無線通信システムにおけるランダムアクセス方法、無線通信システム、無線端末及び基地局装置
【課題】複数のランダムアクセスのいずれかを選択的に実行できるようにする。
【解決手段】無線端末20は、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する。
【解決手段】無線端末20は、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおけるランダムアクセス方法、無線通信システム、無線端末及び基地局装置に関する。本発明は、例えば、次世代移動通信システムに用いると好適である。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動通信システムは、現在、CDMA方式による第三世代方式がサービスを開始しているが、より高速な通信が可能となる次世代移動通信システム(LTE:Long Term Evolution)の検討が3GPP(3rd Generation Partnership Project)(R)で進められている(後記の非特許文献1参照)。そこでは、伝送レートの高速化に加えて、伝送遅延の削減が議論されている。
【0003】
移動通信システムにおいては、基地局装置(evolved Node B:eNB)と無線端末である移動局装置(User Equipment:UE)とが通信を開始するに当たって、UEが最初に送信を行なうためのチャネルが用意される。3GPPにおいては、これをランダムアクセスチャネル(RACH)と呼び、RACHによる通信開始手順をランダムアクセスと呼ぶ(後記の非特許文献2参照)。
【0004】
RACHには、eNBがUEからの送信を識別するための最小限の情報が含まれる。また、RACHは通信開始時に使用され、以降の通信には個別チャネル(または共有チャネル)が使用されるため、複数のUEが同時に使用しなければ、UE同士で共通に使用することができる。そこで、RACHには、シグネチャと呼ばれる識別子を適用し、これによりeNBがRACHで同時に送信してくるUEを識別できるようにしている。
【0005】
ランダムアクセスは、次の4つの場合、即ち、(1)初回データを送信する場合、(2)下りデータ発生時に上りの同期を確立する場合、(3)上りデータ発生時に上りデータ送信を要求する場合、(4)ハンドオーバを実行する際移動先基地局と同期をとる場合、に実行される。なお、eNBからUEへの方向が「下り」(ダウンリンク:DL)であり、その逆の方向が「上り」(アップリンク:UL)である。
【0006】
ここで、(1)初回データ送信時及び(3)上りデータ送信時において、UEは使用可能なシグネチャ(プリアンブル)の中からランダムに一つを選んで使用する(Contention Based Random Access Procedure)。従って、低い確率ではあるが、複数のUEが同時に同じシグネチャで送信を行なうことが起こり得る。
一方、(2)下りデータ送信時はeNBがUEにあらかじめ個別のシグネチャを割り当て、(4)ハンドオーバの場合にも、シグネチャの衝突が発生すると接続の瞬断や場合によっては通信切断となるため、ハンドオーバするUEにはあらかじめ個別のシグネチャを割り当てる方法が適用される(Non-contention Based Random Access Procedure)。
【0007】
(a)Contention Based Random Access Procedure
図20に、前記非特許文献2記載の、前記(1)及び(3)の場合に用いられるランダムアクセス手順の例を示す。
UEは、上りデータが発生すると、ランダムに選択したシグネチャを含むメッセージ(Random Access Preamble)#1−1(上り送信要求)をeNB宛にRACHにて送信する(ステップS101)。その際、複数のUEが同時に同じシグネチャを用いて送信を開始してしまい、競合することが起こりうる。しかし、競合が生じたとしても、この段階でeNBは有効なUEのIDを認識できないため、どのUE間でシグネチャの競合が生じたのかはわからない。
【0008】
前記メッセージ#1−1(シグネチャ)を受けたeNBは、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、受信した前記メッセージ#1−1に対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2を返信する(ステップS102)。当該応答メッセージ#1−2は、複数のUEが同時にRACHにて送信を行なってきた場合には当該複数のUE宛に返信される。
【0009】
次いで、前記応答メッセージ#1−2を受けたUEは、自局IDをメッセージ(Scheduled Transmission)#1−3にて送信してUL通信のスケジューリングをeNBに要求する(ステップS103)。
eNBは、このメッセージ#1−3を受信することにより、有効なUEのID(以下、端末IDともいう)を認識できるので、どのUE間でシグネチャの競合が発生したかを認識することができ、競合が発生していればメッセージ(Contention Resolution)#1−4を該当UE宛に送信することで、競合解決を行なう(ステップS104)。
【0010】
(b)Non-contention Based Random Access Procedure
図21に、前記非特許文献2記載の、前記(2)及び(4)の場合に用いられるランダムアクセス手順(Non-contention Based Random Access Procedure)の例を示す。
まず、eNBは、管理しているUEに対して、メッセージ(Random Access Preamble assignment)#2−1により、予め個別シグネチャを割り当てておく(ステップS201)。
【0011】
UEは、前記メッセージ#2−1によりeNBから割り当てられた個別シグネチャを用いてeNBに対してUL同期要求を行なう。即ち、UEは、個別シグネチャ含むメッセージ#2−2をRACHにてeNB宛に送信する(ステップS202)。
eNBは、当該メッセージ#2−2を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、当該メッセージに対する応答メッセージ#2−3を返信する(ステップS203)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP,“Requirements for Evolved UTRA(E-UTRA) and Evolved UTRAN(E-UTRAN)”,TR25.913 V7.3.0,Release 7,March 2006
【非特許文献2】3GPP,“Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN)”,TS36.300,Release 8,V8.1.0, June 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のように、非特許文献2では、ランダムアクセスに関して2種類のプロシージャが検討されているため、例えば、前記(2)下りデータ発生時に上りの同期を確立する場合と、前記(3)上りデータ発生時に上りデータの送信要求を行なう場合とで、それぞれ異なるプロシージャが同時進行することになる。
このように異なるプロシージャがそれぞれ同時進行してしまうと、それぞれのプロシージャで個別のリソース(前記シグネチャなど)が必要となるため、プロシージャが進行している最中は2種類のシグネチャが割り当てられることにより、シグネチャが無駄に使われることになる。
【0014】
そこで、本発明の目的の一つは、前記複数のランダムアクセスのいずれかを選択的に実行できるようにすることにある。
また、前記ランダムアクセスで用いるシグネチャ等のリソースの有効利用を図ることも本発明の目的の一つである。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)第1の案として、例えば、基地局装置と無線端末とをそなえた無線通信システムにおけるランダムアクセス方法であって、前記無線端末は、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する、無線通信システムにおけるランダムアクセス方法を用いることができる。
【0016】
(2)また、第2の案として、例えば、基地局装置と無線端末とをそなえた無線通信システムにおいて、前記無線端末は、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信し、前記基地局装置は、前記無線端末とデータ通信を行なう、無線通信システムを用いることができる。
【0017】
(3)さらに、第3の案として、例えば、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択する選択手段と、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する通信手段と、を有する、無線端末を用いることができる。
【0018】
(4)また、第4の案として、例えば、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する前記無線端末とデータ通信する通信手段を有する、基地局装置を用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
前記本発明によれば、前記複数のランダムアクセスのいずれかを選択的に実行することができる。
また、前記ランダムアクセスで用いるシグネチャ等のリソースの有効利用を図ることができる。さらに、ランダムアクセスチャネル(RACH)の干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基地局(eNB)の機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る移動局(UE)の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図4】図3に示すランダムアクセス手順実施時のeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図5】図3に示すランダムアクセス手順実施時のUEの動作を説明するフローチャートである。
【図6】異なるランダムアクセス手順が同時進行する場合を説明するシーケンス図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図8】図7に示すランダムアクセス手順実施時のeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図9】図7に示すランダムアクセス手順実施時のUEの動作を説明するフローチャートである。
【図10】第2実施形態の第1変形例を説明するシーケンス図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例を説明するシーケンス図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図13】図10に示すランダムアクセス手順実施時のeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図14】図10に示すランダムアクセス手順実施時のUEの動作を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の第4実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図16】図13に示すランダムアクセス手順実施時のeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図17】図13に示すランダムアクセス手順実施時のUEの動作を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の第5実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図20】従来のランダムアクセス手順(コンテンションベースランダムアクセス手順)を説明するシーケンス図である。
【図21】従来のランダムアクセス手順(非コンテンションベースランダムアクセス手順)を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることはいうまでもない。
〔1〕第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係る基地局装置(eNB)の機能ブロック図であり、図2は本発明の第1実施形態に係る移動局装置(UE)の機能ブロック図であり、これらのeNB10とUE20とで無線通信システムが構成される。なお、eNB10及びUE20は前記無線通信システムにおいて複数存在することができる。また、これらの図1及び図2に示す構成は、以降の第2乃至第4実施形態においても、特に断らない限り、共通である。さらに、本例での基地局装置10は、無線ネットワーク制御装置(RNC)の機能の一部又は全部を具備するLTEでのeNBであることを想定しているが、LTEよりも前の世代での(RNCの機能が組み込まれない)基地局であっても構わない。加えて、コンテンションベースランダムアクセス手順と、非コンテンションベースランダムアクセス手順の両方法が規定された基地局であれば、どのシステムの基地局であっても構わない。
【0022】
(eNBの説明)
図1に示すeNB10は、その要部の機能に着目すると、例えば、アンテナ11と、送受信部と、バッファ部13と、判定部14と、シグネチャ管理部15と、無線リソース管理部16とをそなえる。
ここで、アンテナ11は、UE20からの上り無線信号を受信する一方、UE20への下り無線信号を送信するものである。当該アンテナ11は、送受信に共用であるが、送信と受信とで個別に設けられていてもよい。
【0023】
送受信部(送信手段、受信手段)12は、アンテナ11で受信された上り無線信号について所定の受信処理を行なう一方、バッファ部13からのデータ(下りデータ)について所定の送信処理を行なうものである。
前記受信処理には、例えば、低雑音増幅、ベースバンド周波数への周波数変換(ダウンコンバート)、利得調整、所定の復調方式による復調、所定の復号方式による復号などが含まれる。一方、前記送信処理には、前記上り送信データの所定の符号化方式による符号化、符号化データの所定の変調方式(QPSKや16QAM等)による変調、所定の無線フレームの生成、無線周波数への周波数変換(アップコンバート)、電力増幅などが含まれる。前記無線フレームには、例えば、OFDMAやOFDMAに準拠した無線フレームを適用できる。
【0024】
バッファ部13は、シグネチャ管理部15からの制御の下、UE20宛の下りデータを一時的に保持するものであり、判定部(判別手段)14は、送受信部12で受信処理された上りデータ(メッセージ)を基にUL同期要求やULスケジューリング要求がUE20から求められているか否かを判定して、UE20においてランダムシグネチャと個別シグネチャのいずれが選択されたかを判別する機能を具備する。
【0025】
なお、本例において、ランダムシグネチャとは、UE20において生成されたランダムに生成されたシグネチャ(第1の情報)を意味し、個別シグネチャとは、eNB10がUE20に割り当てた(送信した)シグネチャ(第2の情報)を意味する。また、詳細な前記判定(判別)手法については後述する。
シグネチャ管理部(管理手段)15は、ランダムアクセス(プロシージャ)に用いるシグネチャ(Random Access Preamble)(以下、プリアンブルともいう)を管理するとともに、ランダムアクセスに用いるUE20宛の下りメッセージを生成するもので、UE20に対するシグネチャの割当、解放を行なう機能も具備する。なお、前記解放は、判定部14での判定結果に応じて実施する。
