説明

無線通信ネットワーク間の共存システム

【課題】複数の無線通信ネットワークがある場合に各無線通信ネットワーク全体での通信干渉を防止しつつ無線通信を行うことを可能とする。
【解決手段】複数の無線通信ネットワークとの間で情報を送受信可能な共存制御手段12を備える。複数の無線通信ネットワーク31は、自己の通信情報と、自己によるチャネルの使用状況を示す第一チャネル情報とを共存制御手段12に送信する。共存制御手段12は、受信した第一チャネル情報に基づいて、少なくとも使用可能チャネルセットに複数のチャネルを分類し、使用可能チャネルセットに分類した各チャネルを受信した通信情報に基づき複数のランクに分類し、分類したランクに基づき使用可能チャネルセットからチャネルを選択し、選択したチャネルを無線通信ネットワーク31に通知する。無線通信ネットワーク31は、通知されたチャネルにより無線通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線通信ネットワーク間における通信干渉を防止するための無線通信ネットワーク間の共存システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、無線通信デバイスの使用が劇的に増大しており、これに伴い、互いに通信干渉が生じ得る複数の無線通信ネットワークをいかに共存させるかが重要になりつつある。
【0003】
ここで、図13に示すように、複数の無線通信ネットワーク131が存在する場合を考える。各無線通信ネットワーク131は、基地局133と、基地局133と無線通信可能なデバイス135を有するものとする。また、各無線通信ネットワーク131の基地局133からの通信可能範囲143が重なるものとする。
【0004】
この場合、この重なる領域147にあるデバイス135は、各無線通信ネットワーク131が同じチャネルにより無線通信を行う場合に通信干渉を受けることになる。このため、複数の無線通信ネットワーク131において同じチャネルにより無線通信を行う場合は、通信干渉を生じさせることなく共存し得るように制御する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IEEE P802.22 draft standard v5.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題を解決するため、IEEE P802.19.1においては、後述するようなCM(Coexistence Manager)等の通信干渉を防止するための様々なエンティティが提案されている。しかし、IEEE P802.19.1においては、これらエンティティを実際に用いて通信干渉を防止するための具体的な手順やプロトコルは未だ提案されていなかった。
【0007】
また、非特許文献1においては、自己が属する無線通信ネットワークが他の無線通信ネットワークとの間において通信干渉を防止しつつ共存を実現可能とするための手順が提案されている。
【0008】
しかしながら、この非特許文献1に開示された手順は、あくまで自己が属する無線通信ネットワークと他の無線通信ネットワークとの間における通信干渉を防止するための方法に過ぎず、複数の無線通信ネットワークがある場合に各無線通信ネットワーク全体での通信干渉を防止するための方法ではない。
【0009】
また、この非特許文献1に開示された手順は、基地局自身がチャネルを分類し、分類したチャネルから選択し、基地局が属する無線通信ネットワーク自身が選択したチャネルにより無線通信を行うものに過ぎず、無線通信ネットワーク内の基地局やデバイス以外がそのようなチャネルの分類、選択をすることを想定したものではない。
【0010】
また、非特許文献1に開示された手順では、無線通信ネットワーク内の基地局やデバイスが他の無線通信ネットワークとの間での通信干渉の有無を判別するためにセンシングすることが必要であるという問題もある。
【0011】
また、非特許文献1に開示された手順では、バックアップチャネル(Backup Channel)、キャンディデイトチャネル(Candidate Channel)、保護チャネル(Protected Channel)、使用中チャネル(Operating Channel)、未許諾チャネル(Disallowed Channel)のような多くの分類の何れかにチャネルを分類する必要があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、複数の無線通信ネットワークがある場合に各無線通信ネットワーク全体での通信干渉を防止しつつ無線通信を行うことを可能とし、更には上述の問題点を有利に解決することのできる無線通信ネットワーク間の共存システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の無線通信ネットワーク間の共存システムを発明した。
【0014】
第1発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、複数の無線通信ネットワーク間における通信干渉を防止するための無線通信ネットワーク間の共存システムにおいて、上記複数の無線通信ネットワークとの間で情報を送受信可能な共存制御手段と、上記共存制御手段との間で情報を送受信可能であり、テレビシステムによるチャネルの使用状況が記録されたデータベースとを備え、上記複数の無線通信ネットワークは、少なくとも自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報を含む通信情報と、自己によるチャネルの使用状況を示す第一チャネル情報とを上記共存制御手段に送信し、上記データベースは、上記複数の無線通信ネットワーク内のテレビシステムによるチャネルの使用状況を示す第二チャネル情報を上記共存制御手段に送信し、上記共存制御手段は、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、上記無線通信ネットワークが使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、それ以外のチャネルが属する他のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを当該無線通信ネットワーク毎に分類し、使用可能チャネルセットに分類した各チャネルを受信した上記通信情報に基づき複数のランクに分類し、分類したランクに基づき上記使用可能チャネルセットからチャネルを選択し、選択したチャネルを当該無線通信ネットワークに通知し、上記無線通信ネットワークは、通知されたチャネルにより無線通信を行うことを特徴とする。
【0015】
第2発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第1発明において、上記共存制御手段は、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、上記無線通信ネットワークが使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、当該無線通信ネットワークが使用できないチャネルが属する使用不可能チャネルセットと、当該無線通信ネットワーク自身が使用している使用中チャネルセットとの何れかに複数のチャネルを当該無線通信ネットワーク毎に分類することを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第1発明又は第2発明において、上記複数の無線通信ネットワークは、自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報と、自己の無線通信ネットワークの無線通信規格情報と、自己の無線通信ネットワークによる送信出力情報とを含む通信情報を送信することを特徴とする。
【0017】
第4発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、上記共存制御手段は、受信した上記第一チャネル情報及び通信情報に基づいて、上記無線通信ネットワークが使用したときに他の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じないチャネルが属する空きチャネルセットと、他の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する共存チャネルセットとの何れかに上記使用可能チャネルセットに属する各チャネルを分類することを特徴とする。
【0018】
第5発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第4発明において、上記共存制御手段は、上記使用可能チャネルセットから選択したチャネルが共存チャネルセットに属するチャネルである場合に、選択したチャネルを当該無線通信ネットワークに通知するとともに、通信干渉が生じ得る各無線通信ネットワークに時分割及び/又は周波数分割の共存方法により無線通信を行うように通知し、上記無線通信ネットワークは、通知されたチャネル及び共存方法により無線通信を行うことを特徴とする。
【0019】
第6発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第4発明又は第5発明において、上記共存制御手段は、受信した上記第一チャネル情報及び通信情報に基づいて、一つの無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する単独共存チャネルセットと、二つ以上の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する多重共存チャネルセットとの何れかに上記共存チャネルセットに属する各チャネルを分類することを特徴とする。
