説明

無電解めっきの前処理方法及びその前処理方法を含む無電解めっき法

【課題】 基材表面に担持された金属錯体を低温で還元剤により還元して、基材表面に熱分解残留物を含まない金属核を形成することにより、基材材質への影響が少なく、金属核の基材表面への密着性を向上する。
【解決手段】 先ずめっき金属と同一の金属を含む金属錯体12を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材11に接触させることにより、基材11表面を脱脂しかつエッチングするとともに、基材11表面に金属錯体12を担持させる。次に基材11表面に担持した金属錯体12を還元剤を用いて還元することにより、金属錯体12中の金属を基材11表面に析出させて金属核13を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解めっきの前処理に用いられ廃液が環境汚染の問題となるアルコール、クロム硫酸溶液、アルカリ溶液等を使用せず、基材表面の脱脂及びエッチングと基材表面への金属核の析出を同時に行う無電解めっきの前処理方法と、この前処理方法を含む無電解めっき法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基材表面を金属めっきすることにより、外観的には製品の装飾価値を高め、機能的には物性、耐候性、導電性、電磁波の遮蔽等の性能を向上させることができる。これらの機能性を向上するために、触媒型の無電解めっき法が現在最も広く用いられている。この触媒型無電解めっき法では、基材(用途により多少異なるが、一般的に成形品)の脱脂、エッチング、触媒付与及び触媒活性化からなる前処理工程と、めっき金属付与工程とを含む。上記前処理工程は、多くの工程からなるため煩雑であり、またアルコール、高濃度の酸溶液、アルカリ溶液、クロム、錫、触媒等を使用するため、廃液等の後処理が必要となり、コストを押上げる問題点があった。
【0003】
これらの問題点を解消するために、樹脂に、めっき用触媒金属錯体を含有する超臨界流体を接触させることにより、樹脂にめっき用触媒金属錯体を付着させた後に(めっき前処理工程)、めっき処理するめっき方法(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。このめっき方法では、めっき用触媒金属錯体として、パラジウム、銅又はニッケル金属を含む化合物が用いられる。まためっき処理に用いられる金属として、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、すず、鉛、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム等が用いられる。
このように構成されためっき方法では、クロム酸溶液、アルカリ溶液などを使用する必要がなく、めっき前処理工程の簡略化が可能であるため、低コストで触媒の回収も可能なことから環境汚染物質を排出することなく、樹脂にめっきできるようになっている。
【特許文献1】特開2001−316832号公報(請求項2及び11、段落[0020]、段落[0023]、段落[0037])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示された樹脂のめっき方法では、樹脂に、めっき用触媒金属錯体を含有する超臨界流体を接触させることにより、樹脂にめっき用触媒金属錯体を付着させるとともに、触媒金属錯体を熱分解して触媒金属を生成し、その後にめっき処理するため、樹脂表面への密着力が弱く、熱分解残留物を含んだ触媒を核としてめっき金属がめっきされることになり、めっき効率が低下するとともに、めっき金属が樹脂表面から剥がれ易くかつ高温により樹脂材質に悪影響を与えるおそれもある。なお、上記触媒金属錯体を熱分解して触媒金属を生成することは、特許文献1には記載されていない。
また、一般に触媒金属としてパラジウムのような高価な金属が使用されており、前処理コストに占める触媒コストが大きいため、触媒金属を使用しない無電解めっき法が望ましい。
