説明

無線タグリーダ

【課題】衝突防止技術を用いて複数の無線タグを効率的に読み取り得る無線タグリーダにおいて、電力利用効率を効果に向上し得る構成を提供する。
【解決手段】無線タグリーダ1は、アンテナからの電磁波の送信出力を複数段階に切り替え可能に構成され、読取完了判断手段による読取完了の判断後に送信出力を新たな段階に増大させる出力設定手段を備え、更に、この出力設定手段によって設定される送信出力と、読取完了と判断されるまでの読取可能範囲内の既読タグ数とに基づき、出力設定手段によって送信出力が新たな段階に増大されたときに読取可能範囲内に入る未読タグ数を予測する予測手段を備えている。そして、スロット数設定手段は、予測手段によって予測される未読タグ数に基づいて、新たな段階のときのスロット数を決定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、無線タグを無線タグリーダによって読み取る無線タグシステムが様々に提供されており、無線タグリーダの用途も広範にわたっている。この無線タグリーダでは、用途の増大や利便性向上などの要請から、高機能化が進行しており、例えば、電波の出力レベルを環境に応じて調整するものや、電波をより高レベルで送信し、より広い範囲の読み取りを可能とするものなどが提供されている。なお、このような技術としては、例えば特許文献1、2のようなものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−238381公報
【特許文献2】特開2006−259123公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無線タグリーダでは、上記のように高出力化を図ろうとする場合、例えばパワーアンプ等の増幅手段を搭載する必要があるため、消費電力が増大しやすい問題がある。このような問題の対策としては、例えば歪み補償技術などを用いてパワーアンプを効率化する方法などが考えられるが、この方法では、回路規模が大きく、実装性やコストなどの面で難しいということもあり、特に、バッテリを搭載した携帯端末として構成とする場合にこのような困難性がより顕著となる。また、バッテリを搭載した携帯端末として構成する場合、稼働時間をより長く確保し且つ電力損失に伴う内部発熱を抑えるためにも消費電力の抑制が極めて重要な課題となる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、衝突防止技術を用いて複数の無線タグを効率的に読み取り得る無線タグリーダにおいて、電力利用効率を効果に向上し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、電磁波を送受信するアンテナと、前記アンテナから送受信される前記電磁波を媒介として無線タグと無線通信を行う無線通信手段と、スロット数を設定するスロット数設定手段と、前記スロット数設定手段によって設定された前記スロット数のスロットを用意すると共に、前記無線通信手段の読取可能範囲内に存在する各無線タグを各スロットに割り当て、前記各無線タグを固有の識別情報と対応付ける衝突防止処理を行う衝突防止手段と、を備え、前記無線通信手段が、前記衝突防止手段によって前記各無線タグに対応付けられた各識別情報に基づいて前記各無線タグを認識し、前記各無線タグと通信を行う無線タグリーダであって、前記読取可能範囲内にある前記無線タグの読み取りが完了したか否かを判断する読取完了判断手段と、前記アンテナからの前記電磁波の送信出力を複数段階に切り替え可能に構成され、前記読取完了判断手段による読取完了の判断後に前記送信出力を新たな段階に増大させる出力設定手段と、前記出力設定手段によって設定される前記送信出力と、前記読取完了判断手段によって読取完了と判断されるまでの前記読取可能範囲内の既読タグ数とに基づき、前記出力設定手段によって前記送信出力が前記新たな段階に増大されたときに前記読取可能範囲内に入る未読タグ数を予測する予測手段と、を備え、前記スロット数設定手段は、前記予測手段によって予測される前記未読タグ数に基づいて、前記新たな段階のときの前記スロット数を決定することを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の無線タグリーダにおいて、前記スロット数設定手段が、未読タグのタグ数とスロット数とを対応付けて定めたテーブルと、前記テーブルを記憶する記憶部と、を備え、前記予測手段によって予測される前記未読タグ数と、前記記憶部に記憶される前記テーブルとに基づいて前記新たな段階のときの前記スロット数を決定することを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の無線タグリーダにおいて、前記スロット数設定手段が、前記予測手段によって予測される前記未読タグ数をパラメータとする所定の演算式により前記新たな段階のときの前記スロット数を決定することを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の無線タグリーダにおいて、前記出力設定手段が、前記無線通信手段による読取開始時に前記送信出力を前記複数段階のうちの最小出力に設定し、前記無線通信手段によって前記無線タグが検出されるまで、前記送信出力を段階的に順次増大させること特徴としている。