説明

無線タグ通信装置

【課題】無線タグの情報読み取り結果に関する情報を、タグ通信端末から操作端末側へと確実に遅延なく送信する。
【解決手段】リーダ1は、操作端末100及びタグ通信端末200を有している。操作端末100には、端末通信部125が設けられている。タグ通信端末200には、タグ通信用アンテナ206、RF通信制御部211、付与データ生成部214、及び端末通信部225が設けられている。そして、タグ通信端末200の全体制御部210は、端末間通信における通信速度Sが、3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定する。そして、その判定結果に対応して、端末通信部225によりタグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグと無線通信を行う無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグと無線通信を行う無線タグ通信装置として、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。この従来技術の無線タグ通信装置としてのリーダは、操作者が携帯可能な携帯操作端末として構成されている。このリーダは、タグ情報取得手段としてのアンテナ及び高周波回路と、CPUを備えた制御回路とを有している。また、リーダには、基地局及び通信回線を介しデータベースを備えたサーバが接続されている。このデータベースには、物品の名称と、これに関連づけられている無線タグのタグ識別情報としてのタグIDとの、相関情報が格納保持されている。
【0003】
操作者がある特定の物品の現在位置を探したい場合、リーダのCPUは、基地局及び通信回線を介し上記サーバのデータベースにアクセスする。すると、操作者により指定されたキーワードに対応する検索がデータベースで実行され、当該物品に設けられた無線タグに係るタグIDが特定される。そして、そのタグIDを指定して高周波回路及びアンテナを介し無線タグと無線通信を行い、タグIDを取得することにより、対応する無線タグを検出する。これにより、操作者が探したい物品を見つけ出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−87034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術のようなユーザが携帯可能な無線タグ通信装置において、ユーザの利便性を向上することを目的として、操作手段を備えた操作端末と、無線タグと無線通信を行うタグ通信端末とを分離した構造が考えられる。操作端末とタグ通信端末とを別体とすることにより、ユーザが操作しやすい状態に操作端末を配置することができるとともに、無線タグと通信しやすい場所にタグ通信端末を配置することができる。
【0006】
無線タグとの通信を行う場合には、操作端末を操作しているユーザが無線タグの情報読み取り結果を確認可能とするために、タグ通信端末による無線タグの情報読み取り結果に関する情報を、操作端末側へ送信する必要がある。
【0007】
一般に、無線タグに対する情報読み取りを行う場合には、操作端末とタグ通信端末との間の通信速度が比較的遅いにもかかわらず、通信データ量が多過ぎる場合が起こりうる。この場合、無線タグの情報読み取り結果に関する情報が操作端末へ送信される際に、データの送信漏れが生じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、無線タグの情報読み取り結果に関する情報を、タグ通信端末から操作端末側へと確実に遅延なく送信することができる無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、操作手段を備えた操作端末と、前記操作端末に対し着脱自在に構成されるとともに、無線タグと無線通信を行うタグ通信端末と、を有する無線タグ通信装置であって、前記タグ通信端末に設けられ、前記無線タグのタグ識別情報を、当該無線タグから無線通信により取得するタグ情報取得手段と、前記タグ通信端末に設けられ、前記タグ情報取得手段により前記タグ識別情報が取得された場合に、当該取得された前記タグ識別情報に対応した少なくとも1つの付与データを生成する付与データ生成手段と、前記操作端末及び前記タグ通信端末の両方に設けられ、前記操作端末と前記タグ通信端末との間で端末間通信を行い、前記タグ情報取得手段により取得された前記タグ識別情報と前記付与データ生成手段により生成された少なくとも1つの付与データとのうち、少なくとも前記タグ識別情報を、送信情報として前記タグ通信端末から送信し前記操作端末で受信する端末通信手段と、前記操作端末及び前記タグ通信端末のいずれか一方に設けられ、前記端末間通信における通信速度が、予め定められた少なくとも1つの速度しきい値により区分される複数の速度区分のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定する通信速度判定手段と、前記タグ通信端末に設けられ、前記通信速度判定手段により前記複数の速度区分のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたかに対応して、前記端末通信手段により前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を切り替える、情報切替手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本願第1発明の無線タグ通信装置は、操作端末とタグ通信端末とを有する。タグ通信端末は無線タグと無線通信を行い、操作端末は操作手段を備えている。タグ通信端末と操作端末とは互いに着脱自在に構成されている。そして、タグ通信端末に設けられたタグ情報取得手段が、無線タグのタグ識別情報を無線通信により取得する。この取得されたタグ識別情報に対応して、付与データ生成手段が、情報読み取り結果に関する少なくとも1つの付与データを生成する。操作端末及びタグ通信端末にはそれぞれ端末通信手段が設けられ、操作端末とタグ通信端末との間で端末間通信が行われ、タグ通信端末から操作端末へとタグ識別情報や付与データからなる送信情報の送信が行われる。
【0011】
本願第1発明では、上記送信におけるデータ量を最適に調整するために、通信速度判定手段と、情報切替手段とが設けられる。通信速度判定手段は、端末間通信における通信速度が複数の速度区分のうちいずれの区分であるかどうかを判定する。情報切替手段は、上記通信速度の判定結果に応じ、端末間通信によりタグ通信端末から操作端末へ送信される上記送信情報の内容を切り替える。これにより、無線タグの情報読み取り結果に関する情報を、タグ通信端末から操作端末側へと確実に遅滞なく送信することができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1発明において、前記通信速度判定手段は、少なくとも、前記端末間通信における通信速度が、予め定められた前記複数の速度区分に含まれる、前記速度しきい値よりも大きい高速側の区分に該当するか、前記速度しきい値以下である低速側の区分に該当するか、を判定し、前記情報切替手段は、前記通信速度判定手段により前記端末間通信における通信速度が前記高速側の区分に該当すると判定された場合には、前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を、所定数の前記付与データ及び前記タグ識別情報とし、前記通信速度判定手段により前記端末間通信における通信速度が前記低速側の区分に該当すると判定された場合には、前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を、前記所定数よりも少ない数の前記付与データ及び前記タグ識別情報とするか、前記タグ識別情報のみとすることを特徴とする。
【0013】
これにより、端末間通信の通信速度が速い場合にはタグIDと多数の付与データとを送信することで、操作端末がより詳細な情報を取得することができる。端末間通信の通信速度が遅い場合にはタグIDと少数の付与データ、若しくは、タグIDのみを送信することで、通信バッファオーバーフローを防止し、リアルタイム性を確保することができる。以上のようにして、無線タグの情報読み取り結果に関する情報を、タグ通信端末から操作端末側へと確実に遅滞なく送信することができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は第2発明において、前記端末通信手段は、前記操作端末及び前記タグ通信端末の両方に設けられ、前記操作端末と前記タグ通信端末との間で第1通信態様による第1端末間通信を行う第1端末通信手段と、前記操作端末及び前記タグ通信端末の両方に設けられ、前記操作端末と前記タグ通信端末との間で第2通信態様による第2端末間通信を行う第2端末通信手段と、前記操作端末及び前記タグ通信端末の両方に設けられ、前記第1端末通信手段及び前記第2端末通信手段のうちいずれを用いるかを選択的に切替可能な端末通信切替手段とを含んでおり、前記通信速度判定手段は、前記第1端末間通信又は前記第2端末間通信における通信速度が、予め定められた前記少なくとも1つの速度しきい値により区分される前記複数の速度区分のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定することを特徴とする。
【0015】
これにより、操作端末とタグ通信端末との間で種々の態様の通信が切り替えて実行される場合であっても、各態様における通信速度に対応して、無線タグの情報読み取り結果に関する情報を確実に遅滞なく送信することができる。したがって、互いに着脱自在な操作端末及びタグ通信端末を、互いに接近させた状態や互いに遠ざけた状態で確実に使用することができる。
【0016】
第4の発明は、上記第3発明において、前記操作端末及び前記タグ通信端末の少なくとも一方に設けられ、前記端末通信切替手段による、前記第1端末通信手段及び前記第2端末通信手段のうちいずれを用いるかの切り替え状況を判定する切替判定手段と、前記タグ通信端末に設けられ、前記切替判定手段により前記第1端末通信手段と前記第2端末通信手段との切り替えが実行中であると判定された場合、前記タグ情報取得手段により取得された前記タグ識別情報と前記付与データ生成手段により生成された前記付与データとを記憶するデータ記憶手段と、前記タグ通信端末に設けられ、前記切替判定手段により前記第1端末通信手段と前記第2端末通信手段との切り替えが完了したと判定された場合、前記データ記憶手段に記憶された前記タグ識別情報及び前記付与データを読み出すデータ読み出し手段とを有し、前記端末通信切替手段により切り替えられた前記第1端末通信手段又は前記第2端末通信手段は、前記データ読み出し手段により読み出された前記タグ識別情報及び前記付与データを用い、前記情報切替手段による切り替えに沿って、前記タグ通信端末から前記操作端末への情報送信を行うことを特徴とする。
【0017】
これにより、端末間通信の態様を切り替えている間における無線タグの読み取り結果についても、漏らさず確実にタグ通信端末から操作端末へ送信することができる。
【0018】
第5の発明は、上記第4発明において、前記操作端末及び前記タグ通信端末の少なくとも一方に設けられ、前記第1端末通信手段又は前記第2端末通信手段により行われている前記第1端末間通信又は前記第2端末間通信での通信データ量が、予め通信速度の大小に対応付けて定められたデータ量しきい値以下かどうかを判定するデータ量判定手段を有し、前記端末通信切替手段により切り替えられた前記第1端末通信手段又は前記第2端末通信手段は、前記データ量判定手段により、前記第1端末間通信又は前記第2端末間通信での通信データ量が前記データ量しきい値以下であると判定された場合に、前記データ読み出し手段により読み出された前記タグ識別情報及び前記付与データを用い、前記情報切替手段による切り替えに沿って、前記タグ通信端末から前記操作端末への情報送信を行うことを特徴とする。
【0019】
これにより、端末間通信の態様を切り替えている間における無線タグの読み取り結果を、現在実行している端末間通信でのデータ送信のリアルタイム性を損なうことなく、漏らさず確実に操作端末へ送信することができる。
【0020】