【0026】
無線リソース管理部16は、UE20との通信(ランダムアクセス時の通信も含む)に用いるUL及びDLの無線リソース〔チャネル周波数や時間(送受信タイミング)など〕とその割り当てとを管理するもので、例えば前記OFDMAの場合であれば、サブチャネル周波数とシンボル時間とで規定される2次元の送受信領域(バーストと呼ばれる)の配置(マッピング)を管理する機能を具備する。
【0027】
加えて、この無線リソース管理部16は、UE20において選択されなかったシグネチャに対応するランダムアクセスの過程でUE20から受信されるはずであった上りメッセージ(第3の情報)に応じた制御を実施する制御手段としての機能も果たす。
(UEの説明)
一方、図2に示すUE20は、その要部の機能に着目すると、例えば、アンテナ21と、送受信部22と、バッファ部23と、シグネチャ管理部24と、アクセス判定部25と、識別子付与部26とをそなえる。
【0028】
ここで、アンテナ21は、eNB10からの下り無線信号を受信する一方、eNB10への上り無線信号を送信するものである。当該アンテナ21も、送受信に共用であるが、送信と受信とで個別に設けられていてもよい。
送受信部(送信手段、受信手段)22は、アンテナ21で受信された下り無線信号について所定の受信処理を行なう一方、バッファ部23からのデータ(上りデータ)及び識別子付与部26経由のeNB宛の上りメッセージ(Random Access PreambleやScheduled Transmissionメッセージ)について所定の送信処理を行なうものである。
【0029】
UE20においても、前記受信処理には、例えば、低雑音増幅、ベースバンド周波数への周波数変換(ダウンコンバート)、利得調整、所定の復調方式による復調、所定の復号方式による復号などが含まれる。一方、前記送信処理には、前記上り送信データの所定の符号化方式による符号化、符号化データの所定の変調方式(QPSKや16QAM等)による変調、所定の無線フレームへの上りデータの多重(マッピング)、無線周波数への周波数変換(アップコンバート)、電力増幅などが含まれる。
【0030】
バッファ部23は、シグネチャ管理部24からの制御の下、eNB10宛の上りデータを一時的に保持するものであり、シグネチャ管理部24は、ランダムアクセス処理(プロシージャ)に用いるシグネチャ(Random Access Preamble)を管理するものである。
アクセス判定部25は、シグネチャ管理部24と連携して、ランダムアクセス手順に用いる所定のメッセージを生成するもので、ここでは、シグネチャの多重割当が生じているか否か、即ち、eNB10から割り当てられた個別シグネチャと、自局(シグネチャ管理部24)でランダムに生成したランダムシグネチャとが存在するか否かを監視(確認)し、多重割当時にいずれのシグネチャを有効とするかを判定する機能を具備する。
【0031】
識別子付与部26は、アクセス判定部25で生成されたeNB10宛の上りメッセージ(例えば、端末IDを通知するメッセージ等)に、UE20において上りデータも発生しているため上りデータの送信(ULスケジューリング)を要求するメッセージや、eNB10に下りデータが到着しているため下りデータ受信に必要なUL同期要求に対するUL同期確認も兼ねていることを示す情報(識別子やフラグ等)を付与する機能を具備する。なお、UL同期確認とは、UE20はeNB10からのULタイミング情報を正しく受信したためUL同期は確保できた、ということをeNB10に通知(確認応答)することである。
【0032】
(ランダムアクセス手順の説明)
以下、上述のごとく構成された本例の無線通信システムの動作(ランダムアクセス手順)について、図3〜図5を参照しながら詳述する。なお、図3は本例のランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図、図4は本例のランダムアクセス手順実施時のeNB10での動作を説明するフローチャート、図5は本例のランダムアクセス手順実施時のUE20での動作を説明するフローチャートである。
【0033】
なお、図20及び図21の表記と同様に、以降において、#1−1〜#1−4を付して示すメッセージは、本来、コンテンションベースランダムアクセス手順(第1のランダムアクセス)で用いられるメッセージを表し、#2−1〜#2−3を付して示すメッセージは、本来、非コンテンションベースランダムアクセス手順(第2のランダムアクセス)で用いられるメッセージを表すものとする。
【0034】
まず、UE20において上りデータが発生しバッファ部23に当該上りデータが保持されると(図5のステップB1)、UE20は、シグネチャ管理部24にてランダムシグネチャ(Random Access Preamble)を生成、記憶する(図5のステップB2)。つまり、シグネチャ管理部24は、eNB10への上りデータ発生時に実行すべきコンテンションベースランダムアクセスに用いるシグネチャを生成する生成手段としての機能を具備する。
【0035】
そして、UE20は、アクセス判定部25にて、当該シグネチャを含むランダムアクセスプリアンブルメッセージ(上り送信要求)#1−1を生成して送受信部22経由でアンテナ21からeNB10に向けて送信する(図3のステップS1a及び図5のステップB3)。
eNB10は、前記上り送信要求メッセージ#1−1を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、受信した前記上り送信要求メッセージ#1−1に対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2を返信する(図3のステップS2)。当該応答メッセージ#1−2は、複数のUE20が同時にRACHにて送信を行なってきた場合には当該複数のUE20宛に返信される。
【0036】
ここで、当該応答メッセージ#1−2の送信前に、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着し(バッファ部13に下りデータが存在し)(図4のステップA1)、その受信処理を終了することができなかった等の理由で、UE20が送信した前記上り送信要求メッセージ#1−1を認識できなかったとする。
この場合、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ:第2の情報)を生成、記憶し(図4のステップA2)、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(図3のステップS1b及び図4のステップA3)。
【0037】
これらの上り送信要求メッセージ#1−1(図3のステップS1a)とシグネチャ割当メッセージ#2−1(図3のステップS1b)の送信終了段階では、eNB10において「どのUE20がどのシグネチャを使用しているか」を認識することができない。つまり、どのUE20について2つのシグネチャ(Random PreambleとDedicated Preamble)が発行されているかを認識できない。これは、前記非特許文献2において、いずれのメッセージにもUE20を識別する情報(端末ID)が含まれないこととなっているからである。
【0038】
前記非特許文献2によれば、端末IDは、メッセージ(Scheduled Transmission)#1−3に含めることができるとされているから、その場合、eNB10において、どのUE20がどのシグネチャを使っているかを識別できるのは、UE20から当該メッセージ#1−3(図3のステップS3)を受信した後である。
これに対し、UE20では、自局20の端末IDをeNB10に通知したか否かに関わらず、上り送信要求メッセージ#1−2(図3のステップS1a)とシグネチャ割当メッセージ#2−1(図3のステップS1b)の送信終了段階で、自局生成のランダムシグネチャ(Random Preamble)と、eNB10から割り当てられた個別シグネチャ(Dedicated Preamble)とが両方存在していること、つまり、前記2種類のランダムアクセスの発生を認識(検出)することができる。
【0039】
このように、1台のUE20に対して複数のシグネチャが発行された場合、UE20は、いずれのシグネチャを使用するかを判断する。即ち、UE20は、前記ステップS2によりeNB10からの個別シグネチャの割当(受信)があると(図5のステップB4)、アクセス判定部25が、2つのシグネチャ(プリアンブル)の多重割当が生じているか否かをシグネチャ管理部24と連携して確認する(図5のステップB5)。
【0040】
その結果、多重割当が生じていれば(ステップB5のyesルート)、UE20(アクセス判定部25)は、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを無視し(図3のステップS1c及び図5のステップB6)、自局で生成したランダムシグネチャを有効なシグネチャとして選択する。つまり、アクセス判定部25は、前記2つのシグネチャのいずれか一方を選択する選択手段としての機能を具備する。なお、多重割当が生じていない場合も、UE20において、自局生成のランダムシグネチャが有効になる(ステップB5のnoルート)。
【0041】
これにより、UE20で生成したランダムシグネチャによるランダムアクセス手順(コンテンションベースランダムアクセス手順)が有効となり、UE20は、コンテンションベースランダムアクセス手順を継続する。
即ち、UE20は、メッセージ#1−3を生成してeNB10へ送信する(図3のステップS3及び図5のステップB7)。その際、UE20は、自局宛の下りデータがeNB10に到着していることを前記シグネチャ割当メッセージ#2−1の受信により認識しているため、好ましくは、当該メッセージ#1−3に、「下りデータを受信するために必要なUL同期確認も兼ねている」ことを示す情報(識別子やフラグ)を、識別子付与部26により付与して送信する。UL同期確認とは、UE20はメッセージ(Random Access Response)#1−2に含まれるULタイミング情報を正しく受信したためUL同期は確保できた、ということを確認応答することである。
【0042】
つまり、選択されなかった非コンテンションランダムアクセスの過程でeNB10に対して送信するはずであったUL同期要求(第3の情報)は、UL同期のためにeNB10からULタイミング情報を受信するためのメッセージであるが、選択されたコンテンションベースランダムアクセスの過程#1−2で、UE20は既に該タイミング情報は取得している。そこで、送信すべきメッセージ#1−3に、UL同期は取得できたことをeNB10に通知するために、UL同期確認を付与してeNB10に送信する。
【0043】
ただし、eNB10では、前述したごとくメッセージ#1−3を受信した時点で、シグネチャが二重に割り当てられているUE20を識別できるから、前記識別子やフラグが明示的に付与されていなくても、当該UE20からのメッセージ#1−3はUL同期要求を兼ねていると暗黙的に判断することもできる。
eNB10では、前記メッセージ(兼UL同期確認)#1−3の受信を認識すると(図4のステップA4のyesルート)、当該UE20に対して割り当てた個別シグネチャが同UE20において無視された(UE20で生成したランダムシグネチャが優先された)と判定部14にて判断するから、シグネチャ管理部15において、当該UE20に対して割り当てた個別シグネチャを解放する(図3のステップS3−1及び図4のステップA5)。
【0044】
したがって、eNB10が割り当てた個別シグネチャによるランダムアクセス手順(非コンテンションベースランダムアクセス手順)は停止され、UE20に割り当てた個別シグネチャをランダムアクセス手順の途中で(早期に)解放することができ、シグネチャの有効利用を図ることができる。なお、前記メッセージ#1−3がUL同期確認を兼ねていないと認識した場合(ステップA4でnoの場合)、下りデータが到着しておらず、通常の上りデータ通信だけが発生しているケースであるため、eNB10は、メッセージ#1−4の送信を行なう(ステップA7)。
【0045】
また、eNB10は、無線リソース管理部16により、前記UL同期確認(第3の情報)に応じた処理(制御)、例えば、下りデータのスケジューリングを開始する(図4のステップA6)。
また、eNB10は、前記メッセージ(兼UL同期確認)#1−3の受信により、シグネチャ割当メッセージ#2−1に対する応答(Random Access Preamble)がUE20から無くても良いことを認識することができるから、シグネチャ割当メッセージ#2−1の無駄な再送を回避することができる。さらに、eNB10は、個別シグネチャの割り当てを行なったにも関わらず、コンテンションベースランダムアクセス手順で用いられるメッセージ#1−3を受信していることから、UE20において上りデータも発生していることを認識できる。
【0046】
eNB10は、前記メッセージ(兼UL同期確認)#1−3を受信することにより、有効なUE20のIDがわかるので、どのUE間でシグネチャの競合が発生したのかを認識することができ、競合解決(Contention Resolution)メッセージ#1−4を該当UE20宛に送信することで、競合の解決を行なう(図3のステップS4)。
以上のように、本例のランダムアクセス方法によれば、上りデータと下りデータとが同時期に発生したUE20が存在しても、当該UE20は、自局で生成したシグネチャを選択してコンテンションベースランダムアクセスを継続するから、例えば図6に示すように、あるUE20に対して、前記2種類のランダムアクセス手順が最後まで同時進行することがない。したがって、ランダムアクセスの制御プレーンを簡素化することができ、また、ランダムアクセスに用いるシグネチャの有効利用を図ることができる。さらに、ランダムアクセスチャネル(RACH)の干渉を抑制することができる。
【0047】
ただし、前記2種類のランダムアクセス手順は、それぞれ同時進行させることも可能である。したがって、例えば、前記メッセージ(兼UL同期確認)#1−3が他のUEと競合していた場合、UE20は、eNB10から通知される競合解決メッセージ#1−4を参照することにより、競合が生じたことがわかる。この場合、非コンテンションベースランダムアクセスを継続すると、UL同期を確保するために時間を要する可能性があるため、前記メッセージ#2−1によりeNB10から割り当てられた個別シグネチャを使って、非コンテンションベースランダムアクセスを同時実行することもできる。ただし、その際は、該UE20に対する個別シグネチャの有効期限を長く設定しておく必要がある。
【0048】
また、コンテンションベースランダムアクセスの継続中に、選択されなかった非コンテンションベースランダムアクセスの過程でeNB10に送信されるはずであった情報(UL同期確認)をeNB10に送信するから、上りデータの送信処理とともに下りデータの受信処理も確実に実施することができる。
さらに、前記UL同期要求は、選択されたコンテンションベースランダムアクセスの過程でeNB10に送信されるものとされている上りメッセージ#1−3と兼用にすることで、UL同期確認に個別の上りメッセージを用意(定義)する必要がなく、無線リソースの有効利用を図ることができる。
【0049】
また、本例では、後述する第2実施形態に比して、eNB10とUE20との間で送受するメッセージ数を削減できるから、さらなる無線リソースの有効利用や、再送制御(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)によるエラーリカバリの短縮を図ることができる。
〔2〕第2実施形態
