説明

無線装置

【課題】効率的に報知信号の到達距離を長くすること。
【解決手段】基地局装置10において、符号化部12は、報知すべき信号に対して誤り訂正符号化処理を実行する。サブチャネライゼーション部14は、符号化部12によって符号化された信号を複数のグループに分割する。制御部16は、分割部によって分割されたグループごとに、指向性パターンを制御する。また、制御部16は、分割部において分割された複数のグループのうちの少なくとも1つのグループに対して、無指向性となるように指向性パターンを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、特に、送信信号の指向性を制御する無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話システムや簡易型携帯電話システムは、ネットワークに接続された基地局装置に端末装置が接続されて構成される。端末装置は、基地局装置やネットワークを介して、他の端末装置との間で通信する。通信に先立って、端末装置は、基地局装置との間で、任意の制御チャネルにより同期を確立する。同期確立後、端末装置は、他の端末装置からの通話の要求、すなわち着呼があるまで、待ち受け状態を継続する。待ち受け状態において、端末装置は、基地局装置からの報知信号を受信し、所定のしきい値との比較結果に応じて、同期状態を維持する。
【0003】
報知信号は、基地局装置を中心とした所定の領域内のすべての端末装置に等しい確率で受信されることが望ましいため、無指向性の指向性パターン(以下、「オムニ送信」とも表記する。)で送信される。一方、通信特性の向上および伝送容量の増加を目的として、送信信号の指向性パターンを適応的に生成するアダプティブアレーアンテナ(Adaptive Array Antenna)送信(以下、「AAA送信」と表記する。)に関する技術が開発されている。この技術においては、基地局装置が、送信信号に対応した端末装置からの受信信号をもとに端末装置の方向を推定し、その方向にビームが向くように指向性パターンを制御している。
【0004】
従来、基地局装置は、任意の指向性パターンを適用して報知信号をAAA送信し、適用した指向性パターンに対応するしきい値を報知信号に含めることによって、端末装置における受信精度を向上させていた(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−176160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、AAA送信においては、オムニ送信よりも信号の到達距離が長くなる方向を有する一方で、オムニ送信よりも信号の到達距離が短くなる方向(以下、「ヌル」と表記する。)も有する。また、一般的に、報知信号は、対応した受信信号が存在しないため、適応的な指向性パターンの生成が困難となる。そのため、報知信号にAAA送信を適用する場合、端末装置が存在する方向に誤ってヌルが向き、報知信号の到達距離が短くなり、端末装置において受信が困難となる場合がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その総括的な目的は、効率的に報知信号の到達距離を長くするための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線装置は、報知すべき信号に対して誤り訂正符号化処理を実行する符号化部と、符号化部によって符号化された信号を複数のグループに分割する分割部と、分割部によって分割されたグループごとに、指向性パターンを制御する指向性制御部と、指向性制御部によって指向性パターンが制御された信号を報知する報知部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、効率的に報知信号の到達距離を長くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を具体的に説明する前に、まず、概要について述べる。本発明の実施形態は、AAA送信技術に関する。AAA送信においては、アンテナから送信される電波の放射方向が通信対象に向くように指向性を制御する。そのため、オムニ送信と比較して、基地局装置は、より遠い端末装置に信号を到達させることが可能となる。
【0011】
指向性の制御は、一般的に、送信信号に対して、ウエイト(Weight)演算を実行することによって実施される。ウエイト演算の処理は、端末装置からの上り信号をもとに作成したウエイトを下りの信号に反映することで、下りの信号について最適なAAA送信を実現する。しかしながら、最適なウエイト演算を行えない状況においては、ヌルが誤って端末装置に向いてしまう場合がある。このような場合、端末装置が下り信号を受信できず、通信環境が劣化してしまう。
【0012】
また、一般的に、報知信号は、位置登録のための情報、チャネル構造に関する情報、システム情報、あるいは、ページング情報などを含むため、セル内のすべての端末装置に到達させる必要がある。しかしながら、下りのみの片方向チャネルである報知信号は、対応する上り信号が存在しないため、ウエイトを制御することが困難となる。このため、報知信号による通信時は、通信エリアを拡大できないといった問題が発生することとなる。
【0013】
