説明

無線通信装置、プログラム、および無線通信方法

【課題】無線通信装置、プログラム、および無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線通信装置であって、前記無線通信装置の所在地域を判定する判定部と、他の無線通信装置と無線通信を行う通信部と、前記判定部により判定された前記無線通信装置の所在地域に応じた周波数を前記通信部に設定する設定部と、を備え、前記判定部は、異なる複数の方法により取得される前記無線通信装置の複数の所在地域情報に基づき、前記無線通信装置の所在地域を判定する、無線通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、プログラム、および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、無線LAN規格として、IEEE802.11が世界中で広く普及している。このIEEE802.11により使用される帯域は、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの帯域に大別される。2.4GHz帯は世界共通で使用できるが、5GHz帯の使用可否は国や地域によって異なる。
【0003】
このため、法規に従った周波数の使用のために、多様な提案がなされている。例えば、特許文献1には、アクセスポイントが設置場所で許容されている周波数を正しく使用していることを前提に、テレビジョン(TV)および携帯電話などの無線通信装置(CE機器)が、まずパッシブスキャンを行い、アクセスポイントが電波を発している周波数帯のみを使用することが開示されている。
【0004】
一方、アクセスポイントと無線通信装置とが通信を行う従来の接続形態と異なる、無線通信装置同士で直接通信を行うためのWiFiダイレクトと呼ばれる通信規格が提案されている。このWiFiダイレクトによれば、接続を試みる2の無線通信装置の一方が他方に対して電波を発射することで通信が開始されるので、無線通信装置は、アクセスポイントのパッシブスキャンに依存しない、国情報の他の取得手段を有する必要がある。
【0005】
この点に関し、例えば特許文献2や特許文献3には、無線通信装置がGPSなどに基づいて国を特定し、特定した国において許容されている周波数を設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−141671号公報
【特許文献2】特開2004−274723号公報
【特許文献3】特許第3890290号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、1の方法により取得された国情報が正確であるとは限らない。また、屋内や地下ではGPSに基づいて国を特定することが困難である場合が想定される。このため、無線通信装置が誤った国情報を取得し、所在地において禁止されている周波数を発してしまうことが懸念される。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、所在地域の判定精度を向上することが可能な、新規かつ改良された無線通信装置、プログラム、および無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、無線通信装置であって、前記無線通信装置の所在地域を判定する判定部と、他の無線通信装置と無線通信を行う通信部と、前記判定部により判定された前記無線通信装置の所在地域に応じた周波数を前記通信部に設定する設定部と、を備え、前記判定部は、異なる複数の方法により取得される前記無線通信装置の複数の所在地域情報に基づき、前記無線通信装置の所在地域を判定する、無線通信装置が提供される。
【0010】
前記複数の方法の各々により取得される所在地域情報には優先順位が設定されており、
前記判定部は、前記複数の方法の各々により取得される所在地域情報が異なる場合、優先順位が最も高い方法により取得された所在地域情報に従って前記無線通信装置の所在地域を判定してもよい。
【0011】
前記複数の方法は、GPSを利用する第1の方法、ネットワークにアクセスし、ルータに割り当てられているグルーバルアドレスから所在地域情報を取得する第2の方法、および、受信される放送波に含まれる放送局情報から所在地域情報を取得する第3の方法、を含んでもよい。
【0012】
前記第2の優先順位は前記第1の方法の優先順位よりも低く、前記第3の優先順位は前記第2の方法の優先順位よりも低くてもよい。
【0013】
前記複数の方法は、記憶媒体に事前に登録した所在地域情報を取得する方法を含み、前記判定部は、前記方法により取得される所在地域情報と、他の方法により取得される所在地域情報とが一致した場合、一致した所在地域情報に従って前記無線通信装置の所在地域を判定してもよい。
【0014】
前記設定部は、前記方法により取得される所在地域情報と、前記他の方法により取得される所在地域情報とが一致しない場合、全地域で使用可能な周波数を前記通信部に設定してもよい。