図7は本発明の第2実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図、図8は第2実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のeNB10での動作を説明するフローチャート、図9は第2実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のUE20での動作を説明するフローチャートである。
【0050】
本実施形態では、UE20は、前記プリアンブルの多重割当が生じた場合、自局で生成したシグネチャ(第1の情報)の方を無視し、eNB10から割り当てられた個別シグネチャ(第2の情報)を選択する。よって、非コンテンションベースランダムアクセス手順が継続することになる。
まず、UE20において上りデータが発生しバッファ部23に当該上りデータが保持されると(図9のステップB11)、UE20は、シグネチャ管理部24にてランダムなシグネチャ(Random Access Preamble)を生成、記憶し(図9のステップB12)、アクセス判定部25にて、当該シグネチャを含む上り送信要求(Random Access Preamble)メッセージ#1−1を生成して送受信部22経由でアンテナ21からeNB10に向けて送信する(図7のステップS1a及び図9のステップB13)。
【0051】
eNB10は、前記上り送信要求メッセージ#1−1を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、受信した前記上り送信要求メッセージに対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2を返信する(図7のステップS2)。当該応答メッセージ#1−2は、複数のUE20が同時にRACHにて送信を行なってきた場合には当該複数のUE20宛に返信される。
【0052】
ここで、本例においても、当該応答メッセージ#1−2の送信前に、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着し(バッファ部13に下りデータが存在し)(図8のステップA11)、その受信処理を終了することができなかった等の理由で、UE20が送信した前記上り送信要求メッセージ#1−1を認識できなかったとする。
この場合、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ)を生成、記憶し(図8のステップA12)、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(図7のステップS1b及び図8のステップA13)。
【0053】
前記シグネチャ割当メッセージ#2−1を受信したUE20は、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを含むメッセージ(Random Access Preamble)#2−2をRACHにてeNB10宛に送信する(図7のステップS2a)。
ここで、UE20では、上り送信要求メッセージ#1−1(図7のステップS1a)とシグネチャ割当メッセージ#2−1(図7のステップS1b)の送信終了段階で、自局生成のランダムシグネチャと、eNB10から割り当てられた個別シグネチャとが両方存在していることを認識することができる。
【0054】
そこで、UE20は、いずれのシグネチャを使用するかを判断する。即ち、本例のUE20は、前記ステップS2によりeNB10からのシグネチャ割当があると(図9のステップB14)、アクセス判定部25が、2つのシグネチャ(プリアンブル)の多重割当が生じているか否かをシグネチャ管理部24と連携して確認する(図9のステップB15)。
【0055】
その結果、多重割当が生じていれば(ステップB15のyesルート)、UE20は、自局生成のランダムシグネチャ(eNB10に送信したシグネチャ)を無視し(図7のステップS1d及び図9のステップB16)、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを有効なシグネチャとして選択する。なお、多重割当が生じていない場合も、個別シグネチャが有効になる(ステップB15のnoルート)。
【0056】
これにより、eNB10が割り当てた個別シグネチャによるランダムアクセス手順(非コンテンションベースランダムアクセス手順)が継続する。
その後、UE20は、メッセージ#1−3を生成してeNB10へ送信する(図7のステップS3及び図9のステップB17)。その際、UE20は、上りデータも発生しているため、好ましくは、当該メッセージ#1−3に、「上りデータの送信(スケジューリング)を要求するメッセージ(ULスケジューリング要求)も兼ねている」ことを示す情報(識別子やフラグ)を、識別子付与部26により付与して送信する。
【0057】
つまり、選択されなかったコンテンションランダムアクセスの過程でeNB10に対して送信するはずであったULスケジューリング要求(第3の情報)を、eNB10宛のメッセージ#1−3に付与してeNB10に送信する。
ただし、eNB10では、前記メッセージ#1−3を受信した時点で、シグネチャが二重に割り当てられているUE20を識別できるから、前記識別子やフラグが明示的に付与されていなくても、当該UE20からのメッセージ#1−3はULスケジューリング要求を兼ねていると暗黙的に判断することもできる。
【0058】
eNB10では、前記メッセージ#1−3(兼ULスケジューリング要求)の受信を認識すると(図8のステップA14のyesルート)、当該UE20に対して割り当てた個別シグネチャが同UE20において有効とされたと判断することができるから、シグネチャ管理部15において、当該UE20から受信し管理しているランダムシグネチャを解放する(図7のステップS3−2及び図8のステップA15)。
【0059】
したがって、UE20が生成したランダムシグネチャによるランダムアクセス手順(コンテンションベースランダムアクセス手順)は無効となり(停止され)、ランダムシグネチャをランダムアクセス手順の途中で(早期に)解放することができ、シグネチャの有効利用を図ることができる。
そして、eNB10は、無線リソース管理部16により、前記ULスケジューリング要求に応じた処理(制御)としてULの無線リソース割当を実施する(図8のステップA16)。なお、本例は、個別シグネチャが有効となるケースであるから、該UE20向けに限りコンテンションベースランダムアクセス手順における競合解決メッセージ#1−4の送信は不要であり停止することも可能である(図7のステップS4及び図8のステップA17)。また、前記メッセージ#1−3がULスケジューリング要求を兼ねていないと認識した場合、eNB10は、処理を終える(図8のステップA14のnoルート)。
【0060】
以上のように、本例のランダムアクセス方法によれば、上りデータと下りデータとが同時期に発生したUE20が存在しても、UE20は、eNB10から割り当てられたシグネチャを選択して非コンテンションベースランダムアクセスを継続するから、この場合も、あるUE20に対して、前記2種類のランダムアクセス手順が最後まで同時進行することがない。したがって、ランダムアクセスの制御プレーンを簡素化することができ、また、ランダムアクセスに用いるシグネチャの有効利用を図ることができる。さらに、RACHの干渉を抑制することができる。
【0061】
また、UE20は、非コンテンションベースランダムアクセスの継続中に、選択されなかったコンテンションベースランダムアクセスの過程でeNB10に送信されるはずであった情報(ULスケジューリング要求)をeNB10に送信するから、上りデータの送信処理とともに下りデータの受信処理も確実に実施することができる。
さらに、eNB10に対する前記ULスケジューリング要求は、上りメッセージ#1−3と兼用にすることで、ULスケジューリング要求に個別の上りメッセージを用意(定義)する必要がなく、無線リソースの有効利用を図ることができる。
【0062】
なお、上述した第1及び第2実施形態では、UE20からeNB10に対して上り送信要求メッセージ#1−1が送信された後に、eNB10からUE20に対してシグネチャ割当要求メッセージ#2−1が送信されたイメージであるが、逆の順序でこれらのメッセージ#1−1,#2−1が送信された場合も、シグネチャの多重割当が生じることに変わりないから、いずれかのシグネチャを有効とすればよい。
【0063】
(2.1)第1変形例
前記のeNB10に対するULスケジューリング要求を兼ねるメッセージは、例えば図10に示すように、前記図7のステップS2aで送信されるメッセージ(Random Access Preamble)#2−2としてもよい。
この場合、UE20は、メッセージ#1−3を送信する必要がないため、当該メッセージ#1−3の送信(ステップS3)を停止することができる。したがって、無駄な上りメッセージの送信を回避することができ、上り無線リソース(帯域)の有効利用を図ることができる。
【0064】
また、eNB10では、メッセージ#1−3を受信しなければ、どのUE20がどのプリアンブルを使っているかを認識できない(つまり管理できない)から、プリアンブルの解放も必要ない(図7にのステップS3−2を実行する必要がない)。したがって、eNB10でのプリアンブル管理の処理負荷を軽減することができる。
(2.2)第2変形例
さらに、前記のeNB10に対するULスケジューリング要求は、非コンテンションベースランダムアクセス手順の継続中に送信するのではなく、例えば図11に示すように、該手順の完了後(eNB10からUE20に対するメッセージ#2−3の送信後)、メッセージ#2−3に対する応答(ACK/NACK信号)とともに送信してもよい(図11のステップS5)。また、メッセージ#2−3の送信後に、個別の上りメッセージとして送信してもよい。
【0065】
〔3〕第3実施形態
図12は本発明の第3実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図、図13は第3実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のeNB10での動作を説明するフローチャート、図14は第3実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のUE20での動作を説明するフローチャートである。
【0066】
本実施形態では、第1及び第2実施形態とは異なり、UE20に個別シグネチャが割り当てられた状態で、UE20において上りデータが発生した場合について説明する。
即ち、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着(バッファ部13に下りデータが存在)すると(図13のステップA21)、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ)を生成、記憶し(図13のステップA22)、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ#2−1(RA Preamble Assignment)にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(図12のステップS11及び図13のステップA23)。
【0067】
UE20は、前記シグネチャ割当メッセージ#2−1を受信すると、これにより割り当てられた個別シグネチャをシグネチャ管理部24にて記憶、管理する(図14のステップB21)。
その後、UE20において上りデータが発生しバッファ部23に当該上りデータが保持されると(図14のステップB22)、UE20(シグネチャ管理部24)は、第1及び第2実施形態のようにはランダムシグネチャの生成を行なわない(図12のステップS12及び図14のステップB23)。
【0068】
代わりに、UE20は、アクセス判定部25にて、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを含むUL同期要求(Random Access Preamble)メッセージ#2−2を生成して送受信部22経由でアンテナ21からeNB10に向けて送信する。
その際、UE20は、上りデータが発生しているため、当該メッセージ#2−2に、「ULスケジューリング要求も兼ねている」ことを示す情報(識別子やフラグ)を、識別子付与部26により付与して送信する(図12のステップS13及び図14のステップB24)。
【0069】
つまり、UE20は、下りデータ発生時の上り同期を取得(確立)するためのシグネチャを使ってランダムアクセスを実行する際、ULスケジューリング要求も併せてeNB19に送信する。
eNB10では、前記メッセージ#2−2(兼ULスケジューリング要求)の受信を認識すると(図13のステップA24のyesルート)、無線リソース管理部16により、そのULスケジューリング要求に応じたULの無線リソースの割り当て制御を実施し(図13のステップA25)、シグネチャ管理部15により、前記メッセージ#2−2に対する応答メッセージ#2−3を生成し、UE20へ送信する(図12のステップS14)。なお、前記UL同期要求メッセージ#2−2にULスケジューリング要求が含まれない場合(図13のステップA24でnoの場合)、通常の上りデータ通信だけが発生しているケースであるため、eNB10は、ULリソース割当を行なわずにメッセージ#2−3の送信を行なう(図13のステップA26)。
【0070】
以上のように、本例のランダムアクセス方法によれば、eNB10においてUE20宛の下りデータが発生しeNB10が当該UE20に対してシグネチャを割り当てた後、当該UE20にて上りデータが発生すると、UE20は、コンテンションベースランダムアクセスのためのシグネチャの生成は行なわずに、eNB10が割り当てたシグネチャを用いて非コンテンションベースランダムアクセスを継続するから、前記2種類のランダムアクセス手順が同時進行することがない。
【0071】
したがって、ランダムアクセスの制御プレーンを簡素化することができ、また、ランダムアクセスに用いるシグネチャの有効利用を図ることができる。また、UE20及びeNB10ともに前記2種類のシグネチャを常時管理する必要がない。
さらに、前記非コンテンションベースランダムアクセスの継続中に、コンテンションベースランダムアクセスの過程でeNB10に送信されるはずであった情報(ULスケジューリング要求)をeNB10に送信するから、下りデータの受信処理とともに上りデータの送信処理も確実に実施することが可能となる。
【0072】
また、ランダムアクセスプリアンブルメッセージ#2−2がULスケジューリング要求も兼ねているから、後述する第4実施形態(ULスケジューリング要求をランダムアクセス応答メッセージ#2−3に対する確認応答メッセージが兼ねる場合)に比して、上りデータ送信開始までの遅延を削減することができる。
〔4〕第4実施形態
図15は本発明の第4実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図、図16は第4実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のeNB10での動作を説明するフローチャート、図17は第4実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のUE20での動作を説明するフローチャートである。
【0073】
本実施形態でも、第3実施形態と同様に、UE20に予め個別シグネチャが割り当てられている状態で、UE20において上りデータが発生した場合について説明する。
