無線通信システム、無線通信方法、送信装置および受信装置
【課題】マルチサイトSTBC方式とSPCとを共に用いて通信を行うことのできる無線通信システムを提供することにある。
【解決手段】無線通信システムにおいて、無線基地局装置300が、端末装置100に対してSTTD符号化して送信する信号に用いたSTTDの符号化パターンを示すパターン情報を送信信号と共に送信し、端末装置200が、端末装置100宛の信号と、自端末宛の信号とがSPCにより多重化された信号から、パターン情報に基づいて端末装置100宛の信号を復元して、受信した信号から復元した信号を減算することで、自端末装置宛の信号を検出する。
【解決手段】無線通信システムにおいて、無線基地局装置300が、端末装置100に対してSTTD符号化して送信する信号に用いたSTTDの符号化パターンを示すパターン情報を送信信号と共に送信し、端末装置200が、端末装置100宛の信号と、自端末宛の信号とがSPCにより多重化された信号から、パターン情報に基づいて端末装置100宛の信号を復元して、受信した信号から復元した信号を減算することで、自端末装置宛の信号を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線通信方法、送信装置および受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において、STBC(Space Time Block Coding:時空間ブロック符号化)を用いたSTTD(Space-Time block coding based Transmit antenna Diversity;時空間ブロック符号化送信アンテナダイバーシチ)、あるいは、SFBC(Space Frequency Block Coding:周波数空間ブロック符号化)を用いたSFTD(Space- Frequency block coding based Transmit antenna Diversity;周波数空間ブロック符号化送信アンテナダイバーシチ)などの、ブロック符号化に基づく送信アンテナダイバーシチは、無線基地局装置が複数の送信アンテナを用いて、端末装置にデータを送信し、送信ダイバーシチを得ることにより、1つの送信アンテナのみを用いてデータを送信するよりも優れた伝送特性を得ることができる。
【0003】
STBCとは、基地局装置が2本の送信アンテナを用いて端末装置に信号を送信する場合に、時間的に連続した2つの変調シンボルに対して式(1−1)、(1−2)に表される演算を行い送信することより、受信側で送信ダイバーシチ効果を得ることができる技術である(非特許文献1)。
【0004】
【数1】
【0005】
ここで、s(n)は、時刻nにおける変調シンボルであり、s(n+1)は、時刻n+1における変調シンボルである。s’i(n)(i=1,2)は、i番目のアンテナから送信されるSTBCを施された送信信号である。sの上付きの*(アスタリスク)は、複素共役を表す。
端末装置は、式(1−1)、(1−2)で表される送信信号を受信し、受信した信号をSTBC復号することで、最大比合成と同様の送信ダイバーシチ効果を得ることができる。
【0006】
端末装置におけるSTBC復号は、線形計算により行うことができる。端末装置における時刻nと時刻n+1とそれぞれの受信信号r(n)、r(n+1)は、式(2−1)、(2−2)により表される。
時刻nと時刻n+1とにおいて、無線基地局装置の第1のアンテナから端末装置へのチャネル状態を示す値をh1とし、無線基地局装置の第2のアンテナから端末装置へのチャネル状態を示す値をh2とする。STBCは、チャネル状態の時間変動が十分に小さい環境でのみ、例えば、端末装置が、無線基地局装置の第1及び第2のアンテナから離れたセルエリアの端に位置する場合に用いられるので、隣接した時刻nと時刻n+1との間でのチャネル状態変化を無視できるものとして同じ変数h1、h2で表す。また、時刻nにおける雑音をη(n)とする。
【0007】
【数2】
【0008】
端末装置において、受信した信号r(n)、r(n+1)から、送信された信号s(n)、s(n+1)を復元した信号を次式(3−1)〜(3−4)により算出する。
【0009】
【数3】
【0010】
ここで、s(n)、s(n+1)それぞれのsの上に^(ハット)が付いた変数を、以下、明細書中において^s(n)、^s(n+1)とする。
送信信号s(n)、s(n+1)に対応する復元した送信信号^s(n)、^s(n+1)は、式(1−1)、(1−2)と式(2−1)、(2−2)とから、式(3−1)〜(3−4)として表され、式(3−2)、(3−4)の第1項に着目すると、変調シンボルs(n)、s(n+1)それぞれは、第1のアンテナから端末装置への伝送路(h1)を介した変調シンボルと、第2のアンテナからの端末装置への伝送路(h2)を介した変調シンボルとの最大比合成により復元されることが示されている。
【0011】
SFBCは、STBCにおける「時間的に連続した2つの変調シンボル」に替えて、「周波数軸上で連続した2つのキャリアに割り当てられた変調シンボル」に対して式(1−1)、(1−2)の演算を行い送信する技術である(非特許文献2)。
【0012】
次に、マルチサイトSTBCとは、2つの無線基地局装置を用いて、それぞれ異なる位置から1つの端末装置に対してデータを送信することにより、マルチサイトダイバーシチによる伝送特性の改善を図る技術である。信号を受信する端末装置は、異なる位置から送信された2つの信号を加え合わせた信号を受信することにより、一方の無線基地局装置から受信する信号が弱くなったとしても、他方の無線基地局装置からの受信する信号により復号を行うことで、端末装置は、安定した受信を行うことができる。マルチサイトSTBCは、特に、2つの基地局装置の中間地点付近に端末装置が存在するとき、受信信号を合成することにより伝送特性の改善が顕著であるが、中間地点付近以外に端末装置が存在するときでも、2つの基地局装置から受信する信号を合成することで伝送特性を改善することができる(非特許文献1)。
【0013】
また、次世代の移動体通信方式では、限られた周波数帯域で、無線基地局装置は、できるだけ多くの端末装置と同時に通信を行う必要がある。そのため、1つの無線リソース(周波数など)で2つの端末装置にデータを多重して送信できるSPC(Super Position Coding;重畳符号化)が、有望視されている。SPCは、2つの端末装置への送信する信号に電力差をつけて加算することで、信号を多重する方法である。(非特許文献3)。
ここで、無線リソースとは、1つの変調シンボルを端末装置に送信することのできる最小単位のことであり、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)方式を用いた通信においては、1つのOFDMシンボルにおける1つのサブキャリアのことを示す。
【0014】
SPCは、一般にチャネル特性が良い端末装置と、チャネル特性が悪い端末装置とが同時に同じ無線リソースにより無線基地局装置と通信することができる技術である。無線基地局装置は、チャネル特性が悪い端末装置へ送信する信号に対して大きな電力を用いて変調シンボルを作成し、チャネル特性が良い端末装置へ送信する信号に対して小さな電力を用いて変調シンボルを作成し、作成した両方の変調シンボルを加算して送信する。
チャネル特性が良い端末装置は、両信号が加算された受信信号からチャネル特性が悪い端末装置への信号の検出を行い、両信号が加算された受信信号からチャネル特性が悪い端末装置への信号を減算することで、チャネル特性が良い端末装置への信号、すなわち、自端末装置宛の信号を取り出す。また、チャネル特性が悪い端末装置は、チャネル特性が良い端末装置への信号を雑音としてみなして、チャネル特性が悪い端末装置への信号、すなわち、自端末装置宛の信号を検出する。
【0015】
SPCは、上述のように、無線基地局と2つの端末装置とが処理を行うことで、1つの無線リソースで2つの端末装置への信号を多重できる技術である。
なお、チャネル特性が良い端末装置と、チャネル特性が悪い端末装置と区別してSPCの動作の説明をしたが、どちらか一方の端末装置が、他方の端末装置宛の信号を検出することができれば、チャネル特性に依存せずにSPCによる通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】井上学、藤井威生、中川正雄、「OFDM複数基地局システムにおけるSTTDを用いたサイトダイバーシチ法」、IEICE、RCS2002−127
【非特許文献2】“SPACE-TIME/SPACE-FREQUENCY BLOCK CODED OFDM WITH DIAGONALIZED MAXIMUM LIKELIHOOD DECODER (ST/SF-OFDM with DMLD)“, IEICE TRANS. COMMUN., VOL. E87-B,NO.7 JULY 2004
【非特許文献3】”Performance of Superposition Coded Broadcast/Unicast Service Overlay System”, IEICE TRANS. COMMUN., VOL. E91-B,NO.9 SEPTEMBER 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述のマルチサイトSTBC方式などのマルチサイトブロック符号化方式、すなわちSFBC、STBCなどのブロック符号化した信号を異なる位置から1つの端末装置に対して送信するシステムにおいて、更に、SPCを適用する場合、無線基地局装置が、第1の端末装置宛にマルチサイトSTBC方式で送信している信号に対して、第2の端末装置宛のデータをSPCにより多重化すると、第1の端末装置宛の信号が式(1−1)又は式(1−2)によりSTBC符号化されるために、第2の端末装置が第1の端末装置宛の信号を検出することができず、SPCにより多重化された自端末装置宛の信号を検出することができないという問題がある。
【0018】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、マルチサイトブロック符号化方式と重畳符号化とを共に用いて通信を行うことのできる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)上記問題を解決するために、本発明は、複数のアンテナそれぞれから異なる信号を送信する送信装置と、前記送信装置から送信される信号を受信する少なくとも第1、第2、及び、第3の受信装置を有する無線通信システムにおいて、前記送信装置は、前記第1の受信装置に向けた第1の変調シンボルと、前記第2の受信装置に向けた第2の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうちの1つを用いて符号化して第1の送信信号を生成する第1の送信信号生成部と、前記第1の受信装置に向けた前記第1の変調シンボルと、前記第3の受信装置に向けた第3の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1の送信信号生成部において用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化して第2の送信信号を生成する第2の送信信号生成部と、前記第1の送信信号生成部により生成された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号生成部により生成された前記第2の送信信号とを同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信する無線送信部とを備え、前記第1の受信装置は、前記送信装置より送信された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号とを重ね合わせた信号を受信し、自受信装置に向けられた信号を検出するデータ検出部を備え、前記第2の受信装置は、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第1のレプリカ生成部と、前記第1のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第1のキャンセル部とを備え、前記第3の受信装置は、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第2の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第2のレプリカ生成部と、前記第2のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第2の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第2のキャンセル部とを備えることを特徴とする無線通信システムである。
【0020】
(2)また、本発明は、上記記載の発明において、前記送信装置は、前記第1の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第1のパターン情報と、前記第1の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第2のパターン情報とを生成するパターン情報生成部を備え、前記第1及び第2パターン情報は、前記無線送信部により、前記第1及び第2の送信信号と共に送信され、前記第2の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第1のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成し、前記第3の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第2のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成することを特徴とする。
【0021】
(3)また、本発明は、上記記載の発明において、前記無線通信システムは、更に、第4の受信装置を備える無線通信システムであって前記送信装置は、前記第1の受信装置へ送信する前記第1の変調シンボルと、前記第4の受信装置に向けた第4の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1及び第2の送信信号生成部が用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化する第3の送信信号生成部を備え、前記無線送信部は、前記第1及び第2の送信信号と、前記第3の送信信号生成部が生成した第3の送信信号と同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信し、前記第4の受信装置は、自端末装置に向けた前記第4の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第3のレプリカ生成部と、前記第3のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第1のキャンセル部とを備えることを特徴とする。
【0022】
(4)また、本発明は、上記記載の発明において、前記パターン情報生成部は、前記第3の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第3のパターン情報を生成し、前記無線送信部は、生成された前記第3のパターン情報を前記第3の送信信号と共に送信し、前記第4の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第3のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成することを特徴とする。
【0023】
(5)また、本発明は、上記記載の発明において、前記第1の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第2の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成し、前記第2の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第3の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成し、前記第3の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第4の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成することを特徴とする。
【0024】