【0020】
第7発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、複数の無線通信ネットワーク間における通信干渉を防止するための無線通信ネットワーク間の共存システムにおいて、上記複数の無線通信ネットワークとの間で情報を送受信可能である共存制御手段と、上記共存制御手段との間で情報を送受信可能であり、テレビシステムによるチャネルの使用状況が記録されたデータベースとを備え、上記複数の無線通信ネットワークは、少なくとも自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報を含む通信情報と、自己によるチャネルの使用状況を示す第一チャネル情報とを上記共存制御手段に送信し、上記データベースは、上記複数の無線通信ネットワーク内のテレビシステムによるチャネルの使用状況を示す第二チャネル情報を上記共存制御手段に送信し、上記共存制御手段は、受信した各無線通信ネットワークの上記通信情報及び上記第一チャネル情報と、受信した上記第二チャネル情報とを何れかの無線通信ネットワークに送信し、上記無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、自己が使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、それ以外のチャネルが属する他のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類し、使用可能チャネルセットに分類した各チャネルを受信した上記通信情報に基づき複数のランクに分類し、分類したランクに基づき上記使用可能チャネルセットからチャネルを選択し、選択したチャネルにより無線通信を行うことを特徴とする。
【0021】
第8発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第7発明において、上記無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、自己が使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、自己が使用できないチャネルが属する使用不可能チャネルセットと、自己が使用しているチャネルが属する使用中チャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類することを特徴とする。
【0022】
第9発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第7発明又は第8発明において、上記複数の無線通信ネットワークは、自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報と、自己の無線通信ネットワークの無線通信規格情報と、自己の無線通信ネットワークによる送信出力情報とを含む通信情報を送信することを特徴とする。
【0023】
第10発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第7発明〜第9発明の何れかにおいて、上記無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び通信情報に基づいて、自己が使用したときに他の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じないチャネルが属する空きチャネルセットと、他の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する共存チャネルセットとの何れかに上記使用可能チャネルセットに属する各チャネルを分類することを特徴とする。
【0024】
第11発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第10発明において、上記無線通信ネットワークは、上記使用可能チャネルセットから選択したチャネルが共存チャネルセットに属するチャネルである場合に、通信干渉が生じ得る他の無線通信ネットワークとの間で時分割及び/又は周波数分割の共存方法により選択したチャネルで無線通信を行うことを特徴とする。
【0025】
第12発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第10発明又は第11発明において、上記無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び通信情報に基づいて、一つの無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する単独共存チャネルセットと、二つ以上の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する多重共存チャネルセットとの何れかに上記共存チャネルセットに属する各チャネルを分類することを特徴とする。
【0026】
第13発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムは、第7発明〜第12発明の何れかにおいて、上記複数の無線通信ネットワークは、上記共存制御手段との間で情報を送受信可能な中継無線通信ネットワークと、上記中継無線通信ネットワークとの間で情報を送受信可能な末端無線通信ネットワークとを有し、上記共存制御手段は、受信した各無線通信ネットワークの上記通信情報及び上記第一チャネル情報と、受信した上記第二チャネル情報とを,上記中継無線通信ネットワークに送信する、又は、上記中継無線通信ネットワークを通して上記末端無線通信ネットワークに送信し、上記中継無線通信ネットワーク又は上記末端無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、当該末端無線通信ネットワークが使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、それ以外のチャネルが属する他のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類し、使用可能チャネルセットに分類した各チャネルを受信した上記通信情報に基づき複数のランクに分類し、分類したランクに基づき上記使用可能チャネルセットからチャネルを選択し、選択したチャネルにより当該末端無線通信ネットワークが無線通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
第1発明〜第13発明によれば、一の無線通信ネットワークと他の無線通信ネットワークとの間で発生し得る通信干渉のみではなく、複数の無線通信ネットワーク全体に発生し得る通信干渉を防止しつつ無線通信を行うことが可能となる。また、チャネルの分類、選択のために必要となる情報の取得を各無線通信ネットワーク内の基地局等が行なうのではなく、共存制御手段が行っているため、各無線通信ネットワーク内の基地局等がそのような情報の取得を不要とすることが可能となるうえ、各無線通信ネットワーク内の基地局等によるセンシングを不要とすることが可能となる。
【0028】
また、第2発明、第8発明によれば、使用可能チャネルセット、使用不可能チャネルセット、使用中チャネルセットの何れかのチャネルセットにチャネルを分類するのみで、上述の如き効果を実現することが可能となる。
【0029】
また、第4発明、第5発明によれば、一の無線通信ネットワークが無線通信を行っている場合に、一の無線通信ネットワークと共存する他の無線通信ネットワークが同一のチャネルにより無線通信をする場合でも、通信干渉が生じ得る各無線通信ネットワークに時分割等の共存方法を通知することとしているので、そのような場合にも通信干渉の発生を防止することが可能となる。
【0030】
また、第13発明によれば、共存制御手段との間で情報を送受信できない末端無線通信ネットワークがある場合でも、複数の中継無線通信ネットワークと末端無線通信ネットワークとの間で通信干渉を防止しつつ無線通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態に係る無線通信ネットワーク間の共存システムの構成例を示す図である。
【図2】通信可能範囲と通信干渉発生範囲とについて説明するための模式図である。
【図3】(a)は使用可能チャネルセット、使用不可能チャネルセット及び使用中チャネルセットについて説明するためのベン図であり、(b)は保護チャネルセット、未許諾チャネルセット及び未分類チャネルセットについて説明するためのベン図である。
【図4】(a)は使用可能チャネルセットの詳細について説明するためのベン図であり、(b)は使用中チャネルセットの詳細について説明するためのベン図である。
【図5】(a)は多重共存チャネルセットの詳細について説明するためのベン図であり、(b)は多重共存使用中チャネルセットの詳細について説明するためのベン図である。
【図6】第1実施形態に係る無線通信ネットワーク間の共存システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【図7】ステップS13の詳細について説明するためのフローチャートである
【図8】ステップS14の詳細について説明するためのフローチャートである。
【図9】チャネルセットに属するチャネルを切り替えるイベントについて説明するための概念図である。