即ち、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着(バッファ部13に下りデータが存在)すると(図16のステップA31)、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ)を生成、記憶し(図16のステップA32)、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ#2−1(RA Preamble Assignment)にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(図15のステップS11及び図16のステップA33)。
【0074】
UE20は、前記シグネチャ割当メッセージ#2−1を受信すると、これにより割り当てられた個別シグネチャをシグネチャ管理部24にて記憶、管理する(図17のステップB31)。
その後、UE20において上りデータが発生しバッファ部23に当該上りデータが保持されると(図17のステップB32)、UE20(シグネチャ管理部24)は、第1及び第2実施形態のようにはランダムシグネチャの生成を行なわない(図15のステップS12及び図17のステップB33)。
【0075】
代わりに、UE20は、アクセス判定部25にて、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを含むメッセージ#2−2(Random Access Preamble)を生成して送受信部22経由でアンテナ21からeNB10に向けて送信する(図15のステップS13及び図17のステップB34)。
eNB10では、前記メッセージ#2−2の受信を認識すると(図16のステップA34のyesルート)、無線リソース管理部16により、ULの無線リソースの割り当てを実施し(図16のステップA35)、シグネチャ管理部15により、前記メッセージ#2−2に対する応答メッセージ#2−3を生成し、UE20へ送信する(図15のステップS14)。なお、前記メッセージ#2−2(兼ULスケジューリング要求)の受信を認識できない場合、eNB10は、処理を終える(図16のステップA34のnoルート)。
【0076】
一方、UE20は、eNB10から前記応答メッセージ#2−3を受信すると(図17のステップB34)、これに対する確認応答(ACK/NACK)メッセージ#3をアクセス判定部25にて生成してeNB10に送信する。その際、UE20は、当該確認応答メッセージ#3に、「ULスケジューリング要求も兼ねている」ことを示す情報(識別子やフラグ)を、識別子付与部26により付与して送信する(図17のステップB35)。なお、確認応答メッセージ#3と同時に送信するのではなく、個別の上りメッセージで送信してもよい。
【0077】
つまり、UE20は、下りデータ発生時の上り同期を取得(確立)するためのシグネチャを使ってランダムアクセスを実行する際、そのランダムアクセスが終了した後にULスケジューリング要求をeNB10に送信する。
以上のように、本例のランダムアクセス方法によれば、eNB10においてUE20宛の下りデータが発生しeNB10が当該UE20に対してシグネチャを割り当てた後、当該UE20にて上りデータが発生すると、UE20は、コンテンションベースランダムアクセスのためのシグネチャの生成は行なわずに、eNB10が割り当てたシグネチャを用いて非コンテンションベースランダムアクセスを継続するから、第3実施形態と同様の効果ないし利点が得られる。
【0078】
加えて、本例では、ランダムアクセス応答メッセージ#2−3に対する確認応答メッセージ#3がULスケジューリング要求を兼ねているから、当該確認応答メッセージ#3が伝搬環境によってeNB10にて正しく受信、認識できなかったとしても、少なくとも下りデータの送信は正常に開始することができる。
なお、ULスケジューリング要求を兼ねる上りメッセージは、例えば、CQIをeNB10に報告する上りメッセージとすることも可能である。
【0079】
〔5〕第5実施形態
図18は本発明の第5実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図である。本例は、eNB10からUE20に対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2の送信以後にシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1が送信された場合の例である。
【0080】
即ち、UE20において上りデータが発生すると、UE20は、シグネチャ管理部24にてランダムシグネチャを生成し、これを含むランダムアクセスプリアンブルメッセージ(上り送信要求)#1−1をeNB10に向けて送信する(ステップS1a)。
eNB10は、前記メッセージ#1−1を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、受信した前記上り送信要求メッセージ#1−1に対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2を返信する(ステップS2)。当該応答メッセージ#1−2は、複数のUE20が同時にRACHにて送信を行なってきた場合には当該複数のUE20宛に返信される。
【0081】
この段階で、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着すると、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、個別シグネチャを生成してシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1にてUE20に送信する(ステップS2b)。
UE20では、前記シグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1を受信すると、前記ランダムシグネチャと個別シグネチャとが存在し多重割当が発生する。UE20は、当該多重割当を検出すると、第1又は第2実施形態と同様にして、いずれか一方のシグネチャを選択して、選択したシグネチャに対応する一方のランダムアクセスの実行を継続する(図18にはコンテンションベースランダムアクセスが選択された様子を示している)。
【0082】
この場合、第1実施形態のように、その後のステップS3で送信する上りメッセージ#1−3でUL同期確認を兼ねることができる。また、第2実施形態のように、上りメッセージ#1−3でULスケジューリング要求を兼ねることもできるし、上りメッセージ(Random Access Preamble)#2−2でULスケジューリング要求を兼ねることもできる。さらに、ULスケジューリング要求は、応答メッセージ#2−3に対するACK/NACK信号で送信することもできるし、個別の上りメッセージで送信することもできる。
【0083】
そして、eNB10は、メッセージ#1−3を受信する等して有効なUE20のIDを認識すると、多重割当状態のシグネチャの一方を解放することが可能となる。
つまり、第1実施形態と本例から、UE20へのシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1の送信タイミングは、メッセージ#1−3をeNB10が受信する以前のどのタイミングになってもよい。
【0084】
〔6〕第6実施形態
図19は本発明の第6実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図である。本例は、UE20からeNB10へのメッセージ(Scheduled Transmission)#1−3の送信以後にeNB10からシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1がUE20に送信された場合の例である。
【0085】
即ち、UE20において上りデータが発生すると、UE20は、ランダムシグネチャを含むランダムアクセスプリアンブルメッセージ(上り送信要求)#1−1を、eNB10に送信し(ステップS1a)、これに対する応答メッセージ#1−2を受信(ステップS2)した後、メッセージ#1−3を送信する(ステップS3)。
eNB10は、当該メッセージ#1−3を受信すると、有効なUE20のID(端末ID)の検出処理を開始する。有効な端末IDを検出すれば、どのUE20間でシグネチャの競合が発生したかを認識することができ、競合が発生していれば競合解決メッセージ(Contention Resolution)#1−4を該当UE20宛に送信することで、競合解決を行なう(ステップS4)。
【0086】
ここで、当該メッセージ#1−3の処理中に、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着し(バッファ部13に下りデータが存在し)、その受信処理を終了することができなかった等の理由で、UE20が送信した前記メッセージ#1−3を認識できなかったとする。
この場合、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ:第2の情報)を生成、記憶し、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(ステップS3a)。
【0087】
これらのメッセージ#1−3とメッセージ#2−1の送受信処理が終了すると、eNB10において「どのUE20がどのシグネチャを使用しているか」を認識することができる。つまり、どのUE20について2つのシグネチャ(Random PreambleとDedicated Preamble)が発行されているかを認識できる。
ここで、UE20とその他のUE(以下、他UEという)との間で競合が生じていなかった場合、UE20に対して多重割当が生じていると判定できるので、eNB10(シグネチャ管理部15)は、UE20に割り当てた個別シグネチャを即座に解放し、競合解決メッセージ#1−4を通常通り送信する(ステップS4)。この段階で上り同期は正常に確保できるため、下りデータの送信が開始できる。
【0088】
一方、UE20と他UEとの間で競合が生じた場合、UE20と他UEから伝送されてきたそれぞれのメッセージ#1−3が衝突する可能性がある。この場合、この段階でUE20に対して多重割当が生じているとは判定できないので、UE20に割り当てた個別シグネチャを即座に解放することはできない。競合が生じた場合、eNB10は、競合解決メッセージ#1−4において、競合が生じたことをUE20に通知する。この場合、シグネチャが多重しているUE20が検出されるまで、個別シグネチャは保有することが好ましい。
【0089】
これに対し、UE20では、自局20の端末IDをeNB10に通知したか否かに関わらず、メッセージ#1−3とシグネチャ割当メッセージ#2−1の送信終了段階で、自局生成のランダムシグネチャ(Random Preamble)と、eNB10から割り当てられた個別シグネチャ(Dedicated Preamble)とが両方存在していること、つまり、前記2種類のランダムアクセスの発生を認識(検出)することができる。
【0090】
このとき、eNB10においてUE20と他UEから伝送されてきたそれぞれのメッセージ#1−3が衝突しなかった場合、UE20は、eNB10から通知される競合解決メッセージ#1−4を参照することにより、競合は生じなかったことが分かる。この場合、UE20は、例えば、個別プリアンブルを解放し、コンテンションベースランダムアクセス手順でUL同期を確保することが可能である。その理由は、メッセージ#1−2でULタイミング情報を既に正しく受信しているためである。
【0091】
一方、eNB10においてUE20と他UEから伝送されてきたそれぞれのメッセージ#1−3が衝突していた場合、UE20は、eNB10から通知される競合解決メッセージ#1−4を参照することにより、競合が生じたことが分かる。この場合、UE20は、個別プリアンブルを解放し、第1実施形態のようにコンテンションベースランダムアクセス手順でUL同期要求とULスケジューリング要求とを同時に確保することが可能である。また、第2乃至第4実施形態のように、非コンテンションベースランダムアクセス手順でUL同期要求とULスケジューリング要求とを確保することも可能である。
【0092】
さらに、第1実施形態で前述したように、それぞれのランダムアクセス手順を同時に進行させることも可能である。つまり、競合が生じていたことを検出すると、前記メッセージ#2−1で通知された個別シグネチャを使って、ノンコンテンションベースランダムアクセスを同時に実行することもできる。
なお、本実施形態では、前記メッセージ#1−3の処理中に前記メッセージ#2−1が送信される場合を記載しているが、前記メッセージ#2−1が、前記メッセージ#1−2と前記メッセージ#1−3の間で送信される場合でも、本実施形態は同様な動作になることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上詳述したように、本発明によれば、複数のランダムアクセスのいずれかを選択的に実行でき、また、前記ランダムアクセスで用いるシグネチャ等のリソースの有効利用を図ることができるから、無線通信技術分野にとって極めて有用と考えられる。
【符号の説明】
【0094】
10 基地局(eNB)
11 アンテナ
12 送受信部
13 バッファ部
14 判定部
15 シグネチャ管理部
16 無線リソース管理部
20 移動局(UE)
21 アンテナ
22 送受信部
23 バッファ部
24 シグネチャ管理部
25 アクセス判定部
26 識別子付与部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおけるランダムアクセス方法、無線通信システム、無線端末及び基地局装置に関する。本発明は、例えば、次世代移動通信システムに用いると好適である。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動通信システムは、現在、CDMA方式による第三世代方式がサービスを開始しているが、より高速な通信が可能となる次世代移動通信システム(LTE:Long Term Evolution)の検討が3GPP(3rd Generation Partnership Project)(R)で進められている(後記の非特許文献1参照)。そこでは、伝送レートの高速化に加えて、伝送遅延の削減が議論されている。
【0003】
移動通信システムにおいては、基地局装置(evolved Node B:eNB)と無線端末である移動局装置(User Equipment:UE)とが通信を開始するに当たって、UEが最初に送信を行なうためのチャネルが用意される。3GPPにおいては、これをランダムアクセスチャネル(RACH)と呼び、RACHによる通信開始手順をランダムアクセスと呼ぶ(後記の非特許文献2参照)。
【0004】
RACHには、eNBがUEからの送信を識別するための最小限の情報が含まれる。また、RACHは通信開始時に使用され、以降の通信には個別チャネル(または共有チャネル)が使用されるため、複数のUEが同時に使用しなければ、UE同士で共通に使用することができる。そこで、RACHには、シグネチャと呼ばれる識別子を適用し、これによりeNBがRACHで同時に送信してくるUEを識別できるようにしている。
【0005】
ランダムアクセスは、次の4つの場合、即ち、(1)初回データを送信する場合、(2)下りデータ発生時に上りの同期を確立する場合、(3)上りデータ発生時に上りデータ送信を要求する場合、(4)ハンドオーバを実行する際移動先基地局と同期をとる場合、に実行される。なお、eNBからUEへの方向が「下り」(ダウンリンク:DL)であり、その逆の方向が「上り」(アップリンク:UL)である。
【0006】
ここで、(1)初回データ送信時及び(3)上りデータ送信時において、UEは使用可能なシグネチャ(プリアンブル)の中からランダムに一つを選んで使用する(Contention Based Random Access Procedure)。従って、低い確率ではあるが、複数のUEが同時に同じシグネチャで送信を行なうことが起こり得る。
