説明

無電極放電灯装置および照明器具

【課題】暗所においても無電極放電灯を確実に始動させることができ、且つ長寿命化が可能な無電極放電灯装置および照明器具を提供することにある。
【解決手段】無電極放電灯装置1は、無電極放電灯2の気密容器21の内部に高周波電磁界を発生させる誘導コイル16とフェライトコア(図示せず)とを備えるカプラ15と、誘導コイル16に高周波電流を通電し高周波電磁界を発生させる点灯装置19と、気密容器21のバルブ3の周囲に配置され無電極放電灯2の始動を補助する2つの補助光源(電球)17a,17bとを備える。そして、無電極放電灯2の始動時において、まず、補助光源17aを点灯させ、補助光源17aの寿命終了時には、補助光源17bを点灯させるように切り替える切替部(切替手段)18が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ガスを封入した気密容器内部には電極を持たず、誘導コイルに高周波電流を通電することにより発生する高周波電磁界を放電ガスに作用させることにより、放電ガスを放電させる無電極放電灯装置およびこれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水銀蒸気と希ガス(アルゴン等)が封入されたバルブと、高周波電流を流すことで高周波電磁界を発生させる誘導コイルとを備え、バルブ内に発生した高周波電磁界によりバルブ内に封入された水銀蒸気が励起され、水銀蒸気から発生した紫外線がバルブの内壁に塗布された蛍光体に照射され可視光に変換される無電極放電灯が提案されている(特許文献1〜5参照)。この無電極放電灯は、内部に電極(フィラメント等)を持たない構造となっているため、一般の蛍光灯のように電極に塗布する電子放出物質の消耗により電極が劣化し点灯しなくなることがなく、一般の蛍光灯に比べて長寿命であるという特徴がある。
【0003】
ここで、上述の特許文献3では、バルブ内への水銀蒸気の供給源として、ビスマス−インジウム−水銀合金を基体金属とするアマルガム(以下、ビスマス−インジウム−水銀アマルガムと称す)を使用した無電極放電灯が提案されている。この無電極放電灯において、高い光出力を得るためには、アマルガムを高い規定温度まで加熱して高い水銀蒸気圧を確保する必要がある。このため、特許文献3に記載の無電極放電灯では、アマルガムを加熱する時間が長くなる分、安定点灯するまでの立ち上がり時間が長くなるという短所があった。実際、ビスマス−インジウム−水銀アマルガムを使用した無電極放電灯では、安定点灯時の光出力に対して60%の光出力を確保するまでには始動開始から1分程度の時間がかかるという結果が得られている。
【0004】
これに対して、上述の特許文献4,5に示すように、水銀蒸気の供給源として水銀滴を使用した無電極放電灯が提案されている。この無電極放電灯では、バルブ内の水銀蒸気圧を高く維持するのに必要な水銀滴の規定温度は上述のビスマス−インジウム−水銀アマルガムに比べて低いので、上述のアマルガムを使用した無電極放電灯に比べて低い温度でもバルブ内の水銀蒸気を高く維持することができる。従って、水銀滴を必要な規定温度まで加熱する時間が短くなる分、安定点灯するまでの立ち上がり時間を短くできる。実際、始動した後、2〜3秒以内に光出力が最大光出力の50%に達したことが報告されている。
【0005】
また、特許文献4,5に記載された無電極放電灯では、バルブの周囲温度が極端に低下したときや、調光時(即ち、無電極放電灯への入力電力が低下した場合)でもバルブ内に確実に水銀蒸気を放出することが可能であり、光出力を安定させることができる。なお、このような無電極放電灯の調光方式としては、例えば、一定の間隔で点灯・消灯を繰り返すPWM調光が採用される。
【0006】
また、上述の水銀滴を使用した無電極放電灯では、バルブ内部の水銀蒸気圧が高くなりすぎると安定点灯中の光出力が低下してしまう。具体的には、無電極放電灯がバルブの体積に対して入力電力が大きい高負荷のランプである場合やバルブの周囲温度が高い場合は、バルブの温度が高くなり、バルブ内部の水銀蒸気圧が高くなりすぎて光出力が低下することがある。例えば、特許文献4に記載の無電極放電灯では、バルブの最冷部(即ち、バルブ表面中で最も温度が低くなる部分)が約44℃〜55℃よりも高くなると光出力が低下するが、バルブに突起部を設けて、その突起部を最冷部とすることによりバルブの最冷部の温度を低く(例えば、35℃〜44℃の範囲内)抑えることができる旨が記載されている。