【0015】
前記他の方法は、GPSを利用する方法、ネットワークにアクセスし、ルータに割り当てられているグルーバルアドレスから所在地域情報を取得する方法、または、受信される放送波に含まれる放送局情報から所在地域情報を取得する方法であってもよい。
【0016】
前記判定部は、前記複数の方法の各々により取得される所在地域情報が異なる場合、最も多くの方法で取得された所在地域情報に従って前記無線通信装置の所在地域を判定してもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、無線通信装置であって、前記無線通信装置の所在地域を判定する判定部と、他の無線通信装置と無線通信を行う通信部と、前記判定部により判定された前記無線通信装置の所在地域に応じた周波数を前記通信部に設定する設定部と、を備え、前記判定部は、異なる複数の方法により取得される前記無線通信装置の複数の所在地域情報に基づき、前記無線通信装置の所在地域を判定する無線通信装置、として機能させるためのプログラムが提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線通信装置の所在地域を判定するステップと、判定された前記無線通信装置の所在地域に応じた周波数を利用して他の無線通信装置と無線通信するステップと、を含み、前記所在地域の判定を、異なる複数の方法により取得される前記無線通信装置の複数の所在地域情報に基づいて行う、無線通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、無線通信装置の所在地域の判定精度を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態による無線通信システムの構成を示した説明図である。
【図2】国ごとに許容される周波数を示した説明図である。
【図3】本発明の実施形態による無線通信装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図4】国情報データベースの具体例を示した説明図である。
【図5】放送波の提供モデルを示した説明図である。
【図6】放送波に含まれるサービス情報の構成を示した説明図である。
【図7】放送波を利用する国情報の取得方法を示すフローチャートである。
【図8】放送局情報データベースの具体例を示した説明図である。
【図9】ルータのIPアドレスを利用して国情報を取得する方法を示したフローチャートである。
【図10】判定部による国判定方法の第1の例を示したフローチャートである。
【図11】判定部による国判定方法の第2の例を示したフローチャートである。
【図12】判定部による国判定方法の第3の例を示したフローチャートである。
【図13】判定部による国判定方法の第4の例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて無線通信装置20A、20Bおよび20Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、無線通信装置20A、20Bおよび20Cを特に区別する必要が無い場合には、単に無線通信装置20と称する。
【0023】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.無線通信システムの構成
2.無線通信装置の構成および動作
2−1.国情報の取得方法
(放送波を利用する取得方法)
(GPSを利用する取得方法)
(携帯用基地局の情報を利用する取得方法)
(IPアドレスを利用する取得方法)
(無線LAN用基地局の情報を利用する取得方法)
(初期設定に基づく取得方法)
2−2.国の判定方法
(第1の例)
(第2の例)
(第3の例)
(第4の例)
3.まとめ.
【0024】
<1.無線通信システムの構成>
まず、図1を参照し、本発明の実施形態による無線通信システム1の構成を説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態による無線通信システム1の構成を示した説明図である。図1に示したように、本発明の実施形態による無線通信システム1は、基地局10および複数の無線通信装置20A〜20Cを備える。
【0026】
基地局10は、無線LANのアクセスポイントであって、無線通信装置20を収容することができる。例えば、基地局10は、世界中で広く普及しているIEEE802.11に準拠する。このIEEE802.11により使用される帯域は、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの帯域に大別される。
【0027】
図2に示すように、2.4GHz帯は世界共通で使用できるが、5GHz帯の使用可否は国や地域によって異なる。このため、基地局10は、基地局10の設置国に応じた周波数を使用するように設定される。例えば、日本に設置される基地局10は5500GHz〜5700GHzの周波数を使用するにより設定され得るが、アメリカに設置される基地局10は5500GHz〜5700GHzの周波数を使用できないように設定される。
