説明

無接触給電設備の2次側受電回路およびこの2次側受電回路において使用される可飽和リアクトル

【課題】環境の温度の変化や磁性体コアの磁気特性により変動する可飽和リアクトルの飽和電圧に頼ることなく、負荷が要求する電圧で安定して給電できる無接触給電設備の2次側受電回路を提供することを目的とする。
【解決手段】磁性体コアとこの磁性体コアに巻かれた一次コイル33からなる可飽和リアクトル15を共振回路13に接続し、同じ長さで同じ特性の2本のバイアスコイル36,37をそれぞれ、前記磁性体コアに巻いて逆極性となるよう直列に接続し、また出力コンデンサ19の両端電圧(負荷18に印加される電圧)が、負荷18が要求する目標電圧以上となると、バイアスコイル36,37に直流のバイアス電流を流す電流回路41を備える。前記バイアス電流が流れると、可飽和リアクトル15が飽和することにより、負荷18に印加される電圧は、負荷18が要求する目標電圧に抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無接触給電設備の2次側受電回路、特に可飽和リアクトルを用いた無接触給電設備の2次側受電回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の可飽和リアクトルを用いた無接触給電設備の2次側受電回路の構成が特許文献1(図2)に開示されている。
特許文献1に開示されている2次側受電回路は、高周波電流を流す誘導線路に対向して前記誘導線路より起電力が誘起される受電コイルと、この受電コイルとともに前記誘導線路の周波数に共振する共振回路を形成する共振コンデンサと、環状磁路を形成するコア部材(磁性体コア)、およびコア部材に巻かれ前記共振回路に並列に接続されたコイルを有する可飽和リアクトルと、受電コイルから出力される電流を整流して負荷に出力する整流回路を備えている。
そして、可飽和リアクトルの磁性体コアの飽和電圧を、負荷が要求する電圧(例えば、許容の上限電圧)に設定することにより、共振回路の共振電圧を可飽和リアクトルの磁性体コアの飽和電圧に抑え、よって負荷へ印加される電圧を、負荷が要求する電圧に抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4052436号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、通常、可飽和リアクトルの磁性体コア(フェライト材料)は、使用する温度により磁気飽和する磁束密度が変化するため、環境の温度の変化や自己の発熱により飽和電圧が変動し、可飽和リアクトルだけでは、負荷が要求する電圧に安定させることは困難であった。
加えて、フェライト材料は、個々の磁気特性のバラツキが大きいために、個々の特性を計測する必要があり、この特性によっては、所定の飽和電圧を得るためには、コイルの巻数を変える必要が生じることがあり、所定の特性を安定して確保した可飽和リアクトルを量産するには、困難があった。
また負荷が要求する電圧が変更された場合には、コイルの巻数を変更する必要があり、簡単に対応できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、環境の温度の変化や磁性体コアの磁気特性により変動する可飽和リアクトルの飽和電圧に頼ることなく、負荷が要求する電圧で安定して給電できる無接触給電設備の2次側受電回路およびこの2次側受電回路において使用される可飽和リアクトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、高周波電流が供給される1次側の誘導線路または1次側の給電コイルから無接触で給電され、負荷に給電する無接触給電設備の2次側受電回路であって、
前記1次側の誘導線路または1次側の給電コイルより起電力が誘起される受電コイルと、前記受電コイルに並列に接続され、この受電コイルと前記高周波電流の周波数に共振する共振回路を形成する共振コンデンサと、前記共振回路の両端に接続された可飽和リアクトルと、前記共振回路から出力される電流を整流して出力する整流回路と、前記整流回路の出力端に、前記負荷とともに並列に接続された出力コンデンサとを備え、
前記可飽和リアクトルは、複数の第1磁性体コアと、前記複数の第1磁性体コアに共通に巻かれ前記共振回路に並列に接続された一次コイルと、前記各第1磁性体コアに各々巻かれ、前記一次コイルに電流が流れたときに起電力が各々相殺するように接続されたバイアスコイルを備え、前記第1磁性体コアの総断面積は、第1磁性体コア全体の飽和電圧が前記負荷が要求する目標電圧より高くなるように設定されており、前記負荷の電圧が前記目標電圧以上となると、前記バイアスコイルに直流のバイアス電流を流し、前記第1磁性体コアを飽和する電流回路を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
上記構成によれば、以下の作用を奏する。
まず、第1磁性体コアを2個で構成し、これに伴いバイアスコイルを2本で構成し、これらバイアスコイルにバイアス電流を流さない状態としているときの作用について説明する。
