0が、旋回半径Rと、左右駆動輪6a,6b間の間隔とに基づいて実線で示すように設定されている。
【0024】図10に示すように、搬送車Vが、磁気テープ13に対して左側にずれて、第1センサ11の5個のONのホール素子の中心位置Pcen が、車体中心線CL(第1センサ11の中心位置)に対してずれた偏差Δを求め、図10のように、偏差Δ>0のときには、中心位置Pcen を車体中心線CLに一致させるべく、右駆動輪6bを減速し、また、偏差Δ<0のときには、中心位置Pcen を車体中心線CLに一致させるべく、左駆動輪6aを減速する。
【0025】図11は、前記偏差Δに応じて駆動輪速を補正する補正係数αを予め設定したマップM2を示すものであり、偏差Δの絶対値が所定値δ以下では、不感帯として、補正係数α=1.0 に設定され、また、旋回半径Rが小さくなる程、補正係数αが小さくなるように、また、旋回半径R一定のときには、偏差Δの絶対値が大きくなる程、補正係数αが小さくなるように、設定してある。また、直進走行時には、走行速度が大きく補正係数αによる補正の影響が早く顕れることから、旋回走行時よりも、補正係数αが大きくなるように設定してある。
【0026】この駆動輪速制御においては、マップM1により駆動輪速基本値V0を演算し、また、偏差Δを求め、マップM2によりその偏差Δに応じた補正係数αを求めて左右駆動輪6a,6bの駆動輪速VL,VRを求め、その駆動輪速VL,VRに基づいて、左右駆動輪駆動用電動モータ7a,7bの回転速度(つまり、駆動トルク)を制御する。尚、マップM2の変更態様として、補正係数αをマップM3のように設定してもよい。このマップM3では、各特性線において、偏差Δの絶対値が小さいときの補正係数αの減少率が大きいことから、搬送車Vの磁気テープ追従の応答性に優れる。
【0027】次に、駆動輪速制御のルーチンについて、図13〜図16のフローチャートを参照しつつ説明する。尚、フローチャート中ま符号Si(i=1,2,3・・・は各ステップを示す。図13により、駆動輪速制御のメインルーチンであって、所定微小時間(例えば、8ms)おきに実行されるメインルーチンについて説明すると、第1センサ11の検出信号Gi(i=1〜16)及び第2センサ12の検出信号Bj(j=1〜10)が読み込まれ(S1)、番地板14のない地点を走行中には、検出信号Bjが全てOFFであることから、この時読み込んだ検出信号Bjは消去され(S2、S3)、有効な検出信号Gi,BiがRAM23のメモリに格納される(S4)。つまり、時々刻々読み込んだ検出信号Giはメモリに更新しつつ格納されるが、検出信号Bjについては、最新の番地板14(最後の番地板14)から読み込んだ有効な検出信号Bjだけがメモリに更新しつつ格納される。
【0028】次に、検出信号Bjに基づいて、番地テーブル26を検索することで、最新の番地No.が演算され(S5)、その番地No.に対応する番地テーブル26のデータから、現在、加速中か、減速中か、停止中か、直進中か、左旋回中か、右旋回中か等が判る。次に、偏差Δの演算処理が実行されるが(S6)、これについては後述する。次に、直進中であれば(S7:Yes )、マップM1の直進用の駆動輪速基本値V0から、左右の駆動輪速基本値V0が演算され(S8)、次に、偏差ΔをマップM2に適用して、偏差Δ>0のときには、右駆動輪用補正係数αが演算され、また、偏差Δ<0のときには、左駆動輪用補正係数αが演算される(S9)。次に、駆動輪速基本値V0と、補正係数αとに基づいて、左右の駆動輪速VL,VRが演算される(S10)。
【0029】例えば、駆動輪速基本値V0として、偏差Δ>0のときには、左駆動輪速VL=V0、右駆動輪速VR=V0×αになり、また、偏差Δ<0のときには、左駆動輪速VL=V0×α、右駆動輪速VR=V0になる。但し、加速区間や減速区間を走行中には、所定の加減速率で加減速するように、左右の駆動輪速VL,VRが加減速補正される。次に、左右の駆動輪速VL,VRに基づいて、左右の駆動輪6a,6bを夫々駆動する電動モータ7a,7bの駆動電流制御の為の制御信号が演算され、その制御信号が、駆動回路24a,24bに夫々出力され(S15)、その後リターンする。
【0030】旋回走行時には(S7: No )、最新の番地No.の番地テーブル26のデータに基づいて、旋回方向と旋回半径Rが演算され(S11)、次に、その旋回方向と旋回半径RをマップM1に適用して、左右の駆動輪速基本値V0が演算される(S12)。次に、偏差ΔをマップM2に適用して、偏差Δ>0のときには、右駆動輪用補正係数αが演算され、また、偏差Δ<0のときには、左駆動輪用補正係数αが演算される(S13)。次に、左右駆動輪速基本値V0と、補正係数αとに基づいて、左右の駆動輪速VL,VRが演算される(S14)。次に、左右の駆動輪速VL,VRに基づいて、左右駆動輪6a,6bを夫々駆動する電動モータ7a,7bの駆動電流制御の制御信号が演算され、その制御信号が、駆動回路24a,24bに夫々出力され(S15)、その後リターンする。
