説明

無線タグ読取装置、プログラム及び無線タグ読取システム

【課題】複数の物品に個別に貼付されたRFIDタグが保持する情報の読み取りを効率的に行うことが可能な無線タグ読取装置、プログラム及び無線タグ読取システムを提供する。
【解決手段】複数の物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、当該電波に応答した無線タグの各々から、当該無線タグを識別するタグ識別子を読み取る読取手段と、前記各物品に貼付された無線タグのうち、他の装置で欠品とされた物品のタグ識別子を記録した欠品リストを上位装置から受信する受信手段と、前記読取手段で読み取られたタグ識別子のうち、前記欠品リストに登録されたタグ識別子と同一のタグ識別子が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が同一と判定したタグ識別子を前記上位装置に送信する送信手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグに保持された情報の読み取りを行う無線タグ読取装置、プログラム及び無線タグ読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流業においては、管理対象となる物品に所定の管理情報を記憶した無線タグを貼付し、これら物品を積載したカゴ車等の配送用キャリアを、無線タグと交信可能なアンテナを取付けたゲートを通過させて管理情報を非接触で読み取ることで、個々の物品の流通過程等を管理するシステムが用いられている。例えば、特許文献1には、配送用キャリアのゲートへの進入及び通過を検出し、この検出信号に応じて無線タグとの交信を非接触で行うシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記システムでは、無線タグが貼付される物品の材質や物品の積み方等によっては、一度のゲートの通過で配送用キャリアに積載された全ての物品の無線タグを読み取れない場合がある。このような場合、配送用キャリアを再度ゲートに通過させ、全ての物品の無線タグが読み取れるまで作業を繰り返す必要があるため、非効率的であるという問題がある。
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、複数の物品に個別に貼付されたRFIDタグが保持する情報の読み取りを効率的に行うことが可能な無線タグ読取装置、プログラム及び無線タグ読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、当該電波に応答した無線タグの各々から、当該無線タグを識別するタグ識別子を読み取る読取手段と、前記各物品に貼付された無線タグのうち、他の装置で欠品とされた物品のタグ識別子を記録した欠品リストを上位装置から受信する受信手段と、前記読取手段で読み取られたタグ識別子のうち、前記欠品リストに登録されたタグ識別子と同一のタグ識別子が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が同一と判定したタグ識別子を前記上位装置に送信する送信手段と、を備える。
【0006】
また、本発明は、複数の物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、当該電波に応答した無線タグの各々から、当該無線タグを識別するタグ識別子を読み取る読取手段を備えた無線タグ読取装置のコンピュータを、前記各物品に貼付された無線タグのうち、他の装置で欠品とされた物品のタグ識別子を記録した欠品リストを上位装置から受信する受信手段と、前記読取手段で読み取られたタグ識別子のうち、前記欠品リストに登録されたタグ識別子と同一のタグ識別子が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が同一と判定したタグ識別子を前記上位装置に送信する送信手段と、して機能させる。
【0007】
また、本発明は、複数の物品が積載された搬送用キャリアが通過するゲート装置と、前記各物品に係る情報を管理する情報管理装置と、携帯可能な無線タグ読取装置とを有する無線タグ読取システムであって、前記ゲート装置は、前記搬送用キャリアに積載された物品に対し、当該物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、この電波に応答した無線タグの各々から当該無線タグを識別するタグ識別子を読み取る第1読取手段を備え、前記情報管理装置は、前記複数の物品に貼付された無線タグのタグ識別子を登録した配送管理テーブルを記憶する記憶手段と、前記第1読取手段が読み取った各タグ識別子と、前記配送管理テーブルに登録された各タグ識別子とを比較し、不対のタグ識別子のみを登録した欠品リストを生成する生成手段と、を備え