【図10】第2実施形態に係る無線通信ネットワーク間の共存システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【図11】第3実施形態に係る無線通信ネットワーク間の共存システムの構成例を示す図である。
【図12】第3実施形態に係る無線通信ネットワーク間の共存システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【図13】従来技術について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を適用した無線通信ネットワーク間の共存システムを実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
まず、本発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムの第1実施形態について説明する。
【0034】
第1実施形態に係る共存システム1は、図1に示すように、CDIS(Coexistence Discovery and Information Server)11と、CDIS11との間で情報を送受信可能なCM(Coexistence Manager)13と、CM13との間で情報を送受信可能なCE(Coexistence Enabler)15とを備えている。また、第1実施形態に係る共存システム1は、CDIS11又はCM13の何れかとの間で情報を送受信可能なデータベース21と、CM13との間で情報を送受信可能な複数の無線通信ネットワーク31とを備えている。
【0035】
CDIS11及びCM13は、CM13の管轄内にある複数の無線通信ネットワーク31が互いに通信干渉が生じないように共存し得るように制御する共存制御手段12としての役割を担う。
【0036】
CDIS11は、そのような共存制御を実行するうえで必要となる各種情報が記憶されている。CDIS11に記憶される情報としては、後述のような第一チャネル情報、第二チャネル情報や、通信情報、マトリックス等が挙げられる。CDIS11は、CM13等が共存制御を実行する場合において、自身に記憶されている各種情報を提供するサーバーとしての役割を担う。CDIS11は、データベース21に適宜アクセスし、CM13の管轄内にある無線通信ネットワーク31内のテレビシステムによるチャネルの使用状況を示すチャネル情報を取得して、これを蓄積するようにしてもよい。
【0037】
CM13は、管轄内にある複数の無線通信ネットワーク31間の共存制御を実際に実行する役割を担う。CM13は、無線通信ネットワーク31に実装されるものであってもよいし、無線通信ネットワーク31と通信可能なインターネット等の通信網に設けられるものであってもよい。
【0038】
CE15は、無線通信ネットワーク31とCM13との間における通信を中継し、共存制御を実行するうえでのイネーブラーとしての役割を担う。具体的には、CE15は、無線通信ネットワーク31とCM13との間におけるインターフェースとしての役割を担っており、必要に応じて送受信する信号を他の規格のものに変換する処理を行う。CE15は、一の無線通信ネットワーク31につき一つ実装される。
【0039】
なお、CDIS11、CM13、CE15の数については特に図示のものに限定するものではない。
【0040】
データベース21は、テレビシステムを含むプライマリネットワークによるチャネルの使用状況を示す情報が記憶されている。データベース21には、様々な位置においてのプライマリネットワークによるチャネルの使用状況を示す情報が記録されている。また、データベース21には、テレビシステム等のプライマリネットワークによりチャネルが使用される時間帯を示す情報が記録されていてもよい。データベース21の情報は、周期的又は非周期的に種々のデバイスによりセンシングすることにより更新されていてもよい。このようなデータベース21にアクセスすることにより、テレビシステム等のプライマリネットワークによる無線通信に通信干渉を与えないチャネルを把握することができる。
【0041】
無線通信ネットワーク31は、基地局33と、基地局33との間で無線通信可能なデバイス35とを有している。
【0042】
無線通信ネットワーク31は、IEEE802.19.1標準、IEEE802.11標準、IEEE802.22標準、IEEE802.15標準、IEEE802.16標準、IEEE1900.4標準、IEEE1900.6標準等の無線通信規格により無線通信を行うものである。無線通信ネットワーク31は、例えば、TVWS(TV White Space)を含む周波数帯域のチャネルを利用して無線通信を行うものであるが、利用するチャネルの周波数帯域はこれに限定するものではない。無線通信ネットワーク31内における無線通信は、一のデバイス35と基地局33との間で行われてもよいし、一のデバイス35と基地局33を介して他のデバイス35との間で行われてもよい。
【0043】
基地局33は、無線通信ネットワーク31内における無線通信を制御するコーディネータとしての役割を担うようにしてもよい。基地局33には、CE15を装着可能な図示しない装着部が設けられていてもよい。
【0044】
デバイス35は、例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ(PC)、TVゲーム用携帯コントローラを初めとした各種情報端末等により構成される。
【0045】
なお、無線通信ネットワーク31は、その無線通信ネットワーク31内における無線通信を制御するための通信制御局が別途設けられていてもよい。
【0046】
次に、第1実施形態に係る共存システム1による共存制御の基本的な第一のコンセプトについて説明する。
【0047】
ある無線通信ネットワーク31内で無線通信を行う場合、その無線通信ネットワーク31内において安定して通信を行うことのできる範囲は、その無線通信ネットワークが無線通信を行うときに用いる送信機から出力される電波の強さ(dBm)に応じて定められる。具体的には、送信機からの距離が長くなるほどその送信機から伝播してくる電波が減衰して電波の強さが低減するが、送信機から伝播してくる電波の強さが所定値(例えば、−60dBm)以上の範囲内にデバイス35があれば無線通信を安定して行うことができる。本発明においては、図2(a)に示すように、このような無線通信ネットワーク31内にある送信機41から出力される電波により無線通信を安定して行うことができるような範囲を通信可能範囲43という。
【0048】
このとき、一の無線通信ネットワーク31の送信機からは通信可能範囲43の範囲外にも電波が減衰しつつ伝播している。ここで、一の無線通信ネットワーク31内にある送信機41から伝播してくる電波の強さが所定値(例えば、−90dBm)以上の範囲内に、他の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲内にあるデバイス35がある場合、このデバイス35が無線通信を行おうとしたときに通信干渉が生じてしまう恐れがある。本発明においては、このような一の無線通信ネットワーク31内にある送信機41から出力される電波により他の無線通信ネットワーク31内にあるデバイス35に通信干渉を生じさせるような範囲を通信干渉発生範囲45という。
【0049】
ここで、複数の無線通信ネットワーク31間において通信干渉が生じ得る場合とは、一の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲43と他の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲45とが重なり合う場合を意味している。
【0050】
具体的には、図2(a)に示すように、二つの無線通信ネットワーク31が十分に離れており、一方の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲43と他方の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲45とが重複しない場合は、通信干渉が生じないものと考える。これに対して、図2(b)に示すように、二つの無線通信ネットワーク31が接近しており、一方の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲43と他方の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲45とが重なり合う場合、その重なり合う領域47に一方の無線通信ネットワーク31のデバイス35があるときに通信干渉が生じるものと考える。以下、このような互いに重なり合う領域47のある複数の無線通信ネットワーク31は、互いに共存しているという。
【0051】
このように、一の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲43と他の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲45とを比較することにより、複数の無線通信ネットワーク31間において通信干渉が生じ得るかどうか、換言すると、複数の無線通信ネットワーク31が互いに共存しているかどうか判別することが可能となる。
【0052】
そこで、本発明においては、CM13の管轄内にある複数の無線通信ネットワーク31から、各無線通信ネットワーク31の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報を取得し、その取得した通信可能範囲情報、通信干渉発生範囲情報に基づき通信干渉が生じ得るか判別することとしている。