共振回路の共振電圧が、可飽和リアクトルの第1磁性体コアの飽和電圧未満の場合は、共振回路から出力された(一定)電流は、整流回路により整流されて負荷および出力コンデンサへ供給され、出力コンデンサは充填される。また負荷が減少し、これに伴い出力コンデンサの両端電圧および共振回路の共振電圧が上昇し、第1磁性体コアの飽和電圧以上となると、一次コイルのインダクタンスが低下して急激に電流が流れ、共振回路の共振電圧は、第1磁性体コアの飽和電圧に抑えられ、出力コンデンサの両端電圧、すなわち負荷へ印加される電圧は、前記飽和電圧以下に抑えられる。これは、図5(a)の磁性体コアの磁気ヒステリシス曲線(B−H曲線)において、正と負のサイクル間において第一象限の+Bmと第三象限の−Bmの間でB−Hが遷移している状態として理解される。
このとき、第1磁性体コアに巻かれた2本のバイアスコイルは、一次コイルに電流が流れたときに発生する起電力が各々相殺するように、つまりは逆極性で接続されていることにより、これらバイアスコイルに発生する起電力は互いに打ち消しあってバランスするので、バイアスコイルに電流が流れる事無く、よって一次コイルには影響を与えない。
【0008】
このような作用を前提として、第1磁性体コア2個に巻かれる2本のバイアスコイルにバイアス電流が流れるときの作用について説明する。
前記第1磁性体コアの飽和電圧は、環境の温度や磁性体コアの磁気特性により変動することから、第1磁性体コア全体の飽和電圧を、負荷が要求する目標電圧より高く設定し、負荷へ印加される電圧、すなわち出力コンデンサの両端電圧を抑えるバックアップ電圧とし、第1磁性体コア全体の飽和電圧より低い前記目標電圧への定電圧制御を実行する。
すなわち、負荷の電圧(出力コンデンサの両端電圧)が前記目標電圧以上となると、電流回路により、2つのバイアスコイルに直流のバイアス電流を流す。
【0009】
するとバイアス電流により、第1磁性体コアに直流磁場が鎖交される。すると、図5(a)の磁性体コアの磁気ヒステリシス曲線(B−H曲線)に示すように、一次コイルに印加される共振電圧により流れる電流によって起磁力が発生するが、正のサイクルでは一方のバイアスコイルに流れる電流による直流磁場によってプラス側にバイアスがかかるので、バイアス電流を流さない状態に比べて少ない起磁力で+Bmに到達して一方の第1磁性体コアが飽和し、負のサイクルでは他方のバイアスコイルに流れる逆向きの電流による直流磁場によってマイナス側にバイアスがかかるので、バイアス電流を流さない状態に比べて少ない起磁力で−Bmに到達して他方の第1磁性体コアが飽和する。つまり、第1磁性体コアに印加される共振電圧が前記飽和電圧未満であっても、2つのうち何れかの第1磁性体コアが飽和する。一方の第1磁性体コアが飽和すると、一次コイルのインダクタンスが低下して急激に電流が流れて他方の第1磁性体コアも飽和する(なお、バイアスコイルにダイオードが接続されている場合には、一方の第1磁性体コアが飽和すると一次コイルによってバイアスコイルに発生する起電力のバランスが崩れ、バイアスコイル電流の順方向に起電力が作用して、ダイオードを介しバイアスコイルに循環電流が流れる。この循環電流が他方の第1磁性体コアを瞬時に飽和させるので、バイアスコイルに発生する起電力のバランス崩れによる電圧値を抑制することが出来る)。このように、図5(b)に示す如く、見かけ上のB−H曲線が狭まり、磁場Aを発生する交流電圧(<飽和電圧)で、飽和磁束密度に達して第1磁性体コアが飽和する。すると、交流電圧(<飽和電圧)で、一次コイルに急激に電流が流れて共振回路の共振電圧は前記目標電圧に抑えられる。
前記バイアス電流は、負荷の電圧(出力コンデンサの両端電圧)が前記目標電圧以上となると流されることから、共振回路の共振電圧、すなわち出力コンデンサの両端電圧は、前記目標電圧に抑えられる。
このように、簡易な構成で、環境の温度や磁性体コアの磁気特性を考慮することなく、負荷の電圧を、安定して目標電圧に制御できる定電圧制御を実現できる。
【0010】
また請求項2に記載の発明は、高周波電流が供給される1次側の誘導線路または1次側の給電コイルから無接触で給電され、蓄電手段(電池)に給電する無接触給電設備の2次側受電回路であって、
前記1次側の誘導線路または1次側の給電コイルより起電力が誘起される受電コイルと、前記受電コイルに並列に接続され、この受電コイルと前記高周波電流の周波数に共振する共振回路を形成する共振コンデンサと、前記共振回路の両端に接続された可飽和リアクトルを備え、
前記可飽和リアクトルは、複数の第1磁性体コアと、前記複数の第1磁性体コアに共通に巻かれ前記共振回路に並列に接続された一次コイルと、前記複数の第1磁性体コアに共通に、前記一次コイルより少ない巻数で巻かれた二次コイルと、前記各第1磁性体コアに各々巻かれ、前記一次コイルに電流が流れたときに起電力が各々相殺するように接続されたバイアスコイルを備え、前記可飽和リアクトルのニ次コイルから出力される電流を整流して前記蓄電手段へ出力する整流回路を備え、前記第1磁性体コアの総断面積は、第1磁性体コア全体の飽和電圧が前記負荷が要求する目標電圧より高くなるように設定されており、前記蓄電手段の電圧が前記目標電圧以上となると、前記バイアスコイルに直流のバイアス電流を流し、前記第1磁性体コアを飽和する電流回路とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
上記構成によれば、以下の作用を奏する。