【0031】次に、S6の偏差Δ演算処理のサブルーチンについて、図14〜図16のフローチャートを参照して説明する。図10に示すように、第1センサ11の16個のホール素子11aには、それらホール素子の位置を特定し且つ重み付けする為に、左側から順に1〜16の重み付け指数が付与してあり、図14のサブルーチンにおいて、最初に、この重み付け指数に対応するカウンタiが1に設定され(S20)、次に検出信号GiがONか否か判定し(S21)、その判定が No のときには(S21: No )、カウンタiをインクリメントして(S22)、S21を繰り返し、検出信号GiがONのときには(S21:Yes )、左端素子番号Lnoに、iの値が付与され(S23)、こうして、第1センサ11のONしているホール素子11aのうちの最も左側のホール素子11aの重み付け指数である左端素子番号Lnoが求められるが、図10に図示の例では、左端素子番号Lno=8である。
【0032】前記と同様に、右端側から順に検索することで、右端素子番号Rnoが、次のようにして求められる。カウンタiが16に設定され(S24)、次に、検出信号GiがONか否か判定し(S25)、その判定が No のときにはカウンタiをデクリメントして(S26)、S25を繰り返し、検出信号GiがONのときには、右端素子番号Rnoに、カウンタiの値が付与され(S27)、こうして、第1センサ11のONしているホール素子11aのうちの最も右側のホール素子の重み付け指数であるである右端素子番号Rnoが求められるが、図10に図示の例では、左端素子番号Rno=12である。次に、左端素子番号Lnoから左端素子番号Rnoまでの幅Wが、W=(Rno−Lno)として演算されてメモリに格納される(S28)。
【0033】次のS29からS33は、ONしているホール素子11aの総数を求める演算処理であり、カウンタiを1に、ONのホール素子11aの数をカウントするカウンタNtを0に設定してから(S29)、検出信号GiがONか否か判定し(S30)、その判定がYes のときには、カウンタNtが(Nt+1)に更新され(S31)、次にi=16か否か判定し(S32)、i<16のときには、カウンタiをインクリメントして(S33)、S30以降を繰り返し、また、S30の判定が No のときにはS31をスキップしてS32を実行し、こうして、i=1からi=16まで、繰り返していくと、ONしているホール素子11aの総数がNtとして演算され、i=16までの処理を完了後、S34へ移行する。
【0034】次に、最新の番地No.に対応する番地テーブル26のデータに基づいて、左旋回中か、右旋回中か、直進中か否か判定し(S34〜S36)、直進中のときには、S37へ移行し、左旋回中のときにはS45へ移行し、右旋回中のときにはS48へ移行する。直進中の場合には、S37〜S44の演算処理により、第1センサ11のうちのONしている複数のホール素子11aの重心位置ともいうべき中心位置Pcenが演算されるが、これについて説明すると、最初、左端素子番号Lnoから左端素子番号Rnoまでの幅Wが、所定の可変定数である直進用しきい値Wsno より大きいか否か判定し(S37)、その判定がYes のときには、路面に落ちている鉄片等のノイズの影響や、磁気テープ13が交差している地点で、誤検出している可能性が高いので、S37からメインルーチンのS1へリターンする。
【0035】S37の判定が No であるときには、ONしているホール素子11aの総数がNtが、所定の可変定数である分岐交差部判別用しきい値Wtno よりも大きいか否か判定し(S38)、その判定がYes のときには、磁気テープ13の分岐点や交差部である可能性が高いので、S37からメインルーチンのS1へリターンする。即ち、走行ルートの分岐点においては、図17に示すように、磁気テープ13が分岐しているため、ONとなるホール素子11aの数が異常に大きくなるが、この場合、検出信号Giを駆動輪速制御に適用するのを排除する為である。S37の判定が No で、かつS38の判定が No のときには、誤検出している可能性や分岐点や交差部である可能性が低いので、S39〜S43において、ONしているホール素子11aの重み付け指数の合計値Smが演算される。
【0036】即ち、カウンタiが1に、また、合計値Smが0に設定され(S39)、検出信号GiがONのときには(S40:Yes )、合計値Smが(Sm+i)に更新され(S41)、i<16のときには(S42: No )、カウンタiがインクリメントされて(S43)、S40以降が繰り返し実行され、こうして、i=1からi=16にわたる合計値Smが演算され、次に、S44において、中心位置Pcen が、Pcen =Sm/Ntとして演算され、S51へ移行する。
【0037】左旋回中の場合には、ONしているホール素子11aの総数がNtが、前記分岐交差部判別用しきい値Wtno よりも大きいか否か判定し(S45)、その判定がYes のときには、前記同様に、S45からメインルーチンのS1へリターンする。S45の判定が No のときには、分岐点や交差部である可能性が低いので、中心位置Pcen が、Pcen =(Lno+3)として演算され(S46)、次に、メモリに格納している検出信号Bjから番地No.を演算し、その番地No.に対応する番地テーブル26のデータに基づいて旋回半径が演算され(S47)、その後S51へ移行する。
