説明

無段変速機のチェーン

【課題】チェーン式無段変速機のチェーンを構成するリンクの応力振幅を低減する。
【解決手段】1個の幅方向ユニット54内では、3個のリンク40はそれぞれ異なるリンクユニット46に属する。チェーンの右端および左端から第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニット(第1リンクユニット46-1)に属する。第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニット(第2リンクユニット46-2)に属する。第9列目と第10列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニット(第1リンクユニット46-1または第3リンクユニット46-3)に属する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーン式無段変速機のチェーンに関し、特にチェーンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有するプーリを2個備え、この2個のプーリに可撓性無端部材を巻き渡した無段変速機が知られている。一方のプーリの回転が、可撓性無端部材により他方のプーリに伝えられる。このとき、円錐面の距離を変更することにより可撓性無端部材のプーリに対する巻き掛かり半径が変更され、変速比を変更することができる。無段変速機の可撓性無端部材として用いられるチェーンが下記特許文献1に開示されている。
【0003】
下記特許文献1に示されるチェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、リンク両端において前記開口をそれぞれ貫通し、両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを連結して形成される。チェーンエレメント同士の連結は、隣接するチェーンエレメントの一方のピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して成される。
【0004】
そして、特許文献1においては、チェーンの結合部で生じる力をできるだけ均一化するリンクの配列パターンが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4372551号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チェーン式無段変速機のチェーンの耐久性は、リンクに生じる応力の振幅に影響される。したがって、リンクの応力振幅が最大となる位置において、その振幅を小さくすることが望まれる。上記特許文献に記載されたリンクの配列パターンは、必ずしも、最大応力振幅を小さくするものとなっていない。
【0007】
本発明は、チェーン式無段変速機のチェーンのリンクに生じる応力の振幅が小さくなるリンクの配列パターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無段変速機のチェーンは、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、チェーンエレメントを互いに連結して周方向に連ねて形成されている。チェーンエレメントは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、このリンクがチェーンの幅方向に複数枚配列されて構成されたリンクユニットと、リンクの両端においてリンクの開口をそれぞれ貫通する2本のピンを有する。2本のピンの、少なくとも一方の両端がプーリの円錐面に当接する。チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントの連結は、一方のエレメントのピンを、他方のエレメントのリンクの開口に通すことにより達成される。
【0009】
本発明のチェーンにおいては、連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成される。各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一である。つまり、リンクユニットの配列パターンは、チェーンの周方向において、3個おきに同一のパターンが現れる。
【0010】
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数は、9枚、8枚、8枚または3個のユニットとも8枚である。また、エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成する。1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属する。また、配列パターンはチェーンの幅方向において左右対称であり、以下の説明においては、一方の半分について説明する。また、幅方向におけるリンクの位置(列)は、一方の端から第n列目と記して説明する(nは自然数)。
【0011】
上記9枚、8枚、8枚の配列パターンにおいては、下記(1)〜(6)のリンクの配列パターンが提案される。また、8枚、8枚、8枚の配列パターンにおいては、下記(7)、(8)のリンク配列パターンが提案される。
【0012】
(1)第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第9列目と第10列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属する。
【0013】
(2)第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第2列目、第5列目、第9列目および第10列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第13列目のリンクは、第2,5,9,10列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属する。
【0014】
(3)第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第9列目のリンクは、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属し、第10列目と第13列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第9列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属する。