ここで、オムニ送信においては、一般的に、AAA送信ほど遠くまで信号を到達させることはできないが、ヌルを有さないため、基地局装置を中心とした領域内の端末装置に平均的に信号を到達させることができる。
【0014】
したがって、本発明の実施形態においては、AAA送信とオムニ送信とを組み合わせて用いることによって、報知信号を効率的に端末装置に到達させることとした。これにより、端末装置における同期維持性能を向上できる。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の基地局装置10の構成例を示す図である。基地局装置10は、符号化部12と、サブチャネライゼーション部14(Subchannelization Unit)と、制御部16と、変調部18と、ウエイト演算部20で代表される第1ウエイト演算部20aと第2ウエイト演算部20bと、アンテナ処理部22と、RF部24(Radio Frequency Unit)と、アンテナ26で代表される第1アンテナ26a〜第Nアンテナ26cを含む。なお、図1に示す基地局装置10は、本発明に関連する報知信号の送信に関する部分のみを記載しており、報知信号以外の信号の送信に関する部分や、受信に関する部分についての記載を省略している。
【0016】
制御部16は、符号化部12とサブチャネライゼーション部14に対して、符号化部12で実行される誤り訂正符号化処理における符号化率1/Nを通知する。なお、以下においては、説明の便宜上、符号化率=1/2と仮定する。
【0017】
符号化部12は、入力された報知信号に対して、制御部16により通知された符号化率1/2で、誤り訂正符号化処理を実行する。ここで実施される誤り訂正符号化処理は、畳込み符号化処理などの非組織符号化でもよいし、ターボ符号化処理などの組織符号化であってもよい。
【0018】
サブチャネライゼーション部14は、制御部16より通知された符号化率1/Nに応じて、(1)符号化部12で符号化された報知信号を複数のグループに分類し、(2)グループごとに複数のサブキャリアを割り当てる。符号化率が1/2の場合、サブチャネライゼーション部14は、符号化された報知信号を2つのグループに分割し、それぞれに複数のサブキャリアを割り当てて、第1グループ系列200aと第2グループ系列200bとを出力する。
【0019】
(1) 詳細は後述するが、図示しない端末装置は、基地局装置10との相対的な位置関係により、第1グループ系列200aと第2グループ系列200bのいずれか一方のみしか受信できない場合がある。そのような場合であっても、符号化部12に対応する端末装置内の復号処理部において元の報知信号を復元できるように、サブチャネライゼーション部14は、符号化部12から出力された報知信号を第1グループ系列200aと第2グループ系列200bとに分類する。
【0020】
たとえば、符号化部12において組織符号化が実行される場合、符号化部12の出力は、原信号とパリティ信号とに容易に分離できることとなる。このような場合、サブチャネライゼーション部14は、原信号を第1グループ系列200aとして出力し、パリティ信号を第2グループ系列200bとして出力すればよい。このように分類することによって、一方のみを受信した場合であっても、受信側の誤り訂正処理によって、元の報知信号を復元できることとなる。
【0021】
また、符号化部12において非組織符号化が実行された場合、サブチャネライゼーション部14は、符号化部12から出力されたビット系列{d1、d2、・・・、dk}を2つのグループに交互に割り当ててもよい。具体的には、サブチャネライゼーション部14は、第1グループ系列200aを{d1、d3、・・・、d(k−1)}とし、第2グループ系列200bを{d2、d4、・・・、dk}となるように分類してもよい。このように分類することによって、受信側においていずれか一方のみを受信した場合であっても、バースト的に信号が抜け落ちることがないため、受信側の誤り訂正処理において、元の報知信号を復元できることとなる。
【0022】
(2) また、サブチャネライゼーション部14は、2つのグループに分類した信号系列を複数のサブキャリアを有するサブキャリア群に割り当てる。サブキャリア群への割り当ては、2つのグループのそれぞれに属する第1グループ系列200aと第2グループ系列200bに対して、周波数軸上における複数のサブキャリアに交互に割り当てればよい。
【0023】
具体的に説明する。図2(a)〜(b)は、図1のサブチャネライゼーション部14におけるサブキャリアの割り当て例を示す図である。横軸は周波数を示す。図2(a)は、第1サブキャリア群400aと第2サブキャリア群400bとを含む。第1サブキャリア群400aは、第1グループ系列200aに割り当てられるサブキャリア群であり、第2サブキャリア群400bは、第2グループ系列200bに割り当てられるサブキャリア群である。
【0024】
図2(b)に示すマルチキャリア信号500は、図2(a)の第1サブキャリア群400aと第2サブキャリア群400bとが重畳された態様を示す。マルチキャリア信号500においては、第1グループ系列200aが割り当てられた第1サブキャリア群400aのそれぞれのサブキャリアと、第2グループ系列200bが割り当てられた第2サブキャリア群400bのそれぞれのサブキャリアとが交互に並ぶように配置される。このように配置されることによって、周波数選択性フェージングにより連続した周波数帯がダメージを受けたとしても、その影響を低減できることとなる。
【0025】