【0038】同様に、右旋回中の場合には、ONしているホール素子11aの総数がNtが、前記分岐交差部判別用しきい値Wtno よりも大きいか否か判定し(S48)、その判定がYes のときには、前記同様に、S48からメインルーチンのS1へリターンする。S48の判定が No のときには、分岐点や交差部である可能性が低いので、中心位置Pcen が、Pcen =(Rno−3)として演算され(S49)、次に、メモリに格納している検出信号Bjから番地No.を演算し、その番地No.に対応する番地テーブル26のデータに基づいて旋回半径が演算され(S50)、その後S51へ移行する。
【0039】次に、S51では、前回の中心位置Pcen(k-1)と、今回の中心位置Pcen(k)とから中心位置Pcen の変化率DPが演算され、次に、その変化率DPが所定値K0以上か否か判定され(S52)、その判定がYes のときには、直進か否か判定する(S53)。直進中のときには(S53:Yes )、路面の鉄片等のノイズの影響で、変化率DPが大きくなった可能性が高いため、今回の検出信号Gi(i=1〜16)を用いて駆動輪速制御を行うことは好ましくないことから、今回の検出信号Giによる駆動速制御を中止して、メインルーチンのS1へリターンする。旋回中には、変化率DPが大きくなることも多く、今回の検出信号Gi(i=1〜16)を用いて駆動輪速制御を行なうことが望ましいので、S54へ移行する。尚、S52の判定が No の場合には、S53をスキップしてS54へ移行する。S54では、搬送車Vの車体中心線CLに対する、前記中心位置Pcenの偏差Δが、Δ=(Pcen −8.5 )として演算される。
【0040】次に、以上説明した無人搬送車の駆動輪速制御の作用について説明する。ONしているホール素子11aの中心位置Pcen を求める演算処理に関して、直進走行時には、重み付け指数の合計値Smを総数Ntで除算して、中心位置Pcen を演算するようにしたので、中心位置Pcen を求める精度を高め、駆動輪速制御の精度を高めることができる。特に、例えば、前記重み付け指数として、16のホール素子11aに、左側から順に、例えば、1,1,2,2,4,4,6,8,10,8,6,4,4,2,2,1のように設定すれば、中心側の5個のホール素子11aについての合計値Smが大きくなるので、ノイズの影響を排除し易くなる。また、旋回走行時には、S46やS49のように、中心位置Pcen を求めるので、走行ルートの分岐点や交差部の影響を排除して、中心位置Pcen を精度良く求めることができる。そして、このように、高精度に求めた中心位置Pcen に基づいて偏差Δを精度良く求めることができる。
【0041】一方、マップM1のように、旋回半径Rと、左右の駆動輪6a,6b間の間隔とに基づいて、旋回半径Rが大きくなる程駆動輪速基本値V0が大きくなるように、旋回外輪と旋回内輪の駆動輪速基本値V0を高精度に設定してあるので、走行速度を極力高く維持しつつ、旋回時の旋回性能と走行安定性を確保でき、駆動輪速制御の精度を高めることができる。しかも、マップM2に示すように、補正係数αの特性として、旋回半径Rが小さくなる程走行速度が低速になることに鑑み、旋回半径Rが小さくなる程、補正係数αが小さくなるように設定したので、走行速度を極力高く維持しつつ、旋回時の旋回性能と走行安定性を確保し、進行方向を正確に制御することができる。そして、同一旋回半径Rの場合には、偏差Δが大きくなる程、補正係数αが小さくなるように設定したので、進行方向補正の応答性を高める、つまり、磁気テープ13に対する追従性を高め、走行安定性を高めることができる。旋回走行時よりも走行速度が大きくなる直進走行時における補正係数αを、旋回走行時の補正係数αよりも大きく設定したので、ハンチングの発生を防止し、磁気テープ13に対する追従性を高め、走行安定性を高めることができる。
【0042】S37とS38のステップを設けたことで、走行ルートの分岐点や交差部における異常な検出信号に基づく制御を排除し、精度低下を防止できる。このことは、S45やS48のステップに関しても同様である。更に、S52、S53のステップを設け、中心位置Pcen の変化率DPが所定値K0以上のとき、直進走行時には、偏差Δの演算を中止し、その検出信号Giに基づく駆動輪速制御を行わないので、ノイズの影響等により、駆動輪速制御の精度が低下するのを防止できる。但し、旋回走行時には、変化率DPが所定値K0以上になることもあることに鑑み、偏差Δの演算と、その後の補正係数αの演算を実行し、進行方向の補正を実行するので、進行方向の補正の精度低下を防止できる。
