無線個体識別リーダアンテナ及びそれを利用した物品管理装置
【課題】UHF帯域の周波数を利用しながらも近接場でヌルポイントが発生しないRFIDリーダアンテナ及びそれを利用した物品管理装置を提供する。
【解決手段】RFIDリーダアンテナ300は、一端部はRFIDリーダに接続され、他端部は接地される給電部310と、給電部310から所定距離離隔し、給電部310との電磁気的カップリングにより物品に取り付けられたRFIDタグと所定帯域の信号を送受信するための放射電極320とを含む。
【解決手段】RFIDリーダアンテナ300は、一端部はRFIDリーダに接続され、他端部は接地される給電部310と、給電部310から所定距離離隔し、給電部310との電磁気的カップリングにより物品に取り付けられたRFIDタグと所定帯域の信号を送受信するための放射電極320とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線個体識別(Radio Frequency Identification:RFID)リーダアンテナ及びそれを利用した物品管理装置に関し、より詳しくは、極超短波(UHF)帯域の信号を用いた棚用RFIDアンテナ及びそれを利用した物品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、RFID技術とは、無線周波数信号を用いて、小型半導体チップが内蔵されたタグ、ラベル、カードなどに保存されたデータを非接触で読み出す技術である。
このようなRFID技術を採用すると、無線周波数信号を用いて物品に取り付けられたタグから物品の情報及び周辺環境を認識して各物品の情報を収集、保存、加工、及び追跡することにより、物品に対する測位、遠隔処理、管理、及び物品間情報交換などの様々なサービスの提供が可能になる。
【0003】
特に、最近、RFID技術を用いて物品の在庫、入出庫、及び販売などを管理できるように物品管理棚にRFIDアンテナを設置し、それぞれの物品にタグを取り付けてそれぞれの物品の現況をリアルタイムで把握することにより、多量の物品の管理も効率的にできるようになった。
【0004】
前述したような技術を用いたRFIDアンテナ及びRFIDタグを利用した物品管理装置が、特許文献1に開示されている。以下、図9及び図10を参照して特許文献1に開示されているRFIDアンテナ及びRFIDタグを利用した物品管理装置の構成について説明する。
【0005】
図9は、従来のRFIDアンテナを用いた物品管理装置の斜視図である。
図9に示すように、従来の物品管理装置1には、棚用板11の内部に形成されたRFIDアンテナ15と、RFIDアンテナ15と電気信号などの情報を交換し、インタフェース回路(図示せず)を利用して外部コンピュータ(図示せず)に接続される切替器16とを含む。
【0006】
また、棚用板11の上には様々な形態の物品17が混在しており、このような物品17には、RFIDタグ18がそれぞれ取り付けられる。RFIDタグ18は、ループ状の小型アンテナと情報が記録されるメモリとを備え、ループ状のアンテナの中央には、電子チップが形成される。
【0007】
図10は、従来の棚用RFIDアンテナの細部構造を示す図である。
図10に示すように、従来のRFIDアンテナ15は、2つのループアンテナ23、24が積層された構造を有する。RFIDアンテナ15は、上部の第1ループアンテナ23又は下部の第2ループアンテナ24のいずれか一方が先に動作し、その後、他方が動作するシーケンス動作方式で運用される。従って、1つの棚に形成されたループアンテナ23、24を動作させるためには、1つ又は2つのRFIDリーダ(図示せず)に各ループアンテナ23、24の順次動作のためのスイッチング回路を備える必要がある。
【0008】
しかしながら、前述したような従来の棚用ループアンテナ23、24の放射体は、13.56MHzのような高周波(HF)帯域(3MHz〜30MHz)以下でのみ利用できる。その理由は、13.56MHzループアンテナの放射体の全長は空気中の電波の波長(1λ0=22m)に比べて非常に短いため、放射体線路上で移相が少なくなり、これにより、放射体表面電流の強度及び方向が一定になって電波が相殺されるヌルポイント(Null point)の出現が少ないからである。
従って、従来は、このようにHF帯域(3MHz〜30MHz)を利用したアンテナが主に利用されていた。
【0009】
しかしながら、最近は、極超短波(UHF)帯域(300MHz〜3GHz)を利用したRFID応用分野に次第に市場が拡大している。
UHF帯域のRFIDシステムは、有効識別距離5m以上の遠距離でもタグ認識が可能であり、また、50cm未満の近距離でもHF帯域に比べて非常に高い認識速度及び認識率を有するという利点がある。
【0010】
このようなUHF帯域のRFIDシステムにおける遠隔場(Farfield)は、主に電場で形成されて遠距離でのタグ認識が可能であるが、後方散乱により動作するため、周囲の環境に敏感であるという短所がある。
【0011】
これに対して、UHF帯域のRFIDシステムにおける近接場(Nearfield)は、主に磁場で形成され、カップリングにより動作するので、水又は金属体などの高い誘電率を有する物質による影響がほとんどないため、RFIDリーダの認識率が高くて認識速度も速いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−70112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、UHF帯域のアンテナは、動作周波数が高くて電波の波長が短いため、その物理的な特性上、HF帯域のアンテナに比べて近接場で信号が認識されないヌルポイントが頻繁に発生するという問題がある。
【0014】
また、UHF帯域のアンテナの場合、タグを取り付けた物品の数が多くなると、リーダアンテナの動作周波数がシフトするため、RFIDリーダアンテナが物品の数量変化の影響を受けるという問題がある。
【0015】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、UHF帯域の周波数を利用しながらも近接場でヌルポイントが発生しないRFIDアンテナ及びそれを利用した物品管理装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、物品の数量が多い場合や密集している場合も、UHF帯域の周波数を利用してRFIDタグの情報を正確に取得できるRFIDアンテナ、及びそれにより物品の現況を容易に把握できる物品管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するための本発明の一実施形態による無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、一端部がRFIDリーダに接続され、他端部が接地される給電部と、前記給電部と離隔して配置されて所定帯域の信号を送受信する放射電極とを含む。
