説明

無包装の粘着テープ集積体

【課題】無包装の粘着テープ集積体及びその製造方法を提供する。
【課題を解決する手段】
一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、接着テープ、ホットメルト接着剤、円筒状の弾性風船等を用いて、切断面を重ねて複数個集積し一体化した粘着テープ集積体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ集積体を工場出荷するに際し、箱内に収める際、無包装の粘着テープ集積体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着テープ巻き取り体3は、長いコアに粘着剤が塗布された粘着シートを一定量巻回し、所定の幅で切断されて作られている。工場から出荷するに際して、粘着テープ巻き取り体3は、切断面を所望の数重ね合わせ粘着テープ集積体としては箱詰めされている。図1に示すように、粘着テープ2をコア1に巻き取って粘着テープ巻き取り体3を製造し、粘着テープ集積体は外周面に紙或いはフィルムにより外装包装集積体とされ、箱詰めされていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、外装包装を用いる方法は、包装装置が大掛かりになる欠点がある。また、建築現場も高層化や清潔化が進み、現場にはできるだけ廃棄物を出さないための工夫がなされている。1日のシール打ち込み作業に必要なシール用粘着テープ取り体3は、職人一人当たり20〜30あり、外装包装集積体の包装をはずして個々の粘着テープ巻き取り体3として職人さんの腰袋に収納されている。包装材は製造時の通紙ロス及び使用時(開封時)には廃棄物の仕分けなど必要となり取り扱いに困難を要する。また包装する際に、テープの口取り部分が偶然にも包装フィルムの継ぎ目に来ると、包装フィルムから外へはみ出す等の欠点もある。一方、口取り部を検出し包装の継ぎ目を避けて包装することは可能であるが相当な設備が必要となる為現実味がない。
したがって、紙或いはフィルムによる外装包装集積体から外装包装を無くした無包装の粘着テープ集積体が要望されていた。本発明は、無包装の粘着テープ集積体及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決すべく本発明者は鋭意研究を重ね、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に接着した1本以上の手切れ性の良い接着テープ4により、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体である。
また、本発明においては、手切れ性の良い接着テープ4が2〜3本であり、コア1の内周面にほぼ均等の距離で貼り付けることができる。
さらに本発明では、接着テープ4の接着剤面と反対面に、印刷により粘着テープ巻き取り体の商品名、性能、製造年月日、識別記号、品質保証から選ばれる1種以上を印刷することができる。
また、本発明は、一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、切断方向に複数個集積する工程に於いて、複数個集積した各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に1本以上の手切れ性の良い接着テープ4を貼り付けて一体化することを特徴とする粘着テープ集積体の製造方法である。
さらに本発明は、一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3の各切断面の複数個所に滴下したホットメルト型接着剤により固定し、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体である。
本発明においては、滴下した複数個所のホットメルト型接着剤の強度が、輸送による振動に耐える強度であり、かつ、一体化した粘着テープ集積体を、手の力で各粘着テープ巻き取り体3に分離できる強度とすることができる。
また、本発明は、一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、切断方向に複数個集積する工程に於いて、各粘着テープ巻き取り体3の各切断面の複数個所にホットメルト型接着剤を滴下し、各粘着テープ巻き取り体3を複数個重ねて一体化することを特徴とする粘着テープ集積体の製造方法である。
さらに、本発明は、一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に接した円筒状の弾性風船で、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体である。
また、本発明は、一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の一部をずらして、隣り合うコア同士を繋ぎ合わさることで、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の粘着テープ集積体によれば、従来のような外装包装を必要とせず、開封が不要であり廃棄物の減量も可能となった。また、接着幅、接着強度、材質を変えることにより、分離しやすさを調節することができ製品ごとにすばやく適応できる。また本発明の粘着テープ集積体は、簡単な冶具でしかも確実且つ迅速に集積を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明における粘着テープ巻き取り体3を図1に示す。
本発明において用いるコア1としては、従来のコアを用いることが出来、厚紙の硬質紙、やダンボールが好適に用いることが出来る
本発明において用いる粘着テープ2としては、紙やフィルムなど従来の粘着テープを用いることが出来る。本発明において用いる手切れ性の良い接着テープ4としては、基材として手切れ性の良ければ紙でも合成樹脂フィルムでも何でも良いが、紙が好ましく用いられる。基材に塗布される接着剤についても、接着強度十分であればなんで良いが、生分解性の接着剤がとくに好ましい。
【0007】
接着テープ4の本数も、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に接着して、切断面を重ねて複数個集積する際に、安定して各粘着テープ巻き取り体3を一体化できるように本数を定める。テープの太さにもよるが、2〜3本が好ましい。
本発明において用いる紙、フィルム、ホットメルト、コアは市販のものでよい。また紙、フィルムをコアと接着するものの代表例は水性、油性、ホットメルト、紫外線硬化型の接着剤でよい。またホットメルト型の樹脂や自然乾燥で被膜形成が可能な物質を用いそのまま基材として使用すると1種類の材料のみで集積固定されるため廃棄物や製造設備でも単純化させることができ、製造上有利となる。
【0008】
また、本発明で、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に接した円筒状の弾性風船で、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体から、各粘着テープ巻き取り体3を取り出すときには、針状物で弾性風船を突いて、風船を破裂させれば良い。