一方、(2)下りデータ送信時はeNBがUEにあらかじめ個別のシグネチャを割り当て、(4)ハンドオーバの場合にも、シグネチャの衝突が発生すると接続の瞬断や場合によっては通信切断となるため、ハンドオーバするUEにはあらかじめ個別のシグネチャを割り当てる方法が適用される(Non-contention Based Random Access Procedure)。
【0007】
(a)Contention Based Random Access Procedure
図20に、前記非特許文献2記載の、前記(1)及び(3)の場合に用いられるランダムアクセス手順の例を示す。
UEは、上りデータが発生すると、ランダムに選択したシグネチャを含むメッセージ(Random Access Preamble)#1−1(上り送信要求)をeNB宛にRACHにて送信する(ステップS101)。その際、複数のUEが同時に同じシグネチャを用いて送信を開始してしまい、競合することが起こりうる。しかし、競合が生じたとしても、この段階でeNBは有効なUEのIDを認識できないため、どのUE間でシグネチャの競合が生じたのかはわからない。
【0008】
前記メッセージ#1−1(シグネチャ)を受けたeNBは、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、受信した前記メッセージ#1−1に対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2を返信する(ステップS102)。当該応答メッセージ#1−2は、複数のUEが同時にRACHにて送信を行なってきた場合には当該複数のUE宛に返信される。
【0009】
次いで、前記応答メッセージ#1−2を受けたUEは、自局IDをメッセージ(Scheduled Transmission)#1−3にて送信してUL通信のスケジューリングをeNBに要求する(ステップS103)。
eNBは、このメッセージ#1−3を受信することにより、有効なUEのID(以下、端末IDともいう)を認識できるので、どのUE間でシグネチャの競合が発生したかを認識することができ、競合が発生していればメッセージ(Contention Resolution)#1−4を該当UE宛に送信することで、競合解決を行なう(ステップS104)。
【0010】
(b)Non-contention Based Random Access Procedure
図21に、前記非特許文献2記載の、前記(2)及び(4)の場合に用いられるランダムアクセス手順(Non-contention Based Random Access Procedure)の例を示す。
まず、eNBは、管理しているUEに対して、メッセージ(Random Access Preamble assignment)#2−1により、予め個別シグネチャを割り当てておく(ステップS201)。
【0011】
UEは、前記メッセージ#2−1によりeNBから割り当てられた個別シグネチャを用いてeNBに対してUL同期要求を行なう。即ち、UEは、個別シグネチャ含むメッセージ#2−2をRACHにてeNB宛に送信する(ステップS202)。
eNBは、当該メッセージ#2−2を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、当該メッセージに対する応答メッセージ#2−3を返信する(ステップS203)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP,“Requirements for Evolved UTRA(E-UTRA) and Evolved UTRAN(E-UTRAN)”,TR25.913 V7.3.0,Release 7,March 2006
【非特許文献2】3GPP,“Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN)”,TS36.300,Release 8,V8.1.0, June 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のように、非特許文献2では、ランダムアクセスに関して2種類のプロシージャが検討されているため、例えば、前記(2)下りデータ発生時に上りの同期を確立する場合と、前記(3)上りデータ発生時に上りデータの送信要求を行なう場合とで、それぞれ異なるプロシージャが同時進行することになる。
このように異なるプロシージャがそれぞれ同時進行してしまうと、それぞれのプロシージャで個別のリソース(前記シグネチャなど)が必要となるため、プロシージャが進行している最中は2種類のシグネチャが割り当てられることにより、シグネチャが無駄に使われることになる。
【0014】
そこで、本発明の目的の一つは、前記複数のランダムアクセスのいずれかを選択的に実行できるようにすることにある。
また、前記ランダムアクセスで用いるシグネチャ等のリソースの有効利用を図ることも本発明の目的の一つである。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)第1の案として、例えば、基地局装置と無線端末とをそなえた無線通信システムにおけるランダムアクセス方法であって、前記無線端末は、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する、無線通信システムにおけるランダムアクセス方法を用いることができる。
【0016】
(2)また、第2の案として、例えば、基地局装置と無線端末とをそなえた無線通信システムにおいて、前記無線端末は、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信し、前記基地局装置は、前記無線端末とデータ通信を行なう、無線通信システムを用いることができる。
【0017】
(3)さらに、第3の案として、例えば、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択する選択手段と、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する通信手段と、を有する、無線端末を用いることができる。
【0018】
(4)また、第4の案として、例えば、コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する前記無線端末とデータ通信する通信手段を有する、基地局装置を用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
前記本発明によれば、前記複数のランダムアクセスのいずれかを選択的に実行することができる。
また、前記ランダムアクセスで用いるシグネチャ等のリソースの有効利用を図ることができる。さらに、ランダムアクセスチャネル(RACH)の干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基地局(eNB)の機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る移動局(UE)の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図4】図3に示すランダムアクセス手順実施時のeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図5】図3に示すランダムアクセス手順実施時のUEの動作を説明するフローチャートである。
【図6】異なるランダムアクセス手順が同時進行する場合を説明するシーケンス図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図8】図7に示すランダムアクセス手順実施時のeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図9】図7に示すランダムアクセス手順実施時のUEの動作を説明するフローチャートである。
【図10】第2実施形態の第1変形例を説明するシーケンス図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例を説明するシーケンス図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図13】図10に示すランダムアクセス手順実施時のeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図14】図10に示すランダムアクセス手順実施時のUEの動作を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の第4実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図16】図13に示すランダムアクセス手順実施時のeNBの動作を説明するフローチャートである。
【図17】図13に示すランダムアクセス手順実施時のUEの動作を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の第5実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係るランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図である。
【図20】従来のランダムアクセス手順(コンテンションベースランダムアクセス手順)を説明するシーケンス図である。
【図21】従来のランダムアクセス手順(非コンテンションベースランダムアクセス手順)を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることはいうまでもない。
〔1〕第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係る基地局装置(eNB)の機能ブロック図であり、図2は本発明の第1実施形態に係る移動局装置(UE)の機能ブロック図であり、これらのeNB10とUE20とで無線通信システムが構成される。なお、eNB10及びUE20は前記無線通信システムにおいて複数存在することができる。また、これらの図1及び図2に示す構成は、以降の第2乃至第4実施形態においても、特に断らない限り、共通である。さらに、本例での基地局装置10は、無線ネットワーク制御装置(RNC)の機能の一部又は全部を具備するLTEでのeNBであることを想定しているが、LTEよりも前の世代での(RNCの機能が組み込まれない)基地局であっても構わない。加えて、コンテンションベースランダムアクセス手順と、非コンテンションベースランダムアクセス手順の両方法が規定された基地局であれば、どのシステムの基地局であっても構わない。
【0022】
(eNBの説明)
図1に示すeNB10は、その要部の機能に着目すると、例えば、アンテナ11と、送受信部と、バッファ部13と、判定部14と、シグネチャ管理部15と、無線リソース管理部16とをそなえる。
ここで、アンテナ11は、UE20からの上り無線信号を受信する一方、UE20への下り無線信号を送信するものである。当該アンテナ11は、送受信に共用であるが、送信と受信とで個別に設けられていてもよい。
【0023】
送受信部(送信手段、受信手段)12は、アンテナ11で受信された上り無線信号について所定の受信処理を行なう一方、バッファ部13からのデータ(下りデータ)について所定の送信処理を行なうものである。
前記受信処理には、例えば、低雑音増幅、ベースバンド周波数への周波数変換(ダウンコンバート)、利得調整、所定の復調方式による復調、所定の復号方式による復号などが含まれる。一方、前記送信処理には、前記上り送信データの所定の符号化方式による符号化、符号化データの所定の変調方式(QPSKや16QAM等)による変調、所定の無線フレームの生成、無線周波数への周波数変換(アップコンバート)、電力増幅などが含まれる。前記無線フレームには、例えば、OFDMAやOFDMAに準拠した無線フレームを適用できる。
【0024】
バッファ部13は、シグネチャ管理部15からの制御の下、UE20宛の下りデータを一時的に保持するものであり、判定部(判別手段)14は、送受信部12で受信処理された上りデータ(メッセージ)を基にUL同期要求やULスケジューリング要求がUE20から求められているか否かを判定して、UE20においてランダムシグネチャと個別シグネチャのいずれが選択されたかを判別する機能を具備する。
【0025】
なお、本例において、ランダムシグネチャとは、UE20において生成されたランダムに生成されたシグネチャ(第1の情報)を意味し、個別シグネチャとは、eNB10がUE20に割り当てた(送信した)シグネチャ(第2の情報)を意味する。また、詳細な前記判定(判別)手法については後述する。
シグネチャ管理部(管理手段)15は、ランダムアクセス(プロシージャ)に用いるシグネチャ(Random Access Preamble)(以下、プリアンブルともいう)を管理するとともに、ランダムアクセスに用いるUE20宛の下りメッセージを生成するもので、UE20に対するシグネチャの割当、解放を行なう機能も具備する。なお、前記解放は、判定部14での判定結果に応じて実施する。
【0026】
無線リソース管理部16は、UE20との通信(ランダムアクセス時の通信も含む)に用いるUL及びDLの無線リソース〔チャネル周波数や時間(送受信タイミング)など〕とその割り当てとを管理するもので、例えば前記OFDMAの場合であれば、サブチャネル周波数とシンボル時間とで規定される2次元の送受信領域(バーストと呼ばれる)の配置(マッピング)を管理する機能を具備する。
【0027】
加えて、この無線リソース管理部16は、UE20において選択されなかったシグネチャに対応するランダムアクセスの過程でUE20から受信されるはずであった上りメッセージ(第3の情報)に応じた制御を実施する制御手段としての機能も果たす。
(UEの説明)
一方、図2に示すUE20は、その要部の機能に着目すると、例えば、アンテナ21と、送受信部22と、バッファ部23と、シグネチャ管理部24と、アクセス判定部25と、識別子付与部26とをそなえる。
【0028】
ここで、アンテナ21は、eNB10からの下り無線信号を受信する一方、eNB10への上り無線信号を送信するものである。当該アンテナ21も、送受信に共用であるが、送信と受信とで個別に設けられていてもよい。
送受信部(送信手段、受信手段)22は、アンテナ21で受信された下り無線信号について所定の受信処理を行なう一方、バッファ部23からのデータ(上りデータ)及び識別子付与部26経由のeNB宛の上りメッセージ(Random Access PreambleやScheduled Transmissionメッセージ)について所定の送信処理を行なうものである。
【0029】
UE20においても、前記受信処理には、例えば、低雑音増幅、ベースバンド周波数への周波数変換(ダウンコンバート)、利得調整、所定の復調方式による復調、所定の復号方式による復号などが含まれる。一方、前記送信処理には、前記上り送信データの所定の符号化方式による符号化、符号化データの所定の変調方式(QPSKや16QAM等)による変調、所定の無線フレームへの上りデータの多重(マッピング)、無線周波数への周波数変換(アップコンバート)、電力増幅などが含まれる。
【0030】
バッファ部23は、シグネチャ管理部24からの制御の下、eNB10宛の上りデータを一時的に保持するものであり、シグネチャ管理部24は、ランダムアクセス処理(プロシージャ)に用いるシグネチャ(Random Access Preamble)を管理するものである。
アクセス判定部25は、シグネチャ管理部24と連携して、ランダムアクセス手順に用いる所定のメッセージを生成するもので、ここでは、シグネチャの多重割当が生じているか否か、即ち、eNB10から割り当てられた個別シグネチャと、自局(シグネチャ管理部24)でランダムに生成したランダムシグネチャとが存在するか否かを監視(確認)し、多重割当時にいずれのシグネチャを有効とするかを判定する機能を具備する。
