説明

無線端末装置、無線通信システム及び制御方法

【課題】通話中にリアルタイムで互いの位置情報を確認できる無線端末装置、無線通信システム及び制御方法を提供すること。
【解決手段】携帯電話機1aは、携帯電話機1bと無線通話接続中に送受信可能なデータバーストメッセージを用いて、位置測位の要求データを携帯電話機1bへ送信する測位要求部33と、データバーストメッセージを用いて、要求データに応じた測位結果データを携帯電話機1bから受信する測位結果受信部37と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS測位機能を有する無線端末装置、無線通信システム及び無線端末装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線端末装置には、例えば、親が子供の居場所を捜したり、緊急通報を受けて対象端末の位置を特定したりするために、位置確認機能が搭載されている場合がある。この位置確認機能は、一方向でのサービスであり、サーバから位置検索メッセージを対象端末へ送信し、メッセージを受信した対象端末の測位結果をサーバが通知する。
【0003】
また、無線端末装置の現在位置情報を取得するために、GPS(Global Positioning System)による測位サービスが提供されている。このサービスでは、無線端末装置は、GPS衛星の電波を捕捉するためのアシスト情報を、基地局を介して所定の測位サーバ(例えば、PDE;Position Determination Entity)から受信することが多い。
【0004】
このような状況において、例えば、特許文献1では、メールサービスを利用した双方向での位置確認方法が提案されている。この位置確認方法は、位置確認サービスセンタを介して、ショートメッセージにより互いの位置情報を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−184065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、通話と同時に利用できないメールサービスを利用するため、ユーザは、通話中にリアルタイムで互いの位置情報を確認することができない。また、端末間を仲介する位置確認サービスセンタ、ショートメッセージサービスセンタや、測位方式によってはアシスト情報を提供する測位サーバが必要である。したがって、両端末が各サービスを利用できる状態でなければならず、また、これらは通信事業者間を跨って利用できない場合もある。
【0007】
本発明は、通話中にリアルタイムで互いの位置情報を確認できる無線端末装置、無線通信システム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る無線端末装置は、外部端末と無線通話可能な無線端末装置であって、前記外部端末と無線通話接続中に送受信可能なメッセージを用いて、位置測位の要求データを前記外部端末へ送信する測位要求部と、前記メッセージを用いて、前記要求データに応じた測位結果データを前記外部端末から受信する測位結果受信部と、を備える。
【0009】
また、前記測位要求部は、3GPP2のIS−801準拠のデータフォーマットにより、前記メッセージを作成することが好ましい。
【0010】
また、前記測位要求部は、前記メッセージが規定のデータ長以内となるように、前記要求データを分割することが好ましい。
【0011】
また、前記測位要求部は、自端末が有している測位アシスト情報を、前記要求データとして前記外部端末へ送信することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る無線端末装置は、自端末が基地局から取得した当該基地局の位置情報と、前記外部端末が基地局から取得した当該基地局の位置情報とから、自端末と前記外部端末との概算距離を算出し、当該算出された概算距離に基づいて前記測位アシスト情報を作成するアシスト情報作成部を備えることが好ましい。
【0013】
また、前記アシスト情報作成部は、前記外部端末から基地局の位置情報を受信できない場合、前記概算距離を、所定の最大値として算出することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る無線端末装置は、自端末の位置を測位する測位部と、前記測位部により測位された結果データを、前記メッセージを用いて前記外部端末へ送信する測位結果送信部を備えることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る無線端末装置は、前記外部端末が有している測位アシスト情報を、当該外部端末から前記メッセージを用いて受信するアシスト情報受信部を備え、前記測位部は、自端末が有している測位アシスト情報と、前記アシスト情報受信部により受信された測位アシスト情報のうち、更新日時の新しい方を用いることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る無線端末装置は、前記測位結果受信部により取得された前記外部端末の位置と、前記測位部により取得された自端末の位置とに基づいて、前記外部端末の位置へ誘導するための報知を行う誘導部を備えることが好ましい。