さらに、本発明で、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の一部をずらして、隣り合うコア同士を繋ぎ合わさることで、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体とするに際しては、コア1の一部をずれやすいように、多重構造のコアを用いることが望ましい。
【実施例1】
【0009】
本発明の実施の形態は種々考えられるが、代表的なものを図2〜図5に示し、実施例として示すが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
粘着テープ巻き取り体3を接着テープにより、一体化する例を図2に示す。
固定対象としてはゴム系粘着テープとし、基材として紙を用い、接着剤として水性のり(でんぷん糊)を用いて、図6に示した冶具で集積し粘着テープ集積体を製造した。冶具8は、円筒形の貼り付け軸9を有する。各粘着テープ巻き取り体3を冶具8に差し込み切断面を重ねて複数個集積し粘着テープ集積体とした。接着テープ4の糊付けされた面を貼り付け軸9を添わせ、粘着テープ集積体の各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に接触するまで拡幅し貼り付け接着し、一体化した。接着剤はすばやく乾燥し即座に固定することが出来た。
接着テープ4は、一つの粘着テープ集積体の一体化が終了した時点で、手で切断することが出来分離展開が楽に行えた。
【実施例2】
【0010】
粘着テープ巻き取り体3を、ホットメルト型接着剤を用いて集積一体化する例を図3に示す。
固定対象としては例えば、ゴム系粘着テープ巻き取り体3をとし、接着剤としてホットメルトタイプの接着剤を、ゴム系粘着テープ巻き取り体3の切断面に複数個所滴下し、巻き取り体3をひとつずつ集積することで集積一体化された。ホットメルト5は自然冷却されることですばやく集積固定され粘着テープ集積体を得た。
なお、粘着テープ集積体をひとつずつ分離する時にも、ホットメルトは簡単に剥離し開封展開が楽に行えた。
【実施例3】
【0011】
粘着テープ巻き取り体3を、円筒状の弾性風船6を用いて集積一体化する例を図4に示す。固定対象としては例えば、ゴム系粘着テープ巻き取り体3をとし、弾性風船の基材としては合成樹脂フィルムを用い、空気が密閉されたフィルム円筒状の弾性風船に、粘着テープ巻き取り体3を集積することにより、集積一体化された。
使用時にも粘着テープ巻き取り体3とフィルムは接着されていないため、針状物等で弾性風船に穴を開けることにより、簡単に開封展開が行えた。
【実施例4】
【0012】
粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の一部をずらして、隣り合うコア同士を繋ぎ合わさることで集積一体化する例を図5に示す。
固定対象としては例えば、ゴム系粘着テープ巻き取り体3をとし、コアを多重コア7としておき集積された各粘着テープ巻き取り体3のコア1を横ずらしすることで個別のテープを集積固定することが出来た。
使用時にもテープ同士は接着されていないため容易に開封展開が行えた。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の粘着テープ集積体は、従来のような外装包装を必要とせず、開封が不要であり建築現場で廃棄物の量を少なくすることが出来るので、省資源、省エネルギーを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】粘着テープの説明図
【図2】粘着テープ集積体の説明図
【図3】の説明図
【図4】ホットメルトをコア側面に滴下したものの説明図
【図5】多重コアを横ずらしした粘着テープの説明図
【図6】接着テープを用いて一体化する粘着テープ集積体の説明図
【符号の説明】
【0015】
1 コア
2 粘着テープ
3 粘着テープ巻き取り体
4 接着テープ
5 滴下ホットメルト
6 円筒状弾性風船
7 多重コア
8 冶具
9 貼り付け軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に接着した1本以上の手切れ性の良い接着テープ4により、切断面を重ねて複数個集積し一体化した粘着テープ集積体。
【請求項2】
手切れ性の良い接着テープ4が2〜3本であり、コア1の内周面にほぼ均等の距離で貼り付けられた請求項1に記載した粘着テープ集積体。
【請求項3】
接着テープ4の接着剤面と反対面に、印刷により粘着テープ巻き取り体の商品名、性能、製造年月日、識別記号、品質保証から選ばれる1種以上を印刷した請求項1又は請求項2に記載した粘着テープ集積体。
【請求項4】
一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、切断方向に複数個集積する工程に於いて、複数個集積した各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に1本以上の手切れ性の良い接着テープ4を貼り付けて一体化することを特徴とする粘着テープ集積体の製造方法。
【請求項5】
一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3の各切断面の複数個所に滴下したホットメルト型接着剤により固定し、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体。
【請求項6】
滴下した複数個所のホットメルト型接着剤の強度が、輸送による振動に耐える強度であり、かつ、一体化した粘着テープ集積体を、手の力で各粘着テープ巻き取り体3に分離できる強度である請求項5に記載した粘着テープ集積体。
【請求項7】
一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、切断方向に複数個集積する工程に於いて、各粘着テープ巻き取り体3の各切断面の複数個所にホットメルト型接着剤を滴下し、各粘着テープ巻き取り体3を複数個重ねて一体化することを特徴とする粘着テープ集積体の製造方法。
【請求項8】
一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3のコア1の内周面に接した円筒状の弾性風船で、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体。
【請求項9】
一定の幅で切断されたコア1と、コア1上にコア1と同じ巾で切断され巻き取られた粘着テープ2からなる粘着テープ巻き取り体3を、各粘着テープ巻き取り体3のコア1を多重構造とし、コアの一部をずらして、隣り合うコア同士を繋ぎ合わさることで、切断面を重ねて複数個集積した粘着テープ集積体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−44665(P2008−44665A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224369(P2006−224369)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(591189258)カモ井加工紙株式会社 (16)
【Fターム(参考)】