説明

無線通信システム、無線基地局、無線端末及び無線通信方法

【課題】ハンドオーバ時に無線基地局間でパケット転送を行う場合に、ハンドオーバ先の無線基地局と無線端末との間で送受信されるパケットのオーバヘッドを低減する。
【解決手段】無線端末2は、ハンドオーバ元である第1無線基地局1Aに送信すべきパケットに対し、RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)、RPヘッダ(A)を挿入する第1通信モジュール20Aと、ハンドオーバ先である第2無線基地局1Bに送信すべきパケットに対し、RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)、RPヘッダ(B)を挿入する第2通信モジュール20B)とを備える。第2通信モジュール20Bは、第1通信モジュール20Aによって転送されたパケットを第2無線基地局1Bに送信するとともに、第1通信モジュール20Aによって転送されたパケットに対するRLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)、RPヘッダ(B)の挿入を省略する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末のハンドオーバ時に無線基地局間でパケット転送を行う無線通信システム、無線基地局、無線端末及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線端末は、移動中などにおいてより条件の良い無線基地局へ接続先を切り替える、いわゆるハンドオーバを行っている。このようなハンドオーバ時において、無線端末が送受信するパケットを、ハンドオーバ元の無線基地局(以下、第1無線基地局)とハンドオーバ先の無線基地局(以下、第2無線基地局)との間で転送する無線通信システムが提案されている。
【0003】
このような方式を採用する無線通信システムとしては、例えば3GPP2(Third Generation Partnership Project 2)にて規格策定中のUMB(Ultra Mobile Broadband)が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
下り方向通信において、無線端末は、第1無線基地局から第2無線基地局へ転送されたパケットを第2無線基地局から受信する。その際、第1無線基地局及び第2無線基地局のそれぞれは、無線端末との下り方向通信の制御(例えば、再送制御やフラグメント)に用いられる下り制御データをパケットのヘッダとして挿入する。
【0005】
そして、無線端末は、第2無線基地局から受信したパケットに挿入されている各下り制御データに基づくパケット受信処理を実行する。このような方式は、パケット受信処理の画一化・統一化という点においてメリットがある。
【0006】
また、上り方向通信において、無線端末は、第2無線基地局に送信するパケットに対し、第1無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる上り制御データと、第2無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる上り制御データとをヘッダとして挿入する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“Overview for Ultra Mobile Broadband (UMB) Air Interface Specification(3GPP2 C.S0084-000-0)”、[online]、[平成20年3月17日検索]、<URL:http://www.3gpp2.org/Public_html/specs/C.S0084-000-0_v2.0_070904.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、下り方向通信において第1無線基地局及び第2無線基地局のそれぞれがパケットに下り制御データを挿入するため、第2無線基地局から無線端末に送信されるパケットにおける制御データ(ヘッダ)の占める割合であるオーバヘッドが増大する。
【0009】
また、上り方向通信においても、無線端末は、第1無線基地局及び第2無線基地局のそれぞれに対応した上り制御データをパケットに挿入するため、無線端末から第2無線基地局に送信されるパケットのオーバヘッドが増大する。
【0010】
このように、無線端末のハンドオーバ時に無線基地局間でパケット転送を行う従来の無線通信システムでは、第2無線基地局(ハンドオーバ先の無線基地局)と無線端末との間で送受信されるパケットのオーバヘッドが増大する問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、無線端末のハンドオーバ時に無線基地局間でパケット転送を行うシステム構成において、ハンドオーバ先の無線基地局と無線端末との間で送受信されるパケットのオーバヘッドを低減可能な無線通信システム、無線基地局、無線端末及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、第1無線基地局(第1無線基地局1A)と、前記第1無線基地局と通信可能な第2無線基地局(第2無線基地局1B)と、前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へ接続先を切り替える無線端末(無線端末2)とを含む無線通信システム(無線通信システム10)であって、前記第1無線基地局は、前記無線端末に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第1無線基地局との下り方向通信の制御に用いられる第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)、RPヘッダ(A))を挿入する第1下り制御データ挿入部(RLP部13A、SP部14A、RP部15A)と、前記接続先の切り替え時において、前記第1下り制御データが挿入された前記パケットを前記第2無線基地局に転送するパケット転送部(RP部15A)とを備え、前記第2無線基地局は、前記無線端末に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第2無線基地局との下り方向通信の制御に用いられる第2下り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)、RPヘッダ(B))を挿入する第2下り制御データ挿入部(RLP部13B、SP部14B、RP部15B)と、前記第1無線基地局によって転送された前記パケットを前記無線端末に送信するパケット送信部(PCP/MAC/PHY部16B)とを備え、前記第2下り制御データ挿入部は、前記第1無線基地局によって転送された前記パケットに対する前記第2下り制御データの挿入を省略し、前記無線端末は、前記第2無線基地局から受信した前記パケットに挿入されている前記第1下り制御データに基づくパケット受信処理を実行することを要旨としてもよい。
【0013】
これによれば、無線端末のハンドオーバ時に無線基地局間でパケット転送を行うシステム構成において、ハンドオーバ先の無線基地局(すなわち、第2無線基地局)と無線端末との間で送受信されるパケットのオーバヘッドを低減可能な無線通信システムを提供できる。
【0014】
また、前記無線端末は、前記第1無線基地局に対応して設けられ、前記第1下り制御データに基づくパケット受信処理を実行する第1下り受信処理部(第1通信モジュール20A)と、前記第2無線基地局に対応して設けられ、前記第1下り制御データ又は前記第2下り制御データに基づくパケット受信処理を実行する第2下り受信処理部(第2通信モジュール20B)とを備え、前記第2無線基地局は、前記第1無線基地局によって転送された前記パケットを前記無線端末に送信する場合、前記無線端末に送信する前記パケットに対し、前記第1無線基地局によって転送された前記パケットであることを示す下り転送情報(IRTPヘッダ(B))を挿入する下り転送情報挿入部(IRTP部12B)を備え、前記第2下り受信処理部は、前記第2無線基地局から受信した前記パケットに前記下り転送情報が挿入されている場合、前記第2無線基地局から受信した前記パケットに挿入されている前記第1下り制御データに基づくパケット受信処理を実行し、前記第1下り受信処理部は、前記第2下り受信処理部が前記第1下り制御データに基づくパケット受信処理を実行する場合、前記第1下り制御データに基づくパケット受信処理を省略することを要旨としてもよい。
【0015】
また、前記第1無線基地局は、前記無線端末が受信に失敗したパケットを前記無線端末に再送する第1下り再送処理を実行する第1下り再送処理部(RLP部13A)を備え、前記第2無線基地局は、前記無線端末が受信に失敗したパケットを前記無線端末に再送する第2下り再送処理を実行する第2下り再送処理部(RLP部13B)を備え、前記第2下り再送処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1下り再送処理に用いられる第1下り再送制御情報(RLP情報)を前記第1下り再送処理部から取得し、取得した前記第1下り再送制御情報を用いて前記第2下り再送処理を実行し、前記第1下り再送処理部は、前記第2下り再送処理部が前記第1下り再送制御情報を用いて前記第2下り再送処理を実行する場合、前記第1下り再送処理を省略することを要旨としてもよい。
【0016】
また、前記無線端末は、受信に失敗したパケットの再送を前記第1下り再送処理部に要求する第1下り再送要求を実行する第1下り再送要求部(RLP部13A)と、受信に失敗したパケットの再送を前記第2下り再送処理部に要求する第2下り再送要求を実行する第2下り再送要求部(RLP部13B)とを備え、前記第2下り再送要求部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1下り再送要求に用いられる第2下り再送制御情報(RLP情報)を前記第1下り再送要求部から取得し、取得した前記第2下り再送制御情報を用いて前記第2下り再送要求を実行し、前記第1下り再送要求部は、前記第2下り再送要求部が前記第2下り再送制御情報を用いて前記第2下り再送要求を実行する場合、前記第1下り再送要求を省略することを要旨としてもよい。
【0017】
また、前記第1無線基地局は、前記無線端末に送信するユーザデータ(APPデータ)を分解してパケットを生成する第1下りフラグメント処理を実行する第1下りフラグメント処理部(RLP部23A)を備え、前記第2無線基地局は、前記無線端末に送信するユーザデータ(APPデータ)を分解してパケットを生成する第2下りフラグメント処理を実行する第2下りフラグメント処理部(RLP部23B)を備え、前記第2下りフラグメント処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第2下りフラグメント処理を省略することを要旨としてもよい。