【0017】
本発明に係る無線端末装置と、前記外部端末とを有する無線通信システムにおいて、前記外部端末は、前記要求データを受信した旨を報知する報知部を備える。
【0018】
また、前記外部端末は、前記要求データを受信すると、前記測位結果データの送信を許可するか否かの操作入力を受け付け、許可する操作入力を受け付けた場合にのみ、前記測位結果データを、前記無線端末装置へ送信することが好ましい。
【0019】
本発明に係る無線端末装置は、外部端末と無線通信可能な無線端末装置であって、前記外部端末と無線通話接続中に送受信可能なメッセージを用いて、前記外部端末から位置測位の要求データを受信する要求受信部と、前記位置測位の要求データを受信すると、位置測位を行う位置測位部と、前記位置測位の測位結果データを、前記メッセージを用いて前記外部端末へ送信する測位結果送信部と、を備える。
【0020】
本発明に係る制御方法は、外部端末と無線通話可能な無線端末装置の制御方法であって、前記外部端末と無線通話接続中に送受信可能なメッセージを用いて、位置測位の要求データを前記外部端末へ送信する測位要求ステップと、前記メッセージを用いて、前記要求データに応じた測位結果データを前記外部端末から受信する測位結果受信ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、無線端末装置間で、通話中にリアルタイムで互いの位置情報を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】実施形態に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る表示部における画面表示例を示す図である。
【図4】実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【図5】実施形態に係る概算位置情報取得処理を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係る端末判定処理を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る概算距離計算処理を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係るアシスト情報作成処理を示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係るアシスト情報判定処理を示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係る距離計算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態では、無線端末装置及び外部端末の一例として携帯電話機1を説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る携帯電話機1の外観斜視図である。
なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機の形態はこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが1つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でもよい。
【0025】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備えて構成される。操作部側筐体2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時や音声認識アプリケーションを利用時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定機能や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメールの文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。
【0026】
また、表示部側筐体3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22と、を備えて構成されている。
【0027】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(閉状態)にしたりできる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1の機能を示すブロック図である。
携帯電話機1は、操作部11と、表示部21と、制御部30と、通信部40と、GPS受信部50と、音声制御部60と、記憶部70とを備える。
【0029】