【0031】
識別子付与部26は、アクセス判定部25で生成されたeNB10宛の上りメッセージ(例えば、端末IDを通知するメッセージ等)に、UE20において上りデータも発生しているため上りデータの送信(ULスケジューリング)を要求するメッセージや、eNB10に下りデータが到着しているため下りデータ受信に必要なUL同期要求に対するUL同期確認も兼ねていることを示す情報(識別子やフラグ等)を付与する機能を具備する。なお、UL同期確認とは、UE20はeNB10からのULタイミング情報を正しく受信したためUL同期は確保できた、ということをeNB10に通知(確認応答)することである。
【0032】
(ランダムアクセス手順の説明)
以下、上述のごとく構成された本例の無線通信システムの動作(ランダムアクセス手順)について、図3〜図5を参照しながら詳述する。なお、図3は本例のランダムアクセス手順(方法)を説明するシーケンス図、図4は本例のランダムアクセス手順実施時のeNB10での動作を説明するフローチャート、図5は本例のランダムアクセス手順実施時のUE20での動作を説明するフローチャートである。
【0033】
なお、図20及び図21の表記と同様に、以降において、#1−1〜#1−4を付して示すメッセージは、本来、コンテンションベースランダムアクセス手順(第1のランダムアクセス)で用いられるメッセージを表し、#2−1〜#2−3を付して示すメッセージは、本来、非コンテンションベースランダムアクセス手順(第2のランダムアクセス)で用いられるメッセージを表すものとする。
【0034】
まず、UE20において上りデータが発生しバッファ部23に当該上りデータが保持されると(図5のステップB1)、UE20は、シグネチャ管理部24にてランダムシグネチャ(Random Access Preamble)を生成、記憶する(図5のステップB2)。つまり、シグネチャ管理部24は、eNB10への上りデータ発生時に実行すべきコンテンションベースランダムアクセスに用いるシグネチャを生成する生成手段としての機能を具備する。
【0035】
そして、UE20は、アクセス判定部25にて、当該シグネチャを含むランダムアクセスプリアンブルメッセージ(上り送信要求)#1−1を生成して送受信部22経由でアンテナ21からeNB10に向けて送信する(図3のステップS1a及び図5のステップB3)。
eNB10は、前記上り送信要求メッセージ#1−1を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、受信した前記上り送信要求メッセージ#1−1に対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2を返信する(図3のステップS2)。当該応答メッセージ#1−2は、複数のUE20が同時にRACHにて送信を行なってきた場合には当該複数のUE20宛に返信される。
【0036】
ここで、当該応答メッセージ#1−2の送信前に、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着し(バッファ部13に下りデータが存在し)(図4のステップA1)、その受信処理を終了することができなかった等の理由で、UE20が送信した前記上り送信要求メッセージ#1−1を認識できなかったとする。
この場合、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ:第2の情報)を生成、記憶し(図4のステップA2)、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(図3のステップS1b及び図4のステップA3)。
【0037】
これらの上り送信要求メッセージ#1−1(図3のステップS1a)とシグネチャ割当メッセージ#2−1(図3のステップS1b)の送信終了段階では、eNB10において「どのUE20がどのシグネチャを使用しているか」を認識することができない。つまり、どのUE20について2つのシグネチャ(Random PreambleとDedicated Preamble)が発行されているかを認識できない。これは、前記非特許文献2において、いずれのメッセージにもUE20を識別する情報(端末ID)が含まれないこととなっているからである。
【0038】
前記非特許文献2によれば、端末IDは、メッセージ(Scheduled Transmission)#1−3に含めることができるとされているから、その場合、eNB10において、どのUE20がどのシグネチャを使っているかを識別できるのは、UE20から当該メッセージ#1−3(図3のステップS3)を受信した後である。
これに対し、UE20では、自局20の端末IDをeNB10に通知したか否かに関わらず、上り送信要求メッセージ#1−2(図3のステップS1a)とシグネチャ割当メッセージ#2−1(図3のステップS1b)の送信終了段階で、自局生成のランダムシグネチャ(Random Preamble)と、eNB10から割り当てられた個別シグネチャ(Dedicated Preamble)とが両方存在していること、つまり、前記2種類のランダムアクセスの発生を認識(検出)することができる。
【0039】
このように、1台のUE20に対して複数のシグネチャが発行された場合、UE20は、いずれのシグネチャを使用するかを判断する。即ち、UE20は、前記ステップS2によりeNB10からの個別シグネチャの割当(受信)があると(図5のステップB4)、アクセス判定部25が、2つのシグネチャ(プリアンブル)の多重割当が生じているか否かをシグネチャ管理部24と連携して確認する(図5のステップB5)。
【0040】
その結果、多重割当が生じていれば(ステップB5のyesルート)、UE20(アクセス判定部25)は、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを無視し(図3のステップS1c及び図5のステップB6)、自局で生成したランダムシグネチャを有効なシグネチャとして選択する。つまり、アクセス判定部25は、前記2つのシグネチャのいずれか一方を選択する選択手段としての機能を具備する。なお、多重割当が生じていない場合も、UE20において、自局生成のランダムシグネチャが有効になる(ステップB5のnoルート)。
【0041】
これにより、UE20で生成したランダムシグネチャによるランダムアクセス手順(コンテンションベースランダムアクセス手順)が有効となり、UE20は、コンテンションベースランダムアクセス手順を継続する。
即ち、UE20は、メッセージ#1−3を生成してeNB10へ送信する(図3のステップS3及び図5のステップB7)。その際、UE20は、自局宛の下りデータがeNB10に到着していることを前記シグネチャ割当メッセージ#2−1の受信により認識しているため、好ましくは、当該メッセージ#1−3に、「下りデータを受信するために必要なUL同期確認も兼ねている」ことを示す情報(識別子やフラグ)を、識別子付与部26により付与して送信する。UL同期確認とは、UE20はメッセージ(Random Access Response)#1−2に含まれるULタイミング情報を正しく受信したためUL同期は確保できた、ということを確認応答することである。
【0042】
つまり、選択されなかった非コンテンションランダムアクセスの過程でeNB10に対して送信するはずであったUL同期要求(第3の情報)は、UL同期のためにeNB10からULタイミング情報を受信するためのメッセージであるが、選択されたコンテンションベースランダムアクセスの過程#1−2で、UE20は既に該タイミング情報は取得している。そこで、送信すべきメッセージ#1−3に、UL同期は取得できたことをeNB10に通知するために、UL同期確認を付与してeNB10に送信する。
【0043】
ただし、eNB10では、前述したごとくメッセージ#1−3を受信した時点で、シグネチャが二重に割り当てられているUE20を識別できるから、前記識別子やフラグが明示的に付与されていなくても、当該UE20からのメッセージ#1−3はUL同期要求を兼ねていると暗黙的に判断することもできる。
eNB10では、前記メッセージ(兼UL同期確認)#1−3の受信を認識すると(図4のステップA4のyesルート)、当該UE20に対して割り当てた個別シグネチャが同UE20において無視された(UE20で生成したランダムシグネチャが優先された)と判定部14にて判断するから、シグネチャ管理部15において、当該UE20に対して割り当てた個別シグネチャを解放する(図3のステップS3−1及び図4のステップA5)。
【0044】
したがって、eNB10が割り当てた個別シグネチャによるランダムアクセス手順(非コンテンションベースランダムアクセス手順)は停止され、UE20に割り当てた個別シグネチャをランダムアクセス手順の途中で(早期に)解放することができ、シグネチャの有効利用を図ることができる。なお、前記メッセージ#1−3がUL同期確認を兼ねていないと認識した場合(ステップA4でnoの場合)、下りデータが到着しておらず、通常の上りデータ通信だけが発生しているケースであるため、eNB10は、メッセージ#1−4の送信を行なう(ステップA7)。
【0045】
また、eNB10は、無線リソース管理部16により、前記UL同期確認(第3の情報)に応じた処理(制御)、例えば、下りデータのスケジューリングを開始する(図4のステップA6)。
また、eNB10は、前記メッセージ(兼UL同期確認)#1−3の受信により、シグネチャ割当メッセージ#2−1に対する応答(Random Access Preamble)がUE20から無くても良いことを認識することができるから、シグネチャ割当メッセージ#2−1の無駄な再送を回避することができる。さらに、eNB10は、個別シグネチャの割り当てを行なったにも関わらず、コンテンションベースランダムアクセス手順で用いられるメッセージ#1−3を受信していることから、UE20において上りデータも発生していることを認識できる。
【0046】
eNB10は、前記メッセージ(兼UL同期確認)#1−3を受信することにより、有効なUE20のIDがわかるので、どのUE間でシグネチャの競合が発生したのかを認識することができ、競合解決(Contention Resolution)メッセージ#1−4を該当UE20宛に送信することで、競合の解決を行なう(図3のステップS4)。
以上のように、本例のランダムアクセス方法によれば、上りデータと下りデータとが同時期に発生したUE20が存在しても、当該UE20は、自局で生成したシグネチャを選択してコンテンションベースランダムアクセスを継続するから、例えば図6に示すように、あるUE20に対して、前記2種類のランダムアクセス手順が最後まで同時進行することがない。したがって、ランダムアクセスの制御プレーンを簡素化することができ、また、ランダムアクセスに用いるシグネチャの有効利用を図ることができる。さらに、ランダムアクセスチャネル(RACH)の干渉を抑制することができる。
【0047】
ただし、前記2種類のランダムアクセス手順は、それぞれ同時進行させることも可能である。したがって、例えば、前記メッセージ(兼UL同期確認)#1−3が他のUEと競合していた場合、UE20は、eNB10から通知される競合解決メッセージ#1−4を参照することにより、競合が生じたことがわかる。この場合、非コンテンションベースランダムアクセスを継続すると、UL同期を確保するために時間を要する可能性があるため、前記メッセージ#2−1によりeNB10から割り当てられた個別シグネチャを使って、非コンテンションベースランダムアクセスを同時実行することもできる。ただし、その際は、該UE20に対する個別シグネチャの有効期限を長く設定しておく必要がある。
【0048】
また、コンテンションベースランダムアクセスの継続中に、選択されなかった非コンテンションベースランダムアクセスの過程でeNB10に送信されるはずであった情報(UL同期確認)をeNB10に送信するから、上りデータの送信処理とともに下りデータの受信処理も確実に実施することができる。
さらに、前記UL同期要求は、選択されたコンテンションベースランダムアクセスの過程でeNB10に送信されるものとされている上りメッセージ#1−3と兼用にすることで、UL同期確認に個別の上りメッセージを用意(定義)する必要がなく、無線リソースの有効利用を図ることができる。
【0049】
また、本例では、後述する第2実施形態に比して、eNB10とUE20との間で送受するメッセージ数を削減できるから、さらなる無線リソースの有効利用や、再送制御(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)によるエラーリカバリの短縮を図ることができる。
〔2〕第2実施形態
図7は本発明の第2実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図、図8は第2実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のeNB10での動作を説明するフローチャート、図9は第2実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のUE20での動作を説明するフローチャートである。
【0050】
本実施形態では、UE20は、前記プリアンブルの多重割当が生じた場合、自局で生成したシグネチャ(第1の情報)の方を無視し、eNB10から割り当てられた個別シグネチャ(第2の情報)を選択する。よって、非コンテンションベースランダムアクセス手順が継続することになる。
まず、UE20において上りデータが発生しバッファ部23に当該上りデータが保持されると(図9のステップB11)、UE20は、シグネチャ管理部24にてランダムなシグネチャ(Random Access Preamble)を生成、記憶し(図9のステップB12)、アクセス判定部25にて、当該シグネチャを含む上り送信要求(Random Access Preamble)メッセージ#1−1を生成して送受信部22経由でアンテナ21からeNB10に向けて送信する(図7のステップS1a及び図9のステップB13)。
【0051】
eNB10は、前記上り送信要求メッセージ#1−1を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、受信した前記上り送信要求メッセージに対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2を返信する(図7のステップS2)。当該応答メッセージ#1−2は、複数のUE20が同時にRACHにて送信を行なってきた場合には当該複数のUE20宛に返信される。
【0052】
ここで、本例においても、当該応答メッセージ#1−2の送信前に、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着し(バッファ部13に下りデータが存在し)(図8のステップA11)、その受信処理を終了することができなかった等の理由で、UE20が送信した前記上り送信要求メッセージ#1−1を認識できなかったとする。
この場合、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ)を生成、記憶し(図8のステップA12)、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(図7のステップS1b及び図8のステップA13)。
【0053】
前記シグネチャ割当メッセージ#2−1を受信したUE20は、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを含むメッセージ(Random Access Preamble)#2−2をRACHにてeNB10宛に送信する(図7のステップS2a)。