【0043】次に、前記偏差Δの演算処理のサブルーチンを変更した変更態様について説明する(図18〜図20R>0参照)。図18に示すように、路面に落ちている鉄片等のノイズの影響で、例えば2個のホール素子11aがONした場合には、前記中心位置Pcen を正確に求めることができなくなることに鑑み、この変更態様においては、図示のように、ONしているホール素子11aのうち、隣接して連続的に並んでいる1又は複数のホール素子11aを1つのブロックとして、第1ブロックと第2ブロックのように複数ブロックにグループ分けし、最も広幅のブロックの複数の検出信号Giに基づいて、偏差Δを演算するようにしてある。
【0044】図19、図20において、最初に、前記ホール素子11aの重み付け指数に対応するカウンタi(i=1〜16)が1に設定され、ブロックカウンタkが0に設定され(S60)、次に、検出信号GiがONで、その1つ左側のホール素子11aの検出信号G(i-1) がOFFのときに(S61:Yes 、S62:Yes )、ブロックが検出されたとして、ブロックカウンタkがインクリメントされ(S63)、そのブロックの左端素子番号Lno(k) が、Lno(k) =iとして演算され(S64)、次に、i=16か否か判定され(S65)、その判定が No のときには、カウンタiがインクリメントされて(S66)、S61以降が繰り返され、こうして順々に、第1ブロックの左端素子番号Lno(1) 、第2ブロックの左端素子番号Lno(2) ・・が演算され、i=16になると(S65:Yes )、ブロック数Bnoが、Bno=最終のブロックカウンタkの値として設定される(S67)。
【0045】次に、S68〜S74において、i=16〜1に対して、前記と同様の演算を実行して、例えばブロック数Bno=2の場合には、各ブロックの右端素子番号Rno(2) ,Rno(1) が順に演算される。即ち、最初に、カウンタiが16に、また、カウンタkが0に設定され(S68)、次に検出信号GiがONで、その1つ右側のホール素子11aの検出信号G(i+1) がOFFのときに(S69:Yes 、S70:Yes )、最も右側のブロックの右端素子番号Rno(Bno−k)が、Rno(Bno−k)=iとして演算され(S71)、次に、カウンタkがインクリメントされ(S72)、次にi=1か否か判定され(S73)、その判定が No のときにはカウンタiがデクリメントされて(S74)、S69以降が繰り返され、i=1になるとS75へ移行する。
【0046】次に、S75からS78において、各ブロックにおける、左端素子番号Lno(k) から右端素子番号Rno(k) までの幅W(k) が演算される。即ち、最初、ブロックカウンタkが、k=1に設定され(S75)、次に、左端素子番号Lno(k) から右端素子番号Rno(k) までの幅W(k) が、W(k) =Rno(k) −Lno(k) 、として演算され(S76)、次に、カウンタk<ブロック数Bnoのときは(S77: No )、カウンタkがインクリメントされて(S78)、S76以降が繰り返され、カウンタk=ブロック数Bnoになると(S77:Yes)、S79へ移行する。
【0047】S79〜S84は、最大幅のブロックを検知する演算処理であり、最初、ブロックカウンタkが1に設定され、また、最大幅Wmが0に設定され(S79)、次に、第kブロックの幅W(k) が最大幅Wmよりも大きいか否か判定され(S80)、その判定がYes のときは、最大幅Wmに第kブロックの幅W(k) が付与され(S81)、次に、最大幅ブロック番号Mnoにカウンタkの値が付与される(S82)。但し、S80の判定が No のときはS81とS82をスキップしてS83へ移行する。
【0048】S83では、ブロックカウンタk=ブロック数Bnoか否か判定し、その判定がNo のときは、ブロックカウンタkがインクリメントされて(S84)、S80以降が繰り返され、ブロックカウンタk=ブロック数Bnoになると(S83:Yes )、S85において前記求めた最大幅のブロックについて、中心位置Pcen が、Pcen =〔Rno(Mno)−Lno(Mno)〕/2として演算される。例えば、図18に示すように、第1ブロックが最大幅のブロックの場合には、Pcen =〔Rno(1)−Lno(1)〕/2として演算されることになる。次に、S86において、偏差Δが、Δ=(Pcen −8.5 )として演算される。こうして求めた偏差Δを、マップM2に適用して、前記補正係数αが演算されることになる。この変更態様においては、ONしたホール素子11aの配列パターンから、鉄片等のノイズで作動したホール素子11aを検知し、そのノイズで作動したホール素子11aを除外して、中心位置Pcen を演算し、偏差Δを演算していることに相当する。
【0049】以上の偏差演算処理で求めた偏差Δを用いる駆動輪側制御においては、複数のブロックのうちの最大幅のブロックに属する複数のホール素子11aの中心位置Pcen を求め、その中心位置Pcen から偏差Δを演算するので、鉄片等のノイズの影響を確実に排除して、偏差Δを高精度に求めることができるから、駆動輪速制御、つまり、進行方向制御の精度を十分に高めることができる。
【0050】前記実施例を部分的に変更した変更態様について説明する。
1〕 前記ガイド手段としては、磁気テープ以外の種々のガイド手段を適用可能であり、その場合、ガイド手段を検出できるガイド検出手段を適用する。