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の無線タグリーダにおいて、前記スロット数設定手段が、前記無線通信手段による読取開始時に前記スロット数を所定の最少スロット数に設定することを特徴としている。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の無線タグリーダにおいて、前記出力設定手段による前記複数段階の切り替えが完了したときに、表示部による表示、音声手段による発音、振動発生器による振動の発生の少なくともいずれかを実行する完了報知手段が設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の無線タグリーダにおいて、前記出力設定手段による前記複数段階の切り替えが完了し、新たな前記無線タグが検出されない場合に、表示部による表示、音声手段による発音、振動発生器による振動の発生の少なくともいずれかを実行する非検出報知手段が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の無線タグリーダにおいて、前記無線通信手段が、前記アンテナに対する送信信号を増幅するパワーアンプを備え、前記出力設定手段が、前記パワーアンプの増幅値を制御することを特徴としている。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の無線タグリーダにおいて、前記無線通信手段が、搬送波を発生させる発振器と、前記発振器にて生成された前記搬送波を変調する変調器とを備えており、前記出力設定手段が、前記変調器からの変調信号の出力レベルを変化させることを特徴としている。
【0015】
請求項10の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の無線タグリーダにおいて、前記無線通信手段が、前記アンテナに対する送信信号を増幅するパワーアンプを備え、前記出力設定手段が、前記パワーアンプに対する入力電圧を調整可能な可変減衰器からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、衝突防止手段によって各無線タグに対応付けられた各識別情報に基づいて各無線タグを認識し、各無線タグと通信を行う無線タグリーダにおいて、無線通信手段の読取可能範囲内にある無線タグの読み取りが完了したか否かを判断する読取完了判断手段と、アンテナからの電磁波の送信出力を複数段階に切り替え可能に構成され、読取完了判断手段による読取完了の判断後に送信出力を新たな段階に増大させる出力設定手段と、出力設定手段によって設定される送信出力と、読取完了判断手段によって読取完了と判断されるまでの読取可能範囲内の既読タグ数とに基づき、出力設定手段によって送信出力が新たな段階に増大されたときに読取可能範囲内に入る未読タグ数を予測する予測手段と、が設けられている。そして、スロット数設定手段は、予測手段によって予測される未読タグ数に基づいて、新たな段階のときのスロット数を決定している。
このようにすると、無線タグの読み取りの完了に応じてアンテナからの電磁波の出力を段階的に増大させることができるため、常に大きな出力で読み取る構成と比較すると、無線タグの配置状態に対して出力が過剰となりにくく、消費電力を効果的に低減できる。また、出力を新たな段階に増大させるときには、新たな未読タグ数を予測した上でスロット数が決定されるため、新たな段階ではより適切なスロット数で読み取ることができる。
【0017】
請求項2の発明では、スロット数設定手段が、未読タグのタグ数とスロット数とを対応付けて定めたテーブルと、テーブルを記憶する記憶部とを備えており、予測手段によって予測される未読タグ数と、記憶部に記憶されるテーブルとに基づいて新たな段階のときのスロット数を決定している。このようにすると、未読タグ数とそれに対応する適切なスロット数との関係を過去の実験データや理論値などに基づいてテーブルとして用意しておくことで、複雑な処理を用いることなく適切なスロット数を迅速に決定できるようになる。
【0018】
請求項3の発明では、スロット数設定手段が、予測手段によって予測される未読タグ数をパラメータとする所定の演算式により新たな段階のときのスロット数を決定している。このようにすると、複雑な処理を用いることなく適切なスロット数を迅速に決定できるようになる。
【0019】
請求項4の発明では、出力設定手段が、無線通信手段による読取開始時に送信出力を複数段階のうちの最小出力に設定し、無線通信手段によって無線タグが検出されるまで、送信出力を段階的に順次増大させている。このようにすると、より低い出力から段階的に読み取りが行われるため、読取開始から高出力の状態が長く続く構成と比較して効果的に省電力化を図ることができる。
【0020】
請求項5の発明は、スロット数設定手段が、無線通信手段による読取開始時にスロット数を所定の最少スロット数に設定している。読取開始時には低めの出力に設定されるため未読タグ数も低めとなりやすく、スロット数を所定の最少スロット数に設定しておけば、比較的未読タグ数に適した値となりやすくなる。
【0021】
請求項6の発明では、出力設定手段による複数段階の切り替えが完了したときに、表示部による表示、音声手段による発音、振動発生器による振動の発生の少なくともいずれかを実行する完了報知手段が設けられている。このようにすると、出力の段階的切り替えが完了し、出力がそれ以上増大しないことをユーザに知らせることができる、従って、ユーザは出力の増大が完了したタイミングを迅速に把握して適切な対応をとりやすくなる。