、前記無線タグ読取装置は、前記複数の物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、当該電波に応答した無線タグの各々から前記タグ識別子を読み取る第2読取手段と、前記情報管理装置から前記欠品リストを受信する受信手段と、前記第2読取手段で読み取られたタグ識別子のうち、前記欠品リストに登録されたタグ識別子と同一のタグ識別子が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が同一と判定したタグ識別子を前記情報管理装置に送信する送信手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の物品に個別に貼付されたRFIDタグが保持する情報の読み取りを効率的に行うことが可能な無線タグ読取装置、プログラム及び無線タグ読取システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、配送管理システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、ホストサーバの要部構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、配送管理ファイルの一例を示す図である。
【図4】図4は、欠品管理ファイルの一例を示す図である。
【図5】図5は、RFIDタグの要部構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、ゲートの要部構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、RFIDハンディ端末の要部構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、ホストサーバとゲートとの間で行われる第1配送確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、ホストサーバとRFIDハンディ端末との間で実行される第2配送確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、RFIDハンディ端末の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図11】図11は、RFIDハンディ端末の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図12】図12は、RFIDハンディ端末の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図13】図13は、RFIDハンディ端末の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図14】図14は、RFIDハンディ端末の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図15】図15は、RFIDハンディ端末の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図16】図16は、RFIDハンディ端末の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態では、本発明の無線タグ読取装置、プログラム及び無線タグ読取システムを、所定の配送先へ釣銭用の貨幣を配送する配送センターに設けられた配送管理システムに適用した例を説明するが、この実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る配送管理システム1の構成の一例を示す模式図である。同図に示すように、配送管理システム1は、ホストサーバ10と、ゲート40と、RFIDハンディ端末50と、を有している。
【0012】
ホストサーバ10は、配送対象の物品に関するデータを記憶・管理するサーバ装置である。図2は、ホストサーバ10の要部構成を示すブロック図である。同図に示すように、ホストサーバ10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信インタフェース14及び記憶部15等を備えている。
【0013】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成され、記憶部15に記憶された所定のプログラムを実行することでホストサーバ10の各部の動作を統括的に制御する。また、制御部11は、ゲート40と協働することで後述する第1配送確認処理を実行する。また、制御部11は、RFIDハンディ端末50と協働することで後述する第2配送確認処理を実行する。
【0014】