第6の発明は、上記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記タグ通信端末に設けられ、予め前記付与データの種類別にそれぞれ設定された順位情報を記憶する順位記憶手段を有し、前記情報切替手段は、少なくとも1つの前記付与データを含むように前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を切り替える場合に、当該送信される送信情報の内容に、前記順位記憶手段において記憶された順位情報が上位である種類の付与データが優先して含まれるように、切り替えを行うことを特徴とする。
【0021】
これにより、用途や好みに基づきユーザが重要視する種類の付与データを、それ以外の種類の付与データよりも優先して操作端末で取得することができる。
【0022】
第7の発明は、上記第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記タグ通信端末に設けられ、前記タグ情報取得手段による単位時間あたりの前記タグ識別情報の最大取得数が、所定のタグ数しきい値以上であるかどうかを判定するタグ通信判定手段を有し、前記情報切替手段は、前記通信速度判定手段により前記複数の速度区分のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたか、及び、前記タグ通信判定手段により前記タグ情報取得手段による単位時間あたりの前記タグ識別情報の最大取得数が前記タグ数しきい値以上であると判定されたか、の両方に対応して、前記端末通信手段により前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を切り替えることを特徴とする。
【0023】
これにより、無線タグのタグ識別情報が数多く取得された場合には、端末通信による操作端末へのデータ量を低減して、通信バッファオーバーフローを防止し、リアルタイム性を確保することができる。
【0024】
第8の発明は、上記第1乃至第7発明のいずれかにおいて、前記タグ通信端末に設けられ、前記通信速度判定手段により前記複数の速度区分のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたかに対応して、前記タグ情報取得手段による前記無線タグとの無線通信速度を変更する、タグ通信制御手段を有することを特徴とする。
【0025】
これにより、端末間通信が遅い場合には、無線タグとの無線通信速度を遅くし無線タグから取得するデータ量を低減可能となる。この結果、端末間通信でのデータ量過大を防止し、通信の円滑性が損なわれるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、無線タグの情報読み取り結果に関する情報を、タグ通信端末から操作端末側へと確実に遅延なく送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態のリーダの外観構成を表す斜視図である。
【図2】リーダの機能的構成を表すブロック図である。
【図3】タグ通信端末が操作端末に取り付けられた状態のリーダの斜視図である。
【図4】タグ通信端末が操作端末から離隔された状態のリーダの斜視図である。
【図5】端末間通信における通信速度に関する速度区分について説明する表である。
【図6】付与データ生成部により生成された、付与データの一例を表す表である。
【図7】3つの速度区分「高速」「中速」「低速」それぞれに対応した、タグ通信端末から操作端末へと送信される送信情報の内容の一例を表す表である。
【図8】操作端末の全体制御部が実行する、タグ通信端末との接続に関する制御手順を表すフローチャートである。
【図9】操作端末の全体制御部が実行する、タグ通信端末との接続に関する制手順を表すフローチャートである。
【図10】タグ通信端末の全体制御部が実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図11】ステップST100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図12】通信速度、及び、タグIDの最大取得数の両方に対応して、操作端末へ送信される送信情報の内容を切り替える変形例において、ステップST100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図13】通信速度に対応して、タグ通信速度を変更する変形例において、ステップST100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図14】通信切替中はタグID及び付与データをメモリに記憶し、切替完了後に送信する変形例において、タグ通信端末の全体制御部が実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図15】優先順位が上位である付与データを優先的に操作端末へ送信する変形例において、優先順位データベースの記憶内容の一例を概念的に表す表である。
【図16】ステップST100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図17】端末通信部の通信パラメータに対応して、操作端末へ送信される送信情報の内容を切り替える変形例において、リーダの機能的構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1を用いて、本実施形態の無線タグ通信装置であるリーダの外観構成を説明する。
【0030】
図1において、本実施形態の無線タグ通信装置としてのリーダ1は、操作端末100と、当該操作端末100に対し着脱自在に構成されるタグ通信端末200とを有している。すなわち、リーダ1は、別体である操作端末100及びタグ通信端末200により構成されている。図1に示す例では、タグ通信端末200が操作端末100から取り外され、離隔された状態のリーダ1を示している。
【0031】
操作端末100は、ユーザが各種入力操作を行うための端末である。この操作端末100は、操作手段としての操作ボタン101と、表示部102と、近距離用アンテナ103と、遠距離用アンテナ104と、2つのフック孔105とを備えている。
【0032】
操作ボタン101は、ユーザが各種操作入力を行うためのボタンである。表示部102は、各種情報やメッセージを表示する。
【0033】
近距離用アンテナ103は、タグ通信端末200に設けられた、後述の近距離用アンテナ203との間で、無線により端末間通信を行う(詳細は後述)。
【0034】
遠距離用アンテナ104は、タグ通信端末200に設けられた、後述の遠距離用アンテナ204との間で、無線により端末間通信を行う(詳細は後述)。
【0035】
フック孔105は、タグ通信端末200に設けられた、後述するフック205を、取り付け可能に構成されている。
【0036】
一方、タグ通信端末200は、無線タグTと無線通信を行うための端末である。このタグ通信端末200は、近距離用アンテナ203と、遠距離用アンテナ204と、タグ通信用アンテナ206と、2つのフック205とを備えている。
【0037】
近距離用アンテナ203は、操作端末100に設けられた、上記近距離用アンテナ103との間で、無線により端末間通信を行う(詳細は後述)。
【0038】
遠距離用アンテナ204は、操作端末100に設けられた、上記遠距離用アンテナ104との間で、無線により端末間通信を行う(詳細は後述)。
【0039】
タグ通信用アンテナ206は、所定の通信範囲(図示せず)に存在する無線タグTに対し無線通信を行う(詳細は後述)。
【0040】
フック205は、操作端末100に設けられた、上記フック孔105に対し取り付け可能に構成されている。
【0041】
図2を用いて、リーダ1の機能的構成を説明する。
【0042】
図2において、リーダ1は、上述したように、操作端末100及びタグ通信端末200を有している。
【0043】
操作端末100は、上記操作ボタン101と、上記表示部102と、上記近距離用アンテナ103と、近距離用通信制御部107と、上記遠距離用アンテナ104と、遠距離用通信制御部108と、通信切替部109と、メモリ112と、不揮発性記憶装置113と、全体制御部110と、バッテリ115とを有している。
【0044】
近距離用アンテナ103は、操作端末100及びタグ通信端末200が互いに近接した状態(後述の図3に示す状態)である場合に、タグ通信端末200側の近距離用アンテナ203との間で端末間通信を行う。具体的には、例えば公知のTransferJet(登録商標)等の通信距離が短い近距離無線通信態様による近距離通信を行う(詳細は後述)。なお、近距離無線通信態様が、各請求項記載の第1通信態様に相当する。また、近距離通信が、第1端末間通信に相当する。
【0045】
近距離用通信制御部107は、上記近距離用アンテナ103を介し行われる端末間通信を制御する。
【0046】
遠距離用アンテナ104は、操作端末100及びタグ通信端末200が互いに遠ざかった状態(後述の図4に示す状態)である場合に、タグ通信端末200側の遠距離用アンテナ204との間で端末間通信を行う。具体的には、例えば公知のBluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)等の通信距離が比較的長い遠距離無線通信態様による遠距離通信を行う(詳細は後述)。なお、遠距離無線通信態様が、各請求項記載の第2通信態様に相当する。また、遠距離通信が、第2端末間通信に相当する。
【0047】
遠距離用通信制御部108は、上記遠距離用アンテナ104を介し行われる端末間通信を制御する。
【0048】
通信切替部109は、タグ通信端末200との間で端末間通信を行うときに、上記近距離用アンテナ103及び近距離用通信制御部107と、上記遠距離用アンテナ104及び遠距離用通信制御部108とのうち、いずれを用いるかを選択的に切り替えることができる(詳細は後述)。
【0049】
なお、操作端末100に設けられた、上記近距離用アンテナ103、近距離用通信制御部107、遠距離用アンテナ104、遠距離用通信制御部108、及び通信切替部109により、端末通信手段としての端末通信部125が構成される。
また、その端末通信部125に含まれる、近距離用アンテナ103及び近距離用通信制御部107が第1端末通信手段として機能し、遠距離用アンテナ104及び遠距離用通信制御部108が第2端末通信手段として機能し、通信切替部109が端末通信切替手段として機能する。
【0050】
メモリ112は、例えばRAMやROM等から構成される。不揮発性記憶装置113は、ハードディスク装置やフラッシュメモリからなり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0051】
全体制御部110は、上記メモリ112内のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記不揮発性記憶装置113に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。これによって、全体制御部110は、操作端末100全体の各種制御を行う。
【0052】
バッテリ115は、上述した全体制御部110等に対し、必要な電力を供給する。
【0053】
一方、タグ通信端末200は、上記近距離用アンテナ203と、近距離用通信制御部207と、上記遠距離用アンテナ204と、遠距離用通信制御部208と、通信切替部209と、上記タグ通信用アンテナ206と、RF通信制御部211と、メモリ212と、不揮発性記憶装置213と、全体制御部210と、付与データ生成手段としての付与データ生成部214と、バッテリ215とを有している。
【0054】
近距離用アンテナ203は、操作端末100及びタグ通信端末200が互いに近接した状態(後述の図3に示す状態)である場合に、操作端末100側の近距離用アンテナ103との間で端末間通信を行う。具体的には、上記近距離無線通信態様による上記近距離通信を行う(詳細は後述)。
【0055】
近距離用通信制御部207は、上記近距離用アンテナ203を介し行われる端末間通信を制御する。
【0056】
遠距離用アンテナ204は、操作端末100及びタグ通信端末200が互いに遠ざかった状態(後述の図4に示す状態)である場合に、操作端末100側の遠距離用アンテナ104との間で端末間通信を行う。具体的には、上記遠距離無線通信態様による上記遠距離通信を行う(詳細は後述)。