【0015】
(4)第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第9列目のリンクは、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属し、第9列目、第10列目および第13列目のリンクは、それぞれ異なるリンクユニットに属し、第7列目と第13列目のリンクは、同一のリンクユニットに属する。
【0016】
(5)第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第2列目、第4列目および第13列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第3列目、第5列目、第7列目および第10列目のリンクは、同一のリンクユニットに属する。
【0017】
(6)第1列目、第5列目および第9列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第2列目、第6列目、第7列目および第10列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第3列目、第4列目および第13列目のリンクは、同一のリンクユニットに属する。
【0018】
(7)第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第9列目と第10列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属する。
【0019】
(8)第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第3列目、第4列目および第9列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第9列目、第10列目および第12列目のリンクは、それぞれ異なるリンクユニットに属する。
【発明の効果】
【0020】
上記の配列により、リンクに生じる応力の振幅を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】チェーン式無段変速機の要部を示す図である。
【図2】チェーンの構造を示す側面図である。
【図3】チェーンの構造を説明するための斜視図である。
【図4】チェーンの構造を示す平面図である。
【図5】チェーンの各部品に係る応力、変形を算出するための計算モデルを示す図である。
【図6】本実施形態のリンクの配列パターンを示す図である。
【図7】本実施形態のリンクの配列パターンの具体例の一つを示す図である。
【図8】本実施形態のリンクの配列パターンの具体例の一つを示す図である。
【図9】本実施形態のリンクの配列パターンの具体例の一つを示す図である。
【図10】本実施形態のリンクの配列パターンの具体例の一つを示す図である。
【図11】配列パターンとリンクの最大応力振幅の関係を示す図である。
【図12】本実施形態の全配列パターンのうち1位〜40位を示す図である。
【図13】本実施形態の全配列パターンのうち41位から80位を示す図である。
【図14】本実施形態の全配列パターンのうち81位から121位を示す図である。
【図15】本実施形態の全配列パターンのうち122位から195位を示す図である。
【図16】他の実施形態のリンクの配列パターンを示す図である。
【図17】他の実施形態のリンクの配列パターンの具体例の一つを示す図である。
【図18】他の実施形態のリンクの配列パターンの具体例の一つを示す図である。
【図19】他の実施形態のリンクの配列パターンの具体的の一つを示す図である。
【図20】他の実施形態のリンクの配列パターンの具体的の一つを示す図である。
【図21】配列パターンとリンクの最大応力振幅の関係を示す図である。
【図22】他の実施形態の全配列パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1には、チェーン式無段変速機10の要部が示されている。チェーン式無段変速機10は2個のプーリ12,14とこれらのプーリに巻き渡されたチェーン16を有する。2個のプーリの一方を入力プーリ12、他方を出力プーリ14と記す。入力プーリ12は、入力軸18に固定された固定シーブ20と、入力軸18上を入力軸に沿ってスライドして移動可能な移動シーブ22を有する。固定シーブ20と移動シーブ22の互いに対向する面は、略円錐側面の形状を有する。この略円錐側面は、図示されるように、円錐の側面に対して凸に形成された面である。これらの面を略円錐面24,26と記す。この略円錐面24,26によりV字形の溝が形成され、この溝内に、略円錐面24,26に側面を挟まれるようにしてチェーン16が位置する。出力プーリ14も、入力プーリ12と同様に、出力軸28に固定された固定シーブ30と、出力軸28上を出力軸に沿ってスライドして移動可能な移動シーブ32を有する。固定シーブ30と移動シーブ32の互いに対向する面は、略円錐側面の形状を有する。この略円錐側面は、図示されるように、円錐の側面に対して凸に形成された面である。これらの面を略円錐面34,36と記す。この略円錐面34,36によりV字形の溝が形成され、この溝内に、略円錐面34,36に側面を挟まれるようにしてチェーン16が位置する。
【0023】
入力プーリ12と出力プーリ14の固定シーブと移動シーブの配置は逆となっている。すなわち、入力プーリ12において移動シーブ26が図1中奥側であるのに対し、出力プーリ14において移動シーブ32は手前側に配置される。移動シーブ22,32をスライドさせることにより、互いに対向する略円錐面24,34、26,36の距離が変化し、これらの略円錐面で形成されるV字溝の幅が変化する。この溝幅の変化により、チェーンの巻き掛かり半径が変わる。すなわち、移動シーブ22,32が固定シーブ20,30から離れると溝幅が広がり、チェーン16は溝の深い位置に移動して、巻き掛かり半径が小さくなる。逆に、移動シーブ22,32が固定シーブ20,30に近づくと溝幅が狭くなり、チェーン16は溝の浅い位置に移動して、巻き掛かり半径が大きくなる。巻き掛かり半径の変化を、入力プーリ12と出力プーリ14で逆にすることにより、チェーン16がたるまないようにされている。移動シーブ22,32がスライドすることにより、V字溝の幅は連続的に変化し、巻き掛かり半径も連続的に変化する。これにより、入力軸18から出力軸28への伝達における変速比を連続的に変化させることができる。
【0024】