本発明の第1の目的は、基材表面に担持された金属錯体を低温で還元剤により還元して、基材表面に熱分解残留物を含まない金属核を形成することにより、基材材質への影響が少なく、金属核の基材表面への密着性を向上できる、無電解めっき法の前処理方法及びその前処理方法を含む無電解めっき法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、めっき金属と同一の金属を含む金属錯体を用いることにより、パラジウムのような高価な触媒を使用せず製造コストを低減できるとともに、金属核とめっき層との密着性を向上でき、めっき層の基材表面からの剥離を防止できる、無電解めっき法の前処理方法及びその前処理方法を含む無電解めっき法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、めっき金属と同一の金属を含む金属錯体12を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材11に接触させることにより、基材11表面を脱脂しかつエッチングするとともに、基材11表面に金属錯体12を担持させる工程と、基材11表面に担持した金属錯体12を還元剤を用いて還元することにより、金属錯体12中の金属を基材11表面に析出させて金属核13を形成する工程とを含む無電解めっきの前処理方法である。
この請求項1に記載された無電解めっきの前処理方法では、めっき金属と同一金属の錯体12を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材11と接触させることにより、無電解めっきの前処理に必要な脱脂及びエッチングと、めっき金属と同一の金属錯体12の基材11表面への担持を同時に行うことができる。また基材11表面に担持された金属錯体12を還元剤を用いて還元することにより、金属錯体12中の金属を基材11表面に析出させて金属核13を形成することができる。これにより、金属核13の基材11表面への密着性を向上させることができる。
【0006】
請求項7に係る発明は、図1に示すように、めっき金属と同一の金属を含む金属錯体12を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材11に接触させることにより、基材11表面を脱脂しかつエッチングするとともに、基材11表面に金属錯体12を担持させる工程と、基材11表面に担持した金属錯体12を還元剤を用いて還元することにより、金属錯体12中の金属を基材11表面に析出させて金属核13を形成する工程と、表面に金属核13の形成された基材11を上記めっき金属を含むめっき溶液に浸漬することにより、金属核13をそのまま自己触媒として連続的に析出反応を進行させてめっき層14を形成する工程とを含む無電解めっき法である。
この請求項7に記載された無電解めっき法では、めっき金属と同一金属の錯体12を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材11と接触させることにより、無電解めっきの前処理に必要な脱脂及びエッチングと、めっき金属と同一の金属錯体12の基材11表面への担持を同時に行うことができる。また基材11表面に担持された金属錯体12を還元剤を用いて還元することにより、金属錯体12中の金属を基材11表面に析出させて金属核13を形成することができる。これにより、金属核13の基材11表面への密着性を向上させることができる。更に表面に金属核13の形成された基材11を上記めっき金属を含むめっき溶液に浸漬することにより、金属核13をそのまま自己触媒として連続的に析出反応を進行させてめっき層14を形成する。これにより、金属核13とめっき層14との密着性を向上できるので、めっき層14を基材11表面から剥がれ難くすることができる。
【発明の効果】
【0007】
以上述べたように、本発明によれば、めっき金属と同一の金属を含む金属錯体を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材に接触させることにより、基材表面を脱脂しかつエッチングするとともに、基材表面に金属錯体を担持させ、基材表面に担持した金属錯体を還元剤を用いて還元することにより、金属錯体中の金属を基材表面に析出させて金属核を形成したので、無電解めっきの前処理に必要な脱脂及びエッチングと、めっき金属と同一の金属錯体の基材表面への担持を同時に行うことができるとともに、金属核の基材表面への密着性を向上させることができる。
また上記のように金属錯体中の金属を基材表面に析出させて金属核を形成した後に、この基材を金属錯体に含まれる金属と同一のめっき金属を含むめっき溶液に浸漬すれば、金属核がそのまま自己触媒として連続的に析出反応を進行してめっき層が形成される。この結果、金属核とめっき層との密着性を向上できるので、めっき層を基材表面から剥がれ難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、無電解めっきの前処理方法は、めっき金属と同一の金属を含む金属錯体12を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材11に接触させる工程と、基材11表面に担持した金属錯体12を還元剤を用いて還元する工程とを含む。