制御部30は、携帯電話機1の全体を制御しており、例えば、表示部21や通信部40等の各部に対して所定の制御を行う。また、制御部30は、操作部11や通信部40、GPS受信部50等から入力を受け付けて、各種処理を実行する。そして、制御部30は、処理実行の際には、記憶部70を制御し、各種プログラム及びデータの読み出し、及びデータの書き込みを行う。なお、本実施形態に係る制御部30の詳細機能は後述する。
【0030】
通信部40は、所定の使用周波数帯(例えば、2GHz帯や800MHz帯等)で外部装置(基地局)と通信を行う。そして、通信部40は、メインアンテナ41より受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給し、また、制御部30から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ41から外部装置に送信する。
【0031】
このように、通信部40は、基地局を介して音声通話の相手端末と音声データの送受信を行う。また、このとき通信部40は、音声通話の接続中に、アクセスチャネル又はトラフィックチャネルにおいて、データバーストメッセージ及びフラッシュウィズインフォメーションメッセージ等により、各種データを送受信可能である。以下、本実施形態では、データバーストメッセージを例に説明する。
【0032】
なお、データバーストメッセージ等のメッセージは、通信事業者の仕様により、データ長が制限される場合がある。そこで、制御部30は、送信すべきデータ量がこの制限以内であるか否かを判定し、制限を超える場合には、メッセージが規定のデータ長以内となるように、送信データを分割する。
【0033】
GPS受信部50は、GPSアンテナ51により受信したGPS衛星からの所定周波数帯の電波信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給する。なお、GPS受信部50及びGPSアンテナ51の機能は、それぞれ、通信部40及びメインアンテナ41が担ってもよい。
【0034】
音声制御部60は、制御部30の制御に従って、通信部40から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をレシーバ22に出力する。レシーバ22は、音声制御部60から供給された信号を外部に出力する。なお、この信号は、レシーバ22に代えて、又はレシーバ22と共に、スピーカ(図示せず)から出力されるとしてもよい。また、音声制御部60は、制御部30の制御に従って、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号を通信部40に出力する。通信部40は、音声制御部60から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をメインアンテナ41より出力する。
【0035】
記憶部70は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部30による演算処理に利用される。また、本実施形態に係る各種プログラムの他、GPS測位結果や測位のアシスト情報等を記憶する。
【0036】
次に制御部30の機能を詳述する。
制御部30は、測位部31と、アシスト情報作成部32と、測位要求部33と、アシスト情報受信部34と、報知部35と、測位結果送信部36と、測位結果受信部37と、誘導部38とを備える。
【0037】
測位部31は、所定の測位方式により、携帯電話機1の位置を測位する。
ここで、アシスト情報を測位サーバから取得する測位方式には、Assisted方式と、Based方式がある。Assisted方式では、携帯電話機1は、測位サーバから衛星捕捉補助情報(Acquisition Assistanceデータ)を受信し、GPS衛星をサーチする。サーチ結果は測位サーバに戻され、測位サーバにて位置計算が行われる。携帯電話機1は、位置計算の結果を受信し、測位結果として出力する。また、Based方式では、携帯電話機1は、基地局から衛星情報(Ephemerisデータ及びAlmanacデータ)を受信する。携帯電話機1は、受信した衛星情報に基づいて衛星捕捉補助情報を作成した後、衛星をサーチし、さらに、サーチ結果を測位サーバに送信することなく、自ら位置計算を行う。
【0038】
また、アシスト情報を測位サーバから取得しない測位方式には、Standalone方式がある。Standalone方式では、携帯電話機1は、測位のために基地局と通信を行わない。すなわち、携帯電話機1は、GPS衛星の信号を解読して、Ephemerisデータ及びAlmanacデータを自ら取得する。
【0039】
測位部31は、測位結果を記憶部70に記憶すると共に、取得したアシスト情報も記憶部70に記憶する。記憶されたアシスト情報は、次回の測位に利用可能であり、さらに、本実施形態においては、アシスト情報作成部によって音声通話の相手端末へ提供される。
【0040】
そして、測位部31は、自端末が取得した又は記憶しているアシスト情報、あるいはアシスト情報受信部34により相手端末から受信したアシスト情報を用いて測位を実行する。このとき、測位部31は、自端末が有しているアシスト情報と、アシスト情報受信部34により受信されたアシスト情報のうち、更新日時の新しい方を用いる。
