説明

無線局、送信局及び周波数帯共用方法

【課題】非優先システムである第2無線通信システムにおける信号の送信機会を拡大するとともに、優先システムである第1無線通信システムにおける信号品質の悪化を防止する。
【解決手段】第2無線通信システムの送信局が、第1無線通信システムの基地局から報知された第1無線通信システムの負荷情報に基づいて、共用周波数帯を用いた第2無線通信システム信号の送信可否を判断する工程と、第2無線通信システムの送信局が、共用周波数帯を用いて送信される第2無線通信システム信号により、第1無線通信システムの受信局に与える予想干渉電力を計算する工程と、第1無線通信システムの基地局が、第2無線通信システムの送信局から報知された予想干渉電力に基づいて、共用周波数帯を用いて送信される第1無線通信システム信号の許容干渉レベルを上昇させる工程とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1無線通信システムの使用が第2無線通信システムより優先される共用周波数帯を使用する第1無線通信システムの無線局、第2無線通信システムの送信局及び周波数帯共用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、優先システムと非優先システムとを含む複数の無線通信システム間において周波数を共用する技術として、共用周波数帯における優先システムの信号有無に応じて、非優先システムが、共用周波数帯を用いて信号を送信する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、非優先システムは、自システムからの信号送信前に、共用周波数帯における優先システムからの信号の有無を判断する。非優先システムは、非優先システムからの送信信号により優先システムに与える干渉を防ぐために、優先システムからの信号が無い場合にのみ、共用周波数帯を用いて信号を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-222665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、優先システムの負荷に余裕があっても、非優先システムは、優先システムからの信号が有る場合には信号の送信を行わない。このため、優先システムの負荷に余裕があるにもかかわらず、非優先システムからの信号の送信機会が制限されてしまうという問題点があった。
【0006】
また、上記従来技術において非優先システムからの送信機会を拡大するために、非優先システムが、優先システムからの信号が有っても信号の送信を行うことも想定される。しかしながら、かかる場合、非優先システムの送信機近くに優先システムの受信機が位置していると、優先システムの受信機における干渉レベルが、非優先システムからの送信信号により急激に増加する。このため、優先システムの信号品質が悪化してしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、優先システムと非優先システムとを含む複数の無線通信システム間で周波数を共用する場合に、非優先システムにおける信号の送信機会を拡大するとともに、優先システムにおける信号品質の悪化を防止する無線局、送信局及び周波数帯共用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線局は、第1無線通信システムの使用が第2無線通信システムより優先される共用周波数帯を用いて送信される第1無線通信システム信号(上り信号UL1又は下り信号DL1)を制御する無線局であって、前記第2無線通信システムの送信局に対して、前記第1無線通信システムの負荷情報を報知する報知部(報知信号送受信部103)と、前記第2無線通信システムの前記送信局から前記共用周波数帯を用いて送信される第2無線通信システム信号により、前記第1無線通信システムの受信局に与えられる予想干渉電力を取得する取得部(報知信号送受信部103)と、前記取得部によって取得された前記予想干渉電力に基づいて、前記共用周波数帯を用いて送信される前記第1無線通信システム信号の許容干渉レベルを上昇させる許容干渉レベル制御部(許容干渉レベル制御部104)とを具備することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、報知部によって第1無線通信システムの負荷情報を第2無線通信システムの送信局に報知することによって、第2無線通信システムの送信局から送信される第2無線通信システム信号の送信機会を拡大することができる。また、取得部によって取得された予想干渉電力に基づいて、第1無線通信システム信号の許容干渉レベルを上昇させることによって、共用周波数帯を用いて送信される第2無線通信システム信号により、第1無線通信システムの受信局で受信される第1無線通信システム信号の品質が悪化するのを防止することができる。
【0010】
また、本発明は、上記無線局において、前記許容干渉レベル制御部は、前記取得部によって取得された前記予想干渉電力に基づいて、前記第1無線通信システム信号の送信電力を上げる又は該第1無線通信システム信号の送信レートを下げることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記無線局において、前記第1無線通信システム信号の周波数帯を前記共用周波数帯から前記第1無線通信システムの占有周波数帯に切り替える周波数帯切替部(リソース割当制御部106)を更に具備し、前記取得部は、前記予想干渉電力とともに、前記第1無線通信システム信号及び前記第2無線通信システム信号の優先度情報と前記第1無線通信システム信号の受信品質情報とを取得し、前記周波数帯切替部は、前記優先度情報と前記受信品質情報との少なくとも一つに基づいて、前記第1無線通信システム信号の周波数帯を前記共用周波数帯から前記占有周波数帯に切り替えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記無線局において、前記取得部は、前記予想干渉電力と前記優先度情報と前記受信品質情報とともに、前記第2無線通信システムの負荷情報を取得し、前記リソース割当制御部は、前記優先度情報と前記受信品質情報と前記第2無線通信システムの負荷情報との少なくとも一つに基づいて、前記第1無線通信システム信号の周波数帯を前記共用周波数帯から前記占有周波数帯に切り替えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記無線局において、前記取得部によって取得された前記予想干渉電力に基づいて、周辺セルから前記第1無線通信システムの前記受信局に与えられる干渉電力を低減させる周辺セル干渉制御部(周辺セル干渉制御部107)を更に具備することを特徴とする。
【0014】
本発明の送信局は、第1無線通信システムの使用が第2無線通信システムよりも優先される共用周波数帯を用いて、前記第2無線通信システムの受信局に第2無線通信システム信号(下り信号DL2又は上り信号UL2)を送信する送信局(基地局BS2又は移動局MT2)であって、前記第1無線通信システムの負荷情報を取得する取得部(報知信号送受信部201)と、前記取得部によって取得された前記負荷情報に基づいて、前記共用周波数帯を用いた前記第2無線通信システム信号の送信可否を判断する送信可否判断部(送信可否判断部202)と、前記共用周波数帯を用いて送信される前記第2無線通信システム信号により、前記第1無線通信システムの受信局(基地局BS1又は移動局MT1)に与える予想干渉電力を計算する予想干渉電力計算部(予想干渉電力計算部204)と、前記第1無線通信システムに対して、前記予想干渉電力計算部によって計算された前記予想干渉電力を報知する報知部(報知信号送受信部201)と、を具備することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、取得部によって取得された第1無線通信システムの負荷情報に基づいて、共用周波数帯を用いた第2無線通信システム信号の送信可否を判断することによって、第2無線通信システムの送信局から送信される第2無線通信システム信号の送信機会を拡大することができる。また、報知部によって第1無線通信システムの受信局又は送信局に対して、予想干渉電力を報知することによって、共用周波数帯を用いて送信される第2無線通信システム信号により、第1無線通信システムの受信局で受信される第1無線通信システム信号の品質が悪化するのを防止することができる。
【0016】
また、本発明は、上記送信局において、前記第1無線通信システムの前記受信局と自局との間の通信路状態を推定する通信路状態推定部(通信路状態推定部206)とを更に具備し、前記送信可否判断部は、前記取得部によって取得された前記負荷情報と前記通信路状態推定部によって推定された前記通信路状態とに基づいて、前記共用周波数帯を用いた前記第2無線通信システム信号の送信可否を判断することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記送信局において、前記報知部は、前記予想干渉電力とともに、前記共用周波数帯を用いて送信される前記第2無線通信システム信号の優先度情報を報知することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記送信局において、前記報知部は、前記予想干渉電力と前記優先度情報とともに、前記第2無線通信システムの負荷情報を報知することを特徴とする。
【0019】
本発明の周波数帯共用方法は、第1無線通信システムの使用が第2無線通信システムより優先される共用周波数帯を、第1無線通信システム及び第2無線通信システムで共用する周波数帯共用方法であって、前記第1無線通信システムの無線局が、前記第2無線通信システムの送信局に対して、前記第1無線通信システムの負荷情報を報知する工程と、前記第2無線通信システムの前記送信局が、報知された前記第1無線通信システムの負荷情報に基づいて、前記共用周波数帯を用いた自局からの第2無線通信システム信号の送信可否を判断する工程と、前記第2無線通信システムの前記送信局が、前記共用周波数帯を用いて送信される前記第2無線通信システム信号により、前記第1無線通信システムの受信局に与える予想干渉電力を計算する工程と、前記第2無線通信システムの前記送信局が、前記第1無線通信システムの前記無線局に対して、計算された前記予想干渉電力を報知する工程と、前記第1無線通信システムの前記無線局が、報知された前記予想干渉電力に基づいて、前記共用周波数帯を用いて送信される第1無線通信システム信号の許容干渉レベルを上昇させる工程とを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、優先システムと非優先システムとを含む複数の無線通信システム間で周波数を共用する場合に、非優先システムにおける信号の送信機会を拡大するとともに、優先システムにおける信号品質の悪化を防止する無線局、送信局及び周波数帯共用方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る基地局の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る許容干渉レベル制御を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る周波数帯共用処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る通信環境を説明するための図である。
【図6】本発明の変形例1−1に係る通信環境を説明するための図である。
【図7】本発明の変形例1−2に係る通信環境を説明するための図である。
【図8】本発明の変形例1−3に係る通信環境を説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る基地局の構成図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る周波数帯共用処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る基地局の構成図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るリソース割当制御を説明するための図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る周波数帯共用処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る基地局又は移動局の構成図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る基地局の構成図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る周波数帯共用処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第6の実施形態に係る基地局の構成図である。
【図18】本発明の第6の実施形態に係る周波数帯共用処理を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第7の実施形態に係る周波数帯共用処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの概略図である。図1に示すように、無線通信システム1と無線通信システム2とは、同一又は近接するエリアで運用される。
【0024】
また、無線通信システム1と無線通信システム2とは、同一又は近接する周波数帯を共用する。共用周波数帯の使用は、無線通信システム1が無線通信システム2よりも優先される。すなわち、無線通信システム1が優先システムであり、無線通信システム2が非優先システムである。
【0025】
無線通信システム1は、基地局BS1と、移動局MT1〜MT12とから構成される。基地局BS1は、セルC1内に在圏する移動局MT11〜MT12から上り信号UL1を受信するとともに、移動局MT11〜12に下り信号DL1を送信する。無線通信システム1は、例えば、移動通信システムである。なお、無線通信システム1の移動局MT11〜MT12は、同じ構成を有するため、区別しない場合移動局MT1と称する。また、第1無線通信システム信号とは、下り信号DL1と上り信号UL1とを総称するものである。また、無線通信システム1の無線局とは、基地局BS1と移動局MT1とを総称するものである。
【0026】
無線通信システム2は、基地局BS2と、移動局MT21〜MT22とから構成される。基地局BS2は、セルC2内に在圏する移動局MT21〜MT22から上り信号UL2を受信するとともに、移動局MT21〜MT22に対して下り信号DL2を送信する。無線通信システム2は、例えば、移動通信システムや無線LANシステムである。なお、移動局MT21〜MT22は、同じ構成を有するため、区別しない場合は移動局MT2と称する。また、第2無線通信システム信号とは、下り信号DL2と上り信号UL2とを総称するものである。また、無線通信システム2の無線局とは、基地局BS2と移動局MT2とを総称するものである。
【0027】
上述のように、無線通信システム1と無線通信システム2とは、無線通信システム1の使用が優先される共用周波数帯を用いる。ここで、無線通信システム1は、上り信号UL1或いは下り信号DL1のいずれかで共用周波数帯を用いるものとする。同様に、無線通信システム2は、上り信号UL2或いは下り信号DL2のいずれかで共用周波数帯を用いるものとする。
【0028】
以下、第1の実施形態では、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで共用周波数帯を共用する場合について説明する。かかる場合、無線通信システム1の受信局とは、上り信号UL1を受信する基地局BS1であり、無線通信システム2の送信局とは、下り信号DL2を送信する基地局BS2である。
【0029】
図2は、無線通信システム1の基地局BS1及び無線通信システム2の基地局BS2の構成図である。図2に示すように、無線通信システム1の基地局BS1は、信号送受信部101、負荷情報収集部102、報知信号送受信部103、許容干渉レベル制御部104を具備する。
【0030】
信号送受信部101は、移動局MT1から上り信号UL1を受信する。また、信号送受信部101は、移動局に対して、下り信号DL1を送信するとともに、後述する許容干渉レベル制御部104の指示に基づいて許容干渉レベル制御信号を送信する。
【0031】
負荷情報収集部102は、無線通信システム1における負荷情報を収集する。ここで、負荷情報とは、自セルのトラヒック量、周辺セルのトラヒック量、受信品質情報等である。第1実施形態では、上り信号UL1について共用周波数帯が用いられるため、負荷情報収集部102は、負荷情報として、上り信号UL1のトラヒック量、上り信号UL1の受信品質情報等を収集する。
【0032】
報知信号送受信部103(報知部、取得部)は、無線通信システム2の基地局BS2と報知信号を送受信する。基地局BS2に対して送信する報知信号は、負荷情報収集部102で収集された負荷情報を含む。また、基地局BS2から受信された報知信号は、基地局BS2から共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2により基地局BS1に与える予想干渉電力を含む。
【0033】
なお、報知信号送受信部103は、無線通信システム1と無線通信システム2とを接続するバックボーンネットワークを介して報知信号を送受信してもよいし、基地局BS1と基地局BS2との間の直接の無線通信により送受信してもよい。
【0034】
許容干渉レベル制御部104は、基地局BS2からの予想干渉電力に基づいて、共用周波数帯を用いて送信される上り信号UL1の許容干渉レベルを上昇させる。具体的には、許容干渉レベル制御部104は、基地局BS2からの予想干渉電力に基づいて、上り信号UL1の送信電力を上げるように或いは上り信号UL1の送信レートを下げるように、移動局MT1に指示する。
【0035】
図3に示すように、許容干渉レベルを上昇させると、干渉信号レベルが基地局BS2からの予想干渉電力により許容干渉レベル余裕分だけ増加しても、上り信号UL1の希望信号レベル対干渉信号レベル比(SIR)を一定に維持することが可能である。
【0036】
無線通信システム2の基地局BS2(送信局)は、報知信号受信部201、送信可否判断部202、送信パラメータ決定部203、予想干渉電力計算部204、信号送受信部205を具備する。
【0037】
報知信号受信部201(取得部、報知部)は、無線通信システム1の基地局BS1から、負荷情報を含む報知信号を受信する。また、報知信号送受信部201は、無線通信システム1の基地局BS1に対して、後述する予想干渉電力計算部204で計算された予想干渉電力を含む報知信号を送信する。
【0038】
送信可否判断部202は、基地局BS1からの負荷情報に基づいて、共用周波数帯を用いた下り信号DL2の送信可否を判断する。具体的には、送信可否判断部202は、負荷情報に基づいて無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分を推定し、推定した許容干渉レベル余裕分が所定値以上であるか否かを判断する。送信可否判断部202は、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分が所定値以上である場合、下り信号DL2を送信可能であると判断する。送信可否判断部202は、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分が所定値より小さい場合、下り信号DL2を送信不可能であると判断する。
【0039】
送信パラメータ決定部203は、基地局BS2からの下り信号DL2の送信パラメータを決定する。具体的には、送信パラメータ決定部203は、下り信号DL2の送信電力、変調方式、符号化率等を決定する。
【0040】
予想干渉電力計算部204は、送信パラメータ決定部203で決定された下り信号DL2の送信電力に基づいて、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2により無線通信システム1の基地局BS1に与える予想干渉電力を計算する。
【0041】
信号送受信部205は、送信パラメータ決定部203で決定された送信パラメータに従って、下り信号DL2を移動局MT2に送信する。また、信号送受信部205は、上り信号UL2を移動局MT2から受信する。
【0042】
次に、図4及び図5を参照し、第1の実施形態に係る周波数帯共用処理について説明する。第1の実施形態では、上述のように、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで共用周波数帯を共用しており、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)と無線通信システム2の基地局BS2(送信局)との間で周波数帯共用処理が行われる。
【0043】
図4に示すように、基地局BS1の負荷情報収集部102は、上り信号UL1の負荷情報を収集する(ステップS101)。
【0044】
基地局BS1の報知信号送受信部103は、基地局BS2に対して、収集した上り信号UL1の負荷情報を含む報知信号を送信する(ステップS102)。基地局BS2の報知信号送受信部201は、基地局BS1から、上り信号UL1の負荷情報を含む報知信号を受信する(ステップS103)。
【0045】
基地局BS2の送信可否判断部202は、基地局BS1から報知された上り信号UL1の負荷情報に基づいて、下り信号DL2の送信可否を判断する(ステップS104)。具体的には、送信可否判断部202は、上り信号UL1の負荷情報に基づいて推定した許容干渉レベル余裕分が所定値以上である場合、下り信号DL2を送信可能であると判断する。一方、送信可否判断部202は、許容干渉レベル余裕分が所定値より小さい場合は、送信不可能であると判断し、下り信号DL2の送信を待機する(ステップS105)。
【0046】
下り信号DL2を送信可能であると判断した場合、基地局BS2の送信パラメータ決定部203は、下り信号DL2の送信電力を決定する。基地局BS2の予想干渉電力計算部204は、決定された下り信号DL2の送信電力に基づいて、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2により基地局BS1に与える予想干渉電力を計算する(ステップS106)。
【0047】
基地局BS2の報知信号送受信部201は、基地局BS1に対して、ステップ204で計算された予想干渉電力を含む報知信号を送信する(ステップS107)。基地局BS1の報知信号送受信部103は、ステップS204で計算された予想干渉電力を含む報知信号を受信する(ステップS108)。
【0048】
基地局BS1の許容干渉レベル制御部104は、基地局BS2から報知された予想干渉電力に基づいて、上り信号UL1の送信電力を上げる、或いは信号UL1の送信レートを下げるように、移動局MT1に指示する(ステップS109)。
【0049】
基地局BS2の信号送受信部205は、ステップS106で決定された送信電力で下り信号DL2を移動局MT2に送信する(ステップS110)。
【0050】
第1の実施形態に係る無線通信システム1の基地局BS1及び無線通信システム2の基地局BS2によれば、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで共用周波数帯を共用する場合に、基地局BS1で収集された上り信号UL1の負荷情報に基づいて、基地局BS2からの下り信号DL2の送信可否を判断することによって、基地局BS2からの下り信号DL2の送信機会を拡大することができる。
【0051】
また、基地局BS1が、基地局BS2から報知された予想干渉電力に基づいて、上り信号UL1の許容干渉レベルを上昇させることによって、基地局BS2から送信される下り信号DL2からの干渉により、基地局BS1によって受信される上り信号UL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0052】
(変形例1−1)
第1の実施形態の変形例1−1では、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで共用周波数帯を共用する場合について説明する。
【0053】
図6を参照し、変形例1−1に係る周波数帯共用処理について、上述の第1実施形態の周波数帯共用処理との相違点を中心に説明する。変形例1−1では、図2に示す基地局BS2の構成を移動局MT2が備え、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)と無線通信システム2の移動局MT2(送信局)との間で、上述の周波数帯共用処理が行われる。
【0054】
具体的には、図6に示すように、無線通信システム2の移動局MT2は、基地局BS2を介して、無線通信システム1の基地局BS1から送信された報知信号を受信する。移動局MT2は、報知信号に含まれる上り信号UL1の負荷情報に基づいて、上り信号UL2の送信可否を判断する。移動局MT2は、送信可能であると判断した場合、上り信号UL2の送信電力を決定する。移動局MT2は、決定した上り信号UL2の送信電力に基づいて、共用周波数帯を用いて送信される上り信号UL2により基地局BS1に与える予想干渉電力を計算する。移動局MT2は、計算された予想干渉電力を含む報知信号を無線通信システム1の基地局BS1に送信する。
【0055】
無線通信システム1の基地局BS1は、移動局MT1に許容干渉レベル制御信号を送信する。基地局BS1は、許容干渉レベル制御信号を用いて、移動局MT2からの報知された予想干渉電力に基づいて、上り信号UL1の送信電力を上げるように或いは上り信号UL1の送信レートを下げるように移動局MT1に指示する。
【0056】
変形例1−1に係る無線通信システム1の基地局BS1及び無線通信システム2の移動局MT2によれば、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで共用周波数帯を共用する場合に、基地局BS1で収集された上り信号UL1の負荷情報に基づいて、移動局MT2からの上り信号UL2の送信可否を判断することによって、移動局MT2からの上り信号UL2の送信機会を拡大することができる。
【0057】
また、基地局BS1が、移動局MT2から報知された予想干渉電力に基づいて、上り信号UL1の許容干渉レベルを上げることによって、移動局MT2によって送信される上り信号UL2からの干渉により基地局BS1によって受信される上り信号UL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0058】
(変形例1−2)
第1の実施形態の変形例1−2では、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで共用周波数帯を共用する場合について説明する。
【0059】
図7を参照し、変形例1−2に係る周波数帯共用処理について、上述の第1実施形態の周波数帯共用処理との相違点を中心に説明する。変形例1−2では、無線通信システム1の基地局BS1(送信局)と無線通信システム2の基地局BS2(送信局)との間で、上述の周波数帯共用処理が行われる。
【0060】
具体的には、図7に示すように、無線通信システム1の基地局BS1は、各移動局MT1から、下り信号DL1の受信品質情報を収集する。基地局BS1は、下り信号DL1の負荷情報として、収集した受信品質情報の全て、又は収集した受信品質情報の平均値を含む報知信号を基地局BS2に送信する。
【0061】
報知信号を受信した基地局BS2は、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2により移動局MT1に与える予想干渉電力を計算し、計算した予想干渉電力を含む報知信号を基地局BS1に送信する。
【0062】
基地局BS1は、基地局BS2から報知された予想干渉電力に基づいて、移動局MT1に対する下り信号DL1の送信電力を上げる或いは送信レートを下げる許容干渉レベル制御を行う。
【0063】
変形例1−2に係る無線通信システム1の基地局BS1及び無線通信システム2の基地局BS2によれば、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで周波数帯を共用する場合に、基地局BS1で収集された下り信号DL1の負荷情報に基づいて、基地局BS2からの下り信号DL2の送信可否を判断することによって、基地局BS2からの下り信号DL2の送信機会を拡大することができる。
【0064】
また、基地局BS1が、基地局BS2から報知された予想干渉電力に基づいて、下り信号DL1の許容干渉レベルを上げることによって、基地局BS2によって送信される下り信号DL2からの干渉により移動局MT1によって受信される下り信号DL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0065】
(変形例1−3)
第1の実施形態の変形例1−3では、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで周波数帯を共用する場合について説明する。
【0066】
図8を参照し、変形例1−3に係る周波数帯共用処理について、変形例1−1及び変形例1−2との相違点を中心に説明する。変形例1−3では、図2に示す基地局BS2の構成を移動局MT2が備え、無線通信システム1の基地局BS1(送信局)と無線通信システム2の移動局MT2(送信局)との間で、上述の周波数帯共用処理が行われる。
【0067】
図8に示すように、無線通信システム2の移動局MT2は、変形例1−1で述べたように、移動局MT2から共用周波数帯を用いて送信される上り信号UL2により移動局MT1に与える予想干渉電力を計算する。移動局MT2は、計算された予想干渉電力を基地局BS1に報知する。
【0068】
無線通信システム1の基地局BS1は、変形例1−2で述べたように、基地局BS2から報知された予想干渉電力に基づいて、移動局MT1に対する下り信号DL1の送信電力を上げる或いは下り信号DL1の送信レートを下げる。
【0069】
変形例1−3に係る無線通信システム1の基地局BS1及び無線通信システム2の移動局MT2によれば、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで周波数帯を共用する場合に、基地局BS1で収集された下り信号DL1の負荷情報に基づいて、移動局MT2からの上り信号UL2の送信可否を判断することによって、移動局MT2からの上り信号UL2の送信機会を拡大することができる。
【0070】
また、基地局BS1が、移動局MT2から報知された予想干渉電力に基づいて、下り信号DL1の許容干渉レベルを上げることによって、移動局MT2によって送信される上り信号UL2からの干渉により移動局MT1によって受信される下り信号DL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0071】
[第2の実施形態]
次に、図9を参照し、本発明の第2の実施形態に係る無線通信システム2の基地局BS2について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
以下、第2の実施形態では、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで共用周波数帯を共用する場合(図5参照)について説明する。
【0073】
図9に示すように、無線通信システム2の基地局BS2は、通信路状態推定部206を具備する点で、第1実施形態と異なる。
【0074】
基地局BS2の通信路状態推定部206は、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)と無線通信システム2の基地局BS2(送信局)との間の通信路状態を推定する。例えば、通信路状態推定部206は、基地局BS1から送信された報知信号の受信強度に基づいて、基地局BS1と基地局BS2との間の通信路状態を推定する。また、通信路状態推定部206は、基地局BS1からの既知シンボルの受信強度に基づいて、上述の通信路状態を推定してもよい。
【0075】
次に、図10を参照し、第2の実施形態に係る周波数帯共用処理について説明する。第2の実施形態では、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)と無線通信システム2の基地局BS2(送信局)との間で周波数帯共用処理が行われる。なお、ステップS201〜S203は、図4のステップS101〜S103と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
上述のように、基地局BS2の通信路状態推定部206は、基地局BS1と基地局BS2との間の通信路状態を推定する(ステップS204)。
【0077】
基地局BS2の送信可否判断部202は、基地局BS1から報知された負荷情報と、推定された基地局BS1と基地局BS2との間の通信路状態とに基づいて、下り信号DL2の送信可否を判断する(ステップS205)。具体的には、送信可否判断部202は、基地局BS1と基地局BS2との間の通信路状態に基づいて、基地局BS2付近に上り信号UL1を送信する移動局MT1の有無を判断する。
【0078】
例えば、送信可否判断部202は、負荷情報に基づいて推定される無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分が所定値以上であっても、基地局BS2付近に上り信号UL1を送信する移動局MT1が存在すると判断した場合、下り信号DL2を送信不可能であると判断し、下り信号DL2の送信を待機する(ステップS206)。
【0079】
下り信号DL2を送信可能であると判断された場合、基地局BS2の送信パラメータ決定部203は、推定された通信路状態に基づいて、下り信号DL2の送信電力を決定する。予想干渉電力計算部204は、送信パラメータ決定部203によって決定された下り信号DL2の送信電力に基づいて、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2により基地局BS1に与える予想干渉電力を計算する(ステップS207)。S208〜S211は、図4のステップS107〜S110と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
第2の実施形態に係る無線通信システム2の基地局BS2によれば、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで共用周波数帯を共用する場合に、基地局BS1で収集された負荷情報に加えて、基地局BS1と基地局BS2との間の通信路状態に基づいて、基地局BS2からの下り信号DL2の送信可否を判断する。このため、基地局BS2付近で上り信号UL1を送信する移動局MT1が存在する場合に、基地局BS2から送信される下り信号DL2からの干渉により、該移動局MT1から送信される上り信号UL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0081】
(変形例2−1)
第2の実施形態の変形例2−1では、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで周波数帯を共用する場合(図6参照)について、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0082】
変形例2−1に係る周波数帯共用処理では、図9に示す基地局BS2の構成を移動局MT2(送信局)が備える。移動局MT2の通信路状態推定部206は、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)と無線通信システム2の移動局MT2(送信局)との間の通信路状態を推定する。例えば、通信路状態推定部206は、基地局BS1からの既知シンボルの受信強度に基づいて、上述の通信路状態を推定する。
【0083】
移動局MT2の送信可否判断部202は、基地局BS1からの負荷情報と推定された通信路状態とに基づいて、移動局MT2からの上り信号UL2の送信可否を判断する。
【0084】
変形例2−1に係る無線通信システム2の移動局MT2によれば、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで周波数帯を共用する場合に、基地局BS1で収集された負荷情報に加えて、基地局BS1と移動局MT2との間の通信路状態に基づいて、移動局MT2からの上り信号UL2の送信可否を判断する。このため、移動局MT2付近で上り信号UL1を送信する移動局MT1が存在する場合に、移動局MT2から送信される上り信号UL2からの干渉により、移動局MT1から送信される上り信号UL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0085】
(変形例2−2)
