説明

無脂乳固形分含有水中油型乳化物

【課題】牛乳や濃縮乳の代替として使用できる無脂乳固形分含有水中油型乳化物であって、牛乳の自然な風味を有し、且つ耐酸性、耐塩性、耐熱性を有し、レトルト殺菌等過酷な条件下でも風味、性状に優れた無脂乳固形分含有水中油型乳化物を提供する事にある。
【解決手段】油脂、無脂乳固形分及び水を含む水中油型乳化物であって、無脂乳固形分が3〜20重量%であり、マグネシウム塩及びカリウム塩を添加したものであり、マグネシウム塩由来のマグネシウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して0.01〜0.3重量%であり、カリウム塩由来のカリウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して0.01〜0.3重量%である、無脂乳固形分含有水中油型乳化物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳や濃縮乳の代替として使用でき、製菓製パン、調理、レトルト食品等の練り込み用に適した無脂乳固形分含有水中油型乳化物に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳は栄養面、風味面で非常に優れた食品であり、飲料用、食品加工用として多量に消費されているが、高価であり季節変動を起こし易く、日持ちがしない等の欠点を有している。そこで脱脂粉乳等の乳原料と、動植物油脂から牛乳状の組成物が製造され、市場に供給されている。
そして、牛乳の流通および保管の費用の軽減から出来るだけ水を除いた濃縮乳が存在し、出来る限り固形分量を多くすることが経済的であると言える。
そこで脱脂粉乳等の乳原料と、動植物油脂から濃縮乳状の組成物が製造され、市場に供給されている。
牛乳の組成は油脂分3〜4重量%、無脂乳固形分8〜10重量%であり、濃縮乳の組成は油脂分7.0重量%以上、無脂乳固形分18.5重量%以上であり、これら牛乳や濃縮乳の組成比は油脂分1に対して無脂乳固形分3前後となっている。
【0003】
従来の牛乳状組成物は無脂乳固形分が8〜10重量%に配合され、濃縮乳状組成物は無脂乳固形分が15〜27重量%に配合されている。乳風味を濃くするには無脂乳固形分を多く配合するのが有効であるが、無脂乳固形分の配合量を多くすると、コストが高くなるばかりではなく、食塩や酸性の素材と合わせたときに蛋白質が凝集してしまう。また加熱やレトルト殺菌でも褐変を起こしやすく汎用性に欠けたものになってしまう。特許文献1では、カルシウム塩、アンモニウム塩、鉄塩及びマグネシウム塩より選ばれる少なくとも1種の塩類を0.1〜5.0重量%及び油脂を1〜90重量%含有する水中油型乳化油脂組成物が提案されているが、このものはスポンジケーキ、スナックケーキ、シーフォンケーキ、バターケーキ等のケーキ類への練り込み用であり用途が限定されたものである。また特許文献2では、カルシウムイオンを1%以上結合するカゼインタンパク質を2%以上含有し、かつ(カルシウムイオン量)と(ナトリウムイオン量×0.4)の合計量が0.2%以上であることを特徴とする水中油型油脂乳化組成物が提案されているが、その使用がプディング類、ムース類に限定されたものである。そして特許文献3では、無脂乳固形分が15重量%以下で、カリウムを0.3重量%以上及びナトリウムを含有し、且つ該ナトリウムと該カリウムとの重量比が1:1〜10であることを特徴とする濃縮牛乳状組成物が提案され、カリウムとナトリウムの配合量を調整することで乳のコク味は付与されているが、後味に異味があるため自然な風味ではなく風味に問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平4−179432号公報
【特許文献2】特開平8−308505号公報
【特許文献3】特開2002−223697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、牛乳や濃縮乳の代替として使用できる無脂乳固形分含有水中油型乳化物であって、牛乳の自然な風味を有し、且つ耐酸性、耐塩性、耐熱性を有し、レトルト殺菌等過酷な条件下でも風味、性状に優れた無脂乳固形分含有水中油型乳化物を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、無脂乳固形分含有水中油型乳化物にマグネシウム塩及びカリウム塩を使用することにより、無脂乳固形分を3〜20重量%と少ない配合であっても、無脂乳固形分の配合量を超える牛乳的及び/又は濃縮乳的な自然な風味を有することを見出した。またこの水中油型乳化物は、耐酸性、耐塩性、耐熱性を有することも確認し、本発明を完成するに至った。
そして、無脂乳固形分が少なくても風味、性状に優れている点において乳原料の有効利用が図られ省資源にも貢献するものである。
即ち本発明の第1は、油脂、無脂乳固形分及び水を含む水中油型乳化物であって、無脂乳固形分が3〜20重量%であり、マグネシウム塩及びカリウム塩を添加してなる、無脂乳固形分含有水中油型乳化物である。第2は、マグネシウム塩由来のマグネシウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して0.01〜0.3重量%である、第1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物である。第3は、カリウム塩由来のカリウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して0.01〜0.3重量%である、第1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物である。第4は、マグネシウム塩由来のマグネシウムの含有量とカリウム塩由来のカリウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して、マグネシウムとカリウムの重量比がマグネシウム1に対してカリウムが0.5〜4の範囲である、第1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物である。