(6)また、本発明は、上記記載の発明において、前記第1の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第2の変調シンボルとを重畳符号化する第1の重畳符号化部と、前記第1の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第1のブロック符号化部と、前記第1のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第1のIFFT部と、前記第1のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第1のガードインターバル挿入部とを備え、前記第2の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第3の変調シンボルとを重畳符号化する第2の重畳符号化部と、前記第2の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第2のブロック符号化部と、前記第2のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第2のIFFT部と、前記第2のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第2のガードインターバル挿入部とを備え、前記第3の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第4の変調シンボルとを重畳符号化する第3の重畳符号化部と、前記第3の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第3のブロック符号化部と、前記第3のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第3のIFFT部と、前記第3のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第3のガードインターバル挿入部とを備えることを特徴とする。
【0025】
(7)また、本発明は、上記記載の発明において、前記第1、第2、及び、第3のブロック符号化部は、前記ブロック符号化として、時空間ブロック符号化(STBC)を用いることを特徴とする。
【0026】
(8)また、本発明は、上記記載の発明において、前記第1、第2、及び、第3のブロック符号化部は、前記ブロック符号化として、周波数空間ブロック符号化(SFBC)を用いることを特徴とする。
【0027】
(9)また、本発明は、対になった他方のアンテナから送信される信号と、自アンテナから送信される信号とを重ね合わせた信号を受信した第1の受信装置が、合成後の利得が得られるように前記第1の受信装置に向ける信号を無線リソースに配置すると共に、前記無線リソースに第2の受信装置に向ける信号を重畳して配置する送信信号生成部を備えることを特徴とする送信装置である。
【0028】
(10)また、本発明は、送信装置から受信した受信信号から、他の受信装置に向けられた信号を再生するレプリカ生成部と、前記レプリカ生成部が再生した信号を、前記受信信号からキャンセルするキャンセル部とを備えることを特徴とする受信装置である。
【0029】
(11)また、本発明は、複数のアンテナそれぞれから異なる信号を送信する送信装置と、前記送信装置から送信される信号を受信する少なくとも第1、第2、及び、第3の受信装置に向けて第1、第2、及び、第3の変調シンボルを送信する無線通信方法であって、前記送信装置が、前記第1の受信装置に向けた第1の変調シンボルと、前記第2の受信装置に向けた第2の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうちの1つを用いて符号化して第1の送信信号を生成する過程と、前記送信装置が、前記第1の受信装置に向けた前記第1の変調シンボルと、前記第3の受信装置に向けた第3の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1の送信信号生成部において用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化して第2の送信信号を生成する過程と、前記送信装置が、前記第1の送信信号生成部により生成された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号生成部により生成された前記第2の送信信号とを同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信する過程とを備え、前記第1の受信装置が、前記送信装置より送信された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号とを重ね合わせた信号を受信し、自受信装置に向けられた信号を検出する過程と、前記第2の受信装置が、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する過程と、前記第2の受信装置が、前記第1のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする過程と、前記第3の受信装置が、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第2の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する過程と、前記第3の受信装置が、前記第2のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第2の送信信号の変調シンボルからキャンセルする過程とを備えることを特徴とする無線通信方法である。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、無線通信システムに用いる帯域幅を増やすことなく通信量を増加させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態による無線通信システムの構成を示す概略図である。
【図2】同実施形態における無線基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態における無線通信システムの異なる形態を示す概略図である。
【図4】同実施形態における変調シンボル生成部の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】同実施形態における送信処理部の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】同実施形態におけるSPC部による多重化を説明する概略図である。
【図7】同実施形態における端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】同実施形態におけるデータ検出部の構成を示した概略ブロックである。
【図9】同実施形態における端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図10】同実施形態における無線基地局装置の異なる形態を示す概略ブロック図である。
【図11】第2実施形態における端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図12】第3実施形態における送信処理部の構成を示す概略ブロック図である。
【図13】同実施形態における端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態による無線通信システム、無線基地局装置、及び、端末装置を図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、ブロック符号化に基づく送信アンテナダイバーシチとして、STBC(Space Time Block Coding:時空間ブロック符号化)に基づくSTTD(Space-Time block coding based Transmit antenna Diversity;時空間ブロック符号化送信アンテナダイバーシチ)を用いて説明するが、SFBC(Space Frequency Block Coding:周波数空間ブロック符号化)に基づくSFTD(Space-Frequency block coding based Transmit antenna Diversity;時空間ブロック符号化送信アンテナダイバーシチ)を用いてもよい。
【0033】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態による無線通信システム10の構成を示す概略図である。無線通信システム10は、無線基地局装置300a、300b、移動局としての端末装置100、200a、200bを有する。
図示するように、端末装置100(第1の端末装置)が、無線基地局装置300a、300bからの送信信号を受信することで、マルチサイトSTBC方式で通信するとき、端末装置200a(第2の端末装置又は第3の端末装置)が、端末装置100に対して用いられている同じ無線リソース(周波数など)を用いて、SPC(Super Position Coding;重畳符号化)により無線基地局装置300aからの送信信号を受信して通信し、端末装置200b(第2の端末装置又は第3の端末装置)が、同様に、端末装置100に対して用いている同じ無線リソースを用いて、SPCにより無線基地局装置300bからの送信信号を受信して通信する。一例として、端末装置200aは、無線基地局装置300aのセルエリア内に位置し、端末装置200bは、無線基地局装置300bのセルエリア内に位置し、端末装置100は、無線基地局装置300a、300b双方のセルエリア端に位置する。
なお、端末装置200a、200bは、同じ構成を有しており、いずれか一方を代表して示すとき、又は、すべてを示すとき端末装置200という。
【0034】
無線基地局装置300aは、端末装置100宛の変調シンボル(第1の変調シンボル)に、SPCにより端末装置200a宛の変調シンボル(第2の変調シンボル)を多重化して送信する。
このとき、無線基地局装置300aが、端末装置200aにSTBCによる通信を行っていることを示すSTBC情報を送信信号と併せて送信する。更に、無線基地局装置300aは、STBCによる符号化を行った際に符号化パターン(式(1−1)、(1−2))のいずれを用いたかを示すパターン情報を端末装置200aに送信する。これにより、端末装置200aは、端末装置100宛の変調シンボルを復元することができ、復元した変調シンボルを受信した送信信号から減算することにより、自端末装置宛の変調シンボルを検出することができる。また、無線基地局装置300bが、STBC情報とパターン情報とを併せて送信することで、端末装置200bは、端末装置200aと同様に、端末装置100宛の変調シンボルを検出し、検出した変調シンボルから減算することで自端末装置宛の変調シンボルを検出することができる。
【0035】
ここで、図1に示すように、端末装置200a、200bが同時にSPCで通信するには、無線基地局装置300aから送信される送信信号が端末装置200bに届かず、無線基地局装置300bから送信される送信信号が端末装置200aに届かないことが条件となり、本実施形態においても、この条件が満たされるとする。なお、送信信号が端末装置200a、200bに届かないとは、受信した送信信号が雑音とみなせるほど小さな電力で受信されることを含む。
また、無線基地局装置300a、300bから端末装置100、200a、200bへの通信回線を下りリンクといい、端末装置100、200a、200bから無線基地局装置300への通信回線を上りリンクという。
【0036】
図2は、同実施形態における無線基地局装置300の構成を示す概略ブロック図である。図1において、無線基地局装置300a、300bは、独立した装置として記載しているが、送信における処理の説明を簡単にするために、図2に図示するように、1つの無線基地局装置300として説明する。
なお、無線基地局装置300は、図3に示すように、マルチサイトSTBCの効果を得るために、図1における無線基地局装置300a、300bと同様に、アンテナ311、321が、異なる位置に設置され、有線、例えば、同軸線や光ファイバーなどにより接続される。また、アンテナ311、321はリレー局でもよい。
【0037】
図2に戻り、無線基地局装置300は、端末装置100、200a、200bそれぞれに送信する情報ビットを変調する変調シンボル生成部313、323、333と、アンテナ311、321と、アンテナ311、321それぞれに対応する送信処理部312、322とを含み構成される。
変調シンボル生成部313は、端末装置200a宛に送信する情報ビットが入力され、入力された情報ビットを変調して変調シンボル(第2の変調シンボル)を送信処理部312に出力する。変調シンボル生成部323は、端末装置200b宛に送信する情報ビットが入力され、入力された情報ビットを変調して変調シンボル(第2の変調シンボル)を送信処理部322に出力する。変調シンボル生成部333は、端末装置100宛に送信する情報ビットが入力され、入力された情報ビットを変調して変調シンボル(第1の変調シンボル)を送信処理部312、322に出力する。
【0038】
送信処理部312は、変調シンボル生成部313、333から入力された変調シンボルから送信信号を生成し、生成した送信信号をアンテナ311を介して端末装置100、200aに送信する。送信処理部322は、変調シンボル生成部323、333から入力された変調シンボルから送信信号を生成し、生成した送信信号をアンテナ321を介して端末装置100、200bに送信する。
【0039】
次に、図4は、同実施形態における変調シンボル生成部313の構成を示す概略ブロック図である。変調シンボル生成部313は、符号化部351と変調部352とを有する。符号化部351は、送信する情報ビットが入力され、入力された情報ビットに対してターボ符号、畳み込み符号、LDPC(Low density Parity check Code;低密度パリティ検査符号)などにより前方誤り訂正(Forward Error Correction;FEC)を行い変調部352に出力する。変調部352は、符号化部351により符号化された情報ビットに対して変調を行い、生成した変調シンボルを出力する。このとき、変調部352が行う変調として、例えば、QPSK(Quadrature Phase shift keying;4相位相変調)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation;16値直交振幅変調)、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation;64値直交振幅変調)などを用いる。
なお、変調シンボル生成部323、333は、変調シンボル生成部313と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0040】
次に、図5は、同実施形態における送信処理部312の構成を示す概略ブロック図である。送信処理部312は、送信信号生成部341、STBC情報生成部342、パターン情報生成部343、及び、無線送信部344を備える。
送信信号生成部341は、入力される端末装置100宛の変調シンボルと、入力される端末装置200a宛の変調シンボルとから送信信号を生成し、生成した送信信号を無線送信部344に出力する。STBC情報生成部342は、送信信号がSTBCにより符号化されていることを示すSTBC情報を無線送信部344に出力する。パターン情報生成部343は、STBCにより符号化された際に用いられた式(1−1)、(1−2)で示される符号化パターンのいずれを用いたかを示すパターン情報を無線送信部344に出力する。無線送信部344は、入力された送信信号と、STBC情報と、パターン情報とを、例えば時間多重など、多重して、接続されたアンテナ311を介して下りリンクの無線周波数にて端末装置100、200aに送信する。
【0041】
送信信号生成部341は、SPC部345、STBC部(時空間ブロック符号部)346、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform;逆高速フーリエ変換)部347、及び、ガードインターバル挿入部348(以下、GI挿入部348という)を備える。
SPC部345は、入力される端末装置100宛の変調シンボルと、入力される端末装置200a宛の変調シンボルとに対して、SPCによる多重化を行ってSPCシンボルを生成し、生成したSPCシンボルをSTBC部346に出力する。このとき、SPC部345は、端末装置100宛に送信する変調シンボルに、端末装置200a宛に送信する変調シンボルより大きい電力を割り当てる。それぞれの変調シンボルに割り当てる電力の比、又は差は、予め定められた固定値でもよいし、アンテナ311と端末装置100との間の伝送路と、アンテナ311と端末装置200aとの間の伝送路の状態に基づいて決定してもよい。