【0018】
前記給電部及び前記放射電極は、誘電体の内部又は誘電体の表面に形成される。
前記給電部及び前記放射電極は、電磁気的にカップリングされて信号を送受信する。
前記無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、前記給電部の前記他端部と接地間に接続される負荷抵抗をさらに含む。
【0019】
前記給電部は、前記放射電極の上部に配置される。
前記無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、前記給電部の前記一端部にアンテナポートをさらに含む。
前記無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、前記給電部から所定距離離隔して配列される補助電極をさらに含む。
【0020】
前記無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、前記補助電極の一端部と接地間に接続され、インピーダンスマッチングを調節するための補助抵抗をさらに含む。
前記補助電極は、前記給電部と同一平面上で平行に配列される。
前記補助電極は、導電材料を含む直線状の給電線又はストリップラインで形成される。
【0021】
前記放射電極は、一端で前記給電部と垂直に整列され、他端で前記補助電極と垂直に整列される。
ここで、前記所定帯域は、UHF帯域であることが好ましい。
前記放射電極は、メアンダ形状(meander)に形成される。
前記給電部は、物品を載せるための棚に形成される。
【0022】
このような目的を達成するための本発明の一実施形態による物品管理装置は、物品を載せるための少なくとも1つの棚と、前記棚に形成され、一端がRFIDリーダに接続されて他端は接地される給電部、及び前記給電部と所定距離離隔して前記物品に取り付けられたRFIDタグと所定帯域の信号を送受信するための導電性放射電極を有する少なくとも1つのRFIDリーダアンテナと、前記RFIDリーダアンテナを介して前記物品に取り付けられたRFIDタグから情報を受信するRFIDリーダとを含む。
【0023】
前記放射電極は、前記給電部から所定距離離隔して電磁気的カップリングによりUHF帯域の信号を送受信する。
前記物品管理装置は、複数のRFIDリーダアンテナを備え、前記複数のRFIDリーダアンテナを前記RFIDリーダに順次接続するためにスイッチングするスイッチ部をさらに含む。
【0024】
前記RFIDリーダアンテナは、前記給電部の他端と接地間に接続され、前記無線個体識別(RFID)リーダから供給された電流が前記給電部の全体に円滑に流れるようにするための負荷抵抗と、前記給電部と同一平面上で所定距離離隔して配列されて前記給電部とのカップリングにより前記所定帯域の信号を処理するための補助電極と、前記補助電極と前記接地間に接続されてインピーダンスマッチングを調節するための補助抵抗とをさらに含む。
前記RFIDリーダアンテナは、UHF帯域の信号を送受信する。
【発明の効果】
【0025】
本発明のRFIDリーダアンテナは、電流が直接給電される給電線との電磁気的カップリングにより給電される放射電極を備えるので、UHF帯域の周波数を利用しながらも近接場でヌルポイントが発生しないという利点がある。
【0026】
また、本発明のRFIDリーダアンテナは、前記RFIDアンテナ上に多くの物品が密集して置かれている場合も、UHF帯域の周波数を利用して周波数を変動させることなくRFIDタグの情報を正確に取得できるという利点がある。
【0027】
また、本発明による物品管理装置は、前記RFIDリーダアンテナを備えてUHF帯域の周波数を利用することにより近距離での物体の認識速度及び認識率が著しく向上するだけでなく、ヌルポイントを除去して広いインピーダンス帯域幅を得ることができるため、物品の数量に関係なく物品の現況を正確に管理できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナの斜視図である。
【図2】本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナの上面図である。
【図3】本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナの側面図である。
【図4】本発明による給電部の周辺に形成される磁場を示す図である。
【図5A】本発明による給電部の磁場と隣接するRFIDタグに形成される磁場との相関関係を示す図である。
【図5B】本発明による給電部の磁場と隣接するRFIDタグに形成される磁場との相関関係を示す図である。
【図6A】本発明による給電部だけのインピーダンス帯域幅とRFIDアンテナ全体のインピーダンス帯域幅を比較する図である。
【図6B】本発明による給電部だけのインピーダンス帯域幅とRFIDアンテナ全体のインピーダンス帯域幅を比較する図である。
【図7】本発明の実施形態による無線個体識別(RFID)リーダアンテナを用いた物品管理装置の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態による無線個体識別(RFID)リーダアンテナを用いた物品管理装置の構成図である。
【図9】従来のRFIDアンテナを用いた物品管理装置の斜視図である。
【図10】従来の棚用RFIDアンテナの細部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明による無線自動認識リーダアンテナ及びそれを利用した物品管理装置の好適な実施形態を図1〜図8を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナ300の斜視図であり、図2は、本発明によるRFIDリーダアンテナ300の上面図であり、図3は、本発明によるRFIDリーダアンテナ300の側面図である。
【0030】
図1〜図3に示すように、本発明によるRFIDリーダアンテナ300は、誘電体基板301の下部に形成された給電部310と、給電部310の上部に形成された放射電極320とを含む。ここで、給電部310及び放射電極320は、導電材料で形成され、誘電体基板301の内部又は表面に形成される。
【0031】
給電部310は、直線状給電線又はストリップラインからなり、給電部310の一端部には電流が供給されるアンテナポート311が形成され、他端部は負荷抵抗312に接続される。また、負荷抵抗312は、接地点GNDに接続される。
【0032】