上記金属錯体12中の金属としては、銅、銀、ニッケル又は金などが挙げられる。また金属錯体12としては、亜臨界流体又は超臨界流体への溶解度が高く、安価であって、しかも20〜100℃と基材11への影響の少ない低温で還元できるものを用いることが好ましい。具体的には、MnXm(COD)w,Mn(COD)m(COT)w,Mn(COD)m(OSiPh3)w,Mn(COT)m(OSiPh3)w,Mn(R)m(OSiPh3)w,Mn(RX)m(OSiPh3)w,M(OR)n,M(OCOR)n,M(RCOCH2COR)nで示される金属錯体12を用いることが好ましい。これらの金属錯体12は還元剤により容易に金属まで還元される。これらの金属錯体12において、Xは、F,Cl,Br,I,CN,NO3又はClO4であり、Rは炭化水素基又はフッ素などのハロゲン化炭素基或いはリンを含む炭化水素基である。またCODはシクロオクタジエンであり、COTはシクロオクタトリエンであり、OSiPh3はシラノール基である。またMはめっき金属(Cu,Ag,Ni又はAu等)であり、n,m及びwは整数であり金属の価数により決定される。なお、Mが2価以上である場合には、金属を含む化合物中にX,Rが複数の形態で存在するけれども、これらの形態はそれぞれ同じであっても或いは異なっていてもよい。特に配位子としてCOT又はCODを含み、それ以外の配位子としてシロキソ基、アルキル基及びシラノール基からなる群より選ばれた1種又は2種以上を用い、かつこれらの配位子が同時に金属に結合した金属錯体を用いた方が、基材11への影響の少ない低温又は室温で水素によって容易に水素化分解されて金属粒子を得ることができるため望ましい。
【0009】
また基材11としては、合成繊維、樹脂粉末、樹脂ペレット及び樹脂成形体からなる群より選ばれた1種又は2種以上のポリマー樹脂などが挙げられる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリルニトリルブタジエンスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル、ゼオネックス、シクロポリオレフィン、セルロース系、不飽和ポリエステル、フェノール、ポリウレタン、シリコーン、フッ素系などの樹脂を用いて作製された繊維、粒子又はペレットや、これらの樹脂を用いて作製されたパイプ、タンク、プレート、シート又はその他の様々な形状の成形品などが挙げられる。
【0010】
また亜臨界流体又は超臨界流体としては、物理的又は化学的に安定であり、臨界温度と臨界圧力が低い物質を用いることが好ましい。例えば、二酸化炭素、水素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ペンタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ベンゼン、硫化水素、アンモニア、フレオン又はトルエンなどが挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。特に環境に優しい二酸化炭素が望ましい。二酸化炭素を亜臨界流体として用いた場合の圧力は7〜30MPa、好ましくは10〜20MPaであり、温度は31℃以下である。また二酸化炭素を超臨界流体として用いた場合の圧力は7〜30MPa、好ましくは10〜20MPaであり、温度は31℃以上であって基材の融点未満である。なお、金属錯体12を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体への基材11の接触時間は5〜500分間、好ましくは60〜300分間である。また、上記亜臨界流体又は超臨界流体には若干の助剤を添加してもよい。これにより、金属錯体の亜臨界流体又は超臨界流体への溶解度を促進することができる。上記助剤としては、ケトン類、アルコール類、有機酸類、脂肪族類及び芳香族類などの溶剤が挙げられる。
【0011】
また基材11表面に担持した金属錯体12を還元する還元剤は、水素、一酸化炭素、ヒドラジン、ホウ素化合物、亜燐酸塩、亜硫酸塩、ロッシェル塩、ジエチルアミンボラン、ホルマリン、ハイドロキノン、糖類及び有機酸類からなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。基材11表面に担持した金属錯体12の還元剤による還元反応は、基材11の脱脂及びエッチング後の亜臨界流体若しくは超臨界流体中で行ってもよく、又は減圧後の気相中で行ってもよい。