ここで、UE20では、上り送信要求メッセージ#1−1(図7のステップS1a)とシグネチャ割当メッセージ#2−1(図7のステップS1b)の送信終了段階で、自局生成のランダムシグネチャと、eNB10から割り当てられた個別シグネチャとが両方存在していることを認識することができる。
【0054】
そこで、UE20は、いずれのシグネチャを使用するかを判断する。即ち、本例のUE20は、前記ステップS2によりeNB10からのシグネチャ割当があると(図9のステップB14)、アクセス判定部25が、2つのシグネチャ(プリアンブル)の多重割当が生じているか否かをシグネチャ管理部24と連携して確認する(図9のステップB15)。
【0055】
その結果、多重割当が生じていれば(ステップB15のyesルート)、UE20は、自局生成のランダムシグネチャ(eNB10に送信したシグネチャ)を無視し(図7のステップS1d及び図9のステップB16)、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを有効なシグネチャとして選択する。なお、多重割当が生じていない場合も、個別シグネチャが有効になる(ステップB15のnoルート)。
【0056】
これにより、eNB10が割り当てた個別シグネチャによるランダムアクセス手順(非コンテンションベースランダムアクセス手順)が継続する。
その後、UE20は、メッセージ#1−3を生成してeNB10へ送信する(図7のステップS3及び図9のステップB17)。その際、UE20は、上りデータも発生しているため、好ましくは、当該メッセージ#1−3に、「上りデータの送信(スケジューリング)を要求するメッセージ(ULスケジューリング要求)も兼ねている」ことを示す情報(識別子やフラグ)を、識別子付与部26により付与して送信する。
【0057】
つまり、選択されなかったコンテンションランダムアクセスの過程でeNB10に対して送信するはずであったULスケジューリング要求(第3の情報)を、eNB10宛のメッセージ#1−3に付与してeNB10に送信する。
ただし、eNB10では、前記メッセージ#1−3を受信した時点で、シグネチャが二重に割り当てられているUE20を識別できるから、前記識別子やフラグが明示的に付与されていなくても、当該UE20からのメッセージ#1−3はULスケジューリング要求を兼ねていると暗黙的に判断することもできる。
【0058】
eNB10では、前記メッセージ#1−3(兼ULスケジューリング要求)の受信を認識すると(図8のステップA14のyesルート)、当該UE20に対して割り当てた個別シグネチャが同UE20において有効とされたと判断することができるから、シグネチャ管理部15において、当該UE20から受信し管理しているランダムシグネチャを解放する(図7のステップS3−2及び図8のステップA15)。
【0059】
したがって、UE20が生成したランダムシグネチャによるランダムアクセス手順(コンテンションベースランダムアクセス手順)は無効となり(停止され)、ランダムシグネチャをランダムアクセス手順の途中で(早期に)解放することができ、シグネチャの有効利用を図ることができる。
そして、eNB10は、無線リソース管理部16により、前記ULスケジューリング要求に応じた処理(制御)としてULの無線リソース割当を実施する(図8のステップA16)。なお、本例は、個別シグネチャが有効となるケースであるから、該UE20向けに限りコンテンションベースランダムアクセス手順における競合解決メッセージ#1−4の送信は不要であり停止することも可能である(図7のステップS4及び図8のステップA17)。また、前記メッセージ#1−3がULスケジューリング要求を兼ねていないと認識した場合、eNB10は、処理を終える(図8のステップA14のnoルート)。
【0060】
以上のように、本例のランダムアクセス方法によれば、上りデータと下りデータとが同時期に発生したUE20が存在しても、UE20は、eNB10から割り当てられたシグネチャを選択して非コンテンションベースランダムアクセスを継続するから、この場合も、あるUE20に対して、前記2種類のランダムアクセス手順が最後まで同時進行することがない。したがって、ランダムアクセスの制御プレーンを簡素化することができ、また、ランダムアクセスに用いるシグネチャの有効利用を図ることができる。さらに、RACHの干渉を抑制することができる。
【0061】
また、UE20は、非コンテンションベースランダムアクセスの継続中に、選択されなかったコンテンションベースランダムアクセスの過程でeNB10に送信されるはずであった情報(ULスケジューリング要求)をeNB10に送信するから、上りデータの送信処理とともに下りデータの受信処理も確実に実施することができる。
さらに、eNB10に対する前記ULスケジューリング要求は、上りメッセージ#1−3と兼用にすることで、ULスケジューリング要求に個別の上りメッセージを用意(定義)する必要がなく、無線リソースの有効利用を図ることができる。
【0062】
なお、上述した第1及び第2実施形態では、UE20からeNB10に対して上り送信要求メッセージ#1−1が送信された後に、eNB10からUE20に対してシグネチャ割当要求メッセージ#2−1が送信されたイメージであるが、逆の順序でこれらのメッセージ#1−1,#2−1が送信された場合も、シグネチャの多重割当が生じることに変わりないから、いずれかのシグネチャを有効とすればよい。
【0063】
(2.1)第1変形例
前記のeNB10に対するULスケジューリング要求を兼ねるメッセージは、例えば図10に示すように、前記図7のステップS2aで送信されるメッセージ(Random Access Preamble)#2−2としてもよい。
この場合、UE20は、メッセージ#1−3を送信する必要がないため、当該メッセージ#1−3の送信(ステップS3)を停止することができる。したがって、無駄な上りメッセージの送信を回避することができ、上り無線リソース(帯域)の有効利用を図ることができる。
【0064】
また、eNB10では、メッセージ#1−3を受信しなければ、どのUE20がどのプリアンブルを使っているかを認識できない(つまり管理できない)から、プリアンブルの解放も必要ない(図7にのステップS3−2を実行する必要がない)。したがって、eNB10でのプリアンブル管理の処理負荷を軽減することができる。
(2.2)第2変形例
さらに、前記のeNB10に対するULスケジューリング要求は、非コンテンションベースランダムアクセス手順の継続中に送信するのではなく、例えば図11に示すように、該手順の完了後(eNB10からUE20に対するメッセージ#2−3の送信後)、メッセージ#2−3に対する応答(ACK/NACK信号)とともに送信してもよい(図11のステップS5)。また、メッセージ#2−3の送信後に、個別の上りメッセージとして送信してもよい。
【0065】
〔3〕第3実施形態
図12は本発明の第3実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図、図13は第3実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のeNB10での動作を説明するフローチャート、図14は第3実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のUE20での動作を説明するフローチャートである。
【0066】
本実施形態では、第1及び第2実施形態とは異なり、UE20に個別シグネチャが割り当てられた状態で、UE20において上りデータが発生した場合について説明する。
即ち、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着(バッファ部13に下りデータが存在)すると(図13のステップA21)、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ)を生成、記憶し(図13のステップA22)、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ#2−1(RA Preamble Assignment)にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(図12のステップS11及び図13のステップA23)。
【0067】
UE20は、前記シグネチャ割当メッセージ#2−1を受信すると、これにより割り当てられた個別シグネチャをシグネチャ管理部24にて記憶、管理する(図14のステップB21)。
その後、UE20において上りデータが発生しバッファ部23に当該上りデータが保持されると(図14のステップB22)、UE20(シグネチャ管理部24)は、第1及び第2実施形態のようにはランダムシグネチャの生成を行なわない(図12のステップS12及び図14のステップB23)。
【0068】
代わりに、UE20は、アクセス判定部25にて、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを含むUL同期要求(Random Access Preamble)メッセージ#2−2を生成して送受信部22経由でアンテナ21からeNB10に向けて送信する。
その際、UE20は、上りデータが発生しているため、当該メッセージ#2−2に、「ULスケジューリング要求も兼ねている」ことを示す情報(識別子やフラグ)を、識別子付与部26により付与して送信する(図12のステップS13及び図14のステップB24)。
【0069】
つまり、UE20は、下りデータ発生時の上り同期を取得(確立)するためのシグネチャを使ってランダムアクセスを実行する際、ULスケジューリング要求も併せてeNB19に送信する。
eNB10では、前記メッセージ#2−2(兼ULスケジューリング要求)の受信を認識すると(図13のステップA24のyesルート)、無線リソース管理部16により、そのULスケジューリング要求に応じたULの無線リソースの割り当て制御を実施し(図13のステップA25)、シグネチャ管理部15により、前記メッセージ#2−2に対する応答メッセージ#2−3を生成し、UE20へ送信する(図12のステップS14)。なお、前記UL同期要求メッセージ#2−2にULスケジューリング要求が含まれない場合(図13のステップA24でnoの場合)、通常の上りデータ通信だけが発生しているケースであるため、eNB10は、ULリソース割当を行なわずにメッセージ#2−3の送信を行なう(図13のステップA26)。
【0070】
以上のように、本例のランダムアクセス方法によれば、eNB10においてUE20宛の下りデータが発生しeNB10が当該UE20に対してシグネチャを割り当てた後、当該UE20にて上りデータが発生すると、UE20は、コンテンションベースランダムアクセスのためのシグネチャの生成は行なわずに、eNB10が割り当てたシグネチャを用いて非コンテンションベースランダムアクセスを継続するから、前記2種類のランダムアクセス手順が同時進行することがない。
【0071】
したがって、ランダムアクセスの制御プレーンを簡素化することができ、また、ランダムアクセスに用いるシグネチャの有効利用を図ることができる。また、UE20及びeNB10ともに前記2種類のシグネチャを常時管理する必要がない。
さらに、前記非コンテンションベースランダムアクセスの継続中に、コンテンションベースランダムアクセスの過程でeNB10に送信されるはずであった情報(ULスケジューリング要求)をeNB10に送信するから、下りデータの受信処理とともに上りデータの送信処理も確実に実施することが可能となる。
【0072】
また、ランダムアクセスプリアンブルメッセージ#2−2がULスケジューリング要求も兼ねているから、後述する第4実施形態(ULスケジューリング要求をランダムアクセス応答メッセージ#2−3に対する確認応答メッセージが兼ねる場合)に比して、上りデータ送信開始までの遅延を削減することができる。
〔4〕第4実施形態
図15は本発明の第4実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図、図16は第4実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のeNB10での動作を説明するフローチャート、図17は第4実施形態に係るランダムアクセス手順実施時のUE20での動作を説明するフローチャートである。
【0073】
本実施形態でも、第3実施形態と同様に、UE20に予め個別シグネチャが割り当てられている状態で、UE20において上りデータが発生した場合について説明する。
即ち、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着(バッファ部13に下りデータが存在)すると(図16のステップA31)、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ)を生成、記憶し(図16のステップA32)、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ#2−1(RA Preamble Assignment)にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(図15のステップS11及び図16のステップA33)。
【0074】
UE20は、前記シグネチャ割当メッセージ#2−1を受信すると、これにより割り当てられた個別シグネチャをシグネチャ管理部24にて記憶、管理する(図17のステップB31)。
その後、UE20において上りデータが発生しバッファ部23に当該上りデータが保持されると(図17のステップB32)、UE20(シグネチャ管理部24)は、第1及び第2実施形態のようにはランダムシグネチャの生成を行なわない(図15のステップS12及び図17のステップB33)。
【0075】
代わりに、UE20は、アクセス判定部25にて、eNB10から割り当てられた個別シグネチャを含むメッセージ#2−2(Random Access Preamble)を生成して送受信部22経由でアンテナ21からeNB10に向けて送信する(図15のステップS13及び図17のステップB34)。
eNB10では、前記メッセージ#2−2の受信を認識すると(図16のステップA34のyesルート)、無線リソース管理部16により、ULの無線リソースの割り当てを実施し(図16のステップA35)、シグネチャ管理部15により、前記メッセージ#2−2に対する応答メッセージ#2−3を生成し、UE20へ送信する(図15のステップS14)。なお、前記メッセージ#2−2(兼ULスケジューリング要求)の受信を認識できない場合、eNB10は、処理を終える(図16のステップA34のnoルート)。
【0076】
一方、UE20は、eNB10から前記応答メッセージ#2−3を受信すると(図17のステップB34)、これに対する確認応答(ACK/NACK)メッセージ#3をアクセス判定部25にて生成してeNB10に送信する。その際、UE20は、当該確認応答メッセージ#3に、「ULスケジューリング要求も兼ねている」ことを示す情報(識別子やフラグ)を、識別子付与部26により付与して送信する(図17のステップB35)。なお、確認応答メッセージ#3と同時に送信するのではなく、個別の上りメッセージで送信してもよい。
【0077】
つまり、UE20は、下りデータ発生時の上り同期を取得(確立)するためのシグネチャを使ってランダムアクセスを実行する際、そのランダムアクセスが終了した後にULスケジューリング要求をeNB10に送信する。
以上のように、本例のランダムアクセス方法によれば、eNB10においてUE20宛の下りデータが発生しeNB10が当該UE20に対してシグネチャを割り当てた後、当該UE20にて上りデータが発生すると、UE20は、コンテンションベースランダムアクセスのためのシグネチャの生成は行なわずに、eNB10が割り当てたシグネチャを用いて非コンテンションベースランダムアクセスを継続するから、第3実施形態と同様の効果ないし利点が得られる。