【0022】
請求項7の発明は、出力設定手段による複数段階の切り替えが完了し、新たな無線タグが検出されない場合に、表示部による表示、音声手段による発音、振動発生器による振動の発生の少なくともいずれかを実行する非検出報知手段が設けられている。このようにすると、出力の段階的切り替えが完了し、最大の読取範囲で読み取りが完了したことをユーザに知らせることができる。従って、ユーザは最大の読取範囲で読み取りが完了したことを迅速に把握して適切な対応をとりやすくなる。
【0023】
請求項8の発明は、無線通信手段が、アンテナに対する送信信号を増幅するパワーアンプを備え、出力設定手段が、パワーアンプの増幅値を制御している。このようにすると、アンテナからの出力を段階的に切り替えうる構成を好適に実現できる。
【0024】
請求項9の発明は、無線通信手段が、搬送波を発生させる発振器と、発振器にて生成された搬送波を変調する変調器とを備えており、出力設定手段が、変調器からの変調信号の出力レベルを変化させている。このようにすると、アンテナからの出力を段階的に切り替えうる構成を好適に実現できる。
【0025】
請求項10の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の無線タグリーダにおいて、無線通信手段が、アンテナに対する送信信号を増幅するパワーアンプを備え、出力設定手段が、パワーアンプに対する入力電圧を調整可能な可変減衰器によって構成されている。このようにすると、アンテナからの出力を段階的に切り替えうる構成を好適に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る無線タグリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図2】図2は、図1の無線タグリーダで読み取られる無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】図3は、図1の無線タグリーダによる無線タグの読み取りの様子を説明する説明図である。
【図4】図4は、図1の無線タグリーダによるタグ読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図5】図5は、アンチコリジョン処理を説明する説明図である。
【図6】図6(A)は、段階的に設定可能な各出力レベルと、各出力レベルに応じた読取範囲の面積とを対応付けたテーブルデータを概念的に示す説明図であり、図6(B)は、出力レベルと取得タグ枚数に基づいて密度を算出する方法、及びその密度に基づいて予測タグ枚数を算出する方法を説明する説明図である。図6(C)は、予測タグ枚数と最適Q値とを対応付けたテーブルデータを概念的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の無線タグリーダを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(無線タグリーダの全体構成)
まず、図1を参照して第1実施形態に係る無線タグリーダ1の全体構成を概説し、併せて無線タグの構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る無線タグリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図2は、図1の無線タグリーダで読み取られる無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【0028】
図1に示すように、無線タグリーダ1は、ハードウェア的には例えば公知のRFIDリーダライタとして構成されており、後述する無線タグ50に記録されたデータの読み取り、或いは無線タグ50に対するデータの書き込みを行う構成をなしている。この無線タグリーダ1は、主として、制御部10、送信回路20、受信回路30、アンテナ40、サーキュレータ41などによって構成されている。
【0029】
制御部10は、無線タグリーダ1の全体的制御を司るものであり、CPUやFPGAなどによって構成されている。この制御部10には、送信回路20に対して送信データを与える送信データ生成部11や、受信回路30からの二値化データを取得してデコードするデコード処理部12なども設けられている。
【0030】
送信回路20は、周波数シンセサイザ21、D/A変換器22、ベースバンド帯フィルタ23、変調器24、RF帯フィルタ25、パワーアンプ26などによって構成されている。
【0031】
周波数シンセサイザ21は、所定周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、D/A変換器22は、制御部10の送信データ生成部11にて生成された送信データ(デジタル信号)をアナログ信号に変換することで、ベースバンド信号を生成している。ベースバンド帯フィルタ23は、所定のベースバンド帯域に制限する帯域制限フィルタ(アナログフィルタ)として構成されており、D/A変換器22から出力される信号のうち、所定のベースバンド帯域から外れた信号部分を制限している。
【0032】
変調器24は、ベースバンド帯フィルタ23から出力されるベースバンド信号を周波数シンセサイザ21からの発振信号によって変調し、被変調信号(RF信号)に変換している。RF帯フィルタ25は、変調器24から出力される信号の帯域を所定のRF帯域に制限する帯域制限フィルタとして構成されており、変調器24から出力される信号のうち、所定のRF帯域から外れた信号部分を制限している。