図2〜4は、チェーン16の構造の詳細を示す図である。以降の説明において、チェーン16が延びる方向に沿う方向を周方向、周方向に直交し、かつ入力軸18および出力軸28に平行な方向を幅方向、周方向と幅方向に直交する方向を厚さ方向と記す。図2は、チェーン16の一部を幅方向より視た図、図3は一部を抜き出して分解して示す図、図4はチェーン16の一部を外周側から厚さ方向に視た図である。
【0025】
図2において、左右方向が周方向であり、上下方向が厚さ方向である。チェーン16は、開口38を有する板形状のリンク40と、棒形状のピン42a,42bを組み合わせて形成される。個々のリンク40は厚さも含めて同一形状であり、棒形状のピン42aおよびピン42bは、それぞれに同一形状である。リンク40は、幅方向に所定パターンで配列され(図4参照)、2本のピン42a,42bがリンクの両端において開口を貫通している。2本のピン42a,42bの両端、またはいずれか1本のピンの両端が入力および出力プーリ12,14の円錐面24,26、34,36に当接する。この2本のピン42a,42bとピンに貫通されたリンクの組をチェーンエレメント44と記す。図3には、二つのチェーンエレメント44-1,44-2が示されている。添え字「-1」「-2」「-3」は、チェーンエレメントおよびチェーンエレメントに属するリンク、ピンを他のエレメントから区別する場合に用いる。チェーンエレメント44-1は、複数のリンク40-1とこれと貫く2本のピン42a-1,42b-1から構成される。2本のピン42a-1,42b-1は、リンク40-1の両端において、それぞれ開口38-1に圧入、または位置固定されて結合されている。チェーンエレメント44-2も同様に、複数のリンク40-2とこれと貫く2本のピン42a-2,42b-2から構成される。また、一つのチェーンエレメントに属するリンク40の全体をリンクユニット46と記す。リンクユニット46においても、属するチェーンエレメントを区別する必要がある場合には、前述の添え字「-1」「-2」「-3」を用いて説明する。
【0026】
隣接するチェーンエレメント44-1,44-2の連結は、ピン42を、互いに相手側のリンク40の開口38に通すことにより達成される。図3に示すように、左側のチェーンエレメント44-1のピン42b-1は、右側のチェーンエレメント44-2のピン42a-2の右側に位置するように、開口38-2内に配置される。逆に、右側のチェーンエレメント44-2のピン42a-2は、左側のチェーンエレメント44-1のピン42b-1の左側に位置するように、開口38-1内に配置される。この2本のピン42b-1,42a-2が係合してチェーン16の張力が伝達される。チェーン16が曲がるときには、隣接するピン、例えばピン42b-1,42a-2同士が互いの接触面において転がるように動き、曲げが許容される。
【0027】
リンクユニット46内のリンク40の配列パターンは、周方向において3個おきに同じパターンが現れる。リンクの配列パターンの異なる3個のチェーンエレメント44の組をエレメントモジュール48と記す。よって、チェーン16は、同一のリンクの配列パターンを有するエレメントモジュール48を周方向に配列したものとみることができる。この実施形態においては、一つのエレメントモジュール48に25個のリンク40が属する。一つのエレメントモジュール48に属する3個のリンクユニット46に属するリンクの数は、9枚、8枚、8枚である。
【0028】
図4は、リンク40の配列パターンの一例を示す図であり、チェーン16の幅の半分が示されている。他の半分は、図示されるパターンと対称のパターンを有する。個々のリンク40は、一つの列に属し、それらの列を図中左側から第1列、第2列・・・と記す(図4中では列の番号が丸数字で記されている。)。リンク40の厚さは等しいので、列の配列の等ピッチである。図4に示される例では、第1列目のリンク40は第1リンクユニット46-1に属し、第2列目のリンク40は第2リンクユニット46-2に属し、第3列目のリンク40は第3リンクユニット46-3に属する。
【0029】
各リンクユニット46ごとの配列パターンは、リンク同士が干渉するため同一にすることができないので、ピン42a,42bの撓み量はピンごとに異なり、このため各リンク40に発生する応力もリンクごとに異なる。一方で、ピン42a,42bがプーリ12,14に挟持されているときには、ピンの端面と円錐面24,26、34,36の間で周方向の摩擦力が生じ、ピン42a,42bを撓ませる。よって、リンク40に発生する応力は、チェーン16の1周を周期として増減する。この増減の大きさ、すなわち応力の振幅がチェーン16の耐久性に影響する。前記のように、リンクの配列パターンを変えることで、個々のリンクに係る応力が変化するので、これを利用してリンクに生じる応力の振幅を減少させることができる可能性がある。
【0030】
応力分布計算モデルを図5に示す。隣接する2本のピン(例えば42a-2,42b-1)を1本の梁50で近似し、リンク40をばね52で近似する。図中実線で描かれているばね52が実際にリンク40が配置されている位置になる。梁50はピッチLpで配置され、その値は、張力等によりΔだけ増減する。また、梁50とばね52の間に作用する力がfであり、この力による梁50の撓みがδである。
【0031】
上記のモデルにより計算を行うと、リンクユニットのリンク数が9枚、8枚、8枚の場合において、上記特許文献1で提案されたリンクの配列が必ずしもリンクの応力振幅を低減するものでないことがわかった。上記特許文献1で提案されたリンク配列は、3個のチェーンエレメントで1個のエレメントモジュールを形成する点において、本実施形態と共通する。一方、各リンクの配列パターンにおいては、本実施形態とは異なる以下の特徴がある。すなわち、チェーンの最も外側の2列のリンクが同一のリンクユニットに属し、これに続く2列のリンクが同一のリンクユニットであって、最も外側のリンクが属するリンクユニットとは異なるリンクユニットに属し、さらにその内側では、3列以上にわたって、前記2個のリンクユニット以外の同一のリンクユニットにリンクが配置されるというものである。
【0032】
以下、本実施形態のリンク配列について説明する。前述のように本実施形態においては、一つのエレメントモジュール48に25枚のリンク40が属し、3個のリンクユニットに9枚、8枚、8枚のリンク40が属している。また、一つのエレメントモジュール48において、右端および左端から3列ごとに幅方向ユニット54が規定される。つまり、第1列から第3列のリンク40により一つの幅方向ユニットが規定され、第4列から第6列のリンク40により別の幅方向ユニットが規定される。以下同様である。中央の第13列のリンクは、幅方向ユニットに属していない。1個の幅方向ユニット54に属する3個のリンクは、別々のリンクユニット46に属する。例えば、図4において、左端の幅方向ユニット54においては、第1列目のリンク40は、第1リンクユニット46-1に属し、第2列目のリンク40は、第2リンクユニット46-2に属し、第3列目のリンクユニット40は、第3リンクユニット46-3に属している。これは、リンクユニット内において、リンクを全体として幅方向に概略均一に配置することを意図したものである。