【0028】
無線通信装置20は、基地局10と無線LANを形成し、基地局10の制御に従って基地局10と通信する。ここで、無線通信装置20も所在地域に応じた周波数を使用する必要がある。このため、基地局10と通信する無線通信装置20Aは、例えばパッシブスキャンを行い、基地局10が設置国で許容されている周波数を正しく使用していることを前提に、基地局10が電波を発している周波数帯を使用してもよい。
【0029】
なお、このような無線通信装置20は、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(テレビジョン装置、チューナ、DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、家庭用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。また、無線通信装置20は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用撮像装置携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器などの情報処理装置であってもよい。
【0030】
一方、図1に示した無線通信装置20Bと無線通信装置20Cのように、無線通信装置20は、WiFiダイレクトと呼ばれる通信規格に従って直接的に接続することも可能である。このWiFiダイレクトによれば、接続を試みる2つの無線通信装置20の一方が他方に対して電波を発射することで通信が開始されるので、無線通信装置20は、基地局10のパッシブスキャンに依存しない、国情報(所在地域情報)の他の取得手段を有する必要がある。
【0031】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態による無線通信装置10は、基地局10のパッシブスキャンに依存せずに、高い精度で所在地域を判定することが可能である。以下、このような本発明の実施形態による無線通信装置10について詳細に説明する。
【0032】
<2.無線通信装置の構成および動作>
図3は、本発明の実施形態による無線通信装置20の構成を示した機能ブロック図である。図3に示したように、無線通信装置20は、チューナ210と、デコーダ220と、表示部230と、GPS処理部240と、無線通信部250と、有線通信部260と、制御部270と、記憶部280と、を備える。
【0033】
チューナ210は、テレビジョン放送波から所望のストリームを抽出し、抽出したストリームをデコーダ220に供給する。なお、テレビジョン放送としては、BS(Broadcast Satellite)放送、CS(communications satellite)放送、地上波デジタル放送、地上波アナログ放送、ケーブル放送など多様な方式のテレビジョン放送があげられる。
【0034】
デコーダ220は、チューナ210から供給されるストリームをデコードすることにより映像信号を取得する。表示部230は、デコーダ220により取得された映像信号を表示する。この表示部230は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、またはOLED(Organic Light Emitting Diode)装置であってもよい。
【0035】
GPS処理部240は、人工衛星から航法メッセージを受信し、航法メッセージに含まれるエフェメリス情報に基づいて現在の位置情報(緯度、経度情報)を推定する。
【0036】
無線通信部250は、基地局10や他の無線通信装置20と通信するための処理を行う。具体的には、無線通信部250は、変復調や信号のマッピング、デマッピング、インタリーブなどの無線信号処理とアンテナ信号処理を行う。また、無線通信部250は、制御部270の設定部276により設定された周波数を使用して無線通信を行う。さらに、無線通信部250は、携帯電話の基地局と通信する機能を有してもよい。
【0037】
有線通信部260は、他装置と有線通信を行うための構成であり、無線通信装置20は、この有線通信部260を介してネットワークと接続することも可能である。
【0038】
制御部270は、国情報取得部272、判定部274および設定部276を有し、無線通信装置20の動作全般を制御する。
【0039】
国情報取得部272は、複数の方法により無線通信装置20の所在国を示す国情報を取得する。詳細については「2−1.国情報の取得方法」において説明するが、国情報取得部272は、放送波を利用する取得方法、GPSを利用する取得方法、IPアドレスを利用する取得方法、または携帯用基地局の情報を利用する取得方法の各々により国情報を取得する。
【0040】
判定部274は、国情報取得部272により複数の方法の各々により取得された国情報に基づき、無線通信装置20の所在国を判定する。ここで、判定部274は、複数の方法の各々により取得された国情報が異なる場合、所定の基準に従って無線通信装置20の所在国を適切に判定することができる。このような判定部274による判定方法については、「2−2.国の判定方法」において詳細に説明する。
