説明

焼成物

【課題】高密度、低吸水率、かつ高強度の焼成物を提供すること。
【解決手段】水硬率が0.4未満、鉄率が3.5以下、SiO2含有量が47質量%以下である焼成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物や建設発生土等の廃棄物を主原料として製造することができ、高密度、低吸水率、かつ高強度の焼成物に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、あるいは産業廃棄物や一般廃棄物の発生量は、年間数百万トンにも達し、その大部分は有効利用されることなく、埋立て処分されているのが現状である。近年、その受け入れ側である埋立て処分場については、その枯渇化が深刻化しており、発生する廃棄物を全て受け入れられない状況である。
また、これらを廃棄するために必要な費用についても、年々高騰の一途を辿っており、このような状況から、廃棄物を不法投棄するなどの社会的問題も発生している。
【0003】
従来より、CaO含有量が少ない産業廃棄物(例えば、石炭灰)を有効利用するため、これらを焼成し、人工骨材等として使用することが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、吸水率が低い骨材を得るためには、石炭灰を平均粒径10μm以下に微粉砕し、かつ造粒等の成形を行う必要があり、その製造方法は煩雑である。また、得られる骨材の絶乾密度は2.4g/cm3以下である。
また、特許文献2では、吸水率が低い焼成体を製造するには、石炭灰を成形し、かつ常温から次第に上昇させて最高温度1250℃に達するまで10時間をかけて加熱し、引き続き10時間をかけて次第に常温にまで冷却する等の特殊な焼成行程を経る必要があり、その製造は煩雑である。また、得られる骨材の絶乾密度は2.47g/cm3以下である。
【特許文献1】特開平11−106245号公報
【特許文献2】特開2000−7396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、CaO含有量が少ない産業廃棄物等(例えば、石炭灰や建設発生土等)を使用した場合であっても、石炭灰等を微粉砕することなく、また、造粒等の成形や特殊な焼成を行わずに、容易に製造することができ、高密度、低吸水率、かつ高強度の焼成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる実情に鑑み、本発明者らは、鋭意検討した結果、特定範囲の水硬率、鉄率及びSiO2含有量に調整すれば、石炭灰等を微粉砕することなく、また、造粒等の成形や特殊な焼成を行わずに、高密度、低吸水率、かつ高強度の焼成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、水硬率が0.4未満、鉄率が3.5以下、SiO2含有量が47質量%以下である焼成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の焼成物は、CaO含有量が少ない産業廃棄物等を原料として大量に使用することができるので、廃棄物の有効利用の促進に貢献することができる。
本発明の焼成物は、石炭灰等を微粉砕することなく、また、造粒等の成形や特殊な焼成を必要とせず、容易に製造することができ、高密度、低吸水率、かつ高強度のものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の焼成物は、水硬率(H.M.)が0.4未満、好ましくは0.35以下、特に好ましくは0.3以下のものである。水硬率(H.M.)が0.4以上の場合には、鉄率やSiO2含有量を調整しなくても、高密度、低吸水率の焼成物を得ることができる。
【0010】
本発明の焼成物は、鉄率(I.M.)が3.5以下、好ましくは3.2以下、特に好ましくは3.0以下のものである。鉄率が3.5を超えると、焼成物の密度が低下したり、吸水率が大きくなる。
【0011】
また、本発明の焼成物において、SiO2含有量は47質量%以下、好ましくは10〜43質量%、特に好ましくは15〜40質量%である。SiO2含有量が47質量%を超えると、焼成物の密度が低下したり、吸水率が大きくなる。
なお、SiO2含有量が10質量%未満の場合には、Fe2O3やAl2O3含有量の高い工業製品を多量に使うことが必要となり、廃棄物の有効利用が図れない。