【0041】
アシスト情報作成部32は、まず、自端末が位置登録されている基地局から通知されるシステムパラメータメッセージにより、自端末の概算位置情報として、この基地局の位置情報を取得する。また、アシスト情報作成部32は、相手端末が位置登録されている基地局から取得したこの基地局の位置情報を、相手端末の概算位置情報として、データバーストメッセージにより受信する。次に、アシスト情報作成部32は、自端末及び相手端末の概算位置情報から、自端末と相手端末との概算距離を算出する。
【0042】
そして、アシスト情報作成部32は、この算出された概算距離に基づいて、記憶部70に記憶されているアシスト情報を補正し、相手端末で測位時に利用可能なアシスト情報を作成する。具体的には、アシスト情報作成部32は、例えば、両端末間の距離が離れているほど、距離誤差分の時間的なずれが存在するため、このずれを補正するようにサーチウィンドウサイズ等のパラメータを設定する。
なお、アシスト情報作成部32は、相手端末から基地局の位置情報を受信できない場合、概算距離を、所定の最大値(例えば、65535m)として算出することとしてよい。
【0043】
測位要求部33は、データバーストメッセージを用いて、位置測位の要求データを相手端末へ送信する。この要求データには、記憶部70に記憶しているアシスト情報、又はアシスト情報作成部32により補正されたアシスト情報を含む。
【0044】
また、測位要求部33により送信されるアシスト情報は、例えば、CDMA2000_1x方式においては、3GPP2に規定されているIS−801準拠のデータフォーマットにより作成され、例えば、「Provide GPS Acquisition Assistance」、「Provide GPS Almanac」、「Provide GPS Ephemeris」として送信される。なお、W−CDMA方式やLTE(Long Term Evolution)方式の場合には、上記データフォーマットに相当するものを用いる。
【0045】
アシスト情報受信部34は、相手端末が記憶部70に記憶しているアシスト情報、又は相手端末のアシスト情報作成部32により補正されたアシスト情報を、相手端末からデータバーストメッセージを用いて受信する。
【0046】
報知部35は、相手端末から位置測位の要求データを受信した旨をユーザへ報知する。具体的には、報知部35は、表示部21への画面表示の他、所定の音声や振動の出力等によりユーザへ報知する。
【0047】
測位結果送信部36は、測位部31により測位された結果データを、データバーストメッセージを用いて相手端末へ送信する。ここで、制御部30は、相手端末から測位の要求データを受信すると、測位結果データの送信を許可するか否かの操作入力を受け付け、許可する操作入力を受け付けた場合にのみ、測位部31により測位を実行し、測位結果送信部36により測位結果データを送信する。
【0048】
図3は、本実施形態に係る表示部21における画面表示例を示す図である。
相手端末の位置確認を要求する携帯電話機1aは、携帯電話機1bと音声通話中に(A)、位置確認の操作入力を受け付けると、「相手位置確認中」と表示しつつ(B)、測位結果データの受信を待機する。
【0049】
すると、携帯電話機1bは、「相手に位置情報を通知しますか?」と表示すると共に(C)、測位結果データの送信を許可するか否かの操作入力を受け付ける。このとき、携帯電話機1bの制御部30は、所定の音声や振動の出力により、ユーザへ操作入力を促す。
【0050】
そして、携帯電話機1bが測位結果データの送信を許可した場合、携帯電話機1aは、測位結果データを受信し、携帯電話機1bの位置表示を行う(D)。表示内容は、緯度経度情報や住所情報の他、地図情報であってもよい。
【0051】
測位結果受信部37は、データバーストメッセージを用いて、要求データに応じて相手端末で測位された測位結果データを、相手端末から受信する。
【0052】
誘導部38は、測位結果受信部37により取得された相手端末の位置と、測位部31により取得された自端末の位置とに基づいて、自端末を相手端末の位置へ誘導するための報知を行う。具体的には、誘導部38は、例えば、予め用意されている複数種類の音声や振動パターンにより、相手端末との距離や方向を報知する。
【0053】
図4は、本実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。本処理において、携帯電話機1aと携帯電話機1bとは通話中であり、携帯電話機1aは、通話中に携帯電話機1bの測位結果を取得する。
【0054】
ステップS1において、携帯電話機1aは、位置測位の要求データの一部として、まず、データバーストメッセージを用いて、位置測位を許可するか否かの確認データを携帯電話機1bへ送信する。
【0055】
ステップS2において、携帯電話機1bは、ステップS1で受信した確認データに応じて、ユーザに位置測位の可否を問う画面を表示する。そして、携帯電話機1bは、ユーザから許可の旨の操作入力を受け付けた場合には、データバーストメッセージを用いて、位置測位を許可する旨の応答データを携帯電話機1aへ送信する。
