説明

無線通信共存方法

【課題】同一周波数チャネルを共有する複数の携帯端末間で互いに干渉することなく共存を行う。
【解決手段】時系列的に複数のフレームを配置するとともに、上記各フレームには上記同一周波数チャネルを共有する携帯端末からそれぞれ送信されてきたデータが割り当て可能とされ、更に上記各フレームの末尾に上記携帯端末を検出するための自己共存ビーコン(SCBP)を含む自己共存領域を形成されている、自己共存サイクルを繰り返し実行し、ベース基地局は、上記SCBPを介して隣接する無線通信ネットワークの検出を行う際において、通常モードにおいて、上記自己共存領域におけるSCBPによる携帯端末の検出をスケジューリングし、自己共存モードにおいて、未だデータが割り当てられていないフレーム中のSCBPによる携帯端末の検出を行うようにスケジューリングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己共存無線通信方法に関し、特にIEEE802.16nにおける要求仕様に対応可能な自己共存無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.16nネットワークを動作させるために、例えば非特許文献1に示されている、自己共存(self-coexistence)メカニズムが用いられる。
【0003】
先ず1番目として、IEEE802.16nネットワークは、携帯端末の基地局と、中継局の双方をサポートするものである。IEEE802.16nの携帯端末は、ユーザが持ち運び可能な携帯性を伴う状態となっている。これは、2又はそれ以上のIEEE802.16nの携帯端末が、その携帯性ゆえに互いの基地局と重複することを意味する。仮に重複した携帯端末が、同一周波数チャネルにおいて動作するものであり、また携帯端末の重複を防止する上で適当な方法が無い場合には、互いに共存するチャネルにおいて干渉が生じることとなり、その結果、適切な通信環境を確保できない場合もある。
【0004】
2番目として、IEEE802.16nネットワークにおいて使用する周波数帯域は、200MHzのようなVHF帯域を含むものである。このような低周波領域において、互いの干渉距離は、公知の伝搬特性に基づいて、GHz帯域よりも圧倒的に長くなる。これは、2又はそれ以上のIEEE802.16nの携帯端末が、GHz帯域の場合と比較して、非常に近傍に位置する状態ではなくなることを意味しており、これらの複数の携帯端末が同時に動作をした場合において、互いに簡単に干渉してしまう虞もある。
【0005】
更に3番目として、IEEE802.16nネットワークによる干渉を避けるために、直接受信可能なアンテナを使用するが、各通信ノード間で通信ラインを形成していることから、これらが同一の周波数チャネルにおいて動作するときに互いに干渉してしまうこととなる。このため、IEEE802.16nの携帯端末のより好適な動作を実現するために、共存チャネルの干渉をより低減させることが要求される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE 80216n-10/0048, "802.16n System Requirements Document including SARM annex", Jan 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来において、自己共存のメカニズムそのものが提案されていなく、また他のIEEE802.16m、IEEE802.16jにおいて有効性が検証済の方法を適用するためには各種修正が必要になる。このため、IEEE802.16nにおける自己共存の方法を提案する必要性があった。
【0008】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、2以上のIEEE802.16nの携帯端末が同一周波数チャネルで互いに近傍領域で動作した場合に、通常であれば適切に動作しない環境下においても、互いに自己共存を実現することが可能な自己共存無線通信方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明を適用した無線通信共存方法は、同一時間帯で同一周波数チャネルを共有する複数の携帯端末間で互いに干渉することなく共存を行う無線通信共存方法において、時系列的に複数のフレームを配置するとともに、上記各フレームには上記同一周波数チャネルを共有する携帯端末からそれぞれ送信されてきたデータが割り当て可能とされ、更に上記各フレームの末尾に上記携帯端末を検出するための自己共存ビーコン(SCBP)を含む自己共存領域を形成してなり、上記SCBPは、プリアンブルと、その自己共存処理を行うためのSCBP情報とを含むパケットフォーマットからなる、自己共存サイクルを繰り返し実行し、ベース基地局は、上記SCBPを介して隣接する無線通信ネットワークの検出を行う際において、通常モードにおいて、上記自己共存領域におけるSCBPによる携帯端末の検出をスケジューリングし、自己共存モードにおいて、未だデータが割り当てられていないフレーム中のSCBPによる携帯端末の検出を行うようにスケジューリングを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述した構成からなる本発明によれば、2以上のIEEE802.16nの携帯端末が同一周波数チャネルで互いに近傍領域で動作した場合に、通常であれば適切に動作しない環境下においても、互いに自己共存を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】HR-ADVANCEDによる自己共存サイクルの構造を示す図である。
