説明

無線電力装置及び方法

【課題】無線エネルギー転送システムにおけるアンテナは高いQで共振を維持する、高−Q共振整合を維持する技術を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの無線の場を通して負荷へ電力を供給するための装置であって、前記装置は、時間的に変化する電圧信号に対応する第1の電力レベルで電圧源から第1の無線の場を通して電力を受信するように構成される第1のアンテナ回路と、第2の無線の場を通して前記負荷へ電力を供給するために第2の電力レベルで電力を出力するように構成される第2のアンテナ回路を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は2006年4月21日出願され、「無線回線を介して電子デバイスに電力供給するための方法及びシステム(Method and System for Powering an Electronic Device Via a Wireless Link)」と題する共有及び同時係属の米国特許出願第11/408,793号、及び2007年1月17日出願され、「無線回線を介して電子デバイスにエネルギーを供給するための方法及び装置(Method and Apparatus for Delivering Energy to an Electrical or Electronic Device Via a Wireless Link)」と題する米国特許出願第111654,883号に関係し、前述の各々は参照によってその全体がここに組込まれている。
【0002】
本出願は2007年3月2日に出願された仮出願番号第60/904,628号からの優先権を要求する、その引例によってこれと共にここに組込まれている。
【0003】
[著作権]
この特許文書の開示の一部は著作権保護に制約される材料を含む。それは特許・商標局の特許ファイルまたは記録に載っているので、著作権所有者はあらゆる特許文書または特許開示によるファクシミリ再生に対して反対をしないが、他の場合は全ての著作権権利を留保する。
【0004】
全ての図、表、及び添付書類(Exhibits)は著作権(c)2006、2007第三オプション、LLCであり、全ての権利が留保される。
【背景技術】
【0005】
ポータブル・デバイスへの電力の供給は電力供給を実行するのに様々な形式の電線(wires)を大抵は使用する。携帯電話、ポータブル・コンピューター、または電池のような蓄積電力により動作する任意の他のデバイスといったデバイスは全てデバイスを動作させ、且つ/または電池を充電するためにそのような動力源を必要とし、且つ使用する。
【発明の概要】
【0006】
無線電力転送の技術がここに開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】FCC限界曲線及びEN曲線による電力密度のプロットを示す。
【図2】FCC曲線及びEN曲線による最大磁場(H)のプロットを示す。
【図3】実施例のエア・ループ・アンテナを例示する。
【図4】可変キャパシタンスから形成される同調回路がその等価直列抵抗(ESR)と直列に形成された直列共振回路の概要図を示す。
【図5】アンテナの第二の実施例を例示する。
【図6】異なる周波数について周波数に対するQのプロットを例示する。
【図7】アンテナの第二の実施例を例示する。
【図8】アンテナの等価回路を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例は受信源への無線電力転送の使用を説明する。
【0009】
ここに使用される、用語「無線電力(wireless power)」及び「無線エネルギー(wireless energy)」は有線接続を使用することなく一つの点、領域、場所またはデバイスと他の間で伝送され、電場、磁場、電磁エネルギー、またはそうでないものと関連するものを含めて、制限なく任意の形の動力またはエネルギーを含む。
【0010】
実施例は無線電力供給及び充電システムを開示する。実施例はそれが別の品目、例えば、机または棚に埋込まれ、または壁に埋込まれ、または壁、床、扉などの別の構造物または表面に埋込まれることが可能なサイズの送信器を使用することを述べる。受信器はユーザーによって運ばれ、またはポータブル・デバイス、乗物に、またはランプ、トースター、壁掛けフラット・スクリーン・テレビ、コンピューター或いはコンピューター化デバイス、PDA、個人メディア・デバイス等といった静止デバイスと共に搭載された、小さな移動ユニットまたはクライアント・デバイスと関連する。受信器が送信器の範囲内にあるとき、電力は移動ユニットに転送される。
【0011】
一つの実施例では、無線電力供給−充電システムは実質的には非変調信号またはビーコン(例えば、キャリアのみ)を送る送信器に基づいて開示される。受信器は送信器の放射場からエネルギーを取出すように同調される。その受信器は電子デバイスに電力を供給し、或いは電池を充電する。
【0012】
他の実施例は僅かに変調されるビーコンを使用する。
【0013】
多数の受信器が使用される。多数の送信器は一つまたは多数の受信器に伝送するために使用される。
【0014】
このシステムによって使用されるアンテナはエネルギー伝送及び受取の効率的な手段を割当てる。アンテナはアンテナに利用可能な空間が制限される移動、携帯用デバイスに適合できるように小型であることが望ましい。実施例は、伝送され、且つ受取られる電力に関する特定の特性及び環境に高効率なアンテナを述べる。
【0015】
非常に効率的であるが小さなアンテナは一般的にそれが効率的である狭い周波数帯を持つことをアンテナ理論は示唆する。従って、当業者はより柔軟な伝送及び/または受信特性を可能にするためにこれらのアンテナの使用を回避した。実施例では、適応同調回路が効率的で、なお狭帯域のアンテナの同調を可能にするためにある形状で使用される。
【0016】
一つの実施例は進行電磁波の形でエネルギーを自由空間に送るのではなく、送信アンテナの近接場にエネルギーを蓄えることによる二つのアンテナの間の効率的な電力転送を述べる。この実施例はアンテナの品質因子(Q)を増加させる。これは放射抵抗(R)及び損失抵抗(R)を減少させることができる。
【0017】
一つの実施例では、二つの高Qアンテナは電力を他方に誘導する一つのアンテナと緩く結合された変圧器に同様に反応するように置かれる。それらのアンテナは1000より大きなQを持つ。
【0018】
別の実施例は最大許容照射(Maximum Permissible Exposure:MPE)を述べる(ここでは(他と同様に)最大照射限界はヨーロッパ及び米国の規格によって定義される)。それらは電力密度限界(W/m)、磁場限界(A/m)及び電場限界(V/m)に関して定義される。その限界は自由空間のインピーダンス、377Wを通して関係する。
【0019】
米国では、適用可能な規格はFCC CFR表題47:§2.1091無線周波数放射線照射評価:移動デバイスである。移動デバイスは少なくとも20cmの離間距離が送信器の放射構造体とユーザーまたは近くの人の身体の間で保たれて使用されるように設計された送信デバイスである。評価のために使用される限界は表題47−§1.1310無線周波数放射線照射限界の§1.310に指定される(表1を見よ)。
【0020】
表1:放射線照射のFCC限界は最大許容照射(MAXIMUM PERMISSIBLE EXPOSURE:MPE)を制限する。
【表1】

【0021】
ヨーロッパでは、適用可能な規格はEN60215である。これはICNIRP(非イオン化放射線保護に関する国際委員会)指針[ICN]から導かれてきた。その限界は表2に与えられる。
【表2】

【0022】
電力密度限界及び磁場限界は一つの実施例において特別な関心がある。表1及び表2からのデータを使用して、限界曲線が決定できる。図1はFCC限界曲線100及びEN曲線102による電力密度のプロットを示す。図2はFCC曲線200、及びEN曲線202による最大磁場(H)のプロットを示す。
【0023】
図1及び2はいかに米国の限界が30MHz以下の周波数でよりおおらかであり、そして低周波でアンテナ効率低減の影響を相殺するかを例示している。この研究はどの周波数が最も無線電力転送に最良であるかを知るために周波数の範囲を試験する。
【0024】
本出願はまた無線エネルギー及び電力転送の様々な形態の典型的な理論解析を提供する。
【0025】
ここに開示された実施例はアンテナ型式を述べる。
【0026】
ループ・アンテナは「磁気的(magnetic)」アンテナであり、そして双極子(それは「電気的(electric)」アンテナである)よりその環境の変化に対して感度が低い。そのデバイスが浮遊キャパシタンス、または他の影響によるその環境の変化にさらされるとき、例えば、テーブル上に置かれ、手に保持され、またはポケットに入れられるとき、ループ・アンテナにはある利点がある。実施例では、エア・ループ・アンテナが使用される。別の実施例はフェライト・コアを持つループ・アンテナを使用し、または他のものが使用される。
【0027】
一つの実施例では、エア・ループ・アンテナがフェライト・コアを持つループ・アンテナより好まれる。エア・ループ・アンテナは永久磁石またはその周辺における他の磁気的影響による脱調に対して強い。フェライト・コアは損失を引起こすので、一般に、エア・ループ・アンテナはフェライト・ループ・アンテナより効率的であろう。フェライト・アンテナは大抵重く、そして一般的にその内部に要素部品(components)を置くことができない。一方、他の要素部品はエア・ループ・アンテナのループの中に置くことができる。ループの形状要素は充電されるあるポータブル・デバイスの形状要素の中に適合するように修正され、或いは他の場合には適応される。
【0028】
同一型式のアンテナが送信器と受信器の両方に使用される。送信及び受信アンテナは同じか、異なるサイズであってもよい。
【0029】
実施例はアンテナ回路の一部になる同調回路を述べる。典型的なループ・アンテナは本来誘導的である。容量性要素(capacitive element)はアンテナにおいて共振を誘起する同調回路に使用される。ループ・アンテナが双極子アンテナよりその環境の変化に対して感度が低いとしても、それはその環境の変化によっていくらかの程度まだ脱調されるであろう。従って、その間の回線の品質を維持するために、送信器アンテナか受信器アンテナのいずれかまたは両方を適応的に同調させることはある実施例において望ましい。
【0030】
適応同調は一つの実施例では回路の共振周波数を調整するためにループ・アンテナと直列に使用される容量性要素の値を変えることによって達成される。送信器及び/または受信器における適応同調回路。目標は全体の受信器回路のQができる限り劣化されないことを保証するために高い品質要素(Q)を持つ同調部品を選ぶことである。実施例では、高Qは狭い帯域幅を犠牲にしてでも効率を最大限にするために使用される。
【0031】
図3は実施例のエア・ループ・アンテナを例示する。アンテナは5cm(即ち、2.5cmの半径r)の最大寸法を持ち、そして直径2brx=500μmのN回巻線300が一つの実施例では使用される。アンテナは、例えば、移動デバイスの周辺の周りに置かれる。ループは円とみなされるであろうが、他の形もありうる。キャパシター(コンデンサー)302はループ・アンテナを共振の状態にするためにループ誘導共振器と共に使用される。キャパシター値は次のように定義される。
【数1】