【0056】
ステップS3において、携帯電話機1aは、概算位置情報取得処理(図5)により、自端末の概算位置情報(緯度・経度情報)を取得する。
【0057】
ステップS4において、携帯電話機1aは、携帯電話機1bの概算位置情報を取得するために、データバーストメッセージを用いて、IS−801に規定されている、PDEサーバとの通信用信号の1つである「Request Pilot Phase Measurement」なる要求信号を、携帯電話機1bへ送信する。
【0058】
ステップS5において、携帯電話機1bは、ステップS4のメッセージに応じて、概算位置情報取得処理(図5)により、自端末の概算位置情報(緯度・経度情報)を取得する。
【0059】
ステップS6において、携帯電話機1bは、ステップS4のメッセージに対する応答として、データバーストメッセージを用いて、IS−801に規定されている、やはりPDEサーバとの通信用信号の1つである「Provide Mobile Station Information」なる信号、及びステップS5で取得した概算位置情報を、携帯電話機1aへ送信する。
【0060】
ステップS7において、携帯電話機1aは、端末判定処理(図6)により、携帯電話機1bが本実施形態の機能を有しているか否か、すなわち制御部30における上述の各部を有しているか否かを判定する。
【0061】
ステップS8において、携帯電話機1aは、概算距離計算処理(図7)により、携帯電話機1aと携帯電話機1bとの概算距離を算出する。
【0062】
ステップS9において、携帯電話機1aは、アシスト情報作成処理(図8)により、測位用に携帯電話機1bへ提供するためのアシスト情報を作成する。
【0063】
ステップS10において、携帯電話機1aは、データバーストメッセージを用いて、IS−801に規定されている、PDEサーバとの通信用信号の1つである「Provide GPS Acquisition Assistance」、「Provide GPS Almanac」又は「Provide GPS Ephemeris」なる信号として、ステップS9で作成したアシスト情報を携帯電話機1bへ送信する。
このとき、携帯電話機1aは、記憶部70に記憶されている補正前のアシスト情報の更新日時を併せて送信する。
【0064】
ステップS11において、携帯電話機1aは、記憶部70に記憶されているアシスト情報を用いて、自端末の現在位置を測位する。なお、測位方式は、精度の高い方式(例えば、Based方式)が優先して選択され、測位処理に失敗した場合に、他の測位方式(例えば、Assisted方式)により再度測位される。
【0065】
ステップS12において、携帯電話機1bは、アシスト情報判定処理(図9)により、携帯電話機1aから受信したアシスト情報と、自端末が記憶部70に記憶しているアシスト情報とを比較し、測位精度が高いアシスト情報を判定する。
【0066】
ステップS13において、携帯電話機1bは、ステップS12で最も測位精度が高いと判定されたアシスト情報を用いて、自端末の現在位置を測位する。なお、ステップS11と同様に、測位方式は、精度の高い方式(例えば、Based方式)が優先して選択され、測位処理に失敗した場合に、他の測位方式(例えば、Assisted方式)により再度測位される。
【0067】
ステップS14において、携帯電話機1bは、データバーストメッセージを用いて、ステップS13の測位結果データを、携帯電話機1aへ送信する。
【0068】
ステップS15において、携帯電話機1aは、距離計算処理(図10)により、携帯電話機1bとの距離を算出し、さらに、携帯電話機1bの位置へ誘導するための報知を行う。
【0069】
図5は、本実施形態に係る概算位置情報取得処理を示すフローチャートである。
ステップS21において、制御部30は、記憶部70から、自端末の測位結果情報、及び位置登録されている基地局から受信したシステムパラメータメッセージのデータベースを読み込む。なお、測位結果情報及びシステムパラメータメッセージには、時刻情報と共に、基地局の緯度・経度情報が含まれている。
【0070】
ステップS22において、制御部30は、前回の測位結果情報がシステムパラメータメッセージより新しいか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS23に移り、判定がNOの場合、処理はステップS24に移る。
【0071】
ステップS23において、制御部30は、システムパラメータメッセージよりも新しい前回の測位結果情報を、概算位置情報として設定する。
【0072】
ステップS24において、制御部30は、測位結果情報よりも新しいシステムパラメータメッセージを、概算位置情報として設定する。
なお、システムパラメータメッセージを用いる場合、制御部30は、基地局のアンテナの指向性や電界強度、さらには、近隣基地局の緯度・経度情報等に基づいて、概算位置情報を設定してもよい。
【0073】
図6は、本実施形態に係る端末判定処理を示すフローチャートである。