放射電極320は、給電部310と直交方向に配列される複数の第1電極321と、給電部310と平行方向に配列される複数の第2電極322とを含み、給電部310から垂直方向に所定距離離隔して給電部310の上部に形成される。さらに、放射電極320は、第1電極321及び第2電極322のそれぞれの端部が1つずつ交互に接続されることにより、図1〜図3に示すように、全体的にメアンダ形状に形成される。また、誘電体基板301の誘電体の種類又はサイズなどにより、第1電極321と第2電極322間の接続角度、隣接する2つの第1電極321間の距離又は隣接する2つの第2電極322間の距離、及び前記第1電極321と第2電極322の形状は変更できる。放射電極320が給電部310との電磁気的カップリングにより給電されることにより、RFIDリーダアンテナ300は、UHF帯域(300MHz〜3GHz)の周波数を処理することができる。
【0033】
また、本発明においては、給電部310と同一平面上に給電部310と水平方向に所定距離離隔して配列される補助電極330がさらに形成される。補助電極330は、給電部310と同一平面上に平行に配列され、導電材料を利用した直線状給電線又はストリップラインから形成される。補助電極330が給電部310との電磁気的カップリングにより給電されることにより、RFIDリーダアンテナ300は、UHF帯域(300MHz〜3GHz)の周波数を処理することができる。
【0034】
また、補助電極330の一端は開放され、他端は補助抵抗332に接続される。また、補助抵抗332は、接地点GNDに接続される。補助抵抗332は、アンテナ300のインピーダンスマッチングのために利用される。
【0035】
図4は、本発明による給電部の周辺に形成される磁場を示す図であり、図5は、本発明による給電部の磁場と隣接するRFIDタグに形成される磁場との相関関係を示す図である。
以下、図4、図5A、及び図5Bを参照して本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナ300の動作について説明する。
【0036】
まず、RFIDリーダ(図示せず)から給電部310のアンテナポート311にUHF帯域の周波数を有する信号が入力される。これによって、アンテナポート311に入力された信号が給電部310の全体に印加され、図4に示すように、給電部310の周辺に磁場410が発生する。磁場410は、アンペアの周回積分の法則によって電流の流れる方向313に応じて給電部310の周辺で時計回り411に形成される。
【0037】
このように、給電部310の周辺に発生した磁場410は、隣接する物品400に取り付けられたRFIDタグ430に印加される。これにより、前記RFIDリーダ(図示せず)は、RFIDリーダアンテナ300を介してRFIDタグ430と近距離で非接触無線通信を行うことができる。図4において、番号431は、RFIDタグ430のタグアンテナであり、番号432は、RFIDタグ430内に備えられて情報を保存する電子チップである。
【0038】
図5Aは、本発明による給電部310のみが存在する場合、給電部310にUHF帯域の周波数を有する電流信号を印加したとき、給電部310の周辺に形成される磁場を示す図である。
【0039】
図5Aに示すように、給電部310の物理的長さが長い場合、印加される信号の波長の長さによってλg/2(ここで、λgは有効波長を示す)間隔でヌルポイントが発生する。このようなヌルポイントでは、RFIDタグ430が給電部310に隣接して位置していてもRFIDリーダ(図示せず)がRFIDタグ430を認識できないことがある。
【0040】
図5Bは、本発明による給電部310、放射電極320、及び補助電極330が存在する場合、給電部310にUHF帯域の周波数を有する電流信号を印加したとき、給電部310、放射電極320、及び補助電極330の周辺に形成される磁場を示す図である。
図5Bに示すように、本発明によれば、給電部310の上部に放射電極320が存在し、また、給電部310の側面に平行に補助電極330が存在する場合、放射電極320及び補助電極330による寄生容量の影響により、図5Aに比べると、RFIDリーダアンテナ300の周辺に形成されるヌルポイントが除去されていることが分かる。
【0041】
すなわち、本発明によれば、給電部310と放射電極320間の電磁気的カップリング、又は給電部310と補助電極330間の電磁気的カップリングにより磁場のベクトル成分を変化させてヌルポイントを減少又は除去することができる。
【0042】
特に、本発明によれば、給電部310と放射電極320間の電磁気的カップリングによりヌルポイントを除去することができ、給電部310及び放射電極320にさらに補助電極330が形成される場合、前記ヌルポイントを一層減少させることができる。
【0043】
図6は、本発明による給電部のみのインピーダンス帯域幅とRFIDアンテナ全体のインピーダンス帯域幅を比較する図である。
図6Aは、本発明による給電部310のみが存在する場合のインピーダンス帯域幅を示す。図6Aに示すように、給電部310のみが存在する場合は、狭い帯域幅610を示すことが分かる。
これに対して、図6Bは、本発明による給電部310、放射電極320、及び補助電極330が全て存在する場合のインピーダンス帯域幅を示す。図6Bに示すように、本発明により、給電部310だけでなく、放射電極320及び補助電極330が全て形成された場合のインピーダンス帯域幅620は、給電部310のみが存在する場合のインピーダンス帯域幅610に比べて約3倍に増加することが分かる。
【0044】
このように、本発明によるRFIDリーダアンテナ300は、給電部310と放射電極320間の電磁気的カップリング、及び給電部310と補助電極330間の電磁気的カップリングによりインピーダンス帯域幅が増加することにより、前記RFIDリーダアンテナ300の上部に隣接して位置する物体の誘電率に鈍感な特性を有する。これにより、本発明によるRFIDリーダアンテナ300及びそれを利用したRFIDリーダ(図示せず)は、RFIDリーダアンテナ300上に置かれた物体及び物体に取り付けられたタグの数量に関係なく一定のタグ認識率を得ることができる。
【0045】
図7は、本発明の実施形態による棚用無線自動認識(RFID)アンテナを用いた物品管理装置の斜視図である。図8は、本発明の実施形態による棚用無線自動認識(RFID)アンテナを用いた物品管理装置の構成図である。
【0046】
図7及び図8を参照すると、本発明による物品管理装置700は、物品400を載せるための棚711と、棚711に形成されたRFIDリーダアンテナ300と、前記RFIDリーダアンテナ300を介して物品400に取り付けられたRFIDタグ430から情報を読み出すRFIDリーダ720とを含む。
【0047】
棚711は、所定の誘電率を有する誘電体から形成され、内部又は上面には本発明によるRFIDリーダアンテナ300が形成される。さらに、棚711は、本発明による誘電体基板301として利用でき、この場合、棚711の内部又は上面に本発明による給電部310、放射電極320、補助電極330、負荷抵抗312、及び補助抵抗332などが形成される。
【0048】