【0057】
遠距離用通信制御部208は、上記遠距離用アンテナ204を介し行われる端末間通信を制御する。
【0058】
通信切替部209は、操作端末100との間で端末間通信を行うときに、上記近距離用アンテナ203及び近距離用通信制御部207と、上記遠距離用アンテナ204及び遠距離用通信制御部208とのうち、いずれを用いるかを選択的に切り替えることができる(詳細は後述)。
【0059】
なお、タグ通信端末200に設けられた、上記近距離用アンテナ203、近距離用通信制御部207、遠距離用アンテナ204、遠距離用通信制御部208、及び通信切替部209により、端末通信手段としての端末通信部225が構成される。また、その端末通信部225に含まれる、近距離用アンテナ203及び近距離用通信制御部207が第1端末通信手段として機能し、遠距離用アンテナ204及び遠距離用通信制御部208が第2端末通信手段として機能し、通信切替部209が端末通信切替手段として機能する。
【0060】
タグ通信用アンテナ206は、上述したように、上記所定の通信範囲内の無線タグTと無線通信を行う。無線タグTは、タグアンテナ151及びIC回路部150を備えた無線タグ回路部Toを有している。タグアンテナ151は、情報を送受信する。IC回路部150は、情報を記憶する図示しないメモリ部を備えている。
【0061】
RF通信制御部211は、上記タグ通信用アンテナ206を介し、無線タグTに設けられた無線タグ回路部ToのIC回路部150に記憶された情報へアクセスする。これにより、無線タグTのタグ識別情報としてのタグIDを取得する。なお、上記タグ通信用アンテナ206及びRF通信制御部211が、各請求項記載のタグ情報取得手段として機能する。
【0062】
メモリ212は、例えばRAMやROM等から構成される。不揮発性記憶装置213は、ハードディスク装置やフラッシュメモリからなり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0063】
全体制御部210は、上記メモリ212内のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記不揮発性記憶装置213に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。これによって、全体制御部210は、タグ通信端末200全体の各種制御を行う。
【0064】
付与データ生成部214は、上記タグ通信用アンテナ206及びRF通信制御部211を介し無線タグTよりタグIDが取得された場合に、当該取得されたタグIDに対応した、複数の付与データ(後述の図6参照)を生成する。
【0065】
バッテリ215は、上述した全体制御部210等に対し、必要な電力を供給する。
【0066】
以上のような基本構成において、本実施形態の最大の特徴は、端末通信部125,225が、タグ通信用アンテナ206を介し取得されたタグIDと、付与データ生成部214により生成された複数の付与データとのうち、少なくともタグIDを、送信情報としてタグ通信端末200から送信し操作端末100で受信すること、タグ通信端末200の全体制御部210が、端末間通信における通信速度が、速度区分「高速」「中速」「低速」(後述)のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定すること、及び、タグ通信端末200の全体制御部210が、その判定結果に対応して、タグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容を切り替えること、にある。
【0067】
まず、上記端末間通信における通信距離について説明する。
【0068】
通信距離とは、操作端末100とタグ通信端末200との間で端末間通信を実行可能な離隔距離である。前述したように、端末間では、上記近距離用アンテナ103,203等を用いた近距離無線通信態様、又は、上記遠距離用アンテナ104,204等を用いた遠距離用無線通信態様、により端末間通信が実行可能である。そして、これら近距離無線通信態様及び遠距離用無線通信態様では、互いに離隔距離は異なる。
【0069】
すなわち、上記近距離用アンテナ103,203等を用いた近距離無線通信態様の場合では、その近距離通信における通信距離は短い。但し、この近距離無線通信態様の場合では、その近距離通信における通信速度は速い。例えば、公知のTransferJet(登録商標)による近距離通信の場合には、通信距離は約3[cm]以内であり、通信速度は約560[Mbps]である。
【0070】
一方、遠距離用アンテナ104,204を用いた遠距離用無線通信態様の場合では、その遠距離通信における通信距離は比較的長い。但し、この遠距離用無線通信態様の場合では、その遠距離通信における通信速度は、一般的に、上記近距離無線通信態様による近距離通信における通信速度よりも遅い。例えば、公知のBluetooth(登録商標)による遠距離通信の場合には、通信距離は約10[m]以内であり、通信速度は約700[kbps]以下である。但し、このBluetooth(登録商標)による遠距離通信の場合、出力を高くすることにより、通信距離を約100[m]以内とし、通信速度を約3[Mbps]以下とすることができる。また、例えば、公知のZigBee(登録商標)による遠距離通信の場合には、通信距離は約10〜75[m]であり、通信速度は約20〜250[kbps]である。
【0071】
そして、上記通信切替部109,209は、端末間通信において、近距離用アンテナ103,203等、及び、遠距離用アンテナ104,204等のうち、いずれを用いるのか、言い換えれば、上記近距離通信及び遠距離通信のうち、いずれの通信を行うのか、を選択的に切り替えることができる。そして、上記端末通信部125,225は、通信切替部109,209により切り替えられた態様の通信を行い、上記タグ通信用アンテナ206を介し取得されたタグIDと、上記付与データ生成部214により生成された複数の付与データとのうち、少なくともタグIDを、送信情報としてタグ通信端末200から送信し操作端末100で受信するのである(詳細は後述)。なお、上記送信情報は、上記タグ通信用アンテナ206を介し取得されたタグIDと、上記付与データ生成部214により生成された複数の付与データとのうち、少なくともタグIDを含む情報である。
【0072】
ここで、リーダ1は、上述したように、タグ通信端末200が操作端末100に対し着脱可能に構成されている。以下、タグ通信端末200が操作端末100に取り付けられた状態、及び、タグ通信端末200が操作端末100から離隔された状態、における端末間通信について説明する。
【0073】
図3に、タグ通信端末200が操作端末100に取り付けられた状態のリーダ1の外観を示す。
【0074】
図3に示す例では、リーダ1は、タグ通信端末200側の2つのフック205が、操作端末100側の2つのフック孔105にそれぞれ係止されることにより、タグ通信端末200が操作端末100に取り付けられている。そして、上記近距離用アンテナ103,203等を用いた近距離無線通信態様により、端末間で近距離通信を行っている。ユーザは、この状態のリーダ1を、いわゆるハンドヘルドタイプの無線タグ通信装置として使用することができる。
【0075】
この図3に示す状態のリーダ1では、近距離用アンテナ103,203間の離隔距離は、前述した近距離通信における通信距離以内となっている。またこれとともに、遠距離用アンテナ104,204間の離隔距離も、前述した遠距離通信における通信距離以内となっている。本実施形態では、上記近距離通信及び遠距離通信の両方の通信が実行可能な場合には、近距離通信が遠距離通信よりも優先して実行される。
【0076】
図4を用いて、タグ通信端末200が操作端末100から離隔された状態のリーダ1の外観を説明する。
【0077】
図4に示す例では、リーダ1は、タグ通信端末200側の2つのフック205が、操作端末100側の2つのフック孔105から取り外されることにより、タグ通信端末200が操作端末100から離隔されている。そして、上記遠距離用アンテナ104,204等を用いた遠距離無線通信態様により、端末間で遠距離通信を行っている。ユーザは、この状態のリーダ1を、いわゆる遠隔操作タイプの無線タグ通信装置として使用することができる。
【0078】
この図4に示す状態のリーダ1では、近距離用アンテナ103,203間の離隔距離は、上記近距離通信における通信距離外となっている。また、遠距離用アンテナ104,204間の離隔距離は、上記遠距離通信における通信距離以内となっている。この場合には、上記近距離通信が実行不可能であるので、上記遠距離通信が実行される。
【0079】
なお、タグ通信端末200が操作端末100から離隔されている状態であっても、近距離用アンテナ103,203間の離隔距離が上記近距離通信における通信距離以内となる場合があってもよい。この場合には、当該近距離通信が優先的に実行される。
【0080】
図5を用いて、上記端末間通信における通信速度に関する速度区分について説明する。
【0081】
図5において、本実施形態では、上記端末間通信における通信速度S、言い換えれば、上記近距離通信又は遠距離通信における通信速度Sを、予め定められた2つの速度しきい値S1,S2により、3つの速度区分「高速」「中速」「低速」に区分している。なお、この速度しきい値S1及び速度しきい値S2の大小関係は、S1>S2である。
【0082】
すなわち、上記通信速度Sが速度しきい値S1よりも大きい区分、つまり、S>S1となる区分を、「高速」とする。例えば、S1=100[Mbps]とすると、S>100[Mbps]となる区分が「高速」である。
【0083】
また、上記通信速度Sが速度しきい値S1以下で、かつ、速度しきい値S2より大きい区分、つまり、S1≧S>S2となる区分を、「中速」とする。例えば、S1=100[Mbps]、S2=1[Mbps]とすると、100[Mbps]≧S>1[Mbps]となる区分が「中速」である。
【0084】
そして、上記通信速度Sが速度しきい値S2以下で、かつ、0より大きい区分、つまり、S2≧S>0となる区分を、「低速」とする。例えば、S2=1[Mbps]とすると、1[Mbps]≧S>0となる区分が「低速」である。なお、上記通信速度Sが0の状態とは、操作端末100とタグ通信端末200との間で端末間通信を行っていない状態である。
【0085】
なお、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、「高速」が各請求項記載の高速側の区分に相当し、「中速」及び「低速」が低速側の区分に相当する。
【0086】
図6を用いて、上記付与データ生成部214により生成された、複数の付与データの一例を説明する。
【0087】
図6において、タグ通信装置200の付与データ生成部214は、前述したように、上記タグ通信用アンテナ206を介し無線タグTよりタグIDが取得された場合に、当該取得されたタグIDに対応した複数の付与データを生成する。本実施形態においては、この図6に示すように、付与データ生成部214によって、10種類の付与データが生成される。この例では、10種類の付与データには、「応答信号受信時刻」「タグ読み取り信号送信から応答信号受信までの時間差」「電磁波送信強度」「電磁波受信強度」「電磁波送信方向」「タグ通信端末の向き情報」「タグ通信端末の位置情報」「偏波面方向」「通信周波数」「バッテリ残量」が含まれている。
【0088】
「応答信号受信時刻」は、タグ読み取り信号(後述)に応答した無線タグTからの応答信号(後述)がタグ通信用アンテナ206を介し受信された時刻に関するデータである。当該時刻は、タグ通信端末200に設けられたタイマ等の計時手段(図示せず)によって検出される。「タグ読み取り信号送信から応答信号受信までの時間差」は、タグ通信用アンテナ206を介し後述のタグ読み取り信号が送信されてから、タグ通信用アンテナ206を介し後述の応答信号が受信されるまでの時間差に関するデータである。当該時間差は、タグ通信端末200に設けられ上記計時手段によって計測される。
【0089】
「電磁波送信強度」は、タグ通信用アンテナ206を介し送信された、後述のタグ読み取り信号を含む電磁波の信号強度に関するデータである。「電磁波受信強度」は、タグ通信用アンテナ206を介し受信された、後述の応答信号を含む電磁波の信号強度に関するデータである。「電磁波送信方向」は、タグ通信用アンテナ206を介し送信された、後述のタグ読み取り信号を含む電磁波の送信方向に関するデータである。