【0032】
線径500μmを使用してエア・ループ・アンテナのインダクタンスを計算することによって、必要なキャパシタンス(capacitance)は任意のいくつかの周波数について計算することができる。
【0033】
一つの実施例では、キャパシター302は、受信器エア・ループを共振の状態にし、且つ同調を維持するために電圧−同調可能なキャパシターとして働く高Qバラクター・ダイオードと並列する高Qの固定チップ・コンデンサであってもよい。図4はそれ自身が可変キャパシタンス402から形成される同調回路400がその等価直列抵抗(ESR)404と直列に形成された直列共振回路の概要図を示す。固定キャパシターはそのESR 408と直列する406として示される。アンテナの全体オーム抵抗410は全体のアンテナ抵抗412と直列する放射抵抗410として分離されて示される。負荷抵抗414及びインダクタンス416も同じく示される。
【0034】
回路では、シンボルは次の意味を持つ。
【0035】
:ループ・アンテナに亘る誘導電圧
rx:ループ・アンテナのインダクタンス
L_rx、Rr_rx、Ra_rx:受信アンテナ損失(オーム)抵抗、放射抵抗、及び全体のアンテナ抵抗(前の二つの合計)
var、Resr_var:同調バラクターのキャパシタンス及その等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance:ESR)
fix、Resr_fix:固定キャパシタンス及びその関連ESR
load_rx:負荷抵抗
一つの実施例はキャパシタンスの変動及び外部要因による脱調を補うために選択された動作周波数のおよそ±5%の同調範囲を選択する。バラクターの同調範囲は固定キャパシタンス値のおよそ±10%であろう。使用される構成部品は好しくは高Qを持ち、その結果それらは回路の全体のQの劣化をできる限り小さくする。
【0036】
一つの実施例では、同調は送信器においてもっぱら実行される。この実施例では、バラクターは受信器に在る要はなく、そして送信器が受信器のを追跡する。このことは受信器ループのどのくらいの共振周波数がループの近くの環境の変化によって影響を受けるかに依る。逆の構成もまた使用できる。
【0037】
高い周波数において、もしくはより大きなループ寸法に関して、もしくはより多くのループ巻き数に関して、非常に小さなキャパシタンスがループを共振状態にするのに必要とされる。実施例では、他がなくてもバラクターだけ、または固定キャパシタンスだけで使用されるであろう。
【0038】
考えられる別の効果は特に高い周波数における、ループの自己共振である。ループ・アンテナ上の巻線間キャパシタンス及び浮遊キャパシタンスが巻線自身のインダクタンスによって共振に至るのでこの効果が生じるであろう。周波数が増加するにつれて、これは減少する。
【0039】
1.3MHzといった低い動作周波数では、より大きな固定キャパシターが必要とされるであろう。例えば、巻回数が5のループ・アンテナによって図3において与えられた寸法を持つループ・アンテナは約3nFの固定キャパシタンスを必要とするであろう。±1パーセント(30pF)のキャパシタンス変動はこれらの型式のキャパシターについて一般的である。示されるように、これは最も利用可能な同調可能キャパシターの同調範囲を越える。従って、低周波において、一つの実施例は送信器だけに適応同調を設置する。
【0040】
動作周波数を増やすか、或いは巻回数を増やすと、固定キャパシタンスのサイズを減少させることを可能にする。さらに大きな巻回数は包装を更に難しくする。従って、多くの巻回数によって、ある形式のアプリケーションの実用的実施は難しくなるであろう。より高い周波数は従ってこの要因が他の場合は制限するであろうアプリケーションにおいてある利益になるであろう。
【0041】
しかしながら、250MHz以上の周波数では、必要とされる固定キャパシターのサイズは非常に小さく、例えば、N=1に関して1pFの程度であり、そしてさらに多くの巻数ではさらに小さくなる。これらの周波数では、固定キャパシターはある場合には全く除去され、そして非常に小さな同調キャパシターだけが使用される。キャパシター・サイズに関するこの物理的限界はまた或るループ寸法について使用できる周波数に制限を与える。より小さな受信器ループ・サイズはより高い周波数またはより多くのループが使用されることを可能にする。
【0042】
低ピコファラッドから低ナノファラッドの範囲のキャパシタンスを持つ典型的な高Q/低ESRは商業的に、例えば、AVX社から入手できる。他に多数のデバイスも使用されるけれども、いくつかの可能で適切なAVXキャパシターの詳細は表3で一覧表になっている。
【表3】

【0043】
一般に、Q、ESR及びCは次の数式、
C=1/ωRser
によって関係付けられる。
【0044】
別の実施例はMEMS(微小電気機械式システム)バラクターを使用する。これは電力消費量を減少させる。
【0045】
共振における図4の回路は性能を評価するために解析される。最初の方法では、バラクターは主固定キャパシターのサイズの10分の1を固定値キャパシターによって置換えられるであろう。AVXデータは両方のキャパシターのために使用されるであろう。図4の同調回路100は単一のR/Cインピーダンスとしてモデル化される。使用される値は以下である。
【0046】
rxは受信器ループにおける電流である。
【0047】
rxは負荷抵抗器における電力である。
【0048】
serは固定キャパシター及びバラクターの等価直列キャパシタンスである、そして
serは固定キャパシター及びバラクターの等価直列抵抗である
共振では、XL=−Xcであるので、リアクタンスは無視できる。回路における抵抗(真の)損失だけが考慮される。
【0049】
発明者は同調されたアンテナの抵抗が負荷抵抗に合致されるとき、電力Prxの最大量 が負荷で利用可能であることを見つけた。言い換えれば、最適条件は、
_rx+R_rx+Rser=Rload_rx
のときである。それらの値は「最適(optimum)」共振の中にまだ留まっている間、20%だけ変動する。
【0050】
実施例では、従って、送信器回路はそのループが発信源に電力整合される共振ループとしてモデル化される。他の形式、サイズ及び寸法のアンテナが他の実施例では送信器のために使用されるけれども、最大寸法20cm(即ち、10cmの半径r)、1mmの線径及び単回巻(N=1)を持つ典型的なエア・ループ・アンテナが実施例に使用される。
【0051】
一つの実施例では、送信器アンテナは、例えば、家の中のベンチまたはテーブル上に、壁の中に、壁電力口の周りに、ガレージ階にまたはガレージ階の中に、冷蔵庫等の後ろに、等々、垂直に置かれるであろう。計算を単純化するために、図3のように、ループは円であるとみなされるであろう。10cm半径の線直径、1mmの線径を持つ図3の単一線ループの送信アンテナは約840nHのインダクタンスを持つ。異なる周波数はこのアンテナとの共振のための異なるキャパシタンス値を必要とするであろう。例えば、1.3MHzは17.85nFのキャパシターを必要とするであろう、13.56MHzは164.1pFを必要とするであろう、64MHzは7.365pFを必要とするであろう、250MHzは0.483pFを必要とし、そして500MHzは0.121pFを必要とするであろう。
【0052】
いくつかの異なるアンテナがここに実施例として述べられる。実施例の試験のために、アンテナは1.5mmの銅線で造られ、そして木製の枠(wooden frame)に固定された。
【0053】
送信アンテナは0.2mの半径、6回巻、及び3MHzの動作周波数を持つ。整合(matching)は二つの同調可能なキャパシターによって実現される。受信アンテナは0.1mの半径を持つ。電力転送/経路利得を考慮する前に、アンテナは独立に同調され、そして測定された。その結果生じる特性は表6に要約される。
【表4】

【0054】
品質因子増加はさらに電力転送を増加させる。例えば、品質因子はマットラブ(Matlab)シミュレーションを使用して増加できる。シミュレーションのために行われた数学的調査は経路利得に関して次の近似式に導く。
【数2】