【0007】
ところで、冷陰極形低圧放電蛍光ランプや無電極放電灯は、熱電極のような初期電子発生源を有していないため、バルブ内に偶然存在する電子によって放電を開始する。従って、明所では、紫外線や可視光がバルブ内の放電ガスに照射されることにより、バルブ内の放電ガスがある程度電離しており、初期電子が比較的多く存在しているため、始動までの時間が比較的短い。一方、暗所ではバルブ内の放電ガスに照射される紫外線や可視光の量が少なく、バルブ内の放電ガスはほとんど電離していないので、初期電子が少なく、始動までの時間が長くなる。
【0008】
これに対して、従来から、暗所での始動開始から点灯までの時間を短縮するために、暗所で電子を放出することにより上述の初期電子を増やす役割をする暗所始動補助材(暗所始動補助用フラグ)を使用した無電極放電灯が提案されている(特許文献6〜8参照)。ここで、上記特許文献6〜8に記載された無電極放電灯では、暗所始動補助材として例えばセシウムやナトリウムなどのアルカリ土類金属単体或いはその酸化物など、仕事関数の小さい物質が用いられており、バルブ内の適所に配置されている。
【0009】
ところが、セシウムやナトリウムなどのアルカリ土類金属は吸湿性が強く、例えば、製造時において、これらの物質を長時間空気中に晒した後に暗所始動補助材として無電極放電灯内に入れると、吸収した水分(不純物)が無電極放電灯内に入ることにより、無電極放電灯の寿命が低下することがあった。そのため、これらの物質は、空気に触れないように取り扱う必要があり、取り扱いおよび管理が難しかった。
【0010】
これに対して、暗所始動補助材を使用する代わりに、図5または図6に示すように、無電極放電灯2’,2”のバルブ3’,3”の近傍に暗所始動補助用の補助光源17’,17”を配設した無電極放電灯装置が提案されている(特許文献9,10参照)。
【0011】
図5に示す構成の無電極放電灯装置は、バルブ3’に形成されたキャビティ4’内に挿入された誘導コイル16’と並列に補助光源(キセノンフラッシュランプ)17’を接続し、無電極放電灯2’の始動時に補助光源17’を点灯させるものである。
【0012】
また、図6に示す構成の無電極放電灯装置では、補助光源(白熱電球)17”と導体22”とで構成された閉ループがバルブ3”近傍に配置され、始動時に誘導コイル16”によって前記閉ループに誘起した電力により補助光源17”を点灯させるものである。
【0013】
しかして、図5や図6に示す無電極放電灯装置では、始動時に無電極放電灯2’,2”の放電空間に始動に必要な量の初期電子が生成されるので、始動性が向上する。
【特許文献1】特開平7−272688号公報
【特許文献2】実開平6−5006号公報
【特許文献3】特開平9−320523号公報
【特許文献4】特開2001−325920号公報
【特許文献5】特開2005−346983号公報
【特許文献6】特開2005−123157号公報
【特許文献7】特開2002−260594号公報
【特許文献8】特開平10−12198号公報
【特許文献9】特開平6−223789号公報
【特許文献10】特開2005−56803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、無電極放電灯は一般の蛍光灯や白熱電球に比べて格段に寿命が長く、図5または図6に示す構成の無電極放電灯装置や当該無電極放電灯装置を用いた照明器具において、補助光源17’,17”として一般の蛍光灯や白熱電球を採用した場合、補助光源17’,17”のみを交換することができないため、暗所における始動性が良好に維持される期間が補助光源17’,17”の寿命に制限されるということがあった。
【0015】