【0018】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような側面を有している。まず、本発明の第1の側面は、第1無線基地局(第1無線基地局1A)と、前記第1無線基地局と通信可能な第2無線基地局(第2無線基地局1B)と、前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へ接続先を切り替える無線端末(無線端末2)とを含む無線通信システム(無線通信システム10)であって、前記無線端末は、前記第1無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第1無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)、RPヘッダ(A))を挿入する第1送信処理部(第1通信モジュール20A)と、前記第2無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第2無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第2上り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)、RPヘッダ(B))を挿入する第2送信処理部(第2通信モジュール20B)とを備え、前記第1送信処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り制御データが挿入された前記パケットを前記第2送信処理部に転送し、前記第2送信処理部は、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットを前記第2無線基地局に送信するとともに、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットに対する前記第2上り制御データの挿入を省略し、前記第2無線基地局は、前記無線端末から受信した前記パケットを前記第1無線基地局に転送することを要旨とする。
【0019】
このような側面によれば、無線端末のハンドオーバ時に無線基地局間でパケット転送を行うシステム構成において、ハンドオーバ先の無線基地局(すなわち、第2無線基地局)と無線端末との間で送受信されるパケットのオーバヘッドを低減可能な無線通信システムを提供できる。
【0020】
本発明の第2の側面は、本発明の第6の側面に係り、前記第1無線基地局は、前記第1上り制御データに基づくパケット受信処理を実行する第1上り受信処理部(RLP部13A、SP部14A、RP部15A)を備え、前記第2無線基地局は、前記第1上り制御データ又は前記第2上り制御データに基づくパケット受信処理を実行する第2上り受信処理部(RLP部13B、SP部14B、RP部15B)を備え、前記第2送信処理部は、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットを前記第2無線基地局に送信する場合、前記第2無線基地局に送信する前記パケットに対し、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットであることを示す上り転送情報(IRTPヘッダ(B))を挿入する上り転送情報挿入部(IRTP部22B)を備え、前記第2上り受信処理部は、前記無線端末から受信した前記パケットに前記上り転送情報が挿入されている場合、前記無線端末から受信した前記パケットに挿入されている前記第1上り制御データに基づくパケット受信処理を実行し、前記第1上り受信処理部は、前記第2上り受信処理部が前記第1上り制御データに基づくパケット受信処理を実行する場合、前記第1上り制御データに基づくパケット受信処理を省略することを要旨とする。
【0021】
本発明の第3の側面は、本発明の第6の側面に係り、前記第1送信処理部は、前記第1無線基地局が受信に失敗したパケットを前記第1無線基地局に再送する第1上り再送処理を実行する第1上り再送処理部(RLP部23A)を備え、前記第2送信処理部は、前記第2無線基地局が受信に失敗したパケットを前記第2無線基地局に再送する第2上り再送処理を実行する第2上り再送処理部(RLP部23B)を備え、前記第2上り再送処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り再送処理に用いられる第1上り再送制御情報(RLP情報)を前記第1上り再送処理部から取得し、取得した前記第1上り再送制御情報を用いて前記第2上り再送処理を実行し、前記第1上り再送処理部は、前記第2上り再送処理部が前記第1上り再送制御情報を用いて前記第2上り再送処理を実行する場合、前記第1上り再送処理を省略することを要旨とする。
【0022】
本発明の第4の側面は、本発明の第8の側面に係り、前記第1無線基地局は、受信に失敗したパケットの再送を前記第1上り再送処理部に要求する第1上り再送要求を実行する第1上り再送要求部(RLP部13A)を備え、前記第2無線基地局は、受信に失敗したパケットの再送を前記第2上り再送処理部に要求する第2上り再送要求を実行する第2上り再送要求部(RLP部13B)を備え、前記第2上り再送要求部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り再送要求に用いられる第2上り再送制御情報(RLP情報)を前記第1上り再送要求部から取得し、前記第2上り再送制御情報を用いて前記第2上り再送要求を実行し、前記第1上り再送要求部は、前記第2上り再送要求部が前記第2上り再送制御情報を用いて前記第2上り再送要求を実行する場合、前記第1上り再送要求を省略することを要旨とする。
【0023】
本発明の第5の側面は、本発明の第6の側面に係り、前記第1送信処理部は、前記第1無線基地局に送信するユーザデータ(APPデータ)を分解してパケットを生成する第1上りフラグメント処理を実行する第1上りフラグメント処理部(RLP部23A)を備え、前記第2送信処理部は、前記第2無線基地局に送信するユーザデータ(APPデータ)を分解してパケットを生成する第2上りフラグメント処理を実行する第2上りフラグメント処理部(RLP部23B)を備え、前記第2上りフラグメント処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第2上りフラグメント処理を省略することを要旨とする。
【0024】
また、無線端末(無線端末2)の接続先の切り替え時において、前記接続先の切り替え元である他の無線基地局(第1無線基地局1A)から、前記無線端末と前記他の無線基地局との下り方向通信の制御に用いられる第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)、RPヘッダ(A))が挿入されたパケットを受信するとともに、前記接続先の切り替え先となる無線基地局(第2無線基地局1B)であって、前記無線端末に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記無線基地局との下り方向通信の制御に用いられる第2下り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)、RPヘッダ(B))を挿入する下り制御データ挿入部(RLP部13B、SP部14B、RP部15B)と、前記他の無線基地局によって転送された前記パケットを前記無線端末に送信するパケット送信部(PCP/MAC/PHY部16B)とを備え、前記下り制御データ挿入部は、前記他の無線基地局によって転送された前記パケットに対する前記第2下り制御データの挿入を省略することを要旨としてもよい。
【0025】
本発明の第6の側面は、第1無線基地局(第1無線基地局1A)から、前記第1無線基地局と通信可能な第2無線基地局(第2無線基地局1B)へ接続先を切り替える無線端末(無線端末2)であって、前記第1無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第1無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)、RPヘッダ(A))を挿入する第1送信処理部(第1通信モジュール20A)と、前記第2無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第2無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第2上り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)、RPヘッダ(B))を挿入する第2送信処理部(第2通信モジュール20B)とを備え、前記第1送信処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り制御データが挿入された前記パケットを前記第2送信処理部に転送し、前記第2送信処理部は、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットを前記第2無線基地局に送信するとともに、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットに対する前記第2上り制御データの挿入を省略することを要旨とする。
【0026】
また、無線端末(無線端末2)と、前記無線端末に送信すべきパケットに対し、前記無線端末との下り方向通信の制御に用いられる第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)、RPヘッダ(A))を挿入する第1無線基地局(第1無線基地局1A)と、前記第1無線基地局と通信可能であり、前記無線端末に送信すべきパケットに対し、前記無線端末との下り方向通信の制御に用いられる第2下り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)、RPヘッダ(B))を挿入する第2無線基地局(第2無線基地局1B)とを用いた無線通信方法であって、前記無線端末が、前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へ接続先を切り替えるステップと、前記第1無線基地局が、前記接続先の切り替え時において、前記第1下り制御データが挿入された前記パケットを前記第2無線基地局に転送するステップと、前記第2無線基地局が、前記第1無線基地局によって転送された前記パケットに対する前記第2下り制御データの挿入を省略するステップと、前記第2無線基地局が、前記第1無線基地局によって転送された前記パケットを前記無線端末に送信するステップと、前記無線端末が、前記第2無線基地局から受信した前記パケットに挿入されている前記第1下り制御データに基づくパケット受信処理を実行するステップとを備えることを要旨としてもよい。
【0027】