STBC部346は、入力されたSPCシンボルに対して、式(1−1)、(1−2)のいずれかに基づいて符号化を行って、IFFT部347に出力する。IFFT部347は、STBC部346から入力された信号に対して逆高速フーリエ変換演算を行い、周波数領域の信号から時間領域の信号へと変換してGI挿入部348に出力する。GI挿入部348は、IFFT部347から入力された信号に対して、入力された信号の一部をコピーするなどしてガードインターバルを付加して冗長性を有する送信信号を生成して無線送信部344に出力する。
【0042】
ここで、SPC部345が行う多重化について説明する。図6は、SPC部345による多重化を説明する概略図である。ここでは、端末装置100、200aに送信する信号の変調がどちらもQPSKを用いるとする。図6(a)が端末装置100宛の変調シンボルをベクトルで表現した図であり、図6(b)が端末装置200a宛の変調シンボルをベクトルで表現した図である。ここで、それぞれの変調シンボルが有する電力は、ベクトルの大きさで表され、端末装置100宛の変調シンボルは、端末装置200a宛の変調シンボルより大きい電力が与えられることを示している。
図6(c)は、それぞれの変調シンボルを加算(多重化)して得られるSPCシンボルを示す。また、図6(d)は、加算する変調シンボルが共にQPSKであるとき、SPCシンボルが取り得るシンボルの配置点を示す。
【0043】
なお、送信処理部322は、SPC部345に入力されている端末装置200a宛の変調シンボルが、端末装置200b宛の変調シンボルとなる点が異なる以外、送信処理部312と同様の構成をしているので、送信処理部322の説明を省略する。また、送信処理部312、322が有する無線送信部344は、互いに同期をとって同じタイミングで端末装置100において信号が受信されるように、伝送路の遅延に基づいたタイミングで送信信号を送信する。
【0044】
図7は、同実施形態における端末装置200の構成を示す概略ブロック図である。端末装置200は、無線受信部251、ガードインターバル除去部252(以下、GI除去部252という)、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)部253、STBC復元部254、パターン情報検出部255、STBC情報検出部256、チャネル推定部257、データ検出部258、レプリカ生成部259、キャンセル部260、データ検出部261を有する。
【0045】
無線受信部251は、無線基地局装置300から送信された送信信号を接続されたアンテナを介して受信し、受信した信号をベースバンドへダウンコンバートし、更に、アナログ信号からデジタル信号に変換した後、GI除去部252、STBC情報検出部256、及びパターン情報検出部255に出力する。GI除去部252は、無線受信部251が出力した信号からガードインターバルを除去してFFT部253に出力する。FFT部253は、GI除去部252によりガードインターバルが除去された信号に対してFFTを行い時間領域の信号から周波数領域の信号へ変換してSTBC復元部254とチャネル推定部257とに出力する。
【0046】
パターン情報検出部255は、無線受信部251が出力した信号からSTBCの符号化パターンが示されたパターン情報を検出してSTBC復元部254に出力する。STBC情報検出部256は、無線受信部251が出力した信号からSTBCによる符号化が行われているか否かを示すSTBC情報を検出してSTBC復元部254に出力する。なお、これらパターン情報およびSTBC情報の検出は、例えば送信側で時間多重されている場合は、パターン情報あるいはSTBC情報が多重されている時間帯の受信信号を分離することで行う。
【0047】
チャネル推定部257は、FFT部253が出力した信号から無線基地局装置300と端末装置200との間に対するチャネル状態(伝送路)の推定を行い、得られたチャネル推定値をデータ検出部258、レプリカ生成部259、及びデータ検出部261に出力する。ここで、チャネル推定部257は、線形補間やFFT補間などのチャネル推定技術を用いてチャネル推定値の算出を行ってもよい。
【0048】
STBC復元部254は、STBC情報検出部256から入力されるSTBC情報により無線基地局装置300が送信信号にSTBCを施しているか否かを判定し、STBCが施されていると判定したとき、パターン情報検出部255から入力されたパターン情報に基づいて、FFT部253から入力された信号に対してSTBC復元を行う。また、チャネル推定部257は、基地局装置から無線リソースを用いて送信されたパイロット信号などの既知信号より伝送路を推定してチャネル推定値を算出する。
【0049】
STBC復元部254は、パターン情報が式(1−1)で示される符号化パターンを示すとき、各サブキャリアについて次式(4−1)、(4−2)で示される演算を行い、送信信号s(n)、s(n+1)を復元した信号^s(n)、^s(n+1)を算出する。r(n)、r(n+1)は、時刻n、n+1において受信した信号を示す。
【0050】
【数4】
【0051】
STBC復元部254は、パターン情報が式(1−2)で示される符号化パターンを示すとき、次式(5−1)、(5−2)で示される演算を行い、送信信号s(n)、s(n+1)を復元した信号^s(n)、^s(n+1)を算出する。
【0052】
【数5】
【0053】
STBC復元部254は、算出した信号^s(n)、^s(n+1)をデータ検出部258とキャンセル部260とに出力する。
データ検出部258は、入力された^s(n)、^s(n+1)それぞれについて、伝搬路特性値(チャネル推定値)による影響を受けた信号として、チャネル補償、復調、復号を行い、端末装置100宛の情報ビットを検出し、検出した情報ビットをレプリカ生成部259に出力する。レプリカ生成部259は、入力された端末装置100宛の情報ビットを符号化、変調して、変調シンボルを生成し、更に、伝搬路特性値の影響を与えたレプリカ信号を生成してキャンセル部260に出力する。
【0054】
キャンセル部260は、レプリカ生成部259が出力するレプリカ信号を、STBC復元部254から入力された信号^s(n)、^s(n+1)に対する干渉信号とみなして、信号^s(n)、^s(n+1)からレプリカ信号を減算(除去)して、端末装置200に対する変調シンボルを検出し、検出した変調シンボルをデータ検出部261に出力する。 このような処理は、符号間干渉抑圧や、ストリーム間干渉抑圧のための判定帰還型等化器と同様の処理である。このような処理については、一例として、特開2004−221702を参照されたい。
データ検出部261は、キャンセル部260により検出された変調シンボルを、チャネル推定部257が算出したチャネル推定値に基づいてチャネル補償した後、復調、及び、復号して、端末装置200宛の情報ビットを検出して出力する。
【0055】
次に、図8は、同実施形態におけるデータ検出部258の構成を示した概略ブロックである。データ検出部258は、チャネル補償部208、復調部209、及び、復号部210を有する。チャネル補償部208は、チャネル推定部257が算出したチャネル推定値に基づいて、STBC復元部254から入力される変調シンボルを補償して復調部209に出力する。復調部209は、チャネル補償部208によりチャネル補償された変調シンボルを無線基地局装置300の変調シンボル生成部333による変調方式に対応した復調をして復号部210に出力する。復号部210は、復調部209が出力した復調結果を用いて復号を行い、端末装置200宛の情報ビットを検出して出力する。
なお、データ検出部261は、STBC復元部254に替えてキャンセル部260から変調シンボルが入力されること、および、復調する際の基準となる変調方式が無線基地局装置300の変調シンボル生成部313または323に対応していること以外、データ検出部258と同じ構成である。
【0056】
ここで、STBC復元部254からキャンセル部260までで行われる一連の処理を、数式を用いて改めて説明する。
送信信号s(n)は、端末装置100宛の変調シンボルa(n)と、端末装置200宛の変調シンボルb(n)とが加算された信号であり、次式(6)として表される。ここで、a(n)、b(n)は、上述の変調方式(QPSK、16QAM、64QAMなど)により変調された変調シンボルである。
【0057】
【数6】
【0058】
端末装置200が受信した信号^s(n)は、次式(7)で表される。ここで、h1は、無線基地局装置300と端末装置200との間の伝送路特性を示すチャネル推定値である。η(n)は、時刻nにおける雑音を表す。
【0059】
【数7】
【0060】
チャネル補償部208は、チャネル特性値h1の逆特性を式(7)の両辺に乗ずることにより、次式(8)で表される変調シンボル〜s(n)を算出する。
【0061】
【数8】
【0062】
データ検出部258における、復調部209と復号部210とは、式(8)の第1項の端末装置100宛の変調シンボルを所望の信号として、第2項及び第3項を雑音とみなして復調を行い、他の符号化ブロック内のビットと共に復号を行う。SPC部345が、端末装置100宛の変調シンボルa(n)に、端末装置200宛の変調シンボルb(n)よりも大きな電力を割り当てているため、復調部209は、変調シンボルb(n)を雑音とみなすことができる。そして、レプリカ生成部259は、データ検出部258が検出した端末装置100宛の情報ビットを、変調シンボル生成部313または323と同様にして、符号化と変調シンボルへの変調を行い、さらにチャネル特性値h1を乗ずることで、h1a(n)を算出し、算出したh1a(n)を端末装置100宛の情報ビットに対するレプリカ信号としてキャンセル部260に出力する。
【0063】
キャンセル部260は、STBC復元部254が出力する式(7)で示される信号からレプリカ生成部259が算出したh1a(n)を減算して、h1b(n)+η(n)で表される端末装置100宛の変調シンボルから受ける干渉を除いた端末装置200宛の変調シンボルを算出する。
データ検出部261は、チャネル推定値h1に基づいて、端末装置200宛の変調シンボルb(n)を算出し、変調シンボルb(n)を復調及び復号して端末装置200宛の情報ビットを出力する。
【0064】
なお、端末装置200において、STBC情報検出部256が、無線基地局装置300から受信した送信信号からSTBC符号化を行っていることを示すSTBC情報を検出できないとき、STBC復元部254は、式(4−1)、(4−2)、又は、式(5−1)、(5−2)で表される演算を行わずに、入力された受信信号r(n)を信号^s(n)として、データ検出部258とキャンセル部260とに出力する。これにより、無線基地局装置300が端末装置100に対してSTBCによる符号化を行っていない場合においても、端末装置200は、SPCにより多重化された自端末装置宛の変調シンボルを検出することができる。
【0065】
次に、図9は、同実施形態における端末装置100の構成を示す概略ブロック図である。端末装置100は、無線受信部151、GI除去部152、FFT部153、チャネル推定部154、STBC合成部155、及び、データ検出部156を備える。
無線受信部151は、無線基地局装置300から送信された送信信号を接続されたアンテナから受信し、受信した信号をベースバンドへダウンコンバートし、アナログ信号からデジタル信号へ変換した後、GI除去部152に出力する。GI除去部152は、無線受信部151が出力した信号からガードインターバルを除去してFFT部153に出力する。FFT部153は、ガードインターバルが除去された信号にFFTを行い、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換してSTBC合成部155とチャネル推定部154とに出力する。
【0066】
チャネル推定部154は、FFT部153から入力された信号に基づいて、無線基地局装置300のアンテナ311から自端末装置までのチャネル状態と、無線基地局装置300のアンテナ321から自端末装置までのチャネル状態との推定を行う。ここで、チャネル推定部154は、無線基地局装置300のアンテナ311から無線リソースを用いて送信される既知信号(パイロット信号)により伝送路を推定してチャネル推定値h1、h2を算出する。また、チャネル推定部154は、算出したチャネル推定値h1、h2をSTBC合成部155とデータ検出部156とに出力する。STBC合成部155は、チャネル推定部154から入力されたチャネル推定値h1、h2に基づいて、式(3)で表されるSTBC合成を行い、STBC合成した信号をデータ検出部156に出力する。データ検出部156は、図8で示したデータ検出部258と同じ構成を有し、チャネル推定値に基づいてSTBC合成された信号を復調及び復号して端末装置100宛の情報ビットを出力する。
このとき、データ検出部156は、合成後の変調シンボルとして、|h1|2+|h2|2の大きさで表される伝搬路の利得が得られたものとしてチャネル補償を行う。
【0067】
上述のように、無線基地局装置300において、送信信号生成部341が端末装置100に対して送信する第1の変調シンボルに対してSTBCによる符号化に用いた符号化パターンをパターン情報として送信信号と共に、端末装置100、200に送信する。これにより、端末装置200がSTBCによる符号化に用いたパターン情報を検出し、検出したパターン情報に基づいて自端末装置宛の信号と重畳された端末装置100宛の信号を検出し、重畳された信号を除去することにより、自端末装置宛の信号を検出することができる。また、無線基地局装置300と端末装置100とがマルチサイトSTBCによる通信を行いつつ、無線基地局装置300が、端末装置100と同じ無線リソースを用いて端末装置200a、200bと通信を行うことが可能となり、使用する無線リソースを増やすことなく、通信システム全体としての無線通信に用いる帯域幅を増やすことなく通信量を増やすことが可能となる。
【0068】
なお、図10は、無線基地局装置300の別の形態を示す概略図である。無線基地局装置300のアンテナ311、321は、物理的に接続された構成を用いて説明したが、図示するように、無線基地局装置300と、端末装置100との間に用いられる無線リソース(周波数や時間など)と異なる無線リソースを用いて、送信信号を無線リレー局装置401、402に送信して、無線リレー局装置401、402から送信信号を端末装置100、200a、200bに対して送信してもよい。
また、本実施形態では、STBCにより符号化された情報ビットは、端末装置100宛の情報ビットとしたが、当該情報ビットをブロードキャスト用の情報ビットとしてもよい。この場合、端末装置100は、変更なく用いることができる。端末装置200は、データ検出部258が検出した情報ビットをブロードキャストされた情報ビットとして自端末装置宛の情報ビットと同様に処理することができる。
【0069】
<第2実施形態>
第2実施形態において、無線基地局装置300の構成は、第1実施形態の無線基地局装置300と比べ、STBC部346が入力されたSPCシンボルに対して行う符号化のみが異なり、符号化パターンとして次式(9−1)(9−2)で表されるパターンを用いる構成とする。
【0070】
【数9】
【0071】
このとき、端末装置100のSTBC合成部155は、次式(10−1)、(10−2)で表される合成を行うことにより、第1実施形態と同様に、ダイバーシチ効果を得ることができる。
【0072】
【数10】
【0073】
また、例えば、アンテナ311から送信される送信信号に式(9−1)の符号化パターンを用い、アンテナ321から送信される送信信号に式(9−2)の符号化パターンを用いて送信する場合、式(9−1)で表される符号化パターンは、変調シンボルに変更を加えていないので、当該送信信号を受信する端末装置200aにおいては、STBC復元部254が行う演算は次式(11−1)、(11−2)で表され、当該式で表される処理は、代入処理のみで演算を行わずとも、端末装置100宛の変調シンボルを検出することができる。
【0074】
【数11】
【0075】
なお、端末装置200bのSTBC復元部254は、次式(12−1)、(12−2)で表される演算を行い、受信した信号r(n)、r(n+1)から、復元した信号^s(n)、^s(n+1)を算出して、第1の実施形態と同様にSTBC復元の処理を行う。
【0076】
【数12】
【0077】
上述のように、式(9−1)による符号化が行われた送信信号のみを受信する端末装置201では、図11に図示するように、第1実施形態の端末装置200からSTBC復元部254、STBC情報検出部256、及び、パターン情報検出部255を除いた構成であっても無線基地局装置300と通信を行うことができる。