【0053】
次に、第1実施形態に係る共存システム1による共存制御の基本的な第二のコンセプトについて説明する。
【0054】
複数の無線通信ネットワーク31が互いに共存している場合に、通信干渉が生じないように共存制御を実行するうえでは、各無線通信ネットワーク31が使用できるチャネルと、それ以外のチャネルとを適切に分類しておくことが必要となる。
【0055】
そこで、第1実施形態に係る共存システム1では、所定のチャネルセットに複数のチャネルを分類することとしている。具体的には、図3(a)に示すような、使用可能チャネルセット51と、使用不可能チャネルセット53と、使用中チャネルセット55との何れかのチャネルセットに複数のチャネルを無線通信ネットワーク31毎に分類することとしている。
【0056】
使用可能チャネルセット51には、チャネルの分類対象としている無線通信ネットワーク31が現時点において使用できるチャネルが属するように分類される。使用可能チャネルセット51には、チャネルの分類対象としている無線通信ネットワーク31以外の他の無線通信ネットワーク31において使用中チャネルセット55に分類されているチャネルも分類される。
【0057】
使用不可能チャネルセット53には、チャネルの分類対象としている無線通信ネットワーク31が現時点において使用できないチャネルが属するように分類される。使用不可能チャネルセット53は、更に細かい下位の分類項目として、図3(b)に示すように、テレビシステム等のプライマリネットワークにより使用されており、セカンダリネットワークとしての無線通信ネットワーク31による使用ができないチャネルが属する保護チャネルセット53aと、政府等による規制政策により政府等による許諾を受けなければ使用が認められないチャネルが属する未許諾チャネルセット53bと、他のチャネルセットに分類できないチャネルが属する未分類チャネルセット53cとを有する。使用不可能チャネルセット53に分類されるチャネルは、保護チャネルセット53a、未許諾チャネルセット53b、未分類チャネルセット53cの何れかに分類されることになる。
【0058】
使用中チャネルセット55には、チャネルの分類対象としている無線通信ネットワーク31が現時点において使用しているチャネルが属するように分類される。
【0059】
ここで、使用中チャネルセット55に分類されるチャネルは、各無線通信ネットワーク31によるチャネルの使用状況を示す第一チャネル情報を無線通信ネットワーク31から取得することにより容易に判別することができる。また、保護チャネルセット53aに分類されるかチャネルは、無線通信ネットワーク31内のテレビシステムによるチャネルの使用状況を示す第二チャネル情報をデータベース21から取得することにより容易に判別することができる。また、未許諾チャネルセット53bに分類されるチャネルは、規制政策を示す情報を様々な情報媒体から取得することにより容易に判別することができる。また、未分類チャネルセット53cに分類されるチャネルは、データベース21やセンシングによりそのチャネルに関する情報を確認できるか否かにより容易に判別することができる。
【0060】
また、使用可能チャネルセット51は、図4(a)に示すように、チャネルの分類対象となる無線通信ネットワーク31内において、その分類対象となるチャネルにより無線通信を行ううえで存在する通信制限の有無に応じて更に細かく分類されていてもよい。ここでいう通信制限としては、例えば、そのチャネルを使用して無線通信を行う場合に送信出力を所定値以下にする必要がある等が挙げられる。図4(a)では、このような通信制限のあるチャネルを左側の使用可能チャネルセット51Aに分類し、通信制限のないチャネルを右側の使用可能チャネルセット51Bに分類する場合を例示している。
【0061】
また、使用可能チャネルセット51は、更に細かい下位の分類項目として、チャネルの分類対象となる無線通信ネットワーク31が使用したときに他の無線通信ネットワーク31との間で通信干渉が生じないチャネルが属する空きチャネルセット51aと、他の無線通信ネットワーク31との間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する共存チャネルセット51b、51cとを有していてもよい。この場合、使用可能チャネルセット51に属するチャネルは、空きチャネルセット51aと共存チャネルセット51b、51cとの何れかに分類される。
【0062】
また、共存チャネルセット51b、51cは、更に細かい下位の分類項目として、一つの他の無線通信ネットワーク31との間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する単独共存チャネルセット51bと、二つ以上の無線通信ネットワーク31との間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する多重共存チャネルセット51cとを有していてもよい。この場合、共存チャネルセット51b、51cに属するチャネルは、単独共存チャネルセット51bと多重共存チャネルセット51cとの何れかに分類される。
【0063】
ここで、使用可能チャネルセット51に属するチャネルが空きチャネルセット51a、共存チャネルセット51b、51cの何れに分類されるかは、上述のような通信可能範囲、通信干渉発生範囲に基づき判別することとする。具体的には、分類対象となるチャネルを使用したときに、図2(a)に示すように、一の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲と他の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲が重なり合わない場合は、その分類対象となるチャネルを空きチャネルセット51aに分類する。また、図2(b)に示すように、一の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲と他の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲が重なり合う場合は、その分類対象となるチャネルを共存チャネルセット51b、51cに分類する。また、一の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲と通信干渉発生範囲が重なり合う他の無線通信ネットワーク31が一つの場合は、その分類対象となるチャネルを単独共存チャネルセット51bに分類し、他の無線通信ネットワーク31が二つ以上の場合は、その分類対象となるチャネルを多重共存チャネルセット51cに分類する。
【0064】
また、使用中チャネルセット55は、図4(b)に示すように、更に細かい下位の分類項目として、他の無線通信ネットワーク31との間で通信干渉が生じないチャネルが属する単独使用中チャネルセット55aと、他の無線通信ネットワーク31との間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する共存使用中チャネルセット55b、55cとを有していてもよい。この場合、使用中チャネルセット55に属するチャネルは、単独使用中チャネルセット55aと共存使用中チャネル中セット55b、55cとの何れかに分類される。
【0065】
また、共存使用中チャネルセット55b、55cは、更に細かい下位の分類項目として、一つの他の無線通信ネットワーク31との間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する単独共存使用中チャネルセット55bと、二つ以上の他の無線通信ネットワーク31との間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する多重共存使用中チャネルセット55cとを有していてもよい。
【0066】
ここで、共存使用中チャネルセット55に属するチャネルが単独使用中チャネルセット55a、共存使用中チャネルセット55b、55cの何れに分類されるかは、使用可能チャネルセット51の判別方法と同様に、通信可能範囲、通信干渉発生範囲に基づき判別することとする。
【0067】
また、多重共存チャネルセット51cや、多重共存使用中チャネルセット55cは、図5(a)、(b)に示すように、更に細かい下位の分類項目として、時分割及び/又は周波数分割による無線通信が容易なチャネルが属するチャネルセット56aと、時分割及び/又は周波数分割による無線通信が困難なチャネルが属するチャネルセット56bとを有していてもよい。ここでいう、時分割及び/又は周波数分割による無線通信が容易である場合とは、その共存する可能性のある又は共存している二つ以上の無線通信ネットワーク31の無線通信規格に、時分割及び/又は周波数分割により無線通信を行うための同一のプロトコルが含まれている場合をいう。
【0068】
ここで、時分割及び/又は周波数分割による無線通信が容易であるか否かは、各無線通信ネットワーク31からCM13に送信される無線通信規格情報に基づき判別することとする。
【0069】
因みに、使用可能チャネルセット51には、プライマリネットワークにより使用されている保護チャネルが含まれていないことから、使用可能チャネルセット51に分類されるチャネルは、プライマリネットワークによる無線通信に通信干渉を与えることなくセカンダリネットワークとしての無線通信ネットワーク31が無線通信を行うことのできるチャネルであるといえる。
【0070】
次に、第1実施形態に係る共存システム1による共存制御の基本的な第三のコンセプトについて説明する。
【0071】