まず、第1磁性体コアを2個で構成し、これに伴いバイアスコイルを2本で構成し、これらバイアスコイルにバイアス電流を流さない状態としているときの作用について説明する。 共振回路の共振電圧が、可飽和リアクトルの第1磁性体コアの飽和電圧未満の場合は、一次コイルと二次コイルのトランスの作用により共振電圧より低電圧化されて、共振回路から出力された(一定)電流は整流回路により整流されて蓄電手段へ供給される。また蓄電手段の電圧が上昇し、共振回路の共振電圧が第1磁性体コアの飽和電圧以上となると、一次コイルのインダクタンスが低下して一次コイルに急激に電流が流れ、共振回路の共振電圧は第1磁性体コアの飽和電圧に押さえられ、二次コイルの電圧、すなわち蓄電手段の電圧は、第1磁性体コアの飽和電圧未満に抑えられる。これは、図5(a)の磁性体コアの磁気ヒステリシス曲線(B−H曲線)において、正と負のサイクル間において第一象限の+Bmと第三象限の−Bmの間でB−Hが遷移している状態として理解される。
このとき、第1磁性体コアに巻かれた2本のバイアスコイルは、一次コイルに電流が流れたときに発生する起電力が各々相殺するように、つまりは逆極性で接続されていることにより、これらバイアスコイルに発生する起電力は互いに打ち消しあってバランスするので、バイアスコイルに電流が流れる事無く、よって一次コイルには影響を与えない。
【0012】
このような作用を前提として、第1磁性体コア2個に巻かれる2本のバイアスコイルにバイアス電流が流れるときの作用について説明する。
前記第1磁性体コアの飽和電圧は、環境の温度や磁性体コアの磁気特性により変動することから、第1磁性体コアの飽和電圧を、蓄電手段が要求する目標電圧より高く設定し、蓄電手段へ印加される電圧を抑えるバックアップ電圧とし、第1磁性体コアの飽和電圧より低い前記目標電圧への定電圧制御を実行する。
すなわち、蓄電手段の電圧が前記目標電圧以上となると、電流回路により、2本のバイアスコイルに直流のバイアス電流を流す。
バイアスコイルに直流のバイアス電流を流したときの作用は、上述した通りであり、蓄電手段の電圧は、前記目標電圧に抑えられる。
このように、簡易な構成で、環境の温度や磁性体コアの磁気特性を考慮することなく、蓄電手段の電圧を目標電圧に安定して制御できる定電圧制御を実現できる。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明であって、前記電流回路は、前記負荷または蓄電手段の電圧が前記目標電圧以上となると動作するスイッチ手段と、前記スイッチ手段が動作すると、前記バイアスコイルへバイアス電流を流す電流手段と、前記バイアスコイルの両端に接続され、バイアスコイルに流れる電流を循環させる循環手段を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、以下の作用を奏する。
第1磁性体コアを2個で構成し、これに伴い各々に巻かれるバイアスコイルを2本で構成したときの作用について説明する。
負荷または蓄電手段の電圧が目標電圧以上となると、スイッチ手段が動作し、スイッチン手段が動作すると、電流手段により2本のバイアスコイルへバイアス電流が流れる。電流は、出力コンデンサまたは蓄電手段から供給される。
前記バイアス電流は2本のバイアスコイルに流れると、各バイアスコイルにそれぞれ逆向きに発生している磁束(起電力)のうち、バイアス電流により発生している磁束によってこの磁束の向きとは逆向きに発生している一方の磁束は打ち消され、他方の磁束には、バイアス電流により発生している磁束が加わって、常に2本のバイアスコイルの両端に、バイアス電流が流れる向きに起電力が発生し、2つのバイアスコイルと循環手段からなる閉回路に、バイアス電流を遥かに上回る電流値の循環電流が流れる。この循環電流により、上記磁場のバイアスaが発生するので、最初に流すバイアス電流は循環電流を発生するだけの小さな電流でよい。
そして、上述したようにこのバイアス電流により、負荷または電池の電圧は目標電圧に抑えられる。
また負荷または蓄電手段の目標電圧の変更に際して可飽和リアクトル自体を取り替える必要がなく、スイッチ手段の動作電圧を変えることによって対処を簡単に行える。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記可飽和リアクトルは、前記第1磁性体コアより磁気抵抗の大きい第2磁性体コアを備え、前記一次コイルを前記第1磁性体コアに巻いた後、この一次コイルを前記第2磁性体コアに巻いたことを特徴とするものである。
【0016】
上記構成によれば、以下の作用を奏する。
一次コイルに流れる電流によって、第1磁性体コアおよび第2磁性体コアに磁束が生じ、この状態では一次コイルは大きなインダクタンス値を示す。
そして、一次コイルの両端電圧(共振電圧)が増加すると、前記第1磁性体コアは、第2磁性体コアより磁気抵抗が小さいことにより、先に第1磁性体コアが飽和して第1磁性体コアの透磁率は略1(μ=1)まで急激に低下し、第1磁性体コアに巻かれている一次コイルのインダクタンスが急激に低下して急激にパルス電流が流れ始める。このとき、未だ、第2磁性体コアは飽和していないため、このときの第2磁性体コアの透磁率(低下している)に応じて第2磁性体コアに巻かれている一次コイルのインダクタンスはある程度の値が維持される。よって、第1磁性体コアが磁気飽和しても一次コイルに流れるパルス電流は、それほど急峻で過大とはならない。パルス電流が流れることによって、一次コイルの両端電圧(共振電圧)は、第1磁性体コアの飽和電圧に抑えられる。
このように、第2磁性体コアを設けることにより、穏やかに電圧抑制の作用が働くことになり、急峻で過大なパルス電流に起因する渦電流による発熱や電磁妨害の問題を軽減できる。
【0017】
また請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の無接触給電設備の2次側受電回路に使用される可飽和リアクトルであって、