操作部12は、キーボードやマウス等の入力デバイスを有し、この入力デバイスの操作に応じた操作信号を制御部11に通知する。表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスを有し、制御部11の制御に従い文字や画像を表示デバイスに表示する。通信インタフェース14は、有線又は無線通信ネットワークを介してゲート40及びRFIDハンディ端末50と接続し、装置間で行われるデータ通信を制御する。
【0015】
記憶部15は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等であって、制御部11が実行する各種プログラムや設定情報を予め記憶する。また、記憶部15は、配送対象の物品に関する情報として、配送管理ファイル151及び欠品管理ファイル152を記憶する。
【0016】
図3は、配送管理ファイル151の一例を示す図である。同図に示すように、配送管理ファイル151には、配送が行われる配送日と、配送先コース名称と、各配送先コースを識別するコースIDと、配送先コースに含まれる各配送先の配送先名称と、各配送先を識別する配送先IDと、各配送先に配送される物品(後述する容器20)の種別を表す容器種別と、その物品の配送数と、各物品に貼付された後述するRFIDタグ21のタグIDと、後述する第1配送確認処理で用いるゲートチェック欄と、後述する第2配送確認処理で用いるハンディチェック欄とが関連付けて保持されている。
【0017】
図3において、ゲートチェック欄及びハンディチェック欄は、タグID毎に設けられており、後述する第1配送確認処理、第2配送確認処理で存在が確認されたタグIDに、チェック済を表す情報(図中“V”)が登録されるよう構成されている。
【0018】
図4は、欠品管理ファイル152の一例を示す図である。欠品管理ファイル152は、後述する第1配送確認処理でゲートチェック欄が未チェック(空欄)のタグIDが存在する場合、即ち欠品有りと判定された場合に生成される欠品リストであって、同図に示すように、配送日と、配送先コース名称と、コースIDと、配送先名称と、配送先IDと、容器種別と、その容器種別の欠品数と、タグIDとが関連付けて保持されている。
【0019】
欠品管理ファイル152を構成する項目のうち、配送日、配送先コース名称、コースID、配送先名称、配送先ID及び容器種別は、配送管理ファイル151に登録された情報に対応し、ゲートチェック欄が未チェックのタグIDに関連付けられた情報が登録される。また、タグIDには、ゲートチェック欄が未チェックのタグIDが登録される。
【0020】
図1に戻り、本実施形態で配送の対象となる容器20は、紙幣や硬貨を収納するための容器であって、所定の金額分の紙幣又は硬貨が予め収納されている。また、各容器20には、所定の情報(後述するタグID等)を保持した非接触方式の無線タグであるRFIDタグ21が予め貼付されている。
【0021】
配送用キャリア30には、配送日及び配送先コースが同一の各配送先に配送される複数の容器20が積載される。そして、配送用キャリア30は、所定の経路で移動され各容器20の配送確認(後述する第1配送確認処理及び第2配送確認処理)のためゲート40を通過する。
【0022】
図5は、RFIDタグ21の要部構成を示すブロック図である。同図に示すように、RFIDタグ21は、アンテナ211とICチップ212とを有している。ICチップ212は、アンテナ211で受信した変調波の整流と安定化を行うことによりICチップ212の各部に電源を供給する電源生成部213と、変調波を復調して制御部215へ送出する復調部214と、制御部215から送出されたデータを変調してアンテナ211に送出する変調部216と、復調部214で復調されたデータをメモリ部217に書込んだり、メモリ部217からデータを読み出して変調部216へ送出したりする制御部215と、EEPROM等の不揮発性の書換え可能なメモリ部217とを備えている。
【0023】
メモリ部217には、自己のRFIDタグ21の製造段階で製造業者により割当てられた固有の識別子であるタグIDが記憶されている。また、メモリ部217には、任意のデータを書込むことができるユーザ領域が設けられており、当該ユーザ領域に任意のデータ(例えば、自己のRFIDタグ21が貼付される容器20の容器種別や当該容器20の配送先ID等)を記憶する形態としてもよい。
【0024】
図1に戻り、ゲート40は、容器20が積載された配送用キャリア30が通過する通過ゲートであって、当該配送用キャリア30の移動通路に設置されている。ゲート40は、容器20に貼付されたRFIDタグ21と非接触で交信するためのアンテナ41を複数個備え、配送用キャリア30が通過する際に各容器20のRFIDタグ21からタグIDを読み取るよう構成されている。
【0025】