【0090】
「タグ通信端末の向き情報」は、タグ通信端末200の向き情報に関するデータである。「タグ通信端末の位置情報」は、タグ通信端末200の位置情報に関するデータである。
【0091】
「偏波面方向」は、タグ通信用アンテナ206の偏波面に関するデータである。「通信周波数」は、タグ通信用アンテナ206が無線タグTとの無線通信のときに使用した周波数に関するデータである。
【0092】
「バッテリ残量」は、タグ通信端末200のバッテリ215の残量に関するデータである。
【0093】
なお、付与データ生成部214が生成する付与データとしては、この図6に示した10種類のデータに限られず、その他のデータを生成するようにしてもよい。
【0094】
図7を用いて、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」それぞれに対応した、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容の一例を説明する。
【0095】
図7において、本実施形態では、上記端末間通信における通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかによって、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される、前述した送信情報の内容を切り替えている。
【0096】
すなわち、通信速度Sが「高速」に該当する場合には、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID、及び、所定数としてのすべての種類、この例では10種類の付与データとする。
【0097】
また、通信速度Sが「中速」に該当する場合には、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID、及び、上記10種類よりも少ない数である4種類の付与データ、この例では「タグ応答受信時刻」「電磁波送信強度」「電磁波受信強度」「電磁波送信方向」とする。
【0098】
また、通信速度Sが「低速」に該当する場合には、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグIDのみとする。
【0099】
このように、通信速度Sの速度区分が「高速」→「中速」→「低速」になるにつれて、言い換えれば、通信速度Sが遅くなるにつれて、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される付与データの数を少なくしている。なお、通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当する場合であっても、タグIDは、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される。
【0100】
図8を用いて、操作端末100の全体制御部110が実行する、タグ通信端末200との接続に関する制御手順を説明する。
【0101】
図8において、例えばユーザにより、操作端末100の電源がオンにされることによって、図中「START」位置で表されるように、このフローが開始される。
【0102】
まずステップSC5で、全体制御部110は、通信切替部109に制御信号を出力し、近距離用通信制御部107に対し、通信を実行させるための制御信号を出力させる。これにより、近距離用通信制御部107は、近距離用アンテナ103を介し上記近距離通信により、タグ通信端末200との接続を実行する。
【0103】
その後、ステップSC10で、全体制御部110は、上記近距離通信によるタグ通信端末200との接続が成功したかどうかを判定する。例えば端末間の離隔距離が前述した近距離通信における通信距離外のため、上記近距離通信によるタグ通信端末200との接続が失敗した場合には、判定が満たされず、後述のステップSC25に移る。一方、例えば端末間の離隔距離が前述した近距離通信における通信距離以内のため、上記近距離通信によるタグ通信端末200との接続が成功した場合には、判定が満たされてステップSC15に移る。
【0104】
ステップSC15では、全体制御部110は、上記近距離通信によるタグ通信端末200との接続を維持させる。
【0105】
そして、ステップSC20に移り、全体制御部110は、上記近距離通信によるタグ通信端末200との接続が切断されたかどうかを判定する。例えば端末間の離隔距離が前述した近距離通信における通信距離以内を保っているため、上記近距離通信によるタグ通信端末200との接続が切断されていない場合には、判定が満たされず上記ステップSC15に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、例えば端末間の離隔距離が前述した近距離通信における通信距離外となったため、上記近距離通信によるタグ通信端末200との接続が切断された場合には、判定が満たされてステップSC25に移る。
【0106】
ステップSC25では、全体制御部110は、通信切替部109に制御信号を出力し、遠距離用通信制御部108に対し、通信を実行させるための制御信号を出力させる。これにより、遠距離用通信制御部108は、近距離用アンテナ104を介し上記遠距離通信により、タグ通信端末200との接続を実行する。
【0107】
その後、ステップSC30で、全体制御部110は、上記遠距離通信によるタグ通信端末200との接続が成功したかどうかを判定する。例えば端末間の離隔距離が前述した遠距離通信における通信距離外のため、上記遠距離通信によるタグ通信端末200との接続が失敗した場合には、判定が満たされず、後述のステップSC50に移る。一方、例えば端末間の離隔距離が前述した遠距離通信における通信距離以内のため、上記遠距離通信によるタグ通信端末200との接続が成功した場合には、判定が満たされてステップSC35に移る。
【0108】
ステップSC35では、全体制御部110は、上記遠距離通信によるタグ通信端末200との接続を維持させる。
【0109】
そして、ステップSC40に移り、全体制御部110は、上記近距離通信により、タグ通信端末200との接続が可能であるかどうかを判定する。近距離通信により、タグ通信端末200との接続が可能である場合には、判定が満たされて、上記ステップSC5に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、近距離通信により、タグ通信端末200との接続が不可能である場合には、判定が満たされず、ステップSC45に移る。
【0110】
ステップSC45では、全体制御部110は、上記遠距離通信によるタグ通信端末200との接続が切断されたかどうかを判定する。例えば端末間の離隔距離が前述した遠距離通信における通信距離以内を保っているため、上記遠距離通信によるタグ通信端末200との接続が切断されていない場合には、判定が満たされず上記ステップSC35に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、例えば端末間の離隔距離が前述した遠距離通信における通信距離外となったため、上記遠距離通信によるタグ通信端末200との接続が切断された場合には、判定が満たされてステップSC50に移る。
【0111】
ステップSC50では、全体制御部110は、表示部102に制御信号を出力し、タグ通信端末200との接続ができない旨のエラー表示を表示させる。なお、図示しない音発生部により音で報知させるようにしてもよい。その後、このフローを終了する。
【0112】
なお、操作端末100の全体制御部110が、上記図8に示すタグ通信端末200との接続に関する制御手順を実行するのではなく、タグ通信端末200の全体制御部210が、操作端末100との接続に関する制御手順(図示及び説明は省略)を実行するようにしてもよい。
【0113】
図9を用いて、上記図8に示す制御手順と並行して、操作端末100の全体制御部110が実行する制御手順を説明する。なお、図8及び図9に示す各制御手順は、操作端末100の全体制御部110によって、例えばコンピュータのOS等でしばしば行われる「マルチタスク処理」と同様の公知の手法により、同時並行処理される。
【0114】
図9において、例えばユーザにより、操作端末100の電源がオンにされることによって、図中「START」位置で表されるように、このフローが開始される。
【0115】
まずステップSC100で、全体制御部110は、操作ボタン101を介し、無線タグTとの無線通信を開始させる、所定の開始操作が行われたかどうかを判定する。開始操作が行われるまで判定が満たされず、ループして待機し、開始操作が行われたら判定が満たされて、ステップSC105に移る。
【0116】
ステップSC105では、全体制御部110は、無線タグTとの通信を開始させるための開始信号を、端末通信部125を介し近距離通信又は遠距離通信により、タグ通信端末200へ送信する。具体的には、上記開始信号を、近距離用通信制御部107及び近距離用アンテナ103と、遠距離用通信制御部108及び遠距離用アンテナ104とのうち、この時点において通信切替部109により切り替えられている方を介し、言い換えれば、この時点で接続されている通信により、タグ通信端末200へ送信する。
【0117】
その後、ステップSC110で、全体制御部110は、後述の図10のステップST30でタグ通信端末200側の端末通信部225より送信された、前述した送信情報を、端末通信部125を介し近距離通信又は遠距離通信により受信したかどうかを判定する。送信情報を受信していない場合には、判定が満たされず、後述のステップSC120に移る。一方、送信情報を受信した場合には、判定が満たされてステップSC115に移る。
【0118】
ステップSC115では、全体制御部110は、上記受信された送信情報を、不揮発性記憶装置113に記憶させる。また、これとともに、上記受信された送信情報に含まれる所定の情報、例えば前述した「バッテリ残量」(図6参照)を、表示部102に表示させる。
【0119】
そして、ステップSC120に移り、全体制御部110は、操作ボタン101を介し、無線タグTとの無線通信を終了させる、所定の終了操作が行われたかどうかを判定する。終了操作が行われるまで判定が満たされず、上記ステップSC110に戻り、同様の手順を繰り返す。そして、終了操作が行われたら判定が満たされて、ステップSC125に移る。
【0120】
ステップSC125では、全体制御部110は、無線タグTとの通信を終了させるための終了信号を、端末通信部125を介し近距離通信又は遠距離通信により、タグ通信端末200へ送信する。具体的には、上記終了信号を、近距離用通信制御部107及び近距離用アンテナ103と、遠距離用通信制御部108及び遠距離用アンテナ104とのうち、この時点において通信切替部109により切り替えられている方を介し、言い換えれば、この時点で接続されている通信により、タグ通信端末200へ送信する。その後、このフローを終了する。
【0121】
図10を用いて、タグ通信端末200の全体制御部210が実行する制御手順を説明する。
【0122】
図10において、例えばユーザにより、タグ通信端末200の電源がオンにされることによって、図中「START」位置で表されるように、このフローが開始される。
【0123】
まずステップST5で、全体制御部210は、上記図9のステップSC105で操作端末100側の端末通信部125より送信された、無線タグTとの通信を開始させるための開始信号を、端末通信部225を介し近距離通信又は遠距離通信により受信したかどうかを判定する。開始信号を受信するまで判定が満たされず、ループして待機し、開始信号を受信したら、判定が満たされてステップST10に移る。
【0124】
ステップST10では、全体制御部210は、RF通信制御部211に制御信号を出力し、無線タグTの無線タグ回路部Toに記憶された情報を読み出すためのタグ読み取り信号を生成する。そして、RF通信制御部211は、その生成したタグ読み取り信号を、タグ通信用アンテナ206を介し、上記通信範囲に存在する無線タグ回路部Toに送信し、返信を促す。
【0125】