【0078】
加えて、本例では、ランダムアクセス応答メッセージ#2−3に対する確認応答メッセージ#3がULスケジューリング要求を兼ねているから、当該確認応答メッセージ#3が伝搬環境によってeNB10にて正しく受信、認識できなかったとしても、少なくとも下りデータの送信は正常に開始することができる。
なお、ULスケジューリング要求を兼ねる上りメッセージは、例えば、CQIをeNB10に報告する上りメッセージとすることも可能である。
【0079】
〔5〕第5実施形態
図18は本発明の第5実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図である。本例は、eNB10からUE20に対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2の送信以後にシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1が送信された場合の例である。
【0080】
即ち、UE20において上りデータが発生すると、UE20は、シグネチャ管理部24にてランダムシグネチャを生成し、これを含むランダムアクセスプリアンブルメッセージ(上り送信要求)#1−1をeNB10に向けて送信する(ステップS1a)。
eNB10は、前記メッセージ#1−1を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などとともに、受信した前記上り送信要求メッセージ#1−1に対する応答メッセージ(Random Access Response)#1−2を返信する(ステップS2)。当該応答メッセージ#1−2は、複数のUE20が同時にRACHにて送信を行なってきた場合には当該複数のUE20宛に返信される。
【0081】
この段階で、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着すると、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、個別シグネチャを生成してシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1にてUE20に送信する(ステップS2b)。
UE20では、前記シグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1を受信すると、前記ランダムシグネチャと個別シグネチャとが存在し多重割当が発生する。UE20は、当該多重割当を検出すると、第1又は第2実施形態と同様にして、いずれか一方のシグネチャを選択して、選択したシグネチャに対応する一方のランダムアクセスの実行を継続する(図18にはコンテンションベースランダムアクセスが選択された様子を示している)。
【0082】
この場合、第1実施形態のように、その後のステップS3で送信する上りメッセージ#1−3でUL同期確認を兼ねることができる。また、第2実施形態のように、上りメッセージ#1−3でULスケジューリング要求を兼ねることもできるし、上りメッセージ(Random Access Preamble)#2−2でULスケジューリング要求を兼ねることもできる。さらに、ULスケジューリング要求は、応答メッセージ#2−3に対するACK/NACK信号で送信することもできるし、個別の上りメッセージで送信することもできる。
【0083】
そして、eNB10は、メッセージ#1−3を受信する等して有効なUE20のIDを認識すると、多重割当状態のシグネチャの一方を解放することが可能となる。
つまり、第1実施形態と本例から、UE20へのシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1の送信タイミングは、メッセージ#1−3をeNB10が受信する以前のどのタイミングになってもよい。
【0084】
〔6〕第6実施形態
図19は本発明の第6実施形態に係るランダムアクセス手順を説明するシーケンス図である。本例は、UE20からeNB10へのメッセージ(Scheduled Transmission)#1−3の送信以後にeNB10からシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1がUE20に送信された場合の例である。
【0085】
即ち、UE20において上りデータが発生すると、UE20は、ランダムシグネチャを含むランダムアクセスプリアンブルメッセージ(上り送信要求)#1−1を、eNB10に送信し(ステップS1a)、これに対する応答メッセージ#1−2を受信(ステップS2)した後、メッセージ#1−3を送信する(ステップS3)。
eNB10は、当該メッセージ#1−3を受信すると、有効なUE20のID(端末ID)の検出処理を開始する。有効な端末IDを検出すれば、どのUE20間でシグネチャの競合が発生したかを認識することができ、競合が発生していれば競合解決メッセージ(Contention Resolution)#1−4を該当UE20宛に送信することで、競合解決を行なう(ステップS4)。
【0086】
ここで、当該メッセージ#1−3の処理中に、eNB10においてUE20宛の下りデータが上位装置から到着し(バッファ部13に下りデータが存在し)、その受信処理を終了することができなかった等の理由で、UE20が送信した前記メッセージ#1−3を認識できなかったとする。
この場合、eNB10は、シグネチャ管理部15にて、前記下りデータの宛先UE20がランダムアクセス(UL同期要求)するのに用いるべきシグネチャ(個別シグネチャ:第2の情報)を生成、記憶し、当該個別シグネチャをシグネチャ割当メッセージ(RA Preamble Assignment)#2−1にて送受信部12経由で前記宛先UE20に送信する(ステップS3a)。
【0087】
これらのメッセージ#1−3とメッセージ#2−1の送受信処理が終了すると、eNB10において「どのUE20がどのシグネチャを使用しているか」を認識することができる。つまり、どのUE20について2つのシグネチャ(Random PreambleとDedicated Preamble)が発行されているかを認識できる。
ここで、UE20とその他のUE(以下、他UEという)との間で競合が生じていなかった場合、UE20に対して多重割当が生じていると判定できるので、eNB10(シグネチャ管理部15)は、UE20に割り当てた個別シグネチャを即座に解放し、競合解決メッセージ#1−4を通常通り送信する(ステップS4)。この段階で上り同期は正常に確保できるため、下りデータの送信が開始できる。
【0088】
一方、UE20と他UEとの間で競合が生じた場合、UE20と他UEから伝送されてきたそれぞれのメッセージ#1−3が衝突する可能性がある。この場合、この段階でUE20に対して多重割当が生じているとは判定できないので、UE20に割り当てた個別シグネチャを即座に解放することはできない。競合が生じた場合、eNB10は、競合解決メッセージ#1−4において、競合が生じたことをUE20に通知する。この場合、シグネチャが多重しているUE20が検出されるまで、個別シグネチャは保有することが好ましい。
【0089】
これに対し、UE20では、自局20の端末IDをeNB10に通知したか否かに関わらず、メッセージ#1−3とシグネチャ割当メッセージ#2−1の送信終了段階で、自局生成のランダムシグネチャ(Random Preamble)と、eNB10から割り当てられた個別シグネチャ(Dedicated Preamble)とが両方存在していること、つまり、前記2種類のランダムアクセスの発生を認識(検出)することができる。
【0090】
このとき、eNB10においてUE20と他UEから伝送されてきたそれぞれのメッセージ#1−3が衝突しなかった場合、UE20は、eNB10から通知される競合解決メッセージ#1−4を参照することにより、競合は生じなかったことが分かる。この場合、UE20は、例えば、個別プリアンブルを解放し、コンテンションベースランダムアクセス手順でUL同期を確保することが可能である。その理由は、メッセージ#1−2でULタイミング情報を既に正しく受信しているためである。
【0091】
一方、eNB10においてUE20と他UEから伝送されてきたそれぞれのメッセージ#1−3が衝突していた場合、UE20は、eNB10から通知される競合解決メッセージ#1−4を参照することにより、競合が生じたことが分かる。この場合、UE20は、個別プリアンブルを解放し、第1実施形態のようにコンテンションベースランダムアクセス手順でUL同期要求とULスケジューリング要求とを同時に確保することが可能である。また、第2乃至第4実施形態のように、非コンテンションベースランダムアクセス手順でUL同期要求とULスケジューリング要求とを確保することも可能である。
【0092】
さらに、第1実施形態で前述したように、それぞれのランダムアクセス手順を同時に進行させることも可能である。つまり、競合が生じていたことを検出すると、前記メッセージ#2−1で通知された個別シグネチャを使って、ノンコンテンションベースランダムアクセスを同時に実行することもできる。
なお、本実施形態では、前記メッセージ#1−3の処理中に前記メッセージ#2−1が送信される場合を記載しているが、前記メッセージ#2−1が、前記メッセージ#1−2と前記メッセージ#1−3の間で送信される場合でも、本実施形態は同様な動作になることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上詳述したように、本発明によれば、複数のランダムアクセスのいずれかを選択的に実行でき、また、前記ランダムアクセスで用いるシグネチャ等のリソースの有効利用を図ることができるから、無線通信技術分野にとって極めて有用と考えられる。
【符号の説明】
【0094】
10 基地局(eNB)
11 アンテナ
12 送受信部
13 バッファ部
14 判定部
15 シグネチャ管理部
16 無線リソース管理部
20 移動局(UE)
21 アンテナ
22 送受信部
23 バッファ部
24 シグネチャ管理部
25 アクセス判定部
26 識別子付与部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と無線端末とをそなえた無線通信システムにおけるランダムアクセス方法であって、
前記無線端末は、
コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、
選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する、
ことを特徴とする、無線通信システムにおけるランダムアクセス方法。
【請求項2】
前記情報は、バッファに上りデータが保持されていることを示す情報である、
ことを特徴とする、請求項1記載の無線通信システムにおけるランダムアクセス方法。
【請求項3】
前記無線端末は、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルを前記基地局装置から受信する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無線通信システムにおけるランダムアクセス方法。
【請求項4】
基地局装置と無線端末とをそなえた無線通信システムにおいて、
前記無線端末は、
コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、
選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信し、
前記基地局装置は、
前記無線端末とデータ通信を行なう、
ことを特徴とする、無線通信システム。
【請求項5】
コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択する選択手段と、
選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する通信手段と、を有する、
ことを特徴とする、無線端末。
【請求項6】
コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する前記無線端末とデータ通信する通信手段を有する、
ことを特徴とする、基地局装置。
【請求項1】
基地局装置と無線端末とをそなえた無線通信システムにおけるランダムアクセス方法であって、
前記無線端末は、
コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、
選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する、
ことを特徴とする、無線通信システムにおけるランダムアクセス方法。
【請求項2】
前記情報は、バッファに上りデータが保持されていることを示す情報である、
ことを特徴とする、請求項1記載の無線通信システムにおけるランダムアクセス方法。
【請求項3】
前記無線端末は、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルを前記基地局装置から受信する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無線通信システムにおけるランダムアクセス方法。
【請求項4】
基地局装置と無線端末とをそなえた無線通信システムにおいて、
前記無線端末は、
コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、前記基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、
選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信し、
前記基地局装置は、
前記無線端末とデータ通信を行なう、
ことを特徴とする、無線通信システム。
【請求項5】
コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択する選択手段と、
選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する通信手段と、を有する、
ことを特徴とする、無線端末。
【請求項6】
コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、無線端末がランダムに選択したプリアンブルと、非コンテンションベースランダムアクセス手順に従ったランダムアクセスで用いられる、基地局装置が前記無線端末に割り当てたプリアンブルとのいずれか一方を選択し、選択したプリアンブルを用いた一方のランダムアクセスの継続中もしくは完了後に、選択されなかった他方のランダムアクセスの過程で前記基地局装置に対して送信される、上りデータに関する情報を、前記基地局装置に対して送信される応答メッセージとともに、送信する前記無線端末とデータ通信する通信手段を有する、
ことを特徴とする、基地局装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−227939(P2012−227939A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140660(P2012−140660)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2009−527976(P2009−527976)の分割
【原出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2009−527976(P2009−527976)の分割
【原出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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