【0041】
設定部276は、判定部274により判定された無線通信装置20の所在国において許容されている周波数の使用を無線通信部250に設定されている。ここで、設定部276は、記憶部280に記憶されている国情報データベースに基づいて無線通信装置20の所在国において許容されている周波数を取得することができる。
【0042】
記憶部280は、無線通信装置20の動作に必要な多様な情報を記憶している記憶媒体である。例えば、記憶部280は、国情報データベースや、放送局情報データベースなどを記憶している。以下、図4を参照して国情報データベースの具体例を説明する。
【0043】
図4は、国情報データベースの具体例を示した説明図である。図4に示したように、国情報データベースは、各国において許容されている周波数情報を含む。設定部276は、この国情報データベースに基づき、例えば日本では周波数5180〜5700GHzの使用が許容されていることを把握することができる。
【0044】
なお、このような記憶部280は、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。不揮発性メモリとしては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)があげられる。また、磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などがあげられる。
【0045】
[2−1.国情報の取得方法]
続いて、国情報取得部272が国情報を取得するための複数の方法を説明する。なお、国情報取得部272は、以下に説明する全ての方法を利用する必要はない。また、以下では、国情報の取得方法の一例を説明するに過ぎず、国情報取得部272は、他の方法を利用して国情報を取得してもよい。
【0046】
(放送波を利用する取得方法)
まず、図5〜図8を参照し、受信される放送波に含まれる情報を利用して国情報を取得する方法を説明する。
【0047】
図5は、放送波の提供モデルを示した説明図である。図6は、放送波に含まれるサービス情報(SI:Service Information)の構成を示した説明図である。放送波には、MPEG−TSの他に、例えばPSI(Program Specific Information)やEPG(Electric Program Guide)がサービス情報として含まれる。
【0048】
また、サービス情報には、図6に示したように、NIT(Network Information Table)、BAT(Bouquet Association Table)、およびSDT(Service Description Table)が含まれる。
【0049】
NITに記載される図5に示した衛星方法(Satellite)またはケーブル放送(Cable)などのネットワークは複数のチャンネルを有し、各チャネルにより複数のサービスが提供される。例えば、日本の地上波デジタルでは、1チャンネルに含まれる13セグメントを利用することにより通常放送と1セグ放送が行われている。この中の複数のサービスをまとめてBATで情報を記述できる。また、個々のサービス(各コンテンツ)の情報はSDTに記述される。
【0050】
より詳細には、BATとSDTには、放送可能国と禁止国を示すCountry availability descriptorが含まれる。ただし、サービスは多様なネットワークに転送されることが想定されるので、Country availability descriptorが示す放送可能国は、放送波を受信可能な国より多くの国を含むことが予想される。
【0051】
また、NIT、BATまたはSDTのExtended Descriptorには、ターゲット地域情報(Target region情報)が含まれる。NITにターゲット地域情報が含まれる場合、このターゲット地域情報はネットワーク全体の対象国地域を示す。一方、BATまたはSDTにターゲット地域情報が含まれる場合、このターゲット地域情報は、各bouquetやサービスの対象となる国地域を示す。
【0052】
したがって、国情報取得部272は、無線通信装置20が存在する国情報を、NITのターゲット地域情報から取得してもよい。なお、ターゲット地域情報は、ISO 3166に従って英字3文字の国コードで記述される。例えば、「GBR」は「United Kingdom」に該当し、「DEU」は「Germany」に該当し、「ESP」は「Spain」に該当する。以下、このような放送波を利用する国情報の取得方法をフローチャートに従って説明する。
【0053】
図7は、放送波を利用する国情報の取得方法を示すフローチャートである。図7に示したように、国情報取得部272は、まず、NITにターゲット地域情報が含まれるか否かを判断する(S304)。そして、国情報取得部272は、NITにターゲット地域情報が含まれる場合、当該取得方法による結果リストに、ターゲット地域情報に記載されている国情報を全て記入する(S308)。