その後、ステップST15で、全体制御部210は、上記タグ読み取り信号に対応し通信範囲内の無線タグTの無線タグ回路部Toから返信された応答信号を、タグ通信用アンテナ206及びRF通信制御部211を介し受信したかどうかを判定する。応答信号を受信しない場合には、判定が満たされず、上記ステップST10に戻り、再び上記タグ読み取り信号の送信を繰り返す(以下適宜、「リトライ」と称する)。なお、この図10では図示を省略しているが、上記リトライは予め定められた設定回数だけ行われ、その間に応答信号を受信しない場合には、後述のステップST40に移る。一方、応答信号を受信した場合には、判定が満たされてステップST20に移る。
【0126】
ステップST20では、全体制御部210は、上記受信された応答信号より、無線タグTの無線タグ回路部Toに記憶されたタグIDを抽出して取得する。
【0127】
そして、ステップST25に移り、全体制御部210は、付与データ生成部214に制御信号を出力し、上記ステップST20で取得されたタグIDに対応した10種類の付与データ(図6参照)を生成させる。
【0128】
その後、ステップST100で、全体制御部210は、端末通信部225によりタグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容の切り替えを行う、送信内容切替処理を実行する。なお、この詳細内容については、後述の図11で説明する。
【0129】
そして、ステップST30に移り、全体制御部210は、上記ステップST100での切り替えに沿って、上記ステップST20でタグ通信用アンテナ206等を介し取得されたタグID、及び、上記ステップST25で付与データ生成部214により生成された10種類の付与データのうち、少なくともタグIDを、送信情報として端末通信部225を介し近距離通信又は遠距離通信により、操作端末100へ送信する。具体的には、上記送信情報を、近距離用通信制御部207及び近距離用アンテナ203と、遠距離用通信制御部208及び遠距離用アンテナ204とのうち、この時点において通信切替部209により切り替えられている方を介し、言い換えれば、この時点で接続されている通信により、操作端末100へ送信する。
【0130】
その後、ステップST40に移り、全体制御部210は、上記図9のステップSC125で操作端末100側の端末通信部125より送信された無線タグTとの通信を終了させるための終了信号を、端末通信部225を介し近距離通信又は遠距離通信により受信したかどうかを判定する。終了信号を受信するまで判定が満たされず、上記ステップST10に戻り、同様の手順を繰り返す。そして、終了信号を受信したら、判定が満たされて、このフローを終了する。
【0131】
図11を用いて、上記図10のステップST100の詳細手順を説明する。
【0132】
図11において、まずステップST110で、全体制御部210は、この時点で接続されている端末間通信、すなわち、上記近距離通信又は遠距離通信における通信速度Sを検出する。
【0133】
その後、ステップST115で、全体制御部210は、上記ステップST110で検出された通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定する。このステップが、各請求項記載の通信速度判定手段として機能する。
【0134】
上記ステップST115で通信速度Sが「高速」に該当すると判定された場合には、ステップST120に移る。そして、ステップST120で、全体制御部210は、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID及び10種類の付与データとする。その後、このルーチンを終了する。
【0135】
また、上記ステップST115で通信速度Sが「中速」に該当すると判定された場合には、ステップST125に移る。そして、ステップST125で、全体制御部210は、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID及び4種類の付与データとする。その後、このルーチンを終了する。
【0136】
また、上記ステップST115で通信速度Sが「低速」に該当すると判定された場合には、ステップST130に移る。そして、ステップST130で、全体制御部210は、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグIDのみとする。その後、このルーチンを終了する。
【0137】
このように、上記ステップST115で通信速度Sが上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたかに対応して、ステップST120、ステップST125、及びステップST130において、全体制御部210は、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容を切り替える。これらステップST120、ステップST125、及びステップST130が、各請求項記載の情報切替手段として機能する。
【0138】
なお、操作端末100の全体制御部110が、上記ステップST115に相当する処理、すなわち、端末間通信における通信速度Sが上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかの判定を行うようにしてもよい。
【0139】
以上説明したように、本実施形態のリーダ1は、操作端末100及びタグ通信端末200を有している。そして、これら操作端末100及びタグ通信端末200は、互いに着脱自在に構成されている。これにより、操作端末100をユーザが操作しやすい状態に配置するとともに、タグ通信端末200は無線タグTと通信しやすい場所に配置することができる。この結果、ユーザの利便性を向上することができる。
【0140】
また、上記のように、リーダ1が、別体である操作端末100及びタグ通信端末200により構成された場合、それら操作端末100とタグ通信端末200との間で信号の授受を行う必要がある。特に、タグ通信端末200側で無線タグTとの通信が行われた際には、無線タグTの情報読み取り結果を、タグ通信端末200から操作端末100へ送信する必要がある。
【0141】
すなわち、本実施形態においては、タグ通信端末200のタグ通信用アンテナ206を介し、無線タグTの無線タグ回路部Toに記憶されたタグIDを無線通信により取得する(図10のステップST20を参照)。そして、この取得されたタグIDに対応して、タグ通信端末200の付与データ生成部214が、上記情報読み取り結果に関する10種類の付与データを生成する(図10のステップST25を参照)。その後、操作端末100の端末通信部125と、タグ通信端末200の端末通信部225との間で端末間通信が行われ、タグ通信端末200から操作端末100へとタグIDや付与データの送信が行われる(図10のステップST30を参照)。
【0142】
このとき、本実施形態では、上記送信におけるデータ量を最適に調整するため、上記図11のステップST115、ステップST120、ステップST125、及びステップST130が設けられている。すなわち、タグ通信端末200の全体制御部210は、端末間通信における通信速度Sが上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの区分であるかどうかを判定する(ステップST115を参照)。そして、上記通信速度Sの判定結果に応じ、端末間通信によりタグ通信端末200から操作端末100へ送信される、前述した送信情報の内容を切り替える(ステップST120、ステップST125、及びステップST130を参照)。これにより、無線タグTの情報読み取り結果に関する情報を、タグ通信端末200から操作端末100側へと確実に遅滞なく送信することができる。
【0143】
また、本実施形態では特に、端末間通信における通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」に含まれる「高速」に該当するか、「中速」及び「低速」に該当するか、を判定する。そして、通信速度Sが「高速」に該当すると判定された場合には、タグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容を、所定数の、上記の例では生成されたすべての付与データ、及び、タグIDとする。また、通信速度Sが「中速」に該当すると判定された場合には、タグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容を、上記所定数よりも少ない数の、上記の例では4種類の付与データ及びタグIDとする。また、通信速度Sが「低速」に該当すると判定された場合には、タグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容を、タグIDのみとする。
【0144】
これにより、端末間通信の通信速度Sが速い場合にはタグIDと多数の付与データとを送信することで、操作端末100がより詳細な情報を取得することができる。端末間通信の通信速度Sが遅い場合にはタグIDと少数の付与データ、若しくは、タグIDのみを送信することで、通信バッファオーバーフローを防止し、リアルタイム性を確保することができる。以上のようにして、無線タグTの情報読み取り結果に関する情報を、タグ通信端末200から操作端末100側へと確実に遅滞なく送信することができる。
【0145】
また、本実施形態では特に、操作端末100の端末通信部125は、近距離通信用アンテナ103等と、遠距離通信用アンテナ104等と、通信切替部109とを含んでいる。また、タグ通信端末200の端末通信部225は、近距離通信用アンテナ203等と、遠距離通信用アンテナ204等と、通信切替部209とを含んでいる。そして、上記近距離通信又は遠距離通信における通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定する。
【0146】
これにより、操作端末100とタグ通信端末200との間で種々の態様の通信が切り替えて実行される場合であっても、各態様における通信速度Sに対応して、無線タグTの情報読み取り結果に関する情報を確実に遅滞なく送信することができる。したがって、互いに着脱自在な操作端末100及びタグ通信端末200を、互いに接近させた状態や互いに遠ざけた状態で確実に使用することができる。
【0147】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0148】
(1)通信速度、及び、タグIDの最大取得数の両方に対応して、操作端末へ送信される送信情報の内容を切り替える場合
上記実施形態においては、端末間通信における通信速度Sに対応して、タグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容を切り替えていたが、これに限られない。すなわち、端末間通信における通信速度S、及び、タグ通信用アンテナ206による単位時間当たりのタグIDの最大取得数、の両方に対応して、タグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容を切り替えるようにしてもよい。
【0149】
ここで、本変形例において、操作端末100の全体制御部110が実行する制御手順は、前述の図8及び図9と同様である。また、タグ通信端末200の全体制御部210が実行する制御手順において前述の図10と異なる点は、ステップST100であり、その他の手順は前述の図10の各手順と同様である。以下、図12を用いて、本変形例におけるステップST100の詳細手順を説明する。なお、この図12は、前述の図11に対応する図である。図11と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0150】
図12において、前述の図11と異なる点は、ステップST102、ステップST104、ステップST105、ステップST106、ステップST108、ステップST117、及びステップST122を、新たに設けた点である。
【0151】
すなわち、まず新たに設けたステップST102で、全体制御部210は、後述するフラグFcを0に初期化する。
【0152】
その後、新たに設けたステップST104で、全体制御部210は、タグ通信用アンテナ206及びRF通信制御部211による無線タグTとの無線通信速度(以下適宜、「タグ通信速度」と称する)を検出する。