本発明においては、上述の使用可能チャネルセット51に分類した各チャネルを複数のランクに分類することとしている。
【0072】
このランクの基準には、一の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲と他の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲とが重なり合うかが少なくとも含まれる。これは、これらが重なり合うか否かにより、通信干渉が生じるか否かを判断することができ、通信干渉が生じない場合の方が処理数を減らすことができるためである。これらが重なり合う場合は、ランクが低くなるように設定し、これらが重なり合わない場合は、ランクが高くなるように設定する。即ち、通信干渉の考慮をする必要がないチャネルが高ランクとなるように設定する。
【0073】
また、このランクの他の基準には、複数の無線通信ネットワーク31間で時分割及び/周波数分割により無線通信をする必要があるか否かを含めるようにしてもよい。これは、時分割等により無線通信をする必要がある場合、そのための処理数が増大してしまうためである。時分割等により無線通信をする必要がある場合は、ランクが低くなるように設定し、この必要がない場合は、ランクが高くなるように設定する。即ち、時分割等により無線通信をする必要がないチャネルが高ランクとなるように設定する。
【0074】
また、このランクの他の基準には、各無線通信ネットワーク31が使用している無線通信規格に、時分割及び/又は周波数分割により無線通信を行うための同一のプロトコルがあるか否かを含めるようにしてもよい。これは、無線通信規格がIEEE802.11a、802.11gやIEEE802.22等のときに、その無線通信規格に時分割及び/又は周波数分割により無線通信を行うためのプロトコルが含まれており、そのプロトコルを利用して共存制御を容易に行うことができるためである。時分割及び/又は周波数分割により無線通信を行うための同じプロトコルが含まれている無線通信規格である場合、ランクが高くなるように設定し、そうでない場合は、ランクが低くなるように設定する。
【0075】
また、このランクの他の基準として、各無線通信ネットワーク31が使用しようとするチャネルの送信出力を含めるようにしてもよい。これは、送信出力が高い方が通信可能範囲や情報量を大きくして高品質の無線通信をすることができるためである。送信出力が高いほどランクが高くなるように設定する。
【0076】
なお、上述したランクの基準は、あくまで一例であり、これらに限定されるものではない。この他にも、通信品質を示すSN比やRSSI等を基準に含めてもよく、これらが高い場合に高ランクとなるように設定してもよい。
【0077】
次に、第1実施形態に係る無線通信ネットワーク間の共存システム1による動作について説明する。
【0078】
第1実施形態に係る共存システム1は、図6に示すようなフローチャートに沿って処理を実行する。
【0079】
まず、ステップS11では、CM13の管轄内にある複数の無線通信ネットワーク31が、自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報を含む通信情報と、自己のチャネルの使用状況を示す第一チャネル情報とをCM13に送信する。この通信情報には、自己の無線通信ネットワーク31の無線通信規格情報と、自己の無線通信ネットワーク31による送信出力情報とが含まれていてもよい。また、複数の無線通信ネットワーク31は、通信情報や第一チャネル情報とともに、自己の位置情報も送信する。
【0080】
次に、ステップS12に移行し、CM13の管轄内にある複数の無線通信ネットワーク31内のテレビシステムによるチャネルの使用状況を示す第二チャネル情報をデータベース21からCM13又はCDIS11に送信する。このとき、ステップS11において受信した無線通信ネットワーク31の位置情報をCM13により読み出して、これをデータベース21に送信して、その無線通信ネットワーク31の位置に対応した第二チャネル情報をデータベース21が読み出して、これをCM13又はCDIS11に送信するようにしてもよい。
【0081】
次に、ステップS13に移行し、CM13又はCDIS11により、受信した第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、使用可能チャネルセット51とそれ以外のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類する。チャネルの分類は、無線通信ネットワーク31毎に個別に行なう。この分類に用いられるチャネルセットとしては、少なくとも使用可能チャネルセット51が用いられていればよく、それ以外のチャネルセットとしては、上述の使用不可能チャネルセット53、使用中チャネルセット55の二種類が挙げられる。なお、チャネルは、何れか一つのチャネルセットにのみ分類され、同じチャネルが二つ以上のチャネルセットに分類されることはない。
【0082】
このステップS13の詳細な手順の一例について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0083】
まず、ステップS21では、複数の無線通信ネットワーク31を識別するカウンタiをゼロクリアして、カウンタiの初期値を設定する。ここでは、初期値として1を設定する。カウンタiの最大値は、分類対象となる無線通信ネットワーク31の数に応じて定まり、例えば、CM13の管轄内にある各無線通信ネットワーク31の合計値となる。
【0084】
次に、ステップS22に移行し、i番目の無線通信ネットワーク31がCDIS11に登録されているか判定する。登録されていない場合は、ステップS23に移行し、カウンタiについてi=i+1と1を加算して、ステップS22に戻る。登録されている場合は、ステップS24に移行する。なお、CDIS11に対する無線通信ネットワーク31の登録は、例えば、本ステップS24により前において予め行われる。
【0085】
次に、ステップS24では、i番目の無線通信ネットワーク31から第一チャネル情報や通信情報を未だ取得していない場合、第一チャネル情報や通信情報をi番目の無線通信ネットワーク31から取得する。
【0086】
次に、ステップS25に移行し、i番目の無線通信ネットワーク31の各チャネルを上述のチャネルセットに分類するために必要となる第二チャネル情報や規制政策を示す情報等を未だ取得していない場合、その情報をデータベース21等から取得する。
【0087】
次に、ステップS26に移行し、複数のチャネルを識別するカウンタjをゼロクリアして、カウンタjの初期値を設定する。ここでは、初期値として1を設定する。カウンタjの最大値は、分類対象となるチャネルの数に応じて定まる。
【0088】
次に、ステップS27に移行し、j番目のチャネルをi番目の無線通信ネットワーク31が使用しているか判定する。ここでの判定方法は、例えば、i番目の無線通信ネットワーク31から受信した、そのi番目の無線通信ネットワーク31によるチャネルの使用状況を示す第一チャネル情報に基づいて行われる。使用していると判定した場合は、ステップS28に移行し、i番目の無線通信ネットワークのj番目のチャネルを使用中チャネルセット53に分類し、ステップS32に移行する。これに対して、使用していないと判定した場合は、ステップS29に移行する。
【0089】
ステップS29では、j番目のチャネルがi番目の無線通信ネットワーク31により使用できるか判定する。使用できると判定した場合は、ステップS30に移行し、i番目の無線通信ネットワーク31のj番目のチャネルを使用可能チャネルセット51に分類し、ステップS32に移行する。使用できないと判定した場合は、ステップS31に移行し、i番目の無線通信ネットワーク31のj番目のチャネルを使用不可能チャネルセット55に分類し、ステップS32に移行する。
【0090】
ステップS32では、i番目の無線通信ネットワーク31が分類対象となる全てのチャネルを分類したか判定する。全てのチャネルを分類していない場合は、ステップS33に移行し、カウンタjについてj=j+1と1を加算して、ステップS27に戻り、次のチャネルを分類する。全てのチャネルを分類した場合は、ステップS34に移行する。
【0091】
ステップS34では、分類対象となる全ての無線通信ネットワーク31のチャネルを分類したか判定する。全ての無線通信ネットワーク31のチャネルを分類していない場合は、ステップS35に移行し、カウンタiについてi=i+1と1を加算して、ステップS22に戻り、次の無線通信ネットワーク31のチャネルを分類する。全ての無線通信ネットワーク31のチャネルを分類した場合は、チャネルを分類する一連の処理を終了する。
【0092】
チャネルを分類する一連の処理が終了した後は、図6に示すステップS14に移行し、CM13又はCDIS11により、使用可能チャネルセット51に分類した各チャネルを受信した通信情報に基づき複数のランクに分類するランク付けを行う。ランク付けは、無線通信ネットワーク31毎に個別に行なう。
【0093】
このとき、ランク付けの基準となる情報は、下記の表1に示すように、予めマトリックスとして記述したものを記憶しておくことが好ましい。
【0094】
【表1】

【0095】
このマトリックスは、一つの無線通信ネットワーク31につき一つのマトリックスが作成される。表1の例では、無線通信ネットワークAと無線通信ネットワークBと無線通信ネットワークCとの三つの無線通信ネットワークについての三つのマトリックスが作成された例を示している。
【0096】