【0055】
但し、
a=ループ半径[m]
b=線経[m]
Ul=無負荷品質因子
x=送信機アンテナと受信器アンテナ間の距離[m]
上記式は実用的なアンテナについてのものを示し、ループ半径は経路利得に対して高影響を与える。
【0056】
第二実施例のアンテナ
図5はアンテナの第二の実施例を例示する。この実施例は伝送電力502が届けられる結合ループ500間の最大化電力転送を取得する。結合ループは最適化Qを持つ共振器へ放射する。この実施例は二つのキャパシターから作られた結合ネットワークの代わりに共振器として働く結合ループを使用する。これは整合ネットワークを省略することによって損失を減少させる。結合ループとアンテナとの間の結合は理想的な変圧器として概念化できる。
【0057】
アンテナは線表面を増加させることによって損失抵抗を減少させるために、例えば、銅管等から作られる。その上、表面は銀(Ag)または当分野で周知の別の高伝導度材料で鍍金(めっき)される。この形式の構造体によって、下記でさらに詳細に述べられるように、10の程度の品質因子が達成される。アンテナの共振器部分はまた高品質因子(Q)について最適化される。これは巻回数を増加させ、線の表面を増加させ、そしてアンテナの隔離または取付けによる誘電損失を減少させることによって行われる。
【0058】
アンテナの共振周波数を同調させるために、同調可能なキャパシター504、512は双方のアンテナの底で統合される。そのキャパシターはキャパシターの2枚の平板の間の距離を変えるために3本のねじを使用することによって同調可能な金属平板である。キャパシターはアンテナの自己キャパシタンス(self-capacitance:CS)を支配する。表6Aはこれらのアンテナの特性を例示する。
【表5】

【0059】
アンテナの典型的な実施例は6.0mmの外径を持つ銅管から形成される。その表面は銀めっきされる。これは銅を腐食から保護し、そして表面の伝導率を僅かだが増加させる。
【0060】
8mmの同調可能なキャパシターの典型的な平板−距離によって、その結果生じる計算共振周波数は14.4MHzである。
【0061】
1300のQを使用すると、経路利得は1mで約−10dBであり、それは0.1の因子に対応する。言い換えれば、10ワットの伝送電力が受信器において1Wを受取るために使用されるということである。
【0062】
システムはアンテナの無負荷Q(QUl)の周辺で定義されなければならず、
【数3】

【0063】
で開始する。TxまたはRxアンテナのいずれかの全損失抵抗は、
【数4】

【0064】
によって定義できる。共振のときは、それは
in=IR 式 1−3
と書くことができる。
【0065】
TX−アンテナにおいてその結果生じる電流はすぐに
I=(Pin/R)1/2 式 1−4
によって特定される。式 1−2を使用すると、電流は
【数5】

【0066】
として書き直すことができる。距離xで電流によってTX−アンテナに生成されるH−場の大きさは、
【数6】

【0067】
であり、そして電圧、
【数7】

【0068】
をRX−アンテナに誘起する。パラメータrは半径で、Nはループ・アンテナの巻回数である。利用可能な出力電力Poutはすぐに、
【数8】

【数9】

【0069】
によって計算できる。最後に、経路利得は、
【数10】

【0070】
として定義される。さらに式 1−10及び式 1−9の挙動を単純化し、且つ理解するために、L及びCのモデルが必要とされる。キャパシタンスは共振周波数
【数11】

【0071】
に亘って簡単に定義できる。誘導率については、実験式がこのシステムに使用されるアンテナの型式に関して最も正確であることが見出された。
【数12】

【0072】
パラメータIはアンテナの幅である。
【0073】
アンテナ間の距離(separation)xがアンテナの半径rに比べて大きい(x>r)という仮定のもとで、そして式 1−11及び式 1−12によって、式 1−10は、
【数13】

【0074】
として書くことができる。
【0075】
式 1−13における括弧内の項は線形経路利得である。これらのパラメータは品質因子に間接的に含まれるが、この線形経路利得は周波数及び巻回数の直接関数ではない。ループ半径がループ長lよりはるかに大きければ、経路利得はループ半径rにおおよそ比例する。それはアンテナ間の距離xに逆比例する。それはまた品質因子QUlに比例する。
【0076】
あるアンテナ寸法について、品質因子が増加するにつれて、経路利得は改善される。これはシミュレーションを通して実施例において認証される。前述の数式は異なるサイズ及び品質因子を持つアンテナを試験するためにマットラブ(商標名)を用いてシミュレーションされた。次のパラメータ集合はスクリプトを走らせるために定義された。
【0077】
% パラメータ定義
Q=1000;% 目標無負荷品質因子[1]
N=7;% 巻回数[1]
r_loop=85e−3;% ループ・アンテナの半径[m]
r_wire=3e−3;% 線の半径[m]
pitch=12e−3;% 二つの巻線間の距離(中心から中心まで)[m]
freq=13.0e6;% システム周波数[Hz]
dist=1:0.1:3;% アンテナの距離[m]
P_in=1;% 入力電力[W]
その結果生じるシミュレーションは式 1−13において項xによって引起こされる1桁当たり−60dBの経路利得変動を示した。Qが、例えば、1000から2000へ2倍されるならば、 経路利得は6dBだけ増加する。距離が2倍にされるならば、経路利得は18dBだけ減少する。典型的な定義パラメータはTX−及びRX−アンテナの双方に有効であり、従ってパラメータについて最適なアンテナの形成を支援しうる。
【0078】
シミュレーションはまた無効電圧(reactive voltages)を計算する。インダクタンス及びキャパシタンスで発生する無効電圧は品質因子に直接比例し、そして式1−14において示された伝送電力の平方根に比例する。
【数14】

【0079】
双方の無効電圧は実用的実施では非常に高くなるであろうし、従ってそれらの電圧の計画を立てることはさらに重要になる。1000のQ及び10Wの伝送電力によって、 その電圧は2.7kVである。平板キャパシターが0.01mの平板距離で使用されるならば、その結果生じる場の強さは270kV/mである。これらの高電圧に耐えうるキャパシターが重要になる。例えば、2000Vまたは3000Vまたはそれより高い耐電圧キャパシターを使用することが必要である。この型式のシステムが過去に適切に動作しなかった少なくとも一つの理由はそれらが実際に存在した無効電圧の量について適切に大きさ合わせされなかったことであると考えられている。実際、2KV以上の予期せざる高電圧ははるかに小さな電圧が伝送されつつあるときでもこれらの無効電圧の一部として見出される。この予期せざる高電圧は回路部品によって処理される必要がある。
【0080】
アンテナ設計過程の主要な焦点は品質因子を最適化することにあるので、品質因子の定義がまた重要になる。従って、下記にQの徹底解析を述べる。
【0081】
品質因子に関する基本方程式は上記の式 1−1によって与えられる。
【数15】

【0082】
図6はいくつかの異なる周波数について周波数に対するQのプロットを例示する。
【0083】
ここで留意すべきはLとCの割合がこの数式において重要であることである。ある共振周波数について、無限の数の可能なL−Cの組合せがある。しかしながら、インダクタンスLがキャパシタンス(capacitance)と比べてできる限り高いとき、より高いQが取得される。
【0084】
品質因子はまたRに逆比例する。この抵抗は損失抵抗(R)と放射抵抗(R)から成る。双方は品質因子を増加させるために最小化されなければならない。
【0085】
損失抵抗はアンテナを作るために使用される材料に依存し、そしてシステムに使用される周波数の表皮効果に起因する。良い表皮効果を持つ高伝導性の材料が望ましい。
【0086】
高い共振周波数は損失を増加させ、従って品質因子を減少させる。こういう理由で、図6の曲線は周波数−目盛の上端で減少する。しかしながら、より低い共振周波数はキャパシタンスを増大させることによって取得される。これはL/C比率を減少させ、そして、Lは周波数と無関係であるので、これはQを減少させる。従って、図6の曲線は周波数−目盛の上端と下端の両方でQが減少し、或るアンテナ寸法について29MHzの周波数の周辺で理想的な品質因子を作ることを示す。
【0087】
これは各アンテナ配置について理想的な周波数または周波数範囲を示す。
【0088】
ここに述べた試験の間に使用される13MHzの共振周波数はこの理想的周波数以下である。これはアンテナの共振器以下の自己共振(それは同調可能なキャパシターなしの共振周波数である)が35MHzの周辺にあるからである。共振器が同調可能なキャパシターなしでこの周波数で使用されるならば、すぐ近くの対象(objects)に対するアンテナの感度が重要になる。
【0089】
実施例はこの影響を最小化し、そしてそれと同時に共振周波数を変更することを可能にする。共振器の自己キャパシタンス(self-capacitance)を支配する値の同調可能なキャパシタンスはこの目的のために使用される。付加キャパシタンスはアンテナの共振周波数を下げる。
【0090】
品質因子は一般的に直接測定することができない。その代りに、定義
Q=ω/Δω 式 2−1
が出発点として使用され、ここでωは共振周波数の中心、そしてΔωは3dB−帯域幅に対応する。従ってQは二つのパラメータω及びΔωを測定することによって求められる。
【0091】
3dB−帯域幅は次のように求められる。一次直列RLC−回路のインピーダンスZは
=R+jωL+1/(jωC) 式 2−2
によって与えられる。
【0092】
ω=1/(LC)1/2 式 2−3
及び
Q=(1/R)・(L/C)1/2 式 2−4
を用いて、インダクタンスL及びキャパシタンスCはQ及びωに関して次のように書くことができる。
【0093】
L= QR/ω 式 2−5
C= 1/(QR・ω) 式 2−6
式 2−5及び式 2−6が式 2−2で使用されるならば、インピーダンスは
=R+j・QR(ω/ω―ω/ω) 式 2−7
によって表される。品質因子Qはまた(式 2−1と同様に)帯域幅を定義するために使用される。
【0094】
Δω/2=ω/2Q 式 2−8
インピーダンス位相はの虚数部分をZの実数部分で除算した逆正接(inverse tangent)によって与えられる。この除算では、Rは相殺する。その上式 2−8が使用され、そして関数が上部切断周波数で評価されるならば、位相は
【数16】