第5は、油脂分が2〜50重量%である、第1記載の水中油型乳化物である。第6は、練り込み用である、請求項1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物である。第7は、第1〜第6の何れか1に記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物を使用してなる食品である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、牛乳や濃縮乳の代替として使用できる無脂乳固形分含有水中油型乳化物であって、牛乳の自然な風味を有し、且つ耐酸性、耐塩性、耐熱性を有し、レトルト殺菌等過酷な条件下でも風味、性状に優れた無脂乳固形分含有水中油型乳化物を提供することが可能になった。
そして、本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物は製菓、製パン、調理、レトルト食品の各種練り込み用素材として提供することが可能になった。
又、無脂乳固形分が少なくても風味、性状に優れている点において乳原料の有効利用を図ったものであり省資源にも貢献するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物は、油脂、無脂乳固形分及び水を含む水中油型乳化物であって、無脂乳固形分が3〜20重量%であり、マグネシウム塩及びカリウム塩を添加してなる水中油型乳化物であり、無脂乳固形分が3〜20重量%と少ない配合であっても、これらの塩の添加により無脂乳固形分の配合量を超える牛乳的及び/又は濃縮乳的な自然な風味を有する水中油型乳化物となる。
【0009】
本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物に用いるマグネシウム塩は、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム塩が例示できる。その中でも、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウムを使用するのが風味、乳化性の点で好ましい。マグネシウム塩由来のマグネシウムの含有量は、水中油型乳化物全体の0.01〜0.3重量%、好ましくは0.01〜0.25重量%、さらに好ましくは0.02〜0.2重量%の範囲で使用するのが望ましい。マグネシウム塩の使用量が少ないと、乳味のコクが得られにくく、多すぎると後味に異味を感じ、乳化性も悪くなる。
【0010】
本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物に用いるカリウム塩は、塩化カリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム等の無機カリウム塩及び有機カリウム塩等が例示できる。その中でも、塩化カリウム、リン酸三カリウムを使用するのが風味の点で牛乳の風味に近く、好ましい。カリウム塩由来のカリウムの含有量は、水中油型乳化物全体の0.01〜0.3重量%、好ましくは0.01〜0.25重量%、さらに好ましくは0.02〜0.2重量%の範囲で使用するのが望ましい。カリウム塩の使用量が少ないと、乳味のコクが得られにくく、多すぎると後味に異味を感じ、乳化性も悪くなる。
【0011】
本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物に用いるマグネシウム塩及びカリウム塩の重量比であるが、マグネシウム塩由来のマグネシウムの含有量とカリウム塩由来のカリウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して、マグネシウムとカリウムの重量比がマグネシウム1に対してカリウムが0.5〜4の範囲であり、好ましくは0.7〜4の範囲であり、さらに好ましくは1〜4の範囲で使用するのが望ましい。マグネシウムに対してカリウムの重量比が小さ過ぎると乳のコクが得られにくく、マグネシウムに対してカリウムの重量比が大き過ぎると後味に異味を感じ、自然な牛乳風味ではなくなる。
【0012】
そして、マグネシウム塩由来のマグネシウムの含有量とカリウム塩由来のカリウムの含有量の合計が、水中油型乳化物全体に対して、0.02〜0.6重量%、好ましくは0.02〜0.5重量%、さらに好ましくは0.04〜0.4重量%の範囲で使用するのが望ましい。使用量が少ないと、乳味のコクが得られにくく、多すぎると後味に異味を感じ、乳化性も悪くなる。
【0013】
本発明の無脂乳固形分は、乳由来の原料から水分と乳脂肪分を除いた成分をいい、具体的な原料としては生乳、牛乳、脱脂乳、バターミルク、ホエー、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエーパウダーから1種以上選択されるものである。その中でも、生乳、牛乳、脱脂乳、バターミルク、ホエー、濃縮乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエーパウダーから1種以上選択されるものが好ましく、最も好ましくは牛乳、脱脂乳、濃縮乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエーパウダーから1種以上選択される無脂乳固形分を使用するのが風味、乳化性の点で好ましい。無脂乳固形分の使用量は水中油型乳化物全体の3〜20重量%であり、好ましくは3〜18重量%、さらに好ましくは3〜15重量%の範囲で使用する必要がある。水で希釈し牛乳の代替として使用したり、濃縮乳の代替として使用することが出来る。
本発明品を希釈した場合に、牛乳より少ない無脂乳固形分値であっても、マグネシウム塩及びカリウム塩を添加しているため、牛乳と同等程度又は同等以上の風味強度がある。無脂乳固形分の使用量が下限以下だと風味が薄く、無脂乳固形分の使用量が上限を超えると耐酸性、耐熱性に劣り、コストも高くなる。