端末装置201は、無線受信部251、GI除去部252、FFT部253、チャネル推定部257、データ検出部258、レプリカ生成部259、キャンセル部260、及びデータ検出部261を備える。なお、第1実施形態の端末装置200を構成する機能ブロックと同一の機能ブロックには同じ符号(251〜253、257〜261)を付して説明を省略し、端末装置200と異なる接続箇所のみ説明する。
無線受信部251は、受信信号をGI除去部252のみに出力する。FFT部253は、変換した信号をチャネル推定部257、データ検出部258、及び、キャンセル部260に出力する。チャネル推定部257は、データ検出部258、レプリカ生成部259、及びデータ検出部261にチャネル推定値を出力する。
【0078】
上述のような式(9−1)、(9−2)で表される符号化パターンを用いることにより、式(9−1)で符号化された送信信号を受信する端末装置100、200は、受信信号から情報ビットを得るまでに行う計算量を削減することができ、第1実施形態に比べ、受信信号から情報ビットを得るまでの計算に必要な時間及び消費電力を削減することが可能となる。
【0079】
<第3実施形態>
第3実施形態において、無線基地局装置は、STBCによる符号化と、SPCによる多重化との行う順序を入れ替えた構成する。第3実施形態の無線基地局装置は、第1の無線基地局装置300の送信処理部312、322に替えて、図12に示す送信処理部362を備える。送信処理部362は、送信信号生成部361、STBC情報生成部342、パターン情報生成部343、及び、無線送信部344を備える。送信信号生成部361は、SPC部345、STBC部346、IFFT部347、及び、GI挿入部348を備える。なお、第1実施形態の機能部と同じ機能を有するブロックには同じ符号(342〜348)を付して、説明を省略する。第1実施形態の送信信号生成部341と異なる接続について説明する。
【0080】
STBC部346は、端末装置100宛に送信する変調シンボルに対して、式(1−1)、(1−2)、又は、式(9−1)、(9−2)で表される符号化を行ってSPC部345に出力する。SPC部345は、STBC部346から入力された符号化された信号と、端末装置200宛の変調シンボルとに対して、SPCによる多重化を行ってSPCシンボルを生成し、生成したSPCシンボルをIFFT部347に出力する。
【0081】
次に、図13は、同実施形態における端末装置202の構成を示す概略ブロック図である。端末装置202は、第1実施形態の端末装置200に比べ、FFT部253とキャンセル部260との間の接続のみが異なっている他は、同一である。端末装置202は、図示するように、FFT部253は、変換した信号をSTBC復元部254、チャネル推定部257、及び、キャンセル部260に出力する。STBC復元部254は、STBC復元により算出した信号をデータ検出部258のみに出力し、キャンセル部260に出力しない。すなわち、端末装置202において、端末装置100宛の信号成分h1a(n)を^s(n)から減算して自端末装置宛の信号を検出するのではなく、STBC復元する前の受信信号r(n)から端末装置100宛の信号成分h1a(n)を減算して、自端末装置宛の信号を検出する。
【0082】
なお、第1実施形態から第3実施形態において、固定された無線基地局装置と、移動可能な端末装置との間で行われる移動体通信を含む無線通信を例として説明したが、固定された装置の間における無線通信に用いてもよい。
また、第1実施形態から第3実施形態の無線通信システムは、2つのアンテナを有する無線基地局装置300を備える構成としたが、2つの無線基地局装置を備え、ぞれぞれのアンテナから信号を送信する構成としてもよい。その場合、2つの無線基地局装置は、それぞれから送信した信号が、端末装置100において、送信ダイバーシチ効果を得られるように信号を同期して送信する。
【0083】
上述の無線基地局装置、端末装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、上述した送信における処理、受信における処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0084】
10…無線通信システム
100…端末装置
200、200a、200b、201、202…端末装置
300、300a、300b…無線基地局装置
151…無線受信部、152…GI除去部、153…FFT部
154…チャネル推定部、155…STBC合成部、156…データ検出部
251…無線受信部、252…GI除去部、253…FFT部
254…STBC復元部、255…パターン情報検出部、256…STBC情報検出部
257…チャネル推定部、259…レプリカ生成部、260…キャンセル部
258、261…データ検出部
208…チャネル補償部、209…復調部、210…復号部
311、321…アンテナ
312、322、362…送信処理部
313、323、333…変調シンボル生成部
351…符号化部、352…変調部
341、361…送信信号生成部
342…STBC情報生成部、343…パターン情報生成部
344…無線送信部、345…SPC部、346…STBC部、347…IFFT部
348…GI挿入部
401、402…無線リレー局装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線通信方法、送信装置および受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において、STBC(Space Time Block Coding:時空間ブロック符号化)を用いたSTTD(Space-Time block coding based Transmit antenna Diversity;時空間ブロック符号化送信アンテナダイバーシチ)、あるいは、SFBC(Space Frequency Block Coding:周波数空間ブロック符号化)を用いたSFTD(Space- Frequency block coding based Transmit antenna Diversity;周波数空間ブロック符号化送信アンテナダイバーシチ)などの、ブロック符号化に基づく送信アンテナダイバーシチは、無線基地局装置が複数の送信アンテナを用いて、端末装置にデータを送信し、送信ダイバーシチを得ることにより、1つの送信アンテナのみを用いてデータを送信するよりも優れた伝送特性を得ることができる。
【0003】
STBCとは、基地局装置が2本の送信アンテナを用いて端末装置に信号を送信する場合に、時間的に連続した2つの変調シンボルに対して式(1−1)、(1−2)に表される演算を行い送信することより、受信側で送信ダイバーシチ効果を得ることができる技術である(非特許文献1)。
【0004】
【数1】
【0005】
ここで、s(n)は、時刻nにおける変調シンボルであり、s(n+1)は、時刻n+1における変調シンボルである。s’i(n)(i=1,2)は、i番目のアンテナから送信されるSTBCを施された送信信号である。sの上付きの*(アスタリスク)は、複素共役を表す。
端末装置は、式(1−1)、(1−2)で表される送信信号を受信し、受信した信号をSTBC復号することで、最大比合成と同様の送信ダイバーシチ効果を得ることができる。
【0006】
端末装置におけるSTBC復号は、線形計算により行うことができる。端末装置における時刻nと時刻n+1とそれぞれの受信信号r(n)、r(n+1)は、式(2−1)、(2−2)により表される。
時刻nと時刻n+1とにおいて、無線基地局装置の第1のアンテナから端末装置へのチャネル状態を示す値をh1とし、無線基地局装置の第2のアンテナから端末装置へのチャネル状態を示す値をh2とする。STBCは、チャネル状態の時間変動が十分に小さい環境でのみ、例えば、端末装置が、無線基地局装置の第1及び第2のアンテナから離れたセルエリアの端に位置する場合に用いられるので、隣接した時刻nと時刻n+1との間でのチャネル状態変化を無視できるものとして同じ変数h1、h2で表す。また、時刻nにおける雑音をη(n)とする。
【0007】
【数2】
【0008】
端末装置において、受信した信号r(n)、r(n+1)から、送信された信号s(n)、s(n+1)を復元した信号を次式(3−1)〜(3−4)により算出する。
【0009】
【数3】
【0010】
ここで、s(n)、s(n+1)それぞれのsの上に^(ハット)が付いた変数を、以下、明細書中において^s(n)、^s(n+1)とする。
送信信号s(n)、s(n+1)に対応する復元した送信信号^s(n)、^s(n+1)は、式(1−1)、(1−2)と式(2−1)、(2−2)とから、式(3−1)〜(3−4)として表され、式(3−2)、(3−4)の第1項に着目すると、変調シンボルs(n)、s(n+1)それぞれは、第1のアンテナから端末装置への伝送路(h1)を介した変調シンボルと、第2のアンテナからの端末装置への伝送路(h2)を介した変調シンボルとの最大比合成により復元されることが示されている。
【0011】
SFBCは、STBCにおける「時間的に連続した2つの変調シンボル」に替えて、「周波数軸上で連続した2つのキャリアに割り当てられた変調シンボル」に対して式(1−1)、(1−2)の演算を行い送信する技術である(非特許文献2)。
【0012】
次に、マルチサイトSTBCとは、2つの無線基地局装置を用いて、それぞれ異なる位置から1つの端末装置に対してデータを送信することにより、マルチサイトダイバーシチによる伝送特性の改善を図る技術である。信号を受信する端末装置は、異なる位置から送信された2つの信号を加え合わせた信号を受信することにより、一方の無線基地局装置から受信する信号が弱くなったとしても、他方の無線基地局装置からの受信する信号により復号を行うことで、端末装置は、安定した受信を行うことができる。マルチサイトSTBCは、特に、2つの基地局装置の中間地点付近に端末装置が存在するとき、受信信号を合成することにより伝送特性の改善が顕著であるが、中間地点付近以外に端末装置が存在するときでも、2つの基地局装置から受信する信号を合成することで伝送特性を改善することができる(非特許文献1)。
【0013】
また、次世代の移動体通信方式では、限られた周波数帯域で、無線基地局装置は、できるだけ多くの端末装置と同時に通信を行う必要がある。そのため、1つの無線リソース(周波数など)で2つの端末装置にデータを多重して送信できるSPC(Super Position Coding;重畳符号化)が、有望視されている。SPCは、2つの端末装置への送信する信号に電力差をつけて加算することで、信号を多重する方法である。(非特許文献3)。
ここで、無線リソースとは、1つの変調シンボルを端末装置に送信することのできる最小単位のことであり、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)方式を用いた通信においては、1つのOFDMシンボルにおける1つのサブキャリアのことを示す。
【0014】
SPCは、一般にチャネル特性が良い端末装置と、チャネル特性が悪い端末装置とが同時に同じ無線リソースにより無線基地局装置と通信することができる技術である。無線基地局装置は、チャネル特性が悪い端末装置へ送信する信号に対して大きな電力を用いて変調シンボルを作成し、チャネル特性が良い端末装置へ送信する信号に対して小さな電力を用いて変調シンボルを作成し、作成した両方の変調シンボルを加算して送信する。
チャネル特性が良い端末装置は、両信号が加算された受信信号からチャネル特性が悪い端末装置への信号の検出を行い、両信号が加算された受信信号からチャネル特性が悪い端末装置への信号を減算することで、チャネル特性が良い端末装置への信号、すなわち、自端末装置宛の信号を取り出す。また、チャネル特性が悪い端末装置は、チャネル特性が良い端末装置への信号を雑音としてみなして、チャネル特性が悪い端末装置への信号、すなわち、自端末装置宛の信号を検出する。
【0015】
SPCは、上述のように、無線基地局と2つの端末装置とが処理を行うことで、1つの無線リソースで2つの端末装置への信号を多重できる技術である。
なお、チャネル特性が良い端末装置と、チャネル特性が悪い端末装置と区別してSPCの動作の説明をしたが、どちらか一方の端末装置が、他方の端末装置宛の信号を検出することができれば、チャネル特性に依存せずにSPCによる通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】井上学、藤井威生、中川正雄、「OFDM複数基地局システムにおけるSTTDを用いたサイトダイバーシチ法」、IEICE、RCS2002−127
【非特許文献2】“SPACE-TIME/SPACE-FREQUENCY BLOCK CODED OFDM WITH DIAGONALIZED MAXIMUM LIKELIHOOD DECODER (ST/SF-OFDM with DMLD)“, IEICE TRANS. COMMUN., VOL. E87-B,NO.7 JULY 2004
【非特許文献3】”Performance of Superposition Coded Broadcast/Unicast Service Overlay System”, IEICE TRANS. COMMUN., VOL. E91-B,NO.9 SEPTEMBER 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述のマルチサイトSTBC方式などのマルチサイトブロック符号化方式、すなわちSFBC、STBCなどのブロック符号化した信号を異なる位置から1つの端末装置に対して送信するシステムにおいて、更に、SPCを適用する場合、無線基地局装置が、第1の端末装置宛にマルチサイトSTBC方式で送信している信号に対して、第2の端末装置宛のデータをSPCにより多重化すると、第1の端末装置宛の信号が式(1−1)又は式(1−2)によりSTBC符号化されるために、第2の端末装置が第1の端末装置宛の信号を検出することができず、SPCにより多重化された自端末装置宛の信号を検出することができないという問題がある。
【0018】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、マルチサイトブロック符号化方式と重畳符号化とを共に用いて通信を行うことのできる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)上記問題を解決するために、本発明は、複数のアンテナそれぞれから異なる信号を送信する送信装置と、前記送信装置から送信される信号を受信する少なくとも第1、第2、及び、第3の受信装置を有する無線通信システムにおいて、前記送信装置は、前記第1の受信装置に向けた第1の変調シンボルと、前記第2の受信装置に向けた第2の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうちの1つを用いて符号化して第1の送信信号を生成する第1の送信信号生成部と、前記第1の受信装置に向けた前記第1の変調シンボルと、前記第3の受信装置に向けた第3の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1の送信信号生成部において用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化して第2の送信信号を生成する第2の送信信号生成部と、前記第1の送信信号生成部により生成された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号生成部により生成された前記第2の送信信号とを同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信する無線送信部とを備え、前記第1の受信装置は、前記送信装置より送信された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号とを重ね合わせた信号を受信し、自受信装置に向けられた信号を検出するデータ検出部を備え、前記第2の受信装置は、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第1のレプリカ生成部と、前記第1のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第1のキャンセル部とを備え、前記第3の受信装置は、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第2の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第2のレプリカ生成部と、前記第2のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第2の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第2のキャンセル部とを備えることを特徴とする無線通信システムである。
【0020】
(2)また、本発明は、上記記載の発明において、前記送信装置は、前記第1の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第1のパターン情報と、前記第1の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第2のパターン情報とを生成するパターン情報生成部を備え、前記第1及び第2パターン情報は、前記無線送信部により、前記第1及び第2の送信信号と共に送信され、前記第2の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第1のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成し、前記第3の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第2のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成することを特徴とする。
【0021】
(3)また、本発明は、上記記載の発明において、前記無線通信システムは、更に、第4の受信装置を備える無線通信システムであって前記送信装置は、前記第1の受信装置へ送信する前記第1の変調シンボルと、前記第4の受信装置に向けた第4の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1及び第2の送信信号生成部が用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化する第3の送信信号生成部を備え、前記無線送信部は、前記第1及び第2の送信信号と、前記第3の送信信号生成部が生成した第3の送信信号と同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信し、前記第4の受信装置は、自端末装置に向けた前記第4の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第3のレプリカ生成部と、前記第3のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第1のキャンセル部とを備えることを特徴とする。
【0022】
(4)また、本発明は、上記記載の発明において、前記パターン情報生成部は、前記第3の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第3のパターン情報を生成し、前記無線送信部は、生成された前記第3のパターン情報を前記第3の送信信号と共に送信し、前記第4の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第3のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成することを特徴とする。
【0023】
(5)また、本発明は、上記記載の発明において、前記第1の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第2の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成し、前記第2の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第3の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成し、前記第3の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第4の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成することを特徴とする。
【0024】
(6)また、本発明は、上記記載の発明において、前記第1の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第2の変調シンボルとを重畳符号化する第1の重畳符号化部と、前記第1の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第1のブロック符号化部と、前記第1のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第1のIFFT部と、前記第1のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第1のガードインターバル挿入部とを備え、前記第2の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第3の変調シンボルとを重畳符号化する第2の重畳符号化部と、前記第2の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第2のブロック符号化部と、前記第2のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第2のIFFT部と、前記第2のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第2のガードインターバル挿入部とを備え、前記第3の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第4の変調シンボルとを重畳符号化する第3の重畳符号化部と、前記第3の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第3のブロック符号化部と、前記第3のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第3のIFFT部と、前記第3のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第3のガードインターバル挿入部とを備えることを特徴とする。
【0025】
(7)また、本発明は、上記記載の発明において、前記第1、第2、及び、第3のブロック符号化部は、前記ブロック符号化として、時空間ブロック符号化(STBC)を用いることを特徴とする。
【0026】
(8)また、本発明は、上記記載の発明において、前記第1、第2、及び、第3のブロック符号化部は、前記ブロック符号化として、周波数空間ブロック符号化(SFBC)を用いることを特徴とする。
【0027】
(9)また、本発明は、対になった他方のアンテナから送信される信号と、自アンテナから送信される信号とを重ね合わせた信号を受信した第1の受信装置が、合成後の利得が得られるように前記第1の受信装置に向ける信号を無線リソースに配置すると共に、前記無線リソースに第2の受信装置に向ける信号を重畳して配置する送信信号生成部を備えることを特徴とする送信装置である。
【0028】
(10)また、本発明は、送信装置から受信した受信信号から、他の受信装置に向けられた信号を再生するレプリカ生成部と、前記レプリカ生成部が再生した信号を、前記受信信号からキャンセルするキャンセル部とを備えることを特徴とする受信装置である。
【0029】
(11)また、本発明は、複数のアンテナそれぞれから異なる信号を送信する送信装置と、前記送信装置から送信される信号を受信する少なくとも第1、第2、及び、第3の受信装置に向けて第1、第2、及び、第3の変調シンボルを送信する無線通信方法であって、前記送信装置が、前記第1の受信装置に向けた第1の変調シンボルと、前記第2の受信装置に向けた第2の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうちの1つを用いて符号化して第1の送信信号を生成する過程と、前記送信装置が、前記第1の受信装置に向けた前記第1の変調シンボルと、前記第3の受信装置に向けた第3の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1の送信信号生成部において用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化して第2の送信信号を生成する過程と、前記送信装置が、前記第1の送信信号生成部により生成された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号生成部により生成された前記第2の送信信号とを同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信する過程とを備え、前記第1の受信装置が、前記送信装置より送信された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号とを重ね合わせた信号を受信し、自受信装置に向けられた信号を検出する過程と、前記第2の受信装置が、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する過程と、前記第2の受信装置が、前記第1のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする過程と、前記第3の受信装置が、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第2の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する過程と、前記第3の受信装置が、前記第2のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第2の送信信号の変調シンボルからキャンセルする過程とを備えることを特徴とする無線通信方法である。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、無線通信システムに用いる帯域幅を増やすことなく通信量を増加させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態による無線通信システムの構成を示す概略図である。
【図2】同実施形態における無線基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態における無線通信システムの異なる形態を示す概略図である。
【図4】同実施形態における変調シンボル生成部の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】同実施形態における送信処理部の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】同実施形態におけるSPC部による多重化を説明する概略図である。
【図7】同実施形態における端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】同実施形態におけるデータ検出部の構成を示した概略ブロックである。
【図9】同実施形態における端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図10】同実施形態における無線基地局装置の異なる形態を示す概略ブロック図である。
【図11】第2実施形態における端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図12】第3実施形態における送信処理部の構成を示す概略ブロック図である。
【図13】同実施形態における端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態による無線通信システム、無線基地局装置、及び、端末装置を図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、ブロック符号化に基づく送信アンテナダイバーシチとして、STBC(Space Time Block Coding:時空間ブロック符号化)に基づくSTTD(Space-Time block coding based Transmit antenna Diversity;時空間ブロック符号化送信アンテナダイバーシチ)を用いて説明するが、SFBC(Space Frequency Block Coding:周波数空間ブロック符号化)に基づくSFTD(Space-Frequency block coding based Transmit antenna Diversity;時空間ブロック符号化送信アンテナダイバーシチ)を用いてもよい。
【0033】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態による無線通信システム10の構成を示す概略図である。無線通信システム10は、無線基地局装置300a、300b、移動局としての端末装置100、200a、200bを有する。
図示するように、端末装置100(第1の端末装置)が、無線基地局装置300a、300bからの送信信号を受信することで、マルチサイトSTBC方式で通信するとき、端末装置200a(第2の端末装置又は第3の端末装置)が、端末装置100に対して用いられている同じ無線リソース(周波数など)を用いて、SPC(Super Position Coding;重畳符号化)により無線基地局装置300aからの送信信号を受信して通信し、端末装置200b(第2の端末装置又は第3の端末装置)が、同様に、端末装置100に対して用いている同じ無線リソースを用いて、SPCにより無線基地局装置300bからの送信信号を受信して通信する。一例として、端末装置200aは、無線基地局装置300aのセルエリア内に位置し、端末装置200bは、無線基地局装置300bのセルエリア内に位置し、端末装置100は、無線基地局装置300a、300b双方のセルエリア端に位置する。
なお、端末装置200a、200bは、同じ構成を有しており、いずれか一方を代表して示すとき、又は、すべてを示すとき端末装置200という。
【0034】
無線基地局装置300aは、端末装置100宛の変調シンボル(第1の変調シンボル)に、SPCにより端末装置200a宛の変調シンボル(第2の変調シンボル)を多重化して送信する。
このとき、無線基地局装置300aが、端末装置200aにSTBCによる通信を行っていることを示すSTBC情報を送信信号と併せて送信する。更に、無線基地局装置300aは、STBCによる符号化を行った際に符号化パターン(式(1−1)、(1−2))のいずれを用いたかを示すパターン情報を端末装置200aに送信する。これにより、端末装置200aは、端末装置100宛の変調シンボルを復元することができ、復元した変調シンボルを受信した送信信号から減算することにより、自端末装置宛の変調シンボルを検出することができる。また、無線基地局装置300bが、STBC情報とパターン情報とを併せて送信することで、端末装置200bは、端末装置200aと同様に、端末装置100宛の変調シンボルを検出し、検出した変調シンボルから減算することで自端末装置宛の変調シンボルを検出することができる。
【0035】
ここで、図1に示すように、端末装置200a、200bが同時にSPCで通信するには、無線基地局装置300aから送信される送信信号が端末装置200bに届かず、無線基地局装置300bから送信される送信信号が端末装置200aに届かないことが条件となり、本実施形態においても、この条件が満たされるとする。なお、送信信号が端末装置200a、200bに届かないとは、受信した送信信号が雑音とみなせるほど小さな電力で受信されることを含む。
また、無線基地局装置300a、300bから端末装置100、200a、200bへの通信回線を下りリンクといい、端末装置100、200a、200bから無線基地局装置300への通信回線を上りリンクという。
【0036】
図2は、同実施形態における無線基地局装置300の構成を示す概略ブロック図である。図1において、無線基地局装置300a、300bは、独立した装置として記載しているが、送信における処理の説明を簡単にするために、図2に図示するように、1つの無線基地局装置300として説明する。
なお、無線基地局装置300は、図3に示すように、マルチサイトSTBCの効果を得るために、図1における無線基地局装置300a、300bと同様に、アンテナ311、321が、異なる位置に設置され、有線、例えば、同軸線や光ファイバーなどにより接続される。また、アンテナ311、321はリレー局でもよい。
【0037】
図2に戻り、無線基地局装置300は、端末装置100、200a、200bそれぞれに送信する情報ビットを変調する変調シンボル生成部313、323、333と、アンテナ311、321と、アンテナ311、321それぞれに対応する送信処理部312、322とを含み構成される。
変調シンボル生成部313は、端末装置200a宛に送信する情報ビットが入力され、入力された情報ビットを変調して変調シンボル(第2の変調シンボル)を送信処理部312に出力する。変調シンボル生成部323は、端末装置200b宛に送信する情報ビットが入力され、入力された情報ビットを変調して変調シンボル(第2の変調シンボル)を送信処理部322に出力する。変調シンボル生成部333は、端末装置100宛に送信する情報ビットが入力され、入力された情報ビットを変調して変調シンボル(第1の変調シンボル)を送信処理部312、322に出力する。
【0038】
送信処理部312は、変調シンボル生成部313、333から入力された変調シンボルから送信信号を生成し、生成した送信信号をアンテナ311を介して端末装置100、200aに送信する。送信処理部322は、変調シンボル生成部323、333から入力された変調シンボルから送信信号を生成し、生成した送信信号をアンテナ321を介して端末装置100、200bに送信する。
【0039】
次に、図4は、同実施形態における変調シンボル生成部313の構成を示す概略ブロック図である。変調シンボル生成部313は、符号化部351と変調部352とを有する。符号化部351は、送信する情報ビットが入力され、入力された情報ビットに対してターボ符号、畳み込み符号、LDPC(Low density Parity check Code;低密度パリティ検査符号)などにより前方誤り訂正(Forward Error Correction;FEC)を行い変調部352に出力する。変調部352は、符号化部351により符号化された情報ビットに対して変調を行い、生成した変調シンボルを出力する。このとき、変調部352が行う変調として、例えば、QPSK(Quadrature Phase shift keying;4相位相変調)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation;16値直交振幅変調)、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation;64値直交振幅変調)などを用いる。
なお、変調シンボル生成部323、333は、変調シンボル生成部313と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0040】
次に、図5は、同実施形態における送信処理部312の構成を示す概略ブロック図である。送信処理部312は、送信信号生成部341、STBC情報生成部342、パターン情報生成部343、及び、無線送信部344を備える。
送信信号生成部341は、入力される端末装置100宛の変調シンボルと、入力される端末装置200a宛の変調シンボルとから送信信号を生成し、生成した送信信号を無線送信部344に出力する。STBC情報生成部342は、送信信号がSTBCにより符号化されていることを示すSTBC情報を無線送信部344に出力する。パターン情報生成部343は、STBCにより符号化された際に用いられた式(1−1)、(1−2)で示される符号化パターンのいずれを用いたかを示すパターン情報を無線送信部344に出力する。無線送信部344は、入力された送信信号と、STBC情報と、パターン情報とを、例えば時間多重など、多重して、接続されたアンテナ311を介して下りリンクの無線周波数にて端末装置100、200aに送信する。
【0041】
送信信号生成部341は、SPC部345、STBC部(時空間ブロック符号部)346、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform;逆高速フーリエ変換)部347、及び、ガードインターバル挿入部348(以下、GI挿入部348という)を備える。
SPC部345は、入力される端末装置100宛の変調シンボルと、入力される端末装置200a宛の変調シンボルとに対して、SPCによる多重化を行ってSPCシンボルを生成し、生成したSPCシンボルをSTBC部346に出力する。このとき、SPC部345は、端末装置100宛に送信する変調シンボルに、端末装置200a宛に送信する変調シンボルより大きい電力を割り当てる。それぞれの変調シンボルに割り当てる電力の比、又は差は、予め定められた固定値でもよいし、アンテナ311と端末装置100との間の伝送路と、アンテナ311と端末装置200aとの間の伝送路の状態に基づいて決定してもよい。
STBC部346は、入力されたSPCシンボルに対して、式(1−1)、(1−2)のいずれかに基づいて符号化を行って、IFFT部347に出力する。IFFT部347は、STBC部346から入力された信号に対して逆高速フーリエ変換演算を行い、周波数領域の信号から時間領域の信号へと変換してGI挿入部348に出力する。GI挿入部348は、IFFT部347から入力された信号に対して、入力された信号の一部をコピーするなどしてガードインターバルを付加して冗長性を有する送信信号を生成して無線送信部344に出力する。
【0042】
ここで、SPC部345が行う多重化について説明する。図6は、SPC部345による多重化を説明する概略図である。ここでは、端末装置100、200aに送信する信号の変調がどちらもQPSKを用いるとする。図6(a)が端末装置100宛の変調シンボルをベクトルで表現した図であり、図6(b)が端末装置200a宛の変調シンボルをベクトルで表現した図である。ここで、それぞれの変調シンボルが有する電力は、ベクトルの大きさで表され、端末装置100宛の変調シンボルは、端末装置200a宛の変調シンボルより大きい電力が与えられることを示している。
図6(c)は、それぞれの変調シンボルを加算(多重化)して得られるSPCシンボルを示す。また、図6(d)は、加算する変調シンボルが共にQPSKであるとき、SPCシンボルが取り得るシンボルの配置点を示す。
【0043】
なお、送信処理部322は、SPC部345に入力されている端末装置200a宛の変調シンボルが、端末装置200b宛の変調シンボルとなる点が異なる以外、送信処理部312と同様の構成をしているので、送信処理部322の説明を省略する。また、送信処理部312、322が有する無線送信部344は、互いに同期をとって同じタイミングで端末装置100において信号が受信されるように、伝送路の遅延に基づいたタイミングで送信信号を送信する。
【0044】
図7は、同実施形態における端末装置200の構成を示す概略ブロック図である。端末装置200は、無線受信部251、ガードインターバル除去部252(以下、GI除去部252という)、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)部253、STBC復元部254、パターン情報検出部255、STBC情報検出部256、チャネル推定部257、データ検出部258、レプリカ生成部259、キャンセル部260、データ検出部261を有する。
【0045】
無線受信部251は、無線基地局装置300から送信された送信信号を接続されたアンテナを介して受信し、受信した信号をベースバンドへダウンコンバートし、更に、アナログ信号からデジタル信号に変換した後、GI除去部252、STBC情報検出部256、及びパターン情報検出部255に出力する。GI除去部252は、無線受信部251が出力した信号からガードインターバルを除去してFFT部253に出力する。FFT部253は、GI除去部252によりガードインターバルが除去された信号に対してFFTを行い時間領域の信号から周波数領域の信号へ変換してSTBC復元部254とチャネル推定部257とに出力する。
【0046】
パターン情報検出部255は、無線受信部251が出力した信号からSTBCの符号化パターンが示されたパターン情報を検出してSTBC復元部254に出力する。STBC情報検出部256は、無線受信部251が出力した信号からSTBCによる符号化が行われているか否かを示すSTBC情報を検出してSTBC復元部254に出力する。なお、これらパターン情報およびSTBC情報の検出は、例えば送信側で時間多重されている場合は、パターン情報あるいはSTBC情報が多重されている時間帯の受信信号を分離することで行う。
【0047】
チャネル推定部257は、FFT部253が出力した信号から無線基地局装置300と端末装置200との間に対するチャネル状態(伝送路)の推定を行い、得られたチャネル推定値をデータ検出部258、レプリカ生成部259、及びデータ検出部261に出力する。ここで、チャネル推定部257は、線形補間やFFT補間などのチャネル推定技術を用いてチャネル推定値の算出を行ってもよい。
【0048】
STBC復元部254は、STBC情報検出部256から入力されるSTBC情報により無線基地局装置300が送信信号にSTBCを施しているか否かを判定し、STBCが施されていると判定したとき、パターン情報検出部255から入力されたパターン情報に基づいて、FFT部253から入力された信号に対してSTBC復元を行う。また、チャネル推定部257は、基地局装置から無線リソースを用いて送信されたパイロット信号などの既知信号より伝送路を推定してチャネル推定値を算出する。
【0049】
STBC復元部254は、パターン情報が式(1−1)で示される符号化パターンを示すとき、各サブキャリアについて次式(4−1)、(4−2)で示される演算を行い、送信信号s(n)、s(n+1)を復元した信号^s(n)、^s(n+1)を算出する。r(n)、r(n+1)は、時刻n、n+1において受信した信号を示す。
【0050】
【数4】
【0051】
STBC復元部254は、パターン情報が式(1−2)で示される符号化パターンを示すとき、次式(5−1)、(5−2)で示される演算を行い、送信信号s(n)、s(n+1)を復元した信号^s(n)、^s(n+1)を算出する。
【0052】
【数5】
【0053】
STBC復元部254は、算出した信号^s(n)、^s(n+1)をデータ検出部258とキャンセル部260とに出力する。
データ検出部258は、入力された^s(n)、^s(n+1)それぞれについて、伝搬路特性値(チャネル推定値)による影響を受けた信号として、チャネル補償、復調、復号を行い、端末装置100宛の情報ビットを検出し、検出した情報ビットをレプリカ生成部259に出力する。レプリカ生成部259は、入力された端末装置100宛の情報ビットを符号化、変調して、変調シンボルを生成し、更に、伝搬路特性値の影響を与えたレプリカ信号を生成してキャンセル部260に出力する。
【0054】
キャンセル部260は、レプリカ生成部259が出力するレプリカ信号を、STBC復元部254から入力された信号^s(n)、^s(n+1)に対する干渉信号とみなして、信号^s(n)、^s(n+1)からレプリカ信号を減算(除去)して、端末装置200に対する変調シンボルを検出し、検出した変調シンボルをデータ検出部261に出力する。 このような処理は、符号間干渉抑圧や、ストリーム間干渉抑圧のための判定帰還型等化器と同様の処理である。このような処理については、一例として、特開2004−221702を参照されたい。
データ検出部261は、キャンセル部260により検出された変調シンボルを、チャネル推定部257が算出したチャネル推定値に基づいてチャネル補償した後、復調、及び、復号して、端末装置200宛の情報ビットを検出して出力する。
【0055】
次に、図8は、同実施形態におけるデータ検出部258の構成を示した概略ブロックである。データ検出部258は、チャネル補償部208、復調部209、及び、復号部210を有する。チャネル補償部208は、チャネル推定部257が算出したチャネル推定値に基づいて、STBC復元部254から入力される変調シンボルを補償して復調部209に出力する。復調部209は、チャネル補償部208によりチャネル補償された変調シンボルを無線基地局装置300の変調シンボル生成部333による変調方式に対応した復調をして復号部210に出力する。復号部210は、復調部209が出力した復調結果を用いて復号を行い、端末装置200宛の情報ビットを検出して出力する。
なお、データ検出部261は、STBC復元部254に替えてキャンセル部260から変調シンボルが入力されること、および、復調する際の基準となる変調方式が無線基地局装置300の変調シンボル生成部313または323に対応していること以外、データ検出部258と同じ構成である。
【0056】
ここで、STBC復元部254からキャンセル部260までで行われる一連の処理を、数式を用いて改めて説明する。
送信信号s(n)は、端末装置100宛の変調シンボルa(n)と、端末装置200宛の変調シンボルb(n)とが加算された信号であり、次式(6)として表される。ここで、a(n)、b(n)は、上述の変調方式(QPSK、16QAM、64QAMなど)により変調された変調シンボルである。
【0057】
【数6】
【0058】
端末装置200が受信した信号^s(n)は、次式(7)で表される。ここで、h1は、無線基地局装置300と端末装置200との間の伝送路特性を示すチャネル推定値である。η(n)は、時刻nにおける雑音を表す。
【0059】
【数7】
【0060】
チャネル補償部208は、チャネル特性値h1の逆特性を式(7)の両辺に乗ずることにより、次式(8)で表される変調シンボル〜s(n)を算出する。
【0061】
【数8】
【0062】
データ検出部258における、復調部209と復号部210とは、式(8)の第1項の端末装置100宛の変調シンボルを所望の信号として、第2項及び第3項を雑音とみなして復調を行い、他の符号化ブロック内のビットと共に復号を行う。SPC部345が、端末装置100宛の変調シンボルa(n)に、端末装置200宛の変調シンボルb(n)よりも大きな電力を割り当てているため、復調部209は、変調シンボルb(n)を雑音とみなすことができる。そして、レプリカ生成部259は、データ検出部258が検出した端末装置100宛の情報ビットを、変調シンボル生成部313または323と同様にして、符号化と変調シンボルへの変調を行い、さらにチャネル特性値h1を乗ずることで、h1a(n)を算出し、算出したh1a(n)を端末装置100宛の情報ビットに対するレプリカ信号としてキャンセル部260に出力する。
【0063】
キャンセル部260は、STBC復元部254が出力する式(7)で示される信号からレプリカ生成部259が算出したh1a(n)を減算して、h1b(n)+η(n)で表される端末装置100宛の変調シンボルから受ける干渉を除いた端末装置200宛の変調シンボルを算出する。
データ検出部261は、チャネル推定値h1に基づいて、端末装置200宛の変調シンボルb(n)を算出し、変調シンボルb(n)を復調及び復号して端末装置200宛の情報ビットを出力する。
【0064】
なお、端末装置200において、STBC情報検出部256が、無線基地局装置300から受信した送信信号からSTBC符号化を行っていることを示すSTBC情報を検出できないとき、STBC復元部254は、式(4−1)、(4−2)、又は、式(5−1)、(5−2)で表される演算を行わずに、入力された受信信号r(n)を信号^s(n)として、データ検出部258とキャンセル部260とに出力する。これにより、無線基地局装置300が端末装置100に対してSTBCによる符号化を行っていない場合においても、端末装置200は、SPCにより多重化された自端末装置宛の変調シンボルを検出することができる。
【0065】
次に、図9は、同実施形態における端末装置100の構成を示す概略ブロック図である。端末装置100は、無線受信部151、GI除去部152、FFT部153、チャネル推定部154、STBC合成部155、及び、データ検出部156を備える。
無線受信部151は、無線基地局装置300から送信された送信信号を接続されたアンテナから受信し、受信した信号をベースバンドへダウンコンバートし、アナログ信号からデジタル信号へ変換した後、GI除去部152に出力する。GI除去部152は、無線受信部151が出力した信号からガードインターバルを除去してFFT部153に出力する。FFT部153は、ガードインターバルが除去された信号にFFTを行い、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換してSTBC合成部155とチャネル推定部154とに出力する。
【0066】
チャネル推定部154は、FFT部153から入力された信号に基づいて、無線基地局装置300のアンテナ311から自端末装置までのチャネル状態と、無線基地局装置300のアンテナ321から自端末装置までのチャネル状態との推定を行う。ここで、チャネル推定部154は、無線基地局装置300のアンテナ311から無線リソースを用いて送信される既知信号(パイロット信号)により伝送路を推定してチャネル推定値h1、h2を算出する。また、チャネル推定部154は、算出したチャネル推定値h1、h2をSTBC合成部155とデータ検出部156とに出力する。STBC合成部155は、チャネル推定部154から入力されたチャネル推定値h1、h2に基づいて、式(3)で表されるSTBC合成を行い、STBC合成した信号をデータ検出部156に出力する。データ検出部156は、図8で示したデータ検出部258と同じ構成を有し、チャネル推定値に基づいてSTBC合成された信号を復調及び復号して端末装置100宛の情報ビットを出力する。
このとき、データ検出部156は、合成後の変調シンボルとして、|h1|2+|h2|2の大きさで表される伝搬路の利得が得られたものとしてチャネル補償を行う。
【0067】
上述のように、無線基地局装置300において、送信信号生成部341が端末装置100に対して送信する第1の変調シンボルに対してSTBCによる符号化に用いた符号化パターンをパターン情報として送信信号と共に、端末装置100、200に送信する。これにより、端末装置200がSTBCによる符号化に用いたパターン情報を検出し、検出したパターン情報に基づいて自端末装置宛の信号と重畳された端末装置100宛の信号を検出し、重畳された信号を除去することにより、自端末装置宛の信号を検出することができる。また、無線基地局装置300と端末装置100とがマルチサイトSTBCによる通信を行いつつ、無線基地局装置300が、端末装置100と同じ無線リソースを用いて端末装置200a、200bと通信を行うことが可能となり、使用する無線リソースを増やすことなく、通信システム全体としての無線通信に用いる帯域幅を増やすことなく通信量を増やすことが可能となる。
【0068】
なお、図10は、無線基地局装置300の別の形態を示す概略図である。無線基地局装置300のアンテナ311、321は、物理的に接続された構成を用いて説明したが、図示するように、無線基地局装置300と、端末装置100との間に用いられる無線リソース(周波数や時間など)と異なる無線リソースを用いて、送信信号を無線リレー局装置401、402に送信して、無線リレー局装置401、402から送信信号を端末装置100、200a、200bに対して送信してもよい。
また、本実施形態では、STBCにより符号化された情報ビットは、端末装置100宛の情報ビットとしたが、当該情報ビットをブロードキャスト用の情報ビットとしてもよい。この場合、端末装置100は、変更なく用いることができる。端末装置200は、データ検出部258が検出した情報ビットをブロードキャストされた情報ビットとして自端末装置宛の情報ビットと同様に処理することができる。
【0069】
<第2実施形態>
第2実施形態において、無線基地局装置300の構成は、第1実施形態の無線基地局装置300と比べ、STBC部346が入力されたSPCシンボルに対して行う符号化のみが異なり、符号化パターンとして次式(9−1)(9−2)で表されるパターンを用いる構成とする。
【0070】
【数9】
【0071】
このとき、端末装置100のSTBC合成部155は、次式(10−1)、(10−2)で表される合成を行うことにより、第1実施形態と同様に、ダイバーシチ効果を得ることができる。
【0072】
【数10】
【0073】
また、例えば、アンテナ311から送信される送信信号に式(9−1)の符号化パターンを用い、アンテナ321から送信される送信信号に式(9−2)の符号化パターンを用いて送信する場合、式(9−1)で表される符号化パターンは、変調シンボルに変更を加えていないので、当該送信信号を受信する端末装置200aにおいては、STBC復元部254が行う演算は次式(11−1)、(11−2)で表され、当該式で表される処理は、代入処理のみで演算を行わずとも、端末装置100宛の変調シンボルを検出することができる。
【0074】
【数11】
【0075】
なお、端末装置200bのSTBC復元部254は、次式(12−1)、(12−2)で表される演算を行い、受信した信号r(n)、r(n+1)から、復元した信号^s(n)、^s(n+1)を算出して、第1の実施形態と同様にSTBC復元の処理を行う。
【0076】
【数12】
【0077】
上述のように、式(9−1)による符号化が行われた送信信号のみを受信する端末装置201では、図11に図示するように、第1実施形態の端末装置200からSTBC復元部254、STBC情報検出部256、及び、パターン情報検出部255を除いた構成であっても無線基地局装置300と通信を行うことができる。
端末装置201は、無線受信部251、GI除去部252、FFT部253、チャネル推定部257、データ検出部258、レプリカ生成部259、キャンセル部260、及びデータ検出部261を備える。なお、第1実施形態の端末装置200を構成する機能ブロックと同一の機能ブロックには同じ符号(251〜253、257〜261)を付して説明を省略し、端末装置200と異なる接続箇所のみ説明する。
無線受信部251は、受信信号をGI除去部252のみに出力する。FFT部253は、変換した信号をチャネル推定部257、データ検出部258、及び、キャンセル部260に出力する。チャネル推定部257は、データ検出部258、レプリカ生成部259、及びデータ検出部261にチャネル推定値を出力する。
【0078】
上述のような式(9−1)、(9−2)で表される符号化パターンを用いることにより、式(9−1)で符号化された送信信号を受信する端末装置100、200は、受信信号から情報ビットを得るまでに行う計算量を削減することができ、第1実施形態に比べ、受信信号から情報ビットを得るまでの計算に必要な時間及び消費電力を削減することが可能となる。
【0079】
<第3実施形態>
第3実施形態において、無線基地局装置は、STBCによる符号化と、SPCによる多重化との行う順序を入れ替えた構成する。第3実施形態の無線基地局装置は、第1の無線基地局装置300の送信処理部312、322に替えて、図12に示す送信処理部362を備える。送信処理部362は、送信信号生成部361、STBC情報生成部342、パターン情報生成部343、及び、無線送信部344を備える。送信信号生成部361は、SPC部345、STBC部346、IFFT部347、及び、GI挿入部348を備える。なお、第1実施形態の機能部と同じ機能を有するブロックには同じ符号(342〜348)を付して、説明を省略する。第1実施形態の送信信号生成部341と異なる接続について説明する。
【0080】
STBC部346は、端末装置100宛に送信する変調シンボルに対して、式(1−1)、(1−2)、又は、式(9−1)、(9−2)で表される符号化を行ってSPC部345に出力する。SPC部345は、STBC部346から入力された符号化された信号と、端末装置200宛の変調シンボルとに対して、SPCによる多重化を行ってSPCシンボルを生成し、生成したSPCシンボルをIFFT部347に出力する。
【0081】
次に、図13は、同実施形態における端末装置202の構成を示す概略ブロック図である。端末装置202は、第1実施形態の端末装置200に比べ、FFT部253とキャンセル部260との間の接続のみが異なっている他は、同一である。端末装置202は、図示するように、FFT部253は、変換した信号をSTBC復元部254、チャネル推定部257、及び、キャンセル部260に出力する。STBC復元部254は、STBC復元により算出した信号をデータ検出部258のみに出力し、キャンセル部260に出力しない。すなわち、端末装置202において、端末装置100宛の信号成分h1a(n)を^s(n)から減算して自端末装置宛の信号を検出するのではなく、STBC復元する前の受信信号r(n)から端末装置100宛の信号成分h1a(n)を減算して、自端末装置宛の信号を検出する。
【0082】
なお、第1実施形態から第3実施形態において、固定された無線基地局装置と、移動可能な端末装置との間で行われる移動体通信を含む無線通信を例として説明したが、固定された装置の間における無線通信に用いてもよい。
また、第1実施形態から第3実施形態の無線通信システムは、2つのアンテナを有する無線基地局装置300を備える構成としたが、2つの無線基地局装置を備え、ぞれぞれのアンテナから信号を送信する構成としてもよい。その場合、2つの無線基地局装置は、それぞれから送信した信号が、端末装置100において、送信ダイバーシチ効果を得られるように信号を同期して送信する。
【0083】
上述の無線基地局装置、端末装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、上述した送信における処理、受信における処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0084】
10…無線通信システム
100…端末装置
200、200a、200b、201、202…端末装置
300、300a、300b…無線基地局装置
151…無線受信部、152…GI除去部、153…FFT部
154…チャネル推定部、155…STBC合成部、156…データ検出部
251…無線受信部、252…GI除去部、253…FFT部
254…STBC復元部、255…パターン情報検出部、256…STBC情報検出部
257…チャネル推定部、259…レプリカ生成部、260…キャンセル部
258、261…データ検出部
208…チャネル補償部、209…復調部、210…復号部
311、321…アンテナ
312、322、362…送信処理部
313、323、333…変調シンボル生成部
351…符号化部、352…変調部
341、361…送信信号生成部
342…STBC情報生成部、343…パターン情報生成部
344…無線送信部、345…SPC部、346…STBC部、347…IFFT部
348…GI挿入部
401、402…無線リレー局装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナそれぞれから異なる信号を送信する送信装置と、前記送信装置から送信される信号を受信する少なくとも第1、第2、及び、第3の受信装置を有する無線通信システムにおいて、
前記送信装置は、
前記第1の受信装置に向けた第1の変調シンボルと、前記第2の受信装置に向けた第2の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうちの1つを用いて符号化して第1の送信信号を生成する第1の送信信号生成部と、
前記第1の受信装置に向けた前記第1の変調シンボルと、前記第3の受信装置に向けた第3の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1の送信信号生成部において用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化して第2の送信信号を生成する第2の送信信号生成部と、
前記第1の送信信号生成部により生成された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号生成部により生成された前記第2の送信信号とを同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信する無線送信部とを備え、
前記第1の受信装置は、
前記送信装置より送信された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号とを重ね合わせた信号を受信し、自受信装置に向けられた信号を検出するデータ検出部を備え、
前記第2の受信装置は、
自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第1のレプリカ生成部と、
前記第1のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第1のキャンセル部とを備え、
前記第3の受信装置は、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、
前記送信装置より受信した前記第2の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第2のレプリカ生成部と、
前記第2のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第2の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第2のキャンセル部とを備える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記送信装置は、
前記第1の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第1のパターン情報と、前記第1の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第2のパターン情報とを生成するパターン情報生成部を備え、
前記第1及び第2パターン情報は、前記無線送信部により、前記第1及び第2の送信信号と共に送信され、
前記第2の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第1のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成し、
前記第3の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第2のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線通信システムは、更に、第4の受信装置を備える無線通信システムであって
前記送信装置は、前記第1の受信装置へ送信する前記第1の変調シンボルと、前記第4の受信装置に向けた第4の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1及び第2の送信信号生成部が用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化する第3の送信信号生成部を備え、
前記無線送信部は、前記第1及び第2の送信信号と、前記第3の送信信号生成部が生成した第3の送信信号と同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信し、
前記第4の受信装置は、
自端末装置に向けた前記第4の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第3のレプリカ生成部と、
前記第3のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第1のキャンセル部とを備える
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記パターン情報生成部は、前記第3の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第3のパターン情報を生成し、
前記無線送信部は、生成された前記第3のパターン情報を前記第3の送信信号と共に送信し、
前記第4の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第3のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第2の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成し、
前記第2の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第3の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成し、
前記第3の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第4の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成する
ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第2の変調シンボルとを重畳符号化する第1の重畳符号化部と、前記第1の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第1のブロック符号化部と、前記第1のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第1のIFFT部と、前記第1のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第1のガードインターバル挿入部とを備え、
前記第2の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第3の変調シンボルとを重畳符号化する第2の重畳符号化部と、前記第2の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第2のブロック符号化部と、前記第2のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第2のIFFT部と、前記第2のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第2のガードインターバル挿入部とを備え、