物品保管箱710は、本棚やキャビネットなどのように棚711により複数の空間に区分され、それぞれの空間には物品を保管できる。棚711は、多様な形態の物品保管箱710に設置される。例えば、図7においては、物品保管箱710として本棚を示し、物品保管箱710に保管された物品400としては複数の書籍を示す。
【0049】
RFIDリーダアンテナ300は、図1〜図6を参照して説明したように、給電部310、放射電極320、補助電極330、負荷抵抗312、及び補助抵抗332などを含み、電磁気的カップリングにより近距離でUHF帯域の周波数を利用してRFIDタグ430から情報を取得でき、また広いインピーダンス帯域幅を有しながらもヌルポイントを除去することができる。これにより、RFIDリーダアンテナ300は、アンテナ300上に載せられた物体及び物体に取り付けられたタグの数量に関係なく一定のタグ認識率を得ることができる。
【0050】
RFIDリーダ720は、アンテナケーブル730を介してRFIDリーダアンテナ300のアンテナポート311に接続され、RFIDリーダアンテナ300を介して物品400に取り付けられたRFIDタグ430から情報を受信して外部サーバ750に送信することにより、サーバ750を介して総合的な物品の現況を管理できるようにする。
また、本発明による物品管理装置700には複数のRFIDリーダアンテナ300と1つのRFIDリーダ720間を接続するスイッチ部740が形成される。スイッチ部740は、物品保管箱710に複数の棚711が形成され、これにより複数のRFIDリーダアンテナ300が備えられた場合は、複数のRFIDリーダアンテナ300がRFIDリーダ720に順次接続されるようにスイッチングする。
【0051】
このような物品管理装置700によると、本又は書類が密集していたり、多数の物品が積載されている図書館、書類保管所、物流倉庫、及び資材管理倉庫などにおいて、UHF帯域の周波数を利用して近距離でのRFIDタグの認識速度及び認識率を向上させるだけでなく、物品の数量に関係なくそれぞれの物品の現況を正確に管理できる。
【0052】
前述したように、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明してきたが、本発明の思想と範囲は、前記実施形態に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲により決定される本発明の範囲内で多様な変形が可能であるということは当業者にとって明らかである。
【0053】
本発明の技術思想は、前記好ましい実施形態によって具体的に記述されたが、前記実施形態は、その説明のためのものであり、それに限定されるものではない。また、本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば本発明の技術思想の範囲で多様な実施形態が可能であることを理解できるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線個体識別(Radio Frequency Identification:RFID)リーダアンテナ及びそれを利用した物品管理装置に関し、より詳しくは、極超短波(UHF)帯域の信号を用いた棚用RFIDアンテナ及びそれを利用した物品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、RFID技術とは、無線周波数信号を用いて、小型半導体チップが内蔵されたタグ、ラベル、カードなどに保存されたデータを非接触で読み出す技術である。
このようなRFID技術を採用すると、無線周波数信号を用いて物品に取り付けられたタグから物品の情報及び周辺環境を認識して各物品の情報を収集、保存、加工、及び追跡することにより、物品に対する測位、遠隔処理、管理、及び物品間情報交換などの様々なサービスの提供が可能になる。
【0003】
特に、最近、RFID技術を用いて物品の在庫、入出庫、及び販売などを管理できるように物品管理棚にRFIDアンテナを設置し、それぞれの物品にタグを取り付けてそれぞれの物品の現況をリアルタイムで把握することにより、多量の物品の管理も効率的にできるようになった。
【0004】
前述したような技術を用いたRFIDアンテナ及びRFIDタグを利用した物品管理装置が、特許文献1に開示されている。以下、図9及び図10を参照して特許文献1に開示されているRFIDアンテナ及びRFIDタグを利用した物品管理装置の構成について説明する。
【0005】
図9は、従来のRFIDアンテナを用いた物品管理装置の斜視図である。
図9に示すように、従来の物品管理装置1には、棚用板11の内部に形成されたRFIDアンテナ15と、RFIDアンテナ15と電気信号などの情報を交換し、インタフェース回路(図示せず)を利用して外部コンピュータ(図示せず)に接続される切替器16とを含む。
【0006】
また、棚用板11の上には様々な形態の物品17が混在しており、このような物品17には、RFIDタグ18がそれぞれ取り付けられる。RFIDタグ18は、ループ状の小型アンテナと情報が記録されるメモリとを備え、ループ状のアンテナの中央には、電子チップが形成される。
【0007】
図10は、従来の棚用RFIDアンテナの細部構造を示す図である。
図10に示すように、従来のRFIDアンテナ15は、2つのループアンテナ23、24が積層された構造を有する。RFIDアンテナ15は、上部の第1ループアンテナ23又は下部の第2ループアンテナ24のいずれか一方が先に動作し、その後、他方が動作するシーケンス動作方式で運用される。従って、1つの棚に形成されたループアンテナ23、24を動作させるためには、1つ又は2つのRFIDリーダ(図示せず)に各ループアンテナ23、24の順次動作のためのスイッチング回路を備える必要がある。
【0008】
しかしながら、前述したような従来の棚用ループアンテナ23、24の放射体は、13.56MHzのような高周波(HF)帯域(3MHz〜30MHz)以下でのみ利用できる。その理由は、13.56MHzループアンテナの放射体の全長は空気中の電波の波長(1λ0=22m)に比べて非常に短いため、放射体線路上で移相が少なくなり、これにより、放射体表面電流の強度及び方向が一定になって電波が相殺されるヌルポイント(Null point)の出現が少ないからである。
従って、従来は、このようにHF帯域(3MHz〜30MHz)を利用したアンテナが主に利用されていた。
【0009】
しかしながら、最近は、極超短波(UHF)帯域(300MHz〜3GHz)を利用したRFID応用分野に次第に市場が拡大している。
UHF帯域のRFIDシステムは、有効識別距離5m以上の遠距離でもタグ認識が可能であり、また、50cm未満の近距離でもHF帯域に比べて非常に高い認識速度及び認識率を有するという利点がある。
【0010】
このようなUHF帯域のRFIDシステムにおける遠隔場(Farfield)は、主に電場で形成されて遠距離でのタグ認識が可能であるが、後方散乱により動作するため、周囲の環境に敏感であるという短所がある。
