説明

無線送信機のアンテナ取出機構

【課題】筐体内部に収納されたアンテナの軸方向に更にスペースを確保できない場合でも、アンテナをワンタッチで容易に取り出すことができるアンテナ取出機構を設ける。
【解決手段】取り付け・取り外し自在なロッドアンテナ3を有し、取り外したロッドアンテナ3を筐体2の収納部5に収納可能な無線送信機1において、収納されるロッドアンテナ3を摺動ガイドするベース部材11と、収納部5に収納されたロッドアンテナ3の後端面に当接した押出部23を備え、収納されたロッドアンテナ3に並列して設けられるとともにロッドアンテナ3の軸方向と平行にスライド移動するスライダー21と、スライダー21を収納口4側に向けて付勢する引張バネ31と、収納口4から挿入されるロッドアンテナ3に押出部23を介して押されたアンテナ押出手段21を引張バネ31の付勢に抗して所定位置に保持し且つ保持状態を解除可能なロック手段45とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り付け・取り外し自在なロッドアンテナを筐体内部に収納可能とした無線送信機において、収納されたロッドアンテナを容易に取り出すためのアンテナ取出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、無線電波を送信して飛行機、車、船舶などの模型(被操縦体)を遠隔制御する無線送信機には、下記特許文献1などに開示されるように無線送信機本体(筐体)正面の左右にそれぞれ操作スティックが設けられたものがある。使用者は、この筐体を両手で左右から挟み込むように持ったまま親指などで操作スティックを上下左右に傾倒させて被操縦体を遠隔制御する。
また、無線送信機は筐体上部に伸縮式のロッドアンテナを有している。このロッドアンテナは筐体に対して取り付け・取り外しできるものがあり、さらに、取り外したロッドアンテナが筐体内部に収納されるものがある。
【0003】
上記のようなアンテナ収納可能な無線送信機では、操作中に使用者の手に触れて不快感を与えないようにするため、ロッドアンテナを収納する収納部を筐体下部に設けることが本来望ましい。
しかしながら、これまでは使用者が筐体を安定して持つことができるようにバッテリーなどが筐体下部に配置されていたことから、筐体下部に収納部を設けるだけのスペースが無かった。このため、収納部は筐体側面の中央付近に収納口を設け、ロッドアンテナを筐体の幅方向に収納するようなものとなっていた。
ところが、最近ではリチウム電池などの使用によってバッテリーが小型化されたことで筐体下部にロッドアンテナを収納できるスペースが確保できるようになり、ロッドアンテナは筐体下部に収納されるようになっている。
【0004】
ところで、上述したような、筐体内部に収納されたロッドアンテナを取り出すときは、これまで筐体の収納口から僅かに出ているアンテナの先端部を手指で摘んで引っ張り出していたが、ロッドアンネナが伸縮式であるため、アンテナ先端部を引っ張るときにロッドアンテナが伸張してしまうことがあって取り出し難かった。
【0005】
そこで、アンテナを容易に取り出すために下記特許文献2、3などに開示されるようなアンテナ取出機構を無線送信機に採用することが考えられる。
下記特許文献2は、押出移動可能なアンテナと、摺動可能な可動筒と固定筒との筒内閉空間の容積変化を伴ってアンテナを押し出すアンテナ押出機構と、アンテナの押出をロックするロック機構とを備えたアンテナ装置であり、可動筒が固定筒の外側に嵌合し且つ外周面に係止部が形成され、ロック機構がこの係止部と係合してロックする。このアンテナ装置では、アンテナが携帯無線機内へ押し込まれてロックされているときに、ロックが解除されると、アンテナ押出機構によってアンテナが押し出される。
【0006】
また、下記特許文献3は、ボディに出没可能なアンテナを有し、このアンテナをワンタッチで突出させるように構成したアンテナ出没機構であり、アンテナを押し込むことによりアンテナをボディ内に係止して没入位置に保持し、ボディ側面に突出する操作用突起を押すことにより前記没入位置での保持を解除してアンテナをボディから突出させる。
【特許文献1】意匠登録第1239273号公報
【特許文献2】特開平9−223909号公報
【特許文献3】実用新案登録第3032123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2、3に開示されるアンテナ取出機構は、共にアンテナの同軸上に圧縮バネが設けられたものであり、筐体内部に収納されたアンテナの後方にバネを設けるためのスペースが必要となるが、上述したような被操縦体を遠隔制御する無線送信機などに使用されるロッドアンテナは比較的長いため筐体内部にアンテナの軸方向に更にスペースを確保することが難しいという問題がある。