【0033】
図6に具体的なリンクの配列パターンが示されている。図6には、その列(リンク位置)のリンクがどのリンクユニット46に属するかが示されている。表中の升目内の数字は、「1」が第1リンクユニット46-1を、「2」が第2リンクユニット46-2を、「3」が第3リンクユニット46-3を表している。空白の升目は、その列のリンク40が、任意のリンクユニットに属することができることを示している。ただし、幅方向ユニット内では3個のリンクは別個のリンクユニットに属する条件は満足する必要がある。なお、リンク40の応力振幅が最大となる位置は、図3中「A」で示す、リンクにピンが接している範囲の端部付近(応力が集中する場所)である。この部分の応力を基準に、リンクの各配列パターンを評価する。
【0034】
第1パターンは、第1列目と第6列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第9列目と第10列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属するパターンである。
【0035】
例えば、第1列目と第6列目が第1リンクユニットに属すると、第2列目と第5列目は第1リンクユニット以外のユニットである第2または第3リンクユニットに属することになる。第2,5列目が第2リンクユニットに属する場合が図6中の上の2段、第3リンクユニットに属する場合が下の2段である。第1列目と第2列目が決定したことにより、第3列目は自動的に定まり、上の2段においては第3リンクユニット、下の2段においては第2リンクユニットとなる。さらに、第9列目、第10列目は、互いに同一のリンクユニットに属し、かつ第2,5列目とは異なるリンクユニットに属するものである。したがって、上の2段の場合は、第2,5列の属する第2リンクユニット以外の第1リンクユニット(図6中の1段目)または第3リンクユニット(図6中の2段目)に属する。第2,5列目が第3リンクユニットに属する場合(図6中の下の2段)には、第9列目、第10列目は、第1リンクユニット(図6中の3段目)または第2リンクユニット(図6中の4段目)に属する。
【0036】
上記第1パターンの配列を図7〜10に示す。図7は、図6の第1パターンの1段目、図8は同2段目、図9は同3段目、図10は同4段目に対応する。各図において、一点鎖線で表されるリンクは、1個の幅方向ユニット内において3個のリンクが異なるリンクユニットに属するという条件を満たした上で、任意の位置に配置することができるリンクである。
【0037】
第2パターンは、第1列目と第6列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第2列目、第5列目、第9列目および第10列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第13列目のリンクが、第2,5,9,10列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属するパターンである。当該パターン以降の説明においては、リンクの配列の手順およびリンクの配列パターンを具体的に示す図を省略する。これらは、第1パターンの説明および図を参照することにより、容易に理解することが可能である。
【0038】
第3パターンは、第1列目と第6列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第9列目のリンクが、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属し、第10列目と第13列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第9列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属するパターンである。
【0039】
第4パターンは、第1列目と第6列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第9列目のリンクが、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属し、第9列目、第10列目および第13列目のリンクは、それぞれ異なるリンクユニットに属し、第7列目と第13列目のリンクが、同一のリンクユニットに属するパターンである。第8列目のリンクは、第7,9列が決定することにより、自動的に決まる。
【0040】
第5パターンは、第1列目と第6列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第2列目、第4列目および第13列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第3列目、第5列目、第7列目および第10列目のリンクが、同一のリンクユニットに属する。
【0041】
第6パターンは、第1列目、第5列目および第9列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第2列目、第6列目、第7列目および第10列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第3列目、第4列目および第13列目のリンクが、同一のリンクユニットに属するパターンである。第8列目のリンクは、第7,9列が決定することにより、自動的に決まる。
【0042】
図11は、リンクの配列パターンと、リンクの最大応力振幅の関係を示す図である。横軸に示される配列パターンは、1個の幅方向ユニット54内の3個のリンクがそれぞれ異なるリンクユニット46に属するという条件を満たす全ての配列パターンである。この配列パターンを最大応力振幅が小さい順に横軸に並べている。リンクの最大応力振幅は、上記特許文献1の配列パターンで最も小さかった値に対する比で表している。
【0043】
上述の第1パターンから第6パターンの6通りの配列パターンの内、最も最大応力振幅が大きくなるものは、応力振幅が小さい順で195番目である。配列パターンの全数は、1296であるから、上述の配列パターンを採用すれば、上位の15%に入ることが理解できる。