本発明の第7の側面は、第1無線基地局(第1無線基地局1A)と、前記第1無線基地局と通信可能な第2無線基地局(第2無線基地局1B)と、前記第1無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記第1無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)、RPヘッダ(A))を挿入する第1送信処理部(第1通信モジュール20A)と、前記第2無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記第2無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第2上り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)、RPヘッダ(B))を挿入する第2送信処理部(第2通信モジュール20B)とを有する無線端末(無線端末2)とを用いた無線通信方法であって、前記無線端末が、前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へ接続先を切り替えるステップと、前記第1送信処理部が、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り制御データが挿入された前記パケットを前記第2送信処理部に転送するステップと、前記第2送信処理部が、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットに対する前記第2上り制御データの挿入を省略するステップと、前記第2送信処理部が、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットを前記第2無線基地局に送信するステップと、前記第2無線基地局が、前記無線端末から受信した前記パケットを前記第1無線基地局に転送するステップとを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、無線端末のハンドオーバ時に無線基地局間でパケット転送を行うシステム構成において、ハンドオーバ先の無線基地局と無線端末との間で送受信されるパケットのオーバヘッドを低減可能な無線通信システム、無線基地局、無線端末及び無線通信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る第1無線基地局の概略構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線端末の概略構成を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線端末の第1通信モジュール及び第2通信モジュールを説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る第1無線基地局、第2無線基地局及び無線端末の詳細構成を示す機能ブロック構成図である。
【図6】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて用いられるパケットの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る無線通信システムの下り方向通信における全体概略動作を説明するための概念図である。
【図8】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体動作を示すシーケンス図である。
【図9】IPT−Notificationの最後部分にRP情報用のフィールドを追加した例を示す図である。
【図10】IPT−Notification Ackの最後部分にRLP情報用のフィールドを追加した例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る第2無線基地局の下り方向通信における動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係る無線端末の第2通信モジュールの下り方向通信における動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態に係る無線端末の第2通信モジュールの上り方向通信における動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態に係る第2無線基地局の上り方向通信における動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施形態に係るRLP部によって実行されるパケット再送動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。具体的には、(1)無線通信システムの概略構成、(2)無線通信システムの詳細構成、(3)パケットの構成、(4)無線通信システムの動作、(5)作用及び効果、(6)その他の実施形態について説明する。
【0031】
以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0032】
(1)無線通信システムの概略構成
まず、無線通信システム10の概略構成、具体的には、(1.1)全体概略構成、(1.2)無線基地局の概略構成、(1.3)無線端末の概略構成について説明する。
【0033】
(1.1)全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の全体概略構成図である。
【0034】
図1に示すように、無線通信システム10は、第1無線基地局1A、第2無線基地局1B、無線端末2、アクセスゲートウェイ3、及びネットワーク4を含む。本実施形態では、無線通信システム10は、高速通信可能な広域IPブロードバンドシステムの1つである3GPP2 UMB Air Interface(以下、単に「UMBシステム」という)に基づく構成を有する。
【0035】
第1無線基地局1A、第2無線基地局1B及びアクセスゲートウェイ3は、図示を省略するルータなどを介して互いに有線接続されている。第1無線基地局1A及び第2無線基地局1Bは、アクセスゲートウェイ3を介してネットワーク4と通信可能である。また、第1無線基地局1A及び第2無線基地局1Bは、互いに通信(すなわち、基地局間通信)することができる。
【0036】
第1無線基地局1A及び第2無線基地局1Bは、通信可能エリア内に位置する無線端末2と無線通信する。無線端末2は、第1無線基地局1A及び第2無線基地局1Bが送信する報知信号(いわゆる、パイロット信号)の受信品質を比較して受信品質が高い方に接続する。
【0037】
図1の例では、無線端末2は、第1無線基地局1Aの通信可能エリアから第2無線基地局1Bの通信可能エリアに向けて移動しており、第1無線基地局1Aから第2無線基地局1Bへ接続先を切り替えるハンドオーバを実行する。
【0038】
ここで、第1無線基地局1Aと、第1無線基地局1A及びアクセスゲートウェイ3間の通信経路とには、無線端末2に送信すべき下りパケットが残存することになる。そこで、第1無線基地局1Aは、アクセスゲートウェイ3と第2無線基地局1Bとの中継局(アンカー)となり、無線端末2へ未送信のパケットを第2無線基地局1Bへ基地局間通信を利用して転送する。
【0039】
これにより、パケットロスの少ないハンドオーバが実現される。また、アクセスゲートウェイ3と第2無線基地局1Bとの通信経路を確立する時間が短縮され、高速なハンドオーバが実現される。
【0040】
上り方向通信において、第2無線基地局1Bは、無線端末2から受信した上りパケットを第1無線基地局1Aへ基地局間通信を利用して転送する。第1無線基地局1Aは、第2無線基地局1Bから受信した上りパケットをアクセスゲートウェイ3に中継する。なお、UMBシステムでは、オプションとして、第2無線基地局1Bが第1無線基地局1Aを介さずに上りパケットを直接アクセスゲートウェイ3に中継することも可能である。
【0041】
UMBシステムにおいては、第1無線基地局1Aのようにアクセスゲートウェイ3及び第2無線基地局1B間の中継局として機能する無線基地局をDAP(Data Attachment Point)と称し、第2無線基地局1Bのように実際に無線端末2に下りパケットを送信する無線基地局をFLSE(Forward Link Serving eBS)と称し、第2無線基地局1Bのように実際に無線端末2から上りパケットを受信する無線基地局をRLSE(Reverse Link Serving eBS)と称している。なお、FLSEとRLSEとが異なる無線基地局となる場合もある。
【0042】
UMBシステムでは、第1無線基地局1Aにて送信予定であったパケットに、第2無線基地局1Bがハンドオーバ元の第1無線基地局1Aを示す情報を付与し、第2無線基地局1Bから送信する通常のパケットとして扱い、所定の処理を行った後無線端末2に送信する。
【0043】
具体的には、ハンドオーバ元の第1無線基地局1A及びハンドオーバ先の第2無線基地局1Bのそれぞれは、無線端末2との下り方向通信の制御に用いられる制御データをパケットのヘッダとして挿入する。以下においては、ハンドオーバ元の第1無線基地局1Aがパケットに挿入する制御データ(ヘッダ)を適宜「第1下り制御データ」と称し、ハンドオーバ先の第2無線基地局1Bがパケットに挿入する制御データ(ヘッダ)を適宜「第2下り制御データ」と称する。
【0044】
また、UMBシステムにおいて、ハンドオーバ元の第1無線基地局1Aからハンドオーバ先の第2無線基地局1BへDAPを切り替える方式としては、以下の(a)〜(c)などが想定されている。
【0045】
(a)ハンドオーバから一定期間経過した後に、DAPを第1無線基地局1Aから第2無線基地局1Bに切り替える方式
(b)送受信のユーザデータトラフィックがなくなった際に、DAPを第1無線基地局1Aから第2無線基地局1Bに切り替える方式
(c)第1無線基地局1Aにて未処理・未送信のデータを第2無線基地局1Bに送信が完了した際に、DAPを第1無線基地局1Aから第2無線基地局1Bに切り替える方式
このようにDAPを第1無線基地局1Aから第2無線基地局1Bに切り替えることによってDAPとFLSEとが同じ無線基地局になる。
【0046】
以下の実施形態では、下り方向通信(フォワードリンク)において、第1無線基地局1AがDAPであり、且つ第2無線基地局1BがFLSEである場合について説明する。また、上り方向通信(リバースリンク)において、第1無線基地局1AがDAPであり、且つ第2無線基地局1BがRLSEである場合について説明する。
【0047】
なお、UMBシステムでは、IETF RFC3931 Layer Two Tunneling Protocol-Version 3 (L2TPv3)、IETF RFC2784 Generic Routing Encapsulation (GRE)に代表されるようなIPトンネリング技術が採用される。具体的には、第1無線基地局1Aとアクセスゲートウェイ3間のユーザデータベアラにはGREが採用され、第1無線基地局1Aと第2無線基地局1B間のユーザデータベアラにはL2TPv3が採用される。
【0048】
(1.2)無線基地局の概略構成
図2は、第1無線基地局1Aの概略構成を示す概略構成図である。第2無線基地局1Bの概略構成は第1無線基地局1Aと同様であるため、第2無線基地局1Bの概略構成についての説明は省略する。
【0049】
図2に示すように、第1無線基地局1Aは、RF部101、制御部102、I/F部103、及び記憶部104を含む。