このマトリックスには、上述したようなランク付けの基準となる各情報が記述される。上述の表1の例では、このマトリックスには、左端の列に、使用可能チャネルセットに分類される各チャネルのチャネル番号が記述されている。また、右隣の列には、そのチャネル番号のチャネルの送信出力が記述されている。また、更に右隣の列には、そのチャネル番号のチャネルを使用したときに通信干渉が生じ得る無線通信ネットワーク31があるか、換言すると、共存する無線通信ネットワーク31があるかを示す情報が記述されている。また、更に右隣の列には、時分割等による無線通信を容易に行うことができるかを示す情報が記述されている。ここでいう時分割等による無線通信を容易に行うことができるとは、時分割及び/又は周波数分割により無線通信を行うためのプロトコルが共存する無線通信ネットワーク31の無線通信規格に含まれている場合をいう。
【0097】
このようなマトリックスを予め作成しておくことにより、そのマトリックスを参照するのみでランク付けすることが可能となる。
【0098】
このステップS14の詳細な手順の一例について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0099】
まず、ステップS41では、複数の無線通信ネットワーク31を識別するカウンタiをゼロクリアして、カウンタiの初期値を設定する。ここでは、初期値として1を設定する。カウンタiの最大値は、分類対象となる無線通信ネットワーク31の数に応じて定まり、例えば、CM13の管轄内にある各無線通信ネットワーク31の合計値となる。
【0100】
次に、ステップS42に移行し、複数のチャネルを識別するカウンタjをゼロクリアして、カウンタjの初期値を設定する。ここでは、初期値として1を設定する。カウンタjの最大値は、使用可能チャネルセット51に含まれるチャネルの数に応じて定まり、例えば、使用可能チャネルセット51に含まれるチャネルの合計値となる。
【0101】
次に、ステップS43に移行し、i番目の使用可能チャネルセット51からj番目のチャネルを選択する。マトリックスを作成している場合は、そのj番目のチャネルに対応したマトリックスを読み出す。
【0102】
次に、ステップS44に移行し、j番目のチャネルを複数のランクに分類するランク付けを行う。
【0103】
このとき、一の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲と他の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲とが重なり合うか比較するうえでは、既にランクの分類が完了した1〜(i−1)番目の無線通信ネットワーク31の通信干渉発生範囲と、i番目の無線通信ネットワーク31の通信可能範囲とを比較することが好ましい。
【0104】
次に、ステップS45に移行し、分類対象となる全てのチャネルを複数のランクに分類するランク付けをしたか判定する。全てのチャネルをランク付けしていない場合は、ステップS46に移行し、カウンタjについてj=j+1と1を加算して、ステップS43に戻り、次のチャネルのランク付けをする。全てのチャネルをランク付けした場合は、ステップS47に移行する。
【0105】
ステップS47では、分類対象となる全ての無線通信ネットワーク31のチャネルを複数のランクに分類するランク付けをしたか判定する。全ての無線通信ネットワーク31のチャネルのランク付けをしていない場合は、ステップS48に移行し、カウンタiについてi=i+1と1を加算して、ステップS42に戻り、次の無線通信ネットワーク31の使用可能チャネルセット51の各チャネルのランク付けをする。全ての無線通信ネットワーク31のチャネルのランク付けをした場合はチャネルを複数のランクに分類する一連の処理を終了する。
【0106】
チャネルのランクを設定する一連の処理が終了した後は、図6に示すステップS15に移行し、分類したランクに基づき使用可能チャネルセット51からチャネルを選択する。
【0107】
ここでのチャネルの選択方法は、チャネルの選択対象となる無線通信ネットワーク31が無線通信を行っているか否かにより異なる。無線通信を行っていない場合は、使用可能チャネルセット51から高ランクのチャネルを選択する。
【0108】
無線通信を行っている場合は、無線通信を行っているチャネルから高ランクのチャネルに切り替えた方がよいと判断できるときに、その高ランクのチャネルを選択する。このように切り替えた方がよいと判断できる場合としては、チャネルの選択対象としている無線通信ネットワーク31が使用しているチャネルを、他の無線通信ネットワーク31が使用しはじめた場合が挙げられる。また、他の場合としては、チャネルの選択対象としている無線通信ネットワーク31が使用しているチャネルのSN比が所定の閾値より低くなった場合が挙げられる。このような場合、後述のようなチャネルセットの切り替えを行う。
【0109】
ここで、選択したチャネルが共存チャネルセット51b、51cに属するチャネルである場合、通信干渉が生じ得る各無線通信ネットワーク31との間で行なう共存方法も選択する。この共存方法としては、時分割及び/又は周波数分割による無線通信が挙げられる。
【0110】
次に、ステップS16に移行し、選択したチャネルを無線通信ネットワーク31に通知する。この通知は、CM13からCE15を通して無線通信ネットワーク31に通知される。このとき、選択したチャネルが共存チャネルセットに属するチャネルである場合、選択したチャネルを無線通信ネットワーク31に通知するとともに、通信干渉が生じ得る各無線通信ネットワーク31に選択した共存方法により無線通信を行うことも通知する。
【0111】
次に、ステップS17に移行し、無線通信ネットワーク31は、通知されたチャネルにより無線通信を行う。このとき、CM13からチャネルとともに共存方法も通知されたときは、その共存方法により無線通信を行う。この無線通信は、例えば、無線通信ネットワーク31内の基地局33や通信制御局の制御の下で行われる。
【0112】
以上の第1実施形態に係る共存システム1によれば、一の無線通信ネットワーク31と他の無線通信ネットワーク31との間で発生し得る通信干渉のみではなく、複数の無線通信ネットワーク31全体に発生し得る通信干渉を防止しつつ無線通信を行うことが可能となる。
【0113】
また、第1実施形態に係る共存システム1によれば、チャネルの分類、選択のために必要となる情報の取得を各無線通信ネットワーク31内の基地局33等が行なうのではなく、CM13とCDIS11とからなる共存制御手段12が行っているため、各無線通信ネットワーク31内の基地局33等がそのような情報の取得を不要とすることが可能となるうえ、各無線通信ネットワーク31内の基地局33等によるセンシングを不要とすることが可能となる。
【0114】
また、第1実施形態に係る共存システム1によれば、使用可能チャネルセット51、使用不可能チャネルセット53、使用中チャネルセット55の何れかのチャネルセットにチャネルを分類するのみで上述の如き効果を実現することが可能となる。
【0115】
また、一の無線通信ネットワーク31が無線通信を行っている場合に、一の無線通信ネットワーク31と共存する他の無線通信ネットワーク31が同一のチャネルにより無線通信をする場合でも、通信干渉が生じ得る各無線通信ネットワーク31に時分割等の共存方法を通知することとしているので、そのような場合にも通信干渉の発生を防止することが可能となる。
【0116】
因みに、上述のステップS15においては、使用可能チャネルセット51からチャネルを選択する点について説明したが、このような場合においては、チャネルが属するチャネルセットを切り替える必要がある。また、これ以外の様々な場合において、チャネルが属するチャネルセットを切り替える必要がある。
【0117】
図9は、チャネルセットを切り替える必要がある場合を説明するための図である。
【0118】
上述のように、使用可能チャネルセット51からチャネルを選択するイベントE1が発生した場合、その選択したチャネルの属するチャネルセットを使用可能チャネルセット51から使用中チャネルセット53に切り替える。
【0119】
また、使用中チャネルセット53に属するチャネルの使用を無線通信ネットワーク31が中止するイベントE2が発生する場合がある。この場合は、そのチャネルの属するチャネルセットを使用中チャネルセット53から使用可能チャネルセット51に切り替える。
【0120】
また、使用不可能チャネルセット55に属するチャネルが、規制政策等の変更により使用が認められるようになったり、プライマリネットワークにより使用されないことがデータベース21の更新等により把握できるイベントE3が発生する場合がある。この場合は、そのチャネルの属するチャネルセットを使用不可能チャネルセット53から使用可能チャネルセット51に切り替える。
【0121】
また、使用可能チャネルセット51や使用中チャネルセット55に属するチャネルが、規制政策等の変更により使用が認められなくなったり、プライマリネットワークにより使用されていることがデータベース21の更新等により把握できるイベントE4が発生する場合がある。この場合は、そのチャネルの属するチャネルセットを使用可能チャネル51又は使用中チャネルセット55から使用不可能チャネルセット53に切り替える。
【0122】
次に、本発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システムの第2実施形態について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
【0123】