図1に戻る。変調部18は、サブチャネライゼーション部14によって分割された第1グループ系列200aと第2グループ系列200bに対して変調処理を実行し、ウエイト演算部20にそれぞれ出力する。
【0026】
ここで、制御部16は、第1ウエイト演算部20aと第2ウエイト演算部20bに対し、ウエイト係数を通知する。制御部16は、第1ウエイト演算部20aに対して、所定のウエイト係数を通知する。なお、ウエイト係数は、既知の方法により算出されてよい。また、アンテナ26の本数と同じ数だけ、ウエイト係数が通知される。同様に、制御部16は、第2ウエイト演算部20bに対して、無指向性の指向性パターンとなるようなウエイト係数を通知する。第1ウエイト演算部20a、第2ウエイト演算部20bに対して通知されるウエイト係数は、所定の時間間隔で変更される。
【0027】
たとえば、AAA送信を適用させる第1ウエイト演算部20aに対して、ビームの方向が基地局装置10を中心に回転するように、所定の時間ごとに変化するウエイト係数を通知したり、また、オムニ送信となるようなウエイト係数を通知する。また、オムニ送信を適用させていた第2ウエイト演算部20bに対して、所定の指向性を有するようなウエイト係数を通知してもよい。このように、所定の時間間隔で指向性を切り替えることによって、AAA送信におけるヌルを擬似的に消滅し、基地局装置10を中心とした通信可能エリアの面積を拡大することができる。
【0028】
そのため、基地局装置10から遠く離れた端末装置においては、ビームが向いている期間に限られるものの、報知信号を受信できる場合が発生する。この場合、ビームの向いていない期間においては報知信号の受信が困難になる。しかしながら、シミュレーション等により、指向性を変更すべき最適な時間間隔の長さを導出することによって、端末装置は、同期維持に問題のない程度に、報知信号を受信することができるようになる。また、報知信号を報知するたびに、ウエイト係数が変化するように設定してもよい。
【0029】
ここで、指向性制御の例について、具体的に説明する。図3(a)〜(d)は、図1のウエイト演算部20の出力の指向性パターンの例を示す図である。図3(a)は、AAA送信の場合の第1通信可能エリア700を示す図である。また、図3(a)は、基地局装置10と、端末装置50で代表される第1端末装置50aと第2端末装置50bとを含む第1通信システム100を示す。図3(a)での基地局装置10はAAA送信を実行しており、基地局装置10を中心とした第1通信可能エリア700の内側に存在する端末装置50との間で通信を実行する。また、図3(a)において、基地局装置10と第1端末装置50aとの距離は、基地局装置10と第2端末装置50bとの距離よりと同じものとする。
【0030】
図示するごとく、第1端末装置50aは、ヌル方向に存在し、第1通信可能エリア700の外側に存在しているため、基地局装置10からの電波は到達せず、基地局装置10との間の通信は実行できない。一方、第2端末装置50bは、基地局装置10との距離が第1ウエイト演算部20aと同等であるにもかかわらず、基地局装置10からのビームが第2端末装置50bの方向に向いているため、基地局装置10からの電波が到達し、基地局装置10との間の通信が可能となる。
【0031】
図3(b)は、オムニ送信の場合の第2通信可能エリア710を示す図である。また、図3(b)は、基地局装置10と、端末装置50で代表される第2端末装置50bと第3端末装置50cとを含む第2通信システム110を示す。図3(b)での基地局装置10はオムニ送信を実行しており、基地局装置10を中心とした第2通信可能エリア710の内側に存在する端末装置50との間で通信を実行する。また、図3(b)において、基地局装置10と第2端末装置50bとの距離は、基地局装置10と第3端末装置50cとの距離よりも長いものとする。
【0032】
図示するごとく、第2端末装置50bは、第2通信可能エリア710の外側に存在しているため、基地局装置10からの電波は到達せず、基地局装置10との間の通信は実行できない。一方、第3端末装置50cは、第2通信可能エリア710の内側に存在するため、基地局装置10からの電波が到達し、基地局装置10との間の通信が可能となる。図3(b)に示すオムニ送信は、図3(a)に示すAAA送信ようにヌルが存在しないものの、AAA送信におけるビーム方向の通信可能距離に比べ、通信可能距離が短くなる。
【0033】
このように、端末装置は、図3(a)に示すAAA送信の場合には基地局装置10との位置関係により、図3(b)に示すオムニ送信の場合には基地局装置10との距離により、それぞれ通信が制限される。したがって、本実施形態においては、AAA送信とオムニ送信とを組み合わせて用いることとした。特に、符号化部12における符号化方法に応じてサブチャネライゼーション部14によって分類されたグループごとに、AAA送信とオムニ送信とをそれぞれ適用し、さらに、AAA送信におけるビームの方向を所定の時間間隔で回転させることによって、効果的に信号の到達距離を伸ばしている。
【0034】
図3(c)は、AAA送信とオムニ送信とを組み合わせた場合の第3通信可能エリア720を示す図である。第3通信可能エリア720は、図2(b)のマルチキャリア信号500におけるすべてのサブキャリアで平均したときのエリアを示す。また、図3(c)は、基地局装置10を含む第3通信システム120を示す。図3(c)での基地局装置10は、AAA送信とオムニ送信との双方を組み合わせて実施しているため、基地局装置10を中心とした第3通信可能エリア720の内側に存在する端末装置50との間で通信の実行が可能となる。図示するごとく、第3通信可能エリア720は、第1通信可能エリア700と第2通信可能エリア710とを重畳したエリアとなり、エリアの面積を増加させている。