本願発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、暗所においても無電極放電灯を確実に始動させることができ、且つ長寿命化が可能な無電極放電灯装置および照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明は、透光性材料により形成され内壁側に蛍光体膜が形成されたバルブを有し内部に水銀を含む放電ガスが封入された気密容器を備えた無電極放電灯と、気密容器の内部に高周波電磁界を発生させるための誘導コイルとフェライトコアとを備えるカプラと、誘導コイルに高周波電流を通電して高周波電磁界を発生させる点灯装置と、無電極放電灯のバルブの周囲に配置され無電極放電灯の始動を補助する補助光源とを備え、誘導コイルで発生した高周波電磁界が放電ガスに作用して放電ガスを励起して発生した紫外線が蛍光体膜に照射され可視光に変換されるものであって、補助光源は複数設けられ、そのうちの1つの補助光源を無電極放電灯の始動時に点灯させ、当該1つの補助光源の寿命終了後には、他の補助光源を点灯させる切替手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、無電極放電灯の始動を補助する複数の補助光源を設け、そのうちの1つの補助光源が無電極放電灯の始動時に点灯し、暗所においても無電極放電灯を確実に始動させることができる。また、当該1つの補助光源の寿命終了後には、他の補助光源を点灯させる切替手段を設けているので、無電極放電灯装置の寿命が1つの補助光源の寿命に制限されることがないようにすることで無電極放電灯装置の長寿命化が可能になる。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1に記載の無電極放電灯装置を備えたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、上述の無電極放電灯装置を備えているので、暗所においても確実に始動させることができ、無電極放電灯装置の寿命が1つの補助光源の寿命に制限されることがなく長寿命化が可能な照明器具を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、暗所においても無電極放電灯を確実に始動させることができ、且つ長寿命化が可能な無電極放電灯装置を提供することができるという効果がある。
【0021】
請求項2の発明によれば、暗所においても確実に始動させることができ、且つ長寿命化が可能な照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、本実施形態の無電極放電灯装置1について図1〜図3に基づいて説明する。
【0023】
本実施形態の無電極放電灯装置1は、図1および図2に示すように、無電極放電灯2の気密容器21の内部に高周波電磁界を発生させる誘導コイル(以下、第1の誘導コイルと称す)16とフェライトコア(図示せず)とを備えたカプラ15と、カプラ15に高周波電流を供給することで無電極放電灯2を点灯させる点灯装置19とを備えている。
【0024】
上述の気密容器21は、透光性材料(例えば、ガラス等)により形成された電球形状のバルブ3に第1の誘導コイル16を装着したカプラ15が挿入されるキャビティ4が形成されてなる。ここにおいて、気密容器21の内部には、水銀蒸気および希ガス(クリプトン或いはアルゴン等)からなる放電ガスが封入されている。ここで、気密容器21は、バルブ3の内径が110mmに設定されており、バルブ3の内壁には、保護膜31と蛍光体膜32とが積層する形で形成されている。なお、保護膜31と蛍光体膜32について、図1には一部のみ図示してあるが、実際にはバルブ3の内壁のほぼ全面に形成されている。
【0025】
キャビティ4は、透光性材料(例えば、ガラス等)で形成され一端側を閉塞して底部が形成されるとともに他端側を開口した円筒状部材をバルブ3の一部に形成された開口部からバルブ3内部に挿入し、バルブ3の開口部の周縁と前記円筒状部材の開口部の周縁とを溶着することにより形成されている。しかして、バルブ3の開口部周縁と前記円筒状部材の開口部周縁との間に封止部9が形成されている。ここで、前記円筒状部材におけるバルブ3の内壁に対向する外周壁には、保護膜41と蛍光体膜42とが積層する形で形成されている。なお、保護膜41と蛍光体膜42について、図1には一部のみ図示してあるが、実際には前記円筒状部材におけるバルブ3の内壁に対向する外周壁のほぼ全面に形成されている。