図6は、ゲート40の要部構成を示すブロック図である。同図に示すように、ゲート40は、アンテナ41と、RFIDリーダライタ42と、操作部43と、表示部44と、通信インタフェース45と、記憶部46と、制御部47とを備えている。
【0026】
アンテナ41は、RFIDリーダライタ42の制御により変調波を発信し、この変調波を受信したRFIDタグ21から発信される変調波を受信するものである。RFIDリーダライタ42は、アンテナ41から発信される変調波が到達し得る交信領域内に存在するRFIDタグ21のメモリ部217からタグID等を非接触で読み取ったり、メモリ部217のユーザ領域に所定のデータを非接触で書き込んだりする。
【0027】
操作部43は、各種キーやタッチパネル等の入力デバイスを有し、この入力デバイスの操作に応じた操作信号を制御部47に通知する。表示部44は、LCD等の表示デバイスを有し、制御部47の制御に従い文字や図形を表示する。通信インタフェース45は、有線又は無線通信ネットワークを介してホストサーバ10と接続し、装置間で行われるデータ通信を制御する。
【0028】
記憶部46は、例えばHDDやSSD、フラッシュメモリ等であって、制御部47が実行する各種プログラムや設定情報を予め記憶する。
【0029】
制御部47は、CPU、ROM及びRAM等で構成され、記憶部46に記憶された所定のプログラムを実行することでゲート40の各部の動作を統括的に制御する。また、制御部47は、ホストサーバ10と協働することで後述する第1配送確認処理を実行する。
【0030】
図1に戻り、RFIDハンディ端末50は、配送センター内の従業者等により操作される携帯型の無線タグ読取装置である。本実施形態においてRFIDハンディ端末50は、主にゲート40での第1配送確認処理で読み込み不可(欠品有り)とされたRFIDタグ21が存在する場合に使用される。
【0031】
図7は、RFIDハンディ端末50の要部構成を示すブロック図である。同図に示すように、RFIDハンディ端末50は、アンテナ51と、RFIDリーダライタ52と、操作部53と、表示部54と、通信インタフェース55と、記憶部56と、制御部57とを備えている。
【0032】
アンテナ51は、RFIDリーダライタ52の制御により変調波を発信し、この変調波を受信したRFIDタグ21から発信される変調波を受信するものである。RFIDリーダライタ52は、アンテナ51から発信される変調波が到達し得る交信領域内に存在するRFIDタグ21のメモリ部217からタグID等を非接触で読み取ったり、メモリ部217のユーザ領域に所定のデータを非接触で書き込んだりする。
【0033】
操作部53は、各種キーやタッチパネル等の入力デバイスを有し、この入力デバイスの操作に応じた操作信号を制御部57に通知する。表示部54は、LCD等の表示デバイスを有し、制御部57の制御に従い文字や図形を表示デバイスに表示する。通信インタフェース55は、有線又は無線通信ネットワークを介してホストサーバ10と接続し、装置間で行われるデータ通信を制御する。
【0034】
記憶部56は、例えばHDDやSSD、フラッシュメモリ等であって、制御部57が実行する各種プログラムや設定情報を予め記憶する。
【0035】
制御部57は、CPU、ROM、RAM等で構成され、記憶部56に記憶された所定のプログラムを実行することでRFIDハンディ端末50の各部の動作を統括的に制御する。また、制御部57は、ホストサーバ10と協働することで、後述する第2配送確認処理を実行する。
【0036】
以下、配送管理システム1の動作について説明する。まず、図8を参照して、ホストサーバ10とゲート40との間で行われる第1配送確認処理の動作について説明する。
【0037】
ゲート40の制御部47では、操作部43を介して特定の配送日時及びコースIDの入力を受け付けると、この配送日時及びコースIDの組をRAM等に保持する(ステップS11)。次いで、入力を受け付けた配送日時及びコースIDに対応する配送用キャリア30がゲート40を通過すると、制御部47は、アンテナ41及びRFIDリーダライタ42を介して各容器20に貼付されたRFIDタグ21からタグIDを読み取る(ステップS12)。続いて、制御部47は、ステップS12で読み取ったタグID群を、ステップS11で受け付けた配送日時及びコースIDの組とともにホストサーバ10へ送信する(ステップS13)。
【0038】
一方、ホストサーバ10の制御部11では、ゲート40からタグID群と、配送日時及びコースIDの組とを受信すると、この配送日時及びコースIDの組に対応するレコードを配送管理ファイル151から特定する(ステップS21)。続いて、制御部11は、特定したレコードに含まれる各タグIDと、受信した各タグIDとを比較し(ステップS22)、一致したタグID、つまり一対となったタグIDについては、レコード中の対応するゲートチェック欄にチェック済を表す情報“V”を登録する(ステップS23)。