上述した第1実施形態においては、CM13やCDIS11により図3に示すステップS13〜ステップS15の処理が実行される場合を例に説明したが、これらステップS13〜ステップS15の処理は、無線通信ネットワーク31により実行されてもよい。
【0124】
以下、第2実施形態に係る共存システム1の動作について説明する。
【0125】
第2実施形態に係る共存システム1は、図10に示すようなフローチャートに沿って処理を実行する。
【0126】
まず、ステップS11、ステップS12は、第1実施形態において説明したのと同様の処理が実行される。
【0127】
次に、ステップS12−aに移行し、CM13の管轄内にある複数の無線通信ネットワーク31からCM13が受信したそれぞれの第一チャネル情報及び通信情報と、データベース21からCM13又はCDIS15が受信した第二チャネル情報とをCM13の管轄内にある何れかの無線通信ネットワーク31に送信する。
【0128】
次に、ステップS13−aに移行し、その何れかの無線通信ネットワーク31により、受信した第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、使用可能チャネルセット51とそれ以外のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類する。このとき、第1実施形態のステップS13において説明したのと同様の処理が実行される。
【0129】
次に、ステップS14−aに移行し、その何れかの無線通信ネットワーク31により、使用可能チャネルセット51に分類した各チャネルを受信した通信情報に基づき複数のランクに分類するランク付けをする。このとき、第1実施形態のステップS14において説明したのと同様の処理が実行される。
【0130】
次に、ステップS15−aに移行し、分類したランクに基づき使用可能チャネルセット51からチャネルを選択する。このとき、第1実施形態のステップS15において説明したのと同様の処理が実行される。
【0131】
ここで、選択したチャネルが共存チャネルセット51b、51cに属するチャネルである場合は、通信干渉が生じ得る他の無線通信ネットワーク31との間で行なう共存方法も選択する。この共存方法としては、時分割及び/又は周波数分割による無線通信が挙げられる。選択した共存方法は、通信干渉が生じ得る他の無線通信ネットワーク31に対して通知しておく。この通知は、チャネルを選択した無線通信ネットワーク31から通信干渉が生じ得る他の無線通信ネットワーク31に直接通知されてもよいし、CM13を通して通知されてもよい。
【0132】
次に、ステップS17―aに移行し、その何れかの無線通信ネットワーク31により、選択したチャネルにより無線通信を行う。このとき、上述のようにして共存方法を通知したときは、その共存方法により無線通信を行う。
【0133】
次に、本発明に係る無線通信ネットワーク間の共存システム1の第3実施形態について説明する。
【0134】
第3実施形態に係る共存システム1は、図11に示すように、複数の無線通信ネットワーク31として、CM13との間で情報を送受信可能な中継無線通信ネットワーク31Aと、中継無線通信ネットワーク31Aとの間で情報を送受信可能な末端無線通信ネットワーク31Bとを有する。中継無線通信ネットワーク31Aと末端無線通信ネットワーク31Bは、例えば、それぞれの基地局33との間で無線通信又は有線通信により情報を送受信可能である。この末端無線通信ネットワーク31Bは、CM13との間で情報を送受信できないものを例示している。
【0135】
第3実施形態に係る共存システム1は、CM13との間で情報を送受信できない末端無線通信ネットワーク31Bがある場合でも、複数の中継無線通信ネットワーク31Aと末端無線通信ネットワーク31Bとの間で通信干渉を防止しつつ無線通信を行うことを可能とするものである。
【0136】
以下、第3実施形態に係る共存システム1の動作について説明する。
【0137】
まず、ステップS11、ステップS12は、第1実施形態において説明したのと同様の処理が実行される。
【0138】
次に、ステップS12−aに移行し、第2実施形態において説明したのと同様の処理が実行される。
【0139】
次に、ステップS13−bに移行し、中継無線通信ネットワーク31A又は末端無線通信ネットワーク31Bにより、受信した第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、使用可能チャネルセット51とそれ以外のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類する。この分類は、少なくとも末端無線通信ネットワーク31Bが使用するチャネルについて行なわれる。このとき、第1実施形態のステップS13において説明したのと同様の処理が実行される。
【0140】
ステップS13−bは、中継無線通信ネットワーク31Aと末端無線通信ネットワーク31Bの何れにより実行されてもよい。末端無線通信ネットワーク31Bにより実行される場合は、中継無線通信ネットワーク31Aが受信した各中継無線通信ネットワーク31Aの第一チャネル情報と、第二チャネル情報とを、中継無線通信ネットワーク31Aから末端無線通信ネットワーク31Bに送信しておく。中継無線通信ネットワーク31Aにより実行される場合は、末端無線通信ネットワーク31Bの第一チャネル情報及び通信情報を、その末端無線通信ネットワーク31Bから中継無線通信ネットワーク31Aに送信しておく。
【0141】
次に、ステップS14−bに移行し、中継無線通信ネットワーク31A又は末端無線通信ネットワーク31Bにより、使用可能チャネルセット51に分類した各チャネルを受信した通信情報に基づき複数のランクに分類するランク付けをする。このランク付けは、少なくとも末端無線通信ネットワーク31Bが使用するチャネルについて行われる。このとき、第1実施形態のステップS14において説明したのと同様の処理が実行される。
【0142】
ステップS14−bは、中継無線通信ネットワーク31Aと末端無線通信ネットワーク31Bの何れにより実行されてもよい。末端無線通信ネットワーク31Bにより実行される場合は、中継無線通信ネットワーク31Aが受信した各中継無線通信ネットワーク31Aの通信情報を、中継無線通信ネットワーク31Aから末端無線通信ネットワーク31Bに送信しておく。中継無線通信ネットワーク31Aにより実行される場合は、末端無線通信ネットワーク31Bの通信情報を、その末端無線通信ネットワーク31Bから中継無線通信ネットワーク31Aに送信しておく。
【0143】
次に、ステップS15−bに移行し、中継無線通信ネットワーク31A又は末端無線通信ネットワーク31Bにより、分類したランクに基づき使用可能チャネルセット51からチャネルを選択する。この選択は、少なくとも末端無線通信ネットワーク31Bが使用するチャネルについて行なわれる。このとき、第1実施形態のステップS15において説明したのと同様の処理が実行される。

次に、ステップS17―bに移行し、末端無線通信ネットワーク31Bにより、選択したチャネルによりその末端無線通信ネットワーク31Bが無線通信を行う。中継無線通信ネットワーク31Aがチャネルを選択した場合は、選択したチャネルを、中継無線通信ネットワーク31Aから末端無線通信ネットワーク31Bに通知しておく。
【0144】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【符号の説明】
【0145】
1 :共存システム
11 :CDIS
13 :CM
15 :CE
21 :データベース
31 :無線通信ネットワーク
33 :基地局
35 :デバイス
41 :送信機
43 :通信可能範囲
45 :通信干渉発生範囲
51 :使用可能チャネルセット
53 :使用不可能チャネルセット
55 :使用中チャネルセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信ネットワーク間における通信干渉を防止するための無線通信ネットワーク間の共存システムにおいて、
上記複数の無線通信ネットワークとの間で情報を送受信可能な共存制御手段と、
上記共存制御手段との間で情報を送受信可能であり、テレビシステムによるチャネルの使用状況が記録されたデータベースとを備え、
上記複数の無線通信ネットワークは、少なくとも自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報を含む通信情報と、自己によるチャネルの使用状況を示す第一チャネル情報とを上記共存制御手段に送信し、
上記データベースは、上記複数の無線通信ネットワーク内のテレビシステムによるチャネルの使用状況を示す第二チャネル情報を上記共存制御手段に送信し、
上記共存制御手段は、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、上記無線通信ネットワークが使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、それ以外のチャネルが属する他のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを当該無線通信ネットワーク毎に分類し、使用可能チャネルセットに分類した各チャネルを受信した上記通信情報に基づき複数のランクに分類し、分類したランクに基づき上記使用可能チャネルセットからチャネルを選択し、選択したチャネルを当該無線通信ネットワークに通知し、
上記無線通信ネットワークは、通知されたチャネルにより無線通信を行うこと
を特徴とする無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項2】