【0026】
ここで、上述の保護膜31,41は、水銀蒸気とバルブ3および前記円筒状部材の材料であるガラスとの反応を抑えることにより、バルブ3の光束維持率を向上させるものであり、上述の蛍光体膜32,42は、紫外線を可視光に変換するものである。
【0027】
また、前記円筒状部材には、前記円筒状部材の底部に溶着され前記円筒状部材の開口部に向かって延出した排気細管7が形成されている。ここで、排気細管7は前記円筒状部材の底部に溶着された一端側が気密容器21内に開放されるとともに他端側が封止されており、当該開放部分から気密容器21内の放電空間に水銀蒸気を供給する。また、排気細管7内部には、水銀が収納された鉄−ニッケル合金製の金属容器11と、当該金属容器11を排気細管7の長手方向の両側から挟持するようにガラスロッド10,10が収められている。排気細管7には、一端側が金属容器11に対向する各ガラスロッド10,10の他端側近傍の側壁に排気細管7に凹設された窪み部71,71が形成されている。しかして、金属容器11は、排気細管7の長手方向の両側から当該金属容器11を挟持するガラスロッド10,10が窪み部71,71に係止されることで、排気細管7の長手方向における所定の位置に固定される。
【0028】
また、暗所始動補助フラグ14は、一端側に暗所始動補助材が塗布されたメッシュ状の保持部14aが溶着されており、他端側にフック14cが形成されたワイヤ14bを有し、ワイヤ14bの保持部14aが連結された一端側が前記円筒状部材の外周壁に沿って配置され、フック14cが形成された他端側が排気細管7内に挿入された形で配置される。そして、フック14cが排気細管7に形成された窪み部72に掛合することで、ワイヤ14bが排気細管7から抜けないように固定されている。ここで、暗所始動補助材として、水酸化セシウム(CsOH)を用いている。
【0029】
カプラ15は、アルミニウム等の金属で形成された基台部15aと基台部15aから突出し、一部に第1の誘導コイル16が巻回された円筒状の突出部15bとから構成され、突出部15bが気密容器21のバルブ3に形成されたキャビティ4に挿入されるとともに基台部15aが円筒状の口金13の基端側に当接した形で配置される。また、カプラ15の第1の誘導コイル16に通電する高周波電流は数百kHzの周波数であるため、第1の誘導コイル16が空芯では、入力インピーダンスが小さく放電ガスへの電力供給が困難になる。そこで、カプラ15では、突出部15bにおいて第1の誘導コイル16が巻回される部分にフェライトコアの磁芯(図示せず)が設けられている。
【0030】
点灯装置19は、例えばインバータ回路で構成される点灯回路を備えるものであってカプラ15の第1の誘導コイル16に高周波電流を供給する。ここで、点灯装置19は管灯線20を介してカプラ15と接続され、電源線192を介して電源プラグ191に接続されている。しかして、点灯装置19には、電源プラグ191が商用電源(図示せず)に接続されることで、商用電源から電源線192を介して電力が供給される。
【0031】
ここにおいて、点灯装置19から第1の誘導コイル16に高周波電流を流すと、キャビティ4に挿入された第1の誘導コイル16が、気密容器21内部に高周波電磁界を発生させる。この高周波電磁界が気密容器21内の水銀蒸気を含む放電ガスに作用して放電ガスが励起される。そして、放電ガスを励起して発生した紫外線が気密容器21のバルブ3の内壁側に形成された蛍光体膜32に照射され、可視光に変換される。そして、当該可視光は、気密容器21のバルブ3の内壁に形成された保護膜31およびバルブ3を透過して無電極放電灯2の外部に放射される。
【0032】
ここで、本実施形態の無電極放電灯装置1では、暗所での始動性を良好にするために、気密容器21のバルブ3の周囲に配置され無電極放電灯2の始動を補助する複数(ここでは、2つ)の補助光源(電球)17a,17bを有する補助光源ユニット23を備えている。
【0033】