【0153】
そして、新たに設けたステップST105に移り、全体制御部210は、上記ステップST104で検出されたタグ通信速度に基づき、タグ通信用アンテナ206及びRF通信制御部211による単位時間あたりのタグIDの最大取得数Cを算出する。なお、予め、タグ通信速度と、上記単位時間あたりのタグIDの最大取得数Cとを対応付けて不揮発性記憶装置213に記憶させておいてもよい。この場合、全体制御部210は、このステップST105で、上記ステップST104で検出されたタグ通信速度に基づき、対応する上記タグIDの最大取得数Cを、不揮発性記憶装置213から取得すればよい。
【0154】
その後、新たに設けたステップST106で、全体制御部210は、上記ステップST105で算出された、上記単位時間あたりのタグIDの最大取得数Cが、所定のタグ数しきい値C1、例えば100[個/s]以上であるかどうかを判定する。このステップが、タグ通信判定手段として機能する。C<C1である場合には、判定が満たされず、後述のステップST110に移る。一方、C≧C1である場合には、判定が満たされて、新たに設けたステップST108に移る。
【0155】
ステップST108では、全体制御部210は、C≧C1であることを表すフラグFcを1とする。
【0156】
その後のステップST110及びステップST115は、前述の図11と同様であり、この時点で接続されている上記近距離通信又は遠距離通信における通信速度Sを検出し、通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定する。
【0157】
上記ステップST115で通信速度Sが「高速」に該当すると判定された場合には、新たに設けたステップST117に移る。そして、ステップST117で、全体制御部210は、上記フラグFcが0であるかどうかを判定する。Fc=1である場合には、判定が満たされずステップST125に移る。一方、Fc=0である場合には、判定が満たされてステップST120に移る。
【0158】
ステップST120は、前述の図11と同様であり、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID及び10種類の付与データとする。その後、このルーチンを終了する。
【0159】
また、上記ステップST115で通信速度Sが「中速」に該当すると判定された場合には、新たに設けたステップST122に移る。そして、ステップST122で、全体制御部210は、上記フラグFcが0であるかどうかを判定する。Fc=1である場合には、判定が満たされずステップST130に移る。一方、Fc=0である場合には、判定が満たされてステップST125に移る。
【0160】
ステップST125は、前述の図11と同様であり、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID及び4種類の付与データとする。その後、このルーチンを終了する。
【0161】
また、上記ステップST115で通信速度Sが「低速」に該当すると判定された場合には、ステップST130に移る。ステップST130は、前述の図11と同様であり、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグIDのみとする。その後、このルーチンを終了する。
【0162】
このように、上記ステップST115で通信速度Sが上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたか、及び、ステップST106でC≧C1であると判定されたか、の両方に対応して、ステップST120、ステップST125、及びステップST130において、全体制御部210は、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容を切り替える。本変形例においても、ステップST120、ステップST125、及びステップST130が、各請求項記載の情報切替手段として機能する。
【0163】
すなわち、「高速」かつC<C1である場合には、ステップST120で、操作端末100へと送信される送信情報の内容が、タグID及び10種類の付与データと決定される。一方、「高速」かつC≧C1である場合には、ステップST125で、操作端末100へと送信される送信情報の内容が、タグID及び4種類の付与データと決定される。すなわち、「高速」かつC≧C1である場合は、操作端末100へと送信される送信情報に含まれる付与データの数が、「高速」かつC<C1である場合よりも少なくなるように決定される。
【0164】
また、「中速」かつC<C1である場合には、ステップST125で、操作端末100へと送信される送信情報の内容が、タグID及び4種類の付与データと決定される。一方、「中速」かつC≧C1である場合には、ステップST130で、操作端末100へと送信される送信情報の内容が、タグIDのみと決定される。すなわち、「中速」かつC≧C1である場合は、操作端末100へと送信される送信情報に含まれる付与データの数が、「中速」かつC<C1である場合よりも少なくなるように決定される。
【0165】
本変形例においては、タグ通信用アンテナ206等による単位時間あたりのタグIDの最大取得数Cが、上記タグ数しきい値C1以上であるかどうかを判定する。そして、端末間通信における通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたか、及び、C≧C1であると判定されたか、の両方に対応して、タグ通信端末200から操作端末100へと送信される送信情報の内容を切り替える。これにより、無線タグTのタグIDが数多く取得された場合には、端末間通信による操作端末100へのデータ量を低減して、通信バッファオーバーフローを防止し、リアルタイム性を確保することができる。
【0166】
(2)通信速度に対応して、タグ通信速度を変更する場合
すなわち、端末間通信における通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかに対応して、上記タグ通信速度を変更するようにしてもよい。
【0167】
ここで、本変形例において、操作端末100の全体制御部110が実行する制御手順は、前述の図8及び図9と同様である。また、タグ通信端末200の全体制御部210が実行する制御手順において前述の図10と異なる点は、ステップST100であり、その他の手順は前述の図10の各手順と同様である。以下、図13を用いて、本変形例におけるステップST100の詳細手順を説明する。なお、この図13は、前述の図11及び図12に対応する図である。図11と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0168】
図13において、前述の図11と異なる点は、ステップST122、ステップST127、及びステップST132を、新たに設けた点である。すなわち、ステップST110及びステップST115は前述の図11と同様であり、ステップST115で、通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定する。
【0169】
上記ステップST115で通信速度Sが「高速」に該当すると判定された場合には、ステップST120に移る。ステップST120は、前述の図11と同様であり、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID及び10種類の付与データとする。その後、新たに設けたステップST122に移る。
【0170】
ステップST122では、全体制御部210は、RF通信制御部211に制御信号を出力し、上記タグ通信速度を、予め定められたタグ通信速度の最大速度、言い換えれば、初期値に設定させる。そして、このルーチンを終了する。
【0171】
また、上記ステップST115で通信速度Sが「中速」に該当すると判定された場合には、ステップST125に移る。ステップST125は、前述の図11と同様であり、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID及び4種類の付与データとする。その後、新たに設けたステップST127に移る。
【0172】
ステップST127では、全体制御部210は、RF通信制御部211に制御信号を出力し、上記タグ通信速度を変更させる。この例では、タグ通信速度を、上記タグ通信速度の最大速度の2分の1とさせる。そして、ルーチンを終了する。
【0173】
また、上記ステップST115で通信速度Sが「低速」に該当すると判定された場合には、ステップST130に移る。ステップST130は、前述の図11と同様であり、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグIDのみとする。その後、新たに設けたステップST132に移る。
【0174】
ステップST132では、全体制御部210は、RF通信制御部211に制御信号を出力し、上記タグ通信速度を変更させる。この例では、タグ通信速度を、上記タグ通信速度の最大速度の5分の1とさせる。そして、ルーチンを終了する。
【0175】
なお、上記ステップST122、ステップST127、及びステップST132が、各請求項記載のタグ通信制御手段として機能する。
【0176】
本変形例においては、端末間通信における通信速度Sが、上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたかに対応して、上記タグ通信速度を変更する。これにより、端末間通信における通信速度Sが遅い場合には、タグ通信速度を遅くし無線タグTから取得するデータ量を低減することができる。この結果、端末間通信でのデータ量過大を防止し、通信の円滑性が損なわれるのを回避することができる。
【0177】
(3)通信切替中はタグID及び付与データをメモリに記憶し、切替完了後に送信する場合
すなわち、タグ通信端末200の通信切替部209による切り替えが実行中である場合には、タグ通信用アンテナ206を介し取得されたタグIDと、付与データ生成部214により生成された付与データとを、メモリ212に記憶させる。そして、通信切替部209による切り替えが完了したら、メモリ212よりタグID及び付与データを読み出して、タグ通信端末200から操作端末100への情報送信を行うようにしてもよい。
【0178】
ここで、本変形例において、操作端末100の全体制御部110が実行する制御手順は、前述の図8及び図9と同様である。以下、図14を用いて、本変形例において、タグ通信端末200の全体制御部210が実行する制御手順を説明する。なお、この図14は、前述の図10に対応する図である。図10と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0179】
図14において、まずステップST2で、全体制御部210は、後述するフラグFmを0に初期化する。
【0180】
その後のステップST5〜ステップST25は、前述の図10と同様である。すなわち、ステップST25で、10種類の付与データを生成させたら、ステップST27に移る。
【0181】
ステップST27では、全体制御部210は、通信切替部209による、近距離用通信制御部207及び近距離用アンテナ203と、遠距離用通信制御部208及び遠距離用アンテナ204とのうち、いずれを用いるかの切り替え状況を判定する。このステップが、各請求項記載の切替判定手段として機能する。上記通信切替部209による切り替えが実行中であると判定された場合には、ステップST28に移る。
【0182】
ステップST28では、全体制御部210は、前述のステップST20でタグ通信用アンテナ206を介し取得されたタグID、及び、前述のステップST25で付与データ生成部214により生成された付与データを、メモリ212に記憶させる。なお、本変形例では、メモリ212が、各請求項記載のデータ記憶手段として機能する。
【0183】
そして、ステップST29に移り、全体制御部210は、タグID及び付与データがメモリ212に記憶されていることを表すフラグFmを1とする。その後、上記ステップST27に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0184】