【0050】
RF部101は、LNA、パワーアンプ、アップコンバータ及びダウンコンバータなどを含み、無線信号の送受信を行う。I/F部103は、ルータなどを介して第2無線基地局1B及びアクセスゲートウェイ3に有線接続される。
【0051】
制御部102は、例えばCPUによって構成され、第1無線基地局1Aが具備する各種機能を制御する。また、制御部102は、後述する各種のプロトコルに従った処理を実行する。
【0052】
記憶部104は、例えばメモリによって構成され、第1無線基地局1Aにおける制御などに用いられる各種情報を記憶する。また、記憶部104は、無線端末2と送受信するデータを一時的に記憶するバッファ部104aを有する。
【0053】
(1.3)無線端末の概略構成
図3は、無線端末2の概略構成を示す概略構成図である。
【0054】
図3に示すように、無線端末2は、RF部201、操作部202、制御部203、音声コーデック部204、マイク205、スピーカ206、表示部207、及び記憶部208を含む。
【0055】
RF部201は、LNA、パワーアンプ、アップコンバータ及びダウンコンバータなどを含み、無線信号の送受信を行う。制御部203は、例えばCPUによって構成され、無線端末2が具備する各種機能を制御する。また、制御部203は、後述する各種のプロトコルに従った処理を実行する。記憶部208は、例えばメモリによって構成され、無線端末2における制御などに用いられる各種情報を記憶する。記憶部208は、第1無線基地局1A又は第2無線基地局1Bと送受信するデータを一時的に記憶するバッファ部208aを有する。
【0056】
表示部207は、制御部203を介して受信した画像を表示したり、操作内容(入力電話番号やアドレスなど)を表示したりする。操作部202は、テンキーやファンクションキーなどによって構成され、ユーザの操作内容を入力するために用いられるインタフェースである。
【0057】
マイク205は、音声を集音し、集音された音声に基づく音声データを音声コーデック部204経由で制御部203に入力する。スピーカ206は、音声コーデック部204を介して制御部203から取得した音声データに基づいて音声を出力する。
【0058】
音声コーデック部204は、例えば音声コーデック方式G.729に従って構成される。G.729は、アナログ電話帯域(3.4kHz≒4kHz)の信号を8kHzでサンプリング(標本化)し、8kbpsの伝送速度を実現する方式であり、狭帯域の伝送路を使用した通信において適応力がある。このような通信方式は、データサイズの少ないパケットを短いインターバルで送信する特質を持つ。
【0059】
(2)無線通信システムの詳細構成
次に、無線通信システム10の詳細構成、具体的には、(2.1)UMBシステム概要、(2.2)ハンドオーバ元無線基地局の詳細構成、(2.3)ハンドオーバ先無線基地局の詳細構成、(2.4)無線端末の詳細構成について説明する。
【0060】
(2.1)UMBシステム概要
図4は、無線端末2の第1通信モジュール20A及び第2通信モジュール20Bを説明するための図である。
【0061】
UMBシステムでは、無線端末2の内部に、通信相手の無線基地局の数に合わせて複数の通信モジュールが存在する。本実施形態では、第1通信モジュール20Aは、第1無線基地局1Aに対応する通信モジュールである。第2通信モジュール20Bは、第2無線基地局1Bに対応する通信モジュールである。
【0062】
下り方向通信において、第2通信モジュール20Bは、第2無線基地局1Bから無線区間を介してパケットを受信し、パケットを第1通信モジュール20Aに内部転送する。無線端末2においては、ハンドオーバ時に、ハンドオーバ先の第2無線基地局1Bに対応する第2通信モジュール20Bを経由して、ハンドオーバ元の第1無線基地局1Aに対応する第1通信モジュール20Aのプロトコル処理を行う。
【0063】
上り方向通信において、第1通信モジュール20Aは、第1無線基地局1A用の制御データ(ヘッダ)をパケットに挿入する。第2通信モジュール20Bは、第2無線基地局1B用の制御データ(ヘッダ)をパケットに挿入する。以下では、第1通信モジュール20Aが挿入する制御データ(ヘッダ)を適宜「第1上り制御データ」と称し、第2通信モジュール20Bがパケットに挿入する制御データ(ヘッダ)を適宜「第2上り制御データ」と称する。
【0064】
第1通信モジュール20Aは、第1無線基地局1Aへ送信すべきパケットを第2通信モジュール20Bに内部転送する。第2通信モジュール20Bは、第1通信モジュール20Aから転送されたパケットを第2無線基地局1Bに無線区間を介して送信する。
【0065】
図5は、第1無線基地局1A、第2無線基地局1B及び無線端末2の詳細構成を示す機能ブロック構成図である。なお、図5は、UMBシステムに従ったプロトコルスタック図も兼ねている。
【0066】
図5に示すように、第1無線基地局1Aは、APP部11A、IRTP部12A、RLP部13A、SP部14A、RP部15A、及びPCP/MAC/PHY部16Aを含む。第2無線基地局1Bは、APP部11B、IRTP部12B、RLP部13B、SP部14B、RP部15B、及びPCP/MAC/PHY部16Bを含む。
【0067】
無線端末2の第1通信モジュール20Aは、APP部21A、IRTP部22A、RLP部23A、SP部24A、RP部25A、及びPCP/MAC/PHY部26Aを含む。無線端末2の第2通信モジュール20Bは、APP部21B、IRTP部22B、RLP部23B、SP部24B、RP部25B、及びPCP/MAC/PHY部26Bを含む。
【0068】
APP部11A、APP部11B、APP部21A及びAPP部21Bは、UMBシステムにおけるAPP(Application Protocol)に基づく処理を実行する。APPは、IP(Internet Protocol)、ROHC(RObust Header Compression)、EAP(Extensible Authentication Protocol)などのスタンダードプロトコルを複数有するプロトコルである。
【0069】
IRTP部12A、IRTP部12B、IRTP部22A及びIRTP部22Bは、UMBシステムにおけるIRTP(Inter-Route Tunneling Protocol)に基づく処理を実行する。IRTPは、無線端末2内のモジュール間転送機能を有するプロトコルである。
【0070】
RLP部13A、RLP部13B、RLP部23A及びRLP部23Bは、UMBシステムにおけるRLP(Radio Link Protocol)に基づく処理を実行する。RLPは、パケット分割(フラグメント)と再構築、下りの再送制御機能を有するプロトコルである。具体的には、RLPでは、パケット分割と再構築を行うSAR(Segmentation And Reassembly)サブプロトコルと、再送制御を行うQN(Quick Nak)サブプロトコルとが規定されている。
【0071】
SP部14A、SP部14B、SP部24A及びSP部24Bは、UMBシステムにおけるSP(Stream Protocol)に基づく処理を実行する。SPは、分割された上位パケットをそれぞれのストリーム(パケットストリーム)に振り分けるプロトコルである。ここで、UMBシステムでは、ストリームとして、例えば次のような用途が規定されている。ストリーム0:Broadcast Signaling on forward link and Reserved on reverse link、ストリーム1:Best Effort Delivery Signaling、ストリーム2:Reliable Delivery Signaling、ストリーム3:Broadcast Inter Route Tunneling on forward link and Reserved on reverse link、ストリーム4:Best Effort Delivery Inter Route Tunnelingなど。
【0072】
RP部15A、RP部15B、RP部25A及びRP部25Bは、UMBシステムにおけるRP(Route Protocol)に基づく処理を実行する。RPは、無線端末−無線基地局間の通信経路(サービスルート)を選択するプロトコルである。
【0073】
なお、上記のRLP、SP、RPの各プロトコルは、UMBシステムで規定される無線リンクレイヤにおけるプロトコルである。
【0074】
PCP/MAC/PHY部16A、PCP/MAC/PHY部16B、PCP/MAC/PHY部26A及びPCP/MAC/PHY部26Bは、UMBシステムにおけるPCP/MAC/PHY(Packet Consolidation Protocol/MAC/PHY)に基づく処理を実行する。PCP/MAC/PHYは、上位パケットをカプセリング化して無線送信する機能を有するプロトコルである。
【0075】
(2.2)ハンドオーバ元無線基地局の詳細構成
引き続き図5を参照して、ハンドオーバ元の第1無線基地局1Aの詳細構成について説明する。
【0076】
下り方向通信において、RLP部13A、SP部14A及びRP部15Aは、無線端末2に送信すべきパケットに対し、無線端末2と第1無線基地局1Aとの下り方向通信の制御に用いられる第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))を挿入する第1下り制御データ挿入部を構成する。
【0077】
RP部15Aは、無線端末2のハンドオーバ時において、RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)が挿入されたパケットを第2無線基地局1Bに転送するパケット転送部を構成する。
【0078】
さらに、下り方向通信において、RLP部13Aは、無線端末2が受信に失敗したパケットを無線端末2に再送する第1下り再送処理を実行する第1下り再送処理部を構成する。また、RLP部13Aは、無線端末2に送信するユーザデータ(APPデータ)を分解してパケットを生成する第1下りフラグメント処理を実行する第1下りフラグメント処理部を構成する。
【0079】
一方、上り方向通信において、RLP部13A、SP部14A及びRP部15Aは、RLP部23A、SP部24A及びRP部25Aによって挿入された第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する第1上り受信処理部を構成する。
【0080】
上り方向通信において、RLP部13Aは、受信に失敗したパケットの再送をRLP部23Aに要求する第1上り再送要求を実行する第1上り再送要求部を構成する。
【0081】
(2.3)ハンドオーバ先無線基地局の詳細構成
引き続き図5を参照して、ハンドオーバ先の第2無線基地局1Bの詳細構成について説明する。
【0082】
下り方向通信において、RLP部13B、SP部14B及びRP部15Bは、無線端末2と第2無線基地局1Bとの下り方向通信の制御に用いられる第2下り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)及びRPヘッダ(B))を挿入する第2下り制御データ挿入部を構成する。PCP/MAC/PHY部16Bは、第1無線基地局1Aによって転送されたパケットを無線端末2に送信するパケット送信部を構成する。