ステップS31において、制御部30は、通話の相手端末から概算位置情報を受信したか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS32に移る。一方、判定がNOの場合、ウェイトタイマが満了するまで判定を繰り返し、YESとならなければ、処理はステップS34へ移る。
【0074】
ステップS32において、制御部30は、概算位置情報を受信できたので、端末判定情報(フラグ)を「OK」と設定する。
【0075】
ステップS33において、制御部30は、受信した概算位置情報を記憶部70に保存する。
【0076】
ステップS34において、制御部30は、ウェイトタイマ満了までの所定時間内に概算位置情報を受信できなかったので、端末判定情報(フラグ)を「NG」と設定する。
【0077】
図7は、本実施形態に係る概算距離計算処理を示すフローチャートである。
ステップS41において、制御部30は、端末判定処理(図6)で設定された端末判定情報が「OK」であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS42に移り、判定がNOの場合、処理はステップS44に移る。
【0078】
ステップS42において、制御部30は、記憶部70に記憶している自端末及び相手端末の概算位置情報から、2者間の距離を計算する。
【0079】
ステップS43において、制御部30は、ステップS42で計算された距離を、通話中である端末間の概算距離として設定する。
【0080】
ステップS44において、制御部30は、端末間の概算距離として、所定の設定可能な値のうちの最大値である「65535m」を設定する。
【0081】
図8は、本実施形態に係るアシスト情報作成処理を示すフローチャートである。
ステップS51において、制御部30は、自端末の記憶部70にEphemerisデータが存在するか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS52に移り、判定がNOの場合、処理はステップS53に移る。
【0082】
ステップS52において、制御部30は、記憶部70に記憶されているEphemerisデータを用いて、相手端末へ提供するためのアシスト情報を作成する。
【0083】
ステップS53において、制御部30は、自端末の記憶部70にAlmanacデータが存在するか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS55に移り、判定がNOの場合、処理はステップS54に移る。
【0084】
ステップS54において、制御部30は、自端末の記憶部70にアシスト情報が記憶されていないので、新たにデモジュレーションを実行し、アシスト情報を作成するためのAlmanacデータを取得する。
【0085】
ステップS55において、制御部30は、記憶部70に記憶されているAlmanacデータを用いて、相手端末へ提供するためのアシスト情報を作成する。
【0086】
ステップS56において、制御部30は、端末判定処理(図6)で設定された端末判定情報が「OK」であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS57に移り、判定がNOの場合、処理は終了する。
【0087】
ステップS57において、制御部30は、相手端末が概算位置情報を利用したGPS測位が可能であると判断し、作成したアシスト情報を、相手端末で使用するGPSエンジンに最適化したアシスト情報へ変換する。
【0088】
図9は、本実施形態に係るアシスト情報判定処理を示すフローチャートである。
簡単のため、アシスト情報は、Ephemerisデータ又はAlmanacデータであるとして説明する。
【0089】
ステップS61において、制御部30は、自端末の記憶部70にアシスト情報(Ephemerisデータ又はAlmanacデータ)が記憶されていないか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS62に移り、判定がNOの場合、処理はステップS63に移る。
【0090】
ステップS62において、制御部30は、受信したアシスト情報を、測位精度が高いアシスト情報と判定し、GPS測位に用いるアシスト情報に設定する。
【0091】
ステップS63において、制御部30は、自端末の記憶部70にEphemerisデータが記憶されていないか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS64に移り、判定がNOの場合、処理はステップS67に移る。
【0092】
ステップS64において、制御部30は、受信したアシスト情報がAlmanacデータであるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS65に移り、判定がNOの場合、処理はステップS62に移る。
【0093】
ステップS65において、制御部30は、自端末の記憶部70に記憶されているアシスト情報よりも、受信したアシスト情報の方が新しいか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS62に移り、判定がNOの場合、処理はステップS66に移る。