この補助光源ユニット23は、補助光源17a,17bと、図1に示すように、導電性の線材をC字状に曲成してなり気密容器21のバルブ3の周囲を取り巻くように配置された第2の誘導コイル22の両端間に、補助光源17aとスイッチ181および補助光源17bからなる直列回路とが並列に接続されている。ここで、図3に示すように、スイッチ181と、補助光源17aから発せられる光を受光するように配置され補助光源17aが点灯しているときには、補助光源17aからの光を受光してスイッチ181に信号を出力する光センサ(フォトダイオード)182と、補助光源17bから発せられて光センサ182に向かう光を遮光する遮光部材(遮光手段)183とから無電極放電灯2の始動時に点灯させる補助光源17a,17bを切り替える切替部(切替手段)18が構成されている。しかして、第1の誘導コイル16に発生する磁界によって第2の誘導コイル22に発生した誘導起電力を利用して補助光源17a,17bを点灯させる。なお、本実施形態の補助光源ユニット23は、第2の誘導コイル22からの誘導起電力を利用して補助光源17a,17bに電力を供給するものであるが、補助光源17a,17bへの電力の供給方法はこれに限定されるものではなく、例えば、補助光源17aと補助光源17bおよびスイッチ181の直列回路とを第1の誘導コイル16の両端間に並列に接続し、点灯装置19から電力を供給するものであってもよい。
【0034】
補助光源ユニット23では、無電極放電灯2の始動時において、まず、補助光源17aのみが点灯する。補助光源17aが点灯しているときは、光センサ182は補助光源17aから発せられた光を受光してスイッチ181に信号を出力し、当該信号を受けたスイッチ181はオフとなる。しかして、無電極放電灯2の始動時において、スイッチ181がオフとなるので、スイッチ181に直列に接続された補助光源17bは点灯せず、補助光源17aのみが点灯する。
【0035】
ここで、補助光源17aが寿命終了により点灯しなくなったときには(つまり、補助光源17aが不点となったときには)、光センサ182は補助光源17aからの光を受光しなくなるので、スイッチ181に信号を出力しなくなり、スイッチ181はオンに切り替わる。しかして、スイッチ181に直列に接続された補助光源17bが点灯するようになる。ここで、補助光源17bから発せられて光センサ182に向かう光は遮光部材183により遮光されているので、補助光源17bが点灯していても光センサ182は補助光源17bからの光を受光することはなく、光センサ182からスイッチ181に信号が出力されることはない。
【0036】
なお、本実施形態の補助光源ユニット23は、2つの補助光源17a,17bが並列に接続されるものであるが、これに限定されるものではなく、3つ以上の補助光源を備えるものであってもよい。補助光源を3つ以上備える補助光源ユニット23の具体例について以下に説明する。補助光源ユニット23では、第2の誘導コイル22の両端間に第1の補助光源が接続されており、これと並列に第1の補助光源からの光を受光する第1の光センサから信号が入力されているときにはオフし当該信号が入力されないときはオンする第1のスイッチおよび第2の補助光源からなる1段目の直列回路が接続されている。ここで、1段目の直列回路を構成する第1のスイッチと第2の補助光源との間の接続点と、一端に第1のスイッチが接続される第2の誘導コイル22の他端との間には、第2の補助光源からの光を受光する第2の光センサからの信号が入力されているときにはオフし当該信号が入力されないときはオンする第2のスイッチおよび第3の補助光源からなる2段目の直列回路が接続され、第2の補助光源から第1の光センサに向かう光を遮光する遮光部材が設けられている。また、n(≧3)段目の直列回路は、第nの補助光源からの光を受光する第nの光センサからの信号が入力されているときにはオフし当該信号が入力されないときはオンする第nのスイッチおよび第n+1の補助光源から構成され、n段目の直列回路の第nのスイッチと第n+1の補助光源との間の接続点と一端に第1のスイッチが接続される第2の誘導コイル22の他端との間には、第n+1の補助光源からの光を受光する第n+1の光センサからの信号が入力されているときにはオフし当該信号が入力されないときはオンする第n+1のスイッチおよび第n+2の補助光源からなるn+1段目の直列回路が接続され、第n+1の補助光源から第nの光センサに向かう光を遮光する遮光部材が設けられている。
【0037】