上記のようにめっき金属と同一の金属を含む金属錯体12を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材11に接触させることにより、基材11表面が脱脂されかつエッチングされた後に、基材11表面に金属錯体12が担持される。次に基材11表面に担持した金属錯体12を還元剤を用いて還元することにより、金属錯体12中の金属を基材表面に析出させて金属核13を形成する。即ち、基材11表面に担持された金属錯体12が水素等の還元剤により還元されて金属錯体12中の配位子が金属から容易に離脱し、この金属が基材表面に析出して金属核13が形成される。
【0012】
一方、無電解めっき法は、上記前処理工程に加えて、表面に金属核13の形成された基材11を上記めっき金属を含むめっき溶液に浸漬する工程を更に含む。めっき溶液中の金属は上記金属錯体12中の金属と同一の金属が用いられる。更に基材11表面に担持した金属錯体12の還元剤による還元反応は、基材11の脱脂及びエッチング後の亜臨界流体若しくは超臨界流体中や減圧後の気相中ではなく、還元剤を添加しためっき溶液中で行ってもよい。
上記のように表面に金属核13の析出した基材11をめっき金属のめっき溶液に浸漬することにより、析出した金属をそのまま自己触媒として連続的に析出反応を進行させてめっき層14を形成する、即ち金属核13上にめっき液中の金属が自己触媒作用により析出されてめっき層14が形成される。この結果、金属核13とめっき層14との密着性を向上できるので、めっき層14を基材11表面から剥がれ難くすることができる。
【実施例】
【0013】
次に本発明の実施例を詳しく説明する。
<実施例1>
縦及び横がそれぞれ4cmであるネット状のポリエステル繊維を高圧セルに入れ、高圧ポンプ及びプレヒータにより高圧セル中で二酸化炭素を50℃、20MPaの超臨界状態にした。超臨界二酸化炭素をゆっくり流通して、超臨界二酸化炭素を繊維に5時間接触させた後に開放し、繊維試料を取出した。この繊維試料を実施例1とした。
<試験1及び評価>
実施例1の繊維試料を走査電子顕微鏡(SEM)により分析した。その結果、超臨界二酸化炭素処理による繊維表面の荒れがあるため、エッチングの効果が確認された。
【0014】
<実施例2>
縦及び横がそれぞれ4cmであるネット状のポリエステル繊維を高圧セルに入れ、高圧ポンプ及びプレヒータにより高圧セル中で二酸化炭素を50℃、20MPaの超臨界状態にした。超臨界二酸化炭素を先ずめっき金属と同一の銀を含む金属錯体(以下、銀錯体という)と接触させ、銀錯体を溶解した超臨界二酸化炭素を流通して、この銀錯体を溶解した超臨界二酸化炭素を繊維に5時間接触させた後に開放し、繊維試料を取出した。この繊維試料を実施例2とした。
<試験2及び評価>
実施例2の繊維試料を電子プローブ・マイクロアナライザー(EPMA)で分析した。その結果、図2に示すように、銀錯体を含む超臨界二酸化炭素処理により銀が繊維表面に担持されたことが確認された。
【0015】
<実施例3>
実施例2で得られた繊維試料を圧力0.1MPa及び温度50℃の水素雰囲気中で120分間保持して還元させた後に、この繊維試料をめっき溶液中に吊下げた状態で浸漬して銀めっき処理した。この繊維試料を実施例3とした。
<試験3及び評価>
実施例3の繊維試料を電子プローブ・マイクロアナライザー(EPMA)で分析した。その結果、通常のアルコール、高濃度の酸溶液、アルカリ溶液等を用いて触媒前処理した後に銀めっきを行った場合と同様に、繊維表面に密着強度の高い銀めっきが施されていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明実施形態の無電解めっきの工程図である。
【図2】実施例2の銀錯体を含む超臨界二酸化炭素を接触させた後の繊維試料のEPMA写真図である。
【0017】
11 基材
12 金属錯体
13 金属核
14 めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき金属と同一の金属を含む金属錯体(12)を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材(11)に接触させることにより、前記基材(11)表面を脱脂しかつエッチングするとともに、前記基材(11)表面に前記金属錯体(12)を担持させる工程と、
前記基材(11)表面に担持した前記金属錯体(12)を還元剤を用いて還元することにより、前記金属錯体(12)中の金属を前記基材(11)表面に析出させて金属核(13)を形成する工程と
を含む無電解めっきの前処理方法。
【請求項2】
金属錯体(12)中の錯体が20〜100℃で還元可能であり、前記金属錯体(12)中の金属が、銅、銀、ニッケル又は金である請求項1記載の無電解めっきの前処理方法。
【請求項3】
基材(11)が、合成繊維、樹脂粉末、樹脂ペレット及び樹脂成形体からなる群より選ばれた1種又は2種以上のポリマー樹脂である請求項1記載の無電解めっきの前処理方法。
【請求項4】
亜臨界流体又は超臨界流体が、二酸化炭素、水素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ペンタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ベンゼン、硫化水素、アンモニア、フレオン又はトルエンである請求項1記載の無電解めっきの前処理方法。
【請求項5】
基材(11)表面に担持した金属錯体(12)を還元する還元剤が、水素、一酸化炭素、ヒドラジン、ホウ素化合物、亜燐酸塩、亜硫酸塩、ロッシェル塩、ジエチルアミンボラン、ホルマリン、ハイドロキノン、糖類及び有機酸類からなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の無電解めっきの前処理方法。
【請求項6】
基材(11)表面に担持した金属錯体(12)の還元剤による還元反応を、基材(11)の脱脂及びエッチング後の亜臨界流体若しくは超臨界流体中で行うか、又は減圧後の気相中で行う請求項1記載の無電解めっきの前処理方法。
【請求項7】
めっき金属と同一の金属を含む金属錯体(12)を溶かした亜臨界流体又は超臨界流体を基材(11)に接触させることにより、前記基材(11)表面を脱脂しかつエッチングするとともに、前記基材(11)表面に前記金属錯体(12)を担持させる工程と、
前記基材(11)表面に担持した前記金属錯体(12)を還元剤を用いて還元することにより、前記金属錯体(12)中の金属を前記基材(11)表面に析出させて金属核(13)を形成する工程と、
表面に金属核(13)の形成された基材(11)を前記めっき金属を含むめっき溶液に浸漬することにより、前記金属核(13)をそのまま自己触媒として連続的に析出反応を進行させてめっき層(14)を形成する工程と
を含む無電解めっき法。
【請求項8】
金属錯体(12)中の錯体が20〜100℃で還元可能であり、前記金属錯体(12)及びめっき溶液中の金属が、銅、銀、ニッケル又は金である請求項7記載の無電解めっき法。
【請求項9】
基材(11)が、合成繊維、樹脂粉末、樹脂ペレット及び樹脂成形体からなる群より選ばれた1種又は2種以上のポリマー樹脂である請求項7記載の無電解めっき法。
【請求項10】
亜臨界流体又は超臨界流体が、二酸化炭素、水素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ペンタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ベンゼン、硫化水素、アンモニア、フレオン又はトルエンである請求項7記載の無電解めっき法。
【請求項11】
基材(11)表面に担持した金属錯体(12)を還元する還元剤が、水素、一酸化炭素、ヒドラジン、ホウ素化合物、亜燐酸塩、亜硫酸塩、ロッシェル塩、ジエチルアミンボラン、ホルマリン、ハイドロキノン、糖類及び有機酸類からなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項7記載の無電解めっき法。
【請求項12】
基材(11)表面に担持した金属錯体(12)の還元剤による還元反応を、基材(11)の脱脂及びエッチング後の亜臨界流体若しくは超臨界流体中で行うか、又は減圧後の気相中で行うか、或いはめっき溶液中で行う請求項7記載の無電解めっき法。
【請求項13】
請求項7ないし12いずれか1項に記載の無電解めっき法を用いてめっきされた基材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−37188(P2006−37188A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221121(P2004−221121)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】