【0012】
SiO2以外の焼成物の化学組成としては、CaO含有量が28質量%以下、特に1〜26質量%、更に2〜24質量%であるのが好ましい。CaO含有量が28質量%を超えると、焼成物の水硬率も0.4を超えるので、鉄率やSiO2含有量を調整しなくても、高密度、低吸水率の焼成物を得ることができる。
【0013】
また、Al2O3含有量は40質量%以下、特に10〜35質量%、更に10〜30質量%であるのが好ましい。Al2O3含有量が40質量%を超えると、焼成物の鉄率を3.5以下とすることが困難となり、焼成物の密度が低下したり、吸水率が大きくなるので、好ましくない。なお、Al2O3含有量が10質量%未満の場合には、Fe2O3含有量の高い工業製品を多量に使うことが必要となり、廃棄物の有効利用が図れない。
【0014】
さらに、Fe2O3含有量は8質量%以上、特に10〜40質量%、更に12〜38質量%であるのが好ましい。Fe2O3含有量が8質量%未満では、焼成物の鉄率を3.5以下にすることが困難であり、焼成物の密度が低下したり、吸水率が大きくなるので好ましくない。一方、Fe2O3含有量が40質量%を超える場合には、Fe2O3含有量の高い工業製品を多量に使うことが必要となり、廃棄物の有効利用が図れない。
【0015】
焼成物の原料としては、CaO含有量が30質量%以下である産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上を用いることができる。これらを用いれば、廃棄物の有効利用を促進させることができ好ましい。ここで、CaO含有量が30質量%以下の産業廃棄物としては、例えば、各種汚泥(例えば、下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥等)、建設廃材、ボーリング廃土、各種焼却灰(例えば、石炭灰、焼却飛灰、溶融飛灰等)、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰等が挙げられる。また、一般廃棄物としては、例えば、下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰等が挙げられる。建設発生土としては、例えば、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、更に廃土壌などが挙げられる。
【0016】
上記のような、CaO含有量が30質量%以下である産業廃棄物等は、一般に鉄率が3.5を超えているか、SiO2含有量が47質量%を超えている。そこで、本発明においては、このような産業廃棄物等に、成分調整材を添加して、水硬率を0.4未満、鉄率を3.5以下、かつ、SiO2含有量を47質量%以下に調整する。成分調整材としては、鉄滓、鉄ケーキ、赤泥、石灰石、粘土、Fe2O3やAl2O3含有量の高い工業製品等が挙げられる。これらのうち、廃棄物の有効利用の促進の観点から、鉄ケーキ、赤泥等の廃棄物を用いるのが好ましい。
なお、本発明においては、廃棄物の有効利用の観点から、焼成物の原料として、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上を70質量%以上用いるのが好ましい。
【0017】
焼成物の製造においては、まず、前記CaO含有量が30質量%以下の産業廃棄物等と、成分調整材を、水硬率(H.M.)が0.4未満、鉄率が3.5以下、かつ、SiO2含有量が47質量%以下となるように混合する。原料の混合は、ナウターミキサー、エアーブレンデングサイロ等の公知の混合機を用いて行うことができ、連続式、バッチ式のいずれでも良い。
なお、粒度の粗い原料を用いる場合や、混合度を高めたい場合は、チューブミル等の粉砕を伴うものを使用することもでき、公知の粉砕機であれば、連続式、バッチ式のいずれを用いることもできる。粉砕混合時間は、経済性や混合性から、概ね30分〜1時間程度が好ましく、使用する設備に応じて、適宜設定すれば良い。
【0018】
混合された原料は、20mm以下、好ましくは10mm以下の粉状及び/又は粒状の状態で、好ましくはロータリーキルンに投入し、造粒しながら焼成することにより、焼成物を得ることができる。
【0019】