【0011】
これに対して、UHF帯域のRFIDシステムにおける近接場(Nearfield)は、主に磁場で形成され、カップリングにより動作するので、水又は金属体などの高い誘電率を有する物質による影響がほとんどないため、RFIDリーダの認識率が高くて認識速度も速いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−70112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、UHF帯域のアンテナは、動作周波数が高くて電波の波長が短いため、その物理的な特性上、HF帯域のアンテナに比べて近接場で信号が認識されないヌルポイントが頻繁に発生するという問題がある。
【0014】
また、UHF帯域のアンテナの場合、タグを取り付けた物品の数が多くなると、リーダアンテナの動作周波数がシフトするため、RFIDリーダアンテナが物品の数量変化の影響を受けるという問題がある。
【0015】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、UHF帯域の周波数を利用しながらも近接場でヌルポイントが発生しないRFIDアンテナ及びそれを利用した物品管理装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、物品の数量が多い場合や密集している場合も、UHF帯域の周波数を利用してRFIDタグの情報を正確に取得できるRFIDアンテナ、及びそれにより物品の現況を容易に把握できる物品管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するための本発明の一実施形態による無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、一端部がRFIDリーダに接続され、他端部が接地される給電部と、前記給電部と離隔して配置されて所定帯域の信号を送受信する放射電極とを含む。
【0018】
前記給電部及び前記放射電極は、誘電体の内部又は誘電体の表面に形成される。
前記給電部及び前記放射電極は、電磁気的にカップリングされて信号を送受信する。
前記無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、前記給電部の前記他端部と接地間に接続される負荷抵抗をさらに含む。
【0019】
前記給電部は、前記放射電極の上部に配置される。
前記無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、前記給電部の前記一端部にアンテナポートをさらに含む。
前記無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、前記給電部から所定距離離隔して配列される補助電極をさらに含む。
【0020】
前記無線個体識別(RFID)リーダアンテナは、前記補助電極の一端部と接地間に接続され、インピーダンスマッチングを調節するための補助抵抗をさらに含む。
前記補助電極は、前記給電部と同一平面上で平行に配列される。
前記補助電極は、導電材料を含む直線状の給電線又はストリップラインで形成される。
【0021】
前記放射電極は、一端で前記給電部と垂直に整列され、他端で前記補助電極と垂直に整列される。
ここで、前記所定帯域は、UHF帯域であることが好ましい。
前記放射電極は、メアンダ形状(meander)に形成される。
前記給電部は、物品を載せるための棚に形成される。
【0022】
このような目的を達成するための本発明の一実施形態による物品管理装置は、物品を載せるための少なくとも1つの棚と、前記棚に形成され、一端がRFIDリーダに接続されて他端は接地される給電部、及び前記給電部と所定距離離隔して前記物品に取り付けられたRFIDタグと所定帯域の信号を送受信するための導電性放射電極を有する少なくとも1つのRFIDリーダアンテナと、前記RFIDリーダアンテナを介して前記物品に取り付けられたRFIDタグから情報を受信するRFIDリーダとを含む。
【0023】
前記放射電極は、前記給電部から所定距離離隔して電磁気的カップリングによりUHF帯域の信号を送受信する。
前記物品管理装置は、複数のRFIDリーダアンテナを備え、前記複数のRFIDリーダアンテナを前記RFIDリーダに順次接続するためにスイッチングするスイッチ部をさらに含む。
【0024】
前記RFIDリーダアンテナは、前記給電部の他端と接地間に接続され、前記無線個体識別(RFID)リーダから供給された電流が前記給電部の全体に円滑に流れるようにするための負荷抵抗と、前記給電部と同一平面上で所定距離離隔して配列されて前記給電部とのカップリングにより前記所定帯域の信号を処理するための補助電極と、前記補助電極と前記接地間に接続されてインピーダンスマッチングを調節するための補助抵抗とをさらに含む。
前記RFIDリーダアンテナは、UHF帯域の信号を送受信する。
【発明の効果】
【0025】
本発明のRFIDリーダアンテナは、電流が直接給電される給電線との電磁気的カップリングにより給電される放射電極を備えるので、UHF帯域の周波数を利用しながらも近接場でヌルポイントが発生しないという利点がある。
【0026】
また、本発明のRFIDリーダアンテナは、前記RFIDアンテナ上に多くの物品が密集して置かれている場合も、UHF帯域の周波数を利用して周波数を変動させることなくRFIDタグの情報を正確に取得できるという利点がある。
【0027】
また、本発明による物品管理装置は、前記RFIDリーダアンテナを備えてUHF帯域の周波数を利用することにより近距離での物体の認識速度及び認識率が著しく向上するだけでなく、ヌルポイントを除去して広いインピーダンス帯域幅を得ることができるため、物品の数量に関係なく物品の現況を正確に管理できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナの斜視図である。
【図2】本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナの上面図である。
【図3】本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナの側面図である。
【図4】本発明による給電部の周辺に形成される磁場を示す図である。
【図5A】本発明による給電部の磁場と隣接するRFIDタグに形成される磁場との相関関係を示す図である。
【図5B】本発明による給電部の磁場と隣接するRFIDタグに形成される磁場との相関関係を示す図である。
【図6A】本発明による給電部だけのインピーダンス帯域幅とRFIDアンテナ全体のインピーダンス帯域幅を比較する図である。
【図6B】本発明による給電部だけのインピーダンス帯域幅とRFIDアンテナ全体のインピーダンス帯域幅を比較する図である。