【0035】
図3(d)は、図3(c)の第3通信可能エリア720を回転させた場合の第4通信可能エリア730の態様を示す。第4通信可能エリア730は、所定の時間長で平均した場合のエリアを示す。また、図3(d)は、基地局装置10と第1端末装置50aと第2端末装置50bと第3端末装置50cとを含む第4通信システム130を示す。図3(d)での基地局装置10は、AAA送信とオムニ送信を実行している。基地局装置10は、さらに、AAA送信におけるビームの方向を定期的に変更して、基地局装置10を中心として回転させている。そのため、第4通信可能エリア730は、第3通信可能エリア720を回転させたような円状の外縁を有する態様となる。また、図3(d)において、基地局装置10と第1端末装置50aとの距離は、第2端末装置50bとの距離とほぼ等しく、また、第3端末装置50cとの距離よりも長いものとする。
【0036】
図3(d)に図示する第2通信可能エリア710と第4通信可能エリア730との間のエリアは、AAA送信による報知信号のみが到達可能なエリアである。そのため、このエリアに存在する第1端末装置50a、第2端末装置50bにおいては、報知信号の全体の半分の信号、具体的には、図1の第1グループ系列200aに相当する部分の信号しか到達せず、第2グループ系列200bに相当する部分の信号は到達しない。さらに、報知信号の全体の半分の信号でさえも、全ての時間帯において到達するものではない。しかしながら、誤り訂正復号等を用いることによって、第1端末装置50a、第2端末装置50bは、報知信号を取得することができ、基地局装置10との間の同期を維持できることとなる。一方、第2通信可能エリア710は、AAA送信とオムニ送信の双方の通信可能領域である。そのため、このエリアの内部に存在する第3端末装置50cは、第1グループ系列200aと第2グループ系列200bとに相当する報知信号の全てを受信できるため、第1端末装置50a、第2端末装置50bよりも精度よく、報知信号を取得できる。
【0037】
以上により、AAA送信の特徴であるヌル方向における受信不可能なエリアを擬似的に消滅できるため、全体の通信可能範囲は、第3通信可能エリア720のようになる。また、時間的にウエイト係数を変更してビームの方向を回転させることで、図3(b)に示すオムニ送信の第2通信可能エリア710より広い面積をもつ第4通信可能エリア730のようにできる。これらの態様により、基地局装置10により近い端末装置に対しては確実に報知信号を受信させることができる一方、基地局装置10から相対的に遠い端末装置に対しても、一定の確度をもって、報知信号を受信させることができることとなる。
【0038】
図1に戻る。第1ウエイト演算部20aは、制御部16から通知されたウエイト係数を用いて、変調部18から出力された信号に対してウエイト演算処理を実行して、アンテナ処理部22に出力する。このウエイト演算処理は、図2(a)に示す第1サブキャリア群400aのそれぞれのサブキャリアごとに、アンテナ26の本数分だけ実行される。したがって、アンテナ処理部22に出力される信号の本数は、第1サブキャリア群400aに含まれるサブキャリアの個数にアンテナ26の本数を乗じた数となる。同様に、第2ウエイト演算部20bは、変調部18から出力された信号に対してウエイト演算処理を実行して、アンテナ処理部22に出力する。
【0039】
アンテナ処理部22は、第1ウエイト演算部20aと第2ウエイト演算部20bとから出力された信号に対して、対応するアンテナ26ごとに、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理などを実行する。アンテナ処理部22から出力される信号の数は、アンテナ26の本数と同じである。RF部24は、IFFT処理が実行されたアンテナ26ごとの信号に対して、フィルタ処理などの高周波信号処理を実行し、対応するアンテナ26から送信する。
【0040】
上述したこれらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0041】
本発明の実施形態における動作は、概ね、以下のような順序で実行される。
(1)符号化部12における符号化率1/2にしたがって、符号化された報知信号を2つのグループに分類する。
(2)一方のグループに対して、AAA送信のためのウエイト演算処理を実行する。
(3)他方のグループに対して、オムニ送信のためのウエイト演算処理を実行する。
(4)ウエイト演算した2つのグループを混在させて報知する。
(5)(2)においてウエイト演算に用いられているウエイト係数を所定の時間間隔で変更する。また、(2)、(3)において対象となっていたそれぞれのグループを入れ替える。
【0042】