原料は、粉状のままロータリーキルンに投入することができるが、野外ホッパーからベルトフィーダーを介してキルンに送入する場合など、発塵や周辺環境に配慮が必要な場合、あるいはハンドリング面において問題を生じさせる可能性がある場合は、原料粉末を20mm以下の粒状に整粒して、ロータリーキルンに投入しても良い。
【0020】
この際、整粒にパンペレタイザーや押し出し成形機を用いることもできるが、これらは習熟された技能を必要とすることや、設備コストの観点から好ましくなく、例えば、パグミルやスクリューフィーダーを使用し、原料輸送経路、あるいは整粒中の原料に直接散水するのが、設備を簡素にでき、特別な技能も必要としないことから好ましい。また、整粒物の粒子径のコントロールは、散水量で調整することができ、最適な散水量は、原料粉末の粉末度や含水量によって異なるため、整粒物の状態を見ながら、適宜調節するのが好ましい。
【0021】
原料粉末の整粒物は、粒径が20mm以下であれば、どのような形状でも良く、整粒ののち、解砕や分級にて20mm以下に調整したものを用いても良い。整粒物の粒径が20mm以下であれば、内部まで均質に焼成することができるので好ましい。
【0022】
このように混合された粉状又は20mm以下に整粒された粒状の原料は、好ましくはロータリーキルンで焼成される。
ロータリーキルンを使用すると、安定した品質の焼成物が連続して得られ易く、工業生産に向いていることに加え、前記の原料の配合調整による相乗効果も合わさって、極めて安定的に焼成物を製造することが可能となる。また、セメント産業における、遊休設備の有効活用の観点からも好ましい。
【0023】
ロータリーキルンを用いた焼成は、1000〜1500℃、特に1150〜1350℃で行うのが好ましく、所望の焼成物の品質(絶乾密度、吸水率等)を勘案して、適宜調整すれば良い。
なお、焼成温度が1000℃未満では、十分な焼成が行われず、焼成物の吸水率が大きくなる憂いがあり好ましくなく、1500℃を超えると、原料が溶融してしまい、運転に支障をきたすため好ましくない。
【0024】
ロータリーキルンは、排気系にサイクロン等の原料循環予熱設備、プレヒーター、廃熱ボイラー、粉砕設備、乾燥設備、排ガス浄化処理設備、集塵設備等を付設していても良い。また、窯尻にリフターを備えているものや、ロータリーキルンの内径を途中で窄めたり、広げるなどの加工を加えたものであっても良い。
なお、本発明の焼成物の焼成においては、酸性ガスが発生するおそれがあるので、ロータリーキルンには、排ガス浄化処理設備を付設するのが望ましい。
【0025】
燃料としては、重油、微粉炭、再生油、LPG、NPG等の一般に用いられているものであれば、単独又は混合して使用することができ、所定の焼成温度になるよう、焚き込み量を調整する。近年、セメントキルンにおいては、廃プラスチック、廃タイヤ、廃木材や肉骨粉などが、燃料代替として用いられているが、これらを燃料の一部に用いても良い。
【0026】
ロータリーキルンでの焼成時間は、経済性の観点から概ね15〜120分とするのが好ましく、所定品質の焼成物が得られるよう、適宜調整すれば良い。また、焼成時のロータリーキルン内のO2分圧は、特に制限されず、一般的な焼成範囲である1〜12%に調整すれば良い。また、サイクロン等の原料循環系を備えていないロータリーキルンにて焼成を行う場合は、原料が系外に飛散するのを防ぐため、ロータリーキルン窯尻の風速が概ね5m/s以下となるよう、ドラフトを調整するのが好ましい。
【0027】
焼成中は、焼成物の品質をより高める目的、またより安定した運転を目的として、融着防止材をロータリーキルンの窯前から吹き込むこともできる。
融着防止材としては、珪石、アルサイト、アルミナ、セメントの粉末や、セメントの主要鉱物であるエーライト、ビーライト粉末などを用いることができる。
【0028】
融着防止材は、平均粒子径が10〜1000μmのものを用いるのが、融着防止効果が得られ易いので好ましく、その純度は高いものほど好ましい。融着防止材の平均粒子径が10μm未満では、焼成中に原料化して焼結物中に取り込まれる可能性が高く、融着防止材としての効果が減少してしまい、焼成物の品質低下を生じるために好ましくない。また、融着防止材の平均粒子径が1000μmを超えると、送入部位等の磨耗が著しく、これら消耗部位や部品の交換が頻繁になるために好ましくない。さらに融着防止材の平均粒子径が数ミリを超えると、融着防止材としての効果が減少し、また焼成物に融着したものとの分離が困難になるために好ましくない。