【0095】
によって与えられる。括弧の中の式が単純化されるならば、位相はQのみに依存するようになる。
【数17】

【0096】
Qが増加するならば、括弧の中の関数は1になる傾向がある。
【数18】

【0097】
式 2−11からの結果はZの虚数部がZの実数部に等しいことを意味する90度の角度に対応する。二つの点はそこでネットワーク・アナライザーによって求められ、そして式 2−1がQを計算するために使用できる。従って、この枠組を使用すると、そのようなアンテナのQ値が実際に決定できる。
【0098】
アンテナの第二の実施例は図7に示される。結合ループ700はアンテナ710の主要部から約0.1m離れて置かれる。平板キャパシターは二つの銅板721、722の間で形成される。ねじ723、724、725はポリイミドのような容量的に不活性な材料で形成される。これらのねじは同調可能なキャパシター720によって提供されるキャパシタンスを調整し、そしてアンテナの共振周波数を同様に調整するために使用される。
【0099】
ガラス体730または他の誘電体はアンテナの下方の障害物による損失を最小化するためにアンテナの下方にある。
【0100】
さらに、上で述べたように、表面伝導はQを最大化するために重要である。銀めっきまたは他の非腐食性材料が腐食から銅を保護するために適用される。
【0101】
結合ループ700は同じ銅管材料で形成されるが、わずか1回巻で、且つアンテナの直径の約半分である。結合ループは50W整合を得るためにアンテナから約0.1m離れたところに置かれる。
【0102】
下記にアンテナ部品の共振周波数がどのように決定できるかを説明する。次の数式では、Lは共振器自身のインダクタンス、Csは共振器の自己キャパシタンス、そしてCTは共振器と関連する同調可能なキャパシター、Rrは放射抵抗、Rlは共振器の損失抵抗である。
【数19】

【0103】
但し、
=ループ半径
N=巻回数
=アンテナの長さ
μ=1.2566・10−6
【数20】

【0104】
p=アンテナのピッチ、巻線の直径を加えた二つの巻線間の距離に対応する
ε=8.8542・10−12
注:この定式の導出に関して[GRA]を見よ。
【数21】

【0105】
但し、
A=平板キャパシターの面積
d=平板間の距離
注:周縁処理が無視されているので、これは近似式である。実際のキャパシタンスは計算値より高い。
【数22】

【数23】

【0106】
但し、
λ=周波数fにおける波長。
【数24】

【0107】
但し、
σ=アンテナに使用される金属の伝導率、45・10S/mが計算に使用される
=銅管の半径
表8はTアンテナ・パラメータの現在の値に取得された値を示す。
【表6】

【0108】
経路利得−測定のための典型的な試験配置は実際の値を取得するために実行される。この測定は同軸遮蔽(coaxial shields)上及び送電線(power lines)上の電力転送を回避するために送信器を受信器から切り離す。信号発生器及び電池駆動スペクトル・アナライザーは各々送信器及び受信器側にそれぞれ使用される。
【0109】
整合の品質を測定するために、送信アンテナから戻るエネルギーが指向性結合器(directional coupler)を通して接続された電力計で測定される。指向性結合器の指向性結合ポートは50W負荷で終端される。測定の間、整合は少なくとも20dBであった。整合はアンテナと結合ループとの間の距離を調整することによって変えることができる。
【0110】
受信器側には、スペクトル・アナライザーが受信アンテナに直接接続される。
【0111】
同じ共振周波数が双方のアンテナに使用される。脱調(detuning)は電力転送の劇的な減少をもたらす。受信アンテナは同調補助(tuning aid)、例えば、アンテナの同調可能キャパシターに選択的に挿入可能なテフロン(登録商標)棒(Teflon(登録商標) bar)を使用するか(それは約40kHzの共振変化(resonance-shift)をもたらす)、或いは以前に述べたように調節可能なキャパシターを使用する。測定された各距離について、受信アンテナは利用可能な最大電力を受取るように同調される。送信アンテナは信号発生器の周波数を僅かに調整することによって同調される。
【0112】
表9は測定された経路利得の結果を示す。
【表7】

【0113】
さらに、無効電圧は容易に数kVを越えることがあるので、キャパシターの適切なサイズ化の決定を可能にするために、その無効電圧を決定するためアンテナ原型を試験することは有用である。電気的に分離されたシステムが使用される。信号発生器からの源信号は50dB RF増幅器によって増幅される。20dB仲介減衰器(attenuator in-between)はTXアンテナ上で利用可能な電力を制限するために使用される。
【0114】
増幅器の後の3dB減衰器は不整合アンテナの場合に増幅器を保護するために使用される。整合の品質を測定するために、電力計がアンテナから戻るエネルギーを表すために使用される。受信器側で、小さな電球(50W/3W)が受信電力を示すために使用される。同調及び整合は同調補助を使用することによって、信号発生器の周波数を変えることによって、そしてアンテナと結合ループとの間の距離を変えることによって実現された。
【0115】
結果は表10に要約される。
【表8】