以上の態様によると、誤り訂正符号化の方法に応じて分類されたグループごとに指向性パターンを制御することによって、一方のグループのみを受信した場合であっても、受信側の誤り訂正処理によって、元の報知信号を復元できることとなる。また、同期を容易に維持できる。また、2つのグループに交互にサブキャリアに割り当てることによって、受信側においていずれか一方のみを受信した場合であっても、バースト的に信号が抜け落ちることがないため、受信側の誤り訂正処理において、元の報知信号を復元できることとなる。また、所定の時間間隔で指向性を切り替えることによって、AAA送信におけるヌルを擬似的に消去し、基地局装置10を中心とした通信可能エリアの面積を拡大することができる。
【0043】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0044】
本発明の実施形態において、図1のアンテナ処理部22においてIFFT演算を実行することによって、マルチキャリア通信を実行するものとして説明した。しかしながらこれにかぎらず、たとえば、TDMA(Time Division Multiplex Access)やCDMA(Code Division Multiple Access)などの通信方式により、通信が実施されてもよい。このような場合、サブチャネライゼーション部14において、各グループを所定の時間領域に割当て、もしくは、所定のコードを割り当てることによって、前述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0045】
また、前述においては、符号化率を1/2として説明したが、これにかぎらず、1/N(Nは任意の正の整数)の符号化率、たとえば、1/3や1/4などの符号化率であってもよい。この場合、サブチャネライゼーション部14は報知信号をN個のグループに分け、ウエイト演算部20はオムニ送信する1つのグループと、AAA送信する(N−1)個のグループに対して、それぞれウエイト演算処理すればよい。このような態様により、オムニ送信するグループの割合を低減できるとともに、より遠くまで到達させられるAAA送信を適用するグループの数を増加できるため、効率よく報知信号を遠くまで到達させることができ、報知信号を受信できる端末装置50の台数を増加できる。また、制御部16において、AAA送信する(N−1)個のグループに対するウエイト係数をそれぞれ異なるように設定し、それぞれビームの方向を異ならせることによって、より広い範囲のエリアを同時にカバーすることができる。そのため、AAA送信におけるウエイト係数を切り替える所定の時間間隔をより長めに設定することが可能となり、通信の安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態の基地局装置の構成例を示す図である。
【図2】図2(a)〜(b)は、図1のサブチャネライゼーション部におけるサブキャリアの割り当て例を示す図である。
【図3(a)(b)】図3(a)〜(b)は、図1のウエイト演算部の出力の指向性パターンの例を示す図である。
【図3(c)(d)】図3(c)〜(d)は、図1のウエイト演算部の出力の指向性パターンの例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10 基地局装置、 12 符号化部、 14 サブチャネライゼーション部、 16 制御部、 18 変調部、 20 ウエイト演算部、 22 アンテナ処理部、 24 RF部、 26 アンテナ、 50 端末装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知すべき信号に対して誤り訂正符号化処理を実行する符号化部と、
前記符号化部によって符号化された信号を複数のグループに分割する分割部と、
前記分割部によって分割されたグループごとに、指向性パターンを制御する指向性制御部と、
前記指向性制御部によって指向性パターンが制御された信号を報知する報知部と、
を備えることを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記指向性制御部は、前記分割部において分割された複数のグループのうちの少なくとも1つのグループに対して、無指向性となるように指向性パターンを制御することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記報知部から報知される信号は複数のサブキャリアにて形成されており、前記指向性制御部によって指向性パターンが制御されたそれぞれのグループに対して、互いに異なる指向性パターンとなるように制御されたグループ同士が周波数軸上で隣り合うように、サブキャリアを割り当てる割当部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線装置。
【請求項4】
前記指向性制御部は、前記報知部において報知される信号を単位にして、指向性の制御の方法を切り替えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)(b)】
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【図3(c)(d)】
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【公開番号】特開2009−55232(P2009−55232A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218872(P2007−218872)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】