一方、上記ステップST27において、上記通信切替部209による切り替えが完了したと判定された場合には、ステップST100に移る。
【0185】
その後のステップST100及びステップST30は、前述の図10と同様である。すなわち、ステップST30で、送信情報を操作端末100へ送信したら、ステップST32に移る。
【0186】
ステップST32では、全体制御部210は、上記フラグFmが1であるかどうかを判定する。Fm=0である場合には、判定が満たされず、後述のステップST40に移る。一方、Fm=1である場合には、判定が満たされてステップST34に移る。
【0187】
ステップST34では、全体制御部210は、近距離用通信制御部207及び近距離用アンテナ203、又は、遠距離用通信制御部208及び遠距離用アンテナ204により行われている、上記近距離通信又は遠距離通信での通信データ量Dを検出する。
【0188】
そして、ステップST35に移り、全体制御部210は、上記ステップST34で検出された通信データ量Dが、予め通信速度Sの大小に対応付けて定められたデータ量しきい値D1以下かどうかを判定する。このステップが、各請求項記載のデータ量判定手段として機能する。D>D1である場合には、判定が満たされず、後述のステップST40に移る。一方、D≦D1である場合には、判定が満たされてステップST36に移る。
【0189】
ステップST36では、全体制御部210は、上記ステップST28でメモリ212に記憶されたタグID及び付与データを読み出す。このステップが、各請求項記載のデータ読み出し手段として機能する。
【0190】
その後、ステップST38で、全体制御部210は、上記ステップST36で読み出されたタグID及び付与データを用い、前述のステップST100での切り替えに沿って、端末通信部225を介し近距離通信又は遠距離通信により、操作端末100への情報送信を行う。具体的には、近距離用通信制御部207及び近距離用アンテナ203と、遠距離用通信制御部208及び遠距離用アンテナ204とのうち、この時点において通信切替部209により切り替えられている方を介し、言い換えれば、この時点で接続されている通信により、操作端末100への情報送信を行う。
【0191】
その後のステップST40は、前述の図10と同様であるので、説明を省略する。
【0192】
なお、操作端末100の全体制御部110が、上記ステップST27に相当する処理、すなわち、通信切替部109による、近距離用通信制御部107及び近距離用アンテナ103と、遠距離用通信制御部108及び遠距離用アンテナ104とのうち、いずれを用いるかの切り替え状況の判定を行うようにしてもよい。また、操作端末100の全体制御部110が、上記ステップST35に相当する処理、すなわち、近距離通信又は遠距離通信での通信データ量Dが、予め通信速度Sの大小に対応付けて定められたデータ量しきい値D1以下かどうかの判定を行うようにしてもよい。
【0193】
本変形例においては、タグ通信端末200の全体制御部210は、通信切替部209による上記切り替え状況を判定する。このとき、通信切替部209による切り替えが実行中であると判定された場合、タグ通信端末200のメモリ212は、タグ通信用アンテナ206を介し取得されたタグIDと、付与データ生成部214により生成された付与データとを記憶する。そして、通信切替部209による切り替えが完了したと判定された場合、タグ通信端末200の全体制御部210は、上記メモリ212に記憶されたタグID及び付与データを読み出す。そして、通信切替部209により切り替えられた、近距離用通信制御部207及び近距離用アンテナ203、又は、遠距離用通信制御部208及び遠距離用アンテナ204は、上記メモリ212より読み出されたタグID及び付与データを用い、タグ通信端末200から操作端末100への情報送信を行う。これにより、端末間通信の態様を切り替えている間における、タグ通信用アンテナ206を介した無線タグTの読み取り結果についても、漏らさず確実にタグ通信端末200から操作端末100へ送信することができる。
【0194】
また特に、タグ通信端末200の全体制御部210は、上記近距離通信又は遠距離通信での通信データ量Dが、上記データ量しきい値D1以下かどうかを判定する。そして、通信切替部209により切り替えられた、近距離用通信制御部207及び近距離用アンテナ203、又は、遠距離用通信制御部208及び遠距離用アンテナ204は、D≦D1であると判定された場合に、上記メモリ212より読み出されたタグID及び付与データを用い、タグ通信端末200から操作端末100への情報送信を行う。これにより、端末間通信の態様を切り替えている間における、タグ通信用アンテナ206を介した無線タグTの読み取り結果を、現在実行している端末間通信でのデータ送信のリアルタイム性を損なうことなく、漏らさず確実に操作端末100へ送信することができる。
【0195】
(4)優先順位が上位である付与データを優先的に操作端末へ送信する場合
すなわち、タグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容の切り替える場合に、当該送信される送信情報の内容に、順位情報が上位である種類の付与データが優先的して含まれるように、切り替えを行うようにしてもよい。
【0196】
本変形例においては、タグ通信端末200の不揮発性記憶装置213に、順位記憶手段としての優先順位データベース2130(後述の図15参照)が記憶されている。この優先順位データベース2130は、予め、前述した10種類の付与データ(図6参照)の種類別にそれぞれ設定された順位情報を記憶する。
【0197】
以下、図15を用いて、優先順位データベース2130の記憶内容の一例を概念的に説明する。
【0198】
図15に示すように、優先順位データベース2130では、10種類の付与データの種類別に、順位情報が設定されている。この例では、「応答信号受信時刻」は1位、「タグ読み取り信号送信から応答信号受信までの時間差」は2位、「電磁波送信強度」は3位、「電磁波受信強度」は4位、「電磁波送信方向」は5位、「タグ通信端末の向き情報」は6位、「タグ通信端末の位置情報」は7位、「偏波面方向」は8位、「通信周波数」は9位、「バッテリ残量」は10位、とそれぞれ順位情報が設定されている。
【0199】
ここで、例えば、端末間通信における通信速度Sが「中速」に該当し、4種類の付与データを含むようにタグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容が、切り替えられる場合がある。本変形例では、この場合に、当該送信される送信情報の内容に、上記優先順位データベース2130に記憶された順位情報が上位である種類の、具体的には、1位〜4位である種類の付与データが優先して含まれるように、切り替えが行われる。
【0200】
ここで、本変形例において、操作端末100の全体制御部110が実行する制御手順は、前述の図8及び図9と同様である。また、タグ通信端末200の全体制御部210が実行する制御手順において前述の図10と異なる点は、ステップST100であり、その他の手順は前述の図10の各手順と同様である。以下、図16を用いて、本変形例におけるステップST100の詳細手順を説明する。なお、この図16は、前述の図11、図12、及び図13に対応する図である。図11と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0201】
図16において、前述の図11と異なる点は、ステップST125に代えてステップST125′を設けた点である。すなわち、前述のステップST115で通信速度Sが「中速」に該当すると判定された場合には、ステップST125に代えて設けたステップST125′に移る。
【0202】
ステップST125′では、全体制御部210は、操作端末100へと送信される送信情報の内容を、タグID、及び、上記優先順位データベース2130において記憶された順位情報が1位〜4位である4種類の付与データとする。このステップも、各請求項記載の情報切替手段として機能する。その後、このルーチンを終了する。
【0203】
本変形例においては、タグ通信端末200の優先順位データベース2130には、予め10種類の付与データの種類別にそれぞれ設定された順位情報が記憶されている。そして、少なくとも1つの付与データを含むようにタグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容を切り替える場合に、当該送信される送信情報の内容に、上記優先順位データベース2130において記憶された順位情報が上位である種類の付与データが優先して含まれるように、切り替えを行う。これにより、用途や好みに基づきユーザが重要視する種類の付与データを、それ以外の種類の付与データよりも優先して操作端末100で取得することができる。
【0204】
(5)端末通信部の通信パラメータに対応して、操作端末へ送信される送信情報の内容を切り替える場合
すなわち、端末通信部における通信パラメータ、例えば使用しているバージョンの違いや電波強度の強弱等に基づき、端末間通信における通信速度Sを検出する。そして、その通信速度Sに対応して、タグ通信端末200から操作端末100へ送信される送信情報の内容を切り替えるようにしてもよい。
【0205】
図17を用いて、本変形例におけるリーダ1の機能的構成を説明する。なお、この図17は、前述の図2に対応する図である。図2と同等の部分には同符号を付し説明を省略する。
【0206】
図17において、本変形例のリーダ1の操作端末100は、操作ボタン101と、表示部102と、メモリ112と、不揮発性記憶装置113と、全体制御部110と、バッテリ115と、アンテナ120と、通信制御部121とを有している。
【0207】
上記操作ボタン101、表示部102、メモリ112、不揮発性記憶装置113、全体制御部110、及びバッテリ115の機能的構成は、前述の図2と同様である。
【0208】
アンテナ120は、タグ通信端末200側のアンテナ220(後述)との間で端末間通信を行う。通信制御部121は、上記アンテナ120を介し行われる端末間通信を制御する。なお、操作端末100に設けられた、これらアンテナ120及び通信制御部121により、端末通信手段としての端末通信部125′が構成される。
【0209】
一方、本変形例のリーダ1のタグ通信端末200は、タグ通信用アンテナ206と、RF通信制御部211と、メモリ212と、不揮発性記憶装置213と、全体制御部210と、付与データ生成部214と、バッテリ215と、アンテナ220と、通信制御部221とを有している。
【0210】
上記タグ通信用アンテナ206、RF通信制御部211、メモリ212、不揮発性記憶装置213、全体制御部210、付与データ生成部214、及びバッテリ215の機能的構成は、前述の図2と同様である。
【0211】
アンテナ220は、操作端末100側の上記アンテナ120との間で端末間通信を行う。通信制御部221は、上記アンテナ220を介し行われる端末間通信を制御する。なお、タグ通信端末200に設けられた、これらアンテナ220及び通信制御部221により、端末通信手段としての端末通信部225′が構成される。
【0212】
本変形例においては、上記端末通信部125′,225′は、所定の態様(後述)により端末間通信を行う。そして、上記タグ通信用アンテナ206を介し取得されたタグID、及び、上記付与データ生成部214により生成された上記10種類の付与データのうち、少なくともタグIDを、送信情報としてタグ通信端末200から操作端末100へと送信する。このとき、全体制御部110又は全体制御部210は、端末通信部125′,225′における通信パラメータに基づき、端末間通信における通信速度Sを検出する。
【0213】
ここで、例えば、端末通信部125′,225′が、公知のBluetooth(登録商標)により端末間通信を行う場合を考える。Bluetooth(登録商標)には、端末間通信における通信速度Sが互いに異なる、複数の「バージョン」が存在する。例えば、バージョンとしては、「1.x」、「2.x」、「2.x+EDR」等がある。
【0214】
また、各バージョンでは、「非対称型通信方式」及び「対照型通信方式」の2つの通信方式を選択的に切り替えて通信を行うことができる。非対称型通信方式は、下り及び上りにおける通信速度Sが互いに異なる通信方式である。対照型通信方式は、下り及び上りにおける通信速度Sが互いに同一である通信方式である。