上記共存制御手段は、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、上記無線通信ネットワークが使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、当該無線通信ネットワークが使用できないチャネルが属する使用不可能チャネルセットと、当該無線通信ネットワーク自身が使用している使用中チャネルセットとの何れかに複数のチャネルを当該無線通信ネットワーク毎に分類すること
を特徴とする請求項1記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項3】
上記複数の無線通信ネットワークは、自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報と、自己の無線通信ネットワークの無線通信規格情報と、自己の無線通信ネットワークによる送信出力情報とを含む通信情報を送信すること
を特徴とする請求項1又は2記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項4】
上記共存制御手段は、受信した上記第一チャネル情報及び通信情報に基づいて、上記無線通信ネットワークが使用したときに他の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じないチャネルが属する空きチャネルセットと、他の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する共存チャネルセットとの何れかに上記使用可能チャネルセットに属する各チャネルを分類すること
を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項5】
上記共存制御手段は、上記使用可能チャネルセットから選択したチャネルが共存チャネルセットに属するチャネルである場合に、選択したチャネルを当該無線通信ネットワークに通知するとともに、通信干渉が生じ得る各無線通信ネットワークに時分割及び/又は周波数分割の共存方法により無線通信を行うように通知し、
上記無線通信ネットワークは、通知されたチャネル及び共存方法により無線通信を行うこと
を特徴とする請求項4記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項6】
上記共存制御手段は、受信した上記第一チャネル情報及び通信情報に基づいて、一つの無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する単独共存チャネルセットと、二つ以上の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する多重共存チャネルセットとの何れかに上記共存チャネルセットに属する各チャネルを分類すること
を特徴とする請求項4又は5記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項7】
複数の無線通信ネットワーク間における通信干渉を防止するための無線通信ネットワーク間の共存システムにおいて、
上記複数の無線通信ネットワークとの間で情報を送受信可能である共存制御手段と、
上記共存制御手段との間で情報を送受信可能であり、テレビシステムによるチャネルの使用状況が記録されたデータベースとを備え、
上記複数の無線通信ネットワークは、少なくとも自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報を含む通信情報と、自己によるチャネルの使用状況を示す第一チャネル情報とを上記共存制御手段に送信し、
上記データベースは、上記複数の無線通信ネットワーク内のテレビシステムによるチャネルの使用状況を示す第二チャネル情報を上記共存制御手段に送信し、
上記共存制御手段は、受信した各無線通信ネットワークの上記通信情報及び上記第一チャネル情報と、受信した上記第二チャネル情報とを何れかの無線通信ネットワークに送信し、
上記無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、自己が使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、それ以外のチャネルが属する他のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類し、使用可能チャネルセットに分類した各チャネルを受信した上記通信情報に基づき複数のランクに分類し、分類したランクに基づき上記使用可能チャネルセットからチャネルを選択し、選択したチャネルにより無線通信を行うこと
を特徴とする無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項8】
上記無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、自己が使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、自己が使用できないチャネルが属する使用不可能チャネルセットと、自己が使用しているチャネルが属する使用中チャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類すること
を特徴とする請求項7記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項9】
上記複数の無線通信ネットワークは、自己の通信可能範囲情報及び通信干渉発生範囲情報と、自己の無線通信ネットワークの無線通信規格情報と、自己の無線通信ネットワークによる送信出力情報とを含む通信情報を送信すること
を特徴とする請求項7又は8記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項10】
上記無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び通信情報に基づいて、自己が使用したときに他の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じないチャネルが属する空きチャネルセットと、他の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する共存チャネルセットとの何れかに上記使用可能チャネルセットに属する各チャネルを分類すること
を特徴とする請求項7〜9の何れか1項記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項11】
上記無線通信ネットワークは、上記使用可能チャネルセットから選択したチャネルが共存チャネルセットに属するチャネルである場合に、通信干渉が生じ得る他の無線通信ネットワークとの間で時分割及び/又は周波数分割の共存方法により選択したチャネルで無線通信を行うこと
を特徴とする請求項10記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項12】
上記無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び通信情報に基づいて、一つの無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する単独共存チャネルセットと、二つ以上の無線通信ネットワークとの間で通信干渉が生じ得るチャネルが属する多重共存チャネルセットとの何れかに上記共存チャネルセットに属する各チャネルを分類すること
を特徴とする請求項10又は11記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。
【請求項13】
上記複数の無線通信ネットワークは、上記共存制御手段との間で情報を送受信可能な中継無線通信ネットワークと、上記中継無線通信ネットワークとの間で情報を送受信可能な末端無線通信ネットワークとを有し、
上記共存制御手段は、受信した各無線通信ネットワークの上記通信情報及び上記第一チャネル情報と、受信した上記第二チャネル情報とを,上記中継無線通信ネットワークに送信する、又は、上記中継無線通信ネットワークを通して上記末端無線通信ネットワークに送信し、
上記中継無線通信ネットワーク又は上記末端無線通信ネットワークは、受信した上記第一チャネル情報及び第二チャネル情報に基づいて、当該末端無線通信ネットワークが使用できるチャネルが属する使用可能チャネルセットと、それ以外のチャネルが属する他のチャネルセットとの何れかに複数のチャネルを分類し、使用可能チャネルセットに分類した各チャネルを受信した上記通信情報に基づき複数のランクに分類し、分類したランクに基づき上記使用可能チャネルセットからチャネルを選択し、選択したチャネルにより当該末端無線通信ネットワークが無線通信を行うこと
を特徴とする請求項7〜12の何れか1項記載の無線通信ネットワーク間の共存システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−147209(P2012−147209A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3491(P2011−3491)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)総務省委託「電波資源拡大のための研究開発」の一環、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】