【0039】
続いて、制御部11は、ステップS21で特定したレコード中の全てのゲートチェック欄にチェック済を表す情報“V”が登録されているか否かを判定する(ステップS24)。ここで、全てのゲートチェック欄にチェック済を表す情報が記録されていると判定した場合(ステップS24;Yes)、制御部11は、“欠品無し”を意味する応答情報をゲート40に送信し(ステップS25)、処理を終了する。
【0040】
また、ステップS24において、全てのゲートチェック欄にチェック済を表す情報が登録されていないと判定した場合(ステップS24;No)、制御部11は、同一の配送先ID及び容器種別毎に未チェックのゲートチェック欄の個数を計数し、この値を欠品数として導出する(ステップS26)。次いで、制御部11は、特定したレコード中から未チェックのゲートチェック欄に関連付けられた情報を抽出し、対応する配送先ID及び容器種別に欠品数を関連付けた欠品管理ファイル152を生成する(ステップS27)。そして、制御部11は、“欠品有り”を意味する応答情報をゲート40に送信し(ステップS28)、処理を終了する。
【0041】
ゲート40の制御部47では、ホストサーバ10から応答情報を受信すると、この応答情報を表示部44に表示させた後(ステップS14)、処理を終了する。
【0042】
ところで、ゲート40によるRFIDタグ21の読み取りでは、配送用キャリア30に積載された全ての容器20からタグIDを読み取ることができない場合がある。例えば、RFIDタグ21が貼付される容器20の材質や、容器20に収容される硬貨(金属)、容器20の積み方等の影響により、アンテナ41からの電波(変調波)が全てのRFIDタグ21の応答可能な強度に到達しない場合がある。
【0043】
そこで、本実施形態では、第1配送確認処理により欠品有りと判定された場合に、RFIDハンディ端末50を用いて、第2配送確認処理を実行することで、欠品分の容器20の再確認を行う。以下、図9を参照して第2配送確認処理について説明する。
【0044】
図9は、ホストサーバ10とRFIDハンディ端末50との間で実行される第2配送確認処理の手順を示すフローチャートである。まず、RFIDハンディ端末50の制御部57では、操作部53を介して、第1配送確認処理で欠品有りと判定された配送日時及びコースIDの入力を受け付けると、この配送日時及びコースIDの組をRAM等に保持する(ステップS31)。続いて、制御部57は、ステップS31で保持した配送日時及びコースIDの組をホストサーバ10に送信する(ステップS32)。
【0045】
一方、ホストサーバ10の制御部11では、RFIDハンディ端末50から配送日時及びコースIDの組を受信すると、この組に対応する欠品管理ファイル152を読み出し、RFIDハンディ端末50に送信する(ステップS41)。このとき、欠品管理ファイル152以外の情報を送信する形態としてもよく、例えば、配送管理ファイル151に基づいて、各配送先IDの容器種別毎の配送数や、当該配送数の合計値等を欠品管理ファイル152とともにRFIDハンディ端末50へ送信する形態としてもよい。なお、RFIDハンディ端末50の制御部57では、ホストサーバ10から欠品管理ファイル152等を受信すると、図示しないRAM等に一時記憶する。
【0046】
続いて、RFIDハンディ端末50が操作され、ゲート40を通過した容器20の近傍にかざされると、RFIDハンディ端末50の制御部57は、RFIDリーダライタ52で読み取られたタグIDを取得し、これらタグIDをRAM等に一時記憶する(ステップS33)。
【0047】
次いで、制御部57は、一時記憶した各タグIDと、欠品管理ファイル152に登録されたタグIDとを比較し(ステップS34)、一致するタグIDが存在しないと判定した場合には(ステップS35;No)、ステップS33に再び戻る。また、ステップS35において、一致するタグIDが存在すると判定した場合(ステップS35;Yes)、制御部57は、欠品管理ファイル152から一致したタグIDを削除するとともに、当該タグIDに関連付けられた欠品数を削除した数だけ減算することで、欠品管理ファイル152を更新する(ステップS36)。そして、制御部57は、一致したタグIDをステップS31で受け付けた配送日時及びコースIDの組とともにホストサーバ10に送信し(ステップS37)、ステップS38に移行する。
【0048】
一方、ホストサーバ10の制御部11では、RFIDハンディ端末50からタグIDと、配送日時及びコースIDの組とを受信すると、この配送日時及びコースIDの組で特性される配送管理ファイル151のレコード中の対応するタグIDに関連付けられたハンディチェック欄にチェック済を表す情報“V”を登録する(ステップS42)。次いで、制御部11は、受信した配送日時及びコースIDの組で特性される配送管理ファイル152中の対応するタグIDを削除するとともに、当該タグIDに関連付けられた欠品数を削除した数だけ減算することで、欠品管理ファイル152を更新し(ステップS43)、処理を終了する。