【0215】
このように、端末通信部125′,225′が、Bluetooth(登録商標)により端末間通信を行う場合には、全体制御部110又は全体制御部210は、通信パラメータである、端末間通信に使用しているバージョン情報と当該バージョンでの通信方式とを検出する。そして、その検出結果に基づき、端末間通信における通信速度Sを検出する。その後は、上記実施形態と同様に、当該通信速度Sが上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定し、その判定結果に対応して、操作端末100へと送信される送信情報の内容を切り替える。これにより、タグ通信端末200の端末通信部225′は、当該送信される送信情報の内容の切り替えに沿って、操作端末100へ情報送信を行う。
【0216】
また、例えば、端末通信部125′,225′が、公知の無線LANにより端末間通信を行う場合を考える。無線LANでは、端末間通信において送受信される電波の強度によって、通信速度Sが変化する。一般的に、電波強度が強いほど通信速度Sは大きくなり、逆に、電波強度が弱いほど通信速度Sは小さくなる。
【0217】
このように、端末通信部125′,225′が、無線LANにより端末間通信を行う場合には、全体制御部110又は全体制御部210は、通信パラメータである、端末間通信において送受信される電波の強度を検出する。そして、その検出結果に基づき、端末間通信における通信速度Sを検出する。その後は、上記実施形態と同様に、当該通信速度Sが上記3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定し、その判定結果に対応して、操作端末100へと送信される送信情報の内容を切り替える。これにより、タグ通信端末200の端末通信部225′は、当該送信される送信情報の内容の切り替えに沿って、操作端末100へ情報送信を行う。
【0218】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0219】
なお、以上においては、上記端末間通信における通信速度Sを2つの速度しきい値S1,S2により3つの速度区分「高速」「中速」「低速」に区分したが、これに限られない。すなわち、もっと多くの速度しきい値によりもっと多くの速度区分に区分するようにしてもよいし、1つの速度しきい値により2つの速度区分に区分するようにしてもよい。
【0220】
また、以上においては、3つの速度区分「高速」「中速」「低速」のうち、「高速」のみを高速側の区分とし、「中速」及び「低速」を低速側の区分としたが、これに限られない。すなわち、「高速」及び「中速」を高速側の区分とし、「低速」のみを低速側の区分とするようにしてもよい。
【0221】
また、図8、図9、図10、図11等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0222】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0223】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0224】
1 リーダ(無線タグ通信装置)
100 操作端末
101 操作ボタン(操作手段)
103 近距離用アンテナ
104 遠距離用アンテナ
107 近距離用通信制御部
108 遠距離用通信制御部
109 通信切替部(端末通信切替手段)
110 全体制御部
120 アンテナ
121 通信制御部
125 端末通信部(端末通信手段)
125′ 端末通信部(端末通信手段)
200 タグ通信端末
203 近距離用アンテナ
204 遠距離用アンテナ
206 タグ通信用アンテナ
207 近距離用通信制御部
208 遠距離用通信制御部
209 通信切替部(端末通信切替手段)
210 全体制御部
211 RF通信制御部
212 メモリ(データ記憶手段)
214 付与データ生成部(付与データ生成手段)
220 アンテナ
221 通信制御部
225 端末通信部(端末通信手段)
225′ 端末通信部(端末通信手段)
2130 優先順位データベース(順位記憶手段)
T 無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段を備えた操作端末と、
前記操作端末に対し着脱自在に構成されるとともに、無線タグと無線通信を行うタグ通信端末と、
を有する無線タグ通信装置であって、
前記タグ通信端末に設けられ、前記無線タグのタグ識別情報を、当該無線タグから無線通信により取得するタグ情報取得手段と、
前記タグ通信端末に設けられ、前記タグ情報取得手段により前記タグ識別情報が取得された場合に、当該取得された前記タグ識別情報に対応した少なくとも1つの付与データを生成する付与データ生成手段と、
前記操作端末及び前記タグ通信端末の両方に設けられ、前記操作端末と前記タグ通信端末との間で端末間通信を行い、前記タグ情報取得手段により取得された前記タグ識別情報と前記付与データ生成手段により生成された少なくとも1つの付与データとのうち、少なくとも前記タグ識別情報を、送信情報として前記タグ通信端末から送信し前記操作端末で受信する端末通信手段と、
前記操作端末及び前記タグ通信端末のいずれか一方に設けられ、前記端末間通信における通信速度が、予め定められた少なくとも1つの速度しきい値により区分される複数の速度区分のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定する通信速度判定手段と、
前記タグ通信端末に設けられ、前記通信速度判定手段により前記複数の速度区分のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたかに対応して、前記端末通信手段により前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を切り替える、情報切替手段と、
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記通信速度判定手段は、
少なくとも、前記端末間通信における通信速度が、予め定められた前記複数の速度区分に含まれる、前記速度しきい値よりも大きい高速側の区分に該当するか、前記速度しきい値以下である低速側の区分に該当するか、を判定し、
前記情報切替手段は、
前記通信速度判定手段により前記端末間通信における通信速度が前記高速側の区分に該当すると判定された場合には、前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を、所定数の前記付与データ及び前記タグ識別情報とし、
前記通信速度判定手段により前記端末間通信における通信速度が前記低速側の区分に該当すると判定された場合には、前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を、前記所定数よりも少ない数の前記付与データ及び前記タグ識別情報とするか、前記タグ識別情報のみとする
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記端末通信手段は、
前記操作端末及び前記タグ通信端末の両方に設けられ、前記操作端末と前記タグ通信端末との間で第1通信態様による第1端末間通信を行う第1端末通信手段と、
前記操作端末及び前記タグ通信端末の両方に設けられ、前記操作端末と前記タグ通信端末との間で第2通信態様による第2端末間通信を行う第2端末通信手段と、
前記操作端末及び前記タグ通信端末の両方に設けられ、前記第1端末通信手段及び前記第2端末通信手段のうちいずれを用いるかを選択的に切替可能な端末通信切替手段と
を含んでおり、
前記通信速度判定手段は、
前記第1端末間通信又は前記第2端末間通信における通信速度が、予め定められた前記少なくとも1つの速度しきい値により区分される前記複数の速度区分のうち、いずれの速度区分に該当するかを判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記操作端末及び前記タグ通信端末の少なくとも一方に設けられ、前記端末通信切替手段による、前記第1端末通信手段及び前記第2端末通信手段のうちいずれを用いるかの切り替え状況を判定する切替判定手段と、
前記タグ通信端末に設けられ、前記切替判定手段により前記第1端末通信手段と前記第2端末通信手段との切り替えが実行中であると判定された場合、前記タグ情報取得手段により取得された前記タグ識別情報と前記付与データ生成手段により生成された前記付与データとを記憶するデータ記憶手段と、
前記タグ通信端末に設けられ、前記切替判定手段により前記第1端末通信手段と前記第2端末通信手段との切り替えが完了したと判定された場合、前記データ記憶手段に記憶された前記タグ識別情報及び前記付与データを読み出すデータ読み出し手段と
を有し、
前記端末通信切替手段により切り替えられた前記第1端末通信手段又は前記第2端末通信手段は、前記データ読み出し手段により読み出された前記タグ識別情報及び前記付与データを用い、前記情報切替手段による切り替えに沿って、前記タグ通信端末から前記操作端末への情報送信を行う
ことを特徴とする請求項3記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
前記操作端末及び前記タグ通信端末の少なくとも一方に設けられ、前記第1端末通信手段又は前記第2端末通信手段により行われている前記第1端末間通信又は前記第2端末間通信での通信データ量が、予め通信速度の大小に対応付けて定められたデータ量しきい値以下かどうかを判定するデータ量判定手段を有し、
前記端末通信切替手段により切り替えられた前記第1端末通信手段又は前記第2端末通信手段は、前記データ量判定手段により、前記第1端末間通信又は前記第2端末間通信での通信データ量が前記データ量しきい値以下であると判定された場合に、前記データ読み出し手段により読み出された前記タグ識別情報及び前記付与データを用い、前記情報切替手段による切り替えに沿って、前記タグ通信端末から前記操作端末への情報送信を行う
ことを特徴とする請求項4記載の無線タグ通信装置。
【請求項6】
前記タグ通信端末に設けられ、予め前記付与データの種類別にそれぞれ設定された順位情報を記憶する順位記憶手段を有し、
前記情報切替手段は、
少なくとも1つの前記付与データを含むように前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を切り替える場合に、当該送信される送信情報の内容に、前記順位記憶手段において記憶された順位情報が上位である種類の付与データが優先して含まれるように、切り替えを行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項7】
前記タグ通信端末に設けられ、前記タグ情報取得手段による単位時間あたりの前記タグ識別情報の最大取得数が、所定のタグ数しきい値以上であるかどうかを判定するタグ通信判定手段を有し、
前記情報切替手段は、
前記通信速度判定手段により前記複数の速度区分のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたか、及び、前記タグ通信判定手段により前記タグ情報取得手段による単位時間あたりの前記タグ識別情報の最大取得数が前記タグ数しきい値以上であると判定されたか、の両方に対応して、前記端末通信手段により前記タグ通信端末から前記操作端末へ送信される前記送信情報の内容を切り替える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項8】
前記タグ通信端末に設けられ、前記通信速度判定手段により前記複数の速度区分のうちいずれの速度区分に該当すると判定されたかに対応して、前記タグ情報取得手段による前記無線タグとの無線通信速度を変更する、タグ通信制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−159155(P2011−159155A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21257(P2010−21257)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】