2〕 前記変更態様に係る偏差演算処理において、各ブロックの1又は複数のホール素子11aの重み付け指数の合計値を求め、その合計値の最大のものだけを対象として、中心位置Pcen を演算するように構成してもよい。但し、この場合の重み付け指数としては、前記のように、16のホール素子11aに、左側から順に、例えば、1,1,2,2,4,4,6,8,10,8,6,4,4,2,2,1のように、中央側のホール素子11aの重みに比較して、両端側のホール素子11aの重みが小さくように、設定するものとする。
【0051】3〕 前記実施例においては、駆動用電動モータ7a,7bに対するブレーキ制御については説明を省略したが、マップM2により補正係数αが0になるような場合には、それに対応する駆動用モータについて、図8の前進用スイッチ30a,30b及び後退用スイッチ31a,31bをOFFとし、ブレーキ用スイッチ33をONに切換えることでブレーキ作用を発揮させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る無人搬送車の横断平面図である。
【図2】図1の無人搬送車の側面図である。
【図3】第1センサの構成説明図である。
【図4】番地板の構成説明図である。
【図5】第2センサの構成説明図である。
【図6】制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】番地テーブルの内容説明用の図表である。
【図8】駆動回路に含まれる電気回路の回路である。
【図9】駆動輪速基本値V0を設定したマップM1の線図である。
【図10】第1センサと磁気テープと偏差Δ等を説明した説明図である。
【図11】補正係数αを設定したマップM2の線図である。
【図12】マップM2を変更したマップM3の線図である。
【図13】駆動輪速制御のルーチンのフローチャートである。
【図14】偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの一部である。
【図15】偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの一部である。
【図16】偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの残部である。
【図17】走行ルートの分岐部における第1センサの作動状態を例示した説明図である。
【図18】ノイズ等の影響が顕れた第1センサの作動状態を例示した説明図である。
【図19】変更態様に係る偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの一部である。
【図20】同変更態様に係る偏差演算処理のサブルーチンのフローチャートの残部である。
【符号の説明】
V 無人搬送車
1 車体
4 制御ユニット
6a,6b 左右の駆動輪
7a,7b 駆動用電動モータ
11 第1センサ(ガイド検知手段)
12 第2センサ
13 磁気テープ(ガイド手段)
14 番地板
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自走式の無人搬送車の走行ルートに沿ってガイド手段を配設し、無人搬送車にガイド手段を検知するガイド検知手段を設け、ガイド検知手段からの検出信号を用いて無人搬送車がガイド手段に沿って走行するように、無人搬送車の進行方向を制御する無人搬送車の制御装置において、前記ガイド検知手段は、無人搬送車の進行方向と直交する方向に配列され且つガイド手段の幅よりも広幅にわたる複数の検出素子で構成され、前記複数の検出素子の検出信号を受け、それら複数の検出素子のうちのガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を演算する中心演算手段を設け、前記中心演算手段で演算された中心位置から、無人搬送車のガイド手段に対する進行方向と直交する方向の偏差を求め、その偏差を用いて進行方向を補正する進行方向補正手段を設けた、ことを特徴とする無人搬送車の制御装置。
【請求項2】 前記中心演算手段は、直進走行時には、ガイド検知手段を構成する複数の検出素子に付与した所定の重み付け指数のうち、ガイド手段に臨む複数の検出素子の重み付け指数を用いて、前記中心位置を演算するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項3】 前記中心演算手段で演算された中心位置から、その中心位置の変化率を演算し、この中心位置変化率が所定値以上のときには、進行方向補正手段による進行方向の補正を制限する補正制限手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項4】 前記補正制限手段は、直進走行時には進行方向の補正を禁止するとともに、旋回走行時には進行方向の補正を許可するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項5】 