【図2】自己共存モードにおける、自己共存サイクルの構成例を示す図である。
【図3】HR-Advanceによる自己共存サイクルのスーパーフレーム構造を示す図である。
【図4】、自己共存メカニズムによる同一の周波数チャネルを共有する、自己共存サイクルの構成例を示す図である。
【図5】自己共存サイクルの他の例を示す図である。
【図6】1のフレームにおいて最後の3つの信号において含められる自己共存領域を示す図である。
【図7】HR-Advanceによるフレームの末端に自己共存領域が割り当てられた例を示す図である。
【図8】自己共存領域を、最後のサブフレーム(SF7(6))と、サブフレーム(SF6(6))における最後の信号とに含める例を示す図である。
【図9】自己共存領域を、最後のサブフレーム(SF7(6))のみに含めた例を示す図である。
【図10】HR-OFDMAによるIEEE802.16nネットワークのSCBPパケットのフォーマットを示す図である。
【図11】HR-AdvanceによるIEEE802.16nネットワークのSCBPパケットのフォーマットを示す図である。
【図12】HR-OFDMAによるIEEE802.16nネットワークのSCBPパケット構造を示す図である。
【図13】HR-OFDMAによるIEEE802.16nネットワークのSCBPパケット構造を示す図である。
【図14】IEEE802.16nにおける自己共存メカニズムのフローチャートである。
【図15】制御メッセージの送受信フローについて説明するための図である。
【図16】FCDによるフレームの内容確認のフローチャートである。
【図17】FCDによるフレームコンテンションの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明は、周波数チャネルを共有することによる自己共存を同一時間帯で達成し得るものである。特に自己共存時において互いの携帯端末が、1以上の自己共存サイクルのフレームのみにおいて動作するものである。
【0014】
自己共存ビーコンは、互いに隣接するIEEE802.16nの携帯端末を検出し、また自己共存の詳細について互いに連絡を取り合うために使用されるものである。本発明では、自己共存ビーコンの生成、送受信、スケジューリング等を可能とするために、自己共存ビーコンプロトコル(SCBP:Self-coexistence beacon protocol)を提案している。自己共存ビーコンの送受信は、提案した自己共存サイクルとフレーム構造に依拠するものである。更に本発明では、基地局におけるIEEE802.16nにおける時間同期の方法も提案している。
【0015】
自己共存サイクルは、自己共存メカニズムにおいてチャネルを共有するために時間軸に沿って定期的に所定の手順を繰り返し実行するものである。自己共存サイクルは、例えばWirelessMAN HR-OFDMA等に代表される直交周波数分割多元接続(OFDMA)によるIEEE802.16nでは、4つのフレームからなる。また、WirelessMAN HR-Advancedに
よるIEEE802.16nでは、12のスーパーフレームからなる。自己共存において互いの携帯端末は同一の周波数チャネルを共存し、自己共存サイクルの1以上のフレームのみで占められている。
【0016】
WirelessMAN HR-OFDMAによるIEEE802.16nにおいて、自己共存サイクルは、4つのフレームからなる。1のフレームは、フレーム識別番号(FIN)によって識別される。当初から4番目に至るまで、各フレームのFINは、0、1、2、3とされる。図12は、SCBP内におけるFINの位置を示している。
【0017】
図1は、通常モードにおけるWirelessMAN HR-ADVANCEDによるIEEE802.16n
の自己共存サイクルの構造を示している。このモードにおいては、IEEE802.16nの携帯端末は、全部で4つのフレームにより占められている。携帯端末は、先頭と二番目の信号領域に、プリアンブルとDL-MAP及びFCHを挿入したフレームを送信する。本発明
において、自己共存サイクルにおける先頭フレームにおいて、ネットワーク制御情報(NCI)を3番目の信号として挿入するようにしてもよい。このNCIは、自己共存に関するネットワークの構成情報等を提供するものである。
【0018】
自己共存モードにおいて、自己共存におけるIEEE802.16nの携帯端末は、1以上の自己共存サイクルのフレームのみに占められている。IEEE802.16nに割り当てられた最初のフレームにおいて、携帯端末はフレームのプリアンブルとDL-MAP及びFCH、NCIを1番目、2番目、3番目の信号としてそれぞれ挿入することとなる。
【0019】
図2は、自己共存モードにおける、自己共存サイクルの構成例を示している。この自己共存サイクルにおいて、一の携帯端末に対応するCell_1は、最初のフレームに含められ、これに対して、他の携帯端末に対応するCell_2は、残りの3フレームに含められる。Cell_1は、最初のフレームにおいてNCIを送信し、また、Cell_2は、2番目のフレームにおいてNCIを送信する。
【0020】
WirelessMAN HR-AdvanceによるIEEE802.16nネットワークにおける自己共存サイクルでは、図3に示すように12のスーパーフレーム(SFn)が存在する。スーパーフレームの構造は、従来のいかなる構成のものを適用するようにしてもよい。各スーパーフレームは、4つのフレームからなる、これら各フレームの長さは、5msである。
【0021】
IEEE802.16nの携帯端末が通常モードで動作するとき、その携帯端末は、スーパーフレームを構成する全てのフレームにおいて含まれることとなる。また、このときSAプリアンブル、PAプリアンブル、SFH(スーパーフレームヘッダー)が自己共存サイクルのスーパーフレーム毎に挿入されることとなる。ここでいうSAプリアンブル、PAプリアンブルは、IEEE802.16mにおいて定義されている。
【0022】
加えて、SAプリアンブル、PAプリアンブルを送信するために、本発明においては、自己共存サイクルの各スーパーフレームの4番目のフレームの最初の信号においてSAプリアンブルを挿入している。即ち、この4番目のフレームが、全ての基地局がベース基地局に対して同期を取る上で使用される。これは、スーパーフレームにおける3番目のフレームが自己共存において使用される最後のフレームであるからである。各携帯端末は、隣接する他の携帯端末から送信されてきたプリアンブルを受信することができ、そのベース基地局に対して同期を取ることが可能となる。
【0023】
図3の例に示すように、携帯端末Cell_1は、通常モードで動作する。そして、Cell_1は、全てのフレームにおいて含められる。Cell_1は、各スーパーフレームにおける最初のフレームの1番目の信号にSAプリアンブルを挿入し、各スーパーフレームにおける2番目のフレームの1番目の信号にPAプリアンブルを挿入する。また、各スーパーフレームにおける3番目のフレームの1番目の信号にSAプリアンブルを挿入し、各スーパーフレームにおける4番目のフレームの1番目の信号に付加的なSAプリアンブルを挿入する。そして、自己共存サイクルの各スーパーフレームの1番目のフレームの最初のサブフレームにおいてSFHを挿入する。
【0024】
自己共存モードにおいて、各携帯端末は、1以上のスーパーフレームのみに含められる。そして、携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを送信することとなる。携帯端末が含められているフレームにおける1番目の信号において、携帯端末は、仮にその信号においてAプリアンブルを送信しない場合に、付加的なAプリアンブルを送信する。その信号において隣接する携帯端末がSAプリアンブルを送信する場合には、干渉を避ける観点から、仮に2つの携帯端末が同一の携帯端末IDセグメントである場合、携帯端末は代用のSAプリアンブルを送信する。
【0025】
SAプリアンブルと、PAプリアンブルと、SFHのセットを送信するために、携帯端末は、スーパーフレームの1番目のフレームの、1番目の信号においてSAプリアンブルを挿入し、スーパーフレームの2番目のフレームの1番目の信号においてPAプリアンブルを挿入し、スーパーフレームの1番目のフレームの1番目の最初のサブフレームにおいてSFHを挿入する。このスーパーフレームの1番目のフレームの最初のサブフレームにおいてSFHを挿入する点は、IEEE802.16mにおいて規定されている。
【0026】
本発明において、自己共存におけるIEEE802.16nの携帯端末は、自己共存サイクルの12のスーパーフレームにおいて、SAプリアンブルと、PAプリアンブルと、SFHのセットを送信する。この場合において、自己共存における2つの携帯端末のうち、一の携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを、SF0、SF2、SF4、SF6、SF8、SF10に含めて送信する。そして他の一の携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを、SF1、SF3、SF5、SF7、SF9、SF11に含めて送信する。
【0027】
また、自己共存時において3つの携帯端末が存在していた場合には、一の携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを、SF0、SF3、SF6、SF9に含めて送信する。第2の携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを、SF1、SF4、SF7、SF10に含めて送信する。第3の携帯端末は、SAプリアンブ
ル、PAプリアンブル、SFHを、SF2、SF5、SF8、SF11に含めて送信する。
【0028】
また、自己共存時において4つの携帯端末が存在していた場合には、一の携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを、SF0、SF4、SF8に含めて送信する。第2の携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを、SF1、SF5、SF9に含めて送信する。第3の携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを、SF2、SF6、SF10に含めて送信する。第4の携帯端末は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHを、SF3、SF7、SF11に含めて送信する。
【0029】
図4は、3つの携帯端末(Cell_1, Cell_2, Cell_3)が自己共存メカニズムによる同一の周波数チャネルを共有する、自己共存サイクルの構成例を示している。Cell_1は、自己共存サイクル中の全てのスーパーフレームの1番目のフレームF0に含められる。Cell_2は、自己共存サイクル中の全てのスーパーフレームの2番目のフレームF1に含められる。Cell_3は、自己共存サイクル中の全てのスーパーフレームの3、4番目のフレームF2、F3に含められる。
【0030】
Cell_1は、SF0、SF3、SF6、SF9において、1番目のフレームF0の1番目の信号においてSAプリアンブルを含め、2番目のフレームの1番目の信号においてPAプリアンブルを含め、3番目のフレーム(F2)の1番目の信号においてSAプリアンブルを含め、そして、SFHは、1番目のフレームの1番目のサブフレームにおいて含めて送信する。Cell_2は、SF1、SF4、SF7、SF10において、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHのセットを送信する。また、Cell_3は、SF2、SF5、SF8、SF11において、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHのセットを送信する。
【0031】
図5は、自己共存サイクルの他の例を示している。ここでCell_1とCell_4は、同一の周波数チャネルを共有する。Cell_1は、自己共存サイクルの全てのスーパーフレームの1〜3番目のフレームにおいて挿入されている。Cell_4は、自己共存サイクルの全てのスーパーフレームの4番目のフレームにおいて挿入されている。上述した例と同様に、Cell_1は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHのセットをSF0、SF2、SF4、SF6、SF8、SF10に含めて送信する。また、Cell_4は、SAプリアンブル、PAプリアンブル、SFHのセットをSF1、SF3、SF5、SF7、SF9、SF11に含めて送信する。
【0032】
仮に、携帯端末がフレームを占有していた場合であって、かつ上述した方法によりAプリアンブルを送信しない場合、フレームの付加的なAプリアンブルを送信することとなる。これは、このフレームにおいて、提供されたベース基地局に対する携帯端末の同期を維持するためである。その理由として、隣接する携帯端末からプリアンブルを受信することによる同期を取る必要があるところ、携帯端末の基地局は、ベース基地局に対する同期を失う可能性があるためである。
【0033】
上述の方法では、仮にフレームがスーパーフレームにおける2番目のフレーム(F1)であれば、携帯端末は、付加的なPAプリアンブルをそのフレームの1番目の信号において送信する。
【0034】
また、上述の方法では、仮にフレームがスーパーフレームにおける4番目のフレーム(F3)であれば、携帯端末は、このフレームの1番目の信号において付加的なSAプリアンブルを送信する。
【0035】
また、上述の方法では、仮にフレームがスーパーフレームの1番目(F0)又は3番目(F2)であり、また本携帯端末における携帯端末IDが、上述のごときスーパーフレームにおけるAプリアンブルを送信する携帯端末の如き携帯端末IDセグメントとは異なる他の携帯端末IDである場合には、携帯端末はフレームの1番目の信号において付加的なSAプリアンブルを送信する。
【0036】
また、上述の方法では、フレームがスーパーフレームの1番目(F0)又は3番目(F2)であり、また携帯端末における携帯端末IDは、上述のごときスーパーフレームにおけるAプリアンブルを送信する携帯端末の如き携帯端末IDセグメントと同一の携帯端末IDである場合には、この携帯端末は、フレームの1番目の信号において付加的な代用SAプリアンブルを送信する。付加的な代用SAプリアンブルは、代用携帯端末IDに基づいて制御される。この代用携帯端末IDは、このスーパーフレームにおけるAプリアンブルを送信する携帯端末の携帯端末IDセグメントとは異なるものである。付加的な代用SAプリアンブルを送信する目的としては、同時に同一の信号において2つの携帯端末がSAプリアンブルを送信するときに、干渉を避けることにある。2つのSAプリアンブルは互いに異なるセットを送信するものであることから、2つの携帯端末は、互いに異なるセグメントにおいて、SAプリアンブルを送信するときに、干渉は防止できる。携帯端末が代用携帯端末IDと、代用SAプリアンブルを選択する方法は、後述する。
【0037】
このように、自己共存サイクルにおけるフレームに割り当てられる携帯端末はIDを介して管理され、携帯端末は、各フレームにそれぞれ割り当てられる携帯端末のIDが、複数の携帯端末間で同一である場合には、代用のSAプリアンブルを送信し、当該SAプリアンブルを介して各携帯端末が管理されることとなる。
【0038】
図4に示す例では、Cell_1は、付加的な(代用)SAプリアンブルを、スーパーフレームのSF1、SF2、SF4、SF5、SF7、SF8、SF10、SF11における1番目のフレームの1番目の信号において含める。Cell_2は、付加的な(代用)PAプリアンブルを、スーパーフレームのSF0、SF2、SF3、SF5、SF6、SF8、SF9、SF11における2番目のフレームの1番目の信号において含める。Cell_3は、付加的な(代用)SAプリアンブルを、スーパーフレームのSF0、SF1、SF3、SF4、SF6、SF7、SF9、SF10における3番目のフレームの1番目の信号において含め、更にその4番目のフレームの1番目の信号において付加的なSAプリアンブルを含める。
【0039】
また図5に示す例では、Cell_1は、付加的な(代用)SAプリアンブルを、スーパーフレームのSF1、SF3、SF5、SF7、SF9、SF11における1番目及び3番目のフレームの1番目の信号において含める。また同一のスーパーフレームの2番目のフレームに1番目の信号において付加的なPAプリアンブルを送信する。Cell_4は、付加的なSAプリアンブルを、スーパーフレームのSF0、SF2、SF4、SF6、SF8、SF10の4番目のフレームの1番目の信号において含める。
【0040】
IEEE802.16mにおいて、携帯端末IDは、3つのセグメント(0〜255、256〜511、512〜767)に分割される。このセグメントは、送信すべき3つのSAプリアンブルに対応している。隣接する2つの携帯端末の携帯端末IDは、同一のセグメントにおいて存在しているとき、仮に2つの携帯端末がSAプリアンブルを同時に送信するときに、互いの干渉を誘発することになる。本発明においては、かかる問題点を解決するために、携帯端末の一つは、互いに異なるセグメントにおいて時系列的に存在する代用携帯端末IDを使用する。
【0041】
代用携帯端末IDを選択する方法は下記である。元のセグメントがn個ある場合には、(j=MOD((n+1),3)からなる代用携帯端末IDのセグメントを選択する。ここでMODは、剰余を意味している。そして、idx_sub=j*256+MOD(idx_org,256)を代用携帯端末IDとして選択するものであってもよい。idx_subは、元の携帯端末IDである。
【0042】
代用SAプリアンブルは、代用携帯端末IDに通じるものである。送信すべきSAプリアンブルのセットは、セグメントID jである。ここで携帯端末は代用SAプリアンブルを送信するときに、当該携帯端末はセットjを送信することとなる。
【0043】
選択された代用携帯端末IDであるidx_subとそのセグメントID jは、その下位層に
ある全ての基地局に分散されることとなる。
【0044】
自己共存領域が、プリアンブルと、多くのIEEE802.16n携帯端末が同一領域で重複する場合における自己共存のための自己共存ビーコンのために、1のフレームにおいて割り当てられる。そして、自己共存領域は、同一周波数チャネルにおいて動作しなければならない。
【0045】
このように、本発明を適用した自己共存サイクルは、時系列的に複数のフレームを配置するとともに、上記各フレームには上記同一周波数チャネルを共有する携帯端末からそれぞれ送信されてきたデータが割り当て可能とされている。この自己共存サイクルは、各基地局内において管理されていてもよいし、ベース基地局において管理されていてもよい。
【0046】
図6に示すように、自己共存領域は、1のフレームにおいて最後の3つの信号において含められる。このうち1番目の信号は、いわゆる“ガードタイム”用に用いられる。また、2番目の信号では、プリアンブルが挿入される。さらに3番目の信号では、自己共存ビーコンプロトコル(SCBP) MAC PDUが送信される。
【0047】
本発明において、図7に示すように、WirelessMAN HR-AdvanceによるIEEE802.16nにおけるフレームの末端に自己共存領域が割り当てられる。仮に最後のサブフレーム(SFn)が7つの信号を含むものであれば、このサブフレームは自己共存領域として割り当てられる。最後のサブフレームの1番目の信号が“ガードタイム”として使用される。2番目の信号においてSAプリアンブルが挿入される。残りの5つの信号において、自己共存ビーコンプロトコル(SCBP)MACパケットが割り当てられる。
【0048】
仮に最後のサブフレームにおいて、6つの信号を含むものであれば、自己共存領域の持続時間のために2つのオプションが用意される。最初のオプションとしては、図8に示すように、自己共存領域は、最後のサブフレーム(SF7(6))と、サブフレーム(SF6(6))における最後の信号とに含められる。他のオプションとしては、図9に示すように、自己共存領域は、最後のサブフレーム(SF7(6))のみに含まれる。
【0049】
図8に示すように、最後のサブフレーム(SF7(6))より前のサブフレーム(SF6(6))における最後の信号は“ガードタイム”用に用いられる。最後のサブフレーム(SF7(6))の最初の信号において、SAプリアンブルが挿入される。残りの5つの信号は、SCBP MAC PDUが挿入される。また他のオプションは、仮にIEEE802.16nネットワークが、4つの信号ユニットにおいてMAC PDUの送信をサポートすることができる場合に選択される。
【0050】
本発明において、WirelessMAN HR-OFDMAやWirelessMAN HR-Advanceの場合に、SCBPパケットの異なるフォーマットがIEEE802.16nネットワークのために定義される。
【0051】
図10は、WirelessMAN HR-OFDMAによるIEEE802.16nネットワークのSCBPパケットのフォーマットを示している。このパケットは2つの領域からなる。先頭からプリアンブル領域と、SCBPデータ領域である。プリアンブル領域の時間は、SCBPデータ領域と同様にちょうど1OFDM信号分である。プリアンブル領域は、IEEE802.16j標準において定義されているプリアンブルフレームである。
【0052】
図11は、WirelessMAN HR-AdvanceによるIEEE802.16nネットワークのSCBPパケットのフォーマットを示している。このパケットは、プリアンブル領域と、SCBPデータ領域の2つで構成されている。このプリアンブル領域は、ちょうど1OFDM信号の長さに相当する。SCBPデータ領域は、少なくとも1OFDM信号分の長さで構成される。実際のこのSCBPデータ領域の長さは、記述すべきSCBPデータの量に応じて割り当てられることとなる。また、このプリアンブル領域は、SAプリアンブルである。
【0053】
本発明において、異なるSCBPパケットの構造がIEEE802.16nネットワークにおけるWirelessMAN HR-OFDMA、WirelessMAN HR-Advanceにおいて定義されている。図12は、WirelessMAN HR-OFDMAによるIEEE802.16nネットワークのSCBPパケット構造を示している。このパケットの長さは、2OFDM信号の長さに相当する。最初の信号において、プリアンブルが送信される。2番目の信号においてネットワーク制御情報(NCI)、フレーム識別番号(FIN)、ヘッダーチェック列(HCS)、そしてSCBP IEが連続して送信される。
【0054】
図13は、IEEE802.16nネットワークにおけるWirelessMAN HR-OFDMAにおけるSCBPパケット構造を示している。最初の信号において、SAプリアンブルが送信される。そのとき、NCI、FIN、HSC、SCBP IEが連続して送信されることとなる。
【0055】
このように、本発明雄では、各フレームの末尾に携帯端末を検出するための自己共存ビーコン(SCBP)を含む自己共存領域を形成してなり、SCBPは、プリアンブルと、その自己共存処理を行うためのSCBP情報とを含むパケットフォーマットからなる。
【0056】
IEEE802.16nネットワークの携帯端末が、自己共存を実現するために、隣接するネットワークを検出することが必要となる。
【0057】
ネットワークエントリーのプロセスにおいて、データ送信の前に、IEEE802.16nネットワークの基地局(ベース基地局、中継基地局、モバイル基地局)が隣接するIEEE802.16nネットワークの検出を行う。このとき、仮に隣接ネットワークが存在する場合には、フレーム制御ヘッダ(FCH)又はSCBPパケット等のために無線媒体をスキャニングすることにより行う。
【0058】
通常モードにおいて、IEEE802.16nネットワークのベース基地局は、SCBPパケットのための無線媒体のスキャニングのスケジューリングを行う。ベース基地局を含む1又はそれ以上の基地局は、SCBPのパケットのための媒体のスキャニングを実行するようにスケジューリングが行われている。このスキャニングは自己共存領域において実行される。媒体のスキャニングがスケジューリングされている自己共存領域において、ベース基地局と、その下位層にある基地局の全ては、特に通信は行われない。
【0059】
自己共存モードにおいて、IEEE802.16nネットワークのベース基地局は、未だデータが割り当てられていないフレームにおいて、SCBPパケットのために媒体のス
キャニングがスケジューリングされる。ベース基地局を含む1又はそれ以上の基地局は、SCBPのパケットのための媒体のスキャニングを実行する。このスキャニングは、その動作周波数チャネルにおいて実行されるものである。
【0060】
即ち、ベース基地局は、SCBPを介して隣接する無線通信ネットワークの検出を行う際において、通常モードにおいて、自己共存領域におけるSCBPによる携帯端末の検出をスケジューリングし、自己共存モードにおいて、未だデータが割り当てられていないフレーム中のSCBPによる携帯端末の検出を行うようにスケジューリングを行う。
【0061】
図14は、IEEE802.16nにおける自己共存メカニズムのフローチャートを示している。
【0062】
先ずステップS11において、隣接するIEEE802.16nの携帯端末は、そのベース基地局によって検出される。また、IEEE802.16nの基地局(ベース基地局、中継基地局、モバイル基地局)は、近隣のIEEE802.16nの携帯端末を検出する。このとき、検出対象は、隣接するIEEE802.16nの携帯端末の予約された自己共存領域、並びにそのフレームの予約パターンや、スーパーフレームにおける予約パターン等を含むものである。
【0063】
上述の例において、IEEE802.16nのベース基地局やモバイル基地局は、隣接するIEEE802.16nの携帯端末を検出する場合において、ベース基地局に対しては、ネットワークの検出情報を送信する。
【0064】
次にステップS12へ移行し、ベース基地局は、チャネル取得を行う。
【0065】
次にステップS13へ移行し、仮にベース基地局が他の周波数チャネルの取得に成功した場合、取得したチャネルにおけるデータを送信する通常モード(ステップS14)へと移行する。それ以外はステップS15へと移行する。
【0066】
次にステップS14へ移行し、ベース基地局は、通常のデータサービスモードに移行する。このモードにおいて、ベース基地局は、チャネルを共有する近傍の携帯端末から要求を受信する。そして、これを受信したときに、空の周波数チャネルを検出することを試みる。仮に空のチャネルを検出した場合には、そのデータサービスをそのチャネルで行う。それ以外では、ベース基地局は、その動作チャネル上において、そのフレームに記載されている内容を実施することとなる。
【0067】
ステップS15へ移行した場合、ベース基地局は、選択したチャネル上で、隣接するIEEE802.16nの携帯端末とともにフレームに記述されている内容を実施し、自己共存モードに移行することとなる。WirelessMAN HR-AdvanceにおけるIEEE802.16nでは、スーパーフレームの割り当てが行われる。その後、ステップS16へ移行する。
【0068】
ステップS16では、ベース基地局は、自己共存モードへと移行することとなる。自己共存モードにおいて、仮にベース基地局は、内部要求があった場合(ステップS17)又は外部要求があった場合(ステップS18)に、ステップS12へ移行し、チャネルの獲得のために再度スキャニングを試みる。
【0069】
制御メッセージは、以下の4つからなる。
【0070】
フレーム内容要求(HR−FC−REQ)は、ベース基地局へこれを要求するための要
求情報である。このHR−FC−REQには、自己共存サイクル又はスーパーフレーム内のターゲットとしているフレームの一覧が含まれている。
【0071】
フレーム内容応答(HR−FC−RSP)は、それぞれの要求フレームについて、そのフレーム内容を送信するものである。このHR−FC−RSPには、スーパーフレームの割り当て情報も含まれている。
【0072】
フレーム内容認証(HR−FC−ACK)は、要求されたフレームのそれぞれについて、フレーム内容の取得確認を行うものである。このフレーム内容認証においては、フレーム割り当てに関する認証を含めてもよいし含めないでもよい。
【0073】
フレーム内容公開(HR−FC−REL)は、自己共存サイクルに含められる各フレーム、スーパーフレームの内容を公開する。
【0074】
これらの制御メッセージHR−FC−REQ、HR−FC−RSP、HR−FC−ACK、HR−FC−RELの送受信は、ベース基地局へ要求する側、並びに要求されたベース基地局側との間で、図15に示すようなフローに基づいて行われる。
【0075】
FCS(Frame contention source)は、その内容によって、フレームの取得を意図して
いるIEEE802.16nの携帯端末である。
【0076】
FCSは、受信した自己共存ビーコンを分析することにより、フレームの占有状態を確認する。フレームの内容について確認が必要な場合には、ターゲットとするFCD(Frame Contention Destinations)を特定する。このFCDは、IEEE802.16nの携
帯端末の周囲にあり、図16に示すようなフローに基づいてフレームの内容確認を実行するものである。
【0077】
この図16では、ステップS21においてFCDのターゲットを特定する。次にステップS22において、残っているFCDsから1つを選択する。次にステップS23において、FCDとHR−FC−REQにより占有されている中から、コンテンション(回線争奪)のためのフレームを得る。次にステップS24においてタイマーT1をスタートさせ
るとともに、HR−FC−REQを送信する。次にステップS25へ移行し、タイマーT1が終了するまでに選択されたFCDからHR−FC−RSPを受信したか否かを確認す
る。その結果、これを確認できた場合にはステップS26へ移行し、確認できなかった場合にはステップS22へ移行する。ステップS26では、仮にフレームが認証された場合には、HR−FC−ACKを送信する。ステップS27では、十分なフレームがあるか否かの確認を行う。その結果十分なフレームがあればこの処理は終了する。これに対して、十分なフレームが無ければステップS28へ移行し、FCDsが残存しているか否かを確認する。ステップS28においてFCDsが残っていない場合には、本フローは終了となる。
【0078】
上述の例では、一度FCSがHR−FC−RELを受信した場合には、そのフレームを次の自己共存サイクルから、又はスーパーフレームから承認し、DL-MAPにおいてそのフレームをアップデートする。
【0079】
FCD(Frame contention destination)は、フレーム間におけるフレームコンテンションにおいて得られるIEEE802.16nの携帯端末である。
【0080】
図17は、FCDによるフレームコンテンションの例を示すフローチャートである。FCDが、FCSsからHR−FC−REQを受信した場合(ステップS31)は、ステッ
プS32へ移行する。ステップS32では、(HR−FC−REQを含んでいる)フレームの数を確認する。仮にその数が、要求されている最小値以下の場合には、ステップS35へ移行し、それ以外の場合には、ステップS33へ移行する。ステップ35に移行した場合には、フレームコンテンションを行うことなく、スーパーフレームを割り当て、更にステップS36へ移行してHR−FC−RSPを生成してこれを送信する。ステップS33へ移行した場合には、残存しているフレームのうち、フレームコンテンションを行う最初のフレームの全てのFCSを確認する。このとき、フレーム内の全てのFCS、FCDのセットの中から1つをランダムに選択する(ステップS34)。仮に選ばれた一つがFCDでない場合、選択されたFCSにフレームを合わせる。それ以外では、セットからランダムな選択を引き続き実行する。そして、全てのフレームについて上述したプロセスが終了するまで、残りのフレームの数をチェックする。その後ステップS32へと戻る。
【0081】
FCDがFCSからHR−FC−ACKを受信したとき、HR−FC−RELを抽出することによって対応するフレームを公開する。そして、次の自己共存サイクル又はスーパーフレームから、そのフレーム占有のMAPをアップデートする。
【0082】
ベース基地局は、GPSが実装され、またバックホールネットワークにも接続される。この場合にベース基地局は、GPS信号又はバックホールネットワークからUTCを受信することが可能となる。UTCを受信したベース基地局の最も簡易な同期方法は、その全てを自己共存サイクルのスタート時間に合わせることであり、例えば1秒毎に、或いは1分毎に行う。これを行うことにより、時間の長さ(1秒又は1分)が、HR-OFDMAやHR-Advanceの双方において、自己共存サイクルの持続する上で求められることになる。
【0083】
本発明において、HR-OFDMAインターフェースは、自己共存サイクルを4つのフレームで構成している。自己共存サイクルの長さは、表1に示すとおりである。互いに異なる自己共存サイクルであっても、識別容易な同期時間が示されており、4秒の同期期間は、全ての自己共存サイクルの長さにとって適したものである。
【0084】
上述の分析に基づいて、本発明では、HR-OFDMAにおいて、UTCを受信したベース基地局、スーパーフレームの絶対的な開始時間について同期を取り、毎4秒について±2μ秒の許容誤差を持ちつつ同期を取るようにしてもよい。
【0085】
【表1】

【0086】
HR-Advancedにおいて自己共存サイクルは48フレームからなる。自己共存サイクルの
長さは、表2に示すとおりである。識別容易な同期期間は6秒である。このため、本発明において、UTCを受信可能なベース基地局は、自己共存サイクルにおける絶対的な開始時間で同期を行うことになる。このとき毎6秒について±2μ秒の許容誤差を持ちつつ同期を取るようにしてもよい。
【0087】
【表2】

【0088】
IEEE802.16nネットワークにおいて、ベース基地局は、バックホールネットワーク又はGPSに接続することが可能となる。しかし、ベース基地局のいくつかは、バックホールネットワーク及びGPSの双方に接続することができない。かかる場合において、従来のベース基地局は、UTCを受信することが可能であるが、近年のベース基地局は、UTCを受信することができないためである。
【0089】
本発明において、HR-OFDMAのIEEE802.16nネットワークにとって、UTCを受信可能なベース基地局は、毎4秒について±2μ秒の許容誤差を持ちつつ同期を取るようにしてもよい。そして、ベース基地局は、UTCを受信することが不能なベース基地局は、UTCを受信することが可能なベース基地局と同期を取ることも可能となる。
【0090】
本発明において、HR-AdvancedのIEEE802.16nネットワークにとって、UT
Cを受信可能なベース基地局は、毎4秒について±2μ秒の許容誤差を持ちつつ同期を取るようにしてもよい。そして、ベース基地局は、UTCを受信することが不能なベース基地局は、UTCを受信することが可能なベース基地局と同期を取ることも可能となる。
【0091】
UTCを受信することが不能なベース基地局がカバーしている携帯端末の各基地局が、UTCを受信することが可能なベース基地局がカバーしている隣接する携帯端末の基地局から自己共存ビーコンを受信したとき、その携帯端末と隣接する携帯端末との間における自己共存サイクルの開始時間差を測定することとなる。この開始時間の差異の測定方法は、以下のように行うようにしてもよい。自己共存ビーコンの実際の受信時と、自己共存ビーコンの予想受信時とを比較する。実際の受信時は、自己共存ビーコンのプリアンブルが、これを受信すべき基地局のアンテナに到着した時点に基づいて判断される。
【0092】
上述した例において、自己共存ビーコンを受信した基地局が中継基地局か、又はモバイル基地局である場合には、基地局は、自己共存サイクルの開始時間差をベース基地局へと送信する。ベース基地局は、上述した開始時間差に基づいて、自己共存サイクルの開始時を隣接するベース基地局に合わせる。
【0093】
UTCを受信不能なベース基地局は、2つのカテゴリーに分類される。第1のカテゴリーは、UTCを受信可能なベース基地局とともに同期を行う場合であり、第2のカテゴリーは、UTCを受信可能な他のベース基地局とともに同期を行わない場合である。
【0094】
本発明において、第1のカテゴリーの携帯端末の基地局が、第2のカテゴリーの携帯端末の基地局から自己共存ビーコンを受信可能な場合には、第1のカテゴリーと、第2のカテゴリーとの間で同期をとる。
【0095】
第2のカテゴリーのベース基地局の同期のために、本発明では、より高速なベース基地局が、より低速なベース基地局と同期をとる方法も提案している。第2のカテゴリーのベース基地局の下にある基地局が、自己共存ビーコンを、同一カテゴリーの基地局における隣接する携帯端末の基地局から受信した場合、ビーコンの実際の受信時と、ビーコンの予測受信時との時間差を決定する。実際のビーコンの受信時は、自己共存ビーコンのプリアンブルが受信すべき基地局のアンテナにより受信された時点に基づいて判断される。予測された受信時は、受信基地局の携帯端末において、対応するビーコンプリアンブルの開始時間である。これらの時間差が正である場合には、隣接するベース基地局はより遅れることとなる。そのような遅れた隣接するベース基地局と同期を取るためには、ベース基地局は、時間差によってそのフレームが遅れることとなる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一時間帯で同一周波数チャネルを共有する複数の携帯端末間で互いに干渉することなく共存を行う無線通信共存方法において、
時系列的に複数のフレームを配置するとともに、上記各フレームには上記同一周波数チャネルを共有する携帯端末からそれぞれ送信されてきたデータが割り当て可能とされ、更に上記各フレームの末尾に上記携帯端末を検出するための自己共存ビーコン(SCBP)を含む自己共存領域を形成してなり、上記SCBPは、プリアンブルと、その自己共存処理を行うためのSCBP情報とを含むパケットフォーマットからなる、自己共存サイクルを繰り返し実行し、
ベース基地局は、上記SCBPを介して隣接する無線通信ネットワークの検出を行う際において、通常モードにおいて、上記自己共存領域におけるSCBPによる携帯端末の検出をスケジューリングし、自己共存モードにおいて、未だデータが割り当てられていないフレーム中のSCBPによる携帯端末の検出を行うようにスケジューリングを行うこと
を特徴とする無線通信共存方法。
【請求項2】
上記自己共存サイクルにおけるフレームに割り当てられる携帯端末はIDを介して管理され、
上記携帯端末は、各フレームにそれぞれ割り当てられる携帯端末のIDが、複数の携帯端末間で同一である場合には、代用のSAプリアンブルを送信し、当該SAプリアンブルを介して管理されること
を特徴とする請求項1記載の無線通信共存方法。
【請求項3】
携帯端末を検出した結果、チャネル取得に成功した場合には上記通常モードに移行し、チャネルの取得に失敗した場合には、上記自己共存モードに移行すること
を特徴とする請求項1又は2記載の無線通信共存方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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