【0033】
パワーアンプ26は、入力信号(変調器24によって変調され、RF帯フィルタ25から出力された被変調信号)を所定のゲインで増幅している。このパワーアンプ26から出力されるRF帯の信号がサーキュレータ41及びアンテナ40を介して送信電波として出力されるようになっている。
【0034】
一方、受信回路30は、RF帯フィルタ31、復調器33、ベースバンド帯フィルタ34a、34b、A/D変換器35a、35bなどによって構成されている。
【0035】
RF帯フィルタ31は、所定のRF帯域に制限する帯域制限フィルタとして構成されており、アンテナ40及びサーキュレータ41を介して入力される受信信号のうち、所定のRF帯から外れた信号部分を制限している。また、復調器33は例えば直交復調器として構成されており、RF帯フィルタ31から出力された信号を周波数シンセサイザ21から分配された無変調搬送波(基準信号)に基づいて同相成分と直交成分とを抽出し、振幅情報と位相情報とに変換している。
【0036】
また、ベースバンド帯フィルタ34a、34bは、いずれも所定のベースバンド信号の帯域に制限する帯域制限フィルタとして構成されており、復調器33で変換された同相成分及び直交成分の信号のそれぞれに対して、所定のベースバンド帯域から外れた信号部分を制限している。また、これらベースバンド帯フィルタ34a、34bからの出力がそれぞれA/D変換器35a、35bにおいてデジタル信号に変換され、デコード処理部12に入力されるようになっている。
【0037】
なお、制御部10には、図示しない入力キーや液晶表示器などからなる表示部14(図3参照)なども接続されている。更に、制御部10にはROM、RAM、不揮発性メモリなどの半導体メモリ等からなるメモリ13が接続されており、各種情報を記憶できるように構成されている。
【0038】
上記無線タグリーダ1によって読み取られる無線タグ50は、例えば図2のように構成されている。
この無線タグ50は、ハードウェア的には例えば公知のRFIDタグとして構成され、図2に示すように、アンテナ51,電源回路52,復調回路53,制御回路54,メモリ55,変調回路56などによって構成されている。電源回路52は、アンテナ51を介して受信した無線タグリーダ1からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路54をはじめとする各構成要素に供給している。
【0039】
また、復調回路53は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路54に出力している。メモリ55は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムや無線タグ50を識別するためのタグ識別情報(タグID)、無線タグ50の用途に応じてユーザが設定したデータ(商品データ、物流データ等)などが記憶されている。制御回路54は、メモリ55から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路56に出力する構成をなしており、変調回路56は、キャリア信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ51から反射波として送信するように構成されている。
【0040】
(無線タグリーダでの読取処理)
次に、第1実施形態に係る無線タグリーダ1で行われるタグ読取処理について説明する。
図3は、図1の無線タグリーダによる無線タグの読み取りの様子を説明する説明図である。図4は、図1の無線タグリーダによるタグ読取処理の流れを例示するフローチャートである。図5は、アンチコリジョン処理を説明する説明図である。
【0041】
本実施形態に係る無線タグリーダ1では、例えば図3のように使用者によって無線タグ50を読み取ろうとする操作がなされたとき、これら無線タグ50を読み取る処理が行われる。このタグ読取処理は、例えば制御部10に接続された図示しない入力キーに対して所定操作がなされたときに図4のような流れで行われ、まず、読取範囲内の無線タグ50を検索する処理が実行される(S1)。
【0042】
このS1の処理は、いずれかの無線タグ50からの応答が確認されたか否かを判断する処理であり、いずれの無線タグ50からも応答がない場合にはS2でNoとなり、いずれかの無線タグ50から応答があった場合にはS2でYesと判断されるようになっている。
【0043】
ここで、本実施形態で行われる出力の設定について説明する。本実施形態では、S1やS4での読み取りの際の出力レベルを多段階(例えば5段階)に切り替えることができるようになっている。具体的には、制御部10の制御によってパワーアンプ26の増幅値を多段階に制御することができるようになっており、これによりアンテナ40からの電磁波の送信出力を複数段階に切り替えている。また、アンテナ40からの送信出力は、図4の読取開始時には(即ち初期設定では)、それら切替可能な複数段階のうちの最小出力(例えば図6(A)の例ではP1)に設定されるようになっており、その後、後述するS7又はS9の処理が行われる毎に、設定値が一段階ずつ上げられ、送信出力が一段階ずつ増大するようになっている。
【0044】
このような構成を前提とし、S2でNoとなる場合には、、設定出力に達したか否かが判断される(S8)。この「設定出力」は、予め定められた最大出力であり、本実施形態に係る無線タグリーダ1は、この設定出力(最大出力)以下の範囲で送信電波の出力を多段階に切り替えている。