【図7】本発明の実施形態による無線個体識別(RFID)リーダアンテナを用いた物品管理装置の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態による無線個体識別(RFID)リーダアンテナを用いた物品管理装置の構成図である。
【図9】従来のRFIDアンテナを用いた物品管理装置の斜視図である。
【図10】従来の棚用RFIDアンテナの細部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明による無線自動認識リーダアンテナ及びそれを利用した物品管理装置の好適な実施形態を図1〜図8を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナ300の斜視図であり、図2は、本発明によるRFIDリーダアンテナ300の上面図であり、図3は、本発明によるRFIDリーダアンテナ300の側面図である。
【0030】
図1〜図3に示すように、本発明によるRFIDリーダアンテナ300は、誘電体基板301の下部に形成された給電部310と、給電部310の上部に形成された放射電極320とを含む。ここで、給電部310及び放射電極320は、導電材料で形成され、誘電体基板301の内部又は表面に形成される。
【0031】
給電部310は、直線状給電線又はストリップラインからなり、給電部310の一端部には電流が供給されるアンテナポート311が形成され、他端部は負荷抵抗312に接続される。また、負荷抵抗312は、接地点GNDに接続される。
【0032】
放射電極320は、給電部310と直交方向に配列される複数の第1電極321と、給電部310と平行方向に配列される複数の第2電極322とを含み、給電部310から垂直方向に所定距離離隔して給電部310の上部に形成される。さらに、放射電極320は、第1電極321及び第2電極322のそれぞれの端部が1つずつ交互に接続されることにより、図1〜図3に示すように、全体的にメアンダ形状に形成される。また、誘電体基板301の誘電体の種類又はサイズなどにより、第1電極321と第2電極322間の接続角度、隣接する2つの第1電極321間の距離又は隣接する2つの第2電極322間の距離、及び前記第1電極321と第2電極322の形状は変更できる。放射電極320が給電部310との電磁気的カップリングにより給電されることにより、RFIDリーダアンテナ300は、UHF帯域(300MHz〜3GHz)の周波数を処理することができる。
【0033】
また、本発明においては、給電部310と同一平面上に給電部310と水平方向に所定距離離隔して配列される補助電極330がさらに形成される。補助電極330は、給電部310と同一平面上に平行に配列され、導電材料を利用した直線状給電線又はストリップラインから形成される。補助電極330が給電部310との電磁気的カップリングにより給電されることにより、RFIDリーダアンテナ300は、UHF帯域(300MHz〜3GHz)の周波数を処理することができる。
【0034】
また、補助電極330の一端は開放され、他端は補助抵抗332に接続される。また、補助抵抗332は、接地点GNDに接続される。補助抵抗332は、アンテナ300のインピーダンスマッチングのために利用される。
【0035】
図4は、本発明による給電部の周辺に形成される磁場を示す図であり、図5は、本発明による給電部の磁場と隣接するRFIDタグに形成される磁場との相関関係を示す図である。
以下、図4、図5A、及び図5Bを参照して本発明による無線個体識別(RFID)リーダアンテナ300の動作について説明する。
【0036】
まず、RFIDリーダ(図示せず)から給電部310のアンテナポート311にUHF帯域の周波数を有する信号が入力される。これによって、アンテナポート311に入力された信号が給電部310の全体に印加され、図4に示すように、給電部310の周辺に磁場410が発生する。磁場410は、アンペアの周回積分の法則によって電流の流れる方向313に応じて給電部310の周辺で時計回り411に形成される。
【0037】
このように、給電部310の周辺に発生した磁場410は、隣接する物品400に取り付けられたRFIDタグ430に印加される。これにより、前記RFIDリーダ(図示せず)は、RFIDリーダアンテナ300を介してRFIDタグ430と近距離で非接触無線通信を行うことができる。図4において、番号431は、RFIDタグ430のタグアンテナであり、番号432は、RFIDタグ430内に備えられて情報を保存する電子チップである。
【0038】
図5Aは、本発明による給電部310のみが存在する場合、給電部310にUHF帯域の周波数を有する電流信号を印加したとき、給電部310の周辺に形成される磁場を示す図である。
【0039】
図5Aに示すように、給電部310の物理的長さが長い場合、印加される信号の波長の長さによってλg/2(ここで、λgは有効波長を示す)間隔でヌルポイントが発生する。このようなヌルポイントでは、RFIDタグ430が給電部310に隣接して位置していてもRFIDリーダ(図示せず)がRFIDタグ430を認識できないことがある。
【0040】
図5Bは、本発明による給電部310、放射電極320、及び補助電極330が存在する場合、給電部310にUHF帯域の周波数を有する電流信号を印加したとき、給電部310、放射電極320、及び補助電極330の周辺に形成される磁場を示す図である。
図5Bに示すように、本発明によれば、給電部310の上部に放射電極320が存在し、また、給電部310の側面に平行に補助電極330が存在する場合、放射電極320及び補助電極330による寄生容量の影響により、図5Aに比べると、RFIDリーダアンテナ300の周辺に形成されるヌルポイントが除去されていることが分かる。
【0041】
すなわち、本発明によれば、給電部310と放射電極320間の電磁気的カップリング、又は給電部310と補助電極330間の電磁気的カップリングにより磁場のベクトル成分を変化させてヌルポイントを減少又は除去することができる。
【0042】
特に、本発明によれば、給電部310と放射電極320間の電磁気的カップリングによりヌルポイントを除去することができ、給電部310及び放射電極320にさらに補助電極330が形成される場合、前記ヌルポイントを一層減少させることができる。
【0043】
図6は、本発明による給電部のみのインピーダンス帯域幅とRFIDアンテナ全体のインピーダンス帯域幅を比較する図である。
図6Aは、本発明による給電部310のみが存在する場合のインピーダンス帯域幅を示す。図6Aに示すように、給電部310のみが存在する場合は、狭い帯域幅610を示すことが分かる。
これに対して、図6Bは、本発明による給電部310、放射電極320、及び補助電極330が全て存在する場合のインピーダンス帯域幅を示す。図6Bに示すように、本発明により、給電部310だけでなく、放射電極320及び補助電極330が全て形成された場合のインピーダンス帯域幅620は、給電部310のみが存在する場合のインピーダンス帯域幅610に比べて約3倍に増加することが分かる。
