説明

無線通信装置および無線通信システム

【目的】デジタルコードレス電話において、基地局と複数の子機があるときに、子機どうしの通信状態を相互に知ることができるようにして、子機どうしで通信する場合に不要な操作をしなくても良いようにし、子機どうしで通信するときの使い勝手を良くする。
【構成】一つ以上の基地局101となる無線通信装置と、複数の子機103となる無線通信装置とからなる無線通信システムにおいて、複数の子機103が、複数の子機の中の一つの子機の使用状態が、基地局101を通じて、他の子機へ通知される。通知された子機は、それを表示部308に表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無線通信装置および無線通信システムに係り、特に、基地局と複数の子機からなるシステムであるときに、子機どうしの通信の使い勝手を良くするものであり、デジタルコードレス電話として利用される無線通信装置および無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】デジタルコードレス電話システムの規格については、財団法人電波システム開発センター、平成4年12月18日発行の第二世代コードレス電話システム標準規格第1版に規定されている。
【0003】これによれば、基地局側無線装置では、制御用チャネルと通話用チャネルを時分割で最大同時4チャネルまで有し、制御用のチャネルにより制御情報を支配下のエリアに常に送信する。子機より発呼する場合は、この制御チャネルによって基地局に通信チャネルの割当を要求する。割当を要求された基地局では、通話可能な周波数と時分割スロットを通知する。
【0004】子機は、この割り当てられた通話チャネルにより基地局と呼を設定し、基地局は、交換機を通じて相手側に呼設定要求を通知し、相手が呼を設定した場合、相互の通話を開始する。
【0005】子機に着呼する場合は、制御チャネルにより着呼情報を子機に通知する。そこで子機は、通信チャネルの割当を要求し、要求された基地局では通話可能な周波数と時分割スロットを通知する。子機はこの割り当てられた通話チャネルにより基地局と呼を設定し、交換機を通じ相手側と相互の通話を開始する。ここで、基地局対子機の呼設定は相互独立であり、また基地局が同時に実現できる最大同時通話チャネルは、3チャネルである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のデジタルコードレスシステムでは、一つの基地局の支配下にある複数の子機の呼状態、すなわち他の子機が待受中、通話中、電源停止中などの情報を、他の子機から知ることはできなかった。そのため、ある子機より発呼した場合に、基地局で制御可能な通話チャネルが、すべて他の子機に使用され発呼ができない状態であっても、その子機では発呼不能な原因が分からず、発呼したユーザーは発呼できるまで発呼操作をおこなうなど不要な操作が必要になるという問題点があった。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、基地局と複数の子機があるときに、子機どうしの通信状態を相互に知ることができるようにして、子機どうしで通信する場合に不要な操作をしなくても良いようにし、子機どうしで通信するときの使い勝手の良い無線通信装置および無線通信システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の無線通信装置に係る発明の構成は、無線による通信手段を有する無線通信装置において、その無線通信装置を複数用いて、交互に呼を設定し相互通信をおこなうシステムに使われるときに、各々の無線通信装置間の呼状態を、他の無線通信装置に通知する手段を設けたようにしたものである。
【0009】また、別の構成は、複数の無線通信装置から、共通に送受信可能な無線通信装置において、送受信している複数の無線通信装置の各々の無線通信装置の状態を記憶する装置を持ち、その状態を記憶した無線通信装置とは、別の無線通信装置にその記憶した状態を通知するようにしたものである。
【0010】上記目的を達成するために、本発明の無線通信システムに係る発明の構成は、一つ以上の基地局となる無線通信装置と、複数の子機となる無線通信装置とからなる無線通信システムにおいて、前記複数の子機が、前記一つ以上の基地局と無線による通信がおこなえる手段を有し、前記複数の子機の中の一つの子機の使用状態が、前記基地局を通じて、他の子機へ通知されるするようにしたものである。
【0011】また、別の構成は、一つ以上の基地局となる無線通信装置と、複数の子機となる無線通信装置とからなる無線通信システムにおいて、前記複数の子機が、前記一つ以上の基地局と無線による通信がおこなえる手段を有し、前記複数の子機の使用状態を基地局で記憶し、前記基地局を通じて、各々の子機に、その子機とは他の子機の使用可否を、通知するようにしたものである。
【0012】
【作用】基地局では、各子機の通信状態を記憶しておき、他の子機にそれを知らせてやる。子機では、他の子機の通信状態、ときには通信の可否を表示部に表示することができるので、ユーザーは、通信可能なときにのみ、他の子機を呼び出せば良いので、不要な操作をすることがなくなるという作用がある。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係る一実施例を図1ないし図3R>3を用いて説明する。先ず、図1を用いて本実施例に係る無線システムのシステム構成図について説明する。図1R>1は、本実施例に係る無線システムのシステム構成図である。
【0014】101は基地局で、電話回線102により、交換機103に接続されている。また、この基地局101は、エリア内の子機104〜111に空中線112を通じ、無線回線により接続される。このシステムで基地局が、交換機と電話回線102を通じて、複数回線で接続されている場合、複数の子機は基地局との間に、同時に呼を設定できる。各子機では、その状態、■電源OFF状態、■電源ONで待ち受け状態、■通信中状態、などの状態に変化が有った場合に、その情報を制御チャネルを通じて、基地局に通知するものとする。