【0083】
無線端末2のハンドオーバ時において、RLP部13B、SP部14B及びRP部15Bは、第1無線基地局1Aによって転送されたパケットに対する第2下り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)及びRPヘッダ(B))の挿入を省略する。
【0084】
IRTP部12Bは、無線端末2のハンドオーバ時において第1無線基地局1Aによって転送されたパケットを無線端末2に送信する場合、無線端末2に送信するパケットに対し、第1無線基地局1Aによって転送されたパケットであることを示す下り転送情報(IRTPヘッダ(B))を挿入する下り転送情報挿入部を構成する。
【0085】
下り方向通信において、RLP部13Bは、無線端末2が受信に失敗したパケットを無線端末2に再送する第2下り再送処理を実行する第2下り再送処理部を構成する。
【0086】
無線端末2のハンドオーバ時において、RLP部13Bは、第1下り再送処理に用いられる第1下り再送制御情報(RLP情報)をRLP部13Aから取得し、取得した第1下り再送制御情報を用いて第2下り再送処理を実行する。
【0087】
なお、RLP部13Aは、RLP部13Bが第1下り再送制御情報を用いて第2下り再送処理を実行する場合、第1下り再送処理を省略する。
【0088】
また、RLP部13Bは、無線端末2に送信するユーザデータ(APPデータ)を分解してパケットを生成する第2下りフラグメント処理を実行する第2下りフラグメント処理部を構成する。ここで、RLP部13Bは、無線端末2のハンドオーバ時において、第2下りフラグメント処理を省略する。
【0089】
一方、上り方向通信において、RLP部13B、SP部14B及びRP部15Bは、第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))又は第2上り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)及びRPヘッダ(B))に基づくパケット受信処理を実行する第2上り受信処理部を構成する。
【0090】
RLP部13B、SP部14B及びRP部15Bは、無線端末2から受信したパケットに上り転送情報が挿入されている場合、無線端末2から受信したパケットに挿入されている第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する。
【0091】
なお、RLP部13A、SP部14A及びRP部15Aは、RLP部13B、SP部14B及びRP部15Bが第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する場合、第1上り制御データに基づくパケット受信処理を省略する。
【0092】
また、上り方向通信において、RLP部13Bは、受信に失敗したパケットの再送をRLP部23Bに要求する第2上り再送要求を実行する第2上り再送要求部を構成する。
【0093】
RLP部13Bは、無線端末2のハンドオーバ時において、第1上り再送要求に用いられる第2上り再送制御情報(RLP情報)をRLP部13Aから取得し、第2上り再送制御情報を用いて第2上り再送要求を実行する。
【0094】
なお、RLP部13Aは、RLP部13Bが第2上り再送制御情報を用いて第2上り再送要求を実行する場合、第1上り再送要求を省略する。
【0095】
(2.4)無線端末の詳細構成
引き続き図5を参照して、無線端末2の詳細構成について説明する。
【0096】
下り方向通信において、第1通信モジュール20Aは、第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する第1下り受信処理部を構成する。
【0097】
第2通信モジュール20Bは、第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))又は第2下り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)及びRPヘッダ(B))に基づくパケット受信処理を実行する第2下り受信処理部を構成する。
【0098】
第2通信モジュール20Bは、第2無線基地局1Bから受信したパケットに下り転送情報(IRTPヘッダ(B))が挿入されている場合、第2無線基地局1Bから受信したパケットに挿入されている第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する。
【0099】
そして、第1通信モジュール20Aは、第2通信モジュール20Bが第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する場合、第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を省略する。
【0100】
また、下り方向通信において、第1通信モジュール20AのRLP部23Aは、受信に失敗したパケットの再送をRLP部13Aに要求する第1下り再送要求を実行する第1下り再送要求部を構成する。RLP部23Bは、受信に失敗したパケットの再送をRLP部13Bに要求する第2下り再送要求を実行する第2下り再送要求部を構成する。
【0101】
RLP部23Bは、ハンドオーバ時において、第1下り再送要求に用いられる第2下り再送制御情報(RLP情報)をRLP部23Aから取得し、取得した第2下り再送制御情報を用いて第2下り再送要求を実行する。そして、RLP部23Aは、RLP部23Bが第2下り再送制御情報を用いて第2下り再送要求を実行する場合、第1下り再送要求を省略する。
【0102】
一方、上り方向通信において、第1通信モジュール20Aは、第1無線基地局1Aに送信すべきパケットに対し、無線端末2と第1無線基地局1Aとの上り方向通信の制御に用いられる第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))を挿入する第1送信処理部を構成する。
【0103】
第2通信モジュール20Bは、第2無線基地局1Bに送信すべきパケットに対し、無線端末2と第2無線基地局1Bとの上り方向通信の制御に用いられる第2上り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)及びRPヘッダ(B))を挿入する第2送信処理部を構成する。
【0104】
第1通信モジュール20Aは、無線端末2のハンドオーバ時において、第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))が挿入されたパケットを第2通信モジュール20Bに転送する。
【0105】
第2通信モジュール20Bは、第1通信モジュール20Aによって転送されたパケットを第2無線基地局1Bに送信するとともに、第1通信モジュール20Aによって転送されたパケットに対する第2上り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)及びRPヘッダ(B))の挿入を省略する。
【0106】
IRTP部22Bは、第1通信モジュール20Aによって転送されたパケットを第2無線基地局1Bに送信する場合、第2無線基地局1Bに送信するパケットに対し、第1通信モジュール20Aによって転送されたパケットであることを示す上り転送情報(IRTPヘッダ(B))を挿入する上り転送情報挿入部を構成する。
【0107】
第1通信モジュール20AのRLP部23Aは、第1無線基地局1Aが受信に失敗したパケットを第1無線基地局1Aに再送する第1上り再送処理を実行する第1上り再送処理部を構成する。第2通信モジュール20BのRLP部23Bは、第2無線基地局1Bが受信に失敗したパケットを第2無線基地局1Bに再送する第2上り再送処理を実行する第2上り再送処理部を構成する。
【0108】
RLP部23Bは、ハンドオーバ時において、第1上り再送処理に用いられる第1上り再送制御情報(RLP情報)をRLP部23Aから取得し、取得した第1上り再送制御情報を用いて第2上り再送処理を実行する。RLP部23Aは、RLP部23Bが第1上り再送制御情報を用いて第2上り再送処理を実行する場合、第1上り再送処理を省略する。
【0109】
RLP部23Aは、第1無線基地局1Aに送信するユーザデータ(APPデータ)を分解してパケットを生成する第1上りフラグメント処理を実行する第1上りフラグメント処理部を構成する。RLP部23Bは、第2無線基地局1Bに送信するユーザデータ(APPデータ)を分解してパケットを生成する第2上りフラグメント処理を実行する第2上りフラグメント処理部を構成する。RLP部23Bは、ハンドオーバ時において、第2上りフラグメント処理を省略する。
【0110】
(3)パケットの構成
図6は、無線通信システム10において用いられるパケットの構成を示す図である。
【0111】
RLP部13A及びRLP部13Bは、図6(a)に示すようなAPPデータを分割(フラグメント)し、分割したデータにRLPヘッダを付加し、図6(b)に示すRLPパケットを生成する。RLPヘッダには、フラグメントされたデータの始点や終点を示すデータや、再送処理に使用されるシーケンス番号などが挿入される。
【0112】
SP部14A及びSP部14Bは、図6(b)に示すRLPパケットにSPヘッダを付加し、図6(c)に示すSPパケットを生成する。SPヘッダには、RLPパケットの用途に応じたストリームへの振り分けに用いられるデータが挿入される。
【0113】
RP部15A及びRP部15Bは、図6(c)に示すSPパケットにRPヘッダを付加し、図6(d)に示すRPパケットを生成する。RPヘッダには、上記サービスルートを識別するためのデータが挿入される。
【0114】
さらに、IRTP部12Bは、ハンドオーバ元の第1無線基地局1Aを示すIRTPヘッダを付加する。この結果、RLPヘッダ、SPヘッダ、RPヘッダ、IRTPヘッダ合計で3バイト〜33バイトとなる。
【0115】
(4)無線通信システムの動作
次に、無線通信システム10の動作、具体的には、(4.1)無線通信システムの全体概略動作、(4.2)無線通信システムの全体動作シーケンス、(4.3)下り方向通信における詳細動作、(4.4)上り方向通信における詳細動作、(4.5)再送動作について説明する。
【0116】
(4.1)無線通信システムの全体概略動作
図7は、無線通信システム10の下り方向通信における全体概略動作を説明するための概念図である。
【0117】
第1無線基地局1Aは、アクセスゲートウェイ3から受信したIPペイロードに第1無線基地局1A用の各種ヘッダ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))を付与し、第2無線基地局1Bに転送する。
【0118】
このパケットを受信した第2無線基地局1Bは、RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)をコピーして二組のRLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)を生成するとともに、一方を削除して、一組のRLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)をパケットに付与し、無線端末2に送信する。
【0119】
(4.2)無線通信システムの全体動作シーケンス
図8は、無線通信システム10の全体動作を示すシーケンス図である。具体的には、図8は、下り方向通信における動作例を示している。
【0120】
ステップS101において、無線端末2は、第1無線基地局1Aに接続し、第1無線基地局1Aから下りパケットを受信している。
【0121】
ステップS102において、無線端末2は、第1無線基地局1Aから第2無線基地局1Bへハンドオーバする。
【0122】
ステップS103において、第2無線基地局1Bは、無線端末2のハンドオーバを通知するIPT−Notificationを第1無線基地局1Aに送信する。
【0123】
ステップS104において、第1無線基地局1Aは、IPT−Notificationに対する確認応答であるIPT−NotificationAckを第2無線基地局
1Bに送信する。
【0124】
なお、IPT−Notification及びIPT−Notification Ackは、3GPP2 IOS(Interoperability Specification)において規定されているメッセージである。本実施形態では、IPT−Notification及びIPT−NotificationAckを用いて、第1無線基地局1A及び第2無線基地局1B間でRLP情報及びRP情報を交換する。具体的には、第1無線基地局1Aは、RLP情報として、パケットの送信順を示す送信シーケンス番号や、無線端末2から受信確認応答(ACK)が得られていないパケットなどを第2無線基地局1Bに送信する。
【0125】
IPT−Notificationの最後部分にRP情報用のフィールドを追加した例を図9に示す。IPT−NotificationAckの最後部分にRLP情報用のフィールドを追加した例を図10に示す。
【0126】
ステップS105において、第2無線基地局1Bは、第1無線基地局1AのRLP情報を保存する。
【0127】
ステップS106において、第1無線基地局1Aは、無線端末2宛ての下りパケット#1を第2無線基地局1Bに転送する。ここで、“#1”は送信シーケンス番号を表している。ステップS107において、第2無線基地局1Bは、第1無線基地局1Aから受信した下りパケット#1を無線端末2に送信する。なお、第1無線基地局1A及び第2無線基地局1Bは、無線端末2からのACKを受信するまで、送信したパケットをバッファ部104aに保存する。
【0128】
ステップS108において、第1無線基地局1Aは、無線端末2宛ての下りパケット#2を第2無線基地局1Bに転送する。ステップS109において、第2無線基地局1Bは、第1無線基地局1Aから受信した下りパケット#2を無線端末2に送信する。ここで、無線端末2は、第2無線基地局1Bが送信した下りパケット#2の受信に失敗したものとする。
【0129】
ステップS110において、第1無線基地局1Aは、無線端末2宛ての下りパケット#3を第2無線基地局1Bに転送する。ステップS111において、第2無線基地局1Bは、第1無線基地局1Aから受信した下りパケット#3を無線端末2に送信する。
【0130】
ステップS112において、無線端末2は、送信シーケンス番号#2の抜けを検出し、下りパケット#2の再送を要求するATReceiverStatus(NAK)を第2無線基地局1Bに送信する。
【0131】
ステップS113において、第2無線基地局1Bは、下りパケット#2の再送要求に応じて、下りパケット#2を無線端末2に再送する。ここで、再送された下りパケット#2は、無線端末2において正常に受信されたものとする。
【0132】
ステップS114において、無線端末2は、ATReceiverStatus(ACK)を第2無線基地局1Bに送信する。ステップS115において、第2無線基地局1Bは、無線端末2から受信したATReceiverStatus(ACK)を第1無線基地局1Aに転送する。
【0133】
ステップS116及びステップS117において、第1無線基地局1A及び第2無線基地局1Bは、送信バッファをクリアする。
【0134】
(4.3)下り方向通信における詳細動作
次に、下り方向通信における詳細動作、具体的には、(4.3.1)下り方向通信における第2無線基地局の動作、(4.3.2)下り方向通信における無線端末の動作について説明する。
【0135】
(4.3.1)下り方向通信における第2無線基地局の動作
図11は、下り方向通信における第2無線基地局1Bの動作を示すフローチャートである。ここでは、第1無線基地局1AのAPPデータがRLP部13A、SP部14A、RP部15A及びPCP/MAC/PHY部16Aを経て無線端末2に送られていた時に、ハンドオーバが発生し、第2無線基地局1Bを経由することになった場合について説明する。
【0136】
ステップS401において、第2無線基地局1Bは、下りパケットを受信する。
【0137】
ステップS402において、第2無線基地局1Bは、ステップS401で受信した下りパケットが他の無線基地局から転送されたものであるか否かを判定する。他の無線基地局から転送された下りパケットでない場合、すなわち、アクセスゲートウェイ3から直接受信したパケットについては、RLP部13B、SP部14B及びRP部15Bにより通常のプロトコル処理が実行される(ステップS410)。通常のプロトコル処理では、RLP部13Bは、上述した第2下りフラグメント処理などを実行する。
【0138】
ステップS401で受信した下りパケットが他の無線基地局から転送されたものである場合、処理がステップS403に進む。
【0139】
ステップS403において、第2無線基地局1BのRLP部13Bは、第1無線基地局1AのRP部15AからのRPパケットを受信する。RLP部13Bは、RLPヘッダ(A)をコピーして一方を削除するとともに、第1無線基地局1AのRLP部13AからRLP情報(第1下り再送制御情報を取得し、再送に対応できるようにする。
【0140】
ここで、RLP部13Bは、受信した下りパケットが第1無線基地局1Aから転送された下りパケットであることを記憶する。また、RLP部13Bは、上述した第2下りフラグメント処理を省略する(ステップS404)。
【0141】
ステップS405において、RLP部13Bは、RLP情報(第1下り再送制御情報)を第1無線基地局1AのRLP部13Aから受信済みであるか否かを判定する。RLP情報を未受信である場合、RLP部13Bは、RLP部13Aに対してRLP情報の通知を要求する(ステップS406)。
【0142】
ステップS407において、SP部14Bは、SPヘッダ(A)をコピーするとともに一方を削除する。ステップS408において、RP部15Bは、RPヘッダ(A)をコピーするとともに一方を削除する。
【0143】
ステップS409において、IRTP部12Bは、第1無線基地局1Aによって転送された下りパケットであることを示す下り転送情報(IRTPヘッダ(B))を挿入する。
【0144】
ステップS411において、PCP/MAC/PHY部16Bは、下りパケットを無線端末2に送信する。
【0145】
(4.3.2)下り方向通信における無線端末の動作
図12は、下り方向通信における無線端末2の第2通信モジュール20Bの動作を示すフローチャートである。
【0146】
ステップS501において、第2通信モジュール20BのPCP/MAC/PHY部26Bは、下りパケットを受信する。
【0147】
ステップS502において、IRTP部22Bは、ステップS501で受信した下りパケットに下り転送情報(IRTPヘッダ(B))が挿入されているか否かを判定する。下り転送情報(IRTPヘッダ(B))が挿入されていない場合には、RLP部23B、SP部24B及びRP部25Bにより通常のプロトコル処理が実行される(ステップS510)。下り転送情報(IRTPヘッダ(B))が挿入されている場合には、IRTP部22Bは、下り転送情報(IRTPヘッダ(B))を取り外し、下りパケットをRP部25Bに渡す(ステップS503)。
【0148】
ステップS504において、RP部25Bは、RPヘッダ(A)を取り外す。また、RP部25Bは、下りパケットが無線基地局間で転送されてきたものであることから、第1通信モジュール20AのRP部25Aと連携をとり、必要な処理を実施する。
【0149】
ステップS505において、SP部24Bは、SPヘッダ(A)を取り外す。ステップS506〜S508において、RLP部23Bは、RLP部23Aに成り代わって再送制御(再送要求)を行う。このとき、再送制御に必要なRLP情報(第2下り再送制御情報)は、ハンドオーバ発生時に、RLP部23Aから通知されているものとする。
【0150】
ステップS506において、RLP部23Bは、再送要求が必要であるか否かを判定する。再送要求が必要である場合には、RLP部23Bは、第2無線基地局1Bに下りパケットの再送を要求する(ステップS508)。
【0151】
ステップS507において、下りパケットは第1通信モジュール20Aに転送されるが、既にRP/SP/RLPでの必要な処理は行われているので、そのままAPP部21Aに伝達させる。
【0152】
(4.4)上り方向通信における詳細動作
次に、上り方向通信における詳細動作、具体的には、(4.4.1)上り方向通信における無線端末の動作、(4.4.2)上り方向通信における第2無線基地局の動作について説明する。
【0153】
(4.4.1)上り方向通信における無線端末の動作
図13は、上り方向通信における無線端末2の第2通信モジュール20Bの動作を示すフローチャートである。
【0154】
ステップS601において、第2通信モジュール20BのRLP部23Bは、上りパケットを受信する。
【0155】
ステップS602において、RLP部23Bは、ステップS601で受信した上りパケットが他の通信モジュール(本実施形態では、第1通信モジュール20A)から転送されたものであるか否かを判定する。第1通信モジュール20Aから転送された上りパケットでない場合、すなわち、APP部21Bから受信したパケットについては、RLP部23B、SP部24B及びRP部25Bにより通常のプロトコル処理が実行される(ステップS610)。
【0156】
ステップS601で受信した下りパケットが第1通信モジュール20Aから転送されたものである場合、処理がステップS603に進む。ステップS603において、RLP部23Bは、第1通信モジュール20Aから転送された旨の情報を保存する。
【0157】
ステップS604において、RLP部23Bは、RLPヘッダ(A)をコピーして一方を削除するとともに、第1通信モジュール20AのRLP部23AからRLP情報(第1上り再送制御情報を取得し、再送に対応できるようにする。また、RLP部23Bは、上述した第2上りフラグメント処理を省略する(ステップS604)。
【0158】
ステップS605において、RLP部23Bは、RLP情報(第1上り再送制御情報)を第1通信モジュール20AのRLP部23Aから受信済みであるか否かを判定する。RLP情報を未受信である場合、RLP部23Bは、RLP部23Aに対してRLP情報の通知を要求する(ステップS606)。
【0159】
ステップS607において、SP部24Bは、SPヘッダ(A)をコピーするとともに一方を削除する。ステップS608において、RP部25Bは、は、RPヘッダ(A)をコピーするとともに一方を削除する。
【0160】
ステップS609において、IRTP部22Bは、第1通信モジュール20Aによって転送された上りパケットであることを示す上り転送情報(IRTPヘッダ(B))を挿入する。
【0161】
ステップS610において、PCP/MAC/PHY部26Bは、上りパケットを第2無線基地局1Bに送信する。
【0162】
(4.4.2)上り方向通信における第2無線基地局の動作
図14は、上り方向通信における第2無線基地局1Bの動作を示すフローチャートである。
【0163】
ステップS701において、第2無線基地局1BのPCP/MAC/PHY部16Bは、上りパケットを受信する。
【0164】
ステップS702において、IRTP部12Bは、ステップS701で受信した上りパケットに上り転送情報(IRTPヘッダ(B))が挿入されているか否かを判定する。上り転送情報(IRTPヘッダ(B))が挿入されていない場合には、RLP部13B、SP部14B及びRP部15Bにより通常のプロトコル処理が実行される(ステップS710)。上り転送情報(IRTPヘッダ(B))が挿入されている場合には、IRTP部12Bは、上り転送情報(IRTPヘッダ(B))を取り外し、上りパケットをRP部15Bに渡す(ステップS703)。
【0165】
ステップS704において、RP部15Bは、RPヘッダ(A)を取り外す。また、RP部15Bは、上りパケットが通信モジュール間で転送されてきたものであることから、第1無線基地局1AのRP部15Aと連携をとり、必要な処理を実施する。
【0166】
ステップS705において、SP部14Bは、SPヘッダ(A)を取り外す。ステップS706〜S708において、RLP部13Bは、RLP部13Aに成り代わって再送制御(再送要求)を行う。このとき、再送制御に必要なRLP情報(第2上り再送制御情報)は、ハンドオーバ発生時に、RLP部13Aから通知されているものとする。
【0167】
ステップS706において、RLP部13Bは、再送要求が必要であるか否かを判定する。再送要求が必要である場合には、RLP部13Bは、無線端末2に下りパケットの再送を要求する(ステップS708)。
【0168】
ステップS707において、下りパケットは第1無線基地局1Aに転送されるが、既にRP/SP/RLPでの必要な処理は行われているので、そのままAPP部11Aに伝達させる。
【0169】
(4.5)再送動作
図15は、RLP部13A、RLP部13B、RLP部23A及びRLP部23Bによって実行されるパケット再送動作を示すフローチャートである。
【0170】
(4.5.1)受信側再送動作
図15(a)は、パケット受信時におけるRLP部(RLP部13A、RLP部13B、RLP部23A又はRLP部23B)の再送動作(再送要求)を示すフローチャートである。
【0171】
ステップS201において、RLP部は、RLPパケットを受信する。
【0172】
ステップS202において、RLP部は、受信したRLPパケットのシーケンス番号が、次に受信すると期待されているシーケンス番号であるV(R)よりも大きいか否かを判定する。
【0173】
受信したRLPパケットのシーケンス番号がV(R)よりも大きい場合、RLP部は、パケット送信元に対して再送要求メッセージ(NAK)を送信する(ステップS203)。受信したRLPパケットのシーケンス番号がV(R)以下である場合、RLP部は、パケット送信元に対してACKを送信する(ステップS204)。
【0174】
(4.5.2)送信側再送動作
図15(b)は、パケット送信時におけるRLP部(RLP部13A、RLP部13B、RLP部23A又はRLP部23B)の再送動作(再送処理)を示すフローチャートである。
【0175】
ステップS301において、RLP部は、再送要求メッセージを受信する、又はパケット送信から一定時間に渡ってACKを受信できなかった(タイマタイムアウト)ことを検出する。
【0176】
ステップS302において、RLP部は、送信バッファの中から再送すべきパケットを取得し、取得したパケットを再送する。
【0177】
(5)作用及び効果
以上説明したように、下り方向通信において、第2無線基地局1BのRLP部13B、SP部14B及びRP部15Bは、第1無線基地局1Aによって転送されたパケットに対する第2下り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)及びRPヘッダ(B))の挿入を省略する。したがって、第2無線基地局1Bと無線端末2との間で送受信されるパケットのオーバヘッドを低減できる。
【0178】
本実施形態では、無線端末2の第2通信モジュール20Bは、第2無線基地局1Bから受信したパケットに下り転送情報(IRTPヘッダ(B))が挿入されている場合、第2無線基地局1Bから受信したパケットに挿入されている第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する。そして、無線端末2の第1通信モジュール20Aは、第2通信モジュール20Bが第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する場合、第1下り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を省略する。このため、無線端末2の処理負荷を低減することができる。
【0179】
下り方向通信において、第2無線基地局1BのRLP部13Bは、無線端末2のハンドオーバ時に、第1下り再送制御情報(RLP情報)をRLP部13Aから取得し、取得した第1下り再送制御情報を用いて第2下り再送処理を実行する。第1無線基地局1AのRLP部13Aは、RLP部13Bが第1下り再送制御情報を用いて第2下り再送処理を実行する場合、第1下り再送処理を省略する。
【0180】
また、第2通信モジュール20BのRLP部23Bは、ハンドオーバ時において、第2下り再送制御情報(RLP情報)をRLP部23Aから取得し、取得した第2下り再送制御情報を用いて第2下り再送要求を実行する。そして、第1通信モジュール20AのRLP部23Aは、RLP部23Bが第2下り再送制御情報を用いて第2下り再送要求を実行する場合、第1下り再送要求を省略する。
【0181】
このように、下り方向通信におけるRLPレベルでの再送制御が、第1無線基地局1Aと第1通信モジュール20Aとによって実施されるのではなく、第2無線基地局1Bと第2通信モジュール20Bとによって実施される。したがって、再送動作時において第1無線基地局1A及び第2無線基地局1B間でパケットを再度転送する処理が不要となり、高速な再送が可能になる。さらに、再送に伴う基地局間転送のリソース(例えばIPデータなど)を削減できる。また、再送動作時において、第1通信モジュール20A及び第2通信モジュール20B間のパケット転送が高速になるとともに、無駄なパケット転送が不要となる。
【0182】
本実施形態では、第2無線基地局1BのRLP部13Bは、無線端末2のハンドオーバ時において、第2下りフラグメント処理を省略する。これにより、第2無線基地局1Bは、第1無線基地局1Aから受信したパケットを高速に無線端末2に中継可能となる。
【0183】
本実施形態では、上り方向通信において、第2通信モジュール20Bは、第1通信モジュール20Aによって転送されたパケットを第2無線基地局1Bに送信するとともに、第1通信モジュール20Aによって転送されたパケットに対する第2上り制御データ(RLPヘッダ(B)、SPヘッダ(B)及びRPヘッダ(B))の挿入を省略する。したがって、第2無線基地局1Bと無線端末2との間で送受信されるパケットのオーバヘッドを低減できる。
【0184】
本実施形態では、上り方向通信において、第1無線基地局1AのRLP部13A、SP部14A及びRP部15Aは、第2無線基地局1BのRLP部13B、SP部14B及びRP部15Bが第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を実行する場合、第1上り制御データ(RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A))に基づくパケット受信処理を省略する。このため、第1無線基地局1Aの処理負荷を低減することができる。
【0185】
本実施形態では、上り方向通信において、第2通信モジュール20BのRLP部23Bは、第1上り再送制御情報(RLP情報)を第1通信モジュール20AのRLP部23Aから取得し、取得した第1上り再送制御情報を用いて第2上り再送処理を実行する。RLP部23Aは、RLP部23Bが第1上り再送制御情報を用いて第2上り再送処理を実行する場合、第1上り再送処理を省略する。
【0186】
また、第2無線基地局1BのRLP部13Bは、第2上り再送制御情報(RLP情報)をRLP部13Aから取得し、第2上り再送制御情報を用いて第2上り再送要求を実行する。第1無線基地局1AのRLP部13Aは、RLP部13Bが第2上り再送制御情報を用いて第2上り再送要求を実行する場合、第1上り再送要求を省略する。
【0187】
このように、上り方向通信におけるRLPレベルでの再送制御が、第1無線基地局1Aと第1通信モジュール20Aとによって実施されるのではなく、第2無線基地局1Bと第2通信モジュール20Bとによって実施される。したがって、再送動作時において第1無線基地局1A及び第2無線基地局1B間でパケットを再度転送する処理が不要となり、高速な再送が可能になる。さらに、再送に伴う基地局間転送のリソース(例えばIPデータなど)を削減できる。また、再送動作時において、第1通信モジュール20A及び第2通信モジュール20B間のパケット転送が高速になるとともに、無駄なパケット転送が不要となる。
【0188】
さらに、上り方向通信において、第2通信モジュール20BのRLP部23Bは、第2上りフラグメント処理を省略する。このため、第2通信モジュール20Bは、第1通信モジュール20Aから受信したパケットを高速に第2無線基地局1Bに中継可能となる。
【0189】
以上説明したように、本実施形態によれば、UMBシステムのハンドオーバにおいて、冗長なヘッダ(制御データ)を低減することができる。VoIPなどのリアルタイム通信に用いられるパケットは、他の種別のパケットと比較してパケットサイズが小さいため、ヘッダ(制御データ)の低減が特に有効である。
【0190】
(6)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0191】
上述した実施形態では、第2無線基地局1Bは、下り方向通信において、RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)をコピーして二組のRLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)を生成し、一方のRLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)を削除していたが、RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)をコピー及び削除しなくてもよい。
【0192】
同様に、第2通信モジュール20Bは、上り方向通信において、RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)をコピーして二組のRLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)を生成し、一方のRLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)を削除していたが、RLPヘッダ(A)、SPヘッダ(A)及びRPヘッダ(A)をコピー及び削除しなくてもよい。
【0193】
上述した実施形態では、UMBシステムに基づく構成について説明したが、UMBシステムに限らず、ハンドオーバ時に無線基地局間でパケットを転送するシステムであれば本発明を適用可能である。
【0194】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0195】
1A…第1無線基地局、1B…第2無線基地局、2…無線端末、3…アクセスゲートウェイ、4…ネットワーク、10…無線通信システム、11A,11B,21A,21B…APP部、12A,12B,22A,22B…IRTP部、13A,13B,23A,23B…RLP部、14A,14B,24A,24B…SP部、15A,15B,25A,25B…RP部、16A,16B,26A,26B…PCP/MAC/PHY部、20A…第1通信モジュール、20B…第2通信モジュール、101…RF部、102…制御部、103…I/F部、104…記憶部、104a…バッファ部、201…RF部、202…操作部、203…制御部、204…音声コーデック部、205…マイク、206…スピーカ、207…表示部、208…記憶部、208a…バッファ部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線基地局と、前記第1無線基地局と通信可能な第2無線基地局と、前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へ接続先を切り替える無線端末とを含む無線通信システムであって、
前記無線端末は、
前記第1無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第1無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第1上り制御データを挿入する第1送信処理部と、
前記第2無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第2無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第2上り制御データを挿入する第2送信処理部と
を備え、
前記第1送信処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り制御データが挿入された前記パケットを前記第2送信処理部に転送し、
前記第2送信処理部は、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットを前記第2無線基地局に送信するとともに、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットに対する前記第2上り制御データの挿入を省略し、
前記第2無線基地局は、前記無線端末から受信した前記パケットを前記第1無線基地局に転送する無線通信システム。
【請求項2】
前記第1無線基地局は、前記第1上り制御データに基づくパケット受信処理を実行する第1上り受信処理部を備え、
前記第2無線基地局は、前記第1上り制御データ又は前記第2上り制御データに基づくパケット受信処理を実行する第2上り受信処理部を備え、
前記第2送信処理部は、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットを前記第2無線基地局に送信する場合、前記第2無線基地局に送信する前記パケットに対し、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットであることを示す上り転送情報を挿入する上り転送情報挿入部を備え、
前記第2上り受信処理部は、前記無線端末から受信した前記パケットに前記上り転送情報が挿入されている場合、前記無線端末から受信した前記パケットに挿入されている前記第1上り制御データに基づくパケット受信処理を実行し、
前記第1上り受信処理部は、前記第2上り受信処理部が前記第1上り制御データに基づくパケット受信処理を実行する場合、前記第1上り制御データに基づくパケット受信処理を省略する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1送信処理部は、前記第1無線基地局が受信に失敗したパケットを前記第1無線基地局に再送する第1上り再送処理を実行する第1上り再送処理部を備え、
前記第2送信処理部は、前記第2無線基地局が受信に失敗したパケットを前記第2無線基地局に再送する第2上り再送処理を実行する第2上り再送処理部を備え、
前記第2上り再送処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り再送処理に用いられる第1上り再送制御情報を前記第1上り再送処理部から取得し、取得した前記第1上り再送制御情報を用いて前記第2上り再送処理を実行し、
前記第1上り再送処理部は、前記第2上り再送処理部が前記第1上り再送制御情報を用いて前記第2上り再送処理を実行する場合、前記第1上り再送処理を省略する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1無線基地局は、受信に失敗したパケットの再送を前記第1上り再送処理部に要求する第1上り再送要求を実行する第1上り再送要求部を備え、
前記第2無線基地局は、受信に失敗したパケットの再送を前記第2上り再送処理部に要求する第2上り再送要求を実行する第2上り再送要求部を備え、
前記第2上り再送要求部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り再送要求に用いられる第2上り再送制御情報を前記第1上り再送要求部から取得し、前記第2上り再送制御情報を用いて前記第2上り再送要求を実行し、
前記第1上り再送要求部は、前記第2上り再送要求部が前記第2上り再送制御情報を用いて前記第2上り再送要求を実行する場合、前記第1上り再送要求を省略する請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1送信処理部は、前記第1無線基地局に送信するユーザデータを分解してパケットを生成する第1上りフラグメント処理を実行する第1上りフラグメント処理部を備え、
前記第2送信処理部は、前記第2無線基地局に送信するユーザデータを分解してパケットを生成する第2上りフラグメント処理を実行する第2上りフラグメント処理部を備え、
前記第2上りフラグメント処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第2上りフラグメント処理を省略する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
第1無線基地局から、前記第1無線基地局と通信可能な第2無線基地局へ接続先を切り替える無線端末であって、
前記第1無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第1無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第1上り制御データを挿入する第1送信処理部と、
前記第2無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記無線端末と前記第2無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第2上り制御データを挿入する第2送信処理部と
を備え、
前記第1送信処理部は、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り制御データが挿入された前記パケットを前記第2送信処理部に転送し、
前記第2送信処理部は、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットを前記第2無線基地局に送信するとともに、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットに対する前記第2上り制御データの挿入を省略する無線端末。
【請求項7】
第1無線基地局と、
前記第1無線基地局と通信可能な第2無線基地局と、
前記第1無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記第1無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第1上り制御データを挿入する第1送信処理部と、前記第2無線基地局に送信すべきパケットに対し、前記第2無線基地局との上り方向通信の制御に用いられる第2上り制御データを挿入する第2送信処理部とを有する無線端末と
を用いた無線通信方法であって、
前記無線端末が、前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へ接続先を切り替えるステップと、
前記第1送信処理部が、前記接続先の切り替え時において、前記第1上り制御データが挿入された前記パケットを前記第2送信処理部に転送するステップと、
前記第2送信処理部が、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットに対する前記第2上り制御データの挿入を省略するステップと、
前記第2送信処理部が、前記第1送信処理部によって転送された前記パケットを前記第2無線基地局に送信するステップと、
前記第2無線基地局が、前記無線端末から受信した前記パケットを前記第1無線基地局に転送するステップと
を備える無線通信方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−151878(P2012−151878A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54301(P2012−54301)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2008−85008(P2008−85008)の分割
【原出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】