【0029】
融着防止材の吹き込み方法としては、焼点に融着防止材が所定量吹き付けられるものであれば、特に限定されないが、例えば、水冷管、空冷管などの送入管をロータリーキルンの窯前に挿入し、エジェクタ等の空気圧送や、モノーポンプ等の輸送ポンプによって、融着防止材を吹き付けるのが、装置を簡便にできるので好ましい。
また、融着防止材の吹き込み量は、ロータリーキルンに送入する混合原料に対し、3〜10質量%であるのが、融着防止材としての効果が十分に得られるので好ましい。
【0030】
焼成物の焼成においては、焼結助剤を使用することができる。焼結助剤とは、焼結反応を促すために添加するものであり、主原料である廃棄物等にすでに焼結性が備わっていれば、特に添加する必要はないが、原料成分では十分な焼結性が確保できない場合には、焼結助剤を添加するのが好ましい。
【0031】
焼結助剤としては、例えば、粘土やカオリン、ベントナイト、各種のAl2O3源、セメント等が挙げられる。また、MgOも焼結を促す効果を有しており、MgOは勿論のこと、この成分を含有するMg(OH)2やMgCO3、或いはCaCO3・MgCO3(ドロマイト)、MgO・Al2O3(スピネル)、2MgO・Si02(フオルステライト)なども好適である。また、鉄鋼副産物であるフェロニッケルスラグなども、MgOの含有量が高いばかりでなく、その有効利用といった観点からもより好適な材料である。
【0032】
K、Na等のアルカリ金属の酸化物や複合酸化物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等も焼結反応を促進する効果を示すことが知られており、その複合酸化物である正長石、曹長石等の長石族、硝石、雲母族、霞石も好適である。また、廃ガラスや赤泥なども、その有効利用の観点から好適な材料である。
【0033】
焼結助剤の粒度は、廃棄物等との反応性から、平均粒子径1〜300μmであるのが好ましく、特に平均粒子径1〜50μmが好ましい。300μmを超える場合は、粉砕等によって粒度を調整したものを用いることができる。
焼結助剤の粒度が1μm未満では、粉砕等の費用が高騰するため好ましくなく、300μmを超えると、廃棄物等との反応性が悪くなり、焼結肋剤としての効果が得られないために好ましくない。
【0034】
また、焼結助剤の添加量は、焼成物中の焼結助剤成分元素の酸化物換算値として、MgOが0.1〜10質量%、R2Oが0.1〜10質量%とするのが好ましい。なお、R2Oは、アルカリ金属酸化物の総称で、R2O(質量%)=Na2O(質量%)+0.685K2O(質量%)で表すことができる。
MgOが0.1〜10質量%であれば、焼結助剤としての効果が十分に得られるので好ましい。R2Oが0.1〜10質量%であれば、焼結助剤としての効果が十分得られるとともに、焼成時の液相の発生が急激にならず、安定した運転が行えるので好ましい。
【0035】
上記のように、ロータリーキルンで原料を焼成することにより、本発明の焼成物を得ることができる。
本発明の焼成物は、絶乾密度が2.4〜3.0g/cm3、特に2.5〜2.9g/cm3であるのが好ましい。絶乾密度が2.4g/cm3未満では、吸水率が大きくなる傾向にあり、好ましくなく、絶乾密度が3.0g/cm3を超える焼成物を得ることは困難である。
【0036】
また、本発明の焼成物は、24時間吸水率が3.0%以下、特に2.0%以下、更に1.5%以下であるのが好ましい。24時間吸水率が3.0%を超えると、該焼成物を路盤材、埋め戻し材、アスファルト用の骨材、盛土材、充填材として使用することは可能であるが、コンクリート用の骨材として使用することはできず、用途が限定されてしまう。
【0037】
本発明の焼成物は、直径5〜10mmの焼成物の圧壊荷重が0.2kN以上、特に0.4kN以上、更に0.5kN以上であるか、又は直径10〜15mmの焼成物の圧壊荷重が0.5kN以上、特に0.7kN以上、更に0.9kN以上であるのが好ましい。圧壊強度がこれら範囲未満では、コンクリート用の骨材として使用することができず、用途が限定されてしまう。
【0038】
本発明の焼成物は、低吸水率、かつ、高強度であるので、コンクリート用の骨材として、好適に使用することができる。また、他の用途として、路盤材、埋め戻し材、アスファルト用の骨材、盛土材、充填材等として使用することもできる。
【実施例】