【0044】
図12〜15に、上記の6通りの配列パターンを含む全てパターンをリンクの最大応力振幅が小さい順に示す。なお、上位6位の配列パターンにおいて、最大の応力振幅を記録するリンクは、1位および2位の配列パターンが第3列目のリンクであり、3〜6位の配列パターンが第1列目のリンクである。
【0045】
図5に示したモデルにより計算を行うと、リンクユニットのリンク数が8枚、8枚、8枚の場合においても、上記特許文献1で提案されたリンクの配列が必ずしもリンクの応力振幅を低減するものでないことがわかった。
【0046】
以下、他の実施形態のリンク配列について説明する。この実施形態においては、一つのエレメントモジュール48に24枚のリンク40が属し、3個のリンクユニットに8枚、8枚、8枚のリンク40が属している。また、一つのエレメントモジュール48において、右端および左端から3列ごとに幅方向ユニット54が規定される。つまり、第1列から第3列のリンク40により一つの幅方向ユニットが規定され、第4列から第6列のリンク40により別の幅方向ユニットが規定される。以下同様である。1個の幅方向ユニット54に属する3個のリンクは、別々のリンクユニット46に属する。
【0047】
図16に具体的なリンクの配列パターンが示されている。図16には、その列(リンク位置)のリンクがどのリンクユニット46に属するかが示されている。表中の升目内の数字は、「1」が第1リンクユニット46-1を、「2」が第2リンクユニット46-2を、「3」が第3リンクユニット46-3を表している。空白の升目は、その列のリンク40が、任意のリンクユニットに属することができることを示している。ただし、幅方向ユニット内では別個のリンクユニットに属する条件は満足する必要がある。なお、リンク40の応力振幅が最大となる位置は、図3中「A」で示す、リンクにピンが接している範囲の、チェーンの内側の端部付近である。この部分の応力を基準に、リンクの各配列パターンを評価する。
【0048】
第7パターンは、第1列目と第6列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第9列目と第10列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属するパターンである。
【0049】
例えば、第1列目と第6列目が第1リンクユニットに属すると、第2列目と第5列目は第1リンクユニット以外のユニットである第2または第3リンクユニットに属することになる。第2,5列目が第2リンクユニットに属する場合が図16中の上の2段、第3リンクユニットに属する場合が下の2段である。第1列目と第2列目が決定したことにより、第3列目は自動的に定まり、上の2段においては第3リンクユニット、下の2段においては第2リンクユニットとなる。さらに、第9列目、第10列目は、互いに同一のリンクユニットに属し、かつ第2,5列目とは異なるリンクユニットに属するものである。したがって、上の2段の場合は、第2,5列の属する第2リンクユニット以外の第1リンクユニット(図16中の1段目)または第3リンクユニット(図16中の2段目)に属する。第2,5列目が第3リンクユニットに属する場合(図16中の下の2段)には、第9列目、第10列目は、第1リンクユニット(図16中の3段目)または第2リンクユニット(図16中の4段目)に属する。
【0050】
上記第7パターンの配列を図17〜20に示す。図17は、図16の第7パターンの1段目、図18は同2段目、図19は同3段目、図20は同4段目に対応する。各図において、一点鎖線で表されるリンクは、1個の幅方向ユニット内において3個のリンクが異なるリンクユニットに属するという条件を満たした上で、任意の位置に配置することができるリンクである。
【0051】
第8パターンは、第1列目と第6列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第2列目と第5列目のリンクが、同一のリンクユニットに属し、第3列目、第4列目および第9列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、第9列目、第10列目および第12列目のリンクは、それぞれ異なるリンクユニットに属する。リンクの配列手順および具体的な配列パターンは、第7パターンの説明および図から、容易に理解できるので省略する。
【0052】
図21は、リンクの配列パターンと、リンクの最大応力振幅の関係を示す図である。横軸に示される配列パターンは、1個の幅方向ユニット54内の3個のリンクがそれぞれ異なるリンクユニット46に属するという条件を満たす全ての配列パターンである。この配列パターンを最大応力振幅が小さい順に横軸に並べている。リンクの最大応力振幅は、上記特許文献1の配列パターンで最も小さかった値に対する比で表している。
【0053】
上述の2通りの配列パターンの内、最も最大応力振幅が大きくなるものは、応力振幅が小さい順で24番目である。配列パターンの全数は、432であるから、上述の配列パターンを採用すれば、上位の5.6%に入ることが理解できる。
【0054】
図22に、上記の2通りの配列パターンを含む全てのパターンをリンクの最大応力振幅が小さい順に示す。なお、上位6位の配列パターンにおいて、最大の応力振幅を記録するリンクは、1〜4位の配列パターンが第3列目のリンクであり、5位および6位の配列パターンが第1列目のリンクである。
【符号の説明】
【0055】
12 入力プーリ、14 出力プーリ、16 チェーン、20,30 固定シーブ、22,32 移動シーブ、24,26,34,36 円錐面、38 開口、40 リンク、42 ピン、44 チェーンエレメント、46 リンクユニット、48 エレメントモジュール、54 幅方向ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
当該チェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの両端において開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントのうち一方のエレメントのピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して連結して形成され、
連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成され、各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一であり、
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数は9枚、8枚、8枚であり、
エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成し、1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属し、
チェーンの右端および左端から第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第9列目と第10列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属する、
無段変速機のチェーン。
【請求項2】
無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
当該チェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの両端において開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントのうち一方のエレメントのピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して連結して形成され、
連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成され、各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一であり、
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数は9枚、8枚、8枚であり、
エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成し、1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属し、
チェーンの右端および左端から第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第2列目、第5列目、第9列目および第10列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第13列目のリンクは、第2,5,9,10列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属する、
無段変速機のチェーン。
【請求項3】
無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
当該チェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの両端において開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントのうち一方のエレメントのピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して連結して形成され、
連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成され、各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一であり、
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数は9枚、8枚、8枚であり、
エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成し、1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属し、
チェーンの右端および左端から第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第9列目のリンクは、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属し、
第10列目と第13列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第9列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属する、
無段変速機のチェーン。
【請求項4】
無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
当該チェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの両端において開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントのうち一方のエレメントのピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して連結して形成され、
連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成され、各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一であり、
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数は9枚、8枚、8枚であり、
エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成し、1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属し、
チェーンの右端および左端から第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第9列目のリンクは、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属し、
第9列目、第10列目および第13列目のリンクは、それぞれ異なるリンクユニットに属し、
第7列目と第13列目のリンクは、同一のリンクユニットに属する、
無段変速機のチェーン。
【請求項5】
無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
当該チェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの両端において開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントのうち一方のエレメントのピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して連結して形成され、
連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成され、各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一であり、
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数は9枚、8枚、8枚であり、
エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成し、1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属し、
チェーンの右端および左端から第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第2列目、第4列目および第13列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第3列目、第5列目、第7列目および第10列目のリンクは、同一のリンクユニットに属する、
無段変速機のチェーン。
【請求項6】
無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
当該チェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの両端において開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントのうち一方のエレメントのピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して連結して形成され、
連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成され、各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一であり、
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数は9枚、8枚、8枚であり、
エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成し、1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属し、
チェーンの右端および左端から第1列目、第5列目および第9列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第2列目、第6列目、第7列目および第10列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第3列目、第4列目および第13列目のリンクは、同一のリンクユニットに属する、
無段変速機のチェーン。
【請求項7】
無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
当該チェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの両端において開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントのうち一方のエレメントのピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して連結して形成され、
連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成され、各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一であり、
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数はそれぞれ8枚であり、
エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成し、1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属し、
チェーンの右端および左端から第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第9列目と第10列目のリンクは、同一のリンクユニットであって、第2,5列目のリンクが属するリンクユニット以外のリンクユニットに属する、
無段変速機のチェーン。
【請求項8】
無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
当該チェーンは、開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの両端において開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントのうち一方のエレメントのピンを他方のエレメントのリンクの開口に通して連結して形成され、
連続する3個のチェーンエレメントごとに1個のエレメントモジュールが形成され、各エレメントモジュール内のリンクの配列パターンは同一であり、
各エレメントモジュールに属する3個のリンクユニットのリンクの数はそれぞれ8枚であり、
エレメントモジュール内において、チェーンの右端および左端から3個ずつのリンクが幅方向ユニットを構成し、1個の幅方向ユニットに属する3個のリンクは、各々別個のリンクユニットに属し、
チェーンの右端および左端から第1列目と第6列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第2列目と第5列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第3列目、第4列目および第9列目のリンクは、同一のリンクユニットに属し、
第9列目、第10列目および第12列目のリンクは、それぞれ異なるリンクユニットに属する、
無段変速機のチェーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−96493(P2013−96493A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239441(P2011−239441)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)