【0094】
ステップS66において、制御部30は、自端末の記憶部70に記憶されているAlmanacデータを、測位精度が高いアシスト情報と判定し、GPS測位に用いるアシスト情報に設定する。
【0095】
ステップS67において、制御部30は、受信したアシスト情報がEphemerisデータであるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS68に移り、判定がNOの場合、処理はステップS69に移る。
【0096】
ステップS68において、制御部30は、自端末の記憶部70に記憶されているアシスト情報よりも、受信したアシスト情報の方が新しいか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS62に移り、判定がNOの場合、処理はステップS69に移る。
【0097】
ステップS69において、制御部30は、自端末の記憶部70に記憶されているEphemerisデータを、測位精度が高いアシスト情報と判定し、GPS測位に用いるアシスト情報に設定する。
【0098】
図10は、本実施形態に係る距離計算処理を示すフローチャートである。
ステップS71において、制御部30は、自端末の測位結果情報と、相手端末の測位結果情報とから、両端末の距離を計算する。
【0099】
ステップS72において、制御部30は、ステップS71で計算された距離が処理以内(例えば、1km以内)であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS73に移り、判定がNOの場合、処理は終了する。
【0100】
ステップS73において、制御部30は、音声出力やバイブレーション出力によって、ユーザを相手端末の位置へ誘導するための報知を行う。
【0101】
以上の処理では、携帯電話機1bから携帯電話機1aへ測位結果を通知しているが、同様に、携帯電話機1aから携帯電話機1bへ測位結果を通知することも当然に可能である。
【0102】
また、測位用のアシスト情報についても、携帯電話機1aから携帯電話機1bへのみではなく、同様の手順により携帯電話機1bから携帯電話機1aへ通知することもできる。この場合、携帯電話機1aにおいても、アシスト情報判定処理(図9)が実行され、測位精度が最も高いアシスト情報が選択される。
【0103】
以上のように、本実施形態によれば、携帯電話機1は、データバーストメッセージ又はフラッシュウィズインフォメーションメッセージを用いることによって、端末間で、通話中にリアルタイムで互いの位置情報を確認できる。
【0104】
このとき、携帯電話機1は、3GPP2のIS−801準拠のデータフォーマットを使用するので、特定の通信事業者に依存することなく、位置情報を確認できる可能性がある。さらに、携帯電話機1は、メッセージのデータ長に制限がある場合にも、送信データを分割できるので、汎用性が向上する。
【0105】
また、携帯電話機1は、自端末が有しているアシスト情報を相手端末へ提供するので、相手端末は測位サーバからアシスト情報を取得する必要がなく、測位サーバの負荷が低減される。さらに、測位サーバで位置計算を行わない測位方式(例えば、Based方式)を用いる場合、測位サーバへの接続が不要となる。
【0106】
このとき、携帯電話機1は、端末間の概算距離に基づいてアシスト情報を補正するので、提供するアシスト情報の可用性が向上する。なお、相手端末の概算位置情報を取得できず概算距離が算出できない場合にも、概算距離として所定の最大値を設定することにより、例えば、サーチウィンドウサイズが拡大され、携帯電話機1は、アシスト情報の可用性を高められる。
【0107】
また、携帯電話機1は、相手端末からアシスト情報を受信した場合には、自端末が有しているアシスト情報と更新日時を比較し、新しい方を採用するので、GPS衛星の補足成功率が向上し、効率的にGPS測位を行える。
【0108】
また、携帯電話機1は、取得した相手端末の位置情報に基づいて、通話中に自端末を相手端末へ誘導するための報知を行うので、ユーザの利便性を向上できる。
【0109】
また、携帯電話機1は、相手端末から位置測位を要求された場合に、要求されたことをユーザに報知するので、自動的に個人情報が出力されるのを抑制し、測位結果を提供する側のユーザに安心感を与えられる。さらに、この報知に伴って、携帯電話機1は、測位結果の送信を許可するか否かの操作入力を受け付けるので、ユーザの意思に従って測位結果を提供できる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0111】
例えば、制御部30は、通話中の相手端末が利用している通信事業者情報を取得し、自端末と同じ通信事業者であれば、アシスト情報を、GPSエンジンが使用する最適フォーマットに変換して提供してもよい。これにより、相手端末におけるGPS測位処理が効率化される。一方、異なる通信事業者であれば、標準フォーマットを用いることにより、利用可能性が向上する。