【0116】
一つの実施例では、すぐ近くの対象物または人間に対する感度が、例えば、浮遊キャパシタンスによる共振周波数の偏位を引起こす。これはアンテナの周辺に配置された遮蔽物(shield)、例えば、スロット状遮蔽物または他の遮蔽物によって緩和される。
【0117】
別の実施例では、高誘電性強度及び非常に良い隔離能力を持つ一片の雲母が上に述べたポリイミドねじの代わりに使用される。これはまた品質因子を引上げる。比較的少ないエネルギーは高分子体(polymer)と比べて雲母によって吸収されることが要求提案である。
【0118】
別の構成では、雲母またはテフロンの非常な薄片がキャパシターを保持し、そして伝送電力を制限するために使用される。
【0119】
Qと帯域幅の間には二律背反がある。高品質因子のために、典型的な第二のアンテナの帯域幅は幾分狭く、例えば、13MHzの共振周波数で約9kHzである。双方のアンテナはほとんど正確に同じ共振周波数で働かねばならないので、これはある同調要求が生じる。従って、別の実施例では、上で述べた近付く対象物へのアンテナ感度は上で述べた遮蔽物を用いて減少される。電子同調回路は同期を保つためにアンテナ回路を自動的に調整するのに使用される。脱調の問題はQが非常に狭いこのようなシステムにおいて特に重要になる。この狭いQは狭い帯域幅を意味し、それは同調が緊密であることを要求する。
【0120】
Qへの様々な外部または設計要素の影響をさらに評価するために、実験装置の様々な形態が、例えば、アンテナの下のガラス体、キャパシターの中の雲母片、結合ループの損失、及びアンテナの近接場内の全ての対象物の損失を含めて考慮される。
【0121】
これらの因子を評価するために、アンテナの環境はできる限り理想的でなければならない。従って、典型的アンテナは2本の細いナイロン紐によって吊るされた。二つの結合ループは反射(S 11)の代わりに伝送(S 12/S 21)を測定するために使用される。結合ループは臨界以下の結合(undercritical coupling)を達成するためにアンテナから約0.6m離れてアンテナの両側に置かれた。即ち、等しい量の電力が共振器自身におけると同様に外部の回路において散逸されるとき、その結合は臨界的である(そしてアンテナは整合される)と云われる。臨界以下の結合はより多くの電力が外部の回路より共振器において散逸されることを意味し、一方、臨界過度の結合はより多くの電力が共振器より外部の回路において失われることを意味する。
【0122】
この実施例の理論的に予想されるQは2877である。実現された2263のQは理論値の78.6%である。理論値はこの試験においてほとんど到達された。しかしながら、より高いQはその環境によってアンテナがより影響を受けやすくすることがまた注目された。このように、実際上、Qは恐らく常に理論値以下であろう。
【0123】
第二の測定は品質因子の別の特徴を示した。負荷品質因子Qは共振器が臨界的に結合される状態のもとでは無負荷品質因子(QUl)の半分である。
【0124】
前述の送信器及び受信器装置(例えば、アンテナ及び任意の電子または電気部品)はまた送受信器(即ち、電力を伝送し、且つ受取るように適応されたデバイス)として別の実施例では結合される。これは例えば共通の形状要素(例えば、その中に配置された送信及び受信アンテナの両方及び回路を持つ単一ユニットまたは「箱(box)」)を含む。さらに、そのデバイスは受信アンテナを介して一つの源(source)からエネルギーを受取り、そしてそこで送信アンテナを使用して受取電力を他の源へ(または同じ源のもとへ)受取電力を伝送するための中継器として使われる。これらのイベント(伝送及び受取)は同じ時間に、或いは相互と比較して遅れて発生する。値は分極、強度、配置、相対的な間隔及び配列、及び送信及び受信アンテナと関連する他の因子によって修正でき、或いは、例えば、周波数分割またはFDMAのようないくつかの周知の多元アクセス手法に従って同じく行われる(例えば、そこでは第一のアンテナ(送信器または受信器)の共振周波数は第二のアンテナ(送信器または受信器)のそれと異なるか、或いは分離される)。なお別の選択肢として、二つのアンテナは同じか、または異なる周波数を使用し、そしてそれらの動作に関して時分割されるか、或いはスロット化される(例えば、TDMA)。
【0125】
別のこれに代るものでは、「CSMA」のような方法が(衝突検出有り、または無しのいずれでも)使用され、例えば一つのデバイスが他の活動を積極的または受動的に検出または感知し、そしてそれに応じてその挙動を調整する場合には、そのような一つの実施例では、送信器は、送信する前に、受信器の状態(例えば、共振しているか、電流を生成しているかどうか、等々)を検出し、そしてこれを伝送のための通門基準として使用する。
【0126】
別の実施例は「共振周波数ホッピング」方法を使用し、そこでは例えば、レイリー(Rayleigh)またはアンテナ・ダイバシティ・フェージングまたは他のそのような問題を打破或いは緩和する、多元アクセスまたは他の目標(aims)が共振周波数を時間の関数として定期的または確定的または疑似乱数的にホッピングすることによって達成される。例えば、送信器及び受信器はそれらが同期を維持することを可能にする一般のホップ系列を相互に生成するために対応する決定論的アルゴリズムを「シード(seed)」する。代りに、「帯域内(in-band)」(例えば、変調電力信号)信号方式は送信器から受信器へ前もって(またはそれは続けながら)ホップ系列、例えば、「私は次の区間に周波数Xへ、そしてその後周波数X+Yへ、・・・ホップするであろう」、等々を伝送するために使用される。個別の低電力送信器(例えば、RFまたはBluetooth(登録商標))は特定の情報に同期させるために使用できる。クロック情報はまた類似の方法で送られる。
【0127】
別の実施例では、受動的な「衝突検出(collision detection)」またはCD手法が、例えば、送信器が伝送を試みているところで使用され、そして干渉動作がそれと同時に発生しているかどうかを判定する。例えば、その判定は共振周波数、伝送効率、受信器からのフィードバック、または他のいくつかの検出を検出することによるものである。この干渉動作は受信器の動作、寄生または浮遊キャパシタンス効果、同調の損失、または他の同様の影響によって引起こされる。
【0128】
送信器は問題を回避するためにその点で行動をとる。
【0129】
実施例では、干渉は一般的に一時的なものであるので、送信器は進行中の伝送を終了させ、そして後の時間に再試行する。この一つの例は反衝突アルゴリズムによる無作為バックオフによる。一つの実施例は伝送された電力が電池のような貯蔵部に蓄えられるのを可能にする。このために、デバイスにおいて電力伝送は一時的に止めることができる、一方、電力を供給されるデバイスがなお動作するのを可能にする。
【0130】
送信器は干渉を緩和するためにそれ自身を異なる共振周波数に同調するか、そして/または同調するか、そうでなければ受信器の動作を変えることを試みることができる。
【0131】
別の選択肢はエネルギー転送速度を増加させるために利得を増加させることである。これはいわば干渉を「爆破する(blast through)」ように動作する。
【0132】
送信器及び/受信器の偏り(polarization)または方位(orientation)を調整するシステムは、例えばアンテナの位置を物理的に変更するモーター駆動または同様の機構を介して、使用できる。
【0133】
前述の任意の組合せが代りに使用できる。これらの特徴は送信器及び/または受信器基盤において、または送信器及び受信器の間の連携または協調において実施できる。
【0134】
別の実施例は受信器によって決定された電力転送のレベルまたは速度(rate)に関係するデバイスの間の信号通信情報を使用する(例えば、「ここに私が実際に受取っているものがある。従って、あなたはあなた自身を送信器に同調するためにあなたが実際に送っているものとこれを比較することができる」)。さらに、前述の多元アクセス手法はこの方法、例えば、通信チャネルを経由して送信器に戻り伝送された電力を受取った受信器における落差に基づくバックオフまたはCDで実施できる。
【0135】
さらに別の代替実施例として、多数の送信器及び/または受信器が使用され、そして前述の特徴が多数の送信器(及び/または受信器)の間と同様に実施される。例えば、FDMA、TDMA、CSMAまたはCD技術が二つの潜在的に対立する送信器の間と同様に適用される。
【0136】
前述の機能は電気または電子部品レベルで、例えば、簡単なゲート論理回路または個別部品から高集積回路までの何かとして実施される同等品を介して、例えば、マイクロ−コントローラーまたはディジタル・プロセッサー上で働くコンピューター・プログラムまたはアプリケーションとして、手作業で、IC上で処理されるファームウェアを介して、または適用できる程度にハードウェア(例えば、電子機械チューナー、モーター、等々)において実施される。
【0137】
さらに、現在の出願は環境特性によって一つ以上のアンテナまたは回路パラメータのある動的変更または変化を意図している。例えば、これはアンテナ特性を変更する。変更される特性は電力信号処理、濾過(filtration)、変調、等といった電気または電子処理と同様に、同調キャパシタンス、抵抗値、ループまたはコイルの半径を含み、それらの特性は、例えば、アンテナを形成するのに使用される材料の伸長または収縮を生じる熱効果を介し、それによってその実効半径、それに近接するアンテナまたは部品の性質を変更する(例えば、特定の電場または磁場を選択的に適用することによって、材料または部品内の双極子(dipoles)の整列が選択的に変更され、それによってアンテナに影響を与える)。
【0138】
例えば、一つの実施例では、送信器の(主として)磁場は電力と共に、情報を転送するために情報によって変調され、または伝えられる。
【0139】
別の実施例では、この情報は受信器と送信器との間の制御信号方式を含み、それによって任意の個別のデータまたは通信回線を取り除く(そしてここからシステムを単純化し、且つそれをさらに強固にする)。例えば、送信器は、例えば、振幅変調、位相変調、側波帯または周波数変調、例えば、データ「0」または「1」を符号化するGMSKまたは側波帯上下偏移、疑似ノイズ変調、または他の技術を介して、伝送狭帯域信号を時間の関数として変調する。これは相互アリア(alia)送信器パラメータ(例えば、電力転送を最適化するために受信器が送信器に良く「自動追随する(lock on)」ことを他の場合に可能にする共振周波数、偏極、等々)に関する情報の転送を可能にする。デューティ・サイクル、クロック、またはタイミング情報もまた参照の時間フレーム等に同期させるために、例えば、送信器が作動するであろう窓で符号化されるであろう。
【0140】
アンテナ性能の理論上の限界がここに説明される。アンテナ効率、品質因子(帯域幅)及びサイズといった特徴が考察される。さらに、近接場及び遠隔場における電波伝播のモデルが確立される。
【0141】
電気的に小さなアンテナはラジアン球(radiansphere)(それは半径rmaxの球である)の一部に適合する。
【数25】

【0142】
但し、
kは波数[m−1]である
lは波長[m]である
cは光の速度299792458[m/s]である
fは周波数[Hz]である、そして
maxはラジアン球の直径である。
【0143】
この出願に使用されるアンテナは殆ど全ての場合に電気的に小さいであろう(即ち、kr<1)、但しkr=d/l
【0144】
電気的に小さなアンテナは一般的に自己−共振しない。低周波数について、アンテナは容量性(双極子アンテナ)或いは誘導性(ループ・アンテナ)である。それらは、例えば一次の直列RCまたは並列RL回路によって近似できる。それらは反対の種類のリアクターと同調することによって共振が起こる。
【0145】
そのようなアンテナの等価回路は容量性の場合について図8に示される。アンテナの一つの主な要素は放射抵抗Rrである。等価回路では、この抵抗器は放射電力をモデル化する。損失抵抗器RLはアンテナの伝導及び誘電性損失から成る。キャパシターCはアンテナの無効成分を表す。これは外部整合インダクターLと共に共振回路を形成し、それは動作周波数に同調される。この回路はまた並列共振回路のように等価表現としてモデル化できる。
【数26】

【0146】
但し、
は源(source)抵抗[Ω]である
はアンテナ抵抗[Ω]である
は損失抵抗[Ω]である
は放射抵抗[Ω]である
ωは共振周波数[rad/s]である
Lは整合インダクタンス[H]である
Cはアンテナキャパシタンス[F]である。
【0147】
(式A―2)最大電力転送、アンテナ及び整合ネットワークについて、インピーダンスはアンテナ・インピーダンスに共振で整合された複素共役である。
【0148】
同様の回路は誘導性アンテナの場合について導出できる。
【0149】
出願人はそのようなアンテナの効率及び品質因子に基本的な限界があると考える。あるアンテナ性能が必要とされるならば、アンテナのサイズは任意の値に減少できない。通信理論における周知のシャノン限界(それは通信路キャパシタンスを帯域幅及びダイナミック・レンジと関係づける)のように、最小のアンテナ・サイズを放射品質因子と関係づけるアンテナ理論にも同じく基本的限界がある。
【0150】
アンテナ・サイズの理論限界を計算するために多くの試みであった。基本的な研究はチュー[CHU]及びハリントン[HAR]によってなされた。彼らの理論はアンテナは半径rの球によって完全に囲まれていること、球の外の場は放射状に外側へ伝播する加重化球面波(weighted spherical waves)の和として表されることを述べている。各波(モード)は電力直交性を示し、従って他とは無関係に電力を運ぶ。
【0151】
球の外の特定の場は無限の数の異なる源分配によって生成されることが数学的に証明できる。球の外の場はそれ故にアンテナの特定の実施に無関係である。チューの計算から、ただ一つのモード(TE01またはTM01のいずれか)を励起するアンテナは任意の直線偏波アンテナの最低可能放射品質因子を達成することが示された。上述の基本研究に基づいて、ハンセンはこの品質因子Qの近似解析式を導出し[HAN]、それは文献の中に何度も引用されてきた。マックリーンはさらにハンセンの研究を発展させ、且つ訂正し[MLE]、直線偏波アンテナの放射品質因子Qの厳密な式を与えた。
【数27】