【0045】
S8で設定出力(最大出力)に達したと判断される場合には、S8でYesとなり、S10以降の処理が行われる。一方、S8で設定出力(最大出力)に達したと判断されない場合には、S8でNoとなる。この場合には、送信出力が1段階上げたレベルに設定され(S9)。その上げられた送信出力でS1の処理が再び行われることになる。このように、本実施形態では、無線タグ50からの応答が確認されるまではS1、S2、S8、S9の処理が繰り返され、無線タグ50からの応答が確認されるまで送信出力が段階的に徐々に上げられることとなる。
【0046】
なお、本実施形態では、パワーアンプ26を制御する制御部10が「出力設定手段」の一例に相当し、無線通信手段による読取開始時に送信出力を複数段階のうちの最小出力に設定し、無線通信手段によって無線タグが検出されるまで、送信出力を段階的に順次増大させるように機能しており、更には、上記設定出力(予め定められた最大出力)に達するまで送信出力を段階的に順次増大させるように機能している。また、後述の読取完了判断手段による読取完了の判断後(即ち、後述のS4の読取処理が完了する毎(S3でNoとなる毎))に送信出力を新たな段階に増大させるように機能する。
【0047】
一方、S2において応答があったと判断される場合(S1で無線タグ50が検索されたと判断される場合)、S2でYesとなり、読取範囲内の無線タグ50が全て読み取られるまでS3及びS4が繰り返されることとなる。このS3では、読取範囲内の無線タグ50の中に未取得の無線タグ50が存在するか否か(読み取りが完了していない無線タグ50が存在するか否か)が判断され、未取得の無線タグ50が存在する場合にはその未取得の無線タグ50の読取処理が行われる(S4)。
【0048】
この読取処理では、まずメモリ13等に設定されている各設定値(Q値の初期値、出力レベルの初期値等)に基づいてアンチコリジョン処理が行われることで読取範囲内の各無線タグ50の固有識別番号が取得される。
【0049】
上記アンチコリジョン方式として、例えば、スロッテッドアロハ方式などの公知の方式が採用されている。このスロッテッドアロハ方式では、無線タグリーダ1が予め設定されたQ値に応じた数(スロット数)のタイムスロットを設けており、各タイムスロットにスロット番号を割り当てている。なお、本実施形態では、2のQ乗(即ち、2)がスロット数となっており、図5では、その一例として、Q=4、即ち、スロット数が16の場合を概念的に例示している。
【0050】
無線タグリーダ1は、アンチコリジョン処理を行う場合、まず読取可能範囲にある無線タグに対してリクエストコマンドを送信している。一方、読取可能範囲内に存在する各無線タグは、無線タグリーダ1から送信されるリクエストコマンドを受信すると、無線タグリーダ1で設定されたスロット数の範囲で乱数を発生させてランダムに数値を取得している。そして、図5の例のように、無線タグリーダ1が、設定された数(図5では16個)のタイムスロットを順番に進め、各無線タグは、その進行する複数のタイムスロットの内、自己が選択した数値のタイムスロットのときに自己の固有識別情報と共に応答を返している。例えば、図5の例では、無線タグAが数値「1」を取得して、タイムスロット1(TS1)のときに応答しており、同様に、無線タグBが数値「5」を取得して、タイムスロット5(TS5)のときに応答している。無線タグリーダ1は、タイムスロット1、5のように、いずれかの無線タグからの応答があり他のタグからの応答がないタイムスロットについては、その応答した無線タグを当該無線タグ固有に付された固有識別情報で管理する。なお、この固有識別情報は、例えば無線タグからタイムスロットに対する応答と共に無線タグリーダ1に返されるものであり、このように固有識別情報で管理される無線タグは、既に選択済み(認識済み)の無線タグとして扱われる。
【0051】
一方、いずれかのタイムスロットにおいて、複数の無線タグからの応答があったときには、当該タイムスロットではいずれの無線タグも選択せずに保留し、次のタイムスロットに進む。図5の例では、タイムスロット3(TS3)において、無線タグD、Fが応答しており、無線タグの衝突により判別ができないため、このタイムスロット3ではいずれの無線タグも選択しないことになる。この場合、設定された数のタイムスロットを一通り終えた後、衝突のあった無線タグD,Fに対して再びリクエストコマンドを送信し、これら無線タグD、Fに対して上記と同様のタイムスロット割当処理を行う。
【0052】
なお、本実施形態絵は、S1の処理を実行する制御部10が「衝突防止手段」の一例に相当し、スロット数設定手段によって設定されたスロット数のスロットを用意すると共に、無線通信手段の読取可能範囲内に存在する各無線タグ50を各スロットに割り当て、各無線タグ50を固有の識別情報と対応付ける衝突防止処理(アンチコリジョン処理)を行うように機能する。
【0053】
以上のようなアンチコリジョン処理によって各無線タグ50の固有識別番号を取得した後、それら固有識別番号が付された無線タグ50との間で無線通信を行い、各無線タグ50のデータの読み取りや、各無線タグ50に対するデータの書き込みなどを行うこととなる。そして、このように認識された無線タグ50の読み取りが全て終わるまでS3、S4の処理が繰り返されることとなる。
【0054】
また、本実施形態では、制御部10、送信回路20、受信回路30が「無線通信手段」の一例に相当し、アンテナ40から送受信される電磁波を媒介として無線タグ50と無線通信を行うように機能し、より詳しくは、衝突防止手段によって各無線タグ50に対応付けられた各識別情報(固有識別情報)に基づいて各無線タグ50を認識し、各無線タグ50と通信を行うように機能している。
【0055】
S3でNoに進む場合には、S3、S4の処理で取得されたタグ数に基づいて次回の読み取り(S7で出力を1段階上げた後のS4での読み取り)に用いるQ値を決定する処理が行われる(S5)。このS5の処理では、S3、S4の処理で取得されたタグ数(既読タグ数)と、S4での読み取りの際に設定されている送信出力に基づいて読取範囲内に存在する無線タグ50の密度を算出する。本実施形態では、例えば、図6(A)のように、送信出力の段階ごとに予め読取範囲の面積が対応付けて定められ、このような対応データがメモリ13に記憶されている。そして、一連のS3、S4の処理が終わり(即ち読取完了と判断され)、S3、S4で取得されたタグ数が決定した場合には、S4での送信出力の段階と、一連のS3、S4の処理で取得された無線タグ50の数とに基づいて読み取り環境における無線タグ50の密度を算出でき、この算出される密度に基づいて次の出力となったときの予測タグ枚数を算出できるようになっている。
【0056】
例えば、図6(B)のように、送信電波の出力値が第1段階目のP1であり、対応付けられた読取範囲の面積がR1であり、S3でNoと判断されるまでにS3、S4の処理で読み取られた無線タグ50の枚数(取得タグ枚数)がN1である場合、密度をN1/R1と算出できる。そして、次の段階で設定される出力値P2については、読取範囲の面積がR2と対応付けられているため、この面積R2と上記算出された密度N1/R1とに基づいて、予測タグ枚数をR2×N1/R1と算出することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、S3の判断処理を行う制御部10が読取完了判断手段の一例に相当し、設定された出力段階において読取可能範囲内にある無線タグ50の読み取りが完了したか否かを判断するように機能する。
【0058】
また、S5の処理を実行する制御部10が予測手段の一例に相当し、出力設定手段によって設定される送信出力と、読取完了判断手段によって読取完了と判断されるまでの読取可能範囲内の既読タグ数とに基づき、出力設定手段によって送信出力が新たな段階に増大されたときに読取可能範囲内に入る未読タグ数を予測するように機能する。
【0059】
そして、上記のように予測タグ数が決定した後には、この予測タグ数に基づいて、出力値が次の段階に上げられたときに読み取りに用いるQ値が決定される。本実施形態では、図6(C)のように、予測タグ数に対応付けてQ値(最適Q値)を定めたテーブルがメモリ13に記憶されており、上記のように予測タグ数が算出された場合には、そのこのテーブルを参照し、算出された予測タグ数に対応するQ値を求めることができる。なお、図6(C)のようなテーブルは理論値や過去の実験結果などを基に作成しておくことができる。
【0060】
本実施形態では、制御部10及びメモリ13が「スロット数設定手段」の一例に相当し、Q値を決定することでアンチコリジョン処理に用いるスロット数を決定している。また、「スロット数設定手段」に相当するこれら制御部10及びメモリ13は、上述したように、無線通信手段による読取開始時にスロット数を所定の最少スロット数(例えば1)に設定すると共に、予測手段によって予測される未読タグ数に基づいて、新たな段階のときのスロット数を決定するように機能し、更には、未読タグのタグ数とスロット数とを対応付けて定めたテーブルと、このテーブルを記憶するメモリ13(記憶部)とを備え、予測手段によって予測される未読タグ数と、記憶部に記憶されるテーブルとに基づいて新たな段階のときのスロット数を決定するように機能している。なお、所定の最少スロット数とは、当該無線タグリーダで設定可能なスロット数の範囲内の最低値を意味している。
【0061】
S5にて新たなQ値が設定された後には、上述の設定出力(最大出力)に達したか否かが判断され(S6)、達していない場合には、S6でNoとなって、出力を1段階上げる処理が行われる(S7)。そして、このように1段階上げられた設定でS3以降の処理が行われる。このように、設定出力(最大出力)に達するまでは、S3〜S7のループが繰り返され、出力が1段階ずつ上げられて、各出力でそれぞれ読み取りが行われることとなる。
【0062】
一方、上述の設定出力(最大出力)に達したと判断される場合には、S6でNoとなり、キャリア出力が停止される(S10)。そして、ユーザへの通知が行われる(S11)。なお、S11での通知は、例えば「読み取りが完了しました」といった説明情報を表示部14に表示してもよく、「読取可能な無線タグが無くなりました」といった説明情報を表示部14に表示してもよい。或いは、読み取りが行われた場合(S6でYesの場合)と行われなかった場合(S8でYesの場合)とに分け、S6でYesの場合には、「読取可能範囲の無線タグを読み取りました」といった具合に読取完了を報知し、S8Yesの場合には、「最大読取範囲までタグが検出されませんでした」といった具合に読み取られなかった旨を表示するようにしてもよい。また、このような表示に限定されず、例えば、音声手段(スピーカやブザーなど)による発音、振動発生器による振動の発生などであってもよい。
なお、本実施形態では、制御部10及びこれら報知媒体(表示部14等)が「完了報知手段」「非検出報知手段」の一例に相当する。
【0063】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態に係る無線タグリーダ1は、衝突防止手段によって各無線タグに対応付けられた各識別情報に基づいて各無線タグを認識し、各無線タグと通信を行う無線タグリーダ1において、無線通信手段の読取可能範囲内にある無線タグの読み取りが完了したか否かを判断する読取完了判断手段と、アンテナ40からの電磁波の送信出力を複数段階に切り替え可能に構成され、読取完了判断手段による読取完了の判断後に送信出力を新たな段階に増大させる出力設定手段と、出力設定手段によって設定される送信出力と、読取完了判断手段によって読取完了と判断されるまでの読取可能範囲内の既読タグ数とに基づき、出力設定手段によって送信出力が新たな段階に増大されたときに読取可能範囲内に入る未読タグ数を予測する予測手段と、が設けられている。そして、スロット数設定手段は、予測手段によって予測される未読タグ数に基づいて、新たな段階のときのスロット数を決定している。
このようにすると、S3、S4での無線タグ50の読み取りの完了に応じてアンテナ40からの電磁波の出力を段階的に増大させることができるため、常に大きな出力で読み取る構成と比較すると、無線タグ50の配置状態に対して出力が過剰となりにくく、消費電力を効果的に低減できる。また、出力を新たな段階に増大させるときには、新たな未読タグ数を予測した上でスロット数が決定されるため、新たな段階ではより適切なスロット数で読み取ることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る無線タグリーダ1では、スロット数設定手段が、未読タグのタグ数とスロット数とを対応付けて定めたテーブルと、テーブルを記憶する記憶部とを備えており、予測手段によって予測される未読タグ数と、記憶部に記憶されるテーブルとに基づいて新たな段階のときのスロット数を決定している。このようにすると、未読タグ数とそれに対応する適切なスロット数との関係を過去の実験データや理論値などに基づいてテーブルとして用意しておくことで、複雑な処理を用いることなく適切なスロット数を迅速に決定できるようになる。
【0065】
また、本実施形態に係る無線タグリーダ1では、出力設定手段が、無線通信手段による読取開始時に送信出力を複数段階のうちの最小出力に設定し、無線通信手段によって無線タグが検出されるまで、送信出力を段階的に順次増大させている。このようにすると、より低い出力から段階的に読み取りが行われるため、読取開始から高出力の状態が長く続く構成と比較して効果的に省電力化を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る無線タグリーダ1では、スロット数設定手段が、無線通信手段による読取開始時にスロット数を所定の最少スロット数に設定している。読取開始時には低めの出力に設定されるため未読タグ数も低めとなりやすく、スロット数を所定の最少スロット数に設定しておけば、比較的未読タグ数に適した値となりやすくなる。
【0067】
また、本実施形態に係る無線タグリーダ1では、出力設定手段による複数段階の切り替えが完了したときに、表示部による表示、音声手段による発音、振動発生器による振動の発生の少なくともいずれかを実行する完了報知手段が設けられている。このようにすると、出力の段階的切り替えが完了し、出力がそれ以上増大しないことをユーザに知らせることができる、従って、ユーザは出力の増大が完了したタイミングを迅速に把握して適切な対応をとりやすくなる。
【0068】
また、本実施径田に係る無線タグリーダ1では、出力設定手段による複数段階の切り替えが完了し、新たな無線タグが検出されない場合に、表示部による表示、音声手段による発音、振動発生器による振動の発生の少なくともいずれかを実行する非検出報知手段が設けられている。このようにすると、出力の段階的切り替えが完了し、最大の読取範囲で読み取りが完了したことをユーザに知らせることができる。従って、ユーザは最大の読取範囲で読み取りが完了したことを迅速に把握して適切な対応をとりやすくなる。
【0069】
また、本実施形態に係る無線タグリーダ1では、無線通信手段が、アンテナ40に対する送信信号を増幅するパワーアンプ26を備え、出力設定手段が、パワーアンプ26の増幅値を制御している。このようにすると、アンテナ40からの出力を段階的に切り替えうる構成を好適に実現できる。
【0070】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
上記実施形態では、パワーアンプ36の増幅値を制御することで、アンテナ40からの送信電波の出力を段階的に切り替えていたが、出力設定の方法はこれに限られない。例えば、変調器24とRF帯フィルタ25との間に可変減衰器を設け、この可変減衰器の減衰量を制御部10によって制御することで、パワーアンプ26に対する入力電圧を調整するようにしてもよい。また、変調器からの変調信号の振幅を変化させる振幅調整を行うようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態に係る無線タグリーダ1では、スロット数設定手段が、予測手段によって予測される未読タグ数をパラメータとする所定の演算式により新たな段階のときのスロット数を決定するようにしてもよい。例えば、図6(C)のようなデータに基づいて予測スロット数をパラメータとする一次関数や二次関数を生成し、このような演算式によってスロット数を決定してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…無線タグリーダ
10…制御部(無線通信手段、スロット数設定手段、衝突防止手段、読取完了判断手段、出力設定手段、予測手段、完了報知手段、非検出報知手段)
13…メモリ(スロット数設定手段、記憶部)
14…表示部(完了報知手段、非検出報知手段)
20…送信回路(無線通信手段)
21…周波数シンセサイザ
24…変調器
26…パワーアンプ
30…受信回路(無線通信手段)
40…アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を送受信するアンテナと、
前記アンテナから送受信される前記電磁波を媒介として無線タグと無線通信を行う無線通信手段と、
スロット数を設定するスロット数設定手段と、
前記スロット数設定手段によって設定された前記スロット数のスロットを用意すると共に、前記無線通信手段の読取可能範囲内に存在する各無線タグを各スロットに割り当て、前記各無線タグを固有の識別情報と対応付ける衝突防止処理を行う衝突防止手段と、
を備え、
前記無線通信手段が、前記衝突防止手段によって前記各無線タグに対応付けられた各識別情報に基づいて前記各無線タグを認識し、前記各無線タグと通信を行う無線タグリーダであって、
前記読取可能範囲内にある前記無線タグの読み取りが完了したか否かを判断する読取完了判断手段と、
前記アンテナからの前記電磁波の送信出力を複数段階に切り替え可能に構成され、前記読取完了判断手段による読取完了の判断後に前記送信出力を新たな段階に増大させる出力設定手段と、
前記出力設定手段によって設定される前記送信出力と、前記読取完了判断手段によって読取完了と判断されるまでの前記読取可能範囲内の既読タグ数とに基づき、前記出力設定手段によって前記送信出力が前記新たな段階に増大されたときに前記読取可能範囲内に入る未読タグ数を予測する予測手段と、
を備え、
前記スロット数設定手段は、前記予測手段によって予測される前記未読タグ数に基づいて、前記新たな段階のときの前記スロット数を決定することを特徴とする無線タグリーダ。
【請求項2】
前記スロット数設定手段は、
未読タグのタグ数とスロット数とを対応付けて定めたテーブルと、
前記テーブルを記憶する記憶部と、
を備え、
前記予測手段によって予測される前記未読タグ数と、前記記憶部に記憶される前記テーブルとに基づいて前記新たな段階のときの前記スロット数を決定することを特徴とする請求項1に記載の無線タグリーダ。
【請求項3】
前記スロット数設定手段は、前記予測手段によって予測される前記未読タグ数をパラメータとする所定の演算式により前記新たな段階のときの前記スロット数を決定することを特徴とする請求項1に記載の無線タグリーダ。
【請求項4】
前記出力設定手段は、前記無線通信手段による読取開始時に前記送信出力を前記複数段階のうちの最小出力に設定し、前記無線通信手段によって前記無線タグが検出されるまで、前記送信出力を段階的に順次増大させること特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の無線タグリーダ。
【請求項5】
前記スロット数設定手段は、前記無線通信手段による読取開始時に前記スロット数を所定の最少スロット数に設定することを特徴とする請求項4に記載の無線タグリーダ。
【請求項6】
前記出力設定手段による前記複数段階の切り替えが完了したときに、表示部による表示、音声手段による発音、振動発生器による振動の発生の少なくともいずれかを実行する完了報知手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の無線タグリーダ。
【請求項7】
前記出力設定手段による前記複数段階の切り替えが完了し、新たな前記無線タグが検出されない場合に、表示部による表示、音声手段による発音、振動発生器による振動の発生の少なくともいずれかを実行する非検出報知手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の無線タグリーダ。
【請求項8】
前記無線通信手段は、前記アンテナに対する送信信号を増幅するパワーアンプを備え、
前記出力設定手段は、前記パワーアンプの増幅値を制御することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の無線タグリーダ。
【請求項9】
前記無線通信手段は、
搬送波を発生させる発振器と、
前記発振器にて生成された前記搬送波を変調する変調器と、
を備え、
前記出力設定手段は、前記変調器からの変調信号の出力レベルを変化させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の無線タグリーダ。
【請求項10】
前記無線通信手段は、前記アンテナに対する送信信号を増幅するパワーアンプを備え、
前記出力設定手段は、前記パワーアンプに対する入力電圧を調整可能な可変減衰器からなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の無線タグリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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