【0014】
本発明の油脂としては、使用する油脂は、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂が例示できる。その中でも、パーム油、菜種油、ヤシ油、パーム核油、乳脂を使用するのが風味、乳化性の点で好ましい。乳脂は生クリーム、バター、バターオイル、牛乳、濃縮乳から得ることができる。
無脂乳固形分含有水中油型乳化物の油脂分が2〜50重量%であり、好ましくは5〜45重量%の範囲であり、さらに好ましくは10〜40重量%の範囲であるのが望ましい。
油脂分が低いと風味が薄くなり、油脂分が高いと乳化性が悪くなる。
【0015】
本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物は油脂分が2〜50重量%であり、無脂乳固形分が3〜20重量%であるが、油脂分と無脂乳固形分の組成比が油脂分1に対して無脂乳固形分が0.2〜1.5であり、好ましくは0.2〜1.3であり、さらに好ましくは0.2〜1.0であるのが望ましい。無脂乳固形分が少ないと風味が薄くなり、無脂乳固形分が多いと耐酸性、耐熱性が悪くなり、コストも高くなる。牛乳や濃縮乳の組成比は油脂分1に対して無脂乳固形分3前後であるが、本願発明においてはマグネシウム塩及びカリウム塩を使用することにより、油脂分に対する無脂乳固形分の組成比を大幅に低くすることが可能となった。
【0016】
本発明では、糖類、乳化剤、安定剤、香料、着色料、保存料、マグネシウム塩及びカリウム塩以外の塩類も本発明の効果に影響を与えない限り、使用する事が出来る。
糖類としては、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、デキストリン、水飴等が例示できる。単糖類としては、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロースが例示できる。また、オリゴ糖類としては、通常2糖類から6糖類のものまで含まれるが、ショ糖、マルトース、乳糖、トレハロース、マルトトリオース等が例示できる。糖アルコール類としては、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール等が例示できる。どれを選択するかは風味との兼ね合いによるが、製造時の蛋白質凝集やコゲ防止には糖アルコールを選択するのが好ましい。
【0017】
本発明で使用する乳化剤については、水中油型乳化物を調製する際に通常使用する乳化剤を適宜選択使用することが出来る。例えば、レシチン、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の合成乳化剤のことであり、これらの乳化剤の中から1種又は2種以上を選択して適宜使用する事が出来る。
【0018】
本発明で使用する塩類については、マグネシウム塩及びカリウム塩以外の塩として、第2リン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ポリリン酸塩等のリン酸塩、クエン酸ナトリウム、重曹等のpH調整剤を単独又は2種以上混合使用するのが望ましい。これらは風味付けの目的で使用しているのではなく、乳化安定の目的で使用するのが好ましい。
【0019】
本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物の製造法としては、油脂、無脂乳固形分、マグネシウム塩、カリウム塩及び水を主要原料とするこれらの原料を混合後、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し均質化処理することにより得ることが出来る。無脂乳固形分含有水中油型乳化物の保存性の点で滅菌処理することが好ましい。具体的には、各種原料を60〜70℃で20分間予備乳化した後(乳化装置はホモミキサー)、必要により0〜250Kg/cm2の条件下にて均質化(乳化装置は均質機)する。次いで超高温瞬間殺菌処理(UHT)した後、再度、0〜300Kg/cm2の条件化にて均質化し、冷却後、約24時間エージングする。
【0020】
滅菌処理には、間接加熱方式と直接加熱方式の2種類があり、間接加熱処理する装置としてはAPVプレート式UHT処理装置(APV株式会社製)、CP−UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ株式会社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストルク株式会社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テトラパック・アルファラベル株式会社製)等が例示できるが、特にこれらにこだわるものではない。また、直接加熱式滅菌装置としては、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、ラギアーUHT滅菌装置(ラギアー株式会社製)、パラリゼーター(パッシュ・アンド・シルケーボーグ株式会社製)等のUHT滅菌装置が例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。
【0021】
本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物は、上記したように所望により、油脂分、無脂乳固形分を使用可能な範囲で調整でき、牛乳及び/又は濃縮乳の代替として使用でき、製菓、製パン、調理、レトルト食品の各種練り込みに適している。
本発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物を使用する具体的は食品としては、プリン、ムース、スポンジ、パンの製菓製パンへの練り込み、グラタン、コロッケ、パスタソース、スープへの調理用への練り込みやそれらのレトルト食品への練り込みが例示できる。