【0152】
但し、
は放射品質因子[無単位]である
ωはラジアン周波数[rad/s]である
は時間平均化、非伝播、蓄積の電気エネルギー[J]である
は時間平均化、非伝播、蓄積の磁気エネルギー[J]である
は放射電力[W]である。
【0153】
この数式は電気的に小さなアンテナ(k;<<1)の支配的項は3乗の項であることを示している。しかしながら、大きなアンテナ(k;>>1)については、放射品質因子は一次の項によって支配されるであろう。
【0154】
アンテナの物理的実装は損失を示す、即ち、その放射効率は非理想的導電体及び誘電体のために1より小さい。効率の減少はアンテナ品質因子と呼ばれる全体の品質因子に影響を与える。アンテナがその源(source)に電力整合されていると仮定すると、アンテナ品質因子Qは次のようになる。
【数28】

【0155】
但し、Qはアンテナ品質因子[無単位]である。
【0156】
三つの重要な関係が式 A3及び式A4から導出できる。
【0157】
・小さなアンテナでは、効率は相対的アンテナ・サイズの3乗に比例し、従ってアンテナ・サイズの3乗及びの3乗に同じく比例する。
【数29】

【0158】
・大きなアンテナでは、効率は相対的アンテナ・サイズに比例し、従ってアンテナ・サイズ及び周波数に同じく比例する。
【数30】

【0159】
・一般に、放射効率はアンテナ品質因子に比例する。
【数31】

【0160】
図4及び図5のアンテナ・モデルでは、放射品質因子Q及び放射効率ηの値は次のように与えられる。
【数32】

【0161】
但し
ηは放射効率(無単位)である。
【0162】
はアンテナ入力インピーダンス[Ω]である。
【0163】
はアンテナ入力アドミッタンス[Ω−1]である。
【0164】
は共振における放射電力[W]である。
【0165】
は共振におけるアンテナへの電力入力[W]である。
【0166】
これは或る放射効率について、アンテナ・サイズの減少はアンテナ品質因子の増加になることを示す。或るアンテナ・サイズについて、放射効率が減少するとさらにアンテナ品質因子が低下することになる。従って、或る放射効率について、より高いアンテナ品質因子は小さなアンテナ・サイズに不利益となる。
【0167】
放射が無線電力供給及び充電システムのためのとき、アンテナ品質因子は周波数を増加し、そしてアンテナ・サイズを増大させることによって減少する、これは二つのアンテナの間でどれだけ多くの電力が伝送できるかを決定するので、アンテナ効率は最も重要な基準である式5はアンテナ効率が相対的アンテナ・サイズの3乗に比例し、従って絶対的アンテナ・サイズの3乗に同じく比例することを例示する。アンテナ品質因子が一定の状態に保たれると仮定すると、サイズを10倍に増大させることは30dB(1000倍)のアンテナ効率の改善になる。
【0168】
式7はアンテナ品質因子がアンテナ効率に比例することを示す。一定の相対的アンテナ・サイズを仮定すると、アンテナ品質因子を10倍増加することは10dB(10倍)のアンテナ効率の増加になる。アンテナ効率は周波数の3乗に比例する。アンテナ・サイズ及びアンテナ品質因子が一定の状態に保たれると仮定すると、周波数の10倍の増加は30dB(1000倍)だけアンテナ効率の改善につながる。
【0169】
上で述べてきた効率及び品質因子に関する基本的制限とは異なり、利得は物理的限界を与えることはない。しかしながら、利得とは対照的に、あるアンテナ型式によって達成できる指向性の良い知見がある。その指向性は次のように利得と関連付けられる。
【0170】
G=hD 式A11
バラニス[BAL]によれば、小さな双極子の指向性はD=1.5である。同じ指向性はまた小さなループに適用する。小さなループは磁気双極子の助けによって記述できるので、電場及び磁場の二重性の原理が適用されるとき、この類似は明らかになる。
【0171】
高指向性は電気的に小さくないアンテナから期待される。これは図A1から見られるように、例えば、双極子に関する場合である。最大アンテナ寸法が波長の程度であるならば、指向性は小さな双極子のそれより高い。しかしながら、無線電力供給及び充電システムに関して、これは1GHz以上の周波数の場合のみである。
【0172】
高周波伝播
アンテナの特性はそれらの場(fields)が観測される点(距離に関して)へ強い依存性を示す。近接場(near field)及び遠隔場(far field)の間の区別がしばしば行われる。近接場領域では、電磁エネルギーは主として蓄積され、そして放射されない(定常波)。この領域の境界は通常次のように定義される。
【0173】
・近接場 : 近接場領域では、電磁エネルギーは主として蓄積され、そして放射されない(定常波)。
【0174】
この領域の境界は通常次のように定義される。
【数33】

【0175】
但し、
kは波数である、そして
rはアンテナまでの観測距離である。
【0176】
遠隔場領域では、電磁エネルギーの大部分は放射され、そして蓄積されない。この領域の境界は通常次のように定義される。
【0177】
・遠隔場 : 遠隔場領域では、電磁エネルギーの大部分は放射され、そして蓄積されない。この領域の境界は通常次のように定義される。
【数34】

【0178】
近接場と遠隔場との間で、定常波から伝播波への転移が発生する。これはいわゆる転移領域である。
【0179】
アンテナへ0.5〜5mの距離では、近接場と遠隔場との間の境界は10〜100MHzの周波数範囲にある。
【0180】
全ての電波は非常に異なる方法で近接場において、そして遠隔場において伝播する。無線通信理論から、フリイス(Friis)伝送方程式は良く知られている。或る受信及び送信アンテナ利得、同様にこれらのアンテナ間の或る間隔を仮定すると、それは送信アンテナの電力に対する受信電力の比率を示す。
【数35】

【0181】
この数式は遠隔場で有効である。二つのアンテナの間のエネルギー伝送のさらに一般的な取扱について、近接場を同じく含める新しい数式が展開されている。
【0182】
電気的に小さな双極子の放射場はこの一般的な電波伝播モデルの基礎として考えられるであろう。双極子はまた電場及び磁場の二重性の原理のためにループ・アンテナをモデル化するために使用できる。これのために、双極子の電場成分はループの磁場成分に対応し、逆もまた同じである。
【0183】
式13及び式14は小さな双極子の電場及び磁場の成分を示す。電場の径方向成分は近接場に蓄積される無効エネルギーのみを占めているので省略されてきた。
【数36】

【0184】
これらの数式において、rはアンテナへの距離であり、アンテナ半径ではない。いくつかの代数操作の後で、場の大きさについて次の単純化された数式が取得できる。
【数37】

【0185】
共偏極アンテナ(即ち、送信及び受信アンテナが相互に平行であるアンテナ)からの受信電力は上で述べたように入射場の時間平均値の2乗に比例する。従って、経路利得は次のように計算できる。
【数38】