なお、上記特許文献2、3の発明は、携帯電話機に用いられるアンテナの取出機構であり、取り出す対象となるアンテナは非常に軽いものであり、アンテナを押し出すバネにも小型のものを使用することができる。ところが、上述した無線送信機に用いるロッドアンテナは長いうえに重量もあるため小型のバネでは確実に押し出すことができないことがある。したがって、筐体内部におけるロッドアンテナの後方に僅かなスペースがある程度ではこのアンテナを押し出すほどの付勢力を有したバネを設けることは難しい。
【0008】
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、筐体内部に収納されたロッドアンテナの軸方向に更にスペースを確保できない場合でも、ロッドアンテナを押し出す機構を設けることができ、且つ収納されたロッドアンテナをワンタッチで容易に取り出すことができるアンテナ取出機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の無線送信機のアンテナ取出機構10は、筐体2に対して取り付け・取り外し自在なロッドアンテナ3を有し、前記筐体2から取り外した前記ロッドアンテナ3を前記筐体2の収納口4から挿入して該筐体2内部に収納可能とした無線送信機1において、
前記収納口4から挿入される前記ロッドアンテナ3を摺動ガイドする摺動レール部13が設けられたベース部材11と、
前記筐体2内部に収納された前記ロッドアンテナ3の後端面に当接し、該ロッドアンテナ3の軸方向に移動するアンテナ押出手段21と、
前記筐体2内部に収納された前記ロッドアンテナ3の軸方向から外れた位置に設けられ、前記アンテナ押出手段21を前記収納口4側に向けて付勢する付勢手段31と、
前記収納口4から挿入される前記ロッドアンテナ3に押された前記アンテナ押出手段21を前記付勢手段31の付勢に抗して所定位置に保持し、且つ前記保持状態を解除するロック手段45と、
を具備することを特徴としている。
【0010】
また、請求項2記載の無線送信機のアンテナ取出機構10は、筐体2に対して取り付け・取り外し自在なロッドアンテナ3を有し、前記筐体2から取り外した前記ロッドアンテナ3を前記筐体2の収納口4から挿入して該筐体2内部に収納可能とした無線送信機1において、
前記収納口4から挿入される前記ロッドアンテナ3を摺動ガイドする摺動レール部13が設けられたベース部材11と、
前記筐体2内部に収納された前記ロッドアンテナ3の後端面に当接している押出部23が設けられ、前記収納されたロッドアンテナ3に並列して設けられるとともに該ロッドアンテナ3の軸方向と平行にスライド移動するアンテナ押出手段21と、
前記筐体2内部に収納された前記ロッドアンテナ3の軸方向から外れた位置に設けられ、前記アンテナ押出手段21を前記収納口4側に向けて付勢する付勢手段31と、
前記収納口4から挿入される前記ロッドアンテナ3に前記押出部23を介して押された前記アンテナ押出手段21を前記付勢手段31の付勢に抗して所定位置に保持し、且つ前記保持状態を解除するロック手段45と、
を具備することを特徴としている。
【0011】
さらに、請求項3記載の無線送信機のアンテナ取出機構10は、前記ロック手段45は、前記ベース部材11に設けられた孔部14と、前記アンテナ押出手段21に設けられた凸部22とからなり、
前記ロッドアンテナ3に押された前記アンテナ押出手段21が前記所定位置に到達したところで、前記凸部22が前記孔部14に嵌まり込んでロックすることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4記載の無線送信機のアンテナ取出機構10は、前記筐体2内部に収納された前記ロッドアンテナ3を該筐体2内部に保持するためのアンテナ保持手段が設けられることを特徴としている。
【0013】
さらに、請求項5記載の無線送信機のアンテナ取出機構10は、前記アンテナ保持手段は、前記ロッドアンテナ3の後端側外周面に形成された溝6と、前記アンテナ押出手段21に設けられた突起24とからなり、
前記ロッドアンテナ3の前記溝6に前記突起24が係合して前記ロッドアンテナ3を前記筐体2内部に保持することを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、筐体2内部(収納部5)に収納されたロッドアンテナ3に並列してアンテナ押出手段21を設けたことで、アンテナ3の軸方向にスペースが確保できない場合でも、収納されたロッドアンテナ3を押し出すための機構を設けることが可能となる。