前記第1磁性体コアを、環状磁路を形成し、空洞を有する同一特性の2個のコア部材により形成し、前記コア部材毎に、熱伝導率の高い低透磁率材料からなり、前記コア部材とほぼ同径の空洞を有する放熱板を設け、前記一次コイルは、これら空洞を使用して前記2個のコア部材および放熱板に巻かれ、前記一方のバイアスコイルは、前記一方のコア部材およびこのコア部材を設けた放熱板の空洞を使用して、前記一方のコア部材および前記放熱板に巻かれ、前記他方のバイアスコイルは、前記他方のコア部材およびこのコア部材を設けた放熱板の空洞を使用して、前記他方のコア部材および前記放熱板に巻かれ、前記一方のバイアスコイルと他方のバイアスコイルは、逆極性となるように接続されていることを特徴とするものである。
【0018】
上記構成によれば、以下の作用を奏する。
まず、コア部材毎に空洞を揃えて放熱板を取り付け、続いて、コア部材および放熱板の空洞を使用して各バイアスコイルをそれぞれ各コア部材およびその放熱板に巻く。
続いて、2個のコア部材および2個の放熱板の空洞を揃えて、これら空洞を使用して一次コイルを、2個のコア部材および2個の放熱板に巻く。
続いて、バイアスコイルを逆極性となるように接続して可飽和リアクトルを形成する。
このように、コア部材および放熱板の空洞を利用して、各バイアスコイルと一次コイルを容易に巻くことができ、製作が容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の無接触給電設備の2次側受電回路は、負荷あるいは蓄電手段の電圧が、負荷あるいは蓄電手段が要求する目標電圧以上となると、電流回路により2本のバイアスコイルに直流のバイアス電流を流すことにより、負荷あるいは蓄電手段の電圧を、前記目標電圧へ抑えることができ、したがって、可飽和リアクトルの第1磁性体コアの飽和電圧を前記目標電圧より高く設定することによって、環境の温度や磁性体コアの磁気特性により変動する第1磁性体コアの飽和電圧に頼ることなく、安定した目標電圧への定電圧制御を実現でき、さらに万一、電流回路に不具合が発生した場合においても、負荷あるいは蓄電手段の電圧の上昇を可飽和リアクトルで抑えることができる(バックアップとすることができる)、という効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1における無接触給電設備の2次側受電回路の回路図である。
【図2】同無接触給電設備の2次側受電回路に用いられる可飽和リアクトルの斜視図である。
【図3】同無接触給電設備の2次側受電回路における共振電圧と一次コイルの電流の特性図である。
【図4】同無接触給電設備の2次側受電回路において、バイアス電流が流れたときの特性図であり、(a)は共振電圧と一次コイルの電流の特性図、(b)は共振電圧とバイアスコイルの電流の特性図である。
【図5】同無接触給電設備の2次側受電回路に用いられる可飽和リアクトルの磁性体コアのB−H曲線である。
【図6】本発明の実施の形態2における無接触給電設備の2次側受電回路の回路図である。
【図7】同無接触給電設備の2次側受電回路に用いられる可飽和リアクトルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1における無接触給電設備の2次側受電回路の回路図であり、例えば、10kHzほどの一定周波数の高周波電流が供給される1次側の誘導線路または1次側の給電コイルから無接触で給電され、例えば、定格電圧がDC250V±5%の負荷に給電する無接触給電設備の2次側受電回路である。
図1に示すように、無接触給電設備の2次側受電回路は、
高周波電流が供給される1次側の誘導線路11(あるいは給電コイルであってもよい)より起電力が誘起される受電コイル12と、
前記受電コイル12に並列に接続され、この受電コイル12と前記高周波電流の周波数に共振する共振回路13を形成する共振コンデンサ14と、
共振回路13の両端に接続された可飽和リアクトル15と、
共振回路13から出力される電流を整流して出力する整流回路(全波整流器)16と、
整流回路16のプラス出力端子に一端が接続されたチョークコイル17と、
チョークコイル17の他端と整流回路16のマイナス出力端子との間に接続され、整流回路16の出力端に、チョークコイル17を介して負荷18とともに並列に接続された出力コンデンサ19を備えている。
【0022】
前記可飽和コアリアクトル15は、図2に示すように、磁気抵抗の極めて小さい連続した環状磁路を形成する第1磁性体コア21として、空隙(gap;ギャップ)無しの同一特性の2個の円環型第1コア部材22,23を備え、また第1磁性体コア21(第1コア部材22,23)より磁気抵抗の大きい環状磁路を形成する第2磁性体コア25として、空隙(gap;ギャップ)26有りの円環型第2コア部材27を備えている。
またこれらコア部材22,23,27は、同じ特性の高透磁率材料から形成され、コア断面積をほぼ同一としているが、第2コア部材27に空隙26を設けることにより、第2コア部材27の透磁率は第1コア部材22,23の透磁率より低く、第2コア部材27の飽和電圧は、第1コア部材22,23の飽和電圧より高く設定されている。また第1コア部材22,23(第1磁性体コア21)は、その飽和電圧が、負荷18が要求する目標電圧(定格電圧に相当)より高い許容上限電圧(>定格電圧)のものが選定されており、第1磁性体コア21の飽和電圧は、負荷18が要求する目標電圧より高く設定されている。
【0023】
またこれらコア部材22,23,27にはそれぞれ、熱伝導率の高い低透磁率材料からなる放熱板29が取り付けられている。なお、第2コア部材27を取り付ける放熱板29は、放熱板でなくてもよく、第2コア部材27を単に支持できるものであってもよい。またこれら放熱板29は、平行に揃えて配置されて台座30に立設されており、またこれらコア部材22,23,27および放熱板29の空洞31は、ほぼ同径とされている。
また、第1コア部材22,23および放熱板29の空洞31を使用して、一次コイル33が2個の第1コア部材22,23(および放熱板29)に巻かれており、続けて一次コイル33は第2コア部材27および放熱板29の空洞31を使用して、第2コア部材27(および放熱板29)に巻かれている。また一次コイル33の両端が、台座30上に配置された端子台34に接続され、共振回路13に並列に接続されている。
また一方の第1コア部材22およびこの第1コア部材22を設けた放熱板29の空洞31を使用して、第1バイアスコイル36が、第1コア部材22(および放熱板29)に巻かれている。また他方の第1コア部材23およびこの第1コア部材23を設けた放熱板29の空洞31を使用して、第1バイアスコイル36と同一の(同じ特性で同じ長さの)第2バイアスコイル37が、他方の第1コア部材23(および放熱板29)に巻かれている。そして、これら第1バイアスコイル36と第2バイアスコイル37は逆極性となるように直列に接続されて、その両端が、台座30上に配置された端子台34に接続されている。
以上のように、可飽和リアクトル15は、2個(複数の一例)の第1コア部材22,23(第1磁性体コア21)と、これら第1コア部材22,23(第1磁性体コア21)に共通に巻かれ共振回路13に並列に接続された一次コイル33と、前記各第1コア部材22,23に各々巻かれ、一次コイル33に電流が流れたときに起電力が各々相殺するように、つまり逆極性に接続されたバイアスコイル36,37を備え、第1コア部材22,23の総断面積は、第1磁性体コア21(全体)の飽和電圧が負荷18が要求する目標電圧より高くなるように設定されている。
また第1コア部材22,23および放熱板29の空洞31を利用して、一次コイル33と各バイアスコイル36,37とを容易に巻くことができ、製作を容易としている。
【0024】
また出力コンデンサ19の両端電圧(負荷18に印加される電圧)が、負荷18が要求する目標電圧以上となると、バイアスコイル36,37に直流のバイアス電流を流して第1磁性体コア21を飽和する電流回路41を備えている(詳細は後述する)。
【0025】
この電流回路41は、
出力コンデンサ19のプラス側電極にカソードが接続され、出力コンデンサ19の両端電圧が前記目標電圧以上となると導通する定電圧ダイオード(ツェナーダイオード;スイッチ手段の一例)42と、
一端が定電圧ダイオード42のアノードに接続され、他端が直列接続された2本のバイアスコイル36,37の一端に接続された抵抗(電流手段の一例)43と、
カソードが抵抗43の他端および2本のバイアスコイル36,37の一端の接続点に接続され、アノードが出力コンデンサ19のマイナス側電極および2本のバイアスコイル36,37の他端の接続点に接続され、すなわち2本のバイアスコイル36,37の両端に接続され、これら2つのバイアスコイル36,37に流れる電流を循環させる循環用ダイオード(循環手段の一例)44
を備えている。
【0026】
前記定電圧ダイオード42は、図1に等価回路として示す、出力コンデンサ19の両端電圧が前記目標電圧以上となると動作するスイッチ手段46を構成しており、降伏電圧(ツェナー電圧)が前記目標電圧(例えば、240V)のものが選定されている。
また抵抗43は、図1に等価回路として示す、スイッチン手段46が動作すると、すなわち定電圧ダイオード42が導通すると、2本のバイアスコイル36,37へバイアス電流を流す電流手段47を構成しており、抵抗値は、バイアス電流を小さくするとき大きく、逆にバイアス電流を大きくするとき小さいものが選定される。電流は、出力コンデンサ19より供給される。
また上記バイアス電流は、後述する循環電流を発生させ、第1磁性体コア21を飽和させる電流であり、例えば、10mAが流される。
【0027】
上記構成による作用を説明する。
まず、2本のバイアスコイル36,37にバイアス電流を流さない状態としているときの作用について説明する。
可飽和リアクトル15の一次コイル33に印加される共振回路13の共振電圧が、第1磁性体コア21の飽和電圧未満の場合は、共振回路13から出力された(一定)電流は、整流回路16により整流されて負荷18および出力コンデンサ19へ供給され、出力コンデンサ19は充填される。この状態では一次コイル33は大きなインダクタンスを示している。
なお、第1磁性体コア21が磁気飽和していない領域においては、可飽和リアクトル15の第1磁性体コア21(第1コア部材22,23)は、第2磁性体コア25(第2コア部材27)より磁気抵抗が小さいことにより、一次コイル33に流れる電流による磁界は第2磁性体コア25より第1磁性体コア21に大きな磁束を生じさせている。
【0028】
また負荷18が減少し、これに伴い出力コンデンサ19の両端電圧が上昇し、一次コイル33の両端電圧(共振電圧)が上昇し、可飽和リアクトル15の第1磁性体コア21が飽和すると(飽和電圧以上となると)、第1磁性体コア21は、第2磁性体コア25より磁気抵抗が小さいことにより、先に第1磁性体コア21が飽和して第1磁性体コア21の透磁率が略1(μ=1)まで急激に低下し、第1磁性体コア21に巻かれている一次コイル33のインダクタンスが急激に低下して急激にパルス電流が流れ始める。このとき、未だ、第2磁性体コア25は飽和していないため、このときの第2磁性体コア25の透磁率(低下している)に応じて第2磁性体コア25に巻かれている一次コイル33のインダクタンスはある程度の値に維持される。よって、第1磁性体コア21が磁気飽和しても一次コイル33に流れるパルス電流は、それほど急峻で過大とはならない。このように、第2磁性体コア25を設けることにより、穏やかに電圧抑制の作用が働くことになり、急峻で過大なパルス電流に起因する渦電流による発熱や電磁妨害の問題を軽減している。
上記パルス電流が流れることによって、一次コイル33の両端電圧(共振電圧)は、第1磁性体コア21の飽和電圧に抑えられ、よって出力コンデンサ19の両端電圧、すなわち負荷18へ印加される電圧は、前記飽和電圧以下に抑えられる。図3に、共振電圧と一次コイル33に流れるパルス電流の特性図を示す。これは、図5(a)の第1磁性体コア21の磁気ヒステリシス曲線(B−H曲線)において、正と負のサイクル間において第一象限の+Bmと第三象限の−Bmの間でB−Hが遷移している状態として理解される。
【0029】
なお、2本のバイアスコイル36,37はそれぞれ、可飽和リアクトル15の第1磁性体コア21(第1コア部材22,23)に巻かれて、一次コイル33に電流が流れたときに発生する起電力が各々相殺するように、つまりは逆極性に接続されていることにより、これらバイアスコイル36,37に発生する起電力は互いに打ち消しあってバランスするので、バイアスコイル36,37に電流が流れる事無く、よって一次コイル33には影響を与えない。
【0030】
上記作用を前提として、各第1コア部材22,23に巻かれる2本のバイアスコイル36,37にバイアス電流が流れるときの作用について説明する。
第1磁性体コア21の飽和電圧は、環境の温度や磁性体コアの磁気特性により変動することから、上述したように、第1磁性体コア21の飽和電圧を、負荷18が要求する目標電圧{出力コンデンサ19の両端電圧;負荷18の定格電圧に相当}より高い、負荷18の許容上限電圧(>定格電圧)に設定しており、負荷18へ印加される電圧を抑えるバックアップ電圧としている。このように、可飽和リアクトル15を、負荷18へ印加される電圧を抑えるバックアップとして使用している。
【0031】
出力コンデンサ19の電圧が前記目標電圧{降伏電圧(ツェナー電圧)}以上となると、定電圧ダイオード42が導通し、抵抗43の抵抗値により規定された電流が、2つのバイアスコイル36,37へバイアス電流として流れる。電流は、出力コンデンサ19から供給される。すなわち、図1に等価の回路として示すように、定電圧ダイオード42が、バイアス電流を流すかどうかのスイッチ手段46の役目を果たし、出力コンデンサ19および抵抗43が電流手段47となって、2つのバイアスコイル36,37へバイアス電流を供給する。このように、電流回路41により、2つのバイアスコイル36,37に直流のバイアス電流が供給される。
【0032】
このバイアス電流により、第1磁性体コア21(第1コア部材22,23)に直流磁界が鎖交される。すると、図5(a)の第1磁性体コア21の磁気ヒステリシス曲線(B−H曲線)に示すように、一次コイル33に印加される共振電圧により流れる電流によって起磁力が発生するが、正のサイクルでは一方のバイアスコイル36(37)に流れる電流による直流磁場によってプラス側にバイアスaがかかるので、バイアス電流を流さない状態に比べて少ない起磁力で+Bmに到達して一方の第1コア部材22(23)が飽和し、負のサイクルでは他方のバイアスコイル37(36)に流れる逆向きの電流による直流磁場によってマイナス側にバイアスaがかかるので、バイアス電流を流さない状態に比べて少ない起磁力で−Bmに到達して他方の第1磁性体コア23(22)が飽和する。つまり、第1磁性体コア21に印加される共振電圧が前記飽和電圧未満であっても、2つのうち何れかの第1コア部材22または23が飽和する。一方の第1磁性体コア22(23)が飽和すると、一次コイル33のインダクタンスが低下して急激に電流が流れて他方の第1コア部材23(22)も飽和する。このように、図5(b)に示す如く、見かけ上のB−H曲線が狭まり、磁場Aを発生する電圧(<飽和電圧)で、飽和磁束密度に達して第1磁性体コア21が飽和する。
【0033】
前記バイアス電流は、出力コンデンサ19の電圧が前記目標電圧以上となると流れることから、出力コンデンサ19の電圧が目標電圧以上となると、バイアスaがかかり第1磁性体コア21は飽和し、共振電圧が目標電圧(<飽和電圧)で、一次コイル33にパルス電流が流れて共振回路13の共振電圧はこの目標電圧に抑えられ、負荷18へ印加される電圧は、安定して目標電圧に制御される。
【0034】
また一方の第1コア部材22(23)が飽和すると一次コイル33によってバイアスコイル36,37に発生する起電力のバランスが崩れ、バイアスコイル電流の順方向に起電力が作用して、2つのバイアスコイル36,37と循環用ダイオード44からなる閉回路に、バイアス電流を遥かに上回る電流値の循環電流が流れる。この循環電流により、上記磁場のバイアスaが発生するので、最初に流すバイアス電流は循環電流を発生するだけの小さな電流でよい。そして、上述したようにこのバイアス電流により、出力コンデンサ19の両端電圧、すなわち負荷18に印加される電圧は目標電圧に制御される。なお、循環電流が他方の第1コア部材23(22)を瞬時に飽和させるので、バイアスコイル36,37に発生する起電力のバランス崩れによる電圧値を抑制することが出来る。
図4(a)に、バイアス電流が流れたときの共振電圧と一次コイル33に流れるパルス電流の特性図、図4(b)に共振電圧とバイアス電流の特性図を示す。
【0035】
以上のように本実施の形態1によれば、2つのバイアスコイル36,37と電流回路41の追加という簡易な構成で、環境の温度や磁性体コアの磁気特性を考慮することなく、負荷18へ印加される電圧を、安定して目標電圧に制御できる定電圧制御を実現できる。また万一、電流回路41に不具合が発生した場合においても、負荷18の電圧の上昇を可飽和リアクトル15で抑えることができる(バックアップとすることができる)。
【0036】
また本実施の形態1によれば、目標電圧が変更となった場合、可飽和リアクトル15自体を取り替える必要がなく、定電圧ダイオード42の降伏電圧(ツェナー電圧)を目標電圧に合わせたものに取り替えればよく(スイッチ手段46の動作電圧を変えればよく)、簡単に対処できる。
【0037】
また本実施の形態1によれば、バイアス電流によりバイアスaを変更できることにより、抵抗43の抵抗値を小さくしてバイアス電流を増加させると、応答のはやい定電圧制御を実現でき、逆に抵抗43の抵抗値を大きくしてバイアス電流を減少させると、応答の緩やかな定電圧制御を実現することができる。
【0038】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2における無接触給電設備の2次側受電回路の回路図であり、例えば、10kHzほどの一定周波数の高周波電流が供給される1次側の誘導線路または1次側の給電コイルから無接触で給電され、電池に給電する無接触給電設備の2次側受電回路である。実施の形態1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
実施の形態2では、負荷18を電池(蓄電手段の一例)51とし、また可飽和リアクトル15と整流回路16と切り離し、可飽和リアクトル15の第1磁性体コア21に、一次33より少ない巻数で二次コイル52を巻いて可飽和リアクトル15’を形成し、可飽和リアクトル15’の二次2次コイル52の両端に整流回路16を接続し、二次次コイル52から出力される電流を整流して電池51へ出力している。
二次コイル52は、図7に示すように、第1コア部材22,23(第1磁性体コア21)および放熱板29の空洞31を使用して2個の第1コア部材22,23に共通に巻かれ、その両端が、台座30上に配置された端子台34に接続されている。
【0040】
なお、上記可飽和リアクトル15’の第1磁性体コア21は、その飽和電圧が、電池51が要求する目標電圧(充電電圧に相当)より高い許容上限電圧に設定されたものが選定されており、第1磁性体コア21の飽和電圧は、電池51が要求する目標電圧より高く設定されている。
また定電圧ダイオード42は、降伏電圧(ツェナー電圧)が、電池51が要求する目標電圧(充電電圧に相当)のものが選定されている。
【0041】
このような構成によれば、一次コイル33と二次コイル52のトランスの作用により巻線比に応じて、高電圧の共振電圧を低電圧の電池51の定格電圧に降圧でき、電池51の定格電圧(例えば、12V)への定電圧制御を実現できる。
2つのバイアスコイル36,37と電流回路41の構成により、電池51へ印加される電圧を、安定して目標電圧に制御する作用は、上記実施の形態1の作用と同一であり、説明を省略する。
【0042】
以上のように本実施の形態2によれば、2つのバイアスコイル36,37と二次コイル52と電流回路41との追加という簡易な構成で、環境の温度や磁性体コアの磁気特性を考慮することなく、電池51へ印加される電圧を、安定して目標電圧に制御できる定電圧制御を実現できる。また万一、電流回路41に不具合が発生した場合においても、電池51の電圧の上昇を可飽和リアクトル15’で抑えることができる(バックアップとすることができる)。
【0043】
なお、本実施の形態1または2において、可飽和リアクトル15,15’は、第2磁性体コア25を備え、一次コイル33の一部を巻いているが、この第2磁性体コア25は必ずしも必要ではなく、無くても可飽和リアクトル15,15’として共振電圧を抑える機能を果たすことはできる。
また本実施の形態1または2において、第1磁性体コア21を2個の第1コア部材22,23で構成しているが、さらに多くの数のコア部材で構成してもよく、このとき、一次コイル33は、これらコア部材に共通に巻く。またバイアスコイルを各第1コア部材に巻いて直列に接続するが、接続するとき、一次コイル33に電流が流れたときに起電力が各々相殺するように接続される。また二次コイル52は、これらコア部材に共通に巻く。 また本実施の形態1または2において、バイアス電流を規定する素子として抵抗43を使用しているが、定電流ダイオードを使用してもよい。このとき、定電流ダイオードは、アノードを定電圧ダイオード42のアノードに接続し、カソードを2本のバイアスコイル36,37の一端に接続する。
また本実施の形態1または2において、蓄電手段として電池51を充電しているが、蓄電手段は電気2重層コンデンサであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
11 誘導線路
12 受電コイル
13 共振回路
14 共振コンデンサ
15,15’ 可飽和リアクトル
16 整流回路
17 チョークコイル
18 負荷
19 出力コンデンサ
21 第1磁性体コア
22,23 第1コア部材(ギャップなし)
25 第2磁性体コア
26 空隙
27 第2コア部材(ギャップあり)
29 放熱板
31 空洞
33 一次コイル
36 第1バイアスコイル
37 第2バイアスコイル
41 電流回路
42 定電圧ダイオード
43 抵抗
44 循環用ダイオード
46 スイッチ手段
47 電流手段
51 電池
52 二次コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電流が供給される1次側の誘導線路または1次側の給電コイルから無接触で給電され、負荷に給電する無接触給電設備の2次側受電回路であって、
前記1次側の誘導線路または1次側の給電コイルより起電力が誘起される受電コイルと、
前記受電コイルに並列に接続され、この受電コイルと前記高周波電流の周波数に共振する共振回路を形成する共振コンデンサと、
前記共振回路の両端に接続された可飽和リアクトルと、
前記共振回路から出力される電流を整流して出力する整流回路と、
前記整流回路の出力端に、前記負荷とともに並列に接続された出力コンデンサと
を備え、
前記可飽和リアクトルは、
複数の第1磁性体コアと、
前記複数の第1磁性体コアに共通に巻かれ前記共振回路に並列に接続された一次コイルと、
前記各第1磁性体コアに各々巻かれ、前記一次コイルに電流が流れたときに起電力が各々相殺するように接続されたバイアスコイル
を備え、
前記第1磁性体コアの総断面積は、第1磁性体コア全体の飽和電圧が前記負荷が要求する目標電圧より高くなるように設定されており、
前記負荷の電圧が前記目標電圧以上となると、前記バイアスコイルに直流のバイアス電流を流し、前記第1磁性体コアを飽和する電流回路を備えたこと
を特徴とする無接触給電設備の2次側受電回路。
【請求項2】
高周波電流が供給される1次側の誘導線路または1次側の給電コイルから無接触で給電され、蓄電手段に給電する無接触給電設備の2次側受電回路であって、
前記1次側の誘導線路または1次側の給電コイルより起電力が誘起される受電コイルと、
前記受電コイルに並列に接続され、この受電コイルと前記高周波電流の周波数に共振する共振回路を形成する共振コンデンサと、
前記共振回路の両端に接続された可飽和リアクトル
を備え、
前記可飽和リアクトルは、
複数の第1磁性体コアと、
前記複数の第1磁性体コアに共通に巻かれ前記共振回路に並列に接続された一次コイルと、
前記複数の第1磁性体コアに共通に、前記一次コイルより少ない巻数で巻かれた二次コイルと、
前記各第1磁性体コアに各々巻かれ、前記一次コイルに電流が流れたときに起電力が各々相殺するように接続されたバイアスコイル
を備え、
前記可飽和リアクトルのニ次コイルから出力される電流を整流して前記蓄電手段へ出力する整流回路を備え、
前記第1磁性体コアの総断面積は、第1磁性体コア全体の飽和電圧が前記負荷が要求する目標電圧より高くなるように設定されており、
前記蓄電手段の電圧が前記目標電圧以上となると、前記バイアスコイルに直流のバイアス電流を流し、前記第1磁性体コアを飽和する電流回路と
を備えたこと
を特徴とする無接触給電設備の2次側受電回路。
【請求項3】
前記電流回路は、
前記負荷または蓄電手段の電圧が前記目標電圧以上となると動作するスイッチ手段と、
前記スイッチン手段が動作すると、前記バイアスコイルへバイアス電流を流す電流手段と、
前記バイアスコイルの両端に接続され、バイアスコイルに流れる電流を循環させる循環手段
を備えていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の無接触給電設備の2次側受電回路。
【請求項4】
前記可飽和リアクトルは、前記第1磁性体コアより磁気抵抗の大きい第2磁性体コアを備え、前記一次コイルを前記第1磁性体コアに巻いた後、この一次コイルを前記第2磁性体コアに巻いたこと
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無接触給電設備の2次側受電回路。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の無接触給電設備の2次側受電回路に使用される可飽和リアクトルであって、
前記第1磁性体コアを、環状磁路を形成し、空洞を有する同一特性の2個のコア部材により形成し、
前記コア部材毎に、熱伝導率の高い低透磁率材料からなり、前記コア部材とほぼ同径の空洞を有する放熱板を設け、
前記一次コイルは、これら空洞を使用して前記2個のコア部材および放熱板に巻かれ、
前記一方のバイアスコイルは、前記一方のコア部材およびこのコア部材を設けた放熱板の空洞を使用して、前記一方のコア部材および前記放熱板に巻かれ、
前記他方のバイアスコイルは、前記他方のコア部材およびこのコア部材を設けた放熱板の空洞を使用して、前記他方のコア部材および前記放熱板に巻かれ、
前記一方のバイアスコイルと他方のバイアスコイルは、逆極性となるように接続されていること
を特徴とする可飽和リアクトル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−138529(P2012−138529A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291416(P2010−291416)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【出願人】(592007601)株式会社コンテック (19)