【実施例】
【0022】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。特に、添加剤の添加順序或いは油相を水相へ又は水相を油相へ加える等の乳化順序が以下の例示によって限定されるものではないことは言うまでもない。また、結果については以下の方法で評価した。
【0023】
A 風味評価
水中油型乳化物を水で3倍に希釈し、風味評価した。風味評価は、優れている順に「5」、「4」、「3」、「2」、「1」の五段階にて評価を行い、平均化した評価を結果とした。風味の評価は専門パネラー20名により官能評価を実施した。「5」は非常に良好、「4」は良好、「3」は許容範囲、「2」はやや不可、「1」は不可という評価とする。因みに比較例6で提示するが、市販の牛乳の風味評価は、「5.0」であった。
B 耐酸性評価
水中油型乳化物を水で3倍に希釈し、希釈した水中油型乳化物50gに10重量%クエン酸溶液を5g添加し、最終濃度を1重量%になるように調整した。均一に攪拌したのち室温に放置し、5分後にその性状を観察した。性状は、凝集物が見られない状態を最も良い状態とし、優れている順に「A」、「B」、「C」の三段階にて評価を行った。「A」は凝集物が見られない、「B」はやや凝集物が見られるが許容範囲、「C」は凝集物が見られて不可という評価とする。尚、この実験はイチゴソース等の酸性の素材と無脂乳固形分含有水中油型乳化物を混ぜた場合を想定した実験であり、実際の添加量よりも過剰に添加している。
C 耐塩性評価
水中油型乳化物を水で3倍に希釈し、希釈した水中油型乳化物50gに10重量%食塩水を5g添加し、最終濃度を1重量%になるように調整した。均一に攪拌したのち室温に放置し、5分後にその性状を観察した。性状は、凝集物が見られない状態を最も良い状態とし、優れている順に「A」、「B」、「C」の三段階にて評価を行った。「A」は凝集物が見られない、「B」はやや凝集物が見られるが許容範囲、「C」は凝集物が見られて不可という評価とする。尚、この実験はホワイトソース等に無脂乳固形分含有水中油型乳化物を練り込んだ場合に、食塩を添加する事を想定した実験であり、実際の添加量よりも過剰に添加している。
D 耐熱性評価
水中油型乳化物を水で3倍に希釈し、希釈した水中油型乳化物を中火で10分加熱した直後の性状を観察した。性状は、凝集物が見られない状態を最も良い状態とし、優れている順に「A」、「B」、「C」の三段階にて評価を行った。「A」は凝集物が見られない、「B」はやや凝集物が見られるが許容範囲、「C」は凝集物が見られて不可という評価とする。尚、この実験は鍋で無脂乳固形分含有水中油型乳化物を練り込んだホワイトソースやスープを加熱する場合を想定した実験である。
E レトルト殺菌評価
水中油型乳化物を水で3倍に希釈し、希釈した水中油型乳化物をレトルト殺菌用のパウチに60g充填し、レトルト殺菌をした。条件は、120℃で30分殺菌後、20℃で10分、20℃で5分の二段冷却を行った。室温にて一日放置後に性状を観察した。性状は、凝集物や離水が見られない状態を最も良い状態とし、優れている順に「A」、「B」、「C」の三段階にて評価を行った。「A」は凝集物や離水が見られない、「B」はやや凝集物や離水が見られるが許容範囲、「C」は凝集物や離水が見られて不可という評価とする。尚、この実験はレトルト殺菌をされるレトルト食品に無脂乳固形分含有水中油型乳化物を練り込んで使用される場合を想定した実験である。
またレトルト殺菌後の水中油型乳化物の風味評価を行った。風味評価は、優れている順に「5」、「4」、「3」、「2」、「1」の五段階にて評価を行い、平均化した評価を結果とした。風味の評価は専門パネラー20名により官能評価を実施した。「5」は非常に良好、「4」は良好、「3」は許容範囲、「2」はやや不可、「1」は不可という評価とする。
【0024】
実施例1
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水77.25部に脱脂粉乳3.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表1に纏めた。
【0025】
実施例2
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.25部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表1に纏めた。
【0026】
実施例3
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水60.25部に脱脂粉乳20.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表1に纏めた。
【0027】
実施例4
菜種油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.25部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表1に纏めた。
【0028】
実施例5
融解したパーム油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.25部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表1に纏めた。
【0029】
実施例1〜実施例5の配合と評価を表1に纏めた。
【表1】

【0030】
実施例6
水60.25部に生クリーム30.0部、脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し混合物を調製する。この混合物を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表2に纏めた。
【0031】
実施例7
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.25部にホエイパウダー5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表2に纏めた。