【0049】
続いて、RFIDハンディ端末50の制御部57は、欠品管理ファイル152に登録された全ての欠品数が“0”になったか否かを判定し、否と判定した場合には(ステップS38;No)、ステップS33に再び戻る。また、欠品管理ファイル152に記録された全ての欠品数が“0”と判定した場合(ステップS38;Yes)、“欠品無し”を表す情報を表示部44に表示させた後(ステップS39)、処理を終了する。
【0050】
以下、図10〜図16を参照して、上述した第2配送確認処理の動作を、RFIDハンディ端末50の表示部54に表示される画面遷移に基づいて説明する。ここで、図10〜図16は、RFIDハンディ端末50の表示部54に表示される画面の一例を示す図である。なお、ホストサーバ10からは、欠品管理ファイル152以外に各配送先IDの容器種別毎の配送数や、当該配送数の合計値が送信されているものとする。
【0051】
まず、制御部57は、第2配送確認処理の実行に際し、図10に示すように、欠品管理ファイル152の取得に必要な配送日時及びコースIDの入力を促す画面を表示部54に表示させる。ここで、領域A11は配送日時の入力が行われる領域であり、領域A12はコースIDの入力が行われる領域である。RFIDハンディ端末50の操作者は、領域A11及びA12に対し、操作部53を介して所望の配送日時及びコースIDを入力することが可能となっている。
【0052】
配送日時及びコースIDが入力された後、確定ボタンB11が押下されると、制御部57は、入力された配送日時及びコースIDの組に対応する欠品管理ファイル152等をホストサーバ10から取得する。なお、戻るボタンB12が押下された場合、制御部57は、入力された配送日時及びコースIDをクリアする。
【0053】
制御部57は、ホストサーバ10から欠品管理ファイル152等を取得すると、取得した情報を図11に示すように表示部54に表示させる。図11において、領域A13には、領域A11に入力されたコースIDに対応する配送先コース名称が表示される。また、領域A14には、欠品管理ファイル152に登録された欠品数の合計値が不足容器数として表示される。また、領域A15には、RFIDハンディ端末50を用いて読み取られたタグIDの総数、即ち制御部57が一時記憶したタグIDの総数が読取数として表示される。また、領域A16には、ステップS35で一致するすると判定されたタグIDの総数が一致容器数として表示される。なお、画面右上の領域A17には、領域A13に表された配送先コース名称での各配送先に配送される容器20の合計値と、この合計値から不足容器数を減算した値とが表示される。
【0054】
図11において、詳細ボタンB13は、配送先毎の不足容器数の状態を表示させるためのボタンであって、操作部53を介し詳細ボタンB13が押下されると、制御部57は、欠品管理ファイル152に登録された各配送先IDに基づき、図12に示すような画面を表示部54に表示させる。なお、中止ボタンB14が押下された場合、制御部57は、第2配送確認処理を中断し図10の画面を表示する。
【0055】
図12において、領域A18には、欠品管理ファイル152に登録された各配送先IDに対応する配送先名称がリスト表示される。この領域A18内に全ての配送先名称を表示できない場合には、前頁ボタンB15又は次頁ボタンB16を押下することで頁送りを行うことができる。なお、戻るボタンB17が押下された場合、制御部57は図11の画面を再び表示させる。
【0056】
領域A18に表示されたリストから一の配送先名称が選択され、確定ボタンB18が押下されると、制御部57は、この選択された配送先名称(配送先ID)に関連付けられた容器種別及び欠品数を欠品管理ファイル152から読み出し、図13に示すような画面を表示部54に表示させる。
【0057】
図13において、領域A19には、図12のリストから選択された配送先名称が表示される。また、領域A20には、領域A19の配送先名称に関連付けられた容器種別と欠品数(不足容器数)とが表示される。この領域A20内に全ての容器種別及び欠品数の組を表示できない場合、前頁ボタンB19又は次頁ボタンB20を押下することで頁送りを行うことができる。なお、戻るボタンB21が押下されると、制御部57は図12の画面を再び表示させる。
【0058】
図11に戻り、制御部57は、RFIDリーダライタ52で読み取られたタグIDを取得し一時記憶を行うと、図14に示すように、この一時記憶したタグIDの個数を領域A15に表示させる。なお、図14の例では、5つのタグIDが読み取られた(一時記憶された)ことを表している。
【0059】