【0112】
また、本発明に係る無線端末装置は、携帯電話機1には限られない。本発明は、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等、様々な装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0113】
1、1a、1b 携帯電話機(無線端末装置)
11 操作部
21 表示部
30 制御部
31 測位部
32 アシスト情報作成部
33 測位要求部
34 アシスト情報受信部
35 報知部
36 測位結果送信部
37 測位結果受信部
38 誘導部
40 通信部
41 メインアンテナ
50 GPS受信部
51 GPSアンテナ
60 音声制御部
70 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末と無線通話可能な無線端末装置であって、
前記外部端末と無線通話接続中に送受信可能なメッセージを用いて、位置測位の要求データを前記外部端末へ送信する測位要求部と、
前記メッセージを用いて、前記要求データに応じた測位結果データを前記外部端末から受信する測位結果受信部と、を備える無線端末装置。
【請求項2】
前記測位要求部は、3GPP2のIS−801準拠のデータフォーマットにより、前記メッセージを作成する請求項1に記載の無線端末装置。
【請求項3】
前記測位要求部は、前記メッセージが規定のデータ長以内となるように、前記要求データを分割する請求項2に記載の無線端末装置。
【請求項4】
前記測位要求部は、自端末が有している測位アシスト情報を、前記要求データとして前記外部端末へ送信する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線端末装置。
【請求項5】
自端末が基地局から取得した当該基地局の位置情報と、前記外部端末が基地局から取得した当該基地局の位置情報とから、自端末と前記外部端末との概算距離を算出し、当該算出された概算距離に基づいて前記測位アシスト情報を作成するアシスト情報作成部を備える請求項4に記載の無線端末装置。
【請求項6】
前記アシスト情報作成部は、前記外部端末から基地局の位置情報を受信できない場合、前記概算距離を、所定の設定可能値のうちの最大値として算出する請求項5に記載の無線端末装置。
【請求項7】
自端末の位置を測位する測位部と、
前記測位部により測位された結果データを、前記メッセージを用いて前記外部端末へ送信する測位結果送信部を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の無線端末装置。
【請求項8】
前記外部端末が有している測位アシスト情報を、当該外部端末から前記メッセージを用いて受信するアシスト情報受信部を備え、
前記測位部は、自端末が有している測位アシスト情報と、前記アシスト情報受信部により受信された測位アシスト情報のうち、更新日時の新しい方を用いる請求項7に記載の無線端末装置。
【請求項9】
前記測位結果受信部により取得された前記外部端末の位置と、前記測位部により取得された自端末の位置とに基づいて、前記外部端末の位置へ誘導するための報知を行う誘導部を備える請求項7又は請求項8に記載の無線端末装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の無線端末装置と、前記外部端末とを有する無線通信システムであって、
前記外部端末は、前記要求データを受信した旨を報知する報知部を備える無線通信システム。
【請求項11】
前記外部端末は、前記要求データを受信すると、前記測位結果データの送信を許可するか否かの操作入力を受け付け、許可する操作入力を受け付けた場合にのみ、前記測位結果データを、前記無線端末装置へ送信する請求項10に記載の無線通信システム。
【請求項12】
外部端末と無線通信可能な無線端末装置であって、
前記外部端末と無線通話接続中に送受信可能なメッセージを用いて、前記外部端末から位置測位の要求データを受信する要求受信部と、
前記位置測位の要求データを受信すると、位置測位を行う位置測位部と、
前記位置測位の測位結果データを、前記メッセージを用いて前記外部端末へ送信する測位結果送信部と、を備える無線端末装置。
【請求項13】
外部端末と無線通話可能な無線端末装置の制御方法であって、
前記外部端末と無線通話接続中に送受信可能なメッセージを用いて、位置測位の要求データを前記外部端末へ送信する測位要求ステップと、
前記メッセージを用いて、前記要求データに応じた測位結果データを前記外部端末から受信する測位結果受信ステップと、を含む制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−156849(P2012−156849A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15130(P2011−15130)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】