第2の実施形態の変形例2−2では、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで周波数帯を共用する場合(図7参照)について、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0086】
変形例2−2に係る周波数帯共用処理では、基地局BS2の通信路状態推定部206は、無線通信システム1の移動局MT1(受信局)と無線通信システム2の基地局BS2(送信局)との間の通信路状態を推定する。例えば、基地局BS2の通信路状態推定部206は、移動局MT1からの上り送信信号の既知シンボルに基づいて、上述の通信路状態を推定する。基地局BS2の送信可否判断部202は、基地局BS1から報知された負荷情報と推定された通信路状態とに基づいて、基地局BS2からの下り信号DL2の送信可否を判断する。
【0087】
変形例2−2に係る無線通信システム2の基地局BS2によれば、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで周波数帯を共用する場合に、基地局BS1で収集された負荷情報に加えて、移動局MT1と基地局BS2との間の通信路状態に基づいて、基地局BS2からの下り信号UL2の送信可否を判断する。このため、基地局BS2付近に下り信号DL1を送信する基地局BS1が存在する場合に、基地局BS2から送信される下り信号DL2からの干渉により、基地局BS1から送信される下り信号DL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0088】
(変形例2−3)
第2の実施形態の変形例2−3では、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで周波数帯を共用する場合(図8参照)について、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0089】
変形例2−3に係る周波数帯共用処理では、図9に示す基地局BS2の構成を移動局MT2(送信局)が備える。移動局MT2の通信路状態推定部206は、無線通信システム1の移動局MT1(受信局)と無線通信システム2の移動局MT2(送信局)との間の通信路状態を推定する。例えば、移動局MT2の通信路状態推定部206は、移動局MT1からの上り送信信号の既知シンボルに基づいて、上述の通信路状態を推定する。移動局MT2の送信可否判断部202は、報知された負荷情報と推定された通信路状態とに基づいて、移動局MT2からの上り信号UL2の送信可否を判断する。
【0090】
変形例2−3に係る無線通信システム2の移動局MT2によれば、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで周波数帯を共用する場合に、基地局BS1で収集された負荷情報に加えて、移動局MT1と移動局MT2との間の通信路状態に基づいて、移動局MT2からの下り信号UL2の送信可否を判断する。このため、移動局MT2付近に下り信号DL1を送信する基地局BS1が存在する場合に、移動局MT2から送信される上り信号UL2からの干渉により、基地局BS1から送信される下り信号DL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0091】
[第3の実施形態]
次に、図11を参照し、本発明の第3の実施形態に係る無線通信システム1の基地局BS1及び無線通信システム2の基地局BS2について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0092】
以下、第3の実施形態では、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで周波数帯を共用する場合(図5参照)について説明する。
【0093】
図11に示すように、無線通信システム1の基地局BS1は、QoS情報収集部105とリソース割当制御部106とを具備する点で、第1実施形態と異なる。
【0094】
基地局BS1のQoS情報収集部105は、無線通信システム1における優先度情報を収集する。ここで、優先度情報とは、例えば、QoS情報によって示される信号の優先度である。第3実施形態では上り信号UL1について共用周波数帯が用いられるため、QoS情報収集部105は、上り信号UL1の優先度情報を収集する。
【0095】
基地局BS1のリソース割当制御部106(周波数帯切替部)は、基地局BS2からの下り信号DL2の優先度情報と、QoS情報収集部105で収集された上り信号UL1の優先度情報と、負荷情報収集部102で収集された上り信号UL1の受信品質情報との少なくとも一つに基づいて、上り信号UL1のリソース割当制御を行う。
【0096】
ここで、リソース割当制御とは、図12に示すように、信号の送信に用いられる周波数帯を無線通信システム1の占有周波数帯と共用周波数帯との間で切り替えることをいう。例えば、図12では、無線通信システム1、2間の干渉を受け難い移動局MT11及びMT22(図1参照)の周波数帯を共用周波数帯とし、無線通信システム1、2間の干渉を受け易い移動局MT12及びMT21の周波数帯を無線通信システム1、2の占有周波数帯としている。
【0097】
より具体的には、リソース割当制御部106は、上り信号UL1の受信品質が所定値よりも悪化した場合、上り信号UL1の周波数帯を共用周波数帯から無線通信システム1の占有周波数帯に切り替える。
【0098】
また、リソース割当制御部106は、上り信号UL1の優先度が下り信号DL2の優先度よりも高い場合、上り信号UL1の周波数帯を共用周波数帯から無線通信システム1の占有周波数帯に切り替えてもよい。
【0099】
無線通信システム2の基地局BS2は、QoS情報収集部207とリソース割当制御部208とを具備する点で、第1実施形態と異なる。
【0100】
基地局BS2のQoS情報収集部207は、無線通信システム2における優先度情報、特に、第3実施形態では、下り信号DL2の優先度情報を収集する。
【0101】
基地局BS2のリソース割当制御部208は、基地局BS1からの上り信号UL1の優先度情報と、QoS情報収集部207で収集された下り信号DL2の優先度情報と、下り信号DL2の受信品質情報との少なくともいずれかに基づいて、下り信号DL2のリソース割当制御を行う。なお、リソース割当制御部208は、下り信号DL2について、基地局BS1のリソース割当制御部106で詳述したような周波数帯の切替制御を行う。
【0102】
次に、図13を参照し、第3の実施形態に係る周波数帯共用処理について説明する。第3の実施形態では、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで共用周波数帯を共用しており、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)と無線通信システム2の基地局BS2(送信局)との間で周波数帯共用処理が行われる。
【0103】
図13に示すように、基地局BS1の負荷情報収集部102とQoS情報収集部105は、上り信号UL1の負荷情報及び優先度情報を収集する(ステップS301)。ステップS302〜S306は、図4のステップS102〜S106と同様であるため、説明を省略する。
【0104】
基地局BS2の報知信号送受信部201は、基地局BS1に報知信号を送信する。報知信号は、下り信号DL2の送信により基地局BS1に与える予想干渉電力に加えて、下り信号DL2の優先度情報を含む(ステップS307)。基地局BS1の報知信号送受信部103は、基地局BS2から報知信号を受信する(ステップS308)。
【0105】
基地局BS1のリソース割当制御部106は、報知信号に含まれる下り信号DL2の優先度情報と、ステップS301で収集された上り信号UL1の優先度情報と、上り信号UL1の受信品質情報の少なくとも一つに基づいて、上りUL1の周波数帯を共用周波数帯から無線通信システム1の占有周波数帯に切り替えるか否かを決定する。リソース割当制御部106は、決定結果に基づいて上り信号UL1の周波数帯を切り替えるように、移動局MT1に指示する(ステップS309)。ステップS310〜S311は、図4のステップS109〜S110と同様であるため、説明を省略する。
【0106】
第3の実施形態に係る無線通信システム1の基地局BS1によれば、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで共用周波数帯を共用する場合に、共用周波数帯における許容干渉レベル制御によっても信号品質が改善しない上り信号UL1については、周波数帯を共用周波数帯から無線通信システム1の占有周波数帯に切り替える。このため、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2からの干渉が増加しても、無線通信システム1の上り信号UL1の品質を改善することができる。
【0107】
(変形例3−1)
第3の実施形態の変形例3−1では、無線通信システム1の上り信号UL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで周波数帯を共用する場合(図6参照)について、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0108】