また、本実施形態の補助光源ユニット23では、補助光源17a,17bとして電球を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば一般の蛍光灯を採用してもよい。
【0038】
しかして、補助光源ユニット23は、無電極放電灯2の始動時において、まず、補助光源17aを点灯させ、補助光源17aの寿命終了時には、スイッチ181がオフ状態からオン状態に切り替わり、補助光源17bを点灯させるので、無電極放電灯2の寿命が補助光源17aの寿命に制限されることがない。
【0039】
(実施形態2)
図4に実施形態1で説明した無電極放電灯装置1を備えた照明器具50を示す。
【0040】
本実施形態の照明器具50は、椀状の反射板52と透光性材料で形成された前面パネル53とで構成された器体51と、器体51の内部に配置された無電極放電灯2と、器体51とは別の場所に配置され無電極放電灯2の気密容器21の内部に高周波電磁界を発生させる第1の誘導コイル16(図1参照)を備えたカプラ15(図1参照)に高周波電流を供給することで無電極放電灯2を点灯させる点灯装置19とを備え、点灯装置19とカプラ15とが管灯線20を介して電気的に接続されてなるものである。また、点灯装置19には、電源線192を介して電源プラグ191に接続されており、電源プラグ191が商用電源(図示せず)に接続されることで、商用電源から点灯装置19に電力が供給される。なお、無電極放電灯2から出射される光は前面パネル53を透過して外部に放射される。
【0041】
しかして、本実施形態の照明器具50は、暗所においても確実に始動することができ、また、無電極放電灯装置1の寿命は1つの補助光源の寿命に制限されることがないので、その分長寿命化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態1の無電極放電灯装置の概略構成図を示す。
【図2】同上の無電極放電灯装置の概略斜視図を示す。
【図3】同上の要部概略回路図を示す。
【図4】実施形態2の照明器具の概略斜視図を示す。
【図5】従来例の無電極放電灯装置の概略構成図を示す。
【図6】他の従来例の無電極放電灯装置を示し、(a)は断面図、(b)はバルブを取り外した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 無電極放電灯装置
2 無電極放電灯
3 バルブ
4 キャビティ
7 排気細管
11 金属容器
15 カプラ
16 誘導コイル
17a,17b 補助光源
18 切替部(切替手段)
19 点灯装置
21 気密容器
22 第2の誘導コイル
32,42 蛍光体膜
181 スイッチ
182 光センサ(フォトダイオード)
183 遮光部材(遮光手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料により形成され内壁側に蛍光体膜が形成されたバルブを有し内部に水銀を含む放電ガスが封入された気密容器を備えた無電極放電灯と、気密容器の内部に高周波電磁界を発生させるための誘導コイルとフェライトコアとを備えるカプラと、誘導コイルに高周波電流を通電して高周波電磁界を発生させる点灯装置と、無電極放電灯のバルブの周囲に配置され無電極放電灯の始動を補助する補助光源とを備え、誘導コイルで発生した高周波電磁界が放電ガスに作用して放電ガスを励起して発生した紫外線が蛍光体膜に照射され可視光に変換されるものであって、補助光源は複数設けられ、そのうちの1つの補助光源を無電極放電灯の始動時に点灯させ、当該1つの補助光源の寿命終了後には、他の補助光源を点灯させる切替手段を設けたことを特徴とする無電極放電灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無電極放電灯装置を備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−158185(P2009−158185A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332821(P2007−332821)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】