【0015】次に、図2を用いて基地局と子機の内部構成を説明する。図2は、基地局と子機の内部構成をあらわすブロック図である。
【0016】最初に、基地局の内部構成について説明する。図2(a)で示されるように、基地局では、空中線112により伝えられたデータを、無線受信部201により受信する。そして、データ解析部202により伝えられたこれらの情報を解読し、各子機の情報として伝えられた状態をデータ記憶部203に記憶する。また、この情報は、無線送信部204により各子機へ送信される。なお、基地局内の無線受信部201、データ解析部202、無線送信部204は、制御部205によりそれぞれ制御されている。
【0017】また、制御情報を送信するチャネルは、時分割スロットの一つが割り当てられ、基地局から、常に送信されている。
【0018】次に、子機の内部構成について説明する。図2(b)で示されるように、電源ONにより、待ち受け状態となった子機は、常に基地局からの制御情報を受信している。無線受信部302により空中回線112を通じてデータが受信され、データ解析部303により、この制御情報がデータとして解析される。データ情報としては、各子機の番号、子機の状態などが含まれる。もちろん、この子機の状態によって、現在その子機が使用可能であるか否かも判断できる。解析されたデータは、データ記憶部304に記憶される。記憶されている情報と異なる情報が制御情報として入力された場合、この情報は、書き替えられる。
【0019】一方、各子機は、状態の変化を制御部309に通知し、制御部309は、無線送信部301から基地局に制御チャネルを利用して送信する。ユーザーがこの情報を見たいときには、子機のキー305の操作により、この情報の表示要求を入力する。入力されたキー情報は、操作部306により解読される。この表示要求によりデータ記憶部304から各子機の情報を読みだし、表示制御部307により子機情報を表示部308に表示する。なお、子機内の無線受信部302、データ解析部303、操作部306、表示制御部307は制御部309によりそれぞれ制御されている。
【0020】次に、図3を用いて子機での通信状態の表示例について説明する。図3は、表示部に通信状態を表示しているときの子機の正面図である。
【0021】図3(a)の例では、状態の表示される対象の子機の子機番号が「P1」、通信中の子機状態が「ツウシンチュウ」で表示されている。
【0022】また、図3(b)の例では、子機番号が「P2」の子機が使用可能であり、他の子機から呼び出し可能であることを示している。
【0023】なお、これらの表示状態の切り換えは、表示モード切換えキーk1によっておこなうことができる。また、これらの表示情報は、スクロールキーk2を押すことにより、スクロール制御機能によって、次々に各子機の状態を表示させることも可能である。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、基地局と複数の子機があるときに、子機どうしの通信状態を相互に知ることができるようにして、子機どうしで通信する場合に不要な操作をしなくても良いようにし、子機どうしで通信するときの使い勝手の良い無線通信装置および無線通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る無線システムのシステム構成図である。
【図2】基地局と子機の内部構成をあらわすブロック図である。
【図3】表示部に通信状態を表示しているときの子機の正面図である。
【符号の説明】
101…基地局 102…電話回線 103〜111…子機
112…空中線
201…無線受信部 202…データ解析部 203…データ記憶部
204…無線送信部 205…制御部
301…無線送信部 302…無線受信部 303…データ解析部
304…データ記憶部 305…キー 306…操作部
307…表示制御部 308…表示部 309…制御部
k1…表示モード切換えキー k2…スクロールキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 無線による通信手段を有する無線通信装置において、その無線通信装置を複数用いて、交互に呼を設定し相互通信をおこなうシステムに使われるときに、各々の無線通信装置間の呼状態を、他の無線通信装置に通知する手段を設けたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】 複数の無線通信装置から、共通に送受信可能な無線通信装置において、送受信している複数の無線通信装置の各々の無線通信装置の状態を記憶する装置を持ち、その状態を記憶した無線通信装置とは、別の無線通信装置にその記憶した状態を通知することを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】 一つ以上の基地局となる無線通信装置と、複数の子機となる無線通信装置とからなる無線通信システムにおいて、前記複数の子機が、前記一つ以上の基地局と無線による通信がおこなえる手段を有し、前記複数の子機の中の一つの子機の使用状態が、前記基地局を通じて、他の子機へ通知されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】 一つ以上の基地局となる無線通信装置と、複数の子機となる無線通信装置とからなる無線通信システムにおいて、前記複数の子機が、前記一つ以上の基地局と無線による通信がおこなえる手段を有し、前記複数の子機の使用状態を基地局で記憶し、前記基地局を通じて、各々の子機に、その子機とは他の子機の使用可否を、通知することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【公開番号】特開平8−116570
【公開日】平成8年(1996)5月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−253290
【出願日】平成6年(1994)10月19日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)