また、制御部57は、一時記憶したタグID中にステップS35の条件に合致するタグIDが存在すると判定すると、図15に示すように、その合致したタグIDの個数を一致容器数として領域A16に表示させる。なお、図15の例では、7つのタグIDの読み取りが完了した時点で、一つのタグIDがステップS35の条件に合致したことを表している。なお、図15では、領域A14の表示を固定した形態としているが、条件に合致したタグIDの個数を、更新した欠品管理ファイル152に基づいて切り替える形態としてもよい。
【0060】
そして、制御部57は、欠品管理ファイル152に記録された全ての欠品数が“0”になったかと判定すると、図16に示すように、“欠品無し”を表す情報を領域A21に表示させる。なお、図16の確定ボタンB22が押下された場合、制御部57は、図10の画面を再び表示させるものとする。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、ゲート40での読み取りで存在を確認することができなかった各容器20についての欠品管理ファイル152(欠品リスト)を生成し、この欠品管理ファイル152に基づいて、複数の容器20の中から該当する容器20を、RFIDハンディ端末50を用いて探し出すことができる。これにより、配送用キャリア30を再度ゲート40に通過させたり、容器20の配置位置を変更したりする必要がなくなるため、複数の容器20に個別に貼付されたRFIDタグ21が保持する情報の読み取りを効率的に行うことができる。また、第2配送確認処理で得られた結果を表示部54に表示することで、RFIDタグ21の読み取り状況をRFIDハンディ端末50の操作者に報知することができるため、RFIDハンディ端末50の操作者の利便性を向上させることができる。
【0062】
また、ホストサーバ10において、各欠品管理処理で存在が確認されたRFIDタグ21のタグIDを個別に管理することで、読み取りエラーが発生するRFIDタグ21を容易に特定することができるため、各RFIDタグ21の応答状態を統括的に確認・管理することができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での種々の変更、置換、追加等が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、ゲート40の操作部43又はRFIDハンディ端末50の操作部53を介して特定の配送日時及びコースIDが入力される形態としたが、これに限らないものとする。例えば、配送用キャリア30に特定の配送日時及びコースIDを記憶したRFIDタグ21を貼付しておき、このRFIDタグ21から配送日時及びコースIDの組を読み取ることで、この配送日時及びコースIDの組の入力を受け付ける形態としてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ホストサーバ10に記憶された欠品管理ファイル152をRFIDハンディ端末50が取得する形態としたがこれに限らず、欠品管理ファイル152を生成した時点でホストサーバ10からRFIDハンディ端末50に送信する形態としてもよい。また、ゲート40又はRFIDハンディ端末50が、ホストサーバ10の機能を有する形態としてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、図14〜図16に示したように、第2配送確認処理で得られた結果を表示部54に表示することで、RFIDタグ21の読み取りに係る状態をRFIDハンディ端末50の操作者に報知する形態としたが、報知方法はこれに限らないものとする。例えば、RFIDハンディ端末50が、音声出力可能な音声出力デバイスを具備する場合、RFIDリーダライタ52で読み取りが行われる毎や、一致容器数を増加させる毎、全ての欠品数が“0”となった場合に、その旨を表すビープ音等を出力することで、RFIDタグ21の読み取りに係る状態をRFIDハンディ端末50の操作者に報知する形態としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態の各装置(ホストサーバ10、ゲート40、RFIDハンディ端末50)で実行されるプログラムは、各装置が備えるROM等の記録媒体に予め記録された状態で提供されるものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0068】
また、上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 配送管理システム
10 ホストサーバ
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信インタフェース
15 記憶部
151 配送管理ファイル
152 欠品管理ファイル
20 容器
21 RFIDタグ
211 アンテナ