【0044】
このように、本発明によるRFIDリーダアンテナ300は、給電部310と放射電極320間の電磁気的カップリング、及び給電部310と補助電極330間の電磁気的カップリングによりインピーダンス帯域幅が増加することにより、前記RFIDリーダアンテナ300の上部に隣接して位置する物体の誘電率に鈍感な特性を有する。これにより、本発明によるRFIDリーダアンテナ300及びそれを利用したRFIDリーダ(図示せず)は、RFIDリーダアンテナ300上に置かれた物体及び物体に取り付けられたタグの数量に関係なく一定のタグ認識率を得ることができる。
【0045】
図7は、本発明の実施形態による棚用無線自動認識(RFID)アンテナを用いた物品管理装置の斜視図である。図8は、本発明の実施形態による棚用無線自動認識(RFID)アンテナを用いた物品管理装置の構成図である。
【0046】
図7及び図8を参照すると、本発明による物品管理装置700は、物品400を載せるための棚711と、棚711に形成されたRFIDリーダアンテナ300と、前記RFIDリーダアンテナ300を介して物品400に取り付けられたRFIDタグ430から情報を読み出すRFIDリーダ720とを含む。
【0047】
棚711は、所定の誘電率を有する誘電体から形成され、内部又は上面には本発明によるRFIDリーダアンテナ300が形成される。さらに、棚711は、本発明による誘電体基板301として利用でき、この場合、棚711の内部又は上面に本発明による給電部310、放射電極320、補助電極330、負荷抵抗312、及び補助抵抗332などが形成される。
【0048】
物品保管箱710は、本棚やキャビネットなどのように棚711により複数の空間に区分され、それぞれの空間には物品を保管できる。棚711は、多様な形態の物品保管箱710に設置される。例えば、図7においては、物品保管箱710として本棚を示し、物品保管箱710に保管された物品400としては複数の書籍を示す。
【0049】
RFIDリーダアンテナ300は、図1〜図6を参照して説明したように、給電部310、放射電極320、補助電極330、負荷抵抗312、及び補助抵抗332などを含み、電磁気的カップリングにより近距離でUHF帯域の周波数を利用してRFIDタグ430から情報を取得でき、また広いインピーダンス帯域幅を有しながらもヌルポイントを除去することができる。これにより、RFIDリーダアンテナ300は、アンテナ300上に載せられた物体及び物体に取り付けられたタグの数量に関係なく一定のタグ認識率を得ることができる。
【0050】
RFIDリーダ720は、アンテナケーブル730を介してRFIDリーダアンテナ300のアンテナポート311に接続され、RFIDリーダアンテナ300を介して物品400に取り付けられたRFIDタグ430から情報を受信して外部サーバ750に送信することにより、サーバ750を介して総合的な物品の現況を管理できるようにする。
また、本発明による物品管理装置700には複数のRFIDリーダアンテナ300と1つのRFIDリーダ720間を接続するスイッチ部740が形成される。スイッチ部740は、物品保管箱710に複数の棚711が形成され、これにより複数のRFIDリーダアンテナ300が備えられた場合は、複数のRFIDリーダアンテナ300がRFIDリーダ720に順次接続されるようにスイッチングする。
【0051】
このような物品管理装置700によると、本又は書類が密集していたり、多数の物品が積載されている図書館、書類保管所、物流倉庫、及び資材管理倉庫などにおいて、UHF帯域の周波数を利用して近距離でのRFIDタグの認識速度及び認識率を向上させるだけでなく、物品の数量に関係なくそれぞれの物品の現況を正確に管理できる。
【0052】
前述したように、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明してきたが、本発明の思想と範囲は、前記実施形態に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲により決定される本発明の範囲内で多様な変形が可能であるということは当業者にとって明らかである。
【0053】
本発明の技術思想は、前記好ましい実施形態によって具体的に記述されたが、前記実施形態は、その説明のためのものであり、それに限定されるものではない。また、本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば本発明の技術思想の範囲で多様な実施形態が可能であることを理解できるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部は無線個体識別リーダに接続され、他端部は接地される給電部と、
前記給電部から所定距離離隔し、前記給電部との電磁気的カップリングにより物品に取り付けられた無線個体識別タグと所定帯域の信号を送受信するための放射電極と
を含むことを特徴とする無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項2】
前記放射電極は、前記給電部の上部に所定距離離隔して配列される導電材料であることを特徴とする請求項1に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項3】
前記給電部の他端部と接地間に接続され、前記無線個体識別リーダから供給された電流が前記給電部全体に円滑に流れるようにするための負荷抵抗をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項4】
前記給電部との電磁気的カップリングにより前記所定帯域の信号を処理するための補助電極と、
前記補助電極の一端部と接地間に接続され、インピーダンスマッチングを調節するための補助抵抗とをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項5】
前記補助電極は、前記給電部と同一平面上に所定距離離隔して配列されることを特徴とする請求項4に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項6】
前記補助電極は、前記給電部と同一平面上に平行に配列されることを特徴とする請求項4に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項7】
前記所定帯域は、極超短波帯域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項8】
前記放射電極は、メアンダ形状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項9】
前記給電部は、物品を載せるための棚に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項10】