前記第3の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第4の変調シンボルとを重畳符号化する第3の重畳符号化部と、前記第3の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第3のブロック符号化部と、前記第3のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第3のIFFT部と、前記第3のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第3のガードインターバル挿入部とを備える
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第1、第2、及び、第3のブロック符号化部は、前記ブロック符号化として、時空間ブロック符号化(STBC)を用いる
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第1、第2、及び、第3のブロック符号化部は、前記ブロック符号化として、周波数空間ブロック符号化(SFBC)を用いる
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項9】
対になった他方のアンテナから送信される信号と、自アンテナから送信される信号とを重ね合わせた信号を受信した第1の受信装置が、合成後の利得が得られるように前記第1の受信装置に向ける信号を無線リソースに配置すると共に、前記無線リソースに第2の受信装置に向ける信号を重畳して配置する送信信号生成部を備える
ことを特徴とする送信装置。
【請求項10】
送信装置から受信した受信信号から、他の受信装置に向けられた信号を再生するレプリカ生成部と、
前記レプリカ生成部が再生した信号を、前記受信信号からキャンセルするキャンセル部とを備える
ことを特徴とする受信装置。
【請求項11】
複数のアンテナそれぞれから異なる信号を送信する送信装置と、前記送信装置から送信される信号を受信する少なくとも第1、第2、及び、第3の受信装置に向けて第1、第2、及び、第3の変調シンボルを送信する無線通信方法であって、
前記送信装置が、前記第1の受信装置に向けた第1の変調シンボルと、前記第2の受信装置に向けた第2の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうちの1つを用いて符号化して第1の送信信号を生成する過程と、
前記送信装置が、前記第1の受信装置に向けた前記第1の変調シンボルと、前記第3の受信装置に向けた第3の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1の送信信号生成部において用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化して第2の送信信号を生成する過程と、
前記送信装置が、前記第1の送信信号生成部により生成された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号生成部により生成された前記第2の送信信号とを同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信する過程とを備え、
前記第1の受信装置が、前記送信装置より送信された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号とを重ね合わせた信号を受信し、自受信装置に向けられた信号を検出する過程と、
前記第2の受信装置が、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する過程と、
前記第2の受信装置が、前記第1のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする過程と、
前記第3の受信装置が、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第2の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する過程と、
前記第3の受信装置が、前記第2のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第2の送信信号の変調シンボルからキャンセルする過程とを備える
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項1】
複数のアンテナそれぞれから異なる信号を送信する送信装置と、前記送信装置から送信される信号を受信する少なくとも第1、第2、及び、第3の受信装置を有する無線通信システムにおいて、
前記送信装置は、
前記第1の受信装置に向けた第1の変調シンボルと、前記第2の受信装置に向けた第2の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうちの1つを用いて符号化して第1の送信信号を生成する第1の送信信号生成部と、
前記第1の受信装置に向けた前記第1の変調シンボルと、前記第3の受信装置に向けた第3の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1の送信信号生成部において用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化して第2の送信信号を生成する第2の送信信号生成部と、
前記第1の送信信号生成部により生成された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号生成部により生成された前記第2の送信信号とを同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信する無線送信部とを備え、
前記第1の受信装置は、
前記送信装置より送信された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号とを重ね合わせた信号を受信し、自受信装置に向けられた信号を検出するデータ検出部を備え、
前記第2の受信装置は、
自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第1のレプリカ生成部と、
前記第1のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第1のキャンセル部とを備え、
前記第3の受信装置は、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、
前記送信装置より受信した前記第2の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第2のレプリカ生成部と、
前記第2のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第2の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第2のキャンセル部とを備える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記送信装置は、
前記第1の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第1のパターン情報と、前記第1の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第2のパターン情報とを生成するパターン情報生成部を備え、
前記第1及び第2パターン情報は、前記無線送信部により、前記第1及び第2の送信信号と共に送信され、
前記第2の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第1のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成し、
前記第3の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第2のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線通信システムは、更に、第4の受信装置を備える無線通信システムであって
前記送信装置は、前記第1の受信装置へ送信する前記第1の変調シンボルと、前記第4の受信装置に向けた第4の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1及び第2の送信信号生成部が用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化する第3の送信信号生成部を備え、
前記無線送信部は、前記第1及び第2の送信信号と、前記第3の送信信号生成部が生成した第3の送信信号と同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信し、
前記第4の受信装置は、
自端末装置に向けた前記第4の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する第3のレプリカ生成部と、
前記第3のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする第1のキャンセル部とを備える
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記パターン情報生成部は、前記第3の送信信号生成部において用いた前記ブロック符号を構成する符号パターンを示す第3のパターン情報を生成し、
前記無線送信部は、生成された前記第3のパターン情報を前記第3の送信信号と共に送信し、
前記第4の受信装置は、前記送信装置より受信した前記第3のパターン情報に応じて前記レプリカ変調シンボルを生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第2の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成し、
前記第2の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第3の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成し、
前記第3の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第4の変調シンボルとを同じ無線リソースに配置して変調シンボルを合成する
ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第2の変調シンボルとを重畳符号化する第1の重畳符号化部と、前記第1の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第1のブロック符号化部と、前記第1のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第1のIFFT部と、前記第1のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第1のガードインターバル挿入部とを備え、
前記第2の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第3の変調シンボルとを重畳符号化する第2の重畳符号化部と、前記第2の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第2のブロック符号化部と、前記第2のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第2のIFFT部と、前記第2のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第2のガードインターバル挿入部とを備え、
前記第3の送信信号生成部は、前記第1の変調シンボルと前記第4の変調シンボルとを重畳符号化する第3の重畳符号化部と、前記第3の重畳符号化により重畳された変調シンボルに対してブロック符号化を行う第3のブロック符号化部と、前記第3のブロック符号化部により符号化された変調シンボルに対して逆フーリエ変換演算を行う第3のIFFT部と、前記第3のIFFT部が変換した変調シンボルに対してガードインターバルを挿入する第3のガードインターバル挿入部とを備える
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第1、第2、及び、第3のブロック符号化部は、前記ブロック符号化として、時空間ブロック符号化(STBC)を用いる
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第1、第2、及び、第3のブロック符号化部は、前記ブロック符号化として、周波数空間ブロック符号化(SFBC)を用いる
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項9】
対になった他方のアンテナから送信される信号と、自アンテナから送信される信号とを重ね合わせた信号を受信した第1の受信装置が、合成後の利得が得られるように前記第1の受信装置に向ける信号を無線リソースに配置すると共に、前記無線リソースに第2の受信装置に向ける信号を重畳して配置する送信信号生成部を備える
ことを特徴とする送信装置。
【請求項10】
送信装置から受信した受信信号から、他の受信装置に向けられた信号を再生するレプリカ生成部と、
前記レプリカ生成部が再生した信号を、前記受信信号からキャンセルするキャンセル部とを備える
ことを特徴とする受信装置。
【請求項11】
複数のアンテナそれぞれから異なる信号を送信する送信装置と、前記送信装置から送信される信号を受信する少なくとも第1、第2、及び、第3の受信装置に向けて第1、第2、及び、第3の変調シンボルを送信する無線通信方法であって、
前記送信装置が、前記第1の受信装置に向けた第1の変調シンボルと、前記第2の受信装置に向けた第2の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうちの1つを用いて符号化して第1の送信信号を生成する過程と、
前記送信装置が、前記第1の受信装置に向けた前記第1の変調シンボルと、前記第3の受信装置に向けた第3の変調シンボルとを合成した変調シンボルを、ブロック符号を構成する符号パターンのうち前記第1の送信信号生成部において用いた符号パターンと異なる符合パターンを用いて符号化して第2の送信信号を生成する過程と、
前記送信装置が、前記第1の送信信号生成部により生成された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号生成部により生成された前記第2の送信信号とを同じ周波数により前記複数のアンテナを介して送信する過程とを備え、
前記第1の受信装置が、前記送信装置より送信された前記第1の送信信号と、前記第2の送信信号とを重ね合わせた信号を受信し、自受信装置に向けられた信号を検出する過程と、
前記第2の受信装置が、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第1の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する過程と、
前記第2の受信装置が、前記第1のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第1の送信信号の変調シンボルからキャンセルする過程と、
前記第3の受信装置が、自端末装置に向けた前記第2の変調シンボルを検出するべく、前記送信装置より受信した前記第2の送信信号から前記第1の受信装置に向けられた前記第1の変調シンボルを再生する過程と、
前記第3の受信装置が、前記第2のレプリカ生成部の生成したレプリカ変調シンボルを、受信した前記第2の送信信号の変調シンボルからキャンセルする過程とを備える
ことを特徴とする無線通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−206283(P2010−206283A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46873(P2009−46873)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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