212 ICチップ
213 電源生成部
214 復調部
215 制御部
216 変調部
217 メモリ部
30 配送用キャリア
40 ゲート
41 アンテナ
42 RFIDリーダライタ
43 操作部
44 表示部
45 通信インタフェース
46 記憶部
47 制御部
50 RFIDハンディ端末
51 アンテナ
52 RFIDリーダライタ
53 操作部
54 表示部
55 通信インタフェース
56 記憶部
57 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2003−327331公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、当該電波に応答した無線タグの各々から、当該無線タグを識別するタグ識別子を読み取る読取手段と、
前記各物品に貼付された無線タグのうち、他の装置で欠品とされた物品のタグ識別子を記録した欠品リストを上位装置から受信する受信手段と、
前記読取手段で読み取られたタグ識別子のうち、前記欠品リストに登録されたタグ識別子と同一のタグ識別子が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が同一と判定したタグ識別子を前記上位装置に送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする無線タグ読取装置。
【請求項2】
前記判定手段が同一と判定したタグ識別子を、前記受信手段が受信した欠品リスト中から削除する削除手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
前記判定手段の判定結果を報知する報知手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線タグ読取装置。
【請求項4】
前記複数の物品は、搬送用キャリアに積載された状態で移動され、
前記他の装置は、前記搬送用キャリアが通過するゲート型の無線タグ読取装置であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の無線タグ読取装置。
【請求項5】
複数の物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、当該電波に応答した無線タグの各々から、当該無線タグを識別するタグ識別子を読み取る読取手段を備えた無線タグ読取装置のコンピュータを、
前記各物品に貼付された無線タグのうち、他の装置で欠品とされた物品のタグ識別子を記録した欠品リストを上位装置から受信する受信手段と、
前記読取手段で読み取られたタグ識別子のうち、前記欠品リストに登録されたタグ識別子と同一のタグ識別子が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が同一と判定したタグ識別子を前記上位装置に送信する送信手段と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項6】
複数の物品が積載された搬送用キャリアが通過するゲート装置と、前記各物品に係る情報を管理する情報管理装置と、携帯可能な無線タグ読取装置とを有する無線タグ読取システムであって、
前記ゲート装置は、
前記搬送用キャリアに積載された物品に対し、当該物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、この電波に応答した無線タグの各々から当該無線タグを識別するタグ識別子を読み取る第1読取手段を備え、
前記情報管理装置は、
前記複数の物品に貼付された無線タグのタグ識別子を登録した配送管理テーブルを記憶する記憶手段と、
前記第1読取手段が読み取った各タグ識別子と、前記配送管理テーブルに登録された各タグ識別子とを比較し、不対のタグ識別子のみを登録した欠品リストを生成する生成手段と、
を備え、
前記無線タグ読取装置は、
前記複数の物品に個別に貼付された無線タグと交信するための電波を放射し、当該電波に応答した無線タグの各々から前記タグ識別子を読み取る第2読取手段と、
前記情報管理装置から前記欠品リストを受信する受信手段と、
前記第2読取手段で読み取られたタグ識別子のうち、前記欠品リストに登録されたタグ識別子と同一のタグ識別子が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が同一と判定したタグ識別子を前記情報管理装置に送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする無線タグ読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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