【0039】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0040】
実施例1
(1−1)焼成物の製造:
原料として、表1に示す化学組成の石炭灰又は建設発生土を使用し、表2に示す焼成物を製造した。焼成物の製造は、石炭灰又は建設発生土と成分調整材を、表1示す水硬率、鉄率及びSiO2含有量になるよう配合し、該原料を、130m3のエアーブレンディングサイロに投入し、エアーによる曝流混合を各々6時間行った。成分調整材としては、Fe2O3、Al2O3、CaCO3又はSiO2をそれぞれ95質量%以上含有する工業製品を使用した。
なお、各焼成物における石炭灰又は建設発生土の使用量は、80質量%以上である。
【0041】
続いて、得られた原料を、内径1.5m、長さ20mのロータリーキルンに、1ton/hで投入し、滞留時間が60分となる条件で、緻密質な焼成物が得られるよう、燃料であるA重油の焚き量を調整しながら、1150〜1300℃で焼成した。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
(1−2)焼成物の評価:
得られた焼成物を、目開き5、10、15mmで篩い分けし、5〜15mmの焼成物について、絶乾密度、吸水率を、JIS A 1110に準拠して測定した。また、土木学会基準の高強度フライアッシュ人工骨材の圧壊荷重試験方法に準拠して、10〜15mmの焼成物の圧壊荷重を測定した。
原料として、石炭灰を使用した焼成物の結果を表3に、建設発生土を使用した焼成物の結果を表4に示す。
【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
表3及び表4の結果より、本発明の焼成物(No.1〜6、10〜15)は、高密度、低吸水率、かつ高強度であることが分かる。なお、本発明の焼成物は、石炭灰や建設発生土を微粉砕することなく、また、造粒等の成型や、特殊な焼成を行わなくても製造することができる。
一方、鉄率やSiO2含有量が、本発明の範囲外の焼成物(No.7〜9、16〜18)では、吸水率が大きかった。
【0048】
実施例2
(2−1)焼成物の製造:
原料として、表5に示した原料を用い、表6に示す焼成物を製造した。焼成物の製造は、石炭灰と成分調整材を、表6示す水硬率、鉄率及びSiO2含有量になるよう配合し、該原料を、130m3のエアーブレンディングサイロに投入し、エアーによる曝流混合を各々6時間行った。成分調整材としては、赤泥と石灰石を使用した。
なお、各焼成物における石炭灰と赤泥の使用量は、90質量%以上である。
【0049】
続いて、得られた原料を、内径1.5m、長さ20mのロータリーキルンに、1ton/hで投入し、滞留時間が60分となる条件で、緻密質な焼成物が得られるよう、燃料であるA重油の焚き量を調整しながら、1150〜1300℃で焼成した。
【0050】
【表5】

【0051】
【表6】

【0052】
(2−2)焼成物の評価:
得られた焼成物について、絶乾密度、吸水率、10〜15mmの焼成物の圧壊荷重を、実施例1と同様にして測定した。結果を表7に示す。
【0053】
【表7】

【0054】
表7の結果より、本発明の焼成物(No.19〜21)は、高密度、低吸水率、かつ高強度であることが分かる。一方、鉄率やSiO2含有量が、本発明の範囲外の焼成物(No.22、23)では、吸水率が大きかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬率が0.4未満、鉄率が3.5以下、SiO2含有量が47質量%以下である焼成物。
【請求項2】
絶乾密度が2.4〜3.0g/cm3である請求項1記載の焼成物。
【請求項3】
CaO含有量が30質量%以下である産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上に、成分調整材を添加して、水硬率を0.4未満、鉄率を3.5以下、SiO2含有量を47質量%以下に調整した原料を焼成することを特徴とする焼成物の製造方法。

【公開番号】特開2008−1528(P2008−1528A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169598(P2006−169598)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)