物品を載せるための少なくとも1つの棚と、
前記棚に形成され、一端が無線個体識別リーダに接続され、他端が接地される給電部と、前記給電部から所定距離離隔し、前記給電部とカップリングにより前記物品に取り付けられた無線個体識別タグと所定帯域の信号を送受信するための放射電極とを有する少なくとも1つの無線個体識別リーダアンテナと、
前記無線個体識別リーダアンテナを介して前記物品に取り付けられた無線個体識別タグから情報を受信する無線個体識別リーダと
を含むことを特徴とする物品管理装置。
【請求項11】
前記放射電極は、前記給電部の上部に所定距離離隔して配列される導電材料であることを特徴とする請求項10に記載の物品管理装置。
【請求項12】
前記物品管理装置は、複数の無線個体識別リーダアンテナを備え、
前記複数の無線個体識別リーダアンテナは、前記無線個体識別リーダに順次接続されるようにスイッチングするスイッチ部をさらに含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の物品管理装置。
【請求項13】
前記無線個体識別リーダアンテナは、
前記給電部の他端と接地間に接続され、前記無線個体識別リーダから供給された電流が前記給電部の全体に円滑に流れるようにするための負荷抵抗と、
前記給電部と同一平面上で所定距離離隔して配列されて前記給電部とカップリングにより前記所定帯域の信号を処理するための補助電極と、
前記補助電極と前記接地間に接続されてインピーダンスマッチングを調節するための補助抵抗とをさらに含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の物品管理装置。
【請求項14】
前記補助電極は、前記給電部と同一平面上に平行に配列されることを特徴とする請求項13に記載の物品管理装置。
【請求項15】
前記所定帯域は、極超短波帯域であることを特徴とする請求項13に記載の物品管理装置。
【請求項1】
一端部は無線個体識別リーダに接続され、他端部は接地される給電部と、
前記給電部から所定距離離隔し、前記給電部との電磁気的カップリングにより物品に取り付けられた無線個体識別タグと所定帯域の信号を送受信するための放射電極と
を含むことを特徴とする無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項2】
前記放射電極は、前記給電部の上部に所定距離離隔して配列される導電材料であることを特徴とする請求項1に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項3】
前記給電部の他端部と接地間に接続され、前記無線個体識別リーダから供給された電流が前記給電部全体に円滑に流れるようにするための負荷抵抗をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項4】
前記給電部との電磁気的カップリングにより前記所定帯域の信号を処理するための補助電極と、
前記補助電極の一端部と接地間に接続され、インピーダンスマッチングを調節するための補助抵抗とをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項5】
前記補助電極は、前記給電部と同一平面上に所定距離離隔して配列されることを特徴とする請求項4に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項6】
前記補助電極は、前記給電部と同一平面上に平行に配列されることを特徴とする請求項4に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項7】
前記所定帯域は、極超短波帯域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項8】
前記放射電極は、メアンダ形状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項9】
前記給電部は、物品を載せるための棚に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線個体識別リーダアンテナ。
【請求項10】
物品を載せるための少なくとも1つの棚と、
前記棚に形成され、一端が無線個体識別リーダに接続され、他端が接地される給電部と、前記給電部から所定距離離隔し、前記給電部とカップリングにより前記物品に取り付けられた無線個体識別タグと所定帯域の信号を送受信するための放射電極とを有する少なくとも1つの無線個体識別リーダアンテナと、
前記無線個体識別リーダアンテナを介して前記物品に取り付けられた無線個体識別タグから情報を受信する無線個体識別リーダと
を含むことを特徴とする物品管理装置。
【請求項11】
前記放射電極は、前記給電部の上部に所定距離離隔して配列される導電材料であることを特徴とする請求項10に記載の物品管理装置。
【請求項12】
前記物品管理装置は、複数の無線個体識別リーダアンテナを備え、
前記複数の無線個体識別リーダアンテナは、前記無線個体識別リーダに順次接続されるようにスイッチングするスイッチ部をさらに含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の物品管理装置。
【請求項13】
前記無線個体識別リーダアンテナは、
前記給電部の他端と接地間に接続され、前記無線個体識別リーダから供給された電流が前記給電部の全体に円滑に流れるようにするための負荷抵抗と、
前記給電部と同一平面上で所定距離離隔して配列されて前記給電部とカップリングにより前記所定帯域の信号を処理するための補助電極と、
前記補助電極と前記接地間に接続されてインピーダンスマッチングを調節するための補助抵抗とをさらに含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の物品管理装置。
【請求項14】
前記補助電極は、前記給電部と同一平面上に平行に配列されることを特徴とする請求項13に記載の物品管理装置。
【請求項15】
前記所定帯域は、極超短波帯域であることを特徴とする請求項13に記載の物品管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図2】
【図3】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【公開番号】特開2009−187549(P2009−187549A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22979(P2009−22979)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【Fターム(参考)】
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