【0186】
式17は同等のアンテナに関する伝播則である(双極子から別の共偏極双極子への伝播またはループから別の共偏極ループへの伝播)。式18は異なるアンテナに関する伝播則である(双極子から共偏極双極子への伝播またはループから共偏極ループへの伝播)。近接場における経路利得は遠隔場理論(フリイス方程式)を適用することによって予想されるであろうものより高い。近接場における同等のアンテナ間の伝送に関して、60dB/デケードの経路損失が見られ、一方、近接場における異なるアンテナ間の伝送は40dB/デケードの経路損失を受ける。これは遠隔場で見られる20dB/デケードの経路損失と対照される。
【0187】
これらの数式はこの目的のために使用できる追加アンテナ及び特性を決定するために使用できる。
【0188】
少しの実施例しか上で詳細に開示されてこなかったけれども、他の実施例も可能であり、発明者はこれらをこの仕様の中に含まれるように意図するものである。仕様は別の方法で達成されるさらに一般的な目標を達成するために特定の例を述べている。この開示は典型的であることを意図し、そして請求項は当業者に予測可能な任意の修正または代案を含めることを意図している。
【0189】
例えば、他のアンテナ形状及選択が使用できる。ここで使用される用語「電力(power)」は任意の種類のエネルギー、電力または任意の形式の力の移動を云う。受信源はコンピューターまたは周辺装置、通信器、自動車、または他の任意のデバイスを含めて、蓄積エネルギーから動作する任意のデバイスである。本発明の前述の送信器、受信器及び送受信機の無数のアプリケーションが認められる。例として、且つ無制限に、そのようなアプリケーションは以下を含む。(i)電力供給または充電式ポータブル・コンピューター、PMD、クライアント・デバイス、携帯電話、等、(ii)電力供給または充電式フラット・スクリーンもしくは壁掛けテレビまたはディスプレイ、(iii)電力供給または充電式冷蔵庫(例えば、冷蔵庫の後ろの壁に送信器を、そして送信器の直前の冷蔵庫に受信器を置く)、(iv)電力供給または充電式電気自動車(例えば、ガレージの床に送信器を置くか、または作り込み、そして自動車の底部に受信器を置く)、(v)電力供給または充電式家庭もしくはオフィス照明(例えば、コードなしの白熱電球、蛍光ランプ、またはLEDランプ)、(vi)電力供給または充電式家庭もしくはオフィス用電気製品(例えば、トースター、ブレンダー(ミキサー)、時計、テレビ、電子レンジ、プリンター、コンピューター、等々)、(vii)同時電力供給または充電式複数デバイス(例えば、実質的に無指向性の送信器配置を使用する)、及び(viii)電圧の持つ電気導体の存在が危険を表すであろう電力供給または充電式デバイス(例えば、水の近く、子供の近く、等々)。
【0190】
ここに使用されるように、用語「電気部品(electrical component)」及び、「電子部品(electronic component)」は互換的に使用され、そして誘導リアクター(「チョーク・コイル」)、変圧器、フィルター、ギャップ付コア・トロイド、インダクター、キャパシター、抵抗器、演算増幅器、バラクター、MEMSデバイス、FET及び他のトランジスターやダイオードを個別部品または集積部品であれ、単独または組合せであれ、無制限に含めて、ある電気または電子機能を提供するように適応する部品を制限なしで云う。
【0191】
ここに使用されるように、用語「集積回路(integrated circuit:IC)は任意レベルの集積度(ULSI、VLSI、及びLSIを制限なく含む)を持ち、そして処理や基盤材料(Si、SiGe、CMOS及びGaAsを制限なく含む)にかかわりない任意の形式のデバイスを云う。ICIは、例えば、メモリー・デバイス(DRAM、SRAM、DDRAM、EEPROM/フラッシュ、ROM)、ディジタル・プロセッサー、 SoCデバイス、FPGA、ASIC、ADC、DAC及び他のデバイス、同様にその組合せを含む。
【0192】
ここに使用されるように、用語「ディジタル・プロセッサー(digital processor)」はディジタル信号プロセッサー(DSP)、命令集合縮小コンピューター(RISC)、多目的(CISC)プロセッサー、マイクロプロセッサー、ゲートアレイ(例えば、FPGA)、再構成可能計算構造体(Reconfigurable Compute Fabrics:RCF)、及び特定用途集積回路(ASIC)を制限なく含む全ての形式のディジタル処理デバイスである。そのようなディジタル・プロセッサーは一つの単一IC基板に含まれるか、または多数の部品に割振られる。
【0193】
ここに使用されるように、用語「計算デバイス」、「クライアント・デバイス」、及び「末端(end)ユーザー・デバイス」はパソコン(PC)やミニコン(デスクトップ、ラップトップ、その他)、モトローラDCT2XXX15XXXやサイエンチフィック・アトランタ・エクスプローラー2XXX13XXX/4XXX18XXX系ディジタル・デバイスなどのセット・トップ・ボックス、ブラックベリー(商標名)または「パーム」(商標名)ファミリーのデバイスなどの携帯情報機器(PDA)、携帯用コンピューター、個人通信機器、J2ME装備デバイス、携帯電話、或いは電力を使用し、またはネットワークによってデータをやり取りできる他のデバイスを含むが、それに制限されない。
【0194】
ここに使用されるように、用語「メモリー」はROM、PROM、EEPROM、DRAM、SDRAM、DDR2SDRAM、EDOIFPMS、RLDRAM、SRAM、「フラッシュ」メモリー(例えば、NANDINOR)、及びPSRAMを制限なく含み、ディジタル・データを記憶するのに適応する任意の形式の集積回路或いは他の記憶デバイスである。
【0195】
また、発明者は用語「ための手段(means for )」を使用するそれらの請求項のみが35 USC 112、第6条のもとで解釈されるとすることを望む。さらに、仕様からの制限はそれらの制限が特に請求項に含まれない限りどの請求項の中に読取れるとするものではない。
【0196】
ここに述べた動作及び/またはフローチャートはコンピューター上、または手動で実行される。コンピューター上で実行されるならば、コンピューターは任意の種類のコンピューターであり、多目的、またはワークステーションといった特定目的のコンピューターのいずれかである。コンピューターはウィンドウズ(登録商標)XPまたはLinux(登録商標)を動かすインテル(例えば、ペンティアム(登録商標)またはコア2 デュオ)もしくはAMDに基づくコンピューター、或いはマッキントッシュ(登録商標)・コンピューターである。コンピューターはまたPDA、携帯電話、またはラップトップのような携帯用コンピューターである。さらに、ここに述べた方法ステップ及び動作はこれらの機能を行う専用マシン上で実行される。
【0197】
プログラムはCまたはPython、またはJava(登録商標)、Brewまたは他のプログラミング言語で書かれる。プログラムは記憶媒体、例えば、磁気または光記憶媒体、例えば、コンピューター・ハード・ドライブ、リムーバブル・ディスクまたはメモリー・スチックまたはSD媒体といった媒体、有線または無線ネットワークによる、またはBluetoothによるネットワーク接続記憶装置(Network Attached Storage:NAS)、或いは他のリムーバブル・メディア上に在駐する。プログラムはネットワーク上で、例えば、ローカル・マシンに信号を送るサーバーまたは他のマシンと共に働き、それはローカル・マシンがここに述べた動作を実行するのを可能にする。
【0198】
特定の数値がここに言及されている場合、本出願の教示内にある間、いくらかの異なる範囲が特に言及されない限り、その値は20%の増減がある。特定の論理的な意味が使用される場合、反対の論理的な意味もまた含まれると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナの近接場磁場へ電力を誘起すること、
送信アンテナに整合される少なくとも一つの特性を持つ受信アンテナに電力を磁気的に結合するために、受信アンテナと共に送信アンテナを動作させること、及び
その間の整合を改善するために前記アンテナの少なくとも一つを同調させること
を含む方法。
【請求項2】
前記整合は前記アンテナの間のインピーダンスを整合することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記同調は前記ンテナの少なくとも一つにおいて調整可能キャパシターを使用すること及び調整可能キャパシターのキャパシタンス値を所望の値に調整することを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記同調はキャパシター中の平板の間の距離を調整することを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記調整は非電気材料で作られたねじを使用することを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記調整可能キャパシターは電気的調整可能キャパシターを含み、そして前記同調は自動的に同調することを含む、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記電気的調整可能キャパシターはバラクター・ダイオードを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
調整可能キャパシターに加えて一定値のキャパシターをさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記可変キャパシターは一定値のキャパシターのキャパシタンス値の10%を有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
送信器と受信器との間で整合を減少させる一時的な状況を検出すること、及び前記検出に応じて少なくとも一つの動作を実行することをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項11】
前記検出は送信器で実行される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一つの動作は一時的な状況が終了されるまで電力伝送を終了することを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記同調は少なくとも一つのアンテナにおける電気的調整可能キャパシターを使用すること及び電気的調整可能キャパシターのキャパシタンス値を所望の値に電気的に調整することを含み、そして前記少なくとも一つの動作は前記調整可能キャパシターの値を変更することを含む、請求項2記載の方法。
【請求項14】
前記送信器及び前記受信器は双方とも電気的伝導性材料の円成形されたループから作られたアンテナで形成される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記動作は送信アンテナの場に及び近くにエネルギーを蓄えること及び受信アンテナにエネルギーを誘起させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記アンテナの各々は少なくとも1000のQを持つ、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記アンテナの各々はそれらの共振値の10%以内に同調される磁気アンテナである、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記アンテナはその中にキャパシターを含み、そして無効電圧の少なくとも2KVに耐えるように前記キャパシターをサイズ処理することをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項19】