また、収納されたロッドアンテナ3の後端面は、付勢手段31の付勢に抗して保持されたアンテナ押出手段21の押出部23に当接している。したがって、この保持状態を解除するとアンテナ押出手段21がロッドアンテナ3の軸方向に沿って奥側から収納口4側へとスライド移動し、これに伴い押出部23がアンテナ軸方向に移動することでロッドアンテナ3を押し出すことが可能となる。
さらに、収納口4から挿入されるロッドアンテナ3が付勢手段31の付勢に抗してアンテナ押出手段21を収納部5の奥側へと押し込む。ロッドアンテナ3に押されたアンテナ押出手段21は、所定位置に到達したところで凸部22がベース部材11に設けられた孔部14に嵌まり込んでロックされ所定位置に保持される。
また、アンテナ押出手段21に設けられた突起24が、ロッドアンテナ3の後端部外周面に形成された溝6と係合することによりロッドアンテナ3を収納部5に保持できるようになる。
なお、一般的に伸縮式のロッドアンテナ3などには、設計上の理由によりアンテナ後端部の外周面に環状の溝6が形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明による無線送信機のアンテナ取出機構によれば、筐体内部に収納されたロッドアンテナに並列してこのアンテナを押し出すアンテナ押出手段を設けたことで、収納されたロッドアンテナの軸方向にアンテナ押出手段を設けるスペースが確保できない場合でも、ロッドアンテナを押し出すための機構を設けることができるようになる。
また、ロック手段を構成している凸部を手指などで押して孔部との嵌合状態を解除することでロックが解除され、付勢されたアンテナ押出手段のスライド移動によってロッドアンテナが押し出される。つまり、凸部を手指で押すという簡単な操作で自動的にロッドアンテナが押し出され、収納されたロッドアンテナをワンタッチで容易に取り出すことができるようになる。
【0016】
さらに、アンテナ押出手段に設けられた突起が、ロッドアンテナの後端部外周面に形成された溝と係合することによりロッドアンテナを筐体内部に保持できる。これにより、筐体内部に収納されたロッドアンテナが筐体から脱落することを防止できるとともに、ロック手段を解除して押し出されたロッドアンテナが勢い余って飛び出してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明による無線送信機のアンテナ取出機構を備えた無線送信機を示す斜視図、図2は同無線送信機の背面図、図3は図2におけるA−A端面図、図4はアンテナ取出機構の分解斜視図である。
【0018】
まず最初に、本実施の形態のアンテナ取出機構を備えた無線送信機について簡単に説明する。
図1に示すように、この無線送信機1は、無線電波を送信して被操縦体としての飛行機、車、船舶などの模型を遠隔制御するものであり、例えば、無線送信機本体2(筐体)の正面左右にそれぞれ設けられた操作スティックを上下左右に傾倒させるなどして複数チャンネルの制御を行うことができる。
【0019】
また、図1、2に示すように、無線送信機1は、取り付け・取り外し自在の伸縮式ロッドアンテナ3を有している。このロッドアンテナ3は、無線送信機1使用時には筐体2の上部に取り付けられ、不使用時には筐体2から取り外されて筐体2の下部に設けられた収納口4から挿入されて筐体内部の収納部5に収納される。なお、一般的にロッドアンテナ3の後端部の外周面には環状の溝6が形成されている。また、このような無線送信機1に使用されるロッドアンテナ3は比較的長いため、これまで筐体2に収納部5のスペースを確保することが困難であったが、最近ではバッテリーの小型化などにより筐体2に収納部5を設けることが可能となった。
【0020】
ここから、本発明の主要部分であるアンテナ取出機構について説明する。
図1、3に示すように、本実施の形態のアンテナ取出機構10は筐体2下部に設けられ、上述したロッドアンテナ3の収納部5を構成している。
図4に示すように、このアンテナ取出機構10は、ベース部材11と、アンテナ押出手段21と、付勢手段31と、カバー部材41と、ロック手段45とで略構成されている。
【0021】