前記中心演算手段は、旋回走行時には、最も旋回方向側に位置する検出素子の位置を求め、その検出素子の位置に所定数を加減算して、前記中心位置を演算するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項6】 前記中心演算手段は、作動した検出素子の配列パターンからノイズで作動した検出素子を検知し、そのノイズで作動した検出素子を除外して、前記中心位置を演算するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項7】 前記中心演算手段は、前記ガイド手段を検知して作動した検出素子の数が所定数以上のときには、中心位置の演算を中止するように構成されたことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項1】 自走式の無人搬送車の走行ルートに沿ってガイド手段を配設し、無人搬送車にガイド手段を検知するガイド検知手段を設け、ガイド検知手段からの検出信号を用いて無人搬送車がガイド手段に沿って走行するように、無人搬送車の進行方向を制御する無人搬送車の制御装置において、前記ガイド検知手段は、無人搬送車の進行方向と直交する方向に配列され且つガイド手段の幅よりも広幅にわたる複数の検出素子で構成され、前記複数の検出素子の検出信号を受け、それら複数の検出素子のうちのガイド手段に臨む複数の検出素子の中心位置を演算する中心演算手段を設け、前記中心演算手段で演算された中心位置から、無人搬送車のガイド手段に対する進行方向と直交する方向の偏差を求め、その偏差を用いて進行方向を補正する進行方向補正手段を設けた、ことを特徴とする無人搬送車の制御装置。
【請求項2】 前記中心演算手段は、直進走行時には、ガイド検知手段を構成する複数の検出素子に付与した所定の重み付け指数のうち、ガイド手段に臨む複数の検出素子の重み付け指数を用いて、前記中心位置を演算するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項3】 前記中心演算手段で演算された中心位置から、その中心位置の変化率を演算し、この中心位置変化率が所定値以上のときには、進行方向補正手段による進行方向の補正を制限する補正制限手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項4】 前記補正制限手段は、直進走行時には進行方向の補正を禁止するとともに、旋回走行時には進行方向の補正を許可するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項5】 前記中心演算手段は、旋回走行時には、最も旋回方向側に位置する検出素子の位置を求め、その検出素子の位置に所定数を加減算して、前記中心位置を演算するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項6】 前記中心演算手段は、作動した検出素子の配列パターンからノイズで作動した検出素子を検知し、そのノイズで作動した検出素子を除外して、前記中心位置を演算するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車の制御装置。
【請求項7】 前記中心演算手段は、前記ガイド手段を検知して作動した検出素子の数が所定数以上のときには、中心位置の演算を中止するように構成されたことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の無人搬送車の制御装置。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図18】
【図2】
【図6】
【図7】
【図15】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図17】
【図13】
【図14】
【図16】
【図19】
【図20】
【図3】
【図4】
【図5】
【図18】
【図2】
【図6】
【図7】
【図15】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図17】
【図13】
【図14】
【図16】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開平8−44427
【公開日】平成8年(1996)2月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−197879
【出願日】平成6年(1994)7月30日
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【公開日】平成8年(1996)2月16日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)7月30日
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
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