磁気リンク上で無線で伝送される電力を造出する電力送信器、及び
前記誘導ループ部分に接続された少なくとも一つのキャパシタンス性部分を持つ誘導ループ・アンテナ部分(前記キャパシタンス性部分は無効電圧の少なくとも2KVに耐えるようにサイズ処理される)
を具備する、無線電力送信器。
【請求項20】
送信アンテナに整合される受信アンテナを持つ受信器をさらに具備する、請求項19記載の送信器。
【請求項21】
前記アンテナの同調を可能にする同調部分をさらに具備する、請求項19記載の送信器。
【請求項22】
前記同調部分は調整可能キャパシターを含む、請求項21記載の送信器。
【請求項23】
前記調整可能キャパシターはその距離が調整できる平板を持つキャパシターを含む、請求項22記載の送信器。
【請求項24】
前記キャパシターは非電気材料で作られたねじを持つ、請求項23記載の送信器。
【請求項25】
前記同調部分は電気的調整可能キャパシターを含む、請求項21記載の送信器。
【請求項26】
前記同調部分はバラクター・ダイオードを含む、請求項25記載の送信器。
【請求項27】
前記調整可能キャパシターに加えて一定値のキャパシターをさらに含む、請求項25記載の送信器。
【請求項28】
前記可変キャパシターは一定値のキャパシターのキャパシタンス値の10%を有する、請求項27記載の送信器。
【請求項29】
送信器と受信器との間の整合の減少を検出し、そして検出に応じて少なくとも一つの動作を実行する部分をさらに具備する、請求項20記載の送信器。
【請求項30】
前記デバイスは一時的状況が終了するまで電力伝送を終了させる、請求項29記載の送信器。
【請求項31】
少なくとも一つアンテナに調整可能キャパシターをさらに具備し、前記デバイスは前記整合を改善するため前記調整可能キャパシターの値を変更するために電気的−調整可能キャパシターのキャパシタンス値を所望の値に電気的に調整する、請求項29記載の送信器。
【請求項32】
前記アンテナは電気伝導性材料の円成形ループで作られる、請求項19記載の送信器。
【請求項33】
前記アンテナは少なくとも1000のQを持つ、請求項19記載の送信器。
【請求項34】
前記アンテナはその共振値の10%以内に同調される磁気アンテナである、請求項19記載の送信器。
【請求項35】
前記アンテナは電力送信器に接続され、且つ結合ループを形成する第一の部分、及び前記結合ループに電気的に非接続で、その中へ電力が誘起される第二の部分を持つ、請求項19記載の送信器。
【請求項36】
前記アンテナの少なくとも一部分は前記電力送信器から電気的に分離される、請求項19記載の送信器。
【請求項37】
前記アンテナの少なくとも一部分は耐腐蝕材料で覆われている、請求項19記載の送信器。
【請求項38】
前記誘導ループ部分に接続された少なくとも一つの容量性部分を持つ誘導ループ・アンテナ部分(前記容量性部分は無効電圧の少なくとも2KVに耐えるようにサイズ処理される)、及び
磁気リンク上で無線で伝送されていた前記誘導ループ・アンテナ部分から電力を受取るために連結された電力受信器
を具備する無線電力受信器。
【請求項39】
前記誘導ループ・アンテナ部分は受信アンテナを形成し、そして受信アンテナに整合される送信アンテナを持つ送信器をさらに具備する、請求項38記載の受信器。
【請求項40】
前記アンテナの同調を可能にする同調部分をさらに具備する、請求項38記載の受信器。
【請求項41】
前記同調部分は調整可能キャパシターを含む、請求項40記載の受信器。
【請求項42】
前記調整可能キャパシターはその距離が調整できる平板を持つキャパシターを含む、請求項41記載の受信器。
【請求項43】
前記キャパシターは非電気材料で作られたねじを持つ、請求項42記載の受信器。
【請求項44】
前記同調部分は電気的調整可能キャパシターを含む、請求項40記載の受信器。
【請求項45】
前記同調部分はバラクター・ダイオードを含む、請求項44記載の受信器。
【請求項46】
調整可能キャパシターに加えて一定値のキャパシターをさらに具備する、請求項44記載の受信器。
【請求項47】
前記可変キャパシターは一定値のキャパシターキャパシタンス値の10%を有する、請求項46記載の受信器。
【請求項48】
受信器と送信器との間の整合の減少を検出し、そして検出に応じて少なくとも一つの動作を実行する一部分をさらに具備する、請求項39記載の受信器。
【請求項49】
前記デバイスは一時的状況が終了するまで電力伝送を終了させる、請求項48記載の受信器。
【請求項50】
少なくとも一つアンテナに調整可能キャパシターをさらに具備し、前記デバイスは前記整合を改善するため前記調整可能キャパシターの値を変更するために電気的−調整可能キャパシターのキャパシタンス値を所望の値に電気的に調整する、請求項48記載の受信器。
【請求項52】
前記アンテナは電気伝導性材料の円成形ループで作られる、請求項38記載の受信器。
【請求項53】
前記アンテナは少なくとも1000のQを持つ、請求項38記載の受信器。
【請求項54】
前記アンテナはその共振値の10%以内に同調される磁気アンテナである、請求項38記載の受信器。
【請求項55】
前記アンテナの少なくとも一部分は耐腐蝕材料で覆われている、請求項38記載の受信器。
【請求項56】
磁気リンク上で無線で伝送されるエネルギーを受取る電力送信器接続部、
前記エネルギーを受取るために電気的に接続された第一の結合アンテナ部分、及び
前記第一の結合アンテナ部分から、且つ前記電力送信器接続から電気的に分離され、そして前記エネルギーを時期的に伝送するため動作する第二のアンテナ部分
を具備する無線電力送信器。
【請求項57】
前記アンテナ部分の少なくとも一部は誘導ループ・アンテナ部分を含み、前記誘導ループ・アンテナ部分に接続された少なくとも一つの容量性部分を持ち、前記容量性部分は無効電圧の2KVに耐えるようにサイズ処理される、請求項56記載の送信器。
【請求項58】
前記アンテナの同調を可能にする同調部分をさらに具備する、請求項56記載の送信器。
【請求項59】
前記同調部分は調整可能キャパシターを含む、請求項58記載の送信器。
【請求項60】
前記調整可能キャパシターはその距離が調整できる平板を持つキャパシターを含む、請求項56記載の送信器。
【請求項61】
前記同調部分は電気的調整可能キャパシターを含む、請求項58記載の送信器。
【請求項62】
前記同調部分はバラクター・ダイオードを含む、請求項61記載の送信器。
【請求項63】
調整可能キャパシターに加えて一定値のキャパシターをさらに具備する、請求項61記載の送信器。
【請求項64】
前記調整可能キャパシターは一定値のキャパシターのキャパシタンス値の10%を有する、請求項63記載の送信器。
【請求項65】
送信アンテナから受信アンテナへ電力を伝送すること、
前記送信アンテナと受信アンテナとの間の関係を脱調する脱調事象を自動的に検出すること、及び
前記検出に応じて、前記伝送の特性を変更するために行動を取ること
を含む方法。
【請求項66】
前記行動は脱調事象の時間の間デバイス電力伝送を終了することを含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記行動は前記アンテナの一つを異なる共振値に電子的に同調することを含む、請求項65記載の方法。
【請求項68】
磁気リンク上で無線で伝送されるエネルギーを受取る電力送信器接続部、
伝導性材料の単一ループで形成された少なくとも一つのアンテナ部分、及び
アンテナのL及びC値を前記電力送信器の周波数に整合する値を有するキャパシター部分
を具備する無線電力送信器。
【請求項69】
前記アンテナは、
前記エネルギーを受取るために電気的に接続された第一の結合アンテナ部分、及び
前記第一の結合及び前記電力送信器接続から電気的に分離され、そして前記エネルギーを磁気的に伝送するために動作する第二のアンテナ部分
を含む、請求項68記載の送信器。
【請求項70】
前記キャパシター部分は無効電圧の2KVに耐えるようにサイズ処理される、請求項68記載の送信器。
【請求項71】
送信アンテナから受信アンテナへ電力を磁気的に伝送すること(ここで前記アンテナの各々は特定の周波数について1000より大きいQ値を持つ)、及び
前記特定の周波数において共振を維持するために前記アンテナを同調させること
を含む方法。
【請求項72】
1000より大きいQ値を持つアンテナを使用してその中にエネルギーを持つ放射磁場を形成すること、
任意の線により前記送信アンテナに接続されていない受信アンテナ場所において、送信アンテナの放射場からエネルギーを取出すこと、及び
任意の線により前記送信アンテナに接続されていない電子デバイスにおいてエネルギーを使用すること
を含む方法。
【請求項73】
前記アンテナの一つの適応同調回路をさらに含む、請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記適応的同調は前記アンテナの少なくとも一つと関連する電気回路によって自動的に実行される、請求項73記載の方法。
【請求項75】
受信アンテナの抵抗を負荷抵抗に整合することをさらに含む、請求項72記載の方法。
【請求項76】
共振への外部の影響に対して前記アンテナの少なくとも一つを遮蔽することをさらに含む、請求項72記載の方法。
【請求項77】
前記遮蔽は浮遊キャパシタンスに対するものである、請求項76記載の方法。
【請求項78】
任意の線により任意の送信アンテナに接続されていない受信アンテナ場所において、送信アンテナの放射場からエネルギーを取出すために働く受信アンテナ、及び
任意の線により前記送信アンテナに接続されていない電子デバイスにおいてエネルギーを使用する電力システム
を具備する装置。
【請求項79】
前記アンテナの一つの同調値を変更する適応同調回路をさらに具備する、請求項78記載の装置。
【請求項80】
前記適応同調回路は前記アンテナの少なくとも一つと関連する自動同調回路である、請求項79記載の装置。
【請求項81】
受信アンテナの抵抗を負荷抵抗に整合する整合回路をさらに具備する、請求項78記載の装置。
【請求項82】
共振への外部の影響に対して前記アンテナの少なくとも一つを遮蔽する遮蔽物をさらに具備する、請求項78記載の装置。
【請求項83】
前記遮蔽物はスロット付遮蔽物である、請求項82記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−143148(P2012−143148A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−20946(P2012−20946)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2009−552815(P2009−552815)の分割
【原出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED