説明

無線電力供給ターミナル

【課題】 ELF若しくはVLF帯域を使用することにより、従来にない電力を長距離に渡って供給することを本発明の課題とする。
【解決手段】 ELF若しくはVLF等の長波を利用して磁界による誘導結合を持って電力を供給することを特徴とする無線電力供給ターミナル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を利用した無線による電力供給の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDを代表として遠隔通信を行なう媒体では、無線による電力供給は従来から行なわれているが、周波数特性に起因する人体影響が原因となり満足な電源供給を行なえていない。しかし、電子回路を使用する上で電力供給は欠かせない条件である。電力を必要とする機能重視の媒体などでは電池を実装し電源供給を行なっているのが現状である。またRFIDではないが無線通信を行なう媒体でありながら電源コードの接続により電源供給を行なうものも少なからず存在する。無線通信を行なう媒体において電源コードが存在することは無線の価値を著しく損なうこととなるのは言うまでもない。
すなわち、現在の技術では機能的に制限し無線電力を使用するか、物理的な電源供給手段を採用して機能を優先するかが常に問われることとなっている。
一例を挙げると13.56MHz帯を使用するパッシブ型のRFIDである。電波特性としては電磁結合の限界点であるλ/2Πの距離は約3.5mとなり、これは周波数特性に起因する電磁結合の限界距離である。つまり同じ方法で13.56MHz帯を使用する限り約3.5mを超えて通信することは不可能であることを意味する。そして電波障害などの影響を考慮し送信電力を制限した結果、同帯域で現実の媒体では約1m程度の通信距離しか持てないのである。
【0003】
また電源供給手段を採用することにより、製造費および保守費用などに負担が掛かることとなる。このためRFIDでは、物流システムへの応用に無限の可能性があるのにも関わらず、実際の使用には至らないことが多々見受けられる。
このように低コストで利便性を上げる方法として無線電力供給は重要な意味を持つのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ELF若しくはVLF帯域を使用することにより、従来にない電力を長距離に渡って供給することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ELF若しくはVLF等の長波を利用して磁界による誘導結合を持って電力を供給することを特徴とする無線電力供給ターミナル。
【0006】
共振周波数を水晶発振器等から無線電波に必要な共振周波数を得ることを特徴とする。
【0007】
ACコンセント等の電力元に予め必要な周波数成分を混入することにより無線電波に必要な共振周波数を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、従来から行なわれている無線電力供給よりも大きな電力を供給することが可能となる。また無線電力の増大は現在よりも遠距離にて電力供給を行なうことが可能となる。このことは通信についても同様の効果が期待できるものである。
【0009】
しかも、高周波帯域のように人体と共振することによる悪影響が回避できるものである。これは長波帯の波長が数キロメートルから数十キロメートルと極端に長くなるために人体との共振が物理的にあり得ないからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の無線電力供給ターミナルは、ELF若しくはVLF帯域を利用し誘導性の電磁結合により電力を供給するものである。
【実施例】
【0011】
以下、図1を参照して本発明の一実施例を詳細に説明する。
交流電源4をACコンセント若しくは配電設備などに接続し得るものとする。日本国内で言えば一般的なAC100Vである。尚、交流電源4については装置内で直流変換し電子回路への電源として利用することも考えられる。
【0012】
共振周波数抽出回路2により交流電源4から出力用共振回路1に必要な発振周波数の信号を抽出する。この発振周波数を混入および抽出する点においては電力線通信技術に同様のものである。但し、このことは本発明の解決する課題とは直接関与せず、あくまでも周辺技術の一つである。
【0013】
共振周波数抽出回路2から得た信号によりトランジスタ3を介して出力用共振回路1伝達する。出力用共振回路1により電磁波を発生する。無線電力供給ターミナル近傍界内にある電力受給デバイスは誘導結合により電力を得る。
尚、ここで言う電力受給デバイスとは無線電力供給ターミナルと同じ共振周波数による電力受信機能を持つものとする。
【0014】
図1に対して図2は交流電源4を経由して共振周波数の信号を受け取る方式ではなく、水晶発振器7などの発振回路を実装し出力電磁波の発振源とするものである。
この方法では電力通信技術などのように配電設備を改造する事無く電力供給用の電磁波を出力することが可能となる。
【0015】
本発明の無線電力供給ターミナルでは、特に電磁波を使用する上で周波数帯域を限定するものではないが、到達距離および人体への影響度においてELF/VLFなどの長波帯域を優位なものと考えて使用する。
【0016】
一例として任意の周波数における1mおよび10m地点での磁界強度を下記に試算する。計算式および各設定値を下記に記述する。
磁界強度H=I・N・R^2/2√(R^2+x^2)^3
I=電流、N=コイルの巻数、R=コイル半径、x=コイル中心からの距離
I=10A,N=100、R=10mm,x=1m
10*100*(10*10^−3)/2√((10*10^−3)^2+1^2)^3=5m
上記結果より、1m地点では5mA/mの磁界強度が得られる。また10m地点では距離の10倍に対して反比例し60dBの減少を招くことから5uA/mとなる。
【0017】
本発明により、容易に無線電力の供給ターミナルを設置することが可能となる。
図1を見ても解るとおり本発明の構造は非常に単純な構造で実現が可能であり、このことから小型化が可能なことが容易に推測できる。
また、13.56MHz帯域と比較して人体への影響が少なく長距離の電力供給が実現できる。さらに本発明の実現により通信と電力供給の方法を個別に実現することが可能となる。すなわち、周波数帯域に依存せず無線電力を供給することが容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】無線電力給電ターミナル実施例1
【図2】無線電力給電ターミナル実施例2
【符号の説明】
【0019】
1 出力用共振回路
2 共振周波数抽出回路
3 トランジスタ
4 交流電源
5 バッファ
6 水晶発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ELF若しくはVLF等の長波を利用して磁界による誘導結合を持って電力を供給することを特徴とする無線電力供給ターミナル。
【請求項2】
共振周波数を水晶発振器等から無線電波に必要な共振周波数を得ることを特徴とする請求項1の無線電力供給ターミナル。
【請求項3】
ACコンセント等の交流電力元に予め必要な周波数成分を混入することにより無線電波に必要な共振周波数を得ることを特徴とする請求項1の無線電力供給ターミナル。
【請求項4】
請求項3の方法を用いて特定範囲に無線電力供給を行なうことを特徴とする請求項1の無線電力供給ターミナル。

【図1】
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【図2】
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