【0032】
実施例8
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水74.57部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.8部、塩化カリウム0.38部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.1部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表2に纏めた。
【0033】
実施例9
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.55部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.06部、塩化カリウム0.04部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表2に纏めた。
【0034】
実施例10
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.44部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.17部、塩化カリウム0.04部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表2に纏めた。
【0035】
実施例6〜実施例10の配合と評価を表2に纏めた。
【表2】

【0036】
実施例11
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.40部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.17部、塩化カリウム0.08部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表3に纏めた。
【0037】
実施例12
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.32部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.17部、塩化カリウム0.16部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表3に纏めた。
【0038】
実施例13
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.26部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.17部、塩化カリウム0.22部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表3に纏めた。
【0039】
実施例14
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.18部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.17部、塩化カリウム0.30部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表3に纏めた。
【0040】
実施例15
融解したヤシ油1.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水89.25部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表3に纏めた。
【0041】
実施例16
融解したヤシ油52.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水38.25部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.2部、塩化カリウム0.2部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表3に纏めた。
【0042】
実施例11〜実施例16の配合と評価を表3に纏めた。
【表3】

【0043】
比較例1
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水74.05部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム1.6部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表4に纏めた。
【0044】
比較例2
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.64部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化マグネシウム0.01部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表4に纏めた。
【0045】
比較例3
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水74.65部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化カリウム1.0部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表4に纏めた。
【0046】
比較例4
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.645部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、塩化カリウム0.005部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表4に纏めた。