ベース部材11は、底部12の上面にロッドアンテナ3を摺動させるとともに、ロッドアンテナ3を軸方向に収納する収納部5の一部を構成する摺動レール部13が設けられている。この摺動レール部13には、収納口4側から奥側にかけてロッドアンテナ3が配置される。摺動レール部13上の収納口側の所定位置には略矩形の孔部14が設けられている。また、摺動レール部13上の奥側にはこの摺動レール部13の長手方向に沿った凸条レール15が設けられている。凸条レール15の収納口4側の端部には、底部12から連続する緩やかな傾斜面が形成されている(図9参照)。さらに、底部12の上面には、後述する係止柱43が上方から嵌め込まれる受部16が設けられている。
【0022】
アンテナ押出手段としてのスライダー21は、前記摺動レール部13の長手方向に延びた略矩形の長体であり、収納口4側の端部下面に略矩形の凸部22が下向きに突出して設けられている。また、スライダー21の奥側の端部における内方側面には略円柱状の押出部23が突設されている。この押出部23近傍にはロッドアンテナ3の溝6と係合される略三角柱状の突起24が設けられている。この突起24が摺動レール部13に配置されたロッドアンテナ3の溝6と係合することでアンテナ保持手段となる。さらに、突起24の基端側は板バネ25となっている。また、スライダー21の奥側端部には、後述する付勢手段の他端を係止するための略鉤状の係止爪26が設けられている。このスライダー21は、摺動レール部13に配置されるロッドアンテナ3と並列して設けられ、ロッドアンテナ3の軸方向と平行にスライド移動可能に構成されている。
【0023】
付勢手段としての引張バネ31は、両端に係止リング32,32を備えており、一端側リング32が後述するカバー部材41の係止柱43に係止され、他端側リング32が前記スライダー21の係止爪26に係止されてスライダー21を収納口4側に向けて付勢するようになる。また、この引張バネ31は、前記ベース部材11の摺動レール部13上から外れた位置に設けられる。本実施の形態では、引張バネ31は、スライダー21と同様にロッドアンテナ3と並列して設けられている。
【0024】
前述したカバー部材41は、収納口4側の端部にロッドアンテナ3の外周面と略同等の曲面に形成されたルーフ部42が設けられ、奥側の端部に前記受部16に嵌合し前記引張バネ31の係止リング32を係止する係止柱43が設けられている。このカバー部材41は、前記ベース部材11に取り付けられベース部材11の摺動レール部13と共にロッドアンテナ3の軸方向への摺動をガイドするとともに、ロッドアンテナ3を収納する収納部5を形成している。
【0025】
前記ベース部材11の孔部14と、前記スライダー21の凸部22とが嵌合することでロック手段45を構成している。また、ロック手段45は、スライド移動するスライダー21が所定位置に到達したところで構成される。
【0026】
次に、図5〜8を参照して本実施の形態のアンテナ取出機構にロッドアンテナが収納されたときのこの取出機構を構成する各部の動作について説明する。
図5、7は本発明による無線送信機のアンテナ取出機構にロッドアンテナが収納されたときの各部の動作を示す平面図、図6、8は同底面図、図9(a),(b)はロック手段のロック動作を示す模式的な正面断面図、図10はロック手段を示す模式的な平面図である。
【0027】
まず、図5に示すように、後端部を先行させたロッドアンテナ3が、ベース部材11の摺動レール部13上を軸方向に摺動しながら収納部5の奥側へと挿入される。このとき、ロッドアンテナ3の後端面がアンテナ押出手段としてのスライダー21の押出部23に当接するとともに、ロッドアンテナ3の溝6とスライダー21の突起24とが係合してロッドアンテナ3を収納部5に保持する。
なお、図6に示すように、スライダー21の下面に設けられた凸部22の進行方向にはベース部材11の孔部14がある。
【0028】
次に、図7に示すように、ロッドアンテナ3を更に奥側へと挿入させると、ロッドアンテナ3は押出部23を介してスライダー21を奥側へと押し込む。このとき、付勢手段である引張バネ31の両端がカバー部材41の係止柱43とスライダー21の係止爪26とに係止されているため、ロッドアンテナ3は引張バネ31の付勢に抗してスライダー21を押し込むこととなる。
そして、図8に示すように、ロッドアンテナ3に押されたスライダー21が所定位置に到達したところで、ロック手段45を構成するベース部材11の孔部14にスライダー21の凸部22が嵌入してスライダー21をロックし、スライダー21を収納口4側に向けて付勢させた状態でこの位置に保持する。
【0029】
ここで、図9、10を参照してロック手段によりロックされるときのスライダーの動作について述べる。
図9(a)に示すように、ロッドアンテナ3に押されたスライダー21は、ベース部材11の凸条レール15の傾斜面にガイドされてこの凸条レール15に乗り上げる。そして、図9(b)に示すように、ベース部材11の孔部14に凸部22が嵌入されたとき、つまりロックされたときにスライダー21の一端側が持ち上がった状態となり、スライダー21の他端側(凸部22が設けられた側)が下方に沈むように応力がかかるようになる。このとき、図10に示すように、スライダー21の凸部22と、ベース部材11の凸条レール15とが対向する位置関係となっていることで効果的に凸部22を下方へと押えることができる。
このような構成としたことで、凸部22が孔部14に嵌入した状態を確実に保持することが可能となり、また、ロック手段45によるロックの経時的な劣化を防ぐことができるようになる。
【0030】
次に、収納部に収納されたロッドアンテナを取り出すときの手順及び本実施の形態のアンテナ取出機構の各部の動作について説明する。
使用者が収納部5に収納されたロッドアンテナ3を取り出すためには、手指などで筐体2底面の凸部22(ボタン)を押してやることで孔部14から外れてロックが解除される。この結果、これまで引張バネ31によって付勢されていたスライダー21の付勢が解除され、スライダー21が収納口4側にスライド移動する。これに伴い押出部23がロッドアンテナ3の後端面を収納口4側に押してこのロッドアンテナ3を収納口4から押し出す。このとき、ロッドアンテナ3は、収納口4からアンテナ全長の約半分ほどが表出し、その後、使用者によって抜き取られる。
【0031】
この実施の形態によれば、収納部5に収納されたロッドアンテナ3に並列してこのロッドアンテナ3を押し出すためのスライダー21を設けたことで、アンテナ3の軸方向にスペースが確保できない場合でも、ロッドアンテナ3を押し出すための機構を設けることが可能となる。
【0032】
また、収納部5に収納されたロッドアンテナ3の後端面は、引張バネ31の付勢に抗したスライダー21の押出部23に当接している。したがって、ロック手段45によるロックを解除するとスライダー21がロッドアンテナ3の軸方向に沿って奥側から収納口4側へとスライド移動し、これに伴い押出部23がロッドアンテナ3の軸方向に移動することでロッドアンテナ3を筐体2外に押し出すことが可能となる。
【0033】
さらに、このようなアンテナ取出機構10を無線送信機1の筐体2下部に設けたことで、比較的重量のあるロッドアンテナ3が筐体2下部に収納され、無線送信機1が重心的に安定する。
【0034】
また、収納口4から挿入されたロッドアンテナ3がスライダー21を収納部5の奥側へと押し込むことで、このロッドアンテナ3に押されたスライダー21は、所定位置に到達したところで凸部22がベース部材11の孔部14に嵌まり込んでロックされる。これにより、スライダー21を収納口4側に向けて付勢させた状態で所定位置に保持できる。
【0035】
さらに、スライダー21の突起24が、ロッドアンテナ3の後端部の溝6と係合することにより、収納されたロッドアンテナ3を収納部5に保持できるようになる。
【0036】
なお、上述した実施の形態では、スライダー21とカバー部材41との間に設けられ、スライダー21を収納口4側に向けて付勢させる付勢手段31として引張バネが使用されているが、これに限定されず、例えば、圧縮バネをスライダー21とカバー部材41との間に設けてスライダー21を所定の向きに付勢させることも可能である。
また、付勢手段としての引張バネ31の一端側の係止部位(本実施の形態では係止柱43)をカバー部材41以外の他の部材に設けたとしても上述した実施の形態と同様にスライダー31を収納口4側に向けて付勢することが可能となる。
【0037】
さらに、上述した実施の形態では、スライダー21が引張バネ31の付勢によってスライド移動してロッドアンテナ3を押し出す構成としたが、例えば、ロッドアンテナ3の後端面に当接した押出部がアンテナ3の軸方向から外れた位置に配設された板バネの端部に設けられ、この板バネの付勢によってロッドアンテナを押し出すように構成することも考えられる。このような構成では、収納口4から挿入されるロッドアンテナ3に押された押出部が、所定位置に到達したところでロック手段によって保持される。そして、ロッドアンテナ3を取り出すときは、押出部がアンテナ3の軸方向に沿って略直線的に移動し、ロッドアンテナ3が収納口4側に押し出される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による無線送信機のアンテナ取出機構の一実施の形態を備えた無線送信機を示す斜視図である。
【図2】同無線送信機の背面図である。
【図3】図2におけるA−A端面図である。
【図4】同実施の形態のアンテナ取出機構の分解斜視図である。
【図5】同実施の形態のアンテナ取出機構の各部の動作を示す平面図である。
【図6】同底面図である。
【図7】同実施の形態のアンテナ取出機構の各部の動作を示す平面図である。
【図8】同底面図である。
【図9】(a)同実施の形態のアンテナ取出機構を構成するロック手段のロック動作を示す模式的な正面断面図である。 (b)同実施の形態のアンテナ取出機構を構成するロック手段のロック動作を示す模式的な正面断面図である。
【図10】同実施の形態のアンテナ取出機構を構成するロック手段を示す模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…無線送信機
2…筐体
3…ロッドアンテナ
4…収納口
10…アンテナ取出機構
11…摺動レール部
21…アンテナ押出手段としてのスライダー
22…凸部
23…押出部
24…突起
31…付勢手段としての引張バネ
45…ロック手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に対して取り付け・取り外し自在なロッドアンテナを有し、前記筐体から取り外した前記ロッドアンテナを前記筐体の収納口から挿入して該筐体内部に収納可能とした無線送信機において、
前記収納口から挿入される前記ロッドアンテナを摺動ガイドする摺動レール部が設けられたベース部材と、
前記筐体内部に収納された前記ロッドアンテナの後端面に当接し、該ロッドアンテナの軸方向に移動するアンテナ押出手段と、
前記筐体内部に収納された前記ロッドアンテナの軸方向から外れた位置に設けられ、前記アンテナ押出手段を前記収納口側に向けて付勢する付勢手段と、
前記収納口から挿入される前記ロッドアンテナに押された前記アンテナ押出手段を前記付勢手段の付勢に抗して所定位置に保持し、且つ前記保持状態を解除するロック手段と、
を具備することを特徴とする無線送信機のアンテナ取出機構。
【請求項2】
筐体に対して取り付け・取り外し自在なロッドアンテナを有し、前記筐体から取り外した前記ロッドアンテナを前記筐体の収納口から挿入して該筐体内部に収納可能とした無線送信機において、
前記収納口から挿入される前記ロッドアンテナを摺動ガイドする摺動レール部が設けられたベース部材と、
前記筐体内部に収納された前記ロッドアンテナの後端面に当接している押出部が設けられ、前記収納されたロッドアンテナに並列して設けられるとともに該ロッドアンテナの軸方向と平行にスライド移動するアンテナ押出手段と、
前記筐体内部に収納された前記ロッドアンテナの軸方向から外れた位置に設けられ、前記アンテナ押出手段を前記収納口側に向けて付勢する付勢手段と、
前記収納口から挿入される前記ロッドアンテナに前記押出部を介して押された前記アンテナ押出手段を前記付勢手段の付勢に抗して所定位置に保持し、且つ前記保持状態を解除するロック手段と、
を具備することを特徴とする無線送信機のアンテナ取出機構。
【請求項3】
前記ロック手段は、前記ベース部材に設けられた孔部と、前記アンテナ押出手段に設けられた凸部とからなり、
前記ロッドアンテナに押された前記アンテナ押出手段が前記所定位置に到達したところで、前記凸部が前記孔部に嵌まり込んでロックすることを特徴とする請求項1又は2記載の無線送信機のアンテナ取出機構。
【請求項4】
前記筐体内部に収納された前記ロッドアンテナを該筐体内部に保持するためのアンテナ保持手段が設けられることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の無線送信機のアンテナ取出機構。
【請求項5】
前記アンテナ保持手段は、前記ロッドアンテナの後端側外周面に形成された溝と、前記アンテナ押出手段に設けられた突起とからなり、
前記ロッドアンテナの前記溝に前記突起が係合して前記ロッドアンテナを前記筐体内部に保持することを特徴とする請求項4記載の無線送信機のアンテナ取出機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−251375(P2007−251375A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69388(P2006−69388)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】