変形例3−1に係る周波数帯共用処理では、図11に示す基地局BS2構成を移動局MT2が備える。変形例3−1では、無線通信システム2の移動局MT2(送信局)は、上り信号UL2の送信により基地局BS1に与える予想干渉電力と上り信号UL2の優先度情報とを含む報知信号を、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)に送信する。基地局BS1は、報知信号に含まれる上り信号UL2の優先度情報と、上り信号UL1の優先度情報と、上り信号UL1の受信品質情報との少なくとも一つに基づいて、上り信号UL1の周波数帯を共用周波数帯から無線通信システム1の占有周波数帯に切り替えるように、移動局MT1に指示する。
【0109】
変形例3−1に係る無線通信システム1の基地局BS1によれば、共用周波数帯における許容干渉レベル制御によっても信号品質が改善しない上り信号UL1については、周波数帯を共用周波数帯から無線通信システム1の占有周波数帯に切り替える。このため、共用周波数帯を用いて送信される上り信号UL2からの干渉が増加しても、無線通信システム1の上り信号UL1の品質を改善することができる。
【0110】
(変形例3−2)
第3の実施形態の変形例3−2では、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の下り信号DL2とで周波数帯を共用する場合(図7参照)について、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0111】
変形例3−2に係る周波数帯共用処理では、無線通信システム1の基地局BS1(送信局)が下り信号DL1の優先度情報を収集し、収集された下り信号DL1の優先度情報と、下り信号DL1の受信品質情報と、無線通信システム2の基地局BS2(送信局)から報知された下り信号DL2の優先度情報との少なくとも一つに基づいて、下り信号DL1の周波数帯を共用周波数帯から無線通信システム1の占有周波数帯に切り替える。
【0112】
変形例3−2に係る無線通信システム1の基地局BS1によれば、共用周波数帯における許容干渉レベル制御によっても信号品質が改善しない下り信号DL1については、周波数帯を共用周波数帯から無線通信システム1の占有周波数帯に切り替える。このため、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2からの干渉が増加しても、無線通信システム1の下り信号DL1の品質を改善することができる。
【0113】
(変形例3−3)
第3の実施形態の変形例3−3では、無線通信システム1の下り信号DL1と無線通信システム2の上り信号UL2とで周波数帯を共用する場合(図8参照)について説明する。変形例3−3に係る周波数帯共用処理では、図11に示す基地局BS2の構成を移動局MT2が備え、移動局MT2(送信局)は、変形例3−1と同様の処理を行う。また、基地局BS1(送信局)は、変形例3−2と同様の処理を行う。
【0114】
変形例3−3に係る無線通信システム1の基地局BS1によれば、共用周波数帯における許容干渉レベル制御によっても信号品質が改善しない下り信号DL1については、周波数帯を無線通信システム1の占有周波数帯に切り替える。このため、共用周波数帯で送信される上り信号UL2からの干渉が増加しても、無線通信システム1の下り信号DL1の品質を改善することができる。
【0115】
[第4の実施形態]
次に、図14を参照し、本発明の第4の実施形態に係る無線通信システム2の基地局BS2について、第3の実施形態及び変形例3−1〜3−3との相違点を中心に説明する。
【0116】
第4の実施形態では、無線通信システム2で下り信号DL2を共用周波数帯とする場合、基地局BS2(送信局)が負荷情報収集部209を具備し、上り信号UL2を共用周波数帯とする場合、移動局MT2(送信局)が負荷情報収集部209を具備する。
【0117】
負荷情報収集部209は、無線通信システム2の負荷情報を収集する。具体的には、基地局BS2の負荷情報収集部209は、無線通信システム2の下り信号DL2を共用周波数帯とする場合、下り信号DL2の負荷情報を収集する。また、移動局MT2の負荷情報収集部209は、無線通信システム2の上り信号UL2を共用周波数帯とする場合、上り信号UL2の負荷情報を収集する。
【0118】
報知信号送受信部201は、予想干渉電力計算部204で計算された予想干渉電力とQoS情報収集部207で収集された優先度情報とに加えて、負荷情報収集部209で収集された無線通信システム2の負荷情報を含む報知信号を、無線通信システム1の基地局BS1に送信する。
【0119】
基地局BS1のリソース割当制御部106は、基地局BS2又は移動局MT2から報知された下り信号DL2又は上り信号UL2優先度情報、無線通信システム2の負荷情報と、QoS情報収集部105で収集された上り信号UL1又は下り信号DL1の優先度情報との少なくとも一つに基づいて、共用周波数帯を使用する上り信号UL1又は下り信号DL1のリソース割当制御を行う。
【0120】
例えば、リソース割当制御部106は、報知された無線通信システム2の負荷が所定値よりも悪化した場合、共用周波数帯を用いる上り信号UL1又は下り信号DL1の周波数帯を無線通信システム1の占有周波数帯に切り替える。
【0121】
第4の実施形態に係る無線通信システム2の基地局BS2又は移動局MT2によれば、無線通信システム2の負荷情報を無線通信システム1の基地局BS1に報知し、基地局BS1が、無線通信システム2の負荷情報に応じて、共用周波数帯を用いる上り信号UL1又は下り信号DL1の周波数帯を無線通信システム1の占有周波数帯に切り替える。このため、共用周波数帯を用いて送信される上り信号UL1又は下り信号DL1による無線通信システム2への干渉を減らすことができ、無線通信システム2の信号品質が改善することができる。
【0122】
[第5の実施形態]
次に、図15を参照し、本発明の第5の実施形態に係る無線通信システム1の基地局BS1について説明する。第5の実施形態に係る基地局BS1は、下り信号DL1を共用周波数帯とする場合にのみ適用される。したがって、第5の実施形態では、無線通信システム1の下り信号DL1と、無線通信システム2の上り信号UL2又は下り信号DL2とで共用周波数帯を共用する場合(図7又は8参照)について説明する。
【0123】
図15に示すように、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)は、周辺セル干渉制御部107を具備する。周辺セル干渉制御部107は、基地局BS2から報知された予想干渉電力に基づいて、基地局BS1のセルC1の周辺セル干渉制御を行う。周辺セル干渉制御とは、基地局BS1のセルC1の周辺セルから、セルC1の移動局MT1に与えられる干渉電力を低減するための制御である。具体的には、周辺セル干渉制御部107は、セルC1の周辺セル基地局に対して、下り信号の負荷を制限するように指示する。
【0124】
次に、図16を参照し、第5の実施形態に係る周波数帯共用処理について説明する。第5の実施形態では、上述のように、無線通信システム1の下り信号DL1の周波数帯を共用周波数帯としており、無線通信システム1の基地局BS1(受信局)と無線通信システム2の基地局BS2又は移動局MT2(送信局)との間で周波数帯共用処理が行われる。なお、ステップS401〜S408は、図4のステップS101〜S108と同様であるため、説明を省略する。
【0125】
上述のように、基地局BS1の周辺セル干渉制御部107は、基地局BS2又は移動局MT2から報知された予想干渉電力に基づいて、セルC1の周辺セル基地局に対して、下り信号の負荷を制限するように指示する(ステップS409)。S410、S411は、図4のステップS109、S110と同様であるため、説明を省略する。
【0126】
第5の実施形態に係る無線通信システム1の基地局BS1によれば、無線通信システム1の下り信号DL1の周波数帯を共用周波数帯とする場合に、基地局BS2から報知された予想干渉電力に基づいて、基地局BS1のセルC1の周辺セル基地局に対して周辺セル干渉制御を行う。このため、下り信号DL1の信号品質がセルC1の周辺セルからの干渉によって悪化するのを防止でき、無線通信システム2からの干渉に対する下り信号DL1の許容干渉レベルを向上させることができる。
【0127】
[第6の実施形態]
次に、図17を参照し、本発明の第6の実施形態に係る無線通信システム1の基地局BS1について、第1の実施形態、変形例1−1乃至1−3との相違点を中心に説明する。
【0128】
第6の実施形態では、無線通信システム1の上り信号UL1又は下り信号DL1と無線通信システム2の上り信号UL2又は下り信号DL2とで周波数帯を共用する場合(図5乃至8参照)について、まとめて説明する。
【0129】
第6の実施形態では、無線通信システム2の下り信号DL2の周波数帯を共用周波数帯とする場合(図5及び7参照)に、無線通信システム2の基地局BS2が行った下り信号DL2の送信可否判断を無線通信システム1の基地局BS1が行う。また、第5の実施形態では、無線通信システム2の上り信号UL2の周波数帯を共用周波数帯とする場合(図6及び8参照)に、無線通信システム2の移動局MT2が行った上り信号UL2の送信可否判断を無線通信システム1の基地局BS1が行う。
【0130】
図17に示すように、無線通信システム1の基地局BS1は、許容干渉レベル計算部108と送信可否判断部109とを具備する。
【0131】
許容干渉レベル計算部108は、負荷情報収集部102によって収集された無線通信システム1の負荷情報に基づいて、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分を計算する。
【0132】
送信可否判断部109は、基地局BS2から報知された予想干渉電力に基づいて、無線通信システム2において共用周波数帯を用いる上り信号UL2又は下り信号DL2の送信可否を判断する。
【0133】
具体的には、送信可否判断部109は、許容干渉レベル計算部108によって計算された許容干渉レベル余裕分が、基地局BS2から報知された予想干渉電力以上である場合は、共用周波数帯を用いた上り信号UL2又は下り信号DL2の送信が可能であると判断する。一方、許容干渉レベル計算部108によって計算された許容干渉レベル余裕分が、基地局BS2から報知された予想干渉電力より小さい場合は、共用周波数帯を用いた上り信号UL2又は下り信号DL2の送信が不可能であると判断する。
【0134】
次に、図18を参照し、第6の実施形態に係る周波数帯共用処理について説明する。第6の実施形態では、上述のように、無線通信システム2の下り信号DL2又は上り信号UL2のいずれの周波数帯を共用周波数帯とするかに応じて、無線通信システム1の基地局BS1と無線通信システム2の基地局BS2又は移動局MT2との間で周波数帯共用処理が行われる。
【0135】
基地局BS1の負荷情報収集部102は、共用周波数帯を使用する上り信号UL1又は下り信号DL1の負荷情報を収集する(ステップS501)。
【0136】
基地局BS1の許容干渉レベル計算部108は、負荷情報収集部102によって収集された無線通信システム1の負荷情報に基づいて、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分を計算する(ステップS502)。
【0137】
基地局BS2又は移動局MT2において、下り信号DL2又は上り信号UL2の送信要求が発生する(ステップS503)。
【0138】
基地局BS2又は移動局MT2の送信パラメータ決定部203は、下り信号DL2又は上り信号UL2の送信電力を決定する。予想干渉電力計算部204は、送信パラメータ決定部203によって決定された送信電力に基づいて、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2又は上り信号UL2により、基地局BS1又は移動局MT1に与える予想干渉電力を計算する(ステップS504)。
【0139】
基地局BS2又は移動局MT2の報知信号送受信部201は、計算された予想干渉電力を含む報知信号を、基地局BS1に送信する(ステップS505)。基地局BS1の報知信号送受信部103は、予想干渉電力を含む報知信号を受信する(ステップS506)。
【0140】
基地局BS1の送信可否判断部109は、無線通信システム2において共用周波数帯を用いる下り信号DL2又は上り信号UL2の送信可否を判断する。具体的には、ステップS502で計算された許容干渉レベル余裕分が、ステップS506で報知された予想干渉電力以上であるか否かを判断する(ステップS507)。
【0141】
下り信号DL2又は上り信号UL2を送信可能であると判断した場合、基地局BS1の報知信号送受信部103は、下り信号DL2又は上り信号UL2の送信許可を含む報知信号を送信する(ステップS508)。基地局BS1の許容干渉レベル制御部104は、上り信号UL1または下り信号DL1の許容干渉レベルを上昇させる(ステップS509)。
【0142】
基地局BS2又は移動局MT2の報知信号送受信部201は、下り信号DL2又は上り信号UL2の送信許可を含む報知信号を受信する(ステップS510)。
【0143】
下り信号DL2又は上り信号UL2の送信許可が受信された場合、基地局BS2又は移動局MT2の信号送受信部205は、ステップS504で決定した送信パラメータに従って、下り信号DL2又は上り信号UL2を送信する(ステップS511)。
【0144】
一方、下り信号DL2又は上り信号UL2の送信許可が受信されない場合、基地局BS2又は移動局MT2は、下り信号DL2又は上り信号UL2の送信を待機する(ステップS512)。
【0145】
第6の実施形態に係る無線通信システム1の基地局BS1によれば、基地局BS1が、無線通信システム2の基地局BS2又は移動局MT2の代わりに、共用周波数帯を使用する下り信号DL2又は上り信号UL2の送信可否を判断する。このため、無線通信システム2で共用周波数帯を用いて下り信号DL2を送信する基地局BS2の処理負荷又は上り信号UL2を送信する移動局MT2の処理負荷を軽減することができる。
【0146】
[第7の実施形態]
次に、図19を参照し、本発明の第7の実施形態に係る無線通信システム2の基地局BS2について、第1の実施形態、変形例1−1乃至1−3との相違点を中心に説明する。
【0147】
第7の実施形態では、無線通信システム1の上り信号UL1又は下り信号DL1と無線通信システム2の上り信号UL2又は下り信号DL2とで周波数帯を共用する場合(図5乃至8参照)についてまとめて説明する。上述のように、下り信号DL2の周波数帯を共用周波数帯とする場合(図5及び7参照)、上述の送信可否判断部202等の構成を基地局BS2(送信局)が具備するが、上り信号UL2の周波数帯を共用周波数帯とする場合(図6及び8参照)には、移動局MT2(送信局)が具備する。
【0148】
図19に示すように、送信可否判断部202は、上記第1乃至6実施形態で述べたように、基地局BS1からの負荷情報に基づいて推定した無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分が所定値より大きいか否かを判断する(ステップS604)。
【0149】
送信可否判断部202は、ステップS604の送信可否の一次判断に加えて、予想干渉電力計算部204で計算された予想干渉電力と無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分との比較に基づいて、送信可否の二次判断を行う(ステップS607)。具体的には、送信可否判断部202は、許容干渉レベル余裕分が予想干渉電力以上である場合、下り信号DL2又は上り信号UL2を送信可能であると判断し、許容干渉レベル余裕分が予想干渉電力以上でない場合、送信不可能であると判断する。
【0150】
第7の実施形態に係る無線通信システム2の基地局BS2又は移動局MT2によれば、基地局BS2又は移動局MT2が、下り信号DL2又は上り信号UL2の送信可否の一次判断だけでなく、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分と予想干渉電力との比較に基づく送信可否の二次判断を行う。このため、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分に多少余裕があっても、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL2又は上り信号UL2からの予想干渉電力が、許容干渉レベル余裕分を超えてしまう場合(例えば、無線通信システム1の受信機と無線通信システムの送信機とが近い位置にある場合など)に、無線通信システム1で共用周波数帯を使用する上り信号UL1又は下り信号DL1の品質が悪化するのを防止することができる。
【0151】
[その他の実施形態]
第1の実施形態乃至第5の実施形態及び対応する変形例では、送信パラメータ決定部203は、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分に基づかずに、共用周波数帯を用いる下り信号DL2又は上り信号UL2の送信電力を決定したが、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分を超えないように、送信電力を決定してもよい。このような方法によれば、無線通信システム1の許容干渉レベル余裕分を無線通信システム2が使用できる限界まで使用できる。
【0152】
第3の実施形態及び変形例3−1乃至3−3では、図11に示す無線通信システム1の基地局BS1のリソース割当制御部106が、無線通信システム2の下り信号DL2(又は上り信号UL2)の優先度情報と、無線通信システム1の上り信号UL1(又は下り信号UL1)の優先度情報と、無線通信システム1の上り信号UL1(又は下り信号UL1)の受信品質情報との少なくとも一つに基づいて、無線通信システム1の上り信号UL1(又は下り信号UL1)のリソース割当制御を行うものとして説明した。しかしながら、リソース割当制御部106は、上述の優先度情報の代わりに、無線通信システム2の送信局からの干渉の受け易さに基づいて、無線通信システム1におけるリソース割当制御を行ってもよい。
【0153】
例えば、リソース割当制御部106は、無線通信システム1で共用周波数帯を用いた信号を受信する受信局(基地局BS1又は移動局MT1)と無線通信システム2で共用周波数帯を用いた信号を送信する送信局(基地局BS2又は移動局MT2)との間の通信路状態を推定結果に基づいて、無線通信システム1におけるリソース割当制御を行ってもよい。同様に、図11に示す無線通信システム2の基地局BS2(又は移動局MT2)のリソース割当制御部208は、上述の通信路状態の推定結果に基づいて、無線通信システム2におけるリソース割当制御を行ってもよい。なお、上述の通信路状態は、第2実施形態及び変形例2−1乃至2−3で述べたように、図9に示す通信路状態推定部206によって推定可能である。
【0154】
第7の実施形態において、図19に示すように、共用周波数帯を用いる下り信号DL2又は上り信号UL2の送信可否について、一次判断(ステップS604)と2次判断(ステップS607)とを行ったが、一次判断を行わずに、二次判断のみを行ってもよい。
【0155】
上述の実施形態及び対応する変形例では、無線通信システム1の上りリンクUL1を共用周波数帯とする場合(図5、6参照)と、無線通信システム1の下りリンクDL1を共用周波数帯とする場合(図7、8参照)とのいずれでも、基地局BS1が許容干渉レベル制御を行うものとして説明した。しかしながら、無線通信システム1において共用周波数帯を用いた信号を受信する受信局が許容干渉レベル制御を行ってもよい。具体的には、無線通信システム1の上りリンクUL1を共用周波数帯とする場合は、上述の通り、基地局BS1が許容干渉レベル制御を行うが、無線通信システム1の下りリンクDL1を共用周波数帯とする場合は、移動局MT1が許容干渉レベルを行う構成とすることも可能である。
【0156】
無線通信システム1の下りリンクDL1を共用周波数帯とし、かつ、移動局MT1が許容干渉レベル制御を行う場合、図2に示す基地局BS1の構成を移動局MT1が備える。かかる場合、移動局MT1の負荷情報収集部102は、負荷情報(例えば、下り信号DL1のトラヒック量、下り信号DL1の受信品質情報等)を収集する。移動局MT1の報知信号送受信部103は、無線通信システム2で共用周波数帯を用いて信号を送信する送信局(基地局BS2又は移動局MT2)に報知する。移動局MT1の許容干渉レベル制御部104は、当該送信局から報知された予想干渉電力に基づいて、共用周波数帯を用いて送信される下り信号DL1の許容干渉レベルを上昇させる。具体的には、移動局MT2は、報知された予想干渉電力に基づいて、下り信号DL1の送信電力を上げるように或いは下り信号DL1の送信レートを下げるように、基地局BS1に指示する。
【0157】
また、第1の実施形態乃至第5の実施形態及び第7の実施形態、その他の実施形態の構成は、組み合わせることも可能である。また、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、処理部や処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0158】
1、2…無線通信システム、BS1、BS2…基地局、MT1、MT2、MT11、MT12、MT21、MT22…移動局、C1、C2…セル、UL1、UL2…上り信号、DL1、DL2…下り信号、101…信号送受信部、102…負荷情報収集部、103…報知信号送受信部、104…許容干渉レベル制御部、105…QoS情報収集部、106…リソース割当制御部、107…周辺セル干渉制御部、108…許容干渉レベル計算部、109…送信可否判断部、201…報知信号送受信部、202…送信可否判断部、203…送信パラメータ決定部、204…予想干渉電力計算部、205…信号送受信部、206…通信路状態推定部、207…QoS情報収集部、208…リソース割当制御部、209…負荷情報収集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信システムの使用が第2無線通信システムより優先される共用周波数帯を用いて送信される第1無線通信システム信号を制御する無線局であって、
前記第2無線通信システムの送信局に対して、前記第1無線通信システムの負荷情報を報知する報知部と、
前記第2無線通信システムの前記送信局から前記共用周波数帯を用いて送信される第2無線通信システム信号により、前記第1無線通信システムの受信局に与えられる予想干渉電力を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記予想干渉電力に基づいて、前記共用周波数帯を用いて送信される前記第1無線通信システム信号の許容干渉レベルを上昇させる許容干渉レベル制御部と
を具備することを特徴とする無線局。
【請求項2】
前記許容干渉レベル制御部は、前記取得部によって取得された前記予想干渉電力に基づいて、前記第1無線通信システム信号の送信電力を上げる又は該第1無線通信システム信号の送信レートを下げることを特徴とする請求項1に記載の無線局。
【請求項3】
前記第1無線通信システム信号の周波数帯を前記共用周波数帯から前記第1無線通信システムの占有周波数帯に切り替える周波数帯切替部を更に具備し、
前記取得部は、前記予想干渉電力とともに、前記第1無線通信システム信号及び前記第2無線通信システム信号の優先度情報と前記第1無線通信システム信号の受信品質情報とを取得し、
前記周波数帯切替部は、前記優先度情報と前記受信品質情報との少なくとも一つに基づいて、前記第1無線通信システム信号の周波数帯を前記共用周波数帯から前記占有周波数帯に切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線局。
【請求項4】
前記取得部は、前記予想干渉電力と前記優先度情報と前記受信品質情報とともに、前記第2無線通信システムの負荷情報を取得し、
前記リソース割当制御部は、前記優先度情報と前記受信品質情報と前記第2無線通信システムの負荷情報との少なくとも一つに基づいて、前記第1無線通信システム信号の周波数帯を前記共用周波数帯から前記占有周波数帯に切り替えることを特徴とする請求項3に記載の無線局。
【請求項5】
前記取得部によって取得された前記予想干渉電力に基づいて、周辺セルから前記第1無線通信システムの前記受信局に与えられる干渉電力を低減させる周辺セル干渉制御部を更に具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線局。
【請求項6】
第1無線通信システムの使用が第2無線通信システムよりも優先される共用周波数帯を用いて、前記第2無線通信システムの受信局に第2無線通信システム信号を送信する送信局であって、
前記第1無線通信システムの負荷情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記負荷情報に基づいて、前記共用周波数帯を用いた前記第2無線通信システム信号の送信可否を判断する送信可否判断部と、
前記共用周波数帯を用いて送信される前記第2無線通信システム信号により、前記第1無線通信システムの受信局に与える予想干渉電力を計算する予想干渉電力計算部と、
前記第1無線通信システムに対して、前記予想干渉電力計算部によって計算された前記予想干渉電力を報知する報知部と、
を具備することを特徴とする送信局。
【請求項7】
前記第1無線通信システムの前記受信局と自局との間の通信路状態を推定する通信路状態推定部とを更に具備し、
前記送信可否判断部は、前記取得部によって取得された前記負荷情報と前記通信路状態推定部によって推定された前記通信路状態とに基づいて、前記共用周波数帯を用いた前記第2無線通信システム信号の送信可否を判断することを特徴とする請求項6に記載の送信局。
【請求項8】
前記報知部は、前記予想干渉電力とともに、前記共用周波数帯を用いて送信される前記第2無線通信システム信号の優先度情報を報知することを特徴とする請求項6又は7に記載の送信局。
【請求項9】
前記報知部は、前記予想干渉電力と前記優先度情報とともに、前記第2無線通信システムの負荷情報を報知することを特徴とする請求項8に記載の送信局。
【請求項10】
第1無線通信システムの使用が第2無線通信システムより優先される共用周波数帯を、前記第1無線通信システム及び前記第2無線通信システムで共用する周波数帯共用方法であって、
前記第1無線通信システムの無線局が、前記第2無線通信システムの送信局に対して、前記第1無線通信システムの負荷情報を報知する工程と、
前記第2無線通信システムの前記送信局が、報知された前記第1無線通信システムの負荷情報に基づいて、前記共用周波数帯を用いた自局からの第2無線通信システム信号の送信可否を判断する工程と、
前記第2無線通信システムの前記送信局が、前記共用周波数帯を用いて送信される前記第2無線通信システム信号により、前記第1無線通信システムの受信局に与える予想干渉電力を計算する工程と、
前記第2無線通信システムの前記送信局が、前記第1無線通信システムの前記無線局に対して、計算された前記予想干渉電力を報知する工程と、
前記第1無線通信システムの前記無線局が、報知された前記予想干渉電力に基づいて、前記共用周波数帯を用いて送信される第1無線通信システム信号の許容干渉レベルを上昇させる工程と
を有することを特徴とする周波数帯共用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−19203(P2011−19203A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164244(P2009−164244)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度 総務省「同一周波数帯における複数無線システム間無線リソース制御技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】