【0047】
比較例5
融解したヤシ油15.0部にレシチン0.05部を添加混合溶解・分散し油相とする。これとは別に水75.65部に脱脂粉乳5.0部、グラニュー糖4.0部、ショ糖脂肪酸エステル0.1部、クエン酸ナトリウム0.2部を溶解・分散し水相を調製する。上記油相と水相を60℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、100Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。結果を表4に纏めた。
【0048】
比較例6
牛乳を上記のA〜Eの水中油型乳化物の評価方法に従って評価した。ただし、牛乳は3倍には薄めずにそのまま使用した。結果を表4に纏めた。
【0049】
比較例1〜比較例6の配合と評価を表4に纏めた。
【表4】

【0050】
実施例17
(本願発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物を使用したプリンの例)
全卵240部を攪拌して溶液状態にし、グラニュー糖110部と擦り合わせた。これとは別に実施例12で得た水中油型乳化物167部に水333部を合わせ希釈液を作り、80℃に達するまで鍋で加熱する。
先に作った全卵液と希釈液を混合し、網で濾してプリン液を得た。これを耐熱性のプリンカップ(株式会社東光製、ポリプロピレン製・半透明樽型90cc)に60g毎に静かに注ぎ入れ、電気オーブン(上火150℃/下火150℃)中の湯煎で、20分間加熱し、その後放冷してカスタードプリンを得た。
得られたプリンは、牛乳を使用したものと比べ卵風味を強く感じるものであった。
【0051】
実施例18
(本願発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物を使用したクレープ生地の例)
薄力粉100部とグラニュー糖12部をふるい合わせた。これとは別に実施例12で得た水中油型乳化物67部に水133部を合わせ希釈液を作った。
先に作った薄力粉とグラニュー糖の混合物に希釈液と全卵60部を混合し、焼成前の生地を得た。これをホットプレート上に30g薄く平らな円形に延ばし入れ、180℃で20秒焼成し、クレープ生地を得た。
得られたクレープ生地は、牛乳を使用したものと比べ食感がソフトであった。
【0052】
実施例19
(本願発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物を使用したホワイトソースの例)
バター10部を60℃に達するまで鍋で加熱し、小麦粉10部をゴムベラで攪拌しながら数回に分けて投入混合し、85℃に達するまで加熱してルーを得た。これとは別に実施例12で得た水中油型乳化物26部に水54部を合わせ希釈液を作った。
先に作ったルーに希釈液と食塩0.3部を投入混合し、90℃に達するまで加熱を続け、ホワイトソースを得た。
得られたホワイトソースは、牛乳を使用したものと比べふんわりとした食感であった。
【0053】
実施例20
(本願発明の無脂乳固形分含有水中油型乳化物を使用したコーンスープの例)
実施例12で得た水中油型乳化物40部に水80部を合わせ希釈液を作り、80℃に達するまで鍋で加熱した。これにコーンスープの素を20部混合した。
得られたコーンスープは牛乳を使用したものと比べコーン風味を強く感じた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、牛乳や濃縮乳の代替として使用でき、製菓製パン、調理、レトルト食品等の練り込み用に適した無脂乳固形分含有水中油型乳化物に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂、無脂乳固形分及び水を含む水中油型乳化物であって、無脂乳固形分が3〜20重量%であり、マグネシウム塩及びカリウム塩を添加してなる、無脂乳固形分含有水中油型乳化物。
【請求項2】
マグネシウム塩由来のマグネシウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して0.01〜0.3重量%である、請求項1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物。
【請求項3】
カリウム塩由来のカリウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して0.01〜0.3重量%である、請求項1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物。
【請求項4】
マグネシウム塩由来のマグネシウムの含有量とカリウム塩由来のカリウムの含有量が、水中油型乳化物全体に対して、マグネシウムとカリウムの重量比がマグネシウム1に対してカリウムが0.5〜4の範囲である、請求項1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物。
【請求項5】
油脂分が2〜50重量%である、請求項1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物。
【請求項6】
練り込み用である、請求項1記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の無脂乳固形分含有水中油型乳化物を使用してなる食品。

【公開番号】特開2012−170415(P2012−170415A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36931(P2011−36931)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000236768)不二製油株式会社 (386)
【Fターム(参考)】