【0054】
一方、国情報取得部272は、NITにターゲット地域情報が含まれていない場合、BATまたはSDTのCountry availability descriptorに国情報が含まれるか否かを判断する(S312)。そして、国情報取得部272は、BATまたはSDTに国情報が含まれる場合、全ての国情報を結果リストに記入する(S316)。
【0055】
続いて、国情報取得部272は、結果リストに国情報が記入されている場合には放送波を利用する国情報の取得を終了する(S320)。一方、結果リストに国情報が記入されていない場合、国情報取得部272は、NITのネットワーク名称から国情報をインターネットを利用して検索し、検索された国情報を結果リストに記入する(S324)。
【0056】
なお、記憶部に図8に示す放送局情報データベースが記憶されている場合、国情報取得部272は、放送局情報データベースから国情報を検索してもよい。
【0057】
図8は、放送局情報データベースの具体例を示した説明図である。図8に示したように、放送局情報データベースは、放送局(ネットワーク)と対応付けられた国情報を含む。したがって、NITのネットワーク名称が「ネットワークY」である場合、国情報取得部272は、放送局情報データベースにおいて「ネットワークY」と対応付けられている国情報「DEU」を検索し、国情報「DEU」を結果リストに記入してもよい。
【0058】
(GPSを利用する取得方法)
国情報取得部272は、GPS処理部240により推定された無線通信装置20の位置情報に基づいて国情報を取得することも可能である。例えば、記憶部280に各国の範囲情報が保持されている場合、国情報取得部272は、各国の範囲情報を参照し、GPS処理部240により推定された位置情報を包含する国を示す国情報を取得してもよい。
【0059】
または、国情報取得部272は、GPS処理部240により推定された位置情報を国情報に変換するWebサーバに送信することにより、Webサーバから国情報を取得してもよい。
【0060】
(携帯用基地局の情報を利用する取得方法)
無線通信装置20が携帯電話機能を有する場合、国情報取得部272は、発見された携帯電話用の基地局から国情報または地域情報を取得してもよい。例えば、国情報取得部272は、携帯電話用の基地局からの受信情報に基づいて国情報または地域情報を取得してもよい。
【0061】
(IPアドレスを利用する取得方法)
また、国情報取得部272は、周囲のルータのIPアドレスに基づいて国情報を取得してもよい。以下、ルータのIPアドレスを利用して国情報を取得する方法をフローチャートに従って説明する。
【0062】
図9は、ルータのIPアドレスを利用して国情報を取得する方法を示したフローチャートである。図9に示したように、まず、無線通信装置20がネットワークにアクセスすると、国情報取得部272は、ルータがUPnPに対応しているか否かを判断する(S354)。そして、ルータがUPnPに対応している場合、国情報取得部272は、UPnPを利用してルータのWAN側のアドレスを取得する(S358)。さらに、国情報取得部272は、取得したルータのアドレスに基づき、Web上のNICを参照することによりルータの所在国を示す国情報を取得する(S362)。
【0063】
一方、ルータがUPnPに対応していない場合、国情報取得部272はインターネット上のアドレスに対してtracerouteコマンドを実行する(S366)。ここで、例えば「renoir% traceroute nws1170 traceroute to nws1170.xxxx.co.jp (133.99.128.170), 30 hops max, 40 byte packets」というtracerouteコマンドを利用した場合、以下のような返答が得られる。
【0064】
1 karel1 (133.99.10.1) 0.748ms 0.687ms
0.679ms
2 cisc194 (133.99.194.250) 1.321ms
1.303ms 1.283 ms
3 cisckan (133.99.144.254) 1.869ms
1.772ms 1.751ms
4 nws1170 (133.99.128.170) 2.394ms *
2.167ms
【0065】
国情報取得部272は、このような返答結果を得ると、返答結果における無線通信装置20の次のアドレスを抽出する(S370)。そして、国情報取得部272は、抽出したアドレスがプライベートアドレスである場合(S374)、S362に示す処理に移行し、抽出したアドレスがプライベートアドレスでない場合、さらに次のアドレスを抽出してS374の処理に移行する(S378)。
【0066】
なお、ルータがUPnPに対応するゲートウェイ装置である場合には、GetExternalIPAddressコマンドを利用してグローバルアドレスを取得することが可能である。
【0067】
(無線LAN用基地局の情報を利用する取得方法)
国情報取得部272は、無線LAN用の基地局10から受信されるMACアドレス(識別情報)に基づいて国情報を取得してもよい。例えば、国情報取得部272は、基地局10のMACアドレスと位置情報を対応付けて記憶しているWebサーバにアクセスすることにより、基地局10の国情報を無線通信装置20の所在国を示す国情報として取得してもよい。
【0068】
(初期設定に基づく取得方法)
無線通信装置20のユーザにより無線通信装置20の国情報が初期設定において入力され、記憶部280に記憶されている場合も考えられる。この場合、国情報取得部272は、ユーザにより設定された国情報を記憶部280から取得してもよい。
【0069】
[2−2.国の判定方法]
以上、国情報取得部272による国情報の多様な取得方法を説明した。続いて、図10〜図13を参照し、国情報取得部272により各取得方法により取得された国情報に基づいて判定部274が無線通信装置20の所在国を判定する方法を説明する。
【0070】
(第1の例)
図10は、判定部274による国判定方法の第1の例を示したフローチャートである。図10に示したように、判定部274は、まず、国情報取得部272により方法ごとに得られた結果リストから1つの結果リストを選択する(S404)。なお、結果リストは、国情報取得部272が国情報のある取得方法により取得した国情報が記入されたリストである。
【0071】
次に、判定部274は、結果リストに含まれる国情報を選択し(S408)、選択した国情報が集計リストに含まれるか否かを判断する(S412)。そして、選択した国情報が集計リストに含まれる場合、判定部274は、集計リスト上のその国情報のカウント数を1インクリメントする(S416)。一方、選択した国情報が集計リストに含まれない場合、判定部274は、集計リストにその国情報を追加する(S420)。なお、集計リストは、複数の結果リストの内容を集計することにより得られるリストである。具体的には、集計リストは、国情報と、当該国情報がいくつの取得方法により取得されたかを示すカウント数情報とを含む。
【0072】
判定部274は、S404において選択した結果リスト中の全ての国情報を処理するまで、S408〜S420の処理を繰り返す(S424)。さらに、判定部274は、国情報取得部272により得られた全ての結果リストを処理するまでS404〜S424の処理を繰り返す(S428)。
【0073】
そして、判定部274は、全ての結果リストの処理を終了すると、集計リストの中でカウント数が一番大きい国情報を選択する(S432)。すなわち、判定部274は、集計リストの中でカウント数が一番大きい国情報が、無線通信装置20の所在国を示す国情報であると判定する。その後、設定部276が、判定部274により判定された国で使用可能な周波数(無線CH)を無線通信部250に設定する(S436)。
【0074】
このように、第1の例によれば、複数の方法により取得された国情報のなかで、最も多くの方法により取得された国情報を無線通信装置20の所在国を示す国情報として判定することができる。したがって、単に1つの方法により国情報を取得する場合と比べて、国情報の判定精度を向上することが可能である。
【0075】
(第2の例)
図11は、判定部274による国判定方法の第2の例を示したフローチャートである。図11に示したように、判定部274は、まず、国情報取得部272により方法ごとに得られた結果リストから1つの結果リストを選択する(S504)。
【0076】
次に、判定部274は、結果リストに含まれる国情報を選択し(S508)、選択した国情報が集計リストに含まれるか否かを判断する(S512)。そして、選択した国情報が集計リストに含まれる場合、判定部274は、集計リスト上のその国情報のカウント数を1インクリメントする(S516)。一方、選択した国情報が集計リストに含まれない場合、判定部274は、集計リストにその国情報を追加する(S520)。
【0077】
判定部274は、S504において選択した結果リスト中の全ての国情報を処理するまで、S508〜S520の処理を繰り返す(S524)。さらに、判定部274は、国情報取得部272により得られた全ての結果リストを処理するまでS504〜S524の処理を繰り返す(S528)。
【0078】
そして、判定部274は、全ての結果リストの処理を終了すると、集計リストに含まれる国情報を選択する(S532)。さらに、判定部274は、選択した国情報のカウント数が結果リストの数、または結果リストの数−1である場合(S536)、この国情報を候補リストに追加する(S540)。判定部274は、集計リスト中の全ての国情報を処理するまで、S532〜S540の処理を繰り返す(S544)。
【0079】
その後、判定部274は、集計リスト中の全ての国情報の処理を終了すると、候補リストに含まれる国情報が1つであるか否かを判断する(S548)。そして、判定部274は、候補リストに含まれる国情報が1つである場合、当該国情報が無線通信装置20の所在国を示す国情報であると判定する(S552)。一方、候補リストに複数の国情報が含まれる場合、判定部274は、表示部230に候補リストを表示させ、ユーザにより選択された国が無線通信装置20の所在国であると判定する(S556)。その後、設定部276が、判定部274により判定された国で使用可能な周波数(無線CH)を無線通信部250に設定する(S560)。
【0080】
このように、第2の例によれば、無線通信装置20の所在国の自動判定が困難である場合にはユーザによる国選択を促すことにより、周波数のより安全な運用を実現することが可能である。
【0081】
(第3の例)
図12は、判定部274による国判定方法の第3の例を示したフローチャートである。図12に示したように、判定部274は、まず、国情報取得部272により方法ごとに得られた結果リストから1つの結果リストを選択する(S604)。
【0082】
次に、判定部274は、結果リストに含まれる国情報を選択し(S608)、選択した国情報が集計リストに含まれるか否かを判断する(S612)。そして、選択した国情報が集計リストに含まれる場合、判定部274は、集計リスト上のその国情報のカウント数を1インクリメントする(S616)。一方、選択した国情報が集計リストに含まれない場合、判定部274は、集計リストにその国情報を追加する(S620)。
【0083】
判定部274は、S604において選択した結果リスト中の全ての国情報を処理するまで、S608〜S620の処理を繰り返す(S624)。さらに、判定部274は、国情報取得部272により得られた全ての結果リストを処理するまでS604〜S624の処理を繰り返す(S628)。
【0084】
そして、判定部274は、全ての結果リストの処理を終了すると、集計リストに含まれる国情報を選択する(S632)。さらに、判定部274は、選択した国情報のカウント数が結果リストの数、または結果リストの数−1である場合(S636)、この国情報を候補リストに追加する(S640)。判定部274は、集計リスト中の全ての国情報を処理するまで、S632〜S640の処理を繰り返す(S644)。
【0085】
その後、判定部274は、集計リスト中の全ての国情報の処理を終了すると、候補リストの中にユーザにより初期設定された国情報が含まれるか否かを判断する(S648)。そして、判定部274は、候補リストの中にユーザにより初期設定された国情報が含まれる場合、当該国情報が無線通信装置20の所在国を示す国情報であると判定する。続いて、設定部276が、判定部274により判定された国で使用可能な周波数(無線CH)を無線通信部250に設定する(S566)。
【0086】
一方、候補リストの中にユーザにより初期設定された国情報が含まれていない場合、設定部276は、世界共通で使用可能な周波数のみを無線通信部250に設定する(S652)。
【0087】
このように、第3の例によれば、候補リストの中にユーザにより初期設定された国情報が含まれていないという、いずれの国情報の信頼性も疑わしい場合には、世界共通で使用可能な周波数を設定することができる。
【0088】
(第4の例)
図13は、判定部274による国判定方法の第4の例を示したフローチャートである。図13に示したように、判定部274は、まず、国情報取得部272により各方法により取得された国情報が異なるか否かを判断する(S704)。そして、判定部274は、各方法により取得された国情報が同一である場合、当該国情報が無線通信装置20の所在国を示す国情報であると判定する。続いて、設定部276が、判定部274により判定された国で使用可能な周波数(無線CH)を無線通信部250に設定する(S708)
【0089】
一方、各方法により取得された国情報が異なる場合、判定部274は、最も優先順位の高い方法により取得された国情報を判定する(S712)。ここで、各取得方法の優先順位は事前に決定されている。例えば、GPSを利用する取得方法の優先順位が最も高く、ルータのIPアドレスを利用する取得方法の優先順位が次に高く、放送波を利用する取得方法の優先順位が次に高くてもよい。なお、放送波を利用する取得方法の優先順位が低いのは、無線通信装置20が隣接国の放送波を受信してしまう場合も想定されるからである。続いて、設定部276が、判定部274により判定された国で使用可能な周波数(無線CH)を無線通信部250に設定する(S716)。
【0090】
このように、第4の例によれば、国情報の取得方法の優先順位に従って合理的に無線通信装置20の所在国を判定することが可能である。例えば、GPSによる取得方法の信頼性は高いので、GPSにより国情報を取得できた場合には当該国情報を最も優先し、GPSにより国情報を取得できなかった場合には、次に優先順位の高い方法により取得された国情報を用いることが可能である。
【0091】
<3.まとめ.>
以上説明したように、本発明の実施形態による無線通信装置20は、複数の異なる方法により無線通信装置20の国情報を取得することができる。さらに、無線通信装置20は、複数の方法により取得された国情報に基づいて無線通信装置20の所在国を判定するので、所在国の判定精度の向上を実現することが可能である。
【0092】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0093】
例えば、本明細書の無線通信装置20の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、無線通信装置20の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0094】
また、無線通信装置20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した無線通信装置20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0095】
10 基地局
20 無線通信装置
210 チューナ
220 デコーダ
230 表示部
240 GPS処理部
250 無線通信部
260 有線通信部
270 制御部
272 国情報取得部
274 判定部
276 設定部
280 記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置であって:
前記無線通信装置の所在地域を判定する判定部と;
他の無線通信装置と無線通信を行う通信部と;
前記判定部により判定された前記無線通信装置の所在地域に応じた周波数を前記通信部に設定する設定部と;
を備え、
前記判定部は、異なる複数の方法により取得される前記無線通信装置の複数の所在地域情報に基づき、前記無線通信装置の所在地域を判定する、無線通信装置。
【請求項2】
前記複数の方法の各々により取得される所在地域情報には優先順位が設定されており、
前記判定部は、前記複数の方法の各々により取得される所在地域情報が異なる場合、優先順位が最も高い方法により取得された所在地域情報に従って前記無線通信装置の所在地域を判定する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記複数の方法は、
GPSを利用する第1の方法、
ネットワークにアクセスし、ルータに割り当てられているグルーバルアドレスから所在地域情報を取得する第2の方法、および、
受信される放送波に含まれる放送局情報から所在地域情報を取得する第3の方法、を含む、請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第2の優先順位は前記第1の方法の優先順位よりも低く、前記第3の優先順位は前記第2の方法の優先順位よりも低い、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記複数の方法は、記憶媒体に事前に登録した所在地域情報を取得する方法を含み、
前記判定部は、前記方法により取得される所在地域情報と、他の方法により取得される所在地域情報とが一致した場合、一致した所在地域情報に従って前記無線通信装置の所在地域を判定する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記方法により取得される所在地域情報と、前記他の方法により取得される所在地域情報とが一致しない場合、全地域で使用可能な周波数を前記通信部に設定する、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記他の方法は、GPSを利用する方法、ネットワークにアクセスし、ルータに割り当てられているグルーバルアドレスから所在地域情報を取得する方法、または、受信される放送波に含まれる放送局情報から所在地域情報を取得する方法である、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記複数の方法の各々により取得される所在地域情報が異なる場合、最も多くの方法で取得された所在地域情報に従って前記無線通信装置の所在地域を判定する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項9】
コンピュータを、
無線通信装置であって、
前記無線通信装置の所在地域を判定する判定部と;
他の無線通信装置と無線通信を行う通信部と;
前記判定部により判定された前記無線通信装置の所在地域に応じた周波数を前記通信部に設定する設定部と;
を備え、
前記判定部は、異なる複数の方法により取得される前記無線通信装置の複数の所在地域情報に基づき、前記無線通信装置の所在地域を判定する無線通信装置、として機能させるための、プログラム。
【請求項10】
無線通信装置の所在地域を判定するステップと;
判定された前記無線通信装置の所在地域に応じた周波数を利用して他の無線通信装置と無線通信するステップと;
を含み、
前記所在地域の判定を、異なる複数の方法により取得される前記無線通信装置